以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の態様は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
[実施例1]
本実施例においては、ユーザの腹囲を入力値として、内臓脂肪面積・全脂肪(内臓脂肪+皮下脂肪)面積を推定し、その推定値に基づいてユーザの内臓脂肪形状、皮下脂肪形状などの腹部断面形状を作成・表示する内臓脂肪シミュレーション装置について説明する。
実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、CPUと、メモリと、記憶媒体とから構成される。記憶媒体は、例えば不揮発性記憶媒体等である。不揮発性記憶媒体には、磁気ディスク、不揮発性メモリ等が含まれる。記憶媒体は、内臓脂肪シミュレーション装置の機能を実現するプログラム、その算出結果などを格納する。メモリには、記憶媒体に格納されているプログラムが展開される。CPUは、メモリに展開されたプログラムを実行する。以下で説明する処理及び演算は、CPUが実行する。
図1に、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置のブロック構成例を示す。内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪シミュレーション端末101とデータベース106とから構成される。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、入力部102、腹部断面形状作成部105、出力部104を備える。入力部102には、マウス、キーボードなどが用いられる。出力部104には、内臓脂肪シミュレーション端末101の算出結果を表示するディスプレイや算出結果を印刷するプリンタなどが用いられる。
腹部断面形状作成部105は、内臓脂肪形状作成部103、腹筋形状作成部109、皮下脂肪形状作成部115、内臓画像作成部116を備える。
内臓脂肪形状作成部103は、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108、内臓脂肪面積推定値算出部114を備える。
内臓脂肪面積推定値算出部114は、入力部102で入力されたユーザの腹囲などの身体情報から内臓脂肪面積推定値を算出する。内臓脂肪特徴点移動距離算出部108は、内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値と、データベース106に格納されている内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積と、内臓脂肪移動係数から内臓脂肪特徴点の移動距離を算出し、内臓脂肪特徴点の移動位置を算出する。
内臓脂肪形状作成部103は、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動位置に基づいて、データベース106に格納されている内臓脂肪モデル画像を変形し、内臓脂肪形状を作成する。
ここで、内臓脂肪特徴点は、内臓脂肪モデル画像の最も前面側の点、内臓脂肪モデル画像の最も左側もしくは右側面側の点、内臓脂肪モデル画像と後述する背骨周辺組織モデル画像の接点、後述する腹筋モデル画像の腹直筋と外腹斜筋の中間点を少なくとも内臓脂肪特徴点として設定され、座標と共に管理されている。内臓脂肪特徴点の設定例はこれに限らず、前述した特徴点の設定に加え、内臓脂肪外周部の任意の点を特徴点に設定してもよい。
腹筋形状作成部109は、腹筋特徴点移動位置算出部110を備える。腹筋特徴点移動位置算出部110は、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動位置と、データベース106に格納されている腹筋特徴点の座標から腹筋特徴点の移動位置を算出する。腹筋形状作成部109は、腹筋特徴点移動位置算出部110で算出された腹筋特徴点移動位置に基づいて、データベース106に格納されている腹筋モデル画像を変形し、腹筋形状を作成する。
この実施例の場合、腹筋特徴点は、腹筋モデル画像のうち、(a) 最も左側面側の点、(b) 背骨周辺組織と接する点(背面側)、(c) これら2点で腹筋形状に接する2直線の交点、(d) 前記左側面側の点で腹筋形状に接する直線と、前記左側面側の点と腹筋形状上で隣接する内臓脂肪特徴点における腹筋形状での接線との交点、(e) 腹筋形状において隣接関係にある2つの内臓脂肪特徴点で腹筋形状に接する2つの直線の交点(前面側)として与える。本明細書では、腹筋特徴点に限らず、ユーザの臍側を前面側と呼ぶ。また、ユーザの左手側を左側、右手側を右側と呼ぶ。各腹筋特徴点は、それらの座標と共に管理される。なお、本実施例では、腹筋モデル画像の左半身側に腹筋特徴点を設定しているが、右半身側に腹筋特徴点を設定してもよい。
皮下脂肪形状作成部115は、全脂肪面積推定値算出部113、皮下脂肪特徴点移動距離算出部112を備える。全脂肪面積推定値算出部113は、入力部102を通じて入力されたユーザの腹囲などの身体情報から内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の和である全脂肪面積推定値を算出する。皮下脂肪特徴点移動距離算出部112は、全脂肪面積推定値算出部113で算出された全脂肪面積推定値と、データベース106に格納されている皮下脂肪モデル画像の全脂肪面積と、皮下脂肪移動係数とを基に皮下脂肪特徴点の移動距離を算出し、皮下脂肪特徴点の移動位置を算出する。皮下脂肪形状作成部115は、皮下脂肪特徴点移動距離算出部112で算出された皮下脂肪特徴点の移動位置に基づいて、データベース106に格納されている皮下脂肪モデル画像を変形させて皮下脂肪形状を作成する。
ここで、皮下脂肪特徴点は、少なくとも(a) 皮下脂肪モデル画像の最も前面側の点、(b) 皮下脂肪モデル画像の最も左側もしくは右側面側の点、(c) 皮下脂肪モデル画像の最も背面側の点、(d) 皮下脂肪モデル画像の背骨後ろ側の点として与える。各皮下脂肪特徴点は、座標と共に管理される。なお、皮下脂肪特徴点は、これらの4点に加え、皮下脂肪外周部に位置する任意の点を追加的に設定してもよい。
内臓画像作成部116は、内臓画像表示位置算出部117を備える。内臓画像作成部116は、内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値と、データベース106に格納されている内臓可視化指標から内臓画像を作成する。内臓画像表示位置算出部117は、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動距離に基づいて、内臓画像作成部116で作成された内臓画像の表示位置を算出する。
腹部断面形状作成部105は、(a) 皮下脂肪形状作成部115で作成された皮下脂肪形状、(b) 腹筋形状作成部109で作成された腹筋形状、(c) 内臓脂肪形状作成部103で内臓脂肪形状、(d) 内臓画像作成部116で作成された内臓画像、(e) データベース106に格納されている背骨周辺組織モデルを順に重ね合わせて腹部断面形状を作成し、出力部104に表示する。
データベース106は、モデル形状データ管理部120、移動係数管理部122、推定式情報管理部123、腹部断面モデル管理部125、及び内臓可視化指標管理部126を備える。
モデル形状データ管理部120は、(a) 内臓脂肪モデル画像の特徴点のXY座標、(b) 内臓脂肪面積値、(c) 腹筋モデル画像の特徴点のXY座標、(d) 皮下脂肪モデル画像の特徴点のXY座標、(e) 全脂肪面積値を管理する。
移動係数管理部122は、(a) 内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当りの移動距離と内臓脂肪面積の関係を示す式、(b) 皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当りの移動距離と全脂肪面積の関係を示す式を管理する。
推定式情報管理部123は、(a) 内臓脂肪面積推定式、(b) 全脂肪面積推定式を管理する。
腹部断面モデル管理部125は、(a) 内臓脂肪モデル画像、(b) 皮下脂肪モデル画像、(c) 腹筋モデル画像、(d) 背骨周辺組織モデル画像を管理する。
内臓可視化指標管理部126は、内臓の可視化度合いを示す内臓可視化指標を管理する。なお、データベース106は、前述した情報以外のデータを管理してもよい。
図2に、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が画像間で異なる2つの腹部CT画像(同一ユーザについて異なる時点に取得した画像)の一例を示す。1つ目の腹部CT画像(上図)は、皮下脂肪201、腹筋(腹直筋202、外腹斜筋203)、内臓脂肪204、背骨周辺組織(背骨206、大腰筋・脊柱起立筋205、大静脈・大動脈207)、腸・腎臓等の内臓208を示している。2つ目の腹部CT画像(下図)は、皮下脂肪211、腹筋(腹直筋212、外腹斜筋213)、内臓脂肪214、背骨周辺組織(背骨216、大腰筋・脊柱起立筋215、大静脈・大動脈217)、腸・腎臓等の内臓218を示している。
本実施例では、同一ユーザについて異なる時点に取得した内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が異なる2つの腹部CT画像を複数人分用意し、それらから作成した腹部断面モデル(内臓脂肪、腹筋、皮下脂肪、背骨周辺組織モデル画像)、特徴点移動係数、内臓可視化指標に基づいて、腹部断面形状を生成・表示する方法について説明する。なお、腹部断面モデル、特徴点移動係数、内臓可視化指標の作成方法については実施例2で説明する。
図3に、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置で実行される処理動作の概要を示す。図3は、入力部102を通じ、ユーザの腹囲が入力されてから、腹部断面形状が表示されるまでの処理の流れの一例を示している。図3に示すフローチャートでは、まず、内臓脂肪形状を作成し、次に、腹筋形状、皮下脂肪形状を作成し、最後に内臓画像を作成する。
まず、内臓脂肪形状生成の流れを、図4、5、6、7、8を用いて説明する。
図4は、推定式情報管理部123によって管理される推定式情報の一例を示す図である。推定式情報管理部123は、ユーザの腹囲の入力により内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を算出する内臓脂肪面積推定式1401と、全脂肪面積推定式1402を管理している。これらの推定式は、大量の腹囲と内臓脂肪面積の関係、大量の腹囲と全脂肪面積(内臓脂肪面積+皮下脂肪面積)の関係を回帰分析することにより作成できる。これらの推定式を用いることにより、ユーザの腹囲から内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を算出することができる。
図5は、腹部断面モデル管理部125により管理される内臓脂肪モデル画像(図5上図)と背骨周辺組織モデル画像320(図5下図)の一例を示している。背骨周辺組織モデル画像320は、背骨、大腰筋・脊柱起立筋、大静脈・大動脈で構成される。図5は、背中(腹)に平行な方向をX軸とし、背骨から臍方向をY軸とする。
内臓脂肪モデル画像(図5上図)は、内臓脂肪形状301と、内臓脂肪特徴点303〜309と、背骨中心点302とで構成される。内臓脂肪は、ほぼ左右対称である。従って、この実施例では、体の左側面のみに内臓脂肪特徴点を設定する場合について表している。勿論、体の右側面のみに内臓脂肪特徴点を設定してもよい。なお、内臓脂肪特徴点309は、背骨周辺組織モデル画像(図5下図)との接点である。
図6は、モデル形状データ管理部120により管理される内臓脂肪モデル画像の形状データの一例を示す図である。モデル形状データ管理部120は、特徴点401である背骨中心点302、内臓脂肪特徴点303〜309のそれぞれについて、X座標402(Xv0〜Xv7)、Y座標403(Yv0〜Yv7)、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積値404(VFA1)を管理している。
図7は、移動係数管理部122により管理される内臓脂肪特徴点の移動係数情報の一例を示す図である。移動係数管理部122は、特徴点401である背骨中心点302、内臓脂肪特徴点303〜309の単位内臓脂肪面積差当りの移動距離(移動係数)を管理している。内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当りの移動距離は、内臓脂肪面積により変わる特徴がある。このため、移動係数は内臓脂肪面積の関数として与えられ、X成分502(dXv0〜dXv7)、Y成分503(dYv0〜dYv7)に分けて管理される。なお、背骨中心点302と、背骨周辺組織モデル画像との接点である内臓脂肪特徴点309の両位置は、内臓脂肪・皮下脂肪が変化しても不変である。従って、dXv0、dXv7、dYv0、dYv7はいずれも“0”となる。内臓脂肪特徴点303〜308の移動係数(内臓脂肪面積の関数)は複数人分の腹部CT画像に基づいて作成する。その具体的な方法については実施例2で説明する。
図5に示す内臓脂肪モデル画像、図6に示す内臓脂肪モデル画像の形状データ、図7に示す内臓脂肪特徴点の移動係数は、いずれも同一人について異なる時点に取得した2つの腹部CT画像(画像間で内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が異なる)の複数人分から算出されるため(算出方法は実施例2で説明する)、これらの情報により、内臓脂肪の形状変化の特徴を反映した内臓脂肪形状を精度よく生成することができる。
図3のフローチャートの説明に戻る。内臓脂肪シミュレーション端末101は、処理を開始する(1301)と、ユーザ情報入力ステップ1302を実行する。このステップにおいて、内臓脂肪シミュレーション端末101は、出力部104にユーザ情報の入力画面(図8)を表示する。図8に示すユーザ情報入力画面1601は、腹囲入力欄1602、ユーザ情報の入力を決定する実行ボタン1603を表示する。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、メジャー等で測定された腹囲を腹囲入力欄1602に入力し、入力が終わったら実行ボタン1603を操作するようにユーザに指示する。これらの操作には、入力部102のマウス又はキーボード等を用いる。
次に、内臓脂肪シミュレーション端末101は、内臓脂肪面積推定値算出ステップ1303を実行する。まず、内臓脂肪シミュレーション端末101は、推定式情報管理部123により管理される推定式情報(図4)から内臓脂肪面積推定式1401を取得する。次に、内臓脂肪面積推定値算出部114が、ユーザ情報入力ステップ1302で入力されたユーザの腹囲を内臓脂肪面積推定式1401に代入し、内臓脂肪面積推定値を算出する。腹囲は内臓脂肪面積と相関が高いため、ユーザの腹囲から精度良い内臓脂肪面積推定値を算出できる。
次に、内臓脂肪特徴点移動距離算出ステップ1304を実行する。まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、移動係数管理部122が管理する内臓脂肪特徴点の移動係数(X成分:dXv0〜7、Y成分:dYv0〜7)と、モデル形状データ管理部120が管理する内臓脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xv0〜7、Y座標:Yv0〜7)と、内臓脂肪面積値404(VFA1)を取得する。
次に、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108が、取得した内臓脂肪特徴点の移動係数のX成分(dXv0〜7)、Y成分(dYv0〜7)を、それぞれ、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積値404から内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値まで積分し、内臓脂肪特徴点の移動距離(X’成分、Y’成分)を特徴点別に算出する。さらに、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108は、取得した内臓脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xv0〜7、Y座標:Yv0〜7)に、算出された内臓脂肪特徴点の移動距離のX’成分、Y’成分を加算し、内臓脂肪特徴点の移動位置(X’座標:X’v0〜7、Y’座標:Y’v0〜7)を算出する。
ここで、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積値404をa、内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値をbとすると、内臓脂肪特徴点の移動位置のX’座標は(式1)により、Y’座標は(式2)により算出される。
これらの式により、内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当りの移動距離が、ユーザの内臓脂肪面積推定値によって変化するという特徴が反映された、精度のよい内臓脂肪特徴点の移動位置の算出が実現される。
次に、内臓脂肪シミュレーション端末101は、内臓脂肪形状生成ステップ1305を実行する。まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、腹部断面モデル管理部125が管理する内臓脂肪モデル画像と、モデル形状データ管理部120が管理する内臓脂肪モデル画像の特徴点座標を取得する。
次に、内臓脂肪形状作成部103が、内臓脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xv0〜7、Y座標:Yv0〜7)と、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動位置(X’v0〜7、Y’座標:Y’v0〜7)とに基づいて、取得した内臓脂肪モデル画像の左側をワーピング(warping)により変形する。これにより、左側の内臓脂肪形状が作成される。その後、内臓脂肪形状作成部103は、作成した左側の内臓脂肪形状を複製して反転し、右側の形状を作成し、特徴点移動後の内臓脂肪形状611(図9)を作成する。
内臓脂肪形状611の具体的な作成方法を、図9の例を用いて説明する。図9は、内臓脂肪モデル画像から内臓脂肪形状を作成する方法を説明する図の一例である。図9には、特徴点を移動する前の内臓脂肪モデルを上図に示し、特徴点を移動した後の内臓脂肪モデル画像を下図に示す。
上図は、内臓脂肪モデル画像の形状301、その特徴点303〜309、特徴点303〜309から構成される三角形要素623(特徴点303、304、305を頂点とする三角形)、624(特徴点305、306、307を頂点とする三角形)、625(特徴点307、308、309を頂点とする三角形)を示している。
下図は、特徴点移動後の内臓脂肪形状611、その特徴点613〜619(特徴点303〜309を移動した点)、特徴点613〜619から構成される三角形要素633(特徴点613、614、615を頂点とする三角形)、634(特徴点615、616、617を頂点とする三角形)、635(特徴点617、618、619を頂点とする三角形)を示している。
内臓脂肪形状作成部103は、内臓脂肪モデル画像の三角形要素623〜625と特徴点移動後の三角形要素633〜635を対応させて(具体的には、三角形要素623と633、624と634、625と635を対応させる)ワーピングを実行する。この際、内臓脂肪モデル画像の三角形要素内の色情報を、対応する特徴点移動後の三角形要素内に写像して、内臓脂肪形状を作成する。これにより、内臓脂肪の形状変化の特徴を反映した内臓脂肪形状を精度よく作成することができる。
次に、腹筋形状生成の流れを、図10、11、12を用いて説明する。図10は、腹部断面モデル管理部125により管理される腹筋モデル画像の一例を示す図である。腹筋モデル画像は、腹筋形状700と腹筋特徴点701〜705で構成される。腹筋もほぼ左右対称であるため、この実施例では、体の左側面のみに腹筋特徴点を設定している。勿論、体の右側面のみに腹筋特徴点を設定してもよい。
図11は、モデル形状データ管理部120により管理される腹筋モデル画像の形状データの一例を示す図である。特徴点801に対応する腹筋特徴点701〜705のX座標802(Xf0〜Xf4)、Y座標803(Yf0〜Yf4)を管理している。
図3のフローチャートの説明に戻る。腹筋特徴点移動位置算出ステップ1306では、まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、モデル形状データ管理部120が管理する腹筋モデル画像の特徴点座標(X座標:Xf0〜4、Y座標:Yf0〜4)と内臓脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xv0〜7、Y座標:Yv0〜7)を取得する。
次に、腹筋特徴点移動位置算出部110が、取得した腹筋特徴点座標と、内臓脂肪特徴点座標と、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動位置とに基づいて、腹筋特徴点の移動位置を算出する。
具体的な算出方法を図12の例を用いて説明する。図12は、腹筋モデル画像の特徴点移動位置を算出する方法を説明する図の一例である。上図は特徴点を移動する前の腹筋モデルを示し、下図は特徴点を移動した後の腹筋モデル画像を示す。
上図は、腹筋モデル画像の形状700と、その特徴点701〜705と、内臓脂肪特徴点303〜309を示している。また、上図は、これらの腹筋特徴点と内臓脂肪特徴点で構成される長方形711(特徴点303、305を結ぶ線を底辺とし、特徴点701を通る長方形)、長方形712(特徴点305、703を結ぶ線を底辺とし、特徴点702を通る長方形)、長方形713(特徴点306、308を結ぶ線を底辺とし、特徴点703を通る長方形)、長方形714(特徴点703、705を結ぶ線を底辺とし、特徴点704を通る長方形)を示している。
下図は、特徴点移動後の腹筋形状900と、その特徴点901〜905と、内臓脂肪特徴点613〜619を示している。また、下図は、これらの腹筋特徴点と内臓脂肪特徴点で構成される長方形911(特徴点613、615を結ぶ線を底辺とし、特徴点901を通る長方形)、長方形912(特徴点615、903を結ぶ線を底辺とし、特徴点902を通る長方形)、長方形913(特徴点616、618を結ぶ線を底辺とし、特徴点903を通る長方形)、長方形914(特徴点903、905を結ぶ線を底辺とし、特徴点904を通る長方形)を示している。
腹筋は面積がほぼ一定で変化する特徴がある。このため、腹筋特徴点移動位置算出部110は、特徴点移動前の長方形711〜714と、特徴点移動後の長方形911〜914の面積が等しくなるように、腹筋特徴点の移動位置を算出する。以下、腹筋特徴点701を例に用い、具体的に説明する。
まず、腹筋特徴点移動位置算出部110は、長方形711の底辺b(特徴点303と305の距離)と高さh(底辺bと特徴点701の距離)、長方形911の底辺b’(特徴点613と615の距離)を算出する。その後、腹筋特徴点移動位置算出部110は、底辺b’から高さh’(=b×h/b’)であり、かつ、移動前の内臓脂肪特徴点303と305との相対位置関係が等しくなる位置を算出し、算出された位置を腹筋特徴点701の移動後の点901とする。
他の腹筋特徴点についても、同様の手順で移動後の位置を算出する。まず、腹筋特徴点移動位置算出部110は、腹筋特徴点703の移動後の点903の位置を算出し、次に、特徴点702の移動後の点902の位置と、特徴点704の移動後の点904の位置を算出する。なお、特徴点705の位置は変化しない特徴がある。このため、腹筋特徴点移動位置算出部110は、特徴点905は特徴点705と同じ位置とする。このように腹筋特徴点の移動位置を算出することにより、腹筋の形状変化の特徴を反映した腹筋特徴点の移動位置を算出することができる。
図3の説明に戻る。次の腹筋形状生成ステップ1307では、内臓脂肪シミュレーション端末101が、腹部断面モデル管理部125が管理する腹筋モデル画像と、モデル形状データ管理部120が管理する腹筋モデルの特徴点座標と、内臓脂肪モデルの特徴点座標を取得する。
次に、腹筋形状作成部109が、腹筋モデルの特徴点座標、内臓脂肪モデルの特徴点座標、腹筋特徴点移動位置算出部110で算出された腹筋特徴点の移動位置、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点の移動位置に基づいて、取得した腹筋モデル画像の左側をワーピングにより変形し、左側の腹筋形状を作成する。その後、腹筋形状作成部109は、作成した左側の腹筋形状を複製して反転し、右側の形状を作成する。これにより、腹筋形状作成部109は、特徴点移動後の腹筋形状900を作成する。
具体的な作成方法を図12の例を用いて説明する。腹筋特徴点の移動前に対応する上図は、内臓脂肪モデルの特徴点303、305、腹筋モデルの特徴点701〜705から構成される三角形要素721(特徴点303、305、701を頂点とする三角形)、三角形要素722(特徴点305、702、703を頂点とする三角形)、三角形要素723(特徴点703、704、705を頂点とする三角形)を示している。また、腹筋特徴点の移動後に対応する下図は、移動後の内臓脂肪特徴点613、615、腹筋特徴点901〜905から構成される三角形要素921(特徴点613、615、901を頂点とする三角形)、三角形要素922(特徴点615、902、903を頂点とする三角形)、三角形要素923(特徴点903、904、905を頂点とする三角形)を示している。
腹筋形状作成部109は、腹筋モデル画像の三角形要素721〜723と特徴点移動後の三角形要素921〜923とを対応させて(具体的には、三角形要素721と921、722と922、723と923を対応させる)ワーピングを実行する。この際、腹筋モデル画像の三角形要素内の色情報を対応する特徴点移動後の三角形要素内に写像し、腹筋形状を作成する。これにより、腹筋の形状変化の特徴を反映した腹筋形状を精度よく作成することができる。
次に、皮下脂肪形状生成の流れを、図4、13、14、15、16を用いて説明する。図13は、腹部断面モデル管理部125により管理される皮下脂肪モデル画像の一例を示す図である。皮下脂肪モデル画像は、皮下脂肪形状1000と、皮下脂肪特徴点1001〜1007で構成される。皮下脂肪もほぼ左右対称であるため、本実施例では、体の左側面のみに皮下脂肪特徴点を設定する。勿論、体の右側面のみに皮下脂肪特徴点を設定してもよい。
図14は、モデル形状データ管理部120により管理される皮下脂肪モデル画像の形状データの一例を示す図である。特徴点1101を構成する各皮下脂肪特徴点1001〜1007のX座標1102(Xs0〜Xs6)と、Y座標1103(Ys0〜Ys6)と、皮下脂肪モデル画像の全脂肪面積値1104(TFA1)を管理している。
図15は、移動係数管理部122により管理される皮下脂肪特徴点の移動係数情報の一例を示す図である。移動係数管理部122は、皮下脂肪特徴点1001〜1007の単位全脂肪面積差当りの移動距離(移動係数)を管理する。特徴点1101を構成する各皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当りの移動距離は、全脂肪面積により変わる特徴がある。このため、移動係数は全脂肪面積の関数で与えられ、X成分1202(dXs0〜dXs6)、Y成分1203(dYs0〜dYs6)に分けて管理される。
図13に示す皮下脂肪モデル画像、図14に示す皮下脂肪モデル画像の形状データ、図15に示す皮下脂肪特徴点の移動係数は、同一人について異なる時間に取得した2つの腹部CT画像(画像間で内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が異なる)の複数人分の画像情報に基づいて算出される。算出方法については実施例2で説明する。このため、これらの情報を用いれば、皮下脂肪の形状変化の特徴を反映した皮下脂肪形状を精度よく生成することができる。
図3の説明に戻る。全脂肪面積推定値算出ステップ1308では、まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、推定式情報管理部123により管理される推定式情報(図4)から全脂肪面積推定式1402を取得する。次に、全脂肪面積推定値算出部113が、ユーザ情報入力ステップ1302で入力されたユーザの腹囲を全脂肪面積推定式1402に代入し、全脂肪面積推定値を算出する。腹囲は全脂肪面積と相関が高いため、ユーザの腹囲から全脂肪面積推定値を精度よく算出できる。
次の皮下脂肪特徴点移動距離算出ステップ1309では、内臓脂肪シミュレーション端末101が、移動係数管理部122が管理する皮下脂肪特徴点の移動係数(X成分:dXs0〜6、Y成分:dYs0〜6)と、モデル形状データ管理部120が管理する皮下脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xs0〜6、Y座標:Ys0〜6)と、全脂肪面積値1104(TFA1)とを取得する。
次に、皮下脂肪特徴点移動距離算出部112が、取得した皮下脂肪特徴点の移動係数のX成分(dXs0〜6)、Y成分(dYs0〜6)を、各々、皮下脂肪モデル画像の全脂肪面積値1104から全脂肪面積推定値算出部113で算出された全脂肪面積推定値まで積分し、皮下脂肪特徴点の移動距離(X’成分、Y’成分)を特徴点別に算出する。
その後、皮下脂肪特徴点移動距離算出部112が、取得した皮下脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xs0〜6、Y座標:Ys0〜6)に、算出された皮下脂肪特徴点の移動距離のX’成分、Y’成分を加算し、皮下脂肪特徴点の移動位置(X’座標:X’s0〜6、Y’座標:Y’s0〜6)を算出する。
ここで、皮下脂肪モデル画像の全脂肪面積値1104をc、全脂肪面積推定値算出部113で算出された全脂肪面積推定値をdとすると、皮下脂肪特徴点の移動位置を与えるX’座標は(式3)により、Y’座標は(式4)により算出される。
これらの式により、皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当りの移動距離が、ユーザの全脂肪面積推定値によって変化するという特徴が反映された、精度のよい皮下脂肪特徴点の移動位置の算出が実現される。
次の皮下脂肪形状生成ステップ1310では、まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、腹部断面モデル管理部125が管理する皮下脂肪モデル画像と、モデル形状データ管理部120が管理する皮下脂肪モデル画像の特徴点座標を取得する。
次に、皮下脂肪形状作成部115が、皮下脂肪モデル画像の特徴点座標(X座標:Xs0〜6、Y座標:Ys0〜6)と、皮下脂肪特徴点移動距離算出部112で算出された皮下脂肪特徴点の移動位置(X’s0〜6、Y’座標:Y’s0〜6)とに基づいて、取得した皮下脂肪モデル画像の左側をワーピングにより変形し、左側の皮下脂肪形状を作成する。その後、皮下脂肪形状作成部115は、作成した左側の皮下脂肪形状を複製して反転することにより右側の形状を作成し、特徴点移動後の皮下脂肪形状1500を作成する。
具体的な作成方法を図16の例を用いて説明する。図16は、皮下脂肪モデル画像から皮下脂肪形状を作成する方法を説明する図の一例である。上図は特徴点移動前の皮下脂肪モデルを示し、下図は特徴点移動後の皮下脂肪モデル画像を示す。
上図は、皮下脂肪モデル画像の形状1000、その特徴点1001〜1007、内臓脂肪モデルの特徴点303を示している。また、上図は、特徴点1001〜1007、内臓脂肪モデルの特徴点303から構成される三角形要素1011(特徴点303、1001、1002を頂点とする三角形)、三角形要素1012(特徴点1002、1003、1004を頂点とする三角形)、三角形要素1013(特徴点1004、1005、1006を頂点とする三角形)、四角形要素1014(特徴点1006と1007を対角線の頂点とする四角形)を示している。
下図は、特徴点移動後の皮下脂肪形状1500、その特徴点1501〜1507、移動後の内臓脂肪特徴点613を示している。また、下図は、特徴点1501〜1507、移動後の内臓脂肪特徴点613から構成される三角形要素1511(特徴点613、1501、1502を頂点とする三角形)、三角形要素1512(特徴点1502、1503、1504を頂点とする三角形)、三角形要素1513(特徴点1504、1505、1506を頂点とする三角形)、四角形要素1514(特徴点1506と1507を対角線の頂点とする四角形)を示している。
皮下脂肪形状作成部115は、皮下脂肪モデルの三角・四角形要素1011〜1014と、特徴点移動後の三角・四角形要素1511〜1514を対応させて(具体的には、三角形要素1011と1511、1012と1512、1013と1513、四角形要素1014と1514を対応させる)ワーピングを実行する。この際、皮下脂肪モデル画像の三角・四角形要素内の色情報を、対応する特徴点移動後の三角・四角形要素内に写像して、皮下脂肪形状を作成する。これにより、皮下脂肪の形状変化の特徴を反映した皮下脂肪形状を精度よく作成することができる。
次に、内臓画像生成の流れを、図17、18、19を用いて説明する。図17は、内臓画像の一例を示す図である。内臓画像4000は、小腸、大腸、腹膜、腎臓等の内臓画像を示している。内臓画像4000は、内臓脂肪が減少すると可視化され、逆に内臓脂肪が多いと内臓脂肪に覆われ見えなくなる特徴がある。
図18は、内臓可視化指標管理部126によって管理される内臓可視化指標4001と、指標に基づいて内臓画像を生成する方法の一例を示す図である。
上段図は、内臓可視化指標4001の一例を示している。内臓可視化指標4001は、ユーザの内臓脂肪面積推定値に基づいて、X座標とY座標の位置にある画素を内臓画像として表示するか否かを決定する指標である。具体的には、XとYの位置にある棒グラフの値が内臓脂肪面積推定値以上の画素を内臓画像として表示することにより、内臓画像を作成する。中段図は、内臓脂肪面積変化前(内臓脂肪面積多い)の内臓画像4000の一例を示している。下段図は、内臓脂肪面積変化後(内臓脂肪面積減少)の内臓画像4100の一例を示している。
図18に示すように、内臓脂肪が減少すると内臓が可視化され、逆に内臓脂肪が多いと内臓が内臓脂肪に覆われて見えなくなる特徴を反映することができる。内臓脂肪可視化指標の作成方法の具体例については実施例2で説明する。
図19は、内臓画像の表示位置を算出する方法の一例を示す図である。内臓画像作成部116は、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分と、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分に基づいて内臓画像の表示位置を算出する。
図3の説明に戻る。内臓画像生成ステップ1311では、まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、内臓可視化指標管理部126によって管理される内臓可視化指標(図18)を取得する。
次に、内臓画像作成部116が、内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値と、取得した内臓可視化指標から内臓画像を作成する。具体的には、図18の説明で示したように、内臓可視化指標のX、Yに位置する棒グラフの値が内臓脂肪面積推定値以上の画素を表示して内臓画像を作成する。
例えば、内臓脂肪面積推定値が100cm2(平方センチメートル)の場合は、棒グラフの値が100cm2(平方センチメートル)以上になるX、Y座標の画素を見つけ、その画素を表示することで内臓画像を作成する。これにより、内臓が、内臓脂肪が減少すると可視化され、逆に内臓脂肪が多いと内臓脂肪に覆われ見えなくなる特徴を反映でき、ユーザの内臓脂肪面積に対応したリアルな内臓画像を作成することができる。
次に、内臓画像表示位置算出ステップ1312では、内臓画像表示位置算出部117が、内臓画像作成部116で作成された内臓画像を、内臓脂肪特徴点移動距離算出部108で算出された内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分と、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分に基づいてX軸方向、Y軸方向に平行移動して内臓画像の表示位置を決定する。
具体的には、内臓画像の背骨中心点302又は612より左側の画像は、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分だけX軸方向に平行移動し、内臓画像の背骨中心点302又は612より右側の画像は、内臓脂肪特徴点307の移動距離の−X成分だけ内臓画像の左側と逆方向に平行移動する。また、内臓画像のY軸方向の移動は左右関係なく、内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分だけ平行移動する。これにより、内臓脂肪形状の変化に合わせて、作成した内臓画像を表示することができる。
次の腹部断面形状生成・表示ステップ1313では、まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、腹部断面モデル管理部125が管理する背骨周辺組織モデル画像320を取得する。
次に、腹部断面形状作成部105は、皮下脂肪形状作成部115で作成された皮下脂肪形状1500を最下層とし、その上層に、腹筋形状作成部109で作成された腹筋形状900、内臓脂肪形状作成部103で作成された内臓脂肪形状611、内臓画像作成部116で作成された内臓画像4100、取得した背骨周辺組織モデル画像を順番に重ね合わせることにより腹部断面形状を作成し、腹部断面形状表示画面として出力部104に表示する。
ここで、背骨周辺組織の形状は、内臓脂肪や皮下脂肪が変化しても、ほぼ変わらない。このため、背骨周辺組織モデル画像を変形せずにそのまま重ね合わせる。また、ユーザ情報入力ステップ1302で入力されたユーザの腹囲と、内臓脂肪面積推定値算出部114で算出された内臓脂肪面積推定値と、全脂肪面積推定値算出部113で算出された全脂肪面積推定値とから算出した皮下脂肪面積推定値(=全脂肪面積推定値−内臓脂肪面積推定値)を出力部104に表示する。
図20は、本実施例1に係る出力部104に表示される腹部断面形状表示画面1701の一例を示す説明図である。腹部断面形状表示画面1701は、皮下脂肪形状1500、腹筋形状900、内臓脂肪形状611、内臓画像4100、背骨周辺組織モデル画像320で構成される腹部断面形状、ユーザの腹囲1702、内臓脂肪面積推定値1703、皮下脂肪面積推定値1704を表示する。以上で処理が終了する(ステップ1314)。
以上に示したように、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪面積推定値算出部114がユーザの内臓脂肪面積推定値を算出し、内臓脂肪形状作成部103がユーザの内臓脂肪面積推定値に基づき内臓脂肪特徴点の移動距離を決定して内臓脂肪形状を作成する。これにより、内臓脂肪面積によって内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離が異なる特徴を反映でき、ユーザの内臓脂肪面積推定値に基づく内臓脂肪形状を精度よく作成することができる効果がある。
また、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、全脂肪面積推定値算出部113がユーザの全脂肪面積推定値を算出し、皮下脂肪形状作成部115が、ユーザの全脂肪面積推定値に基づき皮下脂肪特徴点の移動距離を決定して皮下脂肪形状を作成する。これにより、全脂肪面積によって皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離が異なる特徴を反映でき、ユーザの全脂肪面積推定値に基づく皮下脂肪形状を精度よく作成することができる。
また、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、腹筋形状作成部109が、腹筋モデル画像を面積一定で変形させて腹筋形状を作成するので、腹筋の形状変化の特徴を反映したリアルな腹筋形状を作成することができる。
また、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓画像作成部116が、ユーザの内臓脂肪面積推定値と、内臓脂肪面積と内臓の可視化度合いの関係を指標化した内臓可視化指標から内臓脂肪面積に対応した内臓画像を作成する。これにより、内臓脂肪面積によって内臓の可視化度合いが異なる特徴を反映でき、リアルな内臓を表示することができる。
なお、本実施例1に係る内臓画像表示位置算出ステップ1312においては、図19に示すように、内臓画像表示位置算出部117が、内臓画像作成部116で作成された内臓画像を、内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分と、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分に基づいてX軸方向、Y軸方向に平行移動して内臓画像の表示位置を決定する。しかし、内臓画像の表示位置の移動は、別の方法によってもよい。例えば、内臓画像の各画素と背骨中心点302との距離情報を考慮し、内臓画像を構成する各画素の移動距離を算出し、表示位置を決定してもよい。
具体的な処理方法を説明する。まず、内臓画像表示位置算出部117が、背骨中心点302のY座標と内臓脂肪特徴点303のY座標の差である距離α、背骨中心点302のX座標と内臓脂肪特徴点307のX座標の差である距離βを算出する。次に、内臓画像を構成する各画素n別に、背骨中心点302のY座標と内臓画像を構成する各画素のY座標との差である距離γn(n=1〜内臓画像の画素数)と、背骨中心点302のX座標と内臓画像を構成する各画素のX座標との差である距離δn(n=1〜内臓画像の画素数)を算出する。
次に、内臓画像表示位置算出部117は、内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分Yv1に対してγnを乗じた後、その乗算結果をαで除算し、内臓画像を構成する各画素のY方向の移動距離(=Yv1×γn/α。ただし、n=1〜内臓画像の画素数。)を算出する。同様に、内臓画像表示位置算出部117は、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分Xv5に対してδnを乗じた後、その乗算値をβで除算し、内臓画像を構成する各画素のX方向の移動距離(=Xv5×δn/β。ただし、n=1〜内臓画像の画素数。)を算出する。
以上の処理の後、算出した内臓画像の各画素のX方向、Y方向の移動距離に基づいて、各画素を平行移動して表示位置を決定する。このように内臓画像の表示位置を決定することにより、背骨中心点302との距離が近い内臓はあまり移動せず、距離が遠い内臓は大きく移動するという特徴を反映でき、よりリアルな内臓を表示することができる。
また、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、腹部断面形状作成部105が、作成されたリアルな内臓脂肪形状、皮下脂肪形状、腹筋形状、内臓画像と背骨周辺組織モデル画像を重ね合わせて腹部断面形状を作成する。これにより、各組織の形状変化の特徴を反映した腹部断面形状を精度よく作成することができる。
また、本実施例1に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪シミュレーション端末101が、ユーザの内臓脂肪面積推定値とこれに基づくリアルな内臓脂肪形状を表示するので、ユーザの内臓脂肪蓄積状態をより正確に伝えることができる。
本実施例1においては、内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を腹囲のみから算出する場合について説明したが、内臓・皮下脂肪面積と関連する複数の検査値からこれらの値を推定してもよい。内臓・皮下脂肪面積を目的変数、腹囲を含む複数の検査値を説明変数として重回帰分析を行うことにより、腹囲を含む複数の検査値から内臓・皮下脂肪面積を推定できる式を作成することができる。これにより、内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を精度良く算出することができる。
また、本実施例1においては、ユーザの腹囲から算出した内臓脂肪面積推定値に基づいて、内臓脂肪形状を作成・表示したが、実際の内臓脂肪面積の値を持つ(腹部CT画像はない)ユーザについては、内臓脂肪面積の値を入力部102で入力させ、この値に基づいて、内臓脂肪形状を作成・表示してもよい。これにより、より精度の高い内臓脂肪形状を作成・表示することができる。
また、本実施例1においては、ユーザの腹囲から算出した全脂肪面積推定値に基づいて、皮下脂肪形状を作成・表示したが、実際の内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の値や全脂肪面積の値を持つ(腹部CT画像はない)ユーザについては、全脂肪面積(内臓脂肪面積+皮下脂肪面積)の値を入力部102で入力させ、この値に基づいて、皮下脂肪形状を作成・表示してもよい。これにより、より精度の高い皮下脂肪形状を作成・表示することができる。
また、本実施例1においては、ユーザに自分の腹囲を入力させ、この腹囲から腹部断面形状を作成・表示する場合について説明したが、病院、健診施設などの医療機関の電子カルテや健診システムのデータベースに、ユーザの腹囲が格納されている場合には、内臓脂肪シミュレーション端末101が、データベースから腹囲を取り出して自動入力し、腹部断面形状を作成・表示してもよい。これにより、ユーザが自分で腹囲を入力する手間を省くことが出来る。
また、内臓脂肪シミュレーション端末101が、医療機関の医師、保健師などの医療従事者が指導する対象者(受診者)の腹囲を、電子カルテや健診システムのデータベースから取り出して自動入力しても良い。この場合には、指導対象者の腹部断面形状をリアルに視覚化でき、指導対象者の内臓脂肪蓄積状態を分かりやすく指導できる効果が期待される。
また、本実施例1においては、1台のPCが全ての処理を実行する場合について説明したが、入力部102・出力部104と、腹部断面形状作成部105・データベース106を別々の端末とし、前述した処理内容をWEBアプリケーションを通じて実現してもよい。入出力をクライアント端末で分担し、腹部断面形状作成部105・データベース106をサーバ端末で分担することにすれば、腹部断面形状作成という負荷がかかる処理をサーバ端末に集約することができる。この場合、クライアント側の負荷を低減することができる。また、サーバ側で作成した腹部断面形状をWEB経由でクライアント端末に表示することで、前述した機能を実現する専用のプログラムをクライアント端末にインストールする必要性を無くすことができる。
また、本実施例においては、前述した内臓脂肪シミュレーション装置の機能を1台のPCで実現する場合について説明したが、ここでのPCは、いわゆるゲーム機、スマートフォーン、タブレット端末等でもよい。後述する他の実施例の場合も同様である。
[実施例2]
続いて、実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置について説明する。実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、複数人分の腹部CT画像が入力されると、内臓脂肪モデル、皮下脂肪モデル等の腹部断面モデル画像とその特徴点の移動係数、内臓可視化指標を作成する機能を有している。
本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置も、CPUとメモリと不揮発性記憶媒体とから構成される。不揮発性記憶媒体には、例えば磁気ディスク、不揮発性メモリ等が含まれる。不揮発性記憶媒体には、内臓脂肪シミュレーション装置の機能を実現するプログラム、その算出結果などが格納される。メモリには、不揮発性記憶媒体に格納されているプログラムが展開される。CPUは、メモリに展開されたプログラムを実行する。以下で説明する処理及び演算は、CPUが実行する。
図21に、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置のブロック構成例を示す。内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪シミュレーション端末101とデータベース106とから構成される。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、入力部102、腹部断面形状作成部105、モデル情報作成部1801、出力部104を備える。入力部102には、マウス、キーボードなどが用いられる。出力部104には、内臓脂肪シミュレーション端末101の算出結果を表示するディスプレイや算出結果を印刷するプリンタなどが用いられる。
モデル情報作成部1801は、腹部断面モデル作成部1802、腹部断面形状データ算出部1803、移動係数作成部1804、内臓可視化指標作成部1840を備える。
腹部断面形状データ算出部1803は、皮下脂肪形状データ算出部1821、内臓脂肪形状データ算出部1823を備える。
内臓脂肪形状データ算出部1823は、入力部102で入力された複数人分の腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って内臓脂肪形状を抽出する処理と、抽出された内臓脂肪形状に対して内臓脂肪特徴点を設定し、その座標と内臓脂肪面積値を算出する処理とを実行する。
皮下脂肪形状データ算出部1821は、入力部102で入力された複数人分の腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って皮下脂肪形状を抽出する処理と、抽出された皮下脂肪形状に対して皮下脂肪特徴点を設定し、その座標と全脂肪面積値を算出する処理とを実行する。
移動係数作成部1804は、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832を備える。
内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832は、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された複数人分の内臓脂肪の特徴点座標と内臓脂肪面積に基づいて、内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と内臓脂肪面積の関係式である内臓脂肪特徴点の移動係数を作成する。
皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831は、皮下脂肪形状データ算出部1821で算出された複数人分の皮下脂肪の特徴点座標と全脂肪面積に基づいて、皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と全脂肪面積の関係式である皮下脂肪特徴点の移動係数を作成する。
腹部断面モデル作成部1802は、皮下脂肪モデル作成部1811、腹筋モデル作成部1812、内臓脂肪モデル作成部1813、背骨周辺組織モデル作成部1814を備える。
内臓脂肪モデル作成部1813は、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された複数人分の内臓脂肪面積値の平均値を求め、複数人分の内臓脂肪形状の中から内臓脂肪面積が平均値である人の内臓脂肪形状を選定し、図5の上図に示すような内臓脂肪モデル画像を作成する。さらに、内臓脂肪モデル作成部1813は、作成した内臓脂肪モデル画像の特徴点座標と内臓脂肪面積値を抽出する。
皮下脂肪モデル作成部1811は、皮下脂肪形状データ算出部1821で抽出された皮下脂肪形状の中から、内臓脂肪モデル作成部1813で内臓脂肪モデル画像として選定した内臓脂肪形状を持つ人の皮下脂肪形状を抽出し、図13に示すような皮下脂肪モデル画像を作成する。さらに、皮下脂肪モデル作成部1811は、作成した皮下脂肪モデル画像の特徴点座標と全脂肪面積値を抽出する。
腹筋モデル作成部1812は、内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像の作成に使用した腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って腹筋形状を抽出する処理と、図10に示すような腹筋モデル画像を作成して腹筋特徴点を設定する処理と、設定された腹筋特徴点の座標を算出する処理とを実行する。
背骨周辺組織モデル作成部1814は、内臓脂肪、皮下脂肪、腹筋モデル画像の作成に使用した腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って、図5の下図に示すような背骨周辺組織モデル画像を作成する。
内臓可視化指標作成部1840は、内臓領域抽出部1841、平均画像作成部1842、位置合わせ部1843、重ね合わせ部1844を備える。
内臓領域抽出部1841は、入力部102に入力された複数人分の腹部CT画像に対して内臓脂肪形状データ算出部1823と同様の画像処理を行って内臓脂肪含む内臓領域を抽出する処理と、内臓を“1”、内臓脂肪を“0”とする内臓領域の2値化処理とを実行する。
平均画像作成部1842は、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された内臓脂肪面積値別に各内臓画像の平均画像を作成し、内臓脂肪面積値に基づいて各内臓平均画像の2値化処理を実行する。
位置合わせ部1843は、平均画像作成部1842で作成され2値化された各内臓平均画像を、内臓脂肪モデル画像内に収まるように位置合わせする。具体的には、位置合わせ部1843は、内臓脂肪モデル作成部1813で作成された内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積(複数人分の内臓脂肪面積の平均値)と、各内臓平均画像の内臓脂肪面積と、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832で作成された内臓脂肪特徴点の移動係数とに基づいて、各内臓平均画像の移動位置を算出し、位置合わせを行う。
重ね合わせ部1844は、位置合わせ部1843で位置合わせをした各内臓平均画像を重ね合わせて、内臓脂肪面積と内臓可視化度合いの関係を示す内臓可視化指標を作成する。
腹部断面形状作成部105は、実施例1で説明した処理と同じ処理を行い、入力部102で入力されたユーザの腹囲から腹部断面形状を作成・表示する。
データベース106は、脂肪形状データ管理部127、モデル形状データ管理部120、移動係数管理部122、推定式情報管理部123、腹部断面モデル管理部125、内臓可視化指標管理部126を備える。
脂肪形状データ管理部127は、皮下脂肪形状データ算出部1821で算出された複数人分の皮下脂肪特徴点座標と全脂肪面積、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された複数人分の内臓脂肪特徴点座標と内臓脂肪面積を管理する。
移動係数管理部122は、移動係数作成部1804で作成された内臓脂肪特徴点の移動係数、皮下脂肪特徴点の移動係数を管理する。
腹部断面モデル管理部125は、腹部断面モデル作成部1802で作成された内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像、腹筋モデル画像、背骨周辺組織モデル画像を管理する。
モデル形状データ管理部120は、内臓脂肪モデル作成部1813で抽出された内臓脂肪モデル画像の特徴点座標と内臓脂肪面積値、皮下脂肪モデル作成部1811で抽出された皮下脂肪モデル画像の特徴点座標と全脂肪面積値、腹筋モデル作成部1812で算出された腹筋モデル画像の特徴点座標を管理する。
推定式情報管理部123は、内臓脂肪面積推定式、全脂肪面積推定式を管理する。
内臓可視化指標管理部126は、内臓可視化指標作成部1840で作成された内臓可視化指標を管理する。なお、データベース106は、前述した情報以外のデータを管理してもよい。
図22は、脂肪形状データ管理部127で管理される内臓脂肪形状データの一例を示す図である。個人を特定する健診ID4101、腹部CT検査日4102、内臓脂肪面積4107、内臓脂肪特徴点のX座標4103〜4104、内臓脂肪特徴点のY座標4105〜4106を管理する。
図22の例では、図9の上図に示す内臓脂肪特徴点303のX座標4103、内臓脂肪特徴点304のX座標4104、内臓脂肪特徴点303のY座標4105、内臓脂肪特徴点304のY座標4106を例示している。
図23は、脂肪形状データ管理部127で管理される皮下脂肪形状データの一例を示す図である。個人を特定する健診ID4101、腹部CT検査日4102、全脂肪面積4202、皮下脂肪特徴点のX座標4203〜4204、皮下脂肪特徴点のY座標4205〜4206を管理する。
図23の例では、図13に示す皮下脂肪特徴点1001のX座標4203、皮下脂肪特徴点1002のX座標4204、皮下脂肪特徴点1001のY座標4205、皮下脂肪特徴点1002のY座標4206を例示している。
以下では、図24、図25、図26を用い、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置で実行される処理手順を説明する。具体的には、腹部CT画像が入力されてから内臓脂肪特徴点の移動係数と皮下脂肪特徴点の移動係数を作成する処理の詳細について説明する。
図24は、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が画像間で異なる同一人物の2つの腹部CT画像を複数人分入力することで、各腹部CT画像の内臓脂肪特徴点座標、内臓脂肪面積、皮下脂肪特徴点座標、全脂肪面積をそれぞれ求め、内臓脂肪特徴点の移動係数と皮下脂肪特徴点の移動係数を作成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図25は、その上図が内臓脂肪特徴点の移動係数の一例を示す図であり、内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と内臓脂肪面積との関係を示している。この図では、図5で示した内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分の移動係数4501と、内臓脂肪特徴点307(体側面)のX成分の移動係数4502を例示している。また、下図は皮下脂肪特徴点の移動係数の一例を示す図であり、皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と全脂肪面積との関係を示している。この図では、図13で示した皮下脂肪特徴点1002(体前面)のY成分の移動係数4503と、皮下脂肪特徴点1004(体側面)のX成分の移動係数4504を例示している。
図26は、人の腹部の正中断面の一例を示す図であり、臍3903、大網3901、腸間膜3902、小腸3904等を示している。腹部CT画像は、臍3903の断面をCTで撮影した画像である。また、脂肪は、大網3901、腸間膜3902と、この図には示されていないが、左右の腎臓の下部にある脂肪細胞に蓄積されることが知られている。
図24の説明に戻る。内臓脂肪シミュレーション端末101は、処理を開始する(ステップ4301)と、次に、腹部CT画像入力ステップ4302を実行する。この際、図2の上図及び下図に示すように、同一人物について異なる時点に取得した、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が異なる2つの腹部CT画像が、複数人分、入力部102を通じて入力される。
次の内臓脂肪形状データ算出ステップ4303では、内臓脂肪形状データ作成部1823が、入力部102で入力された複数人分の腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を実行し、各内臓脂肪形状を抽出する。その後、内臓脂肪形状データ作成部1823は、各内臓脂肪形状に対して内臓脂肪の特徴点を設定してその座標を算出し、更に、内臓脂肪面積値を算出する。各腹部CT画像について算出された内臓脂肪特徴点の座標と内臓脂肪面積値は、個人を特定する健診IDと腹部CT検査日と共に、データベース106に内臓脂肪形状データ(図22)として登録される。これらの値は、脂肪形状データ管理部127が管理する。
内臓脂肪特徴点の具体的な設定方法については、図9の上図を用いて説明する。前述したように、内臓脂肪はほぼ左右対称である。このため、本実施例では、左側のみ内臓脂肪特徴点を設定する。また、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が画像間で異なる2つの腹部CT画像(同一人物の画像)を分析すると、内臓脂肪形状は、体の前面の変化が体の側面より大きく、体の背面側では変化しない特徴があり、さらに、腹直筋と外腹斜筋を境に形状が変わる特徴がある。
この実施例では、背骨周辺組織と接する点(背面側)309、最も左側面側の点307、最も前面側(臍後ろ側)の点303、腹直筋202と外腹斜筋203の中間点305の4点を少なくとも内臓脂肪特徴点として設定する。
次に、内臓脂肪形状をより滑らかに変形させるため、内臓脂肪特徴点303及び305のそれぞれについて内臓脂肪形状301との接線を求め、その交点304を内臓脂肪特徴点として設定する。同様に、内臓脂肪特徴点305及び307のそれぞれについて内臓脂肪形状301との接線を求め、その交点306を内臓脂肪特徴点として設定する。また、内臓脂肪特徴点307及び309のそれぞれについて内臓脂肪形状301との接線を求め、その交点308を内臓脂肪特徴点として設定する。
この設定により、ユーザの内臓脂肪形状の特徴を反映した内臓脂肪特徴点を設定することが出来る。前述した特徴点の設定例においては、内臓脂肪がほぼ左右対称であるため、左側についてのみ内臓脂肪特徴点を設定する例を示したが、左側に限らず、右側についてのみ内臓脂肪特徴点を設定してもよいし、体全体(左右両側)に内臓脂肪特徴点を設定しても良い。
図24の説明に戻る。次の内臓脂肪特徴点移動距離算出ステップ4304では、まず、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832が、脂肪形状データ管理部127が管理する内臓脂肪形状データ(図22)を取得する。次に、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832は、健診ID(個人)別に、検査日が異なる2つの内臓脂肪形状データから、内臓脂肪特徴点のX座標とY座標の差を特徴点別に求め、各内臓脂肪特徴点の移動距離のX成分、Y成分を算出する。図22の健診ID4101が“0001”の人では、例えば内臓脂肪特徴点303の移動距離は、X成分=X31−X32、Y成分=Y31−Y32となり、内臓脂肪特徴点304の移動距離は、X成分=X41−X42、Y成分=Y41−Y42となる。
次の内臓脂肪面積差算出ステップ4305では、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832が、脂肪形状データ管理部127が管理する内臓脂肪形状データ(図22)を取得する。次に、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832は、健診ID(個人)別に、検査日が異なる2つの内臓脂肪形状データから、内臓脂肪面積の差を算出する。図22の健診ID4101が“0001”の人の例では、内臓脂肪面積差はVFA1−VFA2となる。
次の内臓脂肪特徴点移動係数作成ステップ4306では、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832が、内臓脂肪特徴点移動距離算出ステップ4304で算出された各内臓脂肪特徴点移動距離を、内臓脂肪面積差算出ステップ4305で算出された内臓脂肪面積差で除算し、各内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離を個人別に算出する。
次に、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832は、脂肪形状データ管理部127が管理する内臓脂肪形状データ(図22)から内臓脂肪面積差の算出に使用した内臓脂肪面積のうち、検査日が最小の内臓脂肪面積を個人別に取得する。
更に、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832は、複数人分の内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と取得した内臓脂肪面積との関係を特徴点別に分析し、各内臓脂肪特徴点の移動係数を作成する。内臓脂肪特徴点について作成された移動係数は、対応する特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と内臓脂肪面積の関係式で与えられ、X成分(dXv0〜7)、Y成分(dYv0〜7)別に、データベース106の移動係数管理部122に格納され、図7に示すように管理される。
例えば図5の内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分の移動係数4501(図7ではdYv1)と、内臓脂肪特徴点307(体側面)のX成分の移動係数4502(図7ではdXv5)は、図25の上図に示す関係式で与えられる。
このうち、内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分の移動係数4501は、複数人分の内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と内臓脂肪面積を分析して作成した関係式であり、内臓脂肪面積が大きくなると、単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離が増大し、ある内臓脂肪面積を超えると減少する関係を示している。
この関係は、図26に示す人の腹部の正中断面図を用いても説明できる。前述した通り、脂肪は大網3901と腸管膜3902の脂肪細胞に蓄積されるが、内臓脂肪が少ない場合は脂肪細胞のサイズが小さいため、内臓脂肪特徴点303の移動距離が小さくても脂肪を蓄積することができる。しかし、脂肪が多くなり脂肪細胞が肥大してくると、脂肪の蓄積に伴い、内臓脂肪特徴点303の移動距離が増大する。さらに、内臓脂肪が蓄積され、内臓領域が内臓脂肪で一杯になると、内臓脂肪特徴点303の移動距離は小さくなる。これは、同じ内臓脂肪面積分だけ増やすために必要な内臓脂肪特徴点303の移動距離は、元々の内臓脂肪面積が大きい程小さくなることから説明できる。
このように、内臓脂肪特徴点移動係数作成部1832が、内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離と内臓脂肪面積の関係式である移動係数を作成するので、ユーザの内臓脂肪面積推定値に対応した内臓脂肪特徴点の移動位置を精度よく算出する移動係数を作成することができる。
図24の説明に戻る。次の皮下脂肪形状データ算出ステップ4307では、皮下脂肪形状データ作成部1821が、入力部102で入力された複数人分の腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行い、各皮下脂肪形状を抽出する。続いて、皮下脂肪形状データ作成部1821は、各皮下脂肪形状に対して皮下脂肪の特徴点を設定してその座標を算出し、さらに全脂肪面積値を算出する。
各腹部CT画像について算出された皮下脂肪特徴点座標と全脂肪面積値は、個人を特定する健診IDと腹部CT検査日と共に、データベース106に皮下脂肪形状データ(図23)として登録される。これらの値は、脂肪形状データ管理部127が管理する。
以下では、皮下脂肪特徴点の具体的な設定方法を、図16の上図を用いて説明する。前述したように、皮下脂肪はほぼ左右対称である。このため、以下の説明では、体の左側にのみ皮下脂肪特徴点を設定する。また、内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が画像間で異なる2つの腹部CT画像(同一人物の画像)を分析すると、皮下脂肪形状は、体の前後の変化が体の側面より大きい特徴があり、さらに、背骨の後ろ側が体の内側に向かって凹んでいる特徴がある。そこで、最も前面側の点1002、最も背面側の点1006、最も左側面側の点1004、背骨後ろ側の点1007の4点を少なくとも皮下脂肪特徴点として設定する。
次に、皮下脂肪形状をより滑らかに変形させるため、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された内臓脂肪特徴点303と皮下脂肪特徴点1002のそれぞれについて皮下脂肪形状1000との接線を求め、その交点1001を皮下脂肪特徴点として設定する。同様に、皮下脂肪特徴点1002と1004のそれぞれについて皮下脂肪形状1000との接線を求め、その交点1003を皮下脂肪特徴点として設定する。また、皮下脂肪特徴点1004と1006のそれぞれについて皮下脂肪形状1000との接線を求め、その交点1005を皮下脂肪特徴点として設定する。
この設定により、ユーザの皮下脂肪形状の特徴、形状変化の特徴を反映した皮下脂肪特徴点を設定できる。ここでの特徴点の設定においては、皮下脂肪がほぼ左右対称であることに着目し、体の左側についてのみ皮下脂肪特徴点を設定する例を示したが、これに限らず、体の右側についてのみ、又は、体の全体(左右両側)について設定しても良い。
次の皮下脂肪特徴点移動距離算出ステップ4308では、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831が、脂肪形状データ管理部127が管理する皮下脂肪形状データ(図23)を取得する。次に、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831は、健診ID(個人)別に、検査日が異なる2つの皮下脂肪形状データから、皮下脂肪特徴点のX座標とY座標の差を特徴点別に求め、各皮下脂肪特徴点の移動距離のX成分、Y成分を算出する。図23の例の場合、健診ID4101が“0001”の人における、例えば皮下脂肪特徴点1001の移動距離は、X成分=X011−X012、Y成分=Y011−Y012となり、皮下脂肪特徴点1002の移動距離は、X成分=X021−X022、Y成分=Y021−Y022となる。
次の全脂肪面積差算出ステップ4309では、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831が、脂肪形状データ管理部127が管理する皮下脂肪形状データ(図23)を取得する。次に、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831は、健診ID(個人)別に、検査日が異なる2つの皮下脂肪形状データから全脂肪面積の差を算出する。図23の健診ID4101が“0001”の人の例では、全脂肪面積差はTFA1−TFA2となる。
次の皮下脂肪特徴点移動係数作成ステップ4310では、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831が、皮下脂肪特徴点移動距離算出ステップ4308で算出された各皮下脂肪特徴点移動距離を、全脂肪面積差算出ステップ4309で算出された全脂肪面積差で除算し、各皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離を個人別に算出する。
次に、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831は、脂肪形状データ管理部127が管理する皮下脂肪形状データ(図23)から全脂肪面積差の算出に使用した全脂肪面積のうち、検査日が最小の全脂肪面積を個人別に取得する。そして、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831は、複数人分の皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と取得した全脂肪面積との関係を特徴点別に分析し、各皮下脂肪特徴点の移動係数を作成する。作成した皮下脂肪特徴点の移動係数は、その特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と全脂肪面積の関係式で与えられ、X成分(dXv0〜7)、Y成分(dYv0〜7)別にデータベース106の移動係数管理部122に格納され、図15の例に示すように管理される。
例えば図13に示す皮下脂肪特徴点1002(体前面)のY成分の移動係数4503(図15ではdYs1)と、皮下脂肪特徴点1004(体側面)のX成分の移動係数4504(図15ではdXs3)は、図25の下図に示す関係式で与えられる。このうち、皮下脂肪特徴点1002(体前面)のY成分の移動係数4503は、複数人分の皮下脂肪特徴点1002(体前面)のY成分の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と全脂肪面積を分析して作成した関係式であり、全脂肪面積が大きくなると、単位全脂肪面積差当たりの移動距離が増大し、ある全脂肪面積を超えると減少する関係を示している。この関係は、皮下脂肪が内臓脂肪の外側にあるため、前述した内臓脂肪特徴点303のY成分の移動係数4501の動きに連動して移動することを示している。
このように、皮下脂肪特徴点移動係数作成部1831が、皮下脂肪特徴点の単位全脂肪面積差当たりの移動距離と全脂肪面積の関係式である移動係数を作成するので、ユーザの全脂肪面積推定値に対応した皮下脂肪特徴点の移動位置を精度よく算出する移動係数を作成できる。
以上により、内臓脂肪特徴点の移動係数、皮下脂肪特徴点の移動係数を作成する処理を終了する(ステップ4311)。
次に、図27のフローチャートを用い、本実施例による内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像、腹筋モデル画像、背骨周辺組織モデル画像等の腹部断面モデルの作成処理の詳細を説明する。
内臓脂肪シミュレーション端末101が処理を開始する(ステップ4601)と、内臓脂肪モデル作成ステップ4602を行う。ここでは、内臓脂肪モデル作成部1813が、脂肪形状データ管理部127で管理される内臓脂肪形状データ(図22)の複数人分の内臓脂肪面積値を取得する。
次に、内臓脂肪モデル作成部1813は、取得した内臓脂肪面積値の平均値を求め、内臓脂肪形状データ作成部1823で抽出された複数人分の内臓脂肪形状の中から内臓脂肪面積が平均値である人の内臓脂肪形状を選定し、図5の上図に示すような内臓脂肪モデル画像を作成する。さらに、内臓脂肪モデル作成部1813は、図22に示す内臓脂肪形状データから、内臓脂肪モデル画像について作成された特徴点座標と内臓脂肪面積値を抽出し、内臓脂肪モデル画像の形状データとする。作成された内臓脂肪モデル画像と、抽出された内臓脂肪モデル画像の形状データは、それぞれ、データベース106の腹部断面モデル管理部125とモデル形状データ管理部120に格納される。内臓脂肪モデル画像の形状データは、図6のように管理される。
次の皮下脂肪モデル作成ステップ4603では、皮下脂肪モデル作成部1811が、皮下脂肪形状データ算出部1821で抽出された皮下脂肪形状の中から、内臓脂肪モデル作成部1813で内臓脂肪モデル画像として選定した内臓脂肪形状を持つ人の皮下脂肪形状を抽出し、図13に示すような皮下脂肪モデル画像を作成する。
さらに、皮下脂肪モデル作成部1811は、脂肪形状データ管理部127で管理される皮下脂肪形状データ(図23)から、皮下脂肪モデル画像について作成された特徴点座標と全脂肪面積値を抽出し、皮下脂肪モデル画像の形状データとする。作成された皮下脂肪モデル画像と、抽出された皮下脂肪モデル画像の形状データは、それぞれ、データベース106の腹部断面モデル管理部125とモデル形状データ管理部120に格納される。皮下脂肪モデル画像の形状データは、図14のように管理される。
次の腹筋モデル作成ステップ4604では、腹筋モデル作成部1812が、内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像の作成に使用した腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って腹筋形状を抽出し、図10に示すような腹筋モデル画像を作成する。
次に、腹筋モデル作成部1812は、抽出された腹筋形状に対して腹筋特徴点の設定と、その座標の算出を行い、腹筋モデル画像の形状データを作成する。作成された腹筋モデル画像と、その形状データは、それぞれ、データベース106の腹部断面モデル管理部125とモデル形状データ管理部120に格納される。腹筋モデル画像の形状データは、図11のように管理される。
以下では、腹筋特徴点の具体的な設定方法を、図12の上図を用いて説明する。前述したように、腹筋もほぼ左右対称である。このため、以下の説明では、体の左側についてのみ腹筋特徴点を設定する。
内臓脂肪面積と皮下脂肪面積が画像間で異なる2つの腹部CT画像(同一人物の画像)を分析すると、腹筋は、ほぼ面積一定で形状が変化し、その形状は体の前面の変化が体の側面より大きく、体の背面側では変化しない特徴がある。そこで、腹筋モデル作成部1812は、腹筋モデル画像の最も左側面側の点703、背骨周辺組織と接する点(背面側)705を、腹筋特徴点として設定する。
次に、腹筋モデル作成部1812は、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された内臓脂肪特徴点303及び305のそれぞれについて腹筋形状700に対する接線を求め、その交点701(前面側)を腹筋特徴点として設定する。腹筋モデル作成部1812は、前述した703、705、701の3点を少なくとも腹筋特徴点として設定する。
また、腹筋形状をより滑らかに変形させるために、腹筋モデル作成部1812は、内臓脂肪形状データ算出部1823で算出された内臓脂肪特徴点305と腹筋特徴点703のそれぞれについて腹筋形状700に対する接線を求め、その交点702を腹筋特徴点に設定する。同様に、腹筋モデル作成部1812は、腹筋特徴点703及び705のそれぞれについて腹筋形状700に対する接線を求め、その交点704を腹筋特徴点として設定する。以上により、ユーザの腹筋形状の特徴、形状変化の特徴を反映した腹筋特徴点を設定することができる。
以上説明した特徴点の設定では、腹筋がほぼ左右対称であることに着目し、体の左側についてのみ腹筋特徴点を設定する例を示したが、これに限らず、体の右側に特徴点を設定してもよいし、体の全体(左右両側)に特徴点を設定してもよい。
次の背骨周辺組織モデル作成ステップ4605では、背骨周辺組織モデル作成部1814が、内臓脂肪、皮下脂肪、腹筋モデル画像の作成に使用した腹部CT画像に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を行って、図5の下図に示すような背骨周辺組織モデル画像を作成する。作成された背骨周辺組織モデル画像は、データベース106の腹部断面モデル管理部125に格納される。
以上で、腹部断面モデル画像を作成する処理を終了する(ステップ4606)。
次に、図28と図29を用い、本実施例において実行される、腹部CT画像の入力から内臓可視化指標が作成されるまでの処理の詳細を説明する。
図28は、腹部CT画像入力から内臓可視化指標を作成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図29は、腹部CT画像から内臓可視化指標を作成する処理の流れの一例を示す説明図である。図29では、腹部CT画像4801、内臓領域抽出後の内臓画像4802、2値化した内臓画像4803、内臓を位置合わせした後の画像4804、位置合わせ後の内臓画像4804とその内臓脂肪面積から作成した内臓脂肪可視化指標4001を示している。
内臓脂肪シミュレーション端末101が処理を開始する(ステップ4701)と、腹部CT画像入力ステップ4302が実行される。ここでは、複数人分の腹部CT画像が入力部102を通じて入力される。
次の内臓領域抽出ステップ4703において、内臓領域抽出部1841は、入力部102を通じて入力された複数人分の腹部CT画像4801に対してエッジ検出、線検出、セグメンテーション等の画像処理を実行し、図29に示すように、内臓脂肪形状より内側の内臓画像4802(斜線部が内臓を示し、空白部が内臓脂肪を示す)を抽出する。
次の内臓脂肪面積画像判定ステップ4705において、内臓可視化指標作成部1840は、脂肪形状データ管理部127が管理する内臓脂肪形状データ(図22)の内臓脂肪面積を取得する。次に、内臓可視化指標作成部1840は、内臓領域抽出部1841で抽出された内臓画像4802と、取得した内臓脂肪面積から内臓画像4802の中に同じ内臓脂肪面積の画像が有るか無いかを判定する。
内臓脂肪面積が同じ画像がある場合、内臓可視化指標作成部1840は、その画像を選定して平均画像作成ステップ4706に進み、内臓脂肪面積が同じ画像が無い場合、内臓可視化指標作成部1840は、画像2値化ステップ4704に進む。
次の平均画像作成ステップ4706では、平均画像作成部1842が、内臓脂肪面積画像判定ステップ4705で選定された同じ内臓脂肪面積を持つ2枚以上の内臓画像4802の各画素値を平均化し、平均内臓画像を作成する。
次の平均画像2値化ステップ4707では、平均画像作成部1842が、平均画像作成ステップ4706で作成された平均内臓画像の各画素値を2値化する。ここで、平均画像作成部1842は、平均内臓画像の内臓脂肪面積が、平均前の内臓画像の内臓脂肪面積と等しくなるように閾値を設定し、内臓を“1”、内臓脂肪を“0”に2値化した内臓画像4803を作成する。内臓画像4803の作成が終了すると、平均画像作成部1842は、内臓脂肪面積画像判定ステップ4705に戻り、他の画像内に、同じ内臓脂肪面積の内臓画像が有るか無いかを判定する。判定した結果、同じ内臓脂肪面積の内臓画像が無い場合、平均画像作成部1842は、画像2値化ステップ4704に進む。
画像2値化ステップ4704では、内臓可視化指標作成部1840が、同じ内臓脂肪面積が無い内臓画像4802の各画素値を2値化する。具体的には、内臓可視化指標作成部1840が、内臓画像4802の内臓を“1”、内臓脂肪を“0”に2値化した内臓画像4803を作成する。
次の位置合わせステップ4708では、位置合わせ部1843が、平均画像2値化ステップ4707と画像2値化ステップ4704で作成された2値化済み内臓画像4803の内臓部分(画素値が“1”の部分)の位置合わせを、前述した内臓脂肪モデル作成部1813で作成された内臓脂肪モデル画像に合わせ込む形で行う。
まず、位置合わせ部1843が、移動係数管理部122で管理される図7の内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分と内臓脂肪特徴点307(体側面)のX成分の移動係数を取得する。
次に、位置合わせ部1843は、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積(複数人分の内臓脂肪面積の平均値)と、各2値化済み内臓画像4803の内臓脂肪面積と、取得した内臓脂肪特徴点の移動係数とから、各2値化済み内臓画像4803の移動距離を算出し、画像別に位置合わせを行う。
具体的には、各2値化済み内臓画像4803の移動距離のX成分は、内臓脂肪特徴点303(体前面)のY成分の移動係数(dYv1)を、2値化済み内臓画像4803の内臓脂肪面積から、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積まで積分することで算出する。
また、各2値化済み内臓画像4803の移動距離のY成分は、内臓脂肪特徴点307(体側面)のX成分の移動係数(dXv5)を、2値化済み内臓画像4803の内臓脂肪面積から、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積まで積分することで算出する。
そして、図29に矢印で示すように、2値化済み内臓画像4803の左側の内臓部分は、算出された移動距離のX成分だけX軸方向に平行移動し、右側の内臓部分は、算出した移動距離の−X成分だけ、左側と逆方向に平行移動する。また、内臓部分のY軸方向の移動は左右関係なく、算出された移動距離のY成分だけ平行移動する。
これにより、内臓脂肪面積が異なる各2値化済み内臓画像4803の内臓部分を、内臓モデル画像内の位置に合わせ込むことができる。
次の重ね合わせステップ4709では、重ね合わせ部1844が、位置合わせ部1843で位置合わせした各内臓画像4804の画素値(内臓は“1”、内臓脂肪は“0”)を内臓脂肪面積が小さい順に足し合わせ、内臓脂肪面積と内臓可視化度合いの関係を示す内臓可視化指標4001を作成する。
具体的な内臓可視化指標の作成方法を説明する。まず、重ね合わせ部1844は、内臓脂肪面積が最小の内臓画像4804を選定し、画素値が“1”のX座標、Y座標を取得する。そして、取得したX座標、Y座標の高さの値を“1”とした棒グラフを作成する。例えば画素値が“1”のX座標、Y座標が(4、4)、(5、5)であったとすると、重ね合わせ部1844は、(4、4)、(5、5)の位置に、高さ“1”の棒グラフを作成する。
また、重ね合わせ部1844は、棒グラフの最大値と内臓脂肪面積との対応関係を求める。例えば内臓画像の内臓脂肪面積が50cm2(平方センチメートル)であった場合、重ね合わせ部1844は、棒グラフの最大値(ここでは“1”)に対応する内臓脂肪面積が“50”であることを保持する。
次に、重ね合わせ部1844は、2番目に内臓脂肪面積が小さい内臓画像4804を選定し、同様に画素値が“1”のX座標、Y座標を取得する。さらに、重ね合わせ部1844は、一つ前の処理で選定した内臓画像の内臓脂肪面積と、今回の処理で選定した内臓画像の内臓脂肪面積とに基づいて内臓脂肪面積差を求める。
そして、重ね合わせ部1844は、今回取得したX座標、Y座標の位置にある棒グラフに、内臓脂肪面積差を足し合わせる。例えば選定した内臓画像の内臓脂肪面積が51cm2(平方センチメートル)であれば、内臓脂肪面積差“1”を、53cm2(平方センチメートル)であれば、内臓脂肪面積差“3”を、重ね合わせ部1844は、取得したX座標、Y座標の位置にある棒グラフに足し合わせる。
画素値が“1”のX座標、Y座標が(4、4)、(5、5)、(6、6)であったとすると、内臓脂肪面積差“1”であれば、(4、4)、(5、5)、(6、6)の高さは、それぞれ“2”、“2”、“1”となり、内臓脂肪面積差“3”であれば、それぞれ、“4”、“4”、“3”となる。
また、重ね合わせ部1844は、棒グラフの最大値に対応する内臓脂肪面積を、今回の処理で選定した内臓画像の内臓脂肪面積で更新し、前の処理の対応関係(棒グラフの値“1”が“50”)とともに保持する。内臓脂肪面積が51cm2(平方センチメートル)であれば、棒グラフの最大値“2”は“51”に対応し、53cm2(平方センチメートル)であれば、棒グラフの最大値“4”が“53”に対応する。
ここで、後者のように、内臓脂肪面積差が1cm2(平方センチメートル)より大きい場合、重ね合わせ部1844は、今回の棒グラフの最大値と一つ前の処理の棒グラフの最大値との間を内臓脂肪面積差で等分割して、棒グラフの値と内臓脂肪面積の対応関係を1cm2 (センチ平方メートル)刻みで保持する。
内臓脂肪面積差“3”の例では、棒グラフの値“1”と棒グラフの値“4”との間を“3”で等分割して、棒グラフの値“1”、“2”、“3”、“4”は、それぞれ内臓脂肪面積“50”、“51”、“52”、“53”に対応する。
以上の処理を内臓脂肪面積が小さい内臓画像から順番に実行することにより、内臓脂肪面積と内臓可視化度合いの関係を示す内臓可視化指標4001を作成する。これにより、内臓が、内臓脂肪が減少すると可視化され、逆に内臓脂肪が多いと内臓脂肪に覆われ見えなくなる特徴を反映する内臓可視化指標を作成することができ、ユーザの内臓脂肪面積に対応したリアルな内臓画像を作成することができる。以上で内臓可視化指標を作成する処理を終了する(ステップ4710)。
前述の処理で算出・作成された内臓脂肪モデル、皮下脂肪モデル等の腹部断面モデル画像、その特徴点の移動係数、及び内臓可視化指標を用いて、ユーザの腹囲から内臓脂肪形状・皮下脂肪形状などの腹部断面形状を作成・表示するまでの処理の流れは、実施例1で説明した図3のフローチャートに示す通りである。
まず、内臓脂肪シミュレーション端末101は、図8に示すような入力画面を出力部104に表示し、入力部102を通じてユーザに自分の腹囲を入力させる。すると、腹部断面形状作成部105が、入力されたユーザの腹囲、モデル形状データ、特徴点移動係数、内臓可視化指標に基づいて、ユーザの腹部断面モデル画像を変形して腹部断面形状を作成し、図20に示すような腹部断面形状表示画面を出力部104に表示する。
以上説明したように、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された内臓脂肪面積、皮下脂肪面積が画像間で異なる同一人物の2つの腹部CT画像を複数人分集め、それら複数人分の画像対に基づいて内臓脂肪特徴点の移動係数と内臓脂肪モデル画像を作成する。これにより、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪の形状変化の特徴を反映した精度の高い内臓脂肪形状を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された内臓脂肪面積、皮下脂肪面積が画像間で異なる同一人物の2つの腹部CT画像を複数人分集め、それら複数人分の画像対に基づいて、皮下脂肪特徴点の移動係数と皮下脂肪モデル画像を作成する。これにより、本実施例は、皮下脂肪の形状変化の特徴を反映した精度の高い皮下脂肪形状を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された複数人分の腹部CT画像中の平均的な画像に基づいて腹筋モデル画像を作成し、腹筋特徴点の座標を算出する。これにより、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、腹筋形状の特徴を反映したリアルな腹筋形状を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された複数人分の腹部CT画像中の平均的な画像に基づいて背骨周辺組織モデル画像を作成する。これにより、本実施例は、背骨周辺組織形状の特徴を反映したリアルな背骨周辺組織形状を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された複数人分の腹部CT画像に基づいて、内臓脂肪面積と内臓可視化度合いの関係を示す内臓可視化指標を作成する。これにより、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、ユーザの内臓脂肪面積に対応した精度の高い内臓画像を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、入力された複数人分の腹部CT画像に基づいて、内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像などの腹部断面モデル画像、内臓脂肪、皮下脂肪の特徴点移動係数、内臓可視化指標を作成する。これにより、本実施例は、腹部断面の形状変化の特徴を反映した精度の高い腹部断面形状を作成することが出来る。
また、本実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、実際の内臓脂肪、皮下脂肪、腹筋がほぼ左右対称であることを利用して全体に特徴点を設定せず、左側にのみ特徴点を設定している。これにより、本実施例では、内臓脂肪モデル画像、皮下脂肪モデル画像、腹筋モデル画像を変形させる際に、少ない演算量で変形させることが出来る。
なお、本実施例2に係る位置合わせステップ4708においては、位置合わせ部1843が、内臓脂肪モデル画像の内臓脂肪面積と、各2値化済み内臓画像4803の内臓脂肪面積と、内臓脂肪特徴点303のY成分及び内臓脂肪特徴点307のX成分の移動係数から各2値化済み内臓画像4803の移動距離のX成分、Y成分を算出し、図29に示すように各2値化済み内臓画像4803の内臓部分(画素値が“1”の部分)をX軸方向、Y軸方向に平行移動して位置合わせを行う。しかし、2値化済み内臓画像4803の表示位置の移動は、別の方法によってもよい。例えば、2値化済み内臓画像4803の各画素と背骨中心点302との間の距離情報も考慮し、2値化済み内臓画像4803を構成する各画素の移動距離を算出し、位置合わせを行ってもよい。
具体的な処理方法を説明する。この処理は、2値化済み内臓画像4803毎に実行する。まず、位置合わせ部1843が、背骨中心点302のY座標と内臓脂肪特徴点303のY座標の差である距離α、背骨中心点302のX座標と内臓脂肪特徴点307のX座標の差である距離βを算出する。次に、内臓画像4803を構成する各画素n別に、背骨中心点302のY座標と内臓画像4803の画素のY座標との差である距離γn(n=1〜内臓画像4803の画素数)と、背骨中心点302のX座標と内臓画像4803の画素のX座標との差である距離δn(n=1〜内臓画像4803の画素数)を算出する。
次に、位置合わせ部1843は、内臓脂肪特徴点303の移動距離のY成分(Yv1)に対してγnを乗じた後、その乗算結果をαで除算し、内臓画像4803の各画素のY方向の移動距離(=Yv1×γn/α。ただし、n=1〜内臓画像4803の画素数。)を算出する。同様に、位置合わせ部1843は、内臓脂肪特徴点307の移動距離のX成分(Xv5)に対してδnを乗じた後、その乗算結果をβで除算し、内臓画像4803の各画素のX方向の移動距離(=Xv5×δn/β。ただし、n=1〜内臓画像4803の画素数)を算出する。
以上の処理の後、算出した内臓画像4803の各画素のX方向、Y方向の移動距離に基づいて各画素を平行移動し、2値化済み内臓画像4803の内臓部分(画素値が“1”の部分)の位置合わせを行う。このように各2値化済み内臓画像4803の内臓部分の位置合わせを行うことにより、背骨中心点302との距離が近い内臓はあまり移動せず、距離が遠い内臓は大きく移動するという特徴を反映でき、より精度良く位置合わせを行うことができる。また、精度の良い位置合わせにより、内臓脂肪面積と内臓可視化度合いとの関係を、より高い精度で表現する内臓可視化指標を作成することができる。
また、本実施例2においては、ユーザの腹囲の入力により内臓脂肪形状を作成・表示させる場合について説明した。しかし、実際の内臓脂肪面積の値を持つユーザについては、内臓脂肪面積の値を、入力部102を通じて入力させ、この値に基づいて、内臓脂肪形状を作成・表示してもよい。この場合には、より精度の高い内臓脂肪形状を作成・表示することができる。
また、本実施例2においては、ユーザの腹囲から皮下脂肪形状を作成・表示させる場合について説明した。しかし、実際の内臓脂肪面積の値、皮下脂肪面積の値、全脂肪面積の値を持つユーザについては、全脂肪面積(内臓脂肪面積+皮下脂肪面積)の値を入力部102を通じて入力させ、これらの値に基づいて皮下脂肪形状を作成・表示してもよい。この場合、より精度の高い皮下脂肪形状を作成・表示させることができる。
また、本実施例2においては、ユーザに自分の腹囲を入力させ、この腹囲の値に基づいて腹部断面形状を作成・表示する場合について説明した。しかし、病院、健診施設などの医療機関の電子カルテや健診システムのデータベースに、ユーザの腹囲が格納されている場合には、内臓脂肪シミュレーション端末101が、この腹囲を取り出して自動入力し、腹部断面形状を作成・表示してもよい。この場合、ユーザが自分で腹囲を入力する手間を省くことが出来る。
また、内臓脂肪シミュレーション端末101が、医療機関の医師、保健師などの医療従事者が指導する対象者(受診者)の腹囲を、電子カルテや健診システムのデータベースから取り出して自動入力してもよい。この場合、指導対象者の腹部断面形状をリアルに視覚化でき、指導対象者の内臓脂肪蓄積状態を分かりやすく指導できる効果がある。
また、本実施例2においては、1台のPCで全ての処理を行う場合を説明したが、入力部102・出力部104と、腹部断面形状作成部105・モデル情報作成部1801・データベース106を別々の端末とし、前述した処理内容をWEBアプリケーションを通じて実現してもよい。
入出力をクライアント端末で分担し、腹部断面形状作成部105・モデル情報作成部1801・データベース106をサーバ端末で分担することにすれば、モデル情報作成や腹部断面形状作成という負荷がかかる処理をサーバ端末に集約することができる。この場合、クライアント側の負荷を低減することができる。また、サーバ側で作成した腹部断面形状をWEB経由でクライアント端末に表示することで、前述した機能を実現する専用のプログラムをクライアント端末にインストールする必要性を無くすことができる。
[実施例3]
続いて、実施例3に係る内臓脂肪シミュレーション装置について説明する。実施例3に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、ユーザの現在腹囲と体重変化量を入力すると、体重変化前後の内臓脂肪・皮下脂肪形状などの腹部断面形状を生成・表示する機能を有している。
本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置も、CPUとメモリと不揮発性記憶媒体とから構成される。不揮発性記憶媒体には、例えば磁気ディスク、不揮発性メモリ等が含まれる。不揮発性記憶媒体には、内臓脂肪シミュレーション装置の機能を実現するプログラム、その算出結果などが格納される。メモリには、不揮発性記憶媒体に格納されているプログラムが展開される。CPUは、メモリに展開されたプログラムを実行する。以下で説明する処理及び演算は、CPUが実行する。
図30に、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置のブロック構成例を示す。内臓脂肪シミュレーション装置は、内臓脂肪シミュレーション端末101とデータベース106とから構成される。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、入力部102、腹囲推定値算出部2101、腹部断面形状作成部105、出力部104を備える。入力部102には、マウス、キーボードなどが用いられる。出力部104には、内臓脂肪シミュレーション端末101の算出結果を表示するディスプレイや算出結果を印刷するプリンタなどが用いられる。
腹囲推定値算出部2101は、入力部102を通じて入力されたユーザの腹囲と体重変化量に基づいて体重変化後の腹囲推定値を算出する。腹部断面形状作成部105は、実施例1で説明した処理と同じ処理を実行し、入力部102を通じて入力されたユーザの腹囲と、腹囲推定値算出部2101で算出された腹囲推定値とに基づいて体重変化前後の腹部断面形状を作成・表示する。
以下では、図31と図32を用い、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置で実行される処理内容の詳細を説明する。
図31は、入力部102を通じてユーザの腹囲と体重変化量が装置に入力された後、体重変化前後の腹部断面形状が表示されるまでの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図32は、推定式情報管理部123により管理される実施例3の推定式情報の一例を示す図である。
本実施例に係る推定式情報管理部123は、ユーザの腹囲を入力することで内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を算出する内臓脂肪面積推定式1401と、全脂肪面積推定式1402を管理する。また、推定式情報管理部123は、ユーザの現在腹囲と体重変化量を入力することにより、体重変化後の腹囲推定値を算出する腹囲推定式2301を管理する。腹囲推定式は、大量の腹囲の変化量と体重の変化量を回帰分析することにより作成することができる。これらの推定式により、ユーザの腹囲と体重変化量から体重変化後の腹囲推定値を算出することができ、さらに、体重変化後の腹囲推定値に基づいて、体重変化後の内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を算出することができる。
実施例3に係る内臓脂肪シミュレーション端末101は、処理の開始後(ステップ2201)、ユーザ情報入力ステップ2202を実行する。ここでは、内臓脂肪シミュレーション端末101が、出力部104に、図33に示すようなユーザ情報を入力する画面を表示する。図33は、本実施例に係る出力部104に表示される入力画面の一例を示す図である。ユーザ情報入力画面2401は、腹囲入力欄1602、体重入力欄2402、ユーザ情報の入力を決定する実行ボタン1603を表示する。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、ユーザにメジャー等で腹囲を測定させ、入力部102のマウス、キーボード等を用い、腹囲入力欄1602に入力させる。また、内臓脂肪シミュレーション端末101は、ユーザの体重を体重計で測定させ、入力部102のマウス、キーボード等を用い、体重入力欄2402に入力させる。入力が終わると、内臓脂肪シミュレーション端末101は、実行ボタン1603を操作するようにユーザに指示する。
次の現在腹部断面形状生成・表示ステップ2203においては、腹部断面形状作成部105が、実施例1で説明した処理と同じ処理を実行し、入力部102で入力されたユーザの腹囲から現在の腹部断面形状を作成し、図34に示すように出力部104に表示する。
図34は、本実施例に係る出力部104に表示される内臓脂肪シミュレーション画面の一例であり、体重変化前の状態を示す説明図である。図34に示す内臓脂肪シミュレーション画面2501では、現在の腹部断面形状2504、現在の内臓脂肪関連数値2502(体重、腹囲、内臓脂肪面積推定値、皮下脂肪面積推定値)を左側に、体重変化後の腹部断面形状2505、体重変化後の内臓脂肪関連数値2503(体重、腹囲推定値、内臓脂肪面積推定値、皮下脂肪面積推定値)を右側に表示する。また、図34に示す内臓脂肪シミュレーション画面2501では、体重変化量入力バー2506を表示する。
体重変化量入力前(体重変化量0kg)であるため、体重変化後の内臓脂肪関連数値2503は、現在の内臓脂肪関連数値2502と同じ値になり、体重変化後の腹部断面形状2505も、現在の腹部断面形状2504と同じ形状になる。この画面の例では、入力画面2401で体重80kg、腹囲88cmを入力した場合の例を示している。
次の体重変化量入力ステップ2204では、出力部104に表示された内臓脂肪シミュレーション画面2501の体重変化入力バー2506を用いて、ユーザに体重変化量を入力させる。
次の腹囲推定値算出ステップ2205では、内臓脂肪シミュレーション端末101が、推定式情報管理部123によって管理される腹囲推定式2301を取得する。次に、腹囲推定値算出部2101が、ユーザ情報入力ステップで入力されたユーザの現在腹囲と体重変化量入力ステップ2204で入力された体重変化量を腹囲推定式2301に代入して、体重変化後の腹囲推定値を算出する。
次の体重変化後の腹部断面形状生成・表示ステップ2206では、腹部断面形状作成部105が、実施例1で説明した処理と同じ処理を実行し、腹囲推定値算出部2101で算出された体重変化後の腹囲推定値から体重変化後の腹部断面形状を作成し、図35に示すようなシミュレーション画像を出力部104に表示する。
図35は、本実施例に係る出力部104に表示される内臓脂肪シミュレーション画面の一例であり、体重変化後の状態を示す説明図である。図35に示す内臓脂肪シミュレーション画面2601の例では、体重変化量を−10kgと入力した場合の体重変化後の腹部断面形状2505と、内臓脂肪関連数値2503(体重、腹囲推定値、内臓脂肪面積推定値、皮下脂肪面積推定値)を右側に表示している。また、図35に示す内臓脂肪シミュレーション画面2601の例では、内臓脂肪特徴点(体前面)の移動距離の変化2602を示している。
図25で示したように、内臓脂肪面積によって内臓脂肪特徴点の単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離は異なり、内臓脂肪特徴点(体前面)は内臓脂肪面積が大きくなると、単位内臓脂肪面積差当たりの移動距離が増大し、ある内臓脂肪面積を超えると減少する特徴が有る。
このため、図35に示すように減量する場合は、内臓脂肪特徴点(体前面)の移動距離の変化2602は、内臓脂肪面積が小さくなるに従って、中、大、中、小のように移動距離が変化する。
以上に示したように、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、腹部断面形状作成部105が、体重変化前後の内臓脂肪形状、皮下脂肪形状などの腹部断面形状をリアルに表示するため、ユーザの減量に伴う内臓脂肪蓄積状態を分かり易く伝えることが出来る。
本実施例では、体重変化前後の腹部断面形状を表示する例について説明したが、図36及び図37に示すように、人体模型図2702と共に体重変化前後の腹部断面形状を表示し、腹部断面形状の変化に伴って、人体模型図の腹部の横幅や出具合などの3次元構造2703を変化させても良い。
図36及び図37は、人体模型図を表示する内臓脂肪シミュレーション画面の一例である。図36は体重変化量入力前の状態を示しており、図37は体重変化量入力後の状態を示している。図36は体重減少前の太った人体模型図を示しており、図37は体重減少後のやせた人体模型図を示している。このように、人体模型図を一緒に表示すれば、ユーザの脂肪蓄積状態をより分かり易く伝えることが出来る。
また、本実施例3においては、体重変化前後の腹部断面形状を表示する例を説明したが、図38の内臓脂肪シミュレーション画面3801に示すように、体重変化前後の腹部断面形状2504及び2505と共に、体重変化前の腹部体型3802、体重変化後の腹部体型3804を3次元表示してもよい。この処理は、データベース106に、腹部体型の3次元データと、そのデータの変化と体重変化との関係を示す関係式が登録してあれば可能となる。
また、図38に示すように、体重変化前の腹部体型3802の臍断面の画像として体重変化前の腹部断面形状2504を表示し、体重変化前の腹部体型3804の臍断面の画像として体重変化後の腹部断面形状2505を表示してもよい。この処理は、体重変化前後の腹部断面形状を腹部体型の臍断面にテクスチャマッピングすることで可能となる。この表示の採用により、ユーザの脂肪蓄積状態をより分かり易く伝えることが出来る。
また、本実施例3においては、体重変化前後の腹部断面形状を表示する例について説明したが、図39、図40、図41に示すように、体重変化前後の腹部断面形状2504及び2505と共に、体重変化前の内臓脂肪量5010、体重変化前の皮下脂肪量5020、体重変化後の内臓脂肪量5011、体重変化後の皮下脂肪量5021を3次元表示してもよい。
図39、図40、図41は、内臓脂肪量及び皮下脂肪量を表示する内臓脂肪シミュレーション画面の一例を示す図である。図39は、内臓脂肪量及び皮下脂肪量を表示する前の画面であり、体重変化前後の脂肪関連数値5002、5003(体重、腹囲、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、内臓脂肪体積、皮下脂肪体積)、体重変化前後の腹部体型3802、3804、体重変化前後の腹部断面形状3803、3805、内臓脂肪量表示ボタン5004、皮下脂肪量表示ボタン5005を表示する。
図40は、図39における内臓脂肪量表示ボタン5004を押すと表示される内臓脂肪量を表示する画面であり、体重変化前後の内臓脂肪量5010、5011を3次元で表示する。また、図41は、図39における皮下脂肪量表示ボタン5005を押すと表示される皮下脂肪量を表示する画面であり、体重変化前後の皮下脂肪量5020、5021を3次元で表示する。
以上の内臓脂肪量、皮下脂肪量の3次元表示は、図26の両矢印で示した範囲の断面構造が臍断面とほぼ同様の構造をしていることから、臍断面以外のCT画像を複数人分用意し、実施例2で示した処理を切断位置毎に行うことで可能となる。
具体的な処理方法を説明する。まず、実施例2に係る内臓脂肪シミュレーション端末101に対し、複数人分の臍断面以外のCT画像を、入力部102を通じて入力する。その後、モデル情報作成部1801が、実施例2で説明した処理と同じ処理を実行し、臍断面以外の断面のモデル画像、モデル形状データ、内臓脂肪・皮下脂肪特徴点の移動係数、内臓可視化指標を、切断位置毎に作成し、データベース106に登録する。
また、モデル情報作成部1801が、複数人分の臍断面以外の断面の周囲径、内臓脂肪面積、全脂肪面積、及び体重との関係を切断位置毎に分析し、周囲径から内臓脂肪面積・全脂肪面積を推定する式、体重変化量から周囲径変化量を推定し体重変化後の周囲径を推定する式を切断位置毎に作成し、データベース106に登録する。
さらに、モデル情報作成部1801が、腹囲と臍断面以外の断面の周囲径との関係を分析し、腹囲から臍断面以外の断面の周囲径を推定する式を作成し、データベース106に登録する。
この状態で、内臓脂肪シミュレーション端末101が、入力部102を通じてユーザの腹囲と体重変化量の入力を受け付け、臍断面を含む断面の周囲径の推定値と、体重変化後の周囲径の推定値を切断位置毎に求める。
次に、腹部断面形状作成部105が、実施例1で説明した処理と同じ処理を行い、データベース106に登録された臍断面を含む断面のモデル画像、モデル形状データ、内臓脂肪・皮下脂肪特徴点の移動係数、内臓可視化指標と、算出した体重変化前後の臍断面を含む断面の周囲径の推定値に基づいて、臍断面を含む体重変化前後の断面形状を切断位置毎に作成する。
その後、腹部断面形状作成部105は、作成した臍断面を含む体重変化前後の断面形状を同時に出力部104に表示することにより、内臓脂肪量と皮下脂肪量を3次元表示する。なお、推定内臓脂肪体積と皮下脂肪体積は、周囲径から内臓脂肪面積・全脂肪面積を推定する式を用いて、切断位置別の内臓脂肪面積推定値と全脂肪面積推定値を求め、これらの値と切断位置の関係から算出する。以上示したように内臓脂肪量と皮下脂肪量を表示することにより、ユーザの脂肪蓄積状態をより分かり易く伝えることが出来る。
また、本実施例3では、図33に示すユーザ情報入力画面2401に、ユーザの腹囲、体重を入力させ、図35、図37、図38、図40、図41の内臓脂肪シミュレーション画面で体重変化量を入力させることにより、体重変化前後の腹部断面形状、腹部体型、内臓脂肪・皮下脂肪量を表示する方法を説明した。しかし、別の表示方法を用いてもよい。例えば、ユーザ情報入力画面2401に、腹囲、体重と共に体重変化量を入力させ、内臓脂肪シミュレーション画面で体重変化前後の腹部断面形状、腹部体型、内臓脂肪・皮下脂肪量の変化をアニメーションで表示してもよい。
この処理は、体重変化前から体重変化後までの腹部断面形状、腹部体型、内臓脂肪・皮下脂肪量の中間画像を複数画像作成し、中間画像1(体重変化前画像)、…、中間画像n(体重変化後画像)の順で切り替えて表示することで実現できる。
もっとも、中間画像n-1と中間画像nの間の内臓脂肪形状や内臓脂肪量の差分画像n-1個を作成し、差分画像1、…、差分画像n-1の順で重ねて表示することにより、内臓脂肪のどの部分が減少又は増加していくかをアニメーションにより表示してもよい。さらに、アニメーションと共に変化する内臓脂肪面積・体積の変化量を棒グラフの変化で表示してもよい。このようにアニメーションによる視覚的な表示を併用することにより、体重増減による内臓脂肪・皮下脂肪形状、腹部体型、内臓脂肪・皮下脂肪量の変化を、ユーザにより分かり易く伝えることができる。
また、本実施例3においては、まず、ユーザに自分の腹囲と体重を入力させ、次に体重変化量を入力させることにより、体重変化前後の腹部断面形状を作成・表示する方法を説明したが、病院、健診施設などの医療機関の電子カルテや健診システムのデータベースに、ユーザの腹囲、体重が格納されている場合には、内臓脂肪シミュレーション端末101が、この腹囲、体重を取り出して自動入力し、ユーザに体重変化量を入力させるだけで体重変化前後の腹部断面形状を作成・表示するようにしてもよい。この場合、ユーザが自分で腹囲、体重を入力する手間を省くことが出来る。
また、内臓脂肪シミュレーション端末101が、医療機関の医師、保健師などの医療従事者が指導する対象者(受診者)の腹囲、体重を、電子カルテや健診システムのデータベースから取り出して自動入力し、医療従事者に対して指導対象者の体重変化量(減量目標値)を入力するよう指示を与えても良い。この機能の搭載により、指導対象者の現在と減量後のリアルな腹部断面形状を視覚化でき、医療機関の医師、保健師などの医療従事者は、内臓脂肪型肥満(内臓脂肪面積100cm2(平方センチメートル)以上)を改善するために必要な体重減少量を示して指導を行うなど、内臓脂肪を減少させる効果的な減量指導を実現することができる。
また、本実施例3においては、1台のPCで全ての処理を行う場合を説明したが、入力部102・出力部104と、腹部断面形状作成部105・腹囲推定値算出部2101・データベース106を別々の端末とし、同処理内容をWEBアプリケーションを通じて実現してもよい。
入出力をクライアント端末で分担し、腹部断面形状作成部105・腹囲推定値算出部2101・データベース106をサーバ端末で分担することにすれば、腹囲推定値算出や腹部断面形状作成という負荷がかかる処理をサーバ端末に集約することができる。この場合、クライアント側の負荷を低減することができる。また、サーバ側で作成した腹部断面形状をWEB経由でクライアント端末に表示することで、クライアント端末への専用ソフトウェアのインストールを不要にすることができる。
[実施例4]
続いて、実施例4に係る内臓脂肪シミュレーション装置について説明する。実施例4に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、ユーザが減量をするために、日々体重をシステムで記録・管理している場合に利用して好適な機能を有している。具体的には、ユーザの減量開始時の体重、腹囲と現在の体重とに基づいて、減量開始時と現在の腹部断面形状を生成・表示する内臓脂肪シミュレーション装置について説明する。
本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、実施例3に係る内臓脂肪シミュレーション装置(図30)の内臓脂肪シミュレーション端末101に体重変化量算出部を追加し、データベース106に日々の体重管理部と減量開始時腹囲管理部を追加することで実現できる。
本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置で実行される具体的な処理の流れを説明する。まず、内臓脂肪シミュレーション端末101が、図33に示すようなユーザ情報入力画面2401を出力部104に表示し、ユーザに減量開始時点の体重、腹囲を入力部102で入力させる。入力された減量開始時点の体重は、日々の体重管理部に、入力された減量開始時点の腹囲は、減量開始時腹囲管理部に格納される。
次に、内臓脂肪シミュレーション端末101が、図42に示すような体重記録画面2901を、毎日、出力部104に表示する。図42は、ユーザの日々の体重を入力するために用いる体重記録画面2901の一例である。体重記録画面2901は、ユーザの減量開始時点から現在までの体重の推移グラフ2902、日付入力欄2903、体重入力欄2904、内臓脂肪シミュレーション画面に遷移するボタン2905、日々の体重の入力を確定するボタン2906を表示する。
内臓脂肪シミュレーション端末101は、ユーザに対し、入力部102を通じて、日付を日付入力欄2903に、体重を体重入力欄2904に入力させ、入力が確定したら、入力確定ボタン2906を押すように指示を与える。入力確定ボタン2903が押されると、入力された体重が体重推移グラフ2902に反映され、日々の体重管理部に日付と共に格納される。
次に、内臓脂肪シミュレーション端末101は、内臓脂肪シミュレーション画面に遷移するボタン2905を押すようにユーザに指示を与える。
内臓脂肪シミュレーション画面に遷移するボタン2905が押されると、内臓脂肪シミュレーション端末101は、日々の体重管理部により管理される減量開始時の体重、現在の体重、減量開始時の腹囲管理部により管理される減量開始時の腹囲を取得する。
次に、内臓脂肪シミュレーション端末101は、体重変化量算出部が取得した減量開始時の体重と現在の体重との差である体重変化量を算出する。その後、腹囲推定値算出部2101が、実施例3で説明した処理と同じ処理を行い、体重変化量算出部で算出された体重変化量と取得した減量開始時の腹囲から現在の腹囲推定値を算出する。
次に、腹部断面形状作成部105が、実施例1で説明した処理と同じ処理を行い、取得した減量開始時の腹囲から減量開始時の腹部断面形状を作成し、さらに、腹囲推定値算出部2101で算出された現在の腹囲推定値から現在の腹部断面形状を作成する。そして、図35に示す内臓脂肪シミュレーション画面のように、減量開始時と現在の腹部断面形状を並べて出力部104に表示する。
以上に示したように、本実施例に係る内臓脂肪シミュレーション装置は、減量開始時と現在の腹部断面形状を精度よく作成・表示することができる。このため、ユーザは、減量に伴う内臓脂肪蓄積状態を日々把握でき、内臓脂肪を減少させる効果的なダイエットを行うことが出来る。
本実施例4では、腹部断面形状作成部105が、腹囲推定値算出部2101で算出された現在の腹囲推定値から現在の腹部断面形状を作成したが、体重と共に腹囲が日々記録・管理されている場合には、ユーザの実際の現在腹囲から現在の腹部断面形状を作成してもよい。この場合、より精度の高い腹部断面形状を作成することができる。
また、本実施例4では、図35に示す内臓脂肪シミュレーション画面のように減量開始時と現在の腹部断面形状を並べて出力部104に表示する場合を説明したが、前述した図36、図37、図38、図39、図40、図41の内臓脂肪シミュレーション画面のように、減量開始時と現在の腹部断面形状と共に、人体模型図、腹部体型、内臓脂肪量、皮下脂肪量を表示してもよい。このような画面表示を採用することにより、ユーザの脂肪蓄積状態をより分かり易く伝えることが出来る。
また、本実施例4では、1台のPCで全ての処理を行う場合を説明したが、入力部102・出力部104と、体重変化量算出部・腹部断面形状作成部105・腹囲推定値算出部2101・データベース106を別々の端末とし、前述した処理内容をWEBアプリケーションを通じて実現してもよい。
入出力をクライアント端末で分担し、腹部断面形状作成部105・モデル情報作成部1801・データベース106をサーバ端末で分担することにすれば、モデル情報作成や腹部断面形状作成という負荷がかかる処理をサーバ端末に集約することができる。この場合、クライアント側の負荷を低減することができる。また、サーバ側で作成した腹部断面形状をWEB経由でクライアント端末に表示することで、クライアント端末への専用ソフトウェアのインストールを不要にできる。
[他の実施例]
前述した各形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、前述した実施例の全ての構成を備える必要はない。また、ある実施例の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
また、前述の実施例では、内臓脂肪シミュレーション画像の作成機能をプログラム処理を通じて実現する場合について説明したが、当該処理機能の一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアを通じて実現しても良い。
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。