JP5665669B2 - 接地電極における電位上昇の波及抑制方法 - Google Patents

接地電極における電位上昇の波及抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、接地電極周囲の土壌を改良することにより、雷撃時に生じる電位上昇が接地電極の周囲に波及するのを抑制する技術に関するものである。ここで、「土壌を改良する」とは、土壌自体の組成や含有水分量などを調整してその土壌の抵抗率を周辺の大地の抵抗率に対して変えることのほか、地中に絶縁材料を埋設してその絶縁材料を含む部位の土壌の抵抗率を周辺の大地の抵抗率に対して変えることを含む。
鉄塔や各種電気設備への雷撃時に雷撃地点の電位が上昇し、この電位上昇が周囲に波及して逆閃絡等の現象を引き起こすことが知られており、これによって各種電気機器や通信機器を破壊、損傷するおそれがあるため、従来から種々の対策が採られている。
例えば、特許文献1には、建造物を中心として放射状に複数本の接地線を接続することにより、接地線のサージインダクタンスを小さくし、1本当たりの接地線に流れる電流を低減して落雷点近傍の電位上昇を抑制すると共に、接地線全体に分流する雷電流を増加させて落雷点から離れた地点での電位低下を防止し、接地系全体としての電位を均等化するようにした接地系の接地構造が記載されている。
特開平9−27359号公報「接地系の接地構造及び発電所」(段落[0025]〜[0040]、図1〜図7等)
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、多数の接地線が必要不可欠であり、また、これらの接地線の接続構造も複雑であるため、接地工事に多くの労力とコストが必要であるという問題があった。
そこで、本発明の解決課題は、従来技術に比べて少ない労力及びコストにより、落雷時における接地電極の電位上昇が周囲に波及するのを抑制可能とした方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、大地に埋設されて雷電流が流れる起誘導側接地電極の電位上昇が、前記起誘導側接地電極の周囲に配置された被誘導側接地電極に波及するのを抑制するための電位上昇波及抑制方法において、
少なくとも前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極との間に存在して両接地電極と隔離された部分の土壌の抵抗値を、当該部分の周囲に存在する大地の抵抗値より相対的に高くすることにより、当該部分を土壌改良部としたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した波及抑制方法において、前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極との間で地表面とほぼ直交するように埋設された平面ほぼI字形の土壌からなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載した波及抑制方法において、前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲を包囲するように埋設された筒状の土壌からなることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載した波及抑制方法において、前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲四面のうち前記被誘導側接地電極の反対側を除く三面に配置された平面ほぼコ字形の土壌からなることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載した波及抑制方法において、前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲四面のうち前記被誘導側接地電極の反対側の一面と、前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極とを結ぶ線に平行な一面と、を除く二面に配置された平面ほぼL字形の土壌からなることを特徴とする。
なお、土壌改良部の形状、構造は、上述した請求項2〜5に記載したものに限定されないのはいうまでもなく、要は、起誘導側接地電極と被誘導側接地電極との間に存在して両接地電極と隔離された部分の土壌の抵抗値を、当該部分の周囲に存在する大地の抵抗値より相対的に高くするような形状、構造であればよい。
本発明によれば、雷撃地点である起誘導側接地電極の周囲に存在する各種電気機器、通信機器の接地電位が上昇するのを防ぎ、逆閃絡等によるこれらの機器の破壊や損傷を未然に防止することができる。
また、従来技術のように多数の接地線を相互に接続するような作業が不要になるため、労力やコストの低減も可能である。
垂直接地電極及びその周囲における電位上昇を解析するために用いた解析空間を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図である。 解析に用いた注入電流波形を示す図である。 土壌改良部の形状を示した図であり、(a−1)〜(e−1)はCase1〜5の正面図、(a−2)〜(e−2)はCase1〜5の平面図である。 Case0における接地電極の電位変化を示す図である。 Case0及びCase1における接地電極の電位変化を示す図である。 Case0及びCase2における接地電極の電位変化を示す図である。 Case0及びCase3における接地電極の電位変化を示す図である。 Case0及びCase4における接地電極の電位変化を示す図である。 Case0及びCase5における接地電極の電位変化を示す図である。 Case5における土壌改良部の形状を示した図であり、(e−1)は正面図、(e−2)は平面図である。 Case5において土壌改良部の抵抗率を変化させた場合の接地電極21,22の電位変化を示す図である。 Case5において土壌改良部の抵抗率を変化させた場合の接地電極21の電位上昇定常値(図12(a))、接地電極22の電位上昇定常値(図12(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値(図12(b))を示す図である。 Case5において土壌改良部の深さを変化させた場合の接地電極21,22の電位変化を示す図である。 Case5において土壌改良部の深さを変化させた場合の接地電極21の電位上昇定常値(図14(a))、接地電極22の電位上昇定常値(図14(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値(図14(b))を示す図である。 Case5において土壌改良部の厚さを変化させた場合の接地電極21,22の電位変化を示す図である。 Case5において土壌改良部の厚さを変化させた場合の接地電極21の電位上昇定常値(図16(a))、接地電極22の電位上昇定常値(図16(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値(図16(b))を示す図である。 Case5において土壌改良部の幅を変化させた場合の接地電極21,22の電位変化を示す図である。 Case5において土壌改良部の幅を変化させた場合の接地電極21の電位上昇定常値(図18(a))、接地電極22の電位上昇定常値(図18(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値(図18(b))を示す図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、雷撃時における接地電極及びその周囲の電位上昇を解析するために用いた解析空間を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
図1において、解析空間10の刻み幅は、x,y,z全ての方向でΔs=0.25mとし、解析空間10の大きさはx方向:76m、y方向:74m、z方向:27.5mとした。なお、解析空間10を囲む6つの境界面は、Liaoの2次吸収境界条件を用いて開空間を模擬している。ここで、Liaoの2次吸収境界条件については、例えば、宇野亨による「FDTD法による電磁界およびアンテナ解析」(1998年3月20日,コロナ社発行)のp.72〜p.80に記載されている。
大地構造は、解析空間10の底部から高さ14.5mまでが、ρ=100Ωm、比誘電率ε=10の物質で満たされているものとする。なお、図1(c)において、11は仮想地表面を示す。
解析空間10の内部には、二本の垂直接地電極21,22が配置されており、一方の接地電極21には電流注入線23が接続されている。これらの接地電極21,22及び電流注入線23には、半径5.75mmの細線導体モデルが使用されている。
一方の接地電極(起誘導側接地電極)21は、図示されていない電流源(内部抵抗を500Ωとする)から電流注入線23を介して雷電流を注入するためのものであり、他方の接地電極(被誘導側接地電極)22は、接地電極21への雷電流注入時における電位上昇値を測定するための電極である。ここで、接地電極21,22の電位上昇値は、吸収境界面12(図1(b),(c)を参照)から各測定点(接地電極21,22)までの大地面上電界の積分値であり、電圧プローブ24(図1(a)を参照)を用いて測定される。
以上の解析条件のもとで、接地電極21を鉄塔などの雷撃地点に見立てて電流を注入し、後述するように、接地電極21の周囲において抵抗率ρ=10kΩm、比誘電率ε=10とした土壌(以下、上記抵抗率及び比誘電率を有する土壌の一部を土壌改良部という)の形状を種々変化させたときに各接地電極21,22に現れる電位及び電位上昇値を計算した。
図2は接地電極21への注入電流波形を示しており、一般的な帰還雷撃の波頭長を表現したものであって、波頭長が約1.0μs、波高値が1.0Aのステップ波電流である。
電位上昇値の計算には、数値電磁界解析の一種であるFDTD法(Finite-Difference Time-Domain Method)を用いた。このFDTD法は、前述した文献「FDTD法による電磁界およびアンテナ解析」の第1章などに記載されている周知の数値電磁解析手法である。
次に、図3(a)〜(e)は、土壌改良部の形状を5つのケース(Case1〜5)に分けて示したものである。各図において、左側の図は接地電極21,22周辺の正面図、右側の図は平面図であり、(a−1)はCase1の正面図、(a−2)はCase1の平面図を示し、以下同様に、(b−1),(b−2)はCase2を、(c−1),(c−2)はCase3を、(d−1),(d−2)はCase4を、(e−1),(e−2)はCase5を、それぞれ示している。なお、これらの図において、31〜35は土壌改良部をそれぞれ示している。
発明者は、図3に示す様々な形状の土壌改良部31〜35を有するCase1〜5を対象として、接地電極21を雷撃地点(起誘導側)に見立てて電流を注入し、そのときの接地電極21の電位が接地電極22(被誘導側)に波及する様子を観測することにより、接地電極22における電位上昇が最も抑制されるような土壌改良部の形状につき鋭意、研究した。
なお、前述したように土壌改良部の抵抗率ρは、周囲の大地の抵抗率よりも十分に大きくしてρ=10kΩmとし、比誘電率はε=10である。これらの土壌改良部の抵抗率及び比誘電率は、土壌の組成や含有水分量などを調整することで容易に実現可能である。
図3(a−1),(a−2)のCase1は、接地電極21を中心として垂直方向に延びる直方体状の土壌を土壌改良部31とした例、図3(b−1),(b−2)のCase2は、接地電極21を中心として内面が接地電極21から0.75mの距離にある四角筒状(平面ロ字形)の土壌を土壌改良部32とした例、図3(c−1),(c−2)のCase3は、接地電極21を包囲する周囲四面のうち接地電極22側の一面を除いた三面からなる平面コ字形の土壌を土壌改良部33とした例、図3(d−1),(d−2)のCase4は、Case3において接地電極21,22を結ぶ線と平行な一面を除いた平面L字形の土壌を土壌改良部34とした例、図3(e−1),(e−2)のCase5は、接地電極21から0.75mの距離をおいた接地電極22側の一面(平面I字形)の土壌を土壌改良部35とした例である。
土壌改良部31〜35の各部の長さは図3に示すとおりであり、接地電極21,22間の距離は2mである。また、図中の長さLについては、表1に示すようにそれぞれ3種類(Case1は0.25m,1m,1.75m、Case2〜5は0.25m,0.5m,1m)に変化させて測定した。
なお、表1におけるCase0は、接地電極21の周囲(接地電極21,22間)に土壌改良を施していないケースであり、Case1〜5の比較対象である。
Figure 0005665669
図4は、Case0について接地電極21,22の電位変化の計算結果を示す図である。接地電極21,22間に土壌改良部を設けない場合、起誘導側である接地電極21では、定常値30Vの容量性電位上昇が現れた。この電位上昇が周囲へ波及し、被誘導側である接地電極22では、波高値7V、定常値6Vの誘導性電位上昇が現れた。
図5は、Case0及びCase1(図3(a−1),(a−2))における接地電極21,22の電位変化の計算結果を示す図である。
これらの波形によれば、Case1の土壌改良を行った場合、接地電極21の接地抵抗が土壌改良部31の大きさに依存して増加するため、起誘導側で電位上昇値が増加している。また、接地電極22では電位上昇値は低減されなかった。つまり、起誘導側、被誘導側の両方で、Case0の結果よりも電位上昇が大きくなり、良好な結果は得られなかった。
図6は、Case0及びCase2(図3(b−1),(b−2))における接地電極21,22の電位変化の計算結果を示す図である。
これらの波形によれば、Case2の土壌改良を行った場合、Case1の場合と同様に起誘導側である接地電極21の接地抵抗が土壌改良部32の大きさに依存して増加している。しかしながら、Case2の土壌改良部32の形状は筒状であり、接地電極21の直近を土壌改良していないため、Case1ほど接地抵抗の増加量は大きくなかった。また、被誘導側である接地電極22の電位上昇は、土壌改良部32の大きさが大きくなるほど低減された。
以上の結果から、起誘導側の接地電極21を囲むように電位上昇を波及させたくない接地電極22が配置されている場合、Case2のように筒状の土壌改良部32によって接地電極21を包囲する方法が有効であると考えられる。しかしながら、起誘導側の接地電極21の電位が土壌改良を行わない場合に比べて若干上昇するので、起誘導側での耐雷対策を強化する必要がある。
図7,図8,図9は、それぞれ、Case0とCase3(図3(c−1),(c−2))、Case0とCase4(図3(d−1),(d−2))、Case0とCase5(図3(e−1),(e−2))における接地電極21,22の電位変化の計算結果を示す図である。
これらの波形より、Case3(コ字形)→Case4(L字形)→Case5(I字形)というように土壌改良部33〜35の規模が小さくなるに従って、起誘導側の接地電極21における電位上昇は抑制されている。これは、単純に、接地電極21の接地抵抗が土壌改良部33〜35の規模に依存して変化する(小さくなる)ためである。また、被誘導側の接地電極22の電位上昇低減効果は、Case3〜5でほぼ同程度であった。
具体的には、Case3〜5において、起誘導側の接地電極21における電位上昇は5〜55%程度であるが、被誘導側の接地電極22における電位上昇は、定常値で25〜60%程度、波高値で15〜30%程度低減されることが明らかになった。これらのCase3(コ字形),Case4(L字形),Case5(I字形)については、起誘導側の接地電極21の周囲にある被誘導側の接地電極22(言い換えれば、雷撃地点の周囲に配置されていて電位上昇の波及を抑制したい電気機器等)の数や配置に応じて使い分ければよい。
なお、表2(有効数字3桁)は、Case1〜5における起誘導側の接地電極21の電位、被誘導側の接地電極22の電位、及び、Case1〜5のCase0に対する起誘導側の接地電極21の電位上昇増加率、並びに、被誘導側の接地電極22の電位上昇低減率についてまとめたものである。
Figure 0005665669
次に、様々な土壌改良部のうち、特に、Case5として示したI字形の土壌改良部35の規模とその効果について検討した結果を、以下に説明する。
図10は、Case5における土壌改良部35の形状を示した図であり、(e−1)は正面図、(e−2)は平面図である。ここでは、土壌改良部35の抵抗率及び大きさ(深さ、厚さ、幅)を変化させた場合の電位上昇への影響について検討した。
図10において、土壌改良部35の深さh=2m、厚さL=0.5m、幅L=1.0m、抵抗率ρ=10kΩmを基準とし、抵抗率ρを1〜10kΩmの範囲で変化させると共に、深さhを0.5〜3.5m、厚さLを0.25〜1.0m、幅Lを0.5〜4.0mの範囲でそれぞれ変化させて計算した。
なお、接地電極21への注入電流波形は、図2に示したものと同一であり、波頭長約1.0μs、波高値1.0Aのステップ波電流である。
図11は、土壌改良部35の抵抗率ρを変化させた場合の接地電極21,22の電位変化の計算結果を示す図である。また、図12は、土壌改良部35の抵抗率を変化させた場合の接地電極21の電位上昇定常値(図12(a))、接地電極22の電位上昇定常値(図12(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値の計算結果を示している。なお、ρ=100Ωmのケースは、土壌改良部35の周囲の大地と同じ抵抗率であるから、土壌改良していない場合とみなすことができる。
図11,図12から明らかなように、土壌改良部35の抵抗率は、起誘導側の接地電極21の電位上昇値に大きな影響を与えていない。一方で、被誘導側の接地電極22の電位上昇値は、土壌改良部35の抵抗率を大きくするほど低減することが可能であった。
また、図12より、接地電極22の電位上昇低減効果は、土壌改良部35の抵抗率ρ=5〜10kΩm辺りで飽和している。ただし、これは周囲の大地の抵抗率がρ=100Ωmの場合の結果である。
次に、図13は土壌改良部35の深さh[m]を変化させた場合、図15は厚さL[m]を変化させた場合、図17は幅L[m]を変化させた場合の、接地電極21,22の電位変化の計算結果をそれぞれ示している。
また、図14は土壌改良部35の深さh[m]を変化させた場合、図16は厚さL[m]を変化させた場合、図18は幅L[m]を変化させた場合の、接地電極21の電位上昇定常値(各図の(a))、接地電極22の電位上昇定常値(各図の(c))、及び、接地電極22の電位上昇波高値(各図の(b))を示している。
これらの図13〜図18によれば、土壌改良部35の形状は、大きければ大きいほど起誘導側すなわち接地電極21の電位上昇値は若干大きくなっているが、被誘導側すなわち接地電極22の電位上昇を効果的に低減できることが明らかである。
また、土壌改良部35の抵抗率と同様に、深さ、幅を変化させた場合にも飽和特性があり、今回の条件の場合、それぞれ、深さh=3m、幅L=4.0m程度で飽和を開始した。厚さLに関しては飽和特性が確認されていないが、これは、接地電極21,22間の距離(今回のモデルでは2m)が狭いためであり、電極間隔が更に長い条件下では、厚さLの飽和特性も深さh及び幅Lと同様に現れると考えられる。
以上のように、この実施形態によれば、接地電極21,22の間の土壌改良部の抵抗率や大きさ(深さ、厚さ、幅)を変化させることにより、接地電極21への雷撃時に生じる電位上昇が接地電極22側に波及するのを抑制することが可能である。
つまり、起誘導側の接地電極21と電位上昇を波及させたくない被誘導側の接地電極22との数や配置に応じて筒状、コ字形、L字形、I字形の土壌改良部32〜35を使い分けることにより、雷撃時の起誘導側の電位上昇を抑制しつつ被誘導側の電位上昇を効果的に低減することができる。
これにより、雷撃地点の周囲に存在する各種電気機器や通信機器の接地電位が上昇するのを防ぎ、逆閃絡等による機器の破壊や損傷を未然に防止することができる。
なお、電位上昇の抑制効果は、土壌改良部の抵抗率や大きさ(深さ、厚さ、幅)、接地電極の大きさ、形状、数、位置関係等によって異なるため、土壌改良部の施工に当たっては、事前に解析的な検討を行って費用対効果を考慮しつつ設計することが望ましい。
前述した各実施形態では、土壌改良部を均質な高抵抗の土壌によって形成することを想定しているが、例えば平板状あるいは粒状、粉末状のゴム等の絶縁材料を土壌に埋設し、この絶縁材料を含む部位の土壌全体を土壌改良部とすることもできる。
また、各実施形態では、土壌改良部の抵抗率をその周辺の大地の抵抗率よりも高くしてあるが、周辺の大地の抵抗率を下げることにより土壌改良部の抵抗率が相対的に高くなるようにしてもよい。
10:解析空間
11:仮想地表面
12:吸収境界面
21:垂直接地電極(起誘導側接地電極)
22:垂直接地電極(被誘導側接地電極)
23:電流注入線
24:電圧プローブ

Claims (5)

  1. 大地に埋設されて雷電流が流れる起誘導側接地電極の電位上昇が、前記起誘導側接地電極の周囲に配置された被誘導側接地電極に波及するのを抑制するための電位上昇波及抑制方法において、
    少なくとも前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極との間に存在して両接地電極と隔離された部分の土壌の抵抗値を、当該部分の周囲に存在する大地の抵抗値より相対的に高くすることにより、当該部分を土壌改良部としたことを特徴とする接地電極における電位上昇の波及抑制方法。
  2. 請求項1に記載した波及抑制方法において、
    前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極との間で地表面とほぼ直交するように埋設された平面ほぼI字形の土壌からなることを特徴とした接地電極における電位上昇の波及抑制方法。
  3. 請求項1に記載した波及抑制方法において、
    前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲を包囲するように埋設された筒状の土壌からなることを特徴とした接地電極における電位上昇の波及抑制方法。
  4. 請求項1に記載した波及抑制方法において、
    前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲四方のうち前記被誘導側接地電極の反対側を除く三方に配置された平面ほぼコ字形の土壌からなることを特徴とした接地電極における電位上昇の波及抑制方法。
  5. 請求項1に記載した波及抑制方法において、
    前記土壌改良部が、前記起誘導側接地電極を中心にしてその周囲四方のうち前記被誘導側接地電極の反対側の一方と、前記起誘導側接地電極と前記被誘導側接地電極とを結ぶ線に平行な一方と、を除く二方に配置された平面ほぼL字形の土壌からなることを特徴とした接地電極における電位上昇の波及抑制方法。
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