<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに本発明を適用した場合の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の斜視図、図2はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図である。
図1及び図2に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製の板を複数組み合わせることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。筐体11の前面側には、左側部を回動軸として開閉可能なように前面扉12が取り付けられている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ13が設けられている。キーシリンダ13は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ13に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル14が設けられている。遊技パネル14には、縦長の3つの表示窓14L,14M,14Rが横並びとなるように形成されている。表示窓14L,14M,14Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓14L,14M,14Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。
図2に示すように、筐体11は仕切り板15によりその内部が上下2分割されており、仕切り板15の上部には、リールユニット16が取り付けられている。リールユニット16は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール17L,中リール17M,右リール17Rを備えている。各リール17L,17M,17Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール17L,17M,17Rが各表示窓14L,14M,14Rと1対1で対応している。従って、各リール17L,17M,17Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓14L,14M,14Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール17L,17M,17Rが正回転すると、各表示窓14L,14M,14Rを通じてリール17L,17M,17Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
各リール17L,17M,17Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールユニット16に設けられた図示しないリールインデックスセンサの検知信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓14L,14M,14Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓14L,14M,14Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール17L,17M,17Rに付された図柄のうち、表示窓14L,14M,14Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓14L,14M,14Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施の形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール17L,17M,17Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
遊技パネル14には、各表示窓14L,14M,14Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。メダルや仮想メダルがベットされることに基づき有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル数の払出処理や、特別遊技状態たるBBゲーム等のボーナスゲームへの移行処理などが実行される。
遊技パネル14の下方左側には、各リール17L,17M,17Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー21が設けられている。スタートレバー21はリール17L,17M,17Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。メダルや仮想メダルがベットされているときにこのスタートレバー21が操作されると、各リール17L,17M,17Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー21の右側には、回転している各リール17L,17M,17Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ22,23,24が設けられている。各ストップスイッチ22,23,24は停止対象となるリール17L,17M,17Rに対応する表示窓14L,14M,14Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ22が操作された場合には左リール17Lの回転が停止し、中ストップスイッチ23が操作された場合には中リール17Mの回転が停止し、右ストップスイッチ24が操作された場合には右リール17Rの回転が停止する。ストップスイッチ22,23,24はリール17L,17M,17Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。
ちなみに、スタートレバー21の操作に基づき各リール17L,17M,17Rの回転が開始され、各ストップスイッチ22,23,24の操作に基づき全リール17L,17M,17Rの回転が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
表示窓14L,14M,14Rの下方右側には、メダルを投入するためのメダル投入口25が設けられている。メダル投入口25から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ26によってホッパ用通路27か皿用通路28のいずれかへ導かれる。メダルの受け入れが不可な状態では、セレクタ26が皿用通路28側へ投入メダルを導く状態となり、この導かれたメダルは前面扉12の前面下部に設けられたメダル受け皿29に排出される。
一方、メダルの受け入れが可能な状態では、セレクタ26がホッパ用通路27側へ投入メダルを導く状態となり、この導かれたメダルは筐体11の内部に収納されたホッパ装置31へと導かれる。なお、ホッパ用通路27には図示しないメダル検知装置が設けられており、当該メダル検知装置により上記投入メダルが検知される。
ホッパ装置31は、メダルを貯留する貯留タンク32と、メダルを遊技者に払い出す払出装置33とより構成されている。払出装置33は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、皿用通路28の中央右部に設けられた開口34へメダルを排出し、皿用通路28を介してメダル受け皿29へメダルを払い出すようになっている。なお、ホッパ装置31の側方には、貯留タンク32内に所定量以上のメダルが貯留された場合に余剰となったメダルが排出される図示しない予備タンクが設けられている。
メダル投入口25の下方には、ボタン状の返却スイッチ35が設けられている。返却スイッチ35は、メダル投入口25に投入されたメダルがセレクタ26内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ26が機械的に連動して動作され、当該セレクタ26内に詰まったメダルがメダル受け皿29に排出されるようになっている。
表示窓14L,14M,14Rの下方左側には、仮想遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ36が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ36の左方には当該スイッチ36よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ37及び第3クレジット投入スイッチ38が設けられている。第2クレジット投入スイッチ37はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ38は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
スタートレバー21の左側には、ボタン状の精算スイッチ39が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状態で精算スイッチ39が押下操作されることで、仮想メダルが現実のメダルとして排出される。
遊技パネル14の表示窓14L,14M,14Rの下方には、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部41と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部42とがそれぞれ設けられている。
第1クレジット投入スイッチ36の右方には、遊技者により手動操作される操作部を具備する演出用操作装置43が設けられている。演出用操作装置43の操作部は、後述する表示装置46などにおける演出内容を所定の演出内容とするために遊技者により手動操作される。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ部44と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ部45と、遊技者に各種情報を与える表示装置46とが設けられている。
表示装置46は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、表示装置46は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
表示装置46の背面には、図2に示すように、音声発光制御装置66及び表示制御装置70が設けられている。音声発光制御装置66により、上部ランプ部44、スピーカ部45及び表示制御装置70が制御され、表示制御装置70により表示装置46が制御され、これら上部ランプ部44、スピーカ部45及び表示装置46において、遊技の進行に伴って各種演出が実行される。この場合に、表示装置46では、リールユニット16において1遊技回分の動作が実行されることに合わせて、図柄の変動表示を行う表示演出が実行される。そして、例えば、リールユニット16における遊技回の遊技結果が大当たり当選又は大当たり発生に対応した遊技回では、表示装置46では予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
表示装置46の表示内容について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。図3は表示装置46にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図4は表示装置46の表示画面Gを示す図である。
図3(a)〜(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
図4(a)に示すように、表示装置46の表示画面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
図4(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、大当たり当選又は大当たり発生に対応した遊技回では、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了される。
本スロットマシン10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、相対的に遊技者にとって有利度合いの大きいボーナスゲーム状態が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、相対的に遊技者にとって有利度合いの小さいボーナスゲーム状態が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
なお、表示装置46における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、表示装置46にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
筐体11の内部においてホッパ装置31の左方には、電源ボックス47が設けられている。電源ボックス47は、電源スイッチ47a、リセットスイッチ47b、及び設定キー挿入孔47cなどを備えている。電源スイッチ47aは、主制御装置50を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ47bは、スロットマシン10のエラー状態をリセットするためのスイッチである。設定キー挿入孔47cは、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔47cへ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。また、リールユニット16の上方には、主制御装置50が筐体11の背板に取り付けられている。
<スロットマシン10の基本的な電気的構成>
次に、本スロットマシン10の基本的な電気的構成について、図5のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置50は、遊技の主たる制御を司る主制御基板51を具備している。なお、主制御装置50において主制御基板51などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしにして粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
主制御基板51には、MPU52が搭載されている。MPU52には、当該MPU52により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM53と、そのROM53内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM54と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。
なお、ROM53として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM53として用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM53と、RAM54とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU52には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU52の入力側には、電源ボックス47の内部に設けられた電源装置61の他に、所定の上限値の範囲内で乱数を生成し適宜更新する乱数カウンタ55などが接続されている。また、MPU52の入力側には、スタートレバー21の操作を検出するスタート検出センサ21a、各ストップスイッチ22,23,24の操作を個別に検出するストップ検出センサ22a,23a,24a、メダル投入口25から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ26a、各クレジット投入スイッチ36,37,38の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ36a,37a,38a、精算スイッチ39の操作を検出する精算検出センサ39a、ホッパ装置31から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ31a、リセットスイッチ47bの操作を検出するリセット検出センサ62、設定キー挿入孔47cに設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する設定キー検出センサ63等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入力ポートを介してMPU52へ出力されるようになっている。
また、MPU52の入力側には、電源装置61に設けられた停電監視回路61bが接続されている。電源装置61には、主制御装置50を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部61aや、上述した停電監視回路61bなどが搭載されている。
停電監視回路61bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ47aによる電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路61bは、電源部61aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はMPU52に供給され、MPU52ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部61aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置50などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置50による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置50の出力側には、クレジット表示部41、獲得枚数表示部42、各リール17L,17M,17Rを回転させるための各ステッピングモータ64、セレクタ26に設けられたメダル通路切替ソレノイド26b、ホッパ装置31、音声発光制御装置66、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板65等が接続されている。
音声発光制御装置66は、上部ランプ部44、スピーカ部45及び表示制御装置70を制御するための制御装置である。そして、主制御装置50からのコマンドを受け取った上で、音声発光制御装置66が独自に上部ランプ部44、スピーカ部45及び表示制御装置70を制御する。
<主制御装置50のMPU52にて実行される処理>
次に、主制御装置50のMPU52により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU52の処理としては大別して、電源投入後において立ち上げ用の処理の実行後に繰り返し実行される通常処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがある。
これら各処理のうちNMI割込み処理では、MPU52内に設けられた使用レジスタのデータをRAM54内に設けられたバックアップエリアに退避させるとともに、停電フラグをRAM54にセットする。その後、RAM54のバックアップエリアに退避させたデータを再びMPU52の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。
次に、タイマ割込み処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS101に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているMPU52内の全レジスタの値をRAM54のバックアップエリアに退避させる。ステップS102では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS103に進み、停電時処理を実行する。
停電時処理では、コマンド送信が終了しているか否かを判定し、送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。コマンドの送信が完了している場合には、MPU52のスタックポインタの値をRAM54内のバックアップエリアに保存する。その後、停止処理としてRAM判定値をクリアするとともに、出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。さらに、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存するとともに、それ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
ステップS102にて停電フラグがセットされていないと判定した場合には、ステップS104以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS104では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS105では、MPU52自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS106では、各リール17L,17M,17Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ64を駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS107では、各種センサの状態を読み込むとともに、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。
ステップS108では、各タイマの値の減算等を行うタイマ演算処理を行う。ステップS109では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板65へ出力するカウンタ処理を行う。ステップS110では、各種コマンドを音声発光制御装置66へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS111では、セグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS112では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを所定の表示部に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS113では、I/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS114では、先のステップS101にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれMPU52内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS115にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
次に、通常処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS201では、貯留記憶されている仮想メダル、又はベットされたメダルを実際のメダルとして排出するためのメダル精算処理を実行する。
続くステップS202では、デモ表示用処理を実行する。デモ表示用処理では、遊技回用の演出の終了後において新たな遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。また、MPU52への電力供給が開始されてから又はスロットマシン10がリセットされてから、新たに遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、3sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。そして、経過していると判定した場合には、デモ表示用のコマンドを音声発光制御装置66に送信する。
なお、デモ表示とは、予め定められた開始待ち期間が経過している場合に、表示装置46の表示画面Gにて表示される開始待ち演出のことをいう。デモ画像では、図柄列Z1〜Z3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が表示されるが、これに限定されることはなく、例えば、図柄が所定の動作を行っている画像の表示の後に又はそれに代えてメーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される構成としてもよい。また、図柄列Z1〜Z3上において変動表示される図柄のアニメーションによりデモ表示を行う構成においては、当該図柄として、直前の遊技回で最終停止表示された図柄を用いる構成としてもよい。この場合、デモ表示の多様化が図られる。
続くステップS203では、メダルがベットされているか否かを判定する。すなわち、メダル投入口25よりメダルが投入されてベット設定がなされているか否か、又はクレジット投入スイッチ36〜38の操作により仮想メダルが投入されてベット設定がなされているか否かを判定する。
メダルがベットされているときには、続いてステップS204にて有効ライン設定処理を実行する。有効ライン設定処理では、現在のベット枚数を把握し、その把握したベット枚数に応じて有効ラインを設定する。ちなみに、ベット枚数が多いほど、後述する抽選処理にて当選となった役の入賞が成立し易くなる。
続くステップS205では、スタートレバー21が操作されたか否かを判定する。ステップS203,ステップS205が共にYESの場合には、ステップS206にてベット不許可処理を実行する。具体的には、クレジット投入検出センサ36a〜38aからのON信号を無効化する。また、メダル通路切替ソレノイド26bが非励磁とされ、仮にメダル投入口25からメダルが投入されたとしても皿用通路28を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようになる。さらには、精算検出センサ39aからのON信号を無効化する。
その後、ステップS207にて抽選処理を実行する。抽選処理では、スロットマシン10の現在の設定状態及び現在のベット枚数に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択するとともに、その選択した乱数テーブルに、スタートレバー21が操作されたときに乱数カウンタ55よりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う。そして、いずれかの役に当選したか否かを判定し、いずれかの役に当選した場合には、その役に応じた当選フラグをセットする。また、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM54のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ22〜24が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
また、抽選処理では、役の当選の有無及び当選役の種別に対応した演出継続時間テーブルをROM53から読み出し、その読み出した演出継続時間テーブルと、そのタイミングにおける演出用カウンタの数値情報とから今回の遊技回の演出継続時間を決定する。そして、演出継続時間の情報を含む変動用コマンドと、役の当選の有無及び当選役の種別の情報を含む種別コマンドとを音声発光制御装置66に送信する。当該コマンドの受信に対する音声発光制御装置66の処理については、後に説明する。
続くステップS208では、リール制御処理を実行する。リール制御処理では、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機するためにウエイト処理を行う。ウエイト処理に続いてリール回転処理を行い、各リール17L,17M,17Rを回転させる。その後、左リール17Lが回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には所定時間が経過するまで待機する。
所定時間が経過した場合には、ストップスイッチ22〜24のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否か、より具体的にはストップ検出センサ22a〜24aからのON信号を受信しているか否かを判定する。いずれかの停止指令が発生している場合には、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM54に格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。そして、全ての停止指令が発生して全リール17L,17M,17Rの回転を停止させるまで上記停止用の制御を繰り返す。
また、リール制御処理では、停止指令が発生して対応するリール17L,17M,17Rの回転を停止させる場合、その停止対象のリールに対応した停止用コマンドを音声発光制御装置66に送信する。当該コマンドの受信に対する音声発光制御装置66の処理については、後に説明する。
続くステップS209では、メダル払出処理を実行する。メダル払出処理では、全リール17L,17M,17Rの停止後においていずれかの有効ライン上に当選役に対応した図柄の組み合わせが成立しているか否かを判定し、成立している場合には、それに対応した特典を遊技者に付与するための処理を実行する。例えば、メダルの払出に対応した当選役が成立している場合には、上限数を限度として仮想メダルを遊技者に付与するとともに、上限数に達している場合には対応する枚数のメダルを遊技者に払い出す。この際、クレジット表示部41や獲得枚数表示部42の表示制御を実行する。また、例えば、リプレイに対応した当選役が成立している場合には、同一枚数のベット設定を行う。
続くステップS210では、ボーナスゲーム処理を実行する。ボーナスゲーム処理では、ボーナス役に当選している状況においてその当選役に対応したボーナス図柄の組み合わせが有効ライン上に成立していることを条件として、遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態であるボーナスゲーム状態に移行させる。ボーナスゲーム状態では、予め定められた枚数のメダル又は仮想メダルの払い出しが実行されるまで、各遊技回においてメダル又は仮想メダルの獲得期待値が高い状態となる。
また、ボーナスゲーム処理では、ボーナスゲーム状態の開始に際して、オープニングコマンドを音声発光制御装置66に送信するとともに、ボーナスゲーム状態の終了に際して、エンディングコマンドを音声発光制御装置66に送信する。これらコマンドの受信に対する音声発光制御装置66の処理については、後に説明する。
その後、ステップS211にて、ベット許可処理を実行する。かかる処理では、クレジット投入検出センサ36a〜38a及び精算検出センサ39aからのON信号の無効化状態を解除する。また、メダル通路切替ソレノイド26bが励磁され、メダル投入口25からメダルが投入された際にホッパ用通路27へ導かれるようになる。
以上の処理を行った後、ステップS201に戻る。一方、ステップS203にてメダルがベットされていない、またはステップS205にてスタートレバー21が操作されていない場合には、ステップS201に戻る。
<演出の実行に係る電気的構成>
次に、演出の実行に係る電気的構成について、図8のブロック図を参照しながら説明する。
<音声発光制御装置66>
先ず、音声発光制御装置66について説明する。
音声発光制御装置66は、図8に示すように、MPU68が搭載された音声発光制御基板67を具備している。MPU68には、当該MPU68により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM68aと、そのROM68a内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM68bと、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
なお、ROM68aとして、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM68aとして用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM68aと、RAM68bとが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU68には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU68の入力側には演出用操作装置43及び主制御装置50が接続されているとともに、MPU68の出力側には上部ランプ部44、スピーカ部45及び表示制御装置70が接続されている。
MPU68では、主制御装置50から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置50から送信された停止用コマンドを受信することで、既に実行されている遊技回用の演出をリール17L,17M,17Rの回転状況に応じたものに切り換える必要があることを認識し、停止対応処理を実行する。また、主制御装置50から送信されたボーナスゲーム状態用の各種コマンドを受信することで、ボーナスゲーム状態用の演出を開始させる必要があること又は終了させる必要があることを認識し、ボーナスゲーム状態演出用処理を実行する。また、主制御装置50から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
なお、MPU68において主制御装置50からコマンドを受信するとは、主制御装置50からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、上記変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間(表示継続期間)を把握する変動表示時間の把握処理と、役の当選の有無を把握する当選役発生の把握処理と、当選役の種別を把握する当選役種別の把握処理と、を実行する。また、当選役発生の把握処理及び当選役種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において表示装置46の表示画面Gに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。
また、遊技回用演出開始処理では、リーチ表示や予告表示を行うか否かの決定処理を実行する。この場合、大当たり当選に対応している場合には、リーチ表示の実行が決定され、大当たり当選に対応していない場合にはリーチ表示抽選処理にて当選となった場合にリーチ表示の実行が決定される。また、大当たり当選であるか否かに関係なく、予告表示を行うか否かの予告表示抽選処理を実行し、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の実行が決定される。
ここで、リーチ表示とは、表示装置46の表示画面Gにおける表示演出の一種であり、大当たり当選となり易い状況であると遊技者に思わせるための表示状態のことである。リーチ表示には、表示装置46の表示画面Gに表示される複数の図柄列Z1〜Z3のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、リーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
図柄の変動表示に係るリーチ表示について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、表示装置46の表示画面G内の予め設定された有効ライン上に、大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
一方、予告表示とは、リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や大当たり当選の発生を期待させるための表示状態のことである。予告表示には、表示装置46の表示画面Gにおいて図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列Z1〜Z3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列Z1〜Z3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列Z1〜Z3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
遊技回用演出開始処理では、上記各処理の結果に基づいて、予告表示の情報を除いた表示演出の種類の情報及び変動表示時間の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置70に送信する。また、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の種別の情報を含む予告コマンドを、表示制御装置70に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM68aから読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における上部ランプ部44の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部45からの出力態様が規定される。
停止対応処理では、遊技回用の演出として既に実行されている上部ランプ部44の発光態様、スピーカ部45からの出力態様及び表示装置46における表示態様を、リール17L,17M,17Rの回転状況に応じたものに切り換えるための処理を実行する。詳細には、遊技回用の演出は、遊技回の開始から最初のリールが停止されるまでの期間と、最初のリールが停止されてから次のリールが停止されるまでの期間と、当該次のリールが停止されてから最後のリールが停止されるまでの期間と、当該最後のリールが停止されてから演出終了タイミングまでの期間とに区別される。停止対応処理では、受信している停止用コマンドに基づいて、現状のタイミングが各期間のうちいずれの期間であるかを把握し、上部ランプ部44の発光態様やスピーカ部45からの出力態様をその把握した期間に対応したものに切り換える。また、その把握した期間に対応した切換用コマンドを、表示制御装置70に送信する。
ボーナスゲーム状態演出用処理では、受信しているボーナスゲーム状態用の各種コマンドに基づいて、ボーナスゲーム状態の開始時などの演出態様を把握し、その把握結果に対応したボーナスゲーム状態用のコマンドを表示制御装置70に送信する。また、当該把握結果に基づいて、ボーナスゲーム状態用の表示発光テーブルと大当たり演出用の音声テーブルとをROM68aから読み出し、ボーナスゲーム状態中における上部ランプ部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。ちなみに、MPU68においてボーナスゲーム状態であることが認識されている状況では、当該ボーナスゲーム状態中に実行される遊技回においてボーナスゲーム状態中専用の演出態様が選択される。
デモ表示用処理では、受信しているデモ表示用のコマンドに基づいて、デモ表示の演出態様を把握し、その把握結果に対応したデモ表示用のコマンドを表示制御装置70に送信する。また、当該把握結果に基づいて、デモ表示用の表示発光テーブルとデモ表示用の音声テーブルとをROM68aから読み出し、デモ表示中における上部ランプ部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
また、MPU68では、演出用操作装置43の操作部が操作されたことに基づき当該演出用操作装置43から送信される操作信号を受信することで、演出用操作装置43が操作されたことを認識し、操作対応処理を実行する。また、操作されている状態が解除された場合にも操作信号の立下りによってそれを認識し、操作対応処理を実行する。
ここで、演出用操作装置43の操作に対応した演出の一部として、表示装置46に表示されている画像が2次元平面上の異なる位置にシフトされるような演出が実行される。そして、このシフト可能な位置として、複数の位置、具体的には2箇所の位置が設定されている。これに対応させて、演出用操作装置43の操作部はこれら複数の位置を個別に指定可能なように、例えば十字キー又は複数方向に回動可能な操作レバーとして設けられており、演出用操作装置43からは各操作に対応した操作信号が送信される。操作対応処理では、操作信号の種類に応じて操作態様を特定し、演出用操作装置43が操作されたことの情報及びその操作態様の情報を含む操作発生コマンドを表示制御装置70に送信する。また、操作対応処理では、操作部の操作が解除された場合に、操作解除コマンドを表示制御装置70に送信する。また、操作対応処理では、上記コマンドの送信以外にも、上部ランプ部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を演出用操作装置43の操作に対応したものとなるように規定する。
<表示制御装置70>
次に、表示制御装置70について説明する。
表示制御装置70は、図8に示すように、表示CPU72と、ワークRAM73と、メモリモジュール74と、VRAM75と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)76と、が搭載された表示制御基板71を備えている。
表示CPU72は、表示制御装置70においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。詳細には、表示CPU72は表示制御基板71に搭載された入力ポート77に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置66から送信された各種コマンドは入力ポート77を通じて表示CPU72に入力される。なお、表示CPU72において音声発光制御装置66からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置66からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
表示CPU72は、バスを介してワークRAM73、メモリモジュール74及びVRAM75と接続されており、音声発光制御装置66から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール74に記憶された各種データをワークRAM73やVRAM75に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU72は、バスを介してVDP76と接続されており、音声発光制御装置66から受信したコマンドに基づいて、表示装置46に画像信号を出力させる描画指示を行う。以下、メモリモジュール74、ワークRAM73、VRAM75及びVDP76について説明する。
メモリモジュール74は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データ(制御用情報)を予め記憶しているとともに、表示装置46に表示される図柄やキャラクタなどのスプライトデータ、背景データ、及び動画像データなどを含む各種画像データ(画像用情報)を予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール74は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてNAND型フラッシュメモリが用いられている。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置70における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール74は、スロットマシン10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
ここで、各スプライトデータは、キャラクタの外形や模様を規定するビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。また、背景データは、静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。動画像データについては、後に詳細に説明する。
ワークRAM73は、メモリモジュール74から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM73は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置70における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM73は、スロットマシン10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
ワークRAM73には、表示CPU72からメモリモジュール74へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール74から制御用データが転送される。この場合、当該制御用データは、その制御用データに対応した表示CPU72における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。そして、表示CPU72は、ワークRAM73に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
VRAM75は、表示装置46に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM75は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置70における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM75は、スロットマシン10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
VRAM75は展開用バッファ81を備えており、展開用バッファ81には、表示CPU72からメモリモジュール74へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール74から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP76における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM75には、VDP76により描画データが作成されるフレームバッファ82が設けられている。なお、VRAM75がVDP76に内蔵されていてもよい。
VDP76は、表示CPU72からの描画指示に基づき、展開用バッファ81に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、表示装置46に対して描画を行う画像生成デバイスであり、表示装置46において液晶表示部46aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス46bを操作する一種の描画回路である。VDP76はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
詳細には、VDP76は、制御部91と、レジスタ92と、動画デコーダ93と、表示回路94と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU72用のI/F95及びVRAM75用のI/F96と接続されている。
VDP76では、表示CPU72から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ92に記憶させる。レジスタ92に描画リストが記憶されることにより、制御部91では描画リストに従ったプログラムが起動されて予め定められた処理が実行される。なお、制御部91が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリを制御部91に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容とによって制御部91が所定の処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール74から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。
上記処理として、制御部91では、VRAM75の展開用バッファ81に展開されている画像データを用いて(又は加工することにより)、フレームバッファ82に1フレーム分の描画データを作成する。なお、1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで表示装置46の表示画面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
ここで、フレームバッファ82には、複数のフレーム領域82a,82bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域82aと、第2フレーム領域82bとが設けられている。これら各フレーム領域82a,82bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域82a,82bにはそれぞれ、液晶表示部46a(すなわち表示画面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリア(単位設定領域)が含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
フレームバッファ82に第1フレーム領域82a及び第2フレーム領域82bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて表示装置46への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ82として、ダブルバッファ方式が採用されている。
表示回路94では、第1フレーム領域82a又は第2フレーム領域82bに作成された描画データに基づいて液晶表示部46aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路94に接続された出力ポート78を介して表示装置46に出力される。また、表示回路94からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。当該表示回路94には、上記画像信号の生成及び出力を行うために、スケーラ97及び画像信号出力部98が設けられている。これらスケーラ97及び画像信号出力部98については、後に詳細に説明する。
また、動画デコーダ93では、VRAM75の展開用バッファ81に転送された動画像データのデコードを実行する。当該処理の内容については後に詳細に説明する。
<メモリモジュール74の具体的な構成>
次に、メモリモジュール74の具体的な構成について説明する。
図9はメモリモジュール74のハード構成を説明するためのブロック図である。図9に示すように、メモリモジュール74は、コントローラ101と、NAND型フラッシュメモリ102とをワンパッケージング化して構成されている。NAND型フラッシュメモリ102にはメモリセルアレイが設けられており、当該メモリセルアレイには、表示CPU72の制御プログラムデータを記憶した制御プログラム用の領域103と、表示装置46にて画像を表示させるために用いられる画像データを記憶した画像データ用の領域104とが設けられている。
コントローラ101は、転送指示元の表示CPU72並びにデータ転送先のワークRAM73及びVRAM75との間でデータを送受信する本体側I/F111と、NAND型フラッシュメモリ102との間でデータを送受信する記憶側I/F112と、コントローラ101におけるデータ制御処理及びNAND型フラッシュメモリ102の物理ブロック管理処理を行う制御部であるコントローラCPU113、制御用ROM114及び制御用RAM115と、コントローラCPU113からの転送指示に基づきNAND型フラッシュメモリ102からデータの読み出しを実行する転送実行回路116と、当該転送実行回路116により読み出されたデータを一時的に記憶するキャッシュ用メモリ117と、NAND型フラッシュメモリ102から読み出されたデータのエラー検出及び検出されたエラーの訂正を行う誤り訂正回路118と、を備えている。
一般的にNAND型フラッシュメモリ102は、メモリセルアレイに欠陥を含むブロックが存在しても、そのブロックを避けて使用される。そして、この不良ブロックの有無及び部位は固体毎に異なる。したがって、表示CPU72からメモリモジュール74に送信される論理アドレスをNAND型フラッシュメモリ102における物理ブロックの各ページに対応付ける必要があり、その対応付けがコントローラCPU113にて実行される。
詳細には、制御用ROM114には、論理アドレスと物理ブロックの各ページのアドレスとを対応付けるアドレス管理テーブル(アドレス管理情報群)が予め記憶されている。表示CPU72から受信したアドレス指定コマンドは制御用RAM115のアドレス指定用バッファに一旦格納される。コントローラCPU113では、制御用RAM115にアドレス指定コマンドが格納されている場合、制御用ROM114からアドレス管理テーブルを読み出し、指定されている論理アドレスに対応した物理ブロックのページのアドレスを把握する。そして、コントローラCPU113から転送実行回路116に転送指示が行われ、その転送指示に係る物理アドレスのデータがNAND型フラッシュメモリ102からキャッシュ用メモリ117へ転送されるように、転送実行回路116においてデータ転送処理が実行される。キャッシュ用メモリ117へ転送されたデータは、ワークRAM73又はVRAM75へ転送される。
ちなみに、制御用ROM114として、マスクROMやNOR型フラッシュメモリといったランダムアクセスが可能なメモリが用いられている。また、キャッシュ用メモリ117は、同一容量のデータ読み出しで比較した場合において、その読み出し速度(転送速度)がNAND型フラッシュメモリ102よりも速いものが用いられている。具体的には、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。
メモリモジュール74には、表示CPU72における初期起動用のブートデータを予め記憶したブート用メモリ119が設けられている。ブート用メモリ119として、ランダムアクセスが可能なようにマスクROMが用いられており、同一容量のデータ読み出しで比較した場合において、その読み出し速度(転送速度)がNAND型フラッシュメモリ102よりも速いものが用いられている。なお、ブート用メモリ119は、マスクROMに限定されることはなく、NAND型フラッシュメモリ102よりもデータの読み出し速度が速いのであれば、NOR型フラッシュメモリであってもよく、バッテリなどの内部電源を具備したDRAMユニットやSRAMユニットであってもよい。
ブート用メモリ119の記憶容量は、NAND型フラッシュメモリ102の記憶容量よりも小さく設定されている。具体的には、NAND型フラッシュメモリ102における1ページ分の記憶容量と同一、略同一又は同様の記憶容量となっている。ブート用メモリ119には、初期起動用のブートデータが予め記憶されており、表示CPU72において初期起動時の処理が実行される場合には、NAND型フラッシュメモリ102からではなくブート用メモリ119からデータの読み出しが行われる。当該初期起動用のブートデータとして、表示CPU72やVDP76の初期設定を行う命令コード、及びNAND型フラッシュメモリ102に格納されているデータをワークRAM73やVRAM75に転送する命令コードが設定されている。
ここで、コントローラ101にて実行されるデータ転送処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。なお、当該データ転送処理は制御用RAM115に未処理のアドレス指定コマンドが格納されている場合に起動される。
先ずステップS301では、今回のアドレス指定がブート用メモリ119へのアクセスに係るものであるか否かを判定する。ブート用メモリ119へのアクセスに係るものである場合には、ステップS302にてブート用メモリ119のブートデータを表示CPU72に転送させる処理を実行した後に、本データ転送処理を終了する。これにより、表示CPU72におけるブートデータの読み出しが行われる。
一方、ブート用メモリ119へのアクセスに係るものでない場合(ステップS301:NO)、すなわちNAND型フラッシュメモリ102へのアクセスに係るものである場合には、ステップS303に進む。ちなみに、詳細は後述するが、この場合の転送指示の実行タイミングは、NAND型フラッシュメモリ102に記憶されたプログラムデータや画像データが表示CPU72やVDP76において必要となるタイミングよりも前のタイミングでワークRAM73やVRAM75への転送が完了するように設定されている。
ステップS303では、予測転送の対象アドレスであるか否かを判定する。予測転送の対象アドレスとは、表示CPU72から1ページ分の論理アドレス指定があった場合に、その論理アドレスに連続する1ページ分の論理アドレスに対応した物理アドレスのことをいう。
予測転送の対象アドレスでない場合(ステップS303:NO)には、ステップS304にて、上記アドレス管理テーブルを用いて、今回の指定対象の論理アドレスに対応した物理アドレスを把握する。この処理により、データ書き込み時に不良ブロックが生じ易いNAND型フラッシュメモリ102を用いる構成であっても、論理アドレスに対する物理アドレスの対応付けを良好に行うことができる。
続くステップS305にて、その把握した物理アドレスに格納されているデータをNAND型フラッシュメモリ102からキャッシュ用メモリ117へ転送するように、コントローラCPU113から転送実行回路116へ転送指示を行う。これにより、当該データのキャッシュ用メモリ117への転送が開始される。
続くステップS306では、キャッシュ用メモリ117への転送が完了したか否かを判定し、転送が完了するまで当該判定処理を繰り返す。キャッシュ用メモリ117への転送が完了した場合には、ステップS307にて、予測転送の対象アドレスに係るデータ転送指示を実行する。これにより、転送実行回路116において、直前に転送が完了したデータの論理アドレスに連続する論理アドレスに対応した物理アドレスに格納されているデータのキャッシュ用メモリ117への転送が開始される。
この場合、キャッシュ用メモリ117は、複数ページ、具体的には2ページ分のデータを同時に記憶可能な記憶容量を有している。そして、転送実行回路116では、予測転送の対象アドレスに係るデータをキャッシュ用メモリ117に転送する場合、その予測の契機となった直前アドレスのデータであってキャッシュ用メモリ117に転送済みのデータを消去しないように、すなわち当該データが格納されている領域とは異なる領域に、上記予測転送の対象アドレスに係るデータを転送する。これにより、キャッシュ用メモリ117からワークRAM73又はVRAM75への転送途中のデータが、予測転送の対象アドレスに係るデータの転送に際して消去されてしまわないようにすることができる。
続くステップS308では、ステップS306にてキャッシュ用メモリ117への転送が完了したと判定されたデータを、ワークRAM73及びVRAM75のうち転送先対象として設定されている側へ転送させる処理を実行する。この場合、表示CPU72は、アドレス指定コマンドを送信する場合、当該アドレス指定コマンドに含ませて又は別コマンドとして、データ転送先のRAM及びその転送先アドレスの情報を送信している。したがって、ステップS308では、その指定された転送先のRAMであって転送先アドレスへデータを転送させる。
その後、ステップS309にて、キャッシュ用メモリ117から転送先対象へのデータ転送が完了したか否かを判定し、転送が完了するまで当該判定処理を繰り返す。転送先対象へのデータ転送が完了した場合(ステップS309:YES)には、本データ転送処理を終了する。
また、ステップS303にて、今回のアドレス指定が予測転送の対象アドレスに係るものであると判定した場合には、ステップS304及びステップS305の処理を実行することなく、ステップS306に進む。そして、そのアドレス指定に係るデータのキャッシュ用メモリ117への転送が完了した場合(ステップS306:YES)には、ステップS307〜ステップS309の処理を実行し、本データ転送処理を終了する。
データ転送の様子を図11のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図11(A)はブート用メモリ119からデータが転送される様子を示しており、図11(a)は表示CPU72からの読み出し要求の様子であり、図11(b)はブート用メモリ119からのデータ転送の様子である。また、図11(B)はNAND型フラッシュメモリ102のデータが転送される様子を示しており、図11(c)は表示CPU72からの読み出し要求の様子であり、図11(d)はキャッシュ用メモリ117へのデータ転送の様子であり、図11(e)はキャッシュ用メモリ117からのデータ転送の様子である。
先ず、ブート用メモリ119からデータが転送される場合について説明する。
図11(A)に示すように、t1のタイミングで、表示CPU72からアドレス指定コマンドが送信され、t2のタイミングで、コントローラCPU113において当該アドレス指定コマンドの受信が認識される。
その後、t3のタイミングで、コントローラCPU113において、ブート用メモリ119のブートデータが読み出し対象として指定されていることが把握され、ブート用メモリ119からのデータ転送が開始される。この場合、コントローラCPU113において表示CPU72からの読み出し要求が認識されてから、データ転送が開始されるまでの期間はT1となっている。その後、t4のタイミングで、当該データ転送が完了する。
次に、NAND型フラッシュメモリ102からデータが転送される場合について説明する。
図11(B)に示すように、t5のタイミングで、表示CPU72からアドレス指定コマンドが送信され、t6のタイミングで、コントローラCPU113において当該アドレス指定コマンドの受信が認識される。
その後、t7のタイミングで、コントローラCPU113において、NAND型フラッシュメモリ102のデータが読み出し対象として指定されていることが把握されるとともに、その指定されている論理アドレスに対応した物理アドレスが把握され、さらには転送実行回路116においてその物理アドレスに対応したページがシーケンシャルに認識され、キャッシュ用メモリ117へのデータ転送が開始される。この場合、論理アドレスに対応した物理アドレスの認識、及びランダムアクセスではなくシーケンシャルでの認識が行われることにより、t6のタイミングからt7のタイミングまでの期間T2は、t2のタイミングからt3のタイミングまでの期間T1よりも長い。
その後、t8のタイミングで、キャッシュ用メモリ117へのデータ転送が完了することで、キャッシュ用メモリ117から転送先対象のRAMへのデータ転送が開始される。この場合、コントローラCPU113において表示CPU72からの読み出し要求が認識されてから、転送先対象のRAMへのデータ転送が開始されるまでの期間はT3となっており、ブート用メモリ119からのデータ転送が開始されるまでに要する期間T1よりも長くなっている。
その後、当該RAMへのデータ転送途中であるt9のタイミングで、予測転送の対象アドレスに対応したデータのキャッシュ用メモリ117への転送が開始される。この場合、コントローラCPU113においては連続する論理アドレスに対応した物理アドレスを転送実行回路116にて指定すればよいため、仮にその連続する論理アドレスに対応した各物理アドレス間に不良ブロックのアドレスが介在していたとしても、それらの連続性を予め対応付けておくことで、アドレス指定コマンドから物理アドレスを認識する場合に比べ、物理アドレスの認識に要する時間の短縮化が図られる。なお、スーパーリーチ表示といった所定の演出を実行するための画像データ群は、複数の物理ブロックに亘って格納されている。
その後、t10のタイミングで、キャッシュ用メモリ117から転送先対象のRAMへのデータ転送が完了する。そして、表示CPU72から新たなアドレス指定コマンドが送信される。ちなみに、NOR型フラッシュメモリはアドレス端子とデータの入出力端子とが別々に設けられているが、NAND型フラッシュメモリ102を有するメモリモジュール74は、その仕様として、アドレス端子とデータの入出力端子とが別々に設けられていない。よって、キャッシュ用メモリ117からのデータ転送が行われた後に、表示CPU72からアドレス指定コマンドが送信される。
その後、t11のタイミングで、予測転送に係るデータのキャッシュ用メモリ117への転送が完了するとともに、t12のタイミングで、コントローラCPU113において表示CPU72からの新たなアドレス指定コマンドの受信が認識される。当該アドレス指定コマンドにより指定される論理アドレスは、予測転送の対象となったデータの論理アドレスに対応しているため、その後のt13のタイミングで、その予測転送の対象となったデータのキャッシュ用メモリ117から転送先対象のRAMへの転送が開始される。
この場合、コントローラCPU113において表示CPU72からの読み出し要求が認識されてから、データ転送が開始されるまでの期間はT4となっている。予測転送に係るデータは、既に説明したとおり、キャッシュ用メモリ117からRAMへのデータ転送が行われている途中で転送が開始され、その開始タイミングは表示CPU72からの読み出し要求が行われるよりも前のタイミングとなっている。よって、当該期間T4は、予測転送が行われずにNAND型フラッシュメモリ102からデータの読み出しが行われる場合においてデータ転送が開始されるまでに要する期間T3よりも短くなっている。ちなみに、当該期間T4は、ブート用メモリ119からのデータ転送が開始されるまでに要する期間T1よりも短くなっているが、これに限定されることはなく期間T1よりも長い構成としてもよい。その後、t14のタイミングで、予測転送に係るデータの転送が完了する。
なお、予測転送に係るデータの転送が連続する場合には、表示CPU72からの読み出し要求に対して、キャッシュ用メモリ117からRAMへのデータ転送が開始されるまでに要する期間がT4となる転送態様が連続することとなる。一方、予測転送に係るデータの論理アドレスと、表示CPU72からの読み出し要求に係る論理アドレスとが一致しない場合には、キャッシュ用メモリ117からRAMへのデータ転送が開始されるまでに要する期間がT3となる態様でデータ転送が行われる。
以上のとおり、制御プログラムデータや画像データを予め記憶するメモリとしてNAND型フラッシュメモリ102が用いられていることにより、NOR型フラッシュメモリを用いる構成に比べ、製造コストを抑えつつ大容量化を図ることができる。また、NAND型フラッシュメモリ102を用いることでスロットマシン10の開発段階においては繰り返し書き換えが可能となり、開発コストを抑えることも可能となる。また、リサイクルも可能となる。特に、制御プログラムデータ及び画像データを個別のメモリに記憶させるのではなく、両データを単一のメモリモジュール74に記憶させたことで、表示CPU72との間の転送経路をコンパクトなものとすることができる。
但し、NAND型フラッシュメモリ102は、その仕様に起因して、NOR型フラッシュメモリに比べてデータ転送速度が遅い。これに対して、初期起動用のブートデータがNAND型フラッシュメモリ102よりも読み出しに要する速度が速いブート用メモリ119に予め記憶されていることにより、表示CPU72への動作電力の供給が開始された場合や、スロットマシン10のリセットが行われた場合には、表示CPU72において初期起動用の処理を速やかに開始することができる。よって、NAND型フラッシュメモリ102に初期起動用のプログラムデータが記憶されている構成に比べ、表示CPU72における制御を円滑に開始させることができる。
また、表示CPU72から転送対象として指定されたデータに対して論理アドレスが連続するデータを予測転送に係るデータとし、キャッシュ用メモリ117から転送先対象のRAMへ1ページ分のデータが転送されている期間を利用して、その予測転送に係るデータがNAND型フラッシュメモリ102からキャッシュ用メモリ117に事前転送される。これにより、論理アドレスが連続するページのデータ転送に必要な時間の短縮化が図られる。そして、表示CPU72はワークRAM73に事前に転送されたプログラムデータを読み出して処理を実行するとともに、VDP76はVRAM75に事前に転送された画像データを読み出して処理を実行することで、それら各処理の途中でデータの転送待ち時間が生じないようにすることができ、各処理を円滑に進行させることができる。
また、NAND型フラッシュメモリ102及びブート用メモリ119はメモリモジュール74としてワンパッケージング化されているとともに、それらメモリ103,119からのデータ読み出しの管理はコントローラCPU113にて行われる。これにより、表示CPU72は、データ転送をNAND型フラッシュメモリ102及びブート用メモリ119のいずれから行わせる場合であっても、コントローラCPU113に向けてアドレス指定のコマンドを送信すればよい。これにより、当該コマンドの送信に係る信号経路の構成の簡素化が図られる。また、メモリモジュール74において表示CPU72からコマンドを受ける箇所はI/F111に集約されているため、この点からも信号経路の構成の簡素化が図られる。
ちなみに、NAND型フラッシュメモリ102はデータを読み出す場合にWE端子に書き込み指令信号を入力する必要があるが、コントローラ101において外部から書き込み指令信号が入力されるHWE(HOST WRITE ENABLE)端子をプルアップ状態としながら、コントローラ101のFWE(FLASH WRITE ENABLE)端子がNAND型フラッシュメモリ102のWE端子に接続されていることにより、コントローラ101の外部からの実質的な書き込み指令信号の入力を不可としながら、NAND型フラッシュメモリ102に対しては擬似的な書き込み指令信号が入力される。よって、NAND型フラッシュメモリ102からのデータの読み出しを良好に行えるようにしながら、NAND型フラッシュメモリ102のデータの不正改造を防止している。
<ワークRAM73及びVRAM75の展開用バッファ81>
次に、メモリモジュール74から事前にデータが転送されるワークRAM73及びVRAM75の展開用バッファ81について説明する。
先ず、ワークRAM73について説明する。
ワークRAM73には、図8に示すように、転送されたデータを、一旦使用した後であってもその後に使用する可能性がある状況が継続している間、具体的には自身への電力供給が継続されている間は記憶保持する常用エリア73aと、使用後において他のデータの転送に際して上書き対象となる変更用エリア73bとが設けられている。
常用エリア73aには、後述するメイン処理、V割込み処理及びコマンド割込み処理などを進行させるのに必要なプログラムデータが書き込まれる。常用エリア73aが設けられていることにより、比較的短い間隔で繰り返し実行されるメイン処理、V割込み処理及びコマンド割込み処理などを円滑に開始させることができる。
なお、変更用エリア73bの記憶容量を超えるデータを一時的に記憶させる必要が生じた場合には、表示CPU72における円滑な処理の実行を阻害しない範囲で常用エリア73aの全部又は一部のデータが一時的に消去される構成としてもよい。この場合、常用エリア73aへのデータの復帰が、対応する処理の開始時までに行われている必要がある。
変更用エリア73bには、それら各処理にて必要に応じて起動されるサブルーチンを実行するのに必要なプログラムデータが書き込まれる。また、変更用エリア73bには、所定のサブルーチンを実行している途中で次に実行されるサブルーチンに必要なプログラムデータが転送されることがあるが、当該転送は実行途中のサブルーチンのプログラムデータを消去しないにように行われる。上記のように変更用エリア73bが設けられていることにより、ワークRAM73の記憶容量がメモリモジュール74の記憶容量よりも小さく抑えられた構成において、データ転送を良好に行うことができる。
ちなみに、ワークRAM73には主制御装置50のRAM54と異なり、バックアップ電力が供給されない。したがって、外部電源からスロットマシン10への電力供給が停止された場合やスロットマシン10の電源がOFF操作された場合には、ワークRAM73にそれまで記憶保持されていたデータは消去又は破壊される。
次に、VRAM75の展開用バッファ81について説明する。
展開用バッファ81には、転送された画像データを、一旦使用した後であってもその後に使用する可能性がある状況が継続している間、具体的には自身への電力供給が継続されている間は記憶保持する常用エリア81aと、使用後において他の画像データの転送に際して上書きされる変更用エリア81bとが設けられている。
常用エリア81aには、表示装置46において図柄の変動表示を開始させる場合に使用される背景データ及び図柄スプライトデータが書き込まれるとともに、予め定められた不正や異常を検知した際に異常報知画像を表示させる場合に使用される異常報知データが書き込まれる。常用エリア81aが設けられていることにより、表示CPU72から突発的に描画指示がなされたとしても、VDP76は常用エリア81aにアクセスすることで当該描画指示に対応した画像の描画を良好に行うことができる。
なお、変更用エリア81bの記憶容量を超える画像データを一時的に記憶させる必要が生じた場合には、表示装置46における円滑な画像の表示を阻害しない範囲で、常用エリア81aの全部又は一部のデータが一時的に消去される構成としてもよい。この場合、常用エリア81aへの画像データの復帰が、対応する画像の描画タイミングまでに行われている必要がある。
変更用エリア81bには、演出用キャラクタなどの演出スプライトデータや動画像データが書き込まれる。また、変更用エリア81bには、所定の演出を実行している途中で次の演出に必要な画像データが転送されることがあるが、当該転送は実行途中の演出において必要な画像データを消去しないようにして行われる。上記のように変更用エリア81bが設けられていることにより、展開用バッファ81の記憶容量がメモリモジュール74の記憶容量よりも小さく抑えられた構成において、データ転送を良好に行うことができる。
ちなみに、VRAM75には主制御装置50のRAM54と異なり、バックアップ電力が供給されない。したがって、外部電源からスロットマシン10への電力供給が停止された場合やスロットマシン10の電源がOFF操作された場合には、VRAM75にそれまで記憶保持されていたデータは消去又は破壊される。
<表示CPU72における基本的な処理>
次に、表示CPU72における基本的な処理について説明する。
<メイン処理>
先ず、表示CPU72への動作電力の供給が開始された場合や、スロットマシン10のリセットが行われた場合に起動されるメイン処理について説明する。図12はメイン処理を示すフローチャートである。
メイン処理では、先ずステップS401にて、初期設定処理を実行する。初期設定処理では、図13のフローチャートに示すように、先ずステップS501にて、メモリモジュール74に対してブートデータの転送要求を行う。つまり、表示CPU72のアドレスマップにおいて最初に参照されるエリアにはブート用メモリ119を示すアドレスが書き込まれており、その情報に基づきメモリモジュール74に対してアドレス指定コマンドを送信する。
その後、ステップS502にて、ブートデータの読み出しが完了したか否かを判定し、読み出しが完了するまで当該判定処理を繰り返す。ブートデータの読み出しが完了した場合には、ステップS503にて初期化処理を実行する。当該初期化処理としては、表示CPU72のレジスタ、VDP76のレジスタ92、ワークRAM73及びVRAM75の初期化を実行する。
続くステップS504にて、初期設定用の後半部分のデータの転送を要求する。つまり、初期設定用のプログラムデータは、その前半部分を構成する初期起動用のデータと、それに連続する後半部分のデータとから構成されており、ブートデータには初期起動用のデータが設定されている。そして、その初期起動用のデータにおいて後半部分のデータの読み出し命令が設定されている。このように初期設定用のプログラムデータにおいて最初から途中までのデータのみをブートデータとしてブート用メモリ119に予め記憶させておくことで、ブート用メモリ119に記憶させるべきデータの容量を抑えることができ、それに伴って、ブート用メモリ119の記憶容量を抑えることができる。
ちなみに、初期設定用のプログラムデータの全体をブートデータと見なせば、ブート用メモリ119に予め記憶されているデータをイニシャルプログラムデータと見なすことができるとともに、上記後半部分のデータをセカンドプログラムデータと見なすことができる。
続くステップS505では、スケーラ97の初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM75の各フレーム領域82a,82bに作成される描画データに基づいて画像信号が出力される場合に、その画像信号が液晶表示部46aのドット数に対応させて出力されるように、VDP76に対して解像度初期調整用コマンド(解像度初期調整用情報)を送信する。この初期調整値は、スロットマシン10の設計段階において調整されており、その調整結果が解像度初期調整用コマンドとしてブートデータに含まれている。
VDP76に解像度初期調整用コマンドが送信されることで、VDP76のレジスタ92におけるスケーラ97の解像度調整用のエリアに初期調整値に対応した数値情報が格納される。これにより、VDP76から表示装置46に画像信号が出力される場合、描画データに対応した画像信号が液晶表示部46aのドット数に調整された状態で出力される。
続くステップS506では、ワークRAM73の変更用エリア73bへの後半部分のデータの転送が完了しているか否かを判定し、転送が完了するまで当該判定処理を繰り返す。なお、当該ステップS506における待機時間が極力短くなるように、又は実質的に生じないように、後半部分のデータの転送指示タイミング及びデータ容量が設定されている。後半部分のデータの転送が完了した場合には、ステップS507に進む。
ちなみに、ステップS501〜ステップS506までの処理が、ブート用メモリ119に予め記憶されたブートデータに基づき実行され、ステップS507〜ステップS514までの処理が、後半部分のデータに基づき実行される。
ステップS507では、メモリモジュール74に対して初期画像データの転送要求を行う。ここで、初期画像データとは、システムテストに関する画像を表示装置46に表示するための最小限の画像データのことであり、表示画面Gにおいて所定の背景画像の手前で図柄の変動表示を行うために必要な画像データや、デモ画像を表示するために必要な画像データよりもデータ容量が小さく設定されている。
また、システムテストに関する画像とは、表示装置46が正常であることをスロットマシン10の製造工場や遊技ホールにおいて確認するための画像のことをいい、例えば表示画面Gの全面において赤一色の画像が表示される。但し、これに限定されることはなく、複数の色が区分けされて表示される画像としてもよく、スロットマシン10のメーカ名や機種名が表示される画像としてもよい。メモリモジュール74では、初期画像データに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、VRAM75の展開用バッファ81における変更用エリア81bへの初期画像データの転送を開始する。
続くステップS508では、地色の初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM75の各フレーム領域82a,82bの単位エリアに初期値として設定される数値情報が初期数値情報となるように、VDPに対して地色初期調整用コマンド(地色初期調整用情報)を送信する。この初期数値情報は、スロットマシン10の設計段階において調整されており、その調整結果が地色初期調整用コマンドとして後半部分のデータに含まれている。
VDP76は地色初期調整用コマンドが送信されることで、VDP76のレジスタ92における地色調整用のエリアに初期数値情報が格納される。これにより、描画データが作成される場合に初期数値情報からの更新が行われなかった単位エリアに対応したドットでは、地色が表示されることとなる。なお、初期の地色として本スロットマシン10では黒色が設定されているが、これに限定されることはなく任意である。
続くステップS509では、初期画像データのVRAM75への転送が完了したか否かを判定し、転送が完了するまで当該判定処理を繰り返す。なお、当該ステップS509における待機時間が極力短くなるように、又は実質的に生じないように、初期画像データの転送指示タイミング及びデータ容量が設定されている。初期画像データの転送が完了した場合には、ステップS510に進む。
ステップS510では、メモリモジュール74に対して常用プログラムデータの転送要求を行う。この常用プログラムデータには、既に説明したとおり、メイン処理におけるステップS401以降の処理及び各種割込み処理を進行させるのに必要なプログラムデータが含まれている。メモリモジュール74では、常用プログラムデータに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、ワークRAM73の常用エリア73aへの常用プログラムデータの転送を開始する。
続くステップS511では、初期画像用のタスク処理を実行する。当該タスク処理では、初期画像の表示をVDP76に指示するために必要な各種パラメータを把握する処理を実行する。各種パラメータとして具体的には、VRAM75において初期画像データが転送されているエリアのアドレス情報、初期画像データを用いて描画データを作成すべき対象のフレーム領域82a,82bの情報、作成対象のフレーム領域82a,82bにおいて初期画像データを書き込む際の座標の情報、当該初期画像データを書き込む際のスケールの情報、及び当該初期画像データを書き込む際の一律α値(半透明値)の情報が含まれている。
続くステップS512では、上記ステップS511におけるタスク処理の処理結果に対応した情報を含む描画指示情報として描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP76に送信する。VDP76では、描画リストに従って初期画像に対応した描画データを、作成対象のフレーム領域82a,82bに作成し、さらにその作成した描画データに基づいて表示装置46に画像信号を出力する。これにより、表示装置46の表示画面Gでは、初期画像の表示が開始される。当該初期画像の表示は、表示CPU72から新たに描画リストが送信されて、VDP76による画像更新が行われるまで継続される。このように初期画像の表示が行われることで、遊技用の画像の表示が開始されるまで表示画面Gにおいていずれの画像も表示されない構成に比べ、表示画面Gにおける画像の表示を早いタイミングで開始することができる。
続くステップS513では、常用プログラムデータのワークRAM73への転送が完了したか否かを判定し、転送が完了するまで当該判定処理を繰り返す。なお、当該ステップS513における待機時間が極力短くなるように、又は実質的に生じないように、常用プログラムデータの転送指示タイミング及びデータ容量が設定されている。常用プログラムデータの転送が完了した場合には、ステップS514に進む。
ステップS514では、メモリモジュール74に対して常用画像データの転送要求を行う。その後、本初期設定処理を終了する。常用画像データには、既に説明したとおり表示装置46において図柄の変動表示を開始させる場合に使用される背景データ及び図柄スプライトデータが含まれている。また、予め定められた不正や異常を検知した際に異常報知画像を表示させる場合に使用される異常報知データが含まれている。メモリモジュール74では、常用画像データに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、展開用バッファ81の常用エリア81aへの常用画像データの転送を開始する。
ここで、上記のように初期設定処理が実行されることにより、表示CPU72においてメイン処理が起動された場合には、(1)ブートデータ及び後半部分のデータからなる立ち上げ用のプログラムデータ、(2)初期画像データ、(3)常用プログラムデータ及び(4)常用画像データがメモリモジュール74から転送される。この場合、(1)→(2)→(3)→(4)の順序でデータが転送される。また、ステップS502,ステップS506,ステップS509及びステップS513の処理が実行されることで、各データの転送タイミングが重複しないようになっている。よって、上記各データの転送を良好に行うことができる。
メイン処理(図12)の説明に戻り、ステップS401にて初期設定処理を実行した後は、ステップS402にて、各種割込みを許可する。これにより、表示CPU72においてコマンド割込み処理及びV割込み処理を実行することが許容される。その後、メイン処理では、ステップS402の処理を繰り返す。
<コマンド割込み処理>
次に、コマンド割込み処理について説明する。
コマンド割込み処理は、音声発光制御装置66からストローブ信号を受信した場合に、その時点で実行されている処理が何であったとしても最優先で起動される処理である。コマンド割込み処理では、入力ポート77にて受信しているコマンドを、ワークRAM73の変更用エリア73bに設けられたコマンドバッファに転送し、さらにコマンドを新たに受信したことを示すフラグを対応するエリアにセットする。その後、コマンド割込み処理を終了し、当該コマンド割込み処理の起動前の処理に復帰する。
<V割込み処理>
次に、V割込み処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。V割込み処理は、予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動される。
なお、VDP76は表示装置46に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示画面Gの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示画面Gの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP76は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、表示CPU72へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを表示CPU72に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
V割込み処理では、先ずステップS601にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM73のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS602では、ステップS601の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS603にて、コマンド対応処理を実行する。
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルを把握する。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を表示装置46の表示画面Gに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
ここで、表示CPU72が音声発光制御装置66から受信するコマンドとしては、既に説明したとおり、変動パターンコマンド、図柄指定コマンド及び予告コマンドがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を表示装置46にて実行するために必要なデータテーブルを把握する。
また、上記受信するコマンドとしては切換用コマンドがあり、当該切換用コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出における実行対象の期間を、その切換用コマンドに対応した期間とするように、遊技回用演出のために既に取得されているデータテーブルにおいて参照すべき部分を切り換える。また、上記受信するコマンドとしては、ボーナスゲーム状態用の各種コマンドがあり、当該コマンドの受信によりボーナスゲーム状態の開始を認識した場合には、ボーナスゲーム状態の開始時用のデータテーブルを選択するとともに、その後においては、ボーナスゲーム状態の終了を認識するまで、遊技回用演出のためのデータテーブルとしてボーナスゲーム状態に対応したデータテーブルを選択することとなる。
また、上記受信するコマンドとしては、デモ表示用のコマンドがあり、当該コマンドを受信した場合にはデモ表示を実行するために必要なデータテーブルを把握する。さらに必要であると把握されたデータテーブルに基づき処理を実行する場合に必要な他のプログラムデータも把握する。
遊技回用演出を実行するために必要なデータテーブルのうち当該遊技回用演出を開始させるのに必要なデータテーブルは常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。また、デモ表示を実行するために必要なデータテーブルも、常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。さらにそれらデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータも常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。
ステップS603にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS604にて、プログラムデータの事前転送が必要であるか否かを判定する。ここで必要であると判定されるデータは、ステップS603において必要であると判定されたデータテーブルのうち常用プログラムデータに含まれていないデータテーブルと、そのデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータである。
プログラムデータの事前転送が必要である場合には、ステップS605にて、メモリモジュール74に対してその必要なプログラムデータの転送要求を行う。メモリモジュール74では、当該プログラムデータに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、ワークRAM73の変更用エリア73bへのプログラムデータの転送を開始する。
つまり、表示CPU72ではコマンドを新たに受信した場合、そのコマンドを解析したタイミングで新たなプログラムデータの転送が必要か否かを判定し、必要であればプログラムデータの転送要求を行う。これにより、極力早いタイミングでプログラムデータの事前転送を開始することができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象のプログラムデータが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、コマンドに対応した処理を実行する上で最初のタイミングの処理を含むデータテーブルやプログラムデータは、常用プログラムデータとして初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した処理が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
ステップS602にて否定判定をした場合、ステップS604にて否定判定をした場合又はステップS605の処理を実行した後は、ステップS606に進む。ステップS606では、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU72において把握することが可能となる。
続くステップS607では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP76に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。当該タスク処理の詳細については後に説明する。
続くステップS608では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP76に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP76では、この描画リストに従ってVRAM75のフレーム領域82a,82bに描画データを作成する。このVDP76における処理については後に詳細に説明する。
続くステップS609では、プログラムデータの転送中であるか否かを判定する。プログラムデータの転送中である場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。一方、プログラムデータの転送中でない場合には、ステップS610にて、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングとして設定されている情報を参照することで、画像データの転送が必要か否かを判定する。
各種画像データのうち、常用プログラムデータに基づく描画指示に際して使用される画像データは、常用画像データとして設定されている。つまり、常用画像データとして、遊技回用演出を開始させるのに必要な画像データ、及びデモ表示を実行するために必要な画像データが設定されている。これら画像データの転送要求は、初期設定処理(図13)においてメモリモジュール74に対して既になされており、表示CPU72においてコマンドを受信する状況となった場合にはその転送が完了している。
なお、当該構成に限定されることはなく、常用画像データの転送が完了するまでは、少なくともステップS606以降の処理が実行されない構成としてもよい。この場合、表示CPU72においてメイン処理(図12)が起動して表示装置46にて初期画像が表示されてからは、常用画像データの転送が完了するまでその初期画像の表示が継続されることとなる。また、初期画像データの転送に際して、図柄の変動表示を行うために必要な画像データの総データ容量よりも小さいデータ容量の簡易図柄データも同時に転送する構成とし、常用画像データ群の転送が完了していない状況で、変動パターンコマンドを受信した場合には、簡易図柄による変動表示を行う構成としてもよい。
ステップS610にて転送が必要であると判定される画像データは、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングで必要となる画像データであって、常用画像データに含まれていない画像データである。画像データの転送が必要でない場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。画像データの転送が必要である場合には、ステップS611にて、メモリモジュール74に対してその必要な画像データの転送要求を行った後に、本V割込み処理を終了する。メモリモジュール74では、当該画像データに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、展開用バッファ81の変更用エリア81bへの画像データの転送を開始する。
つまり、表示CPU72では現状設定されているデータテーブルを参照して、新たな画像データの転送が必要か否かを判定し、必要であれば画像データの転送要求を行い、VDP76において描画データを作成する上で必要となるタイミングとなるまでに画像データが事前転送されているようにする。これにより、VDP76において描画データの作成を円滑に行うことができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象の画像データが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、常用画像データが初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した画像の表示が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
ここで、ステップS609の処理が実行されることにより、画像データの転送よりもプログラムデータの転送が優先されることとなる。また、このようにプログラムデータの転送が優先されたとしても、データテーブルを参照して画像データの転送の必要性が判定される構成であるため、ステップS609にて一旦転送が回避されたとしても、その後のV割込み処理にて転送の必要性が判定されて転送要求が実行される。これにより、プログラムデータと画像データとの転送タイミングが重複しないようにすることができるとともに、プログラムデータの転送を優先することができる。
<VDP76における基本的な処理>
次に、VDP76にて実行される基本的な処理について説明する。
VDP76では、表示CPU72から送信されたコマンドに基づいてレジスタ92の値を設定する処理、表示CPU72から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ82のフレーム領域82a,82bに描画データを作成する処理、及びフレーム領域82a,82bに作成された描画データに基づいて表示装置46に画像信号を出力する処理が実行される。
上記各処理のうち、レジスタ92の値を設定する処理は、表示CPU72用のI/F95に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、予め定められた周期(例えば、1msec)で制御部91によって繰り返し起動される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路94によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU72からVDP76に送信される描画リストの内容について説明する。図15(a)〜(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域82a及び第2フレーム領域82bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データが転送されているアドレスの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、1フレーム分の画像を表示するために用いられる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させて使用する画像データの情報が設定されている。また、各画像データの情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
上記描画順序は、1フレーム分の画像において表示画面G奥側に位置するように表示させたい個別画像から先に描画対象となるように設定されている。なお、個別画像とは、背景データといった静止画像データにより規定される一の静止画像や、図柄スプライトデータといったスプライトデータにより規定される一のスプライトのことである。図15(a)の描画リストでは、背景データが最初の描画対象として設定されているとともに、スプライトデータAが2番目、スプライトデータBが3番目、・・・として設定されている。したがって、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、最初に背景データが書き込まれ、その後に当該背景データに重なるようにしてスプライトデータAが書き込まれ、さらにスプライトデータBが書き込まれる。なお、1フレーム分の画像においては、背景画像→演出画像→図柄の順序で手前側となるように、各個別画像が表示される。
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背景データのパラメータP(1)について具体的には、図15(b)に示すように、VRAM75において背景データが転送されているエリアのアドレスの情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の位置を示す座標の情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の回転角度を示す回転角度の情報と、背景データの初期状態として設定されているサイズに対して、フレーム領域82a,82bに書き込む際の倍率を示すスケールの情報と、背景データを書き込む場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報とが設定されている。上記パラメータの種類は、図15(c)に示すように、スプライトデータAについても同様である。
ここで、座標の情報は、画像データを構成する全ピクセルについて個別に設定されるのではなく、一の画像データに対して一の座標の情報が設定される。具体的には、座標の情報が指定される基準ピクセルとして画像データの中心の1ピクセルが設定されている。VDP76では、指定される座標の情報が画像データの中心の1ピクセルであることを認識可能となっており、画像データの配置に際してはその中心の1ピクセルが指定された座標上となるようにする。これにより、表示CPU72において一の画像データに対して指定すべき座標の情報の情報容量を抑えることができる。また、表示CPU72やVDP76において画像データの全ピクセルについて座標を認識可能としておく必要がないため、プログラムの簡素化も図られる。
ちなみに、上記基準ピクセルは中心の1ピクセルに限定されることはなく、例えば左上や右上といった隅角のピクセルであってもよい。スプライトデータや静止画像データは基本的に矩形状として規定されているため、隅角のピクセルを基準ピクセルとすることで、表示CPU72やVDP76において基準ピクセルの認識を行い易くなる。
また、一律α値とは、一の画像データの全ドットに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU72における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、背景データやスプライトデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリ102に予め記憶されている。当該αデータは、同一の背景データ又は同一のスプライトデータの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、背景データやスプライトデータの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
VDP76における描画処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS701では、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成が完了しているか否かを判定する。描画データの作成が完了している場合には、ステップS702にて、表示CPU72から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS703にて、受信時の対応処理を実行する。
受信時の対応処理では、描画リストに含まれるターゲットバッファの情報から、今回受信した描画リストに対応した1フレーム分の画像をいずれのフレーム領域82a,82bに作成するかを把握して、その把握したフレーム領域を描画データの作成対象として設定する。また、デコード指定の有無を把握し、デコード指定がある場合にはデコード対象の動画像データが転送されているアドレスを把握し、その動画像データに対してデコードを行うように動画デコーダを動作させる。このデコードの詳細については、後に説明する。
続くステップS704では、内容把握処理を実行する。内容把握処理では、描画リストにおいて描画対象として最初に設定されている画像データの種類を把握するとともに、当該画像データの各種パラメータを把握する。また、スプライトデータの場合には、ビットマップ画像の各ドットに対して色パレットデータを適用する。続くステップS705では、書き込み処理を実行する。書き込み処理では、ステップS704における内容把握処理の把握結果に基づいて、作成対象として設定されているフレーム領域82a,82bに今回の描画対象の画像データを書き込む。
一方、ステップS701にて、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成途中であると判定した場合には、ステップS706にて描画リストのカウンタの更新処理を実行する。これにより、描画対象が次の描画順序の画像データに切り換えられる。そして、当該切り換えられた画像データについて、上記ステップS704及びステップS705の処理を実行する。つまり、描画処理が複数回実行されることで、一の描画リストにより指示された1フレーム分の画像の描画データが作成される。
なお、1回の描画処理で1個の画像データのみが処理される構成に限定されることはなく、1回の描画処理で複数個の画像データが処理される構成としてもよく、また描画処理の各処理回において同一個数の画像データが処理される構成に限定されることはなく、描画処理の各処理回において異なる個数の画像データが処理される構成としてもよい。
ステップS702にて否定判定した場合、又はステップS705の処理を実行した後は、ステップS707にて、表示回路94において1フレーム分の画像信号出力が完了しているか否かを判定する。完了していない場合にはそのまま本描画処理を終了し、完了している場合には表示CPU72にV割込み信号を出力した後に、本描画処理を終了する。
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路94から表示装置46に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。なお、表示回路94は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域82a,82bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、制御部91において描画データの描画対象となっているフレーム領域82a,82bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
<表示CPU72におけるタスク処理>
次に、表示CPU72において実行されるタスク処理について説明する。
タスク処理は、既に説明したとおり、表示CPU72のV割込み処理(図14)において、描画リストを作成する上で必要な情報を把握するために実行される。この場合、当該タスク処理では、1フレーム分の画像の範囲内に含まれる個別画像だけでなく、1フレーム分の画像の範囲内に含まれない個別画像についても制御対象とする。
図17を参照して、表示CPU72において演算対象となる仮想2次元平面PL1の範囲について説明する。なお、図17において、一点鎖線で区画した範囲が仮想2次元平面PL1であり、二点鎖線で区画した範囲が各フレーム領域82a,82bにおいて規定される1フレーム分の描画範囲PL2である。
図17に示すように、仮想2次元平面PL1及び1フレーム分の描画範囲PL2は共に、矩形状、具体的には横長の長方形状となるように規定されている。また、仮想2次元平面PL1は、1フレーム分の描画範囲PL2よりも規定する仮想面積が広くなるように規定されており、その範囲は1フレーム分の描画範囲PL2の全体を含む広さに規定されている。この広さは、1フレーム分の描画範囲PL2を縦方向及び横方向の両方に複数並べることが可能な広さに設定されている。
表示CPU72では、上記仮想2次元平面PL1を演算対象の範囲として個別画像の演算を行うが、その演算に際しての位置の基準として基準座標が設定されている。基準座標は、仮想2次元平面PL1に含まれるドットのうち、一のドットとして定められていれば任意であるが、本スロットマシン10では、1フレーム分の描画範囲PL2が初期設定位置に配置されている状態における当該描画範囲PL2の左上隅角部分のドットとして定められている。なお、初期設定位置は、1フレーム分の描画範囲PL2が仮想2次元平面PL1の中央に配置されている位置である。
上記のように仮想2次元平面PL1が設定されていることにより、表示CPU72では、1フレーム分の画像に含まれないが、その後の更新タイミングにおいて1フレーム分の画像に含まれることとなる個別画像について事前に演算を開始することが可能となる。また、本スロットマシン10では、上記仮想2次元平面PL1を利用することで、遊技者による演出用操作装置43の操作に基づき視点が切り換わるような演出を実行することが可能となっている。つまり、1フレーム分の描画範囲PL2の位置を、演出用操作装置43の操作に基づき、仮想2次元平面PL1内において上記初期設定位置から変位させることが可能となっている。この演出を行うための演算は、表示CPU72のタスク処理にて実行される。
以下、タスク処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS801では、視点切換可能期間であるか否かを判定する。視点切換可能期間としては、例えば、表示装置46において図柄の変動表示が開始されてから最初の図柄列Z1又はその次の図柄列Z2において図柄の変動表示が停止されるまでの期間として設定されていてもよく、表示装置46において予告表示が行われている期間として設定されていてもよく、表示装置46においてリーチ表示が行われている期間として設定されていてもよく、表示装置46において特定のリーチ演出が行われている期間として設定されていてもよく、表示装置46において大当たり演出が行われている期間として設定されていてもよい。また、視点切換可能期間であるか否かの情報は、データテーブルに設定されている。
視点切換可能期間である場合には、ステップS802にて視点切換状態であるか否かを判定する。視点切換状態とは、1フレーム分の描画範囲PL2が初期設定位置とは異なる位置に設定されている状態のことをいい、視点切換が行われた際にワークRAM73に視点切換フラグがセットされることで視点切換状態となり、描画範囲PL2が初期設定位置に復帰した際にそのフラグが消去されることで視点切換状態が解除される。
視点切換状態でない場合には、ステップS803にて、視点切換指示が有るか否かを判定する。視点切換指示の有無は、音声発光制御装置66から操作発生コマンドを受信しているか否かを判定することにより行われる。
ここで、操作発生コマンドは既に説明したとおり演出用操作装置43が操作されたことに基づき送信されるものであり、さらには視点切換が可能な位置が複数設定されていることに対応させて、操作発生コマンドには切換対象の位置の情報が含まれている。この操作発生コマンドの受信の有無はV割込み処理(図14)のステップS602にて判定されており、操作発生コマンドを受信している場合にはステップS603にて、操作発生コマンドを受信したことを示すフラグがワークRAM73にセットされるとともに、操作発生コマンドの種類に対応した情報がワークRAM73にセットされる。
視点切換指示が有る場合には、ステップS804にて、描画範囲PL2の座標変更処理を実行する。当該座標変更処理では、今回の切換指示に対応した操作発生コマンドに含まれる情報がいずれの座標への変更を指示した情報であるかを判定し、その指示に対応した座標に描画範囲PL2が移動するように描画範囲PL2の座標の情報を更新する。また、当該座標変更処理において視点切換状態に設定する。
一方、既に視点切換状態である場合(ステップS802:NO)には、ステップS805にて、解除条件が成立しているか否かを判定する。この解除条件の成立の有無は、音声発光制御装置66から操作解除コマンドを受信しているか否かを判定することにより行われる。なお、操作解除コマンドの受信の有無を判定するための具体的な処理構成は、操作発生コマンドの場合と同様である。
解除条件が成立している場合には、ステップS806にて、描画範囲の復帰処理を実行する。当該復帰処理では、初期設定位置に描画範囲PL2が復帰するように、描画範囲PL2の座標の情報を更新する。また、当該復帰処理において視点切換状態を解除する。なお、視点切換可能期間ではないと判定した場合(ステップS801:NO)にも、ステップS806の処理を実行する。
ステップS803にて否定判定をした場合、ステップS804の処理を実行した後、ステップS805にて否定判定をした場合、又はステップS806の処理を実行した後は、ステップS807に進む。ステップS807では、制御開始対象の個別画像が存在しているか否かを判定する。制御開始対象の個別画像は、現状設定されているデータテーブルに示されており、さらには視点切換期間においては複数種類の描画範囲PL2の位置に対応付けて設定されている。また、制御開始対象の個別画像としては、仮想2次元平面PL1上に配置され得る全ての個別画像ではなく、現状設定されている描画範囲PL2及び当該描画範囲PL2から上下左右にそれぞれ規定ドット数分外側の範囲に含まれる個別画像であって未だ制御対象として設定されていない個別画像が抽出される。
制御開始対象の個別画像が存在している場合には、ステップS808にて、制御開始対象の個別画像が複数存在しているか否かを判定する。複数存在していない場合には、その単一の個別画像を制御開始対象として把握し、ステップS809〜ステップS811の処理を実行することなくステップS812に進む。
複数存在している場合(ステップS808:YES)には、ステップS809にて、少なくとも一部が現状設定されている描画範囲PL2内に含まれている制御開始対象の個別画像が存在しているか否かを判定する。つまり、表示CPU72において上記のように仮想2次元平面PL1が設定されており、現状設定されている描画範囲PL2外の個別画像についても制御対象とすることができる構成においては、制御開始対象の個別画像として、描画範囲PL2内のものだけでなく、描画範囲PL2外のものも含まれるため、ステップS809にて、いずれに該当しているのかの判定を行う。ちなみに、制御開始対象に含まれる個別画像の制御開始位置の座標は、現状設定されているデータテーブルにおいて設定されており、この制御開始位置の座標と、描画範囲PL2の現状設定されている座標とを参照することで、制御開始対象に含まれる個別画像の描画範囲PL2に対する相対位置が把握される。
少なくとも一部が描画範囲PL2内に含まれている制御開始対象の個別画像が存在している場合には、ステップS810にて、その個別画像を今回の制御開始対象として把握する。この場合、描画範囲PL2内に制御開始対象の個別画像が複数含まれている場合には、それら全てを制御開始対象として把握する。但し、当該構成に限定されることはなく、タスク処理の1処理回で描画範囲PL2内に制御開始対象となる個別画像が複数存在する状況が発生しないように、その個別画像が描画範囲PL2外に存在している状況であって処理負荷の低い処理回において制御開始対象として設定される構成としてもよい。
一方、描画範囲PL2内に制御開始対象の個別画像が含まれていない場合には、描画範囲PL2外に複数の制御開始対象が存在していることとなる。この場合、ステップS811にて、描画範囲PL2外の個別画像のうち、現状設定されている描画範囲PL2に近い側の個別画像を制御開始対象として把握する。
ちなみに、ステップS810やステップS811の処理の結果、制御開始タイミングが後回しにされた個別画像については、次回以降の処理回で制御開始対象として把握される。この場合、画像の更新タイミング毎に所定方向に移動しているかのように表示される個別画像が後回しとなった場合、制御開始位置を含めたその個別画像の制御開始時パラメータが1更新タイミング分進んだ状態となるようにデータテーブル上で更新される。これにより、制御開始タイミングが後回しにされたとしても、その個別画像は予め定められたタイミングで予め定められた位置及び状態で表示されることとなる。
ステップS808にて否定判定をした場合、又はステップS810若しくはステップS811のいずれかの処理を実行した後は、ステップS812〜ステップS814の制御開始処理を実行する。制御開始処理では、先ずステップS812にて、ワークRAM73において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。
続くステップS813では、ステップS812にて確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行する。続くステップS814では、ステップS813にて初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。この制御開始用のパラメータとしては、対象となる個別画像の仮想2次元平面PL1上における位置、回転角度及びサイズが含まれている。なお、制御開始対象として把握された個別画像が複数存在する場合には、各個別画像に対応した各空きバッファ領域に対して個別に制御開始用のパラメータが設定される。
ステップS807に否定判定をした場合又はステップS814の処理を実行した後は、ステップS815〜ステップS818の制御更新処理を実行する。当該制御更新処理では、先ずステップS815にて、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の静止画像や、背景用スプライトのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、仮想2次元平面PL1上における座標、回転角度、スケール、一律α値及びαデータ指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM73において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS816では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる演出の画像を構成する演出スプライトのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM73において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS817では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄のうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM73において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
ちなみに、ステップS815〜ステップS817の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に、特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、個別画像の種類に応じて定められている。また、アニメーション用データは、NAND型フラッシュメモリ102に予め記憶されており、表示CPU72において読み出す必要があるタイミングとなるまでにワークRAM73に事前転送される。
その後、ステップS818にて描画指示対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。描画指示対象の把握処理では、上記ステップS815〜ステップS817の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画データの作成指示に係る1フレーム分の画像に含まれる個別画像を把握する処理を実行する。
当該把握は、現状設定されている描画範囲PL2の情報と、各種個別画像の座標、回転角度及びスケールの情報とを参照して予め定められた演算を実行することで行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。このように描画リストにて指定する個別画像を、制御開始済みの全ての個別画像とするのではなく、表示対象の個別画像のみとすることで、VDP76において表示対象の個別画像を選別する必要がなく、また選別しないとしても表示対象ではない個別画像について無駄に描画処理を行う必要がなくなる。これにより、VDP76の処理負荷の軽減が図られる。
以上のとおり、制御開始対象となった個別画像については、ステップS812の「空きバッファ領域の検索」、ステップS813の「確保したバッファ領域の初期化」、ステップS814の「制御開始用のパラメータの設定」及びステップS815〜ステップS817のいずれかの「各種パラメータの更新手続」が実行されるのに対して、制御更新対象のみの個別画像については、ステップS815〜ステップS817のいずれかの「各種パラメータの更新手続」のみが実行される。したがって、制御開始対象となった個別画像の方が、制御更新対象のみの個別画像に比べて、処理負荷が大きくなる。なお、ステップS814の処理は実行されずに、制御開始対象となった個別画像についてはそれに代わる処理がステップS815〜ステップS817のいずれかにて実行される構成としてもよい。
ここで、既に説明したとおり、20msec周期で画像の更新を行う必要があり、この画像の更新はタスク処理の処理結果に基づき作成される描画リストがVDP76に送信されることで行われる。そうすると、タスク処理は、20msecに対して、描画リストを作成してVDP76にて受信されるまでに要する期間、描画リストに基づいて1フレーム分の画像に対応した描画データを作成するのに要する期間を差し引いた期間よりも短い期間で完了する必要がある。このような事情において、上記のとおり制御開始用の処理は制御更新用の処理に比べて処理負荷が大きいため、制御開始対象となる個別画像が1処理回において多数存在すると、タスク処理の完了が間に合わず、処理落ちが発生してしまう可能性がある。これに対して、ステップS808〜ステップS811の処理が実行され、制御開始対象となる個別画像が1処理回において多数存在しないように制御開始タイミングが分散されているため、上記のような処理落ちが発生しないようになっている。
なお、詳細な説明は省略するが、一旦制御対象となった個別画像は、仮想2次元平面PL1から外れた位置となるといったように、所定数のフレームの範囲内で表示されることがない状況となった場合に制御対象から除外される。当該個別画像についての制御を再度行う必要が生じた場合には、制御開始用の処理が再度実行される。
次に、上記タスク処理にて、各個別画像が制御対象となる様子について、図19を用いて説明する。図19(a),(b)は、各個別画像が制御対象となる様子を説明するための説明図であり、図19(a)は視点切換が行われない場合を示し、図19(b)は視点切換が行われる場合を示す。
視点切換が行われない場合には、図19(a)に示すように、描画範囲PL2が固定される。この場合、描画範囲PL2に含まれる個別画像PC1〜PC3については、図19(a)に示すタイミングよりも前のタイミングにおいて制御開始対象となっているため、制御更新処理のみが実行される。
一方、描画範囲PL2外ではあるが制御対象範囲PL3に含まれている個別画像PC4及び個別画像PC5については未だ制御対象となっていないため、これら個別画像PC4及び個別画像PC5は制御開始対象に含まれることとなる。但し、両個別画像PC4,PC5に対して制御開始処理を実行すると処理負荷が大きくなってしまう場合には、描画範囲PL2に近い個別画像PC4に対して制御開始処理が優先して実行され、個別画像PC5への制御開始処理は次回のタスク処理にて行われる。また、仮想2次元平面PL1に含まれるが、制御対象範囲PL3外の個別画像PC6及び個別画像PC7は、制御開始対象に含まれず、制御開始処理は実行されない。
制御開始対象として描画範囲PL2外の個別対象が複数存在している場合には、描画範囲PL2に近い側から優先して制御開始処理が実行される。これにより、制御開始タイミングを分散させた構成において、描画範囲PL2に少なくとも一部が含まれることとなったタイミングで制御開始処理を実行することとなる頻度が低減される。
視点切換が行われる場合には、図19(b)に示すように、前回のタスク処理では描画範囲PL2が二点鎖線にて区画した第1の位置であったのに対して、今回のタスク処理にて描画範囲PL2が実線にて区画した第2の位置へ変位される。この場合、第2の位置にある描画範囲PL2はその一部が、第1の位置にある描画範囲PL2に含まれており、それに伴って、個別画像PC8は前回のタスク処理の時点で第1の位置にある描画範囲PL2に少なくとも一部が含まれていたため既に制御対象となっている。したがって、今回のタスク処理では、個別画像PC8に対して制御開始処理を実行する必要がない。
一方、個別画像PC9及び個別画像PC10については、第2の位置に変位した描画範囲PL2に新たに含まれているため、これら個別画像PC9及び個別画像PC10の両方に対して優先して制御開始処理が実行されて制御対象とされる。この場合、第2の位置の描画範囲PL2に対する制御対象範囲に個別画像PC11が新たに含まれているが、上記各個別画像PC9,PC10に対して優先して制御開始処理が実行されているため、今回は制御開始対象から除外されている。
制御開始タイミングが分散された構成であっても、描画範囲PL2に含まれる、すなわち1フレーム分の画像に含まれる個別画像に対して制御開始処理を実行する必要がある場合、当該制御開始処理は優先して実行され、後回しにされることはない。これにより、1フレーム分の画像に本来含まれるはずの個別画像が含まれないといった不都合が発生しないようになっている。
特に、遊技者により演出用操作装置43が操作された場合に視点が切り換わるような演出が実行される構成においては、それまで制御対象となっていなかった個別画像が突然制御対象となることが起こり得る。これに対して、上記のように1フレーム分の画像に含まれる個別画像に対して優先して制御開始処理が実行されるため、上記のような不都合を生じさせることなく、視点切換の演出を良好に実行することができる。
なお、上記のように制御開始タイミングが分散された構成を、仮想2次元平面PL1に含まれる全ての個別画像が表示CPU72において制御開始対象となる構成に適用してもよい。この場合、制御開始対象として描画範囲に含まれる個別画像が最も優先されるとともに描画範囲に近い側が次に優先されるようにしながら、全範囲についての個別画像を制御開始対象として設定していくことで、制御開始タイミングの分散を良好に行いながら、上記構成よりも広範囲の個別画像に対して事前に制御を開始しておくことが可能となる。
但し、本構成においては、表示CPU72における制御更新対象の個別画像が上記構成よりも増加することとなるため、各処理回における制御更新用の処理の処理負荷が増加してしまう。かかる制御更新用の処理の処理負荷を低減する上では、上記構成のように仮想2次元平面PL1の一部の範囲が制御開始対象として設定される構成とすることが好ましい。
また、描画範囲の切換先が予め決まっている構成としてもよい。本構成においては、当該切換が可能となる期間となった場合又はそれよりも前のタイミングで、切換先の描画範囲に含まれることとなる個別画像の制御開始処理を事前に行うようにするとよい。これにより、描画範囲が任意のタイミングで切り換えられたとしても、それに対処することができる。
また、上記のように制御開始タイミングが分散された構成を、描画範囲の切換が行われない構成に適用してもよい。この場合、制御開始対象の有無を、固定された描画範囲を基準に行えばよいため、当該確認を行うための処理構成の簡素化が図られる。本構成において、表示画面Gへの表示対象となったタイミングで制御開始対象となる個別画像としては、例えば表示画面Gの奥行き方向に移動するように表示される個別画像が考えられる。
また、上記のように制御開始タイミングが分散された構成を、演出用操作装置43の操作などに基づき背景画像や図柄などの表示態様が変更される構成に適用してもよい。この場合であっても、制御開始タイミングの分散を良好に行うことができる。
<スクロール背景画像を表示するための構成>
次に、スクロール背景画像を表示するための構成について説明する。
本スロットマシン10では、背景画像の一種としてスクロール背景画像が設定されている。スクロール背景画像とは、時間の経過とともに、所定方向、具体的には横方向にスクロールして移り変わるように表示される背景画像である。スクロール背景画像は、スクロール方向に複数フレーム分の背景画像を有するように設定されている。また、スクロール背景画像は、始点部分と終点部分とを有しているが、終点部分の画像に対して始点部分の画像が連続性を有するように設定されている。スクロール表示の結果、スクロール背景画像が終点部分に至る場合には、それに連続させて始点部分が表示される。つまり、スクロール背景画像は周回するように繰り返し表示されることとなる。
スクロール背景画像を表示するための画像データとして、スクロール用背景データPD1が設定されている。スクロール用背景データPD1について図20を用いて説明する。図20はスクロール用背景データPD1を説明するための説明図である。
スクロール用背景データPD1は静止画像データであり、図20(a)に示すように、縦方向のサイズが1フレーム分又はそれよりも大きく設定されているとともに、スクロール方向である横方向のサイズは、複数フレーム分となるように設定されている。スクロール用背景データPD1は、一の画像データとして設定されているのではなく、複数の分割パーツデータPD2〜PD10の集合体として設定されている。これら各分割パーツデータPD2〜PD10は、スクロール用背景データPD1をスクロール方向に分割するようにして設定されており、スクロール方向に並べることでスクロール用背景データPD1が構成される。
各分割パーツデータPD2〜PD10に設定されている画像の内容は相互に異なっている。但し、スクロール方向に隣接する分割パーツデータは、画像の内容がスクロール方向に連続性を有するように設定されている。
各分割パーツデータPD2〜PD10は、相互に縦方向及び横方向のサイズが同一となるように設定されている。この場合、横方向のサイズは1フレーム分よりも小さく設定されており、1フレーム分の背景画像を形成するには分割パーツデータPD2〜PD10の一部であって複数の分割パーツデータを並べて設定する必要がある。具体的には、初期設定のサイズで分割パーツデータを設定する場合において、2個又は3個の分割パーツデータを並べることで1フレーム分の背景画像を形成することが可能なように横方向のサイズが設定されている。なお、常に3個の分割パーツデータを並べることで、又は4個以上の分割パーツデータを並べることで、1フレーム分の背景画像が形成される構成としてもよく、1個の分割パーツデータにより背景画像を形成することが可能な構成としてもよい。
また、スクロール方向に隣接する分割パーツデータは、境界部分において相互に重なるように設定されている。スクロール方向に隣接する分割パーツデータPD5,PD6を例に挙げて説明する。
図20(b),(c)に示すように、スクロール先側の分割パーツデータPD5の終点部分においてスクロール方向に直交する方向(縦方向)の1ラインを構成する各ピクセルと、スクロール後側の分割パーツデータPD6の始点部分においてスクロール方向に直交する方向(縦方向)の1ラインを構成する各ピクセルとは、フレーム領域82a,82bへの描画に際してスクロール方向の座標が同一座標に設定される。また、各ラインには同一のデータが設定されている。両分割パーツデータPD5,PD6が描画された場合には、各ラインが重なり合うこととなる。つまり、スクロール方向に隣接する分割パーツデータPD5,PD6には境界部分に重なり領域PA1が設定されている。
重なり領域PA1が設定されていることによる作用を、図21を用いて説明する。図21(a―1),(a―2)は重なり領域PA1が設定されている分割パーツデータPD5,PD6を示し、図21(b―1),(b―2)は重なり領域PA1が設定されていない分割パーツデータPD5,PD6を示す。
図21(b―1)に示すように重なり領域PA1が設定されていない分割パーツデータでは、両分割パーツデータを初期設定のサイズから拡大させてフレーム領域82a,82bに描画した場合、図21(b―2)に示すように、両分割パーツデータの境界に隙間が生じてしまうことがある。例えば、分割パーツデータを拡大させる場合、拡大後における分割パーツデータの各ピクセルをフレーム領域82a,82bの各ドットに対応させる際に実行される線形補間の内容によって上記のような事象が生じる。そして、上記のような隙間部分のドットには描画データが設定されないため、表示画面Gにおいてはそのドットに地色が表示される。そうすると、見た目上、好ましくない。
これに対して、図21(a―1)に示すように重なり領域PA1が設定されている分割パーツデータPD5,PD6では、両分割パーツデータPD5,PD6を初期設定のサイズから拡大させてフレーム領域82a,82bに描画したとしても、図21(a―2)に示すように、両分割パーツデータPD5,PD6の境界には重なり領域PA1が存在するため隙間が生じない。これにより、上記のような不都合を生じさせることなく、分割パーツデータPD5,PD6を用いた画像の表示を行うことができる。
また、一の重なり領域PA1を構成する部分は、各分割パーツデータPD5,PD6において1ライン分のピクセルである。これにより、重なり領域PA1を設けるために割り当てられるデータ容量を極力抑えることができる。
また、各分割パーツデータPD5,PD6において一の重なり領域PA1を構成する部分には、同一のデータが設定されている。これにより、各分割パーツデータPD5,PD6を個別に拡大させてフレーム領域82a,82bに設定する場合に、両者の重なり部分が若干ずれたとしても、そのずれた部分には同一のデータの範囲でずれが生じることとなり、この場合であっても良好な表示態様とすることが可能となる。
以下に、上記スクロール背景画像を表示させるための具体的な処理構成を説明する。図22は、表示CPU72にて実行されるスクロール背景用の演算処理を示すフローチャートである。スクロール背景用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS815の背景用演算処理にて実行される。また、当該スクロール背景用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、スクロール背景についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS901では、スクロール位置情報の更新を実行する。スクロール位置情報とは、スクロール背景画像においていずれの領域を表示画面Gに表示するかを特定するための情報のことである。スクロール位置情報は、ワークRAM73に設けられたスクロール用カウンタの数値情報により定められる。スクロール背景画像に含まれる多数のフレーム部分は、スクロール位置情報の各数値に1対1で対応している。ステップS901では、スクロール用カウンタの数値情報が1加算されるように更新される。
続くステップS902では、今回の背景画像のスケールを把握する。続くステップS903では、ステップS901にて更新したスクロール位置情報と、ステップS902にて把握したスケールとを参照することで、表示範囲に含まれる分割パーツデータを把握する。この場合、少なくとも2個の分割パーツデータを把握する。ちなみに、これら分割パーツデータに対する制御開始用の処理は既に完了している。
続くステップS904では、ステップS903にて把握した分割パーツデータのうち、最もスクロール先側の分割パーツデータの座標を演算して導き出し、その導き出した座標の情報を、ワークRAM73において当該分割パーツデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS905では、次の分割パーツデータの座標として、スクロール先側で隣接する分割パーツデータに対して重なり領域を生じさせるための座標を演算して導き出し、その導き出した座標の情報を、ワークRAM73において当該分割パーツデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS906では、ステップS903にて把握した分割パーツデータの全てについて座標を把握したか否かを判定する。未把握の分割パーツデータが存在している場合には、その分割パーツデータについてステップS905の処理を実行する。未把握の分割パーツデータが存在していない場合には、ステップS907に進む。
ステップS907では、ステップS903にて把握した分割パーツデータについて、サイズ及び座標以外のパラメータの情報を更新する。その後、ステップS908にて、スクロール背景指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において送信される描画リストには、ステップS903にて把握した分割パーツデータが描画対象として設定される。また、この描画リストにはスクロール背景指定情報が設定される。
次に、VDP76にて実行される分割パーツデータの設定処理を、図23のフローチャートを参照しながら説明する。分割パーツデータの設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS704の内容把握処理にて実行される。また、分割パーツデータの設定処理は、描画リストにおいてスクロール背景指定が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1001では、描画対象の分割パーツデータの種類及びVRAM75の展開用バッファ81においてそれら分割パーツデータが転送されているアドレスを把握する。その後、ステップS1002にて各分割パーツデータのスケールを把握し、ステップS1003にて各分割パーツデータの座標を把握し、ステップS1004にてその他のパラメータを把握した後に、本設定処理を終了する。
分割パーツデータの設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、上記パラメータが適用された状態で上記各分割パーツデータが描画される。そして、その描画データに基づいて表示装置46に画像信号が出力されることで、上記各分割パーツデータを用いた背景画像が表示画面Gに表示される。
ここで、描画される分割パーツデータは、一部が描画対象のフレーム領域82a,82bから、はみ出すこととなる。例えば、図20(a)に示すように、二点鎖線で区画した1フレーム分の領域PL4に対して3個の分割パーツデータPD2〜PD4が描画される場合、各分割パーツデータPD2〜PD4において1フレーム分の領域PL4からはみ出す箇所が存在する。VDP76では、画像データをフレーム領域82a,82bに描画する場合、一部のピクセルのみを取り出して描画することはできない。したがって、上記はみ出す箇所はフレーム領域82a,82bに書き込まれないが、はみ出さない箇所をフレーム領域82a,82bに描画する場合に実行する処理と同様の処理が、はみ出す箇所のピクセルに対して実行される。
以上のとおり、複数フレーム分のデータを含むスクロール用背景データを、複数の分割パーツデータとして予め記憶することにより、NAND型フラッシュメモリ102において単一の画像データとして記憶可能なサイズを過剰に大きく設定する必要がなくなる。また、スクロール用背景データを単一の画像データとして転送しようとすると、その転送時間が長時間化してしまうこととなるが、分割パーツデータ単位で転送することができるため、データ転送のタイミング調整が容易なものとなる。
また、VDP76は描画対象のフレーム領域82a,82bからはみ出す箇所についても、はみ出さない箇所と同様に描画の処理を実行するが、スクロール用背景データが単一の画像データとして使用されると、はみ出す箇所が多く存在することとなり、処理負荷が大きくなる。これに対して、フレーム領域82a,82bに少なくとも一部が含まれる分割パーツデータのみが使用されることで、はみ出す箇所が抑えられ、処理負荷を軽減することができる。また、表示対象とならない分割パーツデータについては表示CPU72においてパラメータ情報の導出も行われない。これにより、表示CPU72の処理負荷の軽減が図られる。
また、分割パーツデータを小さく設定し、各フレームで使用される分割パーツデータを多くすることで、フレーム領域82a,82bからはみ出す箇所を抑えることができるが、分割パーツデータが多くなるほど、表示CPU72にてパラメータの演算対象となる画像データが多くなり、表示CPU72の処理負荷が大きくなる。これに対して、各フレームで使用される分割パーツデータが2〜3個となるように、各分割パーツデータのサイズが設定されているため、表示CPU72の処理負荷を抑えることができる。
なお、スクロール方向は、横方向に限定されることはなく、縦方向や斜め方向であってもよい。
また、単一の画像データのデータ容量を抑えることができるという効果に着目した場合、一連の画像を表示するための画像データとして複数の分割パーツデータが設定されている構成を必須とすればよく、それら分割パーツデータが重なり領域PA1を有していなくてもよい。この場合、各分割パーツデータの個別のサイズ調整を行わないようにすれば、隙間が生じる可能性が低減される。
また、重なり領域PA1が1列分の各ピクセルにより構成されているのではなく、複数列分の各ピクセルにより構成されていてもよい。この場合、重なり領域PA1に割り当てられるデータ容量が増加するものの、隙間の発生をより確実に阻止することができる。また、一の重なり領域PA1を構成する部分に同一のデータが設定されていない構成としてもよい。
<小単位群の変位背景画像を表示するための構成>
次に、小単位群の変位背景画像を表示するための構成について説明する。
本スロットマシン10では、背景画像の一種として小単位群の変位背景画像が設定されている。小単位群の変位背景画像とは、最背面の画像の手前にて多数の小単位画像が時間の経過とともに所定方向に変位するように表示される背景画像である。この小単位画像として花ビラの画像が設定されているが、これに限定されることはなく、雨の画像や雪の画像が設定されていてもよい。
小単位群の変位背景画像を表示するための画像データとして、小単位群用背景データPD11が設定されている。小単位群用背景データPD11について図24を用いて説明する。図24は小単位群用背景データPD11を説明するための説明図である。
小単位群用背景データPD11は、一の画像データとして設定されているのではなく、図24(a)に示すように、複数の分割データ群PD12〜PD15の集合体として設定されている。これら各分割データ群PD12〜PD15はそれぞれ、複数(例えば、4個)の分割パーツデータを有している。
各分割データ群PD12〜PD15が有する分割パーツデータの数は同数となっており、各分割データ群PD12〜PD15において1フレーム分の画像を表示するために読み出される順番は予め決まっている。つまり、各分割データ群PD12〜PD15において第1の順番として設定されている各分割パーツデータがそれぞれ対応する位置に並べられることで、1フレーム分の変位背景画像が表示されるとともに、次の順番として設定されている各分割パーツデータがそれぞれ対応する位置に並べられることで、次のフレーム分の変位背景画像が表示される。そして、これが各順番の組み合わせに対して、順次行われる。
各分割パーツデータには複数の小単位画像用のデータが設定されている。これら小単位画像用のデータは設定されている態様が分割パーツデータ毎に異なっており、上記予め定められた順番で各分割パーツデータの組み合わせが順次選択されることで、図24(b)に示すように、多数の小単位画像のそれぞれが時間の経過とともに所定方向に変位するように表示される。
以下に、上記小単位群の変位背景画像を表示させるための具体的な処理構成を説明する。図25は、表示CPU72にて実行される変位背景用の演算処理を示すフローチャートである。なお、当該変位背景用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS815の背景用演算処理にて実行される。
先ずステップS1101では、今回のフレームに対応した分割パーツデータの順番を特定するためのパーツカウンタの値を更新する。このパーツカウンタは、ワークRAM73に設けられている。続くステップS1102では、設定対象の分割データ群を把握する。この把握に際しては、ワークRAM73に設けられた対象カウンタが参照される。
続くステップS1103では、パーツカウンタに示されている順番の情報と、対象カウンタに示されている対象となる分割データ群の情報とから、制御対象とする分割パーツデータを把握する。続くステップS1104では、ステップS1103にて把握した分割パーツデータのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該分割パーツデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS1105では、今回の順番に対応した全ての分割パーツデータの設定が完了したか否かを判定する。設定が完了していない場合には、ステップS1106にて、対象カウンタを更新することで、設定対象を次の分割データ群に更新した後に、ステップS1102以降の処理を実行する。一方、設定が完了している場合には、ステップS1107にて、変位背景指定情報を記憶した後に、本変位背景用の演算処理を終了する。
上記処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において送信される描画リストには、今回の順番に対応した各分割パーツデータが描画対象として設定される。また、描画リストでは、変位背景指定情報が設定される。当該描画リストを受信したVDP76では、その描画リストに従って各分割パーツデータをフレーム領域82a,82bに描画する。そして、上記描画リストの出力及びそれに対応した描画が、フレーム毎に繰り返し行われることで、図24(b)に示すようなアニメーションが表示画面Gにて表示されることとなる。
以上のとおり、小単位群を変位させるアニメーションを表示させる場合に、各小単位群を個別のスプライトとして制御するのではなく、複数の小単位画像がまとめて設定された静止画像を順次切り換えるように制御する構成であるため、表示CPU72におけるパラメータの演算処理の処理負荷が軽減される。よって、表示CPU72における処理負荷を抑えながら、小単位群の変位背景画像を表示させることができる。
なお、各分割データ群PD12〜PD15の数や各分割データ群PD12〜PD15に割り当てられている分割パーツデータの数は、複数であれば任意である。
また、分割データ群PD12〜PD15毎に分割パーツデータが割り当てられておらず、多数の分割パーツデータが設定された共通の分割データ群が設けられている構成としてもよい。この場合、その共通の分割データ群から各分割位置に分割パーツデータが配分される構成としてもよい。
<エフェクト画像の加算処理>
次に、エフェクト画像の加算処理について、図26を参照しながら説明する。図26(a)〜(e)はエフェクト画像の加算処理を説明するための説明図である。
エフェクト画像とは、爆風を表す画像、水飛沫を表す画像、光源から周囲に光が照射されている様子を表す発光画像、及びキャラクタの周囲が発光しているかのにように表すオーラ画像といったように、視的効果を高めるための画像である。これらエフェクト画像のうち爆風を表す画像や水飛沫を表す画像などは適用される対象が限定されていないが、オーラ画像は予め定められたスプライトに対して適用される。
詳細には、図26(a)に示すようなスプライトデータPD16に対応させて、図26(b)に示すように、エフェクトデータPD17が設定されている。スプライトデータPD16は、個別画像として表示画面Gへの表示対象となる画像領域PA2と、当該画像領域PA2の周囲を囲む枠領域PA3とを備えており、全体として矩形状となるように規定されている。一方、エフェクトデータPD17は、上記画像領域PA2の外縁に沿うようにして規定され、エフェクト画像として表示画面Gへの表示対象となるエフェクト領域PA4と、全体として矩形状となるようにエフェクト領域PA4の内側及び外側を規定する枠領域PA5と、を備えている。
ちなみに、スプライトデータPD16と、それに対応するエフェクトデータPD17とは、初期設定時において同一サイズ及び同一形状となるように規定されている。また、各枠領域PA3,PA5を構成するピクセルにはα値として完全透過情報である「0」の情報が設定されているため表示画面Gへの表示対象となることはなく、画像領域PA2及びエフェクト領域PA4が表示画面Gへの表示対象となる。但し、枠領域PA3,PA5の非表示化を、専用のαデータを利用して行う構成としてもよい。αデータの詳細については後に説明する。
スプライトデータPD16に対してエフェクトデータPD17が適用されることにより、図26(c)に示すように、キャラクタCH1に対して、その周囲が発光しているかのようなエフェクト画像CH2が生じることとなる。この場合、エフェクト画像CH2は背景画像の一部に対してその手前にて重なっている。その一方、スプライトデータPD16とエフェクトデータPD17とが個別に設定されているため、上記キャラクタCH1単体での表示も可能となる。
スプライトデータPD16やエフェクトデータPD17が描画されるフレーム領域82a,82bには、既に説明したとおり、多数の単位エリアが含まれており、各単位エリアには色情報を格納するためのエリアが設定されている。具体的には、図26(d)に示すように、各単位エリア121には、RGBの各色に1対1で対応させて1バイトからなる色情報格納用エリア121a〜121cが設定されており、RGBのそれぞれに256色の設定が可能となっている。
各色情報格納用エリア121a〜121cに格納される数値情報の値が小さいほどRGBにおいて暗い度合いの色が最終的に表示され、最小値の場合には黒色が表示される。また、数値情報の値が大きいほどRGBにおいて明るい度合いの色が最終的に表示され、最大値の場合には白色が表示される。なお、フルカラー方式ではなく、256色のみ表示可能な構成においては、色情報格納用エリア121a〜121cは1バイトのみでよい。
一方、スプライトデータPD16やエフェクトデータPD17の各ピクセル122にも、図26(e)に示すように、パレットテーブルなどを利用して数値情報からなる色情報が設定される。この場合、これら各ピクセル122に設定される色情報はフルカラーではなく256色のみ表示可能なデータとなっているが、フレーム領域82a,82bへの描画を良好に行えるようにすべく、RGBの各色においてそれぞれ1バイトの範囲内の情報として設定されている。
なお、これに限定されることはなく、各単位エリア121の色情報格納用エリア121a〜121cが3バイトではなく1バイトで設定されており、256色のみ表示可能な構成においては各ピクセル122の色情報も1バイトで設定されている構成としてもよい。
また、各ピクセル122には、上記色情報の他に、α値の情報が設定されている。α値の情報として1バイトの記憶容量が確保されているが、実際には十進数で「0〜100」のいずれかの数値情報が設定されている。また、α値の情報は「0〜100」の数値情報であるが、これが「0〜1」のα値に対応しており、α値を利用した演算に際しては1未満の値として扱われる。
各ピクセル122の色情報を描画対象の単位エリア121に描画する場合には、各ピクセル122におけるRGBの各数値情報に対してα値を積算した各数値情報が、単位エリア121における色情報格納用エリア121a〜121cのRGBのそれぞれ対応するエリアに対して格納される。この場合に、α値が「1」の不透過情報として設定されている場合には、対応する単位エリア121に対してピクセル122の色情報がそのまま上書きされる。一方、α値が1未満である場合には、表示画面Gの奥側において重ね合わせられる画像との間で、α値を利用した所定の演算が実行され、その演算結果が単位エリア121に対して書き込まれる。
エフェクトデータPD17の場合、全ピクセルに対して1未満のα値が設定されている。具体的には、枠領域PA5に含まれる全ピクセルにはα値が「0」の完全透過情報が設定されており、エフェクト領域PA4に含まれる各ピクセルには0<α値<1の半透過情報が設定されている。そして、エフェクトデータPD17をフレーム領域82a,82bに描画する場合には、描画対象のフレーム領域82a,82bにおける各単位エリア121に対して、エフェクトデータPD17の各ピクセルの数値情報に対してα値を積算した結果が加算される。
以下に、上記スプライトデータPD16及びエフェクトデータPD17を用いた画像を表示するための具体的な処理構成を説明する。図27は、表示CPU72にて実行される第1エフェクト演出用の演算処理を示すフローチャートである。当該第1エフェクト演出用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS816の演出用演算処理にて実行される。また、当該第1エフェクト演出用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、第1エフェクト演出についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1201では、現状設定されているデータテーブルに基づき、表示領域に含まれるスプライトデータPD16を把握する。続くステップS1202では、ステップS1201にて把握したスプライトデータPD16のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該スプライトデータPD16に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS1203では、現状設定されているデータテーブルに基づき、エフェクトデータを適用すべきか否かを判定する。エフェクトデータを適用する必要がない場合には、そのまま本演算処理を終了する。
上記のように第1エフェクト演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、スプライトデータPD16が描画対象であり、さらに当該スプライトデータPD16のパラメータ情報を含む描画リストが作成されて、VDP76に送信される。
一方、エフェクトデータPD17を適用する必要がある場合には、ステップS1204にて、今回適用すべきエフェクトデータPD17を把握する。続くステップS1205では、ステップS1202にて、適用対象のスプライトデータPD16について把握した座標と同一の座標をエフェクトデータPD17の座標として把握し、ワークRAM73において当該エフェクトデータPD17に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS1206では、エフェクトデータPD17について、座標以外のパラメータの情報を演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、適用対象のスプライトデータPD16のサイズや回転角度が初期設定時のものから変更されている場合には、それらと同一となるように、エフェクトデータPD17のサイズや回転角度を調整する。その後、ステップS1207にてエフェクト指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように第1エフェクト演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、スプライトデータPD16及びエフェクトデータPD17の両方が描画対象として設定された描画リストが作成される。また、当該描画リストには、スプライトデータPD16及びエフェクトデータPD17のそれぞれのパラメータ情報と、エフェクトデータPD17を適用すべきことを示すエフェクト指定情報が含まれる。そして、その作成された描画リストがVDP76に送信される。
次に、VDP76にて実行される第1エフェクト演出用の設定処理について、図28のフローチャートを参照しながら説明する。第1エフェクト演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、当該第1エフェクト演出用の設定処理は、描画リストにおいて第1エフェクト演出に係る指定が設定されている場合に起動される。
ステップS1301では、描画リストにて示されている今回の描画対象のスプライトデータPD16、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該スプライトデータPD16が転送されているアドレスを把握する。続くステップS1302では、当該スプライトデータPD16のパラメータを把握する。
続くステップS1303では、描画リストにおいて上記スプライトデータPD16に対応付けてエフェクト指定情報が設定されているか否かを判定する。エフェクト指定情報が設定されていない場合には、そのまま本設定処理を終了する。
一方、エフェクト指定情報が設定されている場合には、ステップS1304にて、上記スプライトデータPD16とともに描画すべきエフェクトデータPD17を把握するとともに、VRAM75の展開用バッファ81において当該エフェクトデータPD17が転送されているアドレスを把握する。その後、ステップS1305にて、当該エフェクトデータPD17のパラメータを把握した後に、本設定処理を終了する。
つまり、エフェクトデータPD17は、描画リストにおいて適用対象のスプライトデータPD16に付随させて設定されており、当該適用対象のスプライトデータPD16を処理する処理回において同時に処理されることとなる。但し、これに限定されることはなく、描画リストにおいてエフェクトデータPD17が適用対象のスプライトデータPD16に対して独立させて設定されている構成としてもよい。この場合であっても、上記のとおり、エフェクトデータPD17単独でパラメータが設定されているため、エフェクトデータPD17を描画対象のフレーム領域82a,82bに描画することは可能である。
ちなみに、スプライトデータPD16とエフェクトデータPD17とが個別に取り扱われることにより、既に説明したように、同一のスプライトデータPD16を利用して、スプライトデータPD16に対応したキャラクタCH1単体での表示を行うことができるとともに、エフェクト画像CH2が適用された状態のキャラクタCH1の表示を行うこともできる。
第1エフェクト演出用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、上記パラメータが適用された状態で上記スプライトデータPD16や上記エフェクトデータPD17が描画される。
次に、エフェクトデータPD17が描画される場合にVDP76にて実行される第1のエフェクト加算処理について説明する。図29(a)は第1のエフェクト加算処理を示すフローチャートであり、図29(b)は第1のエフェクト加算処理の様子を説明するための説明図である。第1のエフェクト加算処理は、描画処理(図16)のステップS705にて実行される書き込み処理の一部の処理として実行される。また、第1のエフェクト加算処理は、エフェクトデータPD17が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1401では、対象ピクセルの更新処理を実行する。対象ピクセルの更新処理では、エフェクトデータPD17において今回の描画対象とするピクセルを更新するための処理を実行する。具体的には、レジスタ92に設定されたピクセル更新用のカウンタを、描画対象が1ピクセル分、進行するように更新する。
続くステップS1402では、フレーム領域82a,82bにおいて今回の対象ピクセルが描画されるドット(すなわち、単位エリア)に格納されている数値情報を読み出して把握する。この場合、図29(b―1)において「r1」,「g1」,「b1」で示すように、RGBの各数値情報が把握される。
続くステップS1403では、エフェクトデータPD17における今回の対象ピクセルに設定されている数値情報を把握する。この数値情報は、RGBの各数値情報に対してα値の数値情報が積算された結果の各数値情報である。つまり、図29(b―2)において「α×r2」,「α×g2」,「α×b2」で示すようにRGBの各数値情報が把握される。
なお、当該積算に際しては、十進数で「0〜100」の値として定められているα値が1以下の値である「0.00〜1.00」として機能するように演算が行われ、さらに積算結果に小数点以下の値が含まれないように当該値は切り捨てられる又は四捨五入される。このα値の取り扱いや小数点以下の数値の取り扱いは以下の説明において同様である。また、α値は十進数で「0〜10」の値として定められており、それが1以下の値である「0.0〜1.0」として機能するように演算が行われる構成としてもよい。
続くステップS1404では、ステップS1402にて把握したRGBの各数値情報と、ステップS1403にて把握したRGBの各数値情報とを加算する。これにより、図29(b―3)に示すように、RGBの各数値情報は、「r1+α×r2」,「g1+α×g2」,「b1+α×b2」となる。続くステップS1405では、ステップS1404にて算出したRGBの各数値情報を、今回の対象ドットに書き込む。
その後、ステップS1406にて、エフェクトデータPD17の全ピクセルについて描画が完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1401〜ステップS1405の処理を繰り返す。完了している場合には、本加算処理を終了する。
上記加算処理が実行されることにより、エフェクトデータPD17に対応したエフェクト画像CH2は、当該エフェクト画像CH2が重ね合わせられる画像(例えば、背景画像)の色情報や明るさの度合いが反映された状態で表示される。エフェクト画像CH2は、既に説明したとおり、光や水飛沫といったように奥側のものを透過させる画像であるため、背景画像と無関係に表示されると違和感が生じる。これに対して、上記のように加算処理が実行されることで、背景画像が反映された状態でエフェクト画像CH2が表示されることとなり、上記違和感を生じさせることなく、見た目上、好ましいものとなる。
なお、手前側の個別画像を表示する場合に奥側の個別画像を反映させる具体的な処理は、加算処理に限定されることはなく、当該反映を良好に行えるのであれば、他の演算処理が実行される構成としてもよい。
また、奥側の個別画像に対応した画像データがフレーム領域82a,82bに設定された後に、手前側の個別画像に対応した画像データのフレーム領域82a,82bへの加算処理が実行されるのではなく、加算処理が行われた結果の画像データがフレーム領域82a,82bに設定される構成としてもよい。
<エフェクト画像の部分加算処理>
次に、エフェクト画像の部分加算処理について説明する。
上記のとおりエフェクト画像を適用する場合には加算処理が実行されることとなるが、明るい画像に対して同じく明るいエフェクト画像が重ね合わせられると、フレーム領域82a,82bの単位エリアにおいてRGBの各数値情報が最大値となり、設計者の意図から外れて白色表示となってしまうことがある(所謂、白とびの発生)。これに対して、本スロットマシン10では、上記白とびの発生を抑えるために、所定のエフェクト画像を表示させる場合には、部分加算が行われる。
当該部分加算を行うためのデータ構成について、爆風を表す画像や水飛沫を表す画像といったようにキャラクタのスプライトデータとは独立して扱われるエフェクトを例に挙げて、図30(a)を参照しながら説明する。図30(a)は部分加算を行うためのデータ構成を説明するための説明図である。
図30(a―1)に示すように、部分加算が適用される対象のエフェクトデータPD18は、複数のピクセルを含みエフェクト画像として表示画面Gへの表示対象となるエフェクト領域PA6と、全体として矩形状となるようにエフェクト領域PA6の周囲を規定する枠領域PA7と、を備えている。エフェクト領域PA6を構成する各ピクセルには、既に説明したとおり、RGBのそれぞれに対応して数値情報を有する色情報と、当該色情報の各数値情報に対して積算されるα値の情報とが設定されている。なお、枠領域PA7を構成する各ピクセルには、α値として完全透過情報である「0」が設定されている。
上記エフェクトデータPD18に1対1で対応させて、図30(a―2)に示すように、初期設定時におけるサイズ及び外形がエフェクトデータPD18と同一となるように規定された部分加算用データPD19が設定されている。部分加算用データPD19は、エフェクトデータPD18のエフェクト領域PA6と同一の形状及び同一のピクセル数となるように規定されたエフェクト対応領域PA8と、全体として矩形状となるようにエフェクト対応領域PA8の周囲を規定する枠対応領域PA9と、を備えている。
エフェクト対応領域PA8を構成する各ピクセルには、エフェクトデータPD18のエフェクト領域PA6と異なり、色情報が設定されておらず、α値の情報のみが設定されている。ちなみに、各ピクセルに設定されているα値の情報は、部分加算の実行対象に応じて個別に設定されており、相互に同一のα値の情報が設定されているピクセルも存在すれば、相互に異なるα値の情報が設定されているピクセルも存在する。但し、これに限定されることはなく、各ピクセルに設定されているα値が同一である構成としてもよい。
部分加算が行われる場合には、描画対象のフレーム領域82a,82bにおいてエフェクトデータPD18が描画される各ドット(すなわち、各単位エリア)に対して、先ず部分加算用データPD19が適用される。その後に、その各ドットに対してエフェクトデータPD18が描画される。当該描画が行われる具体的な処理構成について、以下に説明する。
図30(b)は、表示CPU72にて実行される第2エフェクト演出用の演算処理を示すフローチャートである。当該第2エフェクト演出用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS816の演出用演算処理にて実行される。また、第2エフェクト演出用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、第2エフェクト演出についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1501では、現状設定されているデータテーブルに基づき、今回描画指定をすべきエフェクトデータPD18を把握する。続くステップS1502では、ステップS1501にて把握したエフェクトデータPD18のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該エフェクトデータPD18に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS1503では、現状設定されているデータテーブルに基づき、今回適用指定をすべき部分加算用データPD19を把握する。続くステップS1504では、ステップS1502にて、適用対象のエフェクトデータPD18について把握した座標と同一の座標を部分加算用データPD19の座標として把握し、その把握した座標の情報を、ワークRAM73において当該部分加算用データPD19に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS1505では、部分加算用データPD19について、座標以外のパラメータの情報を演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、適用対象のエフェクトデータPD18のサイズや回転角度が初期設定時のものから変更されている場合には、それらと同一となるように、部分加算用データPD19のサイズや回転角度を調整する。その後、ステップS1506にて部分加算指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように第2エフェクト演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、エフェクトデータPD18及び部分加算用データPD19の両方が描画対象として設定された描画リストが作成される。また、当該描画リストには、エフェクトデータPD18及び部分加算用データPD19のそれぞれのパラメータ情報と、部分加算用データPD19を適用すべきことを示す部分加算指定情報が含まれる。作成された描画リストは、VDP76に送信される。
次に、VDP76にて実行される第2エフェクト演出用の設定処理について、図31のフローチャートを参照しながら説明する。第2エフェクト演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、第2エフェクト演出用の設定処理は、描画リストにおいて部分加算指定が設定されている場合に起動される。
ステップS1601では、描画リストにて示されている今回の適用対象の部分加算用データPD19、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該部分加算用データPD19が転送されているアドレスを把握する。続くステップS1602では、当該部分加算用データPD19のパラメータを把握する。
続くステップS1603では、描画リストにて示されている今回の描画対象のエフェクトデータPD18、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該エフェクトデータPD18が転送されているアドレスを把握する。その後、ステップS1604にて、当該エフェクトデータPD18のパラメータを把握した後に、本設定処理を終了する。
つまり、部分加算用データPD19は、描画リストにおいて適用対象のエフェクトデータPD18に付随させて設定されており、当該適用対象のエフェクトデータPD18を処理する処理回において同時に処理されることとなる。但し、これに限定されることはなく、描画リストにおいて部分加算用データPD19が適用対象のエフェクトデータPD18に対して独立させて設定されている構成としてもよい。この場合、部分加算用データPD19単独でパラメータが設定されているため、部分加算用データPD19の方がエフェクトデータPD18よりも先に処理されるように描画順序が設定されてさえいれば、部分加算用データPD19を適切に描画対象のフレーム領域82a,82bに描画することは可能である。
第2エフェクト演出用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、上記パラメータが適用された状態で上記部分加算用データPD19及び上記エフェクトデータPD18が描画される。
次に、部分加算用データPD19及びエフェクトデータPD18が描画される場合にVDP76にて実行される第2のエフェクト加算処理について説明する。図32(a)は第2のエフェクト加算処理を示すフローチャートであり、図32(b)は第2のエフェクト加算処理の様子を説明するための説明図である。第2のエフェクト加算処理は、描画処理(図16)のステップS705にて実行される書き込み処理の一部の処理として実行される。また、第2のエフェクト加算処理は、部分加算用データPD19が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1701では、対象ピクセルの更新処理を実行する。対象ピクセルの更新処理では、部分加算用データPD19及びエフェクトデータPD18において今回の描画対象とするピクセルを更新するための処理を実行する。具体的には、レジスタ92に設定されたピクセル更新用のカウンタを、描画対象が1ピクセル分、進行するように更新する。
続くステップS1702では、フレーム領域82a,82bにおいて今回の対象ピクセルが描画されるドット(すなわち、単位エリア)に格納されている数値情報を読み出して把握する。この場合、図32(b―1)において「r3」,「g3」,「b3」で示すように、RGBの各数値情報が把握される。
続くステップS1703では、部分加算用データPD19における今回の対象ピクセルに設定されているα値を把握する。この場合、図32(b―2)に示すように、α値として「α1」が設定されている。
続くステップS1704では、ステップS1702にて把握したRGBの各数値情報に対して、ステップS1703にて把握したα値を積算する。これにより、図32(b―3)に示すように、積算結果に対応したRGBの各数値情報は、「α1×r3」,「α1×g3」,「α1×b3」となる。
続くステップS1705では、エフェクトデータPD18における今回の対象ピクセルに設定されている数値情報を把握する。この数値情報は、RGBの各数値情報に対して、当該ピクセルに予め定められているα値の数値情報が積算された結果の各数値情報である。つまり、図32(b―4)に示すように、RGBの各数値情報は、「α2×r4」,「α2×g4」,「α2×b4」となる。
続くステップS1706では、ステップS1705にて把握したRGBの各数値情報と、ステップS1704にて把握したRGBの各積算結果の情報とを加算する。これにより、図32(b―6)に示すように、RGBの各数値情報は、「α1×r3+α2×r4」,「α1×g3+α2×g4」,「α1×b3+α2×b4」となる。続くステップS1707では、ステップS1706にて算出したRGBの各数値情報を、今回の対象ドットに書き込む。
その後、ステップS1708にて、部分加算用データPD19及びエフェクトデータPD18の全ピクセルについて描画が完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1701〜ステップS1707の処理を繰り返す。完了している場合には、本加算処理を終了する。
上記加算処理が実行されることにより、エフェクトデータPD18が描画される単位エリアには、そこに既に格納されている数値情報が部分加算用データPD19のα値分の割合で低数値化された後の数値情報に対して、エフェクトデータPD18の数値情報が加算された結果の数値情報が設定される。これにより、エフェクトデータPD18の描画後において、フレーム領域82a,82bの単位エリアにおけるRGBの各数値情報が最大値となってしまうことが抑えられ、白とびの発生を抑制することができる。
また、例えばエフェクトデータPD18の数値情報やα値を抑えた場合、エフェクト画像を重ね合わせ対象の画像に対して馴染ませることとなり、エフェクト画像によって視的効果を高めることができなくなってしまう。これに対して、重ね合わせられる側の画像の数値情報を部分加算用データPD19によって抑える構成であるため、エフェクト画像を強調させながら、白とびの発生を抑制することができる。
また、重ね合わせられる画像の数値情報を元々抑えた状態で設定しておく構成も考えられるが、そうすると、当該画像がエフェクト画像の適用がない状態で使用される場合に、その数値情報に対応した色情報に制限されてしまう。これに対して、上記のとおり部分加算用データPD19を別途設定しておくことで、重ね合わせられる側の画像の制約が生じづらくなる。
また、部分加算用データPD19は、色情報に対応した数値情報が設定されておらず、α値に対応した数値情報が設定されている構成であるため、部分加算用データPD19のデータ容量はエフェクトデータPD18に比べて小さいものである。したがって、NAND型フラッシュメモリ102において必要な記憶容量を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。
なお、奥側の個別画像を反映させる割合を低減するための手法として、部分加算用データPD19を適用する手法以外の手法を採用してもよい。例えば、VDP76の処理上で画像データのα値をピクセル単位で操作することができる構成においては、VDP76の処理上で奥側の個別画像の該当箇所における数値情報を所定の割合で低減させる構成としてもよい。
また、奥側の個別画像において手前側の個別画像との重なり箇所以外の箇所にまで影響が及ぶこととなるが、奥側の個別画像に対して部分加算用の一律α値を設定する構成も考えられる。
また、フレーム領域82a,82bの限界数値が最も暗く、最小数値が最も明るい構成においては、奥側の個別画像が手前側の個別画像に反映されるようにするために、上記加算処理に代えて、減算処理が実行される必要がある。また、白とびを抑制するためには、部分加算用データPD19に代えて、部分減算用データが適用される必要がある。
また、上記構成に代えて、部分加算用データPD19に、α値だけではなく色情報に対応した数値情報も設定されている構成としてもよい。この場合、第2のエフェクト加算処理におけるステップS1703では部分加算用データにおける対象ピクセルのα値及び数値情報を把握し、ステップS1704では積算処理に代えて融合用の演算の処理を実行する構成とする。具体的には、部分加算用データPD19のα値をα1とするとともに、部分加算用データPD19の色情報を「r5,g5,b5」とした場合、ステップS1704では、
R:r3×(1−α1)+r5×α1
G:g3×(1−α1)+g5×α1
B:b3×(1−α1)+b5×α1
という融合用の演算が行われる。
そして、当該演算結果に対してステップS1705〜ステップS1707の処理が実行されることにより、
R:r3×(1−α1)+r5×α1+α2×r4
G:g3×(1−α1)+g5×α1+α2×g4
B:b3×(1−α1)+b5×α1+α2×b4
となる。
上記のように色情報に対応した数値情報が設定されている部分加算用データPD19を用いる場合であっても、融合用の演算の処理が実行されることにより、エフェクトデータを描画する前のタイミングで既に格納されている数値情報が低数値化されるため、白とびの発生を抑制することができる。
<エフェクト画像を複数組み合わせた合成データ>
次に、エフェクト画像を複数組み合わせた合成データを作成するための構成について説明する。
既に説明したとおり、視的効果を高めるために1フレーム分の画像において複数のエフェクト画像が表示されることがある。例えば、爆風を表す画像と、発光画像とが同時に表示されることがある。この場合に、本スロットマシン10では、元々個別に設定されている各エフェクトデータを、組み合わせて合成した状態で別保存する機能を有している。当該合成データを作成するための具体的な処理及び当該合成データを使用するための具体的な処理について以下に説明する。
図33は、表示CPU72にて実行される複数エフェクト演出用の演算処理を示すフローチャートである。複数エフェクト演出用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS816の演出用演算処理にて実行される。また、当該複数エフェクト演出用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、複数エフェクト演出についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS1801では、VDP76において合成データを作成済みであるか否かを判定する。当該判定は、ワークRAM73に作成済み判定用のフラグがセットされているか否かを判定することにより行われるが、これに限定されることはなく、現状設定されているデータテーブルに合成データが作成済みか否かの情報がセットされている構成としてもよい。
合成データが作成済みでない場合には、ステップS1802にて、現状設定されているデータテーブルに基づき、今回適用すべき複数のエフェクトデータを把握する。続くステップS1803では、ステップS1802にて把握した各エフェクトデータのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73においてこれら各エフェクトデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。続くステップS1804では、複数エフェクト演出指定情報を記憶する。
続くステップS1805では、合成データの作成タイミングであるか否かを判定する。具体的には、複数エフェクト演出が行われるタイミングは複数種類設定されており、それら各タイミングには、エフェクト画像以外の個別画像の数が相対的に多くてVDP76における処理負荷が大きいタイミングと、エフェクト画像以外の個別画像の数が相対的に少なくてVDP76における処理負荷が小さいタイミングとが存在する。合成データの作成タイミングとは、上記処理負荷が小さいタイミングのことである。
合成データの作成タイミングではないと判定した場合(ステップS1805:NO)には、そのまま本演算処理を終了する。また、合成データの作成タイミングであると判定した場合(ステップS1805:YES)には、ステップS1806にて、合成データ作成指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように複数エフェクト演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、複数のスプライトデータが描画対象であり、さらにこれらスプライトデータのパラメータ情報を含む描画リストが作成される。また、当該描画リストには、複数エフェクト演出を実行すべきことを示す情報である複数エフェクト演出指定情報が含まれる。また、合成データ作成指定情報を記憶している場合には、当該描画リストには、合成データを作成すべきことを示す情報である合成データ作成指定情報が含まれる。
一方、合成データが作成済みである場合(ステップS1801:YES)には、ステップS1807にて、今回適用すべき合成データを把握する。続くステップS1808では、ステップS1807にて把握した合成データのパラメータを演算して把握する。
続くステップS1809にて、現状設定されているデータテーブルにおいて合成データが作成済みの場合として設定されている情報に基づいて、追加エフェクトデータを把握する。続くステップS1810では、ステップS1809にて把握した追加エフェクトデータのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において追加エフェクトデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。つまり、合成データが適用される場合、表示CPU72及びVDP76にて描画用の処理時間に余裕が生じるため、その処理時間を利用して追加エフェクトデータの設定が行われる。
その後、ステップS1811にて複数エフェクト演出指定情報を記憶するとともに、ステップS1812にて合成データ使用指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように複数エフェクト演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、合成データ及び追加エフェクトデータが描画対象であり、さらにこれら合成データ及び追加エフェクトデータのパラメータ情報を含む描画リストが作成される。また、当該描画リストには、複数エフェクト演出指定情報が含まれるとともに、合成データを使用すべきことを示す情報である合成データ使用指定情報が含まれる。
次に、VDP76にて実行される複数エフェクト演出用の設定処理について、図34(a)のフローチャートを参照しながら説明する。なお、複数エフェクト演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、描画リストにおいて複数エフェクト演出指定が設定されている場合に、当該複数エフェクト演出用の設定処理が起動される。
ステップS1901では、描画リストに合成データ使用指定が設定されているか否かを判定する。合成データ使用指定が設定されていない場合には、ステップS1902にて、今回の描画対象として指定されている複数のエフェクトデータ、及びVRAM75の展開用バッファ81においてこれらエフェクトデータが転送されているアドレスを把握する。つまり、複数のエフェクトデータが同時に描画される場合には、描画リストにおいてこれらエフェクトデータが個別に設定されているのではなく、1の処理回において同時に処理されるように設定されている。
続くステップS1903では、各エフェクトデータのパラメータを把握する。その後、ステップS1904にて、合成データ作成指定が設定されているか否かを判定する。合成データ作成指定が設定されていない場合には、そのまま本設定処理を終了する。合成データ作成指定が設定されている場合には、ステップS1905に進む。
ステップS1905では、ステップS1902にて把握した複数のエフェクトデータに対して、ステップS1904にて把握した各パラメータを適用した状態で、合成データを作成する。その後、本設定処理を終了する。
ここで、図34(b)に示すように、VRAM75の展開用バッファ81には、合成データ用エリア81cが設定されている。ステップS1905にて作成された合成データは、当該合成データ用エリア81cに書き込まれる。合成データ用エリア81cは、VRAM75への電力供給が継続されている間はその書き込まれた合成データを記憶保持するものであり、さらに他の画像データをNAND型フラッシュメモリ102からVRAM75に転送した場合に上書き対象とされないエリアである。したがって、一旦作成された合成データは、VRAM75への電力供給が遮断されるまで記憶保持される。
上記のように複数エフェクト演出用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、上記各パラメータが適用された状態で上記各エフェクトデータが描画される。そして、その描画データに基づいて表示装置46に画像信号が出力されることで、上記各エフェクトデータを用いた演出画像が表示画面Gに表示される。
一方、描画リストに合成データ使用指定が設定されている場合(ステップS1901:YES)には、ステップS1906にて、今回の描画対象として指定されている合成データ及び合成データ用エリア81cにおいて当該合成データが記憶されているアドレスを把握する。続くステップS1907では、当該合成データのパラメータを把握する。
続くステップS1908では、今回の描画対象として指定されている追加エフェクトデータ、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該追加エフェクトデータが転送されているアドレスを把握する。つまり、合成データ及び追加エフェクトデータが同時に描画される場合には、描画リストにおいてこれら合成データ及び追加エフェクトデータが個別に設定されているのではなく、1の処理回において同時に処理されるように設定されている。その後、ステップS1909にて、追加エフェクトデータのパラメータを把握した後に、本設定処理を終了する。
上記のように複数エフェクト演出用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、パラメータが適用された状態で合成データが描画されるとともに、パラメータが適用された状態で追加エフェクトデータが描画される。そして、その描画データに基づいて表示装置46に画像信号が出力されることで、合成データ及び追加エフェクトデータを用いた演出画像が表示画面Gに表示される。
以上のとおり、複数のエフェクト画像を同時に表示させるための合成データが作成され、その後の使用に際しては当該合成データが使用されることで、複数エフェクト演出の実行タイミングとなる度に複数のエフェクトデータを描画する構成に比べ、表示CPU72やVDP76の処理負荷を軽減させることができる。
特に、表示CPU72では、VDP76における処理負荷が小さいタイミングにおいて合成データの作成指示を行うため、VDP76において処理落ちが生じないようにしつつ、合成データの作成を行うことができる。
また、合成データを用いて複数エフェクト演出が実行される場合には、処理時間に余裕が生じることを利用して、追加エフェクトデータを用いた追加のエフェクト画像が表示される。これにより、より多くのエフェクト画像を適用することが可能となり、エフェクト画像による視的効果を高めることができる。
また、合成データを予めNAND型フラッシュメモリ102に記憶させておく構成に比べて、NAND型フラッシュメモリ102においてエフェクトデータ用に必要な記憶容量を抑えることができる。また、個別に設定されたエフェクトデータを用いて合成データを作成するため、それらエフェクトデータを個別に使用することも可能である。
また、合成データは作成後において合成データ用エリア81cに保存されるため、合成データを作成した後は、当該合成データを連続しない複数のフレームに対して使用することができる。
また、合成データは、それを構成する各エフェクトデータが表示用として用いられる場合に、それに合わせて作成される。これにより、合成データを作成するための処理タイミングを画像の表示とは別に独立して設定しておく必要がない。
また、合成データは、それを構成する各エフェクトデータに対してパラメータ情報が適用された後に作成される。これにより、合成データを使用する場合には当該合成データについてパラメータ情報の導出及び適用を行えばよく、それを構成する各エフェクトデータに対するパラメータ情報の導出及び適用を行う必要がない。よって、合成データを使用する場合の処理負荷の軽減が図られる。
なお、合成データを用いて複数エフェクト演出が実行される場合に、追加エフェクトデータの描画が行われない構成としてもよい。この場合であっても合成データが作成されることで、表示CPU72やVDP76における処理時間の調整が容易なものとなる。
また、合成データは、スロットマシン10の電源立ち上げ時といったように、各エフェクトデータが表示用として用いられるタイミングとは異なるタイミングで作成される構成としてもよい。
<αデータを用いた個別画像の一部表示>
次に、αデータを用いて個別画像の一部表示を行うための構成について説明する。
αデータとは、既に説明したとおり、背景データやスプライトデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリ102に予め記憶されている。αデータは、背景データやスプライトデータといった個別画像を規定する画像データに対して個別に設定されているが、図柄スプライトデータに対しては、全体用αデータと、部分用αデータとがそれぞれ設定されている。
これら全体用αデータ及び部分用αデータについて、図35を用いて説明する。図35はαデータを説明するための説明図であり、図35(a)は所定の図柄に対応した図柄スプライトデータPD20を示し、図35(b)は当該図柄スプライトデータPD20に関連付けて設定されている全体用αデータPD21を示し、図35(c)は図柄スプライトデータPD20に全体用αデータPD21を適用した場合を示し、図35(d)〜(g)は図柄スプライトデータPD20に関連付けて設定されている部分用αデータPD22〜PD25を示す。
図35(a)に示すように、図柄スプライトデータPD20は、個別画像として表示画面Gへの表示対象となる画像領域PA10と、当該画像領域PA10の周囲を囲む枠領域PA11とを備えている。枠領域PA11によって、画像領域PA10の外縁形状に関係なく、表示CPU72やVDP76が図柄スプライトデータPD20を矩形状に規定された画像データとして扱うことが可能となり、座標の指定の容易化が図られる。
図35(b)に示すように、全体用αデータPD21は、その外形が適用対象の図柄スプライトデータPD20と一致するようにそのサイズが設定されている。全体用αデータPD21は、適用対象の図柄スプライトデータPD20における画像領域PA10の外縁部分を境界として、当該外縁部分の内側を占める画像対応領域PA12と、当該外縁部分の外側を占める枠対応領域PA13とを備えている。
枠対応領域PA13に含まれる各ピクセルにはα値として完全透過情報である「0」が設定されている。一方、画像対応領域PA12においてその外縁部分を除いた部分に含まれる各ピクセルにはα値として不透過情報である「1」が設定されており、外縁部分に含まれる各ピクセルにはα値として部分透過情報である0<α値<1が設定されている。
図柄スプライトデータPD20に対して全体用αデータPD21が適用されることにより、画像領域PA10に含まれる各ピクセルに対して画像対応領域PA12に含まれる各ピクセルのα値が適用され、さらに枠領域PA11に含まれる各ピクセルに対して枠対応領域PA13に含まれる各ピクセルのα値が適用される。
この場合に、上記のとおり全体用αデータPD21はその外形が適用対象の図柄スプライトデータPD20と一致するようにそのサイズが設定されている。したがって、両データPD20,21のサイズ及び回転角度を同一とし、さらに中心の1ピクセルといった基準ピクセルが重なるように両データPD20,21を設定することで、図柄スプライトデータPD20に対する全体用αデータPD21の適用を行うことができ、当該設定に係る処理負荷の軽減が図られる。これは、部分用αデータPD22〜PD25についても同様である。
また、全体用αデータPD21を適用した図柄スプライトデータ20を表示画面Gの奥側にて重なる画像データと重ね合わせる場合には、その重ね合わせに係る各ドットでは、全体用αデータPD21にて定められているα値を基準とした数値情報の融合(すなわち、ブレンディング)が行われる。具体的には、
R値:「奥側画像のR値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のR値」×「α値」
G値:「奥側画像のG値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のG値」×「α値」
B値:「奥側画像のB値」×(「1」−「α値」)+「手前側画像のB値」×「α値」
となる。これは、部分用αデータPD22〜PD25についても同様である。
全体用αデータPD21を適用することで、適用後の図柄CH3は、図35(c)に示すように、枠領域PA11が完全透過の状態となり、画像領域PA10のみが視認可能となる。また、図柄CH3の輪郭に生じるジャギーが軽減され、図柄CH3の輪郭が背景に融合するように色を滑らかに変化させることが可能となる。つまり、アンチエイリアスを行うことが可能となる。
一方、部分用αデータPD22〜PD25は、図35(d)〜図35(g)に示すように、その外形が適用対象の図柄スプライトデータPD20と一致するようにそのサイズが設定されている。部分用αデータPD22〜PD25は、適用対象の図柄スプライトデータPD20における画像領域PA10の一部に対応した外縁部分を境界として、当該外縁部分の内側を占める一部画像対応領域PA14と、当該外縁部分の外側を占める一部以外対応領域PA15とを備えている。
一部以外対応領域PA15に含まれる各ピクセルにはα値として完全透過情報である「0」が設定されている。一方、一部画像対応領域PA14においてその外縁部分を除いた部分に含まれる各ピクセルにはα値として不透過情報である「1」が設定されており、外縁部分に含まれる各ピクセルにはα値として部分透過情報である0<α値<1が設定されている。
各部分用αデータPD22〜PD25は、図柄スプライトデータPD20の画像領域PA10のうち、一部画像対応領域PA14として対応している部分がそれぞれ異なっている。具体的には、図35(d)の部分用αデータPD22は画像領域PA10が変動表示される場合において進行先側の1/4分に対応しており、図35(e)の部分用αデータPD23は進行先側の半分に対応しており、図35(f)の部分用αデータPD24は進行元側の半分に対応しており、図35(g)の部分用αデータPD25は進行元側の1/4分に対応している。
なお、一の図柄スプライトデータPD20に対して設定されている部分用αデータPD22〜PD25は4個に限定されることはなく、2個、3個又は5個以上であってもよい。また、1個であってもよい。また、上記全体用αデータ及び複数の部分用αデータの組み合わせは、図柄スプライトデータの各種類に1対1で対応させて設定されている。
各部分用αデータPD22〜PD25を用いることにより、図柄の一部表示を行うことが可能となる。また、このように一部表示を行う場合であっても、その一部表示される範囲で、図柄の輪郭に生じるジャギーが軽減され、図柄の輪郭が背景に融合するように色を滑らかに変化させることが可能となる。つまり、一部表示を行う場合であっても、アンチエイリアスを行うことが可能となる。
以下、αデータを適用する場合の表示CPU72及びVDP76における処理について説明する。
先ず、表示CPU72にて実行される図柄用演算処理について、図36のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図柄用演算処理は、既に説明したとおり、タスク処理(図18)のステップS817にて実行される処理であって、各遊技回において変動表示の対象となる図柄について、各種パラメータを演算して導き出す処理である。
ステップS2001では、一部表示を実行すべきタイミングであるか否かを判定する。当該タイミングであるか否かの判定は、現状設定されているデータテーブルにおける現状のポインタにて指定された情報を参照することで行われる。
一部表示(部分表示)を実行すべきタイミングでない場合には、ステップS2002にて、今回の制御対象の図柄スプライトデータを把握する。続くステップS2003では、その把握した図柄スプライトデータの全てについて座標、サイズ及び回転角度といった各種パラメータを演算して導き出し、その導き出した各種パラメータの情報を、ワークRAM73において当該図柄スプライトデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS2004では、ステップS2002にて把握した各図柄スプライトデータのそれぞれに対応した全体用αデータを把握する。この場合、VRAM75の展開用バッファ81において各全体用αデータが転送されているアドレスの情報も把握する。その後、ステップS2005にて、合成指定情報をレジスタに記憶した後に、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、ステップS2002にて把握した図柄スプライトデータが描画対象であり、さらにそれら各図柄スプライトデータのパラメータ情報と、全体用αデータの種類及びアドレスと、全体用αデータを対応する図柄スプライトデータに適用すべきことを示す合成指定情報と、を含む描画リストが作成されて、VDP76に送信される。
一方、一部表示を実行すべきタイミングである場合(ステップS2001:YES)には、ステップS2006にて、部分表示領域の座標及びサイズを把握する。部分表示領域とは、表示画面Gの一部を区画するようにして表示される領域である(図37(b)において符号PL5で示される枠により区画された領域を参照)。
続くステップS2007では、部分表示領域を含めて表示画面Gに今回表示される図柄スプライトデータを把握する。なお、本スロットマシン10では、部分表示領域を表示する場合には、部分表示領域のみに図柄が表示され、表示画面Gにおいて部分表示領域の外部には背景と演出用キャラクタが表示されるものの図柄が表示されない状態となる。但し、これに限定されることはなく、部分表示領域の外部においても図柄が表示される構成としてもよい。
続くステップS2008では、ステップS2007にて把握した図柄スプライトデータの全てについて座標、サイズ及び回転角度といった各種パラメータを演算して導き出し、その導き出した各種パラメータの情報を、ワークRAM73において当該図柄スプライトデータに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、部分表示領域に表示される図柄は、部分表示領域が表示されない状況の通常の表示状態よりも小さいサイズで表示されるようにサイズの情報が演算される。
続くステップS2009では、部分用αデータを設定する必要があるか否かを判定する。部分用αデータを設定する必要がある場合には、ステップS2010にて、その設定が必要な図柄スプライトデータに対応する部分用αデータであって、今回の描画リストの作成対象に対応した部分用αデータを把握する。この場合、VRAM75の展開用バッファ81において各部分用αデータが転送されているアドレスの情報も把握する。
ステップS2009にて否定判定をした場合又はステップS2010の処理を実行した後は、ステップS2011にて、全体用αデータを設定する必要があるか否かを判定する。部分表示領域に表示される図柄スプライトであっても、部分用αデータの適用対象外となったものについては全体用αデータを設定する必要があるため、この場合にはステップS2011にて肯定判定をする。全体用αデータを設定する必要がある場合には、ステップS2004の処理を実行して、全体用αデータを把握する。
ステップS2004にて全体用αデータを把握した場合及び把握していない場合のいずれであっても、最後にステップS2005にて合成指定情報を記憶した後に、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、全体用αデータのみが適用される場合として説明した情報に加え、部分表示領域を設定すべき情報と、部分表示領域のパラメータ情報と、部分用αデータの種類及びアドレスと、部分用αデータを対応する図柄スプライトデータに適用すべきことを示す合成指定情報と、を含む描画リストが作成されて、VDP76に送信される。
次に、VDP76にて実行される図柄スプライトデータの設定処理について、図37(a)のフローチャートを参照しながら説明する。図柄スプライトデータの設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理にて実行される。また、図柄スプライトデータの設定処理は、描画リストにおいて合成指定が設定されている場合に起動される。
ステップS2101では、描画リストにて示されている今回の描画対象の図柄スプライトデータを把握する。続くステップS2102では、ステップS2101にて把握した図柄スプライトデータに対して、全体用αデータを適用するか否かを判定する。
全体用αデータを適用する場合には、ステップS2103にて、全体用αデータを指定されたアドレスから読み出し、同じく指定されたアドレスから読み出した図柄スプライトデータに対して合成する。これにより、全体用αデータの各ピクセルに設定されたα値が図柄スプライトデータにおいて対応する各ピクセルに対して適用される。ちなみに、全体用αデータを合成する場合、図柄スプライトデータの全体に対してαデータの全体が重なるようにして合成する。これは部分用αデータの場合も同様である。
一方、部分用αデータを適用する場合には、ステップS2104にて、部分用αデータを指定されたアドレスから読み出し、同じく指定されたアドレスから読み出した図柄スプライトデータに対して合成する。これにより、部分用αデータの各ピクセルに設定されたα値が図柄スプライトデータにおいて対応する各ピクセルに対して適用される。
ステップS2103又はステップS2104を実行した後は、ステップS2105に進む。ステップS2105では、ステップS2103又はステップS2104にて作成した合成スプライトデータをフレーム領域82a,82bに書き込む際に参照する各種パラメータ(座標、サイズ及び回転角度など)を把握する。その後、本設定処理を終了する。
ステップS2105にて把握される各種パラメータは、ステップS2101にて把握した図柄スプライトデータに対して設定されている情報である。つまり、フレーム領域82a,82bに書き込むために必要な各種パラメータの情報は、図柄スプライトデータに対して設定されているが、全体用αデータや部分用αデータには設定されておらず、図柄スプライトデータに対して設定されている各種パラメータの情報が合成スプライトデータに対して適用される。これにより、全体用αデータや部分用αデータについても各種パラメータ情報が設定される構成に比べ、描画リストにて指定される情報量を抑えることができるとともに、表示CPU72における処理負荷の軽減が図られる。
ちなみに、上記設定処理が完了した図柄スプライトデータをフレーム領域82a,82bに書き込む場合には、当該フレーム領域82a,82bに対して既に書き込まれている背景データや演出用データに対して、既に説明した融合用の演算(ブレンディング演算)が行われる。
次に、部分表示領域PL5を用いて図柄の一部表示が行われる様子について、図37(b)を参照しながら説明する。図37(b)は図柄の一部表示が行われる様子を説明するための説明図である。
図37(b)に示すように、部分表示領域PL5は表示画面Gの隅角部分に寄せた位置にて、表示画面Gよりも小さい範囲として表示される。また、部分表示領域PL5の外縁は表示画面Gの外縁に接しておらず、部分表示領域PL5の全ての外縁は表示画面Gの外縁との間に隙間が生じている。
部分表示領域PL5では、所定方向に図柄CH3,CH4の変動表示が行われる。当該所定方向は、部分表示領域PL5を表示させることなく各図柄列Z1〜Z3上で図柄の変動表示を行う場合と同一方向となっているが、異なる方向であってもよい。
部分表示領域PL5内にて変動表示される図柄CH3,CH4は、部分表示領域PL5の所定の一辺側から現れて、それに対向する一辺側から消えていくように表示される。この場合、これら図柄CH3,CH4は、部分表示領域PL5からはみ出さないように一部表示が行われる。
上記のとおり図柄に対して部分用αデータが合成されることにより、アンチエイリアスを行うことが可能なαデータを用いて図柄の一部表示を行うことができる。
また、既に説明したとおり、表示CPU72やVDP76では画像データの全ピクセルについて座標を認識することができず、基準ピクセルの座標のみを認識することができる。そうすると、プログラム上の処理にて、図柄スプライトデータの一部のみを分割する処理を行うことができない。その一方、一部表示を行うのに必要な図柄スプライトデータを一の図柄に対して予め複数設定しておく構成も考えられる。しかしながら、図柄スプライトデータは色情報を含むデータであり、各ピクセルに対してα値のみが設定されているαデータに比べてデータ容量が大きくなる。したがって、αデータを用いて一部表示を行うことで、画像データのデータ容量さらにはNAND型フラッシュメモリ102において必要なデータ容量を抑えながら、一部表示を行うことができる。
また、VDP76は、部分表示を行わせる場合、部分用αデータを読み出して、それを適用対象の画像データに適用するだけでよい。したがって、VDP76の処理負荷の増大化を抑えながら、部分表示を行うことができる。
なお、部分用αデータが適用される場合にアンチエイリアスが行われない構成としてもよい。また、部分用αデータの適用対象は図柄に限定されることはなく、背景用のキャラクタや演出用のキャラクタであってもよい。また、全体用αデータや部分用αデータに対して、独自にパラメータ情報が設定される構成としてもよい。
<一部表示を行うための第1の別形態>
一部表示を行うための第1の別形態について説明する。
図38は第1の別形態を説明するための説明図であり、図38(a)及び(c)は図柄スプライトデータを示し、図38(b)及び(d)は全体用αデータを示し、図38(e)〜(h)は部分用αデータを示す。
本別形態では、図38(a)〜(h)に示すように、各図柄スプライトデータPD26,PD27に対して個別に全体用αデータPD28,PD29が設定されているとともに、部分用αデータPD30〜PD33は、各図柄スプライトデータPD26,PD27に共通させて設定されている。ちなみに、NAND型フラッシュメモリ102に記憶されている状態での初期サイズは、いずれのデータPD26〜PD33も同一となっている。また、上記データ構成は、図38(a),(c)にて例示した図柄スプライトデータPD26,PD27以外の図柄スプライトデータについても同様である。
本構成の場合、一部表示を行わない場合には、各図柄スプライトデータPD26,PD27に対して対応する全体用αデータPD28,PD29を合成することで、アンチエイリアスを行うことができる。また、一部表示を行う場合には、先ず対応する全体用αデータPD28、PD29を合成した後に、一部表示すべきパーツに対応した部分用αデータPD30〜PD33を合成することで、アンチエイリアスを行いながら、共通の部分用αデータPD30〜PD33を用いて一部表示を行うことができる。
上記構成によれば、図柄スプライトデータPD26,PD27に対して部分用αデータが個別に設定されている構成に比べて、部分用αデータPD30〜PD33の種類を抑えることが可能となり、部分用αデータPD30〜PD33を記憶しておくのに必要な記憶容量を抑えることが可能となる。
<一部表示を行うための第2の別形態>
一部表示を行うための第2の別形態について説明する。
図39(a)は第2の別形態を説明するための説明図であり、図39(b)は第2の別形態における図柄スプライトデータの設定処理を示すフローチャートである。
本別形態ではαデータを用いるのではなくαパレットデータを用いることで、アンチエイリアスが行われるとともに、図柄の一部表示が行われる。αパレットデータPD34とは、図39(a―1)に示すように、256色分のパレットデータの各色情報にα値情報が付加されたものである。
図柄スプライトデータPD35は、図39(a―2)に示すように、画像領域PA16と枠領域PA17とが設定されているが、枠領域PA17には画像領域PA16では設定されていない色情報が設定されている。これに対して、全体用αパレットデータでは、枠領域PA17に設定されている色情報に対してα値として完全透過情報が設定されている。また、画像領域PA16においてその外縁部分を除いた部分の色情報にはα値として不透過情報である「1」が設定されており、外縁部分の色情報にはα値として部分透過情報である0<α値<1が設定されている。当該全体用αパレットデータを図柄スプライトデータPD35に合成することで、図39(a―3)に示すように、アンチエイリアスを行うことができる。
また、図柄スプライトデータPD35は、図39(a―2)に示すように、相互に同一の色情報が用いられない複数の部分領域PA18〜PA21が設定されている。これに対して、一部の部分領域PA18〜PA21と枠領域PA17に設定されている色情報に対してα値として完全透過情報が設定されているとともに、その他の領域に設定されている色情報に対してα値として不透過情報が設定されている部分用αパレットデータが用意されている。当該部分用αパレットデータは、完全透過情報のα値が適用されることとなる部分領域PA18〜PA21が相互に異なるように複数種類用意されている。部分用αパレットデータを図柄スプライトデータPD35に合成することで、図39(a―4)に示すように、図柄の一部表示を行うことができる。
以下、αパレットデータを用いる場合に実行されるVDP76における図柄スプライトデータの設定処理について図39(b)を参照しながら説明する。
先ずステップS2201では、描画リストにて示されている今回の描画対象の図柄スプライトデータを把握する。続くステップS2202では、ステップS2201にて把握した図柄スプライトデータに対して全体用αパレットデータを適用するか否かを判定する。
全体用αパレットデータを適用する場合には、ステップS2203にて、全体用αパレットデータを指定されたアドレスから読み出し、同じく指定されたアドレスから読み出した図柄スプライトデータに対して合成する。これにより、全体用αパレットデータにおいて各色情報に付加させて設定されたα値が、図柄スプライトデータに適用される。
一方、部分用αパレットデータを適用する場合には、ステップS2204にて、部分用αパレットデータを指定されたアドレスから読み出し、同じく指定されたアドレスから読み出した図柄スプライトデータに対して合成する。これにより、部分用αパレットデータにおいて各色情報に付加させて設定されたα値が、図柄スプライトデータに適用される。
ステップS2203又はステップS2204を実行した後は、ステップS2205に進む。ステップS2205では、ステップS2203又はステップS2204にて作成した合成スプライトデータをフレーム領域82a,82bに書き込む際に参照する各種パラメータ(座標、サイズ及び回転角度など)を把握する。その後、本設定処理を終了する。
上記処理が実行されることにより、図柄スプライトデータに対して全体用αパレットデータ又は部分用αパレットデータが合成される。本構成であっても、αデータを用いる場合に比べて図柄スプライトデータのデータ構成に制約が生じるものの、アンチエイリアス及び図柄スプライトの一部表示を行うことができる。また、色情報の設定に合わせて部分表示用の設定を行うことができる。
<αデータを用いて文字遷移表示を行うための別形態>
αデータを用いて文字遷移表示を行うための別形態について説明する。
図40(a)はVDP76にて実行される文字遷移処理を示すフローチャートであり、図40(b)〜(f)は文字遷移表示が行われる様子を説明するための説明図である。
図40(a)に示すように、文字遷移処理では、先ずステップS2301にて、文字スプライトデータPD36の重ね合わせ処理を実行する。文字スプライトデータPD36とは、図40(b)に示すように、複数の文字領域PA22〜PA26が所定方向、具体的には横方向に並べて配置されているとともに、外形が矩形状となるように複数の文字領域PA22〜PA26の周囲が枠領域PA27により囲まれるようにして規定されたデータである。ステップS2301では、同一の文字スプライトデータPD36を2個読み出して、それらの全体が前後に重なるようにそれらデータを設定する。
続くステップS2302では、奥側の文字スプライトデータPA36にパレットデータを設定する。これにより、奥側の文字スプライトデータPA36における各文字領域PA22〜PA26に対して同一の色情報が設定された状態となる。続くステップS2303では、奥側の文字スプライトデータPD36に対して全体用αデータを合成する。これにより、奥側の文字スプライトの各文字領域PA22〜PA26に対して、アンチエイリアスが行われる。
続くステップS2304では、手前側の文字スプライトデータPA36にパレットデータを設定する。当該パレットデータは、ステップS2302にて設定されたパレットデータとは、ビットマップデータの各数値情報に対して設定されている色情報が異なっている。これにより、手前側の文字スプライトデータPD36における各文字領域PA22〜PA26に対して、奥側の文字スプライトデータPD36の文字領域PA22〜PA26とは異なる色情報が設定される。
続くステップS2305では、手前側の文字スプライトデータPD36に全体用αデータを合成するか否かを判定する。全体用αデータを合成する場合には、ステップS2306にて、手前側の文字スプライトデータPD36に対して全体用αデータを合成した後に、本文字遷移処理を終了する。当該全体用αデータはステップS2303にて用いた全体用αデータと同一である。これにより、手前側の文字スプライトデータPD36の各文字領域PA22〜PA26に対して、アンチエイリアスが行われる。
上記ステップS2306の処理が実行された場合、最終的に表示画面Gでは、奥側の文字スプライトデータPD36に設定されている各文字領域PA22〜PA26は表示されることなく、手前側の文字スプライトデータPD36に設定されている各文字領域PA22〜PA26が表示される。この場合、手前側の文字スプライトデータPD36において各文字領域PA22〜PA26に設定された色情報で、文字が表示された状態となる。
一方、ステップS2305にて、全体用αデータを合成しないと判定した場合には、ステップS2307にて、手前側の文字スプライトデータPD36に対して部分用αデータを合成した後に、本文字遷移処理を終了する。部分用αデータPD37,PD38は、図40(c)及び(d)に示すように、一部の文字領域PA22〜PA26及び枠領域PA27に対応した領域の各ピクセルにはα値として完全透過情報が設定されている。また、他の文字領域PA22〜PA26においてその外縁部分を除いた部分に含まれる各ピクセルにはα値として不透過情報が設定されており、外縁部分に含まれる各ピクセルにはα値として部分透過情報である0<α値<1が設定されている。また、部分用αデータPD37,PD38は、文字領域PA22〜PA26が一文字ずつ所定方向、具体的には左から順に、1文字ずつ消去されるように、複数種類設定されている。
上記ステップS2307の処理が実行された場合、最終的に表示画面Gでは、手前側の文字スプライトにおいて非表示となった文字領域については、奥側の文字スプライトの文字領域が表示される。この場合、図40(e)及び(f)に示すように、左側から連続する一部の文字は、奥側の文字スプライトにおいて各文字領域に設定された色情報で表示された状態となるとともに、残りの文字は、手前側の文字スプライトにおいて各文字情報に設定された色情報で表示された状態となる。又は、全ての文字が奥側の文字スプライトにおいて各文字情報に設定された色情報で表示された状態となる。
以上のとおり、αデータを用いてカラオケ風の文字遷移表示を行うことができる。ちなみに、上記文字遷移表示はカラオケ風演出が行われる場合に実行されるものであり、スピーカ部45から出力されるメロディに合わせて該当する歌詞部分が変色していくような演出が行われる。
なお、文字スプライトデータPD36が重ねて設定されるのではなく、単一の文字スプライトデータPD36が設定されて、その表示範囲が順次狭められる構成としてもよい。この場合、各文字領域に順次異なる色が付されるように表示されるのではなく、各文字領域が順次消去されるように表示される。
また、手前側の文字スプライトデータについてはアンチエイリアスを行わずに、各文字領域の輪郭部分に奥側の画像の影響が及ばないようにしてもよい。
<ワイプ切換演出を行うための構成>
次に、ワイプ切換演出を行うための構成について説明する。
ワイプ切換演出とは、背景画像や多数のキャラクタが変更されるタイミングにおいて、先表示タイミングの画像が除々に消去されて、代わりにその消去された領域を利用して、後表示タイミングの画像が除々に表示されるようにする演出のことである。
ワイプ切換演出に際しては、リンク表示機能が利用される。このリンク表示機能とは、1種類の基準側画像データ(絶対スプライト)に対して従属側画像データ(相対スプライト)を統合し、1個の画像データとしてVDP76側で扱うことを可能とする機能である。複数の画像データがリンク表示機能により統合された場合、基準側画像データの画像範囲内においてのみ、従属側画像データが視覚的に表示されることとなる。また、リンク表示機能により画像データが統合されている場合、基準側画像データに対してなされた処理は従属側画像データに対しても適用されることとなる。
また、ワイプ切換演出に際しては、先表示タイミングの画像を除々に消去しながら、後表示タイミングの画像を除々に現出させるために、ワイプ切換演出用のαデータが使用される。当該ワイプ切換演出用のαデータは、先表示タイミングの基準側画像データに対して合成されるが、既に説明したとおり、従属側画像データは基準側画像データに統合された1個の画像データとして扱われるため、αデータは従属側画像データに対しても適用される。
ここで、図41を参照しながら、先表示タイミングの画像を構成する各画像データ、後表示タイミングの画像を構成する各画像データ、及びワイプ切換演出用のαデータについて説明する。
図41(a)は先表示タイミングの画像を構成する各画像データPD39〜PD42を示している。このうち、画像データPD39は、先表示タイミングの最背面の画像を表示するための画像データであり、リンク表示機能においては基準側画像データとして使用される(以下、画像データPD39を基準側画像データPD39という)。また、複数の画像データPD40〜PD42は、最背面の画像上において表示される装飾用の画像を表示するための画像データであり、リンク表示機能においては従属側画像データとして使用される(以下、画像データPD40〜PD42を従属側画像データPD40〜PD42という)。
これら画像データPD39〜PD42に対してリンク表示機能が適用されることで、既に説明したとおり、従属側画像データPD40〜PD42は基準側画像データPD39の画像範囲内においてのみ視覚的に表示されることとなる。仮に従属側画像データの全体がフレーム領域82a,82bの描画範囲内に含まれているとしても、基準側画像データPD39からはみ出す箇所は描画対象とされない。
図41(b)は後表示タイミングの画像を構成する各画像データPD43〜PD45を示している。画像データPD43は後表示タイミングの最背面の画像を表示するための画像データであり、複数の画像データPD44,PD45は最背面の画像上において表示される装飾用の画像を表示するための画像データである。当該後表示タイミングの画像を構成する各画像データPD43〜PD45については、リンク表示機能が適用されない。
図41(c),(d)はワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47を示している。これらαデータPD46,PD47は、基準側画像データPD39に対して合成されるため、初期設定時において基準側画像データPD39と同一のサイズ及び外形を有している。また、各αデータPD46,PD47は、各ピクセルのα値が完全透過情報である「0」に設定された完全透過領域PA28,PA30と、各ピクセルのα値が不透過情報である「1」に設定された不透過領域PA29,PA31と、を備えている。各αデータPD46,PD47において境界線よりも内側の領域が不透過領域PA29,PA31であり、外側の領域が完全透過領域PA28,PA30である。これら各αデータPD46,PD47は、ワイプ切換演出を実行する場合に1フレーム分の画像を更新する度に切り換えられて使用されるが、先のタイミングで使用されるαデータPD46の方が後のタイミングで使用されるαデータPD47よりも完全透過領域PA28,PA30のサイズが大きく設定されている。
上記各画像データを用いてワイプ切換演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。
図42は、表示CPU72にて実行されるワイプ切換演出用の演算処理を示すフローチャートである。ワイプ切換演出用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS815の背景用演算処理にて実行される。また、当該ワイプ切換演出用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、ワイプ切換演出についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS2401では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、後表示タイミングの画像に対応した各画像データPD43〜PD45を把握するとともに、それら各画像データPD43〜PD45を描画に際しての優先側として把握する。続くステップS2402では、後表示タイミングとして把握した各画像データPD43〜PD45のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において各画像データPD43〜PD45に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
その後、ステップS2403〜ステップS2409にて、先表示タイミングの画像の描画指示を行うための処理を実行する。先ずステップS2403にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、先表示タイミングの画像のうち、基準側画像データPD39を把握する。続くステップS2404では、当該基準側画像データPD39のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において基準画像データPD39に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS2405では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、先表示タイミングの画像のうち、従属側画像データPD40〜PD42を把握する。続くステップS2406では、従属側画像データPD40〜PD42のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において各従属側画像データPD40〜PD42に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
その後、ステップS2407にて、リンク指定情報を記憶する。リンク指定情報とは、リンク表示機能を用いて画像データの描画を実行することを指定するための情報である。続くステップS2408では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の描画指示に対応したワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47を把握する。当該ワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47は基準側画像データPD39に関連付けて設定されており、適用対象は基準側画像データPD39となる。
その後、ステップS2409にてワイプ指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。ワイプ指定情報とは、ワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47を基準側画像データPD39に合成することを指示するための情報である。
上記のようにワイプ切換演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、ワイプ切換演出に対応した画像を描画するための描画リストが作成される。当該描画リストについて以下に説明する。図43は、ワイプ切換演出が実行される場合に作成される描画リストを説明するための説明図である。
図43に示すように、各描画順序に関連付けて複数の画像データが設定されている。この場合、上記演算処理のステップS2401にて後表示タイミングの画像を構成する各画像データが優先側として把握されるため、描画リストにおいても、後表示タイミングの画像を構成する各画像データの方が、先表示タイミングの画像を構成する各画像データよりも描画順序が先に設定されている。
先表示タイミングの画像を構成する各画像データには、リンク指定がなされている。リンク指定がなされている場合には、VDP76における描画処理(図16)の1処理回の範囲内でそれらリンク指定に係る画像データが処理されるが、これに限定されることはなく、各処理回で分けて処理される構成としてもよい。また、図示による説明は省略するが、先表示タイミングの画像を構成する各画像データのうち、基準側画像データに対応した背景データのパラメータP(4)には、ワイプ切換演出用のαデータの情報が設定されている。
ちなみに、先表示タイミングの画像を構成する各画像データよりも後の描画順序で、図柄スプライトデータが設定されている。したがって、ワイプ切換演出が行われている背景画像の手前で図柄の変動表示が実行されているような画像が表示されることとなる。
次に、VDP76にて実行されるワイプ切換演出用の設定処理について、図44のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ワイプ切換演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、当該ワイプ切換演出用の設定処理が実行されるタイミングにおいては、今回の描画リストにて指定された後表示タイミングの画像を構成する各画像データは、描画対象のフレーム領域82a,82bに描画済みとなっている。
ステップS2501では、描画リストにリンク指定が設定されているか否かを判定する。リンク指定が設定されていない場合には、そのまま本設定処理を終了する。リンク指定が設定されている場合には、ステップS2502にて、今回の描画対象として指定されている基準側画像データPD39、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該基準側画像データPD39が転送されているアドレスを把握する。続くステップS2503では、基準側画像データPD39のパラメータを把握する。
続くステップS2504では、今回の描画対象として指定されている従属側画像データPD40〜PD42、及びVRAM75の展開用バッファ81においてこれら従属側画像データPD40〜PD42が転送されているアドレスを把握する。続くステップS2505では、これら従属側画像データPD40〜PD42の各パラメータを把握する。
続くステップS2506では、リンク設定を行う。これにより、ステップS2502にて把握した基準側画像データPD39に対して、ステップS2504にて把握した各従属側画像データPD40〜PD42がリンクされた状態となる。ちなみに、このリンクに際しては、ステップS2503にて把握したパラメータが適用された基準側画像データPD39に対して、ステップS2505にて把握したパラメータが適用された各従属側画像データPD40〜PD42がリンクされる。
続くステップS2507では、ワイプ指定が設定されているか否かを判定する。ワイプ指定が設定されていない場合には、そのまま本設定処理を終了する。ワイプ指定が設定されている場合には、ステップS2508にて、今回指定されているワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該αデータPD46,PD47が転送されているアドレスを把握する。そして、その把握したアドレスに基づき読み出したαデータを、各従属側画像データPD40〜PD42がリンク済みの基準側画像データPD39に合成する。その後、本設定処理を終了する。
次に、リンク表示機能を利用したワイプ切換演出の様子について、図45を参照しながら説明する。
ワイプ切換演出が開始される前のタイミングでは、図45(a)に示すように、先表示タイミングの画像PC12が表示される。なお、先表示タイミングの画像PC12の手前では、各図柄列Z1〜Z3において図柄の変動表示が行われている。
その後、ワイプ切換演出が開始された場合には、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、後表示タイミングの画像PC13を構成する各画像データPD43〜PD45が描画された後に、基準側画像データPD39に従属側画像データPD40〜PD42がリンクされているとともに図41(c)に示すワイプ切換演出用のαデータPD46が合成された状態の画像データが描画される。
この場合、後表示タイミングの画像データPD43〜PD45に重なるようにして先表示タイミングの画像データPD39〜PD42が描画されることとなるが、その描画に際しては既に説明したような融合用の演算が実行される。したがって、完全透過領域PA28が合成されるピクセルに対応した各ドットでは、後表示タイミングの画像データの数値情報がそのまま残る。一方、先表示タイミングにおいて不透過領域PA29が合成されるピクセルはそのままの数値情報が、描画対象のドットに対して上書きされるため、後表示タイミングの画像データの数値情報は消去されて、先表示タイミングの画像データが書き込まれる。これにより、図45(b)に示すように、境界線の外側が後表示タイミングの画像PC13であり、境界線の内側が先表示タイミングの画像PC12であるワイプ画像が表示される。なお、当該ワイプ画像の手前では、各図柄列Z1〜Z3において図柄の変動表示が行われている。
その後、図41(c)に示すワイプ切換演出用のαデータPD46に代えて、図41(d)に示すワイプ切換演出用のαデータPD47を用いて上記描画処理が実行されることで、図45(c)に示すように、先表示タイミングの画像PC12が表示されている領域が狭くなる代わりに後表示タイミングの画像PC13が表示されている領域が広くなる。
以上のとおり、ワイプ切換演出を行いながら背景画像の切換が複数フレーム分に亘って除々に行われることにより、背景画像の切換態様を斬新なものとすることができるとともに、背景画像の切換態様を多様化することも可能となる。
また、先側表示タイミングの画像を構成する各画像データPD39〜PD42をリンクさせて、そのリンクさせた画像データに対してワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47を合成させる構成であるため、各画像データPD39〜PD42について個別にワイプ切換演出用のαデータを合成させる構成に比べ、表示CPU72やVDP76における処理負荷を軽減させることができる。
また、後側表示タイミングの画像データPD43〜PD45を描画対象のフレーム領域82a,82bに対して単純に描画した後に、先側表示タイミングの画像データPD39〜PD42を当該フレーム領域82a,82bに描画する構成である。つまり、後側表示タイミングの画像データPD43〜PD45については、描画リストに従って通常通りに画像データの描画を行えばよい。したがって、処理構成の複雑化を抑えることが可能となる。
なお、アンチエイリアスや一部表示などの目的で、従属側画像データPD40〜PD42に対して個別にαデータが適用される構成としてもよい。また、後側表示タイミングの画像データPD43〜PD45についてもリンク指定がなされる構成としてもよい。
また、ワイプ切換の方向は、先表示タイミングの画像が複数フレームに亘って外側から内側へと狭くなる構成に限定されることはなく、内側から外側へと狭くなる構成としてもよく、表示画面Gの所定の一辺からそれに対向する一辺へと狭くなる構成としてもよい。
<スプライトを円滑に移動表示させるための構成>
次に、スプライトを円滑に移動表示させるための構成について説明する。
スプライトが予め定められた移動方向に移動しているようなアニメーションを表示させる場合、1フレーム毎に又は複数フレーム毎にスプライトを移動方向に所定ドットずらした位置に描画する。当該スプライトとして円滑移動用のスプライトが設定されている。
円滑移動用のスプライトについて、図46を参照しながら説明する。図46(a)は円滑移動用のスプライトCH5を説明するための説明図であり、図46(b),(c)は当該円滑移動用のスプライトCH5を表示するためのスプライトデータPD48,PD49を説明するための説明図である。
図46(a)に示すように、円滑移動用のスプライトCH5は、時間の経過とともに所定の方向に移動していくように表示される雲を表した個別画像である。また、1フレーム分の画像として同時に表示される他の個別画像PC14に比べて、表示サイズが小さいものである。なお、円滑移動用のスプライトCH5は、雲を表した個別画像に限定されることはなく、所定の方向に移動するように表示されるのであれば、飛行機といった他の物を表した個別画像であってもよい。
円滑移動用のスプライトCH5を表示するための画像データとして、複数のスプライトデータが設定されている。具体的には、2個のスプライトデータPD48,PD49が設定されている。これらスプライトデータPD48,PD49は共に、円滑移動用のスプライトCH5を表すためのものであるが、第2のスプライトデータPD49は第1のスプライトデータPD48に対して移動方向にフレーム領域82a,82bを基準にして半ドット分移動させた状態に対応している。
これら両スプライトデータPD48,PD49は、境界部分のα値が相違していることにより、半ドット分ずれたデータとなっている。同一の境界部分を構成する各ピクセルを例に挙げて両スプライトデータPD48,PD49を比較すると、図46(b),(c)に示すように、移動方向先側のピクセルのα値が相違している。
既に説明したとおり、α値が「0」の場合、それは完全透過情報に対応しており、α値が「0」のピクセルでは、表示画面Gの奥側にて重なる画像の全てを透過させるのに対して、α値が「1」の場合、それは不透過情報に対応しており、α値が「1」のピクセルでは、表示画面Gの奥側にて重なる画像を塗りつぶす状態となる。また、0<α値<1の場合、α値分だけ半透明となった状態で、表示画面Gの奥側にて重なる画像を透過させる。
ちなみに、円滑移動用のスプライトCH5を奥側の画像に重ね合わせる場合、融合用の演算が実行される。当該融合用の演算については既に説明したとおりである。
第1のスプライトデータPD48は図46(b)に示すように境界部分のα値が設定されているのに対して、第2のスプライトデータPD49は、図46(c)に示すように、境界部分のα値が移動方向にフレーム領域82a,82bを基準として半ドット分ずらした状態に対応した値に設定されている。これにより、第1のスプライトデータPD48が設定された座標と同一の位置に第2のスプライトデータPD49が設定された場合には、図46(b),(c)において一点鎖線で示すように、円滑移動用のスプライトCH5がフレーム領域82a,82bを基準として半ドット分又は表示画面Gを基準としてそれに対応した分移動したかのように視認される。
ちなみに、第2のスプライトデータPD49は、第1のスプライトデータPD48を2倍に拡大した後に、フレーム領域82a,82bを基準として1ドット分ずらし、その後に1/2倍することで作成されている。
次に、上記各スプライトデータPD48,PD49を用いて、円滑移動表示を行うための処理構成を説明する。図47は、表示CPU72にて実行される円滑移動用の演算処理を示すフローチャートである。円滑移動用の演算処理は、タスク処理(図18)におけるステップS815の背景用演算処理にて実行される。また、円滑移動用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、円滑移動についての情報が設定されている場合に起動される。
先ずステップS2601では、円滑移動表示の開始タイミングであるか否かを判定する。この判定は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。開始タイミングである場合には、ステップS2602にて、ワークRAM73に設定された進行対象フラグ用のエリアをクリアする。続くステップS2603では、ワークRAM73に設定された進行カウンタの数値情報を初期化する。
続くステップS2604では、今回の描画対象として第1のスプライトデータPD48を把握する。続くステップS2605では、進行カウンタの数値情報を参照することで、第1のスプライトデータPD48の座標の情報を演算して導き出し、その導き出した座標の情報を、ワークRAM73において当該第1のスプライトデータPD48に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。ちなみに、座標の情報は、進行カウンタの数値情報に対して1対1で対応するように設定されている。
その後、ステップS2606にて、第1のスプライトデータPD48について座標の情報以外のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。さらにステップS2607にて、円滑移動指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。上記処理が実行された場合、描画リストでは、第1のスプライトデータPD48が描画対象として設定されるとともに、その座標として初期値座標が設定される。また、描画リストでは、円滑移動指定情報が設定される。
一方、開始タイミングでない場合には、ステップS2608にて、進行対象フラグがセットされているか否かを判定する。進行対象フラグがセットされていない場合には、前回のフレームで第1のスプライトデータPD48が設定されたことを意味するため、ステップS2609に進む。
ステップS2609では、進行対象フラグをセットする。続くステップS2610では、今回の描画対象として第2のスプライトデータPD49を把握する。続くステップS2611では、第2のスプライトデータPD49の座標の情報を把握し、その把握した座標の情報を、ワークRAM73において当該第2のスプライトデータPD49に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、進行カウンタの更新処理が実行されていないため、前回のフレームにおいて第1のスプライトデータPD48が描画された座標の情報と同一の座標の情報が把握される。
その後、ステップS2612にて、第2のスプライトデータPD49について座標の情報以外のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。さらにステップS2607にて、円滑移動指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。上記処理が実行された場合、描画リストでは、第2のスプライトデータPD49が描画対象として設定されるとともに、その座標として前回のフレームと同一の座標が設定される。また、描画リストでは、円滑移動指定情報が設定される。
また、ステップS2608にて、進行対象フラグがセットされていると判定した場合には、前回のフレームで第2のスプライトデータPD49が設定されたことを意味するため、ステップS2613に進む。
ステップS2613では、進行対象フラグをクリアする。続くステップS2614では、進行カウンタを1加算されるように更新する。続くステップS2615では、今回の描画対象として第1のスプライトデータPD48を把握する。続くステップS2616では、ステップS2614にて更新した進行カウンタの数値情報を参照することで、第2のスプライトデータPD49の座標の情報を演算して導き出し、その導き出した座標の情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、前回のフレームにて設定された座標に対して、移動方向にフレーム領域82a,82bを基準として1ドット分進行した座標の情報が把握される。
その後、ステップS2617にて、第1のスプライトデータPD48について座標の情報以外のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、上記確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。さらにステップS2607にて、円滑移動指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。上記処理が実行された場合、描画リストでは、第1のスプライトデータPD48が描画対象として設定されるとともに、その座標として前回のフレームにて設定された座標から1ドット分、移動方向にずれた座標が設定される。また、描画リストでは、円滑移動指定情報が設定される。
次に、VDP76にて実行される円滑移動用の設定処理を、図48(a)のフローチャートを参照しながら説明する。円滑移動用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS704の内容把握処理にて実行される。また、円滑移動用の設定処理は、描画リストにおいて円滑移動指定が設定されている場合に起動される。
先ずステップS2701では、今回の描画対象が第1のスプライトデータPD48であるか否かを判定する。第1のスプライトデータPD48である場合には、ステップS2702に進み、当該第1のスプライトデータPD48を描画対象として把握するとともに、VRAM75の展開用バッファ81において第1のスプライトデータPD48が転送されているアドレスを把握する。一方、第1のスプライトデータPD48でない場合には、ステップS2703に進み、第2のスプライトデータPD49を描画対象として把握するとともに、VRAM75の展開用バッファ81における変更用エリア81bにおいて第2のスプライトデータPD49が転送されているアドレスを把握する。
ステップS2702又はステップS2703の処理を実行した後は、ステップS2704にて、今回の描画対象の座標を把握し、ステップS2705にて、その他のパラメータを把握した後に、本設定処理を終了する。
円滑移動用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、両スプライトデータPD48,PD49のうち今回の描画対象のスプライトデータが、指定された座標に描画される。この場合、図48(b)に示すように、1フレーム目に、移動方向の座標が「n」となるように第1のスプライトデータPD48が設定され、2フレーム目に、移動方向の座標が「n」で同一となるように第2のスプライトデータPD49が設定される。また、3フレーム目に、移動方向の座標が「n+1」となるように第1のスプライトデータPD48が設定され、4フレーム目に、移動方向の座標が「n+1」で同一となるように第2のスプライトデータPD49が設定される。そして、同一の座標に対して第1のスプライトデータPD48及び第2のスプライトデータPD49が交互に設定された後に、移動方向が1ドット分更新される状態が繰り返される。これにより、円滑移動用のスプライトCH5が1フレーム毎にフレーム領域82a,82bを基準として半ドット分又は表示画面Gを基準としてそれに対応した分進行しているかのように視認され、当該スプライトCH5を円滑に移動表示させることができる。
特に、円滑移動用のスプライトCH5は、同時に表示される他の個別画像PC14に比べて、表示サイズが小さいため、1フレーム毎に、フレーム領域82a,82bを基準として1ドット分又は表示画面Gを基準としてその1ドットに対応した分移動させる構成では、自身の面積に対する移動量が大きな割合となり、その移動がガタツキとして目立ってしまうことが懸念される。これに対して、本構成によれば、このような不都合を生じさせることはなく、スプライトCH5を円滑に移動表示させることができる。
また、円滑移動用のスプライトCH5は雲を表した個別画像であるが、この雲がゆっくりと移動しているかのようにフレームレートを落とした場合において、移動のタイミングでフレーム領域82a,82bを基準として1ドット分又は表示画面Gを基準としてその1ドットに対応した分移動させる構成では、それがガタツキとして目立ってしまうことが懸念される。これに対して、本構成によれば、複数フレーム毎に1ドット分又はそれに対応した分移動するとしても、その間にフレーム領域82a,82bを基準として1ドット未満分の移動が行われているため、スプライトCH5を円滑に移動表示させることができる。
ちなみに、フレームレートを落とす構成として具体的には、同一の座標の情報が第1のスプライトデータPD48に対して第1の複数フレーム数分適用されるとともに、当該同一の座標の情報が第2のスプライトデータPD49に対して第2の複数フレーム数分適用された場合に、座標の情報を1ドット分進める構成が考えられる。この場合、第1の複数フレーム数と第2の複数フレーム数とが同一数である構成としてもよく、異なる数である構成としてもよい。但し、円滑移動用のスプライトCH5が一定の速度で進行しているように表示させたいのであれば、第1の複数フレーム数と第2の複数フレーム数とを同一数とすることが好ましい。
また、半ドット分ずらしたスプライトデータPD48,PD49を交互に描画するだけで、上記のような円滑移動表示を実現することができる。つまり、処理構成の複雑化を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。また、外縁部分のα値を相違させるという簡易的な手法により、各スプライトデータPD48,PD49を作成することができる。
また、両スプライトデータPD48,PD49の相違は半ドット分であるため、一方から他方へ切り換えられた場合と、他方から一方へ切り換えられた場合とで、見かけの移動量を同様のものとすることができる。
なお、半ドット分ずらしたスプライトデータPD48,PD49を設ける構成に限定されることはなく、1/4ドット分又は1/4ドット分といった他の1ドット未満分ずらしたスプライトデータを設けてもよい。また、基準となるスプライトデータに加えて、1/4ドット分、半ドット分及び3/4ドット分といったように1ドット未満分のスプライトデータをそれぞれ移動量が相違するように複数設けてもよい。
また、フレーム領域82a,82bのドット数と表示画面Gのドット数とが1対1で対応する構成においては、第2のスプライトデータPD49は第1のスプライトデータPD48に対して表示画面Gを基準として半ドット分ずれたデータとなる。
また、フレーム領域82a,82bのドット数が表示画面Gのドット数よりも少ない構成において、第2のスプライトデータPD49が第1のスプライトデータPD48に対して表示画面Gを基準として半ドット分ずれたデータとして設定されている構成としてもよい。この場合、両スプライトデータPD48,PD49は、フレーム領域82a,82bを基準として半ドット未満分ずれたデータとして設定されることとなる。また、両スプライトデータPD48,PD49が表示画面Gを基準として半ドット分ではなく、他の1ドット未満分ずれたデータとして設定されている構成としてもよい。
また、フレーム領域82a,82bのドット数が表示画面Gのドット数よりも多い構成において、第2のスプライトデータPD49が第1のスプライトデータPD48に対して表示画面Gを基準として半ドット分ずれたデータとして設定されている構成としてもよい。この場合、両スプライトデータPD48,PD49は、フレーム領域82a,82bを基準として半ドット以上分ずれたデータとして設定されることとなる。また、両スプライトデータPD48,PD49が表示画面Gを基準として半ドット分ではなく、他の1ドット未満分ずれたデータとして設定されている構成としてもよい。
また、両スプライトデータPD48,PD49がメモリモジュール74に予め記憶されているのではなく、一方のみが予め記憶されており、他方はスロットマシン10の電源ON操作が行われた後に一方のスプライトデータから作成されて別保存される構成としてもよい。この場合、当該一方のスプライトデータを作成して別保存する必要があるため処理負荷が増加するものの、メモリモジュール74において上記スプライトデータを記憶するのに必要な記憶容量の削減が図られる。
また、全体が動くように表示されるスプライトではなく、一部が動くように表示されるスプライトに対して、上記円滑移動用の構成を適用してもよい。
<スケーラ97を利用したズームイン演出を行うための構成>
次に、スケーラ97を利用したズームイン演出を行うための構成について説明する。
VDP76には、既に説明したとおり、出力対象のフレーム領域82a,82bに作成された描画データに基づいて表示装置46に向けて画像信号を出力し、当該表示装置46の表示画面Gにおいて上記描画データに対応した画像を表示させるための表示回路94が設けられている(図8参照)。ちなみに、画像信号とは、液晶表示部46aの各ドット(各画素)における表示色を決定するための階調データを含む信号であり、所定のクロック信号に基づいて表示装置46に出力される。
表示回路94には、出力対象のフレーム領域82a,82bから読み出した描画データのピクセル数を表示CPU72により指定されたピクセル数に変換するとともに、表示装置46の液晶表示部46aを構成する各ドット(各画素)の階調データを生成するスケーラ97が設けられている。
スケーラ97は、表示回路94において解像度調整用の専用回路として設けられている。スケーラ97には、図8に示すように、解像度調整用バッファ97aが設けられている。スケーラ97にて階調データが生成される場合には、出力対象のフレーム領域82a,82bに作成された描画データが解像度調整用バッファ97aに転送され、指定されているピクセル数分の階調データとなるように当該描画データが変換される。この変換に際しては、線形補間処理が実行される。具体的には、バイリニアフィルタリングを用いて、ピクセル数を変換することができる。
解像度調整用バッファ97aに作成された階調データに基づいて、表示回路94に設けられた画像信号出力部98にて画像信号が生成されるとともに表示装置46に出力され、表示装置46にて1フレーム分の画像が表示される。ちなみに、画像信号出力部98にはラインバッファ98aが設けられており、画像信号の生成や出力に際して当該ラインバッファ98aを用いて細部制御が行われる。
ここで、VDP76において描画対象のフレーム領域82a,82bに描画データが作成される場合、フレーム領域82a,82bの全単位エリアに対してデータが書き込まれるが、各フレーム領域82a,82bの解像度は800×600のドット数となっている。これに対して、液晶表示部46aの解像度は1024×768のドット数となっている。つまり、フレーム領域82a,82bに比べて、液晶表示部46aの方が高解像度となっている。
スケーラ97における解像度の調整値(調整用情報)が初期調整値(初期調整用情報)に設定されている場合、800×600の解像度で作成された描画データが、液晶表示部46aに対応した1024×768の解像度の階調データに変換される。この変換の様子について、図49(a)を参照しながら説明する。
図49(a)において実線で区画した範囲が解像度調整用バッファ97aの範囲であり、一点鎖線で区画した範囲内が転送された描画データPD50が書き込まれる範囲である。この描画データPD50に対して初期調整値に対応した解像度で解像度調整が行われた場合には、二点鎖線で区画した範囲内で示すサイズの階調データPD51に変換される。この場合、当該階調データPD51のピクセル数は液晶表示部46aのドット数と一致しており、階調データPD51を構成する全データが画像信号として表示装置46に出力される。つまり、初期調整値に対応した解像度への変換に際しては、描画データの全ピクセルを利用して液晶表示部46aの全ドット分の階調データが作成されるため、描画データのピクセル数に対して階調データのピクセル数は増加する。
なお、初期調整値は、既に説明したとおり、表示CPU72にて初期設定処理(図13)が実行されることに基づき設定される。また、描画データPD50が転送されることとなる解像度調整用バッファ97a内のエリアは、常に一定となっている。
また、本スロットマシン10では、スケーラ97を利用して画像のズームイン演出が行われる。このズームイン演出では、スケーラ97における解像度の調整値が拡大用調整値に設定される。拡大用調整値は、対応する解像度がそれぞれ異なるように複数種類設定されており、各解像度は初期調整値の解像度よりも高解像度となっている。描画データが、所定の拡大用調整値に対応した解像度の階調データに変換される様子について、図49(b)を参照しながら説明する。
図49(b)において一点鎖線で示す描画データPD52に対して拡大用調整値に対応した解像度で解像度調整が行われた場合には、二点鎖線で区画した範囲内で示すサイズの階調データPD53に変換される。この場合、当該階調データPD53のピクセル数は液晶表示部46aのドット数よりも多いため、階調データPD53を構成する全データを画像信号として表示装置46に出力することはできない。
これに対して、当該階調データPD53のうち画像信号として表示装置46に出力する範囲が、表示CPU72にて指定される。この指定に際しては、解像度調整用バッファ97aにおいて描画基準点となるドットのアドレスが指定されるが、当該指定を良好に行えるのであれば指定の仕方は任意である。
表示回路94では、描画基準点が指定されることにより、階調データPD53のうち、図49(b)において破線で示す範囲のデータを画像信号として表示装置46に出力する。この場合、描画データの一部のピクセルを利用して画像信号が出力されることとなるため、実質的に描画データに対応した画像の一部が拡大された状態で表示装置46における画像表示が行われる。
なお、描画基準点は、画像信号の出力対象となる範囲において4隅のいずれかのドットに対応しているが、いずれのドットを対象とするかは任意である。また、解像度調整用バッファ97aの情報容量は、いずれの拡大用調整値で描画データから階調データへの変換を行ったとしても、当該階調データの全ピクセル分を格納可能な情報容量に設定されている。
上記スケーラ97を利用して画像のズームイン演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。
図50は、表示CPU72にて実行されるズームイン演出用の演算処理を示すフローチャートである。なお、ズームイン演出用の演算処理はタスク処理(図18)におけるステップS815〜ステップS817の各演算処理にて分担して実行されるが、説明の便宜上、ここでは単一のフローチャートとして示す。
先ずステップS2801では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、背景用の画像データを把握する。続くステップS2802では、その把握した背景用の画像データのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該背景用の画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS2803では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、演出用の画像データを把握する。続くステップS2804では、その把握した演出用の画像データのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該演出用の画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続くステップS2805では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、スケーラ97の初期調整値に比して拡大させるタイミングであるか否かを判定する。拡大させるタイミングではない場合には、ステップS2806にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、図柄用の画像データ(すなわち図柄スプライトデータ)を把握する。続くステップS2807では、その把握した図柄用の画像データのパラメータを、スケーラ97が初期調整値に設定されていることに即して演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該図柄用の画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。その後、本演算処理を終了する。
上記のようにズームイン演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、スケーラ97が初期調整値に設定されていることに対応した画像を描画するための描画リストが作成され、VDP76に送信される。
一方、スケーラ97の初期調整値に比して拡大させるタイミングである場合には、ステップS2808にて、今回の拡大用調整値の情報を把握する。各拡大用調整値の情報はNAND型フラッシュメモリ102に予め記憶されており、表示CPU72にて必要となるタイミングまでにワークRAM73に転送されている。データテーブルでは、いずれかの拡大用調整値の情報が設定されており、ステップS2808では、現状設定されているデータテーブルにて示された拡大用調整値の情報を把握する。
続くステップS2809では、今回の描画基準点の情報を把握する。描画基準点の情報は、拡大用調整値の情報に1対1で対応付けて設定されている。また、各描画基準点の情報はNAND型フラッシュメモリ102に予め記憶しており、表示CPU72にて必要となるタイミングまでにワークRAM73に転送されている。データテーブルでは、いずれかの描画基準点の情報が設定されており、ステップS2809では、現状設定されているデータテーブルに示された描画基準点の情報を把握する。続くステップS2810では、ズームイン指定情報を記憶する。
その後、ステップS2811にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、図柄用の画像データを把握する。続くステップS2812では、その把握した図柄用の画像データのパラメータを、スケーラ97が今回の拡大用調整値に設定されていることに即して演算し導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該図柄用の画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。この場合、表示画面G上における図柄の表示位置及び図柄のサイズが、ズームイン演出の実行前タイミングと実行中タイミングとで変更されないように、図柄用の画像データの座標及びサイズが算出される。
具体的には、同一サイズの画像データをスケーラ97で解像度調整した場合、初期調整値での解像度調整に比べて拡大用調整値での解像度調整の方が、サイズは大きくなる。したがって、拡大用調整値での解像度調整後におけるサイズが、初期調整値での解像度調整後におけるサイズと同一となるように、描画リストにて指定する図柄用の画像データのサイズ情報は初期調整値の場合よりも小さく指定される。
また、画像データをスケーラ97で解像度調整した場合、初期調整値での解像度調整に比べて拡大用調整値での解像度調整の方が、画像の位置は拡大される方向に向けて変位する。したがって、拡大用調整値での解像度調整後における位置が、初期調整値での解像度調整後における位置と同一となるように、描画リストにて指定する図柄用の画像データの座標情報は初期調整値の場合よりも拡大方向の反対方向に変位させて指定される。
ステップS2812の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。上記のようにズームイン演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、スケーラ97がいずれかの拡大用調整値に設定されていることに対応した画像を描画するための描画リストが作成され、VDP76に送信される。この場合、当該描画リストには、拡大用調整値の情報、描画基準点の情報、ズームイン演出を実行すべきことを示すズームイン指定情報が含まれる。また、図柄用の画像データについては、同時に指定された拡大用調整値に対応したパラメータの情報が設定される。
ちなみに、上記のようにパラメータの情報に対して拡大用の調整が行われる画像データの数は、当該拡大用の調整が行われない画像データの数以下となっている。
次に、VDP76にて実行されるズームイン演出用の設定処理について、図51のフローチャートを参照しながら説明する。
ズームイン演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、描画リストにおいてズームイン指定情報が設定されている場合に、当該ズームイン演出用の設定処理が実行される。ここで、描画リストでは、ズームイン指定情報が図柄用の画像データに関連付けて設定されているため、ズームイン演出用の設定処理は、今回の描画リストのうち、図柄用の画像データの描画順序となった場合に起動される。
なお、描画リストにおける描画順序では、図柄用の画像データよりも先の順序として、背景用の画像データ及び演出用の画像データが設定されているため、当該ズームイン演出用の設定処理が実行されるタイミングでは、これら背景用の画像データ及び演出用の画像データの描画は完了している。
先ずステップS2901では、描画リストにて指定された拡大用調整値の情報をレジスタ92(図8参照)の専用エリアに書き込むことで設定する。ここで、当該専用エリアは、初期調整値の情報が書き込まれているエリアとは別のエリアとして設定されている。したがって、拡大用調整値の情報が設定されたとしても初期調整値の情報は消去されない。
続くステップS2902では、描画リストにて指定された描画基準点の情報をレジスタ92の専用エリアに書き込むことで設定する。ここで、初期調整値で解像度調整が行われる場合には、常に一定の描画基準点とすれば足りるため、当該初期調整値に対応した描画基準点は表示回路94において予め定められている。
続くステップS2903では、レジスタ92に設定された所定のエリアに拡大用フラグをセットする。当該拡大用フラグがセットされることにより、表示回路94において画像信号の出力を行う場合に、ステップS2901にて設定された拡大用調整値で解像度調整が行われるとともに、ステップS2902にて設定された描画基準点を基準として画像信号の出力対象とする範囲が定められる。なお、拡大用フラグは、ズームイン演出を終了する場合に、表示CPU72からの指示に基づき消去される。
続くステップS2904では、今回の描画対象として指定されている図柄用の画像データ、及びVRAM75の展開用バッファ81において当該図柄用の画像データが転送されているアドレスを把握する。また、ステップS2905にて、図柄用の画像データのパラメータを把握する。その後、本設定処理を終了する。
上記のようにズームイン演出用の設定処理が実行されることにより、今回指定された描画リストに基づいて作成された描画データは、対応する拡大用調整値で解像度調整が行われて階調データに変換され、さらに描画基準点を基準として所定範囲のデータが画像信号として出力される。
画像信号を出力するために表示回路94にて実行される出力用処理について、図52のフローチャートを参照しながら説明する。なお、当該出力用処理は、表示CPU72から画像信号の出力指示がなされた場合に起動されるものであり、実質的に画像の更新開始タイミング(例えば、20msec)となる度に起動される。
先ずステップS3001では、レジスタ92に拡大用フラグがセットされているか否かを判定する。拡大用フラグがセットされていない場合には、ステップS3002にて、初期調整値に対応した線形補間処理を実行する。この場合、レジスタ92の専用エリアから初期調整値の情報が把握され、その初期調整値に応じて線形補間処理が実行される。線形補間処理では、高解像度化に伴うピクセル数の増加分を補間するために、拡大後の各ピクセルの数値情報(又は画素値)を拡大前における4点のピクセルに設定された数値情報から線形補間により求めるバイリニア補間を行う。なお、当該バイリニア補間は、全ピクセルに対してまとめて実行されるのではなく、所定ピクセル数毎に順次実行される。
続くステップS3003では、階調データへの変換が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはステップS3002に戻る。また、完了している場合には、ステップS3004にて、予め定められた初期基準点に基づき出力対象のドットを把握する。
その後、ステップS3005にて、画像信号出力処理を実行した後に、本出力用処理を終了する。当該画像信号出力処理では、ステップS3004において把握したドット分の画像信号が順次出力される。
一方、拡大用フラグがセットされている場合(ステップS3001:YES)には、ステップS3006にて、今回指定されている拡大用調整値に対応した線形補間処理を実行する。この場合、レジスタ92の専用エリアから拡大用調整値の情報が把握され、その拡大用調整値に応じて線形補間処理が実行される。線形補間処理の内容は既に説明したとおりである。
続くステップS3007では、階調データへの変換が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはステップS3006に戻る。また、完了している場合には、ステップS3008にて、今回指定されている描画基準点をレジスタ92の専用エリアから把握し、その把握した描画基準点に基づき出力対象のドットを把握する。
その後、ステップS3005にて、画像信号出力処理を実行した後に、本出力用処理を終了する。当該画像信号出力処理では、ステップS3008において把握したドット分の画像信号が順次出力される。
次に、ズームイン演出の様子について説明する。図53はズームイン演出の様子を説明するための説明図である。また、図53(a)はズームイン演出が行われる直前の画像更新タイミングにおける画像を説明するための説明図であり、図53(b)はその画像更新タイミングの次の画像更新タイミングであってズームイン演出が開始されたタイミングの画像を説明するための説明図である。
図53(a)に示すように、ズームイン演出が行われる直前では、背景画像PC15の手前であってその中央付近にキャラクタCH6が表示されているとともに、左上及び右上に図柄CH7,CH8が表示されている。当該画像は、図柄CH7,CH8でリーチ表示となり、さらにそのリーチ表示の演出としてキャラクタCH6が表示されている状態である。なお、当該画像が表示される場合、出力対象のフレーム領域82a,82bには、図53(a)と同様の相対サイズ及び相対位置で各画像データが描画されている。
上記状態の次の画像更新タイミングでは、ズームイン演出が開始される。この場合、出力対象のフレーム領域82a,82bには、図53(b―1)に示すような相対サイズ及び相対位置で各画像データが描画されている。この描画データに対して拡大用調整値で解像度調整が行われるとともに、描画基準点を基準に把握されたエリアに基づいて画像信号が出力されることで、図53(b―2)に示すような画像が表示される。
当該画像では、図53(a)の画像と比較して、キャラクタCH6にズームインするように、背景画像PC15及びキャラクタCH6が拡大される。一方、図柄CH7,CH8の位置及びサイズは、図53(a)の場合における位置及びサイズと同一、略同一又は同様となっている。
ちなみにキャラクタCH6の同一ラインで比較した場合、図53(a)の状態では図53(c―1)に示すような階調(及び色)でラインが表示されるのに対して、図53(b―2)の状態では図53(c―2)に示すような階調(及び色)でラインが表示される。
また、図53(b―2)に示す画像を表示してから、図53(a)に示す画像を表示することにより、VDP76としては初期調整値による解像度調整に復帰しただけであるが、画像の表示としては、ズームアウトしたような状態となる。つまり、本スロットマシン10では、スケーラ97を利用したズームイン演出だけでなく、スケーラ97を利用したズームアウト演出を行うことができる。さらには、既に説明したとおり、拡大用調整値及び描画基準点の組み合わせは複数種類設定されているため、上記ズームイン演出や上記ズームアウト演出を段階的に行うこともできる。
以上のとおり、スケーラ97を利用してズームイン演出を行うことができるとともに、そのズームインした状態を初期の状態に戻しいくことで、ズームアウト演出を行うことができる。例えば、フレーム領域82a,82bへの描画に際して各画像データを拡大した状態で描画することで、同様にズームイン演出を行うことができるが、この場合、VDP76において描画対象となる全ての画像データについて拡大処理を実行する必要が生じ、VDP76の処理負荷が大きくなってしまう。また、例えば、通常サイズ用の画像データと拡大サイズ用の画像データとを同一の画像に対して予め設定しておく構成も考えられるが、この場合、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の増大化を招いてしまう。これに対して、スケーラ97を利用してズームイン演出を行うことで、画像を拡大表示させるための処理はVDP76の制御部91ではなく表示回路94にて行われる。したがって、制御部91の処理負荷への影響及び画像データを記憶するのに必要な記憶容量への影響を抑えながら、ズームイン演出やズームアウト演出を行うことができる。
また、ズームイン演出を行うか否かに関係なく、フレーム領域82a,82bに作成される描画データのサイズは同一である。これにより、フレーム領域82a,82bへの描画データの作成を、ズームイン演出を行う場合及び行わない場合のいずれであっても同一の処理構成で行うことができる。
また、表示回路94では、ズームイン演出が行われない場合には指定された初期調整値で解像度調整を行うとともに予め定められた初期基準点を基準に画像信号の出力対象とする範囲を把握する構成において、ズームイン演出が行われる場合には参照される調整値及び基準点が変更されるだけである。したがって、ズームイン演出を行わない場合における表示回路94のハード構成を利用しながら、ズームイン演出を行うことができる。
また、ズームイン演出が行われる場合であっても、図柄は拡大表示されない。これにより、ズームイン演出に際して、図柄の視認性が低下してしまうことが阻止される。特に、表示CPU72において図柄用の画像データのパラメータを拡大表示させないパラメータに指定し、VDP76ではそのパラメータに従って図柄用の画像データを描画するだけでよいため、VDP76の処理負荷への影響を抑えながら、図柄の視認性の向上を図ることができる。
また、ズームイン演出が終了した場合にスケーラ97の調整値は初期調整値に復帰される。これにより、ズームイン演出が終了した場合には、表示画面Gの解像度に応じた画像の表示を再開することができる。
なお、表示回路94はプログラムを利用することなく、ハード回路の動作のみで出力用処理(図52)に対応した処理を実行する構成としてもよい。また、表示回路94がVDP76に内蔵されているのではなく、VDP76とは別に設けられている構成としてもよい。この場合、VDP76と表示装置46との間の信号経路上に表示回路94を設けてもよく、当該信号経路とは別にVRAM75と表示装置46との間に信号経路を設けるとともにその信号経路上に表示回路94を設けてもよい。
また、初期調整値及び拡大用調整値がレジスタ92における同一のエリアに書き込まれる構成としてもよい。この場合、ズームイン演出後にはそのエリアの情報を、初期調整値に復帰させる処理を実行するとよい。当該処理は、表示CPU72からの指定に基づき行われる構成としてもよく、VDP76にて独自に行われる構成としてもよい。
また、初期基準点は初期調整値のレジスタ92への設定に際して同じく当該レジスタ92に設定される構成としてもよい。この場合、初期基準点が設定されるエリアと描画基準点が設定されるエリアとが別々に設定されていてもよく、これら各情報が同一のエリアに設定される構成としてもよい。同一のエリアに設定される構成とした場合には、ズームイン演出後にはそのエリアの情報を、初期基準点に復帰させる処理を実行するとよい。当該処理は、表示CPU72からの指定に基づき行われる構成としてもよく、VDP76にて独自に行われる構成としてもよい。
また、パラメータの情報に対して拡大用の調整が行われる画像データは、図柄用の画像データに限定されることはなく、所定の演出用の画像データや背景用の画像データであってもよい。この場合、例えば、拡大対象ではない演出用のキャラクタについて、少なくともその全体が表示されるように拡大用の調整が行われる構成としてもよく、少なくとも位置が変化しないように拡大用の調整が行われる構成としてもよい。
また、スケーラ97とは別に、ズームイン演出又はズームアウト演出を行うために描画データのサイズを調整するための回路が設けられている構成としてもよい。
また、スケーラ97の調整値が初期調整値である場合には、描画データの一部のみが画像信号として出力される構成としてもよい。この場合、スケーラ97の調整値を縮小用調整値に設定した場合に、描画データにおいて画像信号として出力される範囲が広げられる構成とすることで、初期調整値で表示されている状態からのズームアウト演出を行うことが可能となる。
<動画像データを利用した演出>
次に、動画像データを利用した演出について説明する。
動画像データとは、1フレーム分の静止画像データを基準として複数の差分データを有するようにフレーム間圧縮されて、例えばMPEG2方式で符号化された画像データである。当該動画像データがデコードされた場合には、複数フレーム分の静止画像データに展開される。
本スロットマシン10に設定されている動画像データについて、図54を参照しながら説明する。
図54(a)〜(c)に示すように、動画像データとして、分岐前用の動画像データPD54と、分岐後A用の動画像データPD55と、分岐後B用の動画像データPD56と、が設定されている。これら動画像データPD54〜PD56は、リーチ表示のうち、ノーマルリーチ表示後又はノーマルリーチ表示を介することなく発展するスーパーリーチ表示を行うために設定されている。
これら動画像データPD54〜PD56はいずれも、最初のアドレスにファイルデータが設定され、それに続けて各フレームの圧縮データが設定されている。なお、各フレームの圧縮データにはフレームヘッダが付随している。
圧縮データは、基準データに相当する1フレーム分のIピクチャデータと、第1の差分データに相当する複数フレーム分のPピクチャデータと、第2の差分データに相当する複数フレーム分のBピクチャデータと、を有している。
Iピクチャデータは、復号に際して、当該データ単独で1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Pピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータを参照して前方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Bピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータと、1フレーム又は複数フレーム後のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータとを参照して双方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。
各動画像データPD54〜PD56の圧縮データでは、1フレーム目のデータとしてIピクチャデータが設定されている。また、2フレーム目,・・,m―1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、mフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。また、m+1フレーム目,・・,n―1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、nフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。なお、ピクチャデータの配列パターンは上記のものに限定されることはなく任意である。
各動画像データPD54〜PD56に設定されている画像の内容について、図55を参照しながら説明する。図55(a)は分岐前用の動画像データPD54に設定されている画像の一部の内容を示しており、図55(b)は分岐後A用の動画像データPD55に設定されている画像の一部の内容を示しており、図55(c)は分岐後B用の動画像データPD56に設定されている画像の一部の内容を示している。
分岐前用の動画像データPD54には、図55(a―1)に示すように、波立っている様子を示す分岐前用の背景画像PC16に重ねるようにして、男の子キャラクタである移動対象キャラクタCH9が付加された画像に対応した基準データ(Iピクチャデータ)PD57が設定されている。また、図55(a―2),(a―3)に示すように、背景画像PC16を有さないが、移動対象キャラクタCH9が所定方向に移動していく画像に対応した差分データ(Pピクチャデータ、Bピクチャデータ)PD58,PD59が設定されている。基準データPD57により1フレーム分の静止画像データが作成されるとともに基準データPD57に差分データPD58,PD59が適用されることにより、基準データPD57に設定された背景画像PC16に対して各差分データPD58,PD59に設定された移動対象キャラクタCH9が付加された1フレーム分の静止画像データが作成される。
分岐後A用の動画像データPD55には、図55(b―1)に示すように、多数のクラゲが示された分岐後A用の背景画像PC17に重ねるようにして、同一の男の子キャラクタである移動対象キャラクタCH9が付加された画像に対応した基準データ(Iピクチャデータ)PD60が設定されている。また、図55(b―2),(b―3)に示すように、背景画像PC17を有さないが、移動対象キャラクタCH9が所定方向に移動していく画像に対応した差分データ(Pピクチャデータ、Bピクチャデータ)PD61,PD62が設定されている。基準データPD60により1フレーム分の静止画像データが作成されるとともに、基準データPD60に差分データPD61,PD62が適用されることにより、基準データPD60に設定された背景画像PC17に対して各差分データPD61,PD62に設定された移動対象キャラクタCH9が付加された1フレーム分の静止画像データが作成される。
分岐後B用の動画像データPD56には、図55(c―1)に示すように、多数の魚が示された分岐後B用の背景画像PC18に重ねるようにして、同一の男の子キャラクタである移動対象キャラクタCH9が付加された画像に対応した基準データ(Iピクチャデータ)PD63が設定されている。また、図55(c―2),(c―3)に示すように、背景画像PC18を有さないが、移動対象キャラクタCH9が所定方向に移動していく画像に対応した差分データ(Pピクチャデータ、Bピクチャデータ)PD64,PD65が設定されている。基準データPD63により1フレーム分の静止画像データが作成されるとともに、基準データPD63に差分データPD64,PD65が適用されることにより、基準データPD63に設定された背景画像PC18に対して各差分データPD64,PD65に設定された移動対象キャラクタCH9が付加された1フレーム分の静止画像データが作成される。
各動画像データPD54〜PD56を用いて、演出分岐対応のスーパーリーチ表示が実行される。具体的には、当該スーパーリーチ表示が開始された場合には、分岐前用の動画像データPD54から作成された各静止画像データにより分岐前演出が実行される。
その後、分岐タイミングとなることで、分岐後A用演出又は分岐後B用演出のいずれかが選択される。当該選択は、分岐タイミングよりも前の判定用タイミングにおいて演出用操作装置43が操作された場合に分岐後A用演出が選択され、当該判定用タイミングにおいて演出用操作装置43が操作されなかった場合に分岐後B用演出が選択される。分岐後A用演出が選択された場合には、分岐後A用の動画像データPD55から作成された各静止画像データにより分岐後A用演出が実行される。一方、分岐後B用演出が選択された場合には、分岐後B用の動画像データPD56から作成された各静止画像データにより分岐後B用演出が実行される。
なお、分岐後A用演出又は分岐後B用演出のいずれかを選択する具体的な契機は上記のものに限定されることはなく、上記判定用タイミングにおいて特定操作態様で演出用操作装置43が操作された場合、上記判定用タイミングにおいて特定回数又は特定期間に亘って演出用操作装置43が操作された場合、又は今回のスーパーリーチ表示が開始されてから分岐タイミングとなるまでに予め定められた入球部に遊技球が1個又は複数個入球している場合に、一方の演出が選択される構成としてもよい。
上記動画像データPD54〜PD56を用いてスーパーリーチ表示を行うための具体的な処理構成を説明する。
図56は、表示CPU72にて実行される動画像用の演算処理を示すフローチャートである。動画像用の演算処理はタスク処理(図18)におけるステップS815の背景用演算処理にて実行される。なお、当該動画像用の演算処理は、上記スーパーリーチ表示が行われる遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS3101では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、分岐タイミング以降であるか否かを判定する。分岐前のタイミングである場合には、ステップS3102にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、分岐前演出の実行中であるか否かを判定する。
分岐前演出の実行中でない場合には、上記スーパーリーチ表示の開始タイミングよりも前のタイミングであることを意味するため、ステップS3103に進む。ステップS3103では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、分岐前用の動画像データPD54をデコードするタイミングであるか否かを判定する。
分岐前用の動画像データPD54をデコードするタイミングである場合には、ステップS3104にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて各種アドレスを把握する。具体的には、VRAM75の展開用バッファ81において分岐前用の動画像データPD54が事前転送されているアドレスと、当該分岐前用の動画像データPD54をデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、上記変更用エリア81bにおいてそれら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。
その後、ステップS3105にて、分岐前用のデコード指定情報を記憶する。ちなみに、ステップS3103にて判定するタイミングは、分岐前演出が開始されるまでに分岐前用の動画像データPD54のデコードが完了するように設定されている。
ステップS3103にて否定判定をした場合、又はステップS3105の実行後には、ステップS3106にて、分岐前演出が発生する前のタイミングに対応した演算処理を実行する。具体的には、現状設定されているデータテーブルに基づいて、背景用の画像データを把握するとともに、その画像データの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。その後、本演算処理を終了する。
上記のように動画像用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、分岐前演出が発生する前のタイミングに対応した画像における背景用の画像データを描画対象として含む描画リストが作成され、VDP76に送信される。また、今回の演算処理が分岐前用の動画像データPD54をデコード指定するタイミングである場合には、当該デコードを行うべきことを示すデコード指定情報と、分岐前用の動画像データPD54に係る上記各種アドレスの情報とが描画リストに設定される。
ステップS3102にて、分岐前演出の実行中であると判定した場合には、ステップS3107に進む。ステップS3107では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、分岐後用の動画像データPD55,PD56をデコードするタイミングであるか否かを判定する。
分岐後用の動画像データPD55,PD56をデコードするタイミングである場合には、ステップS3108にて、デコード対象が分岐後A用の動画像データPD55であるか否かを判定する。具体的には、データテーブルには分岐タイミングよりも前の判定用タイミングにおいて演出用操作装置43が操作されたか否かの判定を行うべきキーが設定されており、当該キーが確認された場合には、ワークRAM73に演出用操作装置43が操作されたことを示すフラグがセットされているか否かを判定する。ちなみに、当該フラグは、表示CPU72のV割込み処理(図14)におけるステップS602にて操作発生コマンドの受信が確認された場合に、ステップS603のコマンド対応処理にてセットされる。ステップS3108では、演出用操作装置43が操作されたことを示すフラグがセットされていた場合に肯定判定をし、当該フラグがセットされていなかった場合に否定判定をする。
デコード対象が分岐後A用の動画像データPD55である場合(ステップS3108:YES)には、ステップS3109にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて各種アドレスを把握する。具体的には、VRAM75の展開用バッファ81において分岐後A用の動画像データPD55が事前転送されているアドレスと、当該分岐後A用の動画像データPD55をデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、上記展開用バッファ81においてそれら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。その後、ステップS3110にて、分岐後A用のデコード指定情報を記憶する。
一方、デコード対象が分岐後B用の動画像データPD56である場合(ステップS3108:NO)には、ステップS3111にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて各種アドレスを把握する。具体的には、VRAM75の展開用バッファ81において分岐後B用の動画像データPD56が事前転送されているアドレスと、当該分岐後B用の動画像データPD56をデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、上記展開用バッファ81においてそれら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。その後、ステップS3112にて、分岐後A用のデコード指定情報を記憶する。
ちなみに、ステップS3107にて判定するタイミングは、いずれかの分岐後用演出が開始されるまでに、対象となる分岐後用の動画像データPD55,PD56のデコードが完了するように設定されている。
ステップS3107にて否定判定をした場合又はステップS3110若しくはステップS3112の実行後は、ステップS3113に進む。ステップS3113では、分岐前用の動画像データから作成された静止画像データのうち今回のフレーム番号に対応した静止画像データが格納されているアドレスを把握する。このアドレスの把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。続くステップS3114では、その静止画像データのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該静止画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。その後、ステップS3115にて、動画像データから作成した静止画像データを使用することを示す動画像指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように動画像用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、分岐前用の動画像データから作成された静止画像データを描画対象として含むとともに、その静止画像データのパラメータが設定された描画リストが作成され、VDP76に送信される。また、今回の演算処理が分岐後A用の動画像データPD55をデコード指定するタイミングである場合には、当該デコードを行うべきことを示すデコード指定情報と、分岐後A用の動画像データPD55に係る上記各種アドレスの情報とが描画リストに設定される。一方、今回の演算処理が分岐後B用の動画像データPD56をデコード指定するタイミングである場合には、当該デコードを行うべきことを示すデコード指定情報と、分岐後B用の動画像データPD56に係る上記各種アドレスの情報とが描画リストに設定される。
なお、上記静止画像データには背景画像と演出用画像とが混在しているため、当該静止画像データとは別に演出用画像を設定する必要がない。したがって、静止画像データが描画対象として設定された場合には、ステップS816の演出用演算処理はスキップされる。但し、図柄は静止画像データとは別に表示されるため、図柄用演算処理はスキップされない。これは静止画像データが描画リストに設定される他の場合も同様である。
ステップS3101にて、分岐タイミング以降であると判定した場合には、ステップS3116に進む。ステップS3116では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、実行対象の演出が分岐後A用演出であるか否かを判定する。ちなみに、ステップS3108にて肯定判定された場合には、データテーブルにおいて分岐後に参照すべきデータとして分岐後A用演出に対応したデータが設定されるとともに、否定判定された場合には、データテーブルにおいて分岐後に参照すべきデータとして分岐後B用演出に対応したデータが設定される。
実行対象の演出が分岐後A用演出である場合には、ステップS3117に進む。ステップS3117では、分岐後A用の動画像データから作成された静止画像データのうち今回のフレーム番号に対応した静止画像データが格納されているアドレスを把握する。このアドレスの把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。続くステップS3118では、その静止画像データのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該静止画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。その後、ステップS3119にて、動画像データから作成した静止画像データを使用することを示す動画像指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように動画像用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、分岐後A用の動画像データから作成された静止画像データを描画対象として含むとともに、その静止画像データのパラメータが設定された描画リストが作成され、VDP76に送信される。
実行対象の演出が分岐後B用演出である場合には、ステップS3120に進む。ステップS3120では、分岐後B用の動画像データから作成された静止画像データのうち今回のフレーム番号に対応した静止画像データが格納されているアドレスを把握する。このアドレスの把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。続くステップS3121では、その静止画像データのパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報を、ワークRAM73において当該静止画像データに対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。その後、ステップS3122にて、動画像データから作成した静止画像データを使用することを示す動画像指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように動画像用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS608)において、分岐後B用の動画像データから作成された静止画像データを描画対象として含むとともに、その静止画像データのパラメータが設定された描画リストが作成され、VDP76に送信される。
次に、VDP76の動画デコーダ93にて実行されるデコード処理について、図57(a)のフローチャートを参照しながら説明する。当該デコード処理は、表示CPU72から送信される描画リストにいずれかのデコード指定情報が設定されている場合に起動される。また、当該デコード処理は、VDP76の制御部91にて実行される描画処理(図16)や表示回路94にて実行される出力用処理(図52)とは非同期で起動される。
先ずステップS3201では、描画リストにて指定された転送先アドレスの情報から、今回指定されている動画像データのアドレスを把握する。続くステップS3202では、描画リストにて指定された展開先アドレスの情報から、動画像データの展開先のエリアを把握する。
続くステップS3203では、ステップS3201にて把握したアドレスから動画像データを読み出すとともに、当該動画像データをデコードする。そして、そのデコード結果の各静止画像データを、ステップS3202にて把握したアドレスの各エリアに書き込む。その後、本デコード処理を終了する。
次に、VDP76にて実行される動画像用の設定処理について、図57(b)のフローチャートを参照しながら説明する。
動画像用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS704にて実行される内容把握処理の一部の処理として実行される。また、描画リストにおいて動画像指定情報が設定されている場合に、当該動画像用の設定処理が実行される。ここで、描画リストでは、動画像指定情報が、描画対象の静止画像データに関連付けて設定されているため、動画像用の設定処理は、今回の描画リストのうち、静止画像データの描画順序となった場合に起動される。
なお、描画リストにおける描画順序では、図柄用の画像データよりも先の順序として、静止画像データが設定されているため、当該動画像用の設定処理が実行されて静止画像データが描画された後に、図柄の描画が行われる。
先ずステップS3301では、今回の設定対象の静止画像データが格納されているアドレスの情報を、描画リストから把握する。続くステップS3302では、ステップS3301にて把握したアドレスの情報から今回の描画対象の静止画像データを把握する。続くステップS3303では、当該静止画像データのパラメータを描画リストに設定されている情報から把握する。その後、本設定処理を終了する。
上記のように動画像用の設定処理が実行されることにより、その後の書き込み処理(ステップS705)にて、描画対象のフレーム領域82a,82bに対して、パラメータが適用された状態で静止画像データが描画される。また、今回の描画リストには図柄用の画像データも設定されているため、その静止画像データに対応した静止画の手前にて図柄が表示されるように、図柄用の画像データが描画される。そして、その描画データに基づいて表示装置46に画像信号が出力されることで、スーパーリーチ表示を構成する1フレーム分の画像が表示画面Gに表示される。
以上のとおり、動画像データPD54〜PD56を用いてスーパーリーチ表示に対応した一連の画像が表示されることとなるため、動画像データPD54〜PD56の各フレーム分の画像を静止画像データとして個別に記憶しておく構成に比べ、NAND型フラッシュメモリ102において画像データを記憶しておくために必要な記憶容量を抑えながら、上記スーパーリーチ表示の演出を実写映像や高精細な画像を利用して行うことができる。
また、スーパーリーチ表示では、分岐タイミングまでは分岐前演出が行われるとともに、分岐タイミング以降においては、演出用操作装置43への操作態様に応じて、進行先の演出の内容が切り換えられる。これにより、スーパーリーチ表示が画一的なものとなってしまうことが抑えられ、多様な演出を提供することができる。
この場合に、動画像データPD54〜PD56は、分岐前演出に対応した分岐前用の動画像データPD54と、分岐後A用演出に対応した分岐後A用の動画像データPD55と、分岐後B用演出に対応した分岐後B用の動画像データPD56とに区別して設定されている。したがって、分岐タイミングまでは、分岐前用の動画像データPD54をデコードすることで作成した各静止画像データを、当該動画像データPD54にて設定されているフレーム順序で順次描画していくだけで、分岐前演出を行うことができる。また、分岐タイミング以降は、両分岐後用の動画像データPD55,PD56のうち実行対象に対応した側をデコードすることで作成した各静止画像データを、当該動画像データPD55,PD56にて設定されているフレーム順序で順次描画していくだけで、対象となる分岐後用演出を行うことができる。
動画像データからデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合には、その動画像データにおいて設定されているフレーム順序で各静止画像データを描画していく必要があるため、単一の動画像データにおいて上記分岐に対応しようとしても困難である。また、分岐前演出及び分岐後A用演出が設定された単一の動画像データと、分岐前演出及び分岐後B用演出が設定された単一の動画像データとの両方を予め用意しておく構成も考えられる。しかしながら、動画像データは最初の順番のフレームに対応した静止画像データから出力していく必要があるため、途中の順番のフレームから静止画像データを出力することが困難である。そうすると、スーパーリーチ表示が開始された場合には、各動画像データの両方をデコードしておく必要が生じてしまう。この場合、VDP76の処理負荷が増加してしまうことが懸念されるとともに、VRAM75の記憶容量を増大化させる必要も生じる。これら想定される各構成に比して、上記のように動画像データPD54〜PD56を区別して用意しておくことで、分岐タイミングまでの状況に応じて使用対象の動画像データPD54〜PD56を切り換えればよいため、上記のようなスーパーリーチ表示を好適に実行することができる。
また、スーパーリーチ表示を開始する場合には、分岐前用の動画像データPD54に対してデコードを行い、分岐後A用の動画像データPD55及び分岐後B用の動画像データPD56に対してはデコードを行わない。これにより、全動画像データPD54〜PD56に対してまとめてデコードを行う構成に比べ、スーパーリーチ表示を開始させる際の処理負荷の軽減が図られる。
また、分岐後A用演出及び分岐後B用演出のいずれに振り分けるかの判定が、分岐前演出の実行途中であって分岐タイミングよりも前に行われ、当該分岐タイミングとなるまでに、分岐後A用の動画像データPD55及び分岐後B用の動画像データPD56のうち振分先の演出に対応した動画像データのみに対してデコードが行われる。これにより、分岐前演出の完了後の新たな動画表示の開始を円滑に行うことができる。また、分岐後用の両動画像データがデコードされる構成に比べ、デコードに係る処理負荷が抑えられるとともに、VRAM75においてデコード用に必要な記憶容量の削減が図られる。
なお、上記のように動画像データPD54〜PD56を区別して記憶する構成を、分岐タイミングまでの状況に応じて進行先の演出が任意に選択される演出とは異なる演出に対して適用してもよい。例えば、開始タイミングから途中までは共通し、その途中からの態様がそれぞれ異なる第1の演出(第1のリーチ表示)及び第2の演出(第2のリーチ表示)が設定されている構成において、開始から途中までの画像を表示させるための第1の動画像データと、途中からの態様に対応した第2の動画像データ及び第3の動画像データとを有する構成としてもよい。この場合、第1の動画像データを共通して使用することができるため、それぞれの演出に対して全体分の動画像データを個別に有する構成に比べ、全体のデータ容量を抑えることができる。
また、例えば、表示演出として、ノーマルリーチ表示のみが行われる場合、ノーマルリーチ表示が行われた後に第1のスーパーリーチ表示が行われる場合、及びノーマルリーチ表示が行われた後に第2のスーパーリーチ表示が行われる場合が設定されている構成において、ノーマルリーチ表示用の動画像データと、第1のスーパーリーチ表示用の動画像データと、第2のスーパーリーチ表示用の動画像データと、が設定されている構成としてもよい。この場合、ノーマルリーチ表示を行う遊技回では、ノーマルリーチ表示用の動画像データから作成した静止画像データを順次表示すればよい。また、ノーマルリーチ表示を行った後に第1のスーパーリーチ表示を行う遊技回では、ノーマルリーチ表示用の動画像データから作成した静止画像データを順次表示させた後に、第1のスーパーリーチ表示用の動画像データから作成した静止画像データを順次表示すればよい。また、ノーマルリーチ表示を行った後に第2のスーパーリーチ表示を行う遊技回では、ノーマルリーチ表示用の動画像データから作成した静止画像データを順次表示させた後に、第2のスーパーリーチ表示用の動画像データから作成した静止画像データを順次表示すればよい。
本構成によれば、第1のスーパーリーチ表示を行う遊技回及び第2のスーパーリーチ表示を行う遊技回のそれぞれにおいて、ノーマルリーチ表示用の動画像データを共通して使用すればよいため、第1のスーパーリーチ表示の動画像データ及び第2のスーパーリーチ表示の動画像データのそれぞれにノーマルリーチ表示の内容が含まれている構成に比べ、全体のデータ容量を抑えることができる。
また、分岐前演出後又は共通演出後の態様は2パターンに限定されることはなく、3パターン、4パターン又は5パターン以上であってもよい。この場合、上記のように動画像データPD54〜PD56を個別に有することによる効果がより高められる。
また、動画デコーダ93はプログラムを利用することなく、ハード回路の動作のみでデコード処理(図57(a))に対応した処理を実行する構成としてもよい。また、動画デコーダ93がVDP76に内蔵されているのではなく、VDP76とは別に設けられている構成としてもよい。この場合、VDP76と表示装置46との間の信号経路上に動画デコーダ93を設けてもよく、当該信号経路とは別にVRAM75と表示装置46との間に信号経路を設けるとともにその信号経路上に動画デコーダ93を設けてもよい。
また、分岐後の演出の判定用タイミングが分岐タイミングと同一又はそれに近いタイミングである構成においては、分岐前演出が実行されている期間において分岐後A用の動画像データPD55及び分岐後B用の動画像データPD56の両方に対してデコードを行う構成としてもよい。
また、上記のように複数種類の動画像データを用いる構成を、リーチ演出ではなく、大当たり演出やリーチ前の予告演出に対して適用してもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
表示制御装置70に設けられたNAND型フラッシュメモリ102は、その仕様に起因して、NOR型フラッシュメモリに比べてデータ転送速度が遅い。これに対して、初期起動用のブートデータがNAND型フラッシュメモリ102よりも読み出しに要する速度が速いブート用メモリ119に予め記憶されていることにより、表示CPU72への動作電力の供給が開始された場合や、スロットマシン10のリセットが行われた場合には、表示CPU72において初期起動用の処理を速やかに開始することができる。よって、NAND型フラッシュメモリ102に初期起動用のプログラムデータが記憶されている構成に比べ、表示CPU72における制御を円滑に開始させることができる。
また、主制御装置50のROM53にはNOR型フラッシュメモリといったランダムアクセスが可能なメモリを用い、表示制御装置70のメモリモジュール74にはNAND型フラッシュメモリ102を用いることで、上流側の制御手段である主制御装置50については制御プログラムデータの読み出しに関する構成の簡素化を図りつつ、下流側の制御手段である表示制御装置70については予め記憶可能なデータの大容量化を重視した構成とすることができる。
図17〜図19を用いて説明したように、表示CPU72では、所定のフレームにおいて表示画面Gへの表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて表示画面Gへの表示対象に含まれる可能性がある個別画像に対応した画像データに対して、パラメータ導出用の制御開始処理を事前に行う。これにより、制御開始対象となる個別画像が1処理回において多数存在しないように制御開始タイミングを分散することが可能となり、処理落ちの発生を阻止することができる。
図20〜図23を用いて説明したように、複数フレーム分のデータを含むスクロール用背景データを、複数の分割パーツデータとして予め記憶することにより、NAND型フラッシュメモリ102において単一の画像データとして記憶可能なサイズを過剰に大きく設定する必要がなくなる。また、スクロール用背景データを単一の画像データとして転送しようとすると、その転送時間が長時間化してしまうこととなるが、分割パーツデータ単位で転送することができるため、データ転送のタイミング調整が容易なものとなる。
図24及び図25を用いて説明したように、小単位群を変位させるアニメーションを表示させる場合に、各小単位群を個別のスプライトとして制御するのではなく、複数の小単位画像がまとめて設定された静止画像を順次切り換えるように制御する構成である。これにより、表示CPU72における処理負荷を抑えながら、小単位群の変位背景画像を表示させることができる。
図26〜図29を用いて説明したように、エフェクトデータPD17がフレーム領域82a,82bに設定される場合、加算処理が実行される。これにより、エフェクトデータPD17に対応したエフェクト画像CH2は、当該エフェクト画像CH2が重ね合わせられる画像(例えば、背景画像)の色情報や明るさの度合いが反映された状態で表示される。エフェクト画像CH2は、光や水飛沫といったように奥側のものを透過させる画像であるため、背景画像と無関係に表示されると違和感が生じる。これに対して、加算処理が実行されることで、背景画像が反映された状態でエフェクト画像CH2が表示されることとなり、上記違和感を生じさせることなく、見た目上、好ましいものとなる。
図30〜図32を用いて説明したように、エフェクトデータPD18が描画される単位エリアには、そこに既に格納されている数値情報が部分加算用データPD19のα値分の割合で低数値化された後の数値情報に対して、エフェクトデータPD18の数値情報が加算された結果の数値情報が設定される。これにより、エフェクトデータPD18の描画後において、フレーム領域82a,82bの単位エリアにおけるRGBの各数値情報が最大値となってしまうことが抑えられ、白とびの発生を抑制することができる。
図33及び図34を用いて説明したように、複数のエフェクト画像を同時に表示させるための合成データが作成され、その後の使用に際しては当該合成データが使用される。これにより、複数エフェクト演出の実行タイミングとなる度に複数のエフェクトデータを描画する構成に比べ、表示CPU72やVDP76の処理負荷を軽減させることができる。
図35〜図40を用いて説明したように、αデータやαパレットデータを利用して、図柄やキャラクタといった個別画像の部分表示が行われる。これにより、VDP76にて画像データの部分的な取り扱いができない構成において、個別画像の部分表示を行うことができる。また、これらαデータやαパレットデータは画像データに比べてデータ容量が小さい。したがって、部分表示対象の個別画像に対して全体表示用の画像データ及び部分表示用の画像データを個別に用意する構成に比べ、画像データを記憶するのに必要な記憶容量の増大化を抑えながら、個別画像の部分表示を行うことができる。
図41〜図45を用いて説明したように、ワイプ切換演出を行いながら背景画像の切換が複数フレーム分に亘って除々に行われることにより、背景画像の切換態様を斬新なものとすることができるとともに、背景画像の切換態様を多様化することも可能となる。この場合に、先側表示タイミングの画像を構成する各画像データPD39〜PD42をリンクさせて、そのリンクさせた画像データに対してワイプ切換演出用のαデータPD46,PD47を合成させる構成であるため、各画像データPD39〜PD42について個別にワイプ切換演出用のαデータを合成させる構成に比べ、表示CPU72やVDP76における処理負荷を軽減させることができる。
図46〜図48を用いて説明したように、円滑移動用のスプライトCH5を表示するための画像データとして、当該スプライトCH5の移動方向に相互に半ドット分ずれた関係となる第1のスプライトデータPD48と第2のスプライトデータPD49とが記憶されている。そして、それらスプライトデータPD48,PD49が交互に用いられる。これにより、円滑移動用のスプライトCH5が1フレーム毎にフレーム領域82a,82bを基準として半ドット分又は表示画面Gを基準としてそれに対応した分進行しているかのように表示させることが可能となり、当該スプライトCH5を円滑に移動表示させることができる。
図49〜図53を用いて説明したように、スケーラ97を利用してズームイン演出を行うことができるとともに、そのズームインした状態を初期の状態に戻しいくことで、ズームアウト演出を行うことができる。例えば、フレーム領域82a,82bへの描画に際して各画像データを拡大した状態で描画することで、同様にズームイン演出を行うことができるが、この場合、VDP76において描画対象となる全ての画像データについて拡大処理を実行する必要が生じ、VDP76の処理負荷が大きくなってしまう。また、例えば、通常サイズ用の画像データと拡大サイズ用の画像データとを同一の画像に対して予め設定しておく構成も考えられるが、この場合、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の増大化を招いてしまう。これに対して、スケーラ97を利用してズームイン演出を行うことで、画像を拡大表示させるための処理はVDP76の制御部91ではなく表示回路94にて行われる。したがって、制御部91の処理負荷への影響及び画像データを記憶するのに必要な記憶容量への影響を抑えながら、ズームイン演出やズームアウト演出を行うことができる。
図54〜図57を用いて説明したように、動画像データPD54〜PD56は、分岐前演出に対応した分岐前用の動画像データPD54と、分岐後A用演出に対応した分岐後A用の動画像データPD55と、分岐後B用演出に対応した分岐後B用の動画像データPD56とに区別して設定されている。したがって、分岐タイミングまでは、分岐前用の動画像データPD54をデコードすることで作成した各静止画像データを、当該動画像データPD54にて設定されているフレーム順序で順次描画していくだけで、分岐前演出を行うことができる。また、分岐タイミング以降は、両分岐後用の動画像データPD55,PD56のうち実行対象に対応した側をデコードすることで作成した各静止画像データを、当該動画像データPD55,PD56にて設定されているフレーム順序で順次描画していくだけで、対象となる分岐後用演出を行うことができる。
動画像データからデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合には、その動画像データにおいて設定されているフレーム順序で各静止画像データを描画していく必要があるため、単一の動画像データにおいて上記分岐に対応しようとしても困難である。また、分岐前演出及び分岐後A用演出が設定された単一の動画像データと、分岐前演出及び分岐後B用演出が設定された単一の動画像データとの両方を予め用意しておく構成も考えられる。しかしながら、動画像データは最初の順番のフレームに対応した静止画像データから出力していく必要があるため、途中の順番のフレームから静止画像データを出力することが困難である。そうすると、スーパーリーチ表示が開始された場合には、各動画像データの両方をデコードしておく必要が生じてしまう。この場合、VDP76の処理負荷が増加してしまうことが懸念されるとともに、VRAM75の記憶容量を増大化させる必要も生じる。これら想定される各構成に比して、上記のように動画像データPD54〜PD56を区別して用意しておくことで、分岐タイミングまでの状況に応じて使用対象の動画像データPD54〜PD56を切り換えればよいため、上記のようなスーパーリーチ表示を好適に実行することができる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、電気的構成が上記第1の実施形態と異なっている。以下、上記第1の実施形態との相違点について説明する。図58は、本実施形態における電気的構成を示すブロック図である。
図58に示す構成では、上記第1の実施形態と同様に、主制御装置50を備えている。また、主制御装置50から送信されるコマンドに基づいて上部ランプ部44やスピーカ部45を駆動制御するとともに演出用操作装置43からの操作信号を受ける音声発光制御装置66が設けられており、さらに当該音声発光制御装置66から送信されるコマンドに基づいて表示装置46を制御する表示制御装置130が設けられている。
表示制御装置130のハード構成が、上記第1の実施形態における表示制御装置70と異なっている。以下、表示制御装置130のハード構成について説明する。
表示制御装置130は、図58に示すように、表示CPU131と、ワークRAM132と、メモリモジュール133と、VRAM134と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)135と、が搭載された表示制御基板136を備えている。
表示CPU131は、表示制御装置130においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。詳細には、表示CPU131は表示制御基板136に搭載された入力ポート137に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置66から送信された各種コマンドは入力ポート137を通じて表示CPU131に入力される。なお、表示CPU131において音声発光制御装置66からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置66からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
表示CPU131は、バスを介してワークRAM132、メモリモジュール133及びVRAM134と接続されており、音声発光制御装置66から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール133に記憶された各種データをワークRAM132やVRAM134に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU131は、バスを介してVDP135と接続されており、音声発光制御装置66から受信したコマンドに基づいて、表示装置46に3D画像を表示させるための描画指示を行う。以下、メモリモジュール133、ワークRAM132、VRAM134及びVDP135について説明する。
メモリモジュール133は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データ(制御用情報)を予め記憶しているとともに、3D画像を表示するための各種画像データ(画像用情報)を予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール133は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてNAND型フラッシュメモリが用いられている。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール133は、スロットマシン10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
メモリモジュール133に記憶されている各種画像データには、表示装置46に表示される図柄やキャラクタなどのオブジェクト用の画像データと、当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャ用の画像データと、1フレーム分の画像において最背面の画像を構成する背面用の画像データとが含まれている。
ここで、オブジェクトとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系(ワールド空間)に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクト用の画像データには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクト毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクト用の画像データでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャ用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
最背面の画像は、2次元画像を構成している。背面用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えば2次元の静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。ちなみに、当該背面用の画像データがワールド座標系に配置される場合には板ポリゴンが利用される。
ワークRAM132は、メモリモジュール133から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM132は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM132は、スロットマシン10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
ワークRAM132には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から制御用データが転送される。この場合、当該制御用データは、その制御用データに対応した表示CPU131における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。そして、表示CPU131は、ワークRAM132に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
VRAM134は、表示装置46に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM134は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM134は、スロットマシン10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
VRAM134は展開用バッファ141を備えており、展開用バッファ141には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP135における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM134には、VDP135により描画データが作成されるフレームバッファ142が設けられている。また、VRAM134には、Zバッファ143、スクリーン用バッファ144及びモード用バッファ145が設けられているが、これらの詳細については後に説明する。
VDP135は、表示CPU131からの描画指示に基づき、展開用バッファ141に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、表示装置46に対して描画を行う画像生成デバイスであり、表示装置46において液晶表示部46aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス46bを操作する一種の描画回路である。VDP135はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
詳細には、VDP135は、ジオメトリ演算部151と、レンダリング部152と、レジスタ153と、表示モード制御部154と、表示回路155と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU131用のI/F156及びVRAM134用のI/F157と接続されている。
表示CPU131用のI/F156は、表示CPU131から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ153に記憶させる。ジオメトリ演算部151は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、配置対象として指定されているオブジェクトをワールド座標系内に配置する。また、ジオメトリ演算部151は、オブジェクトをワールド座標系内に配置する場合及び配置した後に、各種の座標変換処理を実行する。そして、最終的に表示画面Gのスクリーン座標に対応する3次元空間に対応させて、オブジェクトをクリッピングする。
レンダリング部152は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、クリッピングされた各オブジェクトに対して光源調整や、テクスチャの貼付を行い、オブジェクトの外観を決定する。また、レンダリング部152は、各オブジェクトを所定の2次元平面上に投影させて2次元データを作成するとともに、深度情報に基づく各種調整を行い2次元データである1フレーム分の描画データをフレームバッファ142に作成する。1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで表示装置46の表示画面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
なお、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリをVDP135に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容によってジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール133から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。また、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152がプログラムを利用することなく、描画リストに対応したハード回路の動作のみで処理を実行する構成としてもよい。
ここで、フレームバッファ142には、複数のフレーム領域142a,142bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域142aと、第2フレーム領域142bとが設けられている。これら各フレーム領域142a,142bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域142a,142bにはそれぞれ、液晶表示部46a(すなわち表示画面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリアが含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
フレームバッファ142に第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて表示装置46への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ142として、ダブルバッファ方式が採用されている。
表示回路155では、第1フレーム領域142a又は第2フレーム領域142bに作成された描画データに基づいて液晶表示部46aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路155に接続された出力ポート138を介して表示装置46に出力される。詳細には、出力対象のフレーム領域142a,142bから表示回路155へ描画データが転送される。その転送された描画データは表示装置46の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて階調データに変換される。そして、当該階調データに基づいて表示装置46の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。なお、表示回路155からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。
また、表示モード制御部154では、表示モードに対応した画像の表示を行う場合に、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、所定の処理を実行する。当該所定の処理については後に説明する。
<メモリモジュール133の具体的な構成>
次に、メモリモジュール133の具体的な構成について説明する。
図59はメモリモジュール133のハード構成を説明するためのブロック図である。図59に示すように、メモリモジュール133は、コントローラ161と、NAND型フラッシュメモリ162とをワンパッケージング化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ162にはメモリセルアレイが設けられており、当該メモリセルアレイには、表示CPU131の制御プログラムデータを記憶した制御プログラム用の領域163と、表示装置46にて画像を表示させるために用いられる画像データを記憶した画像データ用の領域164とが設けられている。
また、画像データ用の領域164は、オブジェクト用の画像データを記憶したオブジェクト記憶領域165と、テクスチャ用の画像データを記憶したテクスチャ記憶領域166と、背面用の画像データを記憶した背面画像記憶領域167とを備えている。また、オブジェクト記憶領域165には、連結オブジェクト用の画像データを記憶した連結オブジェクト記憶領域165aが設けられている。連結オブジェクトについては、後に詳細に説明する。
コントローラ161は、転送指示元の表示CPU131並びにデータ転送先のワークRAM132及びVRAM134との間でデータを送受信する本体側I/F171と、NAND型フラッシュメモリ162との間でデータを送受信する記憶側I/F172と、コントローラ161におけるデータ制御処理及びNAND型フラッシュメモリ162の物理ブロック管理処理を行う制御部であるコントローラCPU173、制御用ROM174及び制御用RAM175と、コントローラCPU173からの転送指示に基づきNAND型フラッシュメモリ162からデータの読み出しを実行する転送実行回路176と、当該転送実行回路176により読み出されたデータを一時的に記憶するキャッシュ用メモリ177と、NAND型フラッシュメモリ162から読み出されたデータのエラー検出及び検出されたエラーの訂正を行う誤り訂正回路178と、を備えている。
一般的にNAND型フラッシュメモリ162は、メモリセルアレイに欠陥を含むブロックが存在しても、そのブロックを避けて使用される。そして、この不良ブロックの有無及び部位は固体毎に異なる。したがって、表示CPU131からメモリモジュール133に送信される論理アドレスをNAND型フラッシュメモリ162における物理ブロックの各ページに対応付ける必要があり、その対応付けがコントローラCPU173にて実行される。
詳細には、制御用ROM174には、論理アドレスと物理ブロックの各ページのアドレスとを対応付けるアドレス管理テーブル(アドレス管理情報群)が予め記憶されている。表示CPU131から受信したアドレス指定コマンドは制御用RAM175のアドレス指定用バッファに一旦格納される。コントローラCPU173では、制御用RAM175にアドレス指定コマンドが格納されている場合、制御用ROM174からアドレス管理テーブルを読み出し、指定されている論理アドレスに対応した物理ブロックのページのアドレスを把握する。そして、コントローラCPU173から転送実行回路176に転送指示が行われ、その転送指示に係る物理アドレスのデータがNAND型フラッシュメモリ162からキャッシュ用メモリ177へ転送されるように、転送実行回路176においてデータ転送処理が実行される。キャッシュ用メモリ177へ転送されたデータは、ワークRAM132又はVRAM134へ転送される。
ちなみに、制御用ROM174として、マスクROMやNOR型フラッシュメモリといったランダムアクセスが可能なメモリが用いられている。また、キャッシュ用メモリ177は、同一容量のデータ読み出しで比較した場合において、その読み出し速度(転送速度)がNAND型フラッシュメモリ162よりも速いものが用いられている。具体的には、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。
また、メモリモジュール133には、表示CPU131における初期起動用のブートデータを予め記憶したブート用メモリ179が設けられている。ブート用メモリ179として、ランダムアクセスが可能なようにマスクROMが用いられており、同一容量のデータ読み出しで比較した場合において、その読み出し速度(転送速度)がNAND型フラッシュメモリ162よりも速いものが用いられている。なお、ブート用メモリ179は、マスクROMに限定されることはなく、NAND型フラッシュメモリ162よりもデータの読み出し速度が速いのであれば、NOR型フラッシュメモリであってもよく、バッテリなどの内部電源を具備したDRAMユニットやSRAMユニットであってもよい。
ブート用メモリ179の記憶容量は、NAND型フラッシュメモリ162の記憶容量よりも小さく設定されている。具体的には、NAND型フラッシュメモリ162における1ページ分の記憶容量と同一、略同一又は同様の記憶容量となっている。ブート用メモリ179には、初期起動用のブートデータが予め記憶されており、表示CPU131において初期起動時の処理が実行される場合には、NAND型フラッシュメモリ162からではなくブート用メモリ179からデータの読み出しが行われる。当該初期起動用のブートデータとして、表示CPU131やVDP135の初期設定を行う命令コード、及びNAND型フラッシュメモリ162に格納されているデータをワークRAM132やVRAM134に転送する命令コードが設定されている。
上記コントローラ161ではデータ転送処理が実行される。当該データ転送処理の内容は、上記第1の実施形態におけるコントローラ101のデータ転送処理(図10)と同様である。また、当該データ転送処理が実行されることによる作用効果も、上記第1の実施形態と同様である。
<ワークRAM132及びVRAM134の展開用バッファ141>
次に、メモリモジュール133から事前にデータが転送されるワークRAM132及びVRAM134の展開用バッファ141について説明する。
先ず、ワークRAM132について説明する。
ワークRAM132には、図58に示すように、転送されたデータを、一旦使用した後であってもその後に使用する可能性がある状況が継続している間、具体的には自身への電力供給が継続されている間は記憶保持する常用エリア132aと、使用後において他のデータの転送に際して上書き対象となる変更用エリア132bとが設けられている。
常用エリア132aには、表示CPU131においてメイン処理(図12)、V割込み処理(図14)及びコマンド割込み処理などを進行させるのに必要なプログラムデータが書き込まれる。常用エリア132aが設けられていることにより、比較的短い間隔で繰り返し実行されるメイン処理、V割込み処理及びコマンド割込み処理などを円滑に開始させることができる。
なお、変更用エリア132bの記憶容量を超えるデータを一時的に記憶させる必要が生じた場合には、表示CPU131における円滑な処理の実行を阻害しない範囲で、常用エリア132aの全部又は一部のデータが一時的に消去される構成としてもよい。この場合、常用エリア132aへのデータの復帰が、対応する処理の開始時までに行われている必要がある。
変更用エリア132bには、それら各処理にて必要に応じて起動されるサブルーチンを実行するのに必要なプログラムデータが書き込まれる。また、変更用エリア132bには、所定のサブルーチンを実行している途中で次に実行されるサブルーチンに必要なプログラムデータが転送されることがあるが、当該転送は実行途中のサブルーチンのプログラムデータを消去しないにように行われる。上記のように変更用エリア132bが設けられていることにより、ワークRAM132の記憶容量がメモリモジュール133の記憶容量よりも小さく抑えられた構成において、データ転送を良好に行うことができる。
ちなみに、ワークRAM132には主制御装置50のRAM54と異なり、バックアップ電力が供給されない。したがって、外部電源からスロットマシン10への電力供給が停止された場合やスロットマシン10の電源がOFF操作された場合には、ワークRAM132にそれまで記憶保持されていたデータは消去又は破壊される。
次に、VRAM134の展開用バッファ141について説明する。
展開用バッファ141には、転送された画像データを、一旦使用した後であってもその後に使用する可能性がある状況が継続している間、具体的には自身への電力供給が継続されている間は記憶保持する常用エリア141aと、使用後において他の画像データの転送に際して上書きされる変更用エリア141bとが設けられている。
常用エリア141aには、表示装置46において図柄の変動表示を開始させる場合に使用されるオブジェクト用の画像データ、テクスチャ用の画像データ及び背面用の画像データが書き込まれるとともに、予め定められた不正や異常を検知した際に異常報知画像を表示させる場合に使用される異常報知データが書き込まれる。常用エリア141aが設けられていることにより、表示CPU131から突発的に描画指示がなされたとしても、VDP135は常用エリア141aにアクセスすることで当該描画指示に対応した画像の描画を良好に行うことができる。
なお、変更用エリア141bの記憶容量を超える画像データを一時的に記憶させる必要が生じた場合には、表示装置46における円滑な画像の表示を阻害しない範囲で、常用エリア141aの全部又は一部のデータが一時的に消去される構成としてもよい。この場合、常用エリア141aへの画像データの復帰が、対応する画像の描画タイミングまでに行われている必要がある。
変更用エリア141bには、オブジェクト用の画像データ、テクスチャ用の画像データ及び背面用の画像データなどが書き込まれる。また、変更用エリア141bには、所定の演出を実行している途中で次の演出に必要な画像データが転送されることがあるが、当該転送は実行途中の演出において必要な画像データを消去しないようにして行われる。上記のように変更用エリア141bが設けられていることにより、展開用バッファ141の記憶容量がメモリモジュール133の記憶容量よりも小さく抑えられた構成において、データ転送を良好に行うことができる。
ちなみに、VRAM134には主制御装置50のRAM54と異なり、バックアップ電力が供給されない。したがって、外部電源からスロットマシン10への電力供給が停止された場合やスロットマシン10の電源がOFF操作された場合には、VRAM134にそれまで記憶保持されていたデータは消去又は破壊される。
<表示CPU131における基本的な処理>
次に、表示CPU131における基本的な処理について説明する。
表示CPU131では、動作電力の供給が開始された場合や、スロットマシン10のリセットが行われた場合に、メイン処理が起動される。メイン処理の内容は、以下の点を除き、上記第1の実施形態の表示CPU72にて実行されるメイン処理(図12)と同様である。
ステップS507にて転送要求が行われる初期画像データは、単なる3D用の画像データではなく、2D用の静止画像データと板ポリゴン用の画像データとの組み合わせである。また、ステップS511にて把握される各種パラメータは、VRAM134において初期画像データが転送されているエリアのアドレス情報、初期画像データを用いて描画データを作成すべき態様のフレーム領域142a,142bの情報、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152において初期画像データから初期画像に対応した描画データを作成するための情報が含まれている。
また、ステップS514にて転送要求が行われる常用画像データは、表示装置46において図柄の変動表示を開始させる場合に使用される背面用の画像データが含まれているとともに、図柄を表示するためのオブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データが含まれている。これら背面用の画像データ及び図柄を表示するための画像データは表示モードの種類に対応させて設定されているが、常用画像データには両表示モードの画像データが含まれている。また、予め定められた不正や異常を検知した際に異常報知画像を表示させる場合に使用される異常報知データが含まれているが、この異常報知データは2D用の静止画像データと板ポリゴン用の画像データとの組み合わせである。
表示CPU131にてメイン処理が実行されることにより、コマンド割込み処理及びV割込み処理を実行することが許容される。コマンド割込み処理の内容は、上記第1の実施形態と同様である。また、V割込み処理の内容は、ステップS607のタスク処理を除き、上記第1の実施形態の表示CPU72にて実行されるV割込み処理(図14)と同様である。
<表示CPU131におけるタスク処理>
ここで、本実施形態におけるタスク処理について、図60のフローチャートを参照しながら説明する。
タスク処理では先ずステップS3401にて、制御開始用の設定処理を実行する。制御開始用の設定処理では、今回の処理回で表示CPU131において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2D画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組み合わせにより規定される一の3D画像のことである。
制御開始用の設定処理について具体的には、先ず現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回で制御開始対象となる個別画像が存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ワークRAM132の変更用エリア132bにおいて、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。さらに、確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行するとともに、初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。
続くステップS3402では、制御更新対象を把握する。この制御更新対象は、制御開始処理が完了している個別画像であって今回の処理回以降に1フレーム分の画像に含まれる可能性がある個別画像が対象となる。
続くステップS3403では、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタについて、ワールド座標系内における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
続くステップS3404では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
続くステップS3405では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄の画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
ちなみに、ステップS3403〜ステップS3405の各処理では、ステップS3401にて設定された制御開始用のパラメータを更新する処理を実行する。また、ステップS3403〜ステップS3405の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、個別画像の種類に応じて定められている。また、アニメーション用データは、NAND型フラッシュメモリ162に予め記憶されており、表示CPU131において読み出す必要があるタイミングとなるまでにワークRAM132に事前転送される。
その後、ステップS3406にてワールド座標系への配置対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。ワールド座標系への配置対象の把握処理では、上記ステップS3403〜ステップS3405の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画リストにおいて描画対象として設定する個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。
つまり、表示CPU131にて制御対象となる個別画像の方が、VDP135にて制御対象となる個別画像よりも多く設定されているため、ステップS3406においてその調整を行っている。但し、これに限定されることはなく、表示CPU131において制御対象となる個別画像と、VDP135において制御対象となる個別画像とが同一である構成としてもよく、この場合、ステップS3406の処理を実行する必要がなくなる。
なお、ステップS3401の制御開始用の設定処理において、表示CPU131の処理負荷を分散させるべく、上記第1の実施形態と同様に、各個別画像の制御開始タイミングが分散させて設定されている構成としてもよい。
<VDP135における基本的な処理>
次に、VDP135にて実行される基本的な処理について説明する。
VDP135では、表示CPU131から送信されたコマンドに基づいてレジスタ153の値を設定する処理、表示CPU131から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ142のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する処理、フレーム領域142a,142bに作成された描画データに基づいて表示装置46に画像信号を出力する処理が少なくとも実行される。
上記各処理のうち、レジスタ153の値を設定する処理は、表示CPU131用のI/F156に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152の協同により、予め定められた周期(例えば、20msec)で繰り返し実行される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路155によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストの内容について説明する。図61(a)〜(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。なお、VDP135にて取り扱う画像データとして動画像データが含まれている場合には、ヘッダ情報において、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データが転送されているアドレスの情報が設定されていてもよい。
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
図61(a)の描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。また、これら演出用の画像データよりも後の順番として、図柄用の画像データが設定されており、例えば図柄用オブジェクトAがn番目、図柄用オブジェクトBがn+1番目、・・・として設定されている。
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・,P(m),P(m+1),・・・,P(n),P(n+1),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背面用の画像データのパラメータP(1)について具体的には、図61(b)に示すように、VRAM134において背面用の画像データが転送されているエリアのアドレスの情報と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
ここで、座標の情報は、オブジェクト用の画像データの全ピクセルについて個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクト用の画像データに対して設定されているが、テクスチャ用の画像データには設定されていない。テクスチャ用の画像データは、各ピクセルの座標値が、オブジェクト用の画像データの各ピクセルに関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でNAND型フラッシュメモリ162に記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際にVDP135により参照される。
また、パラメータ(P1)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
また、パラメータ(P1)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2次元画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。当該Zバッファ法を適用する場合に、VRAM134に設けられたZバッファ143が利用される。Zバッファ143を利用した隠面処理の具体的な処理構成については後に説明する。
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて必要に応じて既に説明したような加算処理や既に説明したような融合用の演算の処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合に起動される。
また、パラメータ(P1)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、背景画像を表示するために作成された背景画像用の描画データについて別保存の有無を示す別保存指定の情報と、が設定されている。
ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU131における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2Dの静止画像データやテクスチャ用の画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリ162に予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャ用の画像データの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、2Dの静止画像データやテクスチャ用の画像データの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
また、フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
また、別保存とは、一旦作成した背景画像用の描画データをその後のフレームにおいてそのまま使用するために、フレーム領域142a,142bとは別に設けられたモード用バッファ145に書き込み保存しておくことをいう。モード用バッファ145には、図58に示すように、各表示モードに1対1で対応するように、第1モード用バッファ145と、第2モード用バッファ145とが設けられている。この別保存の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
また、パラメータP(2)といった他のパラメータでは、図61(c)に示すように、上記図61(b)の各種情報のうち、背景用の画像データの情報に代えて、オブジェクトの情報とテクスチャの情報とが設定されている。これらの情報としては、オブジェクトやテクスチャが転送されているエリアのアドレスの情報が設定されている。
VDP135における描画処理について、図62のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を、図63を参照しながら説明する。
先ずステップS3501では、表示CPU131から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS3502にて、背景用の設定処理を実行する。
背景用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、背景画像を表示するための背面用の画像データ及びキャラクタ用のオブジェクトを把握する。そして、それら画像データやキャラクタ用のオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。
配置されていない場合には、ワールド座標系への配置を行うために参照する空きバッファ領域を画像データ毎に検索し、空きバッファ領域を確保した場合にはその領域の初期化処理を実行する。その後、VRAM134においてその画像データが事前転送されているアドレスを把握して読み出すとともに、描画リストに指定された座標、回転角度及びスケールとなるように、その画像データについてのローカル座標系の座標値をワールド座標系の座標値に変換させるワールド変換処理を実行して、上記確保したバッファ領域に設定する。
配置されている場合には、既に確保されたバッファ領域に設定されている各種パラメータの更新処理を実行する。また、背景用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない背景用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
続くステップS3503では、演出用の設定処理を実行する。演出用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、演出画像を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、演出用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない演出用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
続くステップS3504では、図柄用の設定処理を実行する。図柄用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、図柄を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、図柄用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない図柄用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
上記ステップS3502〜ステップS3504の処理が実行されることにより、図63に示すように、X軸,Y軸,Z軸で規定されたワールド座標系内に、描画リストにより配置対象として指定されている最背面画像PC21と、各種オブジェクトPC22〜PC30とが、同じく描画リストにより指定されている座標、回転角度及びスケールで配置されたシーンの設定が完了する。なお、図63においては、最背面画像PC21や各種オブジェクトPC22〜PC30が配置されている様子を簡易的に示している。
続くステップS3505では、カメラ座標系(カメラ空間)への変換処理を実行する。カメラ座標系への変換処理では、描画リストにより指定されたカメラの情報により、視点の座標及び向きを決定するとともに、その視点の座標及び向きに基づいて、ワールド座標系を、視点を原点としたカメラ座標系(カメラ空間)に変換する。これにより、図63に示すように、カメラ形状で示す視点PC31が設定され、それに対応した座標系が設定された状態となる。
ここで、カメラの情報は、個別画像(最背面画像PC21及び各種オブジェクトPC22〜PC30)毎に設定されており、実際には個別画像毎にカメラ座標系が存在することとなる。このように個別画像毎にカメラ座標系が設定されることにより、視点切換を個別に行うことが可能となり、描画データの作成の自由度が高められる。但し、説明の便宜上、図63には全ての個別画像が単一の視点に設定されている状態を示す。
続くステップS3506では、視野座標系(視野空間)への変換処理を実行する。視野座標系への変換処理では、上記各カメラ座標系を、視点からの視野(視野角)に対応する視野座標系に変換する。これにより、各個別画像について、対応する視点の視野内に含まれている場合にはそれが抽出されるとともに、視点から近い個別画像が拡大されるとともに、視点から遠い個別画像が縮小される。
続くステップS3507では、クリッピング処理を実行する。クリッピング処理では、ステップS3506にて抽出された各個別画像が、それぞれ対応する視点を共通の原点として把握される。そして、その状態で描画対象のフレーム領域142a,142b(すなわち、表示装置46の表示画面G)に応じたスクリーン領域PC32(図63を参照)に対応する空間を基準として、ステップS3506にて抽出された各個別画像をクリッピングする。
続くステップS3508では、ライティング処理を実行する。ライティング処理では、描画リストにより指定されたライトの情報により、仮想光源の種類、座標及び向きを決定するとともに、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトについて上記仮想光源に基づき陰影や反射等を演算する。
続くステップS3509では、テクスチャマッピング処理を実行する。テクスチャマッピング処理では、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトに対して、それぞれに対応するテクスチャを貼り付け、各オブジェクトの外観を決定する。このテクスチャマッピング処理には、単なるテクスチャ用の画像データを貼り付ける処理以外にも、バンプマッピングや透明度マッピングなどの処理も含まれる。
その後、ステップS3510〜ステップS3512にて、ステップS3507にて抽出され、さらにライティング処理やテクスチャマッピング処理が完了した各個別画像を、仮想2次元平面であるスクリーン領域PC32に投影(例えば、透視投影や平行投影)することで描画データを作成する。
具体的には、先ずステップS3510にて、背景用の描画データ作成処理を実行する。背景用の描画データ作成処理では、背景画像として設定されている最背面画像及びオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC32への投影を行うことで、背景用の描画データを作成する。
ここで、VRAM134には、図58に示すようにスクリーン用バッファ144が設けられており、スクリーン用バッファ144には背景用の描画データが書き込まれる背景用のバッファと、演出用の描画データが書き込まれる演出用のバッファと、図柄用の描画データが書き込まれる図柄用のバッファとが設定されている。また、背景用のバッファ、演出用のバッファ及び図柄用のバッファには、スクリーン領域PC32のピクセル数と同一のドット数のエリアが設定されている。ステップS3510にて作成される背景用の描画データは、背景用のバッファに書き込まれる。なお、描画リストにおいて背景用の画像データが指定されていない場合には、背景用の描画データは作成されない。
続くステップS3511では、演出用の描画データ作成処理を実行する。演出用の描画データ作成処理では、演出画像として設定されているオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC32への投影を行うことで、スクリーン用バッファ144における演出用のバッファに演出用の描画データを作成する。なお、描画リストにおいて演出用の画像データが指定されていない場合には、演出用の描画データは作成されない。
続くステップS3512では、図柄用の描画データ作成処理を実行する。図柄用の描画データ作成処理では、図柄として設定されているオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC32への投影を行うことで、スクリーン用バッファ144における図柄用のバッファに図柄用の描画データを作成する。なお、描画リストにおいて図柄用の画像データが指定されていない場合には、図柄用の描画データは作成されない。
その後、ステップS3513にて、描画データ合成処理を実行した後に、本描画処理を終了する。ステップS3513の描画データ合成処理では、ステップS3510〜ステップS3512の処理によりそれぞれ個別にスクリーン用バッファ144に作成されている背景用の描画データと、演出用の描画データと、図柄用の描画データとを合成して、その合成結果を描画対象のフレーム領域142a,142bに1フレーム分の描画データとして書き込む。
この場合、背景用の描画データ→演出用の描画データ→図柄用の描画データの順序で奥側から手前側に並ぶように規定されており、さらに奥行き方向に各画像が重ならないように設定されている。したがって、描画対象のフレーム領域142a,142bに対して、先ず背景用の描画データを書き込み、次に演出用の描画データを書き込み、最後に図柄用の描画データを書き込む。この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像がそのまま利用され、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像と手前側の画像との融合が行われ、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像に対する手前側の画像の上書きが行われるように、既に説明したような融合用の演算が実行される。
ちなみに、各描画データは1フレーム分の面積を有するように規定されているが、演出用の描画データや図柄用の描画データにおいて投影が行われなかったブランク部分については完全透過のα値が設定されている。
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路155から表示装置46に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。また、表示回路155は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域142a,142bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、描画データの描画対象となっているフレーム領域142a,142bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
なお、上記ステップS3502〜ステップS3507までがジオメトリ演算部151により実行される処理であり、上記ステップS3508〜ステップS3513がレンダリング部152により実行される処理である。
<Zバッファ143を利用したマスク表示>
次に、Zバッファ143を利用したマスク表示について説明する。
Zバッファ143は、既に説明したとおり、Zバッファ法による隠面消去を行う場合に利用される。ここで、VDP135にて実行されるZバッファを用いた隠面処理について、図64のフローチャートを参照しながら説明する。
Zバッファを用いた隠面処理は、描画リストにてZテスト指定がなされている場合に、描画処理(図62)におけるステップS3510〜ステップS3512の各描画データ作成処理にて起動される。また、表示CPU131は、Zテスト指定を行う場合、Zバッファを用いた隠面処理の対象となる各個別画像のカメラの情報を、各視点が同一の座標及び向きとなるように設定するとともに、視点の向きがワールド座標系のZ軸方向の向きとなるように設定する。したがって、Zバッファを用いた隠面処理において基準となるスクリーン領域PC32のZ軸はワールド座標系のZ軸に対して平行となるように設定される。また、Zバッファ143は1個のみ設定されており、スクリーン用バッファ144における背景用のバッファ、演出用のバッファ及び図柄用のバッファと同一のドット数のエリアを有している。
先ずステップS3601では、スクリーン領域PC32(図63を参照)における今回の投影対象ドットを基準として、そのZ軸上に含まれる個別画像であって、今回のテスト対象となった個別画像の対象ピクセルに設定されているZ値を把握する。続くステップS3602では、Zバッファ143において上記描画対象ドットと1対1で対応したドットのエリアに設定されているZ値を把握する。
続くステップS3603では、ステップS3601にて把握した個別画像のZ値が、ステップS3602にて把握したZバッファ143のZ値よりもZ軸方向の手前側に対応しているか否かを判定する。手前側に対応している場合には、ステップS3604に進み、ステップS3601にて把握したZ値を、Zバッファ143におけるステップS3602にて参照したドットのエリアに上書きする。続くステップS3605では、ステップS3601にて参照したピクセルに設定されている色情報といった描画用の数値情報を、スクリーン用バッファ144における描画対象のバッファにおいて、今回の投影対象ドットのエリアに上書きする。その後に、ステップS3606に進む。
一方、ステップS3603にて、手前側に対応していないと判定した場合には、ステップS3604〜ステップS3605の処理を実行することなく、ステップS3606に進む。つまり、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値と同一又はZ軸方向の奥側である場合には、Zバッファ143の更新は行われないとともに、既に設定されている描画用の数値情報がそのまま保持される。一方、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値よりもZ軸方向の手前側である場合には、Zバッファ143の更新が行われるとともに、描画用の数値情報も更新される。
ステップS3606では、投影対象ドットを基準としたZ軸上に含まれる全ての対象ピクセルに対して、Zテストが完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3601に戻り、新たな対象ピクセルに対してZテストを行う。
完了している場合には、ステップS3607にて、スクリーン領域PC32の全てのドットに対してZテストが完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3608にて、投影対象ドットを更新した後にステップS3601に戻り、新たな投影対象ドットに対してZテストを行う。完了している場合には本隠面処理を終了する。
上記のように隠面処理が実行されることにより、Z軸上に複数の個別画像が並んだとしても、視点に近い側の個別画像のみが表示されることとなる。ここで、本実施形態では、当該隠面処理を利用して背景用のキャラクタのマスク(すなわち、部分表示)が実行される。そして、このマスクは、表示CPU131においてオブジェクトのZ値をマスク用に設定することで行われる。
以下、表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理について、図65のフローチャートを参照しながら説明する。なお、当該マスク用の演算処理は、データテーブルにおいて参照したエリアにマスク用の演算処理を実行すべきことが示されている場合に、タスク処理(図60)におけるステップS3404の演出用演算処理にて実行される。
先ずステップS3701では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応しているか否かを判定する。ここで、マスク表示として、第1のマスク表示と第2のマスク表示とが設定されている。第1のマスク表示は、キャラクタを一部表示させた状態を複数フレームに亘って維持させる表示態様であり、第2のマスク表示は、キャラクタの全体を表示させた状態からマスクするピクセルを複数フレームに亘って除々に増加させ最終的に消滅させる表示態様である。
第1のマスク表示に対応している場合には、ステップS3702にて、現状設定されているデータテーブルに基づいてマスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS3703では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ステップS3702にて把握したオブジェクトにおいてマスク対象となるピクセルを把握する。
その後、ステップS3704にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいてマスク対象となっているピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、マスク対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図64)が実行され、最終的に第1のマスク表示が表示画面Gにて行われる。第1のマスク表示の具体的な内容について、図66を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図66では、3D画像を2D画像として示す。
図66(a)は第1のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH10が表示される場合を示している。また、図66(a―1)は当該キャラクタCH10に対応したオブジェクトPC33の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図66(a―2)は表示画面Gでの表示態様を示す。この場合、図66(a―1)に示すように、各ピクセルには最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているため、図66(a―2)に示すようにキャラクタCH10はその全体が表示される。
図66(b)は第1のマスク表示が行われる場合を示している。また、図66(b―1)は当該キャラクタCH10に対応したオブジェクトPC33の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図66(b―2)は表示画面Gでの表示態様を示す。この場合、図66(b―1)に示すように、各ピクセルの一部には最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているが、残りのピクセルには最背面の画像よりも奥側となるようにZ値が設定されている。したがって、図66(b―2)に示すように、キャラクタCH10は上記手前側となるようにZ値が設定されたピクセルに対応した箇所のみが表示される。
なお、同一のキャラクタCH10について第1のマスク表示用に対応したZ値の設定パターンが、表示CPU131の制御プログラムで複数種類設定されている構成としてもよい。この場合、同一のキャラクタCH10について第1のマスク表示の態様を複数種類設定することが可能となる。
マスク用の演算処理(図65)の説明に戻り、ステップS3701にて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応していないと判定した場合には、今回の処理回は第2のマスク表示に対応していることを意味しているため、ステップS3705に進む。ステップS3705では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2のマスク表示の開始タイミングであるか否かを判定する。
開始タイミングである場合には、ステップS3706にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS3707では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク用の専用テーブルを読み出す。このマスク用の専用テーブルは、今回の第2のマスク表示が完了するまで記憶保持される。続くステップS3708では、上記マスク用の専用テーブルに初期消去対象として設定されているピクセルを把握する。
その後、ステップS3709にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS3708にて初期消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、初期消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
一方、ステップS3705にて開始タイミングでないと判定した場合には、ステップS3710に進む。ステップS3710では、ワークRAM132に設定されている消去対象カウンタを更新する。続くステップS3711では、現状読み出されているマスク用の専用テーブルにおいて、ステップS3710にて更新した消去対象カウンタの値に対応したデータを確認し、消去対象のピクセルを把握する。
その後、ステップS3712にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS3711にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図64)が実行され、最終的に第2のマスク表示が表示画面Gにて行われる。第2のマスク表示の具体的な内容について、図67を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図67では、3D画像を2D画像として示す。
図67(a)はマスク用の専用テーブルに設定されている情報のイメージ図を示しており、図67(b)は第2のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH11が表示される場合を示している。図67(a)に示すように、キャラクタCH11に対応したオブジェクトPC34は複数のピクセルを有しており、マスク用の専用テーブルでは、それら複数のピクセルが複数ずつグループ分けされているとともに各グループに対して消去対象となるフレーム順序が設定されている。具体的には、「Z1」として示すグループが初期消去対象として設定されており、その後は、「Z2」として示すグループ→「Z3」として示すグループ→「Z4」として示すグループ→「Z5」として示すグループの順序で消去対象となる。
第2のマスク表示が開始され、「Z1」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、図67(c)に示すように、「Z1」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH11が表示される。また、その後のフレームにおいて、「Z2」として示すグループが消去対象となった場合には、図67(d)に示すように、「Z1」のグループに加え、「Z2」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH11が表示される。そして、最終的に「Z5」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、キャラクタCH11が表示されない状態となる。
以上のとおり、Zバッファ143を利用してオブジェクトのマスクを行うことができる。また、本構成によれば、表示CPU131のプログラム上でマスク用の演算を行うだけでよく、VDP135において画像データの一種であるマスクデータを設定する必要が生じない。したがって、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量を増加させることなく、マスク表示を行うことができる。
また、表示CPU131においては各オブジェクトのZ値を調整するだけでよいため、表示CPU131の処理負荷をさほど増加させることなく上記マスク表示を行うことができる。また、第1のマスク表示及び第2のマスク表示といった複数種類のマスク表示を、上記のような優れた効果を奏することができる。
また、非表示とする部分には最背面画像よりも奥側のZ値が設定される。最背面画像はいずれのフレームにおいても常に背面を構成する画像であるため、Z軸(奥行き方向)の位置として絶対的な基準となる。これを基準に非表示とする部分のZ値を設定することで、非表示とする場合のZ値の設定態様を画一的なものとすることが可能となり、当該Z値の設定に係る処理の処理負荷の軽減が図られる。
なお、第1のマスク表示及び第2のマスク表示のいずれか一方のみが設定されている構成としてもよい。また、第2のマスク表示において複数のピクセル毎に消去されるのではなく、1ピクセル毎に消去される構成としてもよく、消去対象となったピクセルが再度表示対象に設定されることがある構成としてもよい。
また、上記Z値の設定を逆に行うことで、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次消去されるのではなく、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次出現するように表示される構成としてもよい。
<Zバッファ143を利用したマスク処理の別形態>
Zバッファ143を利用したマスク表示の別形態について説明する。
図68は表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理の別形態を示すフローチャートである。
先ずステップS3801では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングである場合には、ステップS3802にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握するとともに、ステップS3803にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、初期マスク用テーブルを読み出す。
続くステップS3804では、マスク抽選処理を実行する。マスク抽選処理では、ワークRAM132に設けられた抽選用カウンタに現状設定されている数値情報を読み出し、その数値情報に対応した消去対象の情報を、ステップS3803にて読み出した初期マスク用テーブルから抽出する。
抽選用カウンタは、例えばメイン処理(図12)にてステップS402の処理を実行する度に更新されるように構成されており、さらにはカウンタ値が1周した場合には初期値がランダムに選択される構成となっている。また、初期マスク用テーブルでは、抽選用カウンタの各カウンタ値に1対1で対応させて消去対象の情報が設定されているとともに、その消去対象の情報は、マスク対象のオブジェクトを構成する全ピクセルのうち複数のピクセルを1グループとして、各グループと1対1で対応している。
続くステップS3805では、ステップS3804にて取得した消去対象の情報から、消去対象のピクセルを把握する。その後、ステップS3806にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。このZ値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS3805にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
一方、ステップS3801にて開始タイミングではないと判定した場合には、ステップS3807に進む。ステップS3807では、既に読み出されている初期マスク用テーブルから、既に消去対象として設定された消去対象の情報が除外されるように、そのマスク用テーブルを書き換える。例えば、既に消去対象として設定された消去対象の情報に対応している上記カウンタ値が、他の消去対象の情報に重複して割り当てられるように、書き換える。この割り当てはランダムに行われてもよく、テーブル上で直下位のカウンタ値に対応した消去対象の情報に割り当てられる構成としてもよい。
その後、ステップS3807にて書き換えたマスク用テーブルを利用して、ステップS3804〜ステップS3806の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。
以上のとおり、本別形態によれば、消去対象となるピクセルがランダムに選択されることとなるため、マスク表示の態様を多様化することができる。
なお、Zバッファ143を利用したマスク表示を、背景用のキャラクタではなく、演出用のキャラクタや図柄に対して適用してもよい。例えば、演出用のキャラクタに対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ及び演出用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。また、図柄に対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ、演出用の画像データ及び図柄用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
また、隠面処理が背景、演出及び図柄に対して個別に行われる場合であっても、VDP135において最背面画像よりも奥側のZ値が設定されているピクセルは描画対象としないと定められているのであれば、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
また、表示対象及び非表示対象のZ値の振分が、最背面画像のZ値を基準にして行われるのではなく、例えば非表示対象のZ値として視点よりも手前のZ値が設定され、表示対象のZ値として視点よりも奥側のZ値が設定される構成としてもよい。
また、Zバッファ143を利用した隠面処理は、ワールド座標系のZ軸を基準に行われるのではなく、視点の向く方向を基準に行われる構成としてもよい。
また、上記第1の実施形態のように2D画像を表示する構成において、VDP76が描画データをピクセル単位で操作できる構成とした場合には、画像データの各ピクセルに設定する奥行き方向の情報を表示対象の情報及び非表示対象の情報のいずれかに振り分けることで、画像の部分表示を行う構成としてもよい。
<表示モードの切換に係る構成>
次に、表示モードの切換に係る構成について説明する。
表示モードとは、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。具体的には、第1表示モードと第2表示モードとが設定されている。
第1表示モードと第2表示モードとでは、背景画像の表示態様及び各図柄の表示態様が相互に異なっている。具体的には、同一の番号が付された図柄で比較した場合、第1表示モードと第2表示モードとで図柄の外形や形状は同一となっているが、色や模様が異なっている。また、背景画像については、第1表示モードと第2表示モードとで、最背面画像の種類が異なっているとともに、最背面画像の手前にて表示されるキャラクタの数及び種類が異なっており、表示されるキャラクタの数は第1表示モードの方が第2表示モードよりも多く設定されている。
表示モードの切換は、演出用操作装置43の操作に基づき行われる。具体的には、遊技回や開閉実行モードが実行されていない状況で演出用操作装置43が操作されることで、表示モードが順次切り換えられるようになっている。また、遊技回が実行されている状況における所定の条件下で演出用操作装置43が操作されたことに基づき切り換えられるようになっている。
表示モードの切換に係る具体的な処理構成を説明する。
図69は、表示CPU131にて実行される操作発生コマンド対応処理を示すフローチャートである。操作発生コマンド対応処理はV割込み処理(図14)におけるステップS403のコマンド対応処理にて実行される。
先ずステップS3901では、音声発光制御装置66からモード切換用の操作発生コマンドを受信しているか否かを判定する。受信していない場合にはそのまま本操作コマンド対応処理を終了し、受信している場合にはステップS3902に進む。
ステップS3902では、第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間とは、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない期間である。第1切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS3902では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間である場合には、ステップS3903にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第1切換実行フラグをセットする。
一方、第1切換可能期間ではない場合には、ステップS3904に進み、第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間とは、遊技回が実行されている状況において開始タイミングから実行途中における予め定められた基準タイミングまでの期間である。具体的には、表示装置46にて遊技回用演出が実行される場合、全図柄列Z1〜Z3での図柄の変動表示を開始→全図柄列Z1〜Z3での高速変動表示→低速変動表示を経由した各図柄列Z1〜Z3の順次停止という表示の流れを含む。この場合に、第2切換可能期間は、全図柄列Z1〜Z3での図柄の変動表示が開始されてから全図柄列Z1〜Z3での高速変動表示が終了するタイミングまでの期間である。
なお、図柄の変動表示の態様を、全図柄列Z1〜Z3での図柄の変動表示を開始→全図柄列Z1〜Z3の加速期間→全図柄列Z1〜Z3での高速変動表示(高速は一定速度)→低速変動表示(低速は一定速度)を経由した各図柄列Z1〜Z3の順次停止という表示の流れとしてもよい。この場合、第2切換可能期間を、全図柄列Z1〜Z3での高速変動表示が実行されている期間としてもよい。
また、高速変動表示と低速変動表示との間に中速変動表示が含まれていてもよい。つまり、図柄の変動表示の態様は、2段階、3段階又は4段階以上といったように複数段階で切り換わるのであれば具体的な段階数は任意である。この場合、第2切換可能期間を、各段階のうち遊技者における図柄の識別性が低い低識別な段階の期間としてもよい。
また、図柄の変動表示の流れにおいて相対的に低識別態様での変動表示→高識別態様での変動表示という状態を含むのであれば具体的な変動態様は任意であり、例えばいずれの態様であっても変動速度は同一であるが、低識別態様での変動表示では図柄が透明、半透明、中抜き又は一部を除いた状態で表示され、高識別態様での変動表示では図柄の全体が表示される構成としてもよい。この場合、第2切換可能期間を、低識別態様での変動表示が行われている期間としてもよい。
第2切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS3904では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間ではないと判定した場合には、そのまま本操作発生コマンド対応処理を終了し、第2切換可能期間である場合には、ステップS3905にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第2切換実行フラグをセットする。
ステップS3903又はステップS3905のいずれかの処理を実行した後は、ステップS3906に進む。ステップS3906では、表示モード用のカウンタを更新する。
表示モード用のカウンタとは、表示CPU131にて現状の表示モードを特定するためのカウンタであり、ワークRAM132に設けられている。表示モード用のカウンタには各表示モードに1対1で対応させてカウンタ値が設定されている。本実施形態では上記のとおり表示モードとして第1表示モード及び第2表示モードの2種類が設定されているため、上記カウンタ値として第1表示モードに対応した「0」の数値と、第2表示モードに対応した「1」の数値とが設定されている。この場合、表示モード用のカウンタの初期値は「0」として設定されているため、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、スロットマシン10のリセットが行われた場合には第1表示モードが設定される。
ステップS3906では、演出用操作装置43が1回操作される度に表示モードが予め定められた順序に従って順次切り換えられるように表示モード用のカウンタを更新する。具体的には、表示モード用のカウンタが「0」であり第1表示モードに設定されている状況においてステップS3906の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第2表示モードに切り換えるとともに、表示モード用のカウンタが「1」であり第2表示モードに設定されている状況においてステップS3906の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第1表示モードに切り換える。ステップS3906の処理を実行した後に、本操作発生コマンド対応処理を終了する。
次に、表示CPU131にて実行される表示モード背景用の演算処理について、図70のフローチャートを参照しながら説明する。表示モード背景用の演算処理は、タスク処理(図60)におけるステップS3403の背景用演算処理にて実行される。なお、大当たり演出を実行する場合などには表示モードに対応した背景画像は表示されないため表示モード背景用の演算処理は実行されず、待機画像を表示する場合や遊技回用の演出を実行する場合などに表示モード背景用の演算処理が実行される。
先ずステップS4001では、ワークRAM132に設けられた表示モード用のカウンタを参照し、第1表示モードであるか否かを判定する。第1表示モードである場合には、ステップS4002にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第1最背面画像を把握する。続くステップS4003では、その把握した第1最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS4004にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS4005では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
一方、第2表示モードである場合には、ステップS4006にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第2最背面画像を把握する。続くステップS4007では、その把握した第2最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS4008にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS4009では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
なお、ステップS4002の処理の実行タイミングでは、第1最背面画像及び第1表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS3401)は完了している。また、ステップS4006の処理の実行タイミングでは、第2最背面画像及び第2表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS3401)は完了している。
ステップS4005又はステップS4009の処理を実行した後は、ステップS4010にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグ又は第2切換実行フラグのいずれかがセットされているか否かを判定する。いずれかの切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS4011にて、処理負荷の大きい状況であるか否かを判定する。
処理負荷の大きい状況とは、今回の描画リストに指定された画像データに対するジオメトリ演算及びレンダリングの両方がVDP135にて実行される場合に、処理落ちが発生する程度にVDP135の処理負荷が大きい又は処理落ちが発生しないまでもVDP135の処理負荷が比較的大きい状況のことをいう。なお、処理負荷の大きい状況か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS4011の判定を行う。
処理負荷の大きい状況ではない場合には、ステップS4012にて、今回の表示モードに対応した背景画像は別保存済みであるか否かを判定する。ここで、別保存とは、各表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データを個別に保存するとともにその保存している状態を維持することである。別保存に際しては、VRAM134に設けられたモード用バッファ145が用いられる(図58を参照)。
モード用バッファ145には、第1表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第1モード用領域145aと、第2表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第2モード用領域145bと、が設けられている。また、VDP135には、背景用の描画データを第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのいずれかへ書き込む機能と、その書き込まれた背景用の描画データを読み出してスクリーン用バッファ144に書き込む機能と、を有する表示モード制御部154を備えている。
別保存済みではない場合にはステップS4013にて別保存の実行指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了し、別保存済みである場合にはそのまま本演算処理を終了する。
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データが設定される。また、ステップS4013の処理が実行されている場合には別保存の実行指定情報が設定される。別保存の実行指定情報には、別保存を実行すべきことを示す情報が含まれているとともに、別保存先のアドレスの情報も含まれている。
一方、処理負荷の大きい状況である場合(ステップS4011:YES)には、ステップS4014にて、切換先の表示モードの背景画像が別保存済みであるか否かを判定する。別保存済みではない場合にはそのまま本演算処理を終了する。一方、別保存済みである場合にはステップS4015にて別保存データの使用指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データが設定される。また、ステップS4015の処理が実行されている場合には別保存データの使用指定情報が設定される。別保存データの使用指定情報には、別保存データを使用すべきことを示す情報が含まれているとともに、その別保存データが保存されているアドレスの情報も含まれている。
次に、表示CPU131にて実行される図柄用演算処理について、図71のフローチャートを参照しながら説明する。図柄用演算処理はタスク処理(図60)のステップS3405にて実行される。
先ずステップS4101では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、図柄について制御更新用の処理を実行する必要があるか否かを判定する。実行する必要がない場合として大当たり演出を実行している場合が含まれ、実行する必要がある場合として遊技回用の演出を実行している場合及び待機画像を表示している場合が含まれる。実行する必要がない場合にはそのまま本図柄用演算処理を終了し、実行する必要がある場合にはステップS4102にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、遊技回の実行中であるか否かを判定する。
遊技回の実行中でない場合には、ステップS4103にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。第1切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS4104にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。具体的には、ワークRAM132において図柄の制御を行う上で確保されている各空きバッファ領域のパラメータ用の情報はそのまま保持させながら、制御対象の図柄の情報(例えば転送先のアドレスの情報)のみを切換先の表示モードに対応した情報に書き換える。なお、ステップS4103及びステップS4104の処理が、タスク処理(図60)における制御開始用の設定処理(ステップS3401)にて実行される構成としてもよい。また、ステップS4103にて肯定判定をした場合に第1切換実行フラグをクリアする。
ステップS4103にて否定判定をした場合又はステップS4104の処理を実行した場合は、ステップS4105に進む。ステップS4105では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS4106にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した図柄用の画像データが設定される。
遊技回の実行中である場合(ステップS4102:YES)には、ステップS4107にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、全図柄列Z1〜Z3において高速変動表示中であるか否かを判定する。全図柄列Z1〜Z3において高速変動表示中である場合には、ステップS4108にて、ワークRAM132に第2切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。
第2切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS4109にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させることが可能であるか否かを判定する。これは、今回の描画リストに対応した描画処理(図62)がVDP135に実行される場合に、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させようとすると、処理落ちが発生するか否かを基準として、処理落ちが発生しないのであれば変更させることが可能となり、処理落ちが発生するのであれば変更させることが不可であると判定される。
例えば、今回の描画リストにおいて表示モードの切換に対応した背景用の画像データが新たに設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じるため、VDP135の処理負荷を大きくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが不可であると判定される。一方、今回の描画リストにおいて背景用の画像データとして別保存データが設定されている場合、又は前回の描画リストに係る表示モードと同一の表示モードに対応した背景用の画像データが設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じないため、VDP135の処理負荷は比較的小さくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが可能であると判定される。
なお、変更させることが可能か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS4109の判定を行う。また、ステップS4108にて肯定判定をした場合に第2切換実行フラグをクリアする。
ステップS4109にて、変更させることが可能であると判定した場合には、ステップS4110にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。この処理の具体的な内容は、ステップS4104と同様である。ステップS4110の処理を実行した後はステップS4113に進む。
一方、ステップS4109にて、変更させることが可能ではないと判定した場合には、ステップS4111にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して変更待機フラグをセットした後に、ステップS4113に進む。変更待機フラグは、制御対象の図柄の変更が待機されていることを表示CPU131にて特定するためのフラグである。変更待機フラグがセットされている場合には、ステップS4108にて、第2切換実行フラグがセットされていないと判定されたとしても、ステップS4112の処理が実行されることで、ステップS4109の処理が実行される。なお、第2切換実行フラグ及び変更待機フラグの両方がセットされていない場合には、そのままステップS4113に進む。また、変更待機フラグはステップS4112にて肯定判定をした際にクリアされる。
ステップS4113では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS4114にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データが設定される。この場合に、ステップS4109にて、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができないと判定した場合には、切換元の表示モードに対応した図柄の画像データがそのまま描画リストに設定される。そうすると、最終的に表示モードに対応しない図柄が表示画面Gに表示されることとなるが、第2切換実行フラグがセットされるタイミングは高速変動表示中であるため、遊技者は上記の状態を認識することができない又は認識しづらい。
また、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができない場合には、変更待機フラグがセットされて、その後の処理回で変更が行われる。これにより、VDP135において処理落ちを発生させないようにしつつ、表示モードの切換を良好に行うことができる。なお、高速変動表示が行われている範囲で、切換先の表示モードに対応した図柄の変更が行われるように、VDP135の処理負荷が調整されている。
高速変動表示中ではない場合(ステップS4107:NO)には、ステップS4115に進む。ステップS4115では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS4116にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データが設定される。
次に、VDP135にて実行される背景用の設定処理を、図72のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の設定処理は、描画処理(図62)におけるステップS3502にて実行される。
先ずステップS4201では、今回の描画リストにおいて別保存データの使用指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS4202にて、その指定に対応した別保存データを背景用の描画データとして設定するための情報をレジスタ153に記憶させる。
設定されていない場合(ステップS4201:NO)又はステップS4202の処理を実行した後は、ステップS4203に進む。ステップS4203では、今回の描画リストに指定されている最背面画像を把握するとともに、ステップS4204にて、その最背面画像について指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS4205にて、その最背面画像について、ワールド座標系への設定処理を実行する。この設定に係る内容は、既に説明したとおりである。
続くステップS4206では、今回の描画リストに指定されている背景用のオブジェクトを把握するとともに、ステップS4207にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS4208にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本背景用の設定処理を終了する。
上記のように背景用の設定処理が実行されることにより、別保存データの使用指定が設定されていない状況だけでなく、別保存データの使用指定が設定されている状況であっても、描画リストにて指定されている画像データをワールド座標系に設定することができる。そして、これに伴って、例えば今回の描画リストが表示モードの切換に係るものである場合には、切換先の表示モードに対応した画像データの制御開始用の設定を行うことができる。
次に、VDP135にて実行される背景用の描画データ作成処理を、図73のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の描画データ作成処理は、描画処理(図62)におけるステップS3510にて実行される。
先ずステップS4301では、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、ステップS4302にて、隠面処理を実行して、スクリーン用バッファ144に背景用の描画データを作成する。隠面処理については、既に説明したとおりである。
続くステップS4303では、今回の描画リストにおいて別保存の実行指定が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合には、そのまま本描画データ作成処理を終了する。設定されている場合には、ステップS4304にて、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち対象となるモード用領域へ、ステップS4302にて作成された背景用の描画データを書き込む。これにより、背景用の描画データの別保存が行われる。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
一方、ステップS4301にて、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされている場合には、ステップS4305に進む。ステップS4305では、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち、今回指定されているモード用領域から別保存データを読み出し、その読み出した別保存データを、今回の背景用の描画データとして、スクリーン用バッファ144に書き込む。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
上記のように背景用の描画データ作成処理が実行されることにより、ジオメトリ演算及びレンダリングを通じた背景用の描画データ、又は別保存データに係る背景用の描画データがスクリーン用バッファ144に格納される。また、各表示モードに対応した画像が表示されるフレームにおいては、その後に演出用の描画データ作成処理(ステップS3511)及び図柄用の描画データ作成処理(ステップS3512)が実行されて、演出用の描画データ及び図柄用の描画データが作成されるとともに、描画データ合成処理(ステップS3513)が実行されて、1フレーム分の描画データが作成される。
ここで、第1表示モード用の別保存データ及び第2表示モード用の別保存データが作成されるタイミングを、図74のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図74(A)は第1表示モードに対応した背景用の描画データPD66を示し、図74(B)は第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67を示す。また、図74(a)はスロットマシン10の電源のON/OFFの状態を示し、図74(b)は第1表示モードの有無を示し、図74(c)は第2表示モードの有無を示し、図74(d)は第1表示モード用の別保存データの有無を示し、図74(e)は第2表示モード用の別保存データの有無を示す。
t1のタイミングでスロットマシン10の電源がON操作されることで、表示CPU131への電力供給が開始され、表示CPU131にて処理が開始される。また、表示モードは第1表示モードに設定されているため、t1のタイミングよりも後のタイミングで、第1表示モードに対応した画像を表示させるために、描画リストが表示CPU131からVDP135に出力され、さらにその描画リストに基づきVDP135にて第1表示モードに対応した描画データの作成が開始される。
その後、t2のタイミングで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD66の作成が完了することで、その描画データが第1表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第1モード用領域145aに記憶される。この第1表示モードに対応した背景用の描画データPD66による背景画像では、図74(A)に示すように、最背面画像の手前にて「A」〜「F」にて示す3Dのキャラクタ画像が表示される。また、第1モード用領域145aに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。また、t2のタイミング又はその後の所定のタイミングで、第1表示モードに対応した画像の表示が開始される。
その後、t3のタイミングで演出用操作装置43が操作されることに基づき、表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる。そして、第2表示モード用の描画データが作成され、第2表示モードに対応した画像の表示が開始される。また、当該タイミングにおいて第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67の作成が完了するため、その描画データが第2表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第2モード用領域145bに記憶される。この第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67による背景画像では、図74(B)に示すように、最背面画像の手前にて「G」〜「J」にて示す3Dのキャラクタ画像が表示される。また、第2モード用領域145bに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。
ここで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD66は、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67に比べて、設定されるオブジェクトの数が多い。そうすると、第2表示モードから第1表示モードの切換がVDP135の処理負荷の大きい状況で行われると、VDP135にて処理落ちが発生してしまうことが懸念される。これに対して、両別保存データのうち、第1表示モード用の別保存データを電源立ち上げ時の初期設定が行われている時間を利用して作成しておくことで、処理負荷の大きい状況で表示モードが第1表示モードに切り換えられた場合には、その別保存データを利用して処理落ちを回避することができる。
一方、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67は、その作成にかかるVDP135の処理負荷が小さく、VDP135の処理負荷の大きい状況で第2表示モードへの切換が行われたとしても、処理落ちが発生しないように設定されている。但し、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD67についても別保存は行われ、処理落ちが発生しないまでも比較的処理負荷が大きい状況で第2表示モードへの切換が行われた場合には、その別保存データが利用される。
上記のように別保存データが作成されることで、t4〜t9のタイミングで示すように、表示モードの切換が短時間で繰り返し実行された場合などには、それぞれの表示モードにおいて別保存データを利用して背景用の画像を表示することで、処理落ちの発生を阻止することができる。
また、別保存の対象は背景画像であり、図柄といった変動が注目される個別画像は含まれない。これにより、個別画像が変動している状況で表示モードの切換が行われた場合に、別保存データを使用した画像の表示を行ったとしても、変動が注目される個別画像の動きは継続されるため、遊技者が違和感を抱きづらくなる。
なお、表示モードは2段階に限定されることはなく、3段階又は4段階以上設定されていてもよい。この場合であっても、各表示モードに対応した背景用の描画データを別保存しておくことで、表示モードの切換を良好に行うことができる。
また、表示モードの切換タイミングがいずれであっても、図柄の種類の切換が待機されることなく行われる構成としてもよい。また、図柄は表示モード間で相違しない構成としてもよい。
また、演出用のキャラクタも表示モードに依存して切り換わる構成としてもよい。この場合、演出用のキャラクタは別保存の対象ではない構成としてもよく、別保存の対象である構成としてもよい。
<連結オブジェクトを用いて3D画像を表示するための構成>
次に、連結オブジェクトを用いて3D画像を表示するための構成について説明する。
連結オブジェクトは、複数の部品オブジェクト(部分オブジェクト)が連結部を関節として連結された一単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトを相対的に変位させることで3D画像のキャラクタに動きを与えるために設定されている。連結オブジェクトを用いることにより、3D画像のキャラクタをスムーズに動作させることができる。なお、連結オブジェクトが骨格部と関節部とを有していることに鑑みれば、ボーンモデルと称することもできる。
連結オブジェクトは、所定の動作を行うキャラクタを表示するために設定されている。ここで、本実施形態では、共通のキャラクタを表示するための連結オブジェクトが複数種類設定されている。この複数種類の連結オブジェクトについて、図75を参照しながら説明する。
図75(a),(b)に示すように、共通のキャラクタを表示するために、第1の連結オブジェクトPC35と、第2の連結オブジェクトPC36とが設定されている。これら第1の連結オブジェクトPC35及び第2の連結オブジェクトPC36はそれぞれ複数の連結部CT1,CT2を有しているが、相互に異なる箇所に連結部CT1,CT2が設定されている。
具体的には、第1の連結オブジェクトPC35は膝部分に連結部が設けられていないが、肘部分に連結部CT1が設けられており、図75(a―1),(a―2)に示すような動作の表示が可能となっている。一方、第2の連結オブジェクトPC36は肘部分に連結部が設けられていないが、膝部分に連結部CT2が設けられており、図75(b―1),(b―2)に示すような動作の表示が可能となっている。上記のように異なる箇所に連結部が設定されていることにより、第1の連結オブジェクトPC35を使用した場合と第2の連結オブジェクトPC36を使用した場合とで、キャラクタに異なる動作をさせることが可能となる。
なお、両連結オブジェクトPC35,PC36は共通する箇所に連結部CT1,CT2を有しているが、共通する箇所に連結部CT1,CT2を有していない構成としてもよい。また、両連結オブジェクトPC35,PC36に対しては共通のテクスチャがマッピングされるが、それぞれ個別にテクスチャが設定されている構成としてもよい。複数の連結オブジェクトPC35,PC36を用意しておくことでキャラクタに異なる動作をさせることが可能であれば、連結部CT1,CT2の位置やキャラクタの種類は任意である。
以下、上記両連結オブジェクトPC35,PC36を用いてキャラクタが動作している様子を表示するための具体的な処理構成を説明する。
図76は、表示CPU131にて実行される連結オブジェクト用の演算処理を示すフローチャートである。連結オブジェクト用の演算処理はタスク処理(図60)のステップS3404における演出用演算処理にて実行される。また、連結オブジェクト用の演算処理は、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
先ずステップS4401では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出の実行中(上記キャラクタが表示中)であるか否かを判定する。演出の実行中ではない場合にはステップS4402にて、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS4403に進む。
ステップS4403では、連結オブジェクト演出の開始指定情報を記憶し、続くステップS4404にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC35及び第2の連結オブジェクトPC36を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS4404の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS3401)にて、両連結オブジェクトPC35,PC36に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された両連結オブジェクトPC35,PC36の制御用の情報は、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた今回の一連の演出が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
続くステップS4405では、第1の連結オブジェクトPC35の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC35に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS4406では、第2の連結オブジェクトPC36の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC36に係る制御用の情報を更新する。
続くステップS4407では、第1演出期間の指定情報を記憶する。ここで、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出は、その全体の演出期間が複数種類の演出期間、具体的には第1演出期間,第2演出期間及び第3演出期間に区分けされている。そして、第1演出期間及び第3演出期間は第1の連結オブジェクトPC35を用いてキャラクタが表示され、第2演出期間は第2の連結オブジェクトPC36を用いてキャラクタが表示される。その後、ステップS4408にて、両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第1の連結オブジェクトPC35のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS4409では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ちなみに、ステップS4409の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS3401)にて、今回の更新対象のオブジェクトに対して制御開始用の処理が完了している。その後、ステップS4410にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC35,PC36が設定されるとともに、それらオブジェクトPC35,PC36に対して第1の連結オブジェクトPC35のパラメータが設定される。また、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出を開始させるべきことを示す連結オブジェクト演出の開始指定情報と、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報とが、描画リストに設定される。
一方、連結オブジェクトPC35,PC36を用いた演出の実行中である場合(ステップS4401:YES)には、ステップS4411にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間中であるか否かを判定する。第1演出期間中である場合には、ステップS4404〜ステップS4410の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。ちなみに、今回は第1演出期間中であるため、当該第1演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC35が予め定められた第1の動作(図75(a)を参照)をするように、ステップS4405にてパラメータの演算が行われる。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC35,PC36が設定されるとともに、それらオブジェクトPC35,PC36に対して第1の連結オブジェクトPC35のパラメータが設定される。また、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS4411にて、第1演出期間中ではないと判定した場合には、ステップS4412にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間中であるか否かを判定する。第2演出期間中である場合には、ステップS4413にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC35及び第2の連結オブジェクトPC36を制御対象として把握する。
続くステップS4414では、第1の連結オブジェクトPC35の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC35に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS4415では、第2の連結オブジェクトPC36の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC36に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第2演出期間中であるため、当該第2演出期間の進行に伴って第2の連結オブジェクトPC36が予め定められた第2の動作(図75(b)を参照)をするように、ステップS4415にてパラメータの演算が行われる。
続くステップS4416では、第2演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS4417にて、両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第2の連結オブジェクトPC36のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS4418では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第2演出期間は第1演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS3401)は、ステップS4418の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS4419にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC35,PC36が設定されるとともに、それらオブジェクトPC35,PC36に対して第2の連結オブジェクトPC36のパラメータが設定される。また、第2演出期間であることを示す第2演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
ステップS4412にて、第2演出期間中ではないと判定した場合には、第3演出期間であることを意味するため、ステップS4420に進む。ステップS4420では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC35及び第2の連結オブジェクトPC36を制御対象として把握する。
続くステップS4421では、第1の連結オブジェクトPC35の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC35に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第3演出期間中であるため、当該第3演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC35が予め定められた第1の動作(図75(a)を参照)をするように、ステップS4421にてパラメータの演算が行われる。また、ステップS4422では、第2の連結オブジェクトPC36の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC36に係る制御用の情報を更新する。
続くステップS4423では、第3演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS4424にて、両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第1の連結オブジェクトPC35のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
続くステップS4425では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第3演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第3演出期間は第2演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS3401)は、ステップS4425の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS4426にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC35,PC36が設定されるとともに、それらオブジェクトPC35,PC36に対して第1の連結オブジェクトPC35のパラメータが設定される。また、第3演出期間であることを示す第3演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
次に、VDP135にて実行される連結オブジェクト演出用の設定処理を、図77のフローチャートを参照しながら説明する。連結オブジェクト演出用の設定処理は、描画処理(図62)におけるステップS3503の演出用の設定処理にて実行される。また、連結オブジェクト演出用の設定処理は、今回の描画リストに連結オブジェクト演出の開始指定、第1演出期間乃至第3演出期間の指定のいずれかが設定されている場合に起動される。
先ずステップS4501では、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS4502にて、今回の描画リストに基づいて、VRAM134において第1の連結オブジェクトPC35が事前転送されているアドレスを把握して、当該第1の連結オブジェクトPC35を読み出す。また、ステップS4503にて、今回の描画リストに基づいて、VRAM134において第2の連結オブジェクトPC36が事前転送されているアドレスを把握して、当該第2の連結オブジェクトPC36を読み出す。
続くステップS4504では、第1演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC35の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC36の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC35の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC36の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS4505では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC35に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC35,PC36のパラメータとして把握する。その後、ステップS4506にて、両連結オブジェクトPC35,PC36について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は連結オブジェクト演出の開始指定に係る処理回であるため、両連結オブジェクトPC35,PC36のワールド座標系への配置を行う。また、両連結オブジェクトPC35,PC36の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第1の連結オブジェクトPC35のパラメータを第2の連結オブジェクトPC36にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
続くステップS4507では、今回の描画リストに指定されている第1演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS4508にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS4509にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、ワールド座標系に対して両連結オブジェクトPC35,PC36の配置が同時に開始される。また、両連結オブジェクトPC35,PC36に対して同一のパラメータが適用されるため、ワールド座標系の同一の位置に対して両連結オブジェクトPC35,PC36が重ねて配置される。但し、ステップS4504の処理が実行されていることにより、第2の連結オブジェクトPC36はレンダリングに際して完全透明のオブジェクトとして扱われるため、表示画面Gには両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第1の連結オブジェクトPC35のみが表示される。
一方、ステップS4501にて、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS4510に進む。ステップS4510では、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
設定されている場合には、ステップS4504〜ステップS4509の処理を実行した後に、本設定処理を終了する。この場合、ステップS4506では、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC35に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータは更新されるが、ステップS4504の処理が実行されるため、表示画面Gには両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第1の連結オブジェクトPC35のみが表示される。また、ステップS4505で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC35に対応しているため、第1演出期間の進行に伴って、表示画面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC35が表示される。
ステップS4510にて、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS4511に進む。ステップS4511では、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
設定されている場合には、ステップS4512にて、第2演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC35の一律α値を完全透過情報である「0」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC36の一律α値を不透過情報である「1」に設定する。これにより、第2の連結オブジェクトPC36の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第1の連結オブジェクトPC35の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS4513では、今回の描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC36に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC35,PC36のパラメータとして把握する。その後、ステップS4514にて、両連結オブジェクトPC35,PC36について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は第2演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータを、描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC36に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。この場合に、両連結オブジェクトPC35,PC36の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第2の連結オブジェクトPC36のパラメータを第1の連結オブジェクトPC35にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
続くステップS4515では、今回の描画リストに指定されている第2演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS4516にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS4517にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第1演出期間から第2演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS4517ではそれに応じた処理を実行する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータは更新されるが、ステップS4512の処理が実行されるため、表示画面Gには両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第2の連結オブジェクトPC36のみが表示される。また、ステップS4513で更新されるパラメータは、第2の連結オブジェクトPC36に対応しているため、第2演出期間の進行に伴って、表示画面Gでは第2の動作を行うように第2の連結オブジェクトPC36が表示される。
ステップS4511にて、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、今回の描画リストにおいて第3演出期間の指定が設定されていることを意味するため、ステップS4518に進む。
ステップS4518では、第3演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC35の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC36の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC35の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC36の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
続くステップS4519では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC35に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC35,PC36のパラメータとして把握する。その後、ステップS4520にて、両連結オブジェクトPC35,PC36について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
今回は第3演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC35に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
続くステップS4521では、今回の描画リストに指定されている第3演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS4522にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS4523にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第2演出期間から第3演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS4523ではそれに応じた処理を実行する。
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC35,PC36の各種パラメータは更新されるが、ステップS4518の処理が実行されるため、表示画面Gには両連結オブジェクトPC35,PC36のうち第1の連結オブジェクトPC35のみが表示される。また、ステップS4519で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC35に対応しているため、第3演出期間の進行に伴って、表示画面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC35が表示される。
次に、連結オブジェクト演出の内容について、図78を参照しながら説明する。
図78は連結オブジェクト演出を説明するための説明図である。また、図78(a)は第1演出期間を示し、図78(b)は第2演出期間を示し、図78(c)は第3演出期間を示す。なお、図78(a―1),(b―1),(c―1)はワールド座標系のイメージ図であり、図78(a―2),(b―2),(c―2)は表示画面Gを示す。また、図78(a―2),(b―2),(c―2)では背景画像や図柄を省略しているが、実際には各演出用の画像の奥側にて背景画像が表示されるとともに手前側にて図柄が表示される。
第1演出期間では、図78(a―1)に示すように、両連結オブジェクトPC35,PC36がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC36に対しては透明化処理が行われる。したがって、図78(a―2)に示すように、表示画面Gには第1の連結オブジェクトPC35に対応したキャラクタCH12が表示され、第1演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「C」に示すキャラクタCH13〜CH15が表示される。
第2演出期間では、図78(b―1)に示すように、両連結オブジェクトPC35,PC36がワールド座標系に設定されるが、第1の連結オブジェクトPC35に対しては透明化処理が行われる。したがって、図78(b―2)に示すように、表示画面Gには第2の連結オブジェクトPC36に対応したキャラクタCH12が表示され、第2演出期間の進行に伴って第2の動作が行われる。
ここで、図78(a―2)と図78(b―2)とで比較した場合、両キャラクタCH12は異なる形状であるかのように示されているが、実際には両連結オブジェクトPC35,PC36に対して同一のテクスチャがマッピングされ、連結部(関節部分)が目立たなくなる。したがって、第1演出期間から第2演出期間に切り換わったとしても、キャラクタCH12に関して表示画面Gでは同一、略同一又は同様の画像が表示され、遊技者はその切り換わりを認識しづらくなっている。但し、遊技者が切り換わりの発生を認識しづらいのであれば、両連結オブジェクトPC35,PC36に対して個別にテクスチャが設定されていてもよい。
また、第2演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「E」に示すキャラクタCH13〜CH17が表示される。このキャラクタCH13〜CH17の数は、第1演出期間の場合よりも多い数である。
第3演出期間では、図78(c―1)に示すように、両連結オブジェクトPC35,PC36がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC36に対しては透明化処理が行われる。したがって、図78(c―2)に示すように、表示画面Gには第1の連結オブジェクトPC35に対応したキャラクタCH12が表示され、第3演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、第3演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」〜「G」に示すキャラクタCH13〜CH19が表示される。このキャラクタCH13〜CH19の数は、第2演出期間の場合よりも多い数である。
以上のとおり、共通のキャラクタに対して複数の連結オブジェクトPC35,PC36が設定されていることにより、関節部分を利用した動作の種類に応じて表示対象となる連結オブジェクトPC35,PC36を切り換えることができる。例えば、複数種類の動作を単一の連結オブジェクトで行おうとすると、それだけ分の連結部及び部品オブジェクトをその単一の連結オブジェクトに対して設定する必要が生じる。そうすると、一の画像データのデータ容量が大きくなってしまい、NAND型フラッシュメモリ162において単一の画像データとして記憶可能な容量を超えてしまうことが懸念され、超えないとしても単一の画像データを扱う上での処理時間や転送時間の長時間化が懸念される。これに対して、複数の連結オブジェクトPC35,PC36として設定されているため、上記のような不都合を生じさせることなく、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
また、スロットマシン10の設計段階においては演出の修正が行われる機会が多く、キャラクタの動作についての修正の度に連結オブジェクトの全体の動きを見直していると、設計に要する期間が多大なものとなってしまう。これに対して、上記のように行わせたい動作の種類に応じて複数の連結オブジェクトPC35,PC36を設定することで、演出の修正を行う必要が生じたとしても、既に作成済みの連結オブジェクトPC35,PC36の全てを修正する必要がなくなる。よって、スロットマシン10の設計を良好に行えるようにしながら、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
また、キャラクタを表示させるために連結オブジェクトが切り換えられるタイミングよりも前に切換元のオブジェクトだけでなく切換先のオブジェクトについても、表示CPU131において制御対象とされるとともに、VDP135においてワールド座標系への配置対象とされる。これにより、切換タイミングとなった場合に表示CPU131及びVDP135では、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を実行するのではなく、当該制御開始処理よりも処理負荷が小さい制御更新処理を実行すればよいため、切換タイミングにおける処理負荷が軽減される。
特に、切換タイミングでは、演出が発展し、表示されるオブジェクトの数が増加するため、表示CPU131及びVDP135にとって処理負荷が比較的大きくなるタイミングである。この場合に、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を行う構成を想定すると、表示CPU131やVDP135において処理落ちが発生することが懸念されるが、上記のとおり切換先のオブジェクトについて制御更新処理を実行すればよいため、当該処理落ちの発生を阻止することができる。
また、ワールド座標系に両連結オブジェクトPC35,PC36を同時に配置するとともに、適用する一律α値を完全透過情報と不透過情報とで切り換える構成であるため、表示CPU131では両者の切換に関して一律α値の切換指定をすればよく、VDP135ではその指定に従って適用する一律α値を切り換えればよい。よって、表示CPU131及びVDP135の処理構成の複雑化を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。
また、表示CPU131からVDP135には、ワールド座標系に同時に配置される両連結オブジェクトPC35,PC36のうち表示対象の連結オブジェクトに対してのパラメータ情報のみが提供される。これにより、描画リストに設定されるデータ量の軽減が図られる。また、VDP135では、両連結オブジェクトPC35,PC36のパラメータの更新を同一の態様で行えばよいため、VDP135の処理負荷の軽減が図られる。
なお、第1演出期間〜第3演出期間の切換では、キャラクタの数が増加することに代えて又は加えて、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは異なる演出用のキャラクタの動作が新たに追加される構成としてもよく、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは別に処理負荷の大きい演出用のキャラクタの表示が開始される構成としてもよい。
また、第2の連結オブジェクトPC36の表示CPU131における制御開始タイミングやVDP135における制御開始タイミングは、第1の連結オブジェクトPC35と同一ではなくてもよい。例えば、第1演出期間から第2演出期間への切換タイミングよりも前ではあるが、第1の連結オブジェクトPC35の制御開始タイミングよりも後のタイミングであってもよい。
また、演出期間の切換タイミングにおける処理負荷が上記構成よりも増加するが、当該切換タイミングにおいて第2の連結オブジェクトPC36の制御が開始される構成としてもよい。この場合、第1の連結オブジェクトPC35と第2の連結オブジェクトPC36とがワールド座標系に同時に配置されることがないため、一律α値を調整して表示対象を切り換える制御を行わなくてもよい。
また、ワールド座標系に同時に配置されている両連結オブジェクトPC35,PC36について、表示対象の切換を一律α値の調整により行うのではなく、レンダリング対象の切換により行う構成としてもよい。この場合、表示対象ではない側の連結オブジェクトは、レンダリングが行われないこととなるため、上記構成よりもレンダリング時の処理負荷が軽減される。
また、第3演出期間が不具備である構成としてもよく、第4演出期間以上の演出期間が設定されている構成としてもよい。また、一のキャラクタに対して、3個以上の連結オブジェクトが用意されている構成としてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
図64〜図68を用いて説明したように、Zバッファ143を利用してオブジェクトのマスクを行うことができる。また、本構成によれば、表示CPU131のプログラム上でマスク用の演算を行うだけでよく、VDP135において画像データの一種であるマスクデータを設定する必要が生じない。したがって、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量を増加させることなく、マスク表示を行うことができる。
図69〜図74を用いて説明したように、各表示モードに対応した背景画像を表示するための描画データは別保存され、VDP135の処理負荷の大きい状況で遊技者の演出用操作装置43への操作に基づき表示モードの切り換えが行われた場合には、その別保存データが使用される。これにより、表示モードの切換が短時間で繰り返し実行された場合などであっても、処理落ちの発生を阻止することができる。
図75〜図78を用いて説明したように、共通のキャラクタに対して複数の連結オブジェクトPC35,PC36が設定されていることにより、関節部分を利用した動作の種類に応じて表示対象となる連結オブジェクトPC35,PC36を切り換えることができる。例えば、複数種類の動作を単一の連結オブジェクトで行おうとすると、それだけ分の連結部及び部品オブジェクトをその単一の連結オブジェクトに対して設定する必要が生じる。そうすると、一の画像データのデータ容量が大きくなってしまい、NAND型フラッシュメモリ162において単一の画像データとして記憶可能な容量を超えてしまうことが懸念され、超えないとしても単一の画像データを扱う上での処理時間や転送時間の長時間化が懸念される。これに対して、複数の連結オブジェクトPC35,PC36として設定されているため、上記のような不都合を生じさせることなく、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
また、スロットマシン10の設計段階においては演出の修正が行われる機会が多く、キャラクタの動作についての修正の度に連結オブジェクトの全体の動きを見直していると、設計に要する期間が多大なものとなってしまう。これに対して、上記のように行わせたい動作の種類に応じて複数の連結オブジェクトPC35,PC36を設定することで、演出の修正を行う必要が生じたとしても、既に作成済みの連結オブジェクトPC35,PC36の全てを修正する必要がなくなる。よって、スロットマシン10の設計を良好に行えるようにしながら、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
<第3の実施形態>
本実施形態では表示制御装置190の構成が上記各実施形態と異なっている。図79は表示制御装置190の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図79に示すように、表示制御装置190の表示制御基板191には、描画リストを作成してVDP192に送信する制御手段として、第1表示CPU193及び第2表示CPU194が設けられている。また、これら第1表示CPU193及び第2表示CPU194を制御するために管理CPU195が設けられている。
管理CPU195は、入力ポート196を通じて受信した音声発光制御装置66からの指示に基づき演出の内容を決定し、その決定結果に基づいて、第1表示CPU193及び第2表示CPU194のそれぞれに1フレーム分の画像の内容を決定するためのベースとなる情報を提供する。第1表示CPU193及び第2表示CPU194には、それぞれ異なるフレームに対応した情報が提供され、第1表示CPU193及び第2表示CPU194では、その受信した情報に基づいて、1フレーム分の画像に対応した描画リストをVDP192に送信する。
各CPU193〜195の制御プログラムはメモリモジュール197のNAND型フラッシュメモリに予め記憶されており、各CPU193〜195において必要となるタイミングまでに、管理CPU195からの転送指示に基づき、ワークRAM198に事前転送される。各CPU193〜195は、ワークRAM198にアクセスしながら各種処理を実行する。また、メモリモジュール197には、画像データが予め記憶されており、当該画像データはVDP192において必要となるタイミングまでに、管理CPU195からの転送指示に基づき、VRAM201の展開用バッファ202に事前転送される。
各表示CPU193,194に1対1で対応させて、VDP192には第1描画部203及び第2描画部204が設けられている。第1表示CPU193から送信される描画リストは第1描画部203に送信され、第2表示CPU194から送信される描画リストは第2描画部204に送信される。ここで、各描画部203,204は、上記第1の実施形態のように2D表示用であってもよく、上記第2の実施形態のように3D表示用であってもよい。
各描画部203,204はそれぞれ個別に動作し、受信した描画リストに対応した1フレーム分の描画データをVRAM201に作成する。VRAM201のフレームバッファ205には、第1フレーム領域206、第2フレーム領域207及び第3フレーム領域208が設けられており、各描画部203,204による描画データはいずれかのフレーム領域206〜208に描画される。
各描画部203,204と各フレーム領域206〜208とはセレクタ部211を通じて接続されており、セレクタ部211により、各描画部203,204の描画対象がいずれかのフレーム領域206〜208に設定される。また、セレクタ部211には描画部203,204だけでなく表示回路212が接続されており、表示回路212による画像信号の出力対象となるフレーム領域206〜208もセレクタ部211により切り換えられる。
上記構成においては、各描画部203,204では2フレーム分の描画期間を利用して各フレーム領域206〜208に描画データを作成するとともに、両描画部203,204で比較した場合、1フレーム分の描画期間の時間差でずらして描画データの作成を行う。つまり、描画データの作成は1フレーム分の描画期間毎に完了する。そして、表示回路212では、各更新タイミングにおいて、各描画部203,204の描画対象となっていないフレーム領域を出力対象として画像信号の出力を行う。このようにトリプルバッファ方式で描画データの作成を行うことで、1フレーム分の描画データの作成期間として2フレーム分の描画期間を確保しながら、1フレーム分の更新タイミングとなる度に画像を更新させることができる。よって、上記各実施形態よりも、描画データの作成期間に余裕が生まれ、複雑な画像や大画面の画像を表示させる構成であっても、その画像の表示を良好に行うことができる。
なお、上記構成において、第1描画部203は第1フレーム領域206及び第2フレーム領域207に対して1フレーム分の描画データを1フレーム分の描画期間で交互に作成し、第2描画部204は第3フレーム領域208に対して1フレーム分の描画データを複数フレーム分の描画期間で作成する構成としてもよい。この場合、基本的にはダブルバッファ方式で描画データの作成を行うことができるとともに、特に複雑な画像に対応した描画データを複数フレーム分の描画期間に亘って作成することができる。
また、表示CPUと描画部との組み合わせの数が2個設けられているとともにフレーム領域が4個以上設けられている構成としてもよく、表示CPUと描画部との組み合わせの数が3個設けられているとともにフレーム領域が4個以上設けられている構成としてもよく、表示CPUと描画部との組み合わせの数が5個設けられているとともにフレーム領域が6個以上設けられている構成としてもよい。つまり、表示CPUと描画部との組み合わせを複数設けるとともに、フレーム領域をその組み合わせ数に1加算した数以上設けることで、1フレーム分の描画データを複数フレーム分の描画期間を利用して作成することができる。
<第4の実施形態>
本実施形態では、表示CPU131にて実行される背景用の演算処理の処理構成が上記第2の実施形態と異なっている。この背景用の演算処理について、図80のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS4601にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の最背面画像を把握する。続くステップS4602では、その把握した最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS4603にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS4604では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
その後、ステップS4605では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回が、発展演出の直前タイミングのフレームに対応した描画リストを作成するための処理回であるか否かを判定する。
発展演出とは、演出用のキャラクタの数が増加する演出、演出用のキャラクタの動作が新たに追加される演出、及び処理負荷の大きい演出用のキャラクタが表示される演出のうちの少なくともいずれかに対応した演出である。また、発展演出では、表示CPU131のタスク処理(図60)における演出用演算処理(ステップS3404)にて、発展演出に対応したオブジェクトの把握処理と、その制御用の情報の更新処理とが実行されるとともに、VDP135の描画処理(図62)における演出用の設定処理(ステップS3503)にて、発展演出に対応したオブジェクトについて既に説明したようなジオメトリ演算及びレンダリングが行われる。
ステップS4605にて発展演出の直前タイミングであると判定した場合には、ステップS4606にて別保存の実行指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、発展演出の直前タイミングに対応した背景用の画像データが設定されるとともに、別保存の実行指定情報が設定される。この描画リストに対して、VDP135において上記第2の実施形態における背景用の描画データ作成処理(図73)が実行されることにより、発展演出の直前タイミングに対応した背景用の描画データが別保存される。この場合、本実施形態では、VRAM134に対してモード用バッファ145の代わりに別保存用バッファが設けられており、この別保存用バッファに上記背景用の描画データが別保存される。
背景用の演算処理(図80)におけるステップS4605にて、発展演出の直前タイミングではないと判定した場合には、ステップS4607にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、発展演出中であるか否かを判定する。発展演出中ではない場合には、そのまま本演算処理を終了する。この場合、それに対応した描画リストが出力されることにより、VDP135では指定された最背面画像及びオブジェクトを用いて通常通りに背景用の描画データを作成する。
一方、ステップS4607にて、発展演出中であると判定した場合には、ステップS4608にて別保存データの使用指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
上記のように背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、少なくとも別保存データの使用指定情報が設定される。この描画リストに対して、VDP135において上記第2の実施形態における背景用の描画データ作成処理(図73)が実行されることにより、背景用の描画データについては少なくともレンダリングが行われることはなく、上記別保存した背景用の描画データが発展演出中の背景用の描画データとして流用される。
以上の構成によれば、演出用のキャラクタを表示させるための処理負荷が大きくなる状況では、背景用の描画データのレンダリングが省略される。これにより、発展演出が行われる状況において、VDP135の処理負荷が極端に大きくなってしまい処理落ちが発生してしまうという不都合の発生が抑えられる。
また、別保存される背景用の描画データは発展演出が開始される直前のフレームにて表示されていた背景画像に対応している。これにより、その背景画像が発展演出中に流用されたとしても、遊技者が違和感を抱きづらくなる。
なお、上記背景画像が複数フレーム分の表示期間に亘って所定方向にスクロールされるように表示される画像である場合、発展演出の直前まではスクロール表示が行われ、発展演出中はスクロール表示が停止された状態となる。
また、上記処理構成において、発展演出中は表示CPU131にて背景用の画像データについてパラメータの演算及び更新を行わず、さらにVDP135においてジオメトリ演算が行われない構成としてもよい。この場合、更なる処理負荷の軽減が図られる。
<第5の実施形態>
上記各実施形態では、表示装置の表示制御に係る構成の適用対象をスロットマシン10としたが、本実施形態では、当該適用対象がパチンコ機310となっている。以下、パチンコ機310の構成について説明する。図81はパチンコ機310の正面図である。
パチンコ機310は、図81に示すように、当該パチンコ機310の外殻を形成する外枠311と、この外枠311に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体312とを有する。遊技機本体312は、内枠(図示略)と、その内枠の前方に配置される前扉枠314と、内枠の後方に配置される裏パックユニット(図示略)とを備えている。
遊技機本体312のうち内枠が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠311に回動可能に支持されている。また、内枠には、前扉枠314が回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として前方へ回動可能とされている。また、内枠には、裏パックユニットが回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体312には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体312を外枠311に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠314を内枠に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機310前面にて露出させて設けられたシリンダ錠317に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
内枠には遊技盤320が搭載されている。遊技盤320には前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口321,可変入賞装置322,上作動口323,下作動口324,スルーゲート325、可変表示ユニット326、メイン表示部333及び役物用表示部334等がそれぞれ設けられている。
一般入賞口321、可変入賞装置322、上作動口323及び下作動口324への入球が発生すると、それが遊技盤320の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤320の最下部にはアウト口327が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口327を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤320には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘328が植設されていると共に、風車等の各種部材が配設されている。
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口327への遊技球の入球と明確に区別するために、可変入賞装置322、上作動口323、下作動口324又はスルーゲート325への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
上作動口323及び下作動口324は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤320に設置されている。上作動口323及び下作動口324は共に上向きに開放されている。また、上作動口323が上方となるようにして両作動口323,324は鉛直方向に並んでいる。下作動口324には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物324aが設けられている。電動役物324aの閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)では遊技球が下作動口324に入賞できず、電動役物324aが開放状態(サポート状態又はガイド状態)となることで下作動口324への入賞が可能となる。
可変入賞装置322は、遊技盤320の背面側へと通じる大入賞口322aを備えているとともに、当該大入賞口322aを開閉する開閉扉322bを備えている。開閉扉322bは、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードについては、後に詳細に説明する。可変入賞装置322の開放態様としては、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置322が繰り返し開放される態様がある。
メイン表示部333及び役物用表示部334は、遊技領域の下部側に設けられている。メイン表示部333では、上作動口323又は下作動口324への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口323又は下作動口324への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機310では、上作動口323への入賞と下作動口324への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口323又は下作動口324への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部333にて明示される。そして、上作動口323又は下作動口324への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部333にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
なお、メイン表示部333は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部333にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
役物用表示部334では、スルーゲート325への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート325への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート325への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部334にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口324に設けられた電動役物324aが所定の態様で開放状態となる。
可変表示ユニット326には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する表示装置46が設けられている。また、可変表示ユニット326には、表示装置46を囲むようにしてセンターフレーム332が配設されている。このセンターフレーム332は、その上部がパチンコ機310前方に延出している。これにより、表示装置46の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
表示装置46は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、表示装置46は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
表示装置46では、上作動口323又は下作動口324への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部333において変動表示が行われる場合には、それに合わせて表示装置46において変動表示が行われる。そして、例えば、遊技結果が大当たり結果となる遊技回では、表示装置46では予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
表示装置46の表示内容について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。図3は表示装置46にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図4は表示装置46の表示画面Gを示す図である。
図3(a)〜(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
図4(a)に示すように、表示装置46の表示画面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
図4(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
本パチンコ機310では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
また、後述する明示2R確変大当たり結果となる場合には、同一の図柄の組み合わせとは異なる所定の図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了し、その後に、明示用動画が表示されるようになっている。
なお、表示装置46における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、表示装置46にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
また、いずれかの作動口323,324への入賞に基づいて、メイン表示部333及び表示装置46にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
センターフレーム332の前面側における左上部分には、メイン表示部333及び表示装置46に対応した第1保留発光部(第1保留ランプ部)335が設けられている。遊技球が上作動口323又は下作動口324に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留発光部335の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
センターフレーム332の右上部分には、役物用表示部334に対応した第2保留発光部(第2保留ランプ部)336が設けられている。遊技球がスルーゲート325を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留発光部336の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留発光部335,336の機能が表示装置46の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
遊技盤320には、レール部337が取り付けられており、当該レール部337により誘導レールが構成され、内枠において遊技盤320の下方に搭載された遊技球発射機構(図示略)から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構は、前扉枠314に設けられた発射ハンドル341が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠の前面側全体を覆うようにして前扉枠314が設けられている。前扉枠314には、図81に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部342が形成されている。窓部342は、略楕円形状をなし、図示しない窓パネルが嵌め込まれている。窓パネルは、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。
窓部342の周囲には、発光手段が設けられている。当該発光手段の一部として表示発光部344が窓部342の上方に設けられている。また、表示発光部344の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部345が設けられている。
前扉枠314における窓部342の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部346と下側膨出部347とが上下に並設されている。上側膨出部346内側には上方に開口した上皿346aが設けられており、下側膨出部347内側には同じく上方に開口した下皿347aが設けられている。上皿346aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿347aは、上皿346a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。上皿346a及び下皿347aには、裏パックユニットに搭載された払出装置から払い出された遊技球が排出される。
上側膨出部346においてパチンコ機310前方を向く領域には、遊技者により手動操作される操作部を具備する演出用操作装置348が設けられている。演出用操作装置348の操作部は、表示装置46の表示画面Gなどにおける演出内容を所定の演出内容とするために遊技者により手動操作される。
内枠の背面側には、主制御装置と、音声発光制御装置と、表示制御装置とが搭載されている。また、内枠の背面に対しては既に説明したとおり裏パックユニットが設けられており、当該裏パックユニットには、払出装置を含む払出機構部と、払出制御装置と、電源及び発射制御装置とが搭載されている。以下、パチンコ機310の電気的な構成について説明する。
<パチンコ機310の電気的構成>
図82は、パチンコ機310の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
<主制御装置350>
主制御装置350は、遊技の主たる制御を司る主制御基板351を具備している。なお、主制御装置350において主制御基板351などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしにして粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
主制御基板351には、MPU352が搭載されている。MPU352には、当該MPU352により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM353と、そのROM353内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM354と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
なお、ROM353として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM353として用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM353と、RAM354とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU352には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU352の入力側には、電源及び発射制御装置357が接続されている。電源及び発射制御装置357は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板351に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。ちなみに、当該動作電力は主制御基板351だけでなく、払出制御装置355や後述する表示制御装置70といった他の機器にも供給される。
なお、MPU352と電源及び発射制御装置357との電力経路上に停電監視基板を設けてもよい。この場合、当該停電監視基板により停電の発生が監視され、停電の発生が確認された場合にはMPU352に対して停電信号が送信されるようにすることで、MPU352において停電時用の処理を実行することが可能となる。
また、MPU352の入力側には、図示しない各種センサが接続されている。当該各種センサの一部として、一般入賞口321、可変入賞装置322、上作動口323、下作動口324及びスルーゲート325といった入賞対応入球部に対して1対1で設けられた検知センサが含まれており、MPU352において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU352では上作動口323及び下作動口324への入賞に基づいて大当たり発生抽選及び大当たり結果種別抽選を実行するとともに、各遊技回のリーチ発生抽選や表示継続期間の決定抽選を実行する。
ここで、MPU352にて各種抽選を行うための構成について説明する。
MPU352は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部333の表示の設定、表示装置46の図柄表示の設定、役物用表示部334の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図83に示すように、大当たり発生抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、表示装置46が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部333及び表示装置46における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口324の電動役物324aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM354の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ354aに適宜格納される。このうち抽選カウンタ用バッファ354aにおいて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口323又は下作動口324への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア354bに格納される。
保留球格納エリア354bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口323又は下作動口324への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ354aに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口323又は下作動口324への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口323又は下作動口324への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには上作動口323又は下作動口324への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、メイン表示部333の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
上記各カウンタについて詳細に説明する。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口323又は下作動口324に入賞したタイミングで保留球格納エリア354bに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM353における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機310は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口323又は下作動口324に入賞したタイミングで保留球格納エリア354bに格納される。
本パチンコ機310では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置322の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口324の電動役物324aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
開閉実行モードにおける可変入賞装置322の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置322への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口322aの開閉が15回(高頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は30sec(高頻度時間)が経過するまで又は大入賞口322aへの入賞個数が10個(高頻度個数)となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口322aの開閉が2回(低頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は0.2sec(低頻度時間)が経過するまで又は大入賞口322aへの入賞個数が6個(低頻度個数)となるまで継続される。
本パチンコ機310では、発射ハンドル341が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構358が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の大入賞口322aの開放時間は0.2secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口322aの開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しない。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口322aの開閉回数、1回の開放に対する開放制限時間(又は開放制限期間)及び1回の開放に対する開放制限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置322への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。具体的には、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉回数が多い、1回の開放に対する開放制限時間が長い又は1回の開放に対する開放制限個数が多く設定されていればよい。
但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは、実質的に可変入賞装置322への入賞が発生しない構成とするとよい。例えば、高頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも短く設定する一方、低頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも長く設定する構成としてもよい。また、遊技球の発射間隔及び1回の大入賞口322aの開放時間が上記のものでなかったとしても、低頻度入賞モードでは、前者よりも後者の方が短くなるように設定することで、実質的に可変入賞装置322への入賞が発生しない構成を容易に実現することができる。
下作動口324の電動役物324aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口324の電動役物324aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物324aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物324aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口324への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口324よりも上作動口323への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口323よりも下作動口324への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口324への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート325への入賞に基づき役物用表示部334にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部334における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM353における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、明示2R確変大当たり結果(明示高確率対応遊技結果又は突然確変状態となる結果)と、15R確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。換言すれば、通常大当たり結果は、通常大当たり状態(低確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
明示2R確変大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、明示2R確変大当たり結果は、明示2R確変大当たり状態(明示高確率対応遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
15R確変大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、15R確変大当たり結果は、15R確変大当たり状態(高確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜14」が明示2R確変大当たり結果に対応しており、「15〜29」が15R確変大当たり結果に対応している。
上記のように、確変大当たり結果として、明示2R確変大当たり結果が設定されていることにより、確変大当たり結果の態様が多様化する。すなわち、2種類の確変大当たり結果を比較した場合、遊技者にとっての有利度合いは、開閉実行モードにおいて高頻度入賞モードとなり且つサポートモードでは高頻度サポートモードとなる15R確変大当たり結果が最も高く、開閉実行モードにおいて低頻度入賞モードとなるもののサポートモードでは高頻度サポートモードとなる明示2R確変大当たり結果が最も低くなる。これにより、遊技の単調化が抑えられ、遊技への注目度を高めることが可能となる。
なお、確変大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示2R確変大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、確変大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示2R確変大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示2R確変大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口323又は下作動口324に入賞したタイミングで保留球格納エリア354bに格納される。
ここで、本パチンコ機310には、表示装置46における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な表示装置46を備え、可変入賞装置322の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、表示装置46における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
期待演出には、上記リーチ表示と、当該リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や特別表示結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
リーチ表示には、表示装置46の表示画面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
図柄の変動表示に係るリーチ表示について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、表示装置46の表示画面内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
予告表示には、表示装置46の表示画面において図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列Z1〜Z3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列Z1〜Z3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列Z1〜Z3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
リーチ表示は、開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM353のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置350において行うのではなく、音声発光制御装置360において行われる。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部333における変動表示時間(表示継続期間)と、表示装置46における図柄の変動表示時間(表示継続期間)とをMPU352において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、メイン表示部333における変動表示の開始時及び表示装置46による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM353の変動表示時間テーブル記憶エリア(変動表示時間情報記憶手段)に予め記憶されている変動表示時間テーブル(変動表示時間情報群)が参照される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート325に遊技球が入賞したタイミングで電役保留エリア354cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物324aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
MPU352の出力側には、払出制御装置355が接続されているとともに、電源及び発射制御装置357が接続されている。払出制御装置355には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。払出制御装置355は、主制御装置350から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置356により賞球や貸し球の払出制御を行う。電源及び発射制御装置357には、発射ハンドル341が操作されていることに基づいて発射許可コマンドが送信される。電源及び発射制御装置357は、主制御装置350から受信した発射許可コマンドに基づいて、遊技球発射機構358を駆動させ遊技球を遊技領域に向けて発射させる。
また、MPU352の出力側には、メイン表示部333及び役物用表示部334が接続されており、これらメイン表示部333及び役物用表示部334の表示制御がMPU352により直接行われる。つまり、各遊技回に際しては、MPU352においてメイン表示部333の表示制御が実行される。また、電動役物324aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU352において役物用表示部334の表示制御が実行される。
また、MPU352の出力側には、可変入賞装置322の開閉扉322bを開閉動作させる可変入賞駆動部、及び下作動口324の電動役物324aを開閉動作させる電動役物駆動部が接続されている。つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口322aが開閉されるように、MPU352において可変入賞駆動部の駆動制御が実行される。また、電動役物324aの開放状態当選となった場合には、電動役物324aが開閉されるように、MPU352において電動役物駆動部の駆動制御が実行される。
また、MPU352の出力側には、音声発光制御装置360が接続されており、当該音声発光制御装置360に対して演出用の各種コマンドを送信する。
ここで、MPU352にて実行される処理について簡単に説明する。
MPU352は、電源の立ち上げ後において所定の遊技進行用処理を繰り返し実行する。本パチンコ機310では、当該遊技進行用処理として、第1の周期で繰り返し実行される通常処理と、第1の周期よりも短い第2の周期で起動され、通常処理に対して割り込んで実行されるタイマ割込み処理と、が設定されているが、遊技の進行を制御できるのであれば、具体的な処理構成は任意である。
遊技進行用処理の一部として、保留情報の取得処理、遊技回制御処理、遊技状態移行処理及びデモ表示用処理が設定されている。保留情報の取得処理では、保留球格納エリア354bに保留上限数の保留情報が保留記憶されていない状況において、上作動口323又は下作動口324への入賞が検知された場合、その時点で抽選カウンタ用バッファ354aに格納されている大当たり乱数カウンタC1の数値情報、大当たり種別カウンタC2の数値情報及びリーチ乱数カウンタC3の数値情報の組み合わせを保留情報として保留球格納エリア354bに格納する処理が実行される。なお、保留情報が第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4に時系列的に格納されていくことは、既に説明したとおりである。
遊技回制御処理では、遊技回の実行中及び開閉実行モード中のいずれでもなく、且つ保留球格納エリア354bに保留情報が保留記憶されていることを条件として、保留球格納エリア354bのデータシフト処理が実行される。具体的には、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEにシフトする。その後、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる。また、データシフト処理が実行された場合、当否抽選処理、種別判定処理及び遊技回開始用処理が実行される。
当否抽選処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報と、現状の当否抽選モードに対応した当否テーブルとを参照して、大当たり当選となるか否かを判定する。大当たり当選である場合には、さらに種別判定処理を実行する。種別判定処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報と、振分テーブルとを参照して、大当たり種別を特定する。
遊技回開始用処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうちリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報と、リーチ用テーブルとを参照して大当たり非当選であってもリーチ発生となるか否かを判定する。また、遊技回開始用処理では、大当たり当選の有無、大当たり種別及びリーチ発生の有無に対応した変動表示時間テーブルをROM353から読み出し、その読み出した変動表示時間テーブルと、そのタイミングにおける変動種別カウンタCSの数値情報とから今回の遊技回の変動表示時間を決定する。そして、遊技回開始用処理では、その決定した変動表示時間に対応した絵柄の変動表示をメイン表示部333にて開始させるとともに、変動表示時間の情報を含む変動用コマンドと、大当たり当選の有無及び大当たり種別の情報を含む種別コマンドとを音声発光制御装置360に送信する。
ちなみに、変動表示時間は、大当たり当選の有無、大当たり種別及びリーチ発生の有無に対応した変動表示時間テーブルが読み出されて決定されるため、変動用コマンドにはリーチ発生の有無の情報が含まれていると言える。また、後述するように音声発光制御装置360では変動表示時間に応じてリーチ表示の種別を決定するため、変動用コマンドにはリーチ種別の情報が含まれているとも言える。
また、遊技回制御処理では、遊技回の実行中において変動表示中処理を実行し、変動開始用処理にて決定した変動表示時間が経過している場合にはメイン表示部333において、その遊技回における大当たり当選の有無及び大当たり種別に対応した停止結果を表示させた状態で絵柄の変動表示を終了させる。また、音声発光制御装置360に対して遊技回の終了を指示するための終了コマンドを送信する。
遊技状態移行処理では、大当たり当選に対応した遊技回が終了している場合に開閉実行モードへの移行処理を実行し、可変入賞装置322における大入賞口322aの開閉処理を開始する。なお、開閉実行モードを開始する場合、開閉実行モード中、及び開閉実行モードを終了する場合などに、開閉実行モード用の各種コマンドを音声発光制御装置360に送信する。また、開閉実行モードが終了した場合には、当該モードの開始契機となった遊技回に係る大当たり種別に対応させて、当否抽選モードの移行やサポートモードの移行を実行する。
デモ表示用処理では、開閉実行モード中ではない状況で遊技回の終了後において新たな遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。また、MPU352への電力供給が開始されてから又はパチンコ機310がリセットされてから、新たに遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、3sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。そして、経過していると判定した場合には、デモ表示用のコマンドを音声発光制御装置360に送信する。
なお、デモ表示とは、予め定められた開始待ち期間が経過している場合に、表示装置46の表示画面Gにて表示される開始待ち演出のことをいう。デモ画像では、図柄列Z1〜Z3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が表示されるが、これに限定されることはなく、例えば、図柄が所定の動作を行っている画像の表示の後に又はそれに代えてメーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される構成としてもよい。また、図柄列Z1〜Z3上において変動表示される図柄のアニメーションによりデモ表示を行う構成においては、当該図柄として、直前の遊技回で最終停止表示された図柄を用いる構成としてもよい。この場合、デモ表示の多様化が図られる。
<音声発光制御装置360>
次に、音声発光制御装置360について説明する。
音声発光制御装置360は、図82に示すように、MPU362が搭載された音声発光制御基板361を具備している。MPU362には、当該MPU362により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM363と、そのROM363内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM364と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
なお、ROM363として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM363として用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM363と、RAM364とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
MPU362には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU362の入力側には演出用操作装置348及び主制御装置350が接続されているとともに、MPU362の出力側には各種発光部335,336,344、スピーカ部345及び表示制御装置70が接続されている。
MPU362では、主制御装置350から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置350から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置350から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置350から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
なお、MPU362において主制御装置350からコマンドを受信するとは、主制御装置350からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間(表示継続期間)を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理と、を実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において表示装置46の表示画面Gに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、上記各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置70に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各把握処理の他に、予告表示を行うか否かの予告表示抽選処理を実行する。この場合、当該抽選処理では、予告表示の種別抽選についても実行される。そして、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の種別の情報を含む予告コマンドを、表示制御装置70に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM363から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における表示発光部344の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部345からの出力態様が規定される。
遊技回用演出終了処理では、現状の遊技回における表示発光部344の発光制御及びスピーカ部345の音声出力制御を終了する。また、当該遊技回用演出終了処理では、遊技回用演出を終了させるべき情報を含む終了コマンドを、表示制御装置70に送信する。
大当たり演出用処理では、受信している大当たり演出用の各種コマンドに基づいて、オープニング時、各ラウンド時、各ラウンド間及びエンディング時などの演出態様を把握し、その把握結果に対応した大当たり演出用のコマンドを表示制御装置70に送信する。また、当該把握結果に基づいて、大当たり演出用の表示発光テーブルと大当たり演出用の音声テーブルとをROM363から読み出し、大当たり演出中における表示発光部344の発光態様やスピーカ部345からの音声の出力態様を規定する。
デモ表示用処理では、受信しているデモ表示用のコマンドに基づいて、デモ表示の演出態様を把握し、その把握結果に対応したデモ表示用のコマンドを表示制御装置70に送信する。また、当該把握結果に基づいて、デモ表示用の表示発光テーブルとデモ表示用の音声テーブルとをROM363から読み出し、デモ表示中における表示発光部344の発光態様やスピーカ部345からの音声の出力態様を規定する。
なお、主制御装置350から送信されたコマンドに基づいてMPU362にて実行される処理は、上記処理以外にも、第1保留発光部335や第2保留発光部336を発光制御するための処理が含まれる。
また、MPU362では、演出用操作装置348の操作部が操作されたことに基づき当該演出用操作装置348から送信される操作信号を受信することで、演出用操作装置348が操作されたことを認識し、操作対応処理を実行する。また、操作されている状態が解除された場合にも操作信号の立下りによってそれを認識し、操作対応処理を実行する。
ここで、演出用操作装置348の操作に対応した演出の一部として、表示装置46に表示されている画像が2次元平面上の異なる位置にシフトされるような演出が実行される。そして、このシフト可能な位置として、複数の位置、具体的には2箇所の位置が設定されている。これに対応させて、演出用操作装置348の操作部はこれら複数の位置を個別に指定可能なように、例えば十字キー又は複数方向に回動可能な操作レバーとして設けられており、演出用操作装置348からは各操作に対応した操作信号が送信される。操作対応処理では、操作信号の種類に応じて操作態様を特定し、演出用操作装置348が操作されたことの情報及びその操作態様の情報を含む操作発生コマンドを表示制御装置70に送信する。また、操作対応処理では、操作部の操作が解除された場合に、操作解除コマンドを表示制御装置70に送信する。また、操作対応処理では、上記コマンドの送信以外にも、表示発光部344の発光態様やスピーカ部345からの音声の出力態様を演出用操作装置348の操作に対応したものとなるように規定する。
<表示制御装置70>
本実施形態における表示制御装置70にて実行されるV割込み処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
V割込み処理では、先ずステップS601にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM73のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS602では、ステップS601の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS603にて、コマンド対応処理を実行する。
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルを把握する。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を表示装置46の表示画面Gに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
ここで、表示CPU72が音声発光制御装置360から受信するコマンドとしては、変動パターンコマンド、図柄指定コマンド及び予告コマンドがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を表示装置46にて実行するために必要なデータテーブルを把握する。また、上記受信するコマンドとしては終了コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブルを把握する。また、上記受信するコマンドとしては、大当たり演出用の各種コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には大当たり演出を実行するために必要なデータテーブルを把握する。また、上記受信するコマンドとしては、デモ表示用のコマンドがあり、当該コマンドを受信した場合にはデモ表示を実行するために必要なデータテーブルを把握する。さらに必要であると把握されたデータテーブルに基づき処理を実行する場合に必要な他のプログラムデータも把握する。
遊技回用演出を実行するために必要なデータテーブルのうち当該遊技回用演出を開始させるのに必要なデータテーブルは常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。また、遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブル、大当たり演出を開始させるために必要なデータテーブル及びデモ表示を実行するために必要なデータテーブルも、常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。さらにそれらデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータも常用プログラムデータとしてワークRAM73の常用エリア73aに既に転送されている。
ステップS603にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS604にて、プログラムデータの事前転送が必要であるか否かを判定する。ここで必要であると判定されるデータは、ステップS603において必要であると判定されたデータテーブルのうち常用プログラムデータに含まれていないデータテーブルと、そのデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータである。
プログラムデータの事前転送が必要である場合には、ステップS605にて、メモリモジュール74に対してその必要なプログラムデータの転送要求を行う。メモリモジュール74では、当該プログラムデータに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、ワークRAM73の変更用エリア73bへのプログラムデータの転送を開始する。
つまり、表示CPU72ではコマンドを新たに受信した場合、そのコマンドを解析したタイミングで新たなプログラムデータの転送が必要か否かを判定し、必要であればプログラムデータの転送要求を行う。これにより、極力早いタイミングでプログラムデータの事前転送を開始することができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象のプログラムデータが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、コマンドに対応した処理を実行する上で最初のタイミングの処理を含むデータテーブルやプログラムデータは、常用プログラムデータとして初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した処理が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
ステップS602にて否定判定をした場合、ステップS604にて否定判定をした場合又はステップS605の処理を実行した後は、ステップS606に進む。ステップS606では、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU72において把握することが可能となる。
続くステップS607では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP76に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。
続くステップS608では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP76に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP76では、この描画リストに従ってVRAM75のフレーム領域82a,82bに描画データを作成する。このVDP76における処理については後に詳細に説明する。
続くステップS609では、プログラムデータの転送中であるか否かを判定する。プログラムデータの転送中である場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。一方、プログラムデータの転送中でない場合には、ステップS610にて、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングとして設定されている情報を参照することで、画像データの転送が必要か否かを判定する。
各種画像データのうち、常用プログラムデータに基づく描画指示に際して使用される画像データは、常用画像データとして設定されている。つまり、常用画像データとして、遊技回用演出を開始させるのに必要な画像データ、大当たり演出を開始させるために必要な画像データ、及びデモ表示を実行するために必要な画像データが設定されている。これら画像データの転送要求は、初期設定処理においてメモリモジュール74に対して既になされており、表示CPU72においてコマンドを受信する状況となった場合にはその転送が完了している。
なお、当該構成に限定されることはなく、常用画像データの転送が完了するまでは、少なくともステップS606以降の処理が実行されない構成としてもよい。この場合、表示CPU72においてメイン処理が起動して表示装置46にて初期画像が表示されてからは、常用画像データの転送が完了するまでその初期画像の表示が継続されることとなる。また、初期画像データの転送に際して、図柄の変動表示を行うために必要な画像データの総データ容量よりも小さいデータ容量の簡易図柄データも同時に転送する構成とし、常用画像データ群の転送が完了していない状況で、変動パターンコマンドを受信した場合には、簡易図柄による変動表示を行う構成としてもよい。
ステップS610にて転送が必要であると判定される画像データは、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングで必要となる画像データであって、常用画像データに含まれていない画像データである。画像データの転送が必要でない場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。画像データの転送が必要である場合には、ステップS611にて、メモリモジュール74に対してその必要な画像データの転送要求を行った後に、本V割込み処理を終了する。メモリモジュール74では、当該画像データに対応したアドレス指定コマンドを表示CPU72から受信することで、展開用バッファ81の変更用エリア81bへの画像データの転送を開始する。
つまり、表示CPU72では現状設定されているデータテーブルを参照して、新たな画像データの転送が必要か否かを判定し、必要であれば画像データの転送要求を行い、VDP76において描画データを作成する上で必要となるタイミングとなるまでに画像データが事前転送されているようにする。これにより、VDP76において描画データの作成を円滑に行うことができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象の画像データが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、常用画像データが初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した画像の表示が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
上記V割込み処理以外の処理は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
以上より、上記第1の実施形態にて説明したような表示制御に係る優れた作用効果を、パチンコ機310において奏することができる。
<他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を単独で上記各実施形態の構成に適用してもよく、所定の組み合わせで上記各実施形態の構成に適用してもよい。また、以下の各構成を、その構成の適用対象として例示していない実施形態に適用してもよい。
(1)表示CPU72,131やVDP76,135においてデータの読み出し速度の向上を図ることを目的とした場合、メモリモジュール74,133としてNAND型フラッシュメモリ102,162が用いられているのではなく、NOR型フラッシュメモリといったランダムアクセスが可能なメモリが用いられている構成に対して、データの事前転送の構成やブート用メモリ119,179からのブートデータの読み出しに係る構成を適用してもよい。
(2)初期設定処理を円滑に進めることができるという効果に着目した場合、ブート用メモリ119,179が設けられておらず、ブートデータがNAND型フラッシュメモリ102,162に記憶されており、初期設定処理が開始される前に、そのブートデータがワークRAM73,132に事前転送される構成としてもよい。この場合、ブートデータのワークRAM73,132への転送が完了するまで表示CPU72,131においてウェイト処理が実行される構成とするとよい。上記構成の場合、表示CPU72,131への電力供給開始タイミングから初期設定処理の実質的な開始タイミングまでの時間は上記各実施形態よりも長時間化するものの、初期設定処理を円滑に進めることは可能となる。
(3)上記各実施形態において、プログラムデータが、NAND型フラッシュメモリ102,162とは別に設けられたランダムアクセス可能な他のメモリに予め記憶されている構成としてもよい。また、画像データの一部又は全部が、NAND型フラッシュメモリ102,162とは別に設けられたランダムアクセス可能な他のメモリに予め記憶されている構成としてもよい。
(4)ブート用メモリ119,179がメモリモジュール74,133とは別に設けられている構成としてもよい。この場合、ブート用メモリ119,179と表示CPU72,131との間の信号経路を、メモリモジュール74,133と表示CPU72,131との間の信号経路や、メモリモジュール74,133と各RAM73,75,132,134とは別に設けることで、表示CPU72,131にブートデータを読み込んでいる期間を利用して、メモリモジュール74,133からワークRAM73,132やVRAM75,134へのデータ転送を行うことが可能となる。
(5)後半部分のデータを要することなくブートデータのみで、初期設定処理(図13)のプログラムデータが構成されていてもよい。この場合、ブート用メモリ119,179において必要な記憶容量を上記各実施形態よりも増加させる必要があるが、初期設定処理の途中で当該初期設定処理用のプログラムデータの転送を行う必要がなくなる。ちなみに、当該構成においては、ブートデータにおいて常用プログラムデータや常用画像データの転送指示を行うためのプログラムデータが設定されている必要がある。
(6)メモリモジュール74,133以外にも画像データを予め記憶しておくためのメモリが設けられている構成としてもよい。当該構成について具体的には、上記別のメモリとしてNOR型フラッシュメモリを設け、当該NOR型フラッシュメモリに常用画像データを記憶させておく。そして、VDP76,135にそのNOR型フラッシュメモリを接続しておくことで、常用画像データに対応した画像を表示させる場合にはNOR型フラッシュメモリからその常用画像データを読み出せばよい。本構成によれば、予め画像データを記憶しておくためのメモリを複数種類設ける必要が生じるが、スロットマシン10の電源投入時などに常用画像データの転送を行わなくても常用画像データに対応した画像の表示を良好に行うことができるようになる。また、本構成であっても、NOR型フラッシュメモリには常用画像データのみを記憶し、メモリモジュール74,133に演出の多様化に伴いデータ容量が大きくなり易い変更用画像データを記憶させておく構成とすることで、NOR型フラッシュメモリとして記憶容量の小さなものを用いればよいため、低コスト化を図りつつ、上記効果を奏することができる。また、上記構成を、常用プログラムデータに対して適用してもよい。
(7)上記各実施形態では、表示制御装置70,130のRAMにバックアップ電力が供給されずに、スロットマシン10の電源がOFF操作された場合にはそれまでRAMに記憶されていたデータ群は破壊又は消去される構成に代えて、当該RAMにバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
なお、上記第5の実施形態では、上記バックアップ電力を供給する手段として、電源及び発射制御装置357において主制御装置350のRAM354などにバックアップ電力を供給する電断中用電源部が兼用されてもよく、それとは別の電断中用電源部が設けられていてもよい。
(8)プログラムデータや画像データが事前転送される記憶手段は、NAND型フラッシュメモリ102,162よりもデータの読み出しに要する速度が速く且つ上書き可能であれば、揮発性の記憶手段であるRAMに限定されない。
(9)プログラムデータや画像データの事前転送の構成や、ブート用メモリ119,179からのブートデータ読み出しの構成を、表示制御装置70,130以外の制御装置に対して適用してもよい。例えば、音声発光制御装置66,360に対して適用してもよい。また、主制御装置50,350、払出制御装置355又は電源及び発射制御装置357に対して適用してもよい。また、表示装置46の代わりに遊技回用の動作が行われる可動物が設けられた構成においては、この可動物を駆動制御する制御装置に対して上記構成を適用してもよい。
(10)複数フレーム分の表示期間に亘って所定の動作を行うように表示される画像について、予め定められた順番の動作を順方向に再生した後は、それを逆再生させる構成としてもよい。この場合、最初の動作と最後の動作とが連続性を有している必要がないため、ループ再生させる場合よりも設計段階における画像データの作成の容易化が図られる。
(11)演出用のキャラクタが複雑な動作をする場合や演出用のキャラクタが増加する場合といったように、表示CPU72,131やVDP76,135における処理負荷が増加するタイミングにおいては、背景用のキャラクタといった注目されない側のキャラクタの表示は継続するものの動作の更新を行わない構成としてもよい。これにより、処理負荷の軽減が図られる。
(12)所定のキャラクタを表示するための画像データをフレーム領域82a,82bに同時に複数設定してもよい。これにより、予め記憶しておく画像データの数を抑えながら、複数のキャラクタを表示することが可能となる。また、この場合に、それら画像データを左右反転させて設定してもよく、所定の位置を通過する演出を行う場合においてその位置を通過するタイミングが異なるように座標設定を行う構成としてもよい。
(13)複数のエフェクト画像が結合された画像データを、メモリモジュール74に予め記憶させておく構成としてもよい。この場合、処理負荷の増加を抑えながら、エフェクト画像による視的効果を高めることができる。
(14)上記第2の実施形態では、カメラ(視点)がワールド座標系に配置される画像データ毎に個別に設定される構成としたが、これに代えて、ワールド座標系に配置される全画像データに対して単一のカメラが共通して設定される構成としてもよい。
(15)上記第2の実施形態では、ワールド座標系に配置された画像データは、背景画像、演出画像及び図柄画像の単位で投影される構成としたが、背景画像及び演出画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、演出画像及び図柄画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、全てがまとめて投影される構成としてもよい。
(16)上記第2の実施形態において、テクスチャマッピング処理を行う場合に、単一のオブジェクトについて、投影される面のみにテクスチャを貼り付ける構成としてもよい。この場合、レンダリングの処理負荷を軽減させることができる。また、これに代えて、投影前にテクスチャマッピングを行うのではなく、投影後にテクスチャマッピングを行う構成としてもよい。
(17)上記第2の実施形態において、図柄の表示を、板ポリゴンに対して2次元画像データを貼り付けたデータをワールド座標系に配置することに基づき行う構成としてもよい。この場合に、板ポリゴンの4隅の頂点カラーを順に変化させることにより、図柄が光により照らされているかのような表示を行う構成としてもよい。
(18)上記第2の実施形態において、ワールド座標系におけるカメラワークと、オブジェクトの拡大縮小を組み合わせることで、所定のキャラクタをある程度の大きさで表示しながら、当該キャラクタの移動している距離を長く見せる表示演出を行ってもよい。
(19)上記各実施形態における画像データを利用した表示制御に係る特徴的な構成に着目した場合、プログラムデータや画像データを予め記憶する記憶手段としてNAND型フラッシュメモリ102,162が用いられている構成や、読み出し用のRAM73,75,132,134に事前転送される構成は任意であり、プログラムデータや画像データを予め記憶する記憶手段としてNOR型フラッシュメモリといったランダムアクセスが可能な記憶手段が用いられている構成や、RAM73,75,132,134への事前転送がない構成に対して、表示制御に係る上記特徴的な構成を適用してもよい。
(20)上記第5の実施形態において、上作動口323への入賞に係る保留情報と下作動口324への入賞に係る保留情報とが区別して記憶されるとともに、下作動口324への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよく、これとは逆に上作動口323への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよい。
また、上記構成において、複数の作動口が上下に並設されているのではなく、上作動口323に対応した第1作動口と、下作動口324に対応した第2作動口とが左右に並設された構成としてもよく、これら両作動口が斜めに並設された構成としてもよい。さらにまた、発射ハンドル341の操作態様に応じて、第1作動口への入賞のみ又は第2作動口への入賞のみを狙えるように、両作動口を離間して配置する構成としてもよい。
また、上記構成において、メイン表示部333に、上作動口323への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第1表示領域と、下作動口324への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第2表示領域とを設けてもよい。この場合、上作動口323への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第1表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。また、下作動口324への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第2表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。
(21)上記第5の実施形態において、上作動口323への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合と、下作動口324への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合とで、遊技者が得られる利益が異なる構成としてもよい。また、上記各実施形態のように作動口を複数設ける構成においては、作動口の数は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。また、作動口が1個のみ設けられた構成としてもよい。
(22)主制御装置50,350から出力されるコマンドに基づいて、音声発光制御装置66,360により表示制御装置70,130が制御される構成に代えて、主制御装置50,350から出力されるコマンドに基づいて、表示制御装置70,130が音声発光制御装置66,360を制御する構成としてもよい。また、音声発光制御装置66,360と表示制御装置70,130とが別々に設けられた構成に代えて、両制御装置が一の制御装置として設けられた構成としてもよく、それら両制御装置のうち一方の機能が主制御装置50,350に集約されていてもよく、それら両制御装置の両機能が主制御装置50,350に集約されていてもよい。また、主制御装置50,350から音声発光制御装置66,360に出力されるコマンドの構成も任意である。
(23)上記第5の実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.情報を予め記憶している第1記憶手段(NAND型フラッシュメモリ102,162)と、当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて特定制御を実行する制御手段(表示CPU72,131)と、を備えた遊技機において、
前記第1記憶手段から読み出された情報を記憶するとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段(ワークRAM73,132)と、
前記制御手段にて前記特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて、当該特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に記憶させる転送手段(コントローラ101,161)と、
予め定められた初期起動状態となったことに基づき前記制御手段において初期起動用処理を実行する場合に用いられる初期起動用情報を予め記憶しているとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第3記憶手段(ブート用メモリ119,179)と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第2記憶手段に記憶されている前記特定情報を読み出して前記特定制御を実行する特定制御実行手段(表示CPU72,131におけるV割込み処理を実行する機能)と、
前記第3記憶手段に記憶されている前記初期起動用情報を読み出して前記初期起動用処理を実行する初期実行手段(表示CPU72,131におけるステップS502〜ステップS506の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に、制御手段にて特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて特定情報が記憶され、制御手段はこの第2記憶手段に記憶されている特定情報を読み出して特定制御を実行する構成である。したがって、制御手段において特定情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られ、特定制御を円滑に行うことができる。
また、初期起動用処理を実行する場合に用いられる初期起動用情報は、第1記憶手段ではなく、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第3記憶手段に予め記憶されている。そして、初期起動用処理は初期起動用情報を第3記憶手段から読み出して実行される。これにより、初期起動用処理を実行する場合に、第2記憶手段に初期起動用情報を転送させる待ち時間が生じることはないため、初期起動状態となってから初期起動用処理が開始されるまでの時間の短縮化が図られる。
以上より、制御を実行する上での処理速度の高速化を良好に実現することができる。
なお、「第1記憶手段」には、制御手段において制御を実行する場合に情報の読み出し専用として用いられる記憶手段や、外部から動作電力が供給されていない状態であっても情報の記憶保持を行う記憶手段が含まれる。これは以下の独立した特徴についても同様である。
特徴A2.情報を予め記憶している第1記憶手段(NAND型フラッシュメモリ102,162)と、当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて特定制御を実行する制御手段(表示CPU72,131)と、を備えた遊技機において、
前記第1記憶手段は、NAND型フラッシュメモリを有しており、
さらに、前記第1記憶手段から読み出された情報を記憶するとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段(ワークRAM73,132)と、
前記制御手段にて前記特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて、当該特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に記憶させる転送手段(コントローラ101,161)と、
予め定められた初期起動状態となったことに基づき前記制御手段において初期起動用処理を実行する場合に用いられる初期起動用情報を予め記憶しているとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第3記憶手段(ブート用メモリ119,179)と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第2記憶手段に記憶されている前記特定情報を読み出して前記特定制御を実行する特定制御実行手段(表示CPU72,131におけるV割込み処理を実行する機能)と、
前記第3記憶手段に記憶されている前記初期起動用情報を読み出して前記初期起動用処理を実行する初期実行手段(表示CPU72,131におけるステップS502〜ステップS506の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、第1記憶手段としてNAND型フラッシュメモリが用いられていることにより、NOR型フラッシュメモリが用いられている構成に比べ大容量化を行い易くなる。また、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に、制御手段にて特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて特定情報が記憶され、制御手段はこの第2記憶手段に記憶されている特定情報を用いて特定制御を実行する構成である。したがって、読み出し速度が比較的遅いNAND型フラッシュメモリを第1記憶手段として用いる構成であっても、制御手段において特定情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られ、特定制御を円滑に行うことができる。
また、初期起動用処理を実行する場合に用いられる初期起動用情報は、第1記憶手段ではなく、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第3記憶手段に予め記憶されている。そして、初期起動用処理は初期起動用情報を第3記憶手段から読み出して実行される。これにより、初期起動用処理を実行する場合に、第2記憶手段に初期起動用情報を転送させる待ち時間が生じることはないため、初期起動状態となってから初期起動用処理が開始されるまでの時間の短縮化が図られる。
以上より、制御を実行する上での処理速度の高速化を良好に実現することができる。
特徴A3.前記特定制御実行手段は、前記初期起動用処理の実行が完了した後に、前記特定制御を開始するものであり、
さらに、前記初期起動用情報には、前記特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に転送させるべきことを示す特定情報用の参照情報が含まれており、
前記初期実行手段は、前記初期起動用処理の少なくとも一部の処理として、前記特定情報用の参照情報を参照することで、前記転送手段に前記第2記憶手段への前記特定情報の転送を行わせる処理(表示CPU72,131におけるステップS510の処理)を実行するものであることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、初期起動用情報において特定情報の転送を行うための情報が設定されているため、初期起動用処理の実行中に、その後の特定制御を行う上で必要な特定情報の転送指示が行われる。これにより、特定制御を良好に開始することができる。
特徴A4.前記制御手段は、前記第2記憶手段に転送されている起動後情報を読み出して、前記初期起動用処理の後に起動後用処理を実行する起動後実行手段(表示CPU72,131におけるステップS507〜ステップS514の処理を実行する機能)をさらに備え、
前記初期起動用情報には、前記起動後情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に転送させるべきことを示す起動後情報用の参照情報が含まれており、
前記初期実行手段は、前記初期起動用処理の少なくとも一部の処理として、前記起動後情報用の参照情報を参照することで、前記転送手段に前記第2記憶手段への前記起動後情報の転送を行わせる処理(表示CPU72,131におけるステップS504の処理)を実行するものであり、
さらに、前記初期起動用処理及び前記起動後用処理の実行が完了することで、前記制御手段において前記初期起動状態となったことに基づく初期起動設定が完了する構成であるとともに、前記特定制御実行手段は、前記初期起動用処理及び前記起動後用処理の実行が完了することで、前記特定制御を開始するものであることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A4によれば、制御手段において初期起動設定を実行して完了させるのに用いられる情報が、初期起動用情報と起動後情報とに区分けして設定されている。そして、そのうち先に使用対象となる初期起動用情報が第3記憶手段に予め記憶されており、後に使用対象となる起動後情報は第1記憶手段に予め記憶されている。これにより、初期起動用情報及び起動後情報をまとめて第3記憶手段に予め記憶させておく構成に比べ、当該第3記憶手段において必要な記憶容量を抑えることが可能となる。
また、当該構成であっても、初期起動用情報において起動後情報の転送を行うための情報が設定されているため、初期起動用処理の実行中に、その後の起動後用処理を行う上で必要な起動後情報の転送指示が行われる。これにより、起動後用処理を良好に開始することができる。
特徴A5.前記開始後用情報には、前記特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に転送させるべきことを示す特定情報用の参照情報が含まれており、
前記起動後実行手段は、前記起動後用処理の少なくとも一部の処理として、前記特定情報用の参照情報を参照することで、前記転送手段に前記第2記憶手段への前記特定情報の転送を行わせる処理(表示CPU72,131におけるステップS510の処理)を実行するものであることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、開始後用情報において特定情報の転送を行うための情報が設定されているため、起動後用処理の実行中に、その後の特定制御を行う上で必要な特定情報の転送指示が行われる。これにより、特定制御を良好に開始することができる。
特徴A6.前記転送手段は、前記制御手段が送信する転送指示情報に基づいて、前記第1記憶手段に含まれる多数の記憶領域のうち当該転送指示情報に対応した記憶領域を選択するとともに、その選択した記憶領域に予め記憶されている情報を読み出す管理手段(コントローラCPU113,173)を備えており、
前記制御手段は前記第3記憶手段から前記初期起動用情報を読み出す場合、それに対応した転送指示情報を前記管理手段に向けて送信するとともに、それに基づき前記第3記憶手段からの情報の読み出しが行われることを特徴とする特徴A1乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A6によれば、管理手段が設けられていることにより、制御手段からの転送指示に対して、第1記憶手段からの情報の転送が良好に行われる。この場合に、制御手段は第3記憶手段から情報を読み出す場合にも管理手段に向けて転送指示情報を送信すればよい。これにより、制御手段からの転送指示情報の転送先が集約され、転送指示に関する構成の簡素化を図ることができる。
特徴A7.前記管理手段、前記第1記憶手段及び前記第3記憶手段は、前記制御手段に対する共通のポート部(I/F111,171)を有する記憶モジュール(メモリモジュール74,133)として設けられていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A7によれば、制御手段は、第1記憶手段から第2記憶手段への転送指示を行う場合及び第3記憶手段からの情報の読み出しを行う場合のいずれにおいても、記憶モジュールの共通のポート部に向けて転送指示情報を送信すればよい。これにより、制御手段からの転送指示情報の転送先が集約され転送指示に関する構成の簡素化を図ることができる。
特徴A8.前記第1記憶手段はNAND型フラッシュメモリであり、
前記転送手段は、
前記制御手段が送信する論理アドレスの情報に対して前記第1記憶手段の物理アドレスの情報が対応付けられた管理情報を記憶する管理情報記憶手段(制御用ROM114,174)と、
前記管理情報を参照することで、前記制御手段が送信する前記論理アドレスの情報に対応した物理アドレスを特定する物理アドレス特定処理を実行するとともに、前記第1記憶手段に含まれる多数の記憶領域のうち当該物理アドレス特定処理により特定した物理アドレスの記憶領域から情報を読み出す読み出し処理を実行する管理手段(コントローラCPU113,173)と、
を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、NAND型フラッシュメモリには不良ブロックが生じることがあるが、制御手段から送信される論理アドレスに対する物理アドレスの特定が管理手段において行われるため、NAND型フラッシュメモリからの情報の読み出しが良好に行われる。
特徴A9.前記転送手段は、前記論理アドレスの情報に対応した前記第1記憶手段の記憶領域から読み出された情報を格納するとともに情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い格納手段(キャッシュ用メモリ117,177)を備え、前記論理アドレスの情報に対応した情報を転送先に転送する場合、当該格納手段に格納させた後に転送する構成であり、
前記管理手段は、前記制御手段が送信する前記論理アドレスの情報に対応した情報を前記第1記憶手段から読み出して前記格納手段に格納させた場合、その論理アドレスに関連付けられた論理アドレスに対応した物理アドレスの記憶領域から前記格納手段への情報の転送を開始する予測開始手段(コントローラCPU113,173におけるステップS307の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、制御手段から論理アドレスの情報が送信された場合、その論理アドレスに対応した情報が第1記憶手段から格納手段に読み出され当該格納手段から転送先へと転送されるだけでなく、その受信した論理アドレスに関連付けられた論理アドレスが次の転送指示に係る論理アドレスであると予測して、その論理アドレスに対応した情報が第1記憶手段から読み出される。これにより、関連付けられた複数の論理アドレスのそれぞれに対応した情報の読み出しが行われる場合には、読み出し順が後側の論理アドレスに対応した情報については制御手段からの論理アドレスの情報の送信を待つことなく事前に読み出しを開始することができ、かかる情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られる。
但し、上記構成においては、最初の論理アドレスに対応した情報の読み出しはNAND型フラッシュメモリの読み出し速度に大きく依存してしまう。これに対して、上記特徴A1の構成を備え、初期起動用情報は第1記憶手段ではなく第3記憶手段に予め記憶されているため、初期起動状態となってから初期起動用処理が開始されるまでの時間の短縮化が図られる。
特徴A10.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)を備え、
前記特定制御実行手段は、前記特定制御として、前記表示画面に表示させる画像の表示制御を行う構成であり、
前記初期実行手段は、前記初期起動用処理として、前記特定制御に基づく画像の表示が開始される前段階用の画像(初期画像)を表示させる処理(表示CPU72,131におけるステップS511及びステップS512の処理)を実行することを特徴とする特徴A1乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A10によれば、初期起動用処理が実行されることに基づき、表示画面では前段階用の画像の表示が開始されるため、特定制御に基づく画像の表示が開始されるまで表示画面において画像が全く表示されない構成に比べ、表示画面における画像の表示を早いタイミングで開始することができる。
特徴A11.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)を備え、前記制御手段は、前記表示画面に表示させる画像の表示制御を行う構成であり、
前記第1記憶手段は、前記制御手段において各種処理を実行する場合に用いられる制御プログラムデータと、前記表示画面に画像を表示させる場合に用いられる画像データと、を予め記憶しており、
前記制御手段は、前記制御プログラムデータを転送している期間と、前記画像データを転送している期間とが重複しないように情報転送のタイミングを調整しながら前記転送手段に転送を行わせる転送調整手段(表示CPU72,131におけるステップS506,ステップS509,ステップS513などを実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A11によれば、第1記憶手段に制御プログラムデータ及び画像データの両方が予め記憶されているため、これら情報の記憶先を集約させることができる。また、当該構成において、制御プログラムデータを転送している期間と、画像データを転送している期間とが重複しないように情報転送のタイミングが調整されるため、各情報の転送に係るハード構成の複雑化を抑えながら、各情報の転送を良好に行うことができる。
特徴A12.前記制御プログラムデータは複数種類記憶されているとともに、前記制御プログラムデータを用いた処理に基づく画像の表示において必要となる画像データの種類が制御プログラムデータの種類に応じて異なっており、
前記転送調整手段は、画像データの転送よりも優先して、当該画像データに対応した制御プログラムデータの転送が行われるようにするとともに、当該制御プログラムデータを用いた処理において当該画像データを使用しない処理が実行されている間に当該画像データの転送が行われるようにすることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、画像データの転送よりも優先して、当該画像データに対応した制御プログラムデータの転送が行われるため処理待ちの発生が抑えられる。また、当該制御プログラムデータを用いた処理において当該画像データを使用しない処理が実行されている間に当該画像データの転送が行われるため、当該画像データを用いた画像の表示に支障をきたさないようにすることが可能となる。
特徴A13.前記初期実行手段は、前記初期起動用処理として、前記特定制御に基づき画像の表示が開始される前段階用の画像(初期画像)を表示させるための処理(表示CPU72,131におけるステップS511及びステップS512の処理)を実行する構成であり、
前記転送調整手段は、前記初期起動用情報の転送が完了した後であって前記特定制御において用いられる制御プログラムデータの転送が開始されるよりも前に、前記前段階用の画像に対応した画像データの転送が行われるようにすることを特徴とする特徴A12に記載の遊技機。
特徴A13によれば、初期起動用処理が実行されることに基づき、表示画面では前段階用の画像の表示が開始されるため、特定制御に基づく画像の表示が開始されるまで表示画面において画像が全く表示されない構成に比べ、表示画面における画像の表示を早いタイミングで開始することができる。
特徴A14.前記制御手段は、上流側の制御手段(主制御装置50,350)において上流側処理が実行されたことに基づき送信される指示情報に応じて、前記特定制御を行う下流側の制御手段であり、
さらに、前記第1記憶手段はNAND型フラッシュメモリであるとともに、前記上流側の制御手段において前記上流側処理を行う場合に用いられる制御プログラムデータを予め記憶した上流側の記憶手段(ROM53,353)はランダムアクセスが可能なメモリであることを特徴とする特徴A1乃至A13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A14によれば、上流側の制御手段については制御プログラムデータの読み出しに関してランダムアクセスを可能とすることで、制御プログラムデータの読み出しに関する構成の簡素化を図りつつ、下流側の制御手段については大容量化を重視した構成とすることができる。
特徴A15.情報を予め記憶している第1記憶手段(NAND型フラッシュメモリ102,162)と、当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて特定制御を実行する制御手段(表示CPU72,131)と、を備えた遊技機において、
前記第1記憶手段は、NAND型フラッシュメモリを有しており、
さらに、前記第1記憶手段から読み出された情報を記憶するとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段(ワークRAM73,132)と、
前記制御手段にて前記特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて、当該特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に記憶させる転送手段(コントローラ101,161)と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第2記憶手段に記憶されている前記特定情報を読み出して前記特定制御を実行する特定制御実行手段(表示CPU72,131におけるV割込み処理を実行する機能)と、
予め定められた初期起動状態となったことに基づき初期起動用処理を実行するものであって、前記第2記憶手段に転送された又は情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い他の記憶手段に予め記憶された初期起動用情報を読み出して前記初期起動用処理を実行する初期実行手段(表示CPU72,131におけるステップS502〜ステップS506の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A15によれば、第1記憶手段としてNAND型フラッシュメモリが用いられていることにより、NOR型フラッシュメモリが用いられている構成に比べ大容量化を行い易くなる。また、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に、制御手段にて特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて特定情報が記憶され、制御手段はこの第2記憶手段に記憶されている特定情報を用いて特定制御を実行する構成である。したがって、読み出し速度が比較的遅いNAND型フラッシュメモリを第1記憶手段として用いる構成であっても、制御手段において特定情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られ、特定制御を円滑に行うことができる。
また、初期起動用処理を実行する場合に用いられる初期起動用情報は、第2記憶手段に転送された後に読み出される、又は情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い他の記憶手段から読み出される。これにより、初期起動用処理を良好に実行することができる。
以上より、制御を実行する上での処理速度の高速化を良好に実現することができる。
特徴A16.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、情報を予め記憶している第1記憶手段(NAND型フラッシュメモリ102,162)と、当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて前記表示画面に表示させる画像の表示制御を行う表示制御手段(表示CPU72,131、VDP76,135)と、を備えた遊技機において、
前記第1記憶手段は、前記表示制御手段において各種処理を実行する場合に用いられる制御プログラムデータと、前記表示画面に画像を表示させる場合に用いられる画像データと、を予め記憶しており、
前記第1記憶手段から読み出された情報を記憶するとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段(ワークRAM73,132、VRAM75,134)と、
前記表示制御手段にて必要となるタイミングよりも前のタイミングにおいて、その必要となる情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に記憶させる転送手段(コントローラ101,161)と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記第2記憶手段に転送された制御プログラムデータを用いて処理を実行するとともに、前記第2記憶手段に転送された画像データを用いて画像の表示を行わせる構成であり、
さらに、前記制御プログラムデータを転送している期間と、前記画像データを転送している期間とが重複しないように情報転送のタイミングを調整しながら前記転送手段に転送を行わせる転送調整手段(表示CPU72,131におけるステップS506,ステップS509,ステップS513などを実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A16によれば、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に、表示制御手段にて必要となるタイミングよりも前のタイミングにおいて情報が記憶され、表示制御手段はこの第2記憶手段に記憶されている情報を用いて処理を行うとともに画像の表示を行う。したがって、表示制御手段において情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られ、画像の表示を円滑に行うことができる。
また、第1記憶手段に制御プログラムデータ及び画像データの両方が予め記憶されているため、これら情報の記憶先を集約させることができる。また、当該構成において、制御プログラムデータを転送している期間と、画像データを転送している期間とが重複しないように情報転送のタイミングが調整されるため、各情報の転送に係るハード構成の複雑化を抑えながら、各情報の転送を良好に行うことができる。
以上より、制御を実行する上での処理速度の高速化を良好に実現することができる。
特徴A17.情報を予め記憶している第1記憶手段(NAND型フラッシュメモリ102,162)と、当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて特定制御を実行する制御手段(表示CPU72,131)と、を備えた遊技機において、
前記第1記憶手段は、NAND型フラッシュメモリを有しており、
さらに、前記第1記憶手段から読み出された情報を記憶するとともに、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段(ワークRAM73,132)と、
前記制御手段にて前記特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて、当該特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段に記憶させる転送手段(コントローラ101,161)と、
を備え、
前記転送手段は、
前記制御手段が送信する論理アドレスの情報に対して前記第1記憶手段の物理アドレスの情報が対応付けられた管理情報を記憶する管理情報記憶手段(制御用ROM114,174)と、
前記管理情報を参照することで、前記制御手段が送信する前記論理アドレスの情報に対応した物理アドレスを特定する物理アドレス特定処理を実行するとともに、前記第1記憶手段に含まれる多数の記憶領域のうち当該物理アドレス特定処理により特定した物理アドレスの記憶領域から情報を読み出す読み出し処理を実行する管理手段(コントローラCPU113,173)と、
前記論理アドレスの情報に対応した前記第1記憶手段の記憶領域から読み出された情報を格納する格納手段(キャッシュ用メモリ117,177)と、
を備え、前記論理アドレスの情報に対応した情報を転送先に転送する場合、当該格納手段に格納させた後に転送する構成であり、
前記管理手段は、前記制御手段が送信する前記論理アドレスの情報に対応した情報を前記第1記憶手段から読み出して前記格納手段に格納させた場合、その論理アドレスに関連付けられた論理アドレスに対応した物理アドレスの記憶領域から前記格納手段への情報の転送を開始する予測開始手段(コントローラCPU113,173におけるステップS307の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A17によれば、第1記憶手段としてNAND型フラッシュメモリが用いられていることにより、NOR型フラッシュメモリが用いられている構成に比べ大容量化を行い易くなる。また、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に、制御手段にて特定制御が実行されるよりも前のタイミングにおいて特定情報が記憶され、制御手段はこの第2記憶手段に記憶されている特定情報を用いて特定制御を実行する構成である。したがって、読み出し速度が比較的遅いNAND型フラッシュメモリを第1記憶手段として用いる構成であっても、制御手段において特定情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られ、特定制御を円滑に行うことができる。
また、NAND型フラッシュメモリには不良ブロックが生じることがあるが、制御手段から送信される論理アドレスに対する物理アドレスの特定が管理手段において行われるため、NAND型フラッシュメモリからの情報の読み出しが良好に行われる。
また、制御手段から論理アドレスの情報が送信された場合、その論理アドレスに対応した情報が第1記憶手段から格納手段に読み出され当該格納手段から転送先へと転送されるだけでなく、その受信した論理アドレスに関連付けられた論理アドレスが次の転送指示に係る論理アドレスであると予測して、その論理アドレスに対応した情報が第1記憶手段から読み出される。これにより、関連付けられた複数の論理アドレスのそれぞれに対応した情報の読み出しが行われる場合には、読み出し順が後側の論理アドレスに対応した情報については制御手段からの論理アドレスの情報の送信を待つことなく事前に読み出しを開始することができ、かかる情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られる。
上記特徴A群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装されている制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に搭載されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に搭載された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面において所定の画像が表示されることとなる。また、近年では、画像による演出態様を多様化したり、画像として複雑な動画や実写映像を用いたりすることで、画像への注目度を高め、それに伴って遊技への注目度を高めようとする試みがなされている。
ここで、画像の描画指示が発生した場合には、それに対して早期に画像の表示が行われることが好ましい。早期に画像の表示を行わせる一方法としては、画像データ用のメモリの読み出し速度を速くする方法が考えられる。また、他の手法としては、画像処理を行うCPUの処理速度を速くする方法が考えられる。しかしながら、前者の場合には遊技機設計段階においてメモリの選択の自由度が低下してしまい、後者の場合には処理速度を高速化していくほどコストが高くなってしまう。
なお、上記問題は、画像の表示に係る構成に限定されたものではなく、他の制御に係る構成においても同様に発生する。
ちなみに、上記特徴A1〜A17のいずれか1の構成に対して、下記特徴B1〜B13、下記特徴C1〜C10、下記特徴C’1、下記特徴D1〜D10、下記特徴E1〜E8、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴B群>
特徴B1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
当該表示用記憶手段に記憶されている画像データを用いて前記表示画面に画像を表示させるとともに、予め定められた更新タイミングとなることで1フレーム分の画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記1フレーム分の画像において複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なるように、それら個別画像に対応した画像データを設定する画像データ設定手段(VDP76における書き込み処理を実行する機能、VDP76におけるステップS2101,ステップS2105,ステップS2201,ステップS2205,ステップS2301〜ステップS2304の処理を実行する機能)と、
前記複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なるように表示される場合に、手前側の個別画像に対応した画像データの一部に設定される透明値を奥側の個別画像に対応した画像データの重なり部分が表示対象となるように設定することにより、前記手前側の個別画像の部分表示を行わせる透明値調整手段(VDP76におけるステップS2104,ステップS2204,ステップS2307の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、手前側の個別画像に対応した画像データの透明値を調整することで、当該個別画像の部分表示が行われる。これにより、例えば部分表示用の画像データと全体表示用の画像データとを別々に用意する必要がないため、表示用記憶手段の記憶容量を抑えることができる。
特徴B2.前記画像データは、色情報が対応付けられた単位画像データ(ピクセル)を多数有しており、
前記表示用記憶手段は、前記画像データの各単位画像データに対応させて透明値が設定された透明値調整用データ(部分用αデータPD22〜PD25、部分用αデータPD30〜PD33、αパレットデータ、部分用αデータPD37,PD38)を予め記憶しており、
前記透明値調整手段は、前記手前側の個別画像に対応した前記画像データに前記透明値調整用データを適用することにより、前記部分表示を行わせることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、透明値調整用データを表示用記憶手段から読み出して、それを画像データに適用するだけで部分表示が行われるため、部分表示を行うための処理構成が複雑化してしまうことが抑えられる。
特徴B3.前記透明値調整用データは、前記手前側の個別画像において部分表示される領域の輪郭部分に対応した前記単位画像データに対して、当該輪郭部分の透明度がその内側にて隣接する部分よりも高くなるように透明値が設定されており、
さらに、前記手前側の個別画像として表示される個別画像には、第1の手前側個別画像及び第2の手前側個別画像が含まれているとともに、それら各手前側個別画像に1対1で対応させて前記透明値調整用データが設けられていることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、透明値調整用データは第1の手前側個別画像及び第2の手前側個別画像に1対1で対応させて設けられているため、それら個別画像について部分表示を行うことができる。また、各透明値調整用データは、対応する個別画像の輪郭部分の透明度がその内側にて隣接する部分よりも高くなるように透明値が設定されているため、部分表示を行うべく透明値調整用データを適用した場合にはそれと同時に、当該部分表示されている画像のジャギーを軽減させることができる。
特徴B4.前記手前側の個別画像として表示される個別画像には、第1の手前側個別画像(図柄スプライトデータPD26に対応した個別画像)及び第2の手前側個別画像(図柄スプライトデータPD27に対応した個別画像)が含まれており、
前記透明値調整手段は、前記第1の手前側個別画像の部分表示を行わせる場合、及び前記第2の手前側個別画像の部分表示を行わせる場合のいずれにおいても、共通の前記透明値調整用データ(部分用αデータPD30〜PD33)を適用するものであることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B4によれば、透明値調整用データを記憶しておくのに必要な記憶容量を抑えながら、第1の手前側個別画像及び第2の手前側個別画像のそれぞれについて部分表示を行うことができる。
特徴B5.前記透明値調整用データは、前記手前側の個別画像の画像データに含まれる多数の前記単位画像データに対応させて多数の単位調整領域を有するとともに各単位調整領域に透明値情報が設定されており、
前記透明値調整手段は、前記透明値調整用データの各単位調整領域に含まれる透明値情報を前記画像データにおけるそれぞれ対応する単位画像データに対応付けられた色情報に適用することで、前記部分表示を行わせることを特徴とする特徴B2乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B5によれば、部分表示を行う場合には、透明値調整用データの各単位調整領域に設定された透明値情報を、それぞれ対応する単位画像データに対応付けられた色情報に適用すればよいため、当該適用に係る処理の複雑化を抑えられる。
特徴B6.前記画像データ設定手段は、予め定められた設定用記憶手段に前記画像データを設定することに基づき、1フレーム分の画像の表示を行わせる構成であるとともに、前記画像データを前記設定用記憶手段に設定する場合、当該画像データに含まれる多数の前記単位画像データのうち一部についての前記設定用記憶手段内における座標情報を特定し、その座標情報に応じた位置に当該画像データを設定する構成であり、
さらに、前記透明値調整用データは、前記手前側の個別画像の画像データに含まれる多数の前記単位画像データに対応させて多数の単位調整領域を有するとともに各単位調整領域に透明値情報が設定されており、
前記透明値調整手段は、前記透明値調整データの各単位調整領域に含まれる透明値情報を前記画像データにおけるそれぞれ対応する単位画像データに対応付けられた色情報に適用することで、前記部分表示を行わせることを特徴とする特徴B2乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B6によれば、画像データを設定用記憶手段に設定する場合、当該画像データの全単位画像データについて座標情報を特定する必要がないため、当該特定に係る処理構成の複雑化が抑えられる。
当該構成において、透明値調整用データは、手前側の個別画像の画像データに含まれる多数の単位画像データに対応させて多数の単位調整領域を有するとともに各単位調整領域に透明値情報が設定されたデータ構成である。これにより、画像データの全単位画像データについて個別に座標情報の特定が行われない構成であっても、透明値調整用データの各単位調整領域に設定された透明値情報を、それぞれ対応する単位画像データに対応付けられた色情報に適用することができる。
特徴B7.前記画像データ設定手段は、予め定められた設定用記憶手段に前記画像データを設定することに基づき、1フレーム分の画像の表示を行わせる構成であるとともに、前記画像データを前記設定用記憶手段に設定する場合、当該画像データの前記設定用記憶手段内における座標の情報を含むパラメータ情報を特定し、その特定結果に応じて前記画像データの設定を行う構成であり、
前記透明値調整手段は、前記手前側の個別画像に対応した画像データが前記設定用記憶手段に設定される場合に、前記特定されたパラメータ情報に応じて前記画像データの設定が行われるよりも前のタイミングで、当該画像データに対して前記透明値調整データを適用するものであることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
特徴B7によれば、透明値調整データが適用された画像データに対して所定のパラメータが適用され、その適用結果のデータが設定用記憶手段に設定される。これにより、透明値調整データについては設定用記憶手段に設定するためのパラメータの特定を行う必要がないため、パラメータの特定を行うための処理負荷が抑えられる。
特徴B8.前記各単位画像データには個別に識別用情報が設定されており、
前記透明値調整用データには、前記識別用情報に対応させて、その識別用情報が設定されている単位画像データの色情報及び透明値情報の組み合わせが設定されていることを特徴とする特徴B2乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B8によれば、各単位画像データに色情報を設定することに合わせて、部分表示用の透明値を適用することができる。
特徴B9.前記透明値調整手段は、前記手前側の個別画像において部分表示される領域の輪郭部分の透明度がその内側にて隣接する部分よりも高くなるように透明値の調整を行うものであることを特徴とする特徴B1乃至B8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B9によれば、部分表示を行うべく透明値の調整を行った場合にはそれとともに、当該部分表示されている画像のジャギーを軽減させることができる。
特徴B10.前記透明値調整手段は、前記奥側の個別画像に対応した画像データの重なり部分を表示対象とする透明値が設定される範囲を切り換えることにより、前記手前側の個別画像において前記部分表示の領域が遷移していくようにするものであることを特徴とする特徴B1乃至B9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B10によれば、適用する透明値を切り換えるだけで、前側の個別画像において部分表示される領域が遷移していく表示演出を行うことができる。
特徴B11.前記表示画面の一部の領域が区画された区画領域(部分表示領域PL5)が表示されるように前記表示手段を制御する区画領域制御手段(表示CPU72におけるステップS2006の処理を実行する機能)を備え、
前記手前側の個別画像は前記区画領域内において表示されるように用いられる個別画像であるとともに、前記奥側の個別画像は前記区画領域の周囲を含む周囲領域において表示されるように用いられる個別画像であり、
前記透明値調整手段は、前記区画領域の境界に一部がかかるように前記手前側の個別画像が表示される場合に、当該手前側の個別画像が前記周囲領域にはみ出さないように、当該手前側の個別画像を部分表示させることを特徴とする特徴B1乃至B10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B11によれば、透明値の調整を行うだけで、区画領域の範囲内で個別画像が表示される表示演出を行うことができる。
特徴B12.前記表示画面において特定の方向に並べて複数の文字画像を表示するとともに、それら複数の文字画像の色が順次変更されていくように前記表示手段を制御する文字色変更制御手段(VDP76における文字遷移処理を実行する機能)を備え、
前記手前側の個別画像は、前記複数の文字画像を含む個別画像であり、
前記奥側の個別画像は、前記複数の文字画像を含むとともに各文字画像の色が前記手前側の個別画像とは異なるように設定される個別画像であり、
前記画像データ設定手段は、予め定められた設定用記憶手段に前記画像データを設定することに基づき、1フレーム分の画像の表示を行わせる構成であるとともに、前記文字画像の色が順次変更される表示演出が行われる場合、前記奥側の個別画像に対応した画像データの手前に前記手前側の個別画像に対応した画像データを設定する構成であり、
前記透明値調整手段は、前記表示演出が行われる場合、前記手前側の個別画像を部分表示させるものであることを特徴とする特徴B1乃至B10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B12によれば、透明値の調整を行うだけで、文字画像の色が順次変更される表示演出を行うことができる。
特徴B13.予め定められたパターン決定条件が成立したことに基づき、複数フレーム分の画像により構成される表示演出パターン情報を決定するパターン決定手段(表示CPU72におけるステップS603の処理を実行する機能)と、
その決定された表示演出パターン情報を参照することに基づき、各フレーム分の画像に表示される個別画像に対応した画像データを用いる場合のパラメータ情報を導出する導出手段(表示CPU72におけるタスク処理を実行する機能)と、
を備え、
前記画像データ設定手段は、前記導出手段により導出されたパラメータ情報を適用させた状態で前記画像データの設定を行うものであることを特徴とする特徴B1乃至B12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B13によれば、先に決定された表示演出パターン情報を参照することに基づき、各フレームに対応した画像データのパラメータ情報を導出し、そのパラメータ情報を適用した状態で画像データの設定を行うことで、各フレーム分の画像が表示される構成において、上記特徴B1等において説明したような優れた効果を奏することができる。
上記特徴B群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2D画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタや文字を表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタや文字を表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタ又は文字が配置された画像が表示画面にて表示される。
また、例えば上記背景の手前にてキャラクタや文字が所定の動きをしているかのような画像を表示させる場合には、表示装置の更新タイミングとなる度に、所定の動きに即した座標に若しくは形態で上記キャラクタ又は文字のデータを設定した描画データが作成される。
ここで、本発明者は、表示装置における表示演出として、上記キャラクタや文字の動きの過程で、上記キャラクタや文字の全体が表示されている状態から一部のみが表示されている状態へと遷移させる表示演出を考え出した。
しかしながら、上記表示演出を行うために、上記画像データ用のメモリの容量が極端に増加してしまうことは好ましくなく、当該容量の増加をある程度抑えつつ、上記表示演出を行えるようにする必要がある。
ちなみに、上記特徴B1〜B13のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、下記特徴C1〜C10、下記特徴C’1、下記特徴D1〜D10、下記特徴E1〜E8、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴C群>
特徴C1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
予め定められた設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)に前記画像データを設定することに基づき、前記表示画面に画像を表示させるとともに、予め定められた更新タイミングとなることで1フレーム分の画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段には、複数の分割用画像データ(分割パーツデータPD2〜PD10,分割データ群PD12〜PD15)が予め記憶されており、
前記表示制御手段は、前記複数の分割用画像データが予め定められた相対位置に従って前記設定用記憶手段に並べて設定されるようにすることで、同一種類の表示態様が各分割用画像データに対応した各分割用個別画像の境界を跨ぐこととなる一連の画像を表示させる集合設定手段(表示CPU72におけるスクロール背景用の演算処理を実行する機能又は表示CPU72における変位背景用の演算処理を実行する機能と、VDP76における分割パーツデータの設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、一連の画像を表示させるための画像データが複数の分割用画像データとして分割して記憶されている。これにより、設定用記憶手段に個別に設定する場合のデータ単位を小さく抑えることができ、単一の画像データを扱う上での処理負荷を抑えることが可能となる。
特徴C2.前記集合設定手段は、隣接した位置関係となる第1の分割用画像データ(分割パーツデータPD5)と第2の分割用画像データ(分割パーツデータPD6)とが前記設定用記憶手段に設定される場合、それら分割用画像データの境界部分の全体に亘って両データの重なり領域(重なり領域PA1)が生じるようにすることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、各分割用画像データを個別に設定用記憶手段に設定する構成においては、例えば各分割用画像データの個別のサイズ調整具合によっては両データの間に隙間が生じてしまうことが懸念される。これに対して、両データは重なり領域が生じるように設定用記憶手段に設定されるため、上記のような隙間が生じることはなく、各分割用画像データとして記憶するようにしたことによる効果を良好に発揮させることができる。
特徴C3.前記第1の分割用画像データ及び前記第2の分割用画像データにおいて前記重なり領域を構成する部分には、相互に同一となる色情報が対応付けられていることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、両分割用画像データにおいて重なり領域を構成する部分には、相互に同一となる色情報が対応付けられているため、例えば各分割用画像データに対して同一倍率が適用されるものの個別にサイズ調整が行われ、重なり領域の幅が若干ずれたとしても、そのずれた部分には重なり領域として表示すべき色情報が反映されることが期待される。よって、各分割用画像データが設定用記憶手段に対して個別に設定された結果の画像であっても、良好な表示態様とすることができる。
特徴C4.前記画像データは、色情報が対応付けられた単位画像データを多数有しており、
前記重なり領域は、前記第1の分割用画像データ及び前記第2の分割用画像データのそれぞれにおいて、1列分の単位画像データにより構成されていることを特徴とする特徴C2又はC3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、重なり領域を生じさせるために割り当てられるデータ容量を極力抑えながら、重なり領域が生じるように各分割用画像データが設定される効果を奏することができる。
特徴C5.前記各分割用画像データは、それら各分割用画像データの全てが予め定められたスケールで設定された場合、それにより形成される前記一連の画像は前記表示画面に対応したサイズを超えるように作成されているとともに、当該予め定められたスケールで設定されることとなる更新タイミングのうち少なくとも特定の更新タイミングにおいては、前記各分割用画像データのうちの一部は1フレーム分の画像の表示範囲に含まれないような分割サイズで作成されていることを特徴とする特徴C1乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C5によれば、各分割用画像データを全て設定することで生じる一連の画像が表示画面に対応したサイズを超えるように構成されていることで、表示画面のサイズを超えた範囲で画像が設定されていることを遊技者に認識させることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。この場合に、少なくとも特定の更新タイミングにおいては各分割用画像データのうちの一部は1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない。これにより、当該特定の更新タイミングにおいては1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない分割用画像データを設定用記憶手段に設定しないようにすることが可能となり、常に全分割用画像データの設定が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴C6.前記画像データは、色情報が対応付けられた単位画像データを多数有しており、
前記表示制御手段は、前記設定用記憶手段へ画像データを設定する場合、当該画像データの各単位画像データに対して予め定められた描画用処理を実行することでそれら単位画像データの色情報を前記設定用記憶手段に設定するとともに、前記設定用記憶手段への設定対象として決定された画像データの単位画像データが前記設定用記憶手段からはみ出す場合であってもその単位画像データの色情報は前記設定用記憶手段に設定されないが前記描画用処理を実行するものであり、
前記各分割用画像データは、それら各分割用画像データの全てが予め定められたスケールで設定された場合、それにより形成される前記一連の画像は前記表示画面に対応したサイズを超えるように作成されているとともに、当該予め定められたスケールで設定されることとなる更新タイミングのうち少なくとも特定の更新タイミングにおいては、前記各分割用画像データのうちの一部は1フレーム分の画像の表示範囲に含まれないような分割サイズで作成されていることを特徴とする特徴C1乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C6によれば、表示制御手段においては設定用記憶手段に画像データを設定する場合、その画像データに設定用記憶手段からはみ出す単位画像データが存在する場合であっても、当該単位画像データに対して同様の描画用処理が実行される。これにより、表示制御手段では、設定用記憶手段からはみ出す単位画像データに対して専用の処理を実行する必要が生じない。
また、各分割用画像データを全て設定することで生じる一連の画像が表示画面に対応したサイズを超えるように構成されていることで、表示画面のサイズを超えた範囲で画像が設定されていることを遊技者に認識させることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。但し、上記のように設定用記憶手段からはみ出す単位画像データに対しても同様の描画用処理が実行される構成において、上記一連の画像を形成する画像データが単一のものとして設けられていると、上記描画用処理を無駄に実行する頻度が高くなり、処理負荷が増加してしまう。
これに対して、少なくとも特定の更新タイミングにおいては各分割用画像データのうちの一部は1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない。これにより、当該特定の更新タイミングにおいては1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない分割用画像データを設定用記憶手段に設定しないようにすることが可能となり、常に全分割用画像データの設定が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴C7.前記集合設定手段は、
前記各分割用画像データのうち更新対象となる1フレーム分の画像の表示範囲に含まれる一部の分割用画像データを把握する分割用画像把握手段(表示CPU72におけるスクロール背景用の演算処理を実行する機能)と、
当該分割用画像把握手段により把握された分割用画像データが前記設定用記憶手段に設定されるようにする分割用画像設定手段(VDP76における分割パーツデータの設定処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C5又はC6に記載の遊技機。
特徴C7によれば、少なくとも特定の更新タイミングにおいては、1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない分割用画像データが設定用記憶手段に設定されない。これにより、常に全分割用画像データの設定が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴C8.前記画像データの前記設定用記憶手段内における座標の情報を含むパラメータ情報を特定するパラメータ情報特定手段(表示CPU72におけるスクロール背景用の演算処理を実行する機能)を備え、
前記表示制御手段は、前記パラメータ情報特定手段の特定結果に応じたパラメータ情報を適用させた状態で前記画像データを前記設定用記憶手段に設定する構成であり、
前記パラメータ情報特定手段は、少なくとも前記特定の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を構成する画像データについて前記パラメータ情報の特定を行う場合、当該1フレーム分の画像に一部の領域も含まれない分割用個別画像に対応した分割用画像データについては前記パラメータ情報の特定を行わないものであることを特徴とする特徴C5乃至C7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C8によれば、少なくとも特定の更新タイミングにおいては、1フレーム分の画像の表示範囲に含まれない分割用画像データに対してパラメータ情報の特定が行われない。これにより、常に全分割用画像データについてパラメータ情報の特定が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴C9.前記一連の画像は、複数フレーム分の画像表示期間に亘って予め定められた方向にスクロール表示される画像であることを特徴とする特徴C1乃至C8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C9によれば、一連の画像をスクロール表示させることができるとともに、上記特徴C1等の構成を備えていることにより当該スクロール表示を良好に行うことができる。
特徴C10.前記各分割用個別画像に複数の単位画像が含まれるように前記分割用画像データが作成されているとともに、それら複数の単位画像の表示態様が複数フレームに亘って順次変化していくような表示を行うことが可能なように各分割位置のそれぞれに対応させて前記分割用画像データが複数設けられており、
前記分割用個別画像が並べて表示される各分割位置のそれぞれにおいて、複数フレーム分の表示期間に亘り前記複数の単位画像の表示態様が順次変化するように前記設定用記憶手段に設定される各分割用画像データを切り換えさせる画像切換手段(表示CPU72における変位背景用の演算処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C10によれば、複数の単位画像のそれぞれに対応した画像データを設定用記憶手段に対して個別に設定するのではなく、分割用画像データの単位で複数の単位画像の表示をまとめて制御することで、複数の単位画像の表示態様が順次変化する表示演出を行うことができる。これにより、上記特徴C1にて説明したような優れた効果に加え、複数の単位画像の表示態様が順次変化する表示演出を、処理負荷の軽減を図りながら実行することができる。
上記特徴C1に係る発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2D画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
ここで、サイズの大きい画像は、その画像データの容量も大きくなる。例えば、スクロール表示されるとともに1フレーム毎に一部の領域のみが表示画面に表示される背景用の画像は、初期設定されているサイズにおいてその全体が表示画面に表示されるようなキャラクタ画像などと比較して画像データの容量が大きくなる。
この場合、その容量によっては、1単位の画像データとして画像データ用のメモリに予め記憶させておくことができないことが想定される。また、記憶可能であったとしても、実際に表示画面に表示されない領域が多いと、それだけ1フレーム毎の表示用の演算量が多くなり、処理負荷が増加してしまう。これに対して、上記のように大きな画像は、初期設定時の画像データを常に拡大して表示させる構成も考えられるが、そうすると、画質の低下を招いてしまう。
ちなみに、上記特徴C1〜C10のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、下記特徴C’1、下記特徴D1〜D10、下記特徴E1〜E8、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴C’>
特徴C’1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
予め定められた設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)に前記画像データを設定することに基づき、前記表示画面に画像を表示させるとともに、予め定められた更新タイミングとなることで1フレーム分の画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段には、複数の単位画像を表示対象としてまとめて含む集約画像データ(分割データ群PD12〜PD15)が予め記憶されているとともに、それら複数の単位画像の表示態様が複数フレームに亘って順次変化していくような表示を行うことが可能なように前記集約画像データが複数記憶されており、
さらに、複数フレーム分の表示期間に亘り前記複数の単位画像の表示態様が順次変化するように前記設定用記憶手段に設定される集約画像データを切り換えさせる集約画像切換手段(表示CPU72における変位背景用の演算処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C’1によれば、複数の単位画像のそれぞれに対応した画像データを設定用記憶手段に対して個別に設定するのではなく、分割用画像データの単位で複数の単位画像の表示をまとめて制御することで、複数の単位画像の表示態様が順次変化する表示演出を行うことができる。これにより、複数の単位画像の表示態様が順次変化する表示演出を、処理負荷の軽減を図りながら実行することができる。
上記特徴C’1に係る発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2D画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
ここで、1フレーム分の画像に含まれる単位画像の数が増加するほど、1フレーム毎の処理負荷が増加する。その一方、1フレーム分の画像に含まれる単位画像の数を減少させると、画像への注目度が低下してしまうことが懸念される。
ちなみに、上記特徴C’1のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、下記特徴D1〜D10、下記特徴E1〜E8、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴D群>
特徴D1.複数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
前記画像データを用いて前記表示画面に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される動作用個別画像(円滑移動用のスプライトCH5)の画像データとして、前記少なくとも一部が前記特定の方向に1ドット未満分相互に動いた状態に対応した複数の動作用画像データ(スプライトデータPD48,PD49)を取得することが可能な構成であり、
前記表示制御手段は、前記動作用個別画像の少なくとも一部が前記特定の方向に動くようにして表示される場合、前記動作用個別画像を表示させるために用いられる動作用画像データを複数回の画像の更新タイミングに亘って順次切り換えさせる動作用画像切換手段(表示CPU72における円滑移動用の演算処理を実行する機能、VDP76における円滑移動用の設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、1ドット未満分相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが使用対象として順次切り換えられることで、動作用個別画像の少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される。これにより、1ドット未満分の単位で動いているように表示させることが可能となり、動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
特徴D2.複数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
前記画像データを用いて前記表示画面に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される動作用個別画像(円滑移動用のスプライトCH5)の画像データとして、前記少なくとも一部が前記特定の方向に1ドット未満分相互に動いた状態に対応した複数の動作用画像データ(スプライトデータPD48,PD49)を記憶しており、
前記表示制御手段は、前記動作用個別画像の少なくとも一部が前記特定の方向に動くようにして表示される場合、前記動作用個別画像を表示させるために用いられる動作用画像データを複数回の画像の更新タイミングに亘って順次切り換えさせる動作用画像切換手段(表示CPU72における円滑移動用の演算処理を実行する機能、VDP76における円滑移動用の設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D2によれば、1ドット未満分相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが使用対象として順次切り換えられることで、動作用個別画像の少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される。これにより、1ドット未満分の単位で動いているように表示させることが可能となり、動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
また、本構成においては、動作用個別画像を表示させるために用いられる複数の動作用画像データを順次切り換えればよいため、処理負荷の増大化を抑えることが可能となる。以上より、動作用個別画像の動きの円滑化を良好に実現することが可能となる。
特徴D3.複数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
多数の単位設定領域を有する設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)に前記画像データを設定するとともに、各単位設定領域に設定されたデータに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される動作用個別画像(円滑移動用のスプライトCH5)の画像データとして、前記少なくとも一部が前記特定の方向に一の前記単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応した複数の動作用画像データ(スプライトデータPD48,PD49)を取得することが可能な構成であり、
前記表示制御手段は、前記動作用個別画像の少なくとも一部が前記特定の方向に動くようにして表示される場合、前記動作用個別画像を表示させるために用いられる動作用画像データを複数回の画像の更新タイミングに亘って順次切り換えさせる動作用画像切換手段(表示CPU72における円滑移動用の演算処理を実行する機能、VDP76における円滑移動用の設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D3によれば、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが使用対象として順次切り換えられることで、動作用個別画像の少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される。これにより、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分に対応した単位で動いているように表示させることが可能となり、動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
特徴D4.複数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
多数の単位設定領域を有する設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)に前記画像データを設定するとともに、各単位設定領域に設定されたデータに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される動作用個別画像(円滑移動用のスプライトCH5)の画像データとして、前記少なくとも一部が前記特定の方向に一の前記単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応した複数の動作用画像データ(スプライトデータPD48,PD49)を記憶しており、
前記表示制御手段は、前記動作用個別画像の少なくとも一部が前記特定の方向に動くようにして表示される場合、前記動作用個別画像を表示させるために用いられる動作用画像データを複数回の画像の更新タイミングに亘って順次切り換えさせる動作用画像切換手段(表示CPU72における円滑移動用の演算処理を実行する機能、VDP76における円滑移動用の設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D4によれば、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが使用対象として順次切り換えられることで、動作用個別画像の少なくとも一部が特定の方向に動くようにして表示される。これにより、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分に対応した単位で動いているように表示させることが可能となり、動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
また、本構成においては、動作用個別画像を表示させるために用いられる複数の動作用画像データを順次切り換えればよいため、処理負荷の増大化を抑えることが可能となる。以上より、動作用個別画像の動きの円滑化を良好に実現することが可能となる。
特徴D5.前記表示制御手段は、前記複数の動作用画像データのそれぞれが前記設定用記憶手段に個別に設定される場合における座標の情報を決定する座標情報決定手段(表示CPU72におけるステップS2605,ステップS2611,ステップS2616の処理を実行する機能)を備え、
当該座標情報決定手段は、前記動作用個別画像を表示させるために用いられる動作用画像データが特定の複数回の前記更新タイミングに亘って順次切り換えられる場合、それら動作用画像データの全てに対して同一の座標の情報が適用されるようにすることを特徴とする特徴D3又はD4に記載の遊技機。
特徴D5によれば、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが、同一の座標に対して順次設定されることにより、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分に対応した単位で動作用個別画像が動いているように表示させることが可能となり、当該動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
特徴D6.前記表示制御手段は、前記複数の動作用画像データのそれぞれが前記設定用記憶手段に個別に設定される場合における座標の情報を決定する座標情報決定手段(表示CPU72におけるステップS2605,ステップS2611,ステップS2616の処理を実行する機能)を備え、
当該座標情報決定手段は、前記複数の動作用画像データの全てに対して同一の座標の情報が適用された後に次の座標の情報への更新を行うとともに、当該次の座標の情報では更新前の座標から一の前記単位設定領域分、前記特定の方向への動きに対応した側にずれた座標の情報となるように更新を行うことを特徴とする特徴D3又はD4に記載の遊技機。
特徴D6によれば、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データが、同一の座標に対して順次設定されることにより、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分に対応した単位で動作用個別画像が動いているように表示させることが可能となり、当該動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
また、複数の動作用画像データの全てに対して同一の座標の情報が適用された後に次の座標の情報への更新が行われるとともに、当該次の座標の情報では更新前の座標から一の単位設定領域分、特定の方向への動きに対応した側にずれた座標の情報となるように更新される。これにより、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分に対応した単位で動作用個別画像が動いている状態が繰り返されることとなる。よって、動作用個別画像の動きの円滑化を図ることが可能となる。
特徴D7.前記表示制御手段は、予め定められた更新タイミングとなることで1フレーム分の画像の内容を更新させるものであり、
前記動作用画像切換手段は、複数フレーム分の表示期間に亘って前記動作用個別画像の少なくとも一部が前記特定の方向に動くようにして表示される場合、前記複数の動作用画像データが前記設定用記憶手段に対して予め定められた順序で繰り返し設定されるようにすることを特徴とする特徴D3乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D7によれば、設定用記憶手段に対して設定される動作用画像データを予め定められた順序で繰り返し切り換える処理を実行すればよいため、処理負荷の軽減が図られる。
特徴D8.前記複数の動作用画像データは、それぞれ対応する動作用個別画像の縁部分を構成する箇所において奥側に重なる画像データの透過割合を示す透明値を相違させることにより、前記少なくとも一部が前記特定の方向に一の前記単位設定領域よりも小さい分相互に動いた状態に対応していることを特徴とする特徴D3乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D8によれば、縁部分を構成する箇所の透明値を相違させるという簡易的な手法により、一の単位設定領域よりも小さいサイズ分、相互に動いた状態に対応している複数の動作用画像データを設けることができる。
特徴D9.前記複数の動作用画像データは、前記表示用記憶手段に予め記憶されているとともに、第1の動作用画像データ(第1のスプライトデータPD48)と、当該第1の動作用画像データよりも前記少なくとも一部が前記特定の方向に一の前記単位設定領域よりも小さいサイズ分動いた状態に対応した第2の動作用画像データ(第2のスプライトデータPD49)と、からなることを特徴とする特徴D3乃至D8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D9によれば、動作用個別画像の動きの円滑化を図るための動作用画像データとして第1の動作用画像データ及び第2の動作用画像データのみを、表示用記憶手段に予め記憶させておけばよいため、表示用記憶手段において動作用画像データを記憶するのに必要な記憶容量を抑えながら、既に説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴D10.前記第2の動作用画像データは、前記第1の動作用画像データよりも前記少なくとも一部が前記特定の方向に一の前記単位設定領域の半分又は略半分のサイズ分動いた状態に対応していることを特徴とする特徴D9に記載の遊技機。
特徴D10によれば、設定用記憶手段への設定対象が、第1の動作用画像データから第2の動作用画像データに切り換えられた場合と、第2の動作用画像データから第1の動作用画像データに切り換えられた場合とで、動作用個別画像の移動量を同一又は略同一とすることが可能となる。
なお、上記特徴D5乃至D10のいずれか1にて限定した構成を、上記特徴D1又はD2に対して適用してもよい。この場合、「一の前記単位設定領域」を基準にして規定されている構成を、「一ドット」を基準にして規定した構成として適用するとよい。
上記特徴D群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置を備えたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2D画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、例えば上記背景の手前にてキャラクタなどが所定の動きをしているかのような画像を表示させる場合には、表示装置の更新タイミングとなる度に、所定の動きに即した座標に若しくは形態で上記キャラクタなどのデータを設定した描画データが作成される。そして、描画データが作成される度に新たな信号出力が表示装置に対してなされ、キャラクタなどが所定の動きをするように表示画面の画像が更新されていく。
ここで、多数のドットを並べて構成されている表示画面において、例えばキャラクタなどを所定の方向に移動させようとする場合、一の更新タイミングにおいて設定可能な最小の移動単位は1ドット分に制限される。そうすると、キャラクタなどを所定の方向に滑らかに移動させようとしても、制限が生じてしまう。これはキャラクタなどに所定の動作を行わせようとする場合も同様である。また、これを解決するために単位面積に含まれるドット数を多くする対策も考えられるが、ドット数を多くしていくほど表示装置のコストが高くなってしまう。
ちなみに、上記特徴D1〜D10のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、下記特徴E1〜E8、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴E群>
特徴E1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール133)と、
前記画像データを設定用記憶手段(フレーム領域142a,142b)に設定することで当該設定用記憶手段に描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる表示制御手段(表示CPU131、VDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記表示制御手段は、
前記1フレーム分の画像で前記表示画面の奥行き方向に重なるように表示される複数の個別画像について、各個別画像に対応した画像データの奥行き方向の情報を決定する奥行き情報決定手段(表示CPU131におけるステップS3403〜ステップS3405の処理を実行する機能)と、
前記各個別画像に対応した画像データを、前記奥行き情報決定手段により決定された奥行き方向の情報を適用して前記設定用記憶手段に設定することで、前記表示画面において前記各個別画像が奥行き方向に重なるようにして表示されるようにする画像データ設定手段(VDP135におけるZバッファを用いた隠面処理を実行する機能)と、
特定の個別画像に対応した特定画像データの一部に対して適用される前記奥行き方向の情報が部分表示用の情報に決定されるようにすることにより、前記特定の個別画像の部分表示を行わせる部分表示設定手段(表示CPU131におけるマスク用の演算処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、特定の個別画像に対応した特定画像データの奥行き方向の情報を調整することで、当該個別画像の部分表示が行われる。これにより、例えば部分表示用の画像データと全体表示用の画像データとを別々に用意する必要がないため、表示用記憶手段の記憶容量を抑えることができる。
特徴E2.前記部分表示設定手段は、前記特定画像データにおいて前記奥行き方向の情報が前記部分表示用の情報に決定される範囲を切り換えることにより、前記特定の個別画像において部分表示が行われる範囲を切り換えることを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
特徴E2によれば、単一の特定画像データを利用して、特定の個別画像において部分表示が行われる範囲が切り換えられる。これにより、表示用記憶手段の記憶容量を抑えながら、特定の個別画像において部分表示が行われる範囲を切り換える表示演出を行うことができる。
特徴E3.前記部分表示設定手段は、前記特定画像データにおいて前記奥行き方向の情報が前記部分表示用の情報に決定される範囲を段階的に切り換えることにより、前記特定の個別画像を複数フレーム分の表示期間に亘って除々に消去させる又は除々に出現させることを特徴とする特徴E1又はE2に記載の遊技機。
特徴E3によれば、特定の個別画像が複数フレーム分の表示期間に亘って除々に消去する又は除々に出現する表示演出が行われるため、画像への注目度を高められる。この場合に、除々に消去させる又は除々に出現させる過程のフレーム数に応じて、特定の個別画像の表示態様が増加することとなるが、当該表示態様の切り換えは、特定画像データの奥行き方向の情報を調整することで行われ、各表示態様に応じた特定画像データを用意する必要がない。したがって、表示用記憶手段の記憶容量を抑えながら、上記のような表示演出を行うことができる。
特徴E4.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール133)と、
前記画像データを設定用記憶手段(フレーム領域142a,142b)に設定することで当該設定用記憶手段に描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる表示制御手段(表示CPU131、VDP135)と、
を備え、
前記画像データには、3次元情報であるオブジェクトの画像データが含まれており、
前記表示制御手段は、
仮想3次元空間に前記画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS3502〜ステップS3504の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS3505の処理を実行する機能)と、
前記視点が向く方向における当該視点からの相対距離に対応した距離情報を決定する距離情報決定手段(表示CPU131におけるステップS3403〜ステップS3405の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記画像データを投影させることで作成された投影データを用いて前記設定用記憶手段に前記描画データを設定するとともに、前記視点が向く方向に複数の前記画像データが並んでいる場合、その並んでいる各部分において前記距離情報を比較し前記相対距離が近い側の部分を優先して前記設定用記憶手段に設定する描画用設定手段(VDP135におけるZバッファを用いた隠面処理を実行する機能)と、
特定の個別画像に対応した特定画像データの一部に対して前記距離情報決定手段により決定される前記距離情報が部分表示用の情報に決定されるようにすることにより、前記特定の個別画像の部分表示を行わせる部分表示設定手段(表示CPU131におけるマスク用の演算処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E4によれば、特定の個別画像に対応した特定画像データの距離情報を調整することで、当該個別画像の部分表示が行われる。これにより、例えば部分表示用の画像データと全体表示用の画像データとを別々に用意する必要がないため、表示用記憶手段の記憶容量を抑えることができる。特に、本構成によれば、3次元画像を表示するための隠面消去の構成を利用して、上記のような優れた効果を奏することができる。
特徴E5.前記部分表示設定手段は、前記特定画像データにおいて前記距離情報が前記部分表示用の情報に決定される範囲を切り換えることにより、前記特定の個別画像において部分表示が行われる範囲を切り換えることを特徴とする特徴E4に記載の遊技機。
特徴E5によれば、単一の特定画像データを利用して、特定の個別画像において部分表示が行われる範囲が切り換えられる。これにより、表示用記憶手段の記憶容量を抑えながら、特定の個別画像において部分表示が行われる範囲を切り換える表示演出を行うことができる。
特徴E6.前記部分表示設定手段は、前記特定画像データにおいて前記距離情報が前記部分表示用の情報に決定される範囲を段階的に切り換えることにより、前記特定の個別画像を複数フレーム分の表示期間に亘って除々に消去させる又は除々に出現させることを特徴とする特徴E4又はE5に記載の遊技機。
特徴E6によれば、特定の個別画像が複数フレーム分の表示期間に亘って除々に消去する又は除々に出現する表示演出が行われるため、画像への注目度を高められる。この場合に、除々に消去させる又は除々に出現させる過程のフレーム数に応じて、特定の個別画像の表示態様が増加することとなるが、当該表示態様の切り換えは、特定画像データの奥行き方向の情報を調整することで行われ、各表示態様に応じた特定画像データを用意する必要がない。したがって、表示用記憶手段の記憶容量を抑えながら、上記のような表示演出を行うことができる。
特徴E7.前記部分表示用の情報は、1フレーム分の画像において背面画像を構成する背面画像データよりも前記相対距離が遠いことに対応した距離情報として設定されていることを特徴とする特徴E4乃至E6のいずれか1に記載の遊技機。
背面画像は1フレーム分の画像において常に背面を構成する画像であるため、奥行き方向の位置として絶対的な基準となる。この場合に、特徴E7によれば、部分表示用の情報が、背面画像データよりも相対距離が遠いことに対応した距離情報として設定されていることにより、特定の個別画像の部分表示を行わせる場合における部分表示用の情報の設定に係る処理負荷の軽減が図られる。
特徴E8.前記表示画面は多数のドットが縦横に並べて構成されているとともに、前記設定用記憶手段は多数の単位設定領域を有しており、
前記表示制御手段は、当該設定用記憶手段に設定された前記描画データにおける各単位設定領域のデータに応じた画像信号を前記表示手段に出力することで、各単位設定領域のデータに応じた画像出力がそれら各単位設定領域に対応した各ドットにて行われるようにするものであり、
前記距離情報決定手段は、前記画像データを構成する多数の単位画像データのそれぞれに対応させて前記距離情報を決定するものであり、
さらに、前記多数の単位設定領域に対応させて多数の比較用領域を有し、それら各比較用領域に前記描画用設定手段において参照される距離情報が格納される比較用格納手段(Zバッファ143)を備え、
前記描画用設定手段は、
前記視点が向く方向に複数の前記画像データが並んでいる場合、前記各単位設定領域のそれぞれについて個別に前記距離情報の比較を行うとともに、
個別の比較を行う場合には、後のタイミングで参照した前記距離情報が、先に参照され対応する前記比較用領域に格納されている前記距離情報よりも前記相対距離が近いのであれば、その後のタイミングで参照した前記距離情報を当該比較用領域に上書きし、さらにその距離情報が決定されている前記単位画像データを当該比較用領域に対応した前記単位設定領域に上書きするものであることを特徴とする特徴E4乃至E7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E8によれば、比較用格納手段を用いることによる隠面消去の構成を利用して、上記特徴E4などにて説明したような優れた効果を奏することができる。
上記特徴E群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置を備えたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、本発明者は、キャラクタや文字などのように個別に規定された個別画像を表示画面上に出現させたり、消去させたりする際に、当該個別画像の全体的な表示と部分的な表示とを切り換える表示演出を考え出した。
しかしながら、当該表示演出を行うために同一種類の個別画像に対して複数種類の画像データが必要になるとすると、全体的な表示と部分的な表示との切り換え態様を多段階的なものとするほど予め記憶しておく画像データの種類が多くなる。そうすると、画像データ用のメモリにおいて必要な記憶容量が増大化してしまい好ましくない。
なお、上記問題は、3次元画像の表示に限定された問題ではなく、2次元画像の表示を行う場合においても同様に発生する。
ちなみに、上記特徴E1〜E8のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、下記特徴F1〜F15、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴F群>
特徴F1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74,133)と、
予め定められた設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b、フレーム領域142a,142b)に前記画像データを設定することに基づき、前記表示画面に画像を表示させるとともに、予め定められた更新タイミングとなることで1フレーム分の画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU72,131、VDP76,135)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、それぞれ異なる個別画像に対応した複数種類の画像データを予め記憶しており、
前記表示制御手段は、
複数種類の画像データをグループ化させるグループ化手段(VDP76におけるステップS1905の処理を実行する機能、VDP76におけるステップS2506の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS4304の処理を実行する機能)と、
前記グループ化されて形成されたグループ化データを前記設定用記憶手段に設定するグループ化データ設定手段(VDP76におけるステップS1906の処理を実行する機能、VDP76におけるステップS705の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS4305の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、複数種類の画像データをグループ化することで、複数種類の画像データを単一のデータとして扱うことが可能となる。これにより、画像データが常に個別に扱われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。また、表示用記憶手段には上記複数種類の画像データが個別に記憶されているため、それら画像データを単独で扱うことが可能である。これにより、画像データを柔軟に取り扱うことが可能となる。さらにまた、上記複数種類の画像データがグループ化されたデータを表示用記憶手段に予め記憶させておく構成に比べ、当該表示用記憶手段において必要な記憶容量の削減が図られる。
以上より、複数の個別画像を同時に表示させる場合において、その表示を行うための処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
特徴F2.前記グループ化手段によりグループ化された前記グループ化データを記憶するグループ化用記憶領域(合成データ用エリア81c、モード用バッファ145)を備え、
前記グループ化データ設定手段は、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
特徴F2によれば、グループ化データはグループ化用記憶領域に記憶され、必要に応じて当該グループ化用記憶領域から読み出されて設定用記憶手段に設定される。これにより、グループ化データを複数のフレームに対して用いることができる。
特徴F3.前記グループ化手段は、グループ化対象の複数種類の画像データが前記設定用記憶手段への設定対象となった場合に、それら複数種類の画像データに対してグループ化を行い、そのグループ化後の画像データを前記グループ化データとして前記グループ化用記憶領域に記憶させることを特徴とする特徴F2に記載の遊技機。
特徴F3によれば、グループ化対象の複数種類の画像データが設定用記憶手段への設定対象となった場合に、それら複数種類の画像データに対してグループ化が行われて、グループ化データとしてグループ化用記憶領域に記憶される。これにより、グループ化用の処理タイミングを独立して設定しておく必要がなくなる。
特徴F4.複数フレーム分の表示期間に亘る表示演出として、第1の表示演出と、前記表示画面に表示される個別画像の数が前記第1の表示演出よりも増加する、又は前記設定用記憶手段へ画像データを設定する場合の前記表示制御手段の処理負荷が前記第1の表示演出において表示される個別画像に比べて大きい個別画像が表示される第2の表示演出と、が設定されており、
前記グループ化手段は、前記第1の表示演出に含まれるフレームの画像を表示させるための処理が実行される期間において、前記グループ化を行い、そのグループ化後の画像データを前記グループ化データとして前記グループ化用記憶領域に記憶させ、
前記グループ化データ設定手段は、前記第2の表示演出に含まれるフレームの画像を表示させるための処理が実行される期間において、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F2又はF3に記載の遊技機。
特徴F4によれば、表示制御手段の処理負荷が比較的小さい状況においてグループ化データが作成され、そのグループ化データは表示制御手段の処理負荷が比較的大きい状況において用いられる。これにより、グループ化データを利用して、表示制御手段の処理負荷の分散を図ることができる。
特徴F5.複数フレーム分の表示期間に亘る表示演出として、第1の表示演出と、前記設定用記憶手段に前記画像データの設定を行う場合における前記表示制御手段の処理負荷が大きくなる第2の表示演出と、が設定されており、
前記グループ化手段は、前記第1の表示演出に含まれるフレームの画像を表示させるための処理が実行される期間において、前記グループ化を行い、そのグループ化後の画像データを前記グループ化データとして前記グループ化用記憶領域に記憶させ、
前記グループ化データ設定手段は、前記第2の表示演出に含まれるフレームの画像を表示させるための処理が実行される期間において、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F2又はF3に記載の遊技機。
特徴F5によれば、表示制御手段の処理負荷が比較的小さい状況においてグループ化データが作成され、そのグループ化データは表示制御手段の処理負荷が比較的大きい状況において用いられる。これにより、グループ化データを利用して、表示制御手段の処理負荷の分散を図ることができる。
特徴F6.前記表示制御手段は、前記画像データを設定することで前記設定用記憶手段に1フレーム分の描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる構成であり、
前記第2の表示演出における少なくとも開始タイミングのフレームには、前記第1の表示演出における終了タイミングのフレームにて表示される複数種類の共通の個別画像が含まれており、
前記グループ化手段は、前記各共通の個別画像に対応した画像データが前記設定用記憶手段に設定されることに基づき前記終了タイミングのフレームに対応する描画データが作成される場合に、それら各共通の個別画像に対応した画像データをグループ化して前記グループ化データとして前記グループ化用記憶領域に記憶させ、
前記グループ化データ設定手段は、前記開始タイミングのフレームに対応する前記描画データが作成される場合に、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F4又はF5に記載の遊技機。
特徴F6によれば、第2の表示演出における開始タイミングのフレームにおいてグループ化データを用いて複数種類の共通の個別画像が表示されたとしても、そのグループ化データは第1の表示演出において終了タイミングのフレームを元に作成されているため、両フレーム間の表示が対応したものとなる。これにより、遊技者が違和感を抱くことを抑えながら、既に説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴F7.前記複数種類の共通の個別画像は、背景用の画像を形成する個別画像であることを特徴とする特徴F6に記載の遊技機。
特徴F7によれば、グループ化データは背景用の画像に対して適用されるため、異なるフレームで利用される共通の個別画像が表示されたとしても、それが目立ちづらくなり、遊技者が違和感を抱くことを抑えながら、既に説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴F8.前記表示制御手段は、前記画像データを設定することで前記設定用記憶手段に描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる構成であり、
前記表示画面における画像の表示態様が相互に相違する複数種類の表示モードが設定されており、
遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置43)と、
当該操作受付手段にて前記操作が受け付けられたことに基づき、前記表示モードを順次切り換える表示モード切換手段(表示CPU131における操作発生コマンド対応処理を実行する機能)と、
を備え、
前記グループ化手段は、前記複数種類の表示モードのうち少なくとも特定表示モードについて、当該表示モードに含まれる1フレーム分の画像を表示するために用いられる複数種類の画像データに対して前記グループ化を行い、そのグループ化後の画像データを前記グループ化データとして前記グループ用記憶領域に記憶させ、
前記グループ化データ設定手段は、前記特定表示モードに切り換えられた場合であって、その切り換え直後のフレームに対応する前記描画データが作成される場合に、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記特定表示モードに対応した前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F2乃至F7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F8によれば、表示画面における画像の表示態様が相互に相違する複数種類の表示モードが設定されているため、表示態様の多様化が図られる。この場合に、特定表示モードに対応したグループ化データが作成されるとともに、特定表示モードに切り換えられた場合であってその切り換え直後のフレームに対応する描画データが作成される場合に、グループ化データが用いられる。これにより、操作受付手段への任意のタイミングでの操作に基づき、特定表示モードへの切り換えが任意のタイミングで行われたとしても、その際の処理負荷を軽減することができる。
特徴F9.前記複数種類の表示モードのそれぞれには、複数フレーム分の期間に亘って、背景画像の手前で変動用個別画像が変動表示される表示演出が設定されており、
前記複数種類の表示モードは、少なくとも前記背景画像の種類が相互に相違するように設定されており、
前記特定表示モードに対応した前記グループ化データは、当該特定表示モードの背景画像を表示させる複数種類の画像データがグループ化されたものであることを特徴とする特徴F8に記載の遊技機。
特徴F9によれば、操作受付手段への任意のタイミングでの操作に基づき、特定表示モードへの切り換えが任意のタイミングで行われたとしても、背景画像についてはグループ化データを用いることで、その際の処理負荷を軽減することができる。また、変動用個別画像の変動表示が行われている状況で特定表示モードへの切り換えが発生したとしても、上記のとおりグループ化データは背景画像に対応しているため、変動用個別画像の変動表示を維持しながら、処理負荷を抑えた状態で背景画像のみを切り換えることができる。
特徴F10.前記複数種類の表示モードは、少なくとも前記背景画像の種類が相互に相違するとともに、前記変動用個別画像の種類も相互に相違するように設定されており、
さらに、前記変動用個別画像の変動表示態様には、当該変動用個別画像が相対的に識別しづらい低識別態様で変動表示された後に、当該変動用個別画像が相対的に識別し易い高識別態様で変動表示される態様が含まれており、
前記変動用個別画像が前記低識別態様で変動表示されている状況で前記特定表示モードに切り換えられる場合であって、その切り換え直後のフレームに対応する前記描画データが作成される場合に、前記変動用個別画像の種類を変更させずに、前記グループ化用記憶領域に記憶されている前記特定表示モードに対応した前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定させるモード切換直後の調整手段(表示CPU131における表示モード背景用の演算処理及び図柄用演算処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴F9に記載の遊技機。
特徴F10によれば、変動用個別画像が低識別態様で変動表示されている状況で特定表示モードに切り換えられる場合、背景画像についてはグループ化データを用いるとともに、変動用個別画像についてはそれまでの表示モードにて設定されていたデータが利用される。これにより、特定表示モードに切り換えられた際の処理負荷を軽減することができる。また、低識別態様で変動用個別画像が変動表示されている状況では当該変動用個別画像の識別性が低いため、上記のように変動用個別画像の種類を特定表示モードに対応したものに切り換えなかったとしても、遊技者が違和感を抱いてしまうことを抑えることができる。
特徴F11.前記個別画像には、前記表示画面に表示される場合に、その奥側において重なる個別画像の色情報が反映された状態で表示されるエフェクト画像が含まれており、
前記グループ化手段によりグループ化される複数種類の画像データには、前記エフェクト画像に対応した画像データが含まれていることを特徴とする特徴F1乃至F8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F11によれば、複数種類のエフェクト画像を個別に用いることができるとともに、複数種類のエフェクト画像をグループ化した状態で用いることもできる。
特徴F12.前記グループ化手段は、前記複数種類の画像データをグループ化させる場合、それら複数種類の画像データの一部を基準画像データとするとともに残りを従属画像データとして前記グループ化を行うことでグループ化データを作成し、
前記グループ化データ設定手段は、前記グループ化データを前記設定用記憶手段に設定する場合、前記基準画像データに対して指定されているパラメータ情報を当該基準画像データ及びそれに従属している前記従属画像データに適用した状態で前記設定用記憶手段に設定することを特徴とする特徴F1乃至F11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F12によれば、複数種類の画像データを扱う場合に、基準画像データにパラメータ情報を設定すれば、それが従属画像データにも適用されるため、処理負荷の軽減が図られる。
特徴F13.前記表示用記憶手段には、1フレーム分の画像に含まれる先側画像を表示させるために用いられる複数種類の先側画像データ(画像データPD39〜PD42)と、当該1フレーム分の画像よりも後のフレーム分の画像に含まれる後側画像を表示させるために用いられる複数種類の後側画像データ(画像データPD43〜PD45)と、が予め記憶されており、
前記グループ化手段は、前記複数種類の先側画像データに対してグループ化を行うことでグループ化データを作成し、
前記グループ化データ設定手段は、
前記設定用記憶手段に前記複数種類の後側画像データを設定するとともに、前記先側画像の一部が非表示となるようにパラメータ情報が適用された前記グループ化データを、前記複数種類の後側画像データの手前にて重なるように設定する重複設定手段(VDP76におけるステップS2502〜ステップS2505の処理を実行する機能)と、
複数フレーム分の表示期間に亘って前記非表示となる範囲が広くなるように、前記重複設定手段による前記設定を行わせるフレーム切換手段(VDP76におけるステップS2508の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴F1乃至F12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F13によれば、処理負荷の軽減を図りながら、ワイプ演出を行うことができる。
特徴F14.前記表示制御手段は、
前記設定用記憶手段への設定対象となる画像データを把握する設定対象把握手段(VDP76におけるステップS1902の処理を実行する機能)と、
当該設定対象把握手段に把握される画像データについて、当該画像データを前記設定用記憶手段へ設定する場合の設定態様を決定付けるパラメータ情報を導出する導出手段(表示CPU72におけるステップS1803の処理を実行する機能)と、
前記設定対象把握手段により把握された画像データを、前記導出手段により導出されたパラメータ情報を適用した状態で前記設定用記憶手段に設定する画像データ設定手段(VDP76におけるステップS705の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記グループ化手段は、前記導出手段により導出されたパラメータ情報を適用させた状態の複数種類の画像データをグループ化させるものであることを特徴とする特徴F1乃至F13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F14によれば、グループ化された状態の複数種類の画像データには既にパラメータ情報が適用されているため、グループ化データを用いる場合に、それに含まれる複数種類の画像データに対して個別にパラメータ情報の適用を行う必要がない。これにより、処理負荷の軽減が図られる。
特徴F15.前記画像データには、画像を表示するための3次元情報であるオブジェクトの画像データが含まれており、
前記表示制御手段は、
仮想3次元空間に前記画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS3502〜ステップS3504の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS3505の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記画像データを投影させることで作成された投影データを用いて前記設定用記憶手段に前記描画データを設定する描画用設定手段(VDP135におけるステップS3510〜ステップS3513の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記グループ化手段は、前記複数種類の画像データが前記投影平面に投影された後のデータをグループ化するものであることを特徴とする特徴F1乃至F14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴F15によれば、グループ化データを用いる場合には、それに含まれる複数種類の画像データ分はジオメトリ演算やレンダリングを行う必要がない。これにより、処理負荷の軽減が図られる。
上記特徴F群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示画面に表示される画像の更新は予め定められた更新周期で行われるように構成されており、その更新周期に間に合うように1フレーム分の描画データの作成と、表示装置への信号出力とが行われる必要がある。例えば描画データが作成されることとなるフレームバッファがVRAMに対して1つのみ設定されている構成においては、一の更新周期の範囲内で描画データを作成するとともにその描画データに基づく信号出力を完了させる必要がある。また、例えばフレームバッファが複数設定されている構成においては、一のフレームバッファに作成された描画データに基づき信号出力が行われている状況において他のフレームバッファに対して次の更新周期に対応した描画データを作成する必要がある。
上記いずれの構成においても、個別に規定された個別画像を表示画面内に同時に表示させるために、それぞれの個別画像について座標やサイズを特定し、さらにそれら個別画像の全てについてフレームバッファへの描画を行う必要があるとすると、1フレーム分の描画データを作成するのに要する処理負荷が増大する。そして、当該処理負荷が更新周期を超える程度のものとなってしまうと、処理落ちが発生してしまう。
ちなみに、上記特徴F1〜F15のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、下記特徴G1〜G9、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴G群>
特徴G1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
3次元情報であるオブジェクトの画像データを含む複数種類の画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール133)と、
仮想3次元空間に前記画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS3502〜ステップS3504の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS3505の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記画像データを投影させることで作成された投影データを用いて設定用記憶手段に描画データを設定する描画用設定手段(VDP135におけるステップS3510〜ステップS3513の処理を実行する機能)と、
前記描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき、前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる画像信号出力手段(表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、予め定められた連結部を間に挟むようにして複数の部分オブジェクトを有するとともに、前記連結部を基準としてそれら部分オブジェクトの相対位置を変位させることが可能な連結オブジェクトが含まれており、
さらに、同一種類の特別キャラクタを表示する場合に用いられる前記連結オブジェクトとして、それぞれ前記連結部の設定された位置が異なる複数種類の特別用連結オブジェクト(連結オブジェクトPC35,PC36)が前記表示用記憶手段に予め記憶されており、
前記特別キャラクタを表示させる場合に用いられる前記連結オブジェクトを、前記複数種類の特別用連結オブジェクトのいずれかに切り換える連結オブジェクト切換手段(表示CPU131におけるステップS4407,ステップS4416,ステップS4423の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴G1によれば、同一種類の特別キャラクタを表示させるために、複数種類の特別用連結オブジェクトのいずれかが用いられる。そして、これら複数種類の特別用連結オブジェクトはそれぞれ連結部の設定された位置が異なっている。これにより、それら連結部がまとめて設定された単一の特別用連結オブジェクトを設ける構成に比べ、特別用連結オブジェクト単独でのデータ容量を小さく抑えることが可能となり、一の特別用連結オブジェクトの読み出しを良好に行うことが可能となる。また、遊技機の開発段階において上記のように複数種類の特別用連結オブジェクトを設けることで、遊技機の開発に際して特別キャラクタの動きの調整を行い易くなる。
以上より、連結オブジェクトを良好に扱うことが可能となる。
特徴G2.前記複数種類の特別用連結オブジェクトには、第1連結オブジェクト(第1の連結オブジェクトPC35)と、第2連結オブジェクト(第2の連結オブジェクトPC36)と、が含まれており、
前記連結オブジェクト切換手段は、前記特別キャラクタを表示させるためのオブジェクトを、特定の表示切換タイミングとなることで前記第1連結オブジェクトから前記第2連結オブジェクトへ切り換える構成であり、
前記配置手段は、前記特別キャラクタを表示させるためのオブジェクトとして前記第1連結オブジェクトが設定されている状況において当該第1連結オブジェクトとともに前記第2連結オブジェクトが前記仮想3次元空間に配置されるように、当該仮想3次元空間への前記第2連結オブジェクトの配置を前記特定の表示切換タイミングよりも前に行う重複配置手段(VDP135におけるステップS4502,ステップS4503の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
特徴G2によれば、特定の表示切換タイミングとなることで、特別キャラクタを表示するためのオブジェクトが第1連結オブジェクトから第2連結オブジェクトに切り換えられ、特別キャラクタの動きが変化する。この場合に、第2連結オブジェクトは特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングで仮想3次元空間に配置される。これにより、特定の表示切換タイミングでは、第2連結オブジェクトの仮想3次元空間への配置を開始するための処理を実行する必要はなく、既に配置済みである第2連結オブジェクトのパラメータ情報の更新を行えばよい。よって、特定の表示切換タイミングにおいて第2連結オブジェクトの配置処理及び更新処理の両方を行う構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴G3.前記仮想3次元空間に配置されたオブジェクトの座標及び角度の情報を少なくとも含むパラメータ情報を、画像の表示内容を変更するために更新するパラメータ更新手段(VDP135におけるステップS4505,ステップS4513,ステップS4519の処理を実行する機能)を備え、
前記仮想3次元空間へのオブジェクトの配置を開始する場合の処理負荷よりも、当該オブジェクトのパラメータ情報を更新する処理負荷の方が小さい構成であり、
さらに、前記複数種類の特別用連結オブジェクトには、第1連結オブジェクト(第1の連結オブジェクトPC35)と、第2連結オブジェクト(第2の連結オブジェクトPC36)と、が含まれており、
前記連結オブジェクト切換手段は、前記特別キャラクタを表示させるためのオブジェクトを、特定の表示切換タイミングとなることで前記第1連結オブジェクトから前記第2連結オブジェクトへ切り換える構成であり、
前記配置手段は、前記特別キャラクタを表示させるためのオブジェクトとして前記第1連結オブジェクトが設定されている状況において当該第1連結オブジェクトとともに前記第2連結オブジェクトが前記仮想3次元空間に配置されるように、当該仮想3次元空間への前記第2連結オブジェクトの配置を前記特定の表示切換タイミングよりも前に行う重複配置手段(VDP135におけるステップS4502,ステップS4503の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
特徴G3によれば、特定の表示切換タイミングとなることで、特別キャラクタを表示するためのオブジェクトが第1連結オブジェクトから第2連結オブジェクトに切り換えられ、特別キャラクタの動きが変化する。この場合に、第2連結オブジェクトは特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングで仮想3次元空間に配置される。これにより、特定の表示切換タイミングでは、第2連結オブジェクトの仮想3次元空間への配置を開始するための処理を実行する必要はなく、既に配置済みである第2連結オブジェクトのパラメータ情報の更新を行えばよい。よって、特定の表示切換タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。
特徴G4.前記パラメータ更新手段は、前記仮想3次元空間に前記第1連結オブジェクト及び前記第2連結オブジェクトの両方が配置されている状況であって前記特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングにおいて、前記第1連結オブジェクトだけでなく前記第2連結オブジェクトのパラメータ情報も更新することを特徴とする特徴G3に記載の遊技機。
特徴G4によれば、特定の表示切換タイミングよりも前に、仮想3次元空間に第2連結オブジェクトが配置されるだけでなく、当該第2連結オブジェクトのパラメータ情報も更新される。これにより、特定の表示切換タイミングとなった場合には、それまで更新されているパラメータ情報を利用することが可能となり、当該タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。
特徴G5.前記仮想3次元空間に配置されているオブジェクトのパラメータ情報を、更新すべき画像の表示内容に即して導出する導出手段(表示CPU131における連結オブジェクト用の演算処理を実行する機能)を備え、
前記パラメータ更新手段は、前記導出手段により導出されたパラメータ情報を、前記仮想3次元空間に配置されているオブジェクトのパラメータ情報として更新するとともに、前記仮想3次元空間に前記第1連結オブジェクト及び前記第2連結オブジェクトの両方が配置されている状況であって前記特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングにおいて、前記導出手段が前記第1連結オブジェクトに対して決定したパラメータ情報を、前記第1連結オブジェクト及び前記第2連結オブジェクトの両方のパラメータ情報として更新することを特徴とする特徴G4に記載の遊技機。
特徴G5によれば、上記特徴G4の構成を備え、特定の表示切換タイミングよりも前であっても第2連結オブジェクトのパラメータ情報が更新される構成において、当該第2連結オブジェクトに対するパラメータ情報として第1連結オブジェクトのパラメータ情報が利用される。これにより、特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングにおいて第1連結オブジェクト及び第2連結オブジェクトのそれぞれに対してパラメータ情報が個別に適用される構成に比べ、当該特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。
特徴G6.前記重複配置手段は、前記仮想3次元空間において前記第1連結オブジェクトが配置される座標と同じ座標に配置されるように前記第2連結オブジェクトの配置を行うことを特徴とする特徴G2乃至G5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G6によれば、特定の表示切換タイミングよりも前に第2連結オブジェクトが仮想3次元空間に配置される構成において、当該第2連結オブジェクトは第1連結オブジェクトと同一の座標に配置されるため、第2連結オブジェクトに対して個別に座標の指定が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減が図られる。
特徴G7.前記仮想3次元空間に配置されているオブジェクトに適用する透明値情報を調整することで、当該オブジェクトを前記表示画面への表示対象又は非表示対象のいずれかに設定する透明値設定手段(VDP135におけるステップS4504,ステップS4512,ステップS4518の処理を実行する機能)を備え、
前記連結オブジェクト切換手段は、前記特定の表示切換タイミングよりも前のタイミングでは前記第1連結オブジェクトが前記表示対象となり且つ前記第2連結オブジェクトが前記非表示対象となる透明値情報がそれら連結オブジェクトに設定されるようにするとともに、前記特定の表示切換タイミング以降は前記第1連結オブジェクトが前記非表示対象となり且つ前記第2連結オブジェクトが前記表示態様となる透明値情報がそれら連結オブジェクトに設定されるようにすることを特徴とする特徴G2乃至G6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G7によれば、特定の表示切換タイミングよりも前に第2連結オブジェクトが配置される構成において、当該特定の表示切換タイミングの前後での表示対象の連結オブジェクトの切り換えが、各連結オブジェクトに適用する透明値情報を切り換えるだけで行われる。これにより、表示対象の連結オブジェクトの切り換えに係る処理負荷の軽減が図られる。
特徴G8.複数フレーム分の表示期間に亘る表示演出として、第1の特定表示演出(第1演出期間)と、前記表示画面に表示される個別画像の数が前記第1の特定表示演出よりも増加する、又は前記設定用記憶手段へ画像データを設定する場合の処理負荷が前記第1の特定表示演出において表示される個別画像に比べて大きい個別画像が表示される第2の特定表示演出(第2演出期間)と、が設定されており、
前記特定の表示切換タイミングは、前記第1の特定表示演出から前記第2の特定表示演出へ切り換えられるタイミングであることを特徴とする特徴G2乃至G7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G8によれば、特定の表示切換タイミングでは第1の特定表示演出から第2の特定表示演出への切り換えが行われるため、当該タイミングにおける処理負荷の極端な増加が懸念されるが、上記特徴G2等の構成を備えているため当該処理負荷の軽減が図られる。
特徴G9.複数フレーム分の表示期間に亘る表示演出として、第1の特定表示演出(第1演出期間)と、前記設定用記憶手段に前記画像データの設定を行う場合の処理負荷が大きくなる第2の特定表示演出(第2演出期間)と、が設定されており、
前記特定の表示切換タイミングは、前記第1の特定表示演出から前記第2の特定表示演出へ切り換えられるタイミングであることを特徴とする特徴G2乃至G7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴G9によれば、特定の表示切換タイミングでは第1の特定表示演出から第2の特定表示演出への切り換えが行われるため、当該タイミングにおける処理負荷の極端な増加が懸念されるが、上記特徴G2等の構成を備えているため当該処理負荷の軽減が図られる。
上記特徴G群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置を備えたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、キャラクタ用のオブジェクトとして、予め定められた連結部を間に挟むようにして複数の部分オブジェクトを有するとともに連結部を基準としてそれら部分オブジェクトの相対位置を変位させることが可能な連結オブジェクトを設定しておくことで、当該キャラクタの動きを円滑なものとすることができる。しかしながら、連結オブジェクトは上記のとおり連結部を有することに関連して、当該連結部を有しないオブジェクトに比べて遊技機開発段階における作成は煩雑なものとなる。このような事情において、遊技機開発の過程で上記キャラクタの動きを変更したいと考えた場合に、連結オブジェクトを最初から作成し直していると開発期間が長期化してしまう。その一方、当初からあらゆる動きに対応するように連結部を設定すると、その連結オブジェクトのデータ容量がそれだけ増大化してしまう。
ちなみに、上記特徴G1〜G9のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、上記特徴F1〜F15、下記特徴H1〜H11、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴H群>
特徴H1.多数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
多数の単位設定領域を有する設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)に前記画像データを設定することで当該設定用記憶手段に描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示制御手段は、
前記1フレーム分の画像において複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なるように、それら個別画像に対応した画像データを設定する画像データ設定手段(VDP76におけるステップS1304〜ステップS1305の処理を実行する機能、VDP76におけるステップS1603〜ステップS1604の処理を実行する機能)と、
前記複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なることとなる前記単位設定領域のデータについて、奥側個別画像の重なり箇所の画像データが手前側個別画像の重なり箇所の画像データに対して反映された状態となるようにする重複反映手段(VDP76における第1のエフェクト加算処理を実行する機能、VDP76における第2のエフェクト加算処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴H1によれば、1フレーム分の画像において複数の個別画像が奥行き方向に重なる場合に、奥側個別画像の重なり箇所の画像データを手前側個別画像の重なり箇所の画像データに対して反映させた状態で表示する機能を有している。これにより、手前側個別画像を表示する場合に奥側個別画像の色などを反映させた状態で表示することが可能となり、見た目上、好ましい画像の表示を行うことが可能となる。
特徴H2.前記画像データは、色情報を規定する数値情報が対応付けられた単位画像データを多数有しており、
前記重複反映手段は、
前記複数の個別画像において相互に重なる各単位画像データの前記数値情報を用いて予め定められた演算処理を実行する演算処理実行手段(VDP76におけるステップS1404の処理を実行する機能、VDP76におけるステップS1706の処理を実行する機能)と、
当該演算処理の演算結果のデータを、前記設定用記憶手段において前記相互に重なる各単位画像データに対応した単位設定領域に設定する設定処理実行手段(VDP76におけるステップS1405の処理を実行する機能、VDP76におけるステップS1707の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
特徴H2によれば、奥行き方向に重なる箇所に対応した各単位画像データの数値情報を用いて演算処理を実行することで、上記特徴H1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴H3.前記各単位設定領域は、限界数値までの範囲内において数値情報を設定可能な構成であるとともに、前記表示制御手段は、当該数値情報として大きな数値が設定されているほどその単位設定領域に対応したドットにおいて明るい色が表示されるように前記画像信号を出力する構成であり、
前記演算処理実行手段は、前記予め定められた演算処理として、前記複数の個別画像において相互に重なる各単位画像データの数値情報を加算する加算処理を実行することを特徴とする特徴H2に記載の遊技機。
特徴H3によれば、設定用記憶手段に設定された描画データに基づいて1フレーム分の画像が表示される場合、大きな数値の数値情報が設定されている単位設定領域に対応したドットほど明るい色が表示される構成であるため、当該ドットの表示制御の複雑化が抑えられる。当該構成において、奥行き方向に重なる箇所に対応した各単位画像データの数値情報を加算した結果が設定される単位設定領域には、単に手前側個別画像の画像データが設定されるよりも大きな数値の数値情報が設定される。よって、重なり箇所においては奥側個別画像の色や明るさを反映した画像を表示することが可能となる。これにより、単位設定領域に設定される数値情報とそれに対する画像表示との関係を利用しつつ、さらには加算処理という比較的簡単な演算処理を利用して、上記特徴H1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴H4.前記重複反映手段により前記手前側個別画像の重なり箇所の画像データに対して前記奥側個別画像の重なり箇所の画像データが反映される場合に、その奥側画像データの反映される割合を低減させる反映低減手段(VDP76におけるステップS1702〜ステップS1704の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴H1乃至H3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴H4によれば、奥側個別画像の画像データの反映させる割合を低減させた状態で、手前側個別画像の画像データに反映させることが可能である。これにより、例えば奥側個別画像の画像データをそのまま反映させると、手前側個別画像の表示を良好に行えない場合などにおいては、奥側個別画像の画像データを反映させる割合を低減させて、奥側個別画像を反映させた状態の手前側個別画像の表示を良好に行うことが可能となる。
特徴H5.前記画像データは、色情報を規定する数値情報が対応付けられた単位画像データを多数有しており、
前記重複設定手段は、
前記複数の個別画像において相互に重なる各単位画像データの前記数値情報を用いて予め定められた演算処理を実行する演算処理実行手段(VDP76におけるステップS1706の処理を実行する機能)と、
当該演算処理の演算結果のデータを、前記設定用記憶手段において前記相互に重なる各単位画像データに対応した単位設定領域に設定する設定処理実行手段(VDP76におけるステップS1707の処理を実行する機能)と、
前記演算処理の演算対象となる各単位画像データのうち、奥側個別画像の数値情報を低減させる反映低減手段(VDP76におけるステップS1702〜ステップS1704の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
特徴H5によれば、奥行き方向に重なる箇所に対応した各単位画像データの数値情報を用いて演算処理を実行することで、上記特徴H1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
また、奥側個別画像の画像データの反映させる割合を低減させた状態で、手前側個別画像の画像データに反映させることが可能である。これにより、例えば奥側個別画像の画像データをそのまま反映させると手前側個別画像の表示を良好に行えない場合などにおいては、奥側個別画像の画像データを反映させる割合を低減させて、奥側個別画像を反映させた状態の手前側個別画像の表示を良好に行うことが可能となる。
特に、演算処理において数値情報を低減させる対象が、手前側個別画像ではなく奥側個別画像であるため、奥側個別画像の手前に積極的に追加した手前側個別画像の色調などを抑えることなく、奥側個別画像を反映させることができる。
特徴H6.前記各単位設定領域は、限界数値までの範囲内において数値情報を設定可能な構成であるとともに、前記表示制御手段は、当該数値情報として大きな数値が設定されているほどその単位設定領域に対応したドットにおいて明るい色が表示されるように前記画像信号を出力する構成であり、
前記演算処理実行手段は、前記予め定められた演算処理として、前記複数の個別画像において相互に重なる各単位画像データの数値情報を加算する加算処理を実行する構成であり、
前記反映低減手段は、前記加算処理の加算対象となる各単位画像データのうち、奥側個別画像の数値情報を予め定められた割合で低減させることを特徴とする特徴H5に記載の遊技機。
特徴H6によれば、設定用記憶手段に設定された描画データに基づいて1フレーム分の画像が表示される場合、大きな数値の数値情報が設定されている単位設定領域に対応したドットほど明るい色が表示される構成であるため、当該ドットの表示制御の複雑化が抑えられる。当該構成において、奥行き方向に重なる箇所に対応した各単位画像データの数値情報を加算した結果が設定される単位設定領域には、単に手前側個別画像の画像データが設定されるよりも大きな数値の数値情報が設定される。よって、重なり箇所においては奥側個別画像の色や明るさを反映した画像を表示することが可能となる。これにより、単位設定領域に設定される数値情報とそれに対する画像表示との関係を利用しつつ、さらには加算処理という比較的簡単な演算処理を利用して、上記特徴H1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
但し、上記のように数値情報の加算処理が実行される構成においては、加算処理の結果の数値情報が単位設定領域の限界数値を超えてしまうことが想定され、そうすると手前側個別画像の表示を良好に行えなくなってしまう。これに対して、奥側個別画像の単位画像データの数値情報を予め定められた割合で低減させた状態で、手前側個別画像の画像データに反映させることが可能である。これにより、加算処理の結果の数値情報が単位設定領域の限界数値を超えてしまうことが抑えられ、奥側個別画像を反映させた状態の手前側個別画像の表示を良好に行うことが可能となる。
特徴H7.前記表示用記憶手段は、前記手前側個別画像の各単位画像データに対応させて透明値が設定された透明値調整用データ(部分加算用データPD19)を予め記憶しており、
前記反映低減手段は、前記奥側個別画像の画像データにおいて前記手前側個別画像の画像データと前記演算処理が実行される各単位画像データのそれぞれに対して、前記透明値調整用データにおいて設定されている各透明値を適用することを特徴とする特徴H5又はH6に記載の遊技機。
特徴H7によれば、奥側個別画像を反映させる割合を低減させる場合には、表示用記憶手段から透明値調整用データを読み出して、それを奥側個別画像の画像データに適用すればよいため、割合を低減させるための処理の複雑化が抑えられる。
特徴H8.前記設定用記憶手段に前記画像データを設定する場合の座標を特定する座標特定手段(表示CPU72における第2エフェクト演出用の演算処理を実行する機能)を備え、
前記反映低減手段は、前記奥側個別画像の画像データにおいて前記手前側個別画像の画像データと前記演算処理が実行される各単位画像データのそれぞれに対して、前記透明値調整用データにおいて設定されている各透明値が適用されるように、前記座標特定手段により前記手前側個別画像に特定されている座標に対して前記透明値調整用データを設定することを特徴とする特徴H7に記載の遊技機。
特徴H8によれば、奥側個別画像を反映させる割合を低減させる場合には、表示用記憶手段から透明値調整用データを読み出して、さらにその透明値調整用データを手前側個別画像の画像データが設定される座標と同一の座標に設定すればよいため、割合を低減させるための処理の複雑化が抑えられる。
特徴H9.前記手前側個別画像は、画像データとして、色情報を規定する数値情報が対応付けられているとともにその数値情報に適用される透明値が設定された単位画像データを多数有するエフェクト画像(エフェクト画像CH2)であることを特徴とする特徴A1乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴H9によれば、エフェクト画像の表示を良好に行うことができる。
特徴H10.前記エフェクト画像は、予め定められたベース画像(キャラクタCH1)に視的効果を生じさせるように用いられ、
前記表示用記憶手段には、前記ベース画像の画像データ(スプライトデータPD16)と前記エフェクト画像の画像データ(エフェクトデータPD17)とが個別に記憶されていることを特徴とする特徴H9に記載の遊技機。
特徴H10によれば、ベース画像を表示させる場合には、ベース画像単独での表示が可能であるとともに、ベース画像に対してエフェクト画像を適用させた状態での表示も可能である。
特徴H11.前記単位画像データは、色情報を規定する数値情報が対応付けられているとともにその数値情報に適用される透明値を設定可能に構成されており、
前記画像データ設定手段は、前記複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なる場合であって、その重なり箇所に相当する手前側個別画像の単位画像データに透過すべき情報に対応した前記透明値が設定されていない場合に、その設定先の単位設定領域に対して、前記奥側個別画像の単位画像データを反映させない状態で前記手前側個別画像の単位画像データを設定し、
前記重複反映手段は、前記複数の個別画像が前記表示画面の奥行き方向に重なる場合であって、その重なり箇所に相当する手前側個別画像の単位画像データに透過すべき情報に対応した前記透明値が設定されている場合に、その設定先の単位設定領域に対して、前記数値情報に前記透明値が適用された状態の手前側個別画像の単位画像データに前記奥側個別画像の単位画像データを反映させた状態のデータを設定することを特徴とする特徴H1乃至H10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴H11によれば、奥側個別画像の画像データを反映させるか否かの判断を、手前側個別画像の単位画像データに対する透明値の設定状況を基準に行うことができ、当該判断に係る処理構成の複雑化が抑えられる。
上記特徴H群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示演出の一種として、爆発が発生した様子を表すための煙幕が表示されることがある。また、天候が曇りであることを表すための雲や、雨天であることを表すための雨が表示されることがある。これらの個別画像は、背景やキャラクタの手前にて補助的に表示されるものである。この場合に、当該個別画像が背景やキャラクタの色調とは無関係に表示されると、遊技者が違和感を抱くこととなり、好ましくない。
ちなみに、上記特徴H1〜H11のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、上記特徴F1〜F15、上記特徴G1〜G9、下記特徴I1〜I10、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴I群>
特徴I1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
前記表示画面に個別に表示される個別画像に対応させて画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
前記画像データを用いて描画データが設定される設定用記憶手段(フレーム領域82a,82b)と、
前記画像データの前記設定用記憶手段への設定先の座標情報を含むパラメータ情報を導出する導出手段(表示CPU72におけるタスク処理を実行する機能)と、
当該導出手段により導出されたパラメータ情報に応じて前記画像データを前記設定用記憶手段に設定することで前記描画データを作成するとともに、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる表示制御手段(VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記導出手段は、
前記パラメータ情報の導出を新たに開始すべき画像データが存在している場合に、その画像データについて前記パラメータ情報の導出を新たに開始する導出開始用処理を実行する開始用導出手段(表示CPU72におけるステップS812〜ステップS814の処理を実行する機能)と、
既に導出開始用処理が完了している画像データについて、画像の表示内容の変更に即して前記パラメータ情報を更新する更新用処理を実行する更新用導出手段(表示CPU72におけるステップS815〜ステップS817の処理を実行する機能)と、
前記導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれる可能性がある個別画像に対応した画像データに対して、前記導出開始用処理を実行させる事前用導出手段(表示CPU72におけるステップS807〜ステップS811の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I1によれば、導出手段にて導出されたパラメータ情報に従って、設定用記憶手段に画像データが設定されることで描画データが作成され、その描画データに応じて表示手段に画像信号が出力されることで、表示画面にて1フレーム分の画像が表示される。
上記構成において、導出手段では、パラメータ情報の導出を新たに開始すべき画像データが存在する場合には、その画像データについて導出開始用処理を実行することでパラメータ情報の導出を開始して、その後の画像更新タイミングでは、その導出を開始したパラメータ情報の更新を行えばよい。これにより、所定の個別画像が複数フレーム分の表示期間に亘って表示される場合に、パラメータ情報を新たに設定する処理を、その個別画像の画像データに対して繰り返し行う必要はなく、既に設定されているパラメータ情報の更新を繰り返し行えばよくなる。
また、導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて表示画面への表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて表示画面への表示対象に含まれる可能性がある個別画像に対応した画像データに対して、導出開始用処理が実行されることがある。これにより、表示画面外の個別画像について事前に導出開始用処理を済ませておくことが可能となり、例えば表示画面への表示が開始される個別画像が多数存在している場合において、それら個別画像の画像データについて同時に導出開始用処理が実行されることを回避するように、導出開始用処理の実行タイミングを分散させることが可能となる。
以上より、画像の表示を行うための処理負荷を低減させることが可能となる。
特徴I2.前記事前用導出手段は、前記導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれているものの未だ前記導出開始用処理が完了していない個別画像に対応した画像データに対して、当該フレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていない個別画像よりも優先して前記導出開始用処理が実行されるようにする表示範囲内の優先手段(表示CPU72におけるステップS809〜ステップS810の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴I1に記載の遊技機。
特徴I2によれば、上記特徴I1を備え、表示画面外の個別画像の画像データについて事前に導出開始用処理を実行することが可能な構成において、当該画像データよりも、表示画面への表示対象に含まれているものの未だ導出開始用処理が完了していない個別画像に対応した画像データの方が、導出開始用処理が優先して実行される。これにより、上記のように導出開始用処理の実行タイミングを分散させた構成において、本来表示されるはずの個別画像が表示されないといった不都合の発生が抑えられる。
特徴I3.前記事前用導出手段は、前記導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれる可能性がある個別画像に対応した画像データに対して前記導出開始用処理を実行させる場合、前記表示画面への表示対象となるタイミングが早い側の個別画像の画像データから優先して前記導出開始用処理が実行されるようにする表示範囲外の優先手段(表示CPU72におけるステップS811の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴I1又はI2に記載の遊技機。
特徴I3によれば、表示画面外ではあるがその後のフレームにおいて表示対象に含まれる可能性がある個別画像が複数存在している場合には、表示画面への表示対象となるタイミングが早い側の個別画像の画像データから優先して導出開始用処理が実行されるため、処理負荷の分散を良好に行うことができる。
特徴I4.前記導出手段は、1フレーム分の画像に含まれる個別画像の画像データを指定する情報及び当該画像データについて導出したパラメータ情報を少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を前記表示制御手段に出力する描画指示手段(表示CPU72におけるステップS608の処理を実行する機能)を備え、
前記表示制御手段は、前記描画指示情報にて指示されている情報に従って前記設定用記憶手段への画像データの設定を行い、当該描画指示情報に対応したフレーム分の描画データを作成する構成であり、
さらに、前記描画指示手段は、1フレーム分の画像に対応した前記描画指示情報を出力する場合、当該フレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていない個別画像の画像データについて前記導出開始用処理が完了していたとしても、当該画像データに対応した情報を含まないように前記描画指示情報を出力することを特徴とする特徴I1乃至I3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I4によれば、導出手段において事前にパラメータ情報の導出が開始されるとしても、表示制御手段に対して出力される描画指示情報には、表示画面内の個別画像の画像データのみが提供され、表示画面外の個別画像の画像データに対応した情報は提供されない。これにより、表示制御手段に出力される描画指示情報の情報量を抑えることが可能である。また、表示制御手段では、指定されている個別画像が表示画面内のものか否かの判定を行う必要はなく、また当該判定を行わないとしても、表示画面外の個別画像について無駄に表示制御を行う必要がなくなる。
特徴I5.前記表示画面における表示態様として、背面画像の手前であって当該背面画像の範囲の所定の位置にて個別画像が表示される表示態様が含まれているとともに、前記背面画像として、1フレーム分の表示範囲よりも広く設定された広範囲用背面画像が含まれており、
前記広範囲用背面画像において前記1フレーム分の表示範囲を前回のフレームにおける表示範囲とは異なる位置に変更する表示変更手段(表示CPU72におけるステップS804の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴I1乃至I4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I5によれば、1フレーム分の表示範囲が変更されることがあるため、表示演出の画一化が抑えられ、画像への注目度を高めることが可能となる。この場合に、上記特徴I1の構成を備え、表示画面外の個別画像についても事前に導出開始用処理が実行される構成であるため、1フレーム分の表示範囲が切り換えられたとしても、それに対して各個別画像のパラメータ情報を良好に導出することが可能となる。
特徴I6.遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置43)を備え、
前記表示変更手段は、前記操作受付手段にて前記操作が受けられたことに基づき、前記1フレーム分の表示範囲の変更を行うことを特徴とする特徴I5に記載の遊技機。
特徴I6によれば、遊技者による操作受付手段への操作に基づき1フレーム分の表示範囲が変更されることがあるため、表示演出の画一化が抑えられ、画像への注目度を高めることが可能となる。但し、操作受付手段への操作に基づき1フレーム分の表示範囲が変更される構成においては、当該変更が発生するタイミングを予期することが困難である。この場合に、上記特徴I1の構成を備え、表示画面外の個別画像についても事前に導出開始用処理が実行される構成であるため、1フレーム分の表示範囲が切り換えられたとしても、それに対して各個別画像のパラメータ情報を良好に導出することが可能となる。
特徴I7.前記事前用導出手段は、前記導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれる可能性がある個別画像が存在しているか否かの判定を、その時点での前記1フレーム分の表示範囲を基準に行うことを特徴とする特徴I5又はI6に記載の遊技機。
特徴I7によれば、設定されている表示範囲を基準として、パラメータ情報の導出の開始対象となる個別画像が把握される。これにより、1フレーム分の表示範囲が切り換えられる構成において、導出開始用処理の実行タイミングの分散が、現状設定されている表示範囲に応じて行われ、当該分散を良好に行うことができる。
特徴I8.前記表示画面における表示態様として、背面画像の手前にて個別画像が表示される表示態様が含まれており、
さらに、遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置43)と、
当該操作受付手段にて前記操作が受け付けられたことに基づき、前記背面画像の内容を変更する表示変更手段(表示CPU72におけるステップS804の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴I1乃至I4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I8によれば、遊技者による操作受付手段への操作に基づき背面画像の内容が変更されることがあるため、表示演出の画一化が抑えられ、画像への注目度を高めることが可能となる。但し、操作受付手段への操作に基づき背面画像の内容が変更される構成においては、当該変更が発生するタイミングを予期することが困難である。この場合に、上記特徴I1の構成を備え、表示画面外の個別画像についても事前に導出開始用処理が実行される構成であるため、背面画像の内容が切り換えられたとしても、それに対して各個別画像のパラメータ情報を良好に導出することが可能となる。
特徴I9.前記事前用導出手段は、前記導出開始用処理を実行するタイミングに対応したフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれていないが、その後のフレームにおいて前記表示画面への表示対象に含まれる可能性がある個別画像が存在しているか否かの判定を、その時点での前記背面画像の内容を基準に行うことを特徴とする特徴I8に記載の遊技機。
特徴I9によれば、設定されている背面画像の内容を基準として、パラメータ情報の導出の開始対象となる個別画像が把握される。これにより、背面画像の内容が切り換えられる構成において、導出開始用処理の実行タイミングの分散が、現状設定されている背面画像の内容に応じて行われ、当該分散を良好に行うことができる。
特徴I10.前記導出手段において前記パラメータ情報の導出を行う場合に用いられる導出用記憶手段(ワークRAM73)を備え、
前記開始用導出手段は、前記導出開始用処理として、前記パラメータ情報の導出を新たに開始すべき画像データが存在している場合、その画像データの前記パラメータ情報の導出を行うために用いる前記導出用記憶手段における領域を検索する検索処理(表示CPU72におけるステップS812)と、その検索結果に基づき確保した領域を初期化する領域初期化処理(表示CPU72におけるステップS813)と、を少なくとも実行する構成であることを特徴とする特徴I1乃至I9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I10によれば、導出開始用処理では、パラメータ情報を設定する処理だけでなく、パラメータ情報の導出を行うために用いられる領域を検索する処理と、その検索結果に基づき確保した領域を初期化する処理とが実行されるため、更新用処理に比べて処理負荷が大きくなる。これに対して、上記特徴I1の構成を備え、導出開始用処理の実行タイミングを分散させることが可能であるため、処理負荷の分散を図ることが可能となる。
上記特徴I群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、表示画面に表示される画像の更新は予め定められた更新周期で行われるように構成されており、その更新周期に間に合うように1フレーム分の描画データの作成と、表示装置への信号出力とが行われる必要がある。また、描画データの作成に際しては、表示画面に同時に表示される個別画像のそれぞれについて座標やサイズを特定するための演算が行われ、その演算結果に基づき描画データが作成される。
上記構成において、同時に演算対象となる個別画像が多くなるほど処理負荷が増大する。そして、その処理負荷の局所的な高まりが生じた場合、処理落ちが発生してしまうことが懸念される。
ちなみに、上記特徴I1〜I10のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、上記特徴F1〜F15、上記特徴G1〜G9、上記特徴H1〜H11、下記特徴J1〜J13、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴J群>
特徴J1.多数のドットが縦横に並べて構成された表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
前記画像データを用いて設定用記憶手段に描画データを作成する描画データ作成手段(VDP76におけるステップS705の処理を実行する機能)と、
当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示画面に1フレーム分の画像を表示させる画像信号出力手段(表示回路94)と、
を備えている遊技機において、
前記設定用記憶手段に作成されている描画データのデータサイズを調整して調整後データを作成するとともに、その調整後データに応じた画像信号を前記画像信号出力手段から出力させるデータ調整手段(スケーラ97)と、
当該データ調整手段の調整倍率を変更することで、前記表示画面に表示される個別画像の拡大及び縮小の少なくとも一方であるサイズ変更演出を行わせる変更演出実行手段(VDP76におけるズームイン演出用の設定処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴J1によれば、描画データのデータサイズを調整して調整後データを作成する場合の調整倍率を変更することで、表示画面に表示される個別画像のサイズ変更演出が行われる。これにより、設定用記憶手段に設定される画像データのそれぞれに対して個別に倍率の調整が行われる構成に比べ、処理負荷の軽減を図りながら、サイズ変更演出を行うことができる。以上より、サイズ変更演出を良好に実行することが可能となる。
特徴J2.前記描画データ作成手段は、前記設定用記憶手段に描画データを作成する場合、前記調整倍率がいずれの倍率であっても同一のサイズで前記描画データを作成する特徴J1に記載の遊技機。
特徴J2によれば、描画データ作成手段はサイズ変更演出の有無や内容に関係なく、一定のサイズの描画データを作成すればよいため、当該描画データの作成に係る処理の複雑化を抑えながら、サイズ変更演出を行うことができる。
特徴J3.前記データ調整手段の前記調整倍率として初期調整倍率が設定されており、
前記データ調整手段は、前記初期調整倍率に設定されている状況では、前記描画データの全体のデータに応じた画像が前記表示画面の解像度に調整された状態で表示されるように、前記調整後データの作成を行うことを特徴とする特徴J1又はJ2に記載の遊技機。
特徴J3によれば、作成された描画データに対して、表示画面に対応した解像度調整を行う構成を利用して、上記特徴J1等にて説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴J4.前記変更演出実行手段は、前記データ調整手段の調整倍率を前記初期調整倍率よりも大きい拡大用倍率に変更することで、前記表示画面に表示される個別画像の拡大に対応した前記サイズ変更演出を行わせる拡大用実行手段(VDP76におけるステップS2901の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J3に記載の遊技機。
特徴J4によれば、初期調整倍率を基準にして個別画像の拡大に対応したサイズ変更演出が行われる。これにより、描画データ作成手段は当該サイズ変更演出の有無や内容に関係なく、一定のサイズの描画データを作成すればよい。よって、当該描画データの作成に係る処理の複雑化を抑えながら、サイズ変更演出を行うことができる。
特徴J5.前記変更演出実行手段は、前記拡大用実行手段により前記拡大に対応した前記サイズ変更演出が行われている状況において、前記初期調整倍率から前記拡大用倍率の範囲内において当該拡大用倍率よりも小さい倍率に変更することで、前記表示画面に表示される個別画像の縮小に対応した前記サイズ変更演出を行わせる縮小用実行手段(VDP76におけるステップS2901の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J4に記載の遊技機。
特徴J5によれば、調整倍率を所定の拡大用倍率に設定した後に、それを初期調整倍率側に戻すことで、個別画像の縮小に対応したサイズ変更演出が行われる。これにより、描画データ作成手段は当該サイズ変更演出の有無や内容に関係なく、一定のサイズの描画データを作成すればよい。よって、当該描画データの作成に係る処理の複雑化を抑えながら、サイズ変更演出を行うことができる。
特徴J6.外部電源に接続され、遊技機において必要な動作電力を供給する電源部(電源装置61、電源及び発射制御装置357)と、
当該電源部からの動作電力の供給が開始されたことに基づき、前記データ調整手段の調整倍率を前記初期調整倍率に設定する初期設定手段(表示CPU72におけるステップS505の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴J3乃至J5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J6によれば、データ調整手段の調整倍率を変化させることでサイズ変更演出が行われる構成において、例えば遊技機の電源ON操作が行われ、電源部からの動作電力の供給が開始された場合には、上記調整倍率は初期調整倍率に設定される。これにより、初期調整倍率の設定を良好に行うことができる。
特徴J7.前記データ調整手段の調整倍率が前記サイズ変更演出を行うために前記初期調整倍率から変更された場合に、当該サイズ変更演出の終了後に前記初期調整倍率に復帰させる倍率復帰手段(VDP76における拡大用フラグをクリアする機能)を備えていることを特徴とする特徴J3乃至J6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J7によれば、サイズ変更演出の終了後には、表示画面の解像度に応じた画像の表示を行うことが可能となる。
特徴J8.前記データ調整手段は、前記描画データに対して線形補間処理(表示回路94におけるステップS3002、ステップS3006の処理)を実行することに基づき、前記調整後データを作成することを特徴とする特徴J1乃至J7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J8によれば、線形補間処理を利用して、上記特徴J1等にて説明したような優れた効果を奏することができる。
特徴J9.前記変更演出実行手段は、前記サイズ変更演出が行われる場合の1フレーム分の画像に含まれる複数の個別画像のうち特定の個別画像は、その全体が前記表示画面に含まれるように、当該特定の個別画像の画像データが前記描画データ作成手段により前記設定用記憶手段に設定される場合のパラメータ情報を調整する個別調整手段(表示CPU72におけるステップS2808〜ステップS2812の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J1乃至J8のいずれか1に記載の遊技機。
描画データの倍率を変更することでサイズ変更演出を行う構成では、その全体を表示させたい特定の個別画像についてまでサイズ変更が行われて、一部が表示画面外に配置されてしまうことが想定される。これに対して、特徴J9によれば、特定の個別画像はその全体が表示画面に含まれるように、当該特定の個別画像の画像データが設定用記憶手段に設定される場合のパラメータ情報が調整される。これにより、上記特徴J1等にて説明したような効果を奏しつつ、特定の個別画像についてはその全体を表示画面内に表示させることができる。
特徴J10.前記変更演出実行手段は、前記サイズ変更演出が行われる場合の1フレーム分の画像に含まれる複数の個別画像のうち特定の個別画像は、前記サイズ変更演出が行われない場合の1フレーム分の画像において表示されるサイズ及び位置の少なくとも一方と同様となるように、当該特定の個別画像の画像データが前記描画データ作成手段により前記設定用記憶手段に設定される場合のパラメータ情報を調整する個別調整手段(表示CPU72におけるステップS2808〜ステップS2812の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J1乃至J8のいずれか1に記載の遊技機。
描画データの倍率を変更することでサイズ変更演出を行う構成では、サイズ及び位置の少なくとも一方を変更させたくない特定の個別画像についてまでサイズ変更が行われて、その変更させたくない要素が変更されてしまうことが想定される。これに対して、特徴J10によれば、特定の個別画像はサイズ及び位置の少なくとも一方がサイズ変更演出の行われない場合と同様となるように、当該特定の個別画像の画像データが設定用記憶手段に設定される場合のパラメータの情報が調整される。これにより、上記特徴J1等にて説明したような効果を奏しつつ、特定の個別画像についてはその変更させたくない要素をそのまま維持させることができる。
特徴J11.前記変更演出実行手段は、前記サイズ変更演出が行われる場合の1フレーム分の画像に含まれる複数の個別画像のうち特定の個別画像は、前記サイズ変更演出が開始される直前の1フレーム分の画像において表示されるサイズ及び位置と同様となるように、当該特定の個別画像の画像データが前記描画データ作成手段により前記設定用記憶手段に設定される場合のサイズ及び座標の情報を調整する個別調整手段(表示CPU72におけるステップS2808〜ステップS2812の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J1乃至J8のいずれか1に記載の遊技機。
描画データの倍率を変更することでサイズ変更演出を行う構成では、サイズ及び位置をサイズ変更演出が開始される直前の1フレーム分の画像と同様としたい特定の個別画像についてまで、それらサイズ及び位置の変更が行われてしまうことが想定される。これに対して、特徴J11によれば、特定の個別画像はサイズ及び位置がサイズ変更演出の開始される直前の1フレーム分の画像と同様となるように、当該特定の個別画像の画像データが設定用記憶手段に設定される場合のサイズ及び座標の情報が調整される。これにより、上記特徴J1等にて説明したような効果を奏しつつ、特定の個別画像については表示態様を維持させることができる。
特徴J12.前記表示画面における表示態様として、背面画像の手前で変動用個別画像が変動表示される表示態様が含まれており、
前記特定の個別画像は、前記変動用個別画像であることを特徴とする特徴J9乃至J11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J12によれば、サイズ変更演出に伴って変動用個別画像の視認性が変動してしまうことを抑制できる。
特徴J13.表示演出として、リーチ用の個別画像を待機表示させた状態でリーチ用の画像を表示させるリーチ演出が含まれており、
前記特定の個別画像は、前記待機表示される前記リーチ用の個別画像であることを特徴とする特徴J12に記載の遊技機。
特徴J13によれば、サイズ変更演出に伴ってリーチ用の個別画像の視認性が変動してしまうことを抑制できる。
上記特徴J群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
ここで、1フレーム分の画像を拡大又は縮小させる表示演出を行うことで、表示演出の多様化を図ることが可能となると考えられる。しかしながら、当該表示演出を行うために処理負荷が大きくなり処理落ちが発生してしまうことは好ましくなく、その一方、当該表示演出を行うために例えば表示する個別画像の数を意図的に少なくするといったような表示内容を簡素にするための対策をとると当該表示演出への注目度を好適に高めることができなくなる。
ちなみに、上記特徴J1〜J13のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、上記特徴F1〜F15、上記特徴G1〜G9、上記特徴H1〜H11、上記特徴I1〜I10、下記特徴K1〜K9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
<特徴K群>
特徴K1.表示画面(表示画面G)を有する表示手段(表示装置46)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール74)と、
当該表示用記憶手段に記憶されている画像データを用いて前記表示画面に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU72、VDP76)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、動画像を再生するために用いられる圧縮された動画像データを複数種類記憶しており、
前記表示制御手段は、
いずれかの動画像データを展開用領域に展開して、その動画像データに対応した画像について複数フレーム分の静止画像データを作成する展開手段(動画デコーダ93)と、
当該展開手段により展開された複数フレーム分の静止画像データを、その動画像データにおいて定められているフレーム順序で用いることで、その動画像データに対応した画像の動画を前記複数フレーム分の表示期間に亘って表示させる動画像表示実行手段(VDP76における動画像用の設定処理を実行する機能)と、
前記複数種類の動画像データのうち、第1の動画像データ(分岐前用の動画像データPD54)による動画が表示された後に第2の動画像データ(分岐後A用の動画像データPD55)による動画が表示される表示期間を有する一群の表示演出を行わせる複数動画演出実行手段(表示CPU72における動画像用の演算処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴K1によれば、単一の動画像データを用いるのではなく、少なくとも第1の動画像データ及び第2の動画像データを用いて一群の表示演出が行われる。これにより、例えば、第1の動画像データ又は第2の動画像データを他の表示演出を行わせるために共通して使用することが可能となり、各表示演出に対して個別に動画像データが設定されている構成に比して、動画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の削減が図られる。また、例えば、上記一群の表示演出の開始時には第1の動画像データに対して展開用の処理を実行し、第1の動画像データによる動画表示が行われている期間において第2の動画像データに対して展開用の処理を実行することが可能となる。この場合、両動画像データ分の展開がまとめて行われる構成に比べ、上記一群の表示演出を開始させる際の処理負荷が抑えられる。
以上より、動画像データを利用した表示演出を良好に行うことが可能となる。
特徴K2.前記表示制御手段は、前記第1の動画像データ及び前記第2の動画像データのうちいずれか一方を用いて一群の表示演出を行わせる手段を備えていることを特徴とする特徴K1に記載の遊技機。
特徴K2によれば、第1の動画像データ及び第2の動画像データのうちいずれか一方が他の表示演出を行わせるために共通して使用される。これにより、各表示演出に対して個別に動画像データが設定されている構成に比して、動画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の削減が図られる。
特徴K3.前記第1の動画像データによる動画は一連の表示演出に対応しているとともに、前記第2の動画像データによる動画は前記第1の動画像データによる一連の表示演出に対して連続する表示演出に対応していることを特徴とする特徴K1又はK2に記載の遊技機。
特徴K3によれば、第1の動画像データはそれ単独で一連の表示演出に対応しているため、第1の動画像データのみを用いた表示演出を行うことが可能である。この場合に、第1の動画像データと第2の動画像データとを個別に用意することで、第1の動画像データ及び第2の動画像データをまとめた単一の動画像データを予め用意するとともにそれとは別に第1の動画像データを予め用意する構成に比べ、動画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の削減を図りながら複数種類の表示演出を行うことが可能となる。
特徴K4.前記展開手段は、前記複数動画演出実行手段による前記一群の表示演出が行われる場合、前記第1の動画像データによる動画表示が行われている期間において前記第2の動画像データに対する展開処理を実行することを特徴とする特徴K1乃至K3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴K4によれば、第1の動画像データによる動画表示が行われている期間を利用して、第2の動画像データに対して展開用処理が実行される。これにより、一群の表示演出の開始時に、両動画像データに対してまとめて展開用処理が実行される構成に比べ、当該一群の表示演出を開始させる際の処理負荷が抑えられる。
特徴K5.前記複数動画演出実行手段は、
前記第1の動画像データによる動画を表示させる第1動画演出実行手段(表示CPU72におけるステップS3113〜ステップS3115の処理を実行する機能)と、
前記第1の動画像データによる動画が表示された後に前記第2の動画像データによる動画を表示させる第2動画演出実行手段(表示CPU72におけるステップS3117〜ステップS3119の処理を実行する機能)と、
前記第1の動画像データによる動画が表示された後に第3の動画像データ(分岐後B用の動画像データPD56)による動画を表示させる第3動画演出実行手段(表示CPU72におけるステップS3120〜ステップS3122の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴K1乃至K4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴K5によれば、第2の動画像データを用いる表示演出と、第3の動画像データを用いる表示演出とのそれぞれにおいて第1の動画像データを共通して利用することができる。これにより、第1の動画像データ及び第2の動画像データをまとめた単一の動画像データと、第1の動画像データ及び第3の動画像データをまとめた単一の動画像データとを個別に用意する構成に比べ、動画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量の削減を図りながら、上記複数種類の表示演出を行うことが可能となる。
特徴K6.遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置43)を備え、
前記複数動画演出実行手段は、前記第1の動画像データによる動画表示が行われている期間又はその動画表示が完了した後のタイミングにおいて前記操作受付手段にて前記操作が受け付けられたことに基づき、その後の演出実行対象を前記第2動画演出実行手段又は前記第3動画演出実行手段に設定する演出振分手段(表示CPU72におけるステップS3108の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴K5に記載の遊技機。
先に実行されている動画表示から所定の動画表示又はそれとは異なる動画表示への分岐が、遊技者による任意の操作に基づき行われる構成においては、その操作の発生自体が任意であるため、単一の動画像データでは対応できない。これに対して、特徴K6によれば、先に実行される動画表示用に第1の動画像データが用意されており、分岐後に実行される動画表示用に第2の動画像データ及び第3の動画像データが用意されている。これにより、遊技者による任意の操作に基づき動画表示の途中で発展先の動画表示の内容が変更される演出を提供することができる。
特徴K7.前記展開手段は、前記第1の動画像データによる動画が表示された後に前記第2の動画像データによる動画又は前記第3の動画像データによる動画が表示される場合、前記第1の動画像データによる動画表示の開始タイミングよりも前に、前記第1乃至第3の動画像データのうち前記第1の動画像データのみに対して展開処理を実行することを特徴とする特徴K6に記載の遊技機。
特徴K7によれば、一群の表示演出の開始時に、各動画像データに対してまとめて展開用処理が実行される構成に比べ、当該一群の表示演出を開始させる際の処理負荷が抑えられる。
特徴K8.前記演出振分手段は、前記第1の動画像データによる動画表示が行われている途中であって終了タイミングよりも判定用のフレーム数分だけ前の判定用タイミングにおいて前記操作受付手段にて前記操作が受け付けられていることを特定した場合に、当該第1の動画像データによる動画表示の後の演出実行対象を前記第2動画演出実行手段又は前記第3動画演出実行手段に設定するものであることを特徴とする特徴K6又はK7に記載の遊技機。
特徴K8によれば、第1の動画像データによる動画表示が終了するタイミングよりも前に振分先の動画像データの判定が行われるため、第1の動画像データによる動画表示が行われている期間において、振分先の動画像データに対して展開処理を行うための期間が確保される。これにより、第1の動画像データによる動画表示が終了した後の新たな動画表示の開始が円滑に行われる。
特徴K9.前記展開手段は、前記第1の動画像データによる動画が表示された後に前記第2の動画像データによる動画又は前記第3の動画像データによる動画が表示される場合、前記判定用タイミングから前記第1の動画像データによる動画表示の終了タイミングまでの期間において、前記演出振分手段による振分先の動画像データに対する展開処理を実行することを特徴とする特徴K8に記載の遊技機。
特徴K9によれば、第2の動画像データ及び第3の動画像データのうち振分先の動画像データに対してのみ展開処理が実行される。これにより、展開処理の処理負荷が抑えられるとともに、展開用領域において必要な記憶容量の削減が図られる。
上記特徴K群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが、VRAMといった記憶手段に対して作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。
また、画像データとして、動画像データを備えている構成も知られている。動画像データはそのデータ容量が静止画像データに比べて大きいため、画像データ用のメモリには圧縮された状態で記憶されている。したがって、動画像データを用いる場合には、デコーダを用いて所定のメモリ領域に動画像データを展開して複数の静止画像データとし、それら複数の静止画像データを画像の更新タイミングとなる度に予め定められた順番で用いる必要がある。
ここで、上記のように圧縮された動画像データはデコードして使用する必要があるため、その使用に制約が生じ、それに伴って動画表示を利用した表示演出の多様化を図る上での制約も生じる。その一方、圧縮することなく静止画像データの集まりとして記憶する構成も考えられるが、この場合、画像データ用のメモリの記憶容量が極端に増大化してしまう。
また、上記特徴K1〜K9のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1〜A17、上記特徴B1〜B13、上記特徴C1〜C10、上記特徴C’1、上記特徴D1〜D10、上記特徴E1〜E8、上記特徴F1〜F15、上記特徴G1〜G9、上記特徴H1〜H11、上記特徴I1〜I10、上記特徴J1〜J13のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。