JP5705714B2 - 光ファイバ着色心線及びそれを用いた光ファイバテープ心線及び光ファイバオーバーコート心線 - Google Patents

光ファイバ着色心線及びそれを用いた光ファイバテープ心線及び光ファイバオーバーコート心線 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバケーブル内に収納される光ファイバ着色心線に関するものである。特に、光ファイバの1層目もしくは2層目を着色することで着色層を省いた2層構造の光ファイバ着色心線及びそれを用いた光ファイバテープ心線及び光ファイバオーバーコート心線に関するものである。
一般に、光ファイバ着色心線は、バッファ機能を持つ1次被覆層、保護層として働く2次被覆層の外周に、更に識別用として2〜10μm程度の薄肉の着色層を設けた3層構造を有する。光ファイバ着色心線は、例えば、着色層の外周にテープ層を施してテープスロットケーブルに実装したり、光ファイバの外周に更にオーバーコート層を施して単心のオーバーコート心線として使用する。いずれの用途においても、光ファイバ着色心線同志の接続性を考慮して単心分離性が要求される。つまり、一度テープ層を施したり、オーバーコート層を施した後でも、光ファイバ着色心線の状態まで解体可能であることが要求される。このため、着色層は他の2層の被覆層とは大きく物性が異なる。まず、外層との密着性を低くするために剥離性が高い。また、顔料により紫外線(UV)が透過しにくくなるのを抑制するため、厚さは2〜10μm程度と薄い。また、単心分離作業の際に外力が加わるため、外力により薄い着色層が破壊されないように架橋密度や平衡弾性率が高く、剛直な被覆材が用いられる。
近年、コストダウンの目的で、この着色層を省いた構造の光ファイバ着色心線が製品化されている。つまり、光ファイバ着色心線の1次被覆層もしくは2次被覆層を着色したもので、別途着色層を施す必要がないため、大幅なコストダウンを達成できる。例えば、特許文献1には、光ファイバに1次被覆、2次被覆を施した光ファイバ心線において、1次被覆が着色されていることが開示されている。
この2層構造の光ファイバ着色心線の場合、3層構造の光ファイバ着色心線と比較して耐温水性が向上するという利点がある。つまり、光ファイバ着色心線を60℃の温水に浸漬した場合、ガラス界面と1次被覆層間の残留応力が高くなり、ガラス界面と1次被覆層間に層間剥離(デラミネーション)が発生する場合がある。光ファイバ着色心線が2層構造の場合、層間剥離の発生により残留応力はすぐに緩和されるため、層間剥離の発生数および大きさは比較的小さいレベルに留まり、伝送ロス変化も比較的小さいレベルに留まる。しかし3層構造の光ファイバ着色心線の場合、層間剥離の数や大きさが著しく増大する傾向がある。またそれに伴い伝送ロスも著しく増大する。
3層構造の光ファイバ着色心線で層間剥離が著しく増大する理由は3層目着色層により浸透圧が発生するためであると考えられる。すなわち、残留応力により発生した層間剥離部分に水が溜まることがある。この水に被覆層中の可溶成分が溶け出し水溶液となる。この層間剥離部分の水溶液と着色層外部の水の濃度差により浸透圧が発生し、更に水が移動してくることで層間剥離が成長すると考えられる。
また、直鎖型ポリオキシアルキレンを被覆材として用いた光ファイバ着色心線を長期低温保管した際に、被覆層中に微結晶が発生することがあり、この対策としてアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を有する被覆材料を1次および2次被覆層に用いた発明が開示されている。例えば、特許文献2には、アルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテルポリウレタンを含有する紫外線硬化樹脂からなる樹脂被覆層を備える被覆光ファイバが開示されている。
しかし特許文献2に記載の被覆光ファイバでは1,2次被覆層内部の結晶成分を排除しているが、被覆層外部からの結晶成分の移行については対策がとられていない。前述のように着色層は2層の被覆層とは異なり、架橋密度が高く剛直な構造であるため、着色層の有無により外部からの結晶成分の移行性が大きく影響されると考えられる。
また、特許文献3には、軟質層と硬質層の2層の被覆層により被覆されたガラス光ファイバからなる光ファイバ素線に、着色樹脂からなる被覆層によりさらに被覆してなる光ファイバ着色心線であって、該硬質層と該着色層について陽電子消滅法から求めた自由体積半径が0.290nm以上であることが開示されている。特許文献3によれば、水もしくは高湿度下に曝された時に伝送ロスが増加しにくい光ファイバ心線が提供されると記載されている。
特開昭57−040203号公報 特開2002−220261号公報 特開2008−224744号公報
本発明は、温水に浸漬しても伝送ロスが増加しにくく、また、外側に結晶成分を有するテープ材やオーバーコート材が施されても低温下での結晶の発生が抑制された光ファイバ着色心線及びそれを用いた光ファイバテープ心線及び光ファイバオーバーコート心線を提供することにある。
本発明者らは2次被覆と着色層の結晶成分の透過性が異なる原因を調査したところ、着色層は架橋構造が緻密で陽電子消滅法により測定される自由体積半径が2次被覆層に比べ小さく、外部からの分子が被覆層内部を移行しにくい構造となっておりバリア層として機能していることを見出した。そこで2層目として着色層同様に剛直で架橋密度の高い材料を用いることにより、自由体積半径を小さくし、外部からの結晶成分の移行を抑制でき、これにより長期低温特性が向上することを見出し、本発明に至った。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、以下の解決手段を提供するものである。
(1)光ファイバ着色心線を複数本並行に配置し、外周に一括被覆層を施した光ファイバテープ心線であって、
前記光ファイバ着色心線は、1次被覆層と2次被覆層の2層の被覆層を有、前記2層の被覆層がアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を主鎖とするポリエーテルポリウレタンを含有する紫外線硬化樹脂からなり、前記2次被覆層の陽電子消滅法により測定される自由体積半径が0.280nm以下であり、且つ前記1次被覆層と前記2次被覆層のいずれかが着色されており、
前記一括被覆層は、結晶成分を有し、前記2次被覆層に接して施されていることを特徴とする光ファイバテープ心線
(2)前記結晶成分がポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、(1)に記載の光ファイバテープ心線。
(3)ファイバ着色心線の外周にオーバーコート層を施した光ファイバオーバーコート心線であって、
前記光ファイバ着色心線は、1次被覆層と2次被覆層の2層の被覆層を有し、前記2層の被覆層がアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を主鎖とするポリエーテルポリウレタンを含有する紫外線硬化樹脂からなり、前記2次被覆層の陽電子消滅法により測定される自由体積半径が0.280nm以下であり、且つ前記1次被覆層と前記2次被覆層のいずれかが着色されており、
前記オーバーコート層は、結晶成分を有し、前記2次被覆層に接して施されていることを特徴とする光ファイバオーバーコート心線
(4)前記結晶成分がポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、(3)に記載の光ファイバオーバーコート心線。
本発明の光ファイバ着色心線によれば、温水に浸漬しても伝送ロスが増加しにくく、また、外側に結晶成分を有するテープ材やオーバーコート材が施されても低温下での結晶の発生が抑制された光ファイバ着色心線及びそれを用いた光ファイバテープ心線及び光ファイバオーバーコート心線を実現できるという効果を奏する。
本発明の光ファイバ着色心線に係る好ましい一実施形態を示した断面図である。 本発明の光ファイバテープ心線に係る好ましい一実施形態を示した断面図である。 本発明の光ファイバオーバーコート心線に係る好ましい一実施形態を示した断面図である。 テレコーディアGR20 ケーブルエージング試験条件を示した試験温度とエージング日数の関係を示した図である。 従来の光ファイバ着色心線に係る一例を示した断面図である。
本発明の光ファイバ着色心線について、好ましい一実施形態を図1によって説明する。
図1に示すように、光ファイバ着色心線1は、石英ガラスからなるガラス光ファイバ2に少なくとも2層の被覆層3を被覆したものである。ガラス光ファイバ2の外径は、通常100〜150μmである。
2層の被覆層3は、1次被覆層31と2次被覆層32とからなり、一般的には紫外線硬化型樹脂が用いられる。1次被覆層31の厚さは、通常10〜50μmであり、2次被覆層32の厚さは、通常10〜50μmである。
紫外線硬化型樹脂は、オリゴマー、希釈モノマー、添加剤等からなる。添加剤としては、光開始剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、光安定剤、可塑剤、着色顔料、重合禁止剤、増感剤、滑剤などが挙げられる。オリゴマーとしては、アルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造(一般式:−(C−O−)−、x=2〜5、y=0〜2x−1、z=1〜2x、n=5〜150)を主鎖とするポリエーテルポリウレタンを含有する樹脂が用いられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数が1〜2である。例えば、アルキル基にメチル基を用いたポリプロピレングリコール(PPG)を用いる。なお、上記ポリエーテルポリウレタンの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましく、より好ましくは1000〜9000であり、特に好ましくは、2000〜8000である。かつ上記2次被覆層32は、陽電子消滅法により測定される自由体積半径が0.280nm以下である。また、1次被覆層31と2次被覆層32のいずれかは着色されている。着色は、例えば赤色、青色、黄色等のいずれかの色で、例えば被覆層全体もしくは一部が着色されている。
次に、本発明の光ファイバテープ心線の好ましい一実施形態を図2によって説明する。
図2に示すように、光ファイバテープ心線4は、上述の光ファイバ着色心線1を4本平面状に並行に並べ、紫外線硬化型樹脂からなる被覆層5で一括被覆した構成である。なお、光ファイバ着色心線1の本数は4本に限らず、2本、8本、12本など、さまざまな本数のものに適用できる。
次に、本発明の光ファイバオーバーコート心線の好ましい一実施形態を図3によって説明する。
図3に示すように、光ファイバオーバーコート心線6は、上述の光ファイバ着色心線1を作製した後、別工程にて、オーバーコート層7を被覆した構成である。
このようにいずれの光ファイバ心線も2次被覆層32の自由体積半径が0.280nm以下と小さく、外部からの結晶成分の移行を抑制できる。これにより長期低温特性が向上する。
なお、上述の陽電子消滅法とは、陽電子(e)が試料に入射してから消滅するまでの時間(陽電子消滅寿命)を計測して、物質中に存在する空孔、局所空隙の大きさや密度を測定する方法である。陽電子は電子の反粒子であり、電子と同じ質量で正電荷をもつ粒子である。分子性結晶や非晶質固体中で陽電子が電子と出会うとクーロン力によって電子−陽電子対を形成することがあり、しかる後に消滅することが知られている。(例えば、李洪玲,氏平祐輔,“陽電子消滅寿命法による高分子の自由体積の評価”,ぶんせき,1,11〜20(1998)参照。)
この電子−陽電子対は、粒子的な振る舞いを示し、これをポジトロニウムという。ポジトロニウムには、対になる電子と陽電子のスピンが平行であるパラ−ポジトロニウム(p−Ps)と、反平行であるオルソ−ポジトロニウム(o−Ps)とがある。高分子に陽電子を打ち込むと、陽電子は高分子中で叩き出された電子の1つと結合してo−Psを形成する場合がある。陽電子やo−Psは高分子材料中の電子密度の低い部分、すなわち高分子中の局所空隙にトラップされ、空隙壁から出た電子雲と重なり消滅する。陽電子やo−Psが高分子中の空隙中に存在する場合、その空隙の大きさと陽電子やo−Psの消滅寿命は反比例の関係にある。すなわち、空隙が小さいと陽電子やo−Psと周囲電子との重なりが大きくなり、陽電子消滅寿命は短くなる。一方、空隙が大きいと陽電子やo−Psが空隙壁からしみ出した他の電子と重なって消滅する確率が低くなり陽電子やo−Psの消滅寿命は長くなる。したがって、陽電子やo−Psの消滅寿命を測定することにより高分子樹脂中の局所空隙の大きさを評価することができる。
陽電子寿命の測定には、陽電子源として放射性同位元素22Naがよく用いられる。22Naは22Neにβ崩壊するときに、陽電子と1.28MeVのγ線を同時放出する。高分子中に入射した陽電子は、消滅過程を経て511keVのγ線を放出する。したがって、1.28MeVのγ線を開始信号とし、511keVのγ線を終了信号として、両者の時間差を計測すれば陽電子の消滅寿命を求めることができる。
2次被覆層、着色層のそれぞれの自由体積半径は、上述した陽電子消滅法により陽電子消滅寿命を測定して求めることができる。
測定条件は以下の通りである。
線源:22Na(強度1.85MBq)、
測定時間:5時間、
陽電子寿命解析:フィッティングプログラムPATFITを使用、
解析条件:3成分解析(設定値 0.1,0.35,1ns)、
自由体積分布解析:ラプラス逆変換プログラムCONTINを使用、
試料サイズ:10mm×10mmを2枚重ねで線源を挟んで測定。
そして、陽電子寿命値の第3成分から自由体積半径を求める下記式を用いて自由体積半径R(nm)を求めた。
Figure 0005705714
上式中、τはo−Psの寿命(ps)、Rは自由体積半径、RはR+ΔRであり、ΔRは自由体積中への電子雲の滲み出しの厚さを表すパラメーターで、0.166nmが最もよいフィッティングパラメーターとして用いられている。
以下に、本発明を、前述の実施形態で説明した光ファイバ着色心線1を用いた光ファイバテープ心線4、光ファイバオーバーコート心線6の実施例について説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
上述のような光ファイバ着色心線1の構成において2次被覆層32の自由体積半径の異なるものを用いて、光ファイバテープ心線4、光ファイバオーバーコート心線6を作製し、テレコーディアGR20のケーブルエージング試験の熱履歴(図4に示す温度パターンの熱履歴)を加え、その後に低温試験を行い2層の被覆層3の結晶の移行の有無、60℃90日の温水試験を行い伝送ロスの増加量、および着色心線の溶出率を調べた。
なお、上記のように、ケーブルエージング試験の熱履歴を加えた後に低温試験を行う理由は、結晶成分の移行を加速させるためである。
サンプルの光ファイバ着色心線の製造にあたって、ガラス光ファイバ2として、外径(直径)約φ125μmの石英ガラス光ファイバを用い、その外周に1次被覆層31を形成し、さらにその外周に着色された2次被覆層32を形成して、光ファイバ着色心線1を製造した。1次被覆層31の外径は185μmとし、2次被覆層32の外径は245μmとした。これらの値は一例であって適宜変更可能である。なお、本実施例では2次被覆層32を着色したが、1次被覆層31を着色してもよい。
1次被覆層31および2次被覆層32の樹脂材料としては、ともにオリゴマーとしてPPGを用いた紫外線硬化型樹脂を用い、2次被覆層32の各々の自由体積半径を適宜調整した。この2次被覆層32の自由体積半径については、オリゴマーの骨格構造と分子量、そして添加する希釈モノマーの種類と添加量によって、適宜変えることができる。なお、オリゴマーの分子量を小さくすることや、モノマーの官能基を増やすことで、自由体積半径を小さくすることができる。
次に、ケーブルエージング後の低温試験方法、60℃90日の温水試験方法、溶出率の測定方法のそれぞれについて説明する。
ケーブルエージング後の低温試験およびその評価方法は、以下のようにして行った。
上述の光ファイバテープ心線4を用い、テレコーディアGR20のケーブルエージング試験の熱履歴を加え、その後0℃で30日保管した。その後、2層の被覆層3を顕微鏡観察し、被覆層中に結晶が見られなかった場合は合格と判定し、表1中、○印で示し、被覆層中に結晶が見られた場合は不合格と判定し、表1中に×印で示した。
また上述の光ファイバオーバーコート心線6を用い、上述の光ファイバテープ心線4と同様の熱履歴を加え、その後0℃で30日保管し、2層の被覆層3を顕微鏡観察した。その判定基準は上述の光ファイバテープ心線4の場合と同様である。
60℃90日の温水試験およびその評価方法は以下のようにして行った。
上述の光ファイバテープ心線4を用い、各着色心線の耐温水性を評価した。長さ約2kmの光ファイバテープ心線4を60℃の温水に90日間浸漬し、その間に波長1.55μmにおける伝送ロスの増加量を測定した。一般的に光ファイバ着色心線1や光ファイバテープ心線4の耐温水性は30日後の伝送ロス値で評価する。しかし、温水に浸漬後の伝送ロスの増加傾向はサンプルによって異なり最大伝送ロスの増加量(ピーク値)が30日以降に発生する(30日以降も伝送ロスの増加量が上昇し続ける)ものが見られた。一方、いずれのサンプルも90日以内に最大伝送ロスの増加量のピーク値が認められた。そこで耐温水性をピーク値にて評価することとし、温水浸漬期間を90日としてピーク値が0.2dB/km以下を合格と判定し、表1中、○印で示し、0.2dB/kmを超えた場合は不合格と判定し、表1中、×印で示した。
また、光ファイバオーバーコート心線6の温水試験も上記光ファイバテープ心線4の温水試験と同様に行うことができ、その評価方法も上記同様である。
なお、ここで耐性を判断する指標として温水の温度を60℃とした理由は、水に浸漬した時の層間剥離やそれに伴う伝送ロスの増加量は水温が高いほど促進される傾向があり、より高温にするほど厳しい条件となる。但し2層目被覆層のガラス転移温度は一般的に70〜100℃程度となっており、この温度を境として2層目被覆層の物性が大きく変わる。そこで2層目被覆層の物性が変わらず、且つより厳しい条件として60℃を選択したためである。
溶出率の測定は以下のようにして行った。
光ファイバ心線を長さ5mとし、60℃の恒温槽中にて24時間乾燥させた後、光ファイバ心線の質量からガラスファイバ部分の質量を差し引くことで樹脂部分の質量(w1)を測定する。次に、その光ファイバ心線を60℃の温水に168時間浸漬する。その後、光ファイバ心線を60℃の温水から取り出し、60℃の恒温槽中にて24時間乾燥した後の樹脂部分の質量(w2)を測定する。測定したw1とw2から、下記式により溶出率を求めた。なお、60℃の温水に浸漬する時間を168時間としたのは、168時間を経過することで被覆樹脂からの溶出がほぼ飽和するからである。また、上記温度条件とした理由は、上述した温水試験と同様である。
溶出率(wt%)={(w1−w2)/w1}×100
光ファイバ着色心線1を取り出し、取り出した光ファイバ着色心線1に対して上記と同様の試験を行うことで光ファイバ着色心線1の被覆樹脂からの溶出率を測定することができる。なお、光ファイバテープ心線4の場合、光ファイバテープ心線4から単心に分離し、得られた光ファイバ着色心線1に上記と同様の試験を行うことで光ファイバ着色心線1の被覆樹脂からの溶出率を測定することができる。同様に光ファイバオーバーコート心線6の場合、光ファイバオーバーコート心線6からオーバーコート層7を分離し、得られた光ファイバ着色心線1に上記と同様の試験を行うことで光ファイバ着色心線1の被覆樹脂からの溶出率を測定することができる。
[実施例1‐4]
実施例1の試験体は、前記図1に示すように、石英ガラスからなる外径125μmのガラス光ファイバ2の外周に、オリゴマーとしてアルキル基にメチル基を用いたPPGを用いて外径185μmの1次被覆層31を形成し、さらにその外周にオリゴマーとしてPPGを用いた外径245μmの2次被覆層32を形成し、その際に2次被覆層32を着色すると共に材料組成を変えて2次被覆層32の自由体積半径を0.270nmに調整した2層構造の光ファイバ着色心線1を作製した。さらに、前記図2に示すように、上述の光ファイバ着色心線1を4本平面状に並行に並べ、PTMG(一般式:−(CO)−)を1wt%含有した紫外線硬化型樹脂からなるテープ樹脂5で一括被覆して、厚さ約0.32mm、幅約1.1mmの4心の光ファイバテープ心線4としたものである。
実施例2の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.275nmに調整した以外、実施例1と同様にして作製したものである。
実施例3の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.280nmに調整した以外、実施例1と同様にして作製したものである。
実施例4の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.280nmに調整した実施例3と同様の光ファイバ着色心線1を用い、前記図3に示すように、別工程にて、光ファイバ着色心線1の外周にオリゴマーとしてPTMGを1wt%含有した紫外線硬化型樹脂からなるオーバーコート層7を被覆して外径0.5mmの光ファイバオーバーコート心線6を作製したものである。
[比較例1‐5]
比較例1の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.283nmに調整した以外、実施例1と同様にして作製したものである。
比較例2の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.283nmに調整した以外、実施例4と同様にして作製したものである。
比較例3の試験体は、2次被覆層32の自由体積半径を0.305nmに調整し、図5に示すように、別工程にて、2次被覆層32の外周に自由体積半径を0.250nmに調整した着色層8を被覆して外径255μmの3層被覆構造の光ファイバ着色心線9とした以外、実施例1と同様にして作製したものである。
比較例4の試験体は、着色層8の自由体積半径を0.280nmに調整した以外、比較例3と同様にして作製したものである。
比較例5の試験体は、着色層8の自由体積半径を0.293nmに調整した以外、比較例3と同様にして作製したものである。
これらを上記の方法にしたがって、ケーブルエージング後の低温試験および60℃90日の温水試験、溶出率の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、溶出率は光ファイバ着色心線の状態で測定したものである。
Figure 0005705714
表1に示した結果から明らかなように、各実施例1〜4の試験体は、上述の低温試験の結果、いずれも2層の被覆層3に結晶が見られず、低温特性に優れていることが判明した。また、上述の温水試験の結果、いずれも90日間の最大伝送ロスの増加量が0.2dB/km以下であり、耐温水性に優れていることが判明した。さらに、一般的に被覆層の溶出率が高いほど被覆層中の残留応力が高くなり耐温水性が悪くなるが、本発明の2層の被覆層を有する構造の光ファイバ着色心線では溶出率が1.8wt%以上と高くても耐温水性が良好であることが判明した。
一方、比較例1,2は、外部からの結晶成分の移行を抑制することができず、結晶が確認された。また、従来の3層構造の光ファイバ着色心線を用いた比較例3,4,5においては、着色層の自由体積半径が0.280nm以下とした比較例3,4では、外部からの結晶成分の移行を抑制することができ、結晶は確認されなかったが、ガラス界面と1次被覆層間に層間剥離が発生し、温水試験における最大伝送ロスの増加量が0.2dB/kmを超えた。また、着色層の自由体積半径が0.280nmより大きい比較例5においては、温水試験における最大伝送ロスの増加量は0.2dB/km以下であったが、外部からの結晶成分の移行を抑制することができず、結晶が確認された。
以上説明したように、2層構造の光ファイバ着色心線において、2次被覆層32の自由体積半径が0.280nm以下であれば、着色心線の溶出率が高くても、低温特性、耐温水性に優れていることが判明した。よって、2次被覆層32の自由体積半径を0.280nm以下とすることで、低温特性、耐温水性を向上させることができ、高性能な光ファイバ着色心線を提供することができる。
また高分子中のガス拡散係数は、高分子の分子構造によらず、自由体積半径が大きくなるほど増大することが一般的に知られている(例えば、Evaluation of polymer free volume by positron annihilation and gas diffusivity measurements、POLYMER 35 (1994) 925参照。)。従って、上述の例では2次被覆層32にPPGを用いているが、その他のアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテルポリウレタン、例えば、PTMGにメチル側鎖を導入したテトラヒドロフラン(THF)/3−メチル−THFランダム共重合体やTHFにネオペンチルグリコールを付加させたPTMGなどでも、自由体積半径を0.280nm以下とすることで外部からの結晶成分の移行を抑制することができる。なお、価格を考慮すると価格の安いPPGが好ましい。
また、2次被覆層の架橋密度が過剰に高くなると伸び特性が悪くなり、光ファイバを曲げた際の歪による被覆割れなどの問題が発生する。したがって、自由体積半径は0.250nm以上0.280nm以下の範囲が特に好ましい。
1 光ファイバ着色心線
2 ガラス光ファイバ
3 2層の被覆層
4 光ファイバテープ心線
5 テープ樹脂
6 光ファイバオーバーコート心線
7 オーバーコート層
8 着色層
9 3層被覆構造の光ファイバ着色心線
31 1次被覆層
32 2次被覆層

Claims (4)

  1. 光ファイバ着色心線を複数本並行に配置し、外周に一括被覆層を施した光ファイバテープ心線であって、
    前記光ファイバ着色心線は、1次被覆層と2次被覆層の2層の被覆層を有、前記2層の被覆層がアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を主鎖とするポリエーテルポリウレタンを含有する紫外線硬化樹脂からなり、前記2次被覆層の陽電子消滅法により測定される自由体積半径が0.280nm以下であり、且つ前記1次被覆層と前記2次被覆層のいずれかが着色されており、
    前記一括被覆層は、結晶成分を有し、前記2次被覆層に接して施されていることを特徴とする光ファイバテープ心線
  2. 前記結晶成分がポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバテープ心線。
  3. ファイバ着色心線の外周にオーバーコート層を施した光ファイバオーバーコート心線であって、
    前記光ファイバ着色心線は、1次被覆層と2次被覆層の2層の被覆層を有し、前記2層の被覆層がアルキル基を側鎖として有するポリオキシアルキレン構造を主鎖とするポリエーテルポリウレタンを含有する紫外線硬化樹脂からなり、前記2次被覆層の陽電子消滅法により測定される自由体積半径が0.280nm以下であり、且つ前記1次被覆層と前記2次被覆層のいずれかが着色されており、
    前記オーバーコート層は、結晶成分を有し、前記2次被覆層に接して施されていることを特徴とする光ファイバオーバーコート心線
  4. 前記結晶成分がポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、請求項3に記載の光ファイバオーバーコート心線。
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