JP5698693B2 - 髄膜炎菌特異的抗血清に対する血清殺菌アッセイ - Google Patents
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上述のように、SBAアッセイは、髄膜炎菌に対する血清抗体の機能的活性を測定するための最も重要な方法である。被験体または集団が侵襲的髄膜炎菌に対して血清反応陽性であるか(またはワクチン接種後に血清変換したか)どうかを決定するために、SBA試験は、理想的には感度が高く、かつ特異的であるべきである。SBA試験はは、有効なワクチン(MenA/W/C/Y莢膜糖類コンジュゲートワクチン)を用いる免疫後に誘導された防御抗体について高感度であるべきであるが、抗体の存在下にない単なる補体に対してはそうではない。また、SBA試験は、それが侵襲株に対する機能的抗体の存在を示す一方、保持(carriage)株に対して有効でありうるが侵襲株に対しては有効ではないかもしれない任意の低アビディティ抗体の存在の効果を最小化するように、特異的であるべきである。
a)その株が、40%、35%、30%、20%、10%、5%未満もしくは約0%の補体毒性(%)を有し、および/またはその補体毒性(%)が、米国疾病対策予防センター、Atlanta, Georgia, USAもしくはBCCMから入手可能なMen W S4383標準株の値未満であること;
b)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、および/または8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性(%)が、米国疾病対策予防センター、Atlanta, Georgia, USAもしくはBCCMから入手可能なF8238標準株に対する血清反応陽性(%)の値未満であること;ならびに
c)非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチンで免疫した少なくとも25人の3〜5歳の子供の群における前記株に対する血清変換率(%)が、血清を免疫の直前(彼らがナイーブであるとき)と該ワクチンによる免疫の1ヶ月後とで比較して、rSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することにより血清変換率を測定する場合に、50、60、70、80、90または95%を超えること、
を有する髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの参照株のそれぞれに対する、血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ(例えば、hSBAもしくはrSBAアッセイ)が提供される。
本明細書で言及される刊行物および特許または特許出願の発明主題ならびにそれらの中に開示された情報は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
a)i)その株が40%、35%、30%、20%、10%、5%未満、もしくは約0%の補体毒性(%)を有し、および/またはii)その補体毒性(%)が、Men W S4383標準株の値未満であること;
b)i)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、および/またはii)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、F8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること;ならびに
c)血清を免疫直前(彼らがナイーブである場合)と該ワクチンによる免疫の1ヶ月後とで比較して、rSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することにより、血清変換率を測定する場合に、非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチンで免疫した少なくとも25人の3〜5歳の子供の群における前記株に対する血清変換率(%)が50、60、70、80、90もしくは95%を超えること、
を有する髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの参照株のそれぞれに対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む。
補体毒性(%)=(平均CFU数[不活性化補体]-平均CFU数[活性補体])/(平均CFU数[不活性化補体])×100(%)
で算出することにより補体毒性(%)として表す。
b)i)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であるか、またはb)ii)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)がF8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること、
に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイが提供される。必要に応じて、血清反応陽性率(%)の測定を、実施例1bに記載のようにして実施してもよい。必要に応じて、前記参照株は上記の特徴c)をも有してよい。
日とその変化
1日目
1.使用種菌の前培養
使用種菌MenA 3125(またはF8238)(-70℃)
単離方法において以下のプレートの全体に50μLの細菌を広げる:
・3つの脳心臓輸液+1%ウマ血清(BHI)(4℃)
・1つのThayer Martin(TM)→抗生物質を含むN.メニンギティディス(Nmen)に対する選択培地(4℃) (髄膜炎菌細胞が存在することを示す対照プレート)
・1つの栄養寒天(NA)→夾雑物の検出(4℃)(増殖する夾雑物が存在しないことを示す対照プレート-Nmenは増殖しない)。
コロニーを増殖させるために、加湿5%CO2下で、37℃にて一晩または約40〜42時間インキュベートする。
2.固体培地上でのWSの培養
TMおよびNA培地を対照にする:試験前に確認。
1個のBHIペトリ皿から約20個のコロニー(よく単離されたもの)を取得する。
これらのコロニーを1個のBHIの全体に広げ、この操作を3回繰り返す。
加湿5%CO2下、37℃にて4時間インキュベートする。
(血清サンプルおよび対照を、使用前に56℃で40分間、不活性化させる)
アッセイ用希釈液PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4を用いてチューブ中で希釈する(4℃)。
CTRL1:(-20℃) チューブ中の希釈率1/32(マイクロプレート中では1/128)。
CTRL2:(-20℃) チューブ中の希釈率1/128(マイクロプレート中では1/512)。
(CTRL1/2はSBA力価が分かっている血清サンプルの任意的な対照である)
マイクロプレート中のサンプル1/8:チューブ中の希釈率1/2。
マイクロプレート中のサンプル1/256:チューブ中の希釈率1/64。
4.1.アッセイ用希釈液の添加(マイクロプレート・フタ付きNunc 96穴平底滅菌マイクロプレート中)
希釈液:PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4
マイクロプレートの各ウェルに各25μLの希釈液を分注する。
第1行、第1〜5列および第7〜11列に、25μLのサンプルおよび対照を分注する。
第1行中の溶液を混合する。
AからBに25μLを移す。第B行から第C行、...第G行から第H行への移動を繰り返す。
第H行中の血清を混合した後、25μLを除去し、廃棄する。
25μLのサンプルを第12列に分配し、サンプル1をウェルAに、...サンプル8をウェルHに分注する。
混合する。
混合後、25μLを除去し、廃棄する。
5.1. 5 mLのアッセイ希釈液を用いる1 BHIからのコロニーの採集
この懸濁液をアッセイ希釈液で希釈して、600 nmでのOD+/-0.4000(0.380〜0.420)を得る。
細菌懸濁液の1:175000希釈液を調製する[約114 CFU/25μl]:
1:10:1 mL 0.400吸光度+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:100:1 mLの1:10溶液+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:1000:1 mLの1:100溶液+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:175000:2 mLの1:1000溶液+33 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:17.5)。
ウサギ補体Pel Freez(-70℃)[例えば、3〜4週齢の子ウサギから得た補体]
不活性および活性な補体の解凍を、室温で行う。
50%の補体および50%の1:175000細菌懸濁液に対応する、不活性および活性な補体と細菌との混合物を調製する。
25μLの不活性混合物を第12列に添加する。
25μLの活性混合物を第1〜11列に添加する。
プラスチックフィルムでマイクロプレートを被覆する。
回転式振とう器(210 rpm)中、37℃で1時間30分インキュベートする。
7. 寒天培地の添加
マイクロ波中で寒天培地を液化し、水浴(48℃)中でその温度を平衡化させる。
プレートからプラスチックを除去し、マイクロプレートのフタを交換する。
被覆1:50μLのTSB[トリプシン大豆ブロス]+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温で15分間、フローフード下にマイクロプレートを静置して、寒天を固化させる。
被覆2:50μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温で30分間(または時間が十分である場合、15分間)、フローフード下にマイクロプレートを静置して、寒天を固化させる。
加湿して(CO2を含まない)33℃で16〜20(または18〜20)時間、インキュベートする。
かくして、第A列から第H列は、ブランクである第6レーン(0%の殺傷:細菌+活性補体であるが、血清を含まない)および第12レーン(最も低い希釈率の8つの血清サンプルと細菌+不活性補体[使用前に56℃で40分間])を除き、8つの血清サンプル2倍希釈液(例えば、8〜1024倍;または血清が高い力価を有することが分かっている場合、64倍から開始する)に対応する。第7および8レーンは、殺菌力価が分かっている任意の対照血清サンプルである。第1〜5、9〜11レーンは、プレート上の8つの試験血清サンプルである。
マイクロプレートのフタを取る。
各ウェル中のCFUを、当業界で公知の任意の方法により計数し、例えば、プレートをKS400画像化システム(Zeiss):MA1プロトコルを用いて読み取ることができる。
生データを転送し、SoftMax proを用いて力価を算出する。
1〜2歳の少なくとも25人(例えば、少なくとも50人)の異なるナイーブ(未感作)な子供(そのような子供の大多数においては防御免疫が低い)から得た血清と共に選択した参照株を用いて、実施例1aまたは2の方法を実行する。
3歳を超える年齢(例えば、3〜5歳、または18〜25歳)の少なくとも25人(例えば、少なくとも50人)の異なる子供(ナイーブ[免疫の直前には]で、非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチン、例えば、GlaxoSmithKline Biologicals s.a.社製Mencevax(商標)で免疫した1ヵ月後の子供)から得た血清と共に選択した参照株を用いて実施例1aまたは2の方法を実行する。
日とその変化
1日目
1. サンプルおよび対照の調製
(サンプルおよび対照を、使用前に56℃で40分間不活性化する)
アッセイ希釈液PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH7.4(4℃)を用いてチューブ中で希釈する。
CTRL1:(-20℃) 希釈率:チューブ中で1/128(マイクロプレート中で1/512)
CTRL2:(-20℃) 希釈率:チューブ中で1/128(マイクロプレート中で1/512)
(CTRL1/2は、SBA力価が分かっている血清サンプルの任意的な対照である)
マイクロプレート中のサンプル1/8:希釈率:チューブ中で1/2
マイクロプレート中のサンプル1/256:希釈率:チューブ中で1/64。
2.1. アッセイ希釈液の添加(マイクロプレート・フタ付きNunc 96穴平底滅菌マイクロプレート中)
希釈液:PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4
マイクロプレートの各ウェルに各25μLの希釈液を分注する。
第1行、第1〜5列および第7〜11列に、25μLのサンプルおよび対照を分注する。
第1行中の溶液を混合する。
AからBに25μLを移す。第B行から第C行、...第G行から第H行への移動を繰り返す。
第H行中の血清を混合した後、25μLを除去し、廃棄する。
25μLのサンプルを第12列に分注し、サンプル1をウェルAに、...サンプル8をウェルHに分注する。
混合する。
混合後、25μLを除去し、廃棄する。
使用種菌Men W135 3193(-70℃)
3.1. 使用種菌の前培養
25μLを大規模な様式で1個のTMプレートおよび1個のNAプレートの全体に広げる(対照培地)。
加湿5%CO2下、37℃で一晩インキュベートする。
細菌懸濁液の1:18000希釈液を調製する(二次培養は必要ない:細菌懸濁液は、使用種菌(WS)を1:18000まで希釈することにより直接作製する[WSのOD600=0.400〜0.500];希釈した細菌懸濁液は約1111 CFU/25μlを含む):
1:10:200μL WS+1800μLアッセイ希釈液(1:10)
1:100:1 mLの1:10溶液+9 mLアッセイ希釈液(1:10)
1:1000:1 mLの1:100溶液+9 mLアッセイ希釈液(1:10)
1:18000:2 mLの1:1000溶液+34 mLアッセイ希釈液(1:18)。
ウサギ補体Pel Freez(-70℃)[例えば、3〜4週齢の子ウサギから得た補体]
不活性および活性な補体の解凍を、室温で行う。
60%の補体および40%の1:18000細菌懸濁液に対応する、不活性および活性な補体と細菌との混合物を調製する。
25μLの不活性混合物を第12列に添加する。
25μLの活性混合物を第1〜11列に添加する。
プラスチックフィルムでマイクロプレートを被覆する。
回転式振とう器(210 rpm)中、37℃で1時間インキュベートする。
マイクロ波中で寒天培地を液化し、水浴(48℃)中でその温度を平衡化させる。
プレートからプラスチックを除去し、マイクロプレートのフタを交換する。
被覆1:100μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温でフローフード下でマイクロプレートを静置して寒天を固化させる(約30分間)。
被覆1:25μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温でフローフード下でマイクロプレートを静置して寒天を固化させる(約15分間)。
加湿して(CO2を含まない)35℃で18〜20時間インキュベートする。
6. プレートの読み取りおよびデータの転送
TMおよびNA培地をコントロールとする。
各ウェル中のCFUを、当業界で公知の任意の方法により計数し、例えば、KS400画像化システム(Zeiss):MA1プロトコルを用いて、プレートを読み取ることができる。
生データを転送し、SoftMax proを用いて力価を算出する。
各血清に関する殺菌力価を、50%殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す(細菌+活性な補体のみの0%殺傷対照[ブランク]との比較値 -すなわち、50%殺傷=プレート上の全てのそのような対照に関する平均CFUの50%)。
それぞれ未知の血清に関する殺菌力価を、正確に50%の細菌の殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す。0%の殺傷(すなわち、最大CFU)を、ブランクにより取得する。GSK rSBAアッセイにおいてブランクは希釈液、細菌および活性補体のみを含む。
補体毒性(%)=(平均CFU数[不活性化補体1]-平均CFU数[活性補体1])/(平均CFU数[不活性化補体1])×100
自然免疫が髄膜炎菌A型株に対する防御にとって重要な役割を果たし得ることは公知である。
まず、抗PSA抗体以外のIgG抗体の存在を調査した。標準的なアッセイにおいて、抗ヒトIgGコンジュゲートを、抗IgA+M+Gコンジュゲートにより置換した。以下に認められるように、MenA IgG ELISAとMenA SBA試験との一致性はいくらか改善されるが、観察される自然免疫を説明するものではなく、結果として、アッセイ株およびLPS阻害に関するさらなる研究が行われた。
完全な株を用いる2つの作用:
トリシンゲルを泳動させて(図1)、現在の株、すなわち、F8328(=CDC F8238)株およびオランダで単離された潜在的な新株(3227、3048、760570)の免疫型プロフィールを決定した。両株の正確なプロフィールを決定することはできないが、ゲルは、両方の株群が異なるLOSプロフィールを有することを示唆している。
MenB H44/76から精製されたLPSを取得し、血清をこのL3 LPSを用いて阻害した。100μg/ml溶液(V/V混合物を作製し、最終濃度50μg/mLのL3 LPSを得る)と共に37℃で1時間インキュベートすることにより、これを行った。付属の表に認められるように、上記の不一致(ELISA対rSBA)の血清サンプルについては完全な中和が得られたが、一致するサンプル(ELISA対rSBA)については部分的な阻害血清のみが得られた。免疫化前(追加免疫前)のサンプルに関して不一致のサンプルが、最も高いと予想される。
発明
本発明者らの提案は、S4383株ではなく3193株(または類似する株)を用いるrSBAアッセイを使用することである。S4383株は、GSK rSBA設定において被験体にとって補体毒性であることが見出されている。
殺菌効果は、抗体および活性な補体の両方を、補体の存在下で添加する場合にのみ生じるはずである。これを調べるために、希釈液、細菌および活性な補体のみを含む殺菌対照を、それぞれのアッセイにおいて加える。かくして、この対照について得られるコロニー形成単位(CFU)は、ヒト血清サンプルを添加しない細菌の増殖の結果であり、かくして、得られるCFUの平均は0%の殺傷に相当する。
補体毒性(%)=(CFU数[不活性化補体]-CFU数[活性補体])/(CFU数[不活性化補体])×100%
108個のアッセイプレートを、S4383株を用いる古典的rSBAアッセイ設定を用いて試験した。それぞれのプレート上で、両方の細菌対照を添加する。異なるプレート中で得られる全ての補体毒性を平均する場合、39%の値が得られるが、後述の図面は、多くのプレートについて、40%の基準を満たさなかったことを示している。
最近、初回免疫されていない幼児において、参照株F8238について得られた抗PSA IgG ELISAデータおよびMenA殺菌データの間で、相違が観察された。有意なレベルのMenA殺菌抗体が測定されたが、MenA PS IgG抗体はほとんど認められなかった。これらの観察は、これらの子供が髄膜炎菌血清群Aに対する自然免疫を生じていることを示唆している。また、この相違を、保持的MenA株のLOSと近縁であるかまたは類似するLOS(但し侵襲的MenA株のLOSと類似しない)を発現したSBA MenA株の使用と関連付けることができることも示唆された。
最も正確な免疫型決定法を用いる論文のみを選択した。これらは以下のものである。
この論文においては、免疫ツールはウサギポリクローナル抗体である。論文中で考察されるデータに基づいて、
・抗L10はL10免疫型に特異的である、
・抗L11はL11免疫型に対して強く反応するが、L10免疫型に対するいくらかの交叉反応性を示す、
・抗L9はL10およびL11免疫型に対して反応しないが、L3、L4、L6およびL7株に対するいくらかの交叉反応性を示す、
ことを結論付けることができる。
これらの3つの論文は、それらがLOSの免疫型決定と相対分子量(MrS)とを組み合わせたため、選択された。髄膜炎菌株のLOSは、SDS-PAGEにより分離することができる1〜6個の成分から構成される。MrSは3150〜7100であると見積もられた。これらの異なる電気泳動移動度は、それらのオリゴ糖の化学的組成の差異を反映し、オリゴ糖組成の差異は抗原性の差異の原因ともなる。
これらの2つの論文においては、ポリクローナル抗体を用いるマイクロ沈降法および/または14種の異なるモノクローナル抗体のセットを用いる全細胞ELISAタイピングが用いられた。マイクロ沈降法は、特異的な技術であることが示されたが、14種のMAbの反応性に基づいて、アルゴリズムを用いる免疫型の割り当ては、マイクロ沈降法技術と類似する結果を与える。
CDCにより開発された古典的なMenA SBAは、標的としてF8238株を用いた。ここで本発明者らは、この株がL11 LOS(Hopman C, AMC lab, Netherlandsにより免疫型決定された)を発現し、以前に考えられていたようにL10を発現しないことを今や見出している。換言すれば、SBAに用いられる参照MenA株は、侵襲的なMenA株よりも保持的なMenA株により近い。この関係は、初回免疫されていない幼児集団において抗PSA ELISAと「古典的」MenA SBAとの間で観察される一致の欠如を説明することができる(実施例3)。
・Achtman M, Kusecek B, Morelli G, Eickmann K, Jianfu W, Crowe B, Wall R, Hassan-King M, Moore PおよびZollinger W (1992) A comparison of the variable antigens expressed by clone IV-1 and subgroup III of Neisseria meningitidis serogroup A. J. Infect. Dis. 165: 53-68
・Kim J., Mandrell M, Zhen H, Westerink M, Poolman JおよびMcLeod Griffis J (1988) Electromorphic characterization and description of conserved epitopes of the lipooligosaccharides of groupA Neisseria meningitidis. Infect. Immun. 56: 2631-2638.
・Poolman J, Hopman CおよびZanen H (1982) Problems in the definition of meningococcal serotypes. FEMS Microbiol Letters 13: 339-348
・Salih M, Danielsson D, Backman A, Caugant D, Achtman MおよびOlcen P (1990) Characterization of epidemic and non-epidemic Neisseria meningitidis serogroup A strains from Sudan and Sweden. J. Clin. Microbiol.28: 1711-1719
・Scholten R, Kuipers B, Valkenburg H, Dankert J, Zollinger WおよびPoolman J (1994) Lipooligosaccharide immunotyping of Neisseria meningitidis by a whole-cell ELISA with monoclonal antibodies. J. Med. Microbiol. 41: 236-243
・Zollinger WおよびMandrell R (1980) Type-specific antigens of group A Neisseria meningitidis: lipopolysaccharide and heat-modifiable outer membrane proteins. Infect. Immun. 28: 451-458
実施例6:SBAアッセイにおけるCDC F8238株対3125株の特異性
実験の目的:
MenA rSBAアッセイを用いて観察される自然免疫に対する、種々の免疫型を有する髄膜炎菌A型株(ここではそれぞれ、L11免疫型を有するF8238株 対 L10免疫型を有する3125株)を用いる影響を調べた。自然免疫が、MenA(抗MenA莢膜多糖類)IgG ELISAアッセイによりかなり低い程度で観察されたことに留意すべきである。かくして、後者のアッセイは、ワクチンにより誘導された免疫と自然に誘導された免疫とを区別することができる。
第1のセットのサンプルは、Hibと共に同時投与された百日咳(無細胞もしくは全細胞)ワクチンで初回免疫された子供に対する、Hibワクチン(コンジュゲートもしくは非コンジュゲート)の追加免疫用量の免疫原性を評価する研究から選択された。ドイツで実施された第1の研究において(Hib-044)、幼児は12〜18ヶ月齢であり、Hibと共に同時投与された全細胞百日咳ワクチンの種々の製剤で初回免疫した。ミャンマーで実施された第2の研究において(Hib-064)、幼児は15〜24ヶ月齢であり、Hibと共に同時投与された全細胞百日咳ワクチンの種々の製剤で初回免疫した。
以下の表に明らかに認められるように、menA IgG ELISAについて0.30μg/mL以上の力価を有する被験体の割合(%)は、成人を除いて、非常に低い。同じことは、3125(L10)株を用いるMenA rSBAについて8以上の力価を有する被験体に関して認められる。かくして、同じ効果は、これらのプラセボサンプルに対する両アッセイについても認められる、すなわち、ワクチンを投与しなかった場合、それらは共に低い応答を示しうる。対照的に、F8238(L11)株を用いるmenA rSBAアッセイの実施は、より高い割合(%)の応答者(8以上)をもたらすが、それ自体は被験体がワクチン接種されていなかったという事実を反映していない。従って、3125(L10)株を用いるMenA rSBAは、ワクチンにより誘導される応答を良好に区別することができると結論付けられる。
種々のmenAワクチン接種を評価する研究から、臨床試験サンプルを選択した。フィリピンで実施された第1の研究においては、約14週齢のナイーブな子供を、3つの異なるDTPw-HepB/HibMenACワクチン製剤(HibMenACは全てコンジュゲートされている)のうちの1つを用いて初回免疫した。血清変換率(%SC)を、8以上のrSBA(50%)力価を有する初回免疫の1ヶ月後の子供の割合(%)として測定した。
髄膜炎菌血清群A型F8238株は、米国疾病対策センター(CDC)、Atlanta, Georgia, USAから入手可能である。あるいは、それはBelgian Coordinated Collections of Microorganisms (BCCM), Laboratorium voor Microbiologie-Bacterieanverzameling (BCCM/LMG), Universiteit Gent, K.L. Ledeganckstraat 35, 9000 GHENT, Belgium (CDC MenA F8238と同等株であるという陳述と共に2005年6月20日に寄託された)にも寄託されている。それは受託番号LMG P-23098を有する。
Claims (16)
- グラム陰性細菌に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含むグラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイであって、使用前に、血清サンプルから該グラム陰性細菌中に存在するリポオリゴ糖(LOS)エピトープに対する抗体が枯渇しており、かつ該血清サンプルは、ナイーブな宿主由来であるか、または該グラム陰性細菌に由来するLOS抗原を含まないワクチン組成物で免疫された宿主由来である、アッセイ。
- 血清サンプルが、LOS抗原を含まないワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものであり、SBA力価を、該ワクチン組成物中に存在する抗原を含むグラム陰性細菌に関して測定する、請求項1に記載のSBAアッセイ。
- 前記ワクチン組成物が、グラム陰性細菌に由来する莢膜糖類抗原を含む、請求項2に記載のSBAアッセイ。
- 使用前に、血清サンプルを、1種以上のリポオリゴ糖(LOS)エピトープまたは前記グラム陰性細菌の1種以上の免疫型のLOS分子と共に予備インキュベートして、該LOSエピトープ/免疫型に対する抗体を該血清サンプルから枯渇させておく、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
- 前記グラム陰性細菌が、ナイセリア属菌株である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
- 前記グラム陰性細菌が、髄膜炎菌血清群A、C、WまたはYである、請求項5に記載のSBAアッセイ。
- 前記グラム陰性細菌が、髄膜炎菌血清群Aである、請求項6に記載のSBAアッセイ。
- 使用前に、血清サンプルを、1種以上のLOS免疫型から誘導されたLOSエピトープ、またはL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、およびL12からなる群より選択される1種以上のLOS免疫型と共に、予備インキュベートしておく、請求項5〜7のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
- 血清サンプルを、免疫型L3,7,9から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L3,7,9のLOSと共に、予備インキュベートしておく、請求項8に記載のSBAアッセイ。
- 血清サンプルを、免疫型L10から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L10のLOSと共に、予備インキュベートしておく、請求項8または9に記載のSBAアッセイ。
- 血清サンプルを、免疫型L1および/もしくはL8から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L1および/もしくはL8のLOSと共に、予備インキュベートしておく、請求項8〜10のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
- ナイセリア属菌株であるグラム陰性細菌の参照株に対してSBA力価を測定する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
- 血清サンプルが、髄膜炎菌血清群Aに由来する莢膜糖類抗原を含む前記ワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
- LOSに対する抗体を血清サンプルから枯渇させるための手段と、SBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実施するためのキット。
- hSBAアッセイである、請求項1〜13のいずれか1項記載のSBAアッセイ。
- rSBAアッセイである、請求項1〜13のいずれか1項記載のSBAアッセイ。
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