以下、本発明の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本例の固液分離装置の部分断面正面図である。ここに示した固液分離装置によって、液体を含む各種の処理対象物を固液分離することができるが、ここでは多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
図1に示した固液分離装置は、上部に汚泥の流入口5が形成され、かつ内部が中空に形成された入口部材1と、脱水処理されたケーキ状の汚泥が排出される排出口11が下部に形成されている出口部材2と、その出口部材2と入口部材1との間に配置された複数の固定部材3,3Aと、隣り合う固定部材3,3Aの間に配置された可動部材4とを有している。
図2は、図1に示した多数の固定部材3,3Aのうちの3つの固定部材3,3Aと、隣り合う固定部材3,3Aの間に配置された各1つの可動部材4を示す分解斜視図であり、図3は多数の固定部材3,3Aと可動部材4の一部を示す拡大縦断面図である。これらの図に示すように、本例の固液分離装置においては、2種類の固定部材が用いられ、その一方の固定部材には符号3を付し、他方の固定部材には符号3Aを付してこれらを識別してある。以下の説明では、必要に応じて、固定部材3を一方の固定部材と称し、固定部材3Aを他方の固定部材と称することにする。
一方の固定部材3は、従来の固液分離装置における固定部材と同様に形成され、他方の固定部材3Aは、後述するように、その一部の構成部材が取り外されるように構成されている。図示した例では、図1に示すように他方の固定部材3Aは5つ用いられ、残りの固定部材は、全て一方の固定部材3である。
なお、図1は、固定部材3,3Aと、可動部材4と、後述するスクリュー24などの各構成部材の形態及びその配置状態の概略を示す図であって、そのより具体的な状態は、図2及び図3に示してある。
図2及び図3から判るように、固定部材3,3Aと可動部材4は互いにほぼ平行な姿勢で軸線方向に配列されていて、隣り合う一方の固定部材3の間に配置された小リング状のスペーサ14によって、複数の一方の固定部材3は軸線方向に互いに間隔をあけて同心状に配置されている。また他方の固定部材3Aを挟んで位置する2つの固定部材3の間には、他方の固定部材3Aの板厚tA(図3)よりも幅広なスペーサ14Aが配置されていると共に、他方の固定部材3Aと、その隣りに位置する各一方の固定部材3との間には、上述したスペーサ14と同じく形成されたスペーサ14Bが配置されている。
固定部材3,3Aと可動部材4は、共に貫通孔15,15A,16が形成されたリング状の板材により構成されていて、図1に示すように、固定部材3,3Aと可動部材4を向いた側の入口部材1の側板7には開口8が形成され、固定部材3,3Aと可動部材4を向いた側の出口部材2の側板9にも開口10が形成されている。図3に示すように、固定部材3,3Aと可動部材4の内部には、その貫通孔15,15A,16によって区画された中空な固液分離部21が形成され、図1に示すように、入口部材1と出口部材2に形成された開口8,10は、固定部材3と可動部材4の貫通孔15,15A,16に対向して位置している。固定部材3,3Aと可動部材4は、例えばステンレス鋼などの金属板や、硬質な樹脂板などから構成されている。
上述のようにして、複数の固定部材3,3Aと複数の可動部材4とにより、その内部に固液分離部21が区画され、図1に示すように、固液分離部21の入口部材1の側の端部が、固液分離部21の入口22となっていて、出口部材2の側の端部が、当該固液分離部21の出口23となっている。また、図1に示すように、入口部材1の側板7の下部は、支持フレームのステー12に固定され、出口部材2の側板9の下部も支持フレームのステー13に固定されている。
図2及び図3に示すように、一方の固定部材3には、それぞれ複数の取付孔17が形成され、他方の固定部材3Aには、複数の取付孔17Aと、2つの凹溝状の切欠40Aがそれぞれ形成されている。各切欠40Aに前述の幅広のスペーサ14Aが嵌合している。
各固定部材3,3Aに形成された取付孔17,17Aと、隣り合う固定部材3,3Aの間に配置されたスペーサ14,14Bの中心孔と、幅広のスペーサ14Aの中心孔には、ステーボルト18がそれぞれ貫通して延びている。その各ステーボルト18は、図1に示したように、入口部材1の側板7と出口部材2の側板9を貫通し、各ステーボルト18の各長手方向端部に形成された雄ねじに、ナット19,20がそれぞれ螺着されて締め付けられている。これにより、複数の固定部材3,3Aが、スペーサ14,14A,14Bを介して互いに間隔をあけて一体的に固定連結されると共に、固定部材3,3Aが入口部材1と出口部材2に対して固定されている。
なお、本例の固液分離装置においては、互いに平行に配置された6本のステーボルト18が用いられているが、図1及び図3においては、一部のステーボルト18だけを示してある。また、図2に示すように、各ステーボルト18を識別する必要のあるときは、これらのステーボルトに付した符号18A,18B,18C,18D,18Eを用いてこれらを説明することにする。
図1及び図3に示すように、上述した固液分離部21には、その固液分離部21を区画する固定部材3,3Aと可動部材4の貫通孔15,15A,16を貫通して延びる1つのスクリュー24(図2には示さず)が配置されている。このスクリュー24は、らせん状に延びる羽根26と、その羽根26と一体に形成された軸25とを有している。軸を有していないスクリューを用いることもできる。
図示した例では、スペーサ14,14A,14Bによって互いに間隔をあけて配置された複数の固定部材3,3Aは、ステーボルト18によって一体に固定連結されているが、これらの固定部材3,3Aがわずかに遊動できるように組み付けることもできる。また、図1乃至図3に示した固液分離装置においては、隣り合う2つの固定部材3,3Aの間に1つの可動部材4が配置されているが、隣り合う固定部材3,3Aの間に複数の可動部材4を配置することもできる。
図3に示すように、各可動部材4の厚さTは隣り合う一方の固定部材3の間の間隙幅Gより小さく設定され、各固定部材3の端面と、これに対向する可動部材4の端面の間には、例えば0.1mm乃至1mm程の微小な濾液排出間隙gが形成される。他方の固定部材3Aと、その隣りに位置する固定部材3との間にも、それぞれ可動部材4が配置されているが、その可動部材4と固定部材3Aとの間にも、例えば、0.1mm乃至1mm程の微小濾液排出間隙gAがそれぞれ形成されるように、各構成要素の厚さが設定されている。かかる微小濾液排出間隙g,gAは、後述するように汚泥から分離された水分、すなわち濾液を通過させるための隙間である。
各可動部材4の厚さTは、例えば、1.0mm乃至3mm程に設定され、間隙幅Gは、例えば1.2mm乃至5mm程に設定される。また、一方の固定部材3の厚さtは、例えば1.5mm乃至3mm程に設定され、他方の固定部材3Aの厚さtAは例えば5mm乃至10mm程に設定される。さらに、他方の固定部材3Aを挟んで位置する2つの固定部材3の間の間隙幅GA、すなわちスペーサ14Aの軸線方向の幅は、例えば8mm乃至20mm程に設定されている。濾液排出間隙g,gA、厚さT,t,tA及び間隙幅G,GAなどの大きさは、処理対象物の種類を考慮して適宜設定されるものである。
また、図2に示すように、固定部材3,3Aの周方向に隣り合う2つのスペーサ14,14Aの間の距離DAは、可動部材4の外径D1よりも小さく設定されている。このため、可動部材4が隣り合う固定部材3,3Aの間から抜け出ることが阻止される。また、図3に示すように、各可動部材4の外径D1は、各固定部材3,3Aの内径、すなわち貫通孔15,15Aの径D3よりも大きく設定されている。このように、各可動部材4が、各固定部材3,3Aの貫通孔15,15Aから抜け出ることなく、該固定部材3,3Aの半径方向に可動に保持されるように、各固定部材3,3Aと可動部材4の内径、外径及びスペーサ14,14Aの位置がそれぞれ設定されている。
図1に示すように、スクリュー24の軸25の出口部材2の側の端部は、出口部材2のもう一方の側板27に固定支持された減速機付きの電動モータ28より成る駆動装置に駆動連結され、軸25の入口部材1の側の端部は、軸受を介して、入口部材1のもう一方の側板29に回転自在に支持されている。電動モータ28より成る駆動装置は、スクリュー24をその中心軸線のまわりに回転駆動する用をなす。
図1に矢印Aで示したように、多量の水分を含んだ汚泥は、流入口5から入口部材1内に送り込まれる。その際、処理前の汚泥の含水率は、例えば99重量%程度であり、この汚泥には予め凝集剤が混入されていて、汚泥がフロック化されている。かかる汚泥が入口部材1に流入するとき、電動モータ28の作動によって、スクリュー24が、その中心軸線のまわりに回転駆動されているので、その汚泥は、図1に矢印Bで示すように、入口部材1の側板7に形成された開口8を通って、固定部材3,3Aと可動部材4により区画された固液分離部21に流入する。このように、汚泥は、固液分離部21に、その軸線方向一端側の入口22から流入するのである。なお、各図には汚泥の図示を省略してある。
固液分離部21に入り込んだ汚泥は、電動モータ28により回転駆動されたスクリュー24によって、図1に矢印Cで示したように、固液分離部21の軸線方向他端側の出口23へ向けて搬送される。このとき、汚泥から分離された水分、すなわち濾液が、各固定部材3,3Aと可動部材4との間の濾液排出間隙g,gA(図3)を通して固液分離部外に排出される。排出された濾液は、図1に示したようにステー12,13に固定された濾液受け部材30に受け止められ、次いで濾液排出管31を通って流下する。
上述のようにして固液分離部21内の汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少したケーキ状の汚泥が、図1に矢印Dで示したように、固液分離部21の軸線方向他端側の出口23から排出される。固液分離部21から排出された汚泥は、出口部材2の下部の排出口11を通して下方に落下する。脱水処理されたケーキ状の汚泥の含水率は、例えば75乃至80重量%程度である。
本例の固液分離装置においては、図3に示すように、スクリュー24の外径D4が、固定部材3,3Aの貫通孔15,15Aの径D3よりも小さな大きさに設定されているのに対し、当該スクリュー24の外径D4は、可動部材4の貫通孔16の径D5よりも大きく設定されている。このため、スクリュー24の回転によって、各可動部材4はスクリュー24から外力を受けて、固定部材3,3Aに対して積極的に運動する。これによって濾液排出間隙g,gAに入り込んだ固形分を効率よく排出させることができ、濾液排出間隙g,gAが目詰まりを起こすことを阻止できる。
上述のように、本例の固液分離装置は、回転するスクリュー24によって可動部材4を半径方向に押し動かして、隣り合う固定部材3,3Aの間に配置された可動部材4を運動させ、濾液排出間隙g,gAの目詰まりを防止するように構成されているが、既に提案されているように、可動部材をスクリューに接触させずに、当該可動部材を駆動装置によって運動させるように構成したり、可動部材がスクリューの羽根の外周縁よりもスクリューの中心軸線側に入り込みながら運動するように構成することもできる(特許文献5参照)。また可動部材と固定部材の貫通孔を通して延びるスクリューを複数本設けることもできる(特許文献3)。さらに、2条以上の羽根を有するスクリューを用いることも可能である。
以上のように、本発明の対象としている固液分離装置は、貫通孔が形成された複数の固定部材と、同じく貫通孔が形成されていて、隣り合う固定部材の間に配置されて運動する可動部材と、該可動部材の貫通孔と前記固定部材の貫通孔とを通して延びる少なくとも1つのスクリューとを有し、該スクリューの回転によって、固定部材の貫通孔と可動部材の貫通孔とにより区画された固液分離部に入り込んだ処理対象物を該固液分離部の出口に向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を固定部材と可動部材の間の濾液排出間隙を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を固液分離部の出口から固液分離部外に排出させるように構成されている。この基本構成は、後述する各種形態の固液分離装置に共通するものである。
ところで、先にも説明したように、この種の固液分離装置においては、その固液分離部21に、処理対象物、この例では汚泥が固化して詰まってしまうことがある。このような汚泥の詰まりが発生した場合、従来は固定部材と可動部材とスクリューを分解して固化した汚泥を除去する必要があった。ところが、かかる作業は多大な時間と手間を要するものであった。
そこで本例の固液分離装置においては、図2及び図3を参照して先に説明したように、固定部材として、従来より一般に用いられている一方の固定部材3と、これとは構成の異なる他方の固定部材3Aとが用いられている。ここに示した他方の固定部材3Aは、図2に示すように、その周方向において分割された2つの構成部材41A,41Bとから成り、一方の構成部材41Aの周方向各端部と他方の構成部材41Bの周方向各端部とが、連結手段42A,42Bによってそれぞれ固定連結されている。各連結手段42A,42Bは、連結プレート43A,43Bと、一対の取付ボルト44A,44B;44C,44Dと、一対のナット45A,45B;45C,45Dとをそれぞれ有している。なお、図1においては、連結手段42A,42Bを簡略化して示してある。
一方の連結手段42Aの一方の取付ボルト44Aは、連結プレート43Aに形成された一方の孔46Aと、一方の構成部材41Aに形成された孔47Aを貫通し、その取付ボルト44Aのおねじ部にナット45Aが螺着されて締め付けられている。同様に、一方の連結手段42Aのもう一方の取付ボルト44Bも、連結プレート43Aに形成された他方の孔48Aと他方の構成部材41Bに形成された孔49Aを貫通し、その取付ボルト44Bのおねじ部にナット45Bが螺着されて締め付けられている。
他方の連結手段42Bにおいても全く同様に、各取付ボルト44C,44Dが、連結プレート43Bに形成された各孔と、各構成部材41A,41Bにそれぞれ形成された各孔を貫通して、その取付ボルト44C,44Dのおねじ部にナット45C,45Dがそれぞれ螺着されて締め付けられている。
上述のように、複数の構成部材41A,41Bは、これらが1つの環状の固定部材3Aを構成するように、連結手段42A,42Bを介して一体的に組み付けられている。従って、この固定部材3Aは、他の固定部材3と同様に、固液分離装置の固定部材としての働きを支障なく果たすことができる。
一方の構成部材41Aには、前述の2つの凹溝状の切欠40Aがそれぞれ形成され、その各切欠40Aに、前述の如く、各ステーボルト18A,18Bに嵌合した幅広のスペーサ14Aがそれぞれ嵌められている。また、他方の構成部材41Bには、前述の複数の取付孔17Aが形成され、その各取付孔17Aにも、前述のようにステーボルト18C,18D,18E,18Fがそれぞれ嵌合している。
固液分離部21内に汚泥が固化して詰まったときは、図2に示したナット45Aを回してこれを緩め、取付ボルト44Aを孔46A,47Aから抜き出し、同様にして他方の取付ボルト44Bも各孔48A,49Aから抜き出す。さらに同様にして、取付ボルト44C,44Dも各孔から抜き出す。これにより、他方の構成部材41Bに対する一方の構成部材41Aの固定連結が解除される。このため、図4に示したように、この構成部材41Aを作業者が手で掴んで、図2及び図4に矢印Fで示した方向に引き出して、その構成部材41Aを取り外すことができる。この動作中に、装置に残されたステーボルト18A,18Bは、これに嵌合した幅広のスペーサ14Aと共に、構成部材41Aの凹溝状の切欠40Aから相対的に抜け出るので、構成部材41Aを支障なく取り出すことができる。他方の構成部材41Bの取付孔17Aには、ステーボルト18C乃至18Fがそれぞれ嵌合しているので、その構成部材41Bが取り外されることはない。複数のステーボルト18が貫通した一方の固定部材3も同様に取り付けられたままである。
上述のように構成部材41Aを取り外せば、この構成部材41Aを挟んでいた2つの固定部材3の間に、図4及び図5に示した如く比較的大きな隙間Sができるので、図5に示したように、例えば、棒又は板材などから成る崩し手段50を手で掴んで、その隙間Sを通して固液分離部21に挿入し、その固液分離部21内で固化して詰まった汚泥を崩し手段50によって崩すことができる。その際、隙間Sから固液分離部21内に水を投入して、固化した汚泥を軟化させると、汚泥を崩しやすくなる。また、図1に示したいずれの固定部材3Aの構成部材41Aをも上述のように取り外すことによって、固液分離部21に崩し手段を挿入することができる。従って、固定部材3Aを所望する位置に配置することによって、固液分離部21の出口近傍以外の部分に詰まった汚泥も支障なく崩すことができる。
図2及び図3に関連して先に説明したように、他方の固定部材3Aの一方の構成部材41Aに形成された切欠40Aは、幅広なスペーサ14Aに嵌合している。その際、構成部材41Aは、スペーサ14Aに沿って、図3に矢印Eで示した軸線方向(スペーサ14Aの幅方向)に摺動できるように、その切欠40Aがスペーサ14Aに嵌合している。このため、上述のように取付ボルト44A乃至44Dを各孔から抜き出して、他方の構成部材41Bに対する一方の構成部材41Aの固定連結を解除すると、その構成部材41Aは、スペーサ14Aに沿ってわずかな範囲を矢印E方向に自由に摺動することができる。このため、作業者は、構成部材41Aを手で掴んで、これを楽に取り出すことができる。構成部材41Aが連結手段42A,42Bによって他方の構成部材41Bに固定されているときは、その一方の構成部材41Aも不動に固定されている。
上述のように、本例の固液分離装置においては、固定部材3Aの構成部材41Aを取り外すだけで、固液分離部21に崩し手段50を挿入して、固化した汚泥を崩すことができ、固定部材と可動部材とスクリューの全体を分解する必要はない。このため、単純な楽な作業で固化した汚泥を崩すことが可能である。
固液分離部21内の汚泥を崩した後は、崩し手段50を隙間Sから抜き出すと共に、構成部材41Aを再び隙間Sに挿入して、取付ボルト44A,44B,44C,44Dとナット45A,45B,45C,45Dとによって、その構成部材41Aを他方の構成部材41Bに固定連結する。
前述のように、固定部材3Aの板厚tAを5乃至10mm程に設定し、間隙幅GAを8乃至20mm程に設定しておけば、その固定部材3Aの構成部材41Aを上述のように取り外したとき、この構成部材41Aを挟んでいた隣り合う2つの固定部材3の間にかなり大きな隙間Sができるので、ここに容易に崩し手段50を挿入することができる。但し、固定部材3Aの板厚tAを大きくしすぎると、固液分離装置の作動時の固液分離効率が低下するので、この点を考慮に入れて、構成部材41Aの板厚等を設定すべきである。
上述した例では、構成部材41Aを完全に取り外すことによって、その構成部材41Aを所定の組み付け状態から変位させ、その結果、形成された隙間Sを通して崩し手段50を固液分離部内に挿入したが、構成部材41Aをその隣りに位置する構成部材41Bに対して回動させることにより、その構成部材41Aを所定の組み付け状態から変位させることもできる。
例えば、固液分離部21に汚泥が固化したとき、図2に示した取付ボルト44C,44Dを連結プレート43Bに形成された各孔と構成部材41A,41Bに形成された各孔から抜き出すが、ナット45Bは緩めずに、取付ボルト44Bを連結プレート43Aと構成部材41Bに対して固定したままとする。また、連結プレート43Aに形成された孔46Aと一方の構成部材41Aに形成された孔47Aに挿通されている取付ボルト44Aについては、これに螺着したナット45Aを緩めるだけで、その取付ボルト44Aを孔46A,47Aから抜き出さない。これにより、構成部材41Aは、取付ボルト44Aのまわりを回動可能となる。そこで、一方の構成部材41Aを、他方の構成部材41Bに対して、図2に矢印Hで示すように回動させる。このようにしても、図5に示したところと同様な隙間Sが形成されるので、ここを通して崩し手段50を固液分離部21に挿入することができる。孔46A,47Aに挿通される取付ボルト44Aを用いる代わりに、これらの孔46A,47Aに挿入されたピン(図示せず)を用いても、同様な作用を奏することができる。
上述のように、変位可能な構成部材41Aを取り外し、又は該構成部材41Aの周方向の隣りに位置する構成部材41Bに対して構成部材41Aを回動させることにより、当該変位可能な構成部材41Aを、その所定の組み付け状態から変位させることができるのである。かかる構成は、後述するいずれの実施形態にも採用できるものである。
上述した実施形態においては、固定部材3Aを2つの構成部材41A,41Bによって構成したが、3以上の構成部材によって固定部材を構成することもできる。また、2以上の構成部材、或いは全ての構成部材を変位可能に構成することも可能である。
図6に示した固定部材3Aは、周方向に分割された4つの構成部材41A,41B,41C,41Dにより構成され、その各構成部材41A乃至41Dには凹溝状の切欠40Aがそれぞれ形成されていて、各ステーボルト18に嵌合した幅広のスペーサ14Aが各切欠40Aにそれぞれ嵌め込まれている。この場合も、各スペーサ14Aは、固定部材3Aの板厚よりも幅広に形成され、固定部材3Aがスペーサ14Aに沿って、わずかな範囲を摺動自在となっている。
また、周方向に隣り合う構成部材41A乃至41Dは、図2を参照して先に説明した連結手段と同じく構成された連結手段42A,42B,42C,42Dによって一体的に組み付けられて環状の1つの固定部材3Aを構成している。
固液分離部に汚泥が固化してこれが詰まったときは、先に説明した連結手段の場合と同様にして、図6に示した各連結手段42A乃至42Dの取付ボルトを取り外す。これにより、各構成部材41A乃至41D同士の固定連結が解除される。そこで、これらの構成部材41A乃至41Dを、図6に矢印F,FA,FB,FCで示した方向に引き出すことによって、全ての構成部材41A乃至41Dを取り出すことができる。これによって形成された隙間から、図6には示していない崩し手段(図5参照)を固液分離部内に挿入して、固化した汚泥を崩すことができる。
図1に示したように、複数個(図の例では5個)の固定部材を、変位可能な構成部材41A,41B;41A,41B,41C,41Dを有する固定部材3Aとして構成することができるが、1つの固定部材だけ、或いは全ての固定部材を、変位可能な構成部材を有する固定部材3Aとして構成することもできる。全ての固定部材を、変位可能な構成部材を有する固定部材として構成すれば、その所望する構成部材を取り外し又は回動させて変位させることができるので、固液分離部のいずれの個所からも容易に崩し手段を固液分離部に挿入することができる。
図6に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図3に示した固液分離装置と変わりはない。
以上のように、本発明に係る固液分離装置は、少なくとも1つの固定部材が、その周方向において分割された複数の構成部材より成り、該複数の構成部材は、これらが固定部材を構成するように一体的に組み付けられており、固液分離部内に崩し手段を挿入すべきときは、該崩し手段を前記固液分離部内に挿入できるように、複数の構成部材を有する固定部材の少なくとも1つの構成部材を、その所定の組み付け状態から変位させることができるように構成されているのである。
以上説明した実施形態に係る固液分離装置は、複数の固定部材3,3Aが、これらの固定部材3,3Aを貫通して延びる複数のステーボルト18によって連結されていて、変位可能な構成部材41A,41B;41A,41B,41C,41Dには、凹溝状の切欠40Aが形成され、該切欠40Aをステーボルト18が貫通し、該変位可能な構成部材41A,41B;41A,41B,41C,41Dを変位させるとき、当該変位可能な構成部材41A,41B;41A,41B,41C,41Dに形成された切欠40Aから前記ステーボルト18が相対的に抜け出るように構成されている。変位可能な構成部材を変位させるとき、その構成部材に形成された切欠40Aがステーボルト18から離脱するように構成されているのである。
ところが、取り外し、又は回動可能な構成部材に切欠40Aを形成すると、図7に示すように、凹溝状の切欠40Aの一部が隙間51Aとして外部に露出し、この隙間51Aを通して固液分離部内の汚泥が外部に漏出するおそれがある。
図8は、図1乃至図3に示した固液分離装置を基本構成とすると共に、上述した不具合を阻止できるように構成した固液分離装置の一部を示す斜視図である。図9は図8に示した固液分離装置の部分縦断面図であって、スクリューの図示を省略した図である。図8及び図9に示した固液分離装置においては、前述のように固定部材3Aを構成する変位可能な構成部材41Aの軸線方向における各隣りに、その変位可能な構成部材41Aに形成された切欠40Aを覆う覆い部材52がそれぞれ配置されている。各覆い部材52も、貫通孔53が形成されたリング状の板材により構成され、その貫通孔53中を、図8には示していないスクリューが、各覆い部材52に接触することなく延びている。また、これらの覆い部材52にも複数の取付孔54が形成され、その各貫通孔54に各ステーボルト18がそれぞれ貫通して延びていて、これらのステーボルト18によって、両覆い部材52が所定の位置に組み付けられている。覆い部材52の貫通孔53の径は、可動部材4の外径よりも小さく設定されている。
図8に示したように、各覆い部材52における符号52Aで示した部分が、構成部材41Aに形成された切欠40Aを覆い、図7に示した隙間51Aも覆い部材52によって外部から覆われる。このため、隙間51Aを通して、固液分離部21内の汚泥が漏出することを阻止し、ないしはその漏出量を効果的に抑えることができる。
図8に示すように、固定部材3Aと、その隣りに位置する各覆い部材52との間には、ステーボルト8が貫通したスペーサ14Bが配置され、これによって固定部材3Aと各覆い部材52との間に間隔が確保されている。しかも、図8及び図9に示すように、2つの覆い部材52の間に、固定部材3Aよりも幅広なスペーサ14Aが位置し、そのスペーサ14Aは、構成部材41Aに形成された切欠40Aに嵌合し、各スペーサ14Aの中心孔をステーボルト18がそれぞれ貫通している。従って、この場合も、構成部材41Bに対する構成部材41Aの固定連結を解除することにより、固定部材3Aを矢印Eで示したように軸線方向にわずかに遊動させることができ、これによって構成部材41Aを楽に変位させることができる。各覆い部材52と、その隣に位置する取り外し不能な固定部材3との間と、各固定部材3の間にステーボルト18の貫通したスペーサ14がそれぞれ位置し、その各間に可動部材4が運動可能に配置されている。
固定部材3Aと、その隣りに位置する各覆い部材52との間の隙間GSは、例えば0.05乃至0.1mm程度に設定される。隙間GSの大きさがこの程度であれば、この隙間GSを通して、固液分離部内の汚泥が多量に外部に漏出することはない。また、この隙間GSを通して濾液を流出させることができる。なお、図9においては、図を判りやすくするため、隙間GSの大きさを誇張して示してある。
また、図8に示すように、各覆い部材52には、連結手段42A,42Bとの干渉を防止するための切欠55と、固定部材3Aの構成部材41Aを取り外すべく、その構成部材41Aを掴む際に、覆い部材52が邪魔とならぬようにするための切欠56がそれぞれ形成されている。
図8及び図9は、図1乃至図3に示した固液分離装置に、覆い部材52を追加した固液分離装置を示す図であるが、覆い部材52を設ける構成は、他の形式の固液分離装置にも適用できる。図10は、図6に示した固液分離装置に覆い部材52を設けた固液分離装置を示す分解斜視図である。ここに示した覆い部材52は、図8及び図9に示した覆い部材と実質的に異なるところはなく、図10に示した覆い部材52も、固定部材3Aの各構成部材41A乃至41Dに形成された各切欠40Aを覆うように形成されている。しかも、この覆い部材52にも、各連結手段42A乃至42Dとの干渉を防ぐ切欠55と、構成部材41Aを掴む際に、覆い部材52が邪魔とならぬための切欠56が形成されている。他の構成部材41B,41C,41Dを掴む際に、覆い部材52が邪魔とならぬための切欠(図示せず)を覆い部材52に形成することもできる。固定部材3Aと覆い部材52に関連する他の構成は、図8及び図9に示した固液分離装置と変わりはない。
図8乃至図10に示した固液分離装置は、一対の覆い部材52によって、固定部材3Aの変位可能な構成部材41A,41B,41C,41Dに形成された切欠40Aを覆うように構成されている。これに対し、図11に示す固液分離装置においては、固定部材3Aの変位可能な構成部材41Aの軸線方向各隣りに位置する固定部材3、すなわち所定の組み付け状態から変位不能に構成された固定部材3に、図11に符号57で示した部分が追加形成され、この部分57が図7に示した切欠40Aの隙間51を覆うように構成されている。固定部材3Aの変位可能な構成部材41Aの各隣りに配置された変位不能な固定部材3が、変位可能な構成部材41Aに形成された切欠き40Aを覆うように形成されているのである。この場合も、変位可能な構成部材41Aと、その隣りに位置する各固定部材3との間の隙間の大きさは、例えば0.05乃至0.1mm程に設定されている。
上記構成によれば、図8乃至図10に示した覆い部材52を設けることなく、変位可能な構成部材41Aの切欠40Aを覆い、ここから固液分離部内の汚泥が漏出することを防止し、ないしはその漏出量を効果的に減少させることができる。覆い部材52が不要であるため、固液分離装置の部品点数を減少させることができる。図11に示した固液分離装置の他の構成は、図2及び図3に示した固液分離装置と変わりはない。
上述のように、変位可能な構成部材の各隣りに、所定の組み付け状態から変位不能に構成された固定部材がそれぞれ配置され、該変位不能な固定部材は、変位可能な構成部材に形成された切欠を覆うように形成されている構成は、図11に示した形式の固液分離装置に限らず、例えば図6に示した固液分離装置などにも広く適用できるものである。
図12に示した固液分離装置も、貫通孔15,15Aの形成された固定部材3,3Aと、軸線方向に隣り合う固定部材3,3Aの間に配置されていて、貫通孔16の形成された運動可能な可動部材4を有し、その固定部材3,3Aと可動部材4の貫通孔15,15A,16を図示していないスクリューが延びている。複数の固定部材3,3Aは、これらを貫通して延びる複数のステーボルト18によって一体的に連結されている。ここでは、4本のステーボルト18が用いられ、これらを識別する必要のあるときは、これらに付した符号18A,18B,18C,18Dを用いて、当該ステーボルトを説明することにする。
従来の固定部材と同様に変位不能に組み付けられた一方の固定部材3には、4つの取付孔17が形成されていて、その各取付孔17に上述の各ステーボルト18A,18B,18C,18Dがそれぞれ貫通している。これに対し変位可能な構成要素を有する他方の固定部材3Aは、周方向に分割された4つの構成部材41F,41G,41H,41Iを有している。これらの構成部材のうちの2つの構成部材41F,41Hには、それぞれ2つずつの取付孔17B,17C,17D,17Eが形成され、その各取付孔にステーボルト18A,18B,18C,18Dがそれぞれ貫通している。
上述のように取付孔17にステーボルト18A乃至18Dが貫通した一方の固定部材3と、同じく取付孔17B乃至17Eにステーボルト18A乃至18Dがそれぞれ貫通した他方の固定部材3Aの構成部材41F,41Hは不動に固定されていて、その所定の取付位置から変位することはない。このように、構成部材41F,41Hは、変位不能な構成部材である。
これに対し、上述した変位不能な構成部材41F,41Hの周方向における各隣りに位置する2つの構成部材41G,41Iは、取り外すことのできる変位可能な構成部材であり、かかる構成部材41G,41Iにはステーボルト18は貫通していない。その代わりに、構成部材41Gの各端部は、第1及び第2の連結手段42F,42Gによって、それぞれ隣りに位置する変位不能な構成部材41F,41Hに固定連結され、構成部材41Iの各端部は、第3及び第4の連結手段42H,42Iによって、隣りに位置する変位不能な構成部材41H,41Fにそれぞれ固定連結されている。
上述した第1乃至第4の連結手段42F,42G,42H,42Iは、連結プレート43F,43G,43H,43Iと、取付ボルト44F,44G,44H,44Iと、その各取付ボルトに螺着されるナット45F,45G,45H,45Iを有している。各連結プレート43F乃至43Iには2つずつの取付孔が形成され、その一方の各取付孔46F,46G,46H,46Iには、ステーボルト18B,18C,18D,18Aがそれぞれ貫通し、他方の各取付孔48F,48G,48H,48Iと、変位可能な構成部材41G,41Iに形成された各取付孔47F,47G,47H,47Iには、各取付ボルト44F,44G,44H,44Iがそれぞれ挿通され、その各取付ボルトに螺着されたナット45F,45G,45H,45Iがそれぞれ締め付けられている。これにより4つの構成部材41F,41G,41H,41Iが、一体的に固定連結され、1つの環状の固定部材3Aが構成されている。このように、変位可能な構成部材41G,41Iは、変位不能の構成部材41F,41Hに、連結手段42F,42G,42H,42Iを介して、一体的に組み付けられている。なお、図12に示した固液分離装置には、図2に示した幅広なスペーサ14Aは設けられていない。
固液分離部内で汚泥が固化し、これを崩すべきときは、第1乃至第4の連結手段42F乃至42Iのナット45F乃至45Iをそれぞれ回して、各取付ボルト44F乃至44Iを緩め、その各取付ボルトを、各連結プレート43F乃至43Iに形成された取付孔48F乃至48Iと、変位可能な構成部材41G,41Iに形成された各取付孔47F乃至47Iから抜き出す。これにより変位可能な構成部材41G,41Iは、変位不能な構成部材41F,41Hに対する固定が解除されるので、2つの構成部材41G,41Iを手で掴んで、これらを図12に矢印Fで示すように取り外すことができる。
これにより形成された隙間を通して、図12には示してない崩し手段(図5参照)を固液分離部内に挿入して、固化した汚泥を崩すことができる。変位可能な構成部材41G,41Iを、その隣りに位置する変位不能な構成部材41F,41Hに対して回動させて、その変位可能な構成部材41I,41Gを変位させるように構成することもできる。このように、固液分離部内に崩し手段を挿入すべきときに、変位可能な構成部材41G,41Iを、その所定の組み付け状態から変位させるのである。逆の手順によって、構成部材41G,41Iを再び所定の位置に組み付けることができる。
図13に示した固液分離装置においては、固定部材3Aが、変位不能な4つの構成部材41J,41K,41L,41Mと、その周方向隣りに位置する変位可能な構成部材41N,41O,41P,41Qにより構成され、変位不能な構成部材41J乃至41Mに形成された各取付孔にステーボルト18がそれぞれ貫通している。これに対し、変位可能な構成部材41N乃至41Qには、ステーボルト18は貫通していない。また、変位不能な構成部材41Jは、その各隣りに位置する変位可能な構成部材41N,41Oに連結手段42Jを介して固定連結され、同じく変位不能な構成部材41Kは、その各隣りに位置する変位可能な構成部材41O,41Pに連結手段42Kを介して固定連結されている。同様に変位不能な構成部材41Lは、その各隣りに位置する変位可能な構成部材41P,41Qに連結手段42Lを介して固定連結され、変位不能な構成部材41Mも、その各隣りに位置する変位可能な構成部材41Q,41Nに連結手段42Mを介して固定連結されている。各変位不能な固定部材3の間と、その変位不能な固定部材3と変位可能な構成部材を有する固定部材3Aとの間には、可動部材4がそれぞれ配置され、固定部材3,3Aと可動部材4の貫通孔15,15A,16を通して図示していないスクリューが延びていることは、先に説明した固液分離装置と変わりはない。
各連結手段42J乃至42Mは、それぞれ連結プレート43J,43K,43L,43Mと、その各連結プレートに形成された各取付孔46J,46Kと変位可能な構成部材41N,41O,41P,41Qに形成された各取付孔47J,47Kにそれぞれ挿通された図示していない取付ボルトと、その取付ボルトに螺着されて締め付けられた図示していないナットとを有している。また、各連結プレートの中央部に形成された取付孔46Lには、ステーボルト18がそれぞれ嵌合している。図13に示した固液分離装置にも、幅広のスペーサは設けられていない。
固液分離部内で固化した汚泥を崩すときは、上述した図示していないナットを回して、同じく図示していない取付ボルトを緩め、その各取付ボルトを各連結プレート43J乃至43Mに形成された各取付孔46J,46Kと、変位可能な構成部材41N,41O,41P,41Qに形成された各取付孔47J,47Kからそれぞれ抜き出す。これにより変位不能な構成部材41J乃至41Mに対する変位可能な構成部材41N乃至41Qの固定が解除されるので、これらの構成部材41N乃至41Qを、先に説明した実施形態の場合と同様にして取り外すことができる。この場合も、変位可能な構成部材を変位不能な固定部材に対して回動させて、構成部材41N乃至41Qを変位させるように構成することもできる。
上述のように、構成部材41N乃至41Qを変位させることにより形成された隙間を通して、図13には示していない崩し手段を固液分離部内に挿入して、固化した汚泥を崩すことができる。逆の操作を行うことによって、構成部材41N乃至41Qを再び所定の位置に組み付けることができる。
上述のように、図12及び図13に示した固液分離装置においては、周方向に分割された複数の構成部材を有する固定部材3Aの一部の構成部材に取付孔が形成され、その取付孔にステーボルトが貫通して、その構成部材が変位不能に組み付けられ、その変位不能な構成部材に変位可能な構成部材が連結手段を介して一体的に組み付けられている。その際、変位不能な構成部材と変位可能な構成部材の数は、1を含めた適数に設定することができる。
上述した点からも了解されるように、図12及び図13に示した固液分離装置は、複数の固定部材が、これらの固定部材を貫通して延びる複数のステーボルトにより連結されていて、周方向に分割された複数の構成部材を有する固定部材の少なくとも1つの構成部材には取付孔が貫通形成され、該取付孔の形成された構成部材がその所定の取付位置から変位不能であるように、その取付孔にステーボルトが貫通しており、変位可能な構成部材にはステーボルトは貫通しておらず、変位不能な構成部材に、変位可能な構成部材が一体的に組み付けられ、固液分離部内に崩し手段を挿入すべきときに、該変位可能な構成部材を、その所定の組み付け状態から変位させることができるように構成されている。
かかる構成の固液分離装置によれば、変位可能な構成部材にステーボルトを貫通させる必要はなく、従ってその変位可能な構成部材に、図2に示したような凹溝状の切欠40Aを形成する必要はない。このため、図6に示したような覆い部材52を設けずとも、固液分離部内の汚泥が外部に多量に漏出するおそれはない。このように覆い部材52が不要であるため、固液分離装置の部品点数を減少させることができる。
また、図12及び図13に示した固液分離装置においても、各固定部材3,3Aの間に可動部材4が配置されていて、隣り合う変位不能な固定部材3の間には、ステーボルト18が貫通したスペーサ14が配置され、しかも変位可能な構成部材を有する固定部材3Aと、その右隣りの固定部材3との間にもステーボルト18が貫通したスペーサ14が配置されている。これに対し、変位可能な構成部材を有する固定部材3Aと、その左隣りに位置する固定部材3の間には、前述の連結プレート43F乃至43I;43J乃至43Mが位置し、これらの連結プレート43F乃至43I;43J乃至43Mが、固定部材3Aとその左隣りに位置する固定部材3との間の間隔を保持するスペーサとしての働きを兼用している。これにより、固定部材3Aと、その左隣りの固定部材3との間には、専用のスペーサを設ける必要はなく、これによって部品点数の減少を図ることができる。
また、図12及び図13に示した固液分離装置においては、変位可能な構成部材を有する固定部材3Aの、図12及び図13における左側の面に全ての連結プレート43F乃至43I;43J乃至43Mを配置したが、これらの連結プレートのうちの一部の連結プレートを、図12及び図13における右側の固定部材3Aの面に配置し、その右側の面に配置した連結プレートを、固定部材3Aとその右隣りに位置する固定部材3との間の間隔を保持するスペーサとして用いることもできる。このようにすれば、固液分離装置の部品点数をさらに減少させることができる。
上述のように、図12及び図13に示した固液分離装置は、周方向に隣り合う構成部材同士を連結する連結プレートを有する連結手段を具備しており、その際、その連結プレートが、周方向に分割された複数の構成部材を有する固定部材と、その軸線方向の隣りに位置する固定部材とを離間させるスペーサとしての働きを兼ねている。かかる構成は、前述した各実施形態の固液分離装置にも適用可能である。
図12及び図13に示した固液分離装置の他の基本構成は、図1乃至図3に示した固液分離装置と実質的に相違するところはない。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、各種改変して構成できるものである。