JP5486977B2 - 座標入力装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、表示画面又は投影画面の表面に配置される座標入力装置に関する。例えば表示画面又は投影画面に対する複数点の座標入力を同時に検出でき、かつ、検出された複数点に関する状態情報の組み合わせに応じたイベントを発行できる座標入力装置及びそのプログラムに関する。
従来、コンピュータその他の画面生成装置で生成された操作画面に対する指や電子ペンの操作座標を入力する装置が実用化されている。本明細書では、この種の装置を座標入力装置という。
従来、座標入力装置を応用した装置の一つに電子ボードシステムがある。電子ボードシステムにおいては、座標入力装置によって検出された操作入力に応じたイベントを発行し、操作入力の軌跡を反映した文字オブジェクトや画像オブジェクト(例えば様々な色・太さの線で構成される)を操作画面上に描画することができる。また、電子ボードシステムでは、操作画面に対する操作入力を通じ、操作画面上のオブジェクトを操作することができる。この他、電子ボードシステムでは、特定の動きを伴う操作入力を通じ、操作画面と連携動作しているコンピュータシステムに対するイベントを発行することもできる。例えば発行されたイベントを通じ、拡大・縮小、図形の削除その他のコマンドをコンピュータシステムに実行させることもできる。
従来、電子ボードシステムに適用する座標入力装置には、複数の操作入力座標や操作入力に用いられる物体の大きさを同時に検出できるものがある。この種の座標入力装置には、入力物体により生じる影の検出を通じ、操作入力座標や入力した物体の大きさを取得できるものがある。
しかし、影を使用する座標入力装置には、入力開始時に誤検出が生じることがある。例えば手のひらで入力を開始する場合、影のサイズに着目すると、入力物体の影のサイズは指1本の大きさから手のひらの大きさまで変化する。このため、実際には手のひらによる入力であるにもかかわらず、指1本による入力と誤認されることがある。
そこで、この問題を解決するために、入力開始時に検出される物体の大きさと入力箇所の数等の状態に関する複数回の情報を画面生成装置内の記憶領域に記憶し、一連の状態の推移の確認を通じて誤操作の発生を防止する方法がある。
特開2009−86886号公報
ところが、特許文献1に記載の誤操作防止方法にも問題がある。例えば検出回数の閾値に設定されている回数よりも短い回数において操作入力の検出が終了する場合である。この場合、履歴情報のうち頻度が高い入力であるクリックイベントが、検出された操作入力に対して発行されてしまう。
しかし、文字を書く場合の操作入力のように素早い操作入力が想定される場合、入力開始と入力終了までの検出回数が閾値に満たない場合や入力したストロークに対応する検出点の数が少ない場合、クリック動作やユーザが意図した線よりも短いストロークの連続イベントとして実行されてしまう。この場合、文字の線入力が操作画面上の描画に正しく反映されない場合がある。
本発明は、以上の課題を考慮してなされたもので、複数点の座標入力を同時に検出できる座標入力装置において、検出された複数点に関する状態情報の組み合わせに応じたイベントを発行する場合に誤入力の発生を抑制又は改善することができる技術を提供することを目的とする。
本発明においては、表示又は投影された操作画面に対する操作入力に関する情報を検出する処理と、前回のアップ操作(操作画面から入力物体が離れる方向の操作(入力終了操作))から新たなダウン操作(操作画面に入力物体が近づく方向の操作(入力開始操作))までの経過時間を算出する処理と、算出された経過時間が閾値以下の場合には、ダウン操作の検出座標に入力情報のイベントを発行する。
また、本発明においては、表示又は投影された操作画面に対する入力物体の操作位置の座標を検出する処理と、検出された座標のデータ群をオブジェクトデータとして記憶領域に記憶する処理と、入力開始時の座標から現在の座標までの移動距離を算出する処理と、算出された移動距離が閾値以上の場合には、入力開始時の検出座標に入力開始点のイベントを発行する。
本発明によれば、文字等のストロークが素早く入力された場合でも、書き始めや入力途中のストロークの開始点を正確に把握できる。この結果、操作入力の誤判定が抑制され、ユーザの文字入力を描画に対して正確に反映できる。
本発明に係る電子ボードシステムの実施形態例を示すシステム構成図。 本発明に係る座標入力装置で検出可能な入力状態を例示する図。 座標入力装置から出力される入力データの構造例を示す図。 指2本や手のひらを用いて入力する場合における入力開始動作時の手の動きと入力データの変化を示すグラフの関係を例示する図。 操作画面上に線を書いたときの検出座標と誤入力発生時の描画例を示す図。 文字入力時における各ストロークの入力中時間と入力待機時間の例を示す図。 クリック入力時と線入力時における入力点(検出点)の分布例を示す図。 誤入力防止装置の機能ブロック例を示す図。 誤入力防止装置のソフトウェア処理を説明するフローチャート。
以下、図面に基づいて、発明の実施形態例を説明する。なお、後述する実施形態はいずれも一例であり、本発明には、本明細書に記載する任意の機能を組み合わせることで実現されるシステム、本明細書に記載する一部の機能を周知技術で置換したシステム、本明細書に記載する機能に周知技術を追加したシステムも含まれる。また、後述する実施例で実行される機能は、計算機(コンピュータ)上で実行されるプログラムとして実現される。もっとも、プログラムの一部又は全部は、ハードウェアを通じて実現しても良い。
(電子ボードシステムの構成)
図1に、電子ボードシステムの実施形態例を示す。図1に示す電子ボードシステムは、電子ボード101、入力ペン102、操作画面投影装置103、制御用コンピュータ104、制御用コンピュータ104に付属するキーボード105及び表示装置106で構成されている。
電子ボード101は、指、スタイラスペン(差し棒)、入力ペン102その他の入力物体による入力操作の座標を検出する座標入力装置である。この実施例の場合、電子ボード101は、操作画面の投影面に対して平行に照射された光を使用し、入力物体が光を遮る位置を三角測量の原理を利用して検出する方式の座標入力装置である。この種の座標入力装置の基本原理は周知である。例えば枠形状の上辺両端位置又は上辺中央寄りに2つの光源(例えば赤外線光源)とイメージセンサ(撮像装置)を配置する。各光源は、配置された側と反対側に位置する辺の全範囲と下辺の全範囲に光線を放射又はスキャン走査する。上辺を除く3辺には枠の内側(光線の対向面)に再帰性反射部材が配置されている。このため、入射した光は入射方向と同じ方向に反射する。この反射光を光源近傍に配置したイメージセンサで受光する。なお、この種の座標入力装置の場合、同時に複数の座標入力を検出することができる。
図1に示す電子ボードシステムの場合、電子ボード101は、操作画面投影装置103から操作画面が投影されるスクリーンやホワイトボードの手前位置に配置される。なお、この実施例の場合には、操作画面を投影しているが、フラットディスプレイ等の表示デバイスの表面に電子ボード101を一体的に配置する構成も考えられる。また、電子ボード101が入力物体の座標入力に想定する入力エリア107は、スクリーンやホワイトボードを想定する大面積のものだけでなく、携帯電話機、電子ブックその他の携帯端末の表示画面のように小面積のものも含む。
操作画面投影装置103は、スクリーンやホワイトボードに操作画面や入力物体を通じて入力された文字やオブジェクトの投影に使用される。
制御用コンピュータ104は、汎用のパーソナルコンピュータと同等の機能を有するもので、内部メモリには文字オブジェクトや画像オブジェクトを処理する表示内容制御プログラム1041が格納されている。また、制御用コンピュータ104は、入力物体による操作入力を検出し、検出された状態に応じたイベントの発生処理も実行する。
この実施例の場合、表示内容制御プログラム1041がイベントの発生処理を実行し、その機能の一部として発明者らの提案する誤入力防止のためのプログラムを実行する。もっとも、同プログラムに対応する機能は、電子ボード101内で実行することもできるし、操作画面投影装置103に実装することもできる。当該機能の実装は、ハードウェア(例えば半導体集積回路、処理ボード)の形態でも、プログラム(例えばファームウェア、アプリケーション)の形態でも良い。
(検出可能な操作入力)
図2に、座標入力装置によって検出可能な操作入力の状態例を示す。本システムでは、1本の指又は電子ペン102だけを電子ボード101の座標入力面(仮想面)に接触させた一点入力状態、2本の指を同時に電子ボードの座標入力面(仮想面)に接触させた2点入力状態、手のひら全体を電子ボード101の座標入力面(仮想面)に接触させた手のひら入力状態を検出可能である。これらの状態は、手と電子ボード101の座標入力面(仮想面)との接触状態によって相互に遷移する。これにより、1点入力では線を描く、2点入力では線を消す、手のひらでは画面をスクロールさせるというような入力方法を機能に応じて使い分けることができる。
ここで、検出面を仮想面と表記しているのは、電子ボード101が座標入力に使用する光の進行面は、スクリーン面、ホワイトボード面、表示画面等の物理的に存在する面とは異なるためである。
(電子ボードの出力情報)
図3に、電子ボード101から制御用コンピュータ104に出力される情報のデータ構造例を示す。具体的には、1フレーム分の入力データと、1つの入力イベントに対応する入力データに対応するデータ構造例を示す。
1フレーム分の入力データ301は、入力エリア107上に存在する入力物体を検出した時刻302と、検出物体数303、検出物体毎の座標情報304と検出物体サイズ情報305で構成される。図3の場合には、n(2以上)個の検出物体に対応し得る構成になっている。
例えば座標入力面上に物体が存在しない場合、電子ボード101から制御用コンピュータ104には、検出を実行したときの検出時刻と、検出物体数情報「0」とで構成されるデータが入力データとして送信される(パケットデータ例306)。
例えば座標入力面上に入力物体が1つだけ存在する場合、電子ボード101から制御用コンピュータ104には、検出を実行したときの検出時刻と、検出物体数情報「1」と、その検出物体数に対応する入力物体の座標情報と、検出物体サイズ情報とで構成されるデータが入力データとして送信される(パケットデータ例307)。この例の場合、検出物体数が「1」であり、かつ、入力物体の大きさが検出物体サイズ情報から指定した閾値(例えば10)以下の小さい物体であると判定できる。このため、1点入力であると決定できる。
例えば座標入力面に入力物体が2つ存在する場合、電子ボード101から制御用コンピュータ104には、検出を実行したときの検出時刻と、検出物体数情報「2」と、検出物体数に対応する各入力物体の座標情報と、検出物体サイズ情報とで構成されるデータが入力データとして送信される(パケットデータ例308)。この場合、検出物体数が「2」であるため、2点入力であると決定できる。
例えば座標入力面に手のひらが存在する場合、電子ボード101から制御用コンピュータ104には、検出を実行したときの検出時刻と、検出物体数情報「1」と、その検出物体数に対応する手のひらの座標情報と、検出物体サイズ情報とで構成されるデータが入力データとして送信される(パケットデータ例309)。この場合、検出物体数が「1」であり、かつ、入力物体の大きさが検出物体サイズ情報から指定した閾値(例えば10)以上の大きい物体であると判定できる。このため、手のひら入力であると決定できる。
(入力開始時に特有の手の動き)
図4に、電子ボード101に指2本や手のひらで入力しようとしたときの入力開始動作時における手の動きの例を示す。
符号401で示すように2本指で電子ボードに入力しようとする場合、1本目の指が座標入力面に触れた状態から2本目の指が座標入力面に触れるように入力されることが多い。この場合、検出物体数は、検出回数P1(1本指の入力)の入力サイズの大きさから検出回数P2(2本指の入力)の入力サイズの大きさへと変化する。このように、1本指入力から2本指入力へと変化しながら入力される。
一方、符号402で示すように手のひらで電子ボードに入力しようとした場合、指の先端など手のひらの一部分から座標入力面に触れて入力されることが多い。この場合、検出物体数は、検出回数P’1(1本指の入力)の入力サイズの大きさから検出回数P’2(手のひらの入力)の入力サイズの大きさへと変化する。このように、1本指入力から手のひら入力へと変化しながら入力される。
いずれの場合も、まず1本指による入力が実行されてから目的の入力が開始される。このため、1本指入力の段階で入力を判定すると誤入力が発生してしまう。そこで、入力開始から一定の検出回数(例えばP2やP’2の回数)に達するまでの入力情報は蓄積してもイベントを発行しない仕組みとすることにより、誤入力判定(誤イベント)を抑制することができる。
(線入力時の速度と既存手法による描画結果)
図5に、電子ボード101に指等を使用して線を書いたときの検出座標と、前述した誤入力判定の抑制処理の適用により実際に描画される線の関係を示す図である。符号501に示すように、線をゆっくり書いた場合、1ストロークに対する検出座標数が多い。符号501の場合、検出座標を表す○印が密に並んでいることが分かる。この場合、入力開始から一定回数分の入力情報を処理しなくても、描画される線がユーザの意図した入力線から大きく異なることはない。もっとも、図5の場合、横ストロークの先頭側の3つの検出座標(着色して示す)と縦ストロークの先頭側の3つの検出座標(着色して示す)とが線の描画に反映されていないことが分かる。実際、描画された各ストロークの長さは、入力時のストロークよりも短くなっている。
しかし、符号502で示す例の場合(線をすばやく書いた場合)、1ストロークに対する検出座標数が少なくなる。符号501の場合、検出座標を表す○印が疎に並んでいることが分かる。この場合、符号501の場合と同様に、入力開始から一定回数分の入力情報を処理しないと、描画される線がユーザの意図とは大きく異なってしまう。符合502の場合も、横ストロークの先頭側の3つの検出座標(着色して示す)と縦ストロークの先頭側の3つの検出座標(着色して示す)とが線の描画に反映されていない。結果的に、入力した文字(図)とは全く異なる図が描画されている。
特に漢字のような画数の多い文字を書く場合、すばやく短い線を書くことが多い。従って、従来用いられている誤判定を避けるために、ストロークの開始から一定回数分の検出座標を描画に反映させないアルゴリズムを適用すると、ユーザの意図した文字が書けない場合が発生する。
このことから、線(特に短い線)をすばやく書く場合には、前述した誤入力抑制処理を実行しない方が望ましいことが分かる。
(文字を手書き入力する場合のストローク間の関係)
図6に、電子ボード101を使用して文字を手書き入力する場合における各ストロークの入力中時間と入力待機時間の関係を示す。図6に示すように「あ」という文字を入力する場合、手書きデータはストロークa1、a2、a3で構成される。
各ストロークの入力中時間はTa1、Ta2、Ta3であり、入力待機時間はTa12、Ta23である。文字のように連続でストロークを入力する場合、前のストロークの入力終了から次のストロークの入力開始までは短い時間間隔となり、すばやく文字を書こうとするほど短い時間間隔となる傾向がある。よって、前のストロークの入力終了から次のストロークの入力開始までの時間間隔が短い場合には、文字を入力していると推測することができる。
1点入力によって線を書くといった動作をしている場合、連続で1点入力を繰り返し実行するため。誤入力抑制処理において、1点入力から2点入力や手のひら入力に遷移しているか否かを判定する必要性は少ない。
(クリック入力時と線入力時の入力点の分布の違い)
図7に、クリック入力時と線入力時における入力点の分布例の違いを示す。符号701で示すように、クリック入力時は、入力開始点を原点とすると、入力終了までX方向及びY方向への座標移動は極めて少ない。すなわち、原点付近に入力点が集中的に分布する。一方、符号702で示すように、線入力時は、入力開始点を原点とすると、入力終了までに、X方向又はY方向に入力点の座標移動が発生し、原点から離れた位置に入力点が分布する可能性が高くなる。従って、入力開始点を基準とし、入力終了までに一定距離以上移動した場合はクリック入力でなく、線入力であると推測することが可能となる。
(誤入力防止装置のブロック構成)
図8に、制御用コンピュータ104の内部メモリに格納された表示内容制御プログラム1041の一部の機能として実現される誤入力防止装置の機能ブロック構成を示す。もっとも、当該機能ブロック構成に対応する回路を電子基板や半導体集積回路に実装することもできる。
誤入力防止装置は、入力情報解析部801と、実行機能制御部802と、入力情報記憶部803とで構成される。入力情報解析部801は、電子ボード101から出力された入力データ301を、検出時刻302と、検出物体数情報303と、座標情報304と、検出物体サイズ情報305に分解する。
実行機能制御部802は、抽出された入力情報(分解後の情報)と入力情報記憶部803に格納されている入力情報の履歴とに基づいて、表示装置106や操作画面投影装置103を通じてユーザに提示する操作画面の描画情報を発生する。また、実行機能制御部802は、新しく抽出された入力情報を入力情報記憶部803に最新の履歴情報として格納する処理動作を実行する。実行機能制御部802で実行される処理動作の詳細については後述する。
(誤入力防止機能のフローチャート)
図9に、実行機能制御部802の機能として実行される誤入力防止処理動作に対応するフローチャートを示す。前述したように、実行機能制御部802の処理機能はプログラムの機能の一部として実行される。以下では、実行機能制御部802の処理として説明する。
実行機能制御部802は、入力開始を検出した場合(すなわち、入力物体数が「0」から「1」以上に変化した場合)、入力情報解析部801から与えられる入力情報(入力物体数情報、座標情報、入力物体サイズ情報)を入力履歴に追加する情報として取得する(ステップ901)。
次に、実行機能制御部802は、後述するステップ910でフラグ状態が管理されるイベント発行開始フラグの状態をデータ領域から読み出し、現在の状態が、イベント発行開始中か否かを判定する(ステップ902)。ここでの「イベント発行」とは、入力情報を実際に操作画面の内容に反映させる動作のことを示す。
実行機能制御部802は、現在の状態が「イベント発行開始中」であると判定した場合(ステップ902で肯定結果を得た場合)、イベントを、ステップ901で取得した入力情報の発行イベントを生成する(ステップ903)。この後、実行機能制御部802は、イベントを発行して操作画面の表示内容に入力情報を反映させ、イベント発行開始フラグを立てる(ステップ910)。さらに、実行機能制御部802は、入力情報を入力情報記憶部803の履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
次に、ステップ902で否定結果が得られた場合について説明する。ステップ902で否定結果が得られた場合(すなわち、イベント発行を開始していない場合)、実行機能制御部802は、手書き入力中の入力情報であるか否かを判定する処理(図6)を実行する(ステップ904)。具体的には、前回の入力終了時刻(アップ操作の検出時刻)から今回の入力開始時刻(ダウン操作の検出時刻)までの経過時間が指定時間以内か否かを判定する(ステップ904)。ここでの指定時間は、入力される言語(例えば日本語、英語等)、文字種(例えば漢字、平仮名等)、文字の大きさ、使用者が大人か子供か等を考慮して設定される。もっとも、指定時間は、使用者が選択的に設定できることが望ましい。使用時間の調整機能を搭載する場合には、誤入力の低減を一段と進めることができる。
さて、前回の入力終了時刻から今回の入力開始時刻までの経過時間が指定時間以内であると判定された場合、実行機能制御部802は、連続で線を書いていると判断し、現在の入力情報について発行イベントを生成する(ステップ903)。これにより、図5に示す縦ストロークの入力時に、その先頭部分で入力線が欠ける事態を防止することができる。この後、実行機能制御部802は、イベントを発行して操作画面の表示内容に入力情報を反映させ、イベント発行開始フラグを立てる(ステップ910)。さらに、実行機能制御部802は、入力情報を入力情報記憶部803の履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
次に、ステップ904でも否定結果が得られた場合を説明する。この場合は、入力開始が前回の入力終了から指定時間以上であると判断された場合である。すなわち、実行機能制御部802は、今回の入力は文字を書いたときのように連続したものでないと判定した場合である。このとき、実行機能制御部802は、履歴情報から入力開始情報を取得し、指定時間以上経過した入力情報であるか否かを判定する(ステップ905)。指定時間以上経過していれば、入力物体数や影の大きさが確定しているものとして、各判定結果に応じた発行イベントを生成する(ステップ903)。この後、実行機能制御部802は、イベントを発行して操作画面の表示内容に入力情報を反映させ、イベント発行開始フラグを立てる(ステップ910)。さらに、実行機能制御部802は、入力情報を入力情報記憶部803の履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
次に、ステップ905でも否定結果が得られた場合を説明する。この場合は、未だ、入力開始が前回の入力終了から指定時間以内であると判定された場合の動作である。このとき、実行機能制御部802は、入力物体数情報が「0」であるか否かを判定する(ステップ906)。
入力物体数情報が「0」の場合、実行機能制御部802は、初期入力中の誤判定を避けるため、履歴情報で最も頻度の高い入力方法(本実施例の場合、1本指、2本指、手のひらのいずれか)について発行イベントを生成する(ステップ907)。この後、実行機能制御部802は、イベントを発行して操作画面の表示内容に入力情報を反映させ、イベント発行開始フラグを立てる(ステップ910)。さらに、実行機能制御部802は、入力情報を入力情報記憶部803の履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
次に、ステップ906でも否定結果が得られた場合を説明する。この場合は、入力物体数情報が「0」でないと判定された場合である。この場合、実行機能制御部802は、図7で示したように、クリック入力であるか線入力であるかを判断するために、履歴情報から入力開始点を抽出し、今回の入力情報の座標が指定距離以上移動しているか否か判定する(ステップ908)。ここでの指定距離も、入力される言語(例えば日本語、英語等)、文字種(例えば漢字、平仮名等)、文字の大きさ、使用者が大人か子供か等を考慮して設定される。もっとも、指定距離は、使用者が選択的に設定できることが望ましい。使用距離の調整機能を搭載する場合には、誤入力の低減を一段と進めることができる。
さて、入力開始点から指定距離以上移動している場合、実行機能制御部802は、すばやく線を書いていると判断し、入力開始点から表示内容に反映できるように入力開始点の情報について発行イベントを生成する(ステップ909)。これにより、図5に示す横ストロークの入力時に、その先頭部分で入力線が欠ける事態を防止することができる。この後、実行機能制御部802は、イベントを発行して操作画面の表示内容に入力情報を反映させ、イベント発行開始フラグを立てる(ステップ910)。さらに、実行機能制御部802は、入力情報を入力情報記憶部803の履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
ステップ908でも否定結果が得られた場合、実行機能制御部802は、入力情報を履歴に追加する(ステップ911)。その後、実行機能制御部802は、入力が終了していないか否かを判定し、入力が終了していない場合は、ステップ901に戻って再び入力開始情報を取得する。
(他の実施例)
前述した実施形態においては、複数座標を同時入力可能な座標入力装置として、三角測量の原理を用いる光学式の入力装置を適用する場合について説明した。しかしながら、本発明は、座標入力装置を用いて検出された操作入力に関する情報を処理対象とするものであり、座標入力の方式には依存しない。従って、多地点を同時に検出できるデバイス(例えば静電容量式のタッチパネル)に対する誤入力防止にも適用できる。従って、実施形態に係る座標入力装置には、タッチパネルも含まれる。この場合、座標入力装置の操作入力面とタッチパネルの表面と一致する。
また、発明に係る座標入力装置は、少なくとも複数座標に対する同時操作入力を検出可能であれば良く、それ自体が独立した装置でも良いし、表示装置(例えばフラットパネルディスプレイ)と一体化した装置でも良い。また、発明に係る座標入力装置は、タブレットや携帯端末にも適用できる。
また、発明に係る誤入力防止装置は、座標入力装置の内部に搭載されていても良いし、座標入力装置と一体化した装置に搭載されていても良い。また、発明に係る誤入力防止装置は、座標入力装置と連携動作する他の各種の装置に搭載されていても良い。
101 電子ボード
102 入力ペン
103 操作画面投影装置
104 制御用コンピュータ
105 キーボード
106 表示装置
107 入力エリア
1041 表示処理プログラム
301 入力データ
302 検出時刻
303 検出物体数
304 座標情報
305 検出物体サイズ情報
801 入力情報解析部
802 実行機能制御部
803 入力情報記憶部

Claims (4)

  1. 入力物体の操作入力面に対するダウン操作とアップ操作を検出でき、かつ、複数座標に対する同時操作入力を検出可能な座標入力装置において、
    表示又は投影された操作画面に対する入力開始の検出後、入力物体による操作入力に関する情報を検出する処理手段と、
    前記情報を前記操作画面の表示内容に反映させるイベントが発行される前に、直前回に描画されたストロークを構成する連続イベントの終了点を示すアップ操作から新たに検出された前記入力開始を示すダウン操作までの経過時間を算出する処理手段と、
    算出された経過時間が閾値以下の場合、ダウン操作の検出座標に関連して取得された前記情報にストロークイベントを発行する処理手段と
    を有することを特徴とする座標入力装置。
  2. 複数座標に対する同時操作入力を検出可能な座標入力装置において、
    表示又は投影された操作画面に対する入力開始の検出後、入力物体による操作入力の座標を検出する処理手段と、
    前記座標を前記操作画面の表示内容に反映させるイベントが発行される前に、検出された座標のデータ群をオブジェクトデータとして記憶領域に記憶する処理手段と、
    前記入力物体による入力開始が検出された座標を原点として現在の座標までの移動距離を算出する処理手段と、
    算出された移動距離が閾値以上の場合には、前記入力開始が検出された座標に入力開始点のストロークイベントを発行する処理手段と
    を有することを特徴とする座標入力装置。
  3. 入力物体の操作入力面に対するダウン操作とアップ操作を検出でき、かつ、複数座標に対する同時操作入力を検出可能な座標入力装置から、表示又は投影された操作画面に対する入力開始の検出後、入力物体による操作入力に関する情報を入力するコンピュータに、
    前記情報を前記操作画面の表示内容に反映させるイベントが発行される前に、直前回に描画されたストロークを構成する連続イベントの終了点を示すアップ操作から新たに検出された前記入力開始を示すダウン操作までの経過時間を算出させる処理と、
    算出された経過時間が閾値以下の場合、ダウン操作の検出座標に関連して取得された前記情報にストロークイベントを発行させる処理と
    を実行させるプログラム。
  4. 複数座標に対する同時操作入力を検出可能な座標入力装置から、表示又は投影された操作画面に対する入力開始の検出後、入力物体による操作入力の座標を入力するコンピュータに、
    前記座標を前記操作画面の表示内容に反映させるイベントが発行される前に、検出された座標のデータ群をオブジェクトデータとして記憶領域に記憶させる処理と、
    前記入力物体による入力開始が検出された座標を原点として現在の座標までの移動距離を算出させる処理と、
    算出された移動距離が閾値以上の場合には、前記入力開始が検出された座標に入力開始点のストロークイベントを発行させる処理と
    を実行させるプログラム。
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