JP5615067B2 - エアガン - Google Patents

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Description

本発明は、射撃競技に用いられるエアガンに関する。
玩具銃であるエアガンには、様々なものがあり、使用者が自宅等で弾丸を発射して楽しむなど専ら娯楽のためのものもあるが、中には、射撃競技、具体的には、固定された標的に対して射手が射撃し、標的における被弾箇所に応じて与えられる得点を競う競技のために用いられるものがある。
この種の射撃競技は、オリンピックにも採用されており、世界的に普及しているものであるが、多くの場合、金属製弾丸を発射しうる装薬銃砲または空気銃を用いるものであることから、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)上の厳しい規制によって、我が国では一般人が競技を行い難い。しかしながら、エアガンは所持に免許が不要であることから、この種の射撃競技を目指すジュニア育成のために競技銃としてのエアガンが開発され、現在普及が進んでいる。さらに、こうした競技銃による射撃競技会も近年、盛んになりつつある。
スポーツ競技に用いられるエアガンには、集弾性(標的に向けて発射された弾丸の拡散範囲が一定の範囲内に収まること)が求められる。これは、エアガンを用いるスポーツ競技では、標的の大きさ、及び、射手と標的との間の距離が予め定められており、射手が射手自身の技能に応じて成績を得られるようにするためである。ここで重要になるのは、エアガンから弾丸を発射するための動力源となる圧縮空気の量や圧力である。圧縮空気の量や圧力が一定であれば、弾丸の速度(弾速)が定まり、弾丸の軌道が安定する。
特許文献1は、携帯用電動式圧縮空気銃の発明を開示する。この空気銃のトリガーは、モータ1を駆動するスタートスイッチ10として機能する。モータ1が駆動すると、リードスクリュー4が回転し、リードスクリュー4に連結されたピストン5がシリンダー14に押し込まれ、シリンダー14内の空気を圧縮する。ピストン5がストロークの終点又はその近くまで来ると、スプール7が開き、ピストン5内の圧縮空気が圧縮空気路13を通って銃身8に急速に放出され、銃身8の中に配置されている弾丸9を打ち出す。特許文献1には、この空気銃において、スプール7が動いて開く時点で又はその近くで、モータ1を逆転させてピストン5をスタートポジションに戻すことができる点についても記載されている。
特表2007−505286号公報
特許文献1に記載の携帯用電動式圧縮空気銃には、ピストン5の位置をセンシングするセンサが必要になる。また、制御回路やモータに通電するための電源の確保も必要となる。そして、モータ等の部品が携帯用電動式圧縮空気銃の重量を増加させる。空気銃の重量を増加の増加は、エアガンを携帯する必要があるスポーツ競技では、射手にとって不利になる。
ここで、射手の手動操作によって、弾丸の発射のためのバルブの開放と圧縮空気の充填とを含む一連のサイクルを実現する仮想例のエアガンについて考える。以下、図11ないし図13に基づいて、仮想例のエアガン901について説明する。図11は、仮想例のエアガン901の左断面図である。エアガン901は、射手が掌で握るグリップ902を有する。グリップ902の上部には、弾丸発射機構918等(後述)を収納するフレーム902aが連結される。フレーム902aからは、バレル903が延びている。バレル903の先端には、弾丸Bが発射されるマズル(銃口)904が形成される。以下の説明において、マズル904がある側を、エアガン901の前方側と呼ぶ。また、グリップ902がある側を、エアガン901の後方側と呼ぶ。
マズル904の後方側には、弾丸Bを導入するための給弾口905が開口する。給弾口905の近くには、スライド907が配置される。スライド907は、弾丸押込部908とスライド操作部909とを有し、バレル903の長さ方向にスライド自在となっている。弾丸押込部908は、バレル903の内部に入り込みこのバレル903の長さ方向に延びている。スライド操作部909は、エアガン901の外部に突出し、射手によってエアガン901の前後方向に動かされる。また、スライド907は、エアガン901に備わるスライドスプリング910により前方に押されている。射手は、スライド操作部909を後方側に動かして弾丸押込部908の先端面を給弾口905よりも後方側に位置付け、給弾口905から弾丸Bを導入し、スライド操作部909から手を離す。これにより、スライドスプリング910はスライド907を前方側に押し、弾丸押込部908の先端面は弾丸Bをバレル903内に押し込む。弾丸Bは、バレル903内に押し込まれて、バレル903内で停止する。図11は、このようにしてバレル903内に弾丸Bが押し込まれて静止した状態を示している。
エアガン901は、弾丸Bの発射の動力源となる圧縮空気PAを蓄えるチャンバ911をフレーム902aの内部に形成する。圧縮空気PAは、このチャンバ911からバレル903内の弾丸Bの後面に至る空気排出路912を通って弾丸Bの後面に当たり、弾丸Bをマズル904から発射させる。ここで、エアガン901は、バルブ913と、バルブスプリング914と、ストライカ915と、ストライカスプリング916と、トリガ917と、弾丸発射機構918とを備える。バルブ913は、バルブスプリング914に押されて、チャンバ911から空気排出路912への圧縮空気PAの流出を遮断している。ストライカ915は、スライド907の後退に伴って後方側に動き、弾丸発射機構918によりその位置に保持される(コッキング)。射手がトリガ917を引くと、弾丸発射機構918はストライカ915の保持を解除する。ストライカ915は、ストライカスプリング916によって前方側に押され、バルブ913を叩き、バルブ913を開放させる。これにより、圧縮空気PAは、空気排出路912を通って弾丸Bを発射させる。その結果、チャンバ911内の気圧は下がる。弾丸Bの発射後に射手がトリガ917から指を離しスライド操作部909を後方側に動かすと、ストライカ915がバルブ913から離れる。これにより、バルブ913は、バルブスプリング914に押されて、チャンバ911から空気排出路912への圧縮空気PAの流出を再び遮断する。
図12は、コンプレストレバー923を動かした状態の仮想例のエアガン901の左断面図である。エアガン901は、シリンダ921と、ピストン922と、コンプレストレバー923と、ポンプレバーロッド924とを備える。シリンダ921は、バレル903の下方に位置し、バレル903と平行にフレーム902aの前方側に突出する。シリンダ921の内空間とチャンバ911とは、フレーム902aに形成された空気導入路925により連通している。また、ピストン922は、シリンダ921内に配置されスライド自在となっている。ピストン922の後方側の外周には、シール材926が取り付けられる。シール材926は、ピストン922よりも後方側のシリンダ921内の空間を気密にしている。ポンプレバーロッド924の一方の端部は、ピストン922の前方側に回転自在に取り付けられる。これにより、ポンプレバーロッド924は、上下方向に動くようになっている。また、コンプレストレバー923は、シリンダ921に回転自在に取り付けられる。これにより、コンプレストレバー123は、エアガン901の前後方向を含む鉛直平面内で回転できるようになっている。コンプレストレバー923の回転の先端部には、射手が把持するための把持部927が設けられる。把持部927は、コンプレストレバー923の回転により、トリガ917の前方側にあるトリガガード928に接する位置(図11参照)からシリンダ921の下方(図12参照)まで動くことができる。エアガン901は、把持部927をトリガガード928に固定するための固定部材(図示せず)を備えている。
図13は、図12のP矢視図である。シリンダ921の下面でその前方側の領域には、シリンダ921の長さ方向に延びる切欠部929が形成されている。コンプレストレバー923は、シリンダ921の内部から切欠部929を通って、シリンダ921の下方に延びている。
図12を再び参照する。チャンバ911に圧縮空気PA(図11参照)を蓄えるために、射手は、まず、把持部927をトリガガード928から下方に離すように動かす。これにより、ピストン922は、ポンプレバーロッド924に引っ張られてシリンダ921内で前方側に動く。このとき、コンプレストレバー923及びポンプレバーロッド924は、切欠部929の内側に入り込む。そして、ピストン922の後端面926aよりも後方側のシリンダ921の内空間は、シール材926とバルブ913とに封止されていて、ピストン922が前進することにより負圧となる。そして、図12に示すようにピストン922の後端面926aが切欠部929の後端まで達すると、外気Fが、切欠部929を通ってシリンダ921の内空間に入り込む。
シリンダ921の内空間に外気Fが入り込んだ後に、射手は、把持部927をトリガガード928まで戻してピストン922を後方側に動かし、固定部材(図示せず)を用いて把持部927をトリガガード928に固定する。これにより、シリンダ921内の空気が空気導入路925を通ってチャンバ911に入り、圧縮される。この状態で、射手がトリガ917を引くと、ストライカ915がバルブ913を叩いてバルブ913が開き、弾丸Bがマズル904から発射される。
上記に説明した仮想例のエアガン901では、チャンバ911内の圧縮空気PAの気圧を安定しない。その理由として、ピストン922を前方に動かすときにピストン922の内空間は負圧でほぼ真空になり、射手が大きな力で把持部927を動かさなければならず、ピストン922が揺れながら前進することが考えられる。また、ピストン922の内空間が負圧であることによりシール材926が後方側に引っ張られて変形したり摩耗したりすることが考えられる。
ここで、シリンダ921に調整弁(図示せず)を設けてピストン922の前進時にシリンダ921内がほぼ真空になることを防ぐことも考えられる。この場合、部品点数が増加して故障のおそれが高まったりエアガン901の重量が増加したり製造コストが割高になったりするという新たな問題が生じる。
また、カム部材や板バネ等をコンプレストレバー923やポンプレバーロッド924に取り付けて、ピストン922を前方側に強く押し出したり、ピストン922を後方側に強く引き戻したりすることも考えられる。この場合、空気導入路925を開口するシリンダ921の後端面921aがピストン922の動きを受け止めることになる。これにより、エアガン901が振動し、エアガン901の集弾性が下がるおそれがある。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、エアガンにおいてチャンバに蓄えられる圧縮空気の圧力を安定させることを目的とする。
本発明のエアガンは、バレルと、圧縮空気を蓄えるチャンバと、前記チャンバ内の圧縮空気が前記バレル内に配置された弾丸に到達するまでに通過する空気排出路と、前記空気排出路を開閉するバルブと、トリガと、前記トリガに対する操作に応じて前記バルブを開閉する弾丸発射機構と、筒状の内空間を形成し前記チンバに連通する連通口を有するピストン受部と、前記ピストン受部内に配置され、前記ピストン受部の長さ方向にスライド自在に移動し、前記連通口側の第1の端部と前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを繋ぐ通気通路を形成するピストンと、前記ピストンに対して前記第2の端部側に位置し、前記通気通路を開放する開位置と前記開位置よりも前記第1の端部側で前記通気通路を塞ぐ閉位置との間で移動自在に前記ピストンに連結される封止体と、前記封止体を動かすための操作部と、を備える。
本発明によれば、封止体を引っ張ると、ピストンに設けられた通気通路が開放してピストンの内空間に外気が入り込む。このため、ピストンの内空間の圧力を外気と同等にすることができ、ピストンを素早く動かしても、ピストンはスムーズに動く。そして、ピストンを動かした後に封止体をピストン受部内に押しこむ方向に動かすと、ピストンに設けられた通気通路が封止される。このため、ピストンの内空間に入り込んだ外気を確実にチャンバに送り込むことができる。したがって、エアガンにおいて、チャンバに送り込む空気の量を一定にし、チャンバに蓄えられる圧縮空気の圧力を安定させることができる。
エアガンの左断面図である。 スライドを後方に動かした状態のエアガンの左断面図である。 スライドが前方に戻った状態のエアガンの左断面図である。 エアガンの一部を拡大して示す左側面図である。 ピストン及び封止体の断面斜視図である。 射手がコンプレストレバーを前方側に動かし始めた状態でのエアガンの左側面図である。 射手が把持部を第2軸部の下方まで動かした状態でのエアガンの左側面図である。 射手がコンプレストレバーを後方側に動かし始めた状態でのエアガンの左側面図である。 射手が把持部をトリガガードに接しさせた状態でのエアガンの左側面図である。 射手がトリガを引いた状態でのエアガンの左側面図である。 仮想例のエアガンの左断面図である。 コンプレストレバーを動かした状態の仮想例のエアガンの左断面図である。 図12のP矢視図である。
実施の一形態を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1は、エアガン101の左断面図である。エアガン101は、射手が掌で握るグリップ102を有する。グリップ102の上部には、フレーム111a(後述)が連結される。フレーム111aからは、バレル103が延びている。バレル103の先端には、弾丸BBが発射されるマズル(銃口)104が形成される。以下の説明において、マズル104がある側を、エアガン101の前方側と呼ぶ。また、グリップ102がある側を、エアガン101の後方側と呼ぶ。
マズル104の後方側には、弾丸BBを導入するための給弾口105が開口する。給弾口105の近くには、スライド107が配置される。スライド107は、弾丸押込部108とスライド操作部109とを有し、バレル103の長さ方向にスライド自在となっている。弾丸押込部108は、バレル103の内部に入り込みこのバレル103の長さ方向に延びている。スライド操作部109は、エアガン101の外部に突出してそこからさらに前方側に延び、マガジン106の開口106aに入り込んでいる。スライド操作部109は、射手によってエアガン101の前後方向に動かされる。また、スライド107は、グリップ102に取り付けられているスライドスプリング110により前方に押されている。
マガジン106は、筒状をなし、弾丸BBを列状に収納する。マガジン106において開口106aとは反対側の閉口端106bには、マガジンスプリング106cが取り付けられる。マガジンスプリング106cは、フォロワ106dを介して、マガジン106に籠められた弾丸BBを開口106aに向けて押す。
図2は、スライド107を後方に動かした状態のエアガン101の左断面図である。射手は、スライド操作部109を後方側に動かして弾丸押込部108の先端面を給弾口105よりも後方側に位置付ける。これにより、弾丸BBが、マガジンスプリング106c及びフォロワ106dに押されて後方側に動き、給弾口105から落下する。
図3は、スライド107が前方に戻った状態のエアガン101の左断面図である。ここで、射手は、スライド操作部109から手を離す。これにより、スライドスプリング110はスライド107を前方側に押し、弾丸押込部108の先端面は弾丸BBをバレル103内に押し込む。ところで、バレル103の後方側には、バレル103の内径が狭くなった弾丸保持部103aが形成されている。弾丸Bは、バレル103内に押し込まれて、この弾丸保持部103aに保持されてバレル103内で停止する。
図1を参照する。エアガン101は、フレーム111aを、バレル103とグリップ102との間に備える。フレーム111aの内部には、チャンバ111が形成される。また、フレーム111aは、ストライカ115や弾丸発射機構118(いずれも後述)を格納する収納空間111bを形成する。チャンバ111は、弾丸BBの発射の動力源となる圧縮空気PA(図9及び図10参照)を蓄える。圧縮空気PAは、チャンバ111からバレル103内の弾丸BBの後面に至る空気排出路112を通って弾丸BBの後面に当たり、弾丸BBをマズル104から発射させる。ここで、空気排出路112は、フレーム111aに設けられチャンバ111の後方面から延び屈曲して上方に開口する第1排出路112aと、スライド107の弾丸押込部108を貫通しこの弾丸押込部108の下面と先端面とに開口する第2排出路112bとからなる。射手がスライド107を後方側に引くと、第1排出路112aと第2排出路112bとは分断される。そして、射手がスライド107から手を離してスライド107が前方に戻ると、第1排出路112aと第2排出路112bとは連通する。
エアガン101は、バルブ113と、バルブスプリング114と、ストライカ115と、ストライカスプリング116と、トリガ117と、トリガスプリング117aと、弾丸発射機構118とを備える。バルブ113は、エアガン101の前後方向にスライド自在に設けられる。バルブ113は、バルブ基部113aと、シール材113bと、突出部113cとを有する。バルブ基部113aは、チャンバ111内に位置する。突出部113cは、バルブ基部113aから後方側に延びて第1排出路112aに入り込み、フレーム111aを貫通してフレーム111aの後方側に突出する。シール材113bは、バルブ基部113aの後方側の面に設けられる。バルブスプリング114は、チャンバ111内に配置され、バルブ113を後方側に押す。バルブ113が後方側に押されると、シール材113bはバルブ基部113aとチャンバ111の内壁面とに挟まれ、空気排出路112は遮断される。
ストライカ115は、フレーム111aの後方側に位置し、エアガン101の前後方向にスライド自在となっている。ストライカスプリング116は、グリップ102に取り付けられ、ストライカ115を前方に押している。ストライカ115の上部には、段部115aが形成される。ストライカ115の下部には、係止溝115bが形成される。スライド107が後退すると、スライド107が段部115aに接触してストライカ115を後方側に動かす。その後、射手がスライド107から手を離してスライド107が前方側に動くと、係止溝115bに係止突起118e(後述)が噛みあって、ストライカ115はその位置に保持される(コッキング)(図3参照)。
トリガ117は、ストライカ115の下方に位置し、フレーム111aに回転自在に取り付けられる。トリガスプリング117aは、トリガ117を前方側に押している。
弾丸発射機構118は、トリガシア118aと、トリガシアスプリング118bと、ストライカシア118cと、ストライカシアスプリング118dとを有する。トリガシア118aは、その中央部分をフレーム111aに取り付けられ、回転自在となっている。トリガシアスプリング118bは、トリガシア118aを左側面視で反時計回り方向に押している。ストライカシア118cは、その後方側の部分をフレーム111aに取り付けられ、回転自在となっている。ストライカシアスプリング118dは、ストライカシア118cを左側面視で反時計回り方向に引っ張っている。トリガシア118aとストライカシア118cとは、互いに係止し合っている。ストライカシア118cの上面には、係止突起118eが突出する。
射手がトリガ117を引くと、弾丸発射機構118はストライカ115の保持を解除する。より詳細には、射手がトリガ117を引くと、トリガ117がトリガシア118aを左側面視で時計回り方向に回転させ、ストライカシア118cがストライカシアスプリング118dに引っ張られて下方に動き、係止溝115bから係止突起118eが抜ける。これにより、ストライカ115は、ストライカスプリング116によって前方側に押され、バルブ113の突出部113cを叩いて前方側に押す。バルブ113が前方側に動くと、シール材113bがチャンバ111の内壁面から離れ、バルブ913が開放される。また、このとき、スライド107は前方側に位置しており、第1排出路112aと第2排出路112bとは連通している。これにより、圧縮空気PAは、空気排出路112を通って弾丸BBを発射させる。その結果、チャンバ111内の気圧は下がる。
弾丸Bの発射後に射手がトリガ117から指を離すと、トリガスプリング117aがトリガ117を前方に押し、トリガシアスプリング118bやストライカシアスプリング118dの弾性復元力によって係止突起118eが上方に動こうとする。そして、射手がスライド操作部109を後方側に動かすと、ストライカ115がスライド107に押されてバルブ113から離れ、係止溝115bに係止突起118e(後述)が噛みあってストライカ115が保持される。これにより、バルブ113は、バルブスプリング114に押されて後方に動き、チャンバ111から空気排出路112への圧縮空気PAの流出を再び遮断する。
本実施の形態のエアガン101では、新たな弾丸BBを発射するために、チャンバ111に圧縮空気PAを充填する必要がある。このエアガン101では、エアガン101に備わるコンプレストレバー123(後述)を射手が前後に動かすと、チャンバ111に圧縮空気PAが充填される。この点について、以下に述べる。
図4は、エアガン101の一部を拡大して示す左側面図である。図5は、ピストン122及び封止体122aの断面斜視図である。図1、図4及び図5を参照する。エアガン101は、シリンダ121と、ピストン122と、封止体122aと、操作部としてのコンプレストレバー123と、ポンプレバーロッド124とを備える。シリンダ121は、筒状の内空間ISを形成する。シリンダ121は、バレル103の下方に位置し、バレル103と平行に延び、フレーム111aの前方側の面から前方側に突出する。シリンダ121の後方側の端部は、フレーム111aによって閉じられている。このようにして、シリンダ121とフレーム111aとは、ピストン受部121aを構成する。フレーム111aにおいてシリンダ121の内空間に対面する箇所には、連通口111cが開口する。シリンダ121の内空間とチャンバ111とは、フレーム111aに設けられた連通口111cから延びる空気導入路125により連通している。
ピストン122は、シリンダ121の内空間ISに配置され、シリンダ121の長さ方向にスライド自在となっている。ここで、ピストン122の後方側の外周には、シール材126が取り付けられる。シール材126は、シリンダ121の内周面とピストン122の外周面との間の空隙を塞ぐ。
ピストン122には、通気通路122bが形成される。通気通路122bは、ピストン122の後方側で連通口111c側に対面する第1の端部122cと、ピストン122の前方側で第1の端部122cとは反対側にある第2の端部122dとを繋いでいる。通気通路122bの前方側の一部は、内径が大きい孔部122eとなっている。この孔部122eには、封止体122aが前方側から入り込むことができる。孔部122eの後方側の側面は、漏斗状に窄まる傾斜部122fが形成される。傾斜部122fよりも後方側からは、孔部122eよりも内径が小さい小孔部122gとなっている。
封止体122aは、大径円柱部122hを有する。大径円柱部122hの太さは、ピストン122の内径以下で、孔部122eの内径よりも大きい。大径円柱部122hの後方側からは、小径円柱部122iが突出している。小径円柱部122iの太さは、孔部122eの内径と同じである。小径円柱部122iには、その長さ方向に長い長孔122jが形成される。長孔122jには、エアガン101の左右方向に延びる棒状のストッパ122kが挿通される。このストッパ122kの両端部は、孔部122eの内周面に連結される。小径円柱部122iにおける長孔122jよりも後方側の部分は、後端部122lとなっている。後端部122lは、小径円柱部122iよりも細い。また、後端部122lは、後方側に突出するテーパ面122mを形成する。テーパ面122mには、シール材122nが取り付けられる。また、封止体122aには、エアガン101の前後方向に通気するための連通孔122oが形成される。連通孔122oは、封止体122aの前方側の端面に開口し、そこから後方側に延びて、長孔122jの近傍でピストン122の側面に抜ける。
封止体122aは、後端部122l及び小径円柱部122iを孔部122eに挿入させて、ピストン122に嵌め込まれる。ピストン受部121aに嵌めこまれた封止体122aが後方側に押し込まれると、テーパ面122mがピストン122の傾斜部122fに当接する。このとき、シール材122nは、テーパ面122mと傾斜部122fとの間を塞ぐ。これにより、通気通路122bが塞がれる。このときの封止体122aの位置を、閉位置PCと呼ぶ。封止体122aが閉位置PCから前方側に移動すると、シール材122nが傾斜部122fから離反し、通気通路122bが開放される。この時の傾斜部122fの位置を、開位置PO(図6及び図7参照)と呼ぶ。また、ピストン受部121aとピストン122とにより閉じられる空間を、空気貯留空間AS(図7及び図8参照)と呼ぶ。なお、図4では、ピストン122の後端面とフレーム111aとが接しているため、空気貯留空間ASが示されていない。
封止体122aが孔部122eに挿入された後、ストッパ122kがピストン122の側面に貫通して長孔122jに通される。これにより、封止体122aは、ピストン122に対して閉位置PCと開位置POとの間でスライド移動自在となりながらも、その移動範囲をストッパ122k及び長孔122jによって制限される。
封止体122aの前方側には、第1軸部122pが設けられる。第1軸部122pは、封止体122aに連結し、連通孔122oの内側でエアガン101の左右方向に延びている。ポンプレバーロッド124の一方の端部は、この第1軸部122pの前方側に回転自在に取り付けられる。これにより、ポンプレバーロッド924は、上下方向に動く。
図1を参照する。シリンダ121の前方側の端部は、蓋部123aによって閉じられる。蓋部123aには、左右方向に延びる第2軸部123bが設けられる。コンプレストレバー123の一方の端部は、第2軸部123bに回転自在に取り付けられる。これにより、コンプレストレバー123は、エアガン101の前後方向を含む鉛直平面内で回転できる。コンプレストレバー123の回転の先端部(コンプレストレバー123の他方の端部)には、射手が把持するための把持部127が設けられる。把持部127は、コンプレストレバー123の回転により、トリガ117の前方側にあるトリガガード128に接する位置(図1参照)からシリンダ121の下方(図7及び図8参照)まで動くことができる。なお、エアガン101は、把持部127をトリガガード128に固定するための固定部材(図示せず)を備えている。
シリンダ121の下面でその前方側の領域には、シリンダ121の長さ方向に延びる切欠部129が形成されている。コンプレストレバー123は、シリンダ121の内部から切欠部129を通って、シリンダ121の下方に延びている。
図6は、射手がコンプレストレバー123を前方側に動かし始めた状態でのエアガン101の左側面図である。チャンバ111に圧縮空気PA(図9及び図10参照)を蓄えるために、射手は、まず、把持部127をトリガガード128から下方に離すように動かす。これにより、封止体122aは、ポンプレバーロッド124に引っ張られてシリンダ121内で前方側に動く。このとき、コンプレストレバー123及びポンプレバーロッド124は、切欠部129の内側に入り込む。
封止体122aが前方側に動くと、シール材122nが傾斜部122fから離反し、通気通路122bが開放される。そして、封止体122aが前方側に動くにつれて、外気Fが、連通孔122o、孔部122e、後端部122lの外周面とピストン122の内周面との間の空隙、小孔部122gを通って、空気貯留空間AS(図7参照)に入り込む。この空気貯留空間ASに入り込んだ外気Fは、さらに、連通口111cから空気導入路125に入り込み、チャンバ111に至る。
図7は、射手が把持部127を第2軸部123bの下方まで動かした状態でのエアガン101の左側面図である。射手は、図6に示す状態からさらに前方側に把持部127を動かす。これにより、封止体122aはポンプレバーロッド124に引っ張られて前方側に動き、長孔122jの後方側の内側面がストッパ122kに接触する。封止体122aがさらに前方側に動くと、ストッパ122kが長孔122jの後方側の内側面に引っ張られ、ピストン122が前方側に動き、空気貯留空間ASが大きくなる。このとき、通気通路122bは開いたままである。そして、空気貯留空間ASが大きくなると、さらに多くの外気Fが入り込む。
ここで重要なのは、図6に示すコンプレストレバー123の動かし始めの状態から図7に示す把持部127を第2軸部123bの下方に位置づけた状態になるまで、通気通路122bを通って外気Fが入り続けて、空気貯留空間ASが負圧にならないという点である。
図8は、射手がコンプレストレバー123を後方側に動かし始めた状態でのエアガン101の左側面図である。空気貯留空間ASに外気Fが入り込んだ後、射手は、把持部127をトリガガード128まで戻すように動かし始める。これにより、ポンプレバーロッド124は封止体122aを後方側に押し、テーパ面122mを傾斜部122fに突き当てる。すると、シール材122nは、テーパ面122mと傾斜部122fとに挟まれ、通気通路122bを閉じる。これにより、空気貯留空間ASの前方側は、シール材122nとシール材126とにより塞がれる。ところで、チャンバ111において、空気排出路112はバルブ113とバルブスプリング114とによって閉じられている。このため、空気貯留空間ASとチャンバ111とこれらを繋ぐ空気導入路125とが連なった空間は気密となる。
図9は、射手が把持部127をトリガガード128に接しさせた状態でのエアガン101の左側面図である。射手が把持部127をトリガガード128に向けて動かすと、ポンプレバーロッド124は封止体122aを後方側に押し、これに伴ってピストン122が後方側に移動する。この間、シール材122nは通気通路122bを閉じたままである。このため、空気貯留空間AS内の空気は、ピストン122によって圧縮され、空気導入路125を通ってチャンバ111に向かって流れる。この結果、チャンバ111内には、圧縮空気PAが蓄えられる。この後、射手は、ピストン122の後端面とフレーム111aとを接しさせた状態で、固定部材(図示せず)を用いて、把持部127をトリガガード128に固定する。
図10は、射手がトリガ117を引いた状態でのエアガン101の左側面図である。チャンバ111に圧縮空気PAが蓄えられ、かつ、スライド107が後方側に動かされてバレル103内に弾丸BBが籠められた状態で、射手がトリガ117を引くと、弾丸発射機構118の動きとストライカスプリング116による弾性復元力とによってストライカ115が前進し、ストライカ115がバルブ113を叩く。これにより、バルブ113が前方側に動いて空気排出路112が開く。その結果、チャンバ111内に蓄えられた圧縮空気PAが空気排出路112を通って放出されて弾丸BBの後方側の側面に当たり、圧縮空気PAの圧力によって弾丸BBがバレル103内を前進し、弾丸BBがマズル104から発射される。弾丸BBがマズル104から発射された直後の状態は、図1に示される。
本実施の形態のエアガン101では、コンプレストレバー123を動かして封止体122aを引っ張ると、ピストン122に設けられた通気通路122bが開放されて空気貯留空間ASに外気Fが入り込む。このため、ピストン122の内空間の圧力を外気と同等にすることができ、ピストン122を素早く動かしてもピストン122はスムーズに動く。そして、ピストン122を動かした後に封止体122aをシリンダ121に押しこむ方向に動かすと、ピストン122に設けられた通気通路122bが封止される。このため、空気貯留空間ASに入り込んだ外気Fを確実にチャンバ111に送り込むことができる。したがって、エアガン101において、チャンバ111に送り込む空気の量を一定にし、チャンバ111に蓄えられる圧縮空気PAの圧力を安定させることができる。
101 エアガン
103 バレル
111 チャンバ
111c 連通口
112 空気排出路
113 バルブ
117 トリガ
118 弾丸発射機構
121a ピストン受部
122 ピストン
122a 封止体
122b 通気通路
122c 第1の端部
122d 第2の端部
122e 孔部
123 コンプレストレバー(操作部)
BB 弾丸
PA 圧縮空気
PC 閉位置
PO 開位置

Claims (2)

  1. バレルと、
    圧縮空気を蓄えるチャンバと、
    前記チャンバ内の圧縮空気が前記バレル内に配置された弾丸に到達するまでに通過する空気排出路と、
    前記空気排出路を開閉するバルブと、
    トリガと、
    前記トリガに対する操作に応じて前記バルブを開閉する弾丸発射機構と、
    筒状の内空間を形成し前記チンバに連通する連通口を有するピストン受部と、
    前記ピストン受部内に配置され、前記ピストン受部の長さ方向にスライド自在に移動し、前記連通口側の第1の端部と前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを繋ぐ通気通路を形成するピストンと、
    前記ピストンに対して前記第2の端部側に位置し、前記通気通路を開放する開位置と前記開位置よりも前記第1の端部側で前記通気通路を塞ぐ閉位置との間で移動自在に前記ピストンに連結される封止体と、
    前記封止体を動かすための操作部と、
    を備えるエアガン。
  2. 前記ピストンの前記第2の端部には、前記封止体が入り込む孔部が形成され、
    前記封止体の少なくとも一部は、前記孔部に入り込んでいる、
    請求項1記載のエアガン
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