JP5646867B2 - バイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステム - Google Patents

バイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステム Download PDF

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Description

本発明は、バイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステムに関し、詳しくは、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化できるバイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステムに関する。
近年のエネルギー問題と資源循環型社会への志向から、家畜糞尿や、地域から生み出される廃棄物等を発酵して、バイオガスとして利用可能なメタンを生成するメタン発酵が注目されている。
ところで、このようにして生成されるバイオガスは、発酵原料中の含硫黄成分に由来する硫化水素等を不純物として含む。
特許文献1には、バイオガス中の硫化水素を生物脱硫処理によって除去するバイオガス精製技術が開示されている。
一方、バイオガス中には、不純物として二酸化炭素も含まれている。二酸化炭素は、毒性が低いこともあり、これまでバイオガス精製技術において重要視されていなかった。
しかし、二酸化炭素は不燃ガスであり、バイオガス中での濃度が上昇すると、相対的に、燃料となるメタンの濃度が低下することになる。
特に、メタン発酵槽における発酵は、原料である廃棄物等の成分が不安定であることに起因して、発酵負荷状態が変動しやすく、バイオガス中に含有される二酸化炭素濃度も変化しやすい。
この結果、バイオガス中のメタン濃度は、通常40〜70%の範囲で変化し、時としてガスエンジンが失活する、あるいは、ボイラーが着火しない等の問題を生じ、燃料としての信頼性を欠く。
燃料としての信頼性を得るには、バイオガス中のメタン濃度は、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上で安定化されていることが望ましい。
特開2008−138095号公報
本発明者は、上記の実情に鑑みて、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化する技術について鋭意検討を行い、更にその際、二酸化炭素を有効利用することについても鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
そこで、本発明の課題は、二酸化炭素を有効理由でき、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化できるバイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステムを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.メタン発酵槽と、
該メタン発酵槽から生成したバイオガスを導入して調質を行うバイオガス調質装置とを有するバイオガスシステムであって、
前記バイオガス調質装置は、
該メタン発酵槽から、経時的にメタン濃度が一定値を下回るように変化するメタン及び二酸化炭素を含有する前記バイオガスを導入するバイオガス導入口と、調質後のバイオガスを排出するバイオガス排出口を備えたバイオガス調質装置本体を有し、
バイオガス調質装置本体内に、メタン菌含有液に含浸された導電性微生物担体を充填した充填層からなる調質部を備え、
該調質部で前記メタン菌含有液と、前記バイオガス導入口から導入された前記バイオガスを気液接触させる構成を有し、
該調質部の導電性微生物担体に電位を印加する電位印加極を設け、該電位印加極への電位印加を介して前記導電性微生物担体に電位印加して、二酸化炭素−メタン平衡系をメタン生成側に傾けると共に、該調質部において、前記バイオガス導入口から導入された調質前の前記バイオガス中のメタン濃度の低下に応じて速度論による反応量の減少傾向が軽減されてメタン生成速度が上昇することを利用して、前記調質後のバイオガス中のメタン濃度を前記一定値以上に安定化する調質を行う構成を有することを特徴とするバイオガスシステム。
2.前記調質部における調質に際して常時電位印加を行うことを特徴とする請求項1記載のバイオガスシステム
3.前記調質部における調質に際してバイオガス中のメタン濃度の低下時にのみ電位印加を行うことを特徴とする請求項1記載のバイオガスシステム
.前記調質部におけるバイオガスの滞留時間又は保持時間は、0.5分〜20分であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のバイオガスシステム。
.請求項1〜の何れかに記載のバイオガスシステムを用いて、前記メタン発酵槽から生成した前記バイオガスを、前記バイオガス調質装置の前記調質部に導入して前記調質を行うことを特徴とするバイオガス調質方法。
本発明によれば、二酸化炭素を大気放出等の環境破壊を招く除去方法に供することなく有効理由でき、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化できるバイオガス調質方法、バイオガス調質装置及びバイオガスシステムを提供することができる。
メタン/二酸化炭素の電位−pH図 本発明のバイオガス調質装置による調質の前後におけるバイオガス中のメタン濃度の一例を示す図 本発明のバイオガス調質装置による調質の前後におけるバイオガス中のメタン濃度の他の例を示す図 炭素表面における顕微ラマンスペクトル 本発明に係るバイオガス調質装置を示す概略図 試験用のバイオガス調質装置を示す概略図
本発明は、二酸化炭素からのメタン生成反応における平衡論と速度論に基づいて、メタン発酵槽から生成するバイオガスを、バイオガス調質装置が備えるメタン菌を担持した調質部において処理し、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化するように調質するものである。
まず、以下に、二酸化炭素からのメタン生成反応における平衡論の説明を行う。
図1に、メタン/二酸化炭素の電位−pH図を示す。
図1において、横軸はpH、縦軸は標準水素電極基準の電圧を示している。
図の下側に存在する領域CHは、メタン生成領域であり、図の上側に存在する領域CO、HCO 及びCO 2−は、何れも二酸化炭素生成領域である。二酸化炭素生成領域を形成する領域CO、HCO 及びCO 2−は、pHに依存して二酸化炭素の安定状態が異なることを意味している。
このように、メタン生成と二酸化炭素生成の平衡反応(CH+2HO←→CO+8H+8e)は、電位及びpHに依存して変化するのであり、この関係は、ネルンストの式より、E=0.169−0.0591pH+0.0074log(pCO/pCH)で表わされる。
例えば、pH8、電位−1(V vs NHE)の条件下においては、−94≒log(pCO/pCH)となり、平衡が著しくメタン生成側に傾く。
本発明のバイオガス調質装置では、調質部の電位を、上記に基づいてメタン生成側に設定する。
また、2本の破線O/HO及びHO/Hは、水の生成及び分解に関わる2つの反応の電位を示す。
破線O/HOは、下記の反応式に対応し、ネルンストの式より、E=1.23−0.059pHで表わされる。
+4H+4e=2H
破線O/HOより上の領域では、水の電気分解により酸素が発生する。
破線HO/Hは、下記の反応式に対応し、ネルンストの式より、E=−0.059pHで表わされる。
2H+2e=H
破線HO/Hより下の領域では、水の電気分解により水素が発生する。
本発明のバイオガス調質装置において、水の電気分解によって水素を生成することは、効率上好ましいものではない。そのため、詳しくは後述するが、水素過電圧が大きい導電性微生物担体を用いることは好ましいことである。
従って、本発明において、バイオガス調質装置の調質部が備える前記導電性微生物担体への好ましい印加電位の範囲は、−1.0〜−0.4(V vs Ag/AgCl)の範囲で、メタン生成側に設定することである。−1.0(V vs Ag/AgCl)に満たない場合は、水の電気分解による水素の発生が増大し、−0.4(V vs Ag/AgCl)を超える場合は、水の電気分解による酸素の発生が増大し且つ反応のドライビングフォースが不足することになり好ましくない。
また、調質部のpHについては、好ましくはpH7〜9、より好ましくはpH7.5〜8.5の範囲に設定する。調質部に酸又はアルカリを添加してpHを調整するpH調整手段を備えてもよい。
上述のように、電位をメタン生成側に設定することにより、平衡論的には、メタン生成側に反応が完全に進行する。しかし、実際のメタン生成反応は、速度論による影響を大きく受ける。
以下に、二酸化炭素からのメタン生成反応における速度論の説明を行う。
一定の時間内において、メタン生成反応は、完全に進行するものではない。即ち、平衡論的にはメタン生成側に反応が完全に進行する場合であっても、二酸化炭素からのメタン生成反応において、二酸化炭素に関する擬一次反応速度定数kは僅かなものであり、速度論的には、一定の時間内におけるメタン生成量は減少傾向に向かう。
本発明者は、発酵槽のようなメタンの生成を目的とした反応装置ではなく、メタン濃度を調質するバイオガス調質装置であれば、メタン生成反応における反応量が減少傾向であっても、これを好適に利用できることに着目し、本発明を完成させた。
即ち、本発明のバイオガス調質装置は、バイオガス中のメタン濃度の低下に応じて速度論による反応量の減少傾向が軽減され、その結果、メタン生成速度が上昇することを利用してバイオガス調質を行うものである。
図2は、本発明のバイオガス調質装置による調質の前後におけるバイオガス中のメタン濃度の一例を示したものである。図中、破線は調質前のバイオガスを、実線は調質後の調質バイオガスを示している。
バイオガス中のメタン濃度の低下に応じて、メタン生成速度が上昇するため、低濃度時の濃度増加分bは、高濃度時の濃度増加分aよりも大幅に大きくなる。
低濃度時に十分な濃度増加が行われることにより、調質後の調質バイオガスにおいては、メタン濃度が一定値C以上に保持することができる。
また、メタン低濃度時と高濃度時における濃度差ΔCが大幅に縮小してメタン濃度が安定化し、更に、全体的にメタン濃度が増加する効果が得られる。
上記は、電位を常時印加した場合の例であるが、本発明において電位の印加は、バイオガス中のメタン濃度が低下する際にのみ行って、一定値Cを下回らないように制御してもよい。
図3は、本発明のバイオガス調質装置による調質の前後におけるバイオガス中のメタン濃度の他の例を示したものである。図中、破線は調質前のバイオガスを、実線は調質後の調質バイオガスを示している。
本態様では、上述したように、メタン濃度の低下時(T)のみ電位印加を行うことにより、低濃度時に十分な濃度増加分bを得て、一定値Cを下回らないように制御している。
また、メタン高濃度時において電位印加を行わないことにより、メタン低濃度時と高濃度時における濃度差ΔCが更に縮小し、メタン濃度をより安定化する効果が得られる。
このような電位印加の制御を行う場合は、バイオガス中のメタン濃度の低下を検出するメタン濃度検出手段を設けて、バイオガス中のメタン濃度をモニタリングすることが好ましい。
本発明のバイオガス調質装置に供されるバイオガスは、メタン発酵槽から生成し、ある範囲で経時的にメタン濃度が変化するメタン及び二酸化炭素を含有するバイオガスであり、好ましくは、メタン濃度の変化が40〜70%の範囲であり、二酸化炭素濃度の変化が60〜30%の範囲であることである(前記二酸化炭素濃度については、全量をメタンと二酸化炭素で100%とした場合の比率である。)。
例えば、搾乳牛糞尿をメタン発酵して得られるバイオガスは、通常、メタン濃度の変化が45〜60%の範囲であり、二酸化炭素濃度の変化が40〜55%の範囲であり、本発明を好ましく適用することができる。
本発明のバイオガス調質装置における調質は、連続式又はバッチ式の何れであってもよく、バイオガス中のメタン濃度を、燃料としての水準を満たす55%以上に安定化する場合、調質部におけるバイオガスの滞留時間(連続式)又は保持時間(バッチ式)は、調質部における導電性微生物担体の充填密度や、その他の反応条件によっても異なるが、実用的には、好ましくは0.5分〜20分、より好ましくは2分〜10分、さらに好ましくは3分〜8分である。
本発明のバイオガス調質装置では、調質部に担持されたメタン菌による微生物代謝反応が、上述の調質に寄与する。
調質部へのメタン菌の供給方法は、限定されるものではないが、メタン発酵槽の消化液等のメタン菌含有液を調質部に含浸する方法が好適である。
調質部は、上述の平衡論で説明したメタン生成側の電位を印加でき、且つメタン菌を担持可能な導電性微生物担体により形成される。
本発明において、導電性微生物担体としては、有機物を、好ましくは1250℃以上、より好ましくは1400℃以上で、還元雰囲気下で焼成または再焼成して得られる高温焼成炭素のうち、ラマン分光スペクトルにおける1580cm−1ピーク強度(P1)と1360cm−1ピーク強度(P2)の比(P1/P2)が0.85以上、好ましくは1.00以上、より好ましくは1.20以上の高温焼成炭素、及び/又は、ESCA(X線光電子分光)による表面分析において、C1S及びO1Sピーク面積から求める元素数比O/Cが1〜10%、好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜3%である高温焼成炭素を選別したものを好ましく用いることができる。
上記の高温焼成炭素を導電性微生物担体として用いた場合に、メタン生成側の電位が調質部全体に好ましく形成され、また、優れたメタン菌の担持性が得られる。有機物を高温焼成又は再焼成すれば必ず上記特性を備えるわけではないので、上記のラマン分光スペクトル、及び/又は、ESCA(X線光電子分光)による選別は本発明において重要である。
還元雰囲気下とは、酸素元素を含まない気体中を意味し、酸素元素を含まない気体としては、窒素等を好ましく例示できる。
高温焼成炭素の導電性は、高温焼成炭素を形成するグラファイト質の結晶構造により付与される。ラマン分光スペクトルにおける1580cm−1ピーク強度(P1)と1360cm−1ピーク強度(P2)の比(P1/P2)を測定することで、炭素表面(数〜数10原子層程度)の構造に起因した導電性を評価できる。特に、高温焼成炭素を導電性微生物担体として用いる本発明では、担持微生物との間の電子移動を効率的に行うために、表面導電性が重要となる。そのため、本発明では、ラマン分光スペクトルにより表面構造を特定された高温焼成炭素を好ましく用いることができる。なお、炭素内部の結晶構造を反映するX線回折は、このような表面構造の特定に適さない。
炭素表面における顕微ラマンスペクトルを図4に示す。
このスペクトルには、グラファイト質を示すピーク(1580cm−1)と炭素質を示すピーク(1360cm−1)とが現われている。
炭素質が十分にグラファイト化されていると、グラファイト質を示すピークが高く、炭素質を示すピークが低くなる。導電性は主にグラファイト質によって与えられるものであるから、上記のように、グラファイト質を示すピークが高く、炭素質を示すピークが低いことが好ましい。
上述したように、導電性微生物担体が、ラマン分光スペクトルにおける1580cm−1ピーク強度(P1)と1360cm−1ピーク強度(P2)の比(P1/P2)が0.85以上の高温焼成炭素であれば、優れた導電性を得ることができ、メタン生成側の電位を調質部の前記導電性微生物担体全体に好ましく形成し、担持微生物との間の電子移動も効率的に行われ、バイオガス調質の効率を有意に向上させることができる。
一方、ESCAによるC1S及びO1Sピーク面積から求める元素数比O/Cは、高温焼成炭素の表面における酸素含有官能基(ヒドロキシ基、カルボキシル基、オキソ基など)の形成状態を示し、この値が高いと酸素含有官能基が多く形成されており、低いと形成が少ないと判断できる。
高温焼成炭素の表面に酸素含有官能基が多く形成された場合(元素数比O/Cが10%を超える場合)、酸素含有官能基は、高温焼成炭素に導電性を付与するグラファイト質を被覆してしまうため、高温焼成炭素間の電気的な接続に対して立体障害となり、その結果、導電性が低下する。高温焼成炭素と担持微生物との間や、高温焼成炭素と電子メディエーターとの間の導電性の低下にも繋がる。
さらに、多量に形成された酸素含有官能基は、高温焼成炭素の表面の物性にも大きな影響を及ぼす。つまり、酸素含有官能基は、酸素原子の影響により負電荷を帯び易いため、高温焼成炭素の表面が負電荷を帯びることになる。その結果、高温焼成炭素同士の接触は、酸素含有官能基が静電的障害となって、静電反発力により阻害される。その結果、導電性が更に低下する。
更にまた、一般に微生物の表面は負電荷を帯びているため、高温焼成炭素に対する微生物の接触乃至担持も、上述の立体障害及び静電的障害によって阻害され、微生物担持数までもが低下することになる。
元素数比O/Cが10%以下であれば、酸素含有官能基による立体障害及び静電的障害の形成が防止され、バイオガス調質の効率を有意に向上させることができる。
また、元素数比O/Cが1%以上であれば、高温焼成炭素の水素過電圧を高めることができるため、上述した水の電気分解による水素の発生を防止できる。元素数比O/Cが1%以上であれば、酸素過電圧も向上するため、水の電気分解による酸素の発生も防止可能である。
また、高温焼成炭素は、有機物の燃焼により高温焼成炭素は微多孔性となるため、膨大な比表面積を有し、即ち、担持可能な微生物数が大幅に増加する。その結果、バイオガス調質の効率が更に向上する。
本発明の高温焼成炭素は、窒素吸着により測定したBET比表面積が1m/g(窒素吸着量)以上であることが好ましく、5m/g(窒素吸着量)以上であることがより好ましい。
さらに、炭素が微生物との親和性に優れることは知られているが、高温焼成炭素もまた、微生物と電極との親和性に優れ、メタン菌含有溶液に浸漬するだけでメタン菌を担持することができる優れた吸着性と、電位の印加を行ってもメタン菌の菌体破壊を生じ難いという菌体非破壊性に優れる。
本発明において、導電性微生物担体として用いられる高温焼成炭素の好ましい具体例として、竹炭又は木炭、活性炭再焼成して得られる粒状体、炭素繊維集合を例示でき、以下に説明するように、充填層を形成した際の圧力損失の増加を防止できる竹炭又は木炭が、特に好適である。
本発明において、導電性微生物担体を形成する竹炭又は木炭(それらの破砕片であってもよい)は、調質部に充填された際に圧力損失を増大させない形状が好ましく、具体的には、充填密度を疎にする手法が好ましい。充填密度を疎にする手法は、竹炭又は木炭の粒径を大きくする手法や、充填した際に必然的に疎になるような形状の竹炭又は木炭を使用する手法などがある。
竹炭又は木炭の粒径を大きくする手法の場合には、粒径が小さい方が、バイオガス調質に対して制限的な要因となりえるので、最低の粒径を規定することは意味がある。本発明では、破砕された竹炭又は木炭の場合に、その粒径(直径)は、1cm以上が好ましく、より好ましくは3cm以上、さらに好ましくは5cm以上であることである。粒径は、破砕された竹炭又は木炭が円形でない場合には円形に換算した径を意味する。
充填した際に必然的に疎になるような形状の竹炭又は木炭を使用する手法では、原料の形のまま焼成した竹炭又は木炭を用いることが挙げられる。たとえば竹炭の場合には、長さ5cm〜10cm程度の円筒竹炭をそのまま調質部に充填すれば、充填された状態で間隙が大きく、圧損が、バイオガス調質に対して制限的な要因にはならない。また竹原料を線状に裁断して、格子状に平織りして、その後焼成して得られた網状竹炭を用いれば、それらを積層するだけでも、充填された状態で間隙が大きく、圧損が、バイオガス調質に対して制限的な要因にはならない。また網状竹炭の層と円筒竹炭の層を交互に積層する手法も好ましい態様として例示できる。
図5は、本発明に係るバイオガス調質装置を示す概略図である。
図5において、1はバイオガス調質装置本体であり、2はバイオガス調質装置本体1の内部に設けられた調質部である。調質部2には、微生物を担持した導電性微生物担体が充填されている。
また、3は導電性微生物担体と接触し、これに二酸化炭素−メタン平衡系をメタン生成側に傾ける電位を印加可能に設けられた電位印加極であり、4は対極、5は参照極である。
さらに、6は調質部2にメタン菌含有液を注入するメタン菌含有液注入部である。
メタン菌含有液を調質部2に循環供給することも好ましく、例えば、調質部2の下部から流出するメタン菌含有液を排出するメタン菌含有液排出口7、排出されたメタン菌含有液を蓄えるメタン菌含有液タンク8、メタン菌含有液タンク8のメタン菌含有液をメタン菌含有液注入部6に送液する循環ポンプ9を設けることができる。メタン菌含有液タンク8には、系外からメタン菌含有液が適宜補給されるようにしてもよい。
10はバイオガス調質装置本体1の下部に設けられたバイオガス導入口であり、メタン発酵槽から生成したバイオガスが導入される。導入されたバイオガスは、調質部2でメタン菌含有液と気液接触し、バイオガス中のメタン濃度を一定値以上に安定化する調質が行われる。11は調質後の調質バイオガスを排出するバイオガス排出口である。
次に、本発明のバイオガス調質装置を備えたバイオガスシステムについて説明する。
本発明のバイオガスシステムの第一態様は、メタン発酵槽と、該メタン発酵槽から生成されるバイオガスを導入して含有する硫化水素を除去する脱硫塔と、該脱硫塔から生成されるバイオガスを導入してバイオガス調質を行う上述のバイオガス調質装置とを有する。
第一態様では、バイオガス調質装置において、メタン菌による微生物代謝反応が、硫化水素等の不純物によって阻害されることがなく、効率的に調質が行われるという効果が得られる。
本発明のバイオガスシステムの第二態様は、メタン発酵槽と、該メタン発酵槽から生成されるバイオガスを導入してバイオガス調質を行う上述のバイオガス調質装置と、該バイオガス調質装置から生成されるバイオガスを導入して含有する硫化水素を除去する脱硫塔とを有する。
上述した第一態様では、バイオガス調質装置に導入される前の段階で、バイオガスが脱硫塔で気液接触するため、バイオガス中の二酸化炭素の一部が脱硫塔内の水に拡散して除去される場合がある。これに対して第二態様であれば、メタン発酵槽からの二酸化炭素がバイオガス中に保持された状態でバイオガス調質装置に導入されるので、より多くの二酸化炭素をメタンに転化して調質できるという効果が得られる。
本発明のバイオガスシステムにより得られたバイオガスは、例えばバイオガス貯蔵タンクに貯蔵してもよいし、バイオガスエンジンに直接供給してもよい。本発明のバイオガス調質装置を経たバイオガスは、メタン濃度が一定値以上で安定化しており、即ちカロリーが安定しているため、バイオガスエンジンに直接供給しても、燃料として好適に機能する。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
図6に示す試験用のバイオガス調質装置を用いて、バイオガス中の二酸化炭素のメタン変換試験を行った。
図6のバイオガス調質装置において、調質部22は、有機物を1400℃で、還元雰囲気下で焼成して得た炭素繊維フェルトからなる。
調質部22は、体積60cmの円柱状に形成され、電位印加極23と接続されている。
調質部22の外周側には、陽イオン交換膜を介して、円筒状に形成された対極24が配設されている。
調質部22には、メタン発酵槽から採取されたメタン菌を含有する消化液が含浸されている。
円柱状の調質部22において、長手方向の一端にはバイオガス導入口25が設けられ、多端にはバイオガス排出口26が設けられている。
前記バイオガス導入口25は、メタン発酵槽から生成するバイオガスの一部を採取したテドラーバッグ27と、ポンプ28及びニードル弁29を有する配管により、接続されている。これにより、バイオガス調質装置に、一定の流量のバイオガスが供給される。
前記バイオガス排出口26は、配管により他のテドラーバッグ30に接続され、その配管上には、ガスサンプリング用のT字管31が設けられている。
また、前記バイオガス導入口25に隣接して参照極挿入用のT字管31が設けられ、T字管31には、作用極を含浸する消化液と接触するように参照極32が挿入されている。参照極32にはAg/AgCl電極を用いた。調質部22への印加電位は、−0.8(V vs Ag/AgCl)、つまり、標準水素電極基準で約−1Vとした。
テドラーバッグ27から、メタン濃度52%、二酸化炭素濃度48%のバイオガスを調質部22に1ml/minの流量で供給した。調質部22におけるバイオガスの滞留時間は6分であった。調質部22のpHは8に、温度は20℃に保った。
ガスサンプリング用のT字管から採取された、調質バイオガス中の成分は、メタン濃度76%、二酸化炭素濃度24%であった。
また、回路に11μAの電流値が観察されたことから、メタンが電解によって生成したことがわかる。(電解還元によるCO→CH変換に要する理論電流値は45mAである。)
1:バイオガス調質装置本体
2、22:調質部
3、23:電位印加極
4、24:対極
5、32:参照極
6:メタン菌含有液注入部
7:メタン菌含有液排出口
8:メタン菌含有液タンク
9:循環ポンプ
10、25:バイオガス導入口
11、26:バイオガス排出口
27、30:テドラーバッグ
28:ポンプ
29:ニードル弁
31:T字管

Claims (5)

  1. メタン発酵槽と、
    該メタン発酵槽から生成したバイオガスを導入して調質を行うバイオガス調質装置とを有するバイオガスシステムであって、
    前記バイオガス調質装置は、
    該メタン発酵槽から、経時的にメタン濃度が一定値を下回るように変化するメタン及び二酸化炭素を含有する前記バイオガスを導入するバイオガス導入口と、調質後のバイオガスを排出するバイオガス排出口を備えたバイオガス調質装置本体を有し、
    該バイオガス調質装置本体内に、メタン菌含有液に含浸された導電性微生物担体を充填した充填層からなる調質部を備え、
    該調質部で前記メタン菌含有液と、前記バイオガス導入口から導入された前記バイオガスを気液接触させる構成を有し、
    該調質部の導電性微生物担体に電位を印加する電位印加極を設け、該電位印加極への電位印加を介して前記導電性微生物担体に電位印加して、二酸化炭素−メタン平衡系をメタン生成側に傾けると共に、該調質部において、前記バイオガス導入口から導入された調質前の前記バイオガス中のメタン濃度の低下に応じて速度論による反応量の減少傾向が軽減されてメタン生成速度が上昇することを利用して、前記調質後のバイオガス中のメタン濃度を前記一定値以上に安定化する調質を行う構成を有することを特徴とするバイオガスシステム。
  2. 前記調質部における調質に際して常時電位印加を行うことを特徴とする請求項1記載のバイオガスシステム。
  3. 前記調質部における調質に際してバイオガス中のメタン濃度の低下時にのみ電位印加を行うことを特徴とする請求項1記載のバイオガスシステム。
  4. 前記調質部におけるバイオガスの滞留時間又は保持時間は、0.5分〜20分であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のバイオガスシステム。
  5. 請求項1〜の何れかに記載のバイオガスシステムを用いて、前記メタン発酵槽から生成した前記バイオガスを、前記バイオガス調質装置の前記調質部に導入して前記調質を行うことを特徴とするバイオガス調質方法。
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