JP5718940B2 - 荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法及びそのシステム - Google Patents

荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法及びそのシステム Download PDF

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Description

本発明は、電子等の荷電粒子を周回させて蓄積する蓄積リングに荷電粒子ビームを入射する方法及びそのシステムに関する。
シンクロトロン等の荷電粒子周回装置(以下、蓄積リングともいう)では、軌道上にパータベータ等の摂動装置を用いて摂動を発生させて、荷電粒子周回装置に入射した荷電粒子を安定周回軌道に取り込む。安定周回軌道に取り込んだ後、安定周回軌道に配置した高周波加速空洞を用いて、安定周回軌道を周回する荷電粒子を加速しても良い。
例えば、電子蓄積リングを用いた放射光発生装置(X線発生装置)として、みらくる型放射光発生装置が知られている。みらくる型放射光発生装置は、弱収束シンクロトロンを用いた小型の放射光発生装置である。みらくる型放射光発生装置では、マイクロトロンで加速した電子を蓄積リングへ入射し、入射した電子を周回軌道に乗せるために、パータベータを用いている。即ち、パータベータを構成するコイルにサイン半波の電流(以下、励磁電流ともいう)を流してパルス摂動磁場を発生し、入射する電子を周回させる。サイン半波の励磁電流は一定の周期(例えば1ms(周波数1kHz))で繰り返し印加され、励磁電流が印加される毎に入射する電子が周回軌道に取り込まれ、周回する電子数、即ち蓄積される電流は増大する。例えば、図1に示すように、サイン半波である励磁電流の幅が約150nsであり、電子を入射可能なタイミングウインドウ(ビーム電流幅)は、約100nsである。
蓄積リングへの電子ビームの入射方法としては、共鳴入射法が知られている。共鳴入射法の詳細は、T.Takayama,“RESONANCE INJECTION METHOD FOR THE CMPACT SUPERCONDUCTING SR−RING”,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research,B24/25(1987)420−424(文献1)、H.Yamada,“Commissioning of aurora:The smallest synchrotron light source”,J.Vac.Sci.Technol.B8(6),Nov/Dec 1990,pp.1628−1632(文献2)、高山猛,矢野隆,佐々木泰,安光直樹,「小型シンクロトロン放射光源“オーロラ”単体超電動リングの入射系」,住友重機械技報,Vol.39,No.116,August 1991,pp.11−18(文献3)に開示されており、周知であるので、説明を繰返さない。
共鳴入射法では、パータベータの励磁電流に、上記したようにサイン半波が使用される。これは、連続サイン波としてパータベータに励磁電流を流した場合、励磁電流の負の部分(逆方向の電流)によって、一旦周回軌道に取り込まれた電子が影響を受けるので、安定して電子を周回させることができないと考えられていたからである。
また、共鳴入射法では、蓄積リングに電子ビームを入射するタイミングを、パータベータに励磁電流を流すタイミングに正確に合せることが必要であり、その調整が難しい問題がある。また、信号のジッタ(時間変動)による影響を受ける問題もある。
また、発生する放射線量(X線強度)を上げるためには、電子を入射する回数を上げればよいが、電源の容量を増やすことが必要になり、費用が掛かる問題がある。
従って、本発明は、サイン半波を使用すること無く、ビーム入射のタイミング制御が容易であり、従来よりも大きい電流を蓄積することができる荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
本発明に係る荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法は、外部から入射する荷電粒子を摂動装置によって周回させる蓄積リングに荷電粒子ビームを入射する方法であって、摂動装置に、電流強度がサイン波で変化する電流を連続的に流した状態で、蓄積リングに荷電粒子ビームを入射する。
好ましくは、摂動装置に連続的に電流を流す時間は、サイン波の周期の2倍以上の時間である。
より好ましくは、サイン波の周期の2倍以上の時間、荷電粒子蓄積リングに荷電粒子ビームを入射する。
本発明に係る荷電粒子蓄積システムは、外部から入射する荷電粒子を摂動装置によって周回させる蓄積リングと、摂動装置に電流を供給する電源と、荷電粒子ビーム生成装置とを備え、電源が、摂動装置に、電流強度がサイン波で変化する電流を連続的に流した状態で、荷電粒子ビーム生成装置が、生成した荷電粒子ビームを蓄積リングに入射する。
本発明によれば、摂動装置に連続サイン波の励磁電流を流した状態で、蓄積リングに荷電粒子ビームを入射することによって、従来よりも大きい電流を蓄積リング内に蓄積することができる。したがって、蓄積リングをX線発生装置として使用する場合、従来よりもX線強度を増大することができる。
本発明によれば、従来必要であったサイン半波の励磁電流を生成するための装置が不要になる。また、荷電粒子ビームを入射するタイミングを、励磁電流を流すタイミングに正確に合せる必要が無く、ジッタの影響も受けない。
本発明によれば、連続サイン波である励磁電流の1周期毎(1波長毎)に荷電粒子を取り込むことができるので、ビーム電流幅に含まれるサイン波の山の数に比例して、X線強度を増大させることができる。例えば、励磁電流として1周期300nsの連続サイン波を用い、ビーム電流幅を6μs(励磁電流の周期の20倍)にすれば、X線強度は20倍となる。
従来の入射ビームとパータベータの励磁電流とのタイミング関係を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る荷電粒子蓄積システムの概略構成を示す図である。 本実施の形態に係る荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法における入射ビームとパータベータの励磁電流とのタイミングを模式的に示す図である。 図2のパータベータパルス電源の内部構成を示す回路図である。 実験で使用したビーム電流波形とパータベータの励磁電流波形とを示すグラフである。 実験で使用したビーム電流波形とパータベータの励磁電流波形とを示すグラフである。 実験で使用したビーム電流波形とパータベータの励磁電流波形とを示すグラフである。 実験で使用したビーム電流波形とパータベータの励磁電流波形とを示すグラフである。 電子蓄積リングによって発生させたX線を用いて撮像した画像である。 電子蓄積リングによって発生させたX線を用いて撮像した画像である。 電子蓄積リングによって発生させたX線を用いて撮像した画像である。
100 マイクロトロン本体
102 ビーム取出部
104 RFガイド
108 加速空洞
110 エミッタ(電子銃)
120 基準高周波発振器
122 プリアンプ
124 高電圧パルス電源
126 パルスクライストロン
200 蓄積リング本体
202 ビーム入射部
204 パータベータ
206 加速空洞
208 放射光取出部
220 パータベータパルス電源
230 ターゲット
240 放射光
300 トリガパルス発振器
400 制御信号生成部
402、404、406、408 MOS−FET
410 電源
412 共振用キャパシタ
414 ダンピング抵抗
416 インダクタ(パータベータ)
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
本発明の実施の形態に係る荷電粒子蓄積システムは、電子を蓄積するシステムであり、電子ビーム生成部、弱収束シンクロトロンを用いた蓄積リング部、及び制御部から構成される。電子ビーム生成部には、例えばマイクロトロンを使用することができる。図2を参照して、電子ビーム生成部は、マイクロトロン本体100、ビーム取出部102、RFガイド104、加速空洞108、エミッタ(電子銃)110、基準高周波発振器120、プリアンプ122、高電圧パルス電源124、及びパルスクライストロン126を備えている。蓄積リング部は、蓄積リング本体200、ビーム入射部202、パータベータ204、加速空洞206、放射光取出部208、及びパータベータパルス電源220を備えている。制御部は、荷電粒子蓄積システム各部の動作タイミングを制御するためのパルス信号を生成するトリガパルス発振器300を備えている。なお、マイクロトロン本体100及び蓄積リング本体200には、図2に示した構成要素以外にも、それぞれマイクロトロン及び蓄積リングとして機能するために必要な公知の部品が装備されている。
基準高周波発振器120は、所定の振幅及び所定の周波数の基準高周波信号(マイクロ波)を生成して、プリアンプ122に出力する。基準高周波発振器120は、例えば10mWの基準信号を連続的に出力する。プリアンプ122は、基準高周波発振器120から入力される高周波信号を増幅して、パルスクライストロン126に出力する。プリアンプ122は、例えば、最大出力1000Wのクライストロン前段高周波ゲート式増幅器である。プリアンプ122は、トリガパルス発振器300から入力されるパルス信号に応じて所定期間、入力信号を増幅した信号を出力する。例えば、プリアンプ122は、トリガパルス発振器300から出力されるパルス信号を、出力用のゲートパルスとして用いる。高電圧パルス電源124は、パルスクライストロン用モジュレータ電源である。高電圧パルス電源124は、トリガパルス発振器300からのパルス信号を受けて高電圧パルスを、パルスクライストロン126に出力する。パルスクライストロン126は、高電圧パルス電源124からの高電圧パルスによって発生した電子を、プリアンプ122から入力される高周波信号(マイクロ波)によって速度変調して、大電力のマイクロ波を生成する。生成されたマイクロ波は、RFガイド104に出力される。RFガイド104は、マイクロ波をエミッタ(電子銃)110に伝搬する。パルスクライストロンは、当業者には周知であるのでこれ以上の説明は繰返さない。
RFガイド104を介して伝搬されたマイクロ波によって、加速空洞108に高周波電場が形成される。この状態で、エミッタ(電子銃)110を加熱して電子を放出させると、放出された電子は、高周波電場によって加速される。マイクロトロン本体100の内部には、所定方向に一様な静磁場が形成されているので、この静磁場によって、放出された電子の軌道は円弧状になる。電子は、加速空洞108を繰返し通過して加速されるにつれて、軌道半径が大きくなるので、電子の軌道は、図2に示したように渦巻状の軌道310になる。最後に電子は、ビーム取出部102から、直線状の電子ビーム312として出力される。電子銃は、当業者には周知であるのでこれ以上の説明は繰返さない。
マイクロトロン本体100から出力された電子ビーム312は、ビーム入射部202から蓄積リング本体200に入射する。蓄積リング本体200の内部には、所定方向に一様な静磁場が形成されているので、電子ビームの軌道は円弧状に曲げられる。円弧状の軌道を通った電子は、パータベータ204に入射する。このとき、パータベータパルス電源220から所定の電流がパータベータ204に供給され、摂動磁場が形成される。電子は、この電磁場によって摂動を受けて軌道が修正され、所定の周回軌道314上を回るようになる。その後、周回する電子は、必要に応じて加速空洞206によって加速される。なお、周回軌道314に乗らなかった電子は、軌道316のように蓄積リング本体200の壁などに衝突して消失する。
このようにして、マイクロトロン部から所定のタイミングで入射される電子を、蓄積リング本体200の内部で周回させることできる。周回する電子が、ターゲット230に入射すると、X線などの放射光240を発生する。発生した放射光240は、放射光取出部208から取り出されて、種々の用途に利用される。
図3及び図4を参照して、本実施の形態に係る蓄積リングへのビームの入射方法と、そのためのパータベータパルス電源の詳細について説明する。
従来では、図1に示したサイン半波の電流をパータベータに供給した状態で、サイン半波のビーム電流として、電子を蓄積リングに入射していた。これに対して、本実施の形態に係る電子ビームの入射方法では、図3に示したように、パータベータ204に連続サイン波の励磁電流を供給した状態で、マイクロトロン部から電子ビーム312を所定の時間(ビーム電流幅)蓄積リング本体200に入射する。即ち、従来では、パータベータに一方向(正方向)の電流しか流さなかったが、本実施の形態では、両方向(正負方向)に電流を流す。蓄積リング本体200に入射する電子、即ちビーム電流は、サイン波である励磁電流の1周期よりも長い時間、略一定の値で供給される。これによって、図3のビーム電流のうち符号Aで示した部分の電子が、パータベータ204による摂動を受けて周回軌道314上に取り込まれる。符号Aで示した部分以外のビーム電流(電子)は、周回軌道314に取り込まれずに、壁などに当たって消失する。
このようにして、1つのサイン半波によって蓄積できる電流の数倍の電流を蓄積リングに取り込むことができる。例えば図3では、3つの山の期間にわたってビーム電流が流れる(電子が供給される)ので、サイン半波を使用する場合の約3倍の電流を蓄積できる。蓄積される電流が大きければ、ターゲットによって放射される放射光(X線)強度が増大する。
なお、所定の時間連続するサイン波の励磁電流をパータベータに供給し、その間に電子を所定の時間(ビーム電流幅)入射することを、一定の周期で繰返せば、周回する電子数、即ち蓄積される電流は増大する。
図3に示した励磁電流は、例えば図4の回路によって実現することができる。図4を参照して、パータベータパルス電源220は、制御信号生成部400、4つのMOS−FET(以下、単にFETと記す)402、404、406、408、直流電源410、共振用キャパシタ412、及びダンピング抵抗414を備えている。図4のインダクタ416は、パータベータ204を形成するコイルを表している。4つのFET402、404、406、408によって形成される回路は、4つの端子420、422、424、426を介して、電源410、共振用キャパシタ412、及びインダクタ416に接続されている。パータベータパルス電源220から、インダクタ416(パータベータ)に、所定の励磁電流を供給する。パータベータ204のインダクタンスは、例えば150nHである。直流電源は、例えばDC300V、50kWを供給する。
制御信号生成部400は、トリガパルス発振器300から入力されるパルス信号をトリガとして所定の時間、4つのFET402、404、406、408のゲートに所定のタイミングで制御電圧を印加する。制御電圧の一例を、図3に示す。図3では、サイン波の励磁電流と同じ時間軸で、各FETのゲートに印加する制御電圧を示している。制御電圧の周期は、励磁電流の周期と同じである。図3に示すように、FET402及び408にハイレベルの電圧を印加するときには、FET404及び406にはローレベルの電圧を印加する。FET402及び408にローレベルの電圧を印加するときには、FET404及び406にはハイレベルの電圧を印加する。これによって、パータベータ204に両方向の電流を流すことができる。共振用キャパシタ412は、インダクタ416と直列共振を生じるように容量値が設定されている。したがって、図3に示したようなサイン波の電流をパータベータ204に流すことができる。
以下に、実験結果を示す。実験には、既存の蓄積リング装置「MIRRORCLE−CV4(株式会社光子発生技術研究所製)」を用いた。同装置は、卓上型の放射光発生装置であり、パータベータに供給される電流波形は、従来のサイン半波である。実験では、パータベータに電流を供給するためのパルス発生器を、サイン半波ではなく、繰り返しサイン波を発生するように改造した。具体的には、サイン半波を形成するために使用されていたダイオードを取り除いて、連続サイン波を発生させた。強制振動はさせなかったので、実際の励磁電流波形は、サイン波のピークが時間とともに減衰した。なお、パルス発生器は、充電部と磁気圧縮回路とを備えた公知のパルス電源である。パルス電源は、充電部によってキャパシタを充電し、この放電電流を、磁気圧縮回路を通してパルス圧縮し、負荷に印加する。
改造した蓄積リング装置「MIRRORCLE−CV4」を用いて、図2と同様のシステムを構成した。マイクロトロン部からは、260mAのビーム電流を供給した。励磁電流及びビーム電流を繰返し供給する周期は200Hzとした。蓄積された電流値を評価するために、ターゲットから発生するX線強度を測定した。ターゲットには、長さ100μmのタングステン(W)のワイヤを用いた。ターゲットから放射されるX線の強度を、検出器として高エネルギー用イオンチャンバー(ビルドアップキャップ有り)を用いて測定した。検出器とX線ソースとの距離は1200mmとした。
<実験1>
図5に示すように、ビーム電流波形のピークが、減衰するパータベータの励磁電流波形の各ピークに合うように、電子ビームを蓄積リング装置に入射して実験した。パータベータに電流を供給するパルス発生器の初期充電電圧は+600Vにした。図5において、横軸は時間であり、左側の縦軸は励磁電流を表し、右側の縦軸はビーム電流を表す。上段のグラフは、ビーム電流波形のピークを、励磁電流波形の第1番目のピークに合せた場合を示す。同様に、中断及び下段のグラフはそれぞれ、ビーム電流波形のピークを、励磁電流波形の第2番目及び第3番目のピークに合せた場合を示す。
図5に示した条件で観測されたX線強度を表1に示す。
Figure 0005718940
表1の第1波目は、ビーム電流のピークを励磁電流の第1番目のピークに合せたことを表す。第2波目及び第3波目はそれぞれ、ビーム電流のピークを励磁電流の第2番目及び第3番目のピークに合せたことを表す。表1から、同じビーム電流を供給した場合であっても、励磁電流が減少するにつれて、X線強度も減少することが分かる。即ち、蓄積される電流値は、励磁電流の強度に依存する。
<実験2>
図5と同じ励磁電流を加えて、励磁電流波形に対するビーム電流波形の位相を変化させて実験した。具体的には、図6に示すように、ビーム電流波形のピークの位置を、減衰する励磁電流波形の第1番目のピークの位置から変化させて実験した。図6の各軸の意味は、図5と同じである。上段のグラフは、ビーム電流波形のピークを、励磁電流波形の第1番目のピークに合せた場合を示す。中断及び下段のグラフはそれぞれ、ビーム電流波形のピークを、励磁電流波形のピークから90度及び180度遅らせた場合を示す。
図6に示した条件で観測されたX線強度を表2に示す。
Figure 0005718940
ビーム電流波形及び励磁電流波形の位相をずらせるとX線強度が減少していることは、周回軌道に取り込まれる電流量が少ないことを表している。このように、ビーム電流にサイン半波を使用する場合には、電子ビームを蓄積リングに入射するタイミングを、パータベータ励磁電流のタイミングにうまく合せないと、電子の取り込み効率が悪くなる。なお、位相差180度の場合のX線強度(2.9mGy/min)は、パータベータに励磁電流を流さなかった場合のX線強度と同じであった。
<実験3>
パータベータに電流を供給するパルス発生器の初期充電電圧を+650Vにし、図7に示すように、ビーム電流波形のピークを、励磁電流波形の第2番目のピークに合せて実験した。その結果、観測されたX線強度を表3に示す。
Figure 0005718940
表1及び表2から、励磁電流の大きさが同じ(1010A)であれば、第2番目のピークを使用しても、同程度の効率で電子を周回軌道に取り込めることが分かる。
<実験4>
図8に示すように、ビーム電流幅を広げて、同様に実験を行なった。図8の上段及び下段のグラフはそれぞれ、パータベータへの印加電圧を650V及び600Vに設定した場合を示す。その結果、観測されたX線強度を表4に示す。
Figure 0005718940
表1と表4とを比較すると、パータベータへの印加電圧が650Vの場合(励磁電流が第2番目のピークで1010A)、ビーム電流幅を第1番目及び第2番目のピークをカバーするように広げると、X線強度が2倍になることが分かる。パータベータへの印加電圧が600Vの場合には、X線強度は2倍にはならなった。しかし、表4の印加電圧600Vの場合のX線強度20mGy/minは、表1の第1波目及び第2波目のX線強度の和である18.1Gy/min(=11.3+6.8)よりも大きい。これらのことから、励磁電流の第1番目及び第2番目のピークによって、電子を周回軌道に取り込めたことが分かる。
このように、パータベータに連続サイン波の励磁電流を流した状態で、連続サイン波の複数の山が含まれる期間、ビーム電流を流す(蓄積リングに電子を入射する)ことによって、従来よりも大きい電流を周回軌道に取り込むことができる。したがって、X線強度を増大させることができる。また、ビーム電流幅が大きいので、ビームを入射するタイミングを、パータベータに励磁電流を流すタイミングに合せることが不要になる利点がある。従来の共鳴入射法では、パータベータに励磁電流(パルス半波)を流すタイミングに合せて、電子ビーム(パルス半波)を蓄積リングに入射することが必要であるが、これは容易ではない。また、実際にはジッタなどの影響もある。これに対して、本実施の形態では、ジッタの影響を考慮する必要もない。
図9〜図11は、パータベータへの印加電圧を650Vに設定し、ビーム電流幅を変化させて、X線イメージングを行なった結果を示す。イメージングの対象物には、市販の「テストチャートType14(極光株式会社製)」を用いた。これは、X線イメージングの解像度を評価するために使用され、厚さ30μmの鉛シートに幅の異なる複数の溝が刻まれた装置である。
図9の上段の画像、及び図10の画像は、ビーム電流幅を従来の幅(約150ns)にした場合の画像である。図9の下段の画像、及び図11の画像は、ビーム電流幅を従来の2倍(約300ns)にした場合の画像である。図10及び図11の上段の画像はそれぞれ、図9の上段及び下段の画像における右側の一部を拡大した画像である。図10及び図11において、下段の画像は、上段の画像における横方向の直線上の輝度を表すグラフである。
図9〜図11から分かるように、ビーム電流幅を広くしても、従来と同等の品質のX線画像が得られることが分かる(20本/mmのラインが識別できているので、解像度は1mm/40=25μmである)。即ち、パータベータ励磁電流として連続サイン波を使用しても、周回軌道に一旦取り込まれた電子にほとんど影響しないことが分かった。また、周回軌道から外れたエスケープ電子によるバックグラウンドX線の影響はほとんど無いことが分かった。
上記では、蓄積リング本体200内に加速空洞206を備える場合を説明したが、加速空洞206は無くてもよい。
また、図4は、4つのFET402、404、406、408が形成する回路を1つ含む場合を示したが、必要な電流量に応じて、同様の回路を複数並列に接続してもよい。即ち、別途に4つのFETを用いて図4と同様の回路を形成し、図4の4つの端子420、422、424、426で並列に接続すればよい。その場合、追加した回路のFETのゲートには、FET402、404、406、408と同様の制御電圧を印加すればよい。
また、パータベータパルス電源220は図4に示した回路に限定されない。連続サイン波で励磁電流をパータベータに供給することができる電源であればよい。
また、ビーム電流は、図3に示したように値がほぼ一定になる範囲を含んでいなくてもよい。ビーム電流幅(タイミングウインドウ)が、励磁電流の連続サイン波の複数の山を含む期間であれば、ビーム電流値が変化しても、周回軌道に取り込まれる電子数(電流値)が変化するだけである。
また、励磁電流の振幅は略一定であることが望ましいが、周期が略一定であれば、振幅が時間的に変動してもよい。励磁電流の振幅が変化しても、周回軌道に取り込まれる電子数(電流値)が変化するだけである。
また、マイクロトロンにRFを供給する装置は、クライストロンに限定されず、マグネトロンを用いてもよい。さらに、マイクロトロン以外の装置を用いて電子ビームを生成してもよい。
また、上記では、電子蓄積リングに電子ビームを入射する場合について説明したが、これに限定されない。本発明は、ベータトロン振動を起こす荷電粒子を摂動装置によって周回軌道に取り込む蓄積リングに、荷電粒子ビームを入射する場合に適用できる。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
本発明によれば、サイン半波を使用する従来の共鳴入射法よりも大きい電流を蓄積リング内に蓄積することができ、従来よりも強度の強いX線を発生することができる。

Claims (4)

  1. 外部から入射する荷電粒子を摂動装置によって周回させる蓄積リングに荷電粒子ビームを入射する方法であって、
    前記摂動装置に、電流強度がサイン波で変化する電流を連続的に流した状態で、
    前記蓄積リングに前記荷電粒子ビームを入射し、
    前記摂動装置に前記電流を連続的に流す時間は、前記サイン波の1周期よりも長い時間である、荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法。
  2. 前記摂動装置に連続的に電流を流す時間は、前記サイン波の周期の2倍以上の時間である、請求項1に記載の荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法。
  3. 前記サイン波の周期の2倍以上の時間、前記荷電粒子蓄積リングに前記荷電粒子ビームを入射する、請求項2に記載の荷電粒子蓄積リングへのビーム入射方法。
  4. 外部から入射する荷電粒子を摂動装置によって周回させる蓄積リングと、
    前記摂動装置に電流を供給する電源と、
    荷電粒子ビーム生成装置とを備え、
    前記電源が、前記摂動装置に、電流強度がサイン波で変化する電流を連続的に流した状態で、前記荷電粒子ビーム生成装置が、生成した荷電粒子ビームを前記蓄積リングに入射し、
    前記摂動装置に前記電流を連続的に流す時間は、前記サイン波の1周期よりも長い時間である、荷電粒子蓄積システム。
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