以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。尚、以下の図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとする為、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
(実施形態1)
「曲げセンサーの概要」
図1は、本実施形態に係わる曲げセンサーを模式的に示す斜視外観図である。以下、図1を用いて、まず曲げセンサーの概要を説明する。
本実施形態に係わる曲げセンサー1は、柔軟なプラスチックフィルムなどの可撓性を有する基板2に形成される。基板2には非可撓領域21と可撓領域22とが存在する。可撓領域22はその名が示す通り可撓性を有しており、可撓性を有する基板2がそのまま使用されている。非可撓領域21は可撓性を有さず、通常は形状が固定している。本実施形態では基板2の裏面の一部に硬い固定板7を固定し、その部位で基板2が曲がらぬ様にして非可撓領域21としている。可撓領域22には第一薄膜トランジスターT1(i,j)が行列状に複数個配置され、検出回路3をなしている(図3参照)。第一薄膜トランジスターT1(i,j)は、N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)とP型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)とが直列接続されている。一方、非可撓領域21には第二薄膜トランジスターT2が備えられ、出力回路4の一部を構成している(図3参照)。第二薄膜トランジスターT2も、N型第二薄膜トランジスターTN2とP型第二薄膜トランジスターTP2とが直列接続されている。第一薄膜トランジスターT1(i,j)と第二薄膜トランジスターT2とは差動トランジスター対とされている。第二薄膜トランジスターT2は基準トランジスターとして動作し、第一薄膜トランジスターT1(i,j)の電気特性と第二薄膜トランジスターの電気特性とを比較して、第一薄膜トランジスターT1(i,j)が配置されている部位の曲がり具合を検出する。
検出回路3に配置された複数の第一薄膜トランジスターT1(i,j)は、検出回路3の外周部に配置された第一選択回路51と第二選択回路61とにより、順次選択される。基板2の一辺を第一の方向(x軸に平行な方向で、行方向とする)とし、第一の方向と交差する(ほぼ直交する)別の方向を第二の方向(y軸に平行な方向で、列方向とする)とすると、第一選択回路51と第一処理回路52とは、検出回路3の外側で第一の方向に沿って形成され、第二選択回路61と第二処理回路62とは、検出回路3の外側で第二の方向に沿って形成される。第一薄膜トランジスターT1(i,j)は第一の方向に沿って複数個形成されると共に、第一選択回路51によって、第一の方向で選択される。同様に、第一薄膜トランジスターT1(i,j)は第二の方向に沿って複数個形成されると共に、第二選択回路61によって、第二の方向で選択される。こうして行列状に配置された第一薄膜トランジスターT1(i,j)が順次選択され、その電気特性が第二薄膜トランジスターT2の電気特性とその都度比較される事により、曲がり具合に関する面分布が計測される。
「計測原理」
図2は、本実施形態に係わる曲げセンサーの計測原理を説明する図である。以下、図2を参照して、曲がり具合を計測する原理を説明する。
図2は、プラスチックフィルムに形成された薄膜トランジスターが、フィルムの湾曲に応じて電気特性を変化させる様子を示している。薄膜トランジスターはフィルム表面に形成されている。図2(a)ではトランジスターのソースドレイン方向と曲げ方向とが直交しており、図2(b)ではトランジスターのソースドレイン方向と曲げ方向とが平行になっている。いずれの場合もフィルム表面が凸型になる様に湾曲させると、フィルム表面に形成された薄膜トランジスターは引っ張り応力を受けて、伸びる歪みを被る。反対にフィルム表面が凹型になる様に湾曲させると、薄膜トランジスターは圧縮応力を受けて、縮む歪みを被る。図2(a)ではソースドレイン方向と曲げに依る歪み方向とが直交しており、図2(b)ではソースドレイン方向と曲げに依る歪み方向とが一致している。被る歪みに応じてトランジスターのオン特性は変化する。図2では、x軸にトランジスターが被る歪みを示し、y軸にその際のオン電流の変化率を示している。三角の実線はN型薄膜トランジスターの特性変化を示し、四角の破線はP型薄膜トランジスターの特性変化を示している。
図2(a)に示す様に、N型薄膜トランジスターでは、薄膜トランジスターがソースドレイン方向と直交する方向に引っ張り応力を受けるとオン電流は減少し、圧縮応力を受けるとオン電流は増加する。反対にP型薄膜トランジスターでは、薄膜トランジスターがソースドレイン方向と直交する方向に引っ張り応力を受けるとオン電流は増加し、圧縮応力を受けるとオン電流は減少する。一方、図2(b)に示す様に、N型薄膜トランジスターでは、薄膜トランジスターがソースドレイン方向に引っ張り応力を受けるとオン電流は増加し、圧縮応力を受けるとオン電流は減少する。反対にP型薄膜トランジスターでは、薄膜トランジスターがソースドレイン方向に引っ張り応力を受けるとオン電流は減少し、圧縮応力を受けるとオン電流は増加する。図2(a)でも図2(b)でも、オン電流の増減量は曲げに依る歪み量に対して線型関係にある。従って、フィルムが湾曲された際にオン電流の変化量を検出すれば、その際に薄膜トランジスターが被っている歪み量εTが分かる。一方、薄膜トランジスターが被っている歪み量εTと湾曲したフィルムの曲率半径RFとの間には、次の関係式が成り立つ。
ここで、d
Tは薄膜トランジスター層の厚み、d
Fはフィルムの厚み、Y
Tは薄膜トランジスター層のヤング率、Y
Fはフィルムのヤング率である。数式1を用いると、歪み量ε
Tが分かれば、その場に於けるフィルムの曲率半径R
Fが定まる。こうして面状に分布した第一薄膜トランジスターT1(i,j)のオン電流を調べれば、曲がり具合の面分布を計測出来る事になる。具体的には第一薄膜トランジスターT1(i,j)が配置された計測セル(i,j)に於ける曲率半径R
F(i,j)が定まる事になる。
図2に示す様に、オン電流の歪みに対する変化量は僅かであるので、本実施形態では曲げ応力を被らぬ基準トランジスター(第二薄膜トランジスターT2)と第一薄膜トランジスターT1(i,j)との相違を差動増幅して、曲がり量(曲率半径RF(i,j))を計測する。
更に、本実施形態では、測定感度を高める為に、第一薄膜トランジスターT1(i,j)は、N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)とP型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)とが直交する様に直列接続されている(図7参照)。その上でN型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)の電気伝導度とP型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)の電気伝導度とが同程度になる様に、WN1/LN1・μN=WP1/LP1・μPとする。ここで、WN1とLN1は其々N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)の幅と長さであり、WP1とLP1は其々P型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)の幅と長さであり、μNとμPとは其々N型薄膜トランジスターの移動度とP型薄膜トランジスターの移動度である。斯うする事でN型薄膜トランジスターとP型薄膜トランジスターの効果がほぼ等しく曲げ測定に反映される事になる。その結果、歪みがない場合にオン電流の変化量がほぼゼロになり、更に測定感度が向上する。例えば、曲げ方向が、N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)ではソースドレイン方向に平行(図2(b)のNMOS)で、P型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)ではソースドレイン方向に垂直(図2(a)のPMOS)の場合を考えて見る。中性時(歪みゼロ時)にNMOSもPMOSも単独では原点を通らないが、両トランジスターを直交させる事で原点を通過する様になる。又、PMOS単独では、凹型の湾曲を被って歪みが−0.4%程度になっても、オン電流の減少は僅か−1%でしかないが、PN両トランジスターを直交させる事でオン電流の減少は−5%程度へと増大させる事ができる。更に、PN二つのトランジスターを用いて、曲がり具合を計測するので、PMOS単独又はNMOS単独の場合に比べて平均化の効果が働き、測定誤差を小さく押さえる事ができる。
「回路」
図3は、本実施形態に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。以下、図3を参照して、曲げセンサーの回路を説明する。
図1に示した様に、曲げセンサー1は検出回路3と出力回路4、第一選択回路51、第一処理回路52、第二選択回路61、第二処理回路62とを有する。検出回路3には第一薄膜トランジスターT1(i,j)がM行N列の行列状に配置されている。MとNは1以上の整数である(1≦i≦M、1≦j≦N)。第一選択回路51は第一の方向に関してM行の行線対R(i)及びXR(i)から特定の一組の行線対を選択する。従って、第一選択回路51は行選択回路でもある。第一選択回路51にはシフトレジスターやデコーダーが使用される。第一処理回路52は第一選択回路51からの選択信号を計測に適する様に加工する。具体的には選択電位を変換するレベルシフターや、高速で安定的に行線を選択する様にバッファーを備える。第二選択回路61は第二の方向に関してN列の列線対C(j)及びXC(j)から特定の一組の列線対を選択する。従って、第二選択回路61は列選択回路でもある。第二選択回路61にはシフトレジスターやデコーダーが使用される。第二処理回路62は第二選択回路61からの選択信号を計測に適する様に加工する。具体的には選択電位を変換するレベルシフターや、高速で安定的に列線を選択する様にバッファーを備える。
図3に戻る。
第二処理回路62はこの他に列選択トランジスターとして、第三薄膜トランジスターT3(j)と第四薄膜トランジスターT4(j)とを含む。第三薄膜トランジスターT3(j)はN型第三薄膜トランジスターTN3(j)とP型第三薄膜トランジスターTP3(j)とが直列接続しており、第四薄膜トランジスターはN型第四薄膜トランジスターTN4(j)とP型第四薄膜トランジスターTP4(j)とが直列接続している。出力回路4は第一薄膜トランジスターT1(i,j)の電気的状態を増幅してLDOUT及びXLDOUTとして出力する。これらの回路の内で、検出回路3と出力回路4、第二処理回路62内の列選択トランジスターT3(j)とT4(j)とが薄膜トランジスターで形成される。本実施形態では、これらの他に第一選択回路51と第一処理回路52、第二選択回路61、第二処理回路62もCMOS構成の(N型及びP型の)薄膜トランジスターで形成されたが、第一選択回路51と第一処理回路52、第二選択回路61、第二処理回路62の内の列選択トランジスターTN3(j)とTN4(j)以外の回路は外付けのシリコンICチップにて形成されても良い。
第一薄膜トランジスターT1から第四薄膜トランジスターT4は其々N型薄膜トランジスターとP型薄膜トランジスターとが直列接続しているが、電位の高い方に(Vdd側に)P型薄膜トランジスターを配置し、電位の低い方に(Vss側に)N型薄膜トランジスターを配置する。N型薄膜トランジスターのソースドレインは、両者を比較して電位の高い方がドレインになり、電位の低い方がソースとなる。反対にP型薄膜トランジスターのソースドレインは、両者を比較して電位の低い方がドレインになり、電位の高い方がソースとなる。従って、第一薄膜トランジスターT1から第四薄膜トランジスターT4では、N型薄膜トランジスターのドレインとP型薄膜トランジスターのドレインとが接続され、N型薄膜トランジスターのソースが電位の低い方に接続され、P型薄膜トランジスターのソースが電位の高い方に接続される様に配置される。斯うすると、N型薄膜トランジスターのドレイン(N+半導体領域)とP型薄膜トランジスターのドレイン(P+半導体領域)を、半導体膜の状態で直に接続しても(金属配線に依る接続を省いても)、PN接合領域には順バイアスが印可される事になるので、PN両トランジスター間に寄生抵抗が発生する事はなく、高精度に曲げ計測が行われる事になる。尚、図3では各薄膜トランジスターのソースドレインをそれぞれsとdとで記載してある。
i行j列に位置する第一薄膜トランジスターT1(i,j)と、第二薄膜トランジスターTN2とは差動トランジスター対をなし、互いに対称に配置される。即ち、両者ともP型薄膜トランジスターのソースを第一電源(正電源Vdd)に接続し、電源に対して並列に配置されている。尚、N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)のゲートはi行目の行線R(i)に接続し、P型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)のゲートはi行目の行線XR(i)に接続し、其々に選択信号乃至は非選択信号が供給される。又、N型第二薄膜トランジスターTN2のゲートには基準信号Vrefが供給され、P型第二薄膜トランジスターTP2のゲートには反転基準信号XVrefが供給される。
曲げセンサー1は、更に第五薄膜トランジスターTN5と第六薄膜トランジスターTN6とを備え、第五薄膜トランジスターTN5と第六薄膜トランジスターTN6とはカレントミラー対をなしている。カレントミラー対とは、両トランジスターのソースが共通に接続され、ゲートに同電位を印可する事で、飽和動作時(Vds>Vgs−Vth>0)に、両トランジスターのドレイン電位が多少異なっていても、同じ電流を通すトランジスター対である。
曲げセンサー1は、更に第七薄膜トランジスターTN7を備える。第七薄膜トランジスターTN7は電流源トランジスターである。電流源トランジスターとは、飽和動作し、ドレイン電位が多少変動しても常に一定電流を供給するトランジスターである。第五薄膜トランジスターTN5のソースと第六薄膜トランジスターTN6のソースとは、第七薄膜トランジスターTN7のドレインに接続し、第七薄膜トランジスターTN7のソースは第二電源に接続する。第二電源は負電源Vssである。第七薄膜トランジスターTN7のゲートには第一制御信号Cnt1が供給される。第五薄膜トランジスターTN5と第六薄膜トランジスターTN6とが常に等しい電流を通し、第七薄膜トランジスターTN7が一定電流を供給するので、第五薄膜トランジスターTN5も第六薄膜トランジスターTN6も常に同一電流(第七薄膜トランジスターTN7を通る電流の半分)を通す。
j列目に位置する第三薄膜トランジスターT3(j)と第四薄膜トランジスターT4(j)とは列選択トランジスターである。即ち、第三薄膜トランジスターT3(j)は第一薄膜トランジスターT1(i,j)と第五薄膜トランジスターTN5との間に配置され、第一薄膜トランジスターT1(i,j)と第五薄膜トランジスターTN5とを電気的に接続可能としている。N型第三薄膜トランジスターTN3(j)のソースは第五薄膜トランジスターTN5のドレインに接続し、P型第三薄膜トランジスターTP3(j)のソースはN型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)のソースに接続する。その結果、j列目の列線対C(j)及びXC(j)に選択信号が入ると、第一薄膜トランジスターT1(i,j)と第五薄膜トランジスターTN5とは電気的に接続される。反対に列線対C(j)及びXC(j)に非選択信号が入ると、第一薄膜トランジスターT1(i,j)と第五薄膜トランジスターTN5とは電気的に絶縁される。同様に、第四薄膜トランジスターT4(j)は第二薄膜トランジスターTN2と第六薄膜トランジスターTN6との間に配置され、第二薄膜トランジスターTN2と第六薄膜トランジスターTN6とを電気的に接続可能としている。N型第四薄膜トランジスターTN4(j)のソースは第六薄膜トランジスターTN6のドレインに接続し、P型第四薄膜トランジスターTP4(j)のソースはN型第二薄膜トランジスターTN2のソースに接続する。その結果、列線対C(j)及びXC(j)に選択信号が入ると、第二薄膜トランジスターT2と第六薄膜トランジスターTN6とは電気的に接続される。又、列線対C(j)及びXC(j)に非選択信号が入ると、第二薄膜トランジスターT2と第六薄膜トランジスターTN6とは電気的に絶縁される。列線対C(j)及びXC(j)に供給される選択信号乃至は非選択信号は第二選択回路61からの出力を、必要に応じてレベルシフトし、レベルシフターからの出力はバッファーで補強されている。即ち、第三薄膜トランジスターT3と第四薄膜トランジスターT4とは第二選択回路61にて制御される。尚、第三薄膜トランジスターも第四薄膜トランジスターもN型トランジスターとP型トランジスターとが直列接続されているので、万が一、これらのトランジスターのフラットバンド電圧がずれても(それに応じてしきい値電圧がずれても)、正確な列選択が為される。静電気などでフラットバンド電圧がずれて一方のトランジスターがデプリーションモードとなっても、他方のトランジスターはエンハンスモードに有る。従って、PN両トランジスターが直列で接続されている限り、フラットバンド電圧(しきい値電圧)がどうずれようとも、オフ状態には必ず電流を遮断し、オン状態では必ず電流を通過させる。即ち、フラットバンド電圧やしきい値電圧が変動しても、正確に列選択が為される事になる。
出力回路4からの検出結果は、第六薄膜トランジスターTN6のドレイン電位V6がLDOUTとして出力され、第五薄膜トランジスターTN5のドレイン電位V5がXLDOUTとして出力される。
「計測方法」
図4は、本実施形態に係わる曲げセンサーにて曲がり具合を計測する際に、回路を駆動させるタイミングチャートを説明する図である。以下、図4を参照して、曲げセンサーを用いた計測方法を説明する。
まず、計測に先立ち、計測時に於ける基準信号Vref及び反転基準信号XVrefの電位値を定める。上述の如く、曲げセンサー1は、非可撓部に位置し基準トランジスターである第二薄膜トランジスターT2の電気特性と、可撓部に位置する複数の第一薄膜トランジスターT1(i,j)の電気特性とがそれぞれ比較される事で、第一薄膜トランジスターT1(i,j)の位置する部位の曲がり具合を検出する。一方で、薄膜トランジスターはトランジスター毎に電気特性が僅かに異なるのが一般である。これを補正する為に、検出回路3に配置された各トランジスターの変動を相殺すべく、基準信号Vref及び反転基準信号XVrefの値を定める。具体的には曲げセンサー1を平らな面に設置し、検出回路3が平面となる様にする。この状態で各第一薄膜トランジスターT1(i,j)を選択し(行線対R(i)及びXR(i)を其々選択信号電位H1N及びH1Pとし、列線対C(j)及びXC(j)を其々選択信号電位H2N及びH2Pとする)、LDOUT出力とXLDOUT出力とが等しくなる様に(V5=V6となる様に)N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)毎の基準信号Vrefの値と、P型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)毎の反転基準信号XVrefの値を定める。基準信号Vrefは行線R(i)に供給される選択信号電位H1Nに近い値となり、反転基準信号XVrefは行線XR(i)に供給される選択信号電位H1Pの近い値となる。N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)を選択する際に基準信号Vrefが取るべき選択電位をHrNijとし、P型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)を選択する際に反転基準信号XVrefが取るべき選択電位をHrPijとすると、これらは、次式で表記される。
検出回路3が平坦時に、総ての第一薄膜トランジスターT1(i,j)に対してV
5=V
6となる様にH
rNijとH
rPijとを定め(又はθ
Nijとθ
Pijとを定め)、まずこれらを外部コントローラーに設けられて居る不揮発メモリーに記憶する。その後に検出回路3を対象物の表面に合わせ、表面の曲がり具合を計測する。
計測時には、外部コントローラーが第一選択回路51や第一処理回路52、第二選択回路61、第二処理回路62などに適当な信号や電源を供給し、その結果、各行線対や列線対、出力回路4には、図4に示す、以下の様な信号が供給される。
まず、計測が始まると、第一制御信号Cnt1は選択信号電位H3Nとされる。行線対R(1)及びXR(1)からR(M)及びXR(M)は一対ずつ交替に選択される。通常は1行目の行線対R(1)及びXR(1)から最終行のM行目の行線対R(M)及びXR(M)へと順番に選択して行く。行線R(i)には、選択持に選択信号電位H1Nが供給され、非選択時には非選択信号電位Vssが供給される。行線XR(i)には、選択持に選択信号電位H1Pが供給され、非選択時には非選択信号電位Vddが供給される。選択信号電位H1Nは負電源電位Vssよりも高く、選択信号電位H1Pは正電源電位Vddよりも低い。例えばVss=2.7Vで、Vdd=8.1V、H1N=8.1V、H1P=2.7Vである。
一組の行線対が選択されている期間に、列線対(C(1)及びXC(1)からC(N)及びXC(N))が一対ずつ交替に選択される。通常は1列目の列線対C(1)及びXC(1)から最終列のN列目の列線対C(N)及びXC(N)へと順番に選択されて行く。列線C(j)には、選択持に選択信号電位H2Nが供給され、非選択時には非選択信号電位Vssが供給される。列線XC(j)には、選択持に選択信号電位H2Pが供給され、非選択時には非選択信号電位Vddが供給される。選択信号電位H2Nは負電源電位Vssよりも高く、選択信号電位H2Pは正電源電位Vddよりも低い。例えばVss=2.7Vで、Vdd=8.1V、H2N=10.6V、H2P=0Vである。
この様にして複数の第一薄膜トランジスターT1(i,j)から特定の一つが選択される。その際には、その選択された第一薄膜トランジスターT1(i,j)に適する選択電位HrNijとHrPijとを不揮発メモリーより読み出して、基準信号Vref並びに反転基準信号XVrefとする。選択電位HrNijとHrPijとは第一薄膜トランジスターT1(i,j)が平坦ならば出力電圧がV5=V6となる様に設定されているので、V5乃至はV6の値を読むと、選択された第一薄膜トランジスターT1(i,j)部の曲がり具合が分かる。例えば、選択された部位が凸型に曲がっていると、LDOUT(V6)の電位は低くなり、XLDOUT(V5)の電位は高くなるので、V5−V6の値は正になる。反対に、選択された部位が凹型に曲がっていると、LDOUT(V6)の電位は高くなり、XLDOUT(V5)の電位は低くなるので、V5−V6の値は負になる。
尚、図4には、変形例1(図15)で使用される反転第一制御信号XCnt1も記載してあるが、本実施形態ではこれを無視して構わない。又、変形例1では第一制御信号Cnt1を無視して構わない。
「使用方法」
曲げセンサーを使用する際には、準備期間と計測期間とを設けても良い。準備期間とは計測期間に備えて低頻度で計測を繰り返している期間で有る。計測期間には、曲げセンサーは高頻度で計測を繰り返している。例えば、曲げセンサーを服に着け、特定の動作(例えば野球のスウィング)を解析するモーションキャプチャーとして使用する場合、解析対象の動作(スウィング)が始まる直前までは準備期間とし、解析対象の動作が行われている期間を計測期間とする。或いは、曲げセンサーを、画像記憶性を有する表示装置(例えば電気泳動ディスプレイやコレステリック型液晶ディスプレイなどを備えた電子書籍)に適応する場合、画像記憶期間を準備期間とし、画像書き換え期間の直前を計測期間とする。
準備期間にも計測期間にも、上述の「計測方法」の章に記載した方法で曲げセンサーは計測動作を行っているが、その計測頻度が異なる。準備期間では単位時間内に行われる計測回数が少なく、計測期間ではこれが多い。M行N列に配置された計測セル(i行j列の計測セルにはT1(i,j)が配置されている)の総てを選択して計測する期間をフレーム期間とし、一つのフレーム期間から次のフレーム期間までの時間をスタンバイ期間とすると、計測頻度はフレーム期間とスタンバイ期間との和の逆数(1/(フレーム期間+スタンバイ期間))となる。即ち、計測期間に於ける計測頻度を、準備期間に於ける計測頻度よりも大きくする。一例としては、計測期間ではスタンバイ期間をゼロとし、フレーム周波数(フレーム期間の逆数)と計測頻度とを一致させる。一方で、準備期間に於けるスタンバイ期間は数ミリ秒以上の比較的長時間とし(例えば1秒)、準備期間に於ける計測頻度をスタンバイ期間の逆数にほぼ一致させる。
この様な準備期間と計測期間とを設ける事に依り、準備期間に於いては消費電力を低減でき、計測期間に於いては時間分解能を最大にする事ができる。尚、ここでは準備期間でも計測期間でもフレーム期間を同一とし、スタンバイ期間を変えたが、これに限らず、フレーム期間を準備期間と計測期間とで変えても構わない。即ち、計測期間に於けるクロック周波数の方を準備期間のクロック周波数よりも高くして、計測期間に於ける計測頻度を高くしても良い。
「トランジスターサイズ及び駆動条件」
図5は、本実施形態に係わる曲げセンサーの等価回路図である。又、図6は本実施形態に係わる曲げセンサーを駆動させる際の各種電位を定めるフローチャートである。次に図5乃至図6を参照して、高感度で高性能な計測を実現する為の条件を示す。以下、ここでは第一薄膜トランジスターT1から第七薄膜トランジスターT7をN型とし、第一薄膜トランジスターT1(i,j)をT1と略称する。又、HrNijやθNijもHrやθと略す。尚、T3のドレイン電位をV3で表し、T4のドレイン電位をV4、T7のドレイン電位をV7、で表す。
T1とT2とは差動入力対であるので、飽和動作などの非線型動作が望ましい。T3とT4は列選択トランジスターで、出力電位範囲を広くする視点から、線型動作が望ましい。従って、T3とT4とに関しては、Vdsは出来る限り小さく、V3?V5やV4?V6となるのが望ましい。T5とT6とはカレントミラー対で飽和動作でなければならない。又、T7は電流源トランジスターなので、矢張り飽和動作でなければならない。
まず、トランジスターの電流式を表現するのに数式3の記号を用いる。
ここでWはトランジスターチャンネル形成領域の幅、Lはトランジスターチャンネル形成領域の長さ、C
oxは単位面積当たりのゲート絶縁膜容量、μは移動度である。すると、飽和特性の近似式は数式4で表される。
本実施形態では薄膜トランジスターのしきい値電圧をV
thで表し、薄膜トランジスター間のV
th変動は僅かであると近似する。即ち、T1からT7のV
thは総て等しいと近似する。又、V
thは正であるとし、全体の電流(T7の電流)を2Iとする。まず、T1からT7のZをZ
1からZ
7で表し、これらを数式6の関係とする。
数式6が満たされていると、曲げによるT1の電流変化をゲート電位の変化と見なした際に、T1の見なしゲート電位とV
refとの差は線型増幅されて出力される。以下、各トランジスターに求められる駆動条件を検討する。
(1)T1は飽和動作が望ましい。従って、数式7と数式8で表される飽和条件が満たされるのが望ましい。
(2)T2は飽和動作が望ましい。従って、数式10と数式11とで表される飽和条件が満たされるのが望ましい。
(3)T3は線型動作が好ましい。従って、数式13で表される線型条件が満たされるのが望ましい。
(4)T4は線型動作が好ましい。従って、数式15で表される線型条件が満たされるのが望ましい。
(5)T5は飽和動作するのが望ましい。従って、数式17で表される飽和条件が満たされるのが望ましい。
(6)T6は飽和動作するのが望ましい。従って、数式19と数式20とで表される飽和条件が満たされるのが望ましい。
(7)T7は飽和動作するのが望ましい従って、数式22で表される飽和条件が満たされるのが望ましい。
δは例えば0.1V程度で、容易に飽和条件を満たすには1V程度未満が理想である。
次に数式13と数式15を満たす為に、数式25とする。
これにより、少なくとも数式26と数式27とが満たされる様になる。
T7に関する数式23と、T4に関する数式16とから、次式が得られる。
この数式28に数式24と数式25とを適応すると、次の様になる。
即ち、T4はゲート電圧がV
th+1V以上ならば、線型動作する。更に、T4での電位降下を確実に0.1V未満と小さくし、T4を線型動作させる為には、概ね次式が満たされれば良い。
次に、総ての望ましい条件を満たす様に構成を定める。T7に関する数式23とT6に関する数式21に対して、数式36とする。
こうすると、数式21と数式23とから数式37が得られる。
次にT1に関する数式9とT5に関する数式18とに対して、数式38とする。
T7とT4の議論(数式28から数式35までの議論)により、数式40と数式41で表される関係になっている。
数式39に数式41を代入し、数式37と連立させると、数式42と数式43の解が得られる。
T2に関する数式12とT6に関する数式21とからは、数式44が得られる。
数式44に数式37と数式40とを代入すると、数式45が得られる。
以下、高感度で高性能な測定を実現する為に、満たされる事が望ましい各条件を如何に満たすかを示す。
好適条件としての数式7: 数式41と数式42とから数式7は、数式46となる。
好適条件としての数式10: 数式40と数式44とから数式10は、数式46となる。
好適条件としての数式8: 数式8は、Vthが正なので、数式47が成り立てば、確実に満たされる。
好適条件としての数式11: 数式11は、Vthが正なので、数式48が成り立てば、確実に満たされる。
好適条件としての数式13と数式15: 数式13と数式15とは、数式24と数式34とで満たされる。
好適条件としての数式17: 数式17は、数式42と数式43とから、数式46となる。
好適条件としての数式19: 数式19は、数式42と数式45とから、数式49となる。
こうすると、好適条件としての数式19は、数式51と記載し直される。
好適条件としての数式22: 数式24から数式22は、数式52となる。
これに数式43を適応すると、数式22は、数式53となる。
今、数式55の関係とする。
すると、数式43と数式42とから、数式56が得られる。
即ち、T1とT5、T7にはほぼ均等なドレイン電圧が印可される。同様にT2、T6、T7にもほぼ均等なドレイン電圧が掛かる。尚、この際に数式24と数式55とにより、数式57の関係となる。
結局、電位関係としては、数式55と、数式24,数式25、数式57、数式50、数式51とを満たす様にする。ここまでは分かり易くする為に総てのトランジスターをN型として考えてきたが、P型とN型とを共に考慮すると、これらの数式は表1及び表2の様に纏められる。尚、選択状態での電位をHで表し、非選択状態での電位をLで表す。又、HやLに対して、N型トランジスターではNの下付文字を付け、P型トランジスターではPの下付文字を付ける。
これらの電位関係は図6に示す方法で定められる。まず、N型薄膜トランジスターのしきい値電圧VthNとP型薄膜トランジスターのしきい値電圧VthPとを測定で求め、δNとγNとを定める。δNは数式24に則し、0.1V程度から0.3V程度とする。又、γNは、数式25に依り、最高位電位H2Nがあまりの大きくならない範囲で、比較的大きくする。例えば0.5V程度から5V程度とする。N型薄膜トランジスターのしきい値電圧VthNは正であり、P型薄膜トランジスターのしきい値電圧VthPは負である。次に、−δNと−γNとを其々δPとγPとする。γPが定まると、これを用いて、Vssを−VthP−γPと定める。これに依り使用する総ての電圧をゼロ以上にでき、負電圧を準備する必要が無くなる。次にP型トランジスターのしきい値電圧VthPの絶対値とN型トランジスターのしきい値電圧VthNの絶対値とを比較して、P型トランジスターのしきい値電圧VthPの絶対値の方が大きければ、VddをVss−3(VthP+δP)以上に定める。反対にN型トランジスターのしきい値電圧VthNの絶対値の方が大きければ、VddをVss+3(VthN+δN)以上に定める。これでVddが定まるので、H1NをVddとし、H1PをVssとする。以下、H2NはVdd+VthN+γNとし、H2PはVss+VthP+γPとし、H3NはVss+VthN+δNとし、H3PはVdd+VthP+δPとする。電位関係の一例を表3に掲げる。表3で網掛けの四種類の電圧は測定で得られたり、最初に設定されるもので、その他が表1乃至表2の手法で得られる電圧値である。
トランジスターサイズに関しては、数式6と数式34、数式36、数式38から数式58とする。
これらを図3の回路に適する様に変換するには、電子とホールとの移動度の差、及び第k薄膜トランジスターTk(k=1、2、3、4)がN型薄膜トランジスターTNkとP型薄膜トランジスターTPkとの直列結合である事を考慮する。まず移動度の差に関しては、TNkのZとβと移動度とを其々Z
Nkとβ
Nとμ
Nとで表し、TPkのZとβと移動度とを其々Z
Pkとβ
Pとμ
Pとで表し、これらの間にZ
Nkβ
N=Z
Pkβ
Pとの関係式を成り立たせる。通常、N型薄膜トランジスターとP型薄膜トランジスターとでゲート絶縁膜の材質も厚みも同じなので、Z
Nkμ
N=Z
Pkμ
Pとの関係であっても良い。斯うする事でPN両トランジスターにほぼ等しいドレイン電圧が掛かり、両トランジスターが均等に動作することになる。TkがTNkとTPkとの直列結合である事に関しては、Z
Nk=2Z
kとする。斯うする事で、TNkとTPkとの直列結合をN型のTkで近似する事ができ、上述の議論が成り立つ。これらを纏めると、表4となる。
この様な電気関係とトランジスターサイズとを採用する事で、高感度で正確な計測が実現する。
「平面レイアウト」
図7は、本実施形態に係わる曲げセンサーの検出回路の平面レイアウトを説明する図である。以下、図7を参照して、検出回路の平面レイアウトを説明する。
検出回路3ではT1(i,j)が行列状に並んでいる。i行j列に位置するTN1(i,j)のソースsはj列目の第一列線CL(j)に接続し、ゲートGはi行目の行線R(i)に接続している。TP1(i,j)のソースsはj列目の第二列線CR(j)に接続し、ゲートGはi行目の行線XR(i)に接続している。更に、両トランジスターのドレイン同士が接続されている。TP1(i,j)のトランジスター幅は、ZN1μN=ZP1μPとの関係を満たす様に、TN1(i,j)のトランジスター幅よりも広くなっている。j列目の第一列線CL(j)と第二列線CR(j)とは第一の方向に平行に配線され、検出回路3の外側でそれぞれTP3(j)のソースとVdd(図3参照)とに接続する。i行目の行線R(i)とXR(i)とは第二の方向に平行に配線され、検出回路3の外側で第一処理回路52(図1参照)に接続する。
TN1(i,j)のチャンネル形成領域とTP1(i,j)のチャンネル形成領域とは互いに直交している。TN1(i,j)のチャンネル形成領域は、第一列線CL(j)と第二列線CR(j)とに平行に配置され、TP1(i,j)のチャンネル形成領域は、行線R(i)と行線XR(i)とに平行に配置される。即ち、TN1(i,j)のソースドレイン方向は、第一列線CL(j)と第二列線CR(j)とに平行であり、TP1(i,j)のソースドレイン方向は、行線R(i)と行線XR(i)とに平行である。第二の方向(y軸方向)に隣接する第一薄膜トランジスター間には、第一の方向(x軸方向)に沿う線状の切れ目31が基板2に入っている。換言すれば、切れ目31とTN1(i,j)のソースドレイン方向とは平行であり、切れ目31とTP1(i,j)のソースドレイン方向とは垂直である。この曲げセンサー1は第一の方向に関して曲がり具合を検出する。薄膜トランジスターの電気特性は、図2に示す様に、ソースドレイン方向に平行に湾曲された場合にも、ソースドレイン方向に垂直に湾曲された場合にも、影響を被る。図7では、第一の方向に沿って線状の切れ目31が設けられて居るので、第一薄膜トランジスターは第二の方向からの曲げ応力を受けず、第一の方向からの曲げ応力を主として受ける。この為に第二の方向からの曲げ応力干渉がなくなり、高精度な測定を可能としている。
尚、図7で、切れ目31は緩やかな曲線を描いているが、隣接する第一薄膜トランジスター間を、力学的に分離すればその形状は問われず、直線でも構わない。或いは切れ目31は、複数の穴を第一の方向に沿って開口してあっても良い。
「固定板の断面形状」
図8は、本実施形態に係わる曲げセンサーの断面の一部を説明する図である。又、図9は可撓領域に於ける固定板の厚みと距離との関係を説明する図である。更に、図10は可撓領域に於ける固定板のたわみと距離との関係を説明する図である。ここでは可撓領域に於ける固定板の断面形状を、図8と図9と図10とを用いて、説明する。
図8は、図1のA−A’の断面図である。曲げセンサー1は非可撓領域21にて、基板2の背面を固定板7で固定されている。固定板7はABS樹脂(アクリロニトリルとブタジエン、及びスチレンの共重合合成樹脂)などの外観性が良く、靱性に優れた強固なプラスチックから構成され、殆ど曲がらない。一方、基板2は厚さ100マイクロメーターのポリエステルフィルムで、柔軟性に富んでいる。基板2の表面には薄膜トランジスターで回路や配線が形成されているが、これらが可撓領域22と非可撓領域21との境界で破壊される恐れが僅かにある。これを完全に(ほぼ100%)回避する為に、固定板7は可撓領域22にもはみ出して形成され、その厚みを可撓領域22では徐々に減じている。こうする事で、回路や配線の信頼性が著しく増す事になる。以下では固定板7の形状をどうすれば、信頼性の高い曲げセンサー1を実現できるかを論ずる。
図8に示す様に、可撓領域22に於ける固定板7は、その断面幅が下側から上側に向かうに従って広がっており、固定板7の上面にてその幅を最大にしている。即ち、x軸方向に対しては、可撓領域22に於ける固定板7の厚みは、原点O(可撓領域22と非可撓領域21との境界で、固定板7が厚みを減じ始める位置)から離れるに従って、薄くなっている。以下では、可撓領域22に於ける固定板7の厚さt(x)を原点Oからの距離xの関数で表した際に、どう云った関数としたら好ましいかを示す。即ち、好適例として、厚さが距離の一次式で表現される形態と、平方根で表現される形態、立方根で表現される形態、が示される。可撓領域22に於ける固定板7の幅WHが同じ場合、最も強い荷重に耐えられ、最も柔軟性に富むのは一次式の形態である事や、応力を可撓領域22に於ける固定板7全体で均一に受け止めるのが平方根の形態である事、曲率半径が可撓領域22に於ける固定板7全体で同一になるのが立方根の形態である事、等が示される。
(好適例1)厚さが距離の一次式で表現される形態
第一の具体例では、可撓領域22に於ける固定板7の厚さt(x)が距離xに対して線型関係にあり、数式59にて記述される。
ここでW
Hは可撓領域22に於ける固定板7の幅であり、αは傾斜パラメーター、可撓領域22に於ける固定板7の厚さは原点O(x=0)にてt
0であり、先端(エッジ、x=W
H)にてt
E=αt
0である。図9には実線Lにて数式59にて表される距離(x/W
H)と厚み(t(x)/t
0)との関係を、α=0.2として描いてある。可撓領域22に於いて、固定板7の厚みが距離の一次関数で表され、原点から離れるに従って線型に薄くなっているのが分かる。
可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に(z軸に平行に)加えられた際に、荷重が先端部に集中しているとの近似で、モーメントの釣り合いから導かれる基本方程式は、数式60である。
尚、ここでRは可撓領域22に於ける固定板7がたわんだ際の曲率半径、zは可撓領域22に於ける固定板7のz方向へのたわみ量、Eは固定板7のヤング率、L
Hは固定板7の長さである。数式60に対する境界条件は、数式61である。
数式60を数式61の元に解くと、数式62の解が得られる。
これが可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に加えられた際の、距離(x)とたわみ(z(x))との関係である。図10にこの関係を、α=0.2として、縦軸を規格化されたたわみ量(z(x)/(FW
H 3/(EL
Ht
0 3)))で、横軸を規格化された距離(x/W
H)として、実線Lにて描いてある。荷重Fに対し、可撓領域22に於ける固定板7が優れた柔軟性を有している事が判る。可撓領域22に於ける固定板7の端部に於けるたわみz
Eは、数式62でx=W
Hと置いて、数式63となる。
又、可撓領域22に於ける固定板7の上での曲げ応力σは、固定板7の歪みをεとして、数式64で表される。
この式から曲げ応力が最大となるのは、x=(1−2α)/(1−α)・W
Hで、0≦α<0.5の時に、数式65となる。
可撓領域22に於ける固定板7をなす材料の曲げ強さ(国際標準化機構のISO178が定め、三点曲げ試験から得られる曲げ強さ)をσ
bとすると、σ
Maxがσ
bよりも小さくなる条件(数式66)を満たしている限り、可撓領域22に於ける固定板7は破断しない。
従って、可撓領域22に於ける固定板7は、使用時に想定される荷重の線密度(F/L
H)と可撓領域22に於ける固定板7の曲げ強さσ
bとを元に、数式66を満たす様に幅W
Hや原点Oに於ける厚みt
0、傾斜パラメーターαを定める。或いは、使用時に想定される最もきつい曲率半径をR(M)
inとし、それが曲げ応力の最大になる場所での曲率半径に一致しても可撓領域22に於ける固定板7が破断しない条件とする。曲げ応力が最大になる場所での可撓領域22に於ける固定板7の厚みをt
Mとして、σ
Maxがσ
bよりも小さくなる条件は、数式67である。
従って、数式67を満たす様に厚みt
0と傾斜パラメーターαとを定める。即ち、可撓領域22に於ける固定板7の先端での厚みt
E=αt
0を、数式67を満たす様にすると、使用時に可撓領域22に於ける固定板7が破断することはない。本実施形態では、可撓領域22に於ける固定板7はABS樹脂からなり、そのヤング率はE=2000MPで、曲げ強さはσ
b=50MPaである。使用時に想定される最もきつい曲率半径は10mmであるので、先端での厚みは、数式67に従って、0.25mm未満でなければならない。実際には、t
0=1mmでα=0.2、先端部の厚みは0.2mm、W
H=5mmであったので、数式9を満たしているにのみならず、曲率半径を8mmに小さくされるまで可撓領域22に於ける固定板7は破断しない様にされている。尚、可撓領域22を強く屈曲させて、その結果として可撓領域22に於ける固定板7がたわみ、可撓領域22に於ける固定板7での最小曲率半径が8mm未満になった際に破断が生ずる恐れのある位置はおおよそ、x=0.889W
Hである。
尚、0.5≦α<1の場合には、曲げ応力が最大に成るのはx=0で、その値σMaxと曲率半径R0とは、それぞれ数式68で表される。
使用時に想定される最も厳しい荷重線密度(F/L
H)や最もきつい曲率半径をR(M)
inに対して、数式69を満たす様にW
Hやt
0を定める。
例えば先と同じABS樹脂で可撓領域22に於ける固定板7を作成し、同じ最小曲率半径を想定すると、数式11に則り、t
0<0.5mmとする。
(好適例2)厚さが距離の平方根で表現される形態
第二の具体例では、可撓領域22に於ける固定板7の厚さt(x)が距離xに対して平方根の関係にあり、数式70と記述される。
図9には点線SRにて数式12にて表される距離(x/W
H)と厚み(t(x)/t
0)との関係を描いてある。固定板7の厚みが距離の平方根に比例して薄くなり、取り分け、先端(x=W
H)付近で急にではあるが、なめらかに薄くなっているのが分かる。
可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に(z軸に平行に)加えられた際に、荷重が先端部に集中しているとの近似で、モーメントの釣り合いから導かれる基本方程式は、数式71である。
境界条件は具体例1と同じで、数式61にて与えられる。数式71を数式61の元に解くと、数式72の解が得られる。
これが可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に加えられた際の、距離(x)とたわみ(z(x))との関係で、図10にこの関係を点線SRにて描いてある。荷重Fに対し、可撓領域22に於ける固定板7が柔軟性を有している事が判る。可撓領域22に於ける固定板7の端部に於けるたわみz
Eは、数式73で表される。
又、可撓領域22に於ける固定板7の上での曲げ応力σは数式74となる。
曲げ応力は可撓領域22に於ける固定板7の幅方向で均一となる。即ち、幅方向の特定の位置で破断し易い様な事はなくなる。曲げセンサー1の使用時に可撓領域22を屈曲させると、可撓領域22の屈曲に伴う応力が発生し、その応力の一部を可撓領域22に於ける固定板7が曲げ応力として受け持つことになるが、それが可撓領域22に於ける固定板7上で均一になる。換言すれば、可撓領域22に於ける固定板7の特定箇所に応力が集中する事がなくなるので、その意味から曲げセンサー1の機械的耐久性が向上することになる。可撓領域22に於ける固定板7が曲げ応力で破断されない条件は、数式75である。
使用時に想定される最も厳しい荷重線密度(F/L
H)に対して、数式75を満たす様にt
0やW
Hを定める。厚みが距離に対して平方根の関係にある場合、最も曲がりにくい点はx=0であるから、x=0に於ける曲率半径R
0を用いて、R
0=R(M)
inとされた時に、x=0に於ける曲げ応力σ
0が曲げ強さσ
bよりも小さく、数式76を満たせば、曲げセンサー1が屈曲されても可撓領域22に於ける固定板7は破断しない。
即ち、使用時に想定される最もきつい曲率半径R(M)
inに対して、数式76を満たす様にt
0を定める。例えば先と同じABS樹脂で可撓領域22に於ける固定板7を作成し、同じ最小曲率半径を想定すると、数式76に則り、t
0<0.5mmとすれば、使用時に可撓領域22に於ける固定板7が破断する恐れはない。この場合、非可撓領域21に於ける固定板7は1mm以上の厚みを持たせ、原点Oで階段状に厚みを減じてt
0とし、非可撓領域21では固定板7の厚みをt
0から距離の平方根に比例して薄くして行く。
尚、プラスチックにて可撓領域22に於ける固定板7を作製する際に、厚みを正確に数式70にて表される平方根の関係に加工するのは大変である。この場合は好適例1で示した線型関係で近似させる事ができる。即ち、数式77とする。
一例として、α=0.395とした際のたわみを図10の実線L2にて描く。実線L2と点線SRとが良く一致している事が判る。この線型近似で、曲げ応力は可撓領域22に於ける固定板7の幅方向でほぼ均一となり、厚みが線型関係の時の効果に加え、平方根の時と同様な効果が期待でき、更に製造加工も容易になる。
(好適例3)厚さが距離の立方根で表現される形態
第三の具体例では、可撓領域22に於ける固定板7の厚さt(x)が距離xに対して立方根の関係にあり、数式78と記述される。
図9には一点鎖線CRにて数式78にて表される距離(x/W
H)と厚み(t(x)/t
0)との関係を描いてある。固定板7の厚みが距離の立方根に比例して薄くなり、取り分け、先端(x=W
H)付近で急にではあるが、なめらかに薄くなっているのが分かる。
可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に(z軸に平行に)加えられた際に、荷重が先端部に集中しているとの近似で、モーメントの釣り合いから導かれる基本方程式は、数式79である。
この場合、曲率半径は距離xに依存せず、一定となる。即ち可撓領域22に於ける固定板7の何処も同じ曲率半径を有しながら均一に変形する。可撓領域22の固定板7を屈曲させた際に、固定板7は可撓領域22内で同一の曲率半径で綺麗に曲がる事になる。即ち、可撓領域22の曲げに対する耐久性を向上させる事ができる。境界条件は具体例1と同じで、数式61にて与えられる。数式79を数式61の元に解くと、数式80の解が得られる。
これが可撓領域22に於ける固定板7に荷重Fが垂直に加えられた際の、距離(x)とたわみ(z(x))との関係で、図10にこの関係を一点鎖線CRにて描いてある。荷重Fに対し、可撓領域22に於ける固定板7が柔軟性を有している事が判る。可撓領域22に於ける固定板7の端部に於けるたわみz
Eは、数式81である。
又、可撓領域22に於ける固定板7の上での曲げ応力σは数式82となる。
即ち、x=0にて歪みも曲げ応力も最大となる。可撓領域22に於ける固定板7が曲げ応力で破断されない条件は、数式83である。
使用時に想定される最も厳しい荷重線密度(F/L
H)に対して、数式83を満たす様にt
0やW
Hを定める。厚みが距離に対して立方根の関係にある場合、屈曲時に最も破断しやすい点はx=0であるから、R
0=R(M)
inとされた時に、x=0に於ける曲げ応力σ
0が曲げ強さσ
bよりも小さく、数式84を満たせば、曲げセンサー1が屈曲されても可撓領域22に於ける固定板7は破断しない。
即ち、使用時に想定される最もきつい曲率半径R(M)
inに対して、数式84を満たす様にt
0を定める。例えば先と同じABS樹脂で可撓領域22に於ける固定板7を作成し、同じ最小曲率半径を想定すると、数式84に則り、t
0<0.5mmとすれば、使用時に可撓領域22に於ける固定板7が破断する恐れはない。この場合、非可撓領域21に於ける固定板7は1mm以上の厚みを持たせ、原点Oで階段状に厚みを減じてt
0とし、非可撓領域21では固定板7の厚みを距離の立方根に比例して薄くして行く。
尚、プラスチックにて可撓領域22に於ける固定板7を作製する際に、厚みを正確に数式78にて表される立方根の関係に加工するのは大変である。この場合は好適例1で示した線型関係で近似させる事ができる。即ち、数式85とする。
一例として、α=0.58とした際のたわみを図10の実線L3にて描く。実線L3と一点鎖線CRとが良く一致している事が判る。この線型近似で、可撓領域22に於ける固定板7の曲率半径はほぼ均一となり、厚みが線型関係の時の効果に加え、立方根の時と同様な効果が期待でき、更に製造加工も容易になる。
図11は、本実施形態の効果を説明する断面図であり、(a)は比較例の曲げセンサーに下向きの荷重を加えた状態で、(b)は本実施形態の曲げセンサーに下向きの荷重を加えた状態を表す。
図11(a)に示す比較例の曲げセンサー1では、非可撓領域21だけに固定板7が設けられている。この比較例に対し、図11(b)に示す本実施形態の曲げセンサー1には、可撓領域22に原点からの距離に対して次第に薄くなる固定板7が設けられている。比較例の曲げセンサー1では、図11(a)に示す様に、可撓領域22が凸型に屈曲された際に、固定板7の角が可撓領域22にくい込み、局所的に極めて強いくい込み圧力Pを基板2に及ぼす。図11では、くい込み圧力Pの強さを矢印の長短で表現し、くい込み圧力Pの及ぶ範囲を矢印の幅の広さで表現してある(従って数学的には矢印の長さと幅との積がくい込み力になり、図11(a)と図11(b)とでこの積の値は一致する)。これに対して、本実施形態の曲げセンサー1では、図11(b)に示す様に、可撓領域22が凸型に屈曲されても、可撓領域22に於ける固定板7が面で幅広く、弱いくい込み圧力Pを基板2に及ぼす。この為に、比較例の曲げセンサー1に於いては、くい込み圧力Pによって、基板2上の回路や配線が影響を受けたり、特性が変化したりする恐れが僅かに残るが、本実施形態の曲げセンサー1に於いては、くい込み圧力Pによって、こうした事態が発生する可能性は殆どゼロになる。更に、可撓領域22の幅方向においては、固定板7は原点Oから離れるに従い厚みを減じているので、固定板7の先端(エッジ)では殆どくい込み圧力Pは発生せず、端部への応力集中に伴う回路や配線の悪影響を完全に(ほぼ100%)防止する事ができる。強いくい込み圧力は、回路や配線を破壊する恐れ(回路や配線にクラックが入って配線が断線する恐れ)があるので、これを弱くする事は曲げセンサー1の製造時における破損を抑制して生産性を高めると共に、使用時における機械的信頼性を高める事になる。
「曲げセンサーの製造方法」
曲げセンサー1では、柔軟性を有するプラスチックフィルムの基板2に薄膜回路を形成してあるが、ここでは曲げセンサー1の製造方法を述べる。具体的には、最初にガラス基板に形成された薄膜回路を剥離して、プラスチックフィルムに転写する方法で曲げセンサー1を製造する。
第一工程として、製造元基板となるガラス基板上に剥離層を設ける。剥離層は厚みが50nm程の水素化非晶質シリコン膜である。この剥離層上に下地絶縁膜となる酸化硅素膜を成膜した後に、薄膜トランジスターなどからなる薄膜回路を製造する。薄膜回路は、公知の低温工程多結晶シリコン薄膜トランジスターの製造方法を適応する。具体的には、下地絶縁膜上にレーザー結晶化された多結晶シリコン半導体層を設け、その後に、酸化硅素膜を用いたゲート絶縁層と、アルミニウム又はアルミニウムに添加物を加えた金属を用いたゲート電極とを作成する。更に、酸化硅素膜を用いた第一層間絶縁層、アルミニウム又はアルミニウムに添加物を加えた金属を用いたソースコンタクト及びドレインコンタクト、ポリイミド系の樹脂を用いた第二層間絶縁層(保護膜)、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)を用いた電極端子(実装端子)を作成する。
次に第二工程として、仮接着剤を薄膜回路表面に塗布し、製造元基板を仮転写基板に貼り付ける。仮接着剤としては、アクリル系の樹脂に水溶性を与えるべくポリビニルピロリドン樹脂を混合したものを用いる。仮転写基板は平滑なガラス基板である。
次に第三工程として、製造元基板を取り外し、薄膜回路を仮転写基板に移す。製造元基板を取り外す方法としては、製造元基板裏面からレーザー光を照射して剥離層の内部又は界面に於ける密着力を弱め、次いで製造元基板と仮転写基板とを引き剥がす。こうする事で薄膜回路は仮転写基板に移される。
次に第四工程して、薄膜回路裏面に残る剥離層を除去し、例えばイオナイザーを用いて薄膜回路裏面に存在する電荷を除去する。此により剥離帯電や乾燥時の空気との摩擦帯電を或る程度除去できる。
次に第五工程として、例えばアクリル系の樹脂からなる永久接着剤を用いてプラスチックフィルムの第一面側に薄膜回路裏面を貼り付ける。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene naphthalate)などのポリエステルフィルムを用いることができる。
プラスチックフィルムを貼り付けた後、第六工程として、プラスチックフィルム第二面側(第一面側と反対の面)の非可撓領域21となるべき場所に永久接着剤を用いて固定板7を接着する。この永久接着剤は第五工程で用いた永久接着剤と同じであっても構わないし、異なっていても構わないが、仮接着剤を溶解する溶媒には溶けない材質である。固定板7の接着に前後して、レーザー加工などを利用して、切れ目31をいれる。こうした作業は仮転写基板が付いた状態で行われるので、基板2が柔軟性を有していても取り扱いが容易で、曲げセンサー1の製造も困難なく行われる。
次に第七工程として、仮接着剤を溶解する溶媒(この場合には水)を用いて仮転写基板を外す。その後、仮接着剤を洗浄して除去する。
次に第八工程として、実装作業を行う。まず、非可撓領域21に設けられた実装端子にテープ配線を実装する。この際には異方性導電ペーストや異方性導電フィルム(これらを併せて異方性導電接着剤と呼ぶ)を実装端子とテープ配線との間に配置して両者を接着する。テープ配線は曲げセンサー1外に設けられた外部コントローラーに接続される。こうして、曲げセンサー1が完成する。
尚、基板2は上述のプラスチックフィルムの他に、厚みが50マイクロメーターから500マイクロメーター程度の薄い金属箔や、厚みが10マイクロメーターから200マイクロメーター程度の薄いガラスであっても良い。又、製造方法も厚いガラスに薄膜回路を形成した後にガラスを薄く削る方法や、プラスチックフィルムや金属箔に直接薄膜回路を形成する方法であっても良い。直接形成する場合には非晶質シリコン薄膜トランジスターや、亜鉛又は錫を含む酸化物を半導体層に利用した酸化物薄膜トランジスター等を利用することが出来る。
上述した通り、本実施形態に係わる曲げセンサー1によれば、以下の効果を得る事ができる。
曲げセンサー1が、可撓領域22に形成された第一薄膜トランジスターや、非可撓領域21に形成された第二薄膜トランジスター等の薄膜トランジスターから構成されるので、空間分解能が極めて高くする事ができる。又、TN1とTP1とが直交するので、計測感度が高くなる。
又、第五薄膜トランジスターと第六薄膜トランジスターとを備え、これらがカレントミラー対をなして、第一薄膜トランジスターや第二薄膜トランジスターと接続可能であるので、曲がり具合(曲率)を正確に計測できる。
又、第一電源と第二電源と第七薄膜トランジスターとを備え、第七薄膜トランジスターが定電流源と成り得るので、曲がりに関する信号増幅が線型となり、曲げストレスに比例した電位を正確に計測できる。
又、曲げを検出する第一薄膜トランジスターを第一の方向に複数個配置して、個別に選択するので、第一の方向に関する曲がりの空間分布を計測できる。従って、曲がり具合が第一の方向に沿って複数ヶ所であっても、正確に曲がり具合を計測できる。
又、曲げを検出する第一薄膜トランジスターを第二の方向に複数個配置して、個別に選択するので、第二の方向に関する曲がりの空間分布を計測できる。従って、曲がり具合が第二の方向に沿って複数ヶ所であっても、正確に曲がり具合を計測できる。
又、第三薄膜トランジスターと第四薄膜トランジスターとが第二の方向での選択回路の一部として機能するので、第二の方向に於ける曲がり具合の情報が干渉する事を防げる。又、第三薄膜トランジスターも第四薄膜トランジスターもN型トランジスターとP型トランジスターとが直列接続されているので、万が一、これらのトランジスターのフラットバンド電圧はしきい値電圧がずれても、正確な計測ができる。
又、可撓領域22に位置する第一薄膜トランジスターの電気特性と非可撓領域21に位置する第二薄膜トランジスターの電気特性とを比較して、曲がり具合を計測するので、曲がり具合を正確に計測できる。
又、第五薄膜トランジスターと第六薄膜トランジスターと第七薄膜トランジスターとがN型であり、第二電源が負電源であるので、P型の薄膜トランジスターを用いずにN型の薄膜トランジスターで曲げセンサー1を実現できる。
(実施形態2)
「イコライズ回路が配置されている形態」
図12は、実施形態2に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。又、図13は、実施形態2に係わる曲げセンサーにて曲がり具合を計測する際に、回路を駆動させるタイミングチャートを説明する図である。以下、本実施形態に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態(図12)は実施形態1(図3)と比べて、第五薄膜トランジスターTN5のドレインと第六薄膜トランジスターTN6のドレインとの間にイコライズ回路を備える点が異なっている。それに伴って、タイミングチャート(図13)でも実施形態1のタイミングチャート(図4)と比べて、各計測セルの選択期間内にプリチャージ期間が設けられる様になる。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
図12に示す様に、本実施形態ではイコライズ回路として第八薄膜トランジスターT8が出力回路4に設けられて居る。第八薄膜トランジスターT8はN型第八薄膜トランジスターTN8とP型第八薄膜トランジスターTP8とが直列接続しており、TN8乃至はTP8のソースドレインの一方はTN5のドレインに接続してXLDOUTとなり、他方はTN6のドレインに接続してLDOUTとなる。TN8のゲートには第二制御信号Cnt2が供給され、TP8のゲートには反転第二制御信号XCnt2が供給される。尚、プリチャージ期間(選択期間の前半)を短くするには、TN8及びTP8のオン電流は大きい事が望まれ、それ故、TN8やTP8のトランジスターサイズはTN3やTP3、及びTN4やTP4のトランジスターサイズと同じにする事(ZN3=ZN4=ZN8及びZP3=ZP4=ZP8)が好ましい。
次に図13を参照して、曲げセンサー1の回路駆動方法を説明する。行列状に配置された複数の第一薄膜トランジスターから特定の一つが選択されると(即ち特定の一つの計測セルが選択されると)、その選択期間の前半はXLDOUTの電位V5とLDOUTの電位V6とをVddへとプリチャージし、選択期間の後半で曲がり具合を計測する。第一制御信号Cnt1は、選択期間の前半に非選択電位L(Vss)となり、選択期間の後半に選択電位H3Nとなる。H3Nの電位値は実施形態1で論じた通りである。第二制御信号Cnt2は、第一制御信号Cnt1に対して相補的で、電位振幅が異なる信号となる。即ち、第二制御信号Cnt2は、選択期間の前半に選択電位H4Nとなり、選択期間の後半に非選択電位L(Vss)となる。反転第二制御信号XCnt2は、第二制御信号Cnt2に対して相補的な信号となる。即ち、反転第二制御信号XCnt2は、第一制御信号Cnt1と同位相で、電位振幅が異なる信号となる。反転第二制御信号XCnt2は、選択期間の前半に選択電位H4Pとなり、選択期間の後半に非選択電位L(Vdd)となる。高速測定を実現する為に、非選択電位に対する選択電位の電位差(H4N−Vss及びH4P−Vdd)は大きい方が好ましく、H4NとH4Pとを、其々、例えば実施形態1で論じたH2NとH2Pとする事が望ましい。こうすると、選択期間の前半ではTN7がオフ状態になり、T8がオン状態になるので、XLDOUTの電位V5とLDOUTの電位V6とをVddへと等しくできる。出力が等しくなった後に、選択期間の後半で曲がり具合を計測するので、一つの計測と次の計測(例えば計測セル(i,j)の計測と次の計測セル(i,j+1)の計測)とで、前の計測結果(計測セル(i,j)の計測結果)が後の計測結果(計測セル(i,j+1)の計測結果)に干渉する事がなくなり(これらが干渉すると干渉を排除する為に計測時間は長くなる)、正確な計測を迅速に実施できる様になる。
上述した通り、本実施形態に係わる曲げセンサー1によれば、実施形態1での効果に加え、以下の効果を得る事ができる。
イコライズ回路を備えているので、曲がり具合の計測を空間的及び時間的に順次繰り返して行う際に、各計測の間に出力電位をリセットできる。その結果、迅速に正確な計測を実現できる。又、イコライズ回路がN型トランジスターとP型トランジスターとの直列接続となっているので、万が一、これらのトランジスターのフラットバンド電圧又はしきい値電圧がずれても、どちらかのトランジスターが必ず計測時に(選択期間の後半に)LDOUTとXLDOUTとを遮断するので、正確な計測ができる。
(実施形態3)
「定電流源が二つ配置されている形態」
図14は、実施形態3に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。以下、本実施形態に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1乃至2と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態(図14)は実施形態2(図12)と比べて、電流源トランジスターを2個備えている点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1乃至2とほぼ同様である。
図14に示す様に、本実施形態では電流源トランジスターとしてN型第七薄膜トランジスターTN7とP型第七薄膜トランジスターTP7とが出力回路4に設けられて居る。即ち、図12に示す実施形態2にP型第七薄膜トランジスターTP7が追加されている。TP7のソースは正電源Vddに接続し、ドレインはTP1(i,j)のソース及びTP2のソースに接続し、ゲートには反転第一制御信号XCnt1が入力される。反転第一制御信号XCnt1は、第一制御信号Cnt1に対して相補的な信号となる。即ち、計測時には選択電位としてH3Pが導入され、プリチャージ期間などの非計測時には非選択電位としてVddが導入される。H3Pは実施形態1の表1に記載されている。
電流源トランジスターが2つ直列に設けられた事に伴い、N型第七薄膜トランジスターTN7のトランジスターサイズを、実施形態1のN型第七薄膜トランジスターTN7のトランジスターサイズの倍にする。即ち、実施形態1でのTN7のトランジスターサイズZ7に対して、本実施形態のN型第七薄膜トランジスターTN7のトランジスターサイズZN7をZN7=2Z7とする。又、P型第七薄膜トランジスターTP7のトランジスターサイズZP7に関しては、ZN7βN=ZP7βPの関係とする。ゲート絶縁膜の材質と厚みとがN型薄膜トランジスターとP型薄膜トランジスターとで同じ場合、ZN7μN=ZP7μPとの関係としても良い。斯うした関係を満たす事で、実施形態1乃至2で論じた効果がそのまま活かせられる。
上述した通り、本実施形態に係わる曲げセンサー1によれば、実施形態1での効果に加え、以下の効果を得る事ができる。
薄膜トランジスターでは寄生バイポーラ効果が働いて、飽和電流が飽和しない場合がある。斯うした場合でも、本実施形態では電流源トランジスターが二個配置されているので、飽和電流を一定値に保つことができ、それ故に正確な計測が行われる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加える事が可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
「電流源トランジスターとカレントミラー対とがPMOSにて形成されている形態」
図15は、変形例1に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。以下、本変形例に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例(図15)は実施形態1(図3)と比べて、電流源とカレントミラー対とを構成する薄膜トランジスターの伝導型が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
実施形態1ではN型薄膜トランジスターを用いて電流源とカレントミラー対を構成していたが、本変形例ではP型薄膜トランジスターTP5からTP7を用いてこれらの回路を構成する。この場合、第一電源が負電源Vssとなり、第二電源が正電源Vddとなる。本変形例では、第五薄膜トランジスターTP5と第六薄膜トランジスターTP6とがカレントミラー対をなしている。曲げセンサー1は、更に第七薄膜トランジスターTP7を備える。第七薄膜トランジスターTP7は電流源トランジスターである。第五薄膜トランジスターTP5のソースと第六薄膜トランジスターTP6のソースとは、第七薄膜トランジスターTP7のドレインに接続し、第七薄膜トランジスターTP7のソースは第二電源に接続する。第七薄膜トランジスターTP7のゲートには反転第一制御信号XCnt1が供給される。
P型第三薄膜トランジスターTP3(j)のソースは第五薄膜トランジスターTP5のドレインに接続し、N型第三薄膜トランジスターTN3(j)のソースはP型第一薄膜トランジスターTP1(i,j)のソースに接続する。同様に、P型第四薄膜トランジスターTP4(j)のソースは第六薄膜トランジスターTP6のドレインに接続し、N型第四薄膜トランジスターTN4(j)のソースはP型第二薄膜トランジスターTP2のソースに接続する。N型第一薄膜トランジスターTN1(i,j)のソースとN型第二薄膜トランジスターTN2のソースとが第二電源のVssに接続する。T1からT4は其々N型薄膜トランジスターとP型薄膜トランジスターとが直列接続しているが、電位の高い方に(Vdd側に)P型薄膜トランジスターを配置し、電位の低い方に(Vss側に)N型薄膜トランジスターを配置する。従って、これらのトランジスターではP型薄膜トランジスターのドレインとN型薄膜トランジスターのドレインとが接続されている。
トランジスターサイズに関しては、実施形態1と同じである。又、駆動方法も実施形態1乃至3と同じで、電流源トランジスターのTP7のゲートには、実施形態3にて詳述した、反転第一制御信号XCnt1が入力される。
(変形例2)
「電流源トランジスターとカレントミラー対とがPMOSで形成され、イコライズ回路が配置されている形態」
図16は、変形例2に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。以下、本変形例に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1乃至2と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例(図16)は実施形態2(図12)と比べて、電流源とカレントミラー対とを構成する薄膜トランジスターの伝導型が異なっている。それ以外の構成は、実施形態2とほぼ同様である。
実施形態2ではN型の薄膜トランジスターを用いて電流源とカレントミラー対とを構成していたが、本変形例ではP型の薄膜トランジスターTP5からTP7を用いてこれらの回路を構成する。即ち、変形例1(図15)に第八薄膜トランジスターT8を付加した形態となる。第八薄膜トランジスターT8はN型第八薄膜トランジスターTN8とP型第八薄膜トランジスターTP8とが直列接続しており、TN8乃至はTP8のソースドレインの一方はTP5のドレインに接続してXLDOUTとなり、他方はTP6のドレインに接続してLDOUTとなる。TN8のゲートには第二制御信号Cnt2が供給され、TP8のゲートには反転第二制御信号XCnt2が供給される。尚、変形例1と同様、第一電源が負電源Vssとなり、第二電源が正電源Vddとなる。
トランジスターサイズに関しては、実施形態2と同じである。又、駆動方法も実施形態1乃至3及び変形例1の記載と同じである。
(変形例3)
「電流源トランジスターとカレントミラー対とがPMOSで形成され、定電流源が二つ配置されている形態」
図17は、変形例3に係わる曲げセンサーの回路を説明する図である。以下、本変形例に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1乃至3と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例(図17)は実施形態3(図14)と比べて、電流源とカレントミラー対とを構成する薄膜トランジスターの伝導型が異なっている。それ以外の構成は、実施形態3とほぼ同様である。
実施形態3ではN型の薄膜トランジスターを用いて電流源とカレントミラー対とを構成していたが、本変形例ではP型の薄膜トランジスターTP5からTP7を用いてこれらの回路を構成する。即ち、変形例2(図16)にN型第七薄膜トランジスターTN7を付加した形態となる。N型第七薄膜トランジスターTN7のソースは負電源Vssに接続しており、ドレインはTN1(i,j)のソースとTN2のソースとに接続し、ゲートには第一制御信号Cnt1が供給される。
トランジスターサイズに関しては、実施形態3と同じである。又、駆動方法も実施形態1乃至3及び変形例1乃至2の記載と同じである。
(変形例4)
「第一薄膜トランジスターの向きが90°回転した形態」
図18は、変形例4に係わる曲げセンサーの検出回路の平面レイアウトを説明する図である。以下、本変形例に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例(図18)は実施形態1(図7)と比べて、第一薄膜トランジスターT1の方向が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
図7に示す実施形態1では、TN1のソースドレイン方向が第一の方向を向いており、TP1のソースドレイン方向が第二の方向を向いていた。これに対して本変形例では、図18に示す様に、TN1のソースドレイン方向が第二の方向を向いており、TP1のソースドレイン方向が第一の方向を向いている。この様に、PNどちらのトランジスターが計測方向(この場合第一の方向)を向いていても構わない。
(変形例5)
「切れ目が第二の方向に沿って形成される形態」
図19は、変形例5に係わる曲げセンサーの検出回路の平面レイアウトを説明する図である。以下、本変形例に係わる曲げセンサーについて説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例(図19)は実施形態1(図7)と比べて、曲げの測定方向が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
図7に示す実施形態1では、N型第一薄膜トランジスターTN1のソースドレイン方向と細長い切れ目31の方向が第一の方向(x軸方向)に平行で、第一の方向に関する曲げを計測していた。本変形例では、N型第一薄膜トランジスターTN1のソースドレイン方向と細長い切れ目31の方向とが直交している。即ち、細長い切れ目31の方向は第二の方向(y軸方向)に平行で、第二の方向に関する曲げを計測している。この様に、細長い切れ目31の向きは第一の方向に沿っていても、第二の方向に沿っていても構わない。細長い切れ目31の向きに曲がり具合を計測する。
(変形例6)
「計測頻度を可変とする形態1」
変形例6では、計測頻度を状況に応じ、可変としている。以下、本変形例に係わる曲げセンサー使用方法について説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例は実施形態1に記載した「使用方法」と比べて、計測頻度を可変にしている点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
実施形態1では、計測頻度が準備期間と計測期間とで其々固定値が定められて居た。これに対して本変形例では、準備期間乃至は計測期間に於ける計測頻度を状況に応じて増減させている。一例としては、準備期間の計測頻度を計測期間に入ってもその初期段階では継続し、曲げを検知した時点で計測頻度を増大させる。例えば、柔軟性を有する電子書籍に曲げセンサーを適応させた場合、使用者がページめくりの動作を開始する迄は低頻度で計測し、動作の始まりに伴って曲げセンサーが曲げを検知すると、高頻度で曲げを計測し、実際に使用者がどういう行為を為そうとしているのかを検出する。或いは曲げの時間変化が激しい場合には計測頻度を高め、曲げの時間変化が小さい場合には計測頻度をさげる。例えば、曲げセンサーをモーションキャプチュアーとして使用する場合、解析対象の動作速度に応じて計測頻度を増減させる。野球のスウィングを例に取ると、バットを立てて構えている段階からテイクバックまでは動作速度が遅いので、計測期間に於ける計測頻度を10Hz程度と遅くし、テイクバックから振り終わり迄は動作速度が速いので、計測期間に於ける計測頻度を100Hz程度と速くする。
この様に計測頻度を可変にする事で、省電力が実現すると共に、無駄な情報が減り、且つ時間分解能の高い計測が可能になる。
(変形例7)
「計測頻度を可変とする形態2」
変形例7では、計測頻度を目的に応じ、可変としている。以下、本変形例に係わる曲げセンサー使用方法について説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本変形例は実施形態1に記載した「使用方法」と比べて、計測頻度を目的に応じて可変としている点が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。
実施形態1では、計測頻度が準備期間と計測期間とで其々固定値が定められて居た。これに対して本変形例では、準備期間乃至は計測期間に於ける計測頻度を計測対象物や計測目的に応じて増減させている。即ち、計測対象物の曲げに関する時間変化が緩やかと予測される時には計測頻度を落とし、時間変化が激しいと予測される時には計測頻度を高めている。例えば、曲げセンサーをモーションキャプチュアーとして使用する場合、野球のスウィングの様に短時間に曲げ変化が激しい場合には、計測期間に於ける計測頻度を100Hz程度と速くする。一方、日本舞踊の動作解析の様に長時間でゆっくりと変化する場合には、計測頻度を1Hz程度と遅くする。
この様に、曲げセンサーの計測頻度を用途に合わせて調整する事で、時間追従性が広がり、一つの曲げセンサーで様々な動作や変化を計測できる様になる。
尚、これ迄の説明では準備期間と計測期間とを設けてきたが、準備期間は必須ではなく、これを省く事も可能である。