JP5746988B2 - カプセル皮膜及びカプセル - Google Patents

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本発明はカプセル皮膜及びカプセルに関する。
界面活性剤は、疎水性相互作用、静電相互作用に基づく分子集合性を有している。そして、その分子集合性を利用して、食品、化粧品、洗浄剤分野等の分野で広く使われてきた。近年更に、分子集合性の延長線上に、分子認識機能、生体細胞適合機能、更には刺激応答機能などの高次機能が発現できる界面活性材料の開発が進められている。
例えば、界面活性物質が二次元で精密配列できる分子集合性を獲得できれば、これまでにない物質透過性の発現につながる可能性を秘めていることから、上記材料から作成されたカプセルを用いての新規ドラッグデリバリーシステム等への応用等が期待される。
ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)に代表されるリン脂質は、水分散液を加熱しながら超音波処理や攪拌処理をすることで、多層膜状の球状集合体からなる分散液を形成することが知られている(例えば非特許文献1参照)。また、親水性ブロックと疎水性ブロックを有する両親媒性ブロック共重合体を水面上に集積させると、親水性ブロックを水面側に、疎水性ブロックを気体側に向けて薄膜を形成することが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2009−76331号公報
Biochemistry,1978,VOL17,NO5,837
しかしながら、リン脂質による多層膜状の球状集合体は、従来の界面活性剤と同様に水溶液中での疎水性相互作用と静電相互作用のみから形成されているため、低分子物質を閉じ込めることはできず、また、乾燥すれば崩壊してしまうなどの問題があった。
両親媒性ブロック共重合体についても、仮に平面状の気液界面で分子膜を形成させたとしても、ポリマー主鎖の存在により規則的な配列が困難であり(図14)、閉じた構造のカプセル皮膜を形成させることは困難であった。
本発明の目的は、ドラッグデリバリーシステム等への幅広い応用可能性をもたらす、二次元で精密配列できる分子集合性と優れたバリア能とを有するカプセル皮膜ならびに、そのカプセル皮膜によって形成されたカプセルを提供することにあり、もうひとつの態様としては煩雑な製造工程を必要とせず、様々な内容物を収容できるカプセル皮膜およびカプセルの提供にある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、所定の構造を有するスルファミド化合物が、良好な分子集合性を発揮して二次元に精密配列でき、これにより、バリア能に優れ様々な内容物を収容し得るカプセル皮膜を形成することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕式(I)で示されるスルファミド化合物又はその塩を含むカプセル皮膜。
(式中、R1は炭素原子数11〜17のアルキル基である。R2は炭素原子数1〜10のアルキレン基である。Zは下記のa又はbである。
a)−NR34(式中、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜3のアルキル基である。)
b)−C(=O)−O−R5(式中、R5は水素原子又はメチル基である。))
〔2〕式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる溶液を、前記スルファミド化合物を溶解しないが前記溶媒Aに溶解しかつ溶媒Aとは別の溶媒Bに注入する、上記〔1〕に記載のカプセル皮膜の製造方法。
〔3〕溶媒Bが、水又は水を含む混合溶媒である、上記〔2〕に記載のカプセル皮膜の製造方法。
〔4〕上記〔1〕に記載のカプセル皮膜と、内容物とからなるカプセル。
〔5〕前記スルファミド化合物を溶解しないが溶媒Aに溶解しかつ溶媒Aとは別の溶媒Bに、内容物を溶解又は分散させて得られる液Cを用意し、式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる溶液を、前記液Cに注入して前記内容物を上記〔1〕に記載のカプセル皮膜の中に充填する、上記〔4〕に記載のカプセルの製造方法。
本発明のカプセル皮膜及びカプセルは、式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を含むので、熱処理などの工程を要さずとも簡便に形成され、しかも高いバリア能を有し様々な内容物に適用できる。従って本発明は、気体貯蔵(酸素、水素等)、液体貯蔵(水)、ドラッグデリバリーシステム等への幅広い応用が期待される。
図1は、両親媒性スルファミド化合物3AのFAB−MSチャートである。 図2は、両親媒性スルファミド化合物3Aの1H−NMRチャートである。 図3は、両親媒性スルファミド化合物3BのFAB−MSチャートである。 図4は、両親媒性スルファミド化合物3Bの1H−NMRチャートである。 図5は、両親媒性スルファミド化合物3CのFAB−MSチャートである。 図6は、両親媒性スルファミド化合物3Cの1H−NMRチャートである。 図7は、両親媒性スルファミド化合物3AのIRチャートである。 図8は、両親媒性スルファミド化合物3AのXRDチャートである。 図9は、両親媒性スルファミド化合物3BのIRチャートである。 図10は、両親媒性スルファミド化合物3BのXRDチャートである。 図11は、両親媒性スルファミド化合物3CのIRチャートである。 図12は、両親媒性スルファミド化合物3CのXRDチャートである。 図13は、共焦点レーザー顕微鏡を通して撮影された実施例1のカプセルの像である。 図14は、特許文献1の共重合体に関する説明図である。
本発明のカプセル皮膜は、上記式(1)で表されるスルファミド化合物又はその塩を含む。
1は炭素原子数11〜17のアルキル基であり、炭素原子数12〜16のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数13〜15のアルキル基であることがより好ましい。R1により表されるアルキル基は直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。R1は例えば、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基が挙げられ、テトラデシル基であることが好ましい。
2は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、炭素原子数2〜8のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数3〜7のアルキレン基であることがより好ましい。R2により表されるアルキレン基は直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。R2としては例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、tert−プロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ヘプチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられ、ペンチレン基又はヘキシレン基が好ましい。
Zは下記のa又はbである。
a)−NR34
b)−C(=O)−O−R5
3及びR4は、各々独立に炭素原子数1〜3のアルキル基であり、炭素原子数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R3及びR4は共通であってもよいし異なっていてもよいが、共通であることが好ましく、両方ともメチル基であることが好ましい。
5は水素原子又はメチル基である。
式(I)で表されるスルファミド化合物は、下記の式(II)で表される化合物又はその塩、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物又はその塩であることが好ましい。
塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、又はパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸塩が挙げられる。
本発明のカプセル皮膜を形成する、式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩は、1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩の製造方法は、特に限定されない。例えば、疎水性アミンと親水性アミンを同時に塩化スルフリルと反応させて、その後分離精製する方法や、疎水基を片末端に有するスルファミド化合物を合成し、別途合成した親水性アミンを縮合させる方法が挙げられる。
式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩は両親媒性を示す。両親媒性は、式(I)で表されるスルファミド化合物がいわゆる非対称置換型スルファミド誘導体であることにより発揮される。すなわち、親水基としてのスルファミドと、疎水基としてのアルキレン鎖とにより発揮される。式(I)で表されるスルファミド化合物は、両親媒性を示し、更に化合物の構造に基づいて分子集合性を示す。分子集合性とは、分子間相互作用を介して略規則的に集合(配列)することのできる性質を示す。
本発明のカプセル皮膜とは、内部に空隙を有し、内容物を閉じ込めたまま保持可能とする膜を意味する。本発明のカプセル皮膜において、式(I)で表されるスルファミド化合物は分子間相互作用を発揮でき、分子膜(分子集合膜)が形成され、更にカプセル皮膜が形成される。分子間相互作用とは、分子同士が引き合う相互作用を意味し、例えば、水素結合、疎水性相互作用、イオン間相互作用(帯電したイオンの間で生じる相互作用)双極子間相互作用(双極子である分子間で生じる相互作用)、分散力、ファンデルワールス力などがあり、本発明の場合には水素結合及び疎水性相互作用がメインである。
本発明のカプセル皮膜において、式(I)で表されるスルファミド化合物が分子間相互作用(特に水素結合)を発揮していることは、赤外分光法(IR)によるカプセル皮膜の測定を行い、IRスペクトルにおいてNH伸縮振動が低波数へシフトしており、かつシャープであることを観測することで確認可能である。
本発明のカプセル皮膜において、式(I)で表されるスルファミド化合物は、通常、略規則的に配列している。略規則的に配列する、とは、単一平面上にほぼ同じ配向で並んでいることを意味する。また、本発明のカプセル皮膜は、通常、式(I)で表されるスルファミド化合物から構成される分子精密集積膜である。分子精密集積膜とは、分子が規則的かつ精密に集積する構造を有する分子膜(分子集合膜)を意味する。式(I)で表されるスルファミド化合物が略規則的に配列しており、分子精密集積膜を形成していることは、X線回折法(XRD)によるカプセルの測定を行い、XRDスペクトルにおいて周期的な回折ピークが観測され、なおかつその値が分子長に相当することを観測することで確認可能である。
本発明のカプセル皮膜の厚さは特に限定されないが、通常は、0.1nm〜1000nmであり、好ましくは0.5nm〜800nmであり、より好ましくは1nm〜800nmである。
本発明のカプセル皮膜においては、式(I)で表されるスルファミド化合物で形成される膜一層からなっていてもよいし、二層以上からなっていてもよい。二層以上であることにより、バリア能をより堅固にすることができる。なお、膜が二層であることは、原子間力顕微鏡(AFM)により確認することができる。
本発明のカプセル皮膜においては、式(I)で表されるスルファミド化合物を含んでいればよく、更に任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。任意成分としては、例えば、水溶性高分子、可塑剤、防腐剤、水分活性低下剤、pH調整剤等が必要に応じて添加される。
本発明のカプセル皮膜は、バリア能に優れている。バリア能とは、カプセル内に格納された物質の透過を抑制する能力を意味する。
本発明のカプセル皮膜の製造にあたっては、特に制限はないが、例えば、式(I)で表されるスルファミド化合物を溶媒Aと混合し、得られる液を、マイクロシリンジ等を用いてスルファミド化合物を溶解しないが前記溶媒Aに溶解しかつ溶媒Aとは別の溶媒Bに注入する方法が挙げられる。溶媒Aとしては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル等のスルファミド化合物を溶解しつつ水と混和する溶媒が挙げられる。溶媒Bとしては、例えば、水及び水を含む混合溶媒が挙げられる。水を含む混合溶媒を構成する、水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等の水と溶解し得る(混和し得る)溶媒が含まれるが、スルファミド化合物を溶解しないことが必要である。スルファミド化合物を溶媒Aと混合後に得られる液を溶媒Bに注入する際の、溶媒Bの温度は、通常0〜90℃であり、注入後は徐冷することが好ましい。その後必要に応じて成形、乾燥してもよい。溶媒Aにスルファミド化合物又はその塩を溶解させる際の両者の量比、及び、溶媒Aに溶媒Bを注入する際の溶媒Aと溶媒Bの量比は、溶媒の種類、スルファミド化合物の種類などにより適宜決定される。通常、溶媒Aにスルファミド化合物又はその塩を溶解させる際の濃度は1〜100mMである。また、溶媒Aと溶媒Bの量比は、1/1000〜1/10(体積比)である。
本発明のカプセルは、本発明のカプセル皮膜と内容物とからなる。内容物は用途に応じて定めればよく特に制限はない。内容物の形態は溶液状、懸濁液状、ペースト状、粉末状、顆粒状、ガス状等いずれであってもよい。内容物の分子量は、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは600以下であることが好ましい。内容物としては、例えば香料、甘味料、機能性物質、着色料、酵素、薬物、これらの水溶液等が挙げられる。香料、甘味料、機能性物質、着色料、酵素、薬物は、通常、医薬品、医薬部外品、食品、化粧品等に用いられる物質であれば特に限定されない。
カプセルの形状についての限定はなく、例えば、オーバール(フットボール)型、オブロング(長楕円)型、ラウンド(球状)型等が挙げられる。
本発明のカプセルの製造にあたっては、カプセル皮膜の中に内容物を充填すればよく、その条件は内容物の種類、カプセルの用途などによって適宜定めることができる。例えば、前述した溶媒Bに内容物を溶解又は分散させて得られる液Cを用意し、式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる液を、液Cに注入する方法が挙げられる。カプセル化されなかった内容物は、ろ過等の手法を適宜選択することで分離することができる。内容物が溶媒Bに均一溶解しない場合、分散させてカプセル皮膜の中に充填させることもできる。その場合は内容物の分散径は1μm以下であることが望ましい。内容物が油溶性の有効成分(薬効成分)の場合、内容物を予め油溶性の溶媒に溶解してから溶媒Bに注入することで、エマルション或いはマイクロエマルションが形成され、さらに式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる液を注入することで、有効成分をカプセル皮膜の中に充填させることができる。また、内容物が固体状の物質の場合であっても、上記方法により該物質を極微細に分散させることができ、該物質をカプセル皮膜の中に充填させることができる。液Cにおける溶媒Bと内容物の比率、及び、溶媒Aと液Cとの量比については、溶媒の種類、スルファミド化合物の種類、内容物の種類などにより適宜決定される。通常、溶媒Bに内容物を溶解または分散させる際の濃度は10−6mM以上、10mM以下であり、溶媒Aと液Cの量比は、1/1000〜1/10(体積比)である。なお、上記の方法は一例であり、内容物をカプセル皮膜の中に充填できる方法であればいずれを採用することもできる。
以下の実施例及び比較例における評価サンプルの構造を表1に示す。
*DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、COATSOME MC−6060(日油株式会社))
(合成例1:疎水基片末端スルファミド化合物の合成)
窒素雰囲気下の300mLの2口ナスフラスコに、塩化スルフリル10mL、ジエチルエーテル100mLを入れ、−78℃に冷却したのち、p−ニトロフェノール14g、ピリジン8.3mL、ジエチルエーテル100mLの混合液を滴下し、室温に戻して18時間反応させた。淡黄色上澄み液を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、4−ニトロフェニルクロロサルフェート22gを得た。収率は89%であった。
窒素雰囲気下の300mLの2口ナスフラスコに、4−ニトロフェニルクロロサルフェート2.9g、ジクロロメタン100mLを入れ、−78℃に冷却したのち、テトラデシルアミン0.65g、p−ニトロフェノール4.2g、トリエチルアミン5.1mL、ジクロロメタン40mLの混合液を滴下し、室温に戻してカラム精製によって、1−[{(4−ニトロフェニル)スルフォニル}アミノ]テトラデカン1.1gを得た。収率は86%であった。
(合成例2A:親水性アミンの合成)
窒素雰囲気下の300mLの2口ナスフラスコに、水素化ナトリウム(AI50−72%)2.4g、テトラヒドロフラン40mLを入れ、0℃に冷却したのち、ジエチレングリコールモノメチルエーテル6.0g、テトラヒドロフラン40mLの混合液を滴下し、室温に戻した。さらに6−ブロモヘキサンニトリル8.8g、テトラヒドロフラン20mLの混合液を滴下し、1時間80℃還流条件で反応させた。カラム精製により、ジエチレングリコール−(5−シアノペンチル)−メチル−エーテル3.7gを得た。収率は34%であった。
窒素雰囲気下の300mLの2口ナスフラスコに、上記ジエチレングリコール−(5−シアノペンチル)−メチル−エーテル3.4g、メタノール100mLを入れ、0℃に冷却したのち、ジ−tert−ブチルジカルボネート7.1g、塩化ニッケル(II)2.3g、水素化ホウ素ナトリウム4.22gを逐次添加し、室温に戻して終夜反応させた。カラム精製により、ジエチレングリコール−{6−(N−ブトキシカルボニル)アミノヘキシル}−メチル−エーテル4.4gを得た。収率は87%であった。
50mLのナスフラスコに上記ジエチレングリコール−{6−(N−ブトキシカルボニル)アミノヘキシル}−メチル−エーテル4.4g、4規定の塩酸50mLを添加し、室温で終夜反応させた。1規定の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、分液精製により、ジエチレングリコール−(6−アミノヘキシル)−メチル−エーテル1.8gを得た。収率は59%であった。
(合成例3A:両親媒性スルファミド化合物3Aの合成)
100mLのナスフラスコに1−[{(4−ニトロフェニル)スルフォニル}アミノ]テトラデカン(合成例1)2.07g、6−ジメチルアミノヘキシルアミン0.723g、テトラヒドロフラン30mLを入れて溶解させ、トリエチルアミン0.70mLを添加し、室温で4時間反応させた。カラム精製と分液精製により、N−テトラデシル−N’−(6−ジメチルアミノヘキシル)−スルファミド1.71gを得た。収率は82%であった。を、それぞれ図1及び図2に示す。
(合成例3B:両親媒性スルファミド化合物3Bの合成)
100mLのナスフラスコに1−[{(4−ニトロフェニル)スルフォニル}アミノ]テトラデカン(合成例1)1.04g、6−アミノヘキサン酸メチル(塩化水素1モル付加体)0.542g、ジメチルホルムアミド20mLを入れて溶解させ、トリエチルアミン0.83mLを添加し、室温で2時間反応させた。カラム精製と分液精製により、N−テトラデシル−N’−(5−(メトキシカルボニル)ペンチル)−スルファミド0.836gを得た。収率は79%であった。FAB−MSスペクトル及び1H−NMRスペクトルを、それぞれ図3及び図4に示す。
(合成例3C:両親媒性スルファミド化合物3Cの合成)
100mLのナスフラスコにN−テトラデシル−N’−(5−(メトキシカルボニル)ペンチル)−スルファミド(合成例3B)0.613g、テトラヒドロフラン40mLを入れて溶解させ、水酸化ナトリウム0.558g、水10mLを添加し、90℃還流条件で3時間反応させた。エバポレータでテトラヒドロフランを除去後、再沈精製により、N−テトラデシル−N’−(5−(ヒドロキシカルボニル)ペンチル)−スルファミド0.31gを得た。収率は53%であった。FAB−MSスペクトル及び1H−NMRスペクトルを、それぞれ図5及び図6に示す。
(比較合成例1:疎水性スルファミド化合物1の合成)
100mLのナスフラスコに1−[{(4−ニトロフェニル)スルフォニル}アミノ]テトラデカン(合成例1)0.9g、ヘキシルアミン0.2g、テトラヒドロフラン50mLを入れて溶解させ、トリエチルアミン0.30mLを添加し、3時間反応させた。カラム精製と分液精製により、N−テトラデシル−N’−ヘキシル−スルファミド0.6gを得た。(収率73%)
(比較合成例2:親水性スルファミド化合物2の合成)
窒素雰囲気下の100mLのナスフラスコに塩化スルフリル200μL、ジエチレングリコール−(6−アミノヘキシル)−メチル−エーテル(合成例2A)2.0g、テトラヒドロフラン50mLを入れて溶解させ、トリエチルアミン0.70mLを添加し、4時間反応させた。カラム精製により、N,N’−ジ(6−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)ヘキシル)−スルファミド0.53gを得た。(収率45%)
(実施例1〜3及び比較例1〜2:スルファミド化合物のカプセルの調製)
評価サンプル25mM テトラヒドロフラン溶液0.1mLを、マイクロシリンジを用いて、攪拌中の50℃の水10mLに注入し、室温まで徐冷した。得られたカプセルの厚さは、21nm(実施例1)、19nm(実施例2)27nm(実施例3)であった。
(比較例3:リン脂質のカプセルの調製)
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、COATSOME MC−6060(日油株式会社))の7mM水分散液を50℃で15分間超音波照射し、室温まで徐冷した。得られたカプセルの厚さは、80nmであった。
(分子集合膜形成能評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3のそれぞれのカプセルで用いられている、両親媒性スルファミド化合物1C、2C及び3C、疎水性スルファミド化合物1、ならびに親水性スルファミド化合物2の水素結合性をIRで、分子集積構造の規則性をXRDで評価した。
評価サンプルの1%クロロホルム溶液をガラス基板上にキャスト乾燥し、広角X線回折装置(XRD)で解析を行った。また、同溶液をCaF2基板上にキャスト乾燥し、赤外吸収測定(IR)を行った。
分子集合膜形成能を下記基準に従って評価し、表1に示した。
○:XRDで回折ピークあり、及び、IRで水素結合性NH伸縮振動の吸収ピーク(3290cm-1付近)あり
×:回折ピークなし、又は、IRで水素結合性NH伸縮振動の吸収ピーク(3290cm-1付近)なし
合成例3Aで得られた化合物の、IRチャート、XRDチャートをそれぞれ図7及び図8に示す。合成例3Bで得られた化合物の、IRチャート、XRDチャートをそれぞれ図9及び図10に示す。合成例3Cで得られた化合物の、IRチャート、XRDチャートをそれぞれ図11及び図12に示す。
(カプセル形成能評価)
カプセル形成能を下記基準に従って評価し、表1に結果を示した。
○:球状構造体が確認された
×:球状構造体は確認されなかった
(バリア能評価)
上記カプセル形成能評価の手順において、水の代わりにeosin−Y(蛍光物質)10−5M水溶液を用いてカプセルを形成させ、ゲルろ過クロマトグラフィー(Shephadex G−25)を用いてカプセル化されていないeosin−Yを除去した。室温で真空乾燥させたのちに、共焦点レーザー顕微鏡でeosin−Yの蛍光を観察した。図13に実施例1のカプセルの観察像を示す。
バリア能を下記基準に従って評価し、表1に示した。
○:カプセル内部に蛍光が検出された
△:カプセル膜表面に蛍光が検出された
×:蛍光は検出されなかった
*DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、COATSOME MC−6060(日油株式会社))
IRチャート(図7、9及び11)では、通常3400〜3500cm-1に出るNH伸縮振動が3290cm-1まで低波数シフトしてシャープに観測されている。このことから、化合物3A、3B及び3Cにおいては水素結合が形成されていることが分かる。また、XRDチャート(図8、10及び12)からは、周期的な回折ピークが観測され、なおかつその値が分子長に相当することから、両親媒性スルファミド化合物3A、3B及び3Cでは略規則的に配置されており、均一な厚さの分子膜を形成していることが分かる。これらの結果より、両親媒性スルファミド化合物3A、3B及び3Cは水素結合に基づき規則的な分子集積構造を有する分子膜を形成していると結論付けられる。
比較例1では、分子集合膜が形成されたものの、カプセルは形成されなかった。比較例2では分子集合膜及びカプセルのいずれも形成されなかった。
表1から明らかな通り、実施例1〜3に示された両親媒性スルファミド化合物は、水素結合性に基づく規則的な分子集積構造を有する分子膜を形成でき、この分子膜は、結晶性に優れたカプセル皮膜およびカプセルを形成でき、しかも、いったん閉じ込めた内容物を強固に閉じ込めることのできるバリア性を有していることがわかる。一方、比較例1の疎水性スルファミドあるいは比較例2の親水性スルファミドのように、スルファミド構造を有していても親水/疎水バランスが無い構造の化合物や、親水/疎水バランスによる分子集合性があっても水素結合性に欠ける比較例3の化合物では、実施例1〜3の化合物のような優れた効果を発揮できず、本発明の課題を達成することができないことが明らかである。
これらの結果は、本発明のカプセル皮膜は、式(I)で表されるスルファミド化合物が分子間相互結合を発揮することができること、及び、この優れた分子集合性により高いバリア能を有し様々な内容物を収容し得ること、を示している。

Claims (5)

  1. 式(I)で示されるスルファミド化合物又はその塩を含むカプセル皮膜。
    (式中、R1は炭素原子数11〜17のアルキル基である。R2は炭素原子数1〜10のアルキレン基である。Zは下記のa又はbである。
    a)−NR34(式中、R3及びR4は各々独立に炭素原子数1〜3のアルキル基である。)
    b)−C(=O)−O−R5(式中、R5は水素原子又はメチル基である。))
  2. 式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる溶液を、前記スルファミド化合物を溶解しないが溶媒Aに溶解しかつ溶媒Aとは別の溶媒Bに注入する、請求項1に記載のカプセル皮膜の製造方法。
  3. 溶媒Bが、水又は水を含む混合溶媒である、請求項2に記載のカプセル皮膜の製造方法。
  4. 請求項1に記載のカプセル皮膜と、内容物とからなるカプセル。
  5. 前記スルファミド化合物を溶解しないが溶媒Aに溶解しかつ溶媒Aとは別の溶媒Bに、内容物を溶解又は分散させて得られる液Cを用意し、式(I)で表されるスルファミド化合物又はその塩を溶媒Aと混合して得られる溶液を、前記液Cに注入して前記内容物を請求項1に記載のカプセル皮膜の中に充填する、請求項4に記載のカプセルの製造方法。
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