JP5651216B1 - ソフト凝固を用いた腎手術用電気メス電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない出血量で腎臓への血流遮断を行うことなく、かつ、腎部分切除術の切除面や出血部位に当てやすく、電流密度が下がりにくい電気メス電極を提供する。【解決手段】手術用電気メス電極1であって、全体として細長形状で、平面視直線状刃先2を有し、刃先は、軸3から刃先先端に向かって側面視先細に形成され、刃先先端が所定幅の平坦面に形成され、刃先から軸3にいたる両側部は、前記直線状刃先と同幅に形成され、かつ、両側面に突出がなく、両側部に平坦面が形成されたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本願発明は、腎臓手術用電気メス電極、特に、腎腫瘍に対する腎部分の切除術等の腎臓手術に関し、出血や組織損傷を回避することができる電気メス電極に関する。
腎臓は、人体の血液を濾過し、不要物質を尿として体外に排出する器官であり、左右二つのソラマメ状で、それぞれ内測縁が軽くへこみ、外側縁が丸く膨らみ、長さ10〜12cm、幅5〜6cm、厚さ4cm、重さ120〜300g程度の大きさで、内部には糸球体や尿細管、血管といったミクロの器官がぎっしりと詰まり,これらの器官により尿生成を行う器官である。糸球体や尿細管、血管といったミクロの器官がぎっしりと詰まっているということは、腎手術に際しては、いたるところに出血の危険があり、これは他の臓器にはない腎特有のものである。
腎臓にも腫瘍(癌)等が発症し、これを除去する腎手術に際しては、多量の出血が避けられないなどのことから、これまでは早期の腎腫瘍でも腫瘍のある側の腎臓を全摘されていたが、近年、腎臓腫瘍に対しても、部分的に切除しても癌のコントロールに問題ないことがわかり、また腎臓の機能を温存することで心臓や脳などの血管疾患が予防できることなどから、なるべく腎部分切除術を行うことが推奨されるようになってきている。
ところが、腎部分切除のような腎臓手術は、肝臓等の手術と異なり、臓器の硬さが肝臓などとは異なることに加え(腎臓の方が硬い)、切除範囲が小さく切開面(切除面)も狭いため、出血した場合に切開面に血液が切開箇所から溢れ出て、出血点の同定が困難であるなど腎臓手術特有の困難さが伴う。
腎手術には、当然電気メスが使用され、この種の手術用の電気メスに関しては、例えば、実用新案登録第3024981号公報に開示のものが知られている。
図7は、同実用新案登録第3024981号公報に図2として添付される同公報開示の考案の一実施形態に係る電気メスを高周波電流発生器およびハンドピースと共に示した説明図である。図7において、符号101は、電気メス、102は、シャンク、103は、メス先電極、104は、止血用電極部、104aは、止血用電極部104の突出端、105は、高周波電流発生器、106は、ハンドピース、107は、外箱、108は、出力調整用の摘み、109は、接続口、110は、ハンドピースの主体、110aは、前記主体110の先端小径部、111は、チャック、111aは、同おねじ部、111bは、管状の把持部、112は、コード、113は、端子、114は、チャックカバー、115は、電源切替スイッチである(なお、符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して付する外、前記止血用電極部104の突出端104aを付加した。)。
しかしながら、図7に示すような従来の電気メス101における止血は、電気メス101の止血用電極104から高圧電流を放電させ、周囲組織を凝固させる「凝固止血」と称される止血方法によるものであるが、凝固止血では、放電による組織破壊により新たな出血や放電による組織の炭化のため炭化部分(止血部分)が脱落し再出血するなどの欠点があることから、放電を起こさせない低電圧下で電流をメス電極に印加して、流れる電流のジュール熱を利用して、当該部分の組織をタンパク変性させて止血するという「ソフト凝固」と称される止血方法が開発されるに至っている。
そこで、エルベ社製VIO300D型電気メス本体にアムコ社製イオアドバンス電極パドル型直タイプの電極を用いて、同本体をソフト凝固モードで使用する従来の例について検討を加えた。
エルベ社製VIO300D型電気メス本体のソフト凝固モードは、次のような仕様のものである。
(a)高周波電圧波形:非変調正弦波、
(b)定格周波数:350KHz(負荷抵抗=500Ω)±10%、
(c)クレストファクター:1.4(負荷抵抗=500Ω)、
(d)定格負荷抵抗:50Ω、
(e)最大高周波ピーク電圧:190Vp、
(f)エフェクトの数:8、
(g)エフェクトの安定性:高周波ピーク電圧自動制御による、
(h)高周波出力設定範囲:5W〜200Wまで1W単位で設定可能、
(i)定格負荷抵抗に対する最大出力:200W±20%
上記仕様において、エフェクトとは、電気メスの段階的な出力制御を意味し、各エフェクト1〜8は、印加される最大電圧で規定され、エフェクト数がが高くなると最大電圧(ピーク電圧)が高くなる仕様である。
各エフェクトでは、最大電圧が規定されているので、電圧の制限がかかると同じ出力を維持した場合に電流量が多くなってしまうので、過剰な電流を防ぐために最大出力のエフェクトに応じて過剰電流制限を行い、また、この電流制限を当接部の抵抗値により制御、すなわち、当接部位の組織にタンパク変性や炭化が起こるとその部分の抵抗値が上昇するので、この抵抗増に応じて出力が低下するような仕様としている。つまり、出力設定に関わらず常に電極の最大電圧(ピーク電圧)が一定となり、50〜800(Ω)程度の抵抗値変化に対して、出力電流制御が行われる仕様である。
なお、上記仕様のエルベ社製VIO300D型電気メス本体をソフト凝固モードで使用する場合には、強力な凝固をするためにはボール電極のような接触表面積が広い電極を使用することが推奨され、また、当該ソフト凝固モードは、安全で強い凝固を必要とするあらゆる手術に適用されるモードである。そして、上記仕様のエルベ社製VIO300D型電気メス本体のソフト凝固モードにおいて、止血力を最大限に発揮させるためには、前記エフェクトを低くして長い時間をかけて凝固させた方が効果的であるが、短時間に凝固させ止血する必要のある場合には前記エフェクトを高くして印加するようにする。このエフェクトの調整は電流量も副次的に調整されているため、組織を流れる電流がエフェクトが低いほど多いため、発生する熱が高くなり、これにより凝固範囲(タンパク変性範囲)が調整できる。今回はエフェクト7を使用したのは、熱変性を腎臓の奥まで及ばないようにすることで、熱による腎臓の障害を少なくするためである。
このような仕様のエルベ社製VIO300D型電気メス本体に図8に示すアムコ社製イオアドバンス電極パドル型直タイプの電極201を、前記シャフト203に接続し、当該シャフト203を操作して、前記円盤状刃先202への電流を出力して、出血点を凝固し、止血を行うようにしている。
図8は、従来例として、例えば、アムコ社製イオアドバンス電極パドル型直タイプの電気メス電極をエルベ社製VIO300D型電気メス本体をソフト凝固モードで使用して腎手術を実施する際の概略図である。なお、エルベ社の当該VIO300D型電気メス本体の操作マニュアル等においては、ソフト凝固モードの場合には、ボール型電極の使用を推奨しているが、腎手術の場合は、狭い隙間に挿入して止血する必要があるため、通常は、円盤状につぶした図8に示される電極を使用する例を従来とした。
図8において、符号201は、電気メス電極、202は、円盤状刃先、203は、電気メスハンドスイッチ等を備えるシャフト、204は、前記電極201への組織付着を防止する灌流液を滴下するための灌流口である。
しかしながら、図8に示すような従来の円盤状刃先202を有する電気メス電極201では、(a)出血点に厳密に当てることが困難で止血しにくく出血に充分とは言い難い。また、(b)腎実質から腫瘍を切り始めは、空間が狭いため電極201の円盤状刃先202が、出血点以外の部分に触れてしまい、出血点を流れる電流密度が下がり止血に必要な温度上昇が起きにくく、この点からも出血量が多くなるなどの欠点がある。
実用新案登録第3024981号公報
本願発明者は、上記問題点について、鋭意研究を重ね、少ない出血量で腎臓への血流遮断を行うことなく、かつ、腎部分切除術の切除面や出血部位に当てやすく、電流密度が下がりにくい電気メス電極を提供することを目的とする。
上記の目的に鑑み、本願請求項1に係る発明は、ソフト凝固を用いた腎手術用電気メス電極において、(1)小さな切開面から潜り込み可能な全体として細長形状で、(2)先端が平面視直線状刃先を有し、(3)前記刃先は、軸から刃先先端に向かって側面視先細に形成され、(4)刃先先端が厚みとがあり、腎内の出血点に広く当接する平坦面に形成され、(5)刃先から軸にいたる両側部は、前記直線状刃先と平面視同幅に形成され、かつ、両側面に突出がなく平坦形成されたことを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のソフト凝固を用いた腎手術用電気メス電極において、前記軸から刃先先端に向かって側面視先細に形成される刃先平坦部が、前記軸中心から外れた位置に形成されることを特徴とする。
本発明に係る電極形状によれば、次のような特有の効果を奏することができる。
(1)腎手術において出血量を低減することができる。
(2)出血量が低減されることから、これは腎正常組織や血管の損傷が少ないことを意味し、施術者の負担が軽減される。
(3)出血量を少なくすることができることから、腎手術における腎臓血流遮断を避けることができ、血流遮断に伴う腎機能障害を回避することができる。
(4)これは、これまでに実現できなかった理想的な腎部分切除術の実施が可能となることを意味する。
図1は、本実施例1に係る電気メス電極1の概略斜視図、 図2は、同平面概略図、 図3は、同横側面概略図、 図4は、前記刃先2方向から見た底面概略図、 図5は、本実施例1に係る電気メス電極1を用いて、腎手術を実施した際の出血量を示すグラフ図、 図6は、比較のため従来の円盤状電極を用いた腎手術の出血量を示すグラフ図、 図7は、実用新案登録第3024981号公報に図2として添付される同公報開示の考案の一実施形態に係る電気メスを高周波電流発生器およびハンドピースと共に示した説明図、 図8は、従来例として、例えば、アムコ社製イオアドバンス電極パドル型直タイプを電極をエルベ社製VIO300D型電気メス本体をソフト凝固モードで使用して腎手術を実施する際の概略図である。
本発明に係る電気メス電極を実施するための形態として一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係る電気メス電極を実施するための形態の一実施例である電気メス電極の実施例1を示す図であり、そのうち、図1は、本実施例1に係る電気メス電極1の概略斜視図であり、図2は、同平面概略図、図3は、同横側面概略図、図4は、前記刃先2方向から見た底面概略図である。
図1〜図4において、符号1は、本実施例1に係る電気メス電極、2は、刃先、2aは、刃先平坦面、2b、2cは、刃先両側面、3は、軸部、4は、接続ネジ部、5は、灌流口である。
本実施例1に係る電気メス電極1も前述のエルベ社製VIO300D型電気メス本体のソフト凝固モードで使用することを前提とする(出力80W、エフェクト7(最大電圧175Vp))。しかしながら、ソフト凝固モード仕様で使用できるものであるならば、エルベ社製VIO300D型電気メス本体に限定されるものではない。
図1〜図4から明らかなように、本実施例1に係る電気メス電極1は、第1に、全体として細長い形状である。これは、施術対象の腎臓は、上述するように長さ10〜12cm、幅5〜6cm、厚さ4cm程度の大きさのものであり、それ自体が小さく、また、ここに発症する通常最大径4cm程度の腫瘍等を切除するには、出血が起きないように、腎正常組織と腫瘍組織の境界部分を小さく切り開くことから行うのであるが、この最初の切開や腫瘍切除に際しては、多量の出血を避けるため小さな切開面(切除面)であることが望ましく、この小さな切開面(切除面)に容易に挿入できる全体として細く長い形状としたものである。
また、図1〜図4から明らかなように、第2に、本実施例1に係る電気メス電極1の電極先端である前記刃先2は、先端を平面視直線状とし、当該直線状の刃先に厚さを持たせた、いわゆる、刃先先端にの前記刃先平坦面2aを有する刃先2としたものである。これは、前述すように、小さく切り開いた切開面から腎内部に挿入せしめ、腫瘍等を切除するのであるが、挿入し、切除するに際しては、腎組織ではいたるところに出血のおそれのある糸球体や尿細管、血管が複雑に存在する。これらの器官が損傷されることによって出血が起きるのであり、これは速やかに止血する必要がある。
そこで、本実施例1に係る電気メス電極1を使用した止血は、前記刃先2から高い電流密度の電流を流して出血点の周囲の組織にジュール熱加熱して、タンパク変性を起こさせるソフト凝固を利用する止血である。しかしながら、腎出術は、小さな切開面(切除面)であり、かつ、複雑に配置されている糸球体や尿細管、血管の位置は明確ではなく、出血点を予想してジュール加熱を行うことは困難である。
そこで、本実施例1に係る電気メス電極1では、電極先端である前記刃先2は、先端に厚みを持たせて、この厚み幅の前記刃先平坦面2aを有する刃先2として形成したものである。すなわち、この所定の厚み幅の前記刃先平坦面2aとすることで、この所定の面積で構成される範囲に位置を予想できない出血点が当接されるようにしたものである。
面で構成される平坦な前記刃先平坦面2aに高い電流密度の電流が流され、この平坦な前記刃先平坦面2aには、出血点が当接する確率が高く,その分止血の効果を発揮させうるとするものである。
つまり、本実施例1に係る電気メス電極1は、腎手術において、小さな切開面(切除面)から容易に差し込めるような全体として細い形状であるにも拘わらず、挿入された先端には可能な限りの広さを有する前記刃先平坦面2aを設け、出血点に当接する確率を高めて止血の効果を得んとするものである。
さらに、図1〜図4から明らかなように、第3に、本実施例1に係る電気メス電極1の電極先端である前記刃先2は、平面視幅方向に所定長の直線状刃先形状であるにも拘わらず、さらに、側面視において、先が細く形成され(先細)、かつ、側面視において、刃先2の側面中心が前記軸部3の中心から外れて、平面視手前方向に若干の傾斜を有して形成される(図2においては、右方向傾斜)側面視偏平先細形状とした。
このような偏平先細形状は、後述するように腎正常組織と腫瘍組織等の異なる堅さの隙間に潜り込ませて,これらの組織のいわゆる鈍的剥離を容易にすると共に、刃先2の先端が先細となることから、その分この部分の電流密度を高く形成することができ、止血に効果的であるという特徴がある。
さらに、本実施例1に係る電気メス電極1の前記刃先2は、第4に、前記刃先2の両側部に出っ張りのない形状とした。すなわち、前記刃先2は、図1〜図4から明らかなように、前記刃先両側面2b、2cは、両側部に突出することなく先端の幅がそのまま前記刃先2の幅となる形状を構成する。このようにすることにより、当該刃先2の前記刃先両側面2b、2cは、側部として最小の面積とすることができ、当該側部に腎正常組織や腫瘍組織が当接したとしても、当該当接箇所からの電流漏れを最小に抑えることができる。これは、電流漏れが避けられることから、電流密度の低下が回避でき、その分、刃先2の先端の長方形面に電流密度を維持・集中させることができ、先端の長方形平坦面でのジュール熱加熱に効果的となる。
具体的には、本実施例1に係る電気メス電極1の刃先2の形状は、先端部において平面視幅方向に4mm程度の幅の直線状で、かつ、0.6mm程度の厚さからなる先端部で、この直線状の幅と厚さとで長方形状の前記刃先平坦面2aを構成する。そして、先端に所定幅の前記刃先平坦面2aを有し、軸方向に向かって厚みが大きくなり、いわゆる先端方向に向かって先細形状で、かつ、前記刃先両側面2b、2cは、先端は先幅と同じ幅(4mm幅)で途中に突出する出っ張りのなく、さらには、前記軸部3中心から1.25mm程度平面視手前方向に中心が寄せられた偏平先細形状であることが特徴である。
(止血のメカニズム)
本実施例1に係る電気メス電極1による出血点の止血のメカニズムについては、必ずしも解明されているとは言い難いが、おおよそ次のようなことではないかと推察される。
一般に人体組織における電気抵抗は、血液は細胞組織より電気抵抗は小さい。そこで、ソフト凝固モードで使用される本実施例1に係る電気メス電極1の前記刃先2が出血血液に当接すると高い密度で電流が流れ、ここに発生するジュール熱で、その出血部分の周囲の組織をタンパク変性させて止血を実現することとなる。ソフト凝固モードは放電がないために、必ず出血点に電極が接していなければならない。
なお、出血点周囲に多量の血液が存在する場合には、凝固した血液が炭化して電極遠端に付着することになり止血の効果が得られないことが生じるが、これを回避するため前記灌流口5を介して電極先端から生理食塩水を流し、余分な血液と共に外部に吸引する。
そして、腎手術においては、出血点は切り開いた組織の奥にあり、止血のためには、切り開いた奥に位置する出血点に正確に前記刃先2を当てる必要がある。
このとき、腎組織には多少の弾力もあるので、従来の円盤状の電極の場合には、切り開いた奥に触れる部分が電極先端の中心の「一点」に近い狭い範囲でしか当接しないこととなるが、刃先2の先端が長方形の平坦面を有する本実施例1に係る電気メス電極1においては、所定の広さの面のどこかで出血点に当接することとなり、高い確率で出血点に当接することができる。また、面による当接を可能としたことにより、面での当接を可能とした分、広い範囲の止血を可能にすることができることとなる。
これは、従来の円盤状の電極が、切開箇所に対し、円盤円周の一点で当接されることとから当接範囲が狭く、出血点に当接することが難しかったが、本実施例1に係る電気メス電極1の電極1によれば、所定の広さの平坦な面での当接を可能とする先端を平坦面形状としたことにより、この面の範囲内であれば、どこに出血点が位置しようが、当接を可能として、出血を可能としたものである。
すなわち、刃先2の先端面積が小さくても正確に出血点に当接できれば止血は可能ということができるが、あまりに小さな先端面積では、出血点に正確に当接することは難しいし、また、電気メス本体の出力条件にもよるが、当接面の電流密度が上がりすぎることにもなりかねず、過剰な電流密度は、当接箇所の組織の蒸散爆発を誘引し、当該組織が切開され,かえって出血を引き起こすことにもなりかねない。
そこで、長さ10〜12cm、幅5〜6cm、厚さ4cm程度の大きさを有する腎出術において、しかも、小さな切開としなければならない腎手術においては、小さな切開箇所に適合する細長い刃先を有すると共に、切開箇所の奥に存在し、正確な位置がつかめない切開箇所の奥深くの出血点に当接させるためには、全体として細長い形状と共にその刃先先端をある程度の広さを有する平坦面とすることは、本実施例1に係る電気メス電極1の最も重要な点である。
(腎正常組織と腫瘍組織の隔離メカニズム)
なお、腫瘍組織は、血管や尿路を構成する腎正常組織とは異なる堅さの被膜で覆われているため、この異なる堅さを利用して、腎正常部分と腫瘍組織との間に先細形状の前記刃先2を滑り込ませ、腎正常部分と腫瘍組織とを押すようにして引き離す、いわゆる鈍的剥離によって分離する。この鈍的剥離を可能とし、正常組織の損傷を防ぐために、前記刃先2をある先細で所定の厚みのある所定長の直線状の刃先形状、すなわち、四角い形状としたものである。このため、本実施例1に係る電気メス電極1の前記刃先2の先細形状は、図3に示すように、側面視において、前記軸部3の部分で2.5mmの太さを徐々に捕捉して、その付け根に部分で1.6mmの厚さとし、さらに、この厚さから先端までの4mmの長さにおいて、先端0.6mm厚で形成される先細傾斜を形成した。
腎臓の腫瘍摘出手術においては、上述してきた腎正常組織と腫瘍組織との間の皮膜の堅さの異なりを勘案すれば、前記刃先2の当該先細傾斜角度及び先端0.6mm厚は、前記鈍的剥離の操作に際して最適な傾斜角度及び先端厚さと言える。
なお、本実施例1に係る電気メス電極1においては、前記刃先2を側面視若干の傾斜を有して形成される(図3においては、右方向傾斜)所定の厚さの刃先2の形状とした。これは、施術者の手術のやりやすさのためであり、必ずしも必須の構成のものではない。傾斜のない電気メス電極の方が使いやすい、あるいは、慣れているというのであれば、傾斜のない直状型であっても良いし、また、より大きな傾斜の電極が使いやすいというのであれば、大きな傾斜の電極であっても良い。
なお、電極の全長についても限定されるものではないが、本実施例1に係る電気メス電極1においては、前記刃先2は、長さ方向に4mm程度の長さとし、この刃先2が6mm程度の前記軸部3に連なり、さらに、同6mm程度の前記接続ネジ部に連なる形状からなる。また、材質としては、電流密度低下を引き起こさない材質であれば限定されるものではないが、例えば、薬品腐食等を考慮してステンレス鋼等が使用される。
(腎手術における止血検証)
図5は、本実施例1に係る電気メス電極1を用いて、腎手術を実施した際の出血量を示すグラフ図である。横軸に出血量(ミリリットル)、縦軸に手術件数を示している。
図5及び図6に示す出血量検証は、エルベ社製VIO300D型電気メス本体を使用し、それぞれ図1に示す本実施例1に係る電気メス電極1及び図8に示すアムコ社製イオアドバンス電極パドル型直タイプの電気メス電極を装着して腎手術を行い、それぞれ出血量を測定した。本測定においては、前記エルベ社製VIO300D型電気メス本体を出力80Wでエフェクト7のソフト凝固モードで使用した。つまり、裁断出力電圧80W、エフェクト7では、最大電圧(ピーク電圧)は176V以上には上がらないようにな設定である。
このような設定下で腎出術を行い、それぞれ出血量を測定した。
図5に示すように、本実施例1に係る電気メス電極1を用いた腎手術では、手術件数4件において、30〜100ml(ミリリットル)、平均76ml(ミリリットル)の出血量があった。
図6は、比較のため従来の円盤状電極を用いた腎手術の出血量を示すグラフ図である。図5と同様に、横軸に出血量(ミリリットル)、縦軸に手術件数を示している。
図6に示す従来の円盤状電極を用いた腎手術においては、手術件数6件において、105〜350ml(ミリリットル),平均195ml(ミリリットル)の出血量があった。
図5、図6から明らかなように、本実施例1に係る電気メス電極1を用いた腎手術では、明らかに出血量が低減され、術中の止血が行われていることが知りうる。
したがって、このことは、腎手術において、出血量が低減されることから、これは腎正常組織や血管の損傷が低減されていることを意味し、施術者だけでなく患者の負担が軽減される。加えて、腎臓血流遮断を避けた腎手術ができるので、血流遮断に伴う腎機能障害を回避することができ、また、これは、手術時間を短くすることができ、これは、理想的な腎部分切除術の実施が可能となることを意味する。
本発明は、腎腫瘍切除等の手術に使用される。
1 電気メス電極
2 刃先
2a 刃先平坦面
2b、2c 刃先両側面
3 軸部
4 接続ネジ部
5 灌流口
101 電気メス
102 シャンク
103 メス先電極
104 止血用電極部
104a 止血用電極部104の突出端
105 高周波電流発生器
106 ハンドピース
107 外箱
108 出力調整用の摘み
109 接続口
110 ハンドピースの主体
110a 主体110の先端小径部
111 チャック
111a おねじ部
111b 管状の把持部
112 コード
113 端子
114 チャックカバー
115 電源切替スイッチ
201 電気メス電極
202 円盤状刃先
203 シャフト
204 灌流口

Claims (2)

  1. (1)小さな切開面から潜り込み可能な全体として細長形状で、
    (2)先端が平面視直線状刃先を有し、
    (3)前記刃先は、軸から刃先先端に向かって側面視先細に形成され、
    (4)刃先先端が厚みとがあり、腎内の出血点に広く当接する平坦面に形成され、
    (5)刃先から軸にいたる両側部は、前記直線状刃先と平面視同幅に形成され、かつ、両側面に突出がなく平坦形成されたことを特徴とするソフト凝固を用いた腎手術用電気メス電極
  2. 前記軸から刃先先端に向かって側面視先細に形成される刃先平坦部が、前記軸中心から外れた位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載のソフト凝固を用いた腎手術用電気メス電極。
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