図1は、実施例1に係る切替器を有するシステムの構成を示すブロック図の例である。実施例1では、シングルユーザKVMスイッチと称される切替器の場合を例に説明する。図1のように、KVMシステム100は、切替器10と、複数のサーバ12−1〜12−N(Nは2以上の整数である。以下同じ。)と、を備える。切替器10と複数のサーバ12−1〜12−Nとは、KVMケーブル14−1〜14−Nを介して接続されている。切替器10は、キーボードとして使用される第1マルチタッチパネル、マウスカーソルの操作に用いられるタッチパッド、及びディスプレイを内蔵する。切替器10の詳細については後述する。
切替器10は、内蔵する第1マルチタッチパネル及びタッチパッドで入力されたキーデータ及びマウスデータに基づき、複数のサーバ12−1〜12−Nの中から操作対象となるサーバに接続を切替える。
ここで、操作対象のサーバとしてサーバ12−1に接続が切替えられた場合を例に、サーバ12−1と切替器10との間で伝送されるデータの流れを簡単に説明する。サーバ12−1で生成された例えばRGB信号の画像データは、KVMケーブル14−1を介して、RGB信号のまま切替器10に伝送される。そして、切替器10に内蔵されたディスプレイに画像が表示される。また、切替器10に内蔵された第1マルチタッチパネル及びタッチパッドで入力されたキーデータ及びマウスデータは、KVMケーブル14−1を介して、入力されたキーデータ及びマウスデータのままサーバ12−1に伝送される。このように、切替器10に内蔵された第1マルチタッチパネル、タッチパッド、及びディスプレイを用いて、操作対象のサーバ12−1を操作することができる。
次に、実施例1に係る切替器について詳しく説明する。図2は、実施例1に係る切替器の斜視図の例である。図2のように、切替器10は、直方体形状をしており、本体16と、本体16の上面に一辺が固定され、その一辺を軸として開閉可能なカバー18と、で構成される。なお、図2においては、カバー18が閉じられている状態を図示している。本体16の1つの側面には、サーバ12−1〜12−Nを接続するためのサーバ用ポート20−1〜20−Nと、例えばマウス等が接続されるUSB用ポート22と、が設けられている。なお、サーバ用ポート20−1〜20−NとUSB用ポート22とは同じ側面に設けられている場合に限られず、異なる側面に設けられている場合でもよい。
図3は、実施例1に係る切替器の上面図の例である。なお、図3においては、カバー18が開いている状態を図示している。図3のように、本体16の上面には、操作対象のサーバを操作するキーボードとして利用される第1マルチタッチパネル24と、OSD(オンスクリーンディスプレイ)の選択に使用される第2マルチタッチパネル26と、マウスカーソルの操作に使用されるタッチパッド28と、マウスクリックと同じ機能を持つボタン30と、動作状態に応じて点灯、点滅等する例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光部32と、が設けられている。カバー18には、例えば液晶型のディスプレイ34が設けられている。カバー18にディスプレイ34を設けることで、小スペースで大画面を得ることができる。
図4は、実施例1に係る切替器の機能構成を示すブロック図の例である。図4のように、第1マルチタッチ制御部36、第2マルチタッチ制御部38、マウス制御部40、USBホスト制御部42、及びサーバ切替制御部44を有する制御部46と、記憶部48と、サーバ側通信部50と、を備える。
第1マルチタッチ制御部36は、第1マルチタッチパネル24に関して制御を行う。例えば、第1マルチタッチ制御部36は、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する。また、第1マルチタッチ制御部36は、ユーザによる第1マルチタッチパネル24への押下位置が記憶部48に予め記憶されたパスワードと一致するか否かのパスワード認証を行う。さらに、第1マルチタッチ制御部36は、第1マルチタッチパネル24で入力されたキーデータをサーバ切替制御部44に出力する。
第2マルチタッチ制御部38は、第2マルチタッチパネル26に関して制御を行う。例えば、第2マルチタッチ制御部38は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から1つのOSDを選択する。そして、第2マルチタッチ制御部38は、選択したOSDをディスプレイ34に出力する。
マウス制御部40は、タッチパッド28及びボタン30に関して制御を行う。例えば、マウス制御部40は、タッチパッド28及びボタン30で入力されたマウスデータをサーバ切替制御部44に出力する。
USBホスト制御部42は、USB用ポート22に接続された機器に関して制御を行う。例えば、USB用ポート22にマウスが接続された場合は、USBホスト制御部42は、マウスで入力されたマウスデータをサーバ切替制御部44に出力する。
サーバ切替制御部44は、第1マルチタッチ制御部36から出力されたキーデータ及びマウス制御部40から出力されたマウスデータに基づき、複数のサーバ12−1〜12−Nの中から操作対象となるサーバに接続を切替える。
サーバ側通信部50は、操作対象のサーバに対して、第1マルチタッチ制御部36及びマウス制御部40から出力されたキーデータ及びマウスデータを送信する。また、サーバ側通信部50は、操作対象のサーバから送信された例えばRGB信号の画像データを受信し、ディスプレイ34に出力する。
図5は、実施例1に係る切替器のハードウエア構成を示すブロック図の例である。図5のように、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)54、RAM(Random Access Memory)56、ハードディスクドライブ(HDD)58、第1マルチタッチパネル24、第2マルチタッチパネル26、タッチパッド28、ディスプレイ34、サーバ用ポート20、USB用ポート22、及びタイマ64を有する。これらCPU52、ROM54、RAM56、HDD58、第1マルチタッチパネル24、第2マルチタッチパネル26、タッチパッド28、ディスプレイ34、サーバ用ポート20、USB用ポート22、及びタイマ64は、互いにバス66を介して電気的に接続している。CPU52は、ROM54やHDD58に予め記憶されたプログラムに従い、RAM56をワークメモリとして用いて、切替器全体を制御する。
図4における、制御部46は、制御プログラムに従って各種の処理を実行するCPU52に相当する。記憶部48は、HDD58に相当する。記憶部48には、上述したように、第1マルチタッチパネル24で使用される複数のキー配列や、第2マルチタッチパッド26により選択される複数のOSD、パスワード認証に使用されるパスワード等が予め記憶されている。サーバ側通信部50は、サーバ用ポート20に相当する。
図6は、実施例1に係る切替器の制御部46において、CPU52等のハードウエアとROM54等に記憶されたソフトウエアとの協働によって実現される機能を示すブロック図である。図6のように、制御部46は、OSD選択部68、OSD表示制御部70、キー配列設定部72、及びパスワード認証部74を有する。
OSD選択部68は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から1つのOSDを選択する。例えば、OSD選択部68は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列を設定するためのキー配列設定OSDを選択する。
OSD表示制御部70は、OSD選択部68で選択されたOSDをディスプレイ34に表示する。例えば、OSD選択部68でキー配列設定OSDが選択された場合は、OSD表示制御部70は、キー配列設定OSDをディスプレイ34に表示する。
キー配列設定部72は、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する。例えば、キー配列設定部72は、ディスプレイ34に表示されたキー配列設定OSDでユーザが選択したキー配列を、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から選択して、第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列として設定する。
パスワード認証部74は、ユーザによる第1マルチタッチパネル24への押下位置が、記憶部48に予め記憶されたパスワードと一致するか否かによるパスワード認証を行う。
次に、実施例1に係る切替器で実行される処理について説明する。図7及び図8は、実施例1に係る切替器で実行される処理を示すフローチャートの例である。図7のように、ユーザが第2マルチタッチパネル26を押下すると、制御部46は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が1点のみの押下であるかを判断する(ステップS10)。1点のみの押下である場合(ステップS10でYesの場合)は、制御部46は、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から、例えばキー配列設定OSDを選択し、ディスプレイ34に表示する(ステップS12)。
1点のみの押下でない場合(ステップS10でNoの場合)は、制御部46は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が2点同時押下であるかを判断する(ステップS14)。2点同時押下である場合(ステップS14でYesの場合)は、制御部46は、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から、例えばサーバ切替設定OSDを選択し、ディスプレイ34に表示する(ステップS16)。なお、サーバ切替設定OSDとは、切替器10に接続する複数のサーバ12−1〜12−Nの中から操作対象とするサーバを選択し接続を切替えるためのOSDである。
2点同時押下でもない場合(ステップS14でNoの場合)は、制御部46は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が3点同時押下であるかを判断する(ステップS18)。3点同時押下である場合(ステップS18でYesの場合)は、制御部46は、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から、例えばパスワード設定OSDを選択し、ディスプレイ34に表示する(ステップS20)。なお、パスワード設定OSDとは、パスワード認証に用いるパスワードを設定するためのOSDである。
ここでは、ユーザによる第2マルチタッチパッド26への押下が1点押下で、ディスプレイ34にキー配列設定OSDが表示されたとして以下説明をする。図9に、ディスプレイ34に表示されるキー配列設定OSDの例を示す。図9のように、キー配列設定OSDは、UNIX(登録商標)やSUN(登録商標)等のOSや、各OSにおける日本、アメリカ等の言語に対応した複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択する画面である。なお、図9で表示する言語は、WINDOWS(登録商標)OSの言語の場合を例に表示している。制御部46は、キー配列設定OSDでユーザが選択したキー配列を、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から選択して、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する(ステップS22)。キー配列設定OSDでのキー配列の選択は、タッチパッド28及びボタン30を用いて選択することができる。また、既に第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列が設定されていて、キー配列の変更をする場合では、第1マルチタッチパネル24を用いて選択することもできる。
このように、OS及びOSの言語に対応した複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列として設定できることで、例えば、切替器10に接続する複数のサーバ12−1〜12−NのOSの言語が、図1のように、英語、ドイツ語、韓国語等異なる言語である場合でも、操作対象となるサーバのOSの言語に対応したキー配列を容易に得ることができる。ユーザは、操作対象のOS及びOSの言語に対応したキーボードパターンが印刷された、例えばゴム状のシートを第1マルチタッチパネル24の上面に配置することで、通常のキーボードと同様の操作をすることが可能となる。図10(a)及び図10(b)に、キーボードパターンが印刷されたシート75の例を、図10(c)に、第1マルチタッチパネル24の上面にシート75が配置された場合の切替器10の上面図の例を示す。図10(a)は、SUN(登録商標)OSに対応するキーボードパターンが印刷されたシート75の例であり、図10(b)は、WINDOWS(登録商標)OSに対応するキーボードパターンが印刷されたシート75の例である。
次いで、図8のように、制御部46は、ユーザによる第1マルチタッチパッド24への1点目の押下位置が、記憶部48に予め記憶されたパスワードの押下位置と一致するか判断する(ステップS24)。図11(a)及び図11(b)は、第1マルチタッチパッド24の上面図の例であり、各区画はそれぞれ1つのキーに対応することを表している。図11(a)のように、例えば記憶部48に予め記憶されたパスワードで、1点目の押下位置が斜線区画の2つのキー(例えば、キーボードパターンでは2つのアルファベット)を同時押下と設定されている場合は、制御部46は、ユーザによる1点目の押下が、斜線区画の2つのキー(例えば、2つのアルファベット)を同時に押下しているか判断する。
パスワードの押下位置と一致する場合(ステップS24でYesの場合)は、制御部46は、内蔵する30ms(ミリセコンド)設定のタイマ64を起動させる(ステップS26)。制御部46は、タイマ64が満了したかを監視していて(ステップS28)、タイマ64が満了する前(ステップS28でNoの場合)に、ユーザによる第1マルチタッチパネル24への2点目の押下があったかどうか判断する(ステップS30)。タイマ64が満了した場合(ステップS28でYesの場合)は、制御部46は、再度ステップS24の判断に戻る。
タイマ64満了前にユーザによる第1マルチタッチパネル24への2点目の押下があった場合(ステップS30でYesの場合)は、制御部46は、2点目の押下位置が、記憶部48に予め記憶されたパスワードの押下位置と一致するか判断する(ステップS32)。図11(b)のように、例えば記憶部48に予め記憶されたパスワードで、2点目の押下位置が斜線区画の1つのキーを押下と設定されている場合は、制御部46は、ユーザによる2点目の押下が、斜線区画の1つのキーを押下しているか判断する。パスワードの押下位置と一致する場合(ステップS32でYesの場合)は、制御部46は、パスワードの承認をする(ステップS34)。
以上説明してきたように、実施例1に係る切替器によれば、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して、操作対象のサーバを操作するキーボードとして利用される第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する。これにより、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列を容易に変更でき、様々なキー配列のキーボードを容易に得ることができる。例えば、図1のように、切替器10に接続される複数のサーバ12−1〜12−NのOSの言語が異なる場合でも、操作対象となるサーバのOSの言語に対応したキー配列のキーボードを容易に得ることができる。また、切替器10に接続される複数のサーバ12−1〜12−NのOSが、例えばWINDOWS(登録商標)やSUN(登録商標)等のように異なる場合であっても、操作対象となるサーバのOSに対応してキー配列のキーボードを容易に得ることができる。
また、ユーザが選択したキー配列を記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から選択して、キーボードとして利用される第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する場合が好ましい。これにより、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列をユーザが容易に選択できる。なお、ユーザによるキー配列の選択方法として、実施例1ではキー配列設定OSDを用いた場合を例に示したが、この場合に限られる訳ではない。
また、記憶部48には第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列を設定するためのOSDを含む複数のOSDが予め記憶されており、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から1つのOSDを選択する場合が好ましい。これにより、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列が設定されているか否かに関らず、ユーザはOSDの選択を容易に行うことができる。
なお、実施例1では、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が1点押下、2点同時押下、3点同時押下のいずれかによって、選択されるOSDが異なる場合を例に示した。ユーザによるOSDの選択を容易にできるという点からは、このように、同時に押下する個数によって選択されるOSDが異なる場合が好ましい。同時に押下する個数によって選択されるOSDが異なる場合は、押下する位置は所定の領域内に決められることとなる。即ち、1点押下の場合は、所定領域内を1点押下し、2点同時押下の場合は、2つの所定領域内それぞれを同時に押下し、3点同時押下の場合は、3つの所定領域内それぞれを同時に押下することとなる。また、第2マルチタッチパネル26を同時に押下する個数だけでなく、パスワード認証の箇所で説明したような、押下する順番の時間的要素を加えた場合でもよい。さらに、同時に押下する個数の場合以外でも、例えば、第2マルチタッチパネル26を複数の領域に分け、どの領域内の1点を押下されたかによって選択されるOSDが異なる場合でもよい。また、第2マルチタッチパネル26への1点押下を何回繰り返すかによって選択されるOSDが異なる場合でもよい。このように、OSDの選択にあたって1点だけを押下する場合は、複数の点を同時に触れて操作できるマルチタッチパネルではなく、1点だけに触れた操作が可能なタッチパネルの場合でもよい。
実施例1では、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの例として、キー配列設定OSD、サーバ切替設定OSD、及びパスワード設定OSDの場合を例に挙げたが、これに限られる訳ではない。例えば、その他にディスプレイ34の明るさやコントラストを設定するOSD、音量を設定するOSD、第2マルチタッチパネル26の押下方法に応じて選択されるOSDを変更するOSD等が、予め記憶されている場合でもよい。
図2及び図3のように、切替器10は、本体16と、本体16の上面に配置されたカバー18と、を備える。そして、本体16の上面には第1マルチタッチパネル24とタッチパッド28とが設けられ、カバー18にはディスプレイ34が設けられている。第1マルチタッチパネル24はキーボードとして利用され、タッチパッド28はマウスカーソルの操作に用いられることから、切替器10には、キーボードとマウスとディスプレイとが内蔵されていることになる。これにより、切替器とキーボード、マウス、及びディスプレイとが別々に配置されている場合に比べて、操作スペースを削減することができる。なお、実施例1では、カバー18は、本体16の上面に一辺が固定され、その一辺を軸として開閉する場合を例に示したが、これに限られず、その他の方法により本体16の上面に配置されている場合でもよい。
また、ユーザによる第1マルチタッチパッド24への押下位置が、記憶部48に予め記憶された第1マルチタッチパッド24への押下位置で定められたパスワードと一致するか否かによりパスワード認証を行う場合が好ましい。これにより、所定の動作に対して制限を課すことが可能となり、セキュリティを向上させることができる。例えば、パスワード認証がなされないと、サーバの接続切替や操作対象のサーバにキーデータ等の送信を制限することが可能となる。なお、セキュリティはあまり問題とせず、操作の簡便性を求める場合は、パスワード認証を行わない設定としてもよい。
図8で説明したように、パスワード認証は、第1マルチタッチパネル24への1点目の押下位置と、その後の2点目の押下位置とが、それぞれパスワードで設定された押下位置に一致するか否かで、パスワードの承認の判断をしている。即ち、図8で説明したパスワード認証では、パスワードは第1マルチタッチパネル24への押下位置に加えて、押下順番の時間的要素も含んでいる。このように、押下位置に加えて、押下順番の時間的要素も含めることで、セキュリティをより向上させることができる。なお、第1マルチタッチパネル24の押下順番は含まずに、第1マルチタッチパネル24への1点目の押下位置だけでパスワード認証を行う場合でもよい。
図10(a)及び図10(b)のように、キーボードパターンが印刷されたシート75はゴム状である場合を例に示した。これにより、図10(c)のように、シート75を第1マルチタッチパネル24の上面に配置した場合に、シート75が滑り、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列とシート75に印刷されたキーボードパターンとがずれてしまうことを抑制できる。なお、シート75は、ゴム状である場合に限られない。シート75は、第1マルチタッチパネル24の上面への張替えが可能であればよく、滑りが抑制できるような材料である場合がより好ましい。例えば、シート75が磁力によって第1マルチタッチパネル24の上面に固定されている場合でもよい。
実施例1では、シングルユーザKVMスイッチと称される切替器の場合を例に示したが、これに限られず、マルチユーザKVMスイッチと称される切替器の場合でもよい。図12は、マルチユーザKVMスイッチと称される切替器の場合のシステムの構成を示すブロック図の例である。図12のように、KVMシステム200は、複数のサーバ12−1〜12−N、切替器10、及び複数のコンソール80−1〜80−Nを有する。
切替器10には、KVMケーブル14−1〜14−Nを介して複数のサーバ12−1〜12−Nが接続されている。また、切替器10には、KVMケーブル82−1〜82−Nを介して複数のコンソール80−1〜80−Nが接続されている。各コンソールは、キーボード、マウス、及びディスプレイを有する。切替器10は、複数のサーバ12−1〜12−Nと複数のコンソール80−1〜80−Nとの間のKVM信号の切替えを行う。例えば、切替器10は、コンソール80−1のキーボード80a−1及びマウス80b−1で入力されたキーデータ及びマウスデータに基づき、コンソール80−1で操作対象となるサーバを、複数のサーバ12−1〜12−Nの中から選択して接続を切替える。コンソール80−2〜80−Nについても、同様に、操作対象となるサーバに接続を切替える。
ここで、例えば、コンソール80−1で操作対象となるサーバがサーバ12−1である場合について、サーバ12−1とコンソール80−1との間で伝送されるデータの流れを簡単に説明する。サーバ12−1で生成された例えばRGB信号の画像データは、KVMケーブル14−1を介してRGB信号のまま切替器10に伝送される。切替器10に伝送されたRGB信号の画像データは、KVMケーブル82−1を介してRGB信号のままコンソール80−1に伝送される。このように、サーバ12−1で生成された画像データは、切替器10を介して、同じ信号形式のままコンソール80−1に伝送され、コンソール80−1のディスプレイ80c−1に表示される。
また、コンソール80−1のキーボード80a−1及びマウス80b−1で入力されたキーデータ及びマウスデータは、切替器10を介して、キーボード80a−1及びマウス80b−1で入力されたのと同じキーデータやマウスデータのままサーバ12−1に入力される。したがって、コンソール80−1がサーバ12−1にあたかも直接接続しているように、コンソール80−1でサーバ12−1を操作することができる。
なお、切替器10と複数のコンソール80−1〜80−Nとの間は、KVMケーブルで接続される場合に限られず、例えばネットワークを介して接続される場合でもよい。ネットワークを介して接続される場合は、サーバ12−1で生成された例えばRGB信号の画像データは、RGB信号のままKVMケーブル14−1を介して切替器10に伝送され、切替器10でIPパケットデータに変換される。そして、IPパケットデータはネットワークを介してコンソール80−1に伝送され、コンソール80−1でIPパケットデータからサーバ12−1で生成された画像データと同じ形式の信号であるRGB信号の画像データが取得される。また、コンソール80−1で入力されたキーデータ及びマウスデータは、コンソール80−1でIPパケットデータに変換された後、ネットワークを介して切替器10に伝送される。そして、切替器10でIPパケットデータからキーデータ及びマウスデータが取得されて、コンソール80−1で入力されたのと同じキーデータ及びマウスデータがKVMケーブル14−1を介してサーバ12−1に入力される。
実施例2に係る切替器は、第1マルチタッチパネル24にキー配列が自動で表示される場合の例である。実施例2に係る切替器において、図1から図5については実施例1に係る切替器の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。なお、実施例1に係る切替器の制御部46と区別するために、実施例2に係る切替器の制御部を制御部46aと表示することとする。
図13は、実施例2に係る切替器の制御部46aにおいて、CPU等のハードウエアとROM等に記憶されたソフトウエアとの協働によって実現される機能を示すブロック図の例である。図13のように、実施例2に係る切替器の制御部46aは、OSD選択部68、OSD表示制御部70、キー配列設定部72、及びキー表示制御部76を有する。なお、実施例2では、実施例1に示したパスワード認証部74を有していないが、実施例1と同様にパスワード認証部74を有する場合でもよい。
OSD選択部68は、実施例1と同様に、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から1つのOSDを選択する。例えば、OSD選択部68は、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下方法に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列を設定するためのキー配列設定OSDを選択する。
OSD表示制御部70は、実施例1と同様に、OSD選択部68で選択されたOSDをディスプレイ34に表示する。例えば、OSD表示制御部70は、OSD選択部68で選択されたキー配列設定OSDをディスプレイ34に表示する。
キー配列設定部72は、実施例1と同様に、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して第1マルチタッチパネル24で使用するキー配列として設定する。例えば、キー配列設定部72は、ディスプレイ34に表示されたキー配列設定OSDでユーザが選択したキー配列を、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から選択して、第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列として設定する。
キー表示制御部76は、キー配列設定部72で設定されたキー配列を第1マルチタッチパネル24に表示する。具体的には、第1マルチタッチパネル24は、ディスプレイ部とディスプレイ部上に設けられた透明のパネル部との2段構成をしており、キー表示制御部76は、ディスプレイ部にキー配列設定部72で設定されたキー配列を表示する。即ち、第1マルチタッチパネル24は、タッチパネルディスプレイである。
次に、実施例2に係る切替器で実行される処理について説明する。図14は、実施例2に係る切替器で実行される処理を示すフローチャートの例である。図14のように、ユーザが第2マルチタッチパネル26を押下すると、制御部46aは、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が1点のみの押下であるかを判断する(ステップS40)。1点のみの押下である場合(ステップS40でYesの場合)は、制御部46aは、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から、例えばキー配列設定OSDを選択し、ディスプレイ34に表示する(ステップS42)。
1点のみの押下でない場合(ステップS40でNoの場合)は、制御部46aは、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が2点同時押下であるかを判断する(ステップS44)。2点同時押下である場合(ステップS44でYesの場合)は、制御部46aは、記憶部48に予め記憶された複数のOSDの中から、例えばサーバ切替設定OSDを選択し、ディスプレイ34に表示する(ステップS46)。
ここでは、ユーザによる第2マルチタッチパネル26への押下が1点押下で、ディスプレイ34にキー配列設定OSDが表示されたとして以下説明する。制御部46aは、キー配列設定OSDでユーザが選択したキー配列を、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から選択して、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する(ステップS48)。次いで、制御部46aは、ステップS46で設定されたキー配列を第1マルチタッチパッド24に表示する(ステップS50)。
以上説明してきたように、実施例2に係る切替器によれば、キー配列設定部72で設定されたキー配列を、第1マルチタッチパッド24に表示する。これにより、実施例1では、キー配列設定部72で設定したキー配列に応じて、対応したキーボードパターンが印刷されたシート75を第1マルチタッチパッド24の上面に張替えることを行っていたが、実施例2では、このようなシート75を用いることなく、通常のキーボードと同様の操作を行うことが可能となる。したがって、実施例2によれば、様々なキー配列のキーボードをより容易に得ることができる。
実施例3に係る切替器は、操作対象のサーバに対応したキー配列が、第1マルチタッチパネル24に自動で表示される場合の例である。実施例3に係る切替器において、図1から図5については実施例1に係る切替器の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。なお、実施例1に係る切替器の制御部46及び実施例2に係る切替器の制御部46aと区別するために、実施例3に係る切替器の制御部を制御部46bと表示することとする。
図15は、実施例3に係る切替器の制御部46bにおいて、CPU等のハードウエアとROM等に記憶されたソフトウエアとの協働によって実現される機能を示すブロック図の例である。図15のように、実施例3に係る切替器の制御部46bは、情報取得部78、キー配列設定部72、及びキー表示制御部76を有する。なお、実施例3では、実施例1で示したパスワード認証部74を有していないが、実施例1と同様にパスワード認証部74を有する場合でもよい。
情報取得部78は、複数のサーバ12−1〜12−Nのうち操作対象となるサーバからOS情報を取得する。例えば、情報取得部78は、操作対象となるサーバからOSやOSの言語の情報等、そのサーバに用いられるキーボードに関する情報を取得する。
キー配列設定部72は、実施例1と同様に、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択し第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する。例えば、キー配列設定部72は、情報取得部78で取得されたOS情報に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択し、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する。
キー表示制御部76は、実施例2と同様に、キー配列設定部72で設定されたキー配列を第1マルチタッチパネル24に表示する。即ち、実施例3においても、第1マルチタッチパネル24は、タッチパネルディスプレイである。
次に、実施例3に係る切替器で実行される処理について説明する。図16は、実施例3に係る切替器で実行される処理を示すフローチャートである。図16のように、制御部46bは、複数のサーバ12−1〜12−Nのうち操作対象となるサーバに接続が切替えられると(ステップS60)、接続が切替えられた操作対象のサーバからOS情報を取得する(ステップS62)。例えば、制御部46bは、操作対象のサーバからOSの言語についての情報を取得する。図1において、操作対象のサーバとしてサーバ12−1に接続が切替えられた場合、制御部46bは、操作対象のサーバ12−1からOSの言語が英語であるとの情報を取得する。
次いで、制御部46bは、ステップS62で取得したOS情報に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択し、第1マルチタッチパネル24で使用されるキー配列として設定する(ステップS64)。例えば、ステップS62で取得した情報がOSの言語が英語であるとの情報であった場合、制御部46bは、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から英語に対応したキー配列を選択して、第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列として設定する。
次いで、制御部46bは、ステップS64で設定されたキー配列を、第1マルチタッチパネル24に表示する(ステップS66)。例えば、ステップS64で英語に対応したキー配列が設定された場合、制御部46bは、英語に対応したキー配列を第1マルチタッチパッド24に表示する。
以上説明してきたように、実施例3に係る切替器によれば、複数のサーバ12−1〜12−Nのうち操作対象となるサーバからOS情報を取得し、取得したOS情報に基づいて、記憶部48に予め記憶された複数のキー配列の中から1つのキー配列を選択して、第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列として設定する。そして、第1マルチタッチパッド24に設定されたキー配列を表示する。これにより、操作対象となるサーバに対応したキー配列を第1マルチタッチパネル24に自動で表示させることができ、操作対象のサーバに対応したキー配列のキーボードをさらに容易に得ることができる。
操作対象となるサーバから取得するOS情報には、WINDOWS(登録商標)やSUN(登録商標)等のOSの情報の他に、OSの言語についての情報を含む場合が好ましい。これにより、切替器10に接続する複数のサーバのOSが異なる場合や、OSの言語が異なる場合に、操作対象のサーバに対応したキー配列のキーボードを容易に得ることができる。つまり、操作対象となるサーバから取得するOS情報には、操作対象となるサーバに用いられるキーボードに関する情報が含まれる場合が好ましい。
実施例3では、取得したOS情報に基づいて第1マルチタッチパッド24で使用されるキー配列を設定し、設定したキー配列を第1マルチタッチパネル24に表示する場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。例えば、取得したOS情報に基づいて設定したキー配列を、第1マルチタッチパネル24には表示させずに、実施例1のように、第1マルチタッチパネル24の上面に、設定したキー配列に対応したキーボードパターンが印刷されたシート75を配置する場合でもよい。この場合、取得したOS情報が何であるかをディスプレイ34に表示させる場合が好ましい。これにより、設定したキー配列に対応したキーボードパターンが印刷されたシート75の選択が容易にできる。
実施例1から実施例3では、切替器としてKVMスイッチの場合を例に示したが、これに限られず、複数のサーバが接続され、操作対象となるサーバの切替えを行う切替器であればその他のものであってもよい。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。