本発明は、血清及び他の生物学的サンプル中のAPRILレベルのスクリーニング方法を提供する。高いAPRILレベルがRAなどの自己免疫疾患と顕著に関連していることが示されたので、この計測は診断アッセイとして有用である。こうした診断アッセイは、RAなどの自己免疫活性に関連した症状になる個々の可能性を予測するのに有用である。それはまた、特に免疫抑制剤での処置前に行われた分析である場合に疾患の先行き、すなわち、診断の1年後の疾患の予測重症度を予測するのにも有用である。本発明は、RAなどの自己免疫疾患を患っている個体について適切な処置を決定する方法をさらに提供する。
新たにRAであると診断された人などの自己免疫活性を示している患者の高レベルの血清中APRILの検出は、その症状を処置する際に有効である可能性が最も高い治療計画の選択を可能にする。これらの治療計画は、一般的に、単独での、又は別の医薬、例えば(MMFかCellcept(登録商標)のような)免疫抑制剤若しくは(Rituxan(登録商標)のような)CD20拮抗薬などと組み合わせたAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬の使用を伴う。
よって、本発明は、ほとんどの場合で健康対照者の血清中に見られるレベルと比較して高レベルの血清中APRILを検出し、そして自己免疫疾患であると臨床的に診断された個体に最も効果的な治療計画を選択することを含んでなる、自己免疫症状であると新たに臨床的に診断された個体を処置する方法をさらに提供する。高レベルの血清中APRILの検出はまた、特定の薬剤処置、特にAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬に反応する患者の可能性を当業者が予測することも可能にする。よって、本発明は、RAなどの自己免疫症状の処置中に(単独若しくは他剤との併用で)APRIL及び/又はBLyS拮抗薬に反応する患者の可能性を予測する方法をさらに提供する。
非常に特に、本発明は、生物学的サンプル中のAPRILタンパク質発現の第1のレベルを計測し、健常人の生物学的サンプル中に存在するAPRILタンパク質の発現の第2のレベルとそのレベルを比較し、そして第2レベルと比較して第1のレベルが高いことを判断することを含んでなり、ここで、上述の高いAPRILタンパク質発現が自己免疫疾患に関連する、個体の高い血清中APRILレベルを検出する方法を説明する。本発明における自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択できる。特に、上記自己免疫疾患はRAであり、そして上記患者は新たに診断される。
本発明はまた、血清中の高いAPRILタンパク質発現の存在又は不存在について自己免疫疾患であると臨床的に診断された個体からの生物学的サンプルを分析し、ここで、高いAPRILタンパク質発現レベルの存在が自己免疫疾患の臨床診断に関連し;そして高いAPRILタンパク質発現レベルに関連する症状を患っていると臨床的に診断された個体にとって最も効果的な治療計画を選択することを含んでなる、自己免疫疾患であると臨床的に診断された個体を処置する方法も説明する。上記治療計画は、APRIL拮抗薬の投与を伴うことができる。そして前述のAPRIL拮抗薬はまた、BLyS拮抗薬であることができる。この方法について、上記自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択される。特に、上記自己免疫疾患はRAであり、そして上記患者は新たに診断される。
さらに、本発明は、自己免疫疾患に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測する方法であって、血清中のAPRILタンパク質発現レベルを測定することを含んでなり、ここで、この高いAPRILタンパク質発現レベルの存在がその症状に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測する上記方法を説明する。上記自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択される。上記自己免疫疾患は特にRAであり、そして上記患者は新たに診断される。
加えて、本発明の方法は、APRIL拮抗薬の投与を伴う薬物療法を含むことができ、そして上述のAPRIL拮抗薬はまた、BLyS拮抗薬であってもよい。
本発明はまた、個体の高い血清中APRILタンパク質発現を検出するために試験管内で行う方法であって、上記個体からの生物学的試験サンプル中のAPRILタンパク質発現レベルを計測し;そのレベルを健康な対照者からの生物学的サンプル中のAPRILタンパク質発現レベルと比較し;そして生物学的試験サンプル中のAPRILタンパク質発現レベルが、対照サンプルのレベルと比較して高いか否かを判定することを含んでなる;ここで、上述の高いAPRILタンパク質発現が自己免疫疾患に関連する上記方法も網羅する。この方法における自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択される。上記自己免疫疾患は特にRAであり、そして上記患者は新たに診断される。
さらなる態様において、本発明には、自己免疫疾患であると臨床的に診断された個体を処置するために最も有効である治療計画を選択するために試験管内で行う方法であって、自己免疫疾患と臨床的に診断された個体からの生物学的サンプルを、彼らの血清における高いAPRILレベルの存在又は不存在について試験管内で分析することを含んでなる、ここで、高いAPRILレベルの存在が自己免疫疾患の臨床診断に関連する上記方法が含まれる。この方法について、治療計画には、APRIL拮抗薬の使用を含むことができ、そしてそのAPRIL拮抗薬はまた、BLyS拮抗薬であってもよい。上記自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択される。上記自己免疫疾患は特にRAであり、そして上記患者は新たに診断される。
より一層さらなる実施形態において、本発明には、自己免疫疾患に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測するために試験管内で行う方法であって、患者からのサンプル中のAPRIL発現レベルを測定することを含んでなる;ここで、高いAPRIL発現の存在が上記症状に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測する上記方法が含まれる。上記自己免疫疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎から成る群から選択されることができる。上記自己免疫疾患は特にRAであり、そして上記患者は新たに診断される。本発明の薬物療法は、APRIL拮抗薬を含んでなることができ、そして上述のAPRIL拮抗薬はまた、BLyS拮抗薬であってもよい。
最後に、本発明は、患者の自己免疫疾患の処置に使用するためのBLyS拮抗薬を企図するが、ここで、上述の患者は、血清中に高いAPRILタンパク質発現レベルを有している。上記拮抗薬はまた、TACI-Ig、BCMA-Ig、及びBAFF-R-Igから成る群から選択される上記受容体−細胞外ドメイン/Fcドメイン融合タンパク質であることもできる。特に、上記受容体−細胞外ドメイン/Fcドメイン融合タンパク質は、ataciceptなどのTACI-Igであってもよい。
本発明のこれらの態様及びその他の態様は、下記に十分に説明されている本発明の詳細を読むことによって当業者に明らかになるだろう。
本発明の簡単な説明
本発明は、血清などの生物学的サンプル中のAPRILレベルをスクリーニングする方法、並びに自己免疫疾患の存在を予測するための、及び患者がAPRIL拮抗薬処置に反応するであろう可能性を予測するためのこの情報の使用方法を提供する。本発明は、新たに診断されたRA患者の血清中のAPRILタンパク質発現レベルが統計的に高く、さらに、それが最初の1年間の疾患経過の重症度を予測するという知見に基づいている。APRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、前述の患者のB細胞などの免疫細胞による自己免疫性免疫グロブリン及びその他の組織破壊性サイトカインの産生を選択的に中和する。この観察結果は、これらのより高いレベルがRAなどの自己免疫疾患に関連する場合には、高いAPRILレベルの存在を検出するための診断アッセイの開発を可能にし、そしてまた、B細胞などの反応性免疫細胞の作用を中和する治療方法、すなわち、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬に個体がうまく反応する可能性を予測し得る。
本発明を説明する前に、説明した特定の実施形態に本願発明が限定されるものではなく、それ自体、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるので、本明細書中に使用される専門用語が、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、制限することを意味するものではないということもまた理解されるべきである。
別段の規定がない限り、本明細書中に使用されるすべての技術用語及び学術用語は、本願発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施又は試験に際して本明細書中に説明したものに同様の、又は同等の任意の方法及び材料を使用することができるので、好ましい方法及び材料をここでは説明する。本明細書中で触れたすべての刊行物を、その刊行物が引用されたものに関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために本明細書中に援用する。
本明細書中及び添付の請求項に使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」が、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含んでいることに留意しなければならない。よって、例えば「多型」への言及には複数のそうした多型が含まれ、「核酸分子」への言及には複数のそうした核酸分子が含まれ、そして「方法」への言及には1以上の方法、方法ステップ、及び当業者に知られているその同等物などが含まれる。
本明細書中で議論した刊行物は、本願の出願日前のそれらを開示のためだけに提示される。本明細書中では、先願発明に基づいて本発明がこうした刊行物に先行する資格がないと認めていると解釈されるべきではない。さらに、提示した刊行物の日付は、独立に確認するために必要とされ得る実際の刊行日と異なっている可能性がある。
定義
本明細書中に使用されるとき、用語「APRIL」は、別段明確に指示されない限り、野生型と遺伝子配列の異型の両方を一般的に指すことを意図している。それが当該技術分野で一般的に使用されるとき、用語「遺伝子」は、(単数若しくは複数の)5’非翻訳領域(UTR)、エクソン、イントロン、3’UTRを網羅するゲノム領域を指すことを意図している。個々のセグメントは、例えば、プロモーター、コード領域などを具体的に指すこともできる。完全なAPRILタンパク質のために提供されるこうしたセグメントの組み合わせを、一般的にタンパク質コード配列と呼ぶこともできる。APRILのヌクレオチド配列は、公的に入手可能である(GenBank受入番号AF046888)。
用語「多型性」は、本明細書中に使用されるとき、別の個体の相同領域のヌクレオチド又はアミノ酸配列と比較した所定の領域のヌクレオチド又はアミノ酸配列の相違、特に、同じ種の個体の間で異なっている所定の領域のアミノ酸配列のヌクレオチドの相違を指す。多型性は、参照配列に関連して通常規定される。多型性としては、単一ヌクレオチドの相違、2以上のヌクレオチド配列の相違、及び単一又は複数のヌクレオチドの挿入と、逆位と、欠失;並びに単一アミノ酸の相違、2以上のアミノ酸配列の相違、単一又は複数のアミノ酸の挿入と、逆位と、欠失が挙げられる。
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸性分子」は、任意の長さのヌクレオチドの重合型を指すために本明細書中で互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、及び/又はそれらの類似体を含むことができる。ヌクレオチドは、いずれの三次元構造を持つこともでき、そして既知又は未知の任意の機能を実施し得る。用語「ポリヌクレオチド」には、一本鎖、二本鎖、及び三重ヘリックス状分子が含まれる。「オリゴヌクレオチド」は、約5〜約100ヌクレオチドの一本鎖又は二本鎖DNAから成るポリヌクレオチドを通常指す。しかしながら、この開示の目的のために、オリゴヌクレオチドの長さに対して上限はない。オリゴヌクレオチドはまた、オリゴマー若しくはオリゴの別名でも知られ、そして遺伝子から単離されるか又は当該技術分野で知られている方法によって化学的に合成されることもできる。
以下のものは、ポリヌクレオチドの限定されることのない実施形態である:遺伝子若しくは遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマー。核酸分子はまた、メチル化された核酸分子や核酸分子類似体などの修飾された核酸分子も含んでなることもできる。プリンやピリミジンの類似体が、当該技術分野で知られている。核酸は、天然に存在する、例えば、DNA若しくはRNAであるか、又は当該技術分野で知られているように合成類似体であるかもしれない。アッセイ条件下の優れた安定性のため、こうした類似体がプローブとしての使用のために好まれることもある。骨格、糖若しくは複素環塩基の変更を含めた天然構造の修飾が、細胞内安定性と結合親和性を増強することが示された。その中でも、骨格の化学的性質の有用な変化は、ホスホロチオアート;ホスホロジチオアート(ここで、非架橋酸素の両方が硫黄で置換されている);ホスホロアミダイト;アルキル・ホスホトリエステル及びボラノホスファート(boranophosphates)である。アキラル・ホスファート誘導体としては、3’-O’-5’-S-ホスホロチオアート、3’-S-5’-O-ホスホロチオアート、3’-CH2-5’-O-ホスホナート、及び3’-NH-5’-O-ホスホロアミダートが挙げられる。ペプチド核酸は、すべてのリボース・ホスホジエステル骨格をペプチド結合で置き換える。
糖修飾もまた、安定性と親和性を高めるために使用される。デオキシリボースのα-アノマーを使用してもよい。ここで、上記塩基は、天然のβ-アノマーに関して逆にされる。2’-O-メチル又は2’-O-アリル糖を形成するためにリボース糖の2’-OHを変更することもでき、それが親和性を含むことなしに崩壊に対する耐性を提供する。
複素環塩基の修飾は、適切な塩基対合を維持しなければならない。いくつかの有用な置換としては、デオキシチミジンについてデオキシウリジン;デオキシシチジンについて5-メチル-2’-デオキシシチジンと5-ブロモ-2’-デオキシシチジンが挙げられる。5-プロピニル-2’-デオキシウリジン及び5-プロピニル-2’-デオキシシチジンは、それぞれデオキシチミジン及びデオキシシチジンと置換すると、親和性と生物学的活性を増強することが示された。
本明細書中で互換的に使用される用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸の重合型を指すが、ここで、それは、コード及び非コード・アミノ酸、化学的に若しくは生化学的に修飾若しくは誘導体化されたアミノ酸、又は修飾ペプチド骨格を持つポリペプチドを含むことができる。上記用語には、これだけに限定されるものではないが、異種のアミノ酸配列を持つ融合タンパク質、N末端メチオニン残基の有無にかかわらず、異種及び同種のリーダー配列を持つ融合物;免疫学的にタグを付与されたタンパク質;等を含めた融合タンパク質が含まれる。
最も広い意味において、本明細書中に使用されるとき、用語「自己免疫疾患」は、患者の免疫系が彼ら自身のタンパク質の1種類以上に対して好ましくない免疫応答を生じている疾患を指す。自己免疫疾患の代表的な例としては、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経障害、重症筋無力症、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、及び糸球体腎炎が挙げられる。
「実質的に単離された」又は「単離された」ポリヌクレオチドは、天然ではそれに付随している配列を実質的に含まないポリヌクレオチドである。実質的に含まないとは、天然ではそれに付随している物質を少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、そしてより一層好ましくは少なくとも90%含まないことを意味する。本明細書中に使用されるとき、「単離された」ポリヌクレオチドはまた組み換えポリヌクレオチドも指すが、起源又は操作によってそれは:(1)天然ではそれに付随しているポリヌクレオチドのすべて又は一部が付随していないか、(2)天然ではそれに結び付いているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドが結び付いているか、又は(3)天然には存在しない。
異なる「ストリンジェンシー」条件下でハイブリダイゼーション反応を行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は、当該技術分野で広く知られており公表されている。例えば、Sambrook et al. (1989)を参照のこと。(ストリンジェンシーを高めるための)関連条件の例としては、以下のもの:25℃、37℃、50℃、及び68℃のインキュベーション温度;(SSCが0.15MのNaClと15mMのクエン酸バッファーである場合には)10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSCのバッファー濃度、及び他のバッファー系を使用したそれらの同等物;0%、25%、50%、及び75%のホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1回、2回、又はそれ以上の洗浄ステップ;1、2、又は15分の洗浄インキュベーション時間;並びに6×SSC、1×SSC、0.1×SSC、又は脱イオン水の洗浄溶液が挙げられる。ストリンジェント条件の例は、50℃以上及び0.1×SSC(9mMのNaCl/0.9mMのクエン酸ナトリウム)中でのハイブリダイゼーションと洗浄である。
「Tm」は、ワトソン・クリック型塩基対合によって逆平行方向に水素結合した相補鎖を作るポリヌクレオチド二本鎖の50%が実験の条件下で一本鎖に分離するセルシウス度単位の温度である。Tmは、標準的な数式、例えば{[X+]がmol/L単位のカチオン濃度(通常ナトリウムイオン、Na+)であり;(%G/C)が二本鎖中の総残基に対するパーセンテージとしてのG及びC残基の数であり;(%F)が溶液(wt/vol)中のホルムアミドのパーセントであり;そしてLが二本鎖の各鎖内のヌクレオチドの数である。}によって予測できる。
DNA/DNA及びDNA/RNAハイブリダイゼーションの両方に関するストリンジェント条件は、Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989によって説明されている。上記文献を本明細書中に援用する。例えば、Sambrook et al.の7.52ページを参照のこと。
用語「宿主細胞」には、(単数若しくは複数の)任意の組み換えベクター若しくは単離された本発明のポリヌクレオチドの受容者である個別の細胞又は細胞培養物が含まれる。宿主細胞には単一宿主細胞の子孫が含まれ、そしてその子孫は、天然の、偶然の、又は計画的な突然変異、及び/又は変更が原因で、必ずしも本来の親細胞と(形態学的に又は全DNA相補体として)完全に同一であることができるとは限らない。宿主細胞には、組み換えベクター若しくは本発明のポリヌクレオチドを生体内又は試験管内で形質移入又は感染させた細胞が含まれる。本発明の組み換えベクターを含んでなる宿主細胞は、「組み換え宿主細胞」である。
用語「特異的に結合した」は、抗体結合との関連で、特定のポリペプチド、すなわち、多型APRILポリペプチドのエピトープに対する抗体の高結合活性、及び/又は高親和性の結合を指す。(本明細書中で別名「多型APRILエピトープ」とも呼ばれる)特定の多型APRILポリペプチド上のエピトープへの抗体の結合は、好ましくは、その他のエピトープ、特に着目の特定のポリペプチドと同じサンプルに付随する分子中、又は同じサンプル中に存在している可能性があるものへの同じ抗体の結合に比べて強い、例えば、抗体が特定のAPRIL多型エピトープだけに結合して、その他のAPRILエピトープに結合せず、且つ、多型エピトープを含まないその他のAPRILエピトープに結合しない結合条件を調整することによって、その他のAPRILポリペプチドではなく、特定のAPRIL多型エピトープにより強く結合する。着目のポリペプチドに特異的に結合する抗体は、弱いが、けれども検出可能なレベル(例えば、着目のポリペプチドに対して示される結合の10%以下)で他のポリペプチドに結合することができてもよい。こうした弱い結合、又はバックグラウンド結合は、例えば、適切な対照の使用によって着目の化合物又は抗体に結合する特定のポリペプチドから容易に識別可能である。通常、107モル/l以上、好ましくは108モル/l以上の結合親和力で特定のAPRILポリペプチドに結合する本発明の抗体が、特定のAPRILポリペプチドに特異的に結合すると言われる。通常、106モル/リットル以下の結合親和力を有する抗体は、現在使用されている従来の方法論を使用することで検出可能なレベルで抗原を結合しないので、有用でない。
本明細書中で使用するとき、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在できる天然に生じた突然変異を除いて同一である。
モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なった決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含んでいる従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらがハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンによる共雑がないという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得られたものとしての抗体の特徴を示すものであり、それが任意の特定の方法によって抗体を製造しなけれなならないと解釈されるものではない。
本発明により使用されるモノクローナル抗体は、例えば、Kohler et al., Nature, 256: 495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作ることができるか、又は組み換えDNA法によって作ることができる(例えば米国特許番号第4,816,567号を参照のこと)。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)に記載された技術を使用することでファージ抗体ライブラリーから単離し得る。
本明細書中のモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同である一方、鎖の残りが、他の種に由来するか、他の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限りはそのような抗体のフラグメントを含む(米国特許番号第4,816,567号;Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984))。キメラ抗体を作る方法は当該技術分野で知られている。
ヒト以外の(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合部分配列)である。
大部分について、ヒト化抗体は、受容者の相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するヒト以外の種、例えばマウス、ラット若しくはウサギなどのCDR(ドナーの抗体)からの残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(受容者の抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応するヒト以外の残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、受容者の抗体にも、取り込まれるCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練し、そして最大化するために行われる。通常、ヒト化抗体は、すべて若しくは実質的にすべての超可変ループがヒト以外の免疫グロブリンのものに対応し、そしてFR領域は結合親和力を改善する1以上のアミノ酸置換を含むこともできるが、すべて若しくは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、通常2つの可変ドメインの実質的にすべてを含んでなる。FR内のこれらのアミノ酸置換の数は、通常、H鎖内に6個未満、及びL鎖内に3個以下である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分、通常ヒト免疫グロブリンのものも場合によっては含んでなるだろう。さらなる詳細については、Jones et al., Nature, 321: 522-525 (1986);Reichmann et al., Nature, 332: 323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596 (1992)を参照のこと。ヒト化抗体としては、抗体の抗原結合領域が、例えば、着目の抗原でマカクザルを免疫することによって作り出された抗体に由来するPRJMATIZED抗体が挙げられる。ヒト化を抗体を作製する方法は当該技術分野で知られている。
ヒト抗体はまた、ファージ提示ライブラリーを含めた当該技術分野で知られている様々な技術を使用しても作製できる。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581 (1991)。Coleら及びBoernerらの技術もまた、ヒト・モノクローナル抗体の調製のために利用可能である。Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77 (1985);Boerner et al., J. Immunol., 147(1): 86-95 (1991)。
本発明の結合抗体の「機能的フラグメント」は、それらが由来する無傷の完全長鎖分子と実質的に同じ親和性でBLyS、TACI、BAFF-R、又はBCMAへの結合を維持し、そして本明細書中に説明したものなどの試験管内若しくは生体内アッセイによって計測されるようにB細胞を激減させることができる可能性があるそれらのフラグメントである。
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列のFc領域又はアミノ酸配列変異体のFc領域)に起因するそれらの生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては:Clq結合及び補体依存性細胞傷害作用;Fc受容体結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調整;並びにB細胞の活性化が挙げられる。
「抗体依存性細胞傷害作用」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上にあるFc受容体(FcRs)に結合したIgによりこれらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させるという細胞傷害作用の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を「武装させ」、そしてそれは前述の死滅のために間違いなく必要である。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞がFcyRIIIのみを発現する一方、単球はFcyRI、FcyRII及びFcyRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Ann. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991)の464ページの表3にまとめられている。着目の分子のADCC活性を評価するためには、米国特許番号第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているような試験管内におけるADCCアッセイを実施してもよい。こうしたアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、又は加えて、着目の分子のADCC活性は、例えばClynes et al. PNAS (USA) 95: 652-656 (1998)に開示されたような動物モデルにおいて、生体内で評価されてもよい。
「補体依存性細胞傷害作用」又は「CDC」は、補体存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、それらの同種抗原に結合する(適当なサブクラスの)抗体に補体系(Clq)の最初の構成成分が結合することによって開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202: 163 (1996)に記載のように実施してもよい。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され、そして分離、及び/又は回収されたものである。その自然環境の共雑成分は、抗体の診断又は治療への使用を妨げるであろう物質であり、それには、酵素、ホルモン、他のタンパク性又は非タンパク性溶質が含むことができる。好ましい実施形態において、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法により定量して95重量%超の抗体まで、そして最も好ましくは99重量%超まで、(2)スピニングカップ配列決定装置の使用によってN端末又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、あるいは(3)クマシー・ブルー又は好ましくは銀染色を使用した非還元若しくは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるのに十分な程度まで精製される。
抗体の自然環境の構成要素が1つも存在しないので、単離された抗体には、組み換え細胞内のその場の(in situ)抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程により調製される。
用語「検出可能な標識抗体」は、検出可能な標識が結合している抗体(又はAPRILポリペプチド若しくはエピトープに対する結合特異性を維持する抗体フラグメント)を指す。検出可能な標識は化学的結合によって通常結合されるが、標識がポリペプチドである場合には、代わりに遺伝子工学技術によってそれを結合することができる。検出可能な標識タンパク質の製造のための方法は、当該技術分野で周知である。検出可能な標識は、これだけに限定されるものではないが、放射性同位元素、蛍光発色団、常磁性標識、酵素(例えば西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ)、あるいは検出可能なシグナル(例えば、放射能、蛍光、呈色)を放つか又は標識をその基質にさらした後に検出可能なシグナルを放つ他の部分又は化合物を含めた、当該技術分野で周知の様々なこうした標識から選択できる。様々な検出可能な標識/基質ペア(例えば、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体を標識する方法、及び標識抗体を使用する方法が、当該技術分野で周知である(例えばHarlow and Lane, eds. (Antibodies: A Laboratory Manual (1988) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を参照のこと)。
「生物学的サンプル」は、個体から得られる様々なサンプル・タイプを網羅し、診断又はモニタリング・アッセイに使用できる。この定義は、血液と生物起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、例えば生検材料、又はそこに由来する若しくはその子孫に由来する組織培養物若しくは細胞などを網羅する。この定義はまた、例えば、試薬での処理、可溶化、又は特定の成分、例えばポリヌクレオチドなどの濃縮などによって、それらの調達後にいずれかの形で操作されたサンプルも含んでいる。用語「生物学的サンプル」は、臨床サンプルを網羅し、そしてまた、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液、及び組織サンプルも含んでいる。
本明細書中に使用されるとき、用語「処置」、「処置すること」等は、所望の薬理学的、及び/又は生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患又はその症状を完全に若しくは部分的に妨げる点で予防的であることができ、並びに/あるいは疾患及び/又はその疾患に起因する悪影響を部分的に若しくは完全に癒す点で治療的であることができる。「処置」は、本明細書中に使用されるとき、哺乳動物、特にヒトの疾患におけるあらゆる処置に及び、そして以下の:(a)疾患にかかりやすい可能性があるがそれを患っているとまだ診断されていない対象において疾患の発症を予防すること;(b)疾患を抑制すること、すなわち、進行を抑えること;及び(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退縮を引き起こすことを含んでいる。
「免疫抑制剤」は、免疫系を妨げ、そして外来抗原又は自己抗原に対する応答を鈍らせるいずれかの分子である。シクロホスファミド(CYC)及びミコフェノレート・モフェチル(MMF)が、2種類のこうした類の分子である。この用語は、免疫系を下方制御する際に治療薬として有用なあらゆる薬物又は分子を網羅することを意図している。
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は、共有結合により結合された2つの部分を持っているポリペプチドを指す。ここで、それぞれ部分が異なった特性を有するポリペプチドである。その特性は、試験管内又は生体内における活性などの生物学的性質であってもよい。その特性はまた、簡単な化学的又は物理的特性、例えば標的分子への結合、反応の触媒作用などであってもよい。上記の2つの部分は、1つのペプチド結合によって、又は1以上のアミノ酸残基を含むペプチド・リンカーを通して直接的に連結することができる。通常、上記の2つの部分及びリンカーは、互いのリーディング・フレーム内に存在する。
「コンジュゲート」は、融合タンパク質、並びにアミノ酸若しくはタンパク質部分と非タンパク質部分の両方を含む分子を含めたあらゆるハイブリッド分子を指す。コンジュゲートは、例えば、組み換えDNA技術、固相合成法、液相合成法、有機化学合成技術を含めた当該技術分野で知られている様々な技術、又はこれらの技術の組み合わせによって合成し得る。合成法の選択は、作り出すべき特定の分子による。例えば、天然では完全に「タンパク質」というわけではないハイブリッド分子は、組み換え技術と液相技術の組み合わせによって合成し得る。
本明細書中に使用されるとき、用語「Fc融合タンパク質」は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と、異種タンパク質の結合特異性を組み合わせた抗体様分子を示す。構造的には、Fc融合タンパク質は、抗体の抗原認識及び結合部位を除いた、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(すなわち、それは「異種」である)と、免疫グロブリン定常ドメイン配列の融合を含んでなる。Fc融合タンパク質分子は、少なくとも受容体又はリガンドの結合部位を含んでなる隣接アミノ酸配列を通常含んでいる。Fc融合タンパク質中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、例えば、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、(IgA-1とIgA-2を含めた)IgA、IgE、IgD又はIgMなどのあらゆる免疫グロブリンから得られる。例えば、本願発明による有用なFc融合タンパク質は、BLyS受容体の膜貫通配列又は細胞質配列を含まないBLyS受容体のBLyS結合部分を含んでなるポリペプチドである。1つの態様において、BAFF-R、TACI又はBCMAの細胞外ドメインが、免疫グロブリン配列の定常ドメインに融合される。免疫グロブリン配列の1つの例が、(IgG分子のFc5フラグメントなどの)免疫グロブリン分子のFc5フラグメントから成るか、又はそれを含んでなる免疫グロブリン配列である。前述の免疫グロブリン配列は、例えば、結合する、及び/又は免疫成分/細胞(例えばナチュラルキラー細胞)を動員する能力などの(単数若しくは複数の)エフェクター機能を取り除くために修飾されることもできる。
本明細書中で互換的に使用される用語「個体」、「対象」、及び「患者」は、これだけに限定されるものではないが、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜、哺乳動物の競技用動物(sport animals)、及び哺乳動物のペットを含めた哺乳動物を指す。
用語「哺乳動物」は、ヒト、家畜や牧畜(domestic and farm animals)、及び動物園、競技用、又は愛玩動物を含めた哺乳動物として分類されるあらゆる動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを指す。好ましくは、本明細書中における哺乳動物はヒトである。
用語「新たに診断された」は、患者が特定の自己免疫疾患に罹患していると最近分類されたことを意味する。一般的に、新たに診断される患者は、免疫抑制剤でまだ治療されていない。患者は疾患の様々な病期において初めて診断されるが、新しい診断は、早期において、すなわち、より後期の疾患に比べて重症度のより低い症状によって特徴づけられるものが最も一般的に起こる。よって、疾患の早期にある患者はまた、新たに診断されたとも考えることができる。特に、患者は、診断にて疾患の重症度を評価するためのRAに関する1987 ACR基準を使用することで評価できる。他の疾患重症度マーカーとしては、DAS28、HAQ、ESR、及びCRPが挙げられる。他の実施形態において、新しく診断を受けた患者は診断症状の処置を受けなかった、及び/又は現在受けていない。よって、例えば、いくつかの実施形態において、新たに診断された関節リウマチ症状は、患者が上記の症状に対する治療を受けなかった、及び/又は現在受けていないものである。
APRILポリペプチドの検出
本発明は、APRILポリペプチドの検出を提供する。用語「APRILポリペプチド」は、完全長の天然ポリペプチドとそのフラグメント、特に生物学的に活性なフラグメント及び/又は機能性ドメインに相当するフラグメント、例えば生物学的活性を有する領域若しくはドメインなど;その抗原性フラグメントを含めた、並びに他のタンパク質又はその一部への対象ポリペプチドの融合物を含めた、既知のAPRILポリヌクレオチドのオープン・リーディング・フレーム(ORF)によってコードされたアミノ酸配列を網羅する。APRILポリペプチドのアミノ酸配列は開示されている(例えば、Laabi et al., Nucleic Acids Research 22: 1147-1154, 1994;Laabi et al., EMBO J., 11: 3897-3904 (1992);Gras et al., Int. Immunology, 7: 1093-1106 (1995);及びMadry et al., Int. Immunology, 10: 1693-1702 (1998)を参照のこと)。本発明のAPRILポリペプチドは、例えば、人体の組織タイプから若しくは別の起源からなどの様々な起源から単離できるか、あるいは、組み換え及び/又は合成法によって調製される。APRILポリペプチドにおける多型性は、参照配列と比較して通常規定される。
本明細書中に使用されるとき、「多型APRILポリペプチド」は、i)天然の多型APRILポリペプチド;ii)多型APRILポリペプチドの断片;iii)多型APRILポリペプチドのポリペプチド類似体;iv)多型APRILポリペプチドの変異体;v)多型APRILポリペプチドの免疫学的活性断片;及びvi)多型APRILポリペプチドを含んでなる融合タンパク質、のアミノ酸配列を持っている組み換え又は非組み換えポリペプチドのアミノ酸配列を指す。本発明の多型APRILポリペプチドは、生物学的サンプルから、又は天然、合成、準合成若しくは組み換えにかかわらずあらゆる起源から得られる。
用語「多型APRILポリペプチド」又は「APRILポリペプチド」は、多型APRILポリペプチドの少なくとも約5個のアミノ酸、少なくとも約10個のアミノ酸、少なくとも約15個のアミノ酸、少なくとも約25個のアミノ酸、少なくとも約50個のアミノ酸、少なくとも約75個のアミノ酸、少なくとも約100個のアミノ酸、少なくとも200個のアミノ酸、少なくとも約300個のアミノ酸、少なくとも400個のアミノ酸から、又は最大で全ポリペプチドまでを含んでなるポリペプチドを網羅する。いくつかの実施形態において、多型APRILポリペプチドは生物学的活性を示す、例えば、そのポリペプチドは試験管内のアッセイにおいてB細胞の増殖と免疫グロブリンの産生を引き起こす。APRILの生物学的活性に関する他のアッセイが当該技術分野で知られており、多型APRILポリペプチドが生物学的活性を示すかどうか判断するために、そして所望であれば、APRILの生物学的活性を定量するために使用できる。APRILの生物学的アッセイは、様々な刊行物、例えばMooreら、前掲、に記載されている。
APRILポリペプチドは、天然起源からの分離;化学合成による製造;及び標準の組み換え技術による製造を含めた、任意の既知の方法、又はこうした方法の組み合わせによっても得られる。APRILポリペプチドは、アフィニティー・クロマトグラフィーを使用して、例えば、APRILポリペプチドに特異的な抗体が固体支持体に固定されているものを使用して、生物学的起源から単離できる。ポリペプチドは、発現の目的によっては、従来の方法に従って原核生物又は真核生物において発現させることもできる。タンパク質の大規模製造のために、単細胞生物、例えばE.コリ(E. coli)、B.ズブチリス(B. subtilis)、S.セレビシエ(S. cerevisiae)など、バキュロウイルス・ベクターと組み合わせた昆虫細胞、又は高等生物、例えば脊椎動物など、特に哺乳動物の細胞、例えばCOS7細胞、CHO細胞、HEK293細胞などを、発現宿主細胞として使用してもよい。いくつかの状況において、真核細胞において遺伝子が発現されることが望ましい。ここで、そのタンパク質は、天然の折り畳みと翻訳後修飾の恩恵を受けるだろう。次に、ポリペプチドを、先に記載したように、アフィニティー・クロマトグラフィー法、又は陰イオン交換性/サイズ排除クロマトグラフィー法を使用することで細胞培養上清又は細胞溶解物から単離できる。
大量のタンパク質又はその断片の利用可能性のために、発現宿主を用いることで、タンパク質を従来の手法に従って単離及び精製することができる。溶解物は発現宿主で調製されてもよく、そしてその溶解物は、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティー・クロマトグラフィー、又は他の精製技術を使用することで精製した。分離されたタンパク質は抗体を作るために使用でき、その結果、標準的なアッセイ系、例えばELISA又はFACSを使用してそのタンパク質の存在を検出するために使用される。
APRILポリペプチドの調製
以降の章により詳細に説明された複数の使用に加えて、APRIL核酸組成物は、先に記載したように、APRILポリペプチドの全部又は一部の調製に使用される。(cDNA又は完全長の遺伝子を含めた)ポリヌクレオチドは、部分的な又は完全な遺伝子産物を発現するために使用される。対象のポリヌクレオチドを含んでなる構築物を合成により作り出すことができる。あるいは、遺伝子のシングル・ステップ・アッセンブリ及び多数のオリゴデオキシリボ核酸からの完全なプラスミドが、例えばStemmer et al., Gene (Amsterdam) (1995) 164 (1): 49-53によって説明されている。この方法では、アッセンブリPCR法(多数のオリゴデオキシリボ核酸(オリゴ)からの長鎖DNA配列の合成)が説明されている。その方法は、DNAシャッフリング(Stemmer, Nature (1994) 370: 389-391)から派生し、そしてDNAリガーゼに依存しないが、代わりに、アッセンブリ過程中にますます長いDNA断片を構築するためにDNAポリメラーゼに依存する。適当なポリヌクレオチド構築物は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., (1989) Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載の標準的な組み換えDNA技術を使用し、そしてUnited States Dept. of HHS, National Institute of Health (NIH) Guidelines for Recombinant DNA Researchに記載の現在の規則下で精製される。
特に、有効な抗体を作り出すのに十分な量の活性タンパク質を作り出すことができるようにAPRILタンパク質を三量体化する遺伝子工学的手段を提供することが必要であるかもしれない。ZymoZipper配列などの三量体化ポリペプチドの例は、米国特許出願番号第11/530,672号及びその中で議論された参考文献で開示されている。
本明細書中に提供されたポリヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド分子は、その分子をベクター内に配置することによって伝播される。プラスミドを含んでいるウイルス性及び非ウイルス性ベクターが使用される。プラスミドの選択は、繁殖が所望される細胞のタイプ、及び繁殖の目的に依存するであろう。特定のベクターが、大量の所望のDNA配列を増幅し、そして作り出すのに有用である。他のベクターは、培養中の細胞における発現に好適である。さらに他のベクターは、動物個体又はヒトの細胞における転移と発現に好適である。適当なベクターの選択は、十分に当該技術分野の技能の範疇にある。こうしたベクターの多くが商業的に入手可能である。部分的な又は完全長のポリヌクレオチドは、通常、ベクター内の開裂された制限酵素部位に、DNAリガーゼ接着を用いることによってベクター内に挿入される。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、生体内における相同組み換えによって挿入できる。通常、これは、所望のヌクレオチド配列の側面上の、ベクターに対する相同性領域を接着することによって達成される。相同性領域は、例えば、オリゴヌクレオチドの連結反応、又は相同性領域と所望のヌクレオチド配列の一部の両方を含んでなるプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって付加される。
発現のために、発現カセット又は発現系を利用し得る。本発明のポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物は、例えば、細菌、酵母、昆虫、両生動物、及び哺乳動物の系を含めた任意の簡便な発現系において発現される。好適なベクター及び宿主細胞は、米国特許番号第5,654,173号に記載されている。発現ベクターにおいて、APRILポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、所望の発現特性を得るために適当な調節配列に連結される。これらは、(センス鎖の5’末端又はアンチセンス鎖の3’末端に取り付けられた)プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、及びインデューサーを含むことができる。プロモーターは、調節されるか又は構成的である。いくつかの状況において、条件付きで活性なプロモーター、例えば組織特異的又は発生段階特異的プロモーターなどの使用が望まれることもある。これらは、ベクターの連結について先に説明した技術を使用することで所望のヌクレオチド配列に連結される。当該技術分野で知られているあらゆる技術を使用できる。言い換えれば、発現ベクターは、転写及び翻訳開始領域を提供し、それは誘導的であっても構成的であってもよい。ここで、コード領域は、転写開始領域、並びに転写及び翻訳終止領域の転写制御下で作動できるように連結される。これらの制御領域は、APRIL遺伝子に本来備わっていてもよく、又は外来起源に由来してもよい。
発現ベクターは、一般的に、プロモーター配列の近傍に配置された簡便な制限部位を持ち、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供する。発現宿主において作動する選択マーカーが存在していてもよい。発現ベクターは融合タンパク質の産生に使用できる。ここで、外来の融合ペプチドは追加の機能、すなわち、タンパク質合成の増強、安定性、規定の抗血清との反応性、酵素マーカー、例えばβガラクトシダーゼなどを提供する。
発現カセットは、転写開始領域、遺伝子又はその断片、転写終了領域を含めて調製し得る。特に興味深いものは、一般的には少なくとも約8アミノ酸の長さ、より一般的には少なくとも約15アミノ酸の長さ、約25アミノ酸、そして最長で遺伝子の完全なオープン・リーディング・フレームの長さまでの、機能的エピトープ又はドメインの発現を可能にする配列の使用である。DNAの導入後、構築物を含む細胞を選択マーカーによって選択し、その細胞を殖やし、その後、発現用に使用することもできる。
APRILポリペプチドは、発現の目的によって、従来の方法により原核生物又は真核生物で発現させることもできる。タンパク質の大規模産生のために、単細胞生物、例えばE.コリ、B.ズブチリス、S.セレビシエなど、バキュロウイルス・ベクターと組み合わせた昆虫細胞、又は高等生物、例えば脊椎動物など、特に哺乳動物の細胞、例えば、COS7細胞、HEK293、CHO、アフリカツメガエル卵母細胞などを発現宿主細胞として使用できる。状況によっては、多型APRILタンパク質が天然の折り畳みと翻訳後修飾の恩恵を受ける真核細胞において、多型APRIL核酸分子を発現させることが望ましい。小ペプチドは実験室でも合成できる。完全なAPRIL配列のサブセットであるポリペプチドは、機能上重要なタンパク質の部分を同定し、そして調査するのに使用させることもある。
着目の特定の発現系としては、細菌、酵母、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞に由来する発現系が挙げられる。これらの各カテゴリーの代表的な系を、以下に挙げる:
細菌。細菌における発現系としては、Chang et al., Nature (1978) 275:615;Goeddel et al., Nature (1979) 281: 544;Goeddel et al., Nucleic Acids Res. (1980) 8: 4057;EP 0 036,776;米国特許番号第4,551,433号;DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1983) 80: 21-25;及びSiebenlist et al., Cell (1980) 20:269に記載のものが挙げられる。
酵母。酵母における発現系としては、Hinnen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1978) 75: 1929;Ito et al., J. Bacteriol. (1983) 153: 163;Kurtz et al., Mol. Cell. Biol. (1986) 6: 142;Kunze et al., J. Basic Microbiol. (1985) 25: 141;Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. (1986) 132: 3459;Roggenkamp et al., Mol. Gen. Genet. (1986) 202: 302;Das et al., J. Bacteriol. (1984) 158: 1165;De Louvencourt et al., J. Bacteriol. (1983) 154: 737;Van den Berg et al., Bio/Technology (1990) 8: 135;Kunze et al., J. Basic Microbiol. (1985) 25: 141;Cregg et al., Mol. Cell. Biol. (1985) 5:3376;米国特許番号第4,837,148号及び同第4,929,555号;Beach and Nurse, Nature (1981) 300: 706;Davidow et al, Curr. Genet. (1985) 10: 380;Gaillardin et al., Curr. Genet. (1985) 10: 49;Ballance et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. (1983) 112: 284-289;Tilbum et al., Gene (1983) 26: 205-221;Yelton et al., Proc. Natl Acad. Sci. (USA) (1984) 81: 1470-1474;Kelly and Hynes, EMBO J. (1985) 4: 475479;EP 0 244,234;並びにWO 91/00357に記載のものが挙げられる。
昆虫細胞。昆虫における異種遺伝子の発現は、米国特許番号第4,745,051号;Friesen et al.,「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」, The Molecular Biology Of Baculoviruses (1986)中(W. Doerfler, ed.);EP 0 127,839;EP 0 155,476;及びVlak et al., J. Gen. Virol. (1988) 69: 765-776;Miller et al., Ann. Rev. Microbiol. (1988) 42: 177;Carbonell et al., Gene (1988) 73:409;Maeda et al., Nature (1985) 315: 592-594;Lebacq-Verheyden et al., Mol. Cell. Biol. (1988) 8: 3129;Smith et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1985) 82: 8844;Miyajima et al., Gene (1987) 58: 273;並びにMartin et al., DNA (1988) 7: 99に記載されているように達成される。多くのバキュロウイルス株及び変異株、並びに対応する宿主に許容される昆虫宿主細胞が、Luckow et al., Bio/Technology (1988) 6: 47-55、Miller et al., Generic Engineering (1986) 8: 277-279、及びMaeda et al., Nature (1985) 315: 592-594に記載されている。
哺乳動物細胞。哺乳動物発現は、Dijkema et al., EMBO J. (1985) 4: 761、Gorman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1982) 79: 6777、Boshart et al., Cell (1985) 41: 521、及び米国特許番号第4,399,216号に記載のように達成される。哺乳動物発現のその他の特徴は、Ham and Wallace, Meth. Enz. (1979) 58: 44、Barnes and Sato, Anal. Biochem. (1980) 102: 255、米国特許番号第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、WO 90/103430、WO 87/00195、及び米国再発行特許番号第30,985号に記載のように助長される。
上記宿主細胞、又は他の適当な宿主細胞若しくは生物のいずれかを使用して、本発明のポリヌクレオチド又は核酸を複製及び/又は発現させる場合、得られた複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質又はポリペプチドは、宿主細胞又は生物の産物として、本発明の範囲内に含まれる。産物は、当該技術分野で知られている任意の適切な手段によって回収される。
選択したポリヌクレオチドに対応する遺伝子が一旦同定されると、その遺伝子が本来存在する細胞内でその発現を調節できる。例えば、細胞の内因性遺伝子を、細胞のゲノムの中の、細胞において遺伝子の発現を少なくとも増強するのに十分な位置に挿入された外因性調節配列により調節できる。調節配列は、米国特許番号第5,641,670号及び同第5,733,761号(これらの開示を本明細書中に援用する)で開示されるように、相同組み換えによりゲノム中に組み込むように設計してもよく、又はWO 99/15650(その開示を本明細書中に援用する)に開示されたように、非相同組み換えによりゲノム中に組み込むように設計してもよい。先に援用した特許文献に記載のように、コード核酸自体の操作なしに、代わりに、所望のタンパク質をコードする遺伝子を既に含んでいる細胞のゲノム中への調節配列の組み込みによるAPRILタンパク質の製造もまた、対象の発明の中に網羅される。
APRILポリペプチドに特異的な抗体の調製
本発明は、抗体、特に単離された、APRILポリペプチドに特異的な抗体の使用をさらに含むことができる。本発明の抗体は、以降にさらに詳細に記載したように、様々な診断アッセイで有用である。例えば、抗体は、生物学的サンプルのAPRILポリペプチドのレベルを検出及び/又は計測するのに使用できる。
本発明の単離されたAPRILポリペプチドは、抗体作成に有用であり、ここで、短い断片は特定のポリペプチドに対して特異的な抗体を提供し、そしてより大きな断片又はタンパク質全体はそのポリペプチドの表面一面の抗体作成を可能にする。従って、本発明の方法では、APRILポリペプチド又はその抗原断片に特異的に結合する単離された抗体を利用する。抗体は、野生型に対して産生されても、異型に対して産生されてもよい。抗体は、これらのドメインに対応する単離されたペプチド又は天然のタンパク質に対して産生されてもよい。抗体は、任意の哺乳動物種からAPRILのポリペプチド及び/又はペプチド断片に対して産生されてもよい。1つの制限されることのない例として、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)をAPRILポリペプチドに対する所定のモノクローナル抗体の特異性を測定するために使用できる。
APRILポリペプチドは抗体作成に有用であり、ここで、短い断片は特定のポリペプチドに特異的な抗体を提供し、そしてより大きな断片又はタンパク質全体はポリペプチドの表面一面に対する抗体作成を可能にする。本明細書中に使用されるとき、用語「抗体」は、任意のアイソタイプの抗体、これだけに限定されるものではないが、Fab、Fv、scFv、及びFdフラグメントを含めた抗原に対する特異的結合を維持している抗体フラグメント、かかる抗体フラグメントを含んでなる融合タンパク質、検出可能に標識された抗体、及びキメラ抗体を含む。抗体‐抗原相互作用との関連において、「抗体特異性」は、当該技術分野でよく理解された用語であり、所定の抗体が所定の抗原に結合することを示す。ここで、結合は、抗体によって認識されるその抗原又はそのエピトープによって阻害され、そして実質的に関係ない抗原に結合しない。特異的な抗体結合を測定する方法は、当業者にとって周知であり、そしてAPRILポリペプチドに対する抗体の特異性を測定するのに使用できる。
抗体は従来の手順に従って調製される。ここで、発現されたポリペプチド又はタンパク質は、単独で免疫原として使用され、又は既知の免疫原性担体、例えばKLH、pre-S HBsAg、他のウイルス性若しくは真核性タンパク質又は同様のものと複合化され得る。様々なアジュバントを、適宜、一連の注射と共に用いてもよい。モノクローナル抗体に関しては、1回以上の追加免疫注射後に、脾臓を摘出し、細胞融合によってリンパ球を不死化し、その後、高い親和性の抗体結合についてスクリーニングする。そして、所望の抗体を産生する不死化細胞、すなわち、ハイブリドーマを殖やすこともできる。さらなる説明のために、Monoclonal Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane eds., Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988を参照のこと。所望であれば、重鎖及び軽鎖をコードするmRNAは、E.コリにクローニングすることによって単離し突然変異を起こすこともでき、そしてその重鎖と軽鎖は混合されて、抗体の親和性をさらに高める。抗体を産生する方法としての生体内での免疫化の代替手段としては、通常試験管内における親和性成熟に関連するファージ提示ライブラリーへの結合が挙げられる。
抗体は、生物学的サンプル中のAPRILポリペプチドの存在を測定及び/又は計測するための診断アッセイにおける使用のために、直接的又は間接的(例えばリンカー分子を介して)に固体支持体に取り付けられてもよい。取り付けは、通常、共有結合であるが、それがある必要はない。固体支持体としては、これだけに限定されるものではないが、ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ等);プラスチック表面(例えば、ELISA又は放射免疫測定(RIA)等に通常使用されるポリスチレン又はポリカーボネート製のマルチウェル・プレート);シート、例えば、ナイロン、ニトロセルロース等;並びにチップ、例えばマイクロアレイに使用されるものなどのSiO2チップ、が挙げられる。従って、本発明は、固体支持体に取り付けられた抗体を含んでなるアッセイ・デバイスをさらに提供する。
次に、単一抗体又は異なった抗体のバッテリーは、アッセイ・デバイスを作るために使用できる。こうしたアッセイ・デバイスは、当業者に知られている従来技術を使用して調製できる。抗体は、既知の技術を使用することで精製及び単離され、そして既知の手順を用いることで支持体表面に結合させることができる。得られたその上に結合した抗体を含む表面は、サンプルに含まれていれば1以上のタイプのAPRILポリペプチドを試験管内において測定するために、試験サンプル、例えば生物学的サンプルをアッセイするのに使用できる。例えば、特定のAPRILエピトープだけに結合する抗体を、材料の表面に取り付けることができる。あるいは(2以上の別々のAPRILエピトープに特異的な抗体が固体支持体に取り付けられる)アレイに配置することもできる多くの特異的抗体を使用できる。試験サンプルを材料の表面に結合された抗体と接触させる。特異的な結合は、任意の既知の方法を使用することで検出できる。特異的な結合が検出されない場合には、サンプルが特異的なAPRILエピトープを含んでいないと推論できる。特異的な結合がどのように検出できるかに関する1つの制限されることのない例として、一旦、試験サンプルを固体支持体に結合した抗体に接触させ、2番目に、固形支持体に結合した抗体によって認識されるエピトープとは異なるAPRILエピトープを認識する、検出可能な標識抗体を加えてもよい。
その他の様々な試薬を、本明細書中に記載のAPRILポリペプチドを検出するためのアッセイに含んでいてもよい。これらは、試薬、例えば、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、最適のタンパク質‐タンパク質結合を促す、及び/又は非特異的又はバックグラウンド相互作用を低減するために使用される界面活性剤など、を含んでいる。アッセイの有効性を改善する試薬、例えばプロテアーゼ・インヒビター、抗微生物剤などを使用してもよい。必要な結合をもたらす成分は、任意の順番で加えられる。インキュベーションは、好適な温度のいずれか、通常4℃〜40℃にて実施される。インキュベーション時間は、至適活性のために選択されるが、急速なハイスループット・スクリーニングを促すために最適化されることもできる。一般に0.1〜1時間で十分である。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープへの結合特異性を有する抗体である。代表的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープに結合することもできる。他のこうした抗体は、第1のB細胞マーカーに結合し、さらに第2の細胞表面マーカーに結合することもできる。あるいは、抗B細胞マーカーの結合する腕を、T細胞受容体分子(例えばCD2又はCD3)、又はFcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)、FcyRIII(CD16)などのIgG Fc受容体(FcyR)など、白血球上のトリガー分子に結合する腕と合体させて細胞の防御機構をB細胞に焦点させてもよい。二重特異性抗体を使用して、細胞傷害薬をB細胞に局在化させてもよい。これらの抗体には、B細胞マーカーを結合する腕と、細胞傷害薬(例えば、サポリン、抗インターフェロン‐、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート又は放射性同位体ハプテン)を結合する腕とがある。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体フラグメント(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として調製できる。
二重特異性抗体を作製する方法は、当該技術分野で知られている。伝統的な完全長二重特異性抗体の製造は、2本の鎖が別々の特異性を有する2対の免疫グロブリン重鎖‐軽鎖の同時発現系に基づいている(Millstein et al., Nature, 305: 537-539 (1983))。
免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の無作為の組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)では、そのうち1種類だけが正しい二重特異性構造を有する10種類の異なる抗体分子の潜在的混合物を作り出す。正確な分子の精製は、通常、アフィニティー・クロマトグラフィー・ステップによって行われるが、かなり煩わしく、そして産物の収率も低い。同様の手順が、WO 93/08829、及びTraunecker et at., EMBO J., 10: 3655-3659 (1991)に開示されている。
異なるアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体‐抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。少なくともヒンジ、CH2、及びCH3領域の部分を含んでなる免疫グロブリン重鎖定常ドメインに融合させることが好ましい。軽鎖との結合に必要な部位を含む第1重鎖定常領域(CH1)鎖が融合物の少なくともの1つに存在していることが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物をコードするDNA、及び所望であれば免疫グロブリン軽鎖を別々の発現ベクターに導入し、好適な宿主生物に同時形質移入する。異なる比の3本のポリペプチド鎖をこの構築に使用して最適な収率がもたらされる場合には、これによって、3つのポリペプチド断片の共通の割合を調整する際に高度な柔軟性を実施形態に付与する。しかしながら、等しい比の少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらすか、又はその比が特に有意でない場合には、2本又は3本すべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに導入することが可能である。
このアプローチの好ましい実施形態において、二重特異性抗体は、第1の結合特異性を有する一方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、(第2の結合特異性をもたらす)もう片方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖‐軽鎖対とから構成されている。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分しか存在しないことが、分離の容易な手段を与えるので、この非対称構造によって不必要な免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることがわかった。このアプローチは、WO 94/04690で開示されている。二重特異性抗体の製造のさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121: 210 (1986)を参照のこと。米国特許番号第5,731,168号に記載の別のアプローチによれば、抗体分子対の間の接触面を操作すると、組み換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にすることができる。好ましい接触面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の接触面に由来する1以上の小さいアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で置き換える。第2の抗体分子の接触面には、大きなアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニン又はトレオニン)で置き換えることによって、その大きめの側鎖と同一又はそれより小さいサイズの、埋め合わせとなる「空洞」を作り出す。これによって、ヘテロ二量体の収率を、ホモ二量体などの他の不必要な最終産物よりも増大させる機構がもたらされる。
二重特異性抗体には、架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲートの一方の抗体をアビジンに結合させ、もう一方をビオチンに結合させることができる。こうした抗体は、例えば、免疫系細胞が不必要な細胞を標的とするように(米国特許番号第4,676,980号)、及びHIV感染の処置向けに(WO 91/00360、WO 92/200373、及びEP 03089)提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を使用して作製すればよい。好適な架橋剤は、当該技術分野で周知であり、いくつかの架橋技術と共に米国特許番号第4,676,980号で開示されている。
抗体フラグメントから二重特異性抗体を製造する技術もまた、文献に記載されている。例えば、化学結合を使用することで二重特異性抗体を調製できる。Brennan et al., Science, 229: 81 (1985)は、完全な抗体をタンパク分解によって切断してF(ab’)2フラグメントを製造する手順を記載している。これらのフラグメントを、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、近隣のジチオールを安定化し、分子間のジスルフィド形成を防ぐ。そして、生じたFab’フラグメントを、チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換する。そして、Fab’‐TNB誘導体の1種類を、メルカプトエチルアミンで還元することによってFab’‐チオールに還元し、等モル量のもう片方のFab’-TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成する。作り出された二重特異性抗体は、酵素を選択的に固定化する作用物質として使用できる。
最近の進歩によって、化学的に結合されると二重特異性抗体を形成し得るFab’‐SHフラグメントを、E.コリから直接回収することが容易になった。Shalaby et al., J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の製造を記載している。各Fab′フラグメントを、E.コリから別々に分泌させ、試験管内で定方向で化学的にカップリングさせて、二重特異性抗体を形成した。このようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞、及び正常ヒトT細胞に結合するだけではなく、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の溶解作用を引き起こす能力があった。
組み換え細胞培養物から二重特異性抗体フラグメントを直接作製し、単離する様々な技術もまた記載されている。例えば、ロイシンジッパーを使用することで二重特異性抗体が作り出された。Kostelny et al., J. Immunol., 148 (5): 1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパー・ペプチドを、遺伝子融合によって2種類の異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモ二量体のヒンジ部分を還元して、単量体を形成し、次に、再度酸化させて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法はまた、抗体ホモ二量体の作成にも利用できる。
Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に記載の「二重特異性抗体」技術は、二重特異性抗体フラグメントを製造する代替機構を提供している。このフラグメントは、同じ鎖上の2箇所のドメインが対合できないくらいに短いリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、あるフラグメントのVH及びVLドメインを別のフラグメントの相補的なVL及びVHドメインと強制的に対合させ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体を使用することによって二重特異性抗体フラグメントを作製する別のストラテジーもまた報告されている。Gruber et al., J. Immunol., 152: 5368 (1994)を参照のこと。2価より高い価の抗体もまた企図されている。例えば、三重特異性抗体を調製できる。Tutt et al., J. Immunol. 147: 60(1991)。
診断アッセイ
本発明は、生物学的サンプル中のAPRIL mRNAの存在及び/又はレベルを検出する方法;並びに生物学的サンプル中のAPRILポリペプチドの存在及び/又はレベルを検出する方法をさらに提供する。
他の実施形態において、方法は、個体から得られた生物学的サンプル中のAPRIL mRNAのレベルを検出するために提供され、APRILポリペプチドをコードするmRNAのレベルについて個体から得られたポリヌクレオチドのサンプルを分析することを含む。APRIL mRNAのレベルは、自己免疫疾患に関連する可能性がある。
さらに他の実施形態において、方法は、生物学的サンプル中のAPRILポリペプチドの存在及び/又はレベルを検出するために提供される。
いくつかの方法が、特定のサンプル中のAPRIL核酸分子の発現レベル、例えば、APRIL mRNA、又はAPRILポリペプチドを測定するために利用可能である。診断は、いくつかの方法によって実施されて、患者サンプル中の正常又は異常なAPRIL mRNAの不存在若しくは存在、又は量の変化を判定することもできる。例えば、検出は、従来の方法に従って実施される、標識抗体での細胞又は組織切片の染色を利用することもできる。細胞は、細胞質分子を染色するために透過処理される。着目の抗体は、細胞サンプルに加えられ、そしてエピトープへの結合を可能にするのに十分な時間、通常少なくとも約10分間、インキュベートされる。抗体は、放射性同位体、酵素、蛍光物質、化学発光物質、又は直接的な検出のためのその他の標識により標識されることもできる。あるいは、第2段階の抗体又は試薬は、シグナルを増幅するために使用される。こうした試薬は当該技術分野で周知である。例えば、第2段階の試薬として加えられる西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ結合型アビジンと関係して、一次抗体にビオチンを結合させてもよい。あるいは、第二次抗体に蛍光化合物、例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサス・レッドなどを結合させる。最終的な検出は、ペルオキシダーゼの存在下で色が変化する基質を使用する。抗体結合の有無は、解離細胞のフローサイトメトリー法、顕微鏡法、X線画像撮影法、シンチレーション・カウンティングなどを含めた様々な方法で判定することができる。APRILポリペプチドの存在及び/又はレベルはまた、当業者に知られている任意の方法で検出及び/又は定量されてもよい。
加えて、試験には、APRIL mRNAの発現の計測を含むことができる。生化学的研究は、APRILコード領域又は制御領域の配列多型が疾患に関連するか否かを判定するために実施されてもよい。疾患関連多型には、遺伝子の欠失又は切断、発現レベルを変更する突然変異、タンパク質の活性に影響するものなどを含むことができる。
APRILの発現レベルに影響を与えるプロモーター又はエンハンサー配列における変化は、当該技術分野で知られている様々な方法によって正常な対立遺伝子の発現レベルと比較できる。プロモーター又はエンハンサー強度の測定方法には、発現された天然タンパク質の定量;簡便な定量を提供するレポーター遺伝子、例えばβ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼなどを含むベクター内への変異対照要素の挿入;等が含まれる。
APRIL遺伝子発現のレベルに着目する対象発明の診断方法は、着目のサンプルのAPRIL核酸又はタンパク質の存在量を対照値のそれを比較して、いずれかの相対的差異を測定することを通常伴う。ここで、差異は質的及び/又は量的に計測することができ、そのとき、差異が異常なAPRIL遺伝子発現パターンの有無に関連する。サンプル中の核酸の存在量を測定するための様々に異なる方法が当業者に知られている。ここで、着目の特定の方法には、以下の:Pietu et al., Genome Res. (June 1996) 6: 492-503;Zhao et al., Gene (Apr. 24,1995) 156: 207-213;Scares, Curr. Opin. Biotechnol. (October 1997) 8: 542-546;Raval, J. Pharmacol Toxicol Methods (November 1994) 32: 125-127;Chalifour et al., Anal. Biochem (Feb. 1,1994) 216: 299-304;Stolz & Tuan, Mol. Biotechnol. (December 1996) 6: 225-230; Hong et al., Bioscience Reports (1982) 2: 907;及びMcGraw, Anal. Biochem. (1984) 143:298に記載のものが含まれる。WO 97/27317に開示された方法もまた着目であり、その開示を本明細書中に援用する。
その発現レベルが特定の生理的状態と「相関関係がある」又は「関連する」遺伝子に関して、それは、その発現が生理的状態と統計的に有意な相関関係を示す遺伝子が意図される。示差的に発現される遺伝子の発現レベルと、特定の生理的状態の有無との相関関係の強度を、有意性の統計的検定によって測定することもできる。統計的なスコアを相関関係に割り当てることによる、示差的に発現される遺伝子の発現レベルと、特定の生理的状態の間の相関関係の強度の測定方法は、Holloway et al. (2002) Nature Genetics Suppl. 32:481-89、Churchill (2002) Nature Genetics Suppl. 32:490-95、Quackenbush (2002) Nature Genetics Suppl. 32:496-501;Slonim (2002) Nature Genetics Suppl. 32:502-08;及びChuaqui et al. (2002) Nature Genetics Suppl. 32:509-514で概説されている(上記各文献の全体を本明細書中に援用する)。統計的スコアは、本発明の方法の診断上又は予後の精度を高めるためにその発現レベルが特定の生理的状態と最大の相関関係を有する遺伝子を選択するために使用されてもよい。
完全な診断又は見通しの結果を提供するために、自己免疫性疾患の重症度又は進行に関連した追加試験を、先に記載のAPRIL試験と組み合わせることができる。
例えば、米国リウマチ学会は、SLEを診断するために11の基準を作成した。それは、皮膚、全身、及び実験室検査の側面でのSLEの臨床スペクトルに及ぶ。これらの基準には、頬部紅斑、円盤状紅斑、日光に対する過敏症、口腔潰瘍、関節炎、漿膜炎、腎臓及び中枢神経系の炎症、血液の変動、並びに抗核抗体の存在が含まれる。患者は、SLE患者として類別されるためにはこれらのうちの4つの基準に該当しなければならない(Tan et al. (1982) Arthritis Rheumatol. 25: 1271-1277)。SLEは、これだけに限定されるものではないが、抗核抗体を検出するための血液検査;腎臓機能を評価するための血液検査及び尿検査;多くの場合SLEに関連する低レベルの補体の存在を検出するための補体試験;炎症レベルを計測するための沈降係数(ESR)又はC反応性タンパク質(CRP);肺傷害を評価するためのX線検査;及び心臓障害を評価するための心電図、を含めた試験によって通常確認される。
薬物療法の効果の観察
発現又はAPRILタンパク質に対する作用物質(例えば、薬物、化合物)の効果(例えば、転写活性化の調節)の観察は、基本的な薬物スクリーニングにおいてだけではなく、治験においても利用される。例えば、APRIL遺伝子発現又はタンパク質レベルを低減することを本明細書中に記載のスクリーニング・アッセイによって測定される作用物質の有効性を、低いAPRIL遺伝子発現又はタンパク質レベルを示す対象の治験で観察することができる。こうした治験において、APRIL遺伝子の発現又は活性と、好ましくは、例えばAPRILタンパク質のレベルに関連した障害に関係するその他の遺伝子を、特定の細胞、今回の場合はB細胞、の表現型の「出力(read out)」又はマーカーとして使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明は、作用物質(例えば、作動薬、拮抗薬、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、又はその他の薬物)による対象の処置の有効性を観察する方法であって、以下のステップ(i)作用物質の投与前に対象から投与前サンプルを得;(ii)投与前サンプル中のAPRILタンパク質又はmRNAの発現レベルを検出し;(iii)対象から1以上の投与後サンプルを得;(iv)投与後サンプル中のAPRILタンパク質又はmRNAの活性又は発現レベルを検出し;(v)投与前サンプル中のAPRILタンパク質又はmRNAの活性又は発現レベルを、(単数若しくは複数の)投与後サンプル中のAPRILタンパク質又はmRNAと比較し;そして(vi)それに応じて、対象への作用物質の投与を変更する、を含んでなる上記方法を提供する。こうしたある態様によると、観察可能な表現型応答がなくても、APRIL発現又は活性を作用物質の有効性の指標として使用することもできる。
異なる組織におけるAPRILの基礎発現レベルを、特定の多型性の有無に関して類別された個体からの組織サンプルの分析によって測定することもできる。任意の簡便な方法、例えば、タンパク質の定量のためのELISA、RIAなど、ノザンブロット又は他のハイブリダイゼーション・アッセイ、mRNAの定量のための定量的RT-PCR法などを、使用してもよい。組織特異的発現は遺伝子型と相関する。
変更遺伝子に対応したAPRIL発現の変動は、投与するか、又は候補変更遺伝子を発現系、例えば、動物、細胞と組み合わせることによって試験管内における転写アッセイなどにより測定される。APRIL転写及び/又は定常状態のmRNA値に対する変更遺伝子の効果を測定する。基礎発現レベルと同様に、組織特異的相互作用が興味深い。相関関係は、APRILレベルに影響を与える発現変更遺伝子の能力と、提供された多型性の存在の間で生み出される。いくつかの異なる条件下の効果を測定するために、異なる変更遺伝子、細胞型などのパネルが分けられてもよい。
治療方法
本発明は、高い血清中APRILレベルに関連する症状と臨床的に診断された個体を処置する方法を提供する。その方法は、通常、APRILレベルを計測するために生物学的サンプルを分析し、そして健康対照者に存在するそれらと上記レベルとを比較することを含んでなる。次いで、自己免疫疾患などの高いAPRILレベルに関連する症状を患っていると臨床的に診断された個体にとって最も効果的な治療計画が選択され、そしてその後、その患者はそれに応じて治療される。よって、本発明は、患者のAPRIL遺伝子の発現を測定することを含んでなる、高いAPRILレベルに関連する症状に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測する方法をさらに提供する。ここで、高いAPRILレベルの存在が、SLEなどの自己免疫症状に関連し、そしてその症状に対する薬物療法に反応する患者の可能性を予測する。
よって、本発明の別の側面は、個体の薬物反応に応じたAPRIL発現を用いて個体の治療療法を調整する方法を提供する。ファーマコゲノミクスは、臨床医又は医師がその処置により最も恩恵を受けるであろう患者への予防的又は治療学的な処置を対象とすること、及び毒性薬物関連の副作用を受けるであろう患者の処置を回避することを可能にする。
自己免疫疾患
以下のものは、現在開示しているAPRIL計測アッセイの使用によってその処置を支援できるかもしれない可能性がある自己免疫疾患の限定されることのない一覧である。B細胞に調節される自己免疫疾患としては、関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節症、乾癬性関節炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎;慢性の自己免疫性蕁麻疹、多発性筋炎/皮膚筋炎、中毒性表皮壊死症、全身性強皮症、及び硬化症、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、潰瘍性大腸炎)関連反応、呼吸窮迫症候群、成人呼促窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、アレルギー性鼻炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー症状、湿疹、喘息、T細胞の浸潤と慢性炎症反応に伴う症状、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス(腎炎、非腎臓性、円形脱毛症を含む)、
若年型糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、サイトカイン及びTリンパ球媒介型急性及び遅延性過敏症的に関連する免疫応答、結核、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症を含む肉芽腫症、顆粒球減少症、血管炎(ANCAを含む)、再生不良性貧血、クームス陽性の貧血、ダイヤモンド‐ブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含む免疫性溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球癆(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出性出血に伴う疾患、CNS炎症性疾患、多臓器損傷症候群、重症筋無力症、抗原‐抗体複合体関連疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、カースルマン症候群、グッドパスチュア症候群、ランバート‐イートン筋無力症症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス‐ジョンソン症候群、
実質臓器移植拒絶反応(高いパネル反応抗体価、組織におけるIgA沈着などのための前処置を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、類天疱瘡、天疱瘡(尋常性、落葉状をすべて含む)、自己免疫性多腺性内分泌障害、レイター病、スティフマン症候群、巨細胞動脈炎、免疫複合体性腎炎、IgA腎症、IgM多発性神経障害又はIgM関連神経障害、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性睾丸炎と卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能不全症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(又は多腺性内分泌障害症候群)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも呼ばれるI型糖尿病、及びシーハン症候群を含む自己免疫性内分泌疾患;自己免疫性肝炎、リンパ様間質性肺炎(HIV)、閉塞性細気管支炎(非移植性)対NSIP、ギラン‐バレー症候群、大脈管血管炎(リウマチ性多発筋痛と巨細胞(タカヤス)血管炎を含む)、中血管血管炎(川崎病及び結節性多発性動脈炎を含む)、強直性脊椎炎、バーガー病(IgA腎症)、急速進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変、セリアック病(グルテン性腸症)、低温型グロブリン血症、ALS、並びに冠動脈障害が挙げられる。
APRIL及び/又はBLyS拮抗薬
自己免疫疾患に罹患している患者のB細胞表面に高レベルのAPRILが見られる場合、これは患者がAPRIL及び/又はBLySの阻害に好意的に応答する可能性を示唆する。よって、本発明はまた、自己免疫疾患の処置に使用されるAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬も含む。ここで、上記患者には、彼らのB細胞表面に高レベルのAPRILタンパク質発現がある。以下のものは、上記の患者を治療するために利用できる可能性があるAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬の代表的な例である。APRIL及び/又はBLyS拮抗薬として機能する目的のために、任意のTNFRファミリー受容体の細胞外ドメインは、BLySを結合する能力を通常保有する膜貫通又は細胞質領域を原則的に含まないポリペプチドである。具体的には、TACIの細胞外ドメインは、TACIポリペプチド配列(配列番号2)の第1〜166アミノ酸を含んでなる。加えて、ECDは、この配列の断片又は変異体、例えばvon Bulow et al.、前掲、WO 98/39361、WO 00/40716、WO 01/85782、WO 01/87979、及びWO 01/81417に記載のTACIのECD形態など、であることができる。特に、これらのECD形態は、配列番号2の第1〜106アミノ酸、配列番号2の第1〜142アミノ酸、配列番号2の第1〜154アミノ酸、配列番号2の第30〜154アミノ酸、配列番号2の第30〜106アミノ酸、配列番号2の第30〜110アミノ酸、配列番号2の第30〜119アミノ酸、配列番号2の第1〜165アミノ酸、配列番号2の第1〜114アミノ酸、配列番号2の第1〜119アミノ酸、配列番号2の第1〜120アミノ酸、及び配列番号2の第1〜126アミノ酸を含むことができる。加えて、TACI ECDは、1つだけシステイン・リッチ・ドメインを持つそれらの分子を含むことができる。
BAFF-RのECD形態は、BAFF-Rポリペプチド配列(配列番号4)の第1〜71アミノ酸を含んでなるものを含む。加えて、ECDは、例えばWO 02/24909、WO 03/14294、及びWO 02/38766に記載のBAFF-RのECD形態などのこの配列の断片又は変異体であることができる。特に、これらのECD形態は、配列番号4の第1〜77アミノ酸、配列番号4の第7〜77アミノ酸、配列番号4の第1〜69アミノ酸、配列番号4の第7〜69アミノ酸、配列番号4の第2〜62アミノ酸、配列番号4の第2〜71アミノ酸、配列番号4の第1〜61アミノ酸、配列番号4の第2〜63アミノ酸、配列番号4の第1〜45アミノ酸、配列番号4の第1〜39アミノ酸、配列番号4の第7〜39アミノ酸、配列番号4の第1〜17アミノ酸、配列番号4の第39〜64アミノ酸、配列番号4の第19〜35アミノ酸、及び配列番号4の第17〜42アミノ酸を含むことができる。加えて、BAFF-R ECDは、システイン・リッチ・ドメインを持つそれらの分子を含むことができる。
BCMAのECD形態は、BCMAポリペプチド配列(配列番号6)の第1〜48アミノ酸を含んでなるものを含む。加えて、ECDは、例えばWO 00/40716及びWO 05/075511に記載のBCMAのECD形態などのこの配列の断片又は変異体であることができる。特に、これらのECD形態は、配列番号6の第1〜150アミノ酸、配列番号6の第1〜48アミノ酸、配列番号6の第1〜41アミノ酸、配列番号6の第8〜41アミノ酸、配列番号6の第8〜37アミノ酸、配列番号6の第8〜88アミノ酸、配列番号6の第41〜88アミノ酸、配列番号6の第1〜54アミノ酸、配列番号6の第4〜55アミノ酸、配列番号6の第4〜51アミノ酸、及び配列番号6の第21〜53アミノ酸を含むことができる。加えて、BCMA ECDは、部分的なシステイン・リッチ・ドメインしか持たないそれらの分子を含むことができる。
さらなる態様において、BLyS受容体のBLyS結合領域(例えば、BAFF-R、BCMA又はTACIの細胞外ドメイン又はその断片)を、生体内におけるその溶解性を助長するように免疫グロブリン分子のFc部分に融合することができる。1つの実施形態によると、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、100nM以下の結合親和力でBLySポリペプチドに結合する。他の実施形態によると、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、10nM以下の結合親和力でBLySポリペプチドに結合する。さらに他の実施形態によると、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、1nM以下の結合親和力でBLySポリペプチドに結合する。
別の例として、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬には、その天然配列又は変異体ではないBLyS結合ポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドのいくつかの例は、WO 05/000351に記載の式I、式II、式IIIによって表される配列を持つものである。特に、いくつかの結合ポリペプチドとしては、ECFDLLVRAWVPCSVLK(配列番号13)、ECFDLLVRHWVPCGLLR(配列番号14)、ECFDLLVRRWVPCEMLG(配列番号15)、ECFDLLVRSWVPCHMLR(配列番号16)、ECFDLLVRHWVACGLLR(配列番号17)、又はWO 05/000351の図32に列挙された配列が挙げられる。
あるいは、APRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、そのBLyS結合領域にて天然の配列TACI、BAFF-R、又はBCMAの細胞外ドメインに結合して、試験管内、その場、又は生体内におけるBLyS結合を部分的に又は完全に妨げるか、阻害するか、又は中和することができる。例えば、こうした間接的な拮抗薬は、BLySの結合が立体的に妨げられるようにTACIの領域に結合するTACI抗体である。例えば、第72〜109アミノ酸又は近接領域における結合は、BLyS結合を妨げると考えられる。それもまたこの分子へのAPRIL結合を妨げるのに有利であるかもしれず、そして、それは第82〜222アミノ酸の領域に起こると考えられる。別のAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬は、BLySへのヒトBAFF-Rの結合が立体的に妨げられるようにBAFF-Rの領域に結合するBAFF-R抗体である。例えば、第23〜38アミノ酸、第17〜42アミノ酸又は近接領域における結合は、BLyS結合を妨げると考えられる。最後に、さらなる間接的な拮抗薬は、BLySの結合が立体的に妨げられるようにAPRILの領域に結合するAPRIL抗体であるだろう。例えば、第5〜43アミノ酸又は近接領域における結合は、BLyS(又はAPRIL)の結合を妨げると考えられる。
いくつかの実施形態において、本願発明によるAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬はBLyS抗体を含んでいる。用語「抗体」は、それに言及する場合、最も広い意味で使用され、そして、具体的には、例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体、一本鎖抗体、及び抗体のフラグメントに及ぶ。いくつかの実施形態によると、本願発明のポリペプチドは、抗体がTACI、BAFF-R、若しくはBCMAに結合でき、且つ、そこへのBLyS結合を阻害するか、又はBLySシグナリングを阻害するように、抗体フレームワーク内に、例えば、可変領域内又はCDR内に融合される。本願発明のポリペプチドを含んでなる抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体であることができる。本願発明のポリペプチドを含んでなる抗体は、抗体フラグメントであることができる。あるいは、本願発明の抗体は、本願発明のポリペプチドによって動物を免疫することによって作製することができる。よって、本願発明のポリペプチドに対する抗体が企図される。
特に、ヒトBLySの第162〜275残基、及び/又は162、163、206、211、231、233、264、及び265から成る群から選択されるアミノ酸の近接アミノ酸を含んでなるヒトBLyS(配列番号8)の領域内に結合するBLySに特異的な抗体が企図される。抗体の結合は、1以上のその受容体へのBLyS結合をその抗体が立体的に妨げるようなものである。こうした抗体は、WO 02/02641及びWO 03/055979に記載されている。特に好ましい抗体は、Lymphostat-Bと記載されたものである(Baker et al. (2003) Arthritis Rheum, 48, 3253-3265)。
他の免疫抑制剤
本方法は、単独での又はAPRIL及び/又はBLyS阻害剤と組み合わせた他の免疫抑制剤の使用を企図する。これらの他の薬物としては、これだけに限定されるものではないが、免疫抑制剤、例えばカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンA若しくはFK506)、ステロイド(例えば、メチル・プレドニゾン若しくはプレドニゾン)、又は免疫細胞の成長を止める免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン)、抗CD40経路阻害剤(例えば、抗CD40抗体、抗CD40リガンド抗体、及びCD40経路の低分子阻害剤)、移植片サルベージ経路阻害剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、IL-2受容体拮抗薬(例えば、Hoffmann-la Roche Inc.製のZeonpax.COPYRGT.、及びNovartis, Inc.製のSimulet)又はその類似体、シクロホスファミド、サリドマイド、アザチオプリン、モノクローナル抗体(例えば、Daclizumab(抗インターロイキン(IL)-2)、Infliximab(抗腫瘍壊死因子)、MEDI-205、(抗CD2)、abx-cb1(抗CD147)、及びポリクローナル抗体(例えばATG(抗胸腺細胞グロブリン))が挙げられる。
医薬製剤
本発明に従って使用するAPRIL及び/又はBLyS拮抗薬、例えばBLyS結合抗体などを含む医薬製剤は、所望の純度を有する抗体と、任意の医薬的に許容し得る担体、賦形剤又は安定化剤とを混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で貯蔵できるように調製される(Remitgtorz's Phamamaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられた投薬量及び濃度において受容者に対して無毒であり、これらには、リン酸、クエン酸、他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えばZn‐タンパク質錯体);及び/又はTWEEN、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれている。
本明細書中では、製剤にはまた、処置する特定の適応症に必要な1以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有する化合物を含むこともできる。例えば、細胞傷害作用薬、化学療法薬、サイトカイン、又は免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン若しくはT細胞に結合する抗体(例えばLFA-1に結合する抗体)などのT細胞に作用するもの)をさらに提供することが望ましい。このような他の作用物質の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、疾患若しくは障害又は処置のタイプ、及び先に議論したその他の要因に依存する。これらは、通常は本明細書中に記載したのと同じ投薬量及び投与経路で使用されるか、又は従前利用された投薬量の約1〜99%で使用される。
有効成分はまた、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製したマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン・マイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリラート)マイクロカプセル;コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン・マイクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル);又はマクロエマルジョン中に封入されてもよい。こうした技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)で開示されている。
徐放性製剤を調製することもできる。徐放性製剤の適切な例としては、造形品の形態、例えば、フィルム若しくはマイクロカプセルの形態の、拮抗薬を含む固形疎水性重合体の半透過性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許番号第3,773,919号)、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタマートの共重合体、非崩壊性エチレン‐酢酸ビニール、LUPRON DEPOT(乳酸‐グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドから構成された注射用マイクロスフィア)などの崩壊性乳酸‐グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
生体内投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通過させる濾過によって容易に達成される。