JP5468611B2 - アイラントゥス・エクスケルサから単離された新規なトリテルペノイド、aechl−1のインビトロ及びインビボでの抗腫瘍活性 - Google Patents

アイラントゥス・エクスケルサから単離された新規なトリテルペノイド、aechl−1のインビトロ及びインビボでの抗腫瘍活性 Download PDF

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Description

本発明は、アイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)から単離され、インビトロ及びインビボの両方において抗腫瘍活性を有する、新規なトリテルペノイドAECHIL−1に関する。
癌の治療における技術の現状には化学療法が含まれる。これは、癌の治療において、種々の化合物を単独で又はそのような化合物を2種以上組み合わせて投与し、癌細胞の成長を阻害するか又は癌細胞を死滅させることを含む。太平洋イチイの木由来のパクリタキセル、ポドフィルムの木由来のエトポシド及びニチニチソウ由来のビンクリスチンのような化学修飾化合物が最も多く使用されているが、シスプラチン、マイトマイシン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、インターフェロンのような他の化合物も使用されている。放射線療法は、遺伝物質を損傷させ、細胞のさらなる成長及び分裂を不可能にすることによって、腫瘍を縮小及び破壊させることを含む、別のタイプの療法である。
凍結療法は、異常な組織を破壊する液体窒素(又はアルゴンガス)を使用して超低温環境を創り出し、皮膚上の腫瘍などの外部の腫瘍を治療するために使用される。免疫療法は、癌の治療において、モノクローナル抗体で標識された毒素を利用するものである。
上記のすべての療法の最も重要な欠点は、これらが健常な細胞を傷害し、心臓、肺、神経、腎臓又は生殖器のような種々の臓器を損傷し、最終的には死に至らしめることである。他の副作用には、貧血、食欲低下、出血、疲労、インフルエンザ様症状、体液貯留、脱毛、不妊症、口腔及び咽喉の変化、悪心及び嘔吐、疼痛、性的変化、皮膚及び爪の変化、眼の変化、尿、腎臓及び膀胱の変化が含まれる。
植物は、癌の治療に使用されてきた長い歴史を有する。植物由来の化合物は、いくつかの臨床的に有用な抗癌剤の重要な源である。ビンブラスチン、ビンクリスチン、カンプトテシン誘導体、トポテカン及びイリノテカン、エピポドフィロトキシン由来のエトポシド並びにパクリタキセル(タキソール)を含む非常に多くの植物由来の化合物が癌化学療法に使用されているが、大部分が非腫瘍細胞に細胞毒性を示し、遺伝毒性、発癌性及び催奇形性の作用を誘導する可能性がある。それらの化学療法剤は標的とする悪性細胞を治療する際に高い有効性を示すにもかかわらず、これらの副作用によって、その使用が制限されている。したがって、癌の治療における有効且つ非毒性の両方である代替薬物の探索が、重要な研究方向である。
インド中南部に自生し、ニガキ科に属する木であるアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa Roxb)(天国の木)の根皮は、アーユルヴェーダ及び根拠に基づいた植物療法に広く使用されている。この科から派生した他の種は、その抗癌活性でよく知られている。A.エクスケルサの化学成分は、トリテルペン及びアルカロイドを含む。本研究の目的は、アイラントゥス・エクスケルサの根皮から単離された新規なトリテルペノイド部分(AECHL−1)のインビトロ細胞毒性作用及びインビボ抗腫瘍作用を評価することである。
アイラントゥス・エクスケルサの木の根皮から得られたAECHL−1は、有効投与量で、脱毛、心臓毒性、肝毒性、腎毒性のようなこれらの欠点のいくつかを克服することができた。腫瘍の治療に使用されている他の薬剤と比較して、AECHL−1は、コスト効率が良く、その源としての植物から容易に入手でき、抗癌剤の多くとは異なり正常細胞には非毒性である。
本発明の分子は、アイラントゥス・エクスケルサの木の根皮から単離され、種々の癌細胞において細胞毒性作用を有することが示された。分子(AECHL−1と称される)の抗腫瘍作用は非常に広範であった。この理由は、この分子が、明確な起源を有し異なるp53状態の4種の腫瘍細胞系(B16マウス黒色腫、PC3ヒト前立腺癌、MCF−7及びMDA−231ヒト乳癌)の成長を阻害し、正常ヒト胚腎細胞HEK293において、より少ない細胞毒性を示したためである。異なる起源の腫瘍、すなわちC57中で成長したB16F10及びヌードマウス中で成長したMCF−7それぞれにおいて、AECHL−1は腫瘍体積の有意な縮小を示した。2種の臨床的に有用な薬剤であるシスプラチン及びパクリタキセルは、インビトロ及びインビボの両方の研究の標準試料として使用され、AECHL−1の作用は、パクリタキセル及びシスプラチンと同程度であることが分かった。
AECHL−1は、濃度依存的に細胞の生存/増殖を阻害した。それは、G2/M相の細胞周期を停止させることによるPC3細胞増殖の阻害を示した。MDA−MB231細胞では、それはS−G2/M相の成長を停止させたが、B16F10細胞ではG0/G1相で成長停止を示した。MCF−7細胞では、それはS−G2/M相の成長を停止させた。
アイラントゥス・エクスケルサから分子が単離され、特性決定されることは初めてのことであり、報告された性質について検討されたのも初めてのことである。したがって、本発明の知識に関する、国内及び国際レベルでの情報は、全く入手することができない。
本発明の主な目的は、アイラントゥス・エクスケルサの根皮から単離され、抗癌性を有する、新規なトリテルペノイドAECHL−1を開発することである。
他の目的は、インビトロ及びインビボにおける抗癌性を評価することである。
別の目的は、種々の形態の腫瘍の治療において注目すべき活性を示し、マウス黒色腫並びにヒト乳癌及び前立腺癌を含む異なる癌に特異性を有する、新規なトリテルペノイド分子を開発することである。
さらに別の目的は、抗癌活性を有する、新規なトリテルペノイド分子を開発すること及びいくつかのモデル系において死の作用機序を研究することである。
アイラントゥス・エクスケルサの根皮から単離され、抗癌性を有し、種々の形態の腫瘍の治療において注目すべき活性を示し、特異性を有し、明確な起源を有し異なるp53状態の4種の腫瘍細胞系(B16F10マウス黒色腫、PC3ヒト前立腺癌、MCF−7及びMDA−MB−231ヒト乳癌)の成長を阻害し、以下の特徴を有するIR、NMR及び質量スペクトル、すなわちIR(KBr):3425、3419(ヒドロキシル基)、2972、2966、2923、2873(アルキルC−H伸縮)、1733(δラクトン)、1718(ビアセチル)、1680(アルケンとのC=O共役)、1652(−C=C伸縮)、1600(芳香族)、1492、1454、1394(メチル伸縮)、1222(δラクトン)、1184、1110、1051、1031(アセタール)、1018nm(アルカン)

を有し、化学シフトは、δ目盛のppmで示されており、sは単一線、dは二重線、tは三重線であり、質量スペクトルは、以下の主要なピーク:二量体形成によるm/z:1068を示し、実際の[M]は、543.8、463.3[M−C]、461.4[M−C]、459.4[M−C]、361.2[M−C11]であると考えられた、EI及びES質量スペクトルによって示されているように、分子式C293610を有する、融点248〜250℃の固体である、新規な化学部分トリテルペノイドAECHL−1。
HPLC(島津製作所 LC−20AT)によって評価された、AECHL−1の純度を実証する図である。AECHL−1の調製物をRP C−18 Phenomenexカラムに適用し、メタノール及び水の溶液を用いて溶出した。単一ピークは、調製物が99%を超える純度であることを示していた。 AECHL−1の構造を、その質量フラグメントを用いて示す図である。 処理から12、24及び48時間後に、腫瘍細胞の生存及び増殖百分率は、MTT及び[H]チミジン取り込みによって示されるように、すべての細胞系において、AECHL−1によって濃度及び時間依存的に有意に阻害された。 阻害率は濃度及び時間依存的に増加し、細胞系においてAECHL−1での処理から48時間後に、より高濃度で最大の効果が認められ、MCF−7>B16F10>PC3>MDA−MB−231>HEK293となった。 意義深いことに、AECHL−1の10μMでの阻害作用は、48時間処理されたMCF−7細胞におけるパクリタキセル又はシスプラチンの阻害作用よりも強く、このことはAECHL−1が非常に強力であることを示唆している。 異なる細胞の異なる濃度での相対的な細胞成長の停止が、細胞のランダム視野の位相差画像において視覚的に明らかであることを説明する図である。 AECHL−1処理が細胞の微小管ネットワークに影響を及ぼすかどうかを試験した図である。MCF−7細胞を、種々の濃度のパクリタキセル(1〜20μM)及びAECHL−1(2〜40μM)で処理した。インキュベーションから24時間後、核(蛍光緑色)の中へのp53転移及び微小管ネットワーク(蛍光赤色)が、共焦点顕微鏡法によって視覚化された。AECHL−1処理は、核の中にp53を転移させる結果となった。対照細胞中の微小管ネットワークは、正常な配置及び組織を示した。パクリタキセルでの処理は、結果として微小管を重合させ、細胞の微小管の密度を増加させ、核を取り囲む長く厚い微小管束を形成することになった。AECHL−1処理は、パクリタキセルが誘導した、微小管の肥厚及び密度増加などの微小管の変化の所見と類似の所見に帰着した。 シスプラチンは、50μg又は100μgのAECHL−1よりも極めて有意であることが分かったが、シスプラチン投与群では他の臓器に損傷を与えることを示す図である。 シスプラチンは、50μg又は100μgのAECHL−1よりも極めて有意であることが分かったが、シスプラチン投与群では他の臓器に損傷を与えることを示す図である。 MCF−7細胞についてのAECHL−1の細胞毒性用量は非常に低かったため、胸腺欠損ヌードマウスの腫瘍異種移植片に対して選択された用量は、5、10及び20μg/0.05mlであった。これらの用量のAECHL−1では、腫瘍サイズは[5μgでは35.72±0.05%(p<0.001)、10μgでは28.55±0.06%(p<0.001)、20μgでは4.1±0.27%(p<0.05)減少したのに対して、20μgパクリタキセルを投与したものは、[14.19±0.32%(p<0.05)]の減少を示し、これはAECHL−1群に比べて少なかったことを実証する図である。 MCF−7細胞についてのAECHL−1の細胞毒性用量は非常に低かったため、胸腺欠損ヌードマウスの腫瘍異種移植片に対して選択された用量は、5、10及び20μg/0.05mlであった。これらの用量のAECHL−1では、腫瘍サイズは[5μgでは35.72±0.05%(p<0.001)、10μgでは28.55±0.06%(p<0.001)、20μgでは4.1±0.27%(p<0.05)減少したのに対して、20μgパクリタキセルを投与したものは、[14.19±0.32%(p<0.05)]の減少を示し、これはAECHL−1群に比べて少なかったことを実証する図である。 対照群において、並びに100μgAECHL−1及びシスプラチンを投与されたマウスにおいて、体重(腫瘍を含む)の減少が認められた。これに対して、50μgAECHL−1を投与されたマウスの場合には、体重は減少しなかったことを示す図である。 50及び100μgのAECHL−1並びにシスプラチンの投与は、対照群と比較して、投与12日後の腫瘍重量対体重比において有意な減少を示した(p<0.01)。100μgAECHL−1に比べて、50μgAECHL−1の効果が大きかった。AECHL−1群及び対照群と比較して、シスプラチン投与群は比において有意な減少を示したことを示す図である。 血管が十分に発達していることが分かったことを示す図である。 赤血球の存在によって示されるように、潅流した血管を示す図である。したがって、この領域の壊死は、血管新生が不足した結果ではないように思われた。 100μgAECHL−1での腫瘍の治療は、腫瘍領域の至る所に壊死性核の増加を示し、新生血管形成及び出血領域が消失しており、それ故に血管形成及び転移の見込みが減ったことを実証する図である。腫瘍細胞密度は、50μgAECHL−1及び溶媒投与群のものと比較して低いことが分かった。 シスプラチン投与群は、壊死性核の有意な増加を示し、腫瘍細胞密度が減少したことを示す図である。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照群由来の肝臓は、小葉の周辺に門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。現れたクッパー細胞は正常であった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。50μgAECHL−1は、肝臓の正常な構造に影響を及ぼさなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。100μgAECHL−1は、肥大性細胞核を有する肝臓の正常な構造を保持している。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。シスプラチン投与群において、広範囲にわたる肝細胞の壊死が見られた。右側の矢印で示されている肝細胞は死滅している。このパターンは、種々の肝臓毒素で見ることができ、リンパ球浸潤を伴う肝細胞の巣状壊死が発生した。組織病理学的には、病変は、壊死に反応して炎症の程度を変化させることを伴う壊死を特徴とするティザー病のものに見える。急性肝臓病変は、主として好中球性の最小の炎症によって取り囲まれている壊死病巣からなる。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照群由来の心臓は、個々の細胞を示す、中心に位置する顕著な核を有する平行線維を示した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。50μgAECHL−1の投与は、心筋線維の壊死を全く示さなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。100μgAECHL−1の投与は、収縮帯と核の欠乏とを有する広範囲にわたる心筋線維の壊死を示した。凝固壊死の特徴である、筋線維の小片化及び破損が発生している。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。シスプラチン投与マウスは、心筋線維の壊死が軽度のリンパ球浸潤を伴って発生することを示した。ここで再び、凝固壊死の特徴である、筋線維の小片化及び破損。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照において、マウスの腎臓は、境界が十分にはっきりした皮質及び髄質並びに十分に形成された糸球体を有する無傷の被膜を示した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。50μgAECHL−1の投与は、出血領域を有する軽度の尿細管空胞変性及び尿細管膨張を示し、下方部分に正常な糸球体が現れている。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。100μgAECHL−1の投与は、出血状態を有する尿細管空胞変性及び尿細管膨張を示し、尿細管は散在性慢性炎症細胞浸潤を伴って膨張した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。シスプラチン投与マウスにおいて、リンパ球は管内及び管周囲に散在していた。糸球体は細胞過形成であり、毛細血管のループは顕著な特徴が見られなかったが、これは増殖性糸球体腎炎のタイプである。多くの好中球が尿細管及び間質に見られ、すなわち腎盂腎炎であった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。膵臓組織学について、細胞の構造に有意な変化は全く発生しなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。膵臓組織学について、細胞の構造に有意な変化は全く発生しなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。膵臓組織学について、細胞の構造に有意な変化は全く発生しなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。膵臓組織学について、細胞の構造に有意な変化は全く発生しなかった。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照マウス由来の代表的な脾臓切片は、()−細動脈周囲のリンパ鞘;(Θ)−濾胞;(Ψ)−辺縁帯によって示される白髄の異なる区画を示した。対照は、正常な脾臓構造を示した。白髄の過形成、特に濾胞;及び辺縁帯の過形成に留意されたい。組織学は、辺縁帯における顆粒球数の増加を示した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照マウス由来の代表的な脾臓切片は、()−細動脈周囲のリンパ鞘;(Θ)−濾胞;(Ψ)−辺縁帯によって示される白髄の異なる区画を示した。50μgAECHL−1は、正常な脾臓構造を示した。白髄の過形成、特に濾胞;及び辺縁帯の過形成に留意されたい。組織学は、辺縁帯における顆粒球数の増加を示した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照マウス由来の代表的な脾臓切片は、()−細動脈周囲のリンパ鞘;(Θ)−濾胞;(Ψ)−辺縁帯によって示される白髄の異なる区画を示した。対照及び50μgAECHL−1は、正常な脾臓構造を示した。白髄の過形成、特に濾胞;及び辺縁帯の過形成に留意されたい。組織学は、辺縁帯における顆粒球数の増加を示した。 C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照マウス由来の代表的な脾臓切片は、()−細動脈周囲のリンパ鞘;(Θ)−濾胞;(Ψ)−辺縁帯によって示される白髄の異なる区画を示した。対照及び50μgAECHL−1は、正常な脾臓構造を示した。白髄の過形成、特に濾胞;及び辺縁帯の過形成に留意されたい。組織学は、辺縁帯における顆粒球数の増加を示した。 ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査を示す図である。ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。対照マウス由来の腫瘍は、切片の至る所に、高度に密集した細胞で取り囲まれた明白な新生血管形成を示し、壊死細胞は存在しなかった。 ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査を示す図である。ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。パクリタキセルの投与は、腫瘍細胞密度を減らし、切片内に多くの空きスペース及び壊死領域を発生させた。パクリタキセルは、血管及び出血領域の発生を伴う腫瘍血管新生に影響を及ぼさなかった。 ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査を示す図である。ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。5μg用量のAECHL−1は、腫瘍細胞密度の減少を示し、腫瘍領域の至る所に多くの空きスペースを示した。それはまた、新生血管形成の欠乏を示し、出血領域も存在しなかった。 ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査を示す図である。ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。10μgのAECHL−1は、類似の作用を示したが、血管新生を減少させることができず、出血領域が発生した。赤血球の存在によって示されるように、血管は潅流しているように思われたので、本発明者らは、この領域の血管の機能性を直接評価しなかった。したがって、この領域の壊死は、血管新生が不足した結果ではないように思われた。 ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査を示す図である。ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。20μgのAECHL−1は、類似の作用を示したが、血管新生を減少させることができず、出血領域が発生した。赤血球の存在によって示されるように、血管は潅流しているように思われたので、本発明者らは、この領域の血管の機能性を直接評価しなかった。したがって、この領域の壊死は、血管新生が不足した結果ではないように思われた。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。パクリタキセルは、リンパ球浸潤の徴候を伴う心筋線維の壊死を示した。20μg用量のパクリタキセルは、心筋の小片化及び破損を伴い、広範囲にわたる心筋線維の壊死を示した。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。5μgAECHL−1の投与は、正常な心筋に全く変化を示さなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。10μgのAECHL−1は、リンパ球浸潤の徴候を伴う心筋線維の壊死を示した。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。20μgのAECHL−1は、リンパ球浸潤の徴候を伴う心筋線維の壊死を示した。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。パクリタキセル投与群は、出血領域を有する尿細管空胞変性膨張の徴候を示した。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の腎臓構造に有意な変化は全く認められなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の腎臓構造に有意な変化は全く認められなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の腎臓構造に有意な変化は全く認められなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。パクリタキセル投与群由来の肝臓は、門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。肝臓の正常な構造に全く変化を示さなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の肝臓は、門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。肝臓の正常な構造に全く変化を示さなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の肝臓は、門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。肝臓の正常な構造に全く変化を示さなかった。 ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査を示す図である。AECHL−1投与群由来の肝臓は、門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。肝臓の正常な構造に全く変化を示さなかった。 AECHL−1はチェックポイントタンパク質p53(腫瘍抑制タンパク質)、細胞停止タンパク質p21の発現の上方調節及びc−Mycの下方調節を誘導した。p53タンパク質は、対照と比較して、シスプラチン同様、50μg及び100μgAECHL−1の両方で発現の増加を示したことを示す図である。
インビボ研究の用量は、本検討において行われたインビトロ実験に基づいて定められた。このインビトロ実験では、C57マウス及び胸腺欠損ヌードマウスの両方を対象に選択された投与量で、21日以内に死亡は全く認められなかった。C57マウスを対象に12日間のAECHL−1の腫瘍内注射(50及び100μgの用量レベルで)及び胸腺欠損ヌードマウスを対象に10日間のAECHL−1の腫瘍内注射(5、10及び20μgの用量レベルで)は、対照と比較して腫瘍体積を有意に減少させた。結果は低濃度でより有意であった。C57マウス及び胸腺欠損ヌードマウスにおける腫瘍の顕微鏡検査は、対照動物において、細胞密度の増加及び新生血管形成を示し、血管形成の疑徴を示す出血領域の存在を伴ったのに対して、AECHL−1投与群は、細胞密度、新生血管形成の減少を示し、壊死/アポトーシス細胞が増加した。
本発明者らは、AECHL−1の抗腫瘍作用は、従来の化学療法薬であるパクリタキセル及びシスプラチンと同程度であることを見出した。シスプラチンと比較して、AECHL−1は、腎臓及び心臓の損傷の点からみて、より少ない毒性を示した。
AECHL−1は、細胞周期の進行を調節するカギとなる分子、すなわちp53、p21、c−Myc、サイクリンD1及びCdk4の発現に影響を及ぼす。AECHL−1を投与されたC57マウスから単離された腫瘍細胞のウェスタンブロット分析は、p53、p21値の上方調節及びサイクリンD1、CDK4の下方調節並びに腫瘍発生分子c−Myc発現を示した。このことは、サイクリンD1及びCDK4発現の下方調節及びp53の上方調節が、サイクリンD1/Cdk4シグナル経路を介して又は腫瘍成長を助ける腫瘍発生分子c−Mycの下方調節の故に、AECHL−1によって誘導された成長阻害に寄与することを示唆している。
AECHL−1を投与後のMCF−7細胞は、癌細胞成長の阻害を助ける他のシグナル分子の発現を調節する核の中へのp53転移とともにチューブリンの重合を示した。
したがって、AECHL−1は、固形腫瘍の治療において、有効な新規化学部分であることが分かった。その作用は乳癌において、より明白であった。
方法
アイラントゥス根皮のクロロホルム抽出物からAECHL−1の抽出及び単離
アイラントゥス・エクスケルサの粉末根皮のクロロホルム抽出物(1.5g)を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム:メタノール混合物で溶出した。各50mlの溶出液を回収し、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析した。粘着性の暗褐色物質からなるクロロホルムの最初の少数の溶出液は廃棄したが、(98:2v/v)で溶出した、濃緑色蛍光からなる画分は、メタノールを増量してさらに溶出し、蛍光の画分を完全に除去した。さらに極性を増加させて(クロロホルム:メタノール90:10v/v)溶出することによって、溶出液を濃縮後、淡白髪色の固体物質を得た。この物質は、TLCにかけた時に3つのスポットを示し、これらをメタノール中で再結晶を繰り返すことによって精製した。精製後、それは254nmにおいて単一の青色帯を示し、クロロホルム:メタノール(9:1v/v)中で展開後、アニスアルデヒド硫酸試薬で処理したところ、ピンク色になる。その化合物をAECHL−1と称した(収量180mg)。AECHL−1は、UV、IR、NMR及び質量分光分析によって特性決定された。
抗体及び試薬
ウサギポリクローナル抗p21抗体及び抗pp53抗体をSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)から購入し、マウスモノクローナル抗CDK4抗体及び抗サイクリンD1抗体をCell Signaling Technology(Beverly、MA)から購入した。マウスモノクローナル抗p53抗体及びc−Myc抗体をAbcam(USA)から購入した。マウスモノクローナル抗アクチンをMP Biomedicals(Ohio、USA)から購入し、マウスモノクローナル抗チューブリン、シスプラチン及びパクリタキセルをSigma(St.Louis、MO)から購入した。[H]チミジンをBoard of Radiation and Isotope Technology(Mumbai、India)から購入した。他の化学薬品はすべて、分析グレードのものであった。
細胞培養
HEK293(ヒト胚腎細胞系)、B16F10マウス黒色腫細胞、MDA−MB−231ヒト乳癌、MCF−7ヒト乳癌及びPC3ヒト前立腺癌細胞は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から得られた。PC3細胞を、ハムF12培地(Sigma)中で培養し、HEK293、MCF−7及びB16F10細胞を、ダルベッコ変法イーグル培地(Sigma)中で培養し、MDA−MB−231細胞を、10%FCS(Gibco)、100単位/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン及び2mmol/Lグルタミンが補充されたリーボビッツL−15中で、5%CO及び95%空気の加湿雰囲気中、37℃にて培養し、またMDA−MB−231細胞を、COを含まない通常の加湿雰囲気中、37℃にて培養した。
細胞生存率アッセイ
AECHL−1がHEK293、B16F10、PC3、MCF7及びMDA−MB−231細胞に及ぼす細胞毒性作用を、以前の研究において記載されているMTTアッセイによって測定した。細胞を、96−ウェル平底マイクロタイタープレート(Becton Dickinson Labware)に、各ウェル5×10細胞の密度で分注した。24時間後、それらを、100μl培地中、種々の濃度のAECHL−1(0〜150μM)、シスプラチン(0〜100μM)又はパクリタキセル(0〜50μM)で12、24及び48時間処理した。MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]溶液(PBS中5mg/ml)を、実験終了時に各ウェルに加え、最終濃度を0.5mg/mlにし、培養液をさらに4時間インキュベートした。得られたホルマザン結晶をジメチルスルホキシド(DMSO)100μlに溶かし、吸光度をマイクロプレートリーダーで570nmにて測定した(Molecular Devices、Spectra MAX250)。細胞毒性作用を、以下のように算出される相対阻害百分率として表した。
相対阻害(%)=[(A570対照−A570AECHL−1)/A570対照]×100
細胞増殖アッセイ
5×10細胞(B16F10、PC3、MDA−MB−231及びMCF−7細胞)を含む完全培地のアリコートを96ウェル組織培養プレートに分注した。翌日に、培地を、種々の濃度のAECHL−1(0〜150μM)、シスプラチン(0〜100μM)又はパクリタキセル(0〜50μM)を含む新鮮な培地100μlに交換した。6時間のインキュベーション後、1μCi[H]チミジンを各ウェルに加えた。処理から24及び48時間後、96ウェル自動回収装置を用いて、ガラスろ紙上に細胞を回収し、取り込まれた[H]チミジンの量をβ−カウンターで決定した(Canberra packard)。
細胞周期分析
MCF−7、B16F10、MDA−MB−231及びPC3細胞の細胞周期分析を、フローサイトメトリーによって行った。細胞を6ウェルプレート(3×10細胞/ウェル)で培養し、種々の濃度のAECHL−1(0〜100μM)及びパクリタキセル(0〜50μM)で24時間処理した。トリプシン(0.05%)、0.02%EDTA、0.05%グルコースを用いて細胞を回収し、単細胞懸濁液を調製した。細胞を洗浄し、遠心分離(1000×gで2分間)によってペレットにし、ボルテックスしながら70%エタノールに固定し、4℃で1時間保存した。固定した細胞を遠心分離によってペレットにし、エタノールを除去し、PBSで洗浄した。50μg/mlヨウ化プロピジウム、0.1g/L RNase及び1%BSAを含むPBSに細胞を再懸濁し、暗所で37℃にて30分間インキュベートし、488nmのアルゴンレーザーを備えたフローサイトメトリー(FACS Vantage−BD Sciences、USA)で分析した。Cell Questソフトウェアを使用してデータを解析し、細胞周期の異なる相にある細胞集団百分率を決定した。
免疫細胞化学
免疫細胞化学は、これまでに記載されているように行った。AECHL−1又はパクリタキセルでの処理から24時間後、細胞をPBS中3.7%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、次いで0.1%トリトン−X100で5分間透過処理し、次いで2%BSA及び5%ヤギ血清で30分間ブロックした。細胞を1次抗p53抗体(1:100;Abcam)及び抗α−チューブリン抗体(1:10000;Sigma chemical Co.)とともに、室温で1時間インキュベートした。PBSで洗浄後、細胞をCY2コンジュゲート2次抗体(1:200;Chemicon、Germany)及びAlexaコンジュゲート2次抗体(1:10000;Sigma、St.Louis、MO)とともに45分間インキュベートし、DAPIで核を染色した。共焦点顕微鏡下で画像を得た。
インビボにおける同種移植片及び異種移植片の腫瘍モデル
同種移植片モデル用に、雄C57B1/6マウス(6〜8週齢)をNational Centre for Cell Scienceから得、異種移植片モデル用に、雌胸腺欠損ヌードマウスであるNIH、nu/nu(Swiss)をNational Institute of Virology(Pune、India)から得た。雄C57B1/6マウスについては、標準的な齧歯類の固形飼料及び水を自由に与え、12時間点灯/12時間消灯のサイクルでの標準的な飼育状態を保ったが、雌胸腺欠損ヌードマウスについては、特定の無菌条件下で飼育し、インビボ腫瘍形成性試験に使用した。すべての手順は、Central Animal Ethical Committeeの特定の規定に準じて行われた。使用動物は、National Academy of Sciencesによって準備された「実験動物の世話と使用のためのガイド(guide for care and use of laboratory animals)(NIH出版85−23,1985年改訂)」の方針に従って世話された。同種移植片モデルでは、馴化から1週間後、トリパンブルー色素排除試験を使用して行った95%を超える生存率を有する、B16F10黒色腫細胞(5×10/0.1ml)の単細胞のみの懸濁液を、C57B1/6マウスの脇腹に皮下注射した。B16F10腫瘍は、腫瘍細胞接種後約7日で触知可能となった。異種移植片モデルでは、腫瘍形成性実験をこれまでに記載されているように行った。手短に、MCF−7(2×10/0.1ml)の単細胞のみの懸濁液を、雌胸腺欠損ヌードマウスの脇腹に皮下注射した。各マウスには、接種前2週目に17−β−エストラジオール0.72mgペレットを皮下移植した。隔日毎に腫瘍の存在について動物を評価し、腫瘍の測定を移植後10日目に始め、腫瘍が動物の体重のおよそ8〜10%に達するまで隔週に続けた。ノギス(Mitutoyo、Kawasaki Kanagawa、Japan)を使用して、腫瘍の長さ(L)及び幅(W)を測定し、式L×W2/2を使用して、腫瘍体積を算出した。2週間後、C57B1/6マウス(n=6)を4群に分けた。腫瘍内注射を以下のように、すなわち対照(0.5%DMSO中0.05mlPBS)、AECHL−1(50μg/0.05ml)、AECHL−1(100μg/0.05ml)及びシスプラチン(100μg/0.05ml)を12日間行った。雌胸腺欠損ヌードマウス(n=3)を5群に分け、腫瘍内注射を以下のように、すなわち対照(2%DMSO中0.05mlPBS)、AECHL−1(5μg/0.05ml)、AECHL−1(10μg/0.05ml)、AECHL−1(20μg/0.05ml)及びパクリタキセル(20μg/0.05ml)を10日間行った。試験中、腫瘍体積を規則的な間隔で測定した。試験終了時、動物をエーテル麻酔下で屠殺し、腫瘍及び腎臓、心臓、肝臓、脾臓及び膵臓のような他の臓器を解剖した。光学顕微鏡による組織学的分析用に、腫瘍及び他の臓器の半分を10%緩衝ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋した。サイクリンD1、CDK4、p53、pp53、p21及びc−Mycの値を、C57B1/6マウスの腫瘍ホモジネート中、ウェスタンブロットによって分析した。
ウェスタンブロット分析
免疫ブロット分析に先立ち、−80℃で保存された腫瘍部分を解凍し、洗浄し、細切してミンチにし、溶解緩衝液(120mM NaCl、1.0%Triton X 100、20mM Tris−HCl、pH7.5、10%グリセロール、2mM EDTA、プロテアーゼ阻害剤カクテル、Roche)中で、Polytron均質化装置を用いてホモジネートした。溶解物を4℃で30分間インキュベートし、Eppendorfマイクロ遠心機で14000r.p.m.にて15分間遠心分離した。タンパク質を可溶化させた形態で単離した。タンパク質濃度をBradfordアッセイ(Bio−Radタンパク質アッセイキット)によって測定し、−80℃で保存した。免疫ブロット法については、腫瘍溶解物由来の全タンパク質のうちの60μgを使用した。タンパク質を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル中で分割し、イモビロン−Pニトロセルロース膜に移し、TBST緩衝液(10mM Tris pH7.6、150mM NaCl及び0.1%Tween−20)中5%(wt/v)脱脂粉乳(Sigma)で室温にて3時間ブロックし、次いで1次抗体p53、pp53、p21、サイクリンD1、CDK4及びc−MycとともにTBST中で3時間及びアクチンとともに1時間、室温でインキュベートした。膜をHRPコンジュゲート2次抗体(BD Bioscience)とともに、1:10000希釈で、室温にて1時間、さらにインキュベートした。各抗体インキュベーション後、膜をTBST緩衝液で3回、入念に洗浄した。タンパク質のバンドの視覚化は、エンハンサー型化学発光基質反応物(Pierce)を使用して、製造業者の使用説明書に従って、X−OMAT AR5フィルム(Kodak)を使用して行った。
統計分析
腫瘍体積について報告されたデータを、平均±SEMとして表した。統計的差異をANOVAによって決定し、適用された事後試験はTukey−Kramer多重比較試験であった。腫瘍の体重に対する比については、適用された事後試験はDunnett多重比較試験であった。
結果
AECHL−1のHPLC分析
試料:AECHL−1
移動相:メタノール:水(90:10)
流速:1ml/分
UVmax:235nm
濃度:100ppm
カラム:RP C−18 Phenomenexカラム
保持時間(RT):4.734分
AECHL−1の特性決定
AECHL−1を特性決定したところ、以下の特徴を有するIR、NMR及び質量スペクトルを示した。
IR(KBr):3425、3419(ヒドロキシル基)、2972、2966、2923、2873(アルキルC−H伸縮)、1733(δラクトン)、1718(ビアセチル)、1680(アルケンとのC=O共役)、1652(−C=C伸縮)、1600(芳香族)、1492、1454、1394(メチル伸縮)、1222(δラクトン)、1184、1110、1051、1031(アセタール)、1018nm(アルカン)。

化学シフトは、δ目盛のppmで示されており、sは単一線、dは二重線、tは三重線である。
質量スペクトルは、以下の主要なピーク:二量体形成によるm/z:1068を示した。実際の[M]は、543.8、463.3[M−C]、461.4[M−C]、459.4[M−C]、361.2[M−C11]であると考えられた。AECHL−1は、EI及びES質量スペクトルによって示されているように、分子式C293610を有する、融点248〜250℃の固体である。IRスペクトルは、ヒドロキシル(単数又は複数)(3425nm、3419nm)、δラクトン(1733nm)及び芳香族部分(1600nm)の存在を示した。UVスペクトルは、235nmで特徴のある吸収極大を示し、このことはヒドロキシル及びケトンのような助色団基の存在を示していた。AECHL−1のH−NMRスペクトルは、芳香族プロトンδ6.89及びC−15のエステル官能基の特徴であるδ5.30の単一線の存在を明らかにした。H−22は、δ4.05の単一線及びδ3.65の二重線としてのAB系として現れ、H−12は、δ3.95の三重線として現れた。芳香環上のメチル基H−19は、δ2.3の単一線として現れた。6個のプロトンに対するδ1.235の二重線は、H−5’に割り当てられた。H−4’は、δ0.95の三重線として現れた。メチル基H−18は、δ2.16の単一線として現れた(図2)。

図2.質量フラグメントを用いたAECHL−1の構造
AECHL−1がインビトロでの腫瘍細胞の増殖に及ぼす影響。
最初の実験では、本発明者らは、異なる濃度のAECHL−1が腫瘍細胞B16F10、PC3、MDA−MB−231及びMCF−7の生存及び増殖百分率に及ぼす影響を調べた。図3.1〜3.4(A〜F)に示されているように、処理から12、24及び48時間後に、腫瘍細胞の生存及び増殖百分率は、MTT及び[H]チミジン取り込みによって示されるように、すべての細胞系において、AECHL−1によって濃度及び時間依存的に有意に阻害された。阻害率は濃度及び時間依存的に増加し、細胞系においてAECHL−1での処理から48時間後に、より高濃度で最大の効果が認められ、MCF−7>B16F10>PC3>MDA−MB−231>HEK293となった(図3.5A)。意義深いことに、AECHL−1の10μMでの阻害作用は、48時間処理されたMCF−7細胞におけるパクリタキセル又はシスプラチンの阻害作用よりも強く(図3.5B)、このことはAECHL−1が非常に強力であることを示唆している。
図4.異なる細胞の異なる濃度での相対的な細胞成長の停止が、細胞のランダム視野の位相差画像において視覚的に明らかである。
表1.AECHL−1がフローサイトメーターによる細胞周期分布に及ぼす影響
a)B16F10細胞:B16F10細胞の場合には、対照細胞は、細胞周期のG0/G1相、S相及びG2/M相を反映したDNA含量の典型的なパターンを示す。溶媒処理細胞は、対照と比較した場合、それぞれG0/G1の僅かな減少、すなわち対照の55.64%に対して52.18%を示し、G2/M相細胞計数の増加、すなわち対照の細胞計数22.98%に対して26.59%を示した以外は、細胞分布パターンに有意な変化を全く示さなかった。AECHL−1での処理は、G0/G1細胞計数の顕著な増加、すなわち溶媒対照の52.18%に対して、(10、20、40、100μM)の濃度でそれぞれ56.55、57.67、72.08%を示した。それはまた、S相の細胞計数の減少、すなわち溶媒対照の21.39%に対して、(10、20、40μMの濃度で)それぞれ20.46、18.40、11.43を示した。G2/M相の細胞計数も減少する、すなわち溶媒処理の26.59%に対して、それぞれ23.02〜14.73%であることも分かった。AECHL−1の10〜20μMの濃度範囲については、アポトーシス細胞又は壊死細胞は全く認められなかった。しかし、高濃度すなわち100μMでは、細胞成長はアポトーシスによって阻害されている、すなわち溶媒対照の0.24%に対して、それぞれ7.82%であることが分かった。100μMでは、細胞分布はそれぞれ、G0/G1相64.04%、S相15.41%及びG2/M相13.23%のようになることが分かった。AECHL−1は、低濃度でG0/G1相停止及び高濃度で顕著なアポトーシスを伴うG0/G1相停止を示した。
b)PC3細胞:PC3細胞の場合には、対照細胞は、細胞周期のG0/G1相、S相及びG2/M相を反映したDNA含量の典型的なパターンを示した。溶媒処理は、周期における細胞の分布に有意な変化を全く示さなかった。
AECHL−1(10〜100μM)での処理は、G0/G1の細胞計数の減少、すなわち溶媒処理細胞のもの(52.49%)に対して、それぞれ50.74%〜42.92%を示した。AECHL−1の100μM処理で、S−G2/M相が45.41%から53.62%まで細胞計数の増加を示し、G0/G1相で細胞計数が減少したことから、細胞成長はS−G2/M相で停止されることが分かった。AECHL−1は、PC3細胞の成長をS−G2/M相で停止させる。AECHL−1はまた、PC3細胞のアポトーシス細胞死を示した。
c)MDA−MB−231細胞:MDA−231細胞の場合には、対照細胞は、細胞周期のG0/G1相、S相及びG2/M相を反映したDNA含量の典型的なパターンを示した。溶媒処理細胞は、対照と比較した場合、細胞分布パターンに有意な変化を全く示さなかった。
AECHL−1(10、20、40、100μM)での処理は、G0/G1の細胞計数の減少、すなわち溶媒対照49.16%と比較して、それぞれ43.03、33.18、26.66及び22.82%を示した。AECHL−1の濃度が増加するにつれて、S相の細胞計数は増加する、すなわち溶媒処理25.73%に対して、それぞれ24.06、28.63、28.12、30.99%であることが分かった。AECHL−1処理でさえ、G2/M相の細胞計数を増加させた、すなわち溶媒処理の24.10%と比較して、それぞれ32.21、38.01、45.14、46.17%であった。したがって、細胞はS−G2/M相で蓄積するようになる。AECHL−1は、S−G2/M相でMDA−MB−231細胞成長の停止を示した。
d)MCF−7細胞:MCF−7細胞において、10、20、40及び100μMの濃度でのAECHL−1は、対照が53.67%であるのに対して、G0/G1相の細胞はそれぞれ35.04、27.85、29.68及び36.26%を示した。したがって、細胞成長はG0/G1相で減少することが分かった。同時にS−G2/M相の細胞計数は、AECHL−1の100μMの濃度で、それぞれ45.13から69.4%まで増加した。したがって、AECHL−1は、S−G2/M相で成長を停止させる。
AECHL−1が細胞のp53転移及び微小管に及ぼす影響。
腫瘍抑制遺伝子p53は、ヒト癌形成を妨げる重大な役割を果たす。それは、核の中に転移し、細胞周期調節タンパク質を上方調節することによって転写因子として働き、細胞周期の停止及び/又はプログラムされた細胞死(アポトーシス)を誘導する(11)。したがって、AECHL−1の影響を、p53の転移に関して研究した。また、パクリタキセルは、インビトロにおいて強いチューブリン安定化活性を示すため(12)、本発明者らは、AECHL−1処理が細胞の微小管ネットワークに影響を及ぼすかどうかを試験した。MCF−7細胞を、種々の濃度のパクリタキセル(1〜20μM)及びAECHL−1(2〜40μM)で処理した。インキュベーションから24時間後、核(蛍光緑色)の中へのp53転移及び微小管ネットワーク(蛍光赤色)が、共焦点顕微鏡法によって視覚化された。AECHL−1処理は、核の中にp53を転移させる結果となった。対照細胞中の微小管ネットワークは、正常な配置及び組織を示した(図5)。パクリタキセルでの処理は、結果として微小管を重合させ、細胞の微小管の密度を増加させ、核を取り囲む長く厚い微小管束を形成することになった。AECHL−1処理は、パクリタキセルが誘導した、微小管の肥厚及び密度増加などの微小管の変化の所見と類似の所見に帰着した。
AECHL−1が同種移植片及び異種移植片における原発腫瘍体積に及ぼす影響。
次に、本発明者らは、C57B1/6マウスで成長しているB16F10細胞の原発腫瘍同種移植片及び胸腺欠損ヌードマウスで成長しているMCF−7細胞の原発腫瘍異種移植片それぞれの成長にAECHL−1が及ぼす影響を調べた。予備研究では、本発明者らは、C57マウスにおけるAECHL−1の最大耐量は、500μg/マウスの単回投与であることが分かり、1か月間観察し、毒性の明白な徴候は全く見られなかった。これをもとに、本発明者らは、この最大耐量の10〜20%である用量又は腹腔内投与にて50及び100μg/kg/日又はインビトロで最大細胞死を誘導する用量を選択した。2週間後に病気の明白な徴候は全くなく、AECHL−1投与群及び対照群の両群間に体重差は全くなかった(データは示さず)ため、この投与計画はマウスに悪影響を及ぼさないように思われた。18日目に、対照群において腫瘍体積の有意な増加が認められた(p<0.001)。50及び100μgのAECHL−1を、生着した腫瘍同種移植片を有するこれらのマウスに投与したところ、腫瘍サイズは[50μgAECHL−1では44.303±5.20%(p<0.001)及び100μgAECHL−1では51.014±1.27%(p<0.001))減少したのに対して、100μgシスプラチンを投与したものは、[93.13±0.539%(p<0.001)]の減少を示した。AECHL−1(50μg)対AECHL−1(100μg)では、有意差はないことが分かった(p>0.05)。
24日目に、対照、AECHL−1(50μg)及びAECHL−1(100μg)における腫瘍体積が増加している(p<0.001)ことが分かったが、シスプラチン投与群の体積は減少している(p<0.001)ことが分かった。
シスプラチンは、50μg又は100μgのAECHL−1に比べて極めて有意であることが分かったが、シスプラチン投与群における他の臓器への損傷は、AECHL−1投与群に比べて大きかった(図6A及び6B)。
MCF−7細胞についてのAECHL−1の細胞毒性用量は非常に低かったため、胸腺欠損ヌードマウスの腫瘍異種移植片に対して選択された用量は、5、10及び20μg/0.05mlであった。これらの用量のAECHL−1では、腫瘍サイズは[5μgでは35.72±0.05%(p<0.001)、10μgでは28.55±0.06%(p<0.001)、20μgでは4.1±0.27%(p<0.05)減少したのに対して、20μgパクリタキセルを投与したものは、[14.19±0.32%(p<0.05)]の減少を示し、これはAECHL−1群に比べて少なかった(図6C及び6D)。
これらの結果は、AECHL−1の抗腫瘍作用が、試験された従来の化学療法薬と同程度か又はそれよりもさらに優れていることを実証した。このように、両濃度でのAECHL−1は、対照群と比較した場合、腫瘍細胞の成長を妨げ、腫瘍体積を減少させた。
AECHL−1が、体重及び腫瘍重量/体重比に及ぼす影響
対照群において、並びに100μgAECHL−1及びシスプラチンを投与されたマウスにおいて、体重(腫瘍を含む)の減少が認められた。これに対して、50μgAECHL−1を投与されたマウスの場合には、体重は減少しなかった(図7A)。
50及び100μgのAECHL−1並びにシスプラチンの投与は、対照群と比較して、投与12日後の腫瘍重量対体重比において有意な減少を示した(p<0.01)。100μgAECHL−1に比べて、50μgAECHL−1の効果が大きかった。AECHL−1群及び対照群と比較して、シスプラチン投与群は比において有意な減少を示した(図7B)。
C57マウスにおける腫瘍組織の組織学的検査
血管形成が誘導される場合、転移性腫瘍細胞が急速に成長する。したがって、血管形成の阻害が腫瘍成長、増殖及び2次転移を妨げる。血管形成の阻害及び腫瘍の浸潤、運動及び増殖並びに血管の内皮細胞の成長の抑制は、癌の予防に本質的に必要である。
腫瘍組織の組織学的検査によって、腫瘍細胞密度、位置、数及び血管構造について評価し、血管形成に関連する可能性のある変化:毛細血管の血管完全性を決定するための出血領域の存在;並びに腫瘍生存率を検討するための核濃縮性/壊死性の細胞領域の存在、サイズ及び位置を評価した。
溶媒投与群由来の腫瘍は、新生血管形成の増加を示しており、血管形成の疑徴を示す細胞密度の増加及び出血領域の存在を伴い、転移の恐れが増大した。血管は十分に発達していることが分かった(図8.1A)。50μgAECHL−1での腫瘍の治療は、腫瘍血管新生に大きな影響を示さず、出血領域の出現は少なかった。腫瘍細胞密度は減少していることが分かり、腫瘍の中心に核濃縮性/壊死性細胞が出現していた。赤血球の存在によって示されるように、血管は潅流しているように思われたので、本発明者らは、この領域の血管の機能性を直接評価しなかった。したがって、この領域の壊死は、血管新生が不足した結果ではないように思われた(図8.1B)。
100μgAECHL−1での腫瘍の治療は、腫瘍領域の至る所に壊死性核の増加を示し、新生血管形成及び出血領域が消失しており、それ故に血管形成及び転移の見込みが低減した。腫瘍細胞密度は、50μgAECHL−1及び溶媒投与群のものと比較して低いことが分かった(図8.1C)。
シスプラチン投与群は、壊死性核の有意な増加を示し、腫瘍細胞密度が減少した(図8.1D)。腫瘍体積も減少していることが分かった。新生血管形成及び出血領域の徴候は全くなかった。対照及び50μgAECHL−1と比較して、細胞の多くが死滅していることが分かった。
したがって、AECHL−1は、新生血管形成を阻害することによって血管形成の進行を妨げ、ひいては転移のリスクを減少させる。
C57マウスにおける臓器の組織病理学的検査
C57マウス由来の臓器の組織学的検査は以下のデータを示した。対照群由来の肝臓は、小葉の周辺に門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。現れたクッパー細胞は正常であった(図8.1E)。50μgAECHL−1は、肝臓の正常な構造に影響を及ぼさなかった(図8.1F)。また、100μgAECHL−1は、肥大性細胞核を有する肝臓の正常な構造を保持している(図8.1G)。シスプラチン投与群において、広範囲にわたる肝細胞の壊死が見られた。右側の矢印で示されている肝細胞は死滅している。このパターンは、種々の肝臓毒素で見ることができ、リンパ球浸潤を伴う肝細胞の巣状壊死が発生した。組織病理学的には、病変は、壊死に反応して炎症の程度を変化させることを伴う壊死を特徴とするティザー病のものに見える。急性肝臓病変は、主として好中球性の最小の炎症によって取り囲まれている壊死病巣からなる(図8.1H)。
対照群由来の心臓は、個々の細胞を示す、中心に位置する顕著な核を有する平行線維を示した(図8.1I)。50μgAECHL−1の投与は、心筋線維の壊死を全く示さなかった(図8.1J)。100μgAECHL−1の投与は、収縮帯と核の欠乏とを有する広範囲にわたる心筋線維の壊死を示した。凝固壊死の特徴である、筋線維の小片化及び破損が発生している(図8.1K)。シスプラチン投与マウスは、心筋線維の壊死が軽度のリンパ球浸潤を伴って発生することを示した。ここで再び、凝固壊死の特徴である、筋線維の小片化及び破損(図8.1L)。
対照において、マウスの腎臓は、境界が十分にはっきりした皮質及び髄質並びに十分に形成された糸球体を有する無傷の被膜を示した(図8.1M)。50μgAECHL−1の投与は、出血領域を有する軽度の尿細管空胞変性及び尿細管膨張を示し、下方部分に正常な糸球体が現れている(図8.1N)。100μgAECHL−1の投与は、出血状態を有する尿細管空胞変性及び尿細管膨張を示し、尿細管は散在性慢性炎症細胞浸潤を伴って膨張した(図8.1O)。シスプラチン投与マウスにおいて、リンパ球は管内及び管周囲に散在していた。糸球体は細胞過形成であり、毛細血管のループは顕著な特徴が見られなかったが、これは増殖性糸球体腎炎のタイプである。多くの好中球が尿細管及び間質に見られ、すなわち腎盂腎炎であった(図8.1P)。
膵臓組織学について、細胞の構造に有意な変化は発生しなかった(図8.1Q〜T)。
対照マウス由来の代表的な脾臓切片は、()−細動脈周囲のリンパ鞘;(Θ)−濾胞;(Ψ)−辺縁帯によって示される白髄の異なる区画を示した。対照及び50μgAECHL−1は、正常な脾臓構造を示した。白髄の過形成、特に濾胞;及び辺縁帯の過形成に留意されたい。組織学は、辺縁帯における顆粒球数の増加を示した(図8.1U〜X)。
ヌードマウスにおける腫瘍組織の組織学的検査
ヌードマウスにおける腫瘍の組織学的検査は、C57マウスのものと類似していた。対照マウス由来の腫瘍は、切片の至る所に、高度に密集した細胞で取り囲まれた明白な新生血管形成を示し、壊死細胞は存在しなかった(図8.2A)。パクリタキセルの投与は、腫瘍細胞密度を減らし、切片内に多くの空きスペース及び壊死領域を発生させた。パクリタキセルは、血管及び出血領域の発生を伴う腫瘍血管新生に影響を及ぼさなかった(図8.2B)。5μg用量のAECHL−1は、腫瘍細胞密度の減少を示し、腫瘍領域の至る所に多くの空きスペースを示した。それはまた、新生血管形成の欠乏を示し、出血領域も存在しなかった(図8.2C)。10及び20μgのAECHL−1は、類似の作用を示したが、血管新生を減少させることができず、出血領域が発生した。赤血球の存在によって示されるように、血管は潅流しているように思われたので、本発明者らは、この領域の血管の機能性を直接評価しなかった。したがって、この領域の壊死は、血管新生が不足した結果ではないように思われた(図8.2D及びE)。
ヌードマウスにおける臓器の組織病理学的検査
5μgAECHL−1の投与は、正常な心筋に全く変化を示さなかったが、パクリタキセル、10及び20μgのAECHL−1は、リンパ球浸潤の徴候を伴う心筋線維の壊死を示した。20μg用量のパクリタキセルは、心筋の小片化及び破損を伴い、広範囲にわたる心筋線維の壊死を示した(図8.2F〜J)。
AECHL−1投与群由来の腎臓構造に有意な変化は認められなかったが、パクリタキセル投与群は、出血領域を有する尿細管空胞変性膨張の徴候を示した(図8.2K〜O)。
パクリタキセル投与群及びAECHL−1投与群由来の肝臓は、門脈トライアッドを有する中心静脈を示した。AECHL−1及びパクリタキセルの両群は、肝臓の正常な構造に全く変化を示さなかった(図8.2P〜T)。
タンパク質発現に伴う腫瘍細胞成長停止
AECHL−1は、すべての細胞タイプにおいて成長停止を示したため、本発明者らは、次に、細胞周期を制御する分子について試験した。ウェスタンブロットの結果、AECHL−1はサイクリンD1及びCDK4の発現を減少させることが判明した。チェックポイントタンパク質p53(腫瘍抑制タンパク質)、細胞停止タンパク質p21の発現の上方調節及びc−Myc(腫瘍発生分子)の下方調節を誘導した。p53タンパク質は、対照と比較して、シスプラチン同様、50μg及び100μgAECHL−1の両方で発現の増加を示した(図9)。しかし、50μgAECHL−1での発現と比較して、100μgにおける発現は少なかった。p53(pp53)タンパク質のリン酸化は、AECHL−1の50μg濃度で増加し、その上、100μg濃度で減少した。これに対して、シスプラチンは、全く変化を示さなかった。AECHL−1の50μg濃度で、p21の発現が減少し、その上、100μg濃度で増加した。シスプラチンは、p21発現の増加を示した。このことは、サイクリンD1及びCDK4発現の下方調節及びp53の上方調節が、サイクリンD1/Cdk4シグナル経路を介して又は腫瘍成長を助ける腫瘍発生分子c−Mycの下方調節の故に、AECHL−1によって誘導された成長阻害に寄与することを示唆している。
表1 AECHL−1処理細胞の細胞周期分析

Claims (6)

  1. 以下の式


    で表される化合物であって、
    アイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
  2. 細胞周期の進行を調節するカギとなる分子、すなわちp53、p21、c−Myc、サイクリンD1及びCdk4の発現に影響を及ぼす、請求項1に記載のアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
  3. MCF−7細胞において、他のシグナル分子の発現を調節する核の中へのp53転移とともに微小管の集合および安定化を促進して微小管の動きを抑制し、その結果細胞増殖に必要な微小管ネットワークの破壊を示す、請求項1に記載のアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
  4. 固形腫瘍の治療において有効である、請求項1に記載のアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
  5. 固形腫瘍において、細胞密度、新生血管形成の減少を示し、壊死/アポトーシス細胞増加を示す、請求項1に記載のアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
  6. 正常ヒト胚腎細胞HEK293において、より少ない細胞毒性を示し、腫瘍体積の有意な縮小を示し、心臓、腎臓、肝臓、脾臓及び膵臓などの他の臓器に対してより少ない細胞毒性を示す、請求項1に記載のアイラントゥス・エクスケルサ(Ailanthus excelsa)の根皮から単離され、抗癌性を有する化合物
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