JP5641205B2 - 糖鎖修飾が抑制された改変Stx2eタンパク質 - Google Patents
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しかしながら、このような方法は、注射の労力がかかるなど高コストであることなどから、この方法を代替、補完する技術が求められていた。このような技術の一つとして、植物を用いてワクチンを生産し、ワクチン生産植物を家畜に経口投与することが検討されている。
特許文献1には、植物由来の分泌シグナルペプチドがアミノ末端に付加されたStx2e Bサブユニットタンパク質を、植物由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5'−非翻訳領域(ADH5’UTR)を用いて発現させることにより、Stx2e Bサブユニットタンパク質をレタス等の植物に効率良く生産させ、植物体に高濃度で蓄積させる技術が開示されている。
特許文献2には、2つ又は3つのStx2e Bサブユニットタンパク質を特定のペプチドを介してタンデムに連結したタンパク質を植物に生産させ、Stx2e Bサブユニットタンパク質を、植物体に高濃度で蓄積させる技術が開示されている。
また、酵母や昆虫細胞においては、N−結合型糖鎖が、Asn−X−Cys(Xは任意のアミノ酸を示す。)配列中のAsn残基に付加されるという報告がある(非特許文献3〜5)。
Bサブユニットタンパク質を生産させることに成功しているが、生産の目的とするStx2e Bサブユニットタンパク質と共に、これより分子量が僅かに大きい分子量のタンパク質も生産されていることを発見した。
本発明者らは、この分子量の大きいタンパク質について解析した結果、該タンパク質は、N−結合型糖鎖を有していることを発見した。さらに、本発明者らは、該タンパク質の糖鎖修飾部位について更に検索を行った結果、これまで酵母や昆虫細胞における糖鎖修飾部位として報告されており、植物における糖鎖修飾部位としては報告されていない部分アミノ酸配列Asn(アスパラギン)−X−Cys(システイン)(Xは、任意のアミノ酸を示す。)のAsn残基に、糖鎖が結合していることを発見した。
特に、植物特有のα−1,3−フコース、β−1,2−キシロースを有する糖鎖は、上述の通り、家畜においてアレルゲンとなる可能性があること、さらには、ワクチンに糖鎖修飾を有するタンパク質が混在すると、本来期待するStx2e免疫原性の低下や品質の均一性の低下が起こる可能性もあることから、糖鎖修飾は回避することが望ましい。
また、本発明は、上記方法により生産される新規なタンパク質、これを含む植物、及び
この新規なタンパク質や植物を利用したブタ浮腫病ワクチンを提供することを課題とする。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す。)
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の前記部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加したアミノ酸配列を有し、かつ、下記の部分アミノ酸配列を含まない、Stx2e免疫原性を有する改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す。)
(x)アミノ酸の個数が12〜30個
(y)Proの含有率が20〜35%
前記部分アミノ酸配列の改変の好ましい形態は、上述したとおりである。
当該形態により、上記タンパク質の植物への効率的な蓄積を実現することが可能となる
。
当該方法により、植物を用いたStx2e Bサブユニットタンパク質の生産における特有の問題である糖鎖修飾を抑制することが可能となる。
すなわち、本発明のDNAを植物細胞内で発現させることで、糖鎖修飾が抑制された改変Stx2e Bサブユニットタンパク質を植物に生産させることが可能となる。このようにして得られた改変Stx2e Bサブユニットタンパク質は、アレルゲン性の抑制に寄与する。また、このようなタンパク質は、期待する免疫原性、或いは品質の均一性に寄与することも期待される。
本発明のDNAは、Stx2e免疫原性を有するタンパク質をコードする。
本発明において、「Stx2e免疫原性を有する」とは、ブタに投与した場合に抗Stx2e抗体を誘導することを意味する。
本発明の一形態では、本発明のDNAがコードするタンパク質は、(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質である。
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す。)
本明細書において、単に「Stx2e Bサブユニットタンパク質」、「Stx2eB」という場合には、上記成熟領域のアミノ酸配列からなるStx2e Bサブユニットタンパク質を指す。
例えば、55位のAsnを他のアミノ酸に置換する場合には、Asnと同じ親水性のアミノ酸であるSer、Gln、Thr、Asp、Gluに置換することが挙げられる。中でも、Ser、Gln、Thrに置換することが好ましく、更にはSerに置換することが好ましい。Serが特に好ましい理由は、Stx2e Bサブユニットに類似するStx2 Bサブユニットが、上記55位に相当する位置にSerを持つことから見て、置換による立体構造の変化を小さくすることができると考えられるからである。配列番号3に、配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位のAsnがSerに置換されたアミノ酸配
列を示す。
また、例えば、57位のCysを他のアミノ酸に置換する場合には、Cysと同じ親水性のアミノ酸であるTyr、Asn、Glnや、疎水性アミノ酸のうち側鎖の小さなGlyやAlaが挙げられる。配列番号4に、配列番号1で表されるアミノ酸配列の57位のCysがAlaに置換されたアミノ酸配列を示す。
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す。)
また、(B)に示す改変Stx2e Bサブユニットタンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位又は57位のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するタンパク質であってもよい。
本発明の好ましい形態では、本発明のDNAは、2つ又は3つのStx2e Bサブユニットタンパク質が全て改変Stx2e Bサブユニットタンパク質に置換した構造のハイブリッドタンパク質をコードする。
(x)アミノ酸の個数が12〜30個
(y)Pro(プロリン)の含有率が20〜35%
また、前記ペプチドにおいて、プロリンは、好ましくは2つ置き、又は3つ置きに配置される。但し、この場合でも、ペプチドの末端においては、プロリン以外のアミノ酸が、5つ以内、好ましくは4つ以内の範囲で連続していてもよい。
前記ペプチドは、好ましくは、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(PG12スペーサー)、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(PG12ver2スペーサー)、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(PG17スペーサー)、又は、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(PG22スペーサー)から選ばれる。
本発明のDNAがコードするハイブリッドタンパク質は、例えば、配列番号9や10で表されるアミノ酸配列を有する。配列番号9で表されるアミノ酸配列を有するハイブリッドタンパク質は、2つの改変Stx2e Bサブユニットタンパク質(55位の置換)が、PG12スペーサーを介してタンデムに連結されている。配列番号10で表されるアミノ酸配列を有するハイブリッドタンパク質は、2つの改変Stx2e Bサブユニットタンパ
ク質(55位の置換)が、PG12スペーサーを介してタンデムに連結され、さらにそのC末端にPG12スペーサーが連結されている。このようなハイブリッドタンパク質は、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質として、上述した配列番号1に示すアミノ酸配列における57位が置換されたものであるものであってもよい。
前記PG12スペーサーなどのペプチドを、改変Stx2eBタンパク質を連結するためのリンカーとして使用することにより、改変Stx2eBタンパク質の植物細胞への蓄積レベルが増大する(特許文献2参照)。
分泌シグナルペプチドは、好ましくはナス科(Solanaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、キク科(Asteraceae)、アカバナ科(Onagraceae)に属する植物、さらに好ましくはタバコ属(Nicotiana)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、アキノノゲシ属(Lactuca)、マツヨイグサ属(Oenothera)等に属する植物、より好ましくはタバコ(Nicotiana tabacum)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、レタス(Lactuca sativa)、コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)等に由来する。
また、好ましくはタバコのβ−Dグルカンエキソヒドロラーゼ(β-D-glucan exohydrolase)、タバコの38kDa ペルオキシダーゼ(GenBank Accession D42064)に由来する。
前記分泌シグナルペプチドとしては、例えば、タバコのβ−Dグルカンエキソヒドロラーゼに由来する、配列番号11で表されるアミノ酸配列を有しているペプチドが挙げられる。
本発明のDNAがコードするタンパク質は、そのカルボキシル末端に、好ましくは、小胞体残留シグナルペプチドが付加されている。小胞体残留シグナルペプチドとしてはHDEL配列(配列番号12)を含む小胞体残留シグナルペプチドが挙げられる。
。また、好ましくは、セイヨウワサビペルオキシダーゼC1a アイソザイムに由来する。
コドン改変の方法としては、例えばKang et al. (2004)の方法を参考にすることができる。また、宿主細胞において使用頻度の高いコドンを選択したり、GC含量が高いコドンを選択したり、宿主細胞のハウスキーピング遺伝子において使用頻度の高いコドンを選択したりする方法が挙げられる。
例えば、GC含量が高いコドンを選択した配列番号13で表される塩基配列を有するDNAを、本発明のDNAとして用いることができる。
エンハンサーとしては、Kozak配列や植物由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域が挙げられる。特に好ましくは、上記タンパク質をコードするDNAが、植物由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域に発現可能に連結されている。
前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域としては、例えばタバコ(Nicotiana tabacum)由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域(NtADH5'UTR)である、配列番号14で表される塩基配列からなる領域が挙げられる。
個、さらに好ましくは2〜5個、特に好ましくは2〜3個である。
また、前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域と好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上の同一性を有し、かつ翻訳量増大機能を保持しているDNAを使用してもよい。
配列番号16で表される塩基配列を有するDNAは、ATG近傍配列改変型タバコ由来のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子の5’−非翻訳領域(NtADH5'UTRmod、配列番号15)に、2つの改変Stx2e Bサブユニットタンパク質(55位の置換)をPG12スペーサーを介してタンデムに連結したハイブリッドタンパク質をコードするDNAを連結したDNAである。
また、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質と他のタンパク質のハイブリッドタンパク質や改変Stx2e Bサブユニットタンパク質を、上記特定のペプチドを介してタンデムに連結したハイブリッドタンパク質をコードするDNAを合成する場合には、各タンパク質をコードするDNAを終止コドンを除いて読み枠を合わせて連結すればよい。例えば、2つの改変Stx2e Bサブユニットタンパク質を、上記特定のペプチドを介してタンデムに連結したハイブリッドタンパク質をコードするDNAは、例えば、配列番号13に示す改変Stx2e Bサブユニットタンパク質をコードするDNAと、配列番号5に示すPG12スペーサーとを終止コドンを除いて読み枠を合わせて連結することにより、合成することができる。
e Bサブユニットタンパク質をコードするDNAの合成において、用いるプライマーの塩基配列を目的のアミノ酸配列をコードするように変更すればよい。
また、実施例において示すように、Stx2e Bサブユニットタンパク質をコードするDNAを含むプラスミドを鋳型に用い、適当なプライマーを用いて、インバースPCRを行うことにより、目的のアミノ酸に対応するコドンを規定するように塩基置換することができる。
a bacterial gene by a tobacco mosaic virus-based vector. Proc. Natl. Acad. Sci.(1991) 88: 7204-7208を参照。)
まず、本発明のDNAを適当な制限酵素で切断又はPCRによって制限酵素部位を付加し、ベクターの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入する。
形質転換の対象となる植物細胞及び植物の種類は、特に制限されないが、ナス科(Solanaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、キク科(Asteraceae)、アカバナ科(Onagraceae)、アカザ科(Chenopodiaceae)に属する植物、さらに好ましくはタバコ属(Nicotiana)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、アキノノゲシ属(Lactuca)、マツヨイグサ属(Oenothera)等に属する植物、より好ましくはタバコ(Nicotiana tabacum)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、レタス(Lactuca sativa)、コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)等が好ましく用いられる。
tech. 5:27)、ポリカチオン法(Ohtsuki)などの方法を用いることが可能である。
本発明の組換えベクターを植物細胞に導入した後、選択マーカーの表現型によって本発
明の形質転換植物細胞を選抜することができる。また、選抜した形質転換植物細胞を培養することにより、目的とするタンパク質を生産することができる。培養に用いる培地及び条件は、形質転換植物細胞の種に応じて適宜選択することができる。
また、選抜した形質転換植物細胞を常法に従って培養することにより、植物体を再生することで、本発明の形質転換植物を得ることができ、植物細胞内又は植物細胞の細胞膜外に目的とするタンパク質を蓄積させることができる。植物体を再生する方法としては、例えば、植物細胞の種類により異なるが、ジャガイモであればVisserら(Theor.Appl.Genet 78:594(1989))の方法が挙げられ、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12(1971))の方法が挙げられる。
本発明のブタ浮腫病ワクチンをブタに投与する方法としては、ブタの飼料に本発明のブタ浮腫病ワクチンを混合してブタに与える方法、ブタに点鼻する方法などが挙げられる。
[試験例1]Stx2e Bサブユニットタンパク質の翻訳後修飾の解析
Stx2e Bサブユニットタンパク質(Stx2eB、配列番号1)の翻訳後修飾を解析するため、Stx2e B組換えベクター(ベクターType 1)で、シロイヌナズナ培養細胞、レタス子葉断片を形質転換し、形質転換体に蓄積したタンパク質を解析した。
(1)ベクターType 1の構築
2つのStx2eBをコードするDNAが、PG12スペーサー(配列番号5)をコードするDNAを介して連結されたDNAを含むベクターType 1を以下のようにして作製した。上記DNAのデザインを図1(a)に示す。
まず始めに、配列番号2に示す塩基配列に基づいて、GC含量が高くなるように、Stx2eBをコードするコドン改変DNAをデザインした(配列番号19)。次に、この配列番号
19に示す塩基配列に基づいて、下記の6種類の塩基配列を有するプライマーを作製した。
Stx2eB A:配列番号20
Stx2eB B:配列番号21
Stx2eB C:配列番号22
Stx2eB D:配列番号23
Stx2eB E:配列番号24
Stx2eB F:配列番号25
続いて、plasmid 2をNsiI で処理し、T4 DNA polymerase (TOYOBO社製)で末端を平滑化した後セルフライゲーションして、NtADH 5'UTRmodの開始コドン(atg)と分泌シグナルペプチドの開始コドンが一致するように連結した(plasmid 3)。
シロイヌナズナheat shock protein 18.2 遺伝子のターミネーター領域(HSP-T)断片を、HSPT-SacI-F プライマー(配列番号39)とHSPT-SpeIEcoRI-Rプライマー(配列番号40)を用いてPCR増幅し、plasmid 9のSacI-EcoRIギャップに挿入した(plasmid 10)。
NtADH5'UTRmod-S.P.-2×(Stx2eB-PG12)-HA-HDELに相当するDNA断片をKpnI-SacIを用いてplasmid 8から切り出し、plasmid 10のKpnI-SacIギャップに挿入し、2つのStx2eBがPG12スペーサーを介してタンデムに連結されたハイブリッドタンパク質2×Stx2eB-PG12をコードするDNAを含むベクターType 1を得た(図1(a))。
(i)形質転換アグロバクテリウムの作製
作製したベクターType 1を、エレクトロポレーション法を用いて、Agrobacterium tumefacience EHA105(Hood et al., Transgenic Res., vol. 2, pp. 208-218, 1993参照)に導入した。
EHA105の単一コロニーを 5 mlのYEB培地(Bacto-peptone 5 g/l, Beaf extract 5 g/l, Yeast extract 1 g/l, sucrose 5 g/l, MgSO4・7H2O 0.5 g/l)に植菌し、28 ℃で1晩振盪培養した。この培養液を、500 mlのYEP培地に植菌し、600 nmにおける濁度が0.5になるまで28 ℃で振盪培養した。培養液を遠心分離 (5000 rpm, 10分, 4 ℃ ;BECKMAN JLA-10,500ローター)により集菌して上清を捨て、菌体を洗浄するため 500 ml の滅菌水を加えて懸濁し、再度遠心分離 (5000 rpm, 10分, 4 ℃; BECKMAN JLA-10,500ローター) により集菌して上清を捨てた。この操作を 2 回繰り返した後、沈殿に20 ml の冷却した滅菌 10% glycerol を加えて懸濁した。ナルゲンチューブに移し遠心分離 (5000 rpm, 10 min, 4℃ BECKMAN JLA-10,500ローター) により集菌して上清を捨てた。沈殿に3 mlの冷却した滅菌10% Glycerolを加えて懸濁し、40 μlずつ1.5 ml微小遠心管に分注して、液体窒素で凍結させてから-80 ℃で保存した。
コンピテントセルを氷中で解凍後、1〜2 μlのベクターType 1溶液を加え、氷令した2 mmキュベットに移した。エレクトロポレーター(BIO RAD、Gene Pulser)により電気パルス(2.5 KV、25 μF、400 Ω)を与え、組換えベクターを導入した。1 mlのSOC培地を加え、28 ℃で1時間振盪培養した後、スピンダウンして上清を大部分除き、残った培地に菌体を懸濁して適当な抗生物質を含む LB 寒天培地上に広げ、30 ℃で2晩培養した。
レタス(Lactuca sativa L. cv. green wave)の種子を表面殺菌した後、0.8% アガーで固形化した3% スクロースを含む1/2 MS培地に播いた。25 ℃、16時間明期−8時間暗期の条件で培養し、発芽させた。子葉を0.5 cm角程度の大きさに切断して断片を作製し、これを1% (w/v) のTween 20を含むMS液体培地12 mlに浮かべた。光学密度(O.D.)が0.1程度になるまで培養したアグロバクテリウムの培養液3 mlと、終濃度 100 μM のアセトシリンゴンを添加し、10 分間静置した。余分な液をふき取った子葉を、選抜培地(0.05 mg/l
BA, 0.1 mg/l NAA, 0.5 g/l PVP, 50 mg/l カナマイシン、250 mg/l セフォタキシムを含むMS培地を0.8% アガーで固形化した培地)に静置した。25 ℃、16時間明期−8時間暗期の条件で培養し、1週間ごとに新しい選抜培地にのせかえた。4−8週間後に得られた再分化個体を、発根培地(0.5 g/l PVP、50 mg/l カナマイシン、250 mg/l セフォタキシムを含むMS培地を0.8 %アガーで固形化した培地)に移植した。
シロイヌナズナ培養細胞は、100 mlの改変LS培地を入れた300 mlのフラスコを連続明期、22 ℃で振盪培養した。1週間ごとに、2 mlの懸濁培養液を新しい改変LS培地に植え継いだ。カナマイシン100 mg/l を含む5 mlのLB培地で28 ℃、2晩培養したアグロバテリウム培養液500 μlと終濃度100 μMのアセトシリンゴンを、培養4日目のシロイヌナズナ培養細胞懸濁液 100 mlに添加し、2日間振盪培養した。アグロバクテリウムを除くため、培養液を 50 mlの遠心管に移して遠心(500 rpm, 5分, 25 ℃)し、上清を取り除いた。250
mg/lのカルベニシリンを含む改変LS培地を入れて遠心分離(500 rpm, 5分, 25 ℃)し、細胞を洗浄した。この操作を4回繰り返し、アグロバクテリウムを除いた培養細胞を250 mg/lのカルベニシリンを含む改変LS培地 100 mlに添加し、2日間振盪培養した。培養液を 50 mlの遠心管に移して遠心(500 rpm, 5分, 25 ℃)し、上清を一部取り除いて細胞濃度を1/2 v/v程度に調整した。250 mg/lのカルベニシリンと40 mg/l のカナマイシンを含む改変
LS寒天培地にまき、22 ℃、連続明期下に静置して培養した。約2-3週間後にカルス化した細胞を新しいプレートに移植し、増殖しているクローンを選択した。250 mg/lのカルベニシリンと40 mg/lのカナマイシンを含む改変LS培地に移し、継代培養を行った。
上記で得られた、形質転換されたシロイヌナズナ培養細胞及びレタス子葉断片を液体窒素中で破砕し、湿重量1 gあたり1 mlの10 mM Tris-HCl pH8.0と混合した。得られた混合液を遠心し(15,000 rpm, 20分, 4 ℃)、上清を回収した(GPF未処理試料)。回収した上清の一部を、タンパク質からN−結合型糖鎖を根本から切断する酵素であるグリコペプチダーゼF(GPF、TaKaRa Bio Inc.)で処理した(GPF処理試料)。
上記で得られたGPF未処理試料、及びGPF処理試料に、細胞湿重量1mgあたり5 μlとなるようにSDS-sample buffer を加え、95℃で10分間熱変性させ、解析用試料とした。15%アクリルアミドゲルを用いてタンパク質を分離後、エレクトロトランスファー装置を用いてPVDFメンブレン(Hybond-P; Amersham 社)上にタンパク質をブロットした。抗HA抗体(No. 11 867 423 001, Roche)を用いて、Stx2eBを検出した。
タンパク質サンプルを、GPFで処理した後にウェスタン解析を行った場合には、バンド2と3のシグナル強度が減少し、バンド1のシグナル強度が増加した。
このことから、バンド2は2×Stx2eB-PG12における2つのStx2eB-PG12の何れかにN-結合型糖鎖が付加したタンパク質に相当し、バンド3は2×Stx2eB-PG12における2つのStx2eB-PG12の両方にN-結合型糖鎖が付加したタンパク質に相当し、バンド1はN-結合型糖鎖が付加していない2×Stx2eB-PG12であると考えられた。
次に、Stx2eB-PG12のN-結合型糖鎖修飾部位について、解析した。
(1)Stx2e B組換えベクターの構築
(a)ベクターType 1の構築
試験例1の方法でベクターType 1を構築した(図1(a))。
(b)ベクターType 2の構築
一般に、N-結合型糖鎖はAsn-Y-Ser/Thr(YはPro以外のアミノ酸を示す。)という配列中のAsn残基に付加されるといわれている(非特許文献2)。Stx2eBのアミノ酸配列中にはこの配列は存在しないが、PG12スペーサーとStx2eBのつなぎ目にはAsn-Arg-Ser(AsnがStx2eBのC末端アミノ酸であり、その後にPG12スペーサーのアミノ酸配列が続く)という配列が存在する。このAsn残基にN-結合型糖鎖が付加されているかどうかを検証するために、このつなぎ目に存在するSer(配列番号5に示すアミノ酸配列の2位)をAlaに置換したPG12ver2スペーサー(配列番号6)を介して2つのStx2eBを連結したハイブリッドタンパク質をコードするDNAを含むベクターType 2を、以下の方法で作製した(図1(b))。
酵母や昆虫細胞においてはAsn-X-CysXは任意のアミノ酸を示す。という配列中のAsn残基にN-結合型糖鎖が付加されるという報告がある(非特許文献3〜5)。Stx2eBの一次配列中にはAsn-Thr-Cysという配列が存在する。
このAsn-Thr-CysへのN-結合型糖鎖付加の有無を検証するために、上記で得たベクターType 2において、Stx2eBに存在するAsn-Thr-Cys配列(配列番号1の55〜57位に相当する配列)のAsnをSerに置換したDNAを含むベクターType 3を、以下の方法で作製した(図1(c))。
まず、上記のplasmid 2を鋳型として用い、Stx2eBN55S-Fプライマー (配列番号42)とStx2eBN55S-Rプライマー(配列番号43)を用いてインバースPCRを行い、Stx2eBのアミノ酸配列の55位のAsnを規定するコドンを構成する塩基を置換した(plasmid 11)。
続いて、Stx2eBN55Sの下流にPG12スペーサーを挿入するために、PG12-F プライマー(配列番号35)とPG12-R プライマー(配列番号36)をアニーリングしてT4 PNK でリン酸化した。得られたリン酸化DNA断片を、plasmid 11のBglIIギャップに挿入した(plasmid
12)。plasmid 12を鋳型として、Stx2eB Aプライマー(配列番号20)とPG12ver2-Rプライマー(配列番号41)を用いてPCRを行い、Stx2eBN55SとPG12スペーサーとのつなぎ目のAsn-Arg-Ser配列のSerを規定する塩基配列をAlaを規定する塩基配列に置換し、得られたDNA断片をpUC118のHincIIサイトに導入した(plasmid 13)。
plasmid 13からBamHIとBglIIを用いてStx2eBN55S-PG12ver2に相当するDNA断片を切り出し、このDNA断片を、plasmid 13のBamHIサイトに挿入して2つのStx2eBN55S-PG12ver2に相当するDNA断片を連結した(plasmid 14)。plasmid 14から、2×Stx2eBN55S-PG12ver2に相当するDNA断片を、BamHIとBglIIを用いて切り出し、ベクターType 1のBamHI-BglIIギャップに挿入した(ベクターType 3)。
典型的なN-結合型糖鎖付加配列であるAsn-Y-Ser/Thr(YはPro以外のアミノ酸を示す。)においては、三番目のSerもしくはThrが重要な働きをすることが示されている。Stx2eBのAsn-Thr-Cys配列へのN-結合型糖鎖付加においても三番目のCysが重要であると予想される
。このことを検証するために、上記で得たベクターType 2において、Stx2eBに存在するAsn-Thr-Cys(配列番号1の55〜57位に相当する配列)のCysをAlaに置換したDNAを含むベクターType 4を、以下の方法で作製した(図1(d))。
下記の要領で、配列番号1に示すStx2eBのアミノ酸配列の57位のCysをAlaに置換した改変Stx2eB(以下、Stx2eBC57A)をコードするDNAを含むベクターを作製した。plasmid 2を鋳型として用い、Stx2eBC57A-Fプライマー (配列番号44)とStx2eBC57A-Rプライマー(配列番号45)を用いてインバースPCRを行い、57位のCysに相当する塩基を置換した(plasmid 15)。続いて、Stx2eB5C57Aの下流にPG12スペーサーを挿入するために、PG12-F プライマー(配列番号35)とPG12-R プライマー(配列番号36)をアニーリングしてT4 PNK でリン酸化した。得られたリン酸化DNA断片を、plasmid 15のBglIIギャップに挿入した(plasmid 16)。Plasmid 16を鋳型として、Stx2eB Aプライマー(配列番号20)とPG12ver2-Rプライマー(配列番号41)を用いてPCRを行い、リンカー領域のAsn-Arg-Ser配列をAsn-Arg-Alaに置換し、得られたDNA断片をpUC118のHincIIサイトに導入した(plasmid 17)。
plasmid 17からBamHIとBglIIを用いてStx2eBC57A-PG12ver2に相当するDNA断片を切り出し、このDNA断片を、Plasmid 17のBamHIサイトに挿入して、2つのStx2eBC57A-PG12ver2に相当するDNA断片を連結した(plasmid 18)。plasmid 18から2×Stx2eBC57A-PG12ver2に相当するDNA断片を、BamHIとBglIIを用いて切り出し、ベクターType 1のBamHI-BglIIギャップに挿入した(ベクターType 4)。
(i)プロトプラストの作製
シロイヌナズナの培養細胞懸濁液を、40 gで5分間遠心分離して、培養細胞を回収した。回収した培養細胞を50mlのプロトプラスト化酵素溶液 (1.0% cellulose RS (ヤクルト本社), 0.25% macerozyme R-10 (ヤクルト本社), 400mM マンニトール, 8mM CaCl2, and 5mM Mes-KOH, pH 5.6)に浸漬し、室温で約一時間半振盪した。続いて、プロトプラスト懸濁液を60gで5分間遠心し、プロトプラストを沈殿させた。プロトプラストを167mMマンニトールおよび133mM CaCl2を含む水溶液に再懸濁し、40gで5分間遠心した。プロトプラストを333mMマンニトールおよび66.7mM CaCl2を含む水溶液に再懸濁し、40gで5分間遠心した。プロトプラストをW5 solution (154mM NaCl, 125mM CaCl2, 5mM KCl, 2mM Mes-KOH, pH 5.6)に懸濁し、氷上に1時間静置した。プロトプラスト懸濁液を40gで5分間遠心し、プロトプラスト濃度が2×106個/mlになるように、MaMg solution (400mM マンニトール, 15mM MgCl2, and 4mM Mes-KOH, pH 5.6)に懸濁した。
上記で作製したベクターType 1、Type 2、Type 3、Type 4を、それぞれ120μlのプロトプラスト懸濁液と混合した後、140μlのPEG solution (400mM マンニトール, 100mM Ca(NO3)2, and 40% PEG)を加えて穏やかに混和し、7分間インキュベートした。約20分間かけて1mlのW5 solutionをプロトプラスト懸濁液に添加した。遠心により沈殿させたプロトプラストに、400mM マンニトールとW5 solutionを4:1の割合で混ぜた溶液を1ml添加した。遠心により沈殿させたプロトプラストに、1%スクロース、400mM マンニトールおよび0.3mMカルベニシリンを含むLS培地を0.5 ml添加し、暗所25 ℃で24時間培養した。
上記で得られた、培養細胞を液体窒素中を用いて破砕し、実施例1と同様の方法で、GPF処理した。
実施例1と同様の方法で、ウェスタン解析を行った。結果を図3、図4に示す。
ベクターType 1を導入した場合は、17 kDa(バンド1)と20 kDa (バンド2)の2本のバンドが検出され、23 kDaのバンドは検出限界以下であった(図3)。タンパク質サンプルをGP
Fで処理した後にウェスタン解析を行った場合、バンド2が消失しバンド1のみが検出された。このことから、一過性発現実験においても2×Stx2eB-PG12にはN-結合型糖鎖が付加されることがわかった。ベクターType 2を発現した場合も、バンド1とバンド2の2本のバンドが検出された(図3)ことから、Stx2eB C末端のAsnは主な修飾部位ではないと考えられる。一方、ベクターType 3を発現した場合にはバンド1のみが検出された(図3)。このことからStx2eBのAsn-Thr-Cys配列中のAsn(配列番号1の55位)にN-結合型糖鎖が付加されていると考えられる。同時に、Asn-Thr-Cys配列中のAsnをSerに置換することでN-結合型糖鎖付加を回避できることがわかった。また、ベクターType 4を発現した場合には、バンド1のみが検出された(図4)。このことから、三番目のCys残基がN-結合型糖鎖付加において重要であり、同時にこのCysに変異を導入することでN-結合型糖鎖の付加を回避できることがわかった。
イネの培養細胞、タバコの培養細胞、コマツヨイグサの葉から作製したプロトプラストを用いてベクターType 2、ベクターType 3の一過性発現実験を行った。
(i)プロトプラストの作製
イネの培養細胞、タバコの培養細胞、コマツヨイグサの葉を用いて、試験例2と同様の方法によりプロトプラスト懸濁液を調製した。
上記で作製したベクターType 2、Type 3を、それぞれ120μlのプロトプラスト懸濁液と混合した後、140μlのPEG solution (400mM マンニトール, 100mM Ca(NO3)2, and 40% PEG)を加えて穏やかに混和し、7分間インキュベートした。約20分間かけて1mlのW5 solutionをプロトプラスト懸濁液に添加した。遠心により沈殿させたプロトプラストに、400mM マンニトールとW5 solutionを4:1の割合で混ぜた溶液を1ml添加した。遠心により沈殿させたプロトプラストに、1%スクロース、400mM マンニトールおよび0.3mMカルベニシリンを含むLS培地を0.5 ml添加し、暗所25 ℃で24時間培養した。
試験例1と同様の方法で、ウェスタン解析を行った。結果を図5に示す。
いずれの細胞を用いた場合も、ベクターType 2を導入した場合は、17 kDa(バンド1)と20 kDa (バンド2)の2本のバンドが検出されたが、ベクターType 3を発現した場合にはバンド1のみが検出された。このことから、様々な植物種において、Asn-Thr-Cys配列中のAsnにN-結合型糖鎖が付加されており、同時にAsn-Thr-Cys配列中のAsnをSerに置換することでN-結合型糖鎖付加を回避できることがわかった。
一過性発現実験においてN-結合型糖鎖の付加が見られなかったベクターType 3の有用性を、シロイヌナズナ培養細胞、レタス子葉断片を用いた形質転換実験で確認した。
試験例1と同様の方法で、シロイヌナズナ培養細胞、レタス子葉断片の形質転換を行った。
試験例1と同様の方法で、ウェスタン解析を行った。結果を図6に示す。
ベクターType 3による形質転換体では、17 kDaのバンド1に相当するシグナルのみが検出された。このことから、形質転換体においても、Stx2eBのAsn-Thr-Cys配列中のAsn(配
列番号1の55位)をSerに置換することでN-結合型糖鎖付加を回避できることがわかった。
Claims (14)
- 下記の(A)又は(B)に示す、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質をコードする、DNA。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す)
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の前記部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加したアミノ酸配列を有し、かつ、下記の部分アミノ酸配列を含まない、Stx2e免疫原性を有する改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す) - 2つ又は3つの、下記の(A)及び/又は(B)に示す、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質が、それぞれ、下記の特徴(x)及び(y)を有するペプチドを介してタンデムに連結された、ハイブリッドタンパク質をコードする、DNA。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す)
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の前記部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加したアミノ酸配列を有し、かつ、下記の部分アミノ酸配列を含まない、Stx2e免疫原性を有する改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す)
(x)アミノ酸の個数が12〜30個
(y)Proの含有率が20〜35% - 前記部分アミノ酸配列の改変が、前記55位のアミノ酸の、Serへの置換である、請求項1又は2に記載のDNA。
- 前記部分アミノ酸配列の改変が、前記57位のアミノ酸の、Alaへの置換である、請求項1〜3の何れか一項に記載のDNA。
- アミノ末端に植物由来の分泌シグナルペプチドが付加された前記ハイブリッドタンパク質をコードする、請求項2〜4の何れか一項に記載のDNA。
- カルボキシル末端に小胞体残留ペプチド、又は液胞移行シグナルペプチドが付加された前記ハイブリッドタンパク質をコードする、請求項2〜5の何れか一項に記載のDNA。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載のDNAを含む組換えベクター。
- 請求項7に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換植物細胞又は形質転換植物。
- 請求項8に記載の形質転換植物から得られる種子。
- 請求項8に記載の形質転換植物細胞若しくは形質転換植物を原料とする、ブタ浮腫病ワクチン。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のDNAを、植物細胞内で発現させることを含む、
Stx2e免疫原性を有するタンパク質の生産方法。 - 下記の(A)又は(B)の改変Stx2e Bサブユニットタンパク質。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す)
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の前記部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加したアミノ酸配列を有し、かつ、下記の部分アミノ酸配列を含まない、Stx2e免疫原性を有する改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す) - 2つ又は3つの、下記の(A)及び/又は(B)に示す、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質が、それぞれ、下記の特徴(x)及び(y)を有するペプチドを介してタンデムに連結された、ハイブリッドタンパク質。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の下記の部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する、改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X−Cys(Xは、任意のアミノ酸を示す)
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列の55位〜57位の前記部分アミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加したアミノ酸配列を有し、かつ、下記の部分アミノ酸配列を含まない、Stx2e免疫原性を有する改変Stx2e Bサブユニットタンパク質
Asn−X1−Cys(X1は、Pro又はAsp以外のアミノ酸を示す)
(x)アミノ酸の個数が12〜30個
(y)Proの含有率が20〜35% - 請求項12に記載のタンパク質又は請求項13に記載のハイブリッドタンパク質を細胞内に保持する植物。
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