以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
図面は、各種層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示している。明細書全体を通じて類似した部分については同一の参照符号を付けている。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合に限らず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“すぐ上に”あるとする時、これは中間に他の部分がない場合を意味する。
図1〜図6を参照して本発明の一実施形態による液晶表示装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図2は、図1の液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図3は、図1の液晶表示装置用共通電極表示板の配置図であり、図4は、図1に示す液晶表示装置のIV-IV線に沿った断面図であり、図5は、図1の共通電極及び画素電極の配置図であり、図6は、図1の互いに隣接した画素電極の間を拡大した図面である。
本実施形態による液晶表示装置は、互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200及びこれら2つの表示板100、200の間に挟持された液晶層3を備える。
まず、図1、図2及び図4を参照して薄膜トランジスタ表示板100を詳細に説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数のゲート線121と複数の維持電極線131が形成されている。
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に図1の横方向に延びている。各ゲート線121は、下上に突出した複数のゲート電極124と他の層または外部駆動回路との接続のために広い端部129を有する。ゲート信号を生成するゲート駆動回路(図示せず)は、基板110上に付着されるフレキシブル印刷回路膜(図示せず)上に装着するか、基板110上に直接装着するか、あるいは基板110に集積することができる。ゲート駆動回路が基板110上に集積する場合、ゲート線121を延長して直接接続するように構成できる。
維持電極線131は所定電圧の印加を受け、ゲート線121にほぼ平行に延びた幹線とこれから分かれた複数の第1、第2、第3及び第4維持電極133a、133b、133c、133d群、及び複数の接続部(connection)133eを含む。維持電極線131それぞれは、隣接した2つのゲート線121の間に位置し、幹線は2つのゲート線121のうちの上側に近い。
第1及び第2維持電極133a、133bは、図1の縦方向に延びて互いに対向する。第1維持電極133aは幹線に接続している固定端とその反対側の自由端を有し、自由端は突出部を含む。第3及び第4維持電極133c、133dは概ね第1維持電極133aの中央から第2維持電極133bの上端及び下端まで斜めに延びている。接続部133eは隣接した維持電極133a−133d群の間に接続している。しかし、維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート線121及び維持電極線131は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金など銀系金属、銅(Cu)や銅合金など銅系金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などモリブデン系金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)及びチタニウム(Ti)などにより形成することが望ましい。しかし、これらは物理的性質が異なる2つの導電膜(図示せず)を含む多重膜構造を有しても良い。このうちの1つの導電膜は、信号遅延や電圧降下を減らせるように比抵抗が低い金属、例えば、アルミニウム系金属、銀系金属、銅系金属などからなる。これに対し、他の導電膜は他の物質、特にITO(indium tin oxide)及びIZO(indium zinc oxide)との物理的、化学的、電気的接触特性に優れた物質、例えばモリブデン系金属、クロム、タンタル、チタニウムなどで構成できる。このような組み合わせの良い例としては、クロム下部膜とアルミニウム(合金)上部膜、及びアルミニウム(合金)下部膜とモリブデン(合金)上部膜がある。しかし、ゲート線121及び維持電極線131は、この他にも様々な金属または導電体で構成できる。
ゲート線121及び維持電極線131の側面は基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は約30〜80°であることが望ましい。
ゲート線121及び維持電極線131上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa-Siと略称する)または多結晶シリコンなどからなる複数の線状半導体151が形成されている。線状半導体151は、主に図1の縦方向に延びており、ゲート電極124に向かって延びた複数の突出部154を含む。線状半導体151はゲート線121及び維持電極線131付近で幅が広くなり、これらを幅広く覆う。
半導体151上には複数の線状及び島状オーミック接触部材161、165が形成されている。オーミック接触部材161、165は、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなるか、シリサイドからなることが望ましい。線状オーミック接触部材161は複数の突出部163を有しており、該突出部163と島状オーミック接触部材165は対をなして半導体151の突出部154上に配置される。
半導体151とオーミック接触部材161、165の側面も基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は30°〜80°程度である。
オーミック接触部材161、165及びゲート絶縁膜140上には、複数のデータ線171と複数のドレイン電極175及び複数の孤立した金属片(isolated metal piece)178が形成されている。
データ線171はデータ電圧を伝達し、主に図1の縦方向に延びてゲート線121、維持電極線131の幹線及び接続部133eと交差する。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延びC字状に折曲した複数のソース電極173と他の層または外部駆動回路との接続のために広い端部179を有する。データ電圧を生成するデータ駆動回路(図示せず)は、基板110上に付着されるフレキシブル印刷回路膜(図示せず)上に装着するか、基板110上に直接装着するか、あるいは基板110に集積することができる。データ駆動回路を基板110上に集積する場合、データ線171を延長してそれと直接接続することができる。
ドレイン電極175はデータ線171と分離され、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する。各ドレイン電極175は広い一端部と棒状である他端部を有し、棒状端部はソース電極173に一部囲まれている。
1つのゲート電極124、1つのソース電極173及び1つのドレイン電極175は、半導体の突出部154と共に1つの薄膜トランジスタ(TFT)をなし、薄膜トランジスタのチャンネルは、ソース電極173とドレイン電極175との間の突出部154に形成される。
孤立金属片178は第1維持電極133a付近のゲート線121上に位置する。
データ線171とドレイン電極175及び金属片178は、モリブデン、クロム、タンタル及びチタニウムなど耐火性金属、またはこれらの合金からなることが望ましく、耐火性金属膜(図示せず)と低抵抗導電膜(図示せず)を含む多重膜構造を有しても良い。多重膜構造の例としては、クロムまたはモリブデン(合金)下部膜とアルミニウム(合金)上部膜の二重膜、モリブデン(合金)下部膜とアルミニウム(合金)中間膜とモリブデン(合金)上部膜の三重膜がある。しかし、データ線171とドレイン電極175及び金属片178は、この他にも様々な金属または導電体からなっても良い。
データ線171とドレイン電極175及び金属片178もその側面が基板110面に対して30°〜80°程度の角度で傾斜していることが望ましい。
オーミック接触部材161、165は、その下の半導体151とその上のデータ線171及びドレイン電極175の間にのみ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。大部分の所で線状半導体151がデータ線171より狭いが、既に説明したように、ゲート線121と交わる部分で幅を広く形成することにより、表面の段差形状をゆるやかにすることでデータ線171の断線を防止する。半導体151には、ソース電極173とドレイン電極175との間のように、データ線171及びドレイン電極175で覆われず露出した部分がある。
データ線171、ドレイン電極175、金属片178及び露出した半導体151部分上には保護膜180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などからなり、表面が平坦化されていても良い。無機絶縁物の例としては、窒化ケイ素と酸化ケイ素がある。有機絶縁物は感光性を有することが良く、その誘電定数は約4.0以下であることが望ましい。しかし、保護膜180は、有機膜の優れた絶縁特性を生かしながらも露出した半導体151部分に害を及ぼさないように、下部無機膜と上部有機膜の二重膜構造を有することが望ましい。
保護膜180にはデータ線171の端部179とドレイン電極175をそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール(接触孔)182、185が形成され、保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出させる複数のコンタクトホール181、第1維持電極133aの自由端の突出部を露出させる複数のコンタクトホール183a、並びに第1維持電極133aの固定端付近の維持電極線131の一部を露出させる複数のコンタクトホール183bが形成されている。
保護膜180上には複数の画素電極191、複数の接続ブリッジ(overpass)83及び複数の接触補助部材81、82が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属で形成することが望ましい。
画素電極191は、コンタクトホール185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続しており、ドレイン電極175からデータ電圧の印加を受ける。データ電圧が印加された画素電極191は、共通電圧の印加を受ける共通電極表示板200の共通電極270と共に電場を生成することによって2つの電極191、270の間の液晶層3の液晶分子31の方向を決定する。このように決定された液晶分子31の方向によって液晶層3を通過する光の偏光が変わる。画素電極191と共通電極270はキャパシタ(以下、“液晶キャパシタ”という)をなし薄膜トランジスタがターンオフされた後にも印加された電圧を維持する。
画素電極191は、維持電極133a−133dを始めとする維持電極線131と重畳する。画素電極191及びこれに電気的に接続しているドレイン電極175が維持電極線131と重畳してなるキャパシタをストレージキャパシタと言い、ストレージキャパシタは液晶キャパシタの電圧維持能力を強化する。
画素電極191には中央切開部91、下部切開部92a及び上部切開部92bが形成され、画素電極191はこの切開部91−92bによって複数の領域に分割される。切開部91−92bは、画素電極191を二等分する仮想の横中心線に対してほぼ反転対称をなす。
下部及び上部切開部92a、92bはほぼ画素電極191の右側辺から左側辺に斜めに延びており、第4及び第3維持電極133d、133cとそれぞれ重畳する。下部及び上部切開部92a、92bは画素電極191の横中心線に対して下半部と上半部にそれぞれ位置している。下部及び上部切開部92a、92bはゲート線121に対して約45°をなし、互いに垂直に延びている。
中央切開部91は画素電極191の横中心線に沿って延びており、右辺側に入口を有する。中央切開部91の入口は下部切開部92aと上部切開部92bにそれぞれほぼ平行な一対の斜辺を有する。
よって、画素電極191の下半部は下部切開部92aによって2つの領域に分かれ、上半部も上部切開部92bによって2つの領域に分割される。
図5に示すように、各画素電極191は互いに対向する一対の第1主辺193、194とこれに接続している一対の第2主辺195、196を有する。第1主辺193、194はゲート線121にほぼ平行であり、第2主辺195、196はデータ線171にほぼ平行な内側及び外側の包絡線(envelope)951、952、961、962を有し、第1主辺193、194と第2主辺195、196の内側または外側の包絡線951、961、952、962はほぼ長方形をなす。画素電極191の左側角は面取りされて斜辺193c、194cをなし、面取りされた斜辺193c、194cはゲート線121に対して約45°の角度をなす。
画素電極191の第2主辺195、196は内側の包絡線951、961上に位置する複数の縦線分915、925とこれから外側に突出した複数ののこぎり状部分910、920を有し、画素電極191の横中心線に対してほぼ対称である。
それぞれののこぎり状部分910、920は互いに対向する第1斜辺911、921及び第2斜辺912、922、並びにこれらを連結し外側の包絡線952、962上に位置する上辺913、923を有する。第1斜辺911、921は縦線分915、925と約135°より大きい鈍角をなして交わり、第2斜辺912、922は縦線分915、925と約45°の角度をなし、第1斜辺911、921と第2斜辺912、922の延長線は約45°より小さい鋭角をなしながら互いに交わる。また、第2斜辺912、922は下部及び上部切開部92a、92bと実質的に平行で、切開部92a、92bの延長線上にあり、第1斜辺911、921は下部及び上部切開部92a、92bと約45°より小さい角度または135°より大きい角度をなす。
のこぎり状部分910、920の上部、つまり、上辺913、923付近はデータ線171と重畳し、データ線171を中心に左側に位置した画素電極191の右側辺196ののこぎり状部分920と、右側に位置した画素電極191ののこぎり状部分910は噛み合うように配置されている。また、互いに噛み合うのこぎり状部分910、920の対向する辺は互いに平行である。
のこぎり状部分910、920の数は、切開部91−92bによって分れる画素電極191領域の数または切開部の数と密接な関係があり、画素電極191領域の数及びのこぎり状部分910、920の数は、画素電極191の大きさ、画素電極191の横辺と縦辺との長さの比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
接続ブリッジ83はゲート線121を横切り、ゲート線121を間に介在し反対側に位置するコンタクトホール183a、183bを介して維持電極線131の露出した部分と第1維持電極133aの自由端の露出した端部に接続している。維持電極133a、133bを始めとする維持電極線131は、接続ブリッジ83と共にゲート線121やデータ線171、または薄膜トランジスタの欠陥修理に使用できる。
接触補助部材81、82はそれぞれコンタクトホール181、182を介してゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179に接続している。接触補助部材81、82は、ゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179と外部装置との接着性を補完し、これらを保護する。
以下、図1、図3及び図4を参照して共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はブラックマトリクスとも言い、画素電極191の間の光漏れを防止する。遮光部材220は画素電極191と対向し、ほぼ長方形状である複数の開口部225を有する。遮光部材220のデータ線171と対応する部分221の幅(W)はデータ線171の幅とほぼ同一であり(ただし、表示板100、200の整列誤差を考慮できる)、遮光部材220は、データ線171の外に突出した噛み合うのこぎり状部分910、920の間の空間を遮る拡張部222を含む。遮光部材220は、薄膜トランジスタに対応する部分をさらに含むことが望ましい。
また、基板210上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191の列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略可能である。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体などからなり、共通電極270には複数の切開部71、72a、72b群が形成されている。
1つの切開部71−72b群は、1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、下部切開部72a及び上部切開部72bを含む。切開部71−72bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91−92bの間または切開部92a、92bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71−72bは画素電極191の下部切開部92aまたは上部切開部92bにほぼ平行に延びており、少なくとも1つの斜線部を含み、各斜線部には凹まれた少なくとも1つのノッチ(notch)7がある。切開部71−72bは、画素電極191の横中心線に対してほぼ反転対称をなす。
下部及び上部切開部72a、72bそれぞれは斜線部及び横部を含む。斜線部は大略画素電極191の上側辺または下側辺から左側辺に延びており、画素電極191の縦辺と重畳する。斜線部の対向する長い辺は大略画素電極191突出部の第1及び第2斜辺911、912、921、922またはその延長線と会うか、またはその延長線上にある。横部は斜線部の各端から画素電極191の横辺に沿って横辺と重畳しながら延びており、斜線部と鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部及び一対の斜線部を含む。中央横部は概ね画素電極191の左側辺から画素電極191の横中心線に沿って右側に延びる。一対の斜線部は、中央横部の端から画素電極191の右側辺に向かって中央横部と鈍角をなしながら、それぞれ下部及び上部切開部72a、72bにほぼ平行に延びる。
また、切開部71−72bの数も設計要素によって異なり、遮光部材220が切開部71−72bと重畳して切開部71−72b付近の光漏れを遮断することができる。共通電極270上には絶縁物質からなり、2つの表示板100、200の間の間隔を一定に維持するための間隔材320が形成されている。
表示板100、200の内側面には配向膜11、21が塗布されており、これらは垂直配向膜であっても良い。表示板100、200の外側面には偏光子12、22が備えられており、2つの偏光子12、22の偏光軸は直交し、斜線切開部92a、92b及び切開部71−72bの斜線部とほぼ45°の角度をなすことが良い。反射型液晶表示装置の場合、2つの偏光子12、22のうちの1つが省略可能である。
本実施形態による液晶表示装置は、液晶層3の遅延を補償するための位相遅延膜(図示せず)をさらに含むことが望ましい。さらに、液晶表示装置は、偏光子12、22、位相遅延膜、表示板100、200及び液晶層3に光を供給する照明部(図示せず)を含むことが望ましい。
液晶層3は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子31は電場がない状態でその長軸が2つの表示板100、200の表面に対してほぼ垂直をなすように配向される。このため、入射光は直交偏光子12、22を通過できず遮断される。
共通電極270に共通電圧を印加し、画素電極191にデータ電圧を印加すれば、表示板100、200の表面にほぼ垂直である主電場が生成される(以下、画素電極191と共通電極270をひっくるめて電場生成電極という)。液晶分子31は電場に応答してその長軸が電場の方向に垂直をなすように方向を変えようとする。
図1及び図5に示すように、1つの切開部群71−72b、91−92bは画素電極191を複数の副領域に区画し、各副領域は画素電極191の第1主辺193、194と斜角をなす2つの主辺と、画素電極191の辺193−196の一部である副辺を有する。各副領域の主辺の1つは画素電極191の切開部91−92bの一辺とのこぎり状部分910、920の第2斜辺912、922が交わることにより構成されるか、あるいは面取りされた斜辺193c、194cで構成され、主辺のもう1つは共通電極270の切開部71−72bの斜線部の一辺単独で構成されるか、切開部71−72bの斜線部とのこぎり状部分910、920の第2斜辺912、922が交わることにより構成される。このため、各副領域の主辺の長さは互いに異なり、隣接した副領域の隣接した主辺が互いにずれている。各副領域の副辺の1つは画素電極191ののこぎり状部分910、920の第1斜辺911、921であり、135°より大きい角度で主辺と交わる。主辺は偏光子12、22の偏光軸と約45°をなし、これは光効率を最大にするためである。
ところが、主辺が副辺より極めて長く、副辺のうちの少なくとも1つは135°より大きい角度で主辺と交わるため、これら副領域上の主電場は、主辺に垂直な水平成分が主辺に平行な水平成分より極めて大きい。このため、各副領域上の液晶分子31は大部分主辺に垂直な方向に傾く。
各副領域上の液晶分子31は大部分主辺に垂直な方向に傾き、傾く方向は概ね4つの方向である。このように液晶分子31が傾く方向を多様にすることによって液晶表示装置の基準視野角が大きくなる。
図6に示すように、画素電極191の間の電圧差によって副次的に生成される副電場E1、E2の方向は、主に副領域の1つの副辺、つまり、のこぎり状部分910、920の第1斜辺911、921と垂直である。よって、副電場E1、E2の方向は主電場の水平成分方向と約15°より小さい角度をなす。結局、画素電極191の間の副電場は液晶分子31の傾斜方向の決定を強化する方向に作用する。
このように、画素電極191の横辺に切開部91−92b、71−72bと135°より大きい角度をなす斜辺911、921を有するのこぎり910、920を設けることで、画素電極191の縦辺195、196付近の主電場の水平成分方向及び副電場の方向を副領域中央の主電場の水平成分方向に近づけ、隣接する画素電極191の距離を短くして副電場の強さを強くすると、画素電極191ののこぎり状部分910、920付近に位置する液晶分子の傾斜方向が副領域中央の液晶分子の傾斜方向とほぼ一致し、のこぎり状部分910、920付近も有効表示領域として活用することができる。
これにより、のこぎり状部分910、920を設けない時に比べて有効表示領域が広くなり透過率が向上し、共通電極270の切開部71−72bに画素電極191の縦辺と重畳する部分を設けなくて済み、開口率が向上する。
一方、画素電極191の切開部のうちの斜線切開部に位置する液晶分子については、配向方向を速やかに決定できずテクスチャーが発生する可能性があるが、斜線方向に延びる第3及び第4維持電極133c、133dがこの部分の液晶を制御する制御用電極として作用し、斜線切開部92a、92bの中央部で発生するテクスチャーを減少させることができる。
切開部71−72b、91−92bの幅は約9μm〜約12μmであることが望ましい。
共通電極270の切開部71−72bのノッチ7は切開部71−72b上に位置した液晶分子31の傾斜方向を決定する。ノッチ7は画素電極191の切開部91−92bに形成しても良い。
切開部71−72b、91−92b及びノッチ7の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
少なくとも1つの切開部71−72b、91−92bは、突起(図示せず)や陥没部(図示せず)で代替しても良い。突起は有機物または無機物からなることが望ましく、電場生成電極191、270の上または下に配置される。
図7は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図8は、図7の液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図9は、図7の液晶表示装置用共通電極表示板の配置図であり、図10は、図7の液晶表示装置のX-X線に沿った断面図である。
図7〜図10に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200及びこれら2つの表示板100、200の間に挟持された液晶層3を備える。
まず、図7、図8及び図10を参照して薄膜トランジスタ表示板100について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数のゲート線121及び複数の維持電極線131が形成されている。
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に図7横方向に延びている。各ゲート線121は上方に突出した複数のゲート電極124と他の層または外部駆動回路との接続のために広い端部129を有する。維持電極線131は所定の電圧の印加を受け、ゲート線121にほぼ平行に延びる。各維持電極線131は、隣接した2つのゲート線121の間に位置し、2つのゲート線121とほぼ同一の距離を置く。維持電極線131は下上に拡張した維持電極137を含む。しかし、維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート線121及び維持電極線131の側面は基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は約30〜80°であることが望ましい。
ゲート線121及び維持電極線131上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には水素化非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる複数の島状半導体154が形成されている。半導体154はゲート電極124上に位置し、ゲート線121の境界を覆う延長部(extension)を含む。半導体154上には複数の島状オーミック接触部材163、165が形成されている。オーミック接触部材163、165はリンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなるか、シリサイドからなることが望ましい。オーミック接触部材163、165は対をなして半導体154上に配置されている。
半導体154とオーミック接触部材163、165の側面も基板110面に対して傾斜しており、その傾斜角は30〜80°の範囲である。
オーミック接触部材163、165及びゲート絶縁膜140上には複数のデータ線171及び複数のドレイン電極175が形成されている。
データ線171はデータ電圧を伝達し、主に図7の縦方向に延びてゲート線121及び維持電極線131と交差する。各データ線171はゲート電極124に向かって延びた複数のソース電極173と他の層または外部駆動回路との接続のために広い端部179を有する。ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する。各ドレイン電極175は広い面積の一端部177と棒状の他端部を有する。棒状端部はU字状に形成されたソース電極173に一部囲まれている。
データ線171及びドレイン電極175もその側面が基板110面に対して30〜80°の角度で傾斜していることが望ましい。
オーミック接触部材163、165はその下部の半導体154とその上のデータ線171及びドレイン電極175の間にのみ存在し、接触抵抗を低くする。
データ線171、ドレイン電極175及び露出した半導体154部分上には保護膜180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などからなり、表面が平坦化しても良い。
保護膜180にはデータ線171の端部179とドレイン電極175をそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール182、185が形成され、保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出させる複数のコンタクトホール181が形成されている。
保護膜180上には複数の画素電極191及び複数の接触補助部材81、82が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、または銀合金などの反射性金属からなることが望ましい。
画素電極191はコンタクトホール185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続しており、ドレイン電極175からデータ電圧の印加を受ける。画素電極191は維持電極137を始めとする維持電極線131と重畳する。
各画素電極191は互いに対向する一対の第1主辺193、194と、これら第1主辺193、194に接続しており、複数ののこぎり状部分90とこののこぎり状部分90との間を接続する底辺90cを含む第2主辺を有する。ここで、のこぎり状部分90は第1主辺193、194に対して傾斜した第1斜辺90aと第2斜辺90d、及び第1斜辺90aと第2斜辺90dの間を接続する上辺90bを有する。第1主辺193、194はゲート線121に平行である。第1主辺193、194と第2主辺はほぼ長方形をなし、画素電極191の4つの角は面取りされてゲート線121に対して約45°の角度をなす。
第1斜辺90aはデータ線171と一部分が重畳し、隣接する2つの画素電極191の第1斜辺90aは互いに対向し、平行となっている。
画素電極191には第1及び第2中央切開部91、92、下部斜線切開部93a、94a、95a及び上部斜線切開部93b、94b、95bが形成され、画素電極191はこの切開部91〜95bにより複数の副領域に分割される。切開部91〜95bは維持電極線131に対してほぼ反転対称をなす。下部及び上部斜線切開部93a〜95a、93b〜95bはほぼ画素電極191の右側辺から左側辺、上側辺または下側辺に斜めに延びている。下部及び上部斜線切開部93a〜95a、93b〜95bは、維持電極線131に対して下半部と上半部にそれぞれ位置している。下部及び上部斜線切開部93a〜95a、93b〜95bはゲート線121に対して約45°の角度をなし、互いに垂直に延びている。下部及び上部斜線切開部93a〜95a、93b〜95bは画素電極191の左側辺または右側辺に入口を有し、入口は凹部90cに接続することが望ましい。
第2主辺ののこぎり90を構成する第1斜辺90aは、画素電極191の斜線切開部93a〜95a、93b〜95bと鈍角をなし、第2斜辺90dは斜線切開部93a〜95a、93b〜95bにほぼ平行である。
第1中央切開部91は、維持電極線131に沿って延びており、左辺側に入口を有する。そして、第2中央切開部92は多角形で画素電極191の左側辺に位置した上下の角が突き出されている。
これにより、画素電極191の下半部は下部切開部93a〜95aによって4個の領域に分割され、上半部も上部切開部92b〜95bによって4個の領域に分割される。この時、領域の数または切開部の数は、画素の大きさ、画素電極の横辺と縦辺との長さ比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
接触補助部材81、82はコンタクトホール181、182を介して各々ゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179に接続している。
以下、図7、図9及び図10を参照して、共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はデータ線171に対応する線状部分221、一部分が拡張された拡張部222と薄膜トランジスタに対応する面状部分223を有し、画素電極191の間の光漏れを防止し、画素電極191と対向する開口領域を定義する。しかし、遮光部材220は画素電極191と対向し画素電極191とほぼ同一形状である複数の開口部(図示せず)を有することが望ましい。
また、基板210上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略可能である。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体などからなる。
共通電極270には複数の切開部71、72a、72b、73a、73b、74a、74b、75が形成されている。
1つの切開部群71〜75は、1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、第1〜第3下部斜線切開部72a、73a、74a、第1〜第3上部斜線切開部72b、73b、74b及び接続部75を有する。切開部71〜74bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91、92、93a、93b、94a、94b、95a、95bの間または切開部91、92、93a、93b、94a、94b、95a、95bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71〜74bは、画素電極191の下部切開部93a、94a、95aまたは上部切開部93b、94b、95bに平行に延びた少なくとも1つの斜線部を含む。
第1下部及び第1上部斜線切開部72a、72bはほぼ画素電極191の右側辺から画素電極191の左側辺に延びており、第2下部及び第2上部斜線切開部73a、73bは画素電極191の右側辺から画素電極191の左上また左下角に延びている。そして、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bは画素電極191の右側辺から画素電極191の上側辺または下側辺に延びており、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bの各端から画素電極191の辺に沿って重畳しながら延びた縦断横部を含む。縦断横部は斜線切開部74a、74bと鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部、一対の斜線部を含む。中央横部はほぼ画素電極191の右側辺から維持電極線131に沿って左側に延びており、一対の斜線部は中央横部の端から画素電極191の左側辺に向かって各々下部及び上部斜線切開部72a〜74bにほぼ平行に延びる。
中央切開部71のうちの斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2下部切開部73aの一端、中央切開部71の他の斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2上部切開部73bの一端、第1下部斜線切開部72aの一端と隣り合う画素電極の第3下部斜線切開部74aの一端、及び第1上部斜線切開部72bの一端と隣り合う画素電極の第3上部斜線切開部74bの一端はそれぞれ接続部75に接続している。接続部75は画素電極191の第1斜辺90aに平行であり、データ線171と対応する部分に位置する。接続部75の幅は画素電極191と画素電極191の間の間隔より約8μm広く、遮光部材220の拡張部222は接続部75と対応し他の部分より幅が広いことが望ましい。
このように、画素電極191の辺のうちデータ線171と隣接する辺をのこぎり状に形成することで、図1〜図4を用いて実施形態について説明したように、隣接する画素電極191の間に形成される副電場は、副領域の液晶の配向を強化する方向に作用する。また、隣接する2つの画素電極191の第1斜辺90aが対向する領域と対応する位置に接続部75を設けることで、副領域の液晶の配向を一段と強化することができる。
このような効果に関して図11及び図12を参照して説明する。
図11は、図6のXI-XI線に沿った断面図であり、図12は、図7のXII-XII線に沿った断面図である。
図11に示すように、画素電極191と共通電極270の間に形成される電場は、隣接する画素電極191の境界部で副領域の液晶の均一な配向を妨害する方向の副電場を有する。このため、副領域内部で液晶の衝突が生じ、液晶の配向が乱れる可能性がある。
しかし、本発明の実施形態のように、2つの画素電極191の第1斜辺90aが互いに対向する領域と対応する位置に接続部75を形成すれば、図12に示すように、共通電極270の接続部75によって共通電極270と画素電極191の間に形成される電場の方向が変化し、副領域の液晶の均一な配向を強化する方向の副電場が形成される。これにより、図11のような液晶衝突が発生せず、テクスチャーが減少する。
なお、各切開部71〜74bには一定の距離を置いて規則的に配置された複数の凹んだノッチ7を有することが望ましい。
切開部71〜75の数及び方向は、設計要素によって異なる。
表示板100、200の内側面には配向膜11、21が塗布され、これらは垂直配向膜であっても良い。表示板100、200の外側面には偏光子(図示せず)が設けられており、2つの偏光子の透過軸は直交し、そのうちの一透過軸はゲート線121に対して平行であることが望ましい。反射型液晶表示装置の場合、2つの偏光子のうちの1つは省略可能である。
液晶表示装置は、偏光子、表示板100、200及び液晶層3に光を供給する照明部(図示せず)を含むことが望ましい。
液晶層3は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子は電場がない状態でその長軸が2つの表示板100、200の表面に対して垂直をなすように配向されている。このため、入射光は直交偏光子を通過できず遮断される。
前述した実施形態は、以下に示す実施形態にも同様に適用できる。
以下、本発明の他の実施形態による液晶表示装置について図13及び図14を参照して詳細に説明する。
図13は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図14は、図13の液晶表示装置のXIV-XIV線に沿った断面図である。
図13及び図14に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示装置も互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200、これら表示板100、200の間に挟持された液晶層3、及び表示板100、200の外面に付着された一対の偏光子12、22を含む。
本実施形態による表示板100、200の層状構造は、概ね図1〜図4に示すものと同様である。
薄膜トランジスタ表示板100について、基板110上に複数のゲート線121及び複数の維持電極線131が形成されている。ゲート線121は複数のゲート電極124と端部129を含み、維持電極線131は複数の維持電極133a−133d及び複数の接続部133eを含む。ゲート線121及び維持電極線131上にはゲート絶縁膜140、突出部154を含む複数の線状半導体151、突出部163を含む複数の線状オーミック接触部材161及び複数の島状オーミック接触部材165が順に形成されている。
オーミック接触部材161、165上には、ソース電極173及び端部179を含む複数のデータ線171、複数のドレイン電極175及び複数の孤立金属片178が形成され、その上に保護膜180が形成されている。保護膜180及びゲート絶縁膜140には複数のコンタクトホール181、182、183a、183b、185が形成されている。保護膜180上には切開部91−92bを有する複数の画素電極191、複数の接続ブリッジ83及び複数の接触補助部材81、82が形成され、その上には配向膜11が形成されている。
共通電極表示板200については、遮光部材220、複数のカラーフィルタ230、オーバーコート膜250、切開部71−72bを有する共通電極270及び配向膜21が絶縁基板210上に形成されている。
しかし、図1〜図4に示した液晶表示装置と異なって、線状半導体151はデータ線171、ドレイン電極175及びその下のオーミック接触部材161、165と実質的に同一の平面形状である。しかし、線状半導体151には、ソース電極173とドレイン電極175の間を始めとするデータ線171及びドレイン電極175で覆われず露出した部分がある。
また、孤立金属片178の下にも孤立金属片178と実質的に同一の平面形状のオーミック接触部材(図示せず)及び島状半導体(図示せず)が形成されている。
このような薄膜トランジスタ表示板100は、データ線171、ドレイン電極175及び金属片178と半導体151及びオーミック接触部材161、165を1回のフォトエッチング工程で形成することによって製造する。
即ち、ゲート絶縁膜140上に半導体層、オーミック接触層、データ金属層を連続蒸着し、その上に位置によって厚さが異なる感光膜を形成した後、これをエッチングマスクとして半導体層、オーミック接触層、データ金属層をエッチングすることによって、図13及び図14に示す薄膜トランジスタ表示板を製造する。
ここで、位置によって厚さが異なる感光膜は厚さが薄くなる順に第1部分と第2部分を有し、第1部分はデータ線171、ドレイン電極171及び金属片178が占める配線領域に位置し、第2部分は薄膜トランジスタのチャンネル領域に位置する。
位置によって感光膜の厚さを異ならせる方法としては、例えば、光マスクに透光領域及び遮光領域の他に半透明領域を設ける方法などがある。半透明領域にはスリットパターン、格子パターン、または透過率が中間であるか、厚さが中間である薄膜が含まれる。スリットパターンを使用する場合には、スリットの幅やスリットの間の間隔が写真工程に使用する露光器の分解能より小さいのが良い。他の例としては、リフローが可能な感光膜を使用する方法がある。即ち、透光領域と遮光領域のみを有する通常の露光マスクでリフロー可能な感光膜を形成した後、リフローさせて感光膜が残留しない領域に流れるようにして薄い部分を形成する方法である。
このような感光膜をエッチングマスクとしてデータ金属層、抵抗性接触層及び半導体層を連続エッチングしてデータ配線の大略の形状を形成する。次に、感光膜をアッシングして第2部分を除去し、残った第1部分をエッチングマスクとして露出したデータ金属層と抵抗性接触層をエッチングすることによって薄膜トランジスタのチャンネル部を形成する。
このようして1回のフォト工程を減らすことができ、製造方法が簡単になる。
図1〜図12に示した液晶表示装置の多くの特徴は、図13及び図14に示す液晶表示装置にも適用できる。
以下、図15を参照して本発明の他の実施形態による液晶表示装置について詳細に説明する。
図15は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置を示し、図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図15に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100と共通電極表示板200、これら表示板100、200の間に挟持された液晶層3、及び表示板100、200外面に付着された一対の偏光子12、22を備える。
本実施形態による表示板100、200の層状構造は概ね図1〜図4に示したものと同様である。
薄膜トランジスタ表示板100については、基板110上に複数のゲート線121及び複数の維持電極線131が形成されている。ゲート線121は複数のゲート電極124と端部129を含み、維持電極線131は複数の維持電極133a−133d及び複数の接続部133eを含む。ゲート線121及び維持電極線131上には、ゲート絶縁膜140、突出部154を含む複数の線状半導体151、突出部163を含む複数の線状オーミック接触部材161及び複数の島状オーミック接触部材165が順次に形成されている。オーミック接触部材161、165及びゲート絶縁膜140上には、ソース電極173及び端部179を含む複数のデータ線171、複数のドレイン電極175及び複数の孤立金属片178が形成され、その上に保護膜180が形成されている。保護膜180及びゲート絶縁膜140には複数のコンタクトホール181、182、183a、183b、185が形成されている。保護膜180上には切開部91−92bを有する複数の画素電極191、複数の接続ブリッジ83及び複数の接触補助部材81、82が形成され、その上には配向膜11が形成されている。
共通電極表示板200については、遮光部材220、オーバーコート膜250、切開部71−72bを有する共通電極270及び配向膜21が絶縁基板210上に形成されている。
しかし、図1〜図4に示した液晶表示装置と異なって、共通電極表示板200にカラーフィルタがなく、その代わりに薄膜トランジスタ表示板100の保護膜180下部に複数のカラーフィルタ230が形成されている。
カラーフィルタ230は画素電極191の列に沿って帯状に縦に長く延びており、隣接した2つのカラーフィルタ230の境界はデータ線171上で一致する。しかし、カラーフィルタ230は互いに離れているか、互いに重畳して画素電極191の間の光漏れを防止する遮光部材の役割を果たすことができる。カラーフィルタ230が互いに重畳する場合、共通電極表示板200上の遮光部材220を省略しても良い。
カラーフィルタ230にはコンタクトホール185が通過する貫通孔235が形成されており、貫通孔235はコンタクトホール185より大きい。ゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179が位置した周辺領域にはカラーフィルタ230が存在しない。
図15示した液晶表示装置は、図1〜図14に示した液晶表示装置と多くの特徴を共有する。
一方、画素電極を2つに分離して互いに異なる電圧を印加する構造の液晶表示装置にも本発明の実施形態の特徴を適用できる。
図16は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図17は、図16の液晶表示装置用薄膜トランジスタ表示板用薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図18は、図16の液晶表示装置用共通電極表示板の配置図であり、図19及び図20は、各々図16の液晶表示装置のXIX-XIX線及びXX-XX線に沿った断面図である。
本実施形態による液晶表示装置は、薄膜トランジスタ表示板100、共通電極表示板200、これら2つの表示板100、200の間に挟持された液晶層3を備える。
まず、図16、図17、図19及び図20を参照して薄膜トランジスタ表示板100について詳細に説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数のゲート線121と複数の維持電極線131が形成されている。
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に図の横方向に延びている。各ゲート線121は下上に突出した複数のゲート電極124と他の層または外部駆動回路との接続のための広い端部129を有する。維持電極線131は所定の電圧の印加を受け、ゲート線121にほぼ平行に延びた幹線と、これから分かれた複数の第1、第2、第3及び第4維持電極133a、133b、133c、133d群及び複数の接続部133eを含む。維持電極線131それぞれは、隣接した2つのゲート線121の間に位置し、幹線は2つのゲート線121のうちの上側に近い。
第1及び第2維持電極133a、133bは図の縦方向に延びて互いに対向する。第1維持電極133aは幹線に接続している固定端とその反対方向の自由端を有し、自由端は突出部を含む。第3及び第4維持電極133c、133dはほぼ第1維持電極133aの中央から第2維持電極133bの下端及び上端まで斜めに延びている。接続部133eは、隣接した維持電極133a-133d群の間に接続している。しかし、維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート線121及び維持電極線131の側面は基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は約30〜80°であることが望ましい。
ゲート線121及び維持電極線131上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には水素化非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる複数の線状半導体151が形成されている。線状半導体151は主に図の縦方向に延びており、ゲート電極124に向かって延びた複数の突出部154を含む。線状半導体151はゲート線121及び維持電極線131付近で幅が広くなり、これらを幅広く覆っている。
半導体151上には複数の線状及び島状オーミック接触部材161、165が形成されている。オーミック接触部材161、165は、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で構成されたシリサイドからなることが望ましい。線状オーミック接触部材161は複数の突出部163を有し、この突出部163と島状オーミック接触部材165は対をなし半導体151の突出部154上に配置されている。
また、半導体151とオーミック接触部材161、165の側面も基板110面に対して傾斜しており、傾斜角は30°〜80°程度である。
オーミック接触部材161、165及びゲート絶縁膜140上には、複数のデータ線171と複数のドレイン電極175及び複数の孤立した金属片178が形成されている。
データ線171はデータ電圧を伝達し、主に図の縦方向に延びてゲート線121、維持電極線131の幹線及び接続部133eと交差する。各データ線171はゲート電極124に向かって延びC字状に曲がった複数のソース電極173と他の層または外部駆動回路との接続のための広い端部179を有する。ドレイン電極175はデータ線171と分離され、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する棒状部分と棒状部分から延びた容量性結合電極176を含む。各ドレイン電極175の棒状部分はソース電極173に一部囲まれ、容量性結合電極176は互いに接続しており、第3及び第4維持電極133c、133dにそれぞれ平行な2つの斜線部176a、176bを有する。
金属片178は第1維持電極133a付近のゲート線121上に位置する。
また、データ線171とドレイン電極175及び金属片178は、その側面が基板110面に対して30°〜80°程度の角度で傾斜していることが望ましい。
オーミック接触部材161、165は、その下の半導体151とその上のデータ線171及びドレイン電極175の間にのみ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。大部分の所では線状半導体151がデータ線171より狭いが、既に説明したように、ゲート線121と交わる部分で幅が広くなり、表面の段差形状をゆるやかに形成することで、データ線171が断線することを防止する。半導体151にはソース電極173とドレイン電極175の間のように、データ線171及びドレイン電極175で覆われず露出した部分がある。
データ線171、ドレイン電極175、金属片178及び露出した半導体151部分上には保護膜180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などからなり、表面を平坦化することも可能である。保護膜180にはデータ線171の端部179とドレイン電極175をそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール182、185が形成され、保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出させる複数のコンタクトホール181、第1維持電極133aの自由端の突出部を露出させる複数のコンタクトホール183a、そして、第1維持電極133aの固定端付近の維持電極線131の一部を露出させる複数のコンタクトホール183bが形成されている。コンタクトホール181、182、183a、183b、185は、多角形または円形など様々な形状とすることができる。コンタクトホール181、182、183a、183b、185の側壁は30°〜85°の角度で傾斜しているか、階段状であることが望ましい。
保護膜180上には第1及び第2副画素電極191a、191bを含む複数の画素電極191、複数の接続ブリッジ83及び複数の接触補助部材81、82が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属からなることが望ましい。
第1副画素電極191aは、コンタクトホール185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続しており、ドレイン電極175からデータ電圧の印加を受ける。
第1副画素電極191aと第2副画素電極191bは間隙92を介在して互いに分離されており、間隙92は左側辺から右側辺に斜めに延びた斜線部と、斜線部を連結する縦部を有する。斜線部はゲート線121に対して約45°の角度をなす。
間隙92によって分割された副画素電極191a、191bのうちの第1副画素電極191aは、第2副画素電極191bを中心に上部及び下部に位置し、第2副画素電極191bを囲み、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aの二部分の間に挟まれた形態である。第1副画素電極191aと第2副画素電極191bは互いに対向し、ゲート線121に対して45°傾いた辺を有しており、画素電極191の仮想の横中心線に対して反転対称構造を有する。
第2副画素電極191bは中央切開部91を有し、中央切開部91は横中心線に沿って延びており、右辺側に入口を有する。中央切開部91の入口は間隙92に平行な一対の斜辺を有する。
ここで、第1副画素電極191aそれぞれはコンタクトホール185を介してドレイン電極175に接続しており、これから直接データ電圧の印加を受けるのに対し、第2副画素電極191bは第1画素電極191aに接続している容量性結合電極176と重畳する。よって、第2画素電極191bは第1画素電極191aに電磁気的に結合(容量性)されている。
画素電極191は間隙92及び中央切開部91によって4つの領域に分割される。
図5及び図16に示すように、各画素電極191は互いに対向する一対の第1主辺193、194とこれに接続している一対の第2主辺195、196を有する。第1主辺193、194はゲート線121にほぼ平行であり、第2主辺195、196はデータ線171にほぼ平行な内側及び外側の包絡線を有し、第1主辺193、194と第2主辺195、196の内側または外側の包絡線は概ね長方形をなす。画素電極191の左側角は面取りされて斜辺193c、194cをなし、面取りされた斜辺193c、194cはゲート線121に対して約45°をなす。
画素電極191の第2主辺195、196は、内側の包絡線951、961上に位置する複数の縦線分915、925と、これから外側に突出した複数ののこぎり状部分910、920を有し、画素電極191の横中心線に対してほぼ対称である。
各々ののこぎり状部分910、920は互いに対向する第1斜辺911、921及び第2斜辺912、922、並びにこれらを連結し外側の包絡線952、962上に位置する上辺913、923を有する。第1斜辺911、921は縦線分915、925と約135°より大きい鈍角をなしながら交わり、第2斜辺912、922は縦線分915、925と約45゜の角度をなし、第1斜辺911、921と第2斜辺912、922の延長線は約45゜より小さい鋭角をなしながら互いに交わる。また、第2斜辺912、922は間隙92と実質的に平行で間隙92の延長線上にあり、第1斜辺911、921は間隙92と約45°より小さい角度、または135°より大きい角度をなす。
のこぎり状部分910、920の上部、つまり、上辺913、923付近はデータ線171と重畳し、データ線171を中心に左側に位置した画素電極191の右側辺196ののこぎり状部分920と右側に位置した画素電極191ののこぎり状部分910は噛み合うように配置されている。また、互いに噛み合うのこぎり状部分910、920の対向する辺は互いに平行である。
のこぎり状部分910、920の数は、切開部及び間隙91、92によって分割される画素電極191領域の数または切開部の数と密接な関係があり、画素電極191領域の数及びのこぎり状部分910、920の数は、画素電極191の大きさ、画素電極191の横辺と縦辺との長さの比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
また、画素電極191は、隣接するゲート線121またはデータ線171と重なって開口率を向上させることができる。
接続ブリッジ83はゲート線121を横切り、ゲート線121を間に介在して反対側に位置するコンタクトホール183a、183bを介して維持電極線131の露出した部分と第1維持電極133aの自由端の露出した端部に接続している。維持電極133a、133bを始めとする維持電極線131は、接続ブリッジ83と共にゲート線121やデータ線171、または薄膜トランジスタの欠陥修理に使用できる。
接触補助部材81、82はそれぞれコンタクトホール181、182を介してゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179に接続している。
以下、図16、図18、図19及び図20を参照して、共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220は画素電極191と対向し、ほぼ長方形状の複数の開口部225を有する。遮光部材220のデータ線171と対応する部分221の幅はデータ線171の幅とほぼ同一であり(ただし、表示板100、200の整列誤差を考慮できる)、遮光部材220はデータ線171の外側に突出した噛み合うのこぎり状部分910、920の間の空間を遮る拡張部222を有する。遮光部材220は薄膜トランジスタに対応する部分をさらに含むことが望ましい。
また、基板210上には複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は、遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191の列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略可能である。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体などからなり、共通電極270には複数の切開部71、72a、72b群が形成されている。
共通電極270は複数組の切開部71、72a、72b群を有する。
1つの切開部71−72b群は1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、下部切開部72a及び上部切開部72bを含む。切開部71−72bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91−92bの間、または切開部92a、92bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71−72bは画素電極191の下部切開部92aまたは上部切開部92bにほぼ平行に延びており、少なくとも1つの斜線部を有する。切開部71−72bは画素電極191の横中心線に対してほぼ反転対称をなす。
下部及び上部切開部72a、72bそれぞれは斜線部及び横部を含む。斜線部はほぼ画素電極191上側辺または下側辺から左側辺に延びており、画素電極191の縦辺と重畳する。斜線部の対向する長い辺は、ほぼ画素電極191ののこぎり状部分の第1及び第2斜辺911、912、921、922、またはその延長線と交わるか、その延長線上に位置する。横部は斜線部の各端から画素電極191の横辺に沿って横辺と重畳しながら延びており、斜線部と鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部及び一対の斜線部を含む。中央横部はほぼ画素電極191の左側辺から画素電極191の横中心線に沿って右側に延びる。一対の斜線部は、中央横部の端から画素電極191の右側辺に向かって中央横部と鈍角をなしながら、それぞれ下部及び上部切開部72a、72bにほぼ平行に延びる。
また、切開部71−72bの数は設計要素によって異なり、遮光部材220が切開部71−72bと重畳して切開部71−72b付近の光漏れを遮断することができる。
共通電極270上には絶縁物質からなり、2つの表示板100、200の間の間隔を一定に維持するための間隔材(図示せず)が形成されている。
遮光部材220は切開部71、72a、72bと重畳して切開部71、72a、72b付近の光漏れを遮断することができる。本実施形態で、容量性結合電極176の斜線部176a、176bが切開部71、72a、72bと重畳して切開部71、72a、72b付近の光漏れを遮断する。
この時、画素電極191ののこぎり状部分910、920の傾斜角は、共通電極270の中央切開部71の斜線部の傾斜角より1°〜15°さらに大きく形成してもよい。表示板100、200の内側面には垂直配向膜11、21がそれぞれ塗布されており、外側面には偏光子12、22が配置されている。
共通電極270に共通電圧を印加し、画素電極191にデータ電圧を印加すると、表示板の表面にほぼ垂直な電場が生成される。液晶分子310は電場に応答してその長軸が電場の方向に垂直をなすように方向を変えようとする。一方、共通電極270及び画素電極191の切開部71、72a、72b、91、92a、92bと画素電極191aの斜辺は、電場を歪ませて液晶分子の傾斜方向を決定する水平成分を形成する。電場の水平成分は切開部71、72a、72b、91、92a、92bの辺と画素電極191aの斜辺に垂直である。また、切開部71、72a、72b、91、92a、92bの対向する2つの辺の主電場の水平成分は互いに逆方向である。
このような電場を通じて切開部71、72a、72b、91、92a、92bは液晶層3の液晶分子が傾く方向を制御する。隣接する切開部71、72a、72b、91、92a、92bによって定義されるか、切開部72a、72bと副画素電極191a、191bの右側及び左側の斜辺によって定義される各ドメイン内にある液晶分子は、切開部71、72a、72b、91、92a、92bの長さ方向に対して垂直をなす方向に傾く。各ドメインの最長辺2つはほぼ平行であり、ゲート線121と約45°をなし、ドメイン内で液晶分子の大部分は4つの方向に傾き、これによって視野角が拡張される。
また、画素電極191a、191bの辺のうちのデータ線171と隣接する辺をのこぎり状に形成すると、図1〜図4を用いて前記した実施形態で説明したように、隣接する画素電極の間に形成される副電場は副領域の液晶の配向を強化できる。
切開部71、72a、72b、91、92a、92bの幅は約9μm〜約12μmであることが望ましい。
少なくとも1つの切開部71、72a、72b、91、92a、92bは突起(図示せず)や陥没部(図示せず)で代替しても良い。突起は有機物または無機物からなることが望ましく、電場生成電極191a、191b、270の上または下に配置すると良く、その幅は約5μm〜約10μmであることが望ましい。
一方、液晶分子31の傾斜方向と偏光子12、22の透過軸が45°をなすとき最高輝度が得られ、本実施形態では全ドメインの液晶分子31の傾斜方向がゲート線121と45°をなし、ゲート線121は表示板100、200の周縁と垂直または水平である。よって、本実施形態で、偏光子12、22の透過軸を表示板100、200の周縁に対して垂直または平行になるように付着すると最高輝度が得られると共に偏光子12、22を安価で製造することができる。
このような本発明の実施形態による液晶表示装置について、前述したように、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aに電磁気的に結合(容量性結合)されている。第1画素電極191aはドレイン電極175を介して薄膜トランジスタ(Q)に直接接続され薄膜トランジスタによってデータ線171を通じて伝達される画像信号電圧の印加を受けるのに対し、第2副画素電極191bの電圧は第1副画素電極191aとの容量性結合に変わる。本実施形態で第2副画素電極191bの電圧は、第1副画素電極191aの電圧に比べて絶対値が常に低い。
このような容量性結合構造は以下のような構造を有することが望ましい。
図21は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図22は、図21の液晶表示装置のXXII-XXII線に沿った断面図であり、図24は、図21に示した液晶表示装置の1つの画素に対する概略的な等価回路図である。
図21〜図24に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、薄膜トランジスタ表示板100、共通電極表示板200、及びこれら2つの表示板100、200の間に挟持された液晶層3を備える。
以下、薄膜トランジスタ表示板100について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数のゲート線121、複数の維持電極線131及び複数の容量電極136を有する複数のゲート導電体が形成されている。
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に図21の横方向に延びている。各ゲート線121は、上方に突出した複数のゲート電極124と他の層または外部駆動回路との接続のための広い面積を有する端部129を有する。維持電極線131は所定の電圧の印加を受け、ゲート線121にほぼ平行に延びた下部及び上部幹線(stem)131a1、131a2を含む。各維持電極線131は隣接した2つのゲート線121の間に位置し、下部幹線131a1は、2つのゲート線121のうちの下側に近く、上部幹線131a2は上側に近い。下部及び上部幹線131a1、131a2はそれぞれ下上に拡張された下部及び上部維持電極137a1、137a2を含む。
容量電極136は横方向に長い長方形状であり、ゲート線121及び維持電極線131と分離されている。容量電極136は一対の下部及び上部維持電極137a1、137a2の間に位置し、2つの維持電極137a1、137a2とほぼ同一な距離を置いて配置され、隣接した2つのゲート線121ともほぼ同一な距離を置いて配置される。しかし、維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート導電体121、131、136の側面は基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は約30°〜約80°であることが望ましい。
ゲート導電体121、131、136上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa-Siと略称する)または多結晶シリコンなどからなる複数の島状半導体154が形成されている。半導体154はゲート電極124上に位置し、ゲート線121の境界を覆う延長部を有する。また、維持電極線131の境界を覆う別途の島状半導体が形成されてもよい。
半導体154上には複数の島状オーミック接触部材163、165が形成されている。オーミック接触部材163、165はリンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなるか、シリサイドからなることが望ましい。オーミック接触部材163、165は対をなして半導体154上に配置されている。
半導体154とオーミック接触部材163、165の側面も、基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は30°〜80°程度である。
オーミック接触部材163、165及びゲート絶縁膜140上には複数のデータ線171と複数のドレイン電極175を含むデータ導電体が形成されている。
データ線171はデータ信号を伝達し、主に図21の縦方向に延びてゲート線121及び維持電極線131と交差する。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延びた複数のソース電極173と他の層または外部駆動回路との接続のための面積が広い端部179を含む。ドレイン電極175はデータ線171と分離され、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する棒状端部を含む。棒状端部はU字状に曲がったソース電極173に一部囲まれている。
また、各ドレイン電極175は、下部、上部及び中央拡張部177a1、177a2、176及びこれらを接続する一対の接続部178a1、178a2を含む。拡張部177a1、177a2、176は横方向に長い長方形であり、接続部178a1、178a2は拡張部177a1、177a2、176の両側でこれらを互いに接続しており、データ線171にほぼ平行である。
下部及び上部拡張部177a1、177a2はそれぞれ下部及び上部維持電極137a1、137a2と重畳する。
中央拡張部176は容量電極136と重畳し、以下、中央拡張部176を結合電極という。結合電極176の右側端付近にはコンタクトホール176Hが形成されている。結合電極176は容量電極136の形状とほぼ同様に作製される。
データ導電体171、175、176はその側面が基板110面に対して30°〜80°程度の角度で傾斜していることが望ましい。
オーミック接触部材163、165は、その下の半導体154とその上のデータ導電体171、175の間にのみ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。ゲート線121上に位置した半導体154の延長部は、表面の段差形状をゆるやかに形成することによって、データ線171が断線することを防止する。半導体154はデータ線171、ドレイン電極175及びその下のオーミック接触部材161、165と実質的に同一の平面形状である。しかし、半導体154にはソース電極173とドレイン電極175の間のようにデータ導電体171、175で覆われず露出した部分がある。
データ導電体171、175及び露出した半導体154部分上には保護膜180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などからなり、表面を平坦化することができる。保護膜180にはデータ線171の端部179を露出させる複数のコンタクトホール182及びドレイン電極175の下部及び上部拡張部177a1、177a2をそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール185a1、185a2が形成されている。保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出する複数のコンタクトホール181及び結合電極176のコンタクトホール176Hを貫通して容量電極136を露出させる複数のコンタクトホール186が形成されている。
保護膜180上には複数の画素電極191及び複数の接触補助部材81、82が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属からなることが望ましい。
各画素電極191は、互いに対向する一対の第1主辺193、194と該第1主辺193、194に接続しており、複数ののこぎり状部分90とこののこぎり状部分90の間を接続する底辺90cを含む第2主辺を有する。ここでのこぎり状部分90は第1主辺193、194に対して傾いた第1斜辺90aと第2斜辺90d、及び第1斜辺90aと第2斜辺90dの間を接続する上辺90bを有する。第1主辺193、194はゲート線121に平行である。第1主辺193、194と第2主辺はほぼ長方形をなし、画素電極191の4つの角は面取りされてゲート線121に対して約45°の角度をなす。第1斜辺90aはデータ線171と一部が重畳し、隣接する2つの画素電極191の第1斜辺90aは互いに対向し、平行となっている。
各画素電極191は、下部及び上部間隙93a、93bを間に介在して分割された下部、上部及び中央副画素電極191a1、191a2、191bを含む。下部及び上部間隙93a、93bはほぼ画素電極191の左側辺から右側辺に斜めに延びており、このため、中央副画素電極191bは、ほぼ90°だけ回転した二等辺台形になり、下部及び上部副画素電極191a1、191a2はほぼ90°だけ回転した直角三角形になる。下部及び上部間隙93a、93bはゲート線121に対して約45°の角度をなし、互いに垂直である。
下部及び上部副画素電極191a1、191a2はそれぞれコンタクトホール185a1、185a2を介してドレイン電極175の下部及び上部拡張部177a1、177a2に接続している。
中央副画素電極191bはコンタクトホール186を介して容量電極136に接続し、結合電極176と重畳する。中央副画素電極191bと容量電極136は結合電極176と共に結合キャパシタを構成する。
中央副画素電極191bには中央切開部91及び第1上部及び下部斜線切開部92a、92bが形成され、下部副画素電極191a1には第2下部斜線切開部94aが形成され、上部副画素電極191a2には第2上部斜線切開部94bが形成されている。この切開部91、92a、92b、94a、94bは副画素電極191b、191a1、191a2を複数の副領域に区画する。切開部91、92a、92b、94a、94b及び間隙93a、93b(以下、間隙も切開部と称する)を含む画素電極191は容量電極136に対してほぼ反転対称をなす。
下部及び上部斜線切開部92a−94bは、ほぼ画素電極191の左側角、下側辺または上側辺から右側辺に斜めに延びている。下部及び上部斜線切開部92a−94bはゲート線121に対して約45°の角度をなし、互いに垂直に延びている。下部及び上部斜線切開部92a、92b、94a、94bは、画素電極191の左側辺または右側辺に入口を有し、入口は凹部90cに接続することが望ましい。
第2主辺ののこぎり状部分90をなす第1斜辺90aは画素電極191の斜線切開部92a〜94aと鈍角をなし、第2斜辺90dは斜線切開部92a−94bにほぼ平行である。
中央切開部91は維持電極線131に沿って延びており、左側辺に入口を有する。中央切開部91の入口は下部切開部92a〜94aと上部切開部92b〜94bにそれぞれほぼ平行な一対の斜辺を有する。
この時、切開部の数または領域の数は画素電極191a1、191a2、191bの大きさ、画素電極191a1、191a2、191bの横辺と縦辺との長さの比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
接触補助部材81、82はそれぞれコンタクトホール181、182を介してゲート線121の端部129及びデータ線171の端部179に接続している。
以下、共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はデータ線171に対応する線状部分221、一部分が拡張された拡張部222と薄膜トランジスタに対応する面状部分223を含み、画素電極191の間の光漏れを防止し、画素電極191と対向する開口領域を定義する。しかし、遮光部材220は画素電極191と対向し、画素電極191とほぼ同一形状である複数の開口部(図示せず)を有することが望ましい。
基板210上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191の列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略しても良い。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。
共通電極270には複数の切開部71、72a、72b、73a、73b、74a、74b、75が形成されている。
1つの切開部群71〜75は1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、第1〜第3下部斜線切開部72a、73a、74a、第1〜第3上部斜線切開部72b、73b、74b及び接続部75を含む。切開部71〜74bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91、92、93a、93b、94a、94b、95a、95bの間または切開部91、92、93a、93b、94a、94b、95a、95bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71〜74bは、画素電極191の下部切開部93a、94a、95aまたは上部切開部93b、94b、95bに平行に延びた少なくとも1つの斜線部を含む。
第1下部及び第1上部斜線切開部72a、72bはほぼ画素電極191の右側辺から画素電極191の左側辺に延びており、第2下部及び第2上部斜線切開部73a、73bは、画素電極191の右側辺から画素電極191の左側上または左側下の角に延びている。そして、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bは、画素電極191の右側辺から画素電極191の上側辺または下側辺に延びており、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bの各端から画素電極191の下側辺と上側辺に沿ってそれぞれ重畳しながら延びた縦断横部を含む。縦断横部は斜線切開部74a、74bと鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部、一対の斜線部を含む。中央横部はほぼ画素電極191の右側辺から維持電極線131に沿って左側に延びており、一対の斜線部は中央横部の端から画素電極191の左側辺に向かってそれぞれ下部及び上部斜線切開部72a〜74bにほぼ平行に延びる。
中央切開部71のうちの斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2下部切開部73aの一端、中央切開部71の他の斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2上部切開部73bの一端、第1下部斜線切開部72aの一端と隣り合う画素電極の第3下部斜線切開部74aの一端、及び第1上部斜線切開部72bの一端と隣り合う画素電極の第3上部斜線切開部74bの一端はそれぞれ接続部75に接続している。接続部75は、画素電極191の第1斜辺90aに平行であり、データ線171と対応する部分に位置する。接続部75の幅は画素電極191と画素電極191との間の間隔より約8μm程度広く、遮光部材220の拡張部222は接続部75と対応し他の部分より幅が広いことが望ましい。
そして、各切開部71〜74bには一定の距離を置いて規則的に配置された複数の凹んだノッチ7が形成されている。
表示板100、200の内側面には配向膜11、21が塗布されており、これらは垂直配向膜であっても良い。表示板100、200の外側面には偏光子(図示せず)を有しており、2つの偏光子の偏光軸は直交し、このうちの1つの偏光軸はゲート線121に対して平行であることが望ましい。反射型液晶表示装置の場合、2つの偏光子のうちの1つは省略してもよい。
本実施形態による液晶表示装置は、液晶層3の遅延値を補償するための位相遅延膜(図示せず)をさらに含むことが望ましい。位相遅延膜は複屈折性を有し、液晶層3の位相遅延を逆に補償する。
液晶表示装置は、偏光子、位相遅延膜、表示板100、200及び液晶層3に光を供給する照明部(図示せず)を備えることが望ましい。
液晶層3は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子は電場がない状態で、その長軸が2つの表示板の表面に対して垂直をなすように配向されている。このため、入射光は直交偏光子を通過できず遮断される。
図21〜図25に示した液晶表示装置において、維持電極線131、容量電極136、ドレイン電極175の拡張部177a1、177a2、176及び接続部178a1、178a2などの不透明部材と、切開部91−94b、71−75を有する画素電極191及び共通電極270などの透明部材が隣接した2つのゲート線121から等距離にある容量電極136を中心に対称に配置されている。このような液晶表示装置について図24を参照して説明する。
図24に示すように、液晶表示装置の1つの画素は薄膜トランジスタ(Q)、第1液晶キャパシタ(CLCa)及びストレージキャパシタ(CST)を含む第1副画素、第2液晶キャパシタ(CLCb)を含む第2副画素、並びに結合キャパシタ(Ccp)を有する。
第1液晶キャパシタ(CLCa)は一端子として下部副画素電極191a1及び上部副画素電極191a2を含み、他の一端子として共通電極270の当該部分を含み、2つの端子の間の液晶層3部分を誘電体として含む。これと同様に、第2液晶キャパシタ(CLCb)は一端子として中央副画素電極191bを含み、他の一端子として共通電極270の当該部分を含み、2つの端子の間の液晶層3部分を誘電体として含む。
ストレージキャパシタ(CST)は一端子としてドレイン電極175の下部及び上部拡張部177a1、177a2を含み、他の一端子として下部及び上部維持電極137a1、137a2を含み、2つの端子の間のゲート絶縁膜140部分を誘電体として含む。結合キャパシタ(Ccp)は一端子として中央副画素電極191bと容量電極136を含み、他の一端子として結合電極176を含み、2つの端子の間の保護膜180及びゲート絶縁膜140部分を誘電体として含む。
第1液晶キャパシタ(CLCa)とストレージキャパシタ(CST)は薄膜トランジスタ(Q)のドレインに接続しており、結合キャパシタ(Ccp)は薄膜トランジスタ(Q)と第2液晶キャパシタ(CLCb)の間に接続している。共通電極270には共通電圧(Vcom)が印加されるものであり、維持電極線131にも共通電圧(Vcom)を印加することもできる。
薄膜トランジスタ(Q)は、ゲート線121からのゲート信号に従ってデータ線171からのデータ電圧を第1液晶キャパシタ(CLCa)及び結合キャパシタ(Ccp)に印加し、結合キャパシタ(Ccp)は該電圧をその大きさを変えて第2液晶キャパシタ(CLCb)に伝達する。
維持電極線131に共通電圧(Vcom)が印加され、キャパシタ(CLCa、CST、CLCb、Ccp)とその静電容量を同じ図面符号で示す場合、第1液晶キャパシタ(CLCa)に充電された電圧(Va)と、第2液晶キャパシタ(CLCb)に充電された電圧(Vb)は次のような関係を有する。
Vb=Va[Ccp/(Ccp+CLCb)]
Ccp/(Ccp+CLCb)の値が1より小さいため、第2液晶キャパシタ(CLCb)に充電された電圧(Vb)は、第1液晶キャパシタ(CLCa)に充電された電圧(Va)より常に小さい。この関係は、維持電極線131の電圧が共通電圧(Vcom)でない場合にも同様に成立する。
このように、第1または第2液晶キャパシタ(CLCa、CLCb)の両端に電位差が生じると、表示板100、200の面にほぼ垂直な電場が液晶層3に生成される。すると液晶層3の液晶分子は電場に応答して、その長軸が電場の方向に垂直をなすように傾き、液晶分子が傾いた程度によって液晶層3を通過した光の偏光の変化程度が異なる。このような偏光の変化は偏光子12、22によって透過率の変化として表れ、これによって液晶表示装置は映像を表示する。
液晶分子が傾く角度は電場の強さによって異なるが、第1液晶キャパシタ(CLCa)の電圧(Va)と第2液晶キャパシタ(CLCb)の電圧(Vb)が互いに異なるため、第1副画素と第2副画素で液晶分子が傾く角度が異なり、このため、2つの副画素の輝度が異なる。よって、第1液晶キャパシタ(CLCa)の電圧(Va)と第2液晶キャパシタ(CLCb)の電圧(Vb)を適切に合せることによって側面から見る映像を正面から見る映像に最大に近づけることができ、その結果、側面視認性を向上させることができる。
第1液晶キャパシタ(CLCa)の電圧(Va)と第2液晶キャパシタ(CLCb)の電圧(Vb)との比率は、結合キャパシタ(Ccp)の静電容量を変化させて調整し、結合キャパシタ(Ccp)の静電容量は、第2副画素電極191b及び容量電極136と結合電極176の重畳面積と距離を調整することによって変更できる。例えば、容量電極136を除去し、結合電極176をその位置に配置すると結合電極176と第2画素電極191bの間の距離を遠くすることができる。第2液晶キャパシタ(CLCb)電圧(Vb)は、第1液晶キャパシタ(CLCa)電圧(Va)の0.6〜0.8倍であることが望ましい。
これに対し、第2液晶キャパシタ(CLCb)の電圧(Vb)を第1液晶キャパシタ(CLCa)の電圧(Va)より高くしてもよいが、これは、第2液晶キャパシタ(CLCb)を共通電圧などのような所定の電圧で事前充電することによって可能である。
第1副画素の下部及び上部画素電極191a1、191a2と第2副画素の中央画素電極191bとの面積比率は1:0.85〜1:1.15の範囲であることが望ましく、各副画素の副画素電極の数は変更しても良い。
また、画素電極191の辺のうちのデータ線171と隣接する辺をのこぎり状部分90と同様形状に形成することによって、隣り合う画素電極191の間に形成された副電場は、副領域の液晶の配向を強化する方向に形成される。また、隣り合う2つの画素電極191の第1斜辺90aが互いに対向する領域と対応する位置に接続部75を設けることで、副領域の液晶の配向を一段と強化することができる。
図25は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図26は、図25の液晶表示装置のXXVI-XXVI線に沿った断面図であり、図27は、図25の液晶表示装置のXXVII-XXVII線に沿った断面図である。
図25〜図27に示すように、本発明の一実施形態による液晶表示板組立体は、薄膜トランジスタ表示板100、共通電極表示板200、これら2つの表示板100、200の間に挟持された液晶層3を備える。
以下、薄膜トランジスタ表示板100について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数対の第1及び第2ゲート線121a、121bと複数の維持電極線131を含む複数のゲート導電体が形成されている。
第1及び第2ゲート線121a、121bはゲート信号を伝達し、主に横方向に延びており、それぞれ維持電極線131の上側及び下側に位置する。
第1ゲート線121aは下方に突出した複数の第1ゲート電極124aと他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広く、それぞれ左側に配置された端部129aを含む。
第2ゲート線121bは上方に突出した複数の第2ゲート電極124bと他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広く、左側に配置された端部129bを含む。
しかし、この端部129a、129bは2つとも右側に配置することもでき、互いに異なる側に配置することもできる。維持電極線131は所定の電圧の印加を受け、主に図25の横方向に延びている。各維持電極線131は第1及び第2ゲート線121a、121bの間に位置し、第2ゲート線121bよりも第1ゲート線121aにさらに近く、隣接した2つの第2ゲート線121bとほぼ同じ距離を置く。各維持電極線131は下上に拡張された維持電極137を含み、維持電極137はほぼ長方形で、維持電極線131に対称である。維持電極137を始めとする維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート導電体121a、121b、131の側面は基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は約30°〜約80°であることが望ましい。
ゲート導電体121a、121b、131上には、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa-Siと略称する)または多結晶シリコンなどからなる複数の島状半導体154a、154b、156、157a、157bが形成されている。半導体154a、154bはそれぞれゲート電極124a、124b上に位置する。半導体156は維持電極線131の境界を覆う。半導体157a、157bは維持電極137の境界線と一部重畳する。
半導体154a、154b、157b上には複数の島状オーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167bが形成され、半導体156、157a上にも島状オーミック接触部材(図示せず)が形成されている。オーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167bは、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなるか、シリサイドからなることが望ましい。オーミック接触部材163a、165aとオーミック接触部材163b、165bはそれぞれ対をなして半導体154a、154b上に配置されている。
半導体154a、154b、156、157a、157bとオーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167bの側面は基板110面に対して傾斜し、その傾斜角は30°〜80°程度である。
オーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167b及びゲート絶縁膜140上には、複数のデータ線171と複数対の第1及び第2ドレイン電極175a、175bを含むデータ導電体が形成されている。
データ線171はデータ信号を伝達し、主に図25の縦方向に延びゲート線121a、121b及び維持電極線131と交差する。各データ線171は第1及び第2ゲート電極124a、124bに向かって延びた複数の第1及び第2ソース電極173a、173bと他の層または外部駆動回路との接続のための面積が広い端部179を含む。
第1及び第2ドレイン電極175a、175bは互いに分離され、データ線171とも分離されている。
第1ドレイン電極175aは、第1ゲート電極124aを中心に第1ソース電極173aと対向する棒状端部176a、棒状端部176aの反対側の端にある広い長方形状の拡張部177a、並びに拡張部177aと端部176aを接続する線状接続部176aaを含む。拡張部177aは維持電極137と重畳し、棒状端部176aは、第1ゲート電極124aと重畳しU字状に曲がった第1ソース電極173aに一部囲まれている。第1ドレイン電極175aの接続部176aaは大部分延長部139上に位置し、延長部139に平行に延びており、延長部139の縦境界線内に位置する。
これと同様に、第2ドレイン電極175bは第2ゲート電極124bを中心に第2ソース電極173bと対向する棒状端部176b、棒状端部176bの反対側の端にある広い長方形状の拡張部177b、並びに拡張部177bと端部176bを接続する線状接続部176bbを含む。拡張部177bは維持電極137と重畳し、棒状端部176bは第2ゲート電極124bと重畳し、U字状に曲がった第2ソース電極173bに一部囲まれている。第2ドレイン電極175bの拡張部177bの面積は、第1ドレイン電極の拡張部177aの面積より小さい。
このように第1ドレイン電極175aの接続部176aaの下に延長部139を設けて保持容量を増加させることができるので、維持電極137の面積を小さくし、開口率を向上させることができる。
第1、第2ゲート電極124a、124b、第1、第2ソース電極173a、173b、及び第1、第2ドレイン電極175a、175bは、第1、第2半導体154a、154bと共に第1、第2薄膜トランジスタ(Qa、Qb)を構成し、第1、第2薄膜トランジスタ(Qa、Qb)のチャンネルは第1、第2ソース電極173a、173bと第1、第2ドレイン電極175a、175bの間の第1、第2半導体154a、154bに形成される。
データ導電体171、175a、175bはその側面が基板110面に対して30°〜80°程度の角度で傾斜していることが望ましい。
オーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167bはその下の半導体154a、154b、157bとその上のデータ導電体171、175a、175bの間にのみ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。ゲート線121a、121b及び維持電極線131上に位置した半導体156、157a、157bは、表面の段差形状をゆるやかに形成することによりデータ線171及びドレイン電極175a、175bの断線を防止する。島状半導体154a、154bにはソース電極173a、173bとドレイン電極175a、175bの間のようにデータ導電体171、175a、175bで覆われず露出した部分がある。
データ導電体171、175a、175b及び露出した半導体154a、154b上には保護膜180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などからなり、表面を平坦化することもできる。保護膜180にはデータ線171の端部179及び第1及び第2ドレイン電極175a、175bの拡張部177a、177bをそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール182、185a、185bが形成され、保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121a、121bの端部129a、129bを露出させる複数のコンタクトホール181a、181bが形成されている。
保護膜180上には第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bを含む複数の画素電極191及び複数の接触補助部材81a、81b、82が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属からなることが望ましい。
各画素電極191は4つの角が面取りされたほぼ四角形状であり、面取りされた斜辺はゲート線121a、121bに対して約45°の角度をなす。
各画素電極191を構成する一対の第1及び第2副画素電極191a、191bは間隙(gap)92、93を介在して互いに噛み合っている。第2副画素電極191bはほぼ回転した等辺台形で、底辺が台形状に凹んだ形状であり、大部分が第1副画素電極191aに囲まれている。第1副画素電極191aは左側辺で互いに接続している上部、下部及び中央台形部からなる。
各画素電極191は互いに対向する一対の第1主辺193、194とこれら第1主辺193、194に接続しており、複数ののこぎり状部分90とこれらのこぎり状部分90の間を接続する底辺90cを含む第2主辺を有する。ここでのこぎり状部分90は、第1主辺193、194に対して傾いた第1斜辺90aと第2斜辺90d及び第1斜辺90aと第2斜辺90dの間を接続する上辺90bを有する。第1主辺193、194はゲート線121に平行である。第1主辺193、194と第2主辺はほぼ長方形をなし、画素電極191の4つの角は面取りされてゲート線121に対して約45°の角度をなす。第1斜辺90aはデータ線171と一部分が重畳し、隣り合う2つの画素電極191の第1斜辺90aは互いに対向し、平行となっている。
第1副画素電極191aは上部台形部の上辺及び下部台形部の下辺から右側辺に向かって延びた切開部94a、94bを有する。第1副画素電極191aの中央台形部は、第2副画素電極191bの凹んだ底辺に挟まれている。また、第1副画素電極191aは横部及びこれに接続している一対の斜線部を含む中央切開部91を有する。横部は第1副画素電極191aの横中心線に沿って短く延びており、一対の斜線部は横部から第1副画素電極191aの左側辺に向かって延びており、維持電極線131に対して約45°の角度をなす。第1副画素電極191aと第2副画素電極191bの間の間隙92、93は、ゲート線121a、121bと約45°をなす二対の上部及び下部斜線部と縦部を含む。以下、説明上、間隙92、93も切開部と称する。切開部91−94bは維持電極線131に対してほぼ反転対称をなし、これらはゲート線121a、121bに対して約45°の角度をなし互いに垂直に延びている。画素電極191はこの切開部91−94bによって複数の領域に分割される。
これにより、画素電極191を横方向に二等分する維持電極線131を中心にした上半部と下半部は、切開部91−94bによってそれぞれ4つの領域に分割される。
この時、領域の数または切開部の数は、画素電極191の大きさ、画素電極191の横辺と縦辺の長さの比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
第1及び第2副画素電極191a、191bはそれぞれコンタクトホール185a、185bを介して第1及び第2ドレイン電極175a、175bに接続しており、第1及び第2ドレイン電極175a、175bからデータ電圧の印加を受ける。一対の副画素電極191a、191bには1つの入力映像信号に対して予め設定された互いに異なるデータ電圧が印加されるが、その大きさは副画素電極191a、191bの大きさ及び形状に応じて設定できる。また、副画素電極191a、191bの面積は互いに異なるようにしても良い。例えば、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aに比べて高い電圧の印加を受け、第1副画素電極191aより面積が小さい。
データ電圧が印加された副画素電極191a、191bと共通電圧の印加を受ける共通電極270は、第1及び第2液晶キャパシタを構成し、薄膜トランジスタがターンオフした後にも印加された電圧を維持する。各液晶キャパシタは液晶層3部分を誘電体として含む。
第1及び第2副画素電極191a、191b及びこれに電気的に接続しているドレイン電極173a、173bの拡張部177a、177bは、維持電極137及び延長部139を始めとする維持電極線131と重畳して、液晶キャパシタの電圧維持能力を強化するストレージキャパシタを構成する。
接触補助部材81a、81b、82はそれぞれコンタクトホール181a、181b、182を介してゲート線121a、121bの端部129a、129b及びデータ線171の端部179に接続している。
以下、共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はデータ線171に対応する線状部分、一部分が拡張された拡張部と薄膜トランジスタに対応する面状部分を含み、画素電極191の間の光漏れを防止し、画素電極191と対向する開口領域を定義する。しかし、遮光部材220は、画素電極191と対向し画素電極191とほぼ同一形状である複数の開口部(図示せず)を有することが望ましい。
基板210上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191の列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略しても良い。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体などからなる。
共通電極270には複数の切開部71、72、73a、73b、74a、74b、75が形成されている。
1つの切開部群71〜75は、1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、第1〜第3下部斜線切開部72、73a、74a、第1〜第3上部斜線切開部72、73b、74b及び接続部75を含む。切開部71〜74bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91、92、93、94a、94bの間または切開部91、92、93、94a、94bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71〜74bは、画素電極191の下部切開部93、94aまたは上部切開部93、94bに平行に延びて少なくとも1つの斜線部を含む。
第1下部及び第1上部斜線切開部72はほぼ画素電極191の右側辺から画素電極191の左側辺に延びており、第2下部及び第2上部斜線切開部73a、73bは画素電極191の右側辺から画素電極191の左上または左下角に延びている。そして、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bは、画素電極191の右側辺から画素電極191の上側辺または下側辺に延びており、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bの各端から画素電極191の下側辺と上側辺に沿ってそれぞれ重畳しながら延びた縦断横部を含む。縦断横部は斜線切開部74a、74bと鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部、一対の斜線部を含む。中央横部はほぼ画素電極191の右側辺から維持電極線131に沿って左に延びており、一対の斜線部は中央横部の端から画素電極191の左側辺に向かってそれぞれ下部及び上部斜線切開部72〜74bにほぼ平行に延びる。
中央切開部71のうちの斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2下部切開部73aの一端、中央切開部71の他の斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2上部切開部73bの一端、第1下部斜線切開部72の一端と隣り合う画素電極の第3下部斜線切開部74aの一端、及び第1上部斜線切開部72の一端と隣り合う画素電極の第3上部斜線切開部74bの一端はそれぞれ接続部75に接続している。接続部75は、画素電極191の第1斜辺90aに平行であり、データ線171と対応する部分に位置する。接続部75の幅は画素電極191と画素電極191との間の間隔より約8μm程度広く、遮光部材220の拡張部222は接続部75と対応し他の部分に比べて幅が広いことが望ましい。
切開部71〜74bの斜線部には三角形状のノッチ7が形成されている。このようなノッチは四角形、台形または半円形であるか、突出した形状や凹んだ形状であっても良い。このようなノッチは、切開部71−74bに対応する領域境界に位置する液晶分子3の配列方向を決定する。
切開部71−75の数及び方向は設計要素によって異なり、遮光部材220が切開部71〜75と重畳して切開部71−75付近の光漏れを遮断することができる。
表示板100、200の内側面には配向膜11、21が塗布されており、これらは垂直配向膜であっても良い。
表示板100、200の外側面には偏光子(図示せず)が備えられており、2つの偏光子の偏光軸は直交し、このうちの1つの偏光軸はゲート線121a、121bに対して平行であることが望ましい。反射型液晶表示装置の場合、2つの偏光子のうちの1つは省略しても良い。
本実施形態による液晶表示装置は、液晶層3の遅延値を補償するための位相遅延膜(図示せず)をさらに備えることが望ましい。位相遅延膜は、複屈折性を有し、液晶層3の位相遅延を逆補償する。
液晶層3は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子は電場がない状態でその長軸が2つの表示板100、200の表面に対して垂直をなすように配向されている。このため、入射光は直交偏光子を通過できず遮断される。
共通電極270に共通電圧を印加し、画素電極191にデータ電圧を印加して第1または第2液晶キャパシタの両端に電位差が生じると表示板100、200の面にほぼ垂直な電場が液晶層3に生成される。このため、液晶層3の液晶分子は電場に応答してその長軸が電場の方向に垂直をなすように傾き、液晶分子が傾いた程度によって液晶層3に入射した光の偏光の変化程度が異なる。このような偏光の変化は偏光子によって透過率の変化として表れ、これによって液晶表示装置は映像を表示する。
液晶分子が傾く角度は電場の強さによって異なっており、第1副画素電極には低い電圧が印加され、第2副画素電極には高い電圧が印加される場合、第1液晶キャパシタの電圧(Va)が第2液晶キャパシタの電圧(Vb)より大きいので、第1副画素と第2副画素とで液晶分子が傾いた角度が異なり、このため、2つの副画素の輝度が異なる。よって、第1液晶キャパシタの電圧(Va)と第2液晶キャパシタの電圧(Vb)を適切に合せることによって、側面から見る映像を正面から見る映像に最大限近似させることができ、その結果、側面視認性を向上させることができる。
液晶分子が傾く方向は、電場生成電極191、270の切開部71−74b、91−94bと画素電極191の斜辺が電場を歪ませて形成する水平成分によって決定され、このような電場の水平成分は切開部71−74b、91−94bの辺と画素電極191の辺に垂直である。
図26に示すように、1つの切開部群71−74b、91−94bは、画素電極191をそれぞれ2つの傾いた主辺(major edge)を有する複数の副領域(sub-area)に分割し、各副領域の液晶分子の傾斜方向は電場の水平成分によって決定される方向に決定され、傾く方向は概ね4つの方向となる。このように液晶分子が傾く方向を多様にすることで液晶表示装置の基準視野角を広くできる。
また、画素電極191の辺のうちのデータ線171と隣接する辺をのこぎり状に形成することによって、隣り合う画素電極191の間に形成される副電場は副領域の液晶の配向を強化する方向に作用する。また、隣り合う2つの画素電極191の第1斜辺90aが互いに対向する領域と対応する位置に接続部75を設けることで、副領域の液晶の配向を一段と強化することができる。
液晶分子の傾斜方向を決定するための切開部71−74b、91−94bの形状及び配置は変更可能であり、少なくとも1つの切開部71−74b、91−94bは、突起(図示せず)や陥没部(図示せず)で代替しても良い。突起は有機物または無機物からなり、電場生成電極191、270の上または下に配置すると良い。
また、高い電圧の印加を受ける第2副画素電極191bの面積を第1副画素電極191aの面積より小さくすることで側面ガンマ曲線の歪みを小さくすることができる。特に、第1及び第2副画素電極191a、191bの面積比率がほぼ2:1である場合、側面ガンマ曲線が正面ガンマ曲線にさらに近づいて側面視認性が一段と良くなる。
本発明の他の実施形態による液晶表示装置について図28〜図30を参照して詳細に説明する。
図28は、本発明の他の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図29は、図28の液晶表示装置を各々XXIX-XXIX線に沿って切断した断面図であり、図30は、図28の液晶表示装置を各々XXX-XXX線に沿って切断した断面図である。
図28〜図30に示すように、本実施形態による液晶表示装置は、薄膜トランジスタ表示板100、共通電極表示板201及びその間の液晶層3を備える。
まず、薄膜トランジスタ表示板100について詳細に説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に複数のゲート線121と複数の維持電極線131を含む複数のゲート導電体が形成されている。
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に図28の横方向に延びている。各ゲート線121は上方に突出した第1及び第2ゲート電極124a、124bと他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部129を含む。維持電極線131は所定の電圧の印加を受けて主に図28の横方向に延びている。各維持電極線131は隣接した2つのゲート線121の間に位置し、2つのゲート線121とほぼ同じ距離を置いて位置する。各維持電極線131は、下上に拡張された維持電極137と維持電極137から下方に長く延びた棒状延長部139を含む。維持電極137はほぼ長方形で、維持電極線131と対称であり、延長部139は第1ゲート電極124a付近まで延びている。しかし、維持電極137を始めとする維持電極線131の形状及び配置は様々な形態に変形することができる。
ゲート導電体121、131上には、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には、水素化非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる複数の島状半導体154a、154b、157a、157bが形成されている。半導体154a、154bはそれぞれゲート電極124a、124b上に位置する。
半導体154a、154b、157a、157b上には、複数の島状オーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167a、167bが形成されている。オーミック接触部材163a-167bは、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなるか、シリサイドからなることが望ましい。オーミック接触部材163a、165aとオーミック接触部材163b、165bはそれぞれ対をなして半導体154a、154b上に位置し、オーミック接触部材167a、167bはそれぞれ半導体157a、157b上に位置する。
ゲート絶縁膜140及びオーミック接触部材163a、163b、165a、165b、167a、167b上には、複数のデータ線171a、171bと複数対の第1及び第2ドレイン電極175a、175bを含むデータ導電体が形成されている。
データ線171a、171bはデータ信号を伝達し、主に図28の縦方向に延びてゲート線121及び維持電極線131と交差する。各データ線171a、171bは、第1及び第2ゲート電極124a、124bに向かって延びた複数の第1及び第2ソース電極173a、173bと他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部179a、179bを含む。
第1及び第2ドレイン電極175a、175bは互いに分離されており、データ線171a、171bとも分離されている。各ドレイン電極175a、175bは、ゲート電極124a、124bを中心に第1及び第2ソース電極173a、173bと対向し、一方端には面積が広い長方形状の拡張部177a、177b、棒状である他方端部176a、176b、並びに拡張部177a、177bと端部176a、176bを接続する接続部176aa、176bbを含む。各拡張部177a、177bは維持電極137と重畳し、棒状端部176a、176bはゲート電極124a、124bと重畳し、U字状に曲がったソース電極173a、173bに一部囲まれている。
第1ドレイン電極1735aの接続部176aaは、大部分延長部139上に位置し、延長部139に平行に延び延長部139の縦境界線内に位置する。第2ドレイン電極175bの拡張部177bの面積は第1ドレイン電極175aの拡張部177aの面積より小さい。
第1、第2ゲート電極124a、124b、第1、第2ソース電極173a、173b及び第1、第2ドレイン電極175a、175bは、半導体154a、154bと共に第1、第2薄膜トランジスタ(Qa、Qb)を構成し、薄膜トランジスタ(Qa、Qb)のチャンネルは、第1、第2ソース電極173a、173bと第1、第2ドレイン電極175a、175bの間の半導体154a、154bに形成される。
オーミック接触部材163a−167bはその下の半導体154a、154b、157a、157bとその上のデータ線171a、171b及びドレイン電極175a、175bの間にのみ存在し、これらの間の接触抵抗を低くする。島状半導体154a、154bにはソース電極173a、173bとドレイン電極175a、175bの間を始めとするこれらで覆われず露出した部分がある。
データ線171a、171b、ドレイン電極175a、175b及び露出した半導体154a、154b部分上には保護膜180が形成されている。
保護膜180にはドレイン電極175a、175bの拡張部177a、177bとデータ線171a、171bの端部179a、179bをそれぞれ露出させる複数のコンタクトホール185a、185b、182a、182bが形成されており、保護膜180とゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出させる複数のコンタクトホール181が形成されている。
保護膜180上には、第1及び第2副画素電極191a、191bを含む複数の画素電極191及び複数の接触補助部材81、82a、82bが形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属からなることが望ましい。
各画素電極191は4つの角が面取りされたほぼ四角形状であり、面取りされた斜辺はゲート線121に対して約45°の角度をなす。
各画素電極191を構成する一対の第1及び第2副画素電極191a、191bは、間隙(gap)92、93を介在して互いに噛み合っている。第2副画素電極191bはほぼ回転した等辺台形で、底辺が台形状に凹んだ形状に構成されており、大部分第1副画素電極191aに囲まれている。第1副画素電極191aは、左側辺で互いに接続している上部、下部及び中央台形部からなる。
各画素電極191は互いに対向する一対の第1主辺193、194とこれら第1主辺193、194に接続しており、複数ののこぎり状部分90とこれらのこぎり状部分90の間を接続する底辺90cを含む第2主辺を有する。ここでのこぎり状部分90は、第1主辺193、194に対して傾いた第1斜辺90aと第2斜辺90d及び第1斜辺90aと第2斜辺90dの間を接続する上辺90bを有する。第1主辺193、194はゲート線121に平行である。第1主辺193、194と第2主辺はほぼ長方形をなし、画素電極191の4つの角は面取りされてゲート線121に対して約45°の角度をなす。第1斜辺90aはデータ線171と一部分が重畳しており、隣り合う2つの画素電極191の第1斜辺90aは互いに対向し、平行となっている。
第1副画素電極191aは、上部台形部の上辺及び下部台形部の下辺から右側辺に向かって延びた切開部94a、94bを有している。第1副画素電極191aの中央台形部は、第2副画素電極191bの凹んだ形状の底辺に挟まれている。また、第1副画素電極191aは横部及びこれに接続している一対の斜線部を含む中央切開部91を有する。横部は第1副画素電極191aの横中心線に沿って短く延びており、一対の斜線部は横部から第1副画素電極191aの左側辺に向かって延びており、維持電極線131に対して約45°の角度をなす。第1副画素電極191aと第2副画素電極191bの間の間隙92、93は、ゲート線121と約45°をなす二対の上部及び下部斜線部と縦部を含む。
切開部91−94bは維持電極線131に対してほぼ反転対称をなしており、これらはゲート線121に対して約45°の角度をなしながら互いに垂直に延びている。画素電極191は該切開部91−94bによって複数の領域に分割される。
これにより、画素電極191を横方向に二等分する維持電極線131を中心にした上半部と下半部は、切開部91−94bによってそれぞれ4つの領域に分割される。
この時、領域の数または切開部の数は画素電極191の大きさ、画素電極191の横辺と縦辺との長さの比率、液晶層3の種類や特性など設計要素によって異なる。
第1及び第2副画素電極191a、191bはそれぞれコンタクトホール185a、185bを介して第1及び第2ドレイン電極175a、175bに接続しており、第1及び第2ドレイン電極175a、175bからデータ電圧の印加を受ける。一対の副画素電極191a、191bには1つの入力映像信号に対して予め設定されていた互いに異なるデータ電圧が印加されるが、その大きさは副画素電極191a、191bの大きさ及び形状に応じて設定できる。また、副画素電極191a、191bの面積は互いに異なるようにしても良い。例えば、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aより高い電圧の印加を受け、第1副画素電極191aより面積が小さい。
第1、第2副画素電極191a、191bは、コンタクトホール185a、185bを介して第1、第2ドレイン電極173a、173bと物理的、電気的に接続しており、第1、第2ドレイン電極173a、173bからデータ電圧の印加を受ける。一対の副画素電極191a、191bには1つの入力映像信号に対して予め設定されていた互いに異なるデータ電圧が印加されるが、その大きさは副画素電極191a、191bの大きさ及び形状に応じて設定できる。また、副画素電極191a、191bの面積は互いに異なるようにしても良い。例えば、第2副画素電極191bは第1副画素電極191aより高い電圧の印加を受け、第1副画素電極191aより面積が小さい。
データ電圧が印加された副画素電極191a、191bにおいて、共通電圧の印加を受ける共通電極270は第1及び第2液晶キャパシタを構成して薄膜トランジスタがターンオフされた後にも印加された電圧を維持する。各液晶キャパシタは液晶層3部分を誘電体として含む。
第1及び第2副画素電極191a、191b及びこれに電気的に接続しているドレイン電極173a、173bの拡張部177a、177bは、ゲート絶縁膜140を介在して維持電極137及び延長部139を始めとする維持電極線131と重畳し、液晶キャパシタの電圧維持能力を強化するストレージキャパシタを構成する。
接触補助部材81、82a、82bはそれぞれコンタクトホール181、182a、182bを介してゲート線121の端部129及びデータ線171a、171bの端部179a、179bに接続している。
以下、共通電極表示板200について説明する。
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はデータ線171に対応する線状部分、一部分が拡張された拡張部と薄膜トランジスタに対応する面状部分を有し、画素電極191の間の光漏れを防止し、画素電極191と対向する開口領域を定義する。しかし、遮光部材220は画素電極191と対向し、画素電極191とほぼ同一形状である複数の開口部(図示せず)を有することが望ましい。
基板210上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は遮光部材230に囲まれた領域内に大部分存在し、画素電極191の列に沿って縦方向に長く延びることが望ましい。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
カラーフィルタ230及び遮光部材220上にはオーバーコート膜250が形成されている。オーバーコート膜250は(有機)絶縁物からなることが望ましく、カラーフィルタ230が露出することを防止し、平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略しても良い。
オーバーコート膜250上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体で形成される。
共通電極270には複数の切開部71、72、73a、73b、74a、74b、75が形成されている。
1つの切開部群71〜75は、1つの画素電極191と対向し、中央切開部71、第1〜第3下部斜線切開部72、73a、74a、第1〜第3上部斜線切開部72、73b、74b及び接続部75を含む。切開部71〜74bそれぞれは画素電極191の隣接切開部91、92、93、94a、94bの間または切開部91、92、93、94a、94bと画素電極191の面取りされた斜辺の間に配置されている。また、各切開部71〜74bは、画素電極191の下部切開部92、93、94aまたは上部切開部92、93、94bに平行に延びた少なくとも1つの斜線部を含む。
第1下部及び第1上部斜線切開部72はほぼ画素電極191の右側辺から画素電極191の左側辺に延びており、第2下部及び第2上部斜線切開部73a、73bは画素電極191の右側辺から画素電極191の左上または左下角に延びている。そして、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bは、画素電極191の右側辺から画素電極191の上側辺または下側辺に延びており、第3下部及び第3上部斜線切開部74a、74bの各端から画素電極191の下側辺と上側辺に沿ってそれぞれ重畳しながら延長された縦断横部を含む。縦断横部は斜線切開部74a、74bと鈍角をなす。
中央切開部71は中央横部、一対の斜線部を含む。中央横部はほぼ画素電極191の右側辺から維持電極線131に沿って左に延びており、一対の斜線部は中央横部の端から画素電極191の左側辺に向かってそれぞれ下部及び上部斜線切開部72〜74bにほぼ平行に延びる。
中央切開部71のうちの斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2下部切開部73aの一端、中央切開部71の他の斜線部の一端と隣り合う画素電極の第2上部切開部73bの一端、第1下部斜線切開部72の一端と隣り合う画素電極の第3下部斜線切開部74aの一端、及び第1上部斜線切開部72の一端と隣り合う画素電極の第3上部斜線切開部74bの一端はそれぞれ接続部75に接続している。接続部75は、画素電極191の第1斜辺90aに平行であり、データ線171と対応する部分に位置する。接続部75の幅は、画素電極191と画素電極191の間の間隔より約8μm程度広く、遮光部材220の拡張部222は接続部75と対応し他の部分より幅が広いことが望ましい。
切開部71−74bの斜線部には三角形状のノッチ7が形成されている。このようなノッチは四角形、台形または半円形の形状であるか、突出した形状や凹んだ形状であっても良い。このようなノッチは、切開部71−74bに対応する領域境界に位置する液晶分子3の配列方向を決定する。
切開部71−75の数及び方向は設計要素によって異なり、遮光部材220が切開部71〜75と重畳して切開部71−75付近の光漏れを遮断することができる。
また、画素電極191の辺のうちのデータ線171と隣接する辺をのこぎり状に形成することで、隣り合う画素電極191の間に形成される副電場は副領域の液晶の配向を強化する方向に作用する。また、隣り合う2つの画素電極191の第1斜辺90aが互いに対向する領域と対応する位置に接続部75を設けることで、副領域の液晶の配向を一段と強化することができる。
表示板101、201の内側面には配向膜11、21が塗布されており、外側面には偏光子(図示せず)が備えられている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これは例示的なものに過ぎず、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明に基づいて様々な変形及び均等な他の実施例が可能であることが理解できるであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。