以下、図面を用いながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、便宜上別個の実施例として説明するが、各実施例を組み合わせることで、組み合わせの効果を得て、更に、有用性を高めることもできることはいうまでもない。
〔a〕第1実施形態の説明
この例では、中継局は、無線端末から受信した信号を処理してから無線基地局に送信することとする。
これによれば、中継局が無線端末、無線基地局との間の通信に積極的に関与し、例えば、必ずしも必要とされない信号を無線基地局に対して送信する必要がないため、無線基地局による無線端末の管理が円滑に行われる。また、中継局によっても処理可能な信号の処理を中継局で行うことで、無線基地局の処理負担を軽減することができる。また、無線端末がどの中継局を介して接続してきているのかを無線基地局で管理することができる。
・「基本的なシステム構成」
図1は、無線通信を利用して無線通信を行う無線基地局と無線端末を含む無線通信システムの例として、IEEE802.16に規定された無線通信システムに、中継局を新たに導入した場合の処理シーケンスを示したものである。もちろん、この処理シーケンスは、他の無線通信システムに適用することもできる。
まず、各装置の基本的な役割について簡単に説明する。
図において、BS(Base Station)は、無線基地局を示し、この無線通信システムによる無線通信サービスを提供するエリアに分散配置された1つのBSを示す。従って、当該BSの形成する無線エリアに隣接する無線エリアを形成する他のBSも存在するが、ここでは図示を省略する。
尚、この無線通信システムにおいては、MS、RSの送受信チャネル(上り及び下り方向)は、MAPデータと称される送受信チャネルの定義データにより制御される。
MAPデータは、例えば、送受信タイミング、送受信に用いるサブチャネル情報、変調方式及び誤り訂正符号化方式をあらわすコード値、コネクションを識別するためのCID(Connection ID)を含み、MS、RSは、CIDにより自身に関係のあるコネクションかどうかを識別し、自身に関係のあるCIDに対応する送受信タイミング、サブチャネルで無線通信(無線信号の送信又は受信)を行う。従って、MAPデータは、送受信領域を定義していると解することもできる。尚、MAPデータのうち上り方向(MSからRS(BS)側又はRSからBS側への方向)の通信領域を定義するデータをUL(Up Link)−MAPデータ及び下り方向(BSからRS(MS)側又はRSからMS側への方向)の通信領域を定義するデータをDL(Down Link)−MAPデータと称する。
MSは、無線端末を示し、BSの形成する無線エリア内に在圏することで、BSと無線通信を行うことができる。尚、無線端末は、場所を変えて(例えば移動しながら)通信を行うことが許容されており、隣接する無線エリアを形成する他の無線基地局の配下に移動した場合は、ハンドオーバ処理を行うことで、無線通信を継続して行うことができる。MSは、BSと直接通信することもできるが、この例では、RSを介してBSと無線通信を行うMSを示している。
RSは、中継局を示し、BSと無線通信可能な状態となるように配置され、BSから受信した信号に基づいてMSへ信号を送信し、逆に、MSから受信した信号に基づいて、BSへ信号を送信することで、不感地帯等の解消を図ることができる。
・「レンジング及び基本機能登録」
次に、図1を用いて、無線端末が無線基地局への接続を開始するためのレンジング及び基本機能登録シーケンス例を示す。図1は、いわゆるネットワークエントリを行う際の処理を示している。
尚、ここでは、BS及びRSの双方がそれぞれMAPデータを生成し、送信するものとする。即ち、BSは、配下のRS及び直接無線通信を行うMSとの間の無線通信の送受信領域を定義すべくMAPデータを送信する。もちろん、送受信すべきデータに基づいてスケジューリングを行い、そのスケジューリングに従ったMAPデータを生成する。
一方、RSは、配下のMSとの間の無線通信の送受信領域を定義すべく、スケジューリングに基づいて、MAPデータを生成し、送信する。
また、BSがMAPデータにより定義する送受信領域とRSがMAPデータにより定義する送受信領域とは、時間的又は周波数(サブチャネル含む)又は拡散コード等により分離され、互いに無線通信に支障を来たさない関係にある。
さて、図1の(1)において、RSは、同期信号としての既知信号(Preamble信号)を送信する。そして、Preamble信号に引き続きMAPデータ(UL、DL−MAPデータ双方含む)及びそのMAPデータにより定義した送信領域でMS宛のユーザデータの送信もRSにより行われる(2)。
MSは、RSから送信されるPreamble信号を受信して、RSが送信する無線フレームへの同期を確立する。尚、MSは、RSとBSとを区別する必要はない。Preambleを検出し、引き続いて送信されるMAPデータに従って送受信を行う処理は、BSとの間で無線通信を行う場合もRSとの間で無線通信を行う場合も同じ処理でよいからである。
さて、MSは、Preambleを基準として、MAPデータ(DL及びUL)を受信し(2)、DL−MAPデータで定義された送信領域を検出し、その送信領域で送信されるDCD、UCDを受信する。尚、DCD、UCDは、ブロードキャストされるデータであるため、DL−MAPデータにおけるその送信領域の定義情報及びその送信領域には、ブロードキャストコネクションIDであるBCが格納されている。以下、図面において、メッセージの先頭に記載したBC、IR、Bms、Brsはそれぞれ送信に用いられるコネクションID(CID)を示し、順に、ブロードキャストCID、Initial Ranging CID、MSのBasic CID、RSのBasic CIDを示す。
DCD(Downlink Channel Descriptor)の役割の一つとして、ダウンリンクの変調方式及び誤り訂正符号化方式をあらわすコード値DIUC(Downlink Interval Usage Code)と変調方式及び誤り訂正符号化方式(符号化レート含む)の関係を定義することにある。例えば、DIUC=3は、16QAM、畳み込み符号、符号化レート3/4と定義する。そして、DL−MAPに、DIUC=3と定義するだけで、その領域が16QAM、畳み込み符号、符号化レート3/4で符号化・変調されていることをRSまたはMSに通知することができる。同様に、UCD(Uplink Channel Descriptor)は、アップリンクの変調方式及び誤り訂正符号化方式をあらわすコード値UIUC(Uplink Interval Usage Code)と変調方式及び誤り訂正符号化方式(符号化レート含む)の関係を定義する。
従って、DCDおよびUCDから、DIUCおよびUIUCの定義を受信することで、MSまたはRSは、DL−MAPまたはUL−MAPを解釈することができるようになる。さて、MSは、(2)におけるUL−MAPデータの受信又は次のフレームにおけるUL−MAPデータの受信により、MSによる接続を要求することを表すRanging Codeの送信が許容される送信領域を取得する(3)。Ranging領域は、MSから所定の信号(ここでは、CDMA Ranging Code)を送信するための領域であり、RSは、この領域をMAPデータによりMSに通知する。Ranging領域は、例えば、複数の領域からなる領域とすることもでき、第1MSが第1の領域で所定の信号を送信し、第2MSが第2の領域で所定の信号を送信することを許容するこができる。
CDMA Ranging Code(信号列)としては、例えば、所定数の複数のコード(信号列群)の中から選択的に用いることが好ましい。例えば、コードの送信の際に、MSが、複数のコードの中から1つを選択して送信するのである。選択の際には、ランダムにコードを選択することで、複数のMSがコードを共用する場合でも、同じコードを選択する可能性を低下させることができる。
さて、Ranging信号の送信領域を取得したMSは、Ranging領域内のいずれかの領域(例えば第1の領域)を選択し、選択した領域で、選択したCDMA Ranging Code(例えば、コード1)を送信する(4)。
尚、ここではCDMA Ranging Codeは、Initial Ranging用のCDMA Codeであるが、MSが他のBSからハンドオーバしてきた場合は、HO Ranging用のCDMA Codeを送信することになる。
RSは、Ranging信号の送信領域で送信されたCDMA Ranging Codeを受信し、その受信タイミング(例えば、いずれの領域であるか)、コードの種類(ここでは、コード1)等のコード受信情報を記憶する。また、コード受信情報の他に、コード受信時の周波数(サブチャネル)との基準周波数とのずれ、受信電力レベルと基準受信レベルとのずれ、受信タイミングの基準タイミング(MAPデータで定義したRanging領域の送信領域)からのずれ(タイミングの誤差)等を測定し補正値(MSの送信パラメータの補正値)として記憶しておく。
そして、RSは、RNG−REQメッセージをBSに送信する(5)。
RNG−REQメッセージの送信タイミングについては、BSが送信するUL−MAPデータにより定義されたRSからBSへデータ送信が可能な領域を用いて行われる。即ち、BSにより定義されたBSとRSとの間のデータ送受信領域を用いた通信リンク(MMRリンク)が用いられる。但し、ここでは、上り方向のMMRリンクである。また、MMRリンクは、RS毎に異なる領域を割り当てておくことが望ましい。競合を避けるためである。
RNG−REQメッセージの内容としては、レンジングを要求するメッセージとすることができる。具体的には、コネクションIDとしてRSのベージックCID(例えばBSから予め割り当てられたCIDで、無線端末や、BS配下の他の中継局と区別可能なIDとする。ここでは、Brsである。)とし、新たなMSがエントリした(接続を要求する新たなMSが存在する)ことを知らせる内容のデータ(New MS)を含むメッセージとすることができる。
ここで、New MSは、New MSを含むRNG−REQメッセージを送信する毎に変化(インクリメント)されるデータ(番号)とすることが好ましい。例えば、RSは、Ranging領域の第1の領域でコード1を受信し、続いて、第2の領域でコード2を受信し、それぞれのコードに対するRNG−REQメッセージを送信した場合は、それぞれSN=1、SN=2として設定し、送信することができる
以上が(5)で送信されるメッセージの内容の例であるが、好ましくは、このメッセージは、コードを受信したときの周波数、受信電力レベル、タイミングのずれが所定の範囲内(補正不要)のとき("Success"ステータス)の場合に、BS側に送信され、そうで無い場合は、送信されないようにすることができる。誤差が大きい場合、MSから再度、CDMA Codeの送信を行わせ、再度送信されたCDMA Codeに基づいて、RNG−REQメッセージを生成し、BSへ送信すればよいからである。これにより、BSへ送信されるメッセージを減らすことができ、BSの処理負荷が軽減される。
さて、RNG−REQを受信したBSは、CIDにより、メッセージの送信元の中継局を判別することができる。そして、メッセージが新たなMSがエントリしたことを示すため、別途管理、記憶しているBS自身の通信リソース(無線チャネル、無線通信ユニット等)、RSの空きリソース状況を参照して、新たなMSを受け付けることができるか否かを判断する。
そして、その結果をRNG−RSPメッセージとしてRSに送信する(6)。送信領域は先に説明したようにBSのMAPデータにより定義されたMMRリンクを利用することができる。CIDとしては、Brsを用いることができる。
このRNG−RSPメッセージには、例えば、MSを受け付けることができる場合は、"Success"ステータス、受け付けることができない場合は、"Abort"ステータスを格納することができる。必要であれば、更に、受信したNew MSと同じNew MSを格納する。
RNG−RESPメッセージをBSから受信したRSは、BSから通知されたステータスが、"Success"であれば、MSのRanging処理を継続する。すなわち、RSが受信したRanging CDMA Codeの受信周波数、受信電力レベル、受信タイミングに補正が必要であれば補正値を含むRNG−RSP("Continue"ステータス)を応答メッセージとして送信する。
尚、補正値は、Ranging CDMA Codeの受信の際に取得しており、先の例では記憶している。補正値の検索は、New MSと対応させて記憶することで、New MSをキーとして対応する補正値を取得することができるが、他の識別情報をキーとしてもよい。
補正が不要であれば、RNG−RSP("Success")を応答メッセージとして送信する(7)。
一方、RSは、BSから通知されたステータスが"Abort"であれば、MSに対するRNG−RSPを"Abort"ステータスとして送信する。"Abort"ステータスのRNG−RSPを受信したMSは、RSに対する接続処理を中止し、他のBS又はRSを探査する。即ち、他のPreambleの受信を試みる。
尚、RSはBSのリソースが十分に有るときなどはRanging Codeの受信に応じて接続要求を行っているMSの存在を通知するRNG−REQをBSに送信するステップを省略することもできる。即ち、(5)、(6)によるBSとのやりとりを省略し、(7)によるRNG−RSP("Continue"ステータス)又はRNG−RSP("Success")を送信することもできる。これにより、処理の高速化が図られる。BSから許容可能なMSの数をMMRリンクを介してRSに通知しておき、その数内であれば、上述省略処理をRSが行うこととしてもよい。
尚、MSに対するRNG−RSPメッセージは、DL−MAPデータにおいてコネクションIDとしてのIR(Initial ranging)に対応づけられた送信領域で送信される。IRは、レンジング処理用に用いる固有の1つのIDとすることができる。このとき、RNG−RSPは、CDMA Ranging Codeを送信した全ての無線端末が受信可能となるため、RNG−RSPのメッセージの中身に、CDMA Ranging Codeの受信情報を格納し、RNG−RSPの送信先を特定可能とすることが好ましい。尚、先の例では、RSは、CDMA Ranging Codeの受信情報を記憶しているので、New MS等をキーとして検索し、検索した受信情報を送信すればよい。
RNG−RSPを受信したMSは、ステータスが"Continue"の場合、RNG−RSPに含まれる補正値に従って、周波数、送信電力、タイミングを調整して、再度、Ranging CDMA CodeをRSに送信する(図示省略)。ステータスが"Success"の場合、同じフレーム内又は後続するフレーム内の、UL−MAPデータに含まれるCDMA Allocation IEを受信する(8)。
UL−MAPデータに含まれるCDMA Allocation IEは、コネクションIDとして、BCが用いられているため、RS配下の全ての無線端末が受信可能となるが、RNG−RSPと同様に、CDMA Allocation IEには、コードの受信情報が格納されている。従って、MSは、自身が送信したコードの種類(コード1)、タイミング(領域1)と、CDMA Allocation IEに格納されたコードの受信情報とのマッチングをとって、一致すると判断すると、自身宛のメッセージとして受信し、CDMA Allocation IEにより定義された送信領域を検出する。RS側では、割り当てた送信領域と、New MS等のMSの識別情報との対応関係を記憶しておく。
さて、自身宛のCDMA Allocation IEを受信したMSは、MSの識別情報であるMAC Address(MSID)を含むRNG−REQメッセージを、先に検出した送信領域でRSに送信する(9)。尚、その際、コネクションIDとしては、IRを用い、同じくRNG−REQメッセージに格納する。
RSは、CDMA Allocation IEで指定された送信領域でRNG−REQメッセージを受信すると、その送信領域に対応するNew MSを特定し、RNG−REQメッセージを生成してBSに送信する。
この段階で、MSの識別情報(MSID)を取得しているため、このRNG−REQメッセージにMSIDが含まれていることで、RSが送信するRNG−REQメッセージが、MSからのレンジング要求であることを示される。好ましくは、更に、New MSを含む。
RSは、RSのベーシックCIDであるBrsをこれらの情報に付加してRNG−REQメッセージとして生成し、MMRリンクにてBSに送信する(10)。
RSからRNG−REQを受信すると、BSは、そのメッセージのヘッダに含まれるCID(Brs)から送信元RSを特定する。また、ペイロード部に含まれるMSのMAC Address(MSID)とRSとを関係付けて記憶する。これにより、MSIDで識別されるMSがどのRS配下に存在するかを管理することができる。尚、RNG−REQに含まれるNew MSにより、(5)、(6)で、ステータスにより"Success"としたMSと同じMSがRNG−REQを送信してきたかどうかをチェックすることもできる。(5)で受信したことがないNew MSである場合は、その後の処理をリジェクトとして処理を終了することもできる。
さて、RNG−REQメッセージを受信したBSは、更に、MSに対してBasic CIDとPrimary CIDを生成し、これらのデータに加えて、MSIDを付加したRNG−RSPメッセージを生成し、RSに応答送信する。その際、コネクションIDとしては、Brsを用いることができ、先と同様にMMRリンクを介してデータ領域で送信する(11)。
BSからMS宛のBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPメッセージを受信したRSは、ヘッダ内のコネクションIDをIRに変換して、変換後のRNG−RSPメッセージをMSに転送する(12)。尚、コネクションIDは、それに対応するデータの送信領域の定義情報とともに、DL−MAPデータに格納されるとともに、その送信領域に格納されるデータのヘッダ部にも格納される。
DL−MAPデータのコネクションIDであるIRに基づき、対応するデータ送信領域の受信を行ったMSは、Basic CIDやPrimary CIDが含まれるRNG−RSPメッセージを受信する。ここで、MSIDも同様に格納されているため、メッセージが自身宛かどうかの判断は容易に行うことができる。
以後、MSは、自身の能力をBSに通知する処理を行う。
即ち、取得したBasic CIDをコネクションIDとして用いて、SBC−REQメッセージをRSに送信する。即ち、UL−MAPデータにより送信可能な領域として指定された送信領域でSBC−REQメッセージ(Basic CID含む)を送信する(13)。
MSからSBC−REQメッセージを受信したRSは、MSのBasic CIDを使ったまま、そのメッセージをMMRリンクを用いてBSに転送する(14)。
RSからSBC−REQメッセージを受信したBSは、MSが通知してきたMSの能力のうち、MS、RS、BSが共にサポートできる機能をMSに通知するSB−RSPメッセージを生成し、MMRリンクを用いてRSに送信する(15)。その際、コネクションIDは、MSのBasic CIDを用いる。尚、通知内容をBS側でもMSに対応させて記憶しておく。
尚、MMRリンクにおけるコネクションIDとして、Brsを用いることもできる。その場合、MSを特定するための情報をメッセージに格納することが望ましい。格納すべき情報としては、例えば、MSID、MSのBasic CIDが挙げられる。これらの情報により、BSがMSの識別を行うことができ、使用する能力を判断する対象のMSを特定することができる。別の方法として、MSのBasic CIDと一対一に対応する他のCIDを使って、MMRリンクを用いたメッセージの送受信((14)、(15))を行う方法もある。
RSは、SBC−RSPをMSに転送する(16)。コネクションIDは、Basic CIDを用いることができる。
以上が、レンジング、基本機能登録シーケンスである。これによれば、コードの受信情報等をBSに送信しなくてもよいため、伝送路効率の低下を抑制することができる。また、BSによるMSの管理が容易となる。
尚、RSはMSとBSとの間でやりとりされるメッセージを中継する過程において、メッセージに含まれる情報を取得し、記憶してもよい。
例えば、MSのMACアドレス(MSID)、Basic CID、Primary CID、SBC−REQ、SBC−RSPメッセージで通知されるMSサポート機能をBSだけでなく、RSでも管理可能とするのである。
これにより、例えば、RSは、MSがサポートする変調方式や誤り訂正符号化方式を適切に選択することができるし、BSからの問い合わせにより記憶内容を送信することもでき、バックアップ装置としても機能することができる。
・「RS、BSにおける処理フロー」
次に、各装置における処理フローについて以下に説明する。
図2は、Ranging CodeをMSから受信したときのRSの処理フロー、図3は、RNG−REQをMSから受信したときのRSの処理フロー、図4は、RNG−RSPをBSから受信したときのRSの処理フロー、図5は、RNG−REQを受信したときのBSの処理フローをそれぞれ示す。
・Ranging CodeをMSから受信したときのRSの処理フロー(図2)
この処理フローは、主にRSの制御部により実行される。
RSは、MSからRanging Codeを受信したかどうか判断する。Noの場合、再度次の受信チェックを行う。Yesの場合、次のステップに進み、ステータスの判定を行う。成功(Success)であれば、Yesとして、下方のステップに進み、成功でなければNoとして右側のステップに進む。
Yesの場合、新しいMSの接続要求があることを表す情報“New MS"を含むRNG−REQメッセージを作成し、ヘッダのCIDフィールドにRSのBasic CIDを付与してNRG−REQメッセージをBSに送信する。
Noの場合、ステータス"Continue"を含むRNG−RSPメッセージをMSに送信する。その際、CIDはInitial Ranging(IR)とする。
・RNG−REQをMSから受信したときのRSの処理フロー(図3)
この処理フローは、主にRSの制御部により実行される。
RSは、RNG−REQをMSから受信したか否か判断する。Noの場合、再度次の受信チェックを行う。Yesの場合、次にステップに進み、CIDがIRか否か判断する。ここで、Noの場合、MSの周期的なRanging処理を行う。即ち、最初に行うInitial Rangingではなく、その後周期的に行うRanging処理としてMSの送信パワー、送信タイミング、送信周波数ずれなどを補正する信号を生成してMSに送信する。
一方、Yesの場合、受信したRNG−REQメッセージのヘッダのCIDをRSのBasic CIDに変換し、そして、RNG−REQメッセージをBSに送信する。New MSをメッセージに含めることもできる。
・RNG−RSPをBSから受信したときのRSの処理フロー(図4)
この処理フローは、主にRSの制御部により実行される。
まず、RSは、RNG−RSPを受信したか否か判定する。Noの場合、再度次の受信チェックを行う。Yesの場合、CIDがIR以外かどうか判断する。IRの場合Noとなり、RSのInitial Ranging処理を行う。
Yesの場合(例えば、Brsの場合)、"New MS"フラグが有るか否か判断する。Noの場合、MSIDが有るか判断し、有りの場合、RNG−RSPのヘッダのCIDをIRに変更し、MSに送信する。無しの場合、RS自身の周期的なRanging処理として、RNG−RSP内の補正情報に従って、周波数、送信電力、タイミングを調整する。
一方、"New MS"フラグが有りと判断した場合は、Yesとなり、ステータスがSuccessであるか否か判断する。Successである場合、"Success"のステータスを含むRNG−RSPをIRでMSに返送する。ステータスがSuccessでない場合、ステータスとして"Abort"を含むRNG−RSPをIRでMSに返送する。
・RNG−REQを受信したときのBSの処理フロー(図5)
この処理フローは、主にBSの制御部により実行される。
まず、BSは、RNG−REQを受信したか否か判定する。Noの場合、再度次の受信チェックを行う。Yesの場合、次にCIDがIR以外か否か判定する。No、即ち、IRの場合、BSが直接通信するMSあるいはRSのInitial Ranging処理を行う。
CIDが、IR以外である場合、次にCIDがRSのBasic CIDであるか否か判定する。Noの場合は、MSの周期的Ranging処理を行う。
CIDが、RSのBasic CIDである場合は、"New MS"フラグ有りか否か判断する。"New MS"フラグがある場合、新規MSの受付が可能か否か判断する。可能な場合は、ステータスとして"Success"を含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQと同じCIDを使って、RSに送信する。新規MSの受付が不可能な場合、ステータスとして"Abort"を含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQと同じCIDを使ってRSに送信する。
さて、先の判定で"New MS"フラグが無い場合は、MS MACアドレス(MSID)が有るか否か判断し、無しの場合は、RSの周期的Ranging処理を行う。MS MACアドレスが有る場合は、RNG−REQ中のMACアドレス(MSID)をメッセージヘッダのCIDで表されるRSと関連付けて記憶する。そして、Basic CID及びPrimary CIDを含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQと同じCIDを使ってRSに送信する。
・「各装置の構成図」
図6は、BS(1)のブロック構成を示す。
図において、10はRS、MSとの間で無線信号を送受信するためのアンテナ、11はアンテナ10を送受信系で共用するためのデュプレクサ、12は受信部、13は受信信号を復調する復調部、14は復調した受信信号を復号する復号化部、15は復号データから制御データを抽出し、レンジング制御部26に与えるとともに、ユーザデータ等の他のデータをパケット再生部16に転送する制御メッセージ抽出部、16は制御メッセージ抽出部から転送されたデータをパケット化してNWインタフェース部17に引き渡すパケット再生部を示す。
17は不図示のルーティング装置(複数の無線基地局と接続されており、パケットデータ等のデータの方路制御を行う装置)との間のインタフェース(ここではパケット通信を行うこととする)を形成するインタフェース部であり、18はパケット識別部であり、NWインタフェース部17から受信したパケットデータに含まれるIPアドレスを識別し、IPアドレスデータに基づき宛先MSを特定(例えば、IPアドレスデータとMSのIDの対応を記憶しておき、対応するMSのIDを取得)するとともに、IDに対応するQOS(同様にIDに対応させて記憶しておく)情報を取得し、MAP情報生成部21にID、QOS情報を与えて帯域割り当て要求を行い、NWインタフェース部17から渡されたパケットデータをパケットバッファ部19に格納する。
21はMAP情報生成部を示し、帯域割り当て要求を受けると、MSのIDをキーとして検索することで通信経路を特定(経由する中継局を特定)し、QOSに応じたマッピングエリアを下りデータ送信領域のいずれかに設定したMAPデータを生成するとともに、それに従った無線フレームを構成するように、PDU生成部20に指示する。
20はPDU生成部を示し、同期信号(プリアンブル)を基準として形成される無線フレームの各領域にMAPデータ、送信データが格納されるようにPDUを生成し、符号化部22に送出する。22は符号化部、23は変調部、24送信部をそれぞれ示し、順にPDUデータを誤り訂正符号化等の符号化処理を施してから変調し、送信部24からアンテナ10を介して無線信号として送信する。
25、26は、BSの各部の制御をする制御部に含まれる制御メッセージ生成部、レンジング制御部をそれぞれ示す。
制御部は、記憶部と接続されており、記憶部には、BSが記憶すべき各種データが記憶される。例えば、MS毎に決定した能力情報や、直接無線通信を行うMSか、そうでないか、更には、どのRSを介して無線通信を行うMSであるかを示す情報を記憶する。また、BS、RSのリソースの使用状況を管理記憶するためにその記憶部を利用する。
制御メッセージ生成部25は、レンジング制御部26からの指示に従って、各種制御メッセージを生成してPDU生成部20に送信データとして与える。また、送信領域確保のために、MAP情報制生成部21に送信領域の確保の依頼を行う。その際、MAPデータの作成に必要な情報(コネクションID等)もあわせてMAP情報制生成部21に与える。
26は、レンジング制御部を示し、制御メッセージ抽出部15で抽出した制御メッセージ(例えばRNG−REQ)を解析し、メッセージヘッダ中のCIDを解析し、制御メッセージ生成部25にRNG−RSPの生成、送信を依頼する。
CIDがInitial Ranging(IR)用CIDの場合、BS配下のMSあるいはRSからのレンジング要求メッセージを意味するので、MSの周波数、送信電力、タイミングの補正が不要な場合、RNG−REQに含まれるMACアドレスとともに、"Success"ステータスやBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPを生成し、CID=IRとして送信するように制御メッセージ生成部25に通知する。
一方、補正が必要な場合においては、RNG−REQに含まれるMACアドレスとともに、"Continue"ステータス、必要な補正情報を含むRNG−RSPを生成し、CID=IRとして送信するように制御メッセージ生成部25に通知する。
CIDがIR用ではなく、MSのBasic CIDの場合、MSのPeriodic Rangingを行う。前述のIRの場合と同様に、補正の有無に応じた内容を含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQのBasic CIDを用いて、RNG−RSPを送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。
CIDがIR用ではなく、RSのBasic CIDの場合、RNG−REQメッセージのペイロードに"New MS" Indicatorが存在するか否かで処理が分かれる。
"New MS" Indicatorが存在しない場合、MS MACアドレス(MSID)の有無で更に処理が分かれる。MS MACアドレス(MSID)が含まれない場合、RSの周期的Ranging処理を行う。一方、MS MACアドレスが含まれる場合、受信したRNG−REQは、MSから送信され、RSで中継されたメッセージを意味する。このとき、RNG−REQ中のMS MACアドレスと、RNG−REQメッセージのヘッダ内に含まれるRSのBasic CIDを関連付けて管理し、当該MSが接続しているRSを識別できるようにする。次に、MSに割当てるBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPメッセージを生成し、RSのBasic CIDを用いて、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。MSとRSの関連付けおよびMSのBasic CID、Primary CIDは、MS管理テーブルで管理する。
図7にMS管理テーブルの例を示す。
先に説明した記憶部に記憶される内容の一部を示している。
図のように、MS管理テーブルは、MSのMACアドレス(MSID)に対応させてRSを介した通信を行うか否か、RSを介するとすればどのRSかを示す情報及びBasic ID、Primary IDを管理、記憶している。
さて、"New MS" Indicatorが存在する場合、新規のMSの受け付け可否を判断する。受け付け可否は、例えば、無線リソースの空き具合や管理テーブルの空き容量などの各種リソースの使用状況で判断することができる。新規MSの受付が可能であれば、"Success"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQと同じCIDを利用して、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。一方、新規MSの受付が不可の場合、"Abort"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQと同じCIDを利用して、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。
図8は、RS(2)のブロック構成を示す図である。
図において、30はBS、MSとの間で無線信号を送受信するためのアンテナ、31はアンテナ10を送受信で共用するためのデュプレクサ、32は受信部、33は受信信号を復調する復調部、34は復調した受信信号を復号する復号化部、35は復号データから(BSから受信した)MAPデータを抽出しMAP情報生成及び解析部36に与えるとともに、BSから受信したMS宛のデータをPDUバッファ部38に転送する制御メッセージ抽出部35を示す。MSから無線信号を受信した場合も同様に、BSに対して送信すべくPDUバッファ部38に受信データを転送する。また、制御メッセージ抽出部は、受信したメッセージから制御メッセージ(RNG−REQやRNG−RSP)を抽出し、レンジング制御部39に渡す。
37は、Code受信部を示し、MSからのRanging Code (Initial Ranging及びHandover Rangingを含む)を受信すると、受信信号の周波数、受信電力レベル、タイミングに補正が必要か否かを判断し、そのStatus (Success/Abort/Continue)と受信したCodeに関する情報、例えば、Codeを受信したフレーム番号、サブチャネル、Code値等のコード受信情報を補正値とともに、レンジング制御部39に通知する。
39、40は、RSの各部の制御をする制御部に含まれるレンジング制御部、制御メッセージ生成部をそれぞれ示す。
制御部は、記憶部と接続されており、記憶部には、RSが記憶すべき各種データが記憶され、例えば、コード受信情報、補正値情報等の情報が記憶される。
レンジング制御部39は、Code受信部37からの情報を受信すると、ステータスが"Success"の場合、"New MS" Indicatorを含むRNG−REQを生成し、RSのBasic CIDでBSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。一方、ステータスが"Continue"の場合、補正情報とCodeに関する情報を含むRNG−RSPメッセージを生成し、Initial Ranging用CIDでMSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。
また、制御メッセージ抽出部35からRNG−REQメッセージを受信すると、そのメッセージのヘッダ中のCIDがInitial Ranging用CIDか否かを判断する。IR用CIDの場合、受信したRNG−REQメッセージのヘッダ中のCIDフィールドをRSのBasic CIDに変更し、BSに送信するように制御メッセージ生成部40に通知する。一方、IR用CIDではない場合、すなわち、MSのBasic CIDの場合、通常のMSの周期的Ranging処理を行う。
更に、制御メッセージ抽出部35からRNG−RSPメッセージを受信すると、まず、CIDがInitial Ranging用CIDか否かを判断する。IR用CIDの場合、RSのInitial Ranging処理を行う。即ち、RNG−RSPに含まれるMACアドレスが自身のMACアドレスであれば、そのメッセージ中のBasic CIDおよびPrimary CIDを記憶し、以後の、制御メッセージの送受信に用いる。一方、IR用CID以外の場合、さらに、メッセージ中に、"New MS" Indicatorが含まれるか否かで処理が分かれる。"New MS" Indicatorが含まれる場合、メッセージ中に"Success"ステータスが含まれていれば、"Success"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、IR用CIDでMSに返送するように制御メッセージ生成部40に通知するが、"Success"ステータスが含まれていない場合、"Abort"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、IR用CIDでMSに返送するように制御メッセージ生成部40に通知する。一方、"New MS" Indicatorが含まれていない場合、そのメッセージ中に、MSID、すなわち、MS MACアドレスが含まれていれば、受信したRNG−RSPのヘッダ中のCIDフィールドをIR用CIDに変換して、MSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。
制御メッセージ生成部40は、レンジング制御部39からの指示に従って、各種制御メッセージを生成してPDU生成部41に送信データとして与える。また、送信領域確保のために、MAP情報制生成・解析部36に送信領域の確保の依頼を行う。その際、MAPデータの作成に必要な情報(コネクションID等)もあわせてMAP情報制生成・解析部36に与える。
MAP情報生成及び解析部36は、制御メッセージ抽出部35から転送されるBroadcast CIDを使って、BSからのDL−MAPおよびUL−MAPに従って、BSとのダウンリンク、アップリンク通信(MMRリンク)を制御するとともに、RSに接続するMSに対して、自身で行うスケジューリングに従って、DL−MAP、UL−MAPを生成し、Broadcast CIDによりMSに送信する。RSがMAPデータ及び対応するデータを送信するフレームにはBSと同様にPreambleを含めて送信する。MSにおける同期確立のためである。
38はパケットバッファ部を示す。MAP情報生成及び解析部36で生成したMAPデータに従って、無線通信を行うように、PDU生成部41に、パケットデータが転送される。
41は、PDU生成部を示し、MAP情報生成及び解析部36で生成したMAPデータと、そのMAPデータで定義された領域で送信すべきデータをパケットバッファ部38及び制御メッセージ生成部40から取得し、全送信データとして符号化部41に引き渡す。
42は符号化部、43は変調部をそれぞれ示し、PDU生成部41からの送信データを符号化し、MAP情報生成及び解析部36で生成した送信タイミング、チャネルでユーザデータの送信を行うように変調処理を施してから送信部44に引き渡す。
44は送信部を示し、送信信号をアンテナ30を介してMS、BS宛に無線信号として送信する。
〔b〕第2実施形態の説明
第1実施例においては、RS自身がMAPデータを生成し、MSに送信することとしたが、この例では、RSがMSに対して送信するMAPデータもBSが生成し、RSにMMRリンクを介して送信することで、RSは、BSから受信したMAPデータを自身が送信するMAPデータとして送信することとする。
これにより、RSは、スケジューリングをBSに任せることができ、RSの処理負荷が軽減され、装置の小型化等が図られる。
図9に、MSがRSに接続を開始するためのレンジングおよび基本機能登録シーケンス例を示す。
図1と対比すると、図1のメッセージ(2)、(3)、(8)に対応するMAPデータである(3)、(5)、(11)が、図9では、BSからRSにMMRリンクを介して与えられた(データ領域において受信した)MAPデータ(2)、(4)、(10)に基づいて送信されていることがわかる。
即ち、図9において、(2)のメッセージが(3)として送信され、(4)のメッセージが(5)として送信され、(10)のメッセージが(11)として送信される。他のメッセージは、図1で説明したものと対応がとれ、処理も同様である。
以下動作について簡単に説明する。
MSは、まず接続するRSからのPreamble信号を受信して(1)、同期を確立する。なお、このとき、MSはRSとBSと区別しておらず、RSをBSと認識している。
BSは、RSがMSに対して送信するDL−MAPやUL−MAPなどのMAP情報を生成し、RSのBasic CIDを用いて、MMRリンクにてデータ領域における送信によりRSに送信する(2)。
MAP情報を受信したRSは、Broadcast CIDを用いて、受信したMAPデータをDL−MAP、UL−MAPデータとしてMSに送信する(3)。尚、(2)と(3)のメッセージの内容は基本的には同じであるが、コネクションIDが変更されている。また、(2)はMMRリンクを介して、データ送信領域(MAP領域により定義された送信領域)により送信されるのに対して、(3)はRSが送信するMAPデータ送信領域で送信される。以後説明する(4)、(10)も同じ関係である。
MSは、DL−MAP、UL−MAP、DCD、UCDといったメッセージを受信して必要な情報を受信した後、Ranging領域を定義したUL−MAPを受信すると(5)、そのMAPにより指定されたRanging領域を利用して、Ranging CDMA CodeをRSに送信する(6)。このときも、UL−MAPはBSで生成されものを、RSで中継処理して送信されている。
Codeを受信したRSは、接続を要求するMSがあることを示す情報("New MS" Indicator)とCDMA Codeに関する受信情報、例えば、Codeを受信したフレーム番号、サブチャネル、Code値、Status等の受信情報、及びMSの送信パラメータについて補正が必要であればその補正値を含むRNG−REQメッセージをBSに送信する(7)。
このとき、ステータスは、そのCodeを受信したときの周波数、受信電力レベル、タイミングの誤差が所定の値以内のときに"Success"ステータス、誤差が所定の範囲以外の場合、"Continue"ステータスとする。また、RNG−REQメッセージは、BSがRSに割当てたBasic CIDを用いて送信される。従って、BSはそのメッセージのCIDより、どのRSに接続要求がきたのかを判別することができる。なお、本シーケンスでは、Initial Ranging用のCDMA Codeを想定しているが、MSが他のBSからハンドオーバするときに用いるHO Ranging用のCDMA Codeを受信した場合も同様の動作をする。
RNG-REQを受信したBSは、自身の空きリソースあるいはRSの空きリソースを記憶部の記憶データを参照して、新たなMSを受け付けることができるか否かを判断し、その結果をRNG−RSPメッセージによりRSに応答する(8)。そのメッセージには、"New MS" Indicatorの他に、例えば、新規MSを受け付けることができる場合、RSから送信されたRNG−REQ内のステータスが"Continue"であれば"Continue"ステータスとCDMA Codeの受信情報、補正値を、"Success"であれば"Success"のステータス情報及びCDMA Codeの受信情報を含むRNG−RSPメッセージを生成し、RSのBasic CIDを用いてRSに送信する。一方、新規MSを受け付けることができない場合、"Abort"のステータス情報及びCDMA Codeの受信情報を含むRNG−RSPメッセージを生成し、RSのBasic CIDを用いてRSに送信する。
RNG−RSPをBSから受信したRSは、そのメッセージに"New MS" Indicatorが含まれる場合、そのIndicatorを削除したRNG−RSPを生成し、Initial Ranging (IR)用CIDを使ってMSに送信する(9)。
また、BSは、"Success"ステータスのRNG−RSPをRSに送信する場合、MSがRNG−REQメッセージを送信するための帯域を割当てるCDMA#Allocation-IEを含むUL−MAPをUL−MAP情報性生成部21により生成し、RSのBasic CIDを利用してMMRリンクを介してRSに送信する(10)。
そのCDMA#Allocation-IEを含むUL−MAPを受信したRSは、Broadcast CIDを用いてそのメッセージをMSに送信する(11)。
RNG−RSPを受信したMSは、ステータスが"Continue"の場合、RNG−RSPに含まれる補正値に従って、周波数、送信電力、タイミングを調整して、再度、Ranging CDMA CodeをRSに送信する(図示していない)。ステータスが"Success"の場合、UL−MAPメッセージに含まれるCDMA#Allocation IEを参照して、MSのMAC Address (MSID)を含むRNG−REQメッセージをRSに送信する(12)。
RNG−REQメッセージをMSから受信したRSは、MSが送信したメッセージのヘッダに含まれるIR用のCIDをRSのCIDに置き換えてBSに転送する(13)。
RSから転送されたRNG−REQメッセージを受信すると、BSは、そのメッセージのヘッダに含まれるCID(RSのBasic CID)からメッセージの送信RSを特定し、また、ペイロード部に含まれるMSのMAC AddressとRSとを関係付けて登録する。すなわち、MACアドレスで識別されるMSがどのRS配下に存在するかを管理できることになる。そして、BSはRNG−REQメッセージを送信したMSにおける制御コネクションであるBasic CIDとPrimary CIDを含むRNG−RSPを生成し、RSに応答する(14)。
BSからMS宛のBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPを受信したRSは、同メッセージのヘッダ内のCIDをInitial Ranging CIDにしてから、そのメッセージをMSに転送する(15)。
Basic CIDやPrimary CIDが含まれるRNG−RSPを受信したMSは、MS自身の能力をBSに通知するためのSBC-REQメッセージをRSに送信する(16)。
MSからSBC−REQメッセージを受信したRSは、メッセージをBSに転送する(17)。
RSからSBC−REQメッセージを受信したBSは、MSが通知してきたサポート機能のうち、MS、RS、BSが共にサポートできる機能をMSに通知するSBC−RSPメッセージを生成し、RSに送信する(18)。このとき、BSがSBC−REQに含まれるサポート機能がだれのものかを判断できるように、SBC−REQメッセージのヘッダに含まれるMSのBasic CIDを使って、そのまま、RSに送信する。その他の方法として、ヘッダにRSのBasic CIDを用い、ペイロード内にMSを表す識別子、例えば、MSのMACアドレスやBasic CIDなどを含めることでも、BSがどのMSのサポート機能なのかを判断することができる。
なお、RSはMSとBS間のメッセージを中継する過程において、メッセージに含まれる情報を取得することもできる。例えば、MSのMACアドレス、Basic CID、Primary CIDをはじめ、SBC−REQ/RSPメッセージで通知されるMSサポート機能をBSだけでなく、RSでも管理することができる。
SBC−RSPメッセージを受信したRSは、そのメッセージをMSに転送する(19)。
図10から図13に、Ranging CodeをMSから受信したときのRSの処理フロー、RNG−REQをMSから受信したときのRSの処理フロー、RNG−RSPをBSから受信したときのRSの処理フロー、RNG−REQを受信したときのBSの処理フローをそれぞれ示す。下記構成の説明における各装置の動作をフローで示しているため、下記説明と合わせて参照することができる。
第2の実施の形態におけるBSのブロック構成例は、図6に示す第1の実施の形態におけるBSと同様である。
・図6に示すBSのブロック構成を用いて、BS動作を説明する。
BSは、制御メッセージ抽出部15において、受信したメッセージから制御メッセージ(RNG−REQ)を抽出し、レンジング制御部26に送る。
レンジング制御部26では、RNG−REQメッセージを解析し、メッセージヘッダ中のCIDを解析し、以下に述べる制御を行い、制御メッセージ生成部25にRNG−RSPの生成、送信を依頼する。
CIDがInitial Ranging(IR)用CIDの場合、BS配下のMSあるいはRSからのレンジング要求メッセージを意味するので、MSの周波数、送信電力、タイミングの補正が不要な場合、RNG−REQに含まれるMACアドレスとともに、"Success"ステータスやBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPを生成し、CID=IRとして送信するように、制御メッセージ生成部に通知する。一方、補正が必要な場合においては、RNG−REQに含まれるMACアドレスとともに、"Continue"ステータス、必要な補正情報を含むRNG−RSPを生成し、CID=IRとして送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。
CIDがIR用ではなく、MSのBasic CIDの場合、MSの周期的Rangingを行う。前述のIRの場合と同様に、補正の有無に応じた内容を含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQのBasic CIDを用いて、RNG−RSPメッセージを送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。
CIDがIR用ではなく、RSのBasic CIDの場合、RNG−REQメッセージのペイロードに"New MS" Indicatorが存在するか否かで処理が分かれる。
"New MS" Indicatorが存在しない場合、MS MACアドレス(MSID)の有無で更に処理が分かれる。MS MACアドレスが含まれない場合、RSの周期的Ranging処理を行う。一方、MS MACアドレスが含まれる場合、受信したRNG−REQメッセージは、MSから送信され、RSで中継されたメッセージを意味する。このとき、RNG−REQ中のMS MACアドレスと、RNG−REQメッセージのヘッダ内に含まれるRSのBasic CIDを関連付けて管理し、当該MSが接続しているRSを識別できるようにする。次に、MSに割当てるBasic CID、Primary CIDを含むRNG−RSPメッセージを生成し、RSのBasic CIDを用いて、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。MSとRSの関連付けおよびMSのBasic CID、Primary CIDは、記憶部に記憶したMS管理テーブルで管理する。
"New MS" Indicatorが存在する場合、新規のMSの受け付け可否を判断する。受け付け可否は、例えば、無線リソースの空き具合や管理テーブルの空き容量などの各種リソースの使用状況で判断することができる。新規MSの受付が可能であれば、RNG−REQ中のステータスが"Success"のときに、"Success"ステータスを含むRNG−RSPメッセージおよびCDMA#Allocation-IEを含むUL−MAPを生成し、RSのBasic CIDを利用して、RSに送信するように、MAP情報制生成部21及び制御メッセージ生成部25に通知する。RNG−REQ中のステータスが"Success"でないときには、RNG−REQ中のステータス及び送信パラメータの補正値を含むRNG−RSPメッセージを生成し、RSのBasic CIDを利用して、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。なお、CDMA#Allocation-IEは、RNG−REQで通知されるCodeに関する情報を元に作成される。一方、新規MSの受付が不可の場合、"Abort"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、RNG−REQメッセージと同じCIDを利用して、RSに送信するように、制御メッセージ生成部25に通知する。
・図14に示すRSのブロック構成を用いて、RS動作を説明する。
基本的には、図8の構成と同様であるが、MAP情報を生成する必要がないため、MAP情報処理部46が設けられている。
Code受信部37は、MSからのRanging Code (Initial RangingおよびHandover Rangingを含む)を受信すると、受信信号の周波数、受信電力レベル、タイミングに補正が必要か否かを判断し、そのステータス(Success/Abort/Continue)と、Codeの受信情報、例えば、Codeを受信したフレーム番号、サブチャネル、Code値等をレンジング制御部39に通知する。尚、補正が必要な場合は、MSに指示すべき補正値もレンジング制御部39に引き渡す。補正値は、記憶部に記憶しておくこともできる。
制御メッセージ抽出部35は、受信したメッセージから制御メッセージ(RNG−REQやRNG−RSP)を抽出し、レンジング制御部39に送り、BSからMAPデータ領域で受信したMAPデータ及び、MMRリンクのデータ領域で受信したMSへ送信すべきMAPデータをMAP情報処理部46に送る。
レンジング制御部39は、Code受信部37からの情報を受信すると、"New MS" Indicatorおよびステータス(Success/Abort /Continue)をRSのBasic CIDでBSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。 Continueの場合は、補正値も一緒に通知する。
また、制御メッセージ抽出部35からRNG−REQメッセージを受信すると、そのメッセージのヘッダ中のCIDがInitial Ranging用CIDか否かを判断する。IR用CIDの場合、受信したRNG−REQメッセージのヘッダ中のCIDフィールドをRSのBasic CIDに変更し、BSに送信するように制御メッセージ生成部40に通知する。一方、IR用CIDではない場合、すなわち、MSのBasic CIDの場合、受信したRNG−REQメッセージに、ステータス及び必要なら、周波数、受信電力レベル、タイミングの補正情報を付加して、MSのBasic CIDでBSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。
さらに、制御メッセージ抽出部35からRNG−RSPメッセージを受信すると、レンジング制御部39は、まず、CIDがInitial Ranging用CIDか否かを判断する。IR用CIDの場合、RSのInitial Ranging処理を行う。すなわち、RNG−RSPに含まれるMACアドレスが自身のMACアドレスであれば、メッセージ中のBasic CIDおよびPrimary CIDを記憶部に記憶し、以後の、制御メッセージの送受信に用いる。一方、IR用CID以外の場合、さらに、メッセージ中に、"New MS" Indicatorが含まれるか否かで処理が分かれる。"New MS" Indicatorが含まれる場合、メッセージ中に"Success"ステータスが含まれていれば、"Success"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、IR用CIDでMSに返送するように制御メッセージ生成部40に通知するが、"Success"ステータスが含まれていない場合、"Abort"ステータスを含むRNG−RSPを生成し、IR用CIDでMSに返送するように制御メッセージ生成部に通知する。一方、"New MS" Indicatorが含まれていない場合、メッセージ中に、MSID、すなわち、MS MACアドレスが含まれていれば、受信したRNG−RSPのヘッダ中のCIDフィールドをIR用CIDに変換して、MSに送信するように、制御メッセージ生成部40に通知する。
MAP情報処理部46は、制御メッセージ抽出部35から転送されるBSのMAPデータに従って、MMRリンクを形成すべくPDU生成部41を制御等する。また、BSからMMRリンクを介して受信したMSへ送信すべきMAPデータを送信するようにPDU生成部41等を制御する。
この実施例によれば、RSは、MSからRanging Codeを受信すると、コードの受信情報をBSに送信することとしたので、BSにおいて、Codeの受信情報を生成しなくともよいため、BSの処理負担が軽減される。
また、この実施例において、BSが配下のMS等に対して送信するMAPデータで定義したRanging信号の送信領域とは別個のMMRリンクを介してコードの受信情報をBSに送信することとしたため、BS配下の他のMSのRanging信号との衝突が軽減される。
また、この例においても、BSが送信するMAPデータにより定義する送受信領域と、RSが送信するMAPデータにより定義する送受信領域とは、時間的又は周波数(サブチャネル含む)又は拡散コード等により分離され、互いに無線通信に支障を来たさない関係とすることができる。BSがそのようなMAPデータを生成すればよいからである。〔c〕第3実施形態の説明
この実施例では、BSとRSとの間の無線通信環境とRSとMSとの間の無線通信環境が同じとは限らないことに起因する伝送効率の低下の抑制を可能とする。
尚、この実施例では、認証シーケンスを1例に挙げて説明するが、このシーケンスは、第1および第2の実施の形態で示したレンジングおよび基本機能登録シーケンスに引き続いて行うことができる。
図15に、レンジング及び基本機能登録シーケンスが終了した後に行うことが好ましい認証シーケンス例を示す。
さて、MSは、レンジングおよび基本機能登録シーケンスが終了すると、認証シーケンスを行う。
まず、MSは、自身の認証データ(例えば、MSの公開鍵を含む電子証明書)をPKMv2-REQメッセージを用いてRSに送信する(1)。同図では、PKMv2-REQメッセージに、EAP (Extensible Authentication Protocol: RFC2284)パケットをカプセル化する例を示している。尚、その際、MSは、先の手続きで取得したPrimary CIDをコネクションIDとして用いることとする。これにより、RS、BSともに、MSを容易に識別できるからである。
PKMv2-REQ(EAP-Transfer)を受信したRSは、そのメッセージをBSに中継する(2)。ここでは、暗号を復号化する必要はない。
PKMv2-REQ(EAP-Transfer)を受信したBSは、電子証明書を外部サーバに転送し、そのサーバから認証結果を得ることで、認証を行う。認証が成功すると、MSとBSが共有する認証鍵(AK:Authentication Key)を生成するとともに、MSに対して、認証鍵情報(AKあるいはAKを生成するためのパラメータ)を含むPKMv2-RSP(EAP-Transfer)を生成し、RSに返送する(3)。このとき、好ましくは、AKあるいはAKを生成するためのパラメータは、MSの電子証明書に含まれる公開鍵を用いて、暗号化する。これにより、公開鍵とペアとなる秘密鍵を保持しているMS自身だけが復号可能なため、認証鍵情報の安全な転送を実現することができる。
PKMv2-RSP(EAP-Transfer)を受信したRSは、そのメッセージをMSに中継する(4)。このとき、RSはMSの秘密鍵を持たないため、暗号化された認証鍵情報を復号化することができない。
一方、BSは、MSとの認証鍵をRSと共有するために、認証鍵情報(AK又はAKの生成のために必要な情報)を暗号化したデータを含むPKMv2-RSP(Key-Transfer(AK))をRSに送信する(5)。暗号化あたっては、RSがBSと接続するために認証したときに共有した鍵を使うことが望ましい。RSは、認証鍵情報を記憶する。
PKMv2-RSP(EAP-Transfer)を受信したMSは、認証が成功したことを検出すると、BSとSecurity Association(暗号方式等)を確立するために、PKMv2-REQ(SA-TEK-REQuest)を送信する(6)。尚、このメッセージには、MSが先に受信した認証鍵情報により得たAKと送信データに対して所定の演算(例えば、ハッシュ演算)を行うことで得られた演算結果(例えばハッシュ値)を付加して送信する。例えば、AKから生成されるパラメータは関数F(x)の引数の一つであり、送信データDをxに代入することで、演算結果F(D)を得る。また、このメッセージには、要求する暗号化方式(例えば、AESやDES、鍵の長さ情報等)が含まれる。
PKMv2-REQ(SA-TEK-REQuest)を受信したRSは、そのメッセージをBSに中継する(7)。
PKMv2-REQ(SA-TEK-REQuest)を受信したBSは、先と同様に暗号化を解き、MSにより要求された暗号化方式を参照して、採用可能な暗号化方式を選択し、BSとMS間で用いる暗号化方式(例えば、鍵の長さ情報)等から構成されるSAを決定して、SA情報をPKMv2-RSP(SA-TEK-Response)によりRSに返送する(8)。尚、BSは、メッセージに含まれる演算結果(ハッシュ値)が、自身が有する(記憶する)認証鍵(AK又はAKから求められるパラメータ)と受信データとを用いた所定の演算(例えば、ハッシュ演算)の演算結果が一致するかチェックすることで、認証済みの正当なMSからのメッセージであるかどうかを判定する。正当でなければ処理をリジェクとすればよい。
PKMv2-RSP(SA-TEK-Response)を受信したRSは、そのメッセージをMSに中継する(9)。
PKMv2-RSP (SA-TEK-Response)を受信し、BSとSAを共有したMSは、このSAに対応し、ユーザデータを暗号化するための暗号化鍵をBSに要求するPKMv2-RSP (Key-Response)をRSに送信する(10)。この際、(6)と同様に、送信データについての演算結果を認証用として付加する。
PKMv2-REQ(Key-REQuest)を受信したRSは、そのメッセージをBSに中継する(11)。
PKMv2-REQ(Key-REQuest)を受信したBSは、SAに対応する暗号化用の鍵(TEK: Traffic Encryption Key)を生成し、MSとの共有鍵で暗号化して、PKMv2-RSP(Key-Reply)に含めて、RSに送信する(12)。もちろん、このでも、認証用として受信メッセージに付加された演算結果を用いて正当なMSからのデータかどうかBSはチェックし、正当である場合にRSにPKMv2-RSPを送信する。
PKMv2-RSP(Key-Reply)を受信したRSは、そのメッセージをMSに中継する(13)。
一方、BSは、MSとの鍵情報(鍵そのもののデータでなくとも、鍵を特定可能な情報、鍵の生成を可能するパラメータ情報等でもよい)をRSと共有する。即ち、鍵情報(ここでは、鍵そのものであるTEK)を暗号化し、暗号化された鍵であるTEKを含むPKMv2-RSP(Key-Transfer(TEK))をRSに送信する(14)。鍵の暗号化あたっては、RSがBSと接続するために認証したときに共有した鍵を使う。
ここでは、TEKは共有鍵とするが、他の鍵(秘密鍵等)とすることもできる。
以上のようにすることで、RSは、BSとMSとの間で送受信されるデータに必要とされるAK、TEKを取得することができる。
以上によれば、RSは、MS又はBSから受信したユーザデータ(MAC-PDU)を復号し、更に、暗号化の復号をTEKを用いて行うことで、暗号化前の送信データを得ることができる。
そして、RSは暗号化を解いて得られる暗号化前の送信データ(平文)を加工(分割又は他のデータと結合)することで、データ量を調整することができる。
例えば、BSとRSとの間で無線送信可能なデータの伝送速度に対してRSとMSとの間で無線送信可能なデータの伝送速度が遅い場合は、MAC−PDUの暗号の復号を行ってから、データの分割を行い複数のMAC−PDUにし、各分割データに対してそれぞれMAC−PDUをTEK(共有鍵)を用いて暗号化したり、各分割データとAKを用いた所定の演算結果(認証用演算結果)を付加する等してから、それぞれ送信(異なるフレームで各分割データを送信)することで、無線環境の相異による伝送効率の低下を抑えることができる。尚、認証用演算結果は、ユーザデータ等の伝送を行う際には付加せず、制御データの伝送時にだけ付加することとしてもよい(以下同様)。
逆に、BSとRSとの間で無線送信可能なデータの伝送速度に対してRSとMSとの間で無線送信可能なデータの伝送速度が早い場合は、TEKにより暗号を復号して得られたMAC−PDU同士を結合して、再び、TEKを用いて暗号化したり、AKを用いた所定の演算結果を付加してから、同じフレーム内で送信することで、不要な送信を抑え、他の無線通信へのリソースの振り分けを行うことができる。
尚、RSが暗号の復号を行ってから再暗号化することとしたのは、MSはMAC−PDUをRSから受信すると、それを1つの単位として暗号化の復号を行おうとするため、不完全なデータに対して暗号の復号を行おうとしてエラーとなってしまうからである。MSが、RSと無線通信を行っているのかBSと無線通信を行っているのかを区別していない場合に、特に、RSによるデータ加工による弊害が生じてしまうのである。これは、データを結合した場合も同様である。また、MSまたはBSから送信される制御メッセージに付加される認証用演算結果の正当性を、AK等を用いて、RSが確認することで、不正なパケットの転送を阻止することができ、無線リソースを有効的に利用することができる。
この実施例における中継局の構成は、図8に示している。
先に説明したMS又はBSから受信したメッセージは、制御メッセージ抽出部35で抽出され、制御メッセージ生成部に与えられる。
MS又はBSへ送信するメッセージは、制御メッセージ生成部40において、受信した制御メッセージに基づいて、送信用制御メッセージを生成し、PDU生成部41に与えることで送信することができる。
例えば、図15の(1)と(2)、(3)と(4)、(6)と(7)、(8)と(9)、(10)と(11)、(12)と(13)は同じデータとすることができ、制御メッセージ生成部40は受信メッセージについて暗号処理をせず、そのままPDU生成部41に与えて送信させることができる。
一方、図15の(5)、(14)のメッセージについては、CIDよりRS宛であることから、制御メッセージ抽出部35から暗号処理部45に与えられ、暗号処理部45は、RSとBSで共有しうる鍵を用いて暗号を解き、認証鍵情報であるAK(又はAK生成のためのパラメータ)、暗号鍵情報であるTEK等の情報を得て、記憶する。
そして、データの分割、結合を行う際には、暗号処理部45は、パケットバッファ部38から送信パケットを取り出し、暗号をTEKにより復号する処理を施してから、先に示したデータの分割又は結合を行い、加工後の各データを、TEKを用いて再び暗号化(BSによる暗号化処理と同じ形式の暗号化)して、暗号化したデータをパケットバッファ部38に与えることで、加工後のデータの送信を可能とする。
尚、加工後のデータに合わせて、MAP情報生成・解析部36により送信領域が定義され送信される。
また、認証データが必要であれば、同様に記憶しているAK(又はAKのパラメータ)を用いて、暗号処理部45がAKと送信データを用いて所定の演算を行い、演算結果を付加したデータをTEKを用いて暗号化してからパケットバッファ部38に与える。尚、MSが付加した認証用演算結果はその際削除してよい。
また、無線通信システムが再送制御(ARQ)を採用する場合は、BSが送信するデータにシーケンス番号等の送信データ毎の識別情報を付加して送信する。
この場合、RSにおいて、暗号化されたシーケンス番号を暗号の復号化により得ることで、RSとMS間において別途再送制御を行うことができる。
即ち、BSからRSに対してデータ送信が正常に行われたことを復号化部34により検出(データに付されたCRCチェックビットを用いた判定により受信OKであったことを検出)すると、暗号処理部45により暗号の復号を行い、受信データをパケットバッファ部38に記憶する。
そして、MSに対して送信する際に、先に説明した、暗号処理部45において、分割や結合を行ったデータに対して同じフォーマット形式で別途シーケンス番号を格納してから、暗号化してパケットバッファ部38に戻し、送信部44からMSに送信することで、RS、MS間で再送制御を実行することができる。尚、BSにより付されたシーケンス番号は削除される。尚、シーケンス番号を付したデータであって、暗号化する前のデータは、暗号処理部45に記憶しておく。
即ち、RSから受信したデータがエラーの場合、MSは、RSが付加したシーケンス番号によりデータを特定して再送要求をRSに対して行う。RSは、制御メッセージ抽出部35でMSからのシーケンス番号を特定した再送要求を受信し、対応するシーケンス番号を暗号処理部45に通知する。暗号処理部45は、通知されたシーケンス番号を有するデータを記憶部から読み出し、TEKにより暗号化処理を施し、パケットバッファ部38に与えることで、MSへの再送を行う。
また、BSからの受信データがRSにおいてエラーであると検出された場合、暗号処理部45は、暗号を解いて得られたBSが付加したシーケンス番号によりデータを特定し、シーケンス番号をBSに通知するメッセージを生成して、パケットバッファ部38に与え、BSに送信することで、所望のデータの再送要求をBSに対して行うこともできる。