JP5700798B2 - 熱処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波焼き入れ等の誘導加熱を利用した熱処理方法に関するものである。また本発明は、熱処理が必要な部位と、熱処理が不要な部位とを有する被加熱物を誘導加熱して熱処理する技術に関するものであり、当該被加熱物の中の熱処理が必要な部位が熱処理済みであることを容易に確認することができる熱処理方法に関するものである。
鉄鋼を素材とする機械部品は、使用に耐える強度を得るために、焼入れや焼き戻し等の熱処理が行われる。自動車用の機械部品などでは、同じ規格の多数の機械部品が連続的に熱処理される。
例えば、切削加工によって鉄鋼材料が所定形状に成形され、金属光沢を放つ鉄鋼製の部品を高周波焼入れすると、焼入れ部分の金属光沢が失われるので、焼入れをしたか否かを一見して判別することができる。鋳鋼製品についても同様であり、鋳鋼製品を高周波焼入れすると、全体の色がややくすんだ色に変わるので、焼入れをしたか否かを目視で判別することができる。
しかしながら、鉄鋼製の部品を熱処理しても、外見上は熱処理済みであるか否かの識別が困難な場合がある。例えば、機械部品の表面が熱処理後に塗装等で被覆されてしまうと、表面の色合いが判らず、熱処理済みであるか否かの識別はほとんど不可能である。またいわゆる黒皮の鉄鋼のように、表面に酸化皮膜を有する鉄鋼品を焼入れした場合、そもそも鉄鋼の表面が黒色であるため、焼入れによる変色を確認することができない。
さらに鉄鋼製品は、焼入れした後に、焼戻し等のリヒート処理が行われる場合が多いが、リヒート処理が行われたか否かを外観から判断するのは困難である。すなわち、鉄鋼製品を焼入れすると、表面の光沢や色合いが変化するから、焼入れが行われたか否かは光沢や色合いを見て判別することができる。しかしリヒート処理は、一旦焼入れが施されて光沢等が変化した部材に対して行われるので、現在の光沢変化等が、最初の焼入れによってもたらされたのか、後工程たるリヒート処理によってもたらされたのかを区別することができない。
特に、焼入れ後に行われるリヒート処理は、先に行われた焼入れよりも処理温度が低いため、リヒート処理による光沢変化等は僅かである。
このように、焼入れ後に焼戻し等の熱処理を実施する際には、機械部品の表面が塗装等で被覆されていなくても、既に焼入れによって変色しているので、重ねて熱処理されたことを識別するのは困難である。
そこで、機械部品が熱処理済みであることを示すために、熱処理した後に、機械部品に対して刻印や印刷(インク付着)を施し、熱処理済みであることを判別する方法がある。しかし、この方法を採用すると、熱処理装置とは別に機械部品に刻印やインクを付着させる装置を用意する必要があり、コストアップにつながる。
また、刻印等は、熱処理とは別に行われる行為であるため、機械部品が熱処理済みであっても、刻印付与漏れやインク付着漏れが生じる恐れがあり、品質管理に神経質にならざるを得ない。すなわち、熱処理に連動して別の装置によって印を付与する処理が必ず実施されていることを常に監視し続けなければならない。
この問題を解決するための方法が、特許文献1に提示されている。特許文献1に開示された方策は、機械部品としてエンジンのクランクシャフトを対象とするものである。エンジンのクランクシャフトは、クランクピンの部位のような焼入れが必要な部位と、そもそも焼入れ処理が不要な部位とがある。
特許文献1に開示された発明では、公知の高周波焼入れを利用してクランクシャフトのクランクピンの部位等の必要部位だけを焼入れし、焼入れ処理を施す必要がない部位は加熱しない。従って、焼入れが終了した段階では、クランクピンの部位は、光沢(色彩)は変換しているが、焼入れが不要な部位の光沢(色彩)は変化しない。
そして、その後の工程として、クランクピンの部位を焼戻しする。特許文献1の発明では、焼戻し用の螺旋形状の誘導加熱コイルを使用し、誘導加熱コイルの内部にクランクシャフトを配置し、加熱コイルに交流電流を流してクランクピンの部位に誘導電流を励起させ、クランクピンの部位を再加熱する。
ここで特許文献1に開示された発明では、焼戻しに使用する加熱コイルに特殊な改良を加え、先の焼入れ工程で加熱されなかった部位を誘導加熱して昇温させる。
すなわち、特許文献1に開示された発明では、加熱コイルの一部を弦のように直線状に形成して、先の焼入れ工程で加熱処理しなかった部位の表面に近接させ、近接した部位の誘導加熱を促進する。その結果、本来焼戻し処理を施すべきクランクピンを再加熱処理すると同時に、焼入れしなかった部位(未変色の部位)も誘導加熱され、酸化して着色(変色)される。
そのため、焼入れが不要な部位の変色の有無によって、クランクピンの部位が焼戻し処理されたか否かを判別できる。よって、クランクシャフトは、必要部分が焼戻しされると同時に、従来は変色しない部位が変色し、焼戻し処理がされたか否かを目視で判別で、焼戻し処理とは別に刻印付与等の工程を経る必要がない。
特開2007−262437公報
特許文献1に開示されている発明を実施すると、刻印等の別処理を実施することなく、機械部品が熱処理済みであることを認識することができるようになるものの、焼戻し用の加熱コイルは、特定の形状のワーク(機械部品)しか熱処理することができない。すなわち、ワークの種類(特に半径寸法)が変わると、コイル線の直線状(弦)の部分がワークに接触したり、着色可能な程度まで充分に接近させることができないという事態が生じる。よって、ワークの種類(大きさ、形状)が変わると、焼戻し用の加熱コイルも変更後のワークに合致したものに取り替えなければならない。すなわち、特許文献1に開示された方策は、加熱コイルの汎用性に欠けるという問題点がある。
本発明は、従来技術の上記した問題点を解決するものであり、被加熱物の必要部分が熱処理済みであるか否かを目視確認できる熱処理方法であって、加熱コイルの汎用性が高い熱処理方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、焼入及び焼き戻しが必要な必要部位と、焼入及び焼き戻しが不要な不要部位を有する被加熱物を熱処理する熱処理方法であって、被加熱物の前記必要部位だけが焼入されており、誘導加熱によって前記必要部位を焼き戻しする熱処理方法において、必要部位を焼き戻しする際に、前記不要部位又はその近傍に被加熱物と磁束透過率の異なる物体を配置して不要部位も誘導加熱し、不要部位の少なくとも一部を変色させることを特徴とする熱処理方法である。
また、本発明に関連する発明は、熱処理が必要な要熱処理部位と熱処理が不要な熱処理不要部位とを有する被加熱物を弓道加熱して熱処理する熱処理方法において、熱処理不要部位又はその近傍に被加熱物と磁束透過率の異なる物体を配置した状態で被加熱物を誘導加熱することを特徴とする熱処理方法である。
本発明の熱処理方法は、誘導加熱によって被加熱物を昇温させるものである。本発明の熱処理方法では、熱処理不要部位又はその近傍に被加熱物と磁束透過率の異なる物体を配置した状態で被加熱物を誘導加熱する。そのため磁束透過率の異なる物体が配置された部位又はその近傍は、他の部位に比べて昇温の程度が異なり、色やくすみが他の部位と違うものとなる。即ち被加熱物が誘導加熱にさらされた場合は、磁束透過率の異なる物体が配置された部位又はその近傍の色やくすみが他の部位と違うものとなるので、熱処理の履歴を知ることができる。
不要部位が端部にある被加熱物の必要部位を焼き戻しすることもできる(請求項2)。
また本発明に関連する発明は、被加熱物を誘導加熱して熱処理する熱処理方法において、被加熱物は、既に熱処理された既加熱部位と、熱処理されていない非加熱部位を有し、前記既加熱部位を誘導加熱によって再度熱処理する場合であって、非加熱部位に、磁束透過率の異なる物体を配置した状態で被加熱物を誘導加熱する熱処理方法である。
本発明に関連する発明では、既加熱部位を誘導加熱する際に、磁束透過率の異なる物体を非加熱部位に配置するので、非加熱部位に流れる誘導電流が変化する。例えば高磁束透過率の物体を非加熱部位に配置すると、非加熱部位に流れる誘導電流が増加する。即ち高磁束透過率の物体によって、非加熱部位に磁気が誘因されて非加熱部位に誘導電流が生じ、非加熱部位の一部又は全部が誘導加熱されて昇温し、さらに変色するので、被加熱物の既加熱部位が前記導体によって再度熱処理されたことを目視確認することができる。
逆に、低磁束透過率の物体を非加熱部位に配置すると、非加熱部位に流れる誘導電流が阻害される。即ち低磁束透過率の物体によって、非加熱部位に磁気が阻害されて非加熱部位に流れる誘導電流が減少し、非加熱部位の一部又は全部が被加熱状態となり、変色の程度が他の部位と相違する。そのため被加熱物の既加熱部位が前記導体によって再度熱処理されたことを目視確認することができる。
また、前記非加熱部位が、既加熱部位よりも小径であってもかまわず、前記非加熱部位が被加熱物の端部であってもかまわない。
請求項の発明は、誘導加熱は、被加熱物に導体を近接させ、前記導体に交流を流すことにより被加熱物を誘導加熱するものであり、前記導体が螺旋状であり、前記被加熱物が軸状であり、被加熱物の軸芯が導体の螺旋の中心に沿うように、被加熱物が導体の内部に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理方法である。
請求項の発明では、導体が螺旋状であり、被加熱物が軸状であり、被加熱物の軸芯が導体の螺旋の中心に沿うように、被加熱物が導体の内部に配置されるので、導体に交流が供給されると、被加熱物上には誘導電流が流れ、被加熱物が加熱される。
また、請求項1乃至の発明は、表面の一部に皮膜が存在する被加熱物にも適用できる。すなわち、皮膜が存在する部位を誘導加熱する場合に、非加熱部位に磁気を誘因して誘導電流を生じさせ、非加熱部位の一部又は全部を誘導加熱し変色させたり、誘導電流が流れにくい状態にして一部に故意に金属光沢を残すことができる。これにより、加熱部位の表面に皮膜が存在していても、被加熱物が熱処理済みであることを確認することができる。
本発明では、被加熱物の既加熱部位が再度熱処理されたことを、非加熱部位を見ることで確認することができる。よって、被加熱物の既加熱部位が再度熱処理されない状態で、当該被加熱物が出荷される事態を確実に防止することができる。
本発明の熱処理方法を実施する誘導加熱コイル内に被加熱物(ワーク)を配置した状態を示す斜視図である。 本発明の熱処理方法を実施する被加熱物の斜視図であり、(a)は機械加工直後のワークを示し、(b)は当該ワークを焼入れした後の様子を示し、(c)は本発明の実施形態の熱処理方法を応用して焼戻しを行った後の様子を示す。 本発明の熱処理方法で使用する磁気誘導体の斜視図である。 図1の誘導加熱コイルに交流を供給した際における、被加熱物を通過する磁力線の概念図である。 図4において、被加熱物の非加熱部位の端部に高透磁率材料からなる磁気誘導体を当接させた際の、被加熱物を通過する磁力線の概念図である。 本発明の他の実施例の熱処理方法で熱処理する被加熱物(ワーク)の斜視図であり、(a)は機械加工直後のワークを示し、(b)は当該ワークを焼入れした後の様子を示し、(c)は本発明の実施形態の熱処理方法を応用して焼戻しを行った後の様子を示す。 本発明のさらに他の実施例の熱処理方法で熱処理する被加熱物(ワーク)の斜視図であり、(a)は機械加工直後のワークを示し、(b)は当該ワークを焼入れした後の様子を示し、(c)は本発明の実施形態の熱処理方法を応用して焼戻しを行った後の様子を示す。 図1の被加熱物の非加熱部位の円筒側壁に磁気誘導体を当接させ、生じた磁力線を仮想的に示した斜視図である。 機械加工直後のワークを焼入れする高周波焼入れ装置の構成図である。 図9の高周波焼入れ装置によって機械加工直後のワークを焼入れする際の様子を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
本発明の実施形態の熱処理方法は、誘導加熱によってワークをリヒートするものであり、既に一回加熱された履歴を有するワークを対象とする。
即ち本発明の実施形態の熱処理方法は、一旦、図9のような高周波焼入れ装置(誘導加熱装置)100で焼入れ処理されたワーク5を対象とし、当該焼入れ処理されたワーク5を、図1に示すリヒート用誘導加熱装置1でリヒートする方法である。
より具体的に説明すると、本実施例の熱処理方法は、切削加工等によって成形したワーク5を図9の様な高周波焼入れ装置100で焼き入れし、その後に当該焼入れ後のワーク5を、図1に示すようなリヒート用誘導加熱装置1でリヒートするものである。
本発明に特有の構成たるリヒート方法の説明に先立ち、本実施形態のリヒート用誘導加熱装置1で熱処理(リヒート)されるワーク5について説明する。ワーク5は、鉄鋼材料で形成されており、誘導加熱可能であると共に、焼入れ等の熱処理を行うことができる。ワーク5は、図2のように大径部10と、小径部6とを有している。本実施形態では、大径部10が要熱処理部位であり、小径部6は、熱処理が不要な熱処理不要部位である。
そして、本実施形態の熱処理方法(リヒート方法)で使用されるワーク5は、予め必要部分が高周波焼入れされたものである。すなわちワーク5は、炭素鋼を切削加工して図2(a)に示すような大径部(要熱処理部位)10と小径部(熱処理不要部位)6とを有する形状に成形されたものであり、切削加工した当初は、全体が金属光沢を有するものである。また、本実施形態の熱処理方法(リヒート方法)で使用されるワーク5は、この全体が金属光沢を放っていたワーク5に対して、図9のような高周波焼入れ装置100を用いて大径部10だけを焼入れ処理したものである。
ここで高周波焼入れ装置100は公知形状のそれと同一であり、例えばワンターン形状の高周波加熱コイル101を備えたものが利用可能である。そして高周波加熱コイル101に通電しつつ、ワーク5又は高周波加熱コイル101を軸方向に移動させ、ワーク5の大径部10だけを焼入れする。具体的には図10に示す様に、高周波加熱コイル101に通電しつつ、ワーク5の大径部10の一方の端部(左端)から他方の端部(右端)まで高周波加熱コイル101を移動させる。その結果、ワーク5は、大径部10だけが誘導加熱されて焼入れされる。すなわち、小径部6は、焼入れされない。そのためワーク5は、図2(b)に示す様に、大径部10の表面だけが変色し、小径部6は依然として金属光沢を有している。
次に本実施形態の熱処理方法(リヒート方法)について説明する。
前記した様に、本発明の実施形態の熱処理方法は、一旦、高周波焼入れ装置(誘導加熱装置)100で焼入れ処理されたワーク5を、図1に示すリヒート用誘導加熱装置1でリヒートする方法である。
リヒート誘導加熱装置1の基本構成は、公知のそれと同一であり、図1の様なリヒート用加熱コイル2を備えている。リヒート用加熱コイル2は、公知の誘導加熱装置(例えば、高周波焼入れ装置)で採用されている誘導加熱コイルと大差ない構造を有するものであり、内部に冷却水を通すことができる中空状の導体である。リヒート用加熱コイル2は、図示しない交流電源から電力が供給される。本実施形態では、交流電源として、周波数50Hz又は60Hzの商用電源を使用するが、さらに高周波インバータを設けて、周波数を数KHz〜数MHzに変換したり、変圧器を設けて変圧し、加熱条件に応じて、周波数や電圧を適宜設定して使用することもできる。
リヒート用加熱コイル2は、図1の様に、螺旋形状の導体で構成されている。リヒート用加熱コイル2の螺旋の直径は、少なくとも内部にワーク5(被加熱物である軸状部材)を配置できる大きさである。リヒート用加熱コイル2は、ワーク5の大径部10だけをリヒートするものであり、その有効稼働部分の全長は、後記するワーク5の大径部10の長さに等しい。
次に本実施形態の特徴的構成たる、磁気誘導体7について説明する。磁気誘導体7は、高い透磁率を有する素材で形成されており、図3に示すような円柱形(円板形)の外形形状を呈している。すなわち磁気誘導体7の素材は、磁束透過率が高いものであり、SUS403等のステンレス鋼材や鉄材等を採用することができる。また、よりも高い透磁率を有する素材として、鉄及び鉄系合金,パーマロイ系合金,フェライト化合物等を採用することもできる。さらに、ケイ素鋼材(ケイ素鋼板)を使用することもできる。
次に本実施形態の熱処理方法の工程について説明する。
本実施形態の熱処理方法(リヒート方法)では、前記したような大径部10だけが焼入れされて変色し、小径部6については非加熱状態であって金属光沢を有するワーク5を対象とする。そして当該既加熱部位(大径部10)と、非加熱部位(小径部6)とを有するワーク5を図1に示すリヒート用誘導加熱装置1に装着する。また、ここで本実施形態では、図2(c)、図5に示すように、非加熱部位たる小径部6の端部に、磁気誘導体7を押し当てる。そしてこの状態で、リヒート用加熱コイル2に通電し、ワーク5を誘導加熱する。
ここで本実施形態の熱処理方法における、ワーク5とリヒート用加熱コイル2との位置関係に注目すると、前記した通り、リヒート用加熱コイル2は、ワーク5の大径部10だけをリヒートするものであり、その有効稼働部分の全長は、後記するワーク5の大径部10の長さに略等しく、リヒート用加熱コイル2は、ワーク5の大径部10だけを覆う。すなわち、リヒート用加熱コイル2は、小径部6を加熱するものではなく、リヒート用加熱コイル2は小径部6の部にわずかに掛かるに過ぎない。
そのため従来のリヒート方法であれば、リヒート用加熱コイル2によってワーク5の大径部10だけが誘導加熱されるが、本実施形態では、非加熱部位たる小径部6の端部に、磁気誘導体7が押し当てられているため、小径部6も昇温する。すなわち、本実施形態の肝腎な構成は、リヒートを行う際に、非加熱部位たる小径部6の端部に、図2(c)、図5に示すように、磁気誘導体7を押し当てることにあり、これによって従来、昇温されなかった小径部6を昇温させ、小径部6を変色させる。以下、この理由を図4と図5とを比較しつつ説明する。
本実施形態の構成を採用せず、非加熱部位たる小径部6の端部に磁気誘導体7が存在しない場合は、図4に示す様に小径部6における磁力線の分布は、リヒート用加熱コイル2の螺旋部分が途中で途切れており、また、小径部6は、大径部10よりも加熱コイル2から半径方向の距離が離れている。そのため小径部6は、大径部10よりも磁力線が通りにくく、誘導加熱されにくい。すなわち、図4に示すように、大径部10を通った磁力線11のほとんどが小径部6を通ることなくワーク5から逸脱する。その結果、小径部6を通る磁力線21の量は少なく、磁力線21によって生じる誘導電流は少ないので、小径部6は着色される程度まで誘導加熱されない。
これに対して、図2(c)、図5に示すように、非加熱部位たる小径部6の端部に、磁気誘導体7を押し当てた状態でリヒート用加熱コイル2に交流を供給し、ワーク5の誘導加熱を開始すると、ワーク5の大径部10に所望する熱処理が実施されるだけでなく、小径部6も昇温する。すなわち、実施形態に特有の構成たる、小径部6の端部に磁気誘導体7を押し当てる構成を採用すると、図5のに磁力線の分布が変化する。すなわち本実施形態では、特有の構成として、小径部6の端部に高い透磁率を有する磁気誘導体7を当接させる。その結果、図4において逸脱していた磁力線11の一部が、図5に示すように磁気誘導体7側に引き込まれ、小径部6を通る磁力線の量が増加する。その結果、小径部6に生じる誘導電流が増加し、小径部6は誘導加熱されて変色する。
ここで、ワーク5は、リヒート用誘導加熱装置1で誘導加熱される前に、予め高周波焼入れ装置100によって大径部10のみが既に焼入れされており、今回のリヒート用誘導加熱装置1による誘導加熱が、焼き戻し工程に相当しているので、大径部10の表面はリヒート用誘導加熱装置1に装着される前に既に変色しており、リヒート用誘導加熱装置1で誘導加熱されても、大径部10の表面の様相は色彩変化が乏しい。しかしながら、小径部6は、リヒート用誘導加熱装置1によって初めて誘導加熱されるので、小径部6の表面は金属光沢から、茶色系の色に明瞭に変色する。
そのため取扱者は、小径部6の色彩や光沢を見ることによって、ワーク5の熱履歴を知ることができる。
即ち図2(a)の様に、大径部10と小径部6の双方が金属光沢を有している場合には、ワーク5は何ら熱処理が成されていない状態である。具体的には、大径部10と小径部6の双方が金属光沢を有している場合は、ワーク5に対して焼き入れもリヒートも施されていない。
図2(b)の様に、大径部10だけが黒ずみ、小径部6が金属光沢を有している場合には、ワーク5に対して焼き入れが施されているが、リヒートはなされていない状態である。
これに対して、図2(c)の様に、大径部10と小径部6の双方が変色して黒ずんでいる場合には、ワーク5に対して焼き入れが施され、さらにその後のリヒートも完了している。
従って、小径部6の色を見ることになって、大径部10が焼き戻し工程(リヒート)を経たか否かを判別することができる。
次に、本発明を実施するのに際し、参考となる指針を説明する。
本発明は、前記したようにリヒートを行う際に、非加熱部位たる小径部6の端部に磁気誘導体7を当接させるものであり、この動作によって小径部6に磁気を誘因して非加熱部位に誘導電流を生じさせ、非加熱部位を昇温させて変色させるものである。従って、磁気誘導体7の素材の選定や、大きさの決定は、本発明の効果に大きな影響を与える。
前記したように、磁気誘導体7の素材は、SUS403等のステンレス鋼材や鉄材等、鉄系合金,パーマロイ系合金,フェライト化合物,ケイ素鋼材(ケイ素鋼板)を使用することができる。この中で、ステンレス鋼材や鉄材等は最も入手し易い材料であるが、これらを採用しても十分な効果が期待できる。
また、本発明者らの実験によると、磁気誘導体7の長さ(図5において矢印Aで示すワーク5の軸方向の長さ)を長くするほど、小径部6に誘因される磁力線の量が多くなる。よって、磁気誘導体7の長さを長くすることにより、小径部6に生じる誘導電流を増加させることができる。すなわち、小径部6を変色する程度まで誘導加熱できない場合には、磁気誘導体7の長さを長くすると、小径部6に誘因される磁力線の量が増加し、小径部6に生じる誘導電流を増加させることができる。
しかし、小径部6の直径が、大径部10の直径と比較して相当に小さく、小径部6に磁気誘導体7を当接させても、小径部6が変色する程度まで誘導加熱できない場合には、磁気誘導体7の素材をより高い透磁率を有するものに変更することが望ましい。すなわち、パーマロイ系合金,フェライト化合物,ケイ素鋼材(ケイ素鋼板)等は、ステンレス鋼材や鉄材等に比べて、より高い透磁率を有するので、磁気誘導体7としてこれらの素材を選択する。
また、磁気誘導体7を小径部6(非加熱部位)に当接して誘導加熱すると、小径部6の変色が過度になる場合には、磁気誘導体7を小径部6に当接させず、隙間を隔てて近接させることにより、変色の度合いを調整することができる。すなわち、小径部6と磁気誘導体7の間に隙間があると、小径部6と磁気誘導体7とが当接している場合と比較して、小径部6に誘因される磁力線の量が少なくなる。よって、隙間を設けると、小径部6の過度な誘導加熱が抑制される。
すなわち、小径部6に磁気誘導体7を当接させると、小径部6に生じる誘導電流が過剰になり、小径部6が過度に変色してしまう場合には、見栄えを良くするために、小径部6から磁気誘導体7を離し、近接させることにより、適度な色合いに変色するように小径部6を誘導加熱することができる。
逆に、磁気誘導体7を設置しなくても、小径部6の全体が変色してしまう様な場合には、図6(c)に示すように低透磁率材料からなる磁気忌避体8を設置する。
その結果、小径部6を通過する磁力線が端部にまで至らず、小径部6の基端部だけが加熱されて変色する。
その結果、図6(c)に示すように、リヒートの結果、小径部6の開放端側が金属光沢を有し、大径部10寄りの部位だけが変色する。
そのため図6(a)の様に、大径部10と小径部6の双方が金属光沢を有している場合には、ワーク5に対して焼き入れもリヒートも施されていない状態であり、図6(b)の様に、大径部10だけが黒ずみ、小径部6が金属光沢を有している場合には、ワーク5に対して焼き入れが施されているが、リヒートはなされていない状態であり、図6(c)の様に、小径部6の一部だけが金属光沢を有する場合には、ワーク5に対して焼き入れが施され、さらにその後のリヒートも完了しているものであると言える。
従って、小径部6の色を見ることになって、大径部10が焼き戻し工程(リヒート)を経たか否かを判別することができる。
磁気忌避体8の使用は、リヒートの際だけに限らず、前工程たる高周波加熱コイル101による焼き入れの際に使用してもよい。
例えば焼き入れ工程の際に小径部6も昇温されてしまう懸念がある場合、図7の様に、高周波加熱コイル101による焼き入れの際に、非加熱部位たる小径部6の端部に、磁気忌避体8を押し当てる。その結果、焼き入れ工程の際に小径部6が変色してしまうことがなく、次工程のリヒート工程で、小径部6を初めて変色させることができる。
以上では、ワーク5の小径部6(熱処理が不要な非加熱部位)の端部に磁気誘導体7,磁気忌避体8を当接又は近接する例を説明したが、磁気誘導体7,磁気忌避体8は、小径部6の端部以外の箇所に配置することもできる。これを、図8を参照しながら説明する。図8は、図1の被加熱物の非加熱部位の側壁(曲面)に磁気誘導体を当接させ、生じた磁力線を仮想的に示した斜視図である。
図8に示す例では、小径部6(非加熱部位)の曲面の側壁に磁気誘導体9を当接させている。この場合には、磁気誘導体9を当接させた部位に磁力線22が集まるので、小径部6では、磁気誘導体9を当接させた部位及びその周辺に生じる誘導電流が増加する。よって、この部位及びその周辺のみが誘導加熱によって変色する。
磁気誘導体9の素材としては、磁気誘導体7と同様の高透磁率材料を採用する。すなわち、磁気誘導体9の素材は、小径部6に当接した部位が適度に変色する程度に磁力線を誘因し誘導加熱できるものを選定する。
図8に示す例では、磁気誘導体を非加熱部位の側壁(曲面)に当接させるので、磁気誘導体の当接面を、非加熱部位の側壁に沿う曲面で構成するのが好ましい。
図1〜図8のワーク5では、端部の小径部6が非加熱部位であったが、非加熱部位がワークの中央部分に配置されている場合であっても、本発明は実施できる。
また、ワーク5の大径部10(図4〜図8)が、塗装等で被覆されて皮膜が付着していたり、他の酸化皮膜が付着している場合には、大径部10,25を誘導加熱しても、大径部10,25の様相は外見上ほとんど変化しない。そのため、大径部10,25,26が誘導加熱されたとしても、大径部10,25,26を見ただけでは、誘導加熱されたか否かを判別できない。そこで、本発明を実施して、磁気誘導体7〜9によって非加熱部位に磁力線(磁気)を誘因させると、必ず誘導加熱によって変色するので、ワーク5,16が誘導加熱されていることを容易に認識することができる。
1 リヒート用誘導加熱装置
2 リヒート用加熱コイル(導体)
5 ワーク(軸状部材)
6 小径部(熱処理不要部位、非加熱部位)
7,9 磁気誘導体
8 磁気忌避体
10 大径部(要熱処理部位、既加熱部位、被覆部位)

Claims (3)

  1. 焼入及び焼き戻しが必要な必要部位と、焼入及び焼き戻しが不要な不要部位を有する被加熱物を誘導加熱して熱処理する熱処理方法であって、被加熱物の前記必要部位だけが焼入されており、誘導加熱によって前記必要部位を焼き戻しする熱処理方法において、
    必要部位を焼き戻しする際に、前記不要部位の少なくとも一部を変色させるように、不要部位又はその近傍に被加熱物と磁束透過率の異なる物体を配置して不要部位も誘導加熱することを特徴とする熱処理方法。
  2. 不要部位が端部にある被加熱物の必要部位を焼き戻しすることを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
  3. 誘導加熱は、被加熱物に導体を近接させ、前記導体に交流を流すことにより被加熱物を誘導加熱するものであり、前記導体が螺旋状であり、前記被加熱物が軸状であり、被加熱物の軸芯が導体の螺旋の中心に沿うように、被加熱物の少なくとも前記必要部位が導体の内部に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理方法。
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