JP5647225B2 - 共集合法及びそれにより形成された共集合化構造体 - Google Patents

共集合法及びそれにより形成された共集合化構造体 Download PDF

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Description

本発明の分野
本発明は、共集合法及びそれにより形成された共集合化構造体に関する。
本発明の背景
無機粒子は、将来的にナノテクノロジーにおいて重要な役割を担うと予想されている。鉱物又は無機合成は、特に、「ソフト化学(soft chemistry)」の開発及び水性媒体の合成溶媒としての体系的利用に関して、去年1年間で進化した。今では、ナノメートル長(すなわち、10nmの範囲の典型的な寸法)の粒子が、金及び白金を含む多くの金属、並びに酸化セリウム、酸化チタン及び酸化鉄を含む金属酸化物に利用できる。しかし、サブマイクロメートル範囲(すなわち、約20nm〜約1000nmの範囲)の安定な粒子を確実に製造することに関しては実質的に困難なままである。このサブマイクロメートル寸法範囲は、化学機械研磨、抗UVフィルター、及び/ナノ複合体強化を含む多くの用途について興味深い。今では、単純かつ安価な態様でサブマイクロメートル寸法範囲内の無機コロイドを提供することにより、この不足を補う必要がある。
構成要素に無機ナノ粒子を使用するか、又はそれらのポリマーとの共集合の可能性が、コロイド及びコロイド上(supracolloidal)集合体の設計及び製造のために、A.K.Boal、F.llhan、J.E.DeRouchey、T.Thurn−Albrecht、TP.Russell及びV.M.Rotelloの「Self−assembly of nanoparticles into structured spherical and network aggregates,Nature 404,746−748(2000)」で認められており、そしてナノ粒子の制御されたクラスター化のための技術が、J.F.Berret、N.Schonbeck、F.Gazeau、D.El Kharrat、O.Sandre、A.Vacher及びM.Airiauの「Controlled clustering of superparamagnetic nanoparticles using block copolymers: Design of new contrast agents for magnetic resonance imaging,Journal of the American Chemical Society 128,1755−1761 (2006)」と、J.F.Berret、A.Sehgal、M.Morvan、O.Sandre、A.Vacher及びM.Airiauの「Stable oxide nanoparticle clusters obtained by complexation, Journal of Colloid and Interface Science 303,315−318(2006)」で認められている。
「Rare Earth Aggregate Formulation Using D−Block Copolymers」に関する米国特許出願公開第2005176863号明細書、及び「Aqueous Dispersion of Hybrid Coacervates Delivering Specific Properties Onto Solid Surfaces and Comprising Inorganic Solid Particles and a Copolymer」に関する国際公開第2008008354号パンフレットには、相反して荷電した複数のナノ粒子とブロックコポリマーを混合することによりナノ粒子クラスターを製造する方法がそれぞれ記述されている。
G.Decherの「Fuzzy Nanoassernblies: Toward Layered Polymeric Multicomposites,Science 277,1232−1237(1997)」と、F.Caruso、R.A.Caruso及びH.Mohwaldの「Nanoengineering of Organic and Hybrid Hollow Spheres by Colloidal Templating,Science 282,1111−1114(1998)」とでは、多価電解質層が、相反して荷電した複数の多価電解質から構成されており、相反して荷電した複数の多価電解質が交互に並んだ層の堆積した集合体を含むものが、N.Laugel、C.Betscha、M.Winterhalter、J.−C.Voegel、P.Schaaf及びV.Ballの「Relationship between the Growth Regime of Polyelectrolyte Multilayers and the Polyanion/Polycation Complexation Enthalpy,J.Phys.Chem.B110,19443−19449(2006)」に記述されている。
本発明の概要
第一の態様では、本発明は:
(a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
(b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
(c)これらの多価電解質の共集合を防ぐのに有効な濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質、
を含む水性多価電解質組成物中で、
(1)該電解質の濃度を減少させる工程、又は
(2)該水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面との間に界面を形成する工程であって、該表面はそれらの多価電解質の少なくとも一方に親和性を有する工程、又は
(3)工程(1)及び(2)
により、これらの多価電解質を共集合させる工程を含む共集合法に関する。
一実施形態では、前記第一及び第二の多価電解質は、個別の多価電解質有機巨大分子をそれぞれ含む。
別の実施形態では、前記第一及び第二の多価電解質は、個別のナノスケール多価電解質無機粒子をそれぞれ含む。
別の実施形態では、一方の多価電解質は、ナノスケール多価電解質無機粒子を含み、他方の多価電解質は、多価電解質有機巨大分子を含む。
一実施形態では、前記水性多価電解質組成物は、第一及び第二の多価電解質に加えて、少なくとも1つの追加の多価電解質をさらに含み、該追加の多価電解質の各々は、前記第一の極性又は第二の極性の正味の電荷を有しており、前記電解質は、第一、第二及び追加の多価電解質の共集合を防ぐのに有効な濃度で前記水性多価電解質組成物に溶解しており、そして前記溶解した電解質の濃度を減少させる工程は、第一、第二及び追加の多価電解質を共集合させる。
本発明の方法は、前記複数の多価電解質を含む構造体の制御された形成及び成長を可能にする。
一実施形態では、複数の多価電解質の共集合によって、バルク水性多価電解質組成物中に、分離したサブマイクロメートル多価電解質クラスターが形成される。
別の実施形態では、本方法は、前記水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面との間に界面を形成する工程(2)を含み、そして複数の多価電解質の共集合は、その界面で多価電解質層を形成する。
一実施形態では、水性多価電解質組成物と固体基材の表面との界面及び前記多価電解質層は、該固体基材の表面の少なくとも一部分上に配置されている。
第二の態様では、本発明は:
(a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
(b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
(c)これらの多価電解質の共集合を防ぐのに有効な濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質
を含む水性多価電解質組成物に関する。
酸化鉄ナノ粒子クラスター及びロッドの製造のための本願の実施例1に使用された手順を示すフローチャートである。 ナノ粒子クラスターの酸化鉄及び酸化セリウム分散体を撮影した透過電子顕微鏡写真である。 外部に掛けられた磁場の下で成長した酸化鉄クラスターの透過電子顕微鏡写真である。 c=0.1%でのMAPTAC+PSS(50/50=質量/質量)系のためのイオン強度lnt=f(I)及びDh=f(I)による散乱強度及び流体力学直径変化を示す図である。Is=2.85Mは、バルク中の2つの多価電解質間の静電相互作用が消える臨界イオン強度である。 c=0.1%でのMAPTAC+PSS(50/50=質量/質量)のシリカ表面への吸着の短時間(各イオン強度ごとに30分未満)でのQCM実験を示す図である。イオン強度は、脱イオン水又は飽和塩化ナトリウム溶液を追加することにより逆になった。 c=0.1%でのMAPTAC+PSS(50/50=質量/質量)のシリカ表面への吸着の長時間(20時間を超える)でのQCM実験を示す図である。イオン強度は、脱イオン水又は飽和塩化ナトリウム溶液を追加することにより逆になった。 異なる[NHCl]の存在下のシリカ表面へのCeO−PAA+PDLAC(X=1 c=0.1%)吸着のQCMデータを示す図である。
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合には、異極性の2つの多価電解質に関して、用語「共集合」は、それら2つの多価電解質を組み合わせて含む凝集化多価電解質構造体を形成するためのそれらの多価電解質の引力会合を示す。一実施形態では、それらの多価電解質の共集合は、分離した多価電解質クラスターを形成する。別の実施形態では、それらの多価電解質の共集合は、多価電解質層又はフィルムを形成する。一実施形態では、多価電解質構造は、複数の電解質巨大分子の混合物を含む。別の実施形態では、多価電解質構造は、多価電解質無機粒子と多価電解質有機巨大分子の混合物を含む。
本明細書で使用される場合には、多価電解質構造に関する用語「ハイブリッド」は、多価電解質無機粒子及び多価電解質有機巨大分子を組み合わせて含む構造のように、その構造が、少なくとも2つの異なる種類の多価電解質を含むことを意味する。
本明細書で使用される場合には、用語「電荷」は、負電荷の場合には電子の過剰又は高い相対密度から、正電荷の場合には電子の不足又は低い相対密度から、発生した電気的不均衡を意味し、いずれの場合も所定の基準系内における陽子の数又は密度と比較される。
本明細書で使用される場合には、表面、ポリマー、又は粒子などの物体に関して、用語「正味の電荷」は、その物体の関連する界面(典型的には、その物体の外面)で正負電荷の全てを合計することにより得られた結果を意味する。物体の正味の電荷は、粒子又はポリマー分子の場合には粒子又はポリマー分子のゼータ電位を、又は表面の場合には表面の流動電位を、それぞれ大学博士Robert J.Hunteによる「Zeta Potential in Colloid science」(Colloid sciences Series),New Ed edition (January 1989) pp.59−129に記述されているものなどの既知の方法に従って測定することにより定量化されることができる。
電荷に関して本明細書で使用されるとき、用語「極性」は、特定の状態、つまり電荷の「正」又は「負」を意味する。
多くの場合には、正味の電荷の極性は、物体の関連する界面上のカチオン性及びアニオン性部位の相対量の定性的評価に基づいて、正味の電荷を計算又は測定することなく、確実に予想されることができる。例えば、アニオン性部位が優位な表面の正味の電荷の極性は、負であろう。同様に、カチオン性部位の優位な表面の正味の電荷の極性は、正であろう。
本明細書で使用される場合には、第二の正味の電荷の極性が、第一の正味の電荷の極性の「反対」であるという表示は、個々の正味の電荷の一方の極性が負であり、他方の正味の電荷の極性が正であることを意味する。
A. 水性媒体
水性多価電解質組成物は水性媒体を含む。典型的には、水性媒体は、少なくとも40質量パーセント(「質量%」)、より典型的には少なくとも50質量%の水、さらに典型的には少なくとも60質量%の水を含む。一実施形態では、水性媒体は基本的に水から成る。所望により、水性媒体は、1つ以上の水混和性有機液体、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、(C〜C)アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなど)、及びジオール(例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコールなど)などをさらに含んでよい。
一実施形態では、水性媒体は、そのような水性媒体の100質量部を基準として、約0〜約100質量部、より典型的には約40〜約100質量部、さらに典型的には約50〜約100質量部の水、及び0〜約90質量部、より典型的には0〜約60質量部、さらに典型的には約0〜約50質量部の1つ以上の水混和性有機液体を含む。
B. 多価電解質 本明細書では、用語「多価電解質」及び「多価電解質の」とは、それぞれ、1つの物体当たり2以上、より典型的には3以上、さらに典型的には4以上の電解質部位を有する物体をいう。本明細書では、用語「電解質部位」は、例えば、ヒドロキシル基又は四級アンモニウム基などの、イオン種を与えるために関連する条件下において水中で解離する化学置換基を意味する。適切な物体としては、無機粒子及び有機巨大分子が挙げられる。一実施形態では、第一及び第二の多価電解質は、それぞれ独立して、1粒子当たり複数の電解質部位をそれぞれ有する多価電解質ナノスケール無機粒子、及び1分子当たり複数の電解質部位をそれぞれ有する多価電解質有機巨大分子、及びそれらの混合物から成る群から選択される。いずれの場合にも、多価電解質は水分散性である。本明細書では、用語「水分散性」は、水に溶解させられることができるか、又は不水溶性物体の場合には水中で安定な又は実質的に安定な分散体(例えばコロイド分散液など)を形成できることを意味する。
B.1. ナノスケール多価電解質無機粒子
適切な多価電解質ナノスケール無機粒子は、約1000ナノメートル(nm)以下の平均特性最大寸法を有する、非晶質粒子並びに球、ロッド、針及び管などの成形粒子を含む任意の巨視的形態の多価電解質ナノスケール無機粒子である。例えば、球状粒子の直径又はロッド状粒子の長さなどの所定の種類の粒子の特性最大寸法は、既知の手段(例えば、原子力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、又は透過電子顕微鏡写真)により特性化されることができる。液体媒体中の所定の種類の粒子又は所定の巨大分子の特性最大寸法は、既知の手段(例えば、静的及び/又は動的光散乱測定など)により特性化されることができる。
本明細書で使用される場合には、用語「サブマイクロメートル」は、物体が1μm未満の特性最大寸法を有することを意味する。
本明細書で使用される場合には、物体に関する用語「ナノスケール」は、そのような物体の特性最大寸法が、最高でもサブマイクロメートル、より典型的には約1〜約100ナノメートル(nm)、さらに典型的には約1〜約50nm、さらに典型的には約1〜約20nmであることを意味する。
適切な無機粒子としては、金属粒子、半導体粒子、及び金属酸化物粒子が挙げられる。
一実施形態では、無機粒子は金属粒子を含む。適切な金属粒子としては、例えば、金又は白金粒子が挙げられる。
一実施形態では、無機粒子は粒子半導体材料を含む。適切な半導体材料としては、例えば、ケイ素、炭化ケイ素、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウム、リン化インジウム、ヒ化アンチモン化インジウム、アルミニウム−ガリウムヒ化窒化物、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、硫化鉛、又は水銀亜鉛テルル化物粒子が挙げられる。
一実施形態では、無機粒子は、「量子ドット」、つまり、電子を3次元ポテンシャル井戸に閉じ込める半導体材料のナノスケール粒子を含む。量子ドットは、例えば、「量子閉じ込め」の現象、つまり、量子ドット粒子の体積内での励起子の閉じ込めによる発光などの興味深い性質を示す(例えば、Reed,Mark Sの「Quantum Dots」、Scientific American,pp.118−123 (1993年1月)、及びGuyot−Sionnest,Philippeの「Quantum Dots: A New Quantum State?」、Nature Materials、Vol.4,pp.653−654 (2005年9月)を参照されたい。)。
一実施形態では、ナノスケール無機粒子は無機酸化物を含む。適切な無機酸化物としては、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン及び酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化インジウム、及び酸化スズ、酸化鉄、シリカ、及びそのような酸化物の混合物などの単一元素の酸化物;並びにそのような元素の混合物の酸化物(セリウム−ジルコニウム酸化物など)が挙げられる。一実施形態では、無機酸化物は、酸化鉄、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウムから選択される。
適切な無機粒子は、既知の手段により形成されることができる。例えば、ゾル−ゲル技術、水添による金属アルコキシドの直接加水分解、金属塩の強制加水分解、又は金属アルコキシドと金属ハロゲン化物との反応などのような適切な無機酸化物粒子の製造方法が知られている。一実施形態では、ナノスケールの無機酸化物粒子は、1994年5月3日に発行されたJean−Yves Chang−Chingの「Preparing a Dispersible, Sol−Forming Cerium (IV) Composition」に関する米国特許第5,308,548号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に援用される。)に記述されているように、セリウム塩の沈殿により形成される。適切な酸化鉄ナノスケール粒子の製造方法も知られている(「Massart,R.C.R. Acad.Sci.(パリ) 1980,291,1−3」、及び「Bee,A.;Massart,R.; Neveu,S.J.Magn.Magn.Mat.1995、149、6−9」を参照されたい。)。
多価電解質ナノスケール無機粒子は、例えば、結合又は吸収された無機イオン(例えば、金属イオン、硝酸塩イオンなど)の存在のために、多価電解質そのものでよく、又は、例えば、イオン性有機化合物(例えば、アクリル酸、ポリアクリル酸、又はクエン酸)でナノスケール無機粒子の外面を処理して、ナノスケール粒子の外面上にイオン性有機置換基を形成することにより、多価電解質になってもよい。適切な表面処理技術が知られている(例えば、Sehgal,A.、Lalatonne,Y.、Berret,J−F及びMorvan,M.の「Langmuir 21,pp.9359−9364(2005)」を参照されたい。)。
一実施形態では、多価電解質ナノスケール無機粒子は、帯電及び/又は流体静力により安定化されており、かつpH、イオン強度、及び濃度の摂動による不安定化を受け易い水性「ゾル」又はコロイド分散液の形態で入手可能である。
一実施形態では、ナノスケール無機粒子の水性コロイド分散液は、ゾルの全質量を基準として、0を超えて約10質量%まで、より典型的には約0.01〜約5質量%、さらに典型的には約0.01〜約1.0質量%のナノスケール無機酸化物粒子を含む。
B.2. 多価電解質有機巨大分子
本明細書で使用される場合には、用語「巨大分子」は、比較的高い分子量の分子(その構造は、比較的低い分子量の分子から実際に又は概念的に誘導された複数の構成単位を含む)を意味する。多くの場合には、分子の1個〜数個の構成単位を追加又は除去しても、分子の性質にごく僅かな影響しか与えないのであれば、分子は、比較的高い分子量を有すると見なすことができる。
適切な多価電解質有機巨大分子としては、天然ポリマー(例えば、バイオポリマーなど)、及び合成ポリマーが挙げられる。
多価電解質巨大分子は、水溶性多価電解質巨大分子並びに不水溶性多価電解質巨大分子を含む任意の水分散性多価電解質巨大分子でよい。ただし、そのような不水溶性多価電解質巨大分子は、例えばコロイド分散体の形態などのように、水分散性である。
一実施形態では、多価電解質有機巨大分子は、炭水化物巨大分子、タンパク質複合体(例えば、金属タンパク質、リポタンパク質、及び糖タンパク質など)を含むタンパク質巨大分子、並びに核酸巨大分子(例えば、DNA、RNA、及びそれらのフラグメントなど)、並びにウィルス巨大分子、並びにそれらの任意の混合物から成る群から選択される。
一実施形態では、多価電解質有機巨大分子は、合成ポリマーを含む。
適切な合成ポリマーとしては、ホモポリマー(つまり、1種類のモノマーに由来するポリマー)、及びコポリマー(つまり、1種類を超えるモノマーに由来するポリマー)が挙げられ、いずれの場合にも、用語「モノマー」は、複数の構成単位をポリマーにする重合を受けることができる分子を意味し、そして用語「モノマーの種類」は、関連ポリマーの構成単位が実際に誘導されるモノマー、又は「仮想モノマー」、すなわち、関連ポリマーの構成単位が概念的に誘導されることができる概念的なモノマーを意味する。適切な合成コポリマーとしては、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマー、及びブロックコポリマーが挙げられる。
適切な合成ポリマーとしては、線状ポリマー及び非線状ポリマーが挙げられる。非線状ポリマーとしては、例えば、分岐鎖ポリマー、くし型ポリマー、星型ポリマー、樹枝状ポリマー、はしご型ポリマー、及びスピロポリマー、並びに架橋されたポリマー網目が挙げられる。
一実施形態では、多価電解質有機巨大分子は、1つ以上の合成ホモポリマーを含み、それらの各々が、単量体単位(それぞれが、電解質基、典型的にはイオン性置換基、すなわちカチオン性置換基又はアニオン性置換基を有する)から成るホモポリマーである。一実施形態では、ポリマーは、1つ以上のポリカチオン性ホモポリマーを含み、それらの各々が、カチオン性単量体単位(それぞれが、カチオン性置換基を有する)から成るホモポリマーである。一実施形態では、ポリマーは、1つ以上のポリアニオン性ホモポリマーを含み、それらの各々が、アニオン性単量体単位(それぞれが、アニオン性置換基を有する)から成るホモポリマーである。
一実施形態では、多価電解質有機巨大分子は、電荷を帯びている部分及び電気的に中性な部分を含む1つ以上のコポリマーを含む。一実施形態では、ポリマーは、1つ以上のポリカチオン性コポリマーを含み、それらの各々は、カチオン性単量体単位(それぞれがカチオン性置換基を有する)及び中性単量体単位を含むコポリマーである。一実施形態では、そのポリマーは、1つ以上のポリアニオン性コポリマーを含み、それらの各々は、アニオン性単量体単位(それぞれがアニオン性置換基を有する)及び中性単量体単位を含むコポリマーである。典型的には、コポリマーの極性部位は、水性媒体中でイオン化して、コポリマー上に帯電した部位を形成するイオン性置換基である。
一実施形態では、合成ポリマーは、幾つかの配列でお互いと結合している少なくとも2つの異なる種類のポリマーセグメント(「ブロック」)を含むコポリマーである。それらのブロックは、典型的には、異なる複数のモノマーに由来している結果として、ブロックのそれぞれが他のブロックに存在していない少なくとも1つの特徴を有する構成単位を含むという点で異なる。
一実施形態では、コポリマーは、少なくとも2種類のブロック(便宜上「A」ブロック及び「B」ブロックとして示す)を含むブロックコポリマーである。一実施形態では、そのようなブロックのそれぞれが、単一種のモノマーに由来する。所望により、各ブロックは、それ自体がコポリマーでよく、つまり、1種類を超えるモノマーに由来していてよい。コポリマーブロックは、所望により、所定のブロック内では構成単位の特定の配列(例えば、ランダム、交互、組成勾配)を示してよい。
ブロックコポリマーのブロックは、異なる配列でお互いと結合していてよい。一実施形態では、合成ポリマーは、端部相互間で結合しているAブロック及びBブロックを含む直鎖「ジブロック」コポリマーである。一実施形態では、合成ポリマーは、例えば、骨格及び側鎖を含むくし型コポリマー又はグラフトコポリマー(Aブロックは骨格に対応し、Bブロックは側鎖に対応するか、又はその逆である)などの非線状ブロックコポリマーである。
一実施形態では、ブロックコポリマーのAブロックは、水性多価電解質組成物のpH条件では多価電解質(ポリアニオン性又はポリカチオン性)である。それは、AブロックがそのpHにかかわらずイオン性(アニオン性又はカチオン性)構成単位を含むか、又はAブロックが、配合物のpHに応じて中性又はイオン性(アニオン性若しくはカチオン性)でよい個別の単位を含む(つまり、それらのユニットは潜在的にイオン性である)ことを意味する。組成物のpHに応じて中性又はイオン性(アニオン性若しくはカチオン性)でよい構成単位は、以下では、イオン性単位(アニオン性若しくはカチオン性)、又はイオン性(アニオン性若しくはカチオン性)モノマーに由来する単位という場合があり、いずれも中性形態又はイオン性形態(アニオン性若しくはカチオン性)である。
適切なブロックコポリマーは、米国特許出願公開第2005/0176863号明細書及び2006年1月6日に出願された米国特許出願第11/445,115号、米国特許第6933340号明細書(両方の出願及び特許も参照により本明細書に援用される)に記述されている。
一実施形態では、ホモポリマー又はコポリマーの多価電解質部分は、ポリカチオン性であり、かつカチオン性モノマー由来の構成単位を含む。幾つかの好ましいカチオン性モノマーは、式−NR {式中、Rは、同一であるか、又は異なっており、水素原子、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は所望によりヒドロキシル基を担持しているベンジル基を表す}のアンモニウム基を含み、かつアニオン(対イオン)を含んでよい。アニオンの例は、クロリド及びブロミド、スルフェート、ヒドロスルフェート、(例えば、1〜6個の炭素原子を含む)アルキルスルフェート、ホスフェート、キトレート、ホルメート及びアセテートなどのハロゲン化物である。
適切なカチオン性モノマーとしては、例えば:
アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、特に(メタ)アクリレートを含むモノマー、少なくとも1つの二級、三級又は四級アミン価を含む(メタ)アクリルアミド誘導体、又は窒素原子、ビニルアミン若しくはエチレンイミンを含む複素環式基;
ジアリルジアルキルアンモニウム塩;並びに
それらの混合物、それらの塩、及びそれらに由来するマクロモノマー
が挙げられる。
カチオン性モノマーの特定の例としては:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオブチルアミノエチル(メタ)アクリレート(ditertiobutylaminoethyl(meth)acrylate)、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;
エチレンイミン、ビニルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン;
トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルスルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド(ただし、2−(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMS、又はパダムクァト(Padamquat)とも呼ぶ)クロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(ただし、2−(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMS、又はPadamquatとも呼ぶ)メチルスルフェート、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、下記式を有するモノマーが挙げられる:
Figure 0005647225
{式中、
は、水素原子又はメチル若しくはエチル基であり;
、R、R、R及びRは、同一であるか、又は異なっており、直鎖又は分岐鎖C〜C、好ましくはC〜Cの、アルキル、ヒドロキシアルキル若しくはアミノアルキル基であり;
mは、1〜10、例えば1の整数であり;
nは、1〜6、好ましくは2〜4の整数であり;
Zは、−C(O)O−又は−C(O)NH−基又は酸素原子を表し;
Aは、(CH基を表し、pは、1〜6、好ましくは2〜4の整数であり;
Bは、直鎖又は分岐鎖C〜C12、有利にはC〜Cの、ポリメチレン鎖(所望により、1つ以上のヘテロ原子又はへテロ基、特に、O若しくはNHを介しており、所望により、1つ以上のヒドロキシル若しくはアミノ基、好ましくはヒドロキシル基で置換されている)を表し;及び
Xは、同一であるか、又は異なっており、対イオン、及びそれらの混合物、及びそれらに由来するマクロモノマーを表す}
本発明の別の実施形態では、ホモポリマー又はコポリマーの多価電解質部分は、ポリアニオン性であり、そしてアニオン性モノマー由来の構成単位を含む。適切なアニオン性モノマーとしては、例えば:
ホスフェート又はホスホネート基を含むα−エチレン性不飽和モノマー、
α−エチレン性不飽和モノカルボン酸、
α−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、
α−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルアミド、
スルホン酸基を含むα−エチレン性不飽和化合物、及びスルホン酸基を含むα−エチレン性不飽和化合物の塩
が挙げられる。
一実施形態では、ポリマーのアニオン性単量体単位は:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の塩、メタクリル酸の塩、
ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、
ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、
2−スルホエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレートの塩、
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、並びに
スチレンスルホナート(SS)、及びSSの塩から成る群から選択される1つ以上のアニオン性モノマーに由来する。
コポリマーの非多価電解質部分は、配合物のpH条件では中性であり、そのpHであるならば中性のままである中性モノマーに由来する構成単位を含む。適切な中性モノマーとしては、例えば:
アルキルオキシド、例えばエチレンオキシド、及びプロピレンオキシドなど、
アクリルアミド、メタクリルアミド、
α−エチレン性不飽和(好ましくは、モノ−α−エチレン性不飽和)モノカルボン酸のアミド、
α−エチレン性不飽和(好ましくは、モノ−α−エチレン性不飽和)モノカルボン酸のエステル、例えば、アルキルエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐プロピルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n‐プロピルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレートなど)、若しくはヒドロキシアルキルエステル(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートなど)、
ポリエチレン及び/又はポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわち、ポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシ化(メタ)アクリル酸)、
ビニルアルコール、
ビニルピロリドン、
酢酸ビニル、
バーサチック酸ビニル、
ビニルニトリル(好ましくは、3〜12個の炭素原子を含む)、
アクリロニトリル、
ビニルアミンアミド、
スチレンなどのビニル芳香族化合物、並びに
それらの混合物
が挙げられる。
一実施形態では、多価電解質ポリマーは、例えば、ポリ(トリメチルアンモニウムエチルアクリレートメチルスルフェート)ホモポリマーなどのポリカチオン性ホモポリマーを含む。
一実施形態では、多価電解質ポリマーは、カチオン性ブロック及び中性ブロックを有するブロックコポリマー、例えば、ポリ(トリメチルアンモニウムエチルアクリレートメチルスルフェート)−b−ポリ(アクリルアミド)ブロックコポリマーなどである。
一実施形態では、多価電解質ポリマーは、例えば、ポリ(スチレンスルホナート)ホモポリマーなどのポリアニオン性ホモポリマーを含む。
一実施形態では、多価電解質ポリマーは、アニオン性ブロック及び中性ブロックを有するブロックコポリマー、例えば、ポリ(スチレンスルホナート)−b−ポリ(アクリルアミド)ブロックコポリマーなどである。
正味の正極性(すなわち、コポリマーの帯電単位の大部分がカチオン性置換基を含む)を有するコポリマーは、所望により、アニオン性置換基を含むコポリマーの帯電単位を僅かな部分として含んでよい。
正味の負極性(すなわち、コポリマーの帯電単位の大部分がアニオン性置換基を含む)を有するコポリマーは、所望により、カチオン性置換基を含むコポリマーの帯電単位を僅かな部分として含んでよい。
水性体のpH条件下で溶解するポリマーの電解質部分は、通常、水溶性と考えられる。したがって、部分Aは、通常、水溶性と考えられる。本発明の好ましい実施形態では、ポリマーの部分Bは、水溶性、又は親水性である。ある部分の水溶性とは、その部分が、他の単数又は複数の部分を有することはないであろうという水溶性、つまり、同一繰り返し単位から成り、かつその部分として同一分子量を有するポリマーの水溶性をいう。一実施形態では、水溶性ポリマーは、20℃〜30℃の温度、約0.01質量%の濃度で、水中において肉眼的に相分離しないものである。一実施形態では、水溶性ポリマーは、20℃〜30℃の温度、約1.0質量%以下の濃度で、水中において肉眼的に相分離しない。
一実施形態では、コポリマーは、例えば、Schmolkaの「J.Am.Oil Chem.Soc.1977,54,110」;又はWilczek−Veraetらの「Macromolecules 1996,29,4036」に記述されているような2つのモノマーの逐次付加を伴うアニオン性重合により形成される。使用されることができる別の方法は、例えば、Katayose及びKataokaの「Proc.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Materials,1996,23,899」に記述されているように、別の部分ポリマーの末端のそれぞれで、部分ポリマーの重合を開始することにある。
一実施形態では、コポリマーは、Quirk及びLeeにより定義されているようなリビング又は制御重合により形成される(Polymer International 27,359(1992))。確かに、この特定の方法は、限られた分散性を有し、かつそれらの部分の長さ及び組成が化学量論及び一定の転化率により制御されているポリマーの調製を可能にする。この種類の重合との関連で、より詳細には、任意のいわゆるリビング又は制御重合法、例えば:
国際公開第98/58974号パンフレット及び米国特許第6,153,705号明細書の教示に従ってキサンタートにより制御されるフリーラジカル重合、又は
国際公開第98/01478号パンフレットの教示に従ってジチオエステルにより制御されるフリーラジカル重合
などにより得られることができるコポリマーが推奨されている。
リビング又は制御フリーラジカル重合プロセスにより得られるブロックコポリマーは、ポリマー鎖の末端に少なくとも1つの移動剤基を含んでよい。一実施形態では、そのような基は、重合の後で除去されるか、又は不活性化される。
リビング又は制御フリーラジカル重合プロセスは、移動剤を使用し、そして異なるモノマーの追加を行なって、ブロックコポリマーを得る工程を伴う。
制御重合プロセスを行うために好ましい移動剤は、ジチオエステル、チオエーテル−チオン(thione)、ジチオカルバメート、又はキサンテートである。好ましい重合は、キサンテートを使用するリビングラジカル重合である。
ポリマーの重量平均分子量は、典型的には約1000〜2,000,000、より典型的には約1000〜1,000,000g/molである。典型的には、ブロックコポリマーの個々のブロックは、約500g/molを上回る重量平均分子量を有する。
典型的には、例えばサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、ポリマー溶液を分画し、次に、例えば、その留分ずつ光散乱強度を測定するか、又はその留分の反射率を測定して、その反射率結果を既知の分子量のポリマーについて得られたものと比較することにより、そのようなポリマー留分のそれぞれの分子量を決定することにより、ポリマーの分子量は決定される。
本発明によるポリマー溶液は、所望の量の粉末状ポリマーを、好ましくはMΩの伝導度[精製イオン交換フィルター、ミリポア(Millipore)]を有する脱イオン水へ加えることにより調製されることができる。好ましくは、ポリマー及び水は、好ましくは約1%以下の範囲の濃度を有する均一性を得るために、約24時間に亘って混合される。
一実施形態では、水性ポリマー溶液又は分散体は、水性媒体中で、約0.01%〜約10質量%、より典型的には約0.1%〜約5質量%、さらに典型的には約0.01%〜約1質量%のポリマーを含む。
水性ポリマー溶液又は分散体のpHは、成分が分解しない任意のpH、典型的には約5〜約9のpHでよい。
C. 電解質
適切な電解質は、第一及び第二の多価電解質間の静電相互作用を遮蔽するために有効な量で存在するときに、分散された第一の多価電解質又は分散された第二の多価電解質を不安定化しないものである。典型的には、この電解質は、カチオン性成分及びアニオン性成分を有する塩を含む。適切なカチオンは、一価又は多価でよく、有機又は無機でよく、そして適切なカチオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、及びリチウムのカチオン、並びにモノ−、ジ−、トリ−又は四級アンモニウム又はピリジニウムのカチオンが挙げられる。適切なアニオンは、一価又は多価でよく、有機又は無機でよく、そして適切なアニオンとしては、例えば、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、シアン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、及びホスホン酸塩のアニオンが挙げられる。適切な電解質としては、例えば、一価カチオンと多価アニオンの塩(例えば、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウムなど)、一価アニオンと多価カチオンの塩(例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ハロゲン化亜鉛、塩化バリウム、及び硝酸カルシウムなど)、及び一価アニオンと一価カチオンの塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩、及び硝酸アンモニウムなど)が挙げられる。
一実施形態では、電解質は、例えば、塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムのように、一価のカチオン性成分及び一価のアニオン性成分を含む。
水性多価電解質組成物中の電解質の初期濃度は、典型的には約0.1モル濃度以上であり、より典型的には約0.5モル濃度を超える。本明細書では、用語「臨界電解質濃度」(「Is〜0」)は、所望の条件下で第一及び第二の多価電解質の共集合を防ぐのに有効である(そして、それより下では、第一及び第二の多価電解質の共集合が起こる)電解質の最低濃度を意味する。ある系についての臨界電解質組成は、例えば後述する段階的プロセスにより、系ごとに経験的に決定される。典型的には、所望の各多価電解質の電解質濃度に対する応答は、2つ以上の異なる電解質濃度で、典型的には、多価電解質の1つ以上の水分散液(それぞれは異なる相対量の多価電解質を含んでいる)のそれぞれの安定性を評価することにより、最初に別々に決定される。水性多価電解質組成物は、典型的には最初に澄んでおり、所望により透明である。安定性は、相分離を検出するための光散乱により評価されることができる。その評価のために、安定性は、選択された時間内の相分離の欠落により示される。2つの個別の所望の多価電解質分散液の電解質応答の決定において、多価電解質分散液のそれぞれが、所望の期間内及び電解質濃度の一般的な範囲内で安定である場合には、2つの所望の多価電解質の水性分散体の電解質応答が決定される。この安定性決定は、2つ以上の異なる電解質濃度で、2つの所望の多価電解質の水性分散体の相分離を検出するための光散乱により、もう一度行われる。2つの所望の多価電解質の水性分散体の電解質応答は、その系についてバルク臨界電解質濃度の決定を可能にする。
少なくとも幾つかの実施形態では、臨界電解質濃度(それより下では、第一及び第二の多価電解質の共集合が、水性多価電解質組成物と固体又は他の液相との界面で起こる)は、異なっており、そして典型的には、バルク臨界電解質濃度(それより下で、第一及び第二の多価電解質の共集合が、そのような界面が存在しなくても、バルク水性多価電解質組成物中で起こる)より高い。
D. 水性多価電解質組成物
典型的には、第一の多価電解質の水性分散体の電解質含有率を、提案された水性多価電解質組成物のバルク臨界電解質濃度より上に調整するか、第二の多価電解質の水性分散体の電解質含有率を、提案された水性多価電解質組成物のバルク臨界電解質濃度より上に調整して、次に第一の多価電解質の電解質調整された水性分散体を第二の多価電解質の電解質調整された水性分散体と混合して水性多価電解質組成物を形成することにより、水性多価電解質組成物は形成される。
一実施形態では、水性多価電解質組成物は、最初に:
(a)約0.05〜約10質量%、より典型的には約0.05〜約5質量%、さらに典型的には約0.05〜約1質量%の第一の多価電解質、
(b)約0.05〜約10質量%、より典型的には約0.05〜約5質量%、さらに典型的には約0.05〜約1質量%の第二の多価電解質、及び
(c)約0.1を超えるモル濃度、より典型的には約0.5を超えるモル濃度の溶解した電解質
を含む。
E. 共集合
一実施形態では、複数の多価電解質の共集合は、水性多価電解質組成物の電解質濃度を減らすことにより可能になる。
一実施形態では、組成物から電解質を除去するために、水性多価電解質組成物の電解質濃度は、水性多価電解質組成物の透析により減少させられる。
別の実施形態では、水性多価電解質組成物の電解質濃度は、水性多価電解質組成物を単純に希釈することにより減少させられる。
一実施形態では、複数の多価電解質の共集合は、水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面(その表面は、少なくとも1つの多価電解質について親和性を有する)との界面を形成することにより可能になる。典型的には、界面共集合のための臨界電解質濃度は、所定の系のためのバルク臨界電解質濃度より少なくとも僅かに高いので、電解質濃度を2つの個別の臨界濃度の間の濃度に調整することが可能であり、単純に界面を形成することにより、つまり、水性多価電解質組成物中の電解質の濃度を減らすことなく、水性多価電解質組成物との関連する界面で多価電解質の共集合が可能である。そのような場合には、共集合は、関連する界面の除去時に終わる。上述の現象は、第一及び第二の多価電解質の共集合によって、同時にバルク中に共集合化多価電解質クラスターを形成することなく、界面で多価電解質層を形成させる。
別の実施形態では、水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面(その表面は少なくとも1つの多価電解質に親和性を有する)との界面を形成し、電解質の濃度を減少させることにより、共集合が可能になる。
典型的には、水性多価電解質組成物の電解質濃度を、臨界電解質濃度より僅かに下の濃度に減らすことによって、共集合化された多価電解質構造体が緩やかに形成されて成長する。水性多価電解質組成物の電解質濃度のさらなる減少が、成長速度を増加させる傾向にある。
共集合は、電解質濃度をその系の臨界電解質濃度より上に増加させることにより中断されることができる。
その成長は、連続的な工程を必要としない単一工程法である。しばらくすると、典型的には、共集合化された多価電解質構造体の成長は止まる。典型的には、水性多価電解質組成物の電解質濃度のさらなる減少により、成長は再開されることができる。
一実施形態では、共集合が、0秒を超える時間、より典型的には0秒を超えて約10秒までの時間に亘って継続させられる。
水性多価電解質組成物のイオン強度の制御によって共集合速度を制御する能力、及び共集合法の持続時間を制御する能力は、そのように形成された多価電解質構造体の寸法に対する一定の制御を可能にする。成長の速度は、ナノメートル〜数十マイクロメートルの範囲内のコロイドを形成するように最適化されることができる。
本発明の方法は、球状形態並びに長い又は平面の形態を含む、様々な選択された形態を有する粒子の安定なコロイドを形成することができる。
一実施形態では、本発明の方法により形成された共集合化多価電解質構造体の形態は、水性多価電解質組成物を他の影響(例えば、静電場、磁場、又は圧力差若しくはせん断力などの機械場などの外部場など)下に供しながら、共集合法を行うことにより調整される。
一実施形態では、酸化鉄粒子を含む多価電解質構造体は、数百ナノメートルの直径及び3〜30μmの範囲の長さを有する細長い「針状」構造体を形成するために、磁場の影響下で共集合される。筋状の共集合化された多価電解質構造体が、構成要素として磁性ナノ粒子を使用することにより予測された。これらの粒子は磁場の方向に沿って配列するから、それらは外部に掛けられた磁場に対して敏感である。この性質を利用することによって、バルクで又は好ましい配向を有する界面で、多価電解質構造体を成長させることが可能である。磁性ナノロッドのための用途は、センサー及び作動装置である。一実施形態では、多価電解質構造体は、量子細線などの量子構造体を含む。
E.1. バルク水性媒体中の共集合
一実施形態では、水性多価電解質組成物の電解質濃度をバルク臨界電解質濃度より低くすることにより、第一及び第二の多価電解質は、共集合して、バルク水性多価電解質組成物中で、分離した共集合化多価電解質構造体を形成する。典型的には、分離した共集合化多価電解質構造体は、第一及び第二の多価電解質を含むサブマイクロメートルのクラスターの形態である。
一実施形態では、共集合化された多価電解質構造体は、2つの異なる有機多価電解質巨大分子のクラスターを含む。
一実施形態では、共集合化された多価電解質構造体は、有機多価電解質巨大分子のクラスター及び無機多価電解質粒子を含むハイブリッド構造体である。
一般に、本発明の方法は、構造体を構成して、コロイド及び無機ナノ粒子を含むコロイド上共集合化多価電解質構造体の形成を可能とする「レンガ及びモルタル」型手法の後に行なわれる。これらのコロイド及びコロイド上共集合化多価電解質構造体は、希釈、濃縮及び塩含有量において非常に安定である。一実施形態では、構造の構成要素は、一方ではアニオン性コーティングされた金属酸化物ナノ結晶であり、他方では多価電解質−中性ブロックコポリマーである。共集合は、粒子上の表面電荷とカチオン性ブロックの帯電モノマーの間で起こっている静電的複合化により監視されることができる。溶液のイオン強度の進歩的調整により、球状及び筋状共集合化多価電解質構造体が発生させることができる。それらの条件(遅い混合又は塩の追加)下では、多価電解質構造体が、クラスター/クラスター共集合の代わりに核形成/成長機構により形成される。
E.2. 界面での共集合
第一及び第二の多価電解質の少なくとも1つに対する固体又は第二の液相の親和性が、多価電解質と固体又は第二の液相との間に引力相互作用のための駆動力を提供する。この親和性は、例えば、水性多価電解質組成物とそのような固体又は第二の液相との界面での極性部位の存在などの静電力、非極性部位固体又は第二の液相の存在などの疎水性相互作用、又はファン・デル・ワールス力などの他の力を介してよい。
2つの反応性成分の共集合が、構成要素の多価電解質巨大分子/多価電解質巨大分子、又は多価電解質巨大分子/多価電解質ナノ粒子の組のいずれかを用いて、界面で直接に行われることができる。
本発明の方法は、液体/固体界面又は液体/液体界面で、共集合化された多価電解質層を集合させるために使用されることができる。基材は、正若しくは負に帯電しているか、又はポリスチレンのように中性でよい。
一実施形態では、多価電解質巨大分子/多価電解質巨大分子、又はハイブリッド多価電解質無機ナノ粒子/多価電解質巨大分子の共集合化多価電解質層は、水性多価電解質組成物と固体基材の界面で集合させられる。
ハイブリッド共集合化多価電解質無機ナノ粒子/多価電解質巨大分子多価電解質構造体の成長は、共集合化多価電解質巨大分子/多価電解質巨大分子多価電解質構造体と非常に似ているが、明らかに少なくとも2つの観点:つまり:i)ハイブリッド層は、いつまでも成長するように見え、そしてii)ハイブリッド層は、十分な有機系の場合には塩を追加しても解離又は脱着しないという観点で、異なる多くの態様にある非常に興味深い特性は、高イオン強度下のバルク中で形成されたハイブリッド集合体の界面移動/安定性の特徴である。塩濃度が増加させられるときならいつでも吸着は止まることをもう一度注目されたい。有機層の場合としては、成長したハイブリッド層は、純水中又は乾燥状態で保たれ、次にしばらく経ってから再開されることができる。
2つの異なる反応性成分から成る層の界面制御成長は、液/液界面、及び純有機帯電材料(多価電解質、タンパク質、ウィルスなど)から無機帯電コロイド(ナノ粒子、ナノチューブなど)までの異なる性質を有する複数の成分(2つ以上)、又はこれら2つの組み合わせへ容易に一般化されることができる。この方法は、所定の部位/場所に制御された量(例えば液滴)の「不活性」溶液を配置することにより界面の機能化を空間的に狙い、そして最終的に「反応物」(水)を加えることによりいつでも成長を引き起こす機会を提供する。次に、それは、空間的な及び/又は引き起こされた機能化のいずれかも許容しない層集合法による従来の(及び時には細心の注意を要する)層に対して重要な利点を提供する。
一実施形態では、固体基材は、有機材料(例えば、有機ポリマー、有機ケイ素材料など)、無機材料(例えば、セラミック材料又は金属材料など)、及び複合材料から選択される。適切な有機ポリマーとしては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及び複数のポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などのポリマーブレンド、及びポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレンなどのハロゲン化ポリマー、導電性ポリマー(例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリナフタレン、ポリ(硫化p−フェニレン)、ポリ(para−フェニレンビニレン)など)、エンジニアリングプラスチック(例えば、ポリアミド、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリウレタンなど)が挙げられる。適切な有機ケイ素ポリマーとしては、例えばポリジメチルシロキサンが挙げられる。適切なセラミックとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、シリコーンカーバイド、窒化ケイ素が挙げられる。適切な金属としては、クロム、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、白金、パラジウム、金及び上記金属の合金が挙げられる。適切な複合材料としては、例えば、シリカ充填エチレンプロピレンジエンゴム、炭素ナノチューブ−ポリマー複合体及び金属粒子充填ポリマーなどの繊維又は粒子強化ポリマーが挙げられる。また、追加の基材としては、溶融ガラス、石英、フッ化カルシウム、マイカ、ケイ素、ゲルマニウム及びインジウム−スズ酸化物などの材料が挙げられる。
基材は、例えば、繊維、平面又は成形板、中空管、球体、又は第二の基材上に連続若しくは不連続的に担持されていてよい層を含む成形物体などの任意の物理的構成でよい。
一実施形態では、基材を水性多価電解質組成物中に浸けることにより、基材の表面は水性多価電解質組成物と接触させられる。
水性多価電解質組成物から基材の表面の少なくとも一部分上へ第一及び第二の多価電解質の共集合層を堆積させるのに有効な時間に亘って、基材の表面は水性多価電解質組成物と接触させられる。所定の水性多価電解質組成物のために、典型的には、より長い接触時間が、より多量の共集合化多価電解質及びより厚い共集合化多価電解質層の堆積をもたらす。
一実施形態では、共集合化多価電解質層は、本発明の表面改質化基材の化学的及び/又は物理的性質(例えば、化学的反応性及び/又は表面エネルギー)を改良する。
一実施形態では、本発明の方法に従って第一の水性多価電解質組成物から形成された表面改質化基材の共集合化多価電解質層は、正味の電荷を有し、追加の多価電解質層を共集合させる基材としてそれ自体で適切である。一実施形態では、1つ以上の追加の多価電解質層は、本発明の方法を反復して適用することにより表面改質化基材上に共集合される。追加の層は、同一水性多価電解質組成物から、又は異なる個別の水性多価電解質組成物から共集合されることができる。
一実施形態では、表面改質化基材は、疎水性表面と、該疎水性表面の少なくとも一部分に該疎水性表面の該部分の親水性を増加させるのに有効な量で堆積させられた多価電解質層とを初めから有する基材を含む親水化基材である。
本明細書では、「疎水性表面」は、70°以上、より典型的には90°以上の水との接触角からも分かるように、撥水することによって、水により湿潤させられないようにする傾向を示す表面を意味し、「親水性表面」は、70°未満、より典型的には60°未満、さらに典型的には20°未満の水との接触角からも分かるように、水への親和性を示すことによって、水に更に湿潤可能である表面を意味し、そして疎水性表面の「親水化」は、減少した水との接触角により示されるように、表面をより親水性にすることによって、疎水性をほとんどなくすことを意味し、いずれの場合にも、従来の画像解析法により、つまり、25℃で表面(典型的には、実質的に平坦な表面)に水の液滴を配置し、その液滴を撮影し、そして撮影画像に示される接触角を測定することにより、水との接触角は測定される。
処理された疎水性表面の増加した親水性の1つの指標が、未処理表面と水滴の接触角に比べて減少している処理表面と水滴の接触角である。典型的な繊維に関しては、実質的に平坦な表面がない繊維表面形状のために、水滴接触角を決定し難い。繊維表面を表す水滴接触角測定は、対象とする繊維と同じ材料の平坦シート又は試料片を用いて便宜上行われることができる。典型的には、処理された表面は、70°未満、より典型的には60°未満、さらに典型的には45°未満の水滴接触角を示す。
疎水性表面を有する適切な基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンなどのポリオレフィン基材、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート基材、ポリテトラフルオロエチレンなどのハロゲン化ポリマー基材、並びにポリジメチルシロキサンなどの有機ケイ素ポリマー基材が挙げられる。
一実施形態では、基材は、ポリオレフィンシート又は例えば自動車部品などの成形ポリオレフィン物体である。
いずれの場合にも、表面処理は、耐久性があり、そして水の存在下での基材からの脱離に耐える。
一実施形態では、本発明の方法により形成されたハイブリッド共集合化多価電解質構造体は、導電性又は半導性である。構造体の導電性は、多価電解質の1つとして金属又は半導体材料を含むナノスケール多価電解質無機粒子を選択することにより変えることができる。
一実施形態では、本発明の方法により形成された無機ナノスケール粒子を含む共集合化多価電解質構造体は、放射線吸収性を提供する。その層の放射線吸収性は、多価電解質の1つとしてナノスケールの多価電解質無機粒子を選択することにより変えられることができる。例えば、酸化セリウム、TiO、及びFe(それぞれが、紫外線範囲内で放射線を吸収する)及び酸化セリウム、TiO、及び/又はFeの層などの粒子は、紫外線放射吸収性を提供する。紫外線吸収コーティングは、例えば、下層の基材(例えば、合成ポリマー基材など)を紫外線放射などの放射から保護するために、有用である。
一実施形態では、本発明の物体は、疎水性材料から形成された基材の表面に親水性を与える。本発明の表面改質化基材は、例えば、表面(管又はパイプ内面など)を有し、抗付着性を有する管又はパイプなどの物体として、又は抗汚性及び/又は水シート化(つまり、親水性)を有する物体(例えば、キッチン又はバスルームカウンター面)として、有用である。
その堅牢性に加えて、本明細書で説明される本発明の最も明白な性質の1つは、その単純性である。それは、特定の装置を必要とせず、かつ任意の物理的−化学的設備内で容易に形成されることができる。
多価電解質多層を構成するための従来技術は、1つの多価電解質層を同時に、段階的に追加することを必要とする。そのようなプロセスは、時間を消費するものであり、極めて面倒な場合がある。本発明の構成は、特定の制御された単一工程法において共集合化多価電解質クラスター又は層の成長を可能にする。
本発明の方法は、全種類の多価電解質無機ナノ粒子及び全種類の多価電解質巨大分子に対して適用できることが分かる。
実施例1:バルク水性媒体中の共集合
酸化鉄ナノ粒子クラスター及びロッドの製造のために採用された手順を図1に示す。これらの図は、主要な構成成分として酸化鉄ナノ粒子分散体を用いる手順を示す。ここで表示された手順は、全種類のナノ粒子に適用できる。酸化セリウムナノ粒子などの非磁性粒子のためには、磁場の適用は必要とされず、球状共集合化多価電解質構造体のみが得られる。
ポリ(トリメチルアンモニウムエチルアクリレートメチルスルフェート)−b−ポリ(アクリルアミド)ブロックコポリマー(図1中のバイアルa)の溶液及びポリアクリル酸(約2,000の重量平均分子量(「PAA−2k」))コーティングされた酸化鉄ナノ粒子(図1中のバイアルb)の溶液を1M塩化アンモニウム(NHCl)中でc=0.2質量%の質量濃度で調製した。この塩含有率では、デバイ長は0.3nmオーダーであり、静電相互作用は遮蔽されている。動的光散乱により、初期分散液のコロイド安定性が、高い塩化アンモニウム含有率でも崩されないことを検証した。次に、これら2つの溶液を混合し、ポリマー及び粒子が未だ会合していない分散溶液を得た。
次に、透析又は希釈のいずれかにより、塩を緩やかに除去することにより、相反する荷電種間の静電相互作用を監視した。
別の場合には、実施例1Aのプロセスでは、水性媒体の透析により水性媒体中の塩濃度を減少させた。本実施例では、第一の場合には、磁場の存在しない透析(バイアルd)において、図1に表される手順の最終工程を検討する。10KD分子量カットオフの「slide−a−lyzer(登録商標)」カセットを用いる透析を1時間中に脱イオン水に対して行なった。2種類の粒子(7nm酸化セリウム粒子及び7nm酸化鉄ナノ粒子)について、この手順を行なった。両方の分散液を同様に処理した。図2には、そのようなプロセスで得られたナノ粒子共集合化多価電解質クラスターの透過電子顕微鏡写真(TEM)像を示す。酸化鉄(左側の像)については、共集合化多価電解質クラスターは180nmの平均直径を示し、一方で、酸化セリウム(図2の右側の像)については、共集合化多価電解質クラスターは160nmの平均直径を示した。クラスターの球形は、それらが核形成及び成長プロセスにより成長させられたことを示す。数ヶ月間に亘って構造物の不安定化も破壊も認められなかったので、多価電解質クラスターは時間とともに注目すべきコロイド安定性を示した。巨大な球内で0.30の体積分率と仮定すると、180nmの共集合化多価電解質クラスターは、約5000個の粒子から構築されたことが算出された。
他の場合には、実施例1Bのプロセスにおいて、水性媒体中の塩濃度を水性媒体の希釈により減少させた。透析の速度に適合する速度で脱イオン水を緩やかに加えることにより、希釈を監視した。先の方法との比較を可能にし、そして1M〜10mMの中間イオン強度価を利用可能にするために、この第二の手順を行なった。緩やかな希釈の結果として、イオン強度を減少させるにつれて、臨界値I =0.4Mで、突然遷移を発見した。I より下では、鉄及び酸化セリウムについて200nm付近の流体力学直径を有する巨大な共集合化多価電解質クラスターが、相反する荷電種同士の会合によって自然発生的に形成された。ナノ構造体については、希釈により得られた結果は、透析により得られた結果とよく合致する。したがって、透析及び希釈は、イオン強度の制御に関して同様に機能する。両方の技術は、無機クラスターの制御された形態及び寸法に良好である。
第三の実験では、混合された塩溶液の透析を0.1テスラ(Tesla)の定磁場下で実行した。透析槽のイオン強度が(伝導度測定法により確認したところ)その停留値に達すると直ぐに、磁場を除いて、その溶液を透過電子顕微鏡写真により観察した。
図3の差込図及び主要図には、異なる大きさの磁場の影響下で形成された上述のナノ構造体化ロッドのTEM像を示す。ナノロッドは、磁場が存在しないときランダムに配向していた。しかし、磁石をそれらの近くに動かした場合、そのロッドは自然に再配向して外部磁場に従った。より短い倍率(主要図)では、線状筋が、コポリマーと共にまとまっている多数の7nmのナノ粒子により構成されたことが分かった。図4では、ナノロッドの直径は250nmであり、前に得られた球状の共集合化多価電解質クラスターの直径(図2)と十分に比較される値であった。この試料については、画像解析によってロッドの長分布を導出し、12μmの平均長及び0.50の多分散度を得た。球状の共集合化多価電解質クラスターについては、数ヵ月後でさえもナノロッドが不安定化の兆候を示さなかった点に留意することが重要である。1次元の共集合化多価電解質クラスターの成長の実際の機構は、正確には分かっていないが、ナノ構造体化ロッドは、核形成及び成長プロセス、並びに磁場により誘導された幾つかの中間サイズの共集合化多価電解質クラスターの配列の組み合わせから生まれた筈であると予想される。この点において、長く、堅い本構造体は、生物医療用途のために以前に設計された磁性マイクロビーズのフィラメントと幾つかの類似性を有する(例えば、L.Cohen−Tannoudji、E.Bertrand、L.Bressy、C.Goubault、J.Baudry、J.Klein、J.F.Joanny及びJ.Bibetteの「Polymer bridging probed by magnetic Colloids」 Physical Review Letters 94(2005)を参照されたい。)。ここでの主な相違点は、初期粒子の寸法と最終構造体の剛性である。ロッド内部の磁性材料の体積分率を30%と仮定すると、粒子数/長さ(マイクロメートル)は10であると見積もられた。
実施例2−界面での共集合
実施例2Aでは、約400,000〜約1,000,000の重量平均分子量を有するカチオン性ポリ(メタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド)ホモポリマー(「MAPTAC」)及び約70,000の重量平均分子量を有するアニオン性ポリ(スチレンスルホナート)ホモポリマー(「PSS」)を第一及び第二の多価電解質として使用した。第一及び第二の多価電解質間の引力静電相互作用が全体として遮蔽されていたバルク塩濃度を次の通り決定した。0.1質量%の濃度のMAPTAC水溶液及びPSS水溶液を3.5M塩化ナトリウム(NaCl)中で調製した。動的光散乱(DLS)により、各多価電解質溶液の安定性は、高い塩化ナトリウム含有分が存在しても崩れないことが確認された。次に、両溶液を等しい質量で混合して、正に帯電した多価電解質が未だ会合していない透明な分散溶液を得た。次に、異なるイオン強度まで脱イオン水を緩やかに加えることにより、この休止状態又は非反応性の溶液を徐々に希釈した。散乱強度及び流体力学直径Dを各段階での静的及び動的光散乱により測定した。緩やかな希釈の結果として、図4に示すように、イオン強度を減少させるにつれて、バルク中の約2.85MのNaClと等しい臨界値Is〜0で、遷移を発見した。Isより下では、相反する荷電種同士の共集合又は会合によって、イオン強度を減少させるにつれて増加した寸法の巨大な共集合化多価電解質クラスターが形成された。巨大な有機共集合化多価電解質クラスターの形成は、単なる(非特異性)静電相互作用駆動の共集合を示しているイオン強度の増加に対して可逆(脱会合)であることに注目されたい。
次に、水晶発振子マイクロバランス(QCM)技術により、シリカ/水の界面での両方の多価電解質直接共集合を監視した。既知量の(c=0.1%及び[NaCl]=3.5Mで最初に調製された)休止状態MAPTAC/PSS溶液をQCMセルに導入した。そのQCMセルは、その溶液と接触して(UV光により15分間処理された)垂直に配置されたシリカ面を備えていた。Is=3.5Mの初期イオン強度では、MAPTACの単層が、負に帯電したシリカ表面上へ吸着した。シリカ上のホモ多価電解質について典型的な約0.5mg/mの吸着安定状態(その後、ベースラインとして扱う)に極めて短時間で達した。さらなる成長は観察されなかった(MAPTACとPSSの間の静電相互作用は全体的に遮蔽されていた)。次に、シリンジポンプ(速度=0.5ml/時間)を用いて、脱イオン水又は飽和塩化ナトリウム溶液(36質量%)を緩やかに加えることにより、溶液のイオン強度を変えた。
短時間(30分)及び長時間(20時間)のタイムスケールで、イオン強度に応じた吸着の監視を行なった。図5では、一般に、i)脱イオン水の追加(希釈)は吸着速度の激増になり、一方で、ii)飽和塩化ナトリウムの追加は激減になることが分かる。これらの性質は、恐らく界面共集合の可逆性の結果である(そして、塩濃度の均一性における局所点まで、より少なく伸びる筈である)。局所的な、より高いイオン強度は、吸着層の溶解を起こし、より低いイオン強度は凝集を推進する。
溶液の均一化の後に、溶液イオン強度に応じて、定常吸着状態を観察した。イオン強度が減少するほど、静電相互作用はより強くなり、より高い吸着/成長速度を導く。このプロセスの重要な性質は、バルクのものより僅かに高い界面共集合のための臨界イオン強度(I=3.02M対2.85M)であった。この後の特性が、バルク溶液中で行われた構造体/集合体の沈殿に由来する影響なしで、固体/液体界面での成長を可能にする。
図6では、所定のイオン強度について、界面共集合は、最初に予想された通り、無制限に成長するものではないが、数十時間後には、最終的に止まり、安定状態に達することが分かる。イオン強度を僅かに減少させることにより、成長を再開することが可能である。この後では、成長の停止(休止状態)が観察されたことに対して考えられる説明として、バルク溶液中の材料(多価電解質)の損失という仮定は除外する。吸着/脱着は、純水又は飽和塩溶液のいずれかを加えることにより、可逆的である。最終吸着量は、単に最終イオン強度に依存し、吸着履歴には依存しない。成長した有機層は、それが成長したイオン強度より低いイオン強度を有する水性溶液中で安定である。機能化された基材は、水中又は乾燥状態で維持することができて、必要に応じて(例えば、複数の反応種の様々な組を用いて)、その後に成長を再開できる。
実施例2Bのプロセスでは、多価電解質は、多価電解質ホモポリマー(カチオン性置換基及び約100,000の重量平均分子量を有するポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(「PDLAC」))、及び荷電した無機粒子[アニオン性PAA−2kコーティング化酸化セリウムナノ粒子(約10nmの直径)]であった。この系では、成分同士のバルク相互作用を全体的に遮蔽する臨界イオン強度が、0.6Mであることが分かった。次に、シリカ表面上への吸着をQCMによって監視した。実施例2Aで説明した多価電解質ポリマー系の場合には、バルク(DLS実験では「透明」溶液として示される)中で測定されたバルク臨界電解質濃度より僅かに高い約0.7Mのイオン強度で、吸着は始まる。
ハイブリッド多価電解質無機ナノ粒子/多価電解質巨大分子共集合化多価電解質層は、[ナノセリア粒子又は巨大分子の単層(典型的にはそれぞれ5及び0.5mg/mである)と比べて]約150mg/mの45時間後のハイブリッド材料の吸着量とともに無制限に成長することが分かった。ハイブリッド層は、完全な有機系の場合には、塩添加時に解離も脱着もしないことが分かった。
この取り組みを利用して、多価電解質と結合したナノ粒子から成る多孔質層を成長させることにより、シリカ表面を超親水性(水液滴の瞬間的な拡散)にした。従来(ただし、必要とされていた)の多数の浸漬−すすぎ−浸漬サイクルに該多層法を利用して、同じ最終結果を得た。さらにPS表面の中ほどに「休止状態溶液」の液滴を配置することは、疎水性領域に囲まれた超親水性点(ほぼ液滴の大きさ)の形成を可能にした。

Claims (30)

  1. (a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
    (b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
    (c)0.1M以上の濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質
    を含む水性多価電解質組成物中で:
    (1)該電解質の濃度を減少させる工程、又は
    (2)該水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面との間に界面を形成する工程であって、該表面は、これらの多価電解質の少なくとも一方に親和性を有する工程、又は
    (3)該工程(1)及び(2)
    により、これらの多価電解質を共集合させる工程を含み、前記第一の多価電解質及び第二の多価電解質からなる群のうち少なくとも1つがナノスケール多価電解質無機粒子を含む、共集合法。
  2. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別の多価電解質有機巨大分子をそれぞれ含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別のナノスケール多価電解質無機粒子をそれぞれ含む、請求項1記載の方法。
  4. 一方の多価電解質は、ナノスケール多価電解質無機粒子を含み、他方の多価電解質は、多価電解質有機巨大分子を含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記水性多価電解質組成物は、前記第一及び第二の多価電解質に加えて、少なくとも1つの追加の多価電解質をさらに含み、該追加の多価電解質のそれぞれは、前記第一の極性又は第二の極性の正味の電荷を有し、前記電解質は、0.1M以上の濃度で前記組成物に溶解しており、そして前記溶解している電解質の濃度を減少させる工程は、第一、第二及び追加の多価電解質を共集合させる、請求項1記載の方法。
  6. 複数の多価電解質の共集合が、分離した1μm未満の最大寸法を有する多価電解質クラスターをバルク水性多価電解質組成物全体中に形成する、請求項1記載の方法。
  7. 水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面との間に界面を形成することを含み、該表面は、前記多価電解質の少なくとも1つに親和性を有し、そして複数の多価電解質の共集合は、該界面で多価電解質層を形成する、請求項1記載の方法。
  8. 前記界面は、水性多価電解質組成物と固体基材の表面との間にあり、そして該固体基材の表面の少なくとも一部分に前記多価電解質層を堆積させる、請求項7記載の方法。
  9. 電解質の濃度を減少させる工程により多価電解質を共集合させる、請求項1記載の方法。
  10. 水性多価電解質組成物と第二の液相の表面との間に界面を形成する工程であって、該表面は、これらの多価電解質の少なくとも一方に親和性を有する工程により多価電解質を共集合させる、請求項1記載の方法。
  11. ナノスケール多価電解質無機粒子が無機酸化物を含む、請求項1記載の方法。
  12. ナノスケール多価電解質無機粒子が酸化鉄を含む、請求項1記載の方法。
  13. ナノスケール多価電解質無機粒子が酸化鉄を含み、水性多価電解質組成物に外部磁場を加えて針状構造体を形成しながら共集合を行う、請求項1記載の方法。
  14. 請求項6記載の方法により形成された1μm未満の最大寸法を有する多価電解質クラスター。
  15. 請求項7記載の方法により形成された多価電解質層。
  16. 前記固体基材を含み、そして前記多価電解質層は前記固体基材の表面の少なくとも一部分に堆積している、請求項8記載の方法により形成された表面改質化固体基材。
  17. (a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
    (b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
    (c)0.1M以上の濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質
    を含み、前記第一の多価電解質及び第二の多価電解質からなる群のうち少なくとも1つがナノスケール多価電解質無機粒子を含む水性多価電解質組成物。
  18. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別の線状多価電解質有機巨大分子をそれぞれ含む、請求項17記載の組成物。
  19. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別のナノスケール多価電解質無機粒子をそれぞれ含む、請求項17記載の組成物。
  20. 一方の多価電解質は、ナノスケール多価電解質無機粒子を含み、他方の多価電解質は、多価電解質有機巨大分子を含む、請求項17記載の組成物。
  21. 電解質の濃度を減少させることにより多価電解質が共集合する、請求項17記載の組成物。
  22. 水性多価電解質組成物と第二の液相の表面との間に界面を含み、該表面は、これらの多価電解質の少なくとも一方に親和性を有する、請求項17記載の組成物。
  23. 一方の多価電解質は、ナノスケール多価電解質無機粒子を含み、他方の多価電解質は、多価電解質直鎖有機巨大分子を含む、請求項17記載の組成物。
  24. ナノスケール多価電解質無機粒子が酸化鉄を含む、請求項17記載の組成物。
  25. 前記第一の多価電解質及び第二の多価電解質からなる群のうち少なくとも1つがナノスケール多価電解質無機粒子を含み、このナノスケール多価電解質無機粒子が酸化鉄を含み、水性多価電解質組成物に外部磁場を加えて針状構造体を形成しながら共集合が行われる、請求項17記載の組成物。
  26. (a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
    (b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
    (c)0.1M以上の濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質
    を含む水性多価電解質組成物中で、該水性多価電解質組成物の透析により該電解質の濃度を減少させることによりこれらの多価電解質を共集合させる工程を含む、共集合法。
  27. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別の直鎖多価電解質有機巨大分子をそれぞれ含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記第一及び第二の多価電解質は、個別のナノスケール多価電解質無機粒子をそれぞれ含む、請求項26記載の方法。
  29. 一方の多価電解質は、ナノスケール多価電解質無機粒子を含み、他方の多価電解質は、多価電解質有機巨大分子を含む、請求項26記載の方法。
  30. (a)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ第一の極性の正味の電荷を有している第一の多価電解質、
    (b)水性多価電解質組成物に分散されており、かつ該第一の極性とは反対の第二の極性の正味の電荷を有している第二の多価電解質、及び
    (c)0.1M以上の濃度で水性多価電解質組成物に溶解している電解質
    を含む水性多価電解質組成物中で:
    (1)該電解質の濃度を減少させる工程、又は
    (2)該水性多価電解質組成物と固体基材又は第二の液相の表面との間に界面を形成する工程であって、該表面は、これらの多価電解質の少なくとも一方に親和性を有する工程、又は
    (3)該工程(1)及び(2)
    により、これらの多価電解質を共集合させる工程を含み、水性多価電解質組成物に、電場、磁場及び機械場からなる群より選ばれる外部場を加えて共集合を行い、前記機械場が圧力差及びせん断力からなる群より選ばれ、前記第一の多価電解質及び第二の多価電解質からなる群のうち少なくとも1つがナノスケール多価電解質無機粒子を含み、前記ナノスケール多価電解質無機粒子が酸化鉄を含み、水性多価電解質組成物に外部磁場を加えて針状構造体を形成しながら共集合を行う、共集合法。
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