以下、本開示を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本開示が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。
図1〜図26を参照して、一実施形態に係るテープ印字装置1およびテープカセット30について、以下に後述する。以下の説明では、図1および図2の左下側、右上側、右下側、左上側を、それぞれテープ印字装置1の前側、後側、右側、左側とする。また、図3の右下側、左上側、右上側、左下側を、それぞれテープカセット30の前側、後側、右側、左側とする。
なお、以下の説明で使用される図3、図4等において、カセット装着部8の周囲を形成する壁が図示されている場合、これらの図はあくまでも模式図であるため、図中に示す壁は、実際よりも厚く描かれている。また、図3のテープカセット30とカセット装着部8とを示す斜視図に図示されているギヤ91、93、94、97、98、101を含むギヤ群は、実際には、キャビティ811の底面により覆い隠されている。しかし、これらのギヤ群を説明する必要上、これらの図には、キャビティ811の底面は図示されていない。また、図4〜図7等において、カセット装着部8に装着された状態で図示されているテープカセット30は、上ケース311が取り外された状態のものである。
はじめに、テープ印字装置1の概略構成について説明する。テープ印字装置1は、サーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットが使用可能な汎用のテープ印字装置である。なお、サーマルタイプは、感熱紙テープのみが収納された種類のテープカセットである。レセプタタイプは、印字テープとインクリボンとが収納された種類のテープカセットである。ラミネートタイプは、両面粘着テープとフィルムテープとインクリボンとが収納された種類のテープカセットである。感熱ラミネートタイプは、両面粘着テープと感熱紙テープとが収納された種類のテープカセットである。
図1および図2に示すように、テープ印字装置1は、略直方体形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2の前側には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キー等を含むキーボード3が配設されている。キーボード3の後側には、入力した文字や記号を表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(図3参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。本体カバー2の左側面後方には、印字済みのテープを外部に排出するための排出スリット111が設けられている。カセットカバー6の左側面には、カセットカバー6を閉じた状態で排出スリット111を外部に露出させる排出窓112が形成されている。本体カバー2の内部には、カセット装着部8が設けられている。カセットカバー6の前面略中央には、下面から下方に突出する鉤状の係止ロック411が設けられている。本体カバー2には、係止ロック411に対応する位置にロック孔412が設けられている。カセットカバー6が閉じられると、係止ロック411がロック孔412に嵌め込まれて、カセットカバー6の自然開放が防止される。
図3〜図10を参照して、カセットカバー6下の本体カバー2の内部構造について説明する。図3〜図10では、理解を容易にするために、本体カバー2の内部構造(特に、カセット装着部8の形状や構造など)を模式的に表している。図3に示すように、カセット装着部8は、テープカセット30が着脱自在な領域であり、キャビティ811と、角支持部812とを含む。キャビティ811は、カセットケース31の底面302の形状と略対応するように凹設され、平面である底面を有する。角支持部812は、キャビティ811の外縁から水平に延びる平面部である。角支持部812は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、テープカセット30の周縁(より詳細には、第1〜第4角部321〜324)の下面に対向する部位である。
角支持部812の2箇所に、2つの位置決めピン102、103が設けられている。より具体的には、キャビティ811の左側に位置決めピン102が、キャビティ811の右側に位置決めピン103が、それぞれ設けられている。位置決めピン102および103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、下ケース312に形成された2つの凹部であるピン孔62および63(図14参照)がそれぞれ対応する位置に設けられている。各位置決めピン102、103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合にピン孔62、63に挿入され、テープカセット30の周縁部の左右位置でテープカセット30を前後・左右方向に位置決めする。
カセット装着部8の右側後部における角支持部812には、後述するガイド孔47に挿脱されるガイド軸120が立設されている。ガイド軸120は、略円柱状をなす軸体であるが、直径が異なる2つの軸部(大径軸部120Aおよび小径軸部120B)と、大径軸部120Aと小径軸部120Bとを連設させるテーパ部120Cとからなる(図19参照)。大径軸部120Aは、ガイド軸120の基端側を構成する軸部であり、ガイド軸120において直径が最も大きい部位である。小径軸部120Bは、ガイド軸120の先端側を構成する軸部であり、大径軸部120Aよりも直径が小さい。大径軸部120Aと小径軸部120Bとの間には、大径軸部120Aから小径軸部120Bに向けて軸径が漸減してテーパ状の傾斜面を形成するテーパ部120Cが設けられている。
図3に示すように、カセット装着部8の前部には、発熱体(図示せず)を備えるサーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74が固設されている。カセット装着部8の外側(図3では右上側)には、ステッピングモータであるテープ送りモータ23が配設されている。テープ送りモータ23の駆動軸の下端にはギヤ91が固着されている。ギヤ91は開口を介してギヤ93に噛み合っている。ギヤ93は、ギヤ94に噛み合っている。ギヤ94の上面には、後述するリボン巻取スプール44(図4参照)の回転駆動を行うリボン巻取軸95が立設されている。リボン巻取軸95には、その軸体の基端側から先端側に向けて延びる複数のカム部材95Aが、平面視で放射状に設けられている(図19参照)。さらに、ギヤ94は、ギヤ97に噛み合っている。ギヤ97は、ギヤ98に噛み合っている。ギヤ98は、ギヤ101に噛み合っている。ギヤ101の上面には、後述するテープ駆動ローラ46の回転駆動を行うテープ駆動軸100が立設されている。テープ駆動軸100には、その軸体の基端側から先端側に向けて延びる複数のカム部材100Aが、平面視で放射状に設けられている(図19参照)。
テープカセット30がカセット装着部8に装着された状態でテープ送りモータ23が反時計回り方向にギヤ91を回転駆動すると、ギヤ93、ギヤ94を介して、リボン巻取軸95が反時計回り方向に回転駆動する。リボン巻取軸95は、リボン巻取軸95に装着されたリボン巻取スプール44を回転駆動する。さらに、ギヤ94の回転は、ギヤ97、ギヤ98、ギヤ101を介してテープ駆動軸100に伝達されて、テープ駆動軸100が時計回り方向に回転駆動する。テープ駆動軸100は、テープ駆動軸100に装着されたテープ駆動ローラ46を回転駆動する。ギヤ98の後側には、後述する第1テープ支持孔65に挿脱される略円柱状の補助軸110が立設されている。
図4〜図7に示すように、ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が軸支部121を中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側には、サーマルヘッド10に相対して接離可能に設けられたプラテンローラ15と、テープ駆動軸100が装着されるテープ駆動ローラ46に相対して接離可能に設けられた可動搬送ローラ14とが共に回転可能に軸支されている。
プラテンホルダ12には、カセットカバー6の開閉に連動して左右方向に移動する図示しないリリースレバーが連結されている。カセットカバー6が開放されると、リリースレバーが右方向に移動して、プラテンホルダ12が、図4に示す待機位置に向けて移動する。図4に示す待機位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8から離間する方向に移動するので、テープカセット30をカセット装着部8に着脱することができる。なお、プラテンホルダ12は、図示しない巻きバネにより常に待機位置に弾性付勢されている。
一方、カセットカバー6が閉鎖されると、リリースレバーが左方向に移動して、プラテンホルダ12が、図5〜図7に示す印字位置に向けて移動する。図5〜図7に示す印字位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8に近接する方向に移動する。図5に示すように、カセット装着部8にラミネートタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15がフィルムテープ59とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを介してテープ駆動ローラ46を押圧する。
図6に示すように、レセプタタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15が印字テープ57とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が印字テープ57を介してテープ駆動ローラ46を押圧する。図7に示すように、サーマルタイプのテープカセット30が装着されている場合には、プラテンローラ15が感熱紙テープ55を介してサーマルヘッド10を押圧する。同時に、可動搬送ローラ14が感熱紙テープ55を介してテープ駆動ローラ46を押圧する。
これにより、図5〜図7に示す印字位置では、カセット装着部8に装着された各種テープカセット30を使用して印字を行うことが可能となる。なお、感熱紙テープ55、印字テープ57、両面粘着テープ58、フィルムテープ59およびインクリボン60の詳細は、後述する。
図4に示すように、テープカセット30のテープ排出部49からテープ印字装置1の排出スリット111(図2参照)までの間には、印字済テープ50が通過する経路が設けられている。この経路には、印字済テープ50を所定位置で切断するカット機構17が設けられている。カット機構17は、固定刃18と、固定刃18に対向して前後方向(図4〜図7に示す上下方向)に移動可能に支持された移動刃19と、で構成されている。なお、移動刃19は、カッターモータ24(図11参照)によって前後方向に移動される。
図4および図8〜図10を参照して、ヘッドホルダ74の詳細な構成について説明する。図8〜図10に示すように、ヘッドホルダ74は、1枚の板状部材から形成されており、台座部743と、ヘッド固着部744とを備えている。台座部743は、キャビティ811の底面(図示せず)の下方に固定されている。ヘッド固着部744は、台座部743から略垂直に屈曲され、上方に延び、且つテープ印字装置1の左右方向に沿って配置されている。カセット装着部8におけるヘッドホルダ74の配置位置は、テープカセット30が装着された場合に、後述するヘッド挿入部39に対応する位置である。サーマルヘッド10は、ヘッド固着部744の前面に固着されている。
ヘッド固着部744には、ヘッド固着部744の右端部を正面視でL字型に切り欠くことにより、所定の高さ位置に形成された段差部である段差部741が設けられている。詳細は後述するが、テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合に、ヘッド挿入部39は、段差部741を含んだヘッドホルダ74によって適切に案内される。
また、ヘッド固着部744には、テープカセット30がテープ印字装置1に装着された場合にテープカセット30を下方から支持するカセット支持部742が設けられている。カセット支持部742は、段差部741と同一の上下方向位置(高さ位置)において、ヘッド固着部744の左端部からヘッド固着部744に対して略垂直に屈曲して延びる側面視長方形状の延設片である。
つまり、段差部741とカセット支持部742とは、平面視で互いに略直交する方向に延びている。カセット支持部742は、サーマルヘッド10に対してテープ搬送方向下流側で、所定の高さ位置でテープカセット30を支持する。カセット支持部742は、サーマルヘッド10の上下方向中心位置から上下方向に所定距離離れた位置に設定されている。よって、サーマルヘッド10の上下方向中心位置に対してテープカセット30を上下方向に位置決めをする。
次に、図11を参照して、テープ印字装置1の電気的構成について説明する。図11に示すように、テープ印字装置1は、制御基板上に形成される制御回路部500を備えている。制御回路部500は、各機器を制御するCPU501に、ROM502、CGROM503、RAM504、入出力インターフェース511がデータバス510を介して接続されている。
ROM502には、CPU501がテープ印字装置1を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。CGROM503には、キャラクタを印字するための印字用ドットパターンデータが記憶されている。RAM504には、テキストメモリ、印字バッファ等、複数の記憶エリアが設けられている。
入出力インターフェース511には、キーボード3、液晶ディスプレイ(LCD)5、駆動回路506,507,508等が接続されている。駆動回路506は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路507は、テープ送りモータ23を駆動するための電子回路である。駆動回路508は、移動刃19を動作させるカッターモータ24を駆動するための電子回路である。液晶駆動回路(LCDC)505は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有する。
次に、図3〜図7、図12〜図18を参照して、本実施形態に係るテープカセット30の構成について説明する。以下では、その内部に収納されるテープの種類、および、インクリボンの有無などを適宜変更することによって、前述のサーマルタイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ等、各種のテープを実装可能な汎用カセットとして構成されたテープカセット30を例示する。
まず、テープカセット30の概略構成を説明する。図3に示すように、テープカセット30は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケース31を有している。カセットケース31は、カセットケース31の底面302を形成する底板306を含む下ケース312と、カセットケース31の上面301を形成する上板305を含み、下ケース312の上部に固定される上ケース311とで構成される。底面302から上面301までの距離を、テープカセット30またはカセットケース31の高さという。
本実施形態のカセットケース31は、上板305および底板306の周縁全体が側面を形成する周壁によって囲われているが、必ずしも全体が囲われている必要はなく、周壁の一部(例えば背面)にカセットケース31内を露出させるような開口部が設けられていたり、その開口部を臨む位置に上板305および底板306を接続するボスが設けられたりしてもよい。
カセットケース31は、テープカセット30の種類にかかわらず、同一の幅(上下方向の長さが同一)に形成された4つの角部を有する。以下では、左後方の角部を第1角部321、右後方の角部を第2角部322、右前方の角部を第3角部323、左前方の角部を第4角部324とする。第1〜第4角部321〜324は、平面視で直角をなすようにカセットケース31の側面から外側方向に突出している。ただし、左前方の第4角部324は、テープ排出部49が角に設けられているために、直角はなしていない。第1〜第4角部321〜324の下面は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、前述した角支持部812に対向する部位である。
図14に示すように、第2角部322および第4角部324の下面の2箇所に、前述したテープ印字装置1の位置決めピン102、103に対応するピン孔62、63が設けられている。より具体的には、第4角部324の下面に設けられた凹部が、位置決めピン102が挿入されるピン孔62である。第2角部322の下面に設けられた凹部が、位置決めピン103が挿入されるピン孔63である。
図3、図4、および図12に示すように、テープカセット30の平面視中央からみた左後側には、第1テープスプール40を回転可能に支持する第1テープ支持孔65が形成されている。テープカセット30の平面視中央からみた右後側には、第2テープスプール41を回転可能に支持する第2テープ支持孔66が形成されている。テープカセット30の平面視中央からみた右前側には、リボンスプール42を回転可能に支持するリボン支持孔67が形成されている。第1テープ支持孔65とリボン支持孔67との間には、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン60を巻き取るリボン巻取スプール44を回転可能に支持する巻取支持孔68が形成されている。
図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30では、カセットケース31内に、一面に剥離紙が貼着された両面テープである両面粘着テープ58、印字媒体である透明なフィルムテープ59、およびインクリボン60の3種類のテープロールが収納される。両面粘着テープ58が剥離紙を外側に向けて巻回された両面粘着テープロール581は、第1テープスプール40の周囲に設けられている。フィルムテープ59が巻回されたフィルムテープロール591は、第2テープスプール41の周囲に設けられている。未使用のインクリボン60が巻回されたインクリボンロール601は、リボンスプール42の周囲に設けられている。使用済みのインクリボン60は、リボン巻取スプール44に巻き取られる。リボン巻取スプール44の下部には、リボン巻取スプール44が逆転することで巻き取ったインクリボン60が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ(図示せず)が取り付けられている。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30では、印字媒体である印字テープ57と、インクリボン60の2種類のテープロールが、カセットケース31内に収納される。印字テープ57が巻回された印字テープロール571は、第1テープスプール40の周囲に設けられている。未使用のインクリボン60が巻回されたインクリボンロール601は、リボンスプール42の周囲に設けられている。レセプタタイプのテープカセット30は、第2テープスプール41を備えていない。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30では、感熱紙テープ55の1種類のテープロールが、カセットケース31内に収納される。感熱紙テープ55が巻回された感熱紙テープロール551は、第1テープスプール40の周囲に設けられている。サーマルタイプのテープカセット30は、第2テープスプール41およびリボンスプール42を備えていない。以下では、印字媒体である感熱紙テープ55、印字テープ57、フィルムテープ59のいずれかを指す場合、単にテープという。
図3に示すように、カセットケース31の前面には、平面視で略半円状をなす溝部である半円溝340が、カセットケース31の高さ方向(つまり、上面301から底面302)に亘って設けられている。半円溝340は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、プラテンホルダ12の回転中心である軸支部121がカセットケース31と干渉しないように設けられた逃がし部である。
カセットケース31の前面壁のうち、半円溝340から左に延びる部分を、アーム前面壁35という。アーム前面壁35と、アーム前面壁35から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面壁37とで規定される、テープカセット30の右側から左方に延びる部位をアーム部34という。アーム前面壁35の左端部は、後方へ向かって屈曲しており、アーム前面壁35およびアーム背面壁37の左端の間に形成される上下方向に延びる隙間が、アーム部34からテープ(およびインクリボン60)を排出する排出口341である。
図4〜図7に示すように、アーム部34では、第1テープスプール40または第2テープスプール41から引き出されたテープが、アーム前面壁35と略平行に延びる搬送経路に沿って案内され、排出口341から排出される。また、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60は、テープとは異なる搬送経路に沿ってアーム部34内を案内され、排出口341でテープと重なった状態とされて排出される。
アーム背面壁37と、アーム背面壁37から連続して設けられたヘッド周壁373とにより規定される、テープカセット30を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部39である。ヘッド挿入部39が本開示の「長孔部」に相当する。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面に設けられた開口部77によって、テープカセット30の前面で外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、テープ印字装置1のサーマルヘッド10を支持するヘッドホルダ74が挿入される。アーム部34の排出口341から排出されたテープには、開口部77(図4〜図7参照)において、インクリボン60を用いてサーマルヘッド10による印字が行われる。ヘッド挿入部39の詳細については、後述する。
図4〜図7、および図14に示すように、下ケース312のヘッド挿入部39の外周上でヘッド挿入部39を臨む位置には、テープカセット30がテープ印字装置1に装着される際の上下方向の位置決めに使用される支持受け部が設けられている。具体的には、サーマルヘッド10(図4〜図7参照)の挿入位置(より詳細には印字位置)を基準として、テープ搬送方向下流側に、支持受け部392が設けられている。支持受け部392は、ヘッド挿入部39の下流側端部に連接している。支持受け部392は、底板306の底面302を上方に向かって凹ませた凹部である。支持受け部392は、アーム前面壁35に対して直交する方向にヘッド挿入部39から凹んでいる。
支持受け部392は、底面302より上方に位置する底面視略長方形状の平面部(凹部の底部分)の下側の面である下側平面部392Bを有する。下ケース312の上下方向(高さ方向)における下側平面部392Bの位置と、カセットケース31に収納されるテープおよびインクリボン60の幅方向中心位置とは、テープカセット30の種類にかかわらず、つまり、テープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。よって、収納されるテープおよびインクリボン60の幅がより広いテープカセット30ほど、底面302に設けられた凹部である支持受け部392の深さは大きくなる。
下側平面部392Bはテープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、ヘッドホルダ74に設けられたカセット支持部742によって下方から支持される部位として機能する。
図3に示すように、テープの搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側には、上下一対の規制部材361、362が設けられている。規制部材361、362は、排出口341から排出され、印字がなされた後のテープを、サーマルヘッド10の下流側でテープ排出部49に向かって案内する。詳細は後述するが、印字に使用されたインクリボン60は、規制部材361、362の上流側でテープとは分離され、別の搬送経路に沿って搬送され、リボン巻取スプール44に巻き取られる。
図13に示すように、ヘッド周壁373のうち、テープの搬送方向においてヘッド挿入部39の下流側端部を規定する左側壁を、リボン案内壁38という。リボン案内壁38は、規制部材362の上流側に隣接している。インクリボン60の搬送経路は、インクリボンロール601からアーム部34、開口部77を経由して、リボン巻取スプール44に至る。リボン案内壁38は、開口部77で印字に使用されたインクリボン60を、搬送経路に沿って屈曲させ、リボン巻取スプール44に向かって案内する。ヘッド挿入部39の下流側端部に連接して設けられた支持受け部392は、リボン案内壁38からリボン巻取スプール44に至るインクリボン60の搬送経路よりも前方に位置する。
ここで、図27および図28に示すように、支持受け部392を有しないテープカセット30を構成することができる。この場合、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、支持受け部392がヘッドホルダ74に設けられたカセット支持部742によって下方から支持される部位として機能するかわりに、後述するようにピン孔62が図3における位置決めピン102によって支持されている部位として機能する。
なお、図13に示すように、リボン案内壁38とリボン巻取スプール44との間には、分離壁48が立設されている。分離壁48は、リボン案内壁38に沿って案内される使用済みのインクリボン60と、第1テープスプール40の周囲に設けられた両面粘着テープロール581とが互いに接触するのを防止する。
図3に示すように、テープの搬送方向において、規制部材361、362の下流側には、ローラ支持孔64が設けられ、ローラ支持孔64の内側にテープ駆動ローラ46が回転可能に軸支されている。つまり、ローラ支持孔64は、テープカセット30の左前部に設けられている。
図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30がカセット装着部8に装着されている場合は、テープ駆動ローラ46が、対向する可動搬送ローラ14との協働により、フィルムテープロール591からフィルムテープ59を引き出すとともに、両面粘着テープロール581から両面粘着テープ58を引き出す。さらに、両面粘着テープ58をフィルムテープ59の印字面にガイドして接着させ、印字済テープ50としてテープ排出部49に向かって搬送する。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30がカセット装着部8に装着されている場合は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働により、印字テープロール571から印字テープ57が引き出される。サーマルヘッド10の下流側では、印字後の印字テープ57、すなわち印字済テープ50が、規制部材361、362によって、テープ排出部49に向かって案内される。また、ヘッド挿入部39を経由して搬送された使用済みのインクリボン60は、規制部材361、362の上流で印字テープ57から分離され、リボン巻取スプール44に向かって搬送される。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30が装着されている場合は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働により、感熱紙テープロール551から感熱紙テープ55が引き出される。サーマルヘッド10の下流側では、印字後の感熱紙テープ55、すなわち印字済テープ50が、規制部材361、362によって、テープ排出部49に向かって案内される。
図3および図13に示すように、テープ排出部49は、カセットケース31の左側面の前端部から僅かに前方に離間して設けられた、上面301と底面302に亘る板状部材である。テープ排出部49は、規制部材361、362およびテープ駆動ローラ46を経て搬送されてきた印字済テープ50を、カセットケース31の左側面の前端部との間に形成される通路内に案内して、通路の終端にあるテープ排出口から排出する。
ここで、図12および図13を参照して、ヘッド挿入部39について詳述する。図12および図13に示すように、ヘッド挿入部39は、テープカセット30の左右方向における中心位置をまたいで形成されている。ヘッド挿入部39の左端部は、リボン案内壁38によって構成されている。ヘッド挿入部39の左端部は、左右方向において、平面視略円形の第1テープ支持孔65の中心より左側に位置している。ヘッド挿入部39の右端部は、左右方向において、平面視略円形の巻取支持孔68の中心より右側に位置している。
図12および図13に示すように、ヘッド挿入部39の左右方向の長さを、第1距離A1という。また、第1距離A1と同一の左右方向の長さで、左右方向の両端位置がヘッド挿入部39と同一でテープカセット30の前後方向に延びる領域を第1領域331という。つまり、第1テープ支持孔65の中心と巻取支持孔68の中心とが、第1領域331に位置している。
ヘッド挿入部39の右端部からテープカセット30の右端部までの長さを第2距離A2という。第2距離A2と同一の左右方向の長さで、第1領域331の右側に隣接し、テープカセット30の前後方向に延びる領域を第2領域332という。テープカセット30の左端部から、ヘッド挿入部39の左端部までの距離を第3距離A3という。第3距離A3と同一の左右方向の長さで、第1領域331の左側に隣接し、テープカセット30の前後方向に延びる領域を第3領域333という。本実施形態では、第1距離A1は、第2距離A2より大きい。第3距離A3は、第1距離A1および第2距離A2よりも小さい。つまり、第1距離A1は、第3距離A3より大きい。
図4〜図6に示す、レセプタタイプおよびラミネートタイプのテープカセット30では、ヘッド挿入部39の右端部を構成する壁の右面の前部に、インクリボン60の搬送経路が接触している。より詳細には、インクリボン60は、インクリボンロール601の左後部から左前方向に引き出され、ヘッド挿入部39の右端部の前部に接触し、左方向に搬送される。つまり、ヘッド挿入部39の右端部を構成する壁の前部に接触することで、インクリボン60の搬送方向が変化している。これによって、インクリボン60が搬送される場合に、インクリボン60に張力が加えられる。このため、インクリボン60に振動等が発生するおそれが低くなり、搬送精度が向上する。よって、印字精度が向上する。
次に、図15〜図18を参照して、テープカセット30に形成される孔部(第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ローラ支持孔64、ガイド孔47)、および、これらの孔部に関連する部材について説明する。
図15に示すように、第1テープスプール40は、カセットケース31を上下方向に貫通する第1テープ支持孔65を介して回転可能に支持されている。詳細には、第1テープ支持孔65は、上板305および底板306から互いに対向する方向にそれぞれ延設される凹陥孔である開口部65Aおよび開口部65Bと、開口部65A,65B間を連通する軸孔65Cとからなる。上ケース311は、開口部65Aから底板306に向けて延設され、平面視で開口部65Aの中心から放射状に複数の係止リブ84を備える。各係止リブ84は、それぞれの先端側がカセットケース31の内部で互いに対向する方向に突起する鉤状体である。下ケース312は、開口部65Bから上板305に向けて延設される円筒状の筒壁部85を備える。筒壁部85には、その上下方向に切り込まれた複数のスリット87が、平面視で開口部65Bの中心から放射状に形成される。筒壁部85における各スリット87の上端側には、各スリット87の開口端を閉じるための頭部86がそれぞれ設けられている。カセットケース31の内部では、筒壁部85の先端側に設けられた各頭部86に、それぞれ対応する係止リブ84が各スリット87を介して係止されている。なお、筒壁部85の内部では、カセットケース31を上下方向に貫通する軸孔65Cが開口部65A,65Bを連通させる。
第1テープスプール40は、内壁40Aと外壁40Bとの二重壁構造を有する。内壁40Aは、筒壁部85の外径よりも若干内径が大きい円筒体であり、第1テープスプール40の周囲に設けられるテープや両面粘着テープ58の幅よりも小さい高さ寸法を有する。内壁40Aの内部には、その上下方向に貫通する軸孔40Dが形成されている。外壁40Bは、内壁40Aの径外側に設けられて内壁40Aを全周に亘って取り囲む円筒体であり、テープや両面粘着テープ58の幅とほぼ同一の高さ寸法を有する。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセットの場合、外壁40Bの外周面には、両面粘着テープロール581が備えられている。内壁40Aと外壁40Bとの間には、上下方向を長手とする板状部材である連結体40Cが、平面視で内壁40Aおよび外壁40Bの中心から放射状に架設されている。第1テープスプール40は、これらの連結体40Cによって内壁40Aおよび外壁40Bが同軸をなす二重筒状に構成される。第1テープスプール40は、軸孔40Dに挿入された筒壁部85によって軸支されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。なお、第1テープスプール40では、軸孔65Cに挿入された補助軸110に対して生じる周方向の遊びを小さくするために、軸孔65Cの開口幅が補助軸110の軸径と比較して略等しいか若干大きい程度である。
図16に示すように、リボン巻取スプール44は、カセットケース31を上下方向に貫通する巻取支持孔68を介して回転可能に支持されている。詳細には、巻取支持孔68は、上板305および底板306において互いに対向する位置にそれぞれ形成される貫通孔である開口部68Aおよび開口部68Bからなる。リボン巻取スプール44は、カセットケース31の幅長(つまり、上下方向の長さ)とほぼ等しい高さ寸法を有する円筒状をなす。リボン巻取スプール44の外周面における上端縁および下端縁には、それぞれ径外方向の全周に亘って突出するフランジ状の支持部44Eが設けられている。
カセットケース31の内部では、上端部44Aが上板305の開口部68Aに嵌合されるとともに、下端部44Bが底板306の開口部68Bに嵌合されている。リボン巻取スプール44の上端縁に設けられた支持部44Eは、上ケース311に下方から接触してリボン巻取スプール44の上方向への移動を規制する。リボン巻取スプール44の下端縁に設けられた支持部44Eは、下ケース312に上方から接触してリボン巻取スプール44の下方向への移動を規制する。これにより、リボン巻取スプール44は、両端部44A,44Bにて支持されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。
リボン巻取スプール44の内部には、その上下方向に貫通する軸孔44Cが形成されている。リボン巻取スプール44の内周面(つまり、軸孔44Cを形成する内壁)には、その上下方向の中央位置から若干下方に複数の係合リブ44Dが設けられている。テープカセット30がカセット装着部8に装着されると、前述のリボン巻取軸95が開口部68Bを介して軸孔44Cに挿入される。そして、リボン巻取スプール44に設けられた複数の係合リブ44Dに、リボン巻取軸95の周囲に形成された複数のカム部材95Aが噛合される。これにより、リボン巻取軸95の回転がリボン巻取スプール44に伝達される。つまり、リボン巻取軸95の回転に伴ってリボン巻取スプール44が回転する。なお、リボン巻取スプール44は、リボン巻取軸95が装着されたときにリボン巻取軸95に対して周方向の遊びが生じるように、軸孔44Cの開口幅がリボン巻取軸95の軸径よりも大きくなっている。
図17に示すように、テープ駆動ローラ46は、カセットケース31を上下方向に貫通するローラ支持孔64を介して回転可能に支持されている。詳細には、ローラ支持孔64は、上板305および底板306において互いに対向する位置にそれぞれ形成される貫通孔である開口部64Aおよび開口部64Bからなる。開口部64A,64Bの各近傍位置には、前述した一対の規制部材361、362が形成されている。一対の規制部材361、362の後側には、一対の規制部材361、362と隣接してリボン案内壁38が上ケース311と下ケース312とに亘って立設されている。一対の規制部材361、362の基端の間隔幅は、テープの幅と同一に設定されている。
テープ駆動ローラ46は、カセットケース31の幅長(つまり、上下方向の長さ)とほぼ等しい高さ寸法を有する円筒状をなす。テープ駆動ローラ46の本体部46Eは、開口部64A,64Bよりも径が大きく、その外周面がテープ等に接触するローラ面46Cである。ローラ面46Cの上下方向長さ(つまり、テープ駆動ローラ46におけるテープ送り幅)は、テープの幅と同一に設定されている。テープ駆動ローラ46の本体部46Eから上下方向にそれぞれ突出する上端部46Aおよび下端部46Bは、それぞれ開口部64A,64Bよりも径が若干小さい。なお、テープ駆動ローラ46の内部では、本体部46Eを上下方向に貫通する軸孔46Dが両端部46A,46Bを連通させる。
カセットケース31の内部では、上端部46Aが上板305の開口部64Aに嵌合されるとともに、下端部46Bが底板306の開口部64Bに嵌合されている。本体部46Eは、上ケース311に下方から接触してテープ駆動ローラ46の上方向への移動を規制し、下ケース312に上方から接触してテープ駆動ローラ46の下方向への移動を規制する。これによって、テープ駆動ローラ46は、両端部46A,46Bにて支持されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。
テープ駆動ローラ46の内周面(つまり、軸孔46Dを形成する内壁)には、その下端側に複数の係合リブ46F(図25参照)が設けられている。テープカセット30がカセット装着部8に装着されると、前述のテープ駆動軸100が開口部64Bを介して軸孔46Dに挿入される。そして、テープ駆動ローラ46に設けられた複数の係合リブ46Fに、テープ駆動軸100の周囲に形成された複数のカム部材100A(図19および図25参照)が噛合される。これによって、テープ駆動軸100の回転がテープ駆動ローラ46に伝達される。つまり、テープ駆動軸100の回転に伴ってテープ駆動ローラ46が回転する。なお、テープ駆動ローラ46は、テープ駆動軸100が装着されたときにテープ駆動軸100に対して周方向の遊びが若干生じるように、軸孔46Dの開口幅がテープ駆動軸100の軸径よりも若干大きくなっている。
図18に示すように、カセットケース31の右後方の角部である第2角部322には、カセットケース31の上下方向に貫通するガイド孔47が形成されている。詳細には、ガイド孔47は、上板305および底板306から互いに対向する方向にそれぞれ延設される凹陥孔である開口部47Aおよび開口部47Bと、開口部47A,47B間を連通する軸孔47Cとからなる。カセットケース31の内部には、開口部47A,47Bを連通させる軸孔47Cを内部に形成する円筒状の筒壁部89が、上板305および底板306に亘って設けられている。
図12および図14に示すように、第2テープ支持孔66も、上板305および底板306において互いに対向する位置にそれぞれ形成される一対の開口部66A,66Bからなる。各開口部66A,66Bは、カセットケース31の内部にそれぞれ対向する方向に陥入する凹部に連設されている。第2テープスプール41は、印字媒体のテープ幅とほぼ同一の高さ寸法を有する円筒体である。ラミネートタイプのテープカセット30の場合には、第2テープスプール41の外周にフィルムテープロール591が設けられている(図4および図5参照)。カセットケース31内にフィルムテープロール591を収納する場合は、第2テープスプール41を上下方向に貫通する軸孔が有する両端開口に、各開口部66A,66Bから連設される凹部がそれぞれ挿入される。これにより、第2テープスプール41は、第2テープ支持孔66にて軸支されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。なお、図6および図7に示すレセプタタイプおよびサーマルタイプのテープカセット30は、第2テープスプール41を備えていない。
同様に、リボン支持孔67も、上板305および底板306において互いに対向する位置にそれぞれ形成される一対の開口部67A,67Bからなる。各開口部67A,67Bは、カセットケース31の内部にそれぞれ対向する方向に陥入する凹部に連設されている。リボンスプール42は、テープの幅とほぼ同一の高さ寸法を有する円筒体であって、その外周面にインクリボン60が巻回される。カセットケース31内にインクリボン60を収納する場合は、リボンスプール42の上下方向に貫通する軸孔が有する両端開口に、各開口部67A,67Bから連設される凹部がそれぞれ挿入される。これにより、リボンスプール42は、リボン支持孔67にて軸支されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。なお、図7に示すサーマルタイプのテープカセット30は、リボンスプール42を備えていない。
ここで、本実施形態における、テープカセット30に設けられたガイド孔47、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ヘッド挿入部39の位置関係について、図12を参照して詳細に説明する。なお、図12における二点鎖線は、後述する分割線Kを示している。前述のローラ支持孔64、ガイド孔47、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ヘッド挿入部39は、テープカセット30が装着されるカセット装着部8のテープ駆動軸100、ガイド軸120、補助軸110、リボン巻取軸95、ヘッドホルダ74と対向する位置にそれぞれ形成されている。
図12に示すように、ローラ支持孔64は、テープカセット30の左前部に設けられている。また、ガイド孔47は、テープカセット30の右後方の角部である第2角部322に設けられている。ローラ支持孔64とガイド孔47とを平面視で結ぶ分割線Kを基準としてテープカセット30を平面視で分割した場合に、分割線Kよりも後側を占めるのが第1収納領域30Cであり、分割線Kよりも前側を占めるのが第2収納領域30Dである。第1テープ支持孔65は、平面視で三角形状をなす第1収納領域30Cの重心(つまり、第1収納領域30Cを形成する3辺の中線を結ぶ交点)またはその近傍に形成される。このとき、第1テープ支持孔65の中心の位置は、第1領域331に位置している。巻取支持孔68は、平面視で三角形状をなす第2収納領域30Dの重心(つまり、第2収納領域30Dを形成する3辺の中線を結ぶ交点)またはその近傍に形成される。このとき、巻取支持孔68の中心は、第1領域331に位置している。また、ここでは、第1テープ支持孔65および巻取支持孔68は、平面視で分割線Kを中心としてほぼ対称に位置している。
第2テープ支持孔66は平面視で分割線K上に形成されており、詳細にはテープカセット30の平面視中央とガイド孔47との略中間に位置している。リボン支持孔67は第2収納領域30Dに形成されており、詳細には巻取支持孔68よりもテープカセット30の右前側に位置している。
上記のような位置関係によって、図4〜図7に示すテープカセット30の重心の位置は次のようになる。図4および図5に示すラミネートタイプのテープカセット30の場合、両面粘着テープロール581、フィルムテープロール591、インクリボンロール601のうち、最も重量が大きいのは、両面粘着テープロール581である。また、前述したように、第1テープ支持孔65(図3参照)では、テープカセット30の内部で、両面粘着テープロール581を周囲に備えた第1テープスプール40が回転支持されている。これは、両面粘着テープロール581における両面粘着テープ58の巻回中心が、平面視で、第1収納領域30C(図12参照)の範囲内、且つ第1領域331に位置していることを示している。言い換えると、最も重量の大きい両面粘着テープロール581の重心が、平面視で、第1収納領域30Cの範囲内、且つ第1領域331に位置している。これによって、テープカセット30全体の重心は、第1領域331の範囲に位置している。
また、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心は、第1領域331に位置している。つまり、両面粘着テープロール581における両面粘着テープ58の巻回中心と、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心とが、第1領域331に位置している。そして、ラミネートタイプのテープカセット30が使用されて印字が行われると、両面粘着テープ58が消費されて、両面粘着テープロール581の重さが減少する。一方、リボン巻取スプール44によって、使用済みのインクリボン60が巻き取られることで、リボン巻取スプール44に巻き取られたインクリボン60の重さが増大する。この場合においても、両面粘着テープロール581の巻回中心と、リボン巻取スプール44に巻き取られるインクリボン60の巻回中心とが第1領域331に位置しているため、テープカセット30の重心の位置は、第1領域331の範囲で安定する。
図6に示すレセプタタイプのテープカセット30の場合、印字テープロール571とインクリボンロール601とのうち、最も重量が大きいのは、印字テープロール571である。また、前述したように、第1テープ支持孔65では、テープカセット30の内部で、印字テープロール571を周囲に備えた第1テープスプール40が回転支持されている。これは、印字テープロール571における印字テープ57の巻回中心が、平面視で、第1収納領域30C(図12参照)の範囲内、且つ第1領域331に位置していることを示している。言い換えると、最も重量が大きい印字テープロール571の重心が、平面視で、第1収納領域30Cの範囲内、且つ第1領域331に位置している。これによって、テープカセット30全体の重心は、第1領域331の範囲に位置している。
また、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心は、第1領域331に位置している。印字テープロール571における印字テープ57の巻回中心と、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心とが、第1領域331に位置している。そして、レセプタタイプのテープカセット30が使用されて印字が行われると、印字テープ57が消費されて、印字テープロール571の重さが減少する。一方、リボン巻取スプール44に巻き取られたインクリボン60の重さは増大する。この場合においても、印字テープロール571の巻回中心とリボン巻取スプール44に巻き取られるインクリボン60の巻回中心とが第1領域331に位置しているため、テープカセット30の重心の位置は、第1領域331の範囲で安定する。
図7に示すサーマルタイプのテープカセット30の場合、前述したように、第1テープ支持孔65では、テープカセット30の内部で、感熱紙テープロール551を周囲に備えた第1テープスプール40が回転支持されている。これは、感熱紙テープロール551における感熱紙テープ55の巻回中心が、平面視で、第1収納領域30C(図12参照)の範囲内、且つ第1領域331に位置していることを示している。言い換えると、感熱紙テープロール551の重心が、平面視で、第1収納領域30Cの範囲内、且つ第1領域331に位置している。これによって、テープカセット30全体の重心位置は、第1領域331の範囲に位置している。
上記説明したテープ印字装置1およびテープカセット30では、テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合、カセット装着部8に立設された3つの案内軸(テープ駆動軸100、ガイド軸120、補助軸110)とヘッドホルダ74とが、テープカセット30に設けられた3つの案内孔(ローラ支持孔64、ガイド孔47、第1テープ支持孔65)とヘッド挿入部39とにそれぞれ案内され、テープカセット30がカセット装着部8の適正位置に装着される。
ここで、本実施形態における、カセット装着部8に対するテープカセット30の着脱態様について、図19〜図26を参照して説明する。図19、図20、および図23では、テープカセット30の右側面を示しているが、理解を容易にするためにテープカセット30の着脱に関する孔部等を仮想線(二点鎖線)で示している。また、カセット装着部8を右側からみた概略断面を示しているが、理解を容易にするためにテープカセット30の着脱に関する軸部のみを図示している。ただし、図23では、ガイド孔47およびその近傍を右側面視での断面図として表している。また、図21、図22、および図24では、テープカセット30の正面を示しているが、理解を容易にするために、テープカセット30のヘッド挿入部39の左右の端部を仮想線(二点鎖線)で示している。また、図21、図22、および図24においては、サーマルヘッド10の図示は省略している。
まず、カセット装着部8に立設された各部材の高さ関係について説明する。ヘッドホルダ74、テープ駆動軸100、リボン巻取軸95、補助軸110、ガイド軸120のうち、3つの案内軸(テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120)は、それぞれの軸長が略等しい。さらに、テープ駆動軸100、補助軸110およびガイド軸120の各軸長は、リボン巻取軸95の軸長およびヘッドホルダ74の縦サイズよりも大きい。そのため、ヘッドホルダ74、テープ駆動軸100、リボン巻取軸95、補助軸110のうち、テープ駆動軸100および補助軸110の上端における高さ位置が最も大きく、次いでヘッドホルダ74の上端における高さ位置が大きく、リボン巻取軸95の上端における高さ位置が最も小さい。ただし、リボン巻取軸95の上端における高さ位置は、ヘッドホルダ74に固着されているサーマルヘッド10の上端における高さ位置とほぼ等しくなっている。
前述したようにガイド軸120は、角支持部812に立設されている。そして、ガイド軸120の上端は、ヘッドホルダ74、テープ駆動軸100、リボン巻取軸95、補助軸110のいずれの上端よりも高さ位置が大きい。
図19に示すように、ユーザがテープカセット30をカセット装着部8に装着する場合は、ローラ支持孔64、第1テープ支持孔65、ガイド孔47をそれぞれテープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120に対して平面視での相対位置をほぼ一致させ、前述したように上板305および底板306を略水平に維持しつつ垂直に嵌め込む。テープカセット30をカセット装着部8に向けて下方に移動させると、図20に示すようにテープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120の各上端が、テープカセット30の底板306に設けられた開口部64B,65B,47Bにほぼ同時にそれぞれ進入する。一方、ヘッドホルダ74およびリボン巻取軸95は、それぞれの上端が底板306の下方に位置している状態であるため、テープカセット30の内部に進入していない。
図20に示す状態から、テープカセット30をさらに下方に移動させると、テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120はそれぞれ開口部64B,65B,47Bを介して軸孔46D,65C,47Cに下方から挿入される。軸孔46D,65C,47Cの内部では、それぞれに挿入されたテープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120が、各軸孔46D,65C,47Cの内壁によって周方向への移動が規制され、その立設方向(つまり、上下方向)に沿って摺動可能な状態となる。言い換えると、テープカセット30は、軸孔46D,65C,47Cにそれぞれ挿入されるテープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120の立設方向に沿って案内されつつ、自重の作用も加わって下方に移動する。
なお、テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120の上端縁は、その上端に向けて軸径が小さくなるようなテーパ形状となっている。そのため、ローラ支持孔64、第1テープ支持孔65、ガイド孔47に対して平面視での相対位置に若干ズレが生じていても、テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120を適切かつ円滑に挿入可能である。また、テープ駆動軸100の軸径がテープ駆動ローラ46(軸孔46D)の開口幅よりも若干小さいため、ローラ支持孔64内でテープ駆動ローラ46の平面位置が振動や傾斜等によって若干変化しても、テープ駆動軸100を円滑に挿入可能である。
さらに、前述したように、ガイド孔47は、ガイド軸120の先端部(前述の小径軸部120B)の軸径よりも開口幅が大きく、特に右前方向から左後方向にかけての開口幅よりも、左前方向から右後方向にかけての開口幅の方が大きい。そのため、テープカセット30の装着時には、ガイド軸120に対する平面視でのガイド孔47の相対位置が若干ずれていても、ガイド孔47にガイド軸120を挿入可能である。これにより、カセット装着部8に設けられた3つの案内軸の全てに対してテープカセット30の対応する各孔部を正確に位置決めする必要はないため、テープカセット30の装着時におけるユーザの負担が軽減される。また、テープカセット30の製造時において、ローラ支持孔64およびガイド孔47との寸法幅を、テープ駆動軸100とガイド軸120との寸法幅と完全一致させるためには、作業者に高度な寸法精度が要求される。その点、ガイド孔47に遊びを形成することで、ガイド孔47を形成する寸法精度の僅かな誤差が許容されるため、テープカセット30の製造時の負担も軽減される。
また、リボン巻取軸95は、開口部68Bを介して軸孔44Cに下方から挿入される。リボン巻取スプール44(軸孔44C)の開口幅はリボン巻取軸95の軸径よりも大きいため、リボン巻取スプール44内でリボン巻取軸95が周方向に変位可能な遊挿状態となる。
一方、図20に示す位置から、テープカセット30が下方に案内されるのに伴って、図21に示すように、ヘッドホルダ74がヘッド挿入部39に下方から挿入される。ヘッドホルダ74の上部の左右方向の距離は、ヘッド挿入部39の左右方向の距離である第1距離A1(図12および図13参照)より小さくなっている。このため、ヘッドホルダ74に対してテープカセット30の平面視での相対位置に若干ズレが生じていても、ヘッドホルダ74は、ヘッド挿入部39の左右の端部に引っかかることなく、円滑に挿入される。
さらにテープカセット30が下方に移動すると、図22に示すように、ヘッドホルダ74に設けられた段差部741が、ヘッド挿入部39に挿入される。これによって、ヘッド挿入部39の左右方向の端部が、段差部741を含めたヘッドホルダ74に案内され、適正な位置にヘッド挿入部39が導かれる。
テープカセット30をヘッドホルダ74、テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120に沿って下方に移動させていくと、図23に示すように、角支持部812上に立設された位置決めピン103がピン孔63内の天壁に接触する。同時に、図23に図示しないが、角支持部812上に立設された位置決めピン102がピン孔62に挿入され、位置決めピン102の上端がピン孔62内の天壁に接触する。また、図23および図24に示すように、カセット支持部742が、下側平面部392Bに接触し、位置決めされる。つまり、カセット装着部8に装着されたテープカセット30の高さ位置は、位置決めピン102,103、カセット支持部742等によって支持される高さ位置に規定される。
また、ガイド軸120の基端側(前述の大径軸部120A)は、テーパ部120Cに沿って案内されながらガイド孔47(軸孔47C)に嵌め込まれる。前述したように、大径軸部120Aの軸径はガイド孔47の開口幅に略等しいため、大径軸部120Aはガイド孔47の前後方向から緊密に係止されて、ガイド軸120の周方向への変位が規制される。また、位置決めピン102,103はそれぞれ、ピン孔62、63の内部で係止されて、位置決めピン102,103の周方向への変位が規制される。つまり、カセット装着部8に装着されたテープカセット30の平面位置は、ガイド軸120および位置決めピン102,103によって係止される平面位置に規定される。
このように、本実施形態では、テープカセット30が3つの案内軸(テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120)と、ヘッドホルダ74とによってカセット装着部8の適正位置まで案内される。そして、テープカセット30は、ガイド軸120および位置決めピン102によって適正な平面位置に位置決めされるとともに、カセット支持部742、位置決めピン102,103等によって適正な高さ位置に位置決めされる。そして、テープカセット30が適正位置に位置決めされた状態では、図25に示すように、テープ駆動軸100の基端側に設けられたカム部材100Aが、テープ駆動ローラ46の係合リブ46Fに適正に噛合される。また、図26に示すように、リボン巻取軸95に設けられたカム部材95Aが、リボン巻取スプール44の係合リブ44Dに適正に噛合される。また、ヘッドホルダ74に設けられたサーマルヘッド10が、ヘッド挿入部39の適正な印字位置に配置される。つまり、テープ印字装置1がテープへの印字を適切に実行することが可能な状態となる。
なお、テープカセット30をカセット装着部8から取り外す場合は、例えばユーザがテープカセット30の左右の側壁を指で挟持しながら、テープカセット30をカセット装着部8から上方に引き抜けばよい。このときも、テープカセット30が、ヘッドホルダ74と3つの案内軸(テープ駆動軸100、補助軸110、ガイド軸120)とによってテープカセット30が上下方向に案内される。よって、テープカセット30をカセット装着部8から取り外す過程で、テープカセット30に傾きが生じてカセット装着部8の内壁等に引っ掛かるおそれが防止される。
以上説明したように、本実施形態におけるテープカセット30のカセット装着部8への着脱が行われる。従来のテープカセットにおいては、ヘッド挿入部39の左右方向の長さである第1距離A1が、ヘッド挿入部39の右端部からテープカセット30の右端部までの長さである第2距離A2以下であった。それに対し、本実施形態では、図12および図13に示すように、第1距離A1が第2距離A2より大きくなっている。この場合、テープカセット30の重心が第1領域331に位置しやすい。本実施形態では、前述したように、図4〜図7に示す、ラミネートタイプ、レセプタタイプ、サーマルタイプのテープカセット30の重心は、第1領域331に位置している。つまり、ヘッド挿入部39の左右方向における中心が、テープカセット30の左右方向における重心と近い。つまり、重量バランスが良好である。よって、テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合において、ヘッドホルダ74に案内される場合に、テープカセット30が左右方向に傾くおそれが低い。このため、テープカセット30は、カセット装着部8に適切に配置される。よって、テープ等が適切に搬送され、印字精度が向上する。
また、テープカセット30は、輸送や販売等のために梱包される。梱包用の容器に、テープカセット30のヘッド挿入部39に挿入され、テープカセット30を支持する板状の部材(以下、梱包支持部材という。)を設けた場合、梱包用支持部材が、ヘッド挿入部39に挿入されることで、テープカセット30が適切に支持される。本実施形態におけるテープカセット30を梱包用の容器に装着する場合、ヘッド挿入部39が適切に梱包用支持部材に導かれ、テープカセット30が、適切に梱包用の容器に装着される。ヘッド挿入部39の左右方向における中心が、テープカセット30の左右方向における重心と近く、重量バランスが良好であるためである。このため、テープカセット30が傾くおそれが低い。よって、梱包を行う作業員の作業効率を高めることができる。
また、従来のテープカセットにおいては、第1距離A1が第2距離A2以下であり、ヘッド挿入部39の右端部は、左右方向において、巻取支持孔68の中心より左側に位置していた。それに対し、本実施形態では、第1距離A1が第2距離A2より大きくなり、ヘッド挿入部39の右端部が、従来と比較して右側に移動している。このため、ヘッド挿入部39の右端部は、左右方向において、巻取支持孔68の中心より右側に位置している。つまり、第1テープ支持孔65と巻取支持孔68の中心は、第1領域331に位置している。
このため、ラミネートタイプのテープカセット30(図4および図5参照)においては、両面粘着テープロール581における両面粘着テープ58の巻回中心と、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心とが、第1領域331に位置している。また、レセプタタイプのテープカセット30(図6参照)においては、印字テープロール571における印字テープ57の巻回中心と、リボン巻取スプール44における使用済みのインクリボン60の巻回中心とが、第1領域331に位置している。このため、前述したように、ラミネートタイプおよびレセプタタイプのテープカセット30においては、テープカセット30が使用されてテープ等が消費された場合でも、テープカセット30の重心位置は、第1領域331の範囲で安定する。よって、重量バランスを良好に保つことができる。重量バランスが良好に保たれるので、テープカセット30をカセット装着部8に装着する場合において、ヘッドホルダ74に案内される場合に、テープカセット30が左右方向に傾くおそれが低い。このため、テープカセット30は、カセット装着部8に適切に配置される。よって、テープ等が適切に搬送され、印字精度が向上する。
また、テープカセット30には、第1テープ支持孔65と巻取支持孔68とが設けられている。そして、テープ印字装置1には、補助軸110とリボン巻取軸95が立設されている。テープカセット30がカセット装着部8に着脱される場合には、第1テープ支持孔65と巻取支持孔68とを介して、補助軸110とリボン巻取軸95とが挿脱される。これによって、テープカセット30が適切に案内される。
また、テープカセット30には、ローラ支持孔64とガイド孔47とが設けられている。そして、テープ印字装置1には、テープ駆動軸100とガイド軸120とが立設されている。テープカセット30がカセット装着部8に着脱される場合には、ローラ支持孔64とガイド孔47とを介して、テープ駆動軸100とガイド軸120とが挿脱される。これによって、テープカセット30が適切に案内される。
また、前述したように、図4〜図6に示す、レセプタタイプおよびラミネートタイプのテープカセット30では、インクリボン60がヘッド挿入部39の右端部を構成する壁に接触することで、インクリボン60の搬送方向が変化している。また、ヘッド挿入部39の右端部が、従来と比較して右側に移動しているため、ヘッド挿入部39の右端部を構成する壁とインクリボンロール601との距離が従来の場合と比べて近くなっている。この場合、ヘッド挿入部39の右端部を構成する壁とインクリボンロール601との間におけるインクリボン60の搬送経路が、従来と比べて、テープカセット30の前後方向に近くなる。これによって、ヘッド挿入部39の右端部を構成する壁と接触して変化するインクリボン60の搬送経路の角度の変化量が、従来の場合より大きくなる。このため、インクリボン60が搬送される場合に、インクリボン60とヘッド挿入部39の右端部の壁とが接触する力が強くなる。このため、インクリボン60が搬送される場合に、インクリボン60に与えられる張力が大きくなる。これによって、インクリボン60に振動等が発生するおそれを低くすることができる。よって、インクリボン60の搬送精度が向上し、印字精度も向上する。
また、本実施形態では、第1距離A1、第2距離A2、および第3距離A3のうち、第1距離A1が最も長さが大きい。このため、テープカセット30の重心位置が第1領域331に位置しやすい。このため、ヘッド挿入部39の左右方向における中心が、テープカセット30の左右方向における重心位置と近い。このため、重量バランスが良好であり、例えば、テープ印字装置1や梱包箱に収納される場合、テープカセット30が傾くおそれを低くすることができる。
なお、本開示のテープカセット30およびテープ印字装置1は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、本実施形態では、テープカセット30は、ヘッド挿入部39、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ローラ支持孔64、およびガイド孔47を備え、それぞれがテープカセット30を着脱する場合の案内に使用されていた。しかし、テープカセット30の案内に使用されるのは、ヘッド挿入部39のみでもよい。さらに、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ローラ支持孔64、およびガイド孔47の内少なくとも1つがテープカセット30の案内に使用されてもよい。
また、本実施形態では、テープ印字装置1は、ヘッドホルダ74、補助軸110、リボン巻取軸95、テープ駆動軸100、およびガイド軸120を備えていた。そして、テープカセット30は、ヘッド挿入部39、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、ローラ支持孔64、およびガイド孔47を備えていた。
しかし、例えば、ラミネートタイプおよびレセプタタイプのテープカセット30(図4〜図6参照)は、ヘッド挿入部39とローラ支持孔64と巻取支持孔68のみを有していてもよい。さらに、第1テープ支持孔65とガイド孔47とのうち少なくとも1つを有していてもよい。また、テープ印字装置1は、テープ駆動軸100とリボン巻取軸95とヘッドホルダ74とのみを有していてもよい。
また、例えば、サーマルタイプのテープカセット30(図7参照)は、ヘッド挿入部39とローラ支持孔64とのみを有していてもよい。さらに、第1テープ支持孔65、巻取支持孔68、およびガイド孔47のうち少なくとも1つを有していてもよい。
なお、印字実行時には、リボン巻取軸95を介してリボン巻取スプール44も回転駆動される。しかしながら、図7に示すサーマルタイプのテープカセット30には、リボンスプール42が収納されていない。そのため、リボン巻取スプール44による未使用のインクリボン60の引き出しや使用済みのインクリボン60の巻き取りは行われない。言い換えると、リボン巻取軸95を備えたテープ印字装置1にサーマルタイプのテープカセット30が使用された場合でも、リボン巻取軸95の回転駆動が感熱紙テープ55への印字動作に影響を与えることなく適正に印字を行うことができる。このため、サーマルタイプのテープカセット30において、リボン巻取スプール44を設けることなく、巻取支持孔68内でリボン巻取軸95を空転させてもよい。また、テープ印字装置1がサーマルタイプのテープカセット30のみが使用される専用機であれば、リボン巻取スプール44を回転させるリボン巻取軸95を備えていなくてもよい。このため、テープカセット30は、巻取支持孔68を備えていなくてもよい。
上記実施形態において、第1領域331が本開示の「特定領域」に相当し、第1収納領域30Cが本開示の「収納領域」に相当する。第1テープ支持孔65が本開示の「第3開口部」に相当し、巻取支持孔68が本開示の「第4開口部」に相当する。ローラ支持孔64が本開示の「第1開口部」に相当し、ガイド孔47が本開示の「第2開口部」に相当する。図3の左下方向が本開示の「搬送方向」に相当し、図3の右上方向が本開示の「反対方向」に相当する。