JP5518534B2 - 輻輳制御装置及び輻輳制御方法 - Google Patents
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そこで、大部分のアプリケーションで転送用プロトコルとして用いられているTCPは、設備容量内にトラフィックを抑制するために、通信速度を抑制する輻輳制御の機能を備えている。即ち、通信経路内のノードにおいて輻輳が発生してパケットが廃棄された場合、送信元のTCPがそれを検出し、一度に送信できるパケット数を決めるウィンドウサイズを減少させることにより、ネットワークへのパケット送出速度を抑制して輻輳を解消するものである。
尚、輻輳を解消する従来技術として特許文献1には、ノードのバッファが輻輳により所定の閾値を超えた時点で、共通の外部バッファへパケットを転送し、一時的に保持して、輻輳が収まった時点でノードのバッファへパケットを戻す技術について開示されている。また、特許文献2には、ノードのバッファが輻輳により、所定の閾値を越えた時点で、複数のノードに対して速度を下げる制御信号を送信し、それを受けたノードが速度を下げ、余剰パケットを一時的に保持することで輻輳を解消する方式について開示されている。また、特許文献3には、ノードのバッファが所定の閾値を超えた時点で、同じノード内における別のポート用のバッファへパケットを転送し、一時的に保管する方式について開示されている。
TCPの通信では、送信側はウィンドウサイズ分のパケット群を一度に送信する。そして、受信側はパケットを受信する度に確認応答パケット(以下、ACKという)を返信する。送信側はウィンドウサイズ分のパケット群の中で最後のパケットに対するACKを受け取った時点で、次のウィンドウサイズ分のパケット群を一度に送出する。つまり、TCP通信では、ウィンドウサイズ分のパケット群の送出が繰り返し行われている。ここで、パケット群の中の1つのパケットがREDにより廃棄されたとする。この場合、このパケットに対するACKが受信側より返信されず、送信側に届かない。
そして、このパケットよりも後の順番にあたるパケットに対するACKが3つ連続で届いた時点で、送信側はパケットがネットワーク中のどこかで消失したと判断し、この消失した(廃棄された)パケット以降の全てのパケットを再送する。このようなTCPの再送の仕組みにおいては、廃棄されたパケットのみならず、一度に送信されたパケット群の中で、廃棄されたパケットよりも後の順番にあたる全てのパケットが再送されることとなる。その結果、REDでは、パケット廃棄に伴って無駄な再送パケットが多く発生してしまい、実効的な通信効率の低下を招くという課題があった。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、輻輳発生中のノードが速度を下げる制御信号を送信し、これを受信したノードが速度制御を行ない、その結果として、輻輳発生中のノードの輻輳が解消されるというフィードバック制御であるため、トラフィック状況に応じた最適なバッファの閾値や速度制御の設定が難しく、最適な設定でない場合、制御遅延の影響でパケット廃棄に到るといった問題が発生する。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加し、輻輳が発生したノードで、付加されたマークを検出することで最終パケットを検出して、当該最終パケットを廃棄することにより、廃棄に伴う再送パケットを最小限に抑制することが可能な輻輳制御装置及び輻輳制御方法を提供することを目的とする。
TCP同期現象を回避するRED方式を使用した輻輳制御装置において、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加し、付加されたマークを検出し、検出した先頭のパケットに基づいて、ウィンドウサイズ分のパケット群の中から最終パケットを検出し、検出した最終パケットを廃棄するように制御する。
これにより、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加し、輻輳が発生したノードで、付加されたマークを検出することで最終パケットを検出して、当該最終パケットを廃棄することにより、廃棄に伴う再送パケットを最小限に抑制することが可能になる。
最終のパケットがエッジノードを通過した場合には、次の条件により判定できる。すなわち、あるパケットがエッジノードを通過し、パケットが受信されたことを示すACKが受信側より返信されてきた時点で、次の順番のパケットが到着していないとき、この通過したパケットは、最終のパケットであったことが判定できる。これにより、ウィンドウサイズの終端を識別することができる。
請求項3は、前記マーク付加手段は、前記最終パケット検出手段により検出した最終パケットの次に到着したパケットを先頭のパケットとして前記マークを付加することを特徴とする。
エッジノードにて、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加するには、まず、エッジノードは、送信側から送信されてきた個々のパケットのシーケンス番号を検出し、フロー毎にテーブルで管理する(フローは送信側と受信側アドレスより識別する)。次に、受信側から返信されてきたACKについてもシーケンス番号を検出し、パケットとの対応関係を識別した上で、テーブルで管理する。ここで、最後のパケットがエッジノードを通過したことを検出し、次に到着したパケットにマークを付加すれば、先頭のパケットにマークが付加されたことになる。これにより、ウィンドウサイズ分のパケット群の中の先頭のパケットに確実にマークを付加することができる。
輻輳中のノードでは、先頭パケットに付加されたマークを検出するが、そのマークを付加したまま送信すると、受信側で不具合が出ないとも限らない。そこで本発明では、検出した後は消去することで、受信側に何ら影響を与えないようにする。
請求項5は、マーク付加手段、マーク検出手段、最終パケット検出手段、パケット廃棄手段、及び制御手段を備えた輻輳制御装置の輻輳制御方法であって、前記マーク付加手段が、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加するステップと、前記マーク検出手段が、前記マーク付加手段により付加されたマークを検出するステップと、前記最終パケット検出手段が、前記マーク検出手段により検出した先頭のパケットに基づいて、前記ウィンドウサイズ分のパケット群の中から最終パケットを検出するステップと、前記パケット廃棄手段が、前記最終パケット検出手段により検出した最終パケットを廃棄するステップと、前記制御手段が、前記各手段を制御するステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項1と同様の作用効果を奏する。
また、送信側・受信側のTCPには何ら変更を加えず、ネットワーク中のノードの機能だけで対処することができる。そのため、運用面や経済面における様々な現実的事情により、送信側・受信側のTCPを変更できない場合にも適用でき、実導入面で有利である。
即ち、TCPの通信では、送信側はウィンドウサイズ分だけのパケット群を一度に送信する。そして、パケット群の中でどの位置のパケットが廃棄されるかによって、再送されるパケット数が異なってくる。すなわち、パケット群の中で最初の方のパケットが廃棄された場合、最大でウィンドウサイズ分のパケットが再送される。逆に、最後の方のパケットが廃棄された場合、最小で1つのパケットが再送される。従って、REDによって発生する再送パケット数を最小限に抑制するためには、送信されるパケット群の中で、なるべく最後の方のパケットを廃棄すればよいことになる。そこで本実施形態では、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加して、輻輳中のノードでそのマークを検出し、当該マークに基づいて最終パケットの位置を検出して、その最終パケットを廃棄する。これにより、再送するパケット数を最小限にすることができる(詳細は図3で説明する)。
また、エッジノード9は、コアノード11へ送信するパケットのヘッダ部にマークを付ける機能を持ち、そのマークはコアノード11によって読み取られ、REDの制御に用いられる。このような動作は、その必要性の生じる輻輳時に限って行う仕組みとしても良い。コアノード11で輻輳が発生した場合、REDによってパケットが廃棄され、エッジノード9は、これを検出してウィンドウサイズを減少させ、コアノード11側の通信速度を下げる。同時に、送信端側の通信速度を下げる制御を行うこととなる。
TCPの通信では、送信側はウィンドウサイズ分のパケット群を一度に送信する。そして、受信側はパケットを受信する度に確認応答パケット(以下、ACKという)を返信する。送信側はウィンドウサイズ分のパケット群の中で最後のパケットに対するACKを受け取った時点で、次のウィンドウサイズ分のパケット群を一度に送出する。つまり、TCP通信では、ウィンドウサイズ分のパケット群の送出が繰り返し行われている。
ここで、パケット群の中の1つのパケットがREDにより廃棄されたとする。この場合、このパケットに対するACKが受信側より返信されず、送信側に届かない。そして、このパケットよりも後の順番にあたるパケットに対するACKが3つ連続で届いた時点で、送信側はパケットがネットワーク中のどこかで消失したと判断し、この消失した(廃棄された)パケット以降の全てのパケットを再送する。このようなTCPの再送の仕組みにおいては、廃棄されたパケットのみならず、一度に送信されたパケット群の中で、廃棄されたパケットよりも後の順番にあたる全てのパケットが再送されることとなる。このため、REDでは、パケット廃棄に伴って無駄な再送パケットが多く発生してしまい、実効的な通信効率の低下を招くという課題があった。
TCPの通信では、送信側はウィンドウサイズ分だけのパケット群を一度に送信する。そして、パケット群の中でどの位置のパケットが廃棄されるかによって、再送されるパケット数が異なってくる。すなわち、パケット群の中で最初の方のパケットが廃棄された場合、最大でウィンドウサイズ分のパケットが再送される。逆に、最後の方のパケットが廃棄された場合、最小で1つのパケットが再送される。
即ち、REDによって発生する再送パケット数を最小限に抑制するためには、送信されるパケット群の中で、なるべく最後の方のパケットを廃棄すればよい。しかし、ネットワーク中のノードは、到達したパケットがウィンドウサイズ分のパケット群の中で、どの位置にあるかを識別する機能を持っていない(パケットの順番はTCPヘッダに記されたシーケンス番号から識別できるものの、ウィンドウサイズの端がどこなのか識別できない)。
なお、輻輳中のノードではなく、エッジノードで検出して判定する理由は、単なるパケットの遅延を原因とする誤った判定が起こる可能性を排除するためである。つまり、エッジノードであれば、パケットが通過し、これに対するACKが返信され、通過するまでに、RTT(Round Trip Time)に近い時間が経過しており、単なるパケットの遅延によって次の順番のパケットが到着していないだけであるという可能性が非常に低くなるためである。このような判定に基づき、次に到着したパケットにマークを付加すれば、先頭のパケットにマークが付加されたことになる。マークを付加する場所は、例えば、TCPヘッダのウィンドウサイズ・フィールドや、IPヘッダのオプション・フィールドであればよい。なお、前者は通常、ACKで用いられている。つまり、受信側から送信側に対して、現状の受信バッファの空き容量を通知し、スライディング・ウィンドウ方式でパケットを受け取るために用いられている。後者は、通常、使用されていない。
また、輻輳中のノードは、内部に管理テーブルを持ち、フロー毎にウィンドウサイズの推移を記録し、同じウィンドウサイズが継続したフローをパケット廃棄の対象として管理する。加えて、フロー毎にパケットの通過数を記録し、バッファ内に蓄積されている到着パケットが先頭パケットから数えて何番目なのか、ひいては最後のパケットから数えて何番目なのかを管理する。
今、本発明の輻輳制御装置を動作させたノードで輻輳が発生し、平均バッファ長がMINthを超過することにより、ある廃棄率でパケットを廃棄することとなったとする。このとき、バッファ内に蓄積されている到着パケットのうち、パケット廃棄の対象であり、かつ、なるべくパケット群の中で最後の方のパケットを選択して廃棄する。これにより、廃棄に伴う再送パケットを最小限に抑制することができる。
Claims (5)
- TCP同期現象を回避するRED方式を使用した輻輳制御装置であって、
ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加するマーク付加手段と、
前記マーク付加手段により付加されたマークを検出するマーク検出手段と、
該マーク検出手段により検出した先頭のパケットに基づいて、前記ウィンドウサイズ分のパケット群の中から最終パケットを検出する最終パケット検出手段と、
該最終パケット検出手段により検出した最終パケットを廃棄するパケット廃棄手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする輻輳制御装置。 - 前記最終パケット検出手段は、パケットが受信されたことを示すACKが受信側より返信された時点で、次の順番のパケットが到着していないとき、該通過したパケットを前記最終パケットであると判定することを特徴とする請求項1に記載の輻輳制御装置。
- 前記マーク付加手段は、前記最終パケット検出手段により検出した最終パケットの次に到着したパケットを先頭のパケットとして前記マークを付加することを特徴とする請求項1又は2に記載の輻輳制御装置。
- 前記制御手段は、前記マーク検出手段によりマークを検出したことを認識すると、該マークを消去することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の輻輳制御装置。
- マーク付加手段、マーク検出手段、最終パケット検出手段、パケット廃棄手段、及び制御手段を備えた輻輳制御装置の輻輳制御方法であって、
前記マーク付加手段が、ウィンドウサイズ分のパケット群の中で、先頭のパケットにマークを付加するステップと、
前記マーク検出手段が、前記マーク付加手段により付加されたマークを検出するステップと、
前記最終パケット検出手段が、前記マーク検出手段により検出した先頭のパケットに基づいて、前記ウィンドウサイズ分のパケット群の中から最終パケットを検出するステップと、
前記パケット廃棄手段が、前記最終パケット検出手段により検出した最終パケットを廃棄するステップと、
前記制御手段が、前記各手段を制御するステップと、を備えたことを特徴とする輻輳制御装置の輻輳制御方法。
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JP2010057784A JP5518534B2 (ja) | 2010-03-15 | 2010-03-15 | 輻輳制御装置及び輻輳制御方法 |
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