JP5513666B1 - 放射線の遮へい方法学習教材 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の放射線源を用いること無く、放射線の性質や遮へい方法を五感により直感的にかつ正しく理解するための教材を提供する。
【解決手段】複数のARタグ8が配置された遮へい材4と、ARタグ8が配置された仮想放射線源5と、、ARタグ8が配置された仮想検出器6と、基準ARタグ8が配置された作業台7と、作業台7上の作業領域を撮影するカメラ3と、演算装置、記憶装置および表示装置を有し、カメラ3および仮想放射線源5と通信可能なコンピュータ1と、を備え、コンピュータ1が、カメラ3から受信した作業領域画像から基準ARタグ8を認識し、作業領域画像に含まれる配置物である遮へい材4、仮想放射線源5、仮想検出器6のARタグ8を認識し、仮想放射線源6と基準座標、配置物座標情報および放射線情報に基づき、放射線軌道を算出し、放射線の強度および/または個数を表示装置に表示させる手段と、を備える放射線の遮へい教材4。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線の遮へい方法学習教材に関し、本物の遮へい材を用いて遮へいを体験し、放射線の性質を直感的に理解することができる教材に関する。
従来、子供に放射線に関する教育を行うための教材としては霧箱が広く知られている。近年、軽量化、コンパクト化を図るために、電子冷却素子を利用することが提案されており、例えば、観察槽内に配したエタノール含浸布を電気ヒーターで加熱してエタノール蒸気を発生させ、観察槽底部を電子冷却素子で冷却する霧箱が提案されている。この種の霧箱では、観察槽内で過飽和状態にあるエタノール蒸気をα線やβ線等の荷電粒子が通過すると、荷電粒子によって生じたイオンを核として霧滴の列ができ、放射線の飛跡を観察することができる。
例えば、特許文献1は、霧箱の観察槽内を電子冷却素子によって冷却することで放射線の飛跡を容易に観察することが出来るようにしたものである。
特開2007−232416
放射線について学習するための教材としては書籍やヴァーチャルリアリティによるシミュレーションなどが挙げられるが、どれも文字や画像による情報だけで、五感により直感的に理解することができない。また、子供向けの教材などではより簡潔に説明するために事実とは異なる記述がされていることも多い。具体的には放射線のエネルギーの強さに関係なく、鉛の板であればすべての放射線を遮へいできるかのような描写や、遮へい材の厚さや密度を無視した記述が多く見られる。そういった教育を繰り返していると、子供が放射線に対して誤った認識を抱いたまま成長してしまう可能性がある。また、遮へいについて勉強する上で最も重要な点は遮へい材の密度と放射線の強度の関係性であるが、密度というものは数値だけ見ても伝わりにくい。
そこで本発明品は、実際の放射線源を用いること無く、放射線の性質や遮へい方法を五感により直感的にかつ正しく理解するための教材を提供することを課題とする。
発明者は、本物の遮へい材を用いた遮へいのシミュレーションを体験することで、放射線の性質や遮へいの方法を、五感により直感的にかつ正しく理解することができると考えた。従来の遮へい教材とは異なり、本物の遮へい材を手に取って教育を行うことができるので、数式を理解することができない子供であっても遮へい材の密度の違いや厚さを理解しやすい。
また、遮へい材の配置や仮想検出器の配置によってスコアを算出することで、学習者の向上心を刺激し、継続的な学習を促すことができると考えた。
本発明は、以下の技術手段から構成される。
[1]複数のARタグが配置された遮へい材と、無線通信手段を有し、ARタグが配置された仮想放射線源とARタグが配置された仮想検出器と、基準ARタグが配置された作業台と、作業台上の作業領域を撮影するカメラと、演算装置、記憶装置および表示装置を有し、カメラおよび仮想放射線源と通信可能なコンピュータと、を備えた放射線の遮へい教材であって、コンピュータが、カメラから受信した作業領域画像を記憶装置に記憶する手段と、記憶装置に記憶した作業領域画像から基準ARタグを認識し、基準座標情報を取得し記憶装置に記憶する手段と、記憶装置に記憶した作業領域画像に含まれる配置物である遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器のARタグを認識し、配置物の種類および配置物座標情報を取得し記憶装置に記憶する手段と、仮想放射線源から受信した放射線の種類および強度を含む放射線情報を記憶装置に記憶する手段と、記憶装置に記憶した基準座標、配置物座標情報および放射線情報に基づき、放射線軌道を算出し、記憶装置に記憶する手段と、算出した放射線軌道を基に仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数を算出し、記憶装置に記憶する手段と、撮像領域の画像、放射線軌道、並びに、仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数を表示装置に表示させる手段と、を備えることを特徴とする放射線の遮へい教材。
[2]コンピュータが、記憶装置に記憶した作業領域画像に含まれる配置物である遮へい材のARタグを認識し、遮へい材の種類を判別し、記憶装置に記憶する手段と、仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数と遮へい材の種類を基にスコアを算出する手段と、算出したスコアを表示装置に表示させる手段と、を備えることを特徴とする[1]の放射線の遮へい教材。
[3]前記表示装置が、作業台上に画像を投影するプロジェクターを含み、
コンピュータが、プロジェクターにより作業台上に放射線の軌跡を表示させることを特徴とする[1]または[2]の放射線の遮へい教材。
本発明によれば、文章や絵では理解することが難しい放射線の性質や遮へいの方法を、五感により直感的にかつ正しく理解することができる教材を提供することが可能となる。また、遮へい材の配置や仮想検出器の配置によってスコアを算出することで、学習者の向上心を刺激し、継続的な学習を促すことができる。
実施例1に係る放射線の遮へい教材の全体構成図である。 仮想放射線源の斜視図である。 画面上に表示されるシミュレーション結果の表示の一例である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果(1)である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果(2)である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果(3)である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果(4)である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果()である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果()である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果()である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果()である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果()である。 遮へい材と、仮想検出器を作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を入射した場合のシミュレーション結果(10)である。
発明を実施するための形態を、放射線の遮へい教材の一例で説明する。
本発明の実施形態例は、基準座標となるARタグと、基準ARタグが取り付けられた作業台と、遮へい材となるARタグが取り付けられたブロックと、ARタグが取り付けられた仮想放射線源と、ARタグが取り付けられた仮想検出器と、台上全体を見下ろせる位置に取り付けられたカメラと、台上へ放射線の軌道を投影するためのプロジェクターと、コンピュータと、コンピュータへの入力手段を備えた放射線の遮へい教材である。コンピュータは、カメラで読み取った基準座標となるARタグの位置情報と、遮へい材に取り付けられたARタグの位置情報と、仮想放射線源に取り付けられたARタグの位置情報と、仮想検出器に取り付けられたARタグの位置情報と、仮想放射線源からの信号に基づき、コンピュータ上でシミュレーションを行い、放射線の遮へいの様子を画面に表示することが可能である。
遮へい材、仮想放射線源および仮想検出器の位置や傾きを測定する手段としては、拡張現実感「AR」の技術を採用している。ここで、「AR」とは、Augmented Realityの略称であり、コンピュータを用いて現実環境に情報を付加する技術である。例えば、カメラで撮影したタグを認識して位置や傾き、角度などといった座標情報を計算し、それをもとにカメラで撮影した現実の映像とCGなどのグラフィックを合成して表示するというものである。
具体的には、遮へい材と仮想放射線源と仮想検出器それぞれにARタグを取り付ける。遮へい材には、遮へい材のどの面が上を向いても問題ないように6面全てにARタグを取り付けることが好ましい。ARタグは、例えば、接着剤により貼付してもよいし、両面テープで貼付してもよい。
放射線の軌道の計算を行うシミュレーション手段(シミュレーションソフト)としては、例えば、日本原子力研究開発機構が提供するPHITS及びEGS4を使用する。PHITSやEGS4は広いエネルギーを持つ各種の放射線を扱える汎用の粒子・重イオン輸送計算コードであるため、本発明品の用途に合致している。シミュレーションを行う際には遮へい材、仮想放射線源および仮想検出器の位置情報が必要であるため、カメラで撮像した情報に基づき、各オブジェクトに取り付けられたARタグを認識し、位置情報を取得する。その際、作業台に取り付けられた基準ARタグを基準座標とする。
遮へい材の重さを体験するという教育的観点から、遮へい材には鉛やコンクリート等重量があるものを使用している。そのため、スチール製などの堅牢な作業台を使用することが好ましい。作業台は、ボード状のものであってもよいが、脚部のある机を使用することが好ましい。
カメラで撮像した情報に基づきマーカーのパターンも認識することで、遮へい材、仮想放射線源および仮想検出器の種別を判別することが可能である。遮へい材の形状、種類等の情報は遮へい材に取り付けられているパターンから読み取り、PHITSまたはEGS4で計算する際のパラメーターとして利用する。また、軌道の計算を行う際に必要な放射線の種類やエネルギーの強さなどのパラメーターは、仮想放射線源のスイッチとダイヤルの設定情報を無線通信を介してコンピュータが取得可能である。
シミュレーション手段による軌道の計算結果は、専用のライブラリを用いて3DCGへと変換され、各ARタグの位置情報を基準に画面上に表示される。この計算結果は、プロジェクターから作業台の上へ投影することも可能である。
シミュレーション手段で軌道を計算する際に、仮想検出器の座標上を通過した放射線の数とエネルギーの大きさをカウントし、仮想検出器にどのくらい放射線が当たったかをプログラム上でカウントし、スコアとして画面上に表示する。放射線の遮蔽率が高いほど高得点とすることで、学習者は、ゲーム感覚で放射線の遮蔽方法を学ぶことが可能である。
以下では、本発明の詳細を実施例で説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるもの
ではない。
実施例1は、実際の遮へい材を用いて、五感により直感的な教育を行うことができる放射線の遮へい教材(教材システム)に関する。遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器の位置、傾きの測定には、拡張現実感「AR」の技術を採用した。ARは、コンピュータを用いて現実環境に情報を付加する技術であり、例えば、カメラで撮影したARタグを認識して位置や傾き、角度などといった座標情報を計算し、それをもとにカメラで撮影した現実の映像とCGなどのグラフィックを合成して表示することが可能となる。
[システム構成]
図1に示す本実施例の放射線の遮へい教材は、液晶ディスプレイ等の表示装置およびマウス・キーボード等の入力装置を備える市販のPCであるコンピュータ1と、プロジェクター2と、カメラ3と、遮へい材4と、仮想放射線源5と、仮想検出器6と、作業台7と、ARタグ8とを主要な構成要素とする。
カメラ3は、遮へい材4、仮想放射線源5、仮想検出器6、作業台7にそれぞれ取り付けられた多数個のARタグ8を撮影し、その情報を基にコンピュータ1で遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器の位置、傾きなどの座標を測定する。カメラ3は、有線または無線によりコンピュータ1と通信することができ、撮像した作業台上の作業領域画像をコンピュータ1に送信する。また、カメラ3の位置はなるべく動かさず使用する必要があるため、カメラを固定する台も必要である。図1では支持柱9によりカメラ3を固定している。カメラ3としては、例えば30万画素以上の画素数を持つUSBカメラを用いることができる。
遮へい材4は、直方体状または立方体状のブロックであり、本実施例では、コンクリートブロック、鉛ブロックを用いている。また、本実施例では用いなかったが、他にもブロック状のポリスチレン、パラフィン、木材、鉄、ガラス等を用いることが想定される。
コンピュータ1は、プロジェクター2、カメラ3と有線接続されており、仮想放射線源5と無線接続されている。また、コンピュータ1の記憶装置には、広いエネルギーを持つ各種の放射線を扱える汎用の粒子・重イオン輸送計算コードであるPHITSとProcessing言語によって記述された入力情報取得プログラムおよび出力用プログラムが導入されている。本明細書では、説明の便宜上、入力情報取得プログラムおよび出力用プログラムを別のプログラムとしているが、実際には1つのプログラムとして実装している。コンピュータ1は、仮想放射線源5から学習者が選択した放射線の種類や強度の情報と、カメラ3から遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器などの位置や傾きを算出するための画像情報を受信し、前述の入力情報取得プログラムにより情報処理をした後、座標情報と放射線の種類と強度の情報をPHITSへの入力ファイルとして出力する。ここで言う情報処理とは、カメラからの情報を基に取得したARタグの座標情報と、仮想放射線源5からコンピュータ1へ送信された放射線の線種と強度を、PHITSで使用される、FORTRAN言語で記述されたソースコードに変換するという処理である。その後、PHITSはそのソースコードを基に、放射線の軌跡の計算を行い、計算結果を出力する。出力された情報を基にProcessing言語によって記述された出力用プログラムが放射線の軌跡を3DCGへと変換し、表示装置及びプロジェクター2に送信する。出力用プログラムは、後述するスコア算定処理も行う。
プロジェクター2は、コンピュータ1で処理された情報を受信し、作業台に投影する。
作業台7は、学習者が実際に遮へい材を手に取って動かすための台であり、またプロジェクター2から投影されるスクリーンとなる。作業台7は、ARタグ認識率を上げるために上面を白く塗装するか、或いは白い布を敷く。作業台7には支持柱9が設けられており、プロジェクター2およびカメラ3が固定される。
ARタグ8は、遮へい材4、仮想放射線源5、仮想検出器6及び作業台7に接着剤を用いて取り付けられている。
図2は仮想放射線源5の斜視図である。仮想放射線源5は上部に取り付けられたARタグ8と、放射線の強さを設定するためのダイヤル13と、内部にマイコンボードを搭載した本体12と、放射線の種類を切り替えるためのスイッチ14で構成されている。スイッチ14はγ線用の切り替えボタン、中性子線用の切り替えボタン等で構成されており、それぞれのボタンを押すことで、使用する放射線を切り替えることができる。マイコンボードには無線通信手段が搭載されており、コンピュータ1と無線通信を行うことができる。無線通信手段はとしては、例えばXBEE(登録商標)無線モジュールを用いることができる。また、本体12の内部には電源としてバッテリーが内蔵されており、マイコンボードに電力を供給している。
図3は表示装置に表示されるシミュレーション結果の画面であり、前述のPHITSの計算結果を基に前述の出力用のプログラムで3DCGに出力された放射線の軌跡15と仮想放射線源から放出される放射線の種類と強さ16と、仮想検出器に当たった放射線の強さと数に基づくスコア17が表示されている。また、放射線の軌跡15はγ線、中性子線等の種類に合わせて異なる色で表示されている。作業領域上に配置された配置物の種類を容易に判別できるように、配置物の種類毎に異なる色表示とし、或いは、文字情報と共に画面上に表示させるようにしてもよい。
コンピュータ1による遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器の位置や傾きの測定は次の手順で行われる。まず、カメラ3で撮影した画像から上の2色のパターンを認識し、予め登録しておいたARタグのパターン形状と照合してARタグの種類を特定する。次に、特定したARタグ8の座標をコンピュータ1で計算する。この際、作業台に取り付けられた基準ARタグの座標情報は、取得済みであることが前提となる。特定されたARタグと基準ARタグを比較することで、当該ARタグの位置と傾きを測定することができる。以上の作業を、カメラ3で撮影した画像内に存在する全てのARタグについて行う。
プロジェクター2はコンピュータ処理した放射線の軌跡を投影するものであり、コンピュータ1との接続は、例えば、D−Sub15ピンのケーブルを使用する。
[使用方法]
実施例1の放射線の遮へい方法学習教材は、次に述べる手順で使用される。
指導者は、コンピュータ1とプロジェクター2、仮想放射線源5を起動のうえで、作業台7上の離れた位置に仮想放射線源5と仮想検出器6を配置する。その際、仮想放射線源5から放出されると仮定する放射線の強度、数、種類を仮想放射線源に取り付けられたスイッチとダイヤルで設定する。次に学習者は遮へい材4を作業台上に自由に配置し、放射線が仮想検出器に当たらないように遮へいを行う。配置が終了した後、指導者はコンピュータ上で操作を行い、シミュレーションを開始する。或いは、指導者に代わり、学習者(子供)が自分でシミュレーションを開始できるように、仮想放射線源5のボタン14を操作すること(例えば、ボタン14の一つをシミュレーションボタンとすること、複数のボタンを同時或いは所定の順番で押すこと)によりシミュレーションを開始可能としてもよい。
シミュレーションが終了すると、画面上にはシミュレーションの結果を基に3DCGに変換された放射線の軌跡と、仮想放射線源の座標上を通過した放射線の強度と個数に基づくスコアが表示される。スコアは基本的に、学習者の持ち点から、仮想検出器6の座標上を通過した放射線の総エネルギー量を引いたものである。ただし、使用した遮へい材の数や種類に応じてスコアに調整を行う。具体的には、使用した遮へい材が少ない場合や、γ線や中性子線にそれぞれ適した遮へい材を用いた場合には、より良いスコアとなる。
スコア算定の一例を以下に示す。
(初期設定)
まず学習者の持ち点を100点に設定し、学習者の年齢に応じて、使用できる遮へい材の個数を設定する。続いて放射線の種類と遮へい材の加点事由を設定する。具体的には、学習者がγ線を選択した場合に鉛ブロックを遮へい材として用いた場合は+30点、中性子線を選択した場合にコンクリートブロックを遮へい材として用いた場合は+30点となる。
(学習者による操作とスコア算定)
学習者は、放射線の種類を選択し、遮へい材4を用いて仮想検出器6を遮蔽する。
入力用プログラムは、遮へい材4の座標等情報を取得すると共に、遮へい材4の種類および個数を取得する。その後、仮想放射線源5から送られる、使用する放射線の種類と強度の情報を加えて、PHITSを用いて放射線の軌道の計算を行う。
出力用プログラムは、まず始めに計算結果を基に、仮想検出器6の座標上を通過する放射線の総エネルギー量を算出する。最終的なスコアは、最初の持ち点である100点から仮想検出器上を通過する放射線の総エネルギー量×0.0001を引いたものに、γ線に対して鉛ブロックを使用して遮へいした場合には+30点、中性子線に対してコンクリートブロックを使用した場合には+30点したものとなる。ただし、使用した遮へい材の個数が、使用できる遮へい材の個数を超えた場合には、1つ毎に−10点となる。スコアの算出が終了した後、PHITSの計算結果を基に、放射線の軌跡を3DCGへと変換し、表示装置及びプロジェクター2に送信する。例えば、図4では、仮想検出器6の座標上を通過した放射線の総エネルギーは225keVで、γ線の遮へいに適した鉛ブロックで遮へいを行っている。そのためスコアの計算式は、100−225000×0.0001+30となり、スコアは107.5となる。
図4〜1は遮へい材と、仮想検出器と仮定した円状のターゲットを作業台上に配置し、図の下方から所定の条件で放射線を照射もしくは放射した場合のシミュレーション結果(1)〜(12)である。図4〜図ではγ線を用い、図〜図1では中性子線を
いている。遮へい材としては、10×20×6cmのコンクリートブロック(密度2.3 g/cm3)と、10×10×6cmの鉛ブロック(密度11.34 g /cm3)を使用している。
図4は、10個のコンクリートブロック20を作業台の両側に5個ずつ配置し、間に遮るものがない状態で仮想検出器に向けてγ線を照射した場合のシミュレーション結果である。図4では、1MeVのγ線を20回照射した場合で計算している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。遮へい材が仮想検出器19の前に配置されていないため、高エネルギーのγ線が仮想検出器上を通過していることが分かる。図4では全く遮蔽を行っていないため、スコアは非常に悪くなる。
図5は、図4の配置において、さらにγ線を遮る形でコンクリートブロック20a〜20dを4つ配置した場合のシミュレーション結果である。図5では、1MeVのγ線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合で計算している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。γ線がコンクリートブロックに入射した際にカスケードシャワーが発生していることが分かる。このカスケードシャワーという現象は、高いエネルギーを持つγ線が物質内に入射した場合に発生する現象で、制動放射によるγ線の放出やγ線による電子−陽電子対生成が繰返しおこり、なだれ的に放射線の「個数」が増加するという現象である。中性子線の場合でも同様の現象が発生する。また、コンクリートブロックを透過して仮想検出器上を通過している放射線も見られる。エネルギーは低下しているが、本数は増えているため、あまり効果的な配置ではないことが分かる。γ線に適した遮へい材ではないため、加点は無いが、遮へい自体は行っており、仮想検出器上を通過する放射線の総エネルギー量も低下しているため、図4よりも良いスコアが期待できる。
図6は、図4の配置において、さらにγ線を遮る形で鉛ブロック21を1つ配置した場合のシミュレーション結果である。図6では、1MeVのγ線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合で計算している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。コンクリートブロックの場合よりも透過した放射線のエネルギーが低下しており、より遮へい能力が高いことが分かる。図5に比べて仮想検出器上を通過する放射線の総エネルギー量も低下しているため、より良いスコアが期待できる。また、γ線の遮へいに適した鉛ブロックを使用しているため、加点も行われる。
図7は、図4の配置において、さらにγ線を遮る形で鉛ブロック21a〜21bを2つ配置した場合のシミュレーション結果である。図7では、1MeVのγ線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合で計算している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。γ線は2つ目の鉛ブロックで完全に遮へいされており、仮想検出器には当たっていないことが分かる。仮想検出器上を放射線が通過しておらず、γ線の遮へいに適した鉛ブロックを使用しているため、図4から図9の中で最も良いスコアが期待できる。
は、図4の配置において、間に遮るものがない状態で仮想検出器に向けて、中性子線を照射した場合の計算結果である。図では、1MeVの中性子線を20回照射し
た場合を想定している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20
回行い、それを重ね合わせることを意味している。遮へい材が仮想検出器の前に配置され
ていないため、高エネルギーの中性子線が仮想検出器上を通過していることが分かる。こ
れも、図4と同様に全く遮蔽を行っていないため、スコアは非常に悪くなる。
は、図4の配置において、中性子線を遮る形でコンクリートブロック20a〜20dを4つ配置した場合の計算結果である。図では、1MeVの中性子線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合を想定している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。γ線の場合とは異なり、コンクリートブロック4個で遮へいできていることが分かる。中性子線の遮へいに適したコンクリートブロックを用いており、仮想検出器の座標上を放射線が通過していないため、図から図12の中で最も良いスコアが期待できる。
10は、図4の配置において、さらに中性子線を遮る形で鉛ブロックを1つ配置した場合の計算結果である。図12では、1MeVの中性子線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合を想定している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。透過した中性子線のエネルギーは低下しているものの、γ線の場合と比べて激しいカスケードシャワーが発生している様子が分かる。遮へい材として鉛ブロックを使用しているため加点は無いが、仮想検出器上を通過する放射線の総エネルギー量は低下しているため、図4よりは良いスコアが期待できる。
11は、図4の配置において、さらに中性子線を遮る形で鉛ブロックを2つ配置した場合の計算結果である。図11では、1MeVの中性子線を仮想検出器に向けて、20回照射した場合を想定している。ここで、20回照射とは、一回照射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。γ線の場合は鉛ブロック2個で完全に遮へいできていたものの、中性子線の場合は遮へいできていないことが分かる。コンクリートブロックに含まれる水分量にも左右されるが、中性子線の遮へい材としてはコンクリートブロックの方が効果的であることが分かる。遮へい材として鉛ブロックを使用しているため加点は無いが、仮想検出器上を通過する放射線の総エネルギー量は図5よりさらに低下しているため、図5よりは良いスコアが期待できる。
12は、図4の配置において、1MeVの中性子線をターゲットの位置に関係なく、等方向に放射した場合の計算結果である。図12では、1MeVのγ線を等方向に20回放射した場合で計算している。ここで、20回放射とは、一回放射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。両側のコンクリートブロックに当たった後、反射してターゲットに当たっているものが見て取れる。図12では、エネルギーの弱い放射線しか仮想検出器上を通過していないため、図10、図11に比べると良いスコアが期待できるが、状況が異なるため、比較はできない。そのため、スコアを比較する場合には、一方向に照射した場合と、等方向に放射した場合で分けて考えなくてはならない。
13は、図4の配置において、さらに等方向に放射された中性子線を遮る形でコンクリートブロックを4つ配置した場合の計算結果である。図13では、ターゲットの位置に関係なく、1MeVのγ線を等方向に20回放射した場合で計算している。ここで、20回放射とは、一回放射した際に行われる計算を20回行い、それを重ね合わせることを意味している。反射した中性子線を遮へいするには効果な配置ではないことが分かる。仮想検出器の座標上を通過する放射線の総エネルギー量は図12の場合とほとんど変わらないが、中性子線の遮へいに適したコンクリートブロックを使用しているため、加点が行われる。
以上に説明した図4〜図13の結果から、実施例1の放射線の遮へい方法学習教材によれば、γ線を遮へいするためには鉛を遮へい材として用いるのが適切であり、中性子線を遮へいするためにはコンクリートを用いるのが適切であることが確認できる。加えて、たとえ適切でない遮へい材であっても放射線は減衰することから、放射線を遮へいする際には遮へい材の種類だけでなく、厚さも重要であることを確認することができた。また、放射線は物質に当たった際に、角度によっては反射することから、反射した放射線も含めて遮へいを考えなくてはならないことを確認することができた。
1 コンピュータ
2 プロジェクター
3 カメラ
4 遮へい材
5 仮想放射線源
6 仮想検出器
7 作業台
8 ARタグ
9 支持柱
10 プロジェクター接続用ケーブル
11 カメラ接続用ケーブル
12 本体
13 ダイヤル
14 スイッチ
15 スコア表示
16 放射線の種類と強度の表示部
17 放射線の軌跡
18 遮へい材内部でのカスケードシャワー
19 仮想検出器を想定したターゲット
20 コンクリートブロック
21 鉛ブロック
22 エネルギー分布の形で表された放射線の軌跡

Claims (3)

  1. 複数のARタグが配置された遮へい材と、
    無線通信手段を有し、ARタグが配置された仮想放射線源と、
    ARタグが配置された仮想検出器と、
    基準ARタグが配置された作業台と、
    作業台上の作業領域を撮影するカメラと、
    演算装置、記憶装置および表示装置を有し、カメラおよび仮想放射線源と通信可能なコンピュータと、を備えた放射線の遮へい教材であって、
    コンピュータが、カメラから受信した作業領域画像を記憶装置に記憶する手段と、
    記憶装置に記憶した作業領域画像から基準ARタグを認識し、基準座標情報を取得し記憶装置に記憶する手段と、
    記憶装置に記憶した作業領域画像に含まれる配置物である遮へい材、仮想放射線源、仮想検出器のARタグを認識し、配置物の種類および配置物座標情報を取得し記憶装置に記憶する手段と、
    仮想放射線源から受信した放射線の種類および強度を含む放射線情報を記憶装置に記憶する手段と、
    記憶装置に記憶した基準座標、配置物座標情報および放射線情報に基づき、放射線軌道を算出し、記憶装置に記憶する手段と、
    算出した放射線軌道を基に仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数を算出し、記憶装置に記憶する手段と、
    撮像領域の画像、放射線軌道、並びに、仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数を表示装置に表示させる手段と、
    を備えることを特徴とする放射線の遮へい教材。
  2. コンピュータが、記憶装置に記憶した作業領域画像に含まれる配置物である遮へい材のARタグを認識し、遮へい材の種類を判別し、記憶装置に記憶する手段と、
    仮想検出器に到達した放射線の強度および/または個数と遮へい材の種類を基にスコアを算出する手段と、
    算出したスコアを表示装置に表示させる手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1の放射線の遮へい教材。
  3. 前記表示装置が、作業台上に画像を投影するプロジェクターを含み、
    コンピュータが、プロジェクターにより作業台上に放射線の軌跡を表示させることを特徴とする請求項1または2の放射線の遮へい教材。
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