JP5626120B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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ここに開示する技術は、エンジンの制御装置に関する。
従来より、火花点火式エンジンにおいて高負荷領域でのノッキングを回避する技術として、点火時期を遅角化することが知られている。例えば特許文献1には、幾何学的圧縮比を14以上の高い圧縮比に設定することによってノッキングが生じやすいガソリンエンジンにおいて、高負荷の運転領域では、点火時期を圧縮上死点以降に遅角することが記載されている。
こうした火花点火燃焼に対し、排気エミッションの向上と熱効率の向上とを両立させる技術として、リーンな混合気を圧縮着火させる圧縮着火燃焼が知られている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、圧縮着火燃焼は、エンジン負荷が高くなるにつれて圧力上昇の激しい過早着火の燃焼となってしまう。そのため、燃焼騒音の増大やノッキング等の異常燃焼の発生を招く。そこで、特許文献2に記載されたエンジンでは、圧縮着火燃焼は、低負荷側の運転領域のみに限定し、高負荷側の運転領域では火花点火燃焼を行うようにしている。また、例えば特許文献3には、圧縮着火燃焼から火花点火燃焼への切替時には、気筒内温度が高すぎてノッキングが生じやすいことから、空燃比を一時的にリッチに設定することによってノッキングを回避する技術が記載されている。
特開2007−292050号公報 特開2007−154859号公報 特開2009−91994号公報
圧縮着火燃焼は、前述したように、排気エミッションの向上や熱効率の向上に有利であるから、この圧縮着火燃焼を行う運転領域を拡大したいという要求がある。ところが、圧縮着火燃焼は、前述したように、エンジン負荷が高くなるにつれて圧力上昇の激しい過早着火の燃焼となってしまうため、圧縮着火燃焼を行う運転領域は低負荷側に制限され、高負荷側に拡大することは困難である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮着火燃焼を実行するエンジンの制御装置において、圧縮着火燃焼を行う運転領域を拡大することにある。
この点につき、エンジン負荷が比較的高い運転領域では、例えば燃料の噴射時期を遅らせて、圧縮着火のタイミングを圧縮上死点以降に遅らせることが考えられる。これによって、圧縮着火燃焼は、モータリングにより筒内圧力が次第に低下する膨張行程中での燃焼となるから、圧力上昇率(dP/dT)を抑制して燃焼騒音の抑制に有利になる。従って、噴射時期の遅角化は、圧縮着火燃焼を行う運転領域を高負荷側に拡大する上で有効である。しかしながら、圧縮着火燃焼を遅らせすぎると燃焼安定性が低下するため、燃料の噴射時期を遅らせる方策だけで、圧縮着火燃焼を行う運転領域を大きく拡大することは難しい。
そこで、ここに開示する技術は、圧縮着火燃焼(主燃焼)の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように燃料を噴射する主噴射の前に、前段噴射を実行することにより、当該前段噴射によるプリ燃焼を発生させ、その後の主燃焼の燃焼安定性を高めるようにした。
具体的に、ここに開示するエンジンの制御装置は、少なくともガソリンを含有する燃料が気筒内に供給されるよう構成されたエンジン本体と、前記気筒内に供給するための前記燃料を噴射するように構成された燃料噴射弁と、少なくとも前記燃料噴射弁を制御することによって、前記エンジン本体が所定の運転領域にあるときには、前記気筒内の混合気を圧縮着火させる圧縮着火モードで前記エンジン本体を運転するように構成された制御器と、を備える。
そうして、前記制御器は、前記圧縮着火モードにおける所定負荷以上の運転領域では、前記圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように、前記燃料噴射弁による主噴射の時期を設定すると共に、当該主噴射よりも前に前段噴射を実行する。
この構成によると、圧縮着火モードにおける所定負荷以上の運転領域、言い換えるとエンジン本体の負荷が比較的高いため、圧縮着火燃焼が圧力上昇の激しい過早着火の燃焼となり、燃焼騒音が増大してしまうような運転領域では、圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように、燃料噴射弁による主噴射の時期を設定する。具体的には、主噴射の時期を遅角する。これによって、当該主噴射による圧縮着火燃焼(つまり、主燃焼)は、筒内圧力が次第に低下する膨張行程中での燃焼となるから、圧力上昇率を抑制して燃焼騒音の抑制に有利になる。一方で、そうした膨張行程中の圧縮着火燃焼は燃焼安定性が低下しやすくなるが、前記の構成では、主燃焼よりも前に前段噴射を実行することにより、圧縮上死点付近でプリ燃焼が発生するようになる。このプリ燃焼に伴う熱発生によって、圧縮上死点以降の気筒内の温度・圧力の低下が抑制される結果、主噴射により噴射された燃料の混合気は確実に圧縮着火し、主燃焼の燃焼安定性が高まる。
そしてそのように主燃焼の燃焼安定性が高まる分だけ、主噴射の時期を、さらに遅らせることによって、主燃焼の燃焼期間をさらに遅らせることが可能になる。このことは、圧縮着火燃焼を行う運転領域を、さらに高負荷側に拡大することを可能にする。つまり、前段噴射と主噴射との分割噴射は、圧縮着火モードを拡大する。
前記制御器は、前記圧縮着火モードにおいて、第一所定負荷よりも低い運転領域では、内部EGR制御を行うと共に、前記燃料噴射弁によって所定の時期に燃料を噴射することで、前記気筒内の混合気を圧縮着火させ、前記第一所定負荷以上でかつ、第二所定負荷よりも低い運転領域では、外部EGR制御を少なくとも行うと共に、前記圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように前記燃料噴射弁による主噴射を行って、前記気筒内の混合気を圧縮着火させる。
第一所定負荷よりも低い低負荷の運転領域では、気筒内の温度・圧力が相対的に低くなることから、内部EGR制御の実行により比較的高温の既燃ガスを気筒内に導入する。このことにより、圧縮着火燃焼を安定化させる。尚、内部EGR制御は、排気弁、及び/又は、吸気弁の開弁制御を通じて行われる。
第一所定負荷以上でかつ、第二所定負荷よりも低い運転領域では、内部EGR制御の実行によって気筒内の温度・圧力が高くなりすぎる虞があることから、既燃ガスの一部をEGR通路を通じて吸気に還流させる外部EGR制御を行う。このときに、外部EGR制御と内部EGR制御とを併用してもよいし、内部EGR制御を止めて外部EGR制御のみを行ってもよい。そうして、この領域では、圧縮着火燃焼が急峻になってしまうことを回避する。
前記制御器は、前記第二所定負荷以上でかつ、第三所定負荷よりも低い運転領域では、前記外部EGR制御を少なくとも行うと共に、圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように前記燃料噴射弁による主噴射を行って、前記気筒内の混合気を圧縮着火させる。
前記第三所定負荷以上の運転領域では、前記外部EGR制御を少なくとも行うと共に、前記燃料噴射弁によって前記前段噴射と前記主噴射とを行って、前記気筒内の混合気を圧縮着火させる。
つまり、第二所定負荷以上における相対的に低負荷の運転領域では、主噴射を大きく遅角せずとも、圧力上昇率の抑制と燃焼安定性の確保とが両立するため、前段噴射と主噴射との分割噴射を行わずに、主噴射の遅角のみを行う。一方、第二所定負荷以上における相対的に高負荷の運転領域では、圧力上昇率を抑制する上で主噴射を大きく遅角する必要があるため、前段噴射と主噴射との分割噴射を行うことによって燃焼安定性を確保する。
前記燃料噴射弁は、前記気筒内に燃料を直接噴射する直噴インジェクタと、吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタとを含み、前記制御器は、前記ポートインジェクタによって前記前段噴射を行い、前記直噴インジェクタによって前記主噴射を行う、としてもよい。
前段噴射は、吸気行程乃至圧縮行程中の燃料噴射となるため、吸気行程中であれば、燃料噴霧のライナー付着を回避する観点から、ポートインジェクタによって吸気ポートに噴射することが好ましい。一方、主噴射は、主燃焼の燃焼期間を膨張行程中にすべく、例えば圧縮上死点以降に実行される場合があるため、直噴インジェクタによって気筒内に燃料を直接噴射することが好ましい。
前記制御器は、前記エンジン本体の負荷が高くなるに従って、前記主噴射の燃料噴射量を増大する、としてもよい。このことにより、エンジン本体の負荷の高まりに応じた高トルクが確保される。
以上説明したように、このエンジンの制御装置は、圧縮着火モードにおける所定負荷以上の運転領域では、主燃焼よりも前に前段噴射を実行してプリ燃焼を発生させることにより、圧縮上死点以降の気筒内の温度・圧力の低下が抑制される結果、燃焼期間が膨張行程中となる主燃焼の燃焼安定性が高まる。その結果、分割噴射を行わない場合と比較して、主噴射の時期をさらに遅らせることで主燃焼の燃焼期間をさらに遅らせることが可能になり、圧縮着火燃焼を行う運転領域がさらに拡大する。
火花点火式ガソリンエンジンの構成を示す概略図である。 火花点火式ガソリンエンジンの制御に係るブロック図である。 エンジンの運転領域を例示する図である。 高圧リタード噴射によるSI燃焼の状態と、従来のSI燃焼の状態とを比較する図である。 エンジンの負荷の相違に対する、吸気弁及び排気弁の動作の相違と、点火タイミング及び噴射タイミングの相違とを示すタイミングチャートである。 エンジン負荷に対する圧力上昇率(dP/dT)及び空気過剰率(λ)の関係を示す図である。 燃料の噴射時期が相違することに対する圧力上昇率(dP/dθ)の違いを示す図である。 燃料を一括して噴射した場合と分割して噴射した場合とで、(a)筒内温度、(b)熱発生率、(c)圧力上昇率の変化を比較する図である。
以下、エンジンの制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、例示である。図1,2は、エンジン(エンジン本体)1の概略構成を示す。このエンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給される火花点火式ガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18(一つのみ図示)が設けられたシリンダブロック11と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯溜されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、リエントラント形のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述する直噴インジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室を区画する。尚、燃焼室の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、14以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。尚、幾何学的圧縮比は14以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、吸気ポート16及び排気ポート17が形成されていると共に、これら吸気ポート16及び排気ポート17には、燃焼室側の開口を開閉する吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ配設されている。
吸気弁21及び排気弁22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、排気弁22の作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71が設けられている。VV
L71は、その構成の詳細な図示は省略するが、カム山を一つ有する第1カムとカム山を二つ有する第2カムとの、カムプロファイルの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁に伝達するロストモーション機構を含んで構成されている。第1カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動する(図5(b)(c)(d)参照)のに対し、第2カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードで作動する(図5(a)参照)。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的に、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。尚、こうした通常モードと特殊モードとの切り替えを可能にする上で、排気弁22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。また、内部EGRの実行は、排気の二度開きのみによって実現されるのではない。例えば吸気弁21を二回開く、吸気の二度開きによって内部EGR制御を行ってもよいし、排気行程乃至吸気行程において吸気弁21及び排気弁22の双方を閉じるネガティブオーバーラップ期間を設けて既燃ガスを気筒18内に残留させる内部EGR制御を行ってもよい。
VVL71を備えた排気側の動弁系に対し、吸気側には、図2に示すように、クランクシャフト15に対する吸気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)72と、吸気弁21のリフト量を
連続的に変更することが可能なリフト量可変機構(以下、CVVL(Continuously Variable Valve Lift)と称する)73とが設けられている。VVT72は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。また、CVVL73も、公知の種々の構造を適宜採用することが可能であり、その詳細な構造についての図示は省略する。VVT72及びCVVL73によって、吸気弁21は、図5(a)〜(d)に示すように、その開弁タイミング及び閉弁タイミング、並びに、リフト量をそれぞれ変更することが可能である。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する直噴インジェクタ67と、吸気ポート16内に燃料を噴射するポートインジェクタ68とがそれぞれ取り付けられている。
直噴インジェクタ67は、その噴口が燃焼室の天井面の中央部分から、その燃焼室内に臨むように配設されている。直噴インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じた噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室内に直接噴射する。この例において、直噴インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、直噴インジェクタ67は、燃料噴霧が放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動することにより、後述する点火プラグ25の周囲に到達するようになる。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、点火プラグ25の周りに燃料噴霧が到達するまでの時間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。尚、直噴インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを、直噴インジェクタに採用してもよい。
ポートインジェクタ68は、図1に示すように、吸気ポート16乃至吸気ポート16に連通する独立通路に臨んで配置されかつ、吸気ポート16内に燃料を噴射する。ポートインジェクタ68は、一つの気筒18に対して一つ設けてもよいし、一つの気筒18に対し二つの吸気ポート16が設けられているのであれば、二つの吸気ポート16のそれぞれに設けてもよい。ポートインジェクタ68の形式は特定の形式に限定されるものではなく、種々の形式のインジェクタを、適宜採用することが可能である。
図外の燃料タンクと直噴インジェクタ67との間は、高圧燃料供給経路によって互いに連結されている。この高圧燃料供給経路上には、高圧燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、直噴インジェクタ67に、相対的に高い燃料圧力で燃料を供給する高圧燃料供給システム62が介設されている。高圧燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、高い燃料圧力で蓄える。直噴インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料が直噴インジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、高圧燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、例えばクランク軸とカム軸との間のタイミングベルトに連結されることにより、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の高圧燃料供給システム62は、40MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、直噴インジェクタ67に供給することを可能にする。直噴インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、後述するように、エンジン1の運転状態に応じて変更される。尚、高圧燃料供給システム62は、これに限定されるものではない。
同様に、図外の燃料タンクとポートインジェクタ68との間は、低圧燃料供給経路によって互いに連結されている。この低圧燃料供給経路上には、ポートインジェクタ68に対し、相対的に低い燃料圧力の燃料を供給する低圧燃料供給システム66が介設されている。低圧燃料供給システム66は、詳細な図示は省略するが、電動又はエンジン駆動の低圧燃料ポンプとレギュレータとを備えており、所定圧力の燃料を、各ポートインジェクタ68に供給するように構成されている。ポートインジェクタ68は、吸気ポートに燃料を噴射するため、低圧燃料供給システム66が供給する燃料の圧力は、高圧燃料供給システム62が供給する燃料の圧力に比べて、低い圧力に設定されている。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室内の混合気に点火する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、燃焼室の中央部分に配置された直噴インジェクタ67の先端近傍で、燃焼室内に臨んで配置されている。点火プラグ25は、図示は省略するが、この例では、複数(例えば4個)の点火コイルを含むマルチ点火コイル方式であり、複数の点火コイルの内のいずれか1個の点火コイルを駆動する通常点火、複数の点火コイルを順次駆動する連続点火、及び複数の点火コイルを同時に駆動する多重点火を切り替えることが可能に構成されている。
エンジン1の一側面には、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、各気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
吸気通路30におけるエアクリーナ31とサージタンク33との間には、空気を冷却又は加熱する、水冷式のインタークーラ/ウォーマ34と、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36とが配設されている。吸気通路30にはまた、インタークーラ/ウォーマ34をバイパスするインタークーラバイパス通路35が接続されており、このインタークーラバイパス通路35には、当該通路35を通過する空気流量を調整するためのインタークーラバイパス弁351が配設されている。インタークーラバイパス弁351の開度調整を通じて、インタークーラバイパス通路35の通過流量とインタークーラ/ウォーマ34の通過流量との割合を調整することにより、気筒18に導入する新気の温度を調整する。
排気通路40の上流側の部分は、各気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51と、EGRクーラ52をバイパスするためのEGRクーラバイパス通路53と、を含んで構成されている。主通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設され、EGRクーラバイパス通路53には、EGRクーラバイパス通路53を流通する排気ガスの流量を調整するためのEGRクーラバイパス弁531が配設されている。
このように構成されたエンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1,2に示すように、各種のセンサSW1〜SW16の検出信号が入力される。この各種のセンサには、次のセンサが含まれる。すなわち、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1及び新気の温度を検出する吸気温度センサSW2、インタークーラ/ウォーマ34の下流側に配置されかつ、インタークーラ/ウォーマ34を通過した後の新気の温度を検出する、第2吸気温度センサSW3、EGR通路50における吸気通路30との接続部近傍に配置されかつ、外部EGRガスの温度を検出するEGRガス温センサSW4、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアOセンサSW9、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダOセンサSW10、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13、吸気側及び排気側のカム角センサSW14,SW15、及び、高圧燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、直噴インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16である。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じて直噴インジェクタ67、ポートインジェクタ68、点火プラグ25、吸気弁側のVVT72及びCVVL73、排気弁側のVVL71、高圧燃料供給システム62、並びに、各種の弁(スロットル弁36、インタークーラバイパス弁351、EGR弁511、及びEGRクーラバイパス弁531)のアクチュエータへ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。
図3は、エンジン1の運転領域の一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッションの向上を目的として、エンジン1の暖機後は、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域では、点火プラグ25による点火を行わずに、圧縮自己着火によって燃焼を行う圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、例えば燃焼騒音等の問題を引き起こすことになる。そのため、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した火花点火燃焼に切り替える。従って、このエンジン1は、エンジン1の運転状態に応じて、圧縮着火燃焼を行うCI(Compression Ignition)モードと、火花点火燃焼を行うSI(Spark Ignition)モードとを切り替えるように構成されている。
詳しくは後述するが、CIモードでは基本的に、例えば吸気行程乃至圧縮行程中の、比較的早いタイミングで、直噴インジェクタ67が気筒18内に燃料を噴射することにより、比較的均質なリーン混合気を形成すると共に、その混合気を圧縮上死点付近において圧縮自己着火させる。このCIモードにおける相対的に負荷の低い領域では、気筒内温度を高めて圧縮着火燃焼を安定化させる観点から、内部EGR制御が併用される。一方、CIモードにおける相対的に負荷の高い領域(中負荷領域に相当する)では、エンジン負荷の増大に伴い、気筒内温度が高まり、圧縮着火燃焼が急峻になることから、内部EGR制御を止めて、外部EGR制御に切り替える。又は、中負荷領域における負荷の低い領域では、内部EGR制御と外部EGR制御とを併用し、負荷が高まるに従い内部EGR量を少なくする。また、詳しくは後述するが、外部EGR制御を行う中負荷領域のCIモードにおいては、燃焼騒音の抑制と燃焼安定性の確保とを両立させるために、燃料の噴射時期を遅角化させる(以下、この制御を一括リタードと呼ぶ場合がある)。さらに、この一括リタードを行う運転領域よりも負荷が高い領域では、より高負荷側の運転領域においても燃焼騒音の抑制と燃焼安定性の確保とを両立させるために、燃料の噴射を前段噴射と主噴射との2回に分割する(以下、この制御を分割噴射と呼ぶ場合がある)。また、エンジン負荷が中負荷の領域においても、エンジン回転数が相対的に高い高回転領域では、混合気の反応時間が不足して燃焼安定性が低下し、圧縮着火燃焼が困難になるため、SIモードとする。
SIモードでは基本的に、例えば吸気行程乃至圧縮行程中に、直噴インジェクタ67が気筒18内に燃料を噴射することにより、均質乃至成層化した混合気を形成すると共に、圧縮上死点付近において点火を実行することによってその混合気に着火する。SIモードではまた、理論空燃比(λ=1)でエンジン1を運転する。これは、三元触媒の利用を可能にするから、エミッション性能の向上に有利になる。
このエンジン1の幾何学的圧縮比は、前述の通り、14以上(例えば18)に設定されている。高い圧縮比は、圧縮端温度及び圧縮端圧力を高くするため、CIモードでは、圧縮着火燃焼の安定化に有利になる。一方で、この高圧縮比エンジン1は、高負荷域においてはSIモードに切り替えるため、エンジン負荷が高くなればなるほど、過早着火やノッキング(以下、これらを総称してノッキングという場合がある)といった異常燃焼が生じやすくなってしまうという不都合がある。
そこでこのエンジン1では、エンジンの運転状態が高負荷域にあるときには、燃料の噴射形態を従来とは大きく異ならせたSI燃焼を実行することによって、異常燃焼を回避するようにしている。具体的に、この燃料の噴射形態は、従来と比較して大幅に高圧化した燃料圧力でもって、圧縮行程後期から膨張行程初期にかけての大幅に遅角した期間(以下、この期間をリタード期間と呼ぶ)内で、直噴インジェクタ67によって、気筒18内に燃料噴射を実行するものである。この特徴的な燃料噴射形態を、以下においては「高圧リタード噴射」と呼ぶ。
図4は、前述した高圧リタード噴射によるSI燃焼(実線)と、吸気行程中に燃料噴射を実行する従来のSI燃焼(破線)とにおける、熱発生率(上図)及び未燃混合気反応進行度(下図)の違いを比較する図である。図4の横軸は、クランク角である。この比較の前提として、エンジン1の運転状態は共に低速域内の高負荷域であり、噴射する燃料量は、高圧リタード噴射によるSI燃焼と従来のSI燃焼との場合で互いに同じである。
先ず、従来のSI燃焼では、吸気行程中に気筒18内に所定量の燃料噴射を実行する(上図の破線)。気筒18内では、その燃料の噴射後、ピストン14が圧縮上死点に至るまでの間に、比較的均質な混合気が形成される。そして、この例では、圧縮上死点以降の、白丸で示す所定タイミングで点火が実行され、それによって燃焼が開始する。燃焼の開始後は、図4の上図に破線で示すように、熱発生率のピークを経て燃焼が終了する。ここで、燃料噴射の開始から燃焼の終了までの間が未燃混合気の反応可能時間(以下、単に反応可能時間という場合がある)に相当し、図4の下図に破線で示すように、この間に未燃混合気の反応は次第に進行する。同図における点線は、未燃混合気が着火に至る反応度である、着火しきい値を示しており、従来のSI燃焼は反応可能時間が非常に長く、その間、未燃混合気の反応が進行し続けてしまうことから、点火の前後に未燃混合気の反応度が着火しきい値を超えてしまい、過早着火又はノッキングといった異常燃焼を引き起こす。
これに対し、高圧リタード噴射は反応可能時間の短縮を図り、そのことによって異常燃焼を回避することを目的とする。すなわち、反応可能時間は、図4にも示しているように、直噴インジェクタ67が燃料を噴射する期間((1)噴射期間)と、噴射終了後、点火プラグ25の周りに可燃混合気が形成されるまでの期間((2)混合気形成期間)と、点火によって開始された燃焼が終了するまでの期間((3)燃焼期間)と、を足し合わせた時間、つまり、(1)+(2)+(3)である。高圧リタード噴射は、噴射期間、混合気形成期間及び燃焼期間をそれぞれ短縮し、それによって、反応可能時間を短くする。
つまり、気筒18内の乱れエネルギは、高い方が燃焼期間の短縮に有利である。前述の通り高い燃料圧力での燃料噴射は、気筒18内の乱れエネルギを高めるとしても、仮にその噴射タイミングが吸気行程中であれば、点火タイミングまでの時間が長いことや、吸気行程後の圧縮行程において気筒18内が圧縮されることに起因して乱れが減衰し、燃焼期間内における気筒内の乱れエネルギは、比較的低くなってしまう。すなわち、高い燃料圧力で気筒18内に燃料を噴射するとしても、噴射タイミングが吸気行程中である以上は、燃焼期間を、ほとんど短縮しない。
これに対し、リタード期間内のタイミング、つまり、比較的遅いタイミングでかつ、高い燃料圧力で気筒内に燃料を噴射することは、気筒内の乱れの減衰を抑制しつつ、燃焼を開始することを可能にする。このことから、燃焼期間内における気筒内の乱れエネルギが高くなる。これによって、燃焼期間は短くなり、燃焼の安定化が図られる。
また、高い燃料圧力は、単位時間当たりに噴射される燃料量を相対的に多くする。このため、同一の燃料噴射量で比較した場合に、高い燃料圧力は、噴射期間を、低い燃料圧力のときよりも短縮する。
さらに、高い燃料圧力は、気筒内に噴射する燃料噴霧の微粒化に有利になると共に、燃料噴霧の飛翔距離を、より長くする。このことから、高い燃料圧力は、混合気形成期間を短縮する。
従って、前述した噴射期間の短縮及び混合気形成期間の短縮は、燃料の噴射タイミング(より正確には、噴射開始タイミング)を、比較的遅いタイミングにすることを可能にする。つまり、高い燃料圧力は、リタード期間内における燃料噴射を可能にする。
こうして火花点火モードにおいては、高い燃料圧力でかつ、リタード期間内に気筒内に燃料噴射を実行することによって、燃焼期間の短い急速燃焼が実現し、それによって燃焼が安定化する。
このように高圧リタード噴射は、噴射期間、混合気形成期間、及び、燃焼期間をそれぞれ短縮し、その結果、図4に示すように、燃料の噴射開始タイミングSOIから燃焼終了時期θendまでの、未燃混合気の反応可能時間を、従来の吸気行程中での燃料噴射の場合と比較して大幅に短くすることを可能にする。この反応可能時間を短縮する結果、従来の低い燃料圧力での吸気行程噴射では、燃焼終了時における未燃混合気の反応進行度が、着火しきい値を超えてしまい、異常燃焼が発生してしまうところ、高圧リタード噴射は、燃焼終了時における未燃混合気の反応の進行を抑制し、異常燃焼を回避することが可能になる。
次に、図5を参照しながら、エンジン1の運転状態に対応した、吸気弁21及び排気弁22の作動状態、並びに、燃料噴射タイミング及び点火タイミングの制御例について説明する。ここで、図5の(a)(b)(c)(d)はそれぞれ、(a)<(b)<(c)<(d)の順にエンジン負荷が高くなる。(a)(b)は、CIモードに対応する低、中負荷域であり、(c)は、SIモードに対応する高負荷域である。(d)は、SIモードに対応する全開負荷域である。
先ず、図5(a)は、エンジン1の運転状態が低負荷域にあるときを示す。この運転領域はCIモードであるため、VVL71の制御によって、排気弁22を吸気行程中に開弁する排気の二度開きを行い(同図のEx2の実線を参照。尚、実線は排気弁22のリフトカーブを、破線は吸気弁21のリフトカーブをそれぞれ示す)、そのことによって内部EGRガスを気筒18内に導入する。内部EGRガスの導入は圧縮端温度を高め、圧縮着火燃焼を安定化させる。但し、エンジン負荷の上昇に伴い気筒18内の温度が自然と高まることから、過早着火(つまり、ノッキング)を回避する観点から、内部EGR量は低下させる。図5に例示するように、CVVL73の制御によって、吸気弁21のリフト量を調整することにより、内部EGR量を調整してもよい。尚、図5には図示しないが、スロットル弁36の開度調整によって、内部EGR量を調整してもよい。燃料噴射のタイミングは吸気行程中に設定され、直噴インジェクタ67が気筒18内に燃料を噴射することによって気筒18内に均質なリーン混合気を形成する。尚、燃料噴射量は、エンジン1の負荷に応じて設定される。
尚、図5(a)においては、吸気行程中における排気弁22の開弁期間を、その吸気行程の前半に設定している例を示している。排気弁22の開弁期間は、吸気行程の後半に設定してもよい。また、開弁期間を吸気行程の前半に設定する場合は、排気上死点を挟んだ排気行程から吸気行程の前半にかけて、排気弁22を開弁したままに構成してもよい。
図5(b)は、エンジン1の運転状態が、同図(a)よりもエンジン負荷が高い、中負荷域にあるときを示す。この運転領域もまた、CIモードであるが、エンジン負荷が高く、気筒内温度が比較的高いことから、内部EGRガスを気筒18内に導入したのでは、気筒内温度が高くなりすぎてしまう。そこで、エンジン負荷が中負荷域にあるときには、排気弁22の二度開きを中止して内部EGRガスの導入を止め、代わりに外部EGRガスを気筒18内に導入する。燃料噴射のタイミングは、吸気行程乃至圧縮行程中の適宜のタイミングに設定される。このタイミングで、直噴インジェクタ67が気筒18内に燃料を噴射することにより、気筒18内に均質乃至成層化したリーン混合気を形成する。燃料噴射量がエンジン1の負荷に応じて設定される点は、図5(a)と同様である。尚、詳しくは後述するが、燃料の噴射タイミングを遅くすることによって、圧縮着火の開始タイミングが遅くなり、圧縮着火燃焼の燃焼重心を、圧縮上死点以降に設定することが可能になる。このことは、エンジン負荷の高まりに伴い圧力上昇の激しい過早着火の燃焼となってしまうところを、その圧力上昇を抑制して燃焼騒音の増大を回避する上で有利になる。
図5(c)は、エンジン1の運転状態が高負荷域にあるときを示す。この運転領域はSIモードであり、この運転領域においては、排気弁22の二度開きを中止する。また、SIモードでは、空燃比λ=1となるように充填量が調整される。充填量の調整は、スロットル弁36を全開にする一方で、VVT72及びCVVL73の制御によって、吸気弁21の閉弁タイミングを吸気下死点以降に設定する、吸気弁21の遅閉じによって行ってもよい。これは、ポンプ損失の低減に有利である。充填量の調整はまた、スロットル弁36を全開にする一方で、EGR弁511の開度調整により、気筒18内に導入する新気量と外部EGRガス量とを調整することによって行ってもよい。これは、ポンプ損失の低減と共に、冷却損失の低減にも有効である。また、外部EGRガスの導入は、異常燃焼の回避に寄与すると共に、Raw NOxの生成を抑制するという利点もある。さらに、充填量
の調整として、吸気弁21の遅閉じ制御と、外部EGRの制御とを組み合わせてもよい。特に、高負荷域内における低負荷側においては、EGR率が高すぎてしまうことを抑制すべく、外部EGRを気筒18内に導入しつつ、吸気弁21の遅閉じ制御によって充填量を調整してもよい。
また、燃料噴射の形態は、前述した高圧リタード噴射である。従って、圧縮行程後期から膨張行程初期にかけてのリタード期間内に、高い燃料圧力でもって、直噴インジェクタ67が燃料を気筒18内に直接、噴射する。高圧リタード噴射は、一回の噴射によって構成してもよい(つまり、一括噴射)が、図5(c)に示すように、第1噴射と、その後の第2噴射との二回の噴射を、リタード期間内において行うように構成してもよい(つまり、分割噴射)。第1噴射は、相対的に長い混合気形成期間を確保することができるため、燃料の気化霧化に有利である。第1噴射によって十分な混合気形成期間が確保される分、第2噴射の噴射タイミングは、より一層遅角したタイミングに設定することが可能になる。このことは、気筒内の乱れエネルギの向上に有利になり、燃焼期間の短縮に有利になる。分割噴射を行う場合は、第2噴射の燃料噴射量を、第1噴射の燃料噴射量よりも大に設定することが好ましい。こうすることで、気筒18内の乱れエネルギが十分に高まり、燃焼期間の短縮、ひいては異常燃焼の回避に有利になる。尚、こうした分割噴射は、高負荷域内において、燃料噴射量が多くなる相対的に高負荷側でのみ行い、燃料噴射量が比較的少ない、高負荷域内の低負荷側では、一括噴射を行うようにしてもよい。また、分割回数は2回に限定されず、三回以上に設定してもよい。
そうして、SIモードでは、燃料噴射終了後の、圧縮上死点付近において、点火プラグ25による点火が実行される。
図5(d)は、エンジン1の運転状態が全開負荷域にあるときを示す。この運転領域は、図5(c)と同様に、SIモードであり、排気弁22の二度開きを中止する。また、全開負荷域であるため、EGR弁511を閉弁することにより、外部EGRも中止する。
燃料噴射の形態は、基本的には高圧リタード噴射であり、図に示すように、第1噴射と第2噴射との、リタード期間内における、気筒18内への二回の噴射によって構成される。尚、高圧リタード噴射は、一括噴射であってもよい。また、この全開負荷域においては、吸気充填効率の向上を目的として、吸気行程中の噴射が追加される場合がある。この吸気行程噴射は、燃料噴射に伴う吸気の冷却効果によって吸気充填効率が向上し、トルクの向上に有利になる。従って、エンジン1の運転状態が全開負荷域にあるときは、吸気行程噴射と、第1及び第2噴射との三回の燃料噴射が実行される、又は、吸気行程噴射と、一括噴射との二回の燃料噴射が実行される。
ここで、前述の通り、直噴インジェクタ67によって気筒18内に燃料を直接噴射する高圧リタード噴射は、燃料圧力が極めて高い。そのため、そうした高い燃料圧力でもって、吸気行程中に、気筒18内に直接燃料を噴射してしまうと、気筒18内の壁面に燃料が大量に付着して、オイル希釈等の問題を引き起こす可能性がある。そこで、この吸気行程噴射は、直噴インジェクタ67ではなく、相対的に低い燃料圧力でもって燃料を噴射するポートインジェクタ68を通じて、吸気ポート16内に燃料を噴射する。こうすることで、前述したオイル希釈等の問題が回避される。
そうして、図3に示すように、内部EGR制御を積極的に行わない、エンジン1の中負荷領域においては、外部EGR制御を行うCIモードとすると共に、エンジン1の負荷に応じて燃焼噴射タイミングを遅らせることにより、気筒内の圧力上昇率が高くなりすぎることを回避する。このことについて、図6、7を参照しながら説明する。先ず、図6は、圧縮着火燃焼を前提とした、エンジン負荷に対する気筒内の圧力上昇率(dP/dT)と、空気過剰率(λ)との関係を示している。これによると、エンジン負荷が高まるに従い燃料噴射量が増大するため、空気過剰率λは次第に低下する(図6の黒四角参照)。これに対し、気筒内の圧力上昇率dP/dTは、エンジン負荷が高まるに従って空気過剰率が低下、言い換えると混合気がリッチ化するに伴い、次第に高まるようになる。そうして、所定のエンジン負荷以上では、圧力上昇率dP/dTが許容値を超える、つまり、燃焼騒音が許容値を超えることになる。従って、この圧力上昇率dP/dTが許容値を超えるエンジン負荷以上まで、CIモードを拡大するには、圧力上昇率dP/dTを低下させる方策が必要となる。
図7は、燃料噴射タイミングを相違させたときの、気筒内の圧力上昇率(dP/dθ)の違いを示す図である。これによると、燃料噴射タイミングが相対的に早いタイミングに設定されているときには、その分、圧縮着火の開始時期が、圧縮上死点に近づくように早まり、それに伴い燃焼速度も高まる。つまり、圧力上昇率が許容値を超えやすくなる。これに対し、燃料噴射タイミングが相対的に遅いタイミングに設定されているときには、圧縮着火の開始時期が遅くなり、圧縮上死点から離れるようになる。このため、圧縮着火燃焼は、ピストンの下降に伴い気筒内の圧力が次第に低下する膨張行程中に行われることになり、燃焼速度が低下し、圧力上昇率のピークの抑制に有利になる。さらに、圧縮着火燃焼における圧力上昇率のピーク位置が、モータリング波形における谷底のクランク角位置と対応するときには、その分、圧力上昇率の最大値が最も低下するようになる。尚、モータリング波形は、圧縮上死点において0となり、その後に谷底となる。こうして、燃料噴射タイミングを遅角化することは、圧力上昇率を、許容値を超えないように抑制することを可能にし、CIモードの拡大に利用することができる。
図8は、燃料噴射のタイミングを遅角化したときの、気筒内温度の変化(同図(a)参照)、熱発生率の変化(同図(b)参照)、及び、圧力上昇率の変化(同図(c)参照)を示している。先ず、同図に「一括リタード」と示すように、燃料噴射のタイミングを、例えば圧縮上死点以降にまで遅角したときには、破線で示すように、圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降の膨張行程中となり、圧力上昇率を抑制する上で有利になる。しかしながら、同図(a)に示すように、モータリングにより上昇した気筒内の温度が、膨張行程においては次第に低下して着火ラインを下回ることから、それ以上に燃料噴射タイミングを遅角化することは、燃焼安定性の観点から困難である。
これに対し、同図に「分割噴射」と示すように、吸気乃至圧縮行程において前段噴射(PFI(ポート噴射)参照)を行うことによって、主燃焼よりも熱発生の少ないプリ燃焼を、圧縮上死点付近において発生させることが可能になる。このプリ燃焼に伴う熱発生により、膨張行程における気筒内温度の低下が抑制されて、気筒内の状態が着火ラインを下回ることが遅れる。これにより、前段噴射後の、例えば圧縮上死点以降のタイミングで実行される主噴射(DI(直噴)参照)によって噴射された燃料を含む混合気は、膨張行程中においても確実に圧縮着火する。こうして、分割噴射は、主燃焼の燃焼安定性を確保することが可能になるから、図8に白抜きの矢印で示すように、主噴射の噴射タイミングを、一括リタード時よりもさらに遅角化させることが可能となる。その結果、同図(b)に示すように、圧縮着火燃焼の燃焼期間をさらに遅らせ、同図(c)に示すように、圧力上昇率を、より一層抑制することが実現する。こうして、分割噴射は、圧縮着火燃焼を実行するCIモードの運転領域を、高負荷側に、より拡大することを実現する。
ここで、前段噴射は、吸気行程乃至圧縮行程で実行すればよく、吸気行程噴射を行う場合、ポートインジェクタ68によって吸気ポート16に燃料を噴射することが好ましい。また、前段噴射を圧縮行程中に行う場合は、直噴インジェクタ67によって燃料を気筒内に直接噴射すればよいが、この圧縮行程における噴射は、燃料噴霧のライナー付着を回避する観点から、圧縮行程における後半に行うことが好ましい。
また、分割噴射における前段噴射の燃料噴射量は、気筒内の圧力・温度低下を抑制することが可能な、相対的に熱発生率の小さいプリ燃焼を生成するように、適宜設定すればよい。一括リタードを行う運転領域と分割噴射を行う運転領域との境界付近では、前段噴射と主噴射との噴射量の割合は概ね1:1となり、エンジン負荷がそれよりも高まるに従って、高トルク確保のために、主噴射の燃料噴射量は次第に増量する。
尚、図3に示す運転領域において、一括リタードを行う運転領域で分割噴射を行うようにしてもよい。
1 エンジン(エンジン本体)
10 PCM(制御器)
18 気筒
67 直噴インジェクタ(燃料噴射弁)
68 ポートインジェクタ(燃料噴射弁)

Claims (3)

  1. 少なくともガソリンを含有する燃料が気筒内に供給されるよう構成されたエンジン本体と、
    前記気筒内に供給するための前記燃料を噴射するように構成された燃料噴射弁と、
    少なくとも前記燃料噴射弁を制御することによって、前記エンジン本体が所定の運転領域にあるときには、前記気筒内の混合気を圧縮着火させる圧縮着火モードで前記エンジン本体を運転するように構成された制御器と、を備え、
    前記制御器は、前記圧縮着火モードにおいて、
    第一所定負荷よりも低い運転領域では、内部EGR制御を行うと共に、前記燃料噴射弁によって所定の時期に燃料を噴射することで、前記気筒内の混合気を圧縮着火させ、
    前記第一所定負荷以上でかつ、第二所定負荷よりも低い運転領域では、外部EGR制御を少なくとも行うと共に、前記燃料噴射弁により所定の時期に燃料を噴射することで、前記気筒内の混合気を圧縮着火させ、
    前記第二所定負荷以上でかつ、第三所定負荷よりも低い運転領域では、前記外部EGR制御を少なくとも行うと共に、圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように前記燃料噴射弁による主噴射を行って、前記気筒内の混合気を圧縮着火させ、
    前記第三所定負荷以上の運転領域では、前記外部EGR制御を少なくとも行うと共に、前記圧縮着火燃焼の燃焼期間が圧縮上死点以降となるように、前記燃料噴射弁による主噴射の時期を設定すると共に、当該主噴射よりも前に前段噴射を実行するエンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
    前記燃料噴射弁は、前記気筒内に燃料を直接噴射する直噴インジェクタと、吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタとを含み、
    前記制御器は、前記ポートインジェクタによって前記前段噴射を行い、前記直噴インジェクタによって前記主噴射を行うエンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御器は、前記エンジン本体の負荷が高くなるに従って、前記主噴射の燃料噴射量を増大するエンジンの制御装置。
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