JP5606544B2 - メンソール添着活性炭、シガレット用フィルタおよびフィルタ付シガレット - Google Patents

メンソール添着活性炭、シガレット用フィルタおよびフィルタ付シガレット Download PDF

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Description

本発明は、メンソール添着活性炭、シガレット用フィルタおよびフィルタ付シガレットに関する。
シガレットには、シガレット本来の香喫味を改善するために香料、例えばメンソールが用いられている。メンソール加香方法は、たばこ刻みへの添加、パッケージの内包紙への添加、フィルタへの添加が知られている。また、メンソールをカプセル化することも行われている。
たばこ刻みおよび内包紙へのメンソール添加は、メンソール量を増加させる場合、シガレットの保存中にたばこロッドの巻紙に茶色の染みが多くなることが知られている。この染みは、たばこ刻みに含まれる色素がメンソールの揮散に伴って放出されることに起因する。
一方、メンソールカプセルの使用は巻紙への染み発生、煙中メンソール劣化を抑制することが可能になる。しかしながら、メンソールカプセルの使用はカプセルの製造およびカプセルをシガレットに組み込む工程が必要になる。その結果、シガレットの製造価格の上昇を招く。
一方、米国特許第3,236,244号明細書には活性炭を含むフィルタエレメントが記載されている。この活性炭には、たばこ香味付加のためにメンソールを添着している。
本発明は、保管時にメンソールを安定的に保持し、たばこ煙の通過時にのみメンソールを円滑に放出するメンソール添着活性炭、およびこのメンソール添着活性炭を含むシガレット用フィルタを提供することを目的とする。
本発明は、前記フィルタを備え、蔵置中にメンソールを経時安定的にフィルタのメンソール添着活性炭に保持し、喫煙時にたばこ煙がフィルタ中を通過するときのみにメンソールを円滑に放出することが可能で、かつ巻紙への染み発生を低減することが可能なシガレットを提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、BET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下の活性炭にメンソールを前記活性炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着したメンソール添着活性炭が提供される。
なお、前記活性炭は比表面積が比較的大きく、活性度も比較的高い部類の活性炭に属することから、一般的な活性炭と区別するために、以降「高賦活炭」と記載する。
本発明の第2側面によると、前記第1側面のメンソール添着活性炭を含むシガレット用フィルタが提供される。
本発明の第3側面によると、前記第2側面のシガレット用フィルタを具備したフィルタ付シガレットが提供される。
本発明の実施形態に係るフィルタ付シガレットを示す図である。 フィルタ付シガレットの初期(蔵置なし)におけるメンソール添着活性炭の活性炭における比表面積とたばこ煙中メンソール量の関係を示す図である。 フィルタ付シガレットを0.5ヶ月、1.5ヶ月および2.5ヶ月蔵置した後における喫煙時のたばこ煙中のメンソール量(相対値)を示す図である。 フィルタ付シガレットにおけるメンソール添着活性炭の活性炭における比表面積と巻紙の染み発生率の関係を示す図である。 フィルタ付シガレットにおけるメンソール添着活性炭のメンソール添着率と喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量の関係を示す図である。 フィルタ付シガレットにおけるメンソール添着活性炭のメンソール添着率と高温条件(最大55℃、湿度35%RH)にて0.5ヶ月、1.5ヶ月、2.5ヶ月および3.5ヶ月蔵置後の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量(相対値)の関係を示す図である。 実施例1および比較例1のフィルタ付シガレットにおける高温条件(最大55℃、湿度35%RH)にて1週間、5週間および9週間蔵置後の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を示す図である。 実施例1および比較例1のフィルタ付シガレットの巻紙の染み発生率を示す図である。 実施例2および比較例2のシガレットにおけるパフの回数毎のメンソール割合の推移を示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
実施形態に係るメンソール添着活性炭は、BET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下の高賦活炭にメンソールを高賦活炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着したものである。
BET法による比表面積は、次の方法により測定できる。
使用器機;Autosorb-1-MP(Quantachrome社製)、
前処理;測定用活性炭試料0.010gを0.1Pa,573Kの条件で15時間真空加熱、
測定方法;前処理後の試料を温度77Kにて得た窒素吸着等温線測定データから相対圧P/P0=0.1〜0.3間でのMultipoint BET法により比表面積を算出。
高賦活炭は、BET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下のものであれば、いかなるものでもよい。このような高賦活炭は、例えばヤシガラ活性炭を用いることができる。
比表面積が1500m2/g未満の活性炭は、フィルタ付シガレットへの適用において、活性炭に保持されるメンソール量が低下する。その結果、喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を十分に高くすることが困難になる。一方、比表面積が1700m2/gを超える活性炭は、蔵中(保管中)でのメンソールの減少率が急激に低下するおそれがある。
高賦活炭は、平均粒径が200〜600μmであることが好ましい。
高賦活炭へのメンソールの添着率は、フィルタ付シガレットへの適用において、蔵置日数の経過と喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量との関係で重要である。メンソールの添着率を高賦活炭の飽和メンソール量に対して80%未満にすると、フィルタ付シガレットへの適用において、高賦活炭に保持されるメンソール量が低下する。その結果、喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を十分に高くすることが困難になる。一方、メンソールの添着率が高賦活炭の飽和メンソール量に対して92%を超えると、蔵置日数の経過に伴って喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量が低下するおそれがある。
実施形態に係るメンソール添着活性炭は、例えば回転式攪拌装置のチャンバ内にBET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下の高賦活炭とメンソールを所望量それぞれ投入し、高賦活炭を回転しながら高賦活炭にメンソールを添着させることにより製造できる。前記チャンバは、内部温度が40〜80℃に加温可能である。
次に、実施形態に係るシガレット用フィルタを説明する。
実施形態に係るシガレット用フィルタは、前述したメンソール添着活性炭を含む。
1つの実施形態において、シガレット用フィルタは2つ以上のセグメントを有するフィルタの一部にメンソール添着活性炭を含む。別の実施形態において、シガレット用フィルタは2つの円柱状フィルタ材間に多数のメンソール添着活性炭の粒子を充填し、この充填部を含むフィルタ材をプラグラッパー(成形紙)で被包した構造を有する。
フィルタ素材は、通常のシガレット用フィルタに用いられるフィルタ素材である。例えば、アセテート繊維のトウを用いることができる。アセテート繊維の束はトリアセチンで処理することにより結束できる。
次に、実施形態に係るフィルタ付シガレットを説明する。
実施形態に係るフィルタ付シガレットは、前述したシガレット用フィルタを備える。
1つの実施形態において、フィルタ付シガレットは図1に示す構造を有する。このフィルタ付きシガレットは、たばこロッド1と、たばこロッド1と同等またはそれより細い円周を有するフィルタ2と、を備える。たばこロッド1とフィルタ2は端部で互いに突合され、フィルタ2の外周面全体および突合せ近傍のたばこロッド1の外周面部分をチップペーパー3で被包することによりたばこロッド1とフィルタ2を一体化している。たばこロッド1は、たばこ刻みを巻紙で円柱状に被包することにより形成される。フィルタ2は、第1のフィルタ材4と、このフィルタ材4の後端に直列に突き合わされた第2のフィルタ材5とをプラグラッパー(成形紙)6で円柱状に巻いて成形したセグメントフィルタである。第1のフィルタ材4は、例えばアセテート繊維束を解繊し、この解繊アセテート繊維に多数の粒子状のメンソール添着活性炭を均一に分散させた後に束ねて円柱状にしたものである。第2のフィルタ材5は、例えばアセテート繊維束を解繊した後に束ねて円柱状にしたものである。メンソール添着活性炭を分散させた第1のフィルタ材4は、たばこロッド1側に位置する。
なお、フィルタは前述した図1に示す構造に限定されない。フィルタは、2つのフィルタ材をそれらの端部が所望の間隔をあけて対峙させ、これらフィルタ材間に多数の粒子状のメンソール添着活性炭を充填し、2つのフィルタ材およびメンソール添着活性炭の充填部をプラグラッパー(成形紙)で円柱状に巻いて成形した構造であってもよい。2つのフィルタ材は、例えばアセテート繊維束を解繊した後に束ねて円柱状にしたものである。
以上説明した実施形態に係るメンソール添着活性炭は、BET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下の高賦活炭にメンソールを高賦活炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着した構成を有する。このため、保管時にメンソールを安定的に保持し、たばこ煙の通過時にのみメンソールを円滑に放出することが可能になる。
このようなメンソール添着活性炭をフィルタに含ませ、このフィルタをフィルタ付シガレットに適用することによって、蔵置中にメンソールを経時安定的にフィルタのメンソール添着活性炭に保持し、喫煙時にたばこ煙がフィルタ中を通過するときのみにメンソールを円滑に放出することが可能で、かつ巻紙への染み発生を低減することが可能になる。これを以下の試験によって確認した。
<試験I>
BET法による比表面積が700m2/g、1000m2/g、1700m2/gおよび2000m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭(クラレケミカル社製商品名;クラレコールGGSの賦活条件を変更して比表面積を変更した試作品4種類)を用意した。これらのヤシガラ活性炭にメンソール香料(富士フレーバー社製)をそれぞれ飽和添着して4種の粒子状のメンソール添着活性炭を調製した。
得られたメンソール添着活性炭の粒子50mgを2本のアセテートフィルタ材の一方のフィルタ材に分散させた。これら2本のフィルタ材をプラグラッパー(成形紙)で円柱状に巻いてセグメントフィルタを作製した。このフィルタをたばこロッド(メンソール香味付けなし)の端部にそのフィルタのメンソール添着活性炭粒子を含むフィルタ材がたばこロッド側に位置するように互いに突合せた。つづいて、フィルタの外周面全体および突合せ近傍のたばこロッドの外周面部分をチップペーパーで被包して一体化することにより4種のフィルタ付シガレットを造った。
得られた各フィルタ付シガレットの初期(蔵置なし)の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を下記方法で測定してメンソール放出性の試験を行った。また、0.5ヶ月、1.5ヶ月および2.5ヶ月蔵置後の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を下記方法で測定し、0.5ヶ月蔵置を基準にしたメンソール量(相対値)を求めた。さらに、巻紙の染み発生率を下記方法で調査した。
(メンソール量の測定)
吸煙容量35mL/2sec、吸煙間隔60sec,燃焼長:吸口側先端より35mmにて、製造初期のフィルタ付シガレット、および0.5ヶ月、1.5ヶ月および2.5ヶ月蔵置後のフィルタ付シガレットを自動喫煙器にて燃焼させた。燃焼時にケンブリッジフィルタを用いてたばこ煙中の粒子相成分を捕集した。得られた成分をメタノールで溶媒抽出した後、ガスクロマトグラフィー分析を行い、たばこ煙中のメンソール量を定量した。
(巻紙の染み発生率)
各フィルタ付シガレットを温度22℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽内で1ヶ月間保管した。その後、たばこロッドの巻紙に現れる染みを目視観察し、染み発生率を求めた。目視観察で染みの大きさが0.9〜1.8mmを“染み小”、目視観察で染みの大きさが1.8mm超えを“染み大”と判定した。
各フィルタ付シガレットの初期(蔵置なし)における喫煙時のたばこ煙中のメンソール量を図2に示す。メンソール量(相対値)を図3に示す。巻紙の染み発生率を図4に示す。なお、図3において曲線Aは比表面積700m2/gのヤシガラ活性炭を用いたメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットの蔵置経過日数とメンソール減少率の関係を示す。曲線Bは、比表面積1000m2/gのヤシガラ活性炭を用いたメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットの蔵置経過日数とメンソール減少率の関係を示す。曲線Cは、比表面積1700m2/gのヤシガラ活性炭を用いたメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットの蔵置経過日数とメンソール減少率の関係を示す。。曲線Dは、比表面積2000m2/gのヤシガラ活性炭を用いたメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットの蔵置経過日数とメンソール減少率の関係を示す。図4において、棒グラフの上部は“染み大”、下部は“染み小”を示す。
図2から明らかなようにBET法による比表面積が1500m2/g〜1700m2/gの活性炭を含むメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットは喫煙時のたばこ煙中のメンソール量が比表面積1500m2/g未満の活性炭を含むメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットに比べて高く、良好なメンソール放出性を示す。しかしながら、比表面積1700m2/gを超える活性炭を含むメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットは喫煙時のたばこ煙中のメンソール量が殆ど増加しないことがわかる。
一方、図3から明らかなようにメンソール放出性の経時変化(メンソール量の減少度合)は比表面積が700m2/g〜1700m2/gの高賦活炭を含むメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレットにおいて、殆ど差異がない。しかしながら、比表面積1700m2/gを超える(2000m2/g)活性炭を含むメンソール添着活性炭を組込んだフィルタ付シガレット(曲線D)はメンソール量(相対値)が急激に大きくなることがわかる。
さらに、図4から明らかなようにたばこロッドの巻紙の染み発生率はメンソール添着活性炭の活性炭における比表面積に依存せずに同等な値になることがわかる。
以上の試験Iの結果から、メンソールの高放出性を実現しつつ、蔵置によるメンソールの経時変化および巻紙の染み発生率が少ないフィルタ付シガレットを実現するには、BET法による比表面積が1500m2/g以上1700m2/g以下の高賦活炭を持つメンソール添着活性炭を含むフィルタを使用することが適切であることを見出した。
<試験II>
BET法による比表面積が1700m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭(クラレケミカル社製商品名;クラレコールGGSの賦活条件を変更して比表面積を変更した試作品)を用意した。ヤシガラ活性炭にメンソール香料(富士フレーバー社製)をヤシガラ活性炭の飽和メンソール量に対して80%〜100%の添着率でそれぞれ添着して6種の粒子状のメンソール添着活性炭を調製した。なお、前記BET法による比表面積が1700m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭の飽和メンソール量は、活性炭100重量部に対してメンソール60重量部であるため、前記添着率は活性炭:メンソール=100:48〜60とした。
得られた各メンソール添着活性炭を用いて試験Iと同様な方法でフィルタ付シガレットを造った。各フィルタ付シガレットの初期(蔵置なし)の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を試験Iと同様な方法で測定した。その結果を図5に示す。なお、図5の縦軸のメンソール量は添着率100%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットのメンソール量を1として基準化した。
図5から明らかなように喫煙時のたばこ煙中のメンソール量はメンソール添着活性炭が100%添着率に近い程、高くなり、添着率80%未満のメンソール添着活性炭を用いた場合には喫煙時にメンソールの放出が殆ど生じないことがわかる。
<試験III>
BET法による比表面積が1700m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭(クラレケミカル社製商品名;クラレコールGGSの賦活条件を変更して比表面積を変更した試作品)を用意した。このヤシガラ活性炭にメンソール香料(富士フレーバー社製)をヤシガラ活性炭の飽和メンソール量に対して92%、95%、100%の添着率でそれぞれ添着して3種の粒子状のメンソール添着活性炭を調製した。
得られた各メンソール添着活性炭を用いて試験Iと同様な方法でフィルタ付シガレットを造った。各フィルタ付シガレットについて高温条件(最大55℃、湿度35%RH)にて0.5ヶ月、1.5ヶ月、2.5ヶ月および3.5ヶ月蔵置後の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を試験Iと同様な方法で測定し、0.5ヶ月蔵置を基準(100%)にしたメンソール量(相対値)を求めた。その結果を図6に示す。なお、図6の○は添着率92%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットのたばこ煙中のメンソール量の経時変化(相対値)、□は添着率95%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットのたばこ煙中のメンソール量の経時変化(相対値)、△は添着率100%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットのたばこ煙中のメンソール量の経時変化(相対値)、をそれぞれ示す。
図6から明らかなように添着率95%、100%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットにおいて、高温条件で蔵置3.5ヶ月経過後では0.5ヶ月時点の喫煙時のたばこ煙中のメンソール量に対し60%、50%になり、たばこ煙中のメンソールの経時劣化が大きくなることがわかる。
これに対し、添着率92%のメンソール添着活性炭を用いたシガレットにおいて、高温条件で蔵置3.5ヶ月経過後でも0.5ヶ月時点の喫煙時のたばこ煙中のメンソール量に対し85%程度のたばこ煙中のメンソール量を維持できることがわかる。
以上の試験II、IIIの結果から、メンソールの高放出性を実現しつつ、蔵置によるメンソールの経時変化が少ないフィルタ付シガレットを実現するには、特定の比表面積を有する高賦活炭にメンソールを高賦活炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着したメンソール添着活性炭を含むフィルタを使用することが適切であることを見出した。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
BET法による比表面積が1700m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭(クラレケミカル社製商品名;クラレコールGGSの賦活条件を変更して比表面積を変更した試作品)を用意した。このヤシガラ活性炭にメンソール香料(富士フレーバー社製)をヤシガラ活性炭の飽和メンソール量に対して92%の添着率で添着して粒子状のメンソール添着活性炭を調製した。なお、BET法による比表面積が1700m2/gで平均粒径が400μmのヤシガラ活性炭の飽和メンソール量は、活性炭100重量部に対してメンソール60重量部である。前記92%の添着率にするには、活性炭100重量部に対してメンソール55重量部とした。
得られたメンソール添着活性炭160mgを用いて前述した試験Iと同様に方法でフィルタ付シガレットを造った。
(比較例1)
フィルタにメンソール添着活性炭を配置する代わりにたばこロッドの刻みにメンソール4.0mgを添着した以外、前述した試験Iと同様に方法でフィルタ付シガレットを造った。
実施例1および比較例1のフィルタ付シガレットについて、製造初期(蔵置なし)の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を前述した試験Iと同様な方法で測定した。その結果、実施例1のシガレットではたばこ煙中のメンソール量が0.41mg/cig,比較例1のシガレットではたばこ煙中のメンソール量が0.4mg/cig,であった。
また、実施例1および比較例1のフィルタ付シガレットについて、高温条件(最大55℃、湿度35%RH)にて1週間、5週間および9週間蔵置後の喫煙時におけるたばこ煙中のメンソール量を前述した試験Iと同様な方法で測定した。その結果を図7に示す。なお、図7の○は実施例1のシガレットにおけるたばこ煙中のメンソール量の経時変化、□は比較例1のシガレットにおけるたばこ煙中のメンソール量の経時変化、をそれぞれ示す。
図7から明らかなように実施例1のシガレットは、たばこ煙中のメンソール量の経時変化が比較例1のシガレットに比べて有意に低くなることがわかる。
さらに、実施例1および比較例1のフィルタ付シガレットについて、温度22℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽内で1ヶ月間保管した後、たばこロッドの巻紙に現れる染みを目視観察し、染み発生率を求めた。目視観察で染みの大きさが0.9〜1.8mmを“染み小”、目視観察で染みの大きさが1.8mm超えを“染み大”と判定した。その結果を図8に示す。なお、図8において棒グラフの上部は“染み大”、下部は“染み小”を示す。
図8から明らかなように実施例1のシガレットは、たばこロッドの巻紙の染み発生率が比較例1のシガレットのそれに比べて有意に減少できることがわかる。
(実施例2)
実施例1と同様なメンソール添着活性炭(添着率92%)を用意し、メンソール添着活性炭80mgを用いて前述した試験Iと同様に方法でフィルタ付シガレットを造った。
(比較例2)
フィルタにメンソール添着活性炭を配置する代わりにたばこロッドの刻みにメンソール6.0mgを添着した以外、前述した試験Iと同様に方法でフィルタ付シガレットを造った。
実施例2および比較例2のフィルタ付シガレットについて、温度22℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽内で1.5ヶ月蔵置後に以下の方法に従って吸煙(パフ)回数毎のメンソール量の推移を測定した。
すなわち、前記蔵置後のフィルタ付シガレットを自動喫煙器にセットして2秒間吸煙し、吸煙中の粒子相成分をケンブリッジフィルタで捕集した。得られた成分をメタノールで溶媒抽出した後、ガスクロマトグラフィー分析を行い、吸煙中のメンソール量を定量した。このような吸煙を1分間の間隔で合計7回行い、各吸煙中のメンソール量を定量した。各回の吸煙によるメンソール割合(%)は、1回〜7回までの吸煙中のメンソール量を合計し、合計メンソール量で各回の吸煙のメンソール量を除すことにより求めた。その結果を図9に示す。なお、図9の○は実施例2のシガレットにおけるパフの回数毎のメンソール割合の推移、□は比較例2のシガレットにおけるパフの回数毎のメンソール割合の推移、をそれぞれ示す。
図9から明らかなようにメンソール添着活性炭が分散されたフィルタを備える実施例2のシガレットは、初回のパフからメンソールを添着したたばこ刻みを有する比較例2のシガレットと同等のメンソール放出性を発現できることがわかる。すなわち、比較例2のシガレットではたばこ刻みにメンソールを添着するため、初回の吸煙から優れたメンソール放出性を示すものの、前述した図8の比較例1に示すように巻紙の染み発生率が高くなる。これに対し、実施例2のシガレットはフィルタにメンソール添着活性炭を分散させるため、たばこロッドの巻紙の染み発生率を有意に減少できると共に、初回のパフから比較例2と同等の優れたメンソール放出性を発現できる。
本発明によれば、保管時にメンソールを安定的に保持し、たばこ煙の通過時にのみメンソールを円滑に放出するメンソール添着活性炭、およびこのメンソール添着活性炭を含むシガレット用フィルタを提供することができる。
本発明によれば、前記フィルタを備え、蔵置中にメンソールを経時安定的にフィルタのメンソール添着活性炭に保持し、喫煙時にたばこ煙がフィルタ中を通過するときのみにメンソールを円滑に放出することが可能で、かつ巻紙への染み発生を低減することが可能なフィルタ付シガレットを提供することができる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
BET法による比表面積が1500m /g以上1700m /g以下の活性炭にメンソールを前記活性炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着したメンソール添着活性炭。
[2]
[1]記載のメンソール添着活性炭を含むシガレット用フィルタ。
[3]
前記メンソール添着活性炭が2つ以上のセグメントを有するフィルタの一部に含む[2]記載のシガレット用フィルタ。
[4]
フィルタ素材がアセテート素材である[2]または[3]記載のシガレット用フィルタ。
[5]
[2]〜[4]のいずれか1つに記載のシガレット用フィルタを具備したシガレット。

Claims (3)

  1. BET法による比表面積が1500m/g以上1700m/g以下の活性炭にメンソールを前記活性炭の飽和メンソール量に対して80%以上92%以下の添着率で添着したことを特徴とするメンソール添着活性炭を含み、アセテート素材であることを特徴とするシガレット用フィルタ
  2. 前記メンソール添着活性炭が2つ以上のセグメントを有するフィルタの一部に含むことを特徴とする請求項記載のシガレット用フィルタ。
  3. 請求項1または2記載のシガレット用フィルタを具備したことを特徴とするシガレット。
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