JP5415316B2 - Seal chain - Google Patents
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Description
本発明は、オートバイ等の運輸機械及び一般産業機械等のドライブチェーンとして、またコンベヤ等の搬送用チェーンとして用いられるシールチェーンに係り、詳しくは自然状態にあって断面略々プラス(十)形状のシール部材を用いたシールチェーンに関する。 The present invention relates to a seal chain used as a drive chain for a transport machine such as a motorcycle or a general industrial machine, or as a transport chain for a conveyor or the like, and more specifically, in a natural state and having a substantially plus (10) cross section. The present invention relates to a seal chain using a seal member.
本出願人は、自然状態で内径方向に垂下するリップ部を有するリング状のシール部材を用い、該シール部材が、上記リップ部を支点として捩られるようにインナーリンクプレートとアウターリンクプレートとの間に装着されるシールチェーンの製造方法を案出した(特許文献1参照)。該製造方法を図9にて示すと、まず、図9(a)に示すように、シール部材3の第1のリップ部3aをブシュ突出部7aの先端とアウターリンクプレート8との間に位置して、アウターリンクプレート8を、シール部材3から所定間隔c離した状態でピン2に仮組する。この状態で、例えば流動性のあるグリース(潤滑剤)内にドブ漬けして、グリースをシール部材3内のピン2とブシュ7との間に供給する。そして、図9(b)に示すように、アウターリンクプレート8を矢印方向に圧入する。この際、アウターリンクプレート8の圧入に伴い、該プレート8がシール部材3に接触し、更に、シール部材3の第1のリップ部3aがブシュ7の突出部7a先端に当接した状態でアウターリンクプレート8が矢印方向に移動すると、図9(c)で示すように、該当接部を支点としてシール部材3が矢印に示すように捩られる。
The present applicant uses a ring-shaped seal member having a lip portion that hangs down in the inner diameter direction in a natural state, and the seal member is interposed between the inner link plate and the outer link plate so as to be twisted with the lip portion as a fulcrum. Has devised a manufacturing method of a seal chain to be attached to the hood (see Patent Document 1). When the manufacturing method is shown in FIG. 9, first, as shown in FIG. 9A, the
これにより、シール部材は、第1のリップ部3aがブシュ突出部7aの先端外周面とアウターリンクプレート8に当接して位置すると共に、第3のリップ部3cがアウターリンクプレート8に当接して、また第4のリップ部3dがインナーリンクプレート6に、かつ第2のリップ部3bがインナーリンクプレート6に当接して、該シール部材3が断面略々X字状のシール部材となって両リンクプレート6,8の間に挟持される。以上のようなシール部材3の装着がブシュ7の左右両側にて行われ、そしてピン2の先端がカシメられてアウターリンクプレート8が抜止めされ、シールチェーン1が完成する。
As a result, the seal member is positioned such that the
図10は、自然状態にある上記シール部材3を示す断面図で、(a),(b)は、それぞれ異なるものである。図10(a)のシール部材31は、中央基部31eの内径方向(図10の右方)に垂下する幅広の半円状の第1のリップ部31a、同幅にて外径方向(図10の左方)に延びる第2のリップ部31b、及びこれら第1及び第2のリップ部31a,31bから左右方向(径方向に直角な方向、図10の上下方向)に延びる幅狭の第3及び第4のリップ部31c,31dを有し、全体で断面略十字状に形成されている。また、第1のリップ部31aの先端部は半円からなるアール形状r1aにて構成され、各リップ部の接続部分は所定アール形状rにて構成されている。
FIG. 10 is a cross-sectional view showing the sealing
図10(b)のシール部材32は、中央基部32eの内径方向に垂下する断面略円形状の第1のリップ部32aを有すると共に、外径方向及び左右方向にそれぞれ同幅の第2のリップ部32b,第3のリップ部32c及び第4のリップ部32dを有し、全体で断面略十字状に形成されている。また、該シール部材32は、その第1のリップ部32aがアール形状r2aにて構成されている。また、第1のリップ部32aと第3及び第4のリップ部32c,32dとの接続部分は凹状に構成されたアール形状r’にて構成され、また第2のリップ部32bと第3及び第4のリップ部32c,32dとの接続部分は所定アール形状rにて構成されている。なお、図示の例の場合、第1のリップ部32aの基端部及び第2のリップ部32bの幅は、第3及び第4のリップ部32c,32dの幅とほぼ同じか、若干大きい程度である。
10 sealing member 3 2 (b) has a
ところで、シールチェーン1は、インナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8との間にシール部材31又は32を挟むため、シールなしのノンシールチェーンに比して、インナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8とのクリアランスを大きくとる必要がある。従って、上記シールチェーンは、上記大きなクリアランスの分だけピンが長くなって曲り易くなり、同じピン径及び同じリンクプレートを用いたチェーンであっても、ノンシールチェーンに比して引張り強度が小さくなる。
Incidentally, the seal chain 1, for sandwiching the sealing
シールチェーンの強度を上げるには、インナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8とのクリアランスを小さくする必要があるが、シール部材の断面積を小さくすると、リップ部のプレートへの接触圧が小さくなって潤滑剤が漏出し易くなる。そして、チェーンの耐摩耗性を低下してチェーンの寿命を短くしてしまう。
In order to increase the strength of the seal chain, it is necessary to reduce the clearance between the
これに対して、インナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8とのクリアランスに対し、シール部材の断面積が大き過ぎると、シール部材が押し潰され過ぎて、リップ部のプレートに対する接触圧が高くなり過ぎてしまう。通常、シール部材は、アウターリンクプレート8に対して摺接するが、この接触部の接触圧が高いとチェーンの屈曲性が悪化すると共に、シール部材で摩耗が早期に生じ易くなる。そして、潤滑剤が漏出し易くなり、チェーンの寿命が短くなってしまう。
On the other hand, if the cross-sectional area of the seal member is too large for the clearance between the
一方、図11に示すように、シールチェーン1は、使用状態で、斜めに掛け渡されるように駆動する場合(オフセット状態)がある。例えば、自動二輪車ではエンジン側のスプロケットと車輪側のスプロケットにチェーンを掛け渡すが、製造誤差や旋回時などに作用する荷重により、これらスプロケットがオフセットして、これらスプロケット同士に掛け渡されるチェーンが斜めになる場合がある。この際、図11に示すように、インナーリンクプレート6に対しアウターリンクプレート8が傾斜し、これら両プレート6、8同士の間に挟持されるシール部材3の押し潰される量(シール潰し量)が不均一になる。
On the other hand, as shown in FIG. 11, the seal chain 1 may be driven in an in-use state so as to be slanted (offset state). For example, in a motorcycle, a chain is passed between the sprocket on the engine side and the sprocket on the wheel side, but these sprockets are offset by the load acting on the manufacturing error or turning, and the chain passed between the sprockets is slanted. It may become. At this time, as shown in FIG. 11, the
即ち、一部でシール潰し量が大きくなる一方、他部でシール潰し量が小さくなる。そして、シール部材のリップ部とプレートとの間の接触圧も不均一になり、潤滑剤が漏出し易くなったり、シール部材で摩耗が生じ易くなったりする。また、シール部材の形状によっては、シール部材が潰された状態で、各リップ部の接続部に応力集中が生じ、シール部材に早期に亀裂などの損傷が生じ易くなったり、応力集中部分で永久歪みが進行して追従性が悪化し、潤滑油が漏出し易くなる。 In other words, the seal crushing amount is increased in part, while the seal crushing amount is decreased in other portions. Further, the contact pressure between the lip portion of the seal member and the plate also becomes non-uniform, so that the lubricant is liable to leak or the seal member is likely to be worn. Also, depending on the shape of the seal member, stress concentration occurs at the connecting portion of each lip portion when the seal member is crushed, and the seal member is likely to be damaged early, such as cracks, or permanent at the stress concentration portion. As the distortion progresses, the followability deteriorates and the lubricating oil easily leaks.
上述の点を考慮すると、シール部材としては、インナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8とのクリアランスが小さくても押し潰され過ぎないサイズにすると共に、リップ部とプレートとの接触圧が適切に確保でき、且つ、シールチェーンが斜めに掛け渡されシール潰し量が不均一になっても上記接触圧の不均一を抑制でき、更には、シール部材が潰された状態で各リップ部の接続部の応力集中を緩和できるようにすることが好ましい。
Considering the above points, the seal member is sized so as not to be crushed even if the clearance between the
上述の図10に示した従来構造のうち、図10(a)に示した構造の場合、第1及び第2のリップ部31a,31bの幅が大きいため、上記クリアランスを小さくすることに対応してサイズを小さくしたとしても接触圧を確保し易いと考えられる。但し、第1のリップ部31a及び第2のリップ部31bが同幅にて径方向に延びるように形成されているため、シールチェーンがオフセット状態となってシール潰し量が変化した場合に、この変化に対応しにくく、接触圧が大きくなる部分と小さくなる部分との接触圧の差が大きくなると考えられる。
Of the conventional structure shown in FIG. 10 described above, in the case of the structure shown in FIG. 10A, the first and
また、図10(b)に示した構造の場合、第1のリップ部32aの基端部及び第2のリップ部32bの幅は、幅が小さい第3及び第4のリップ部32c,32dの幅とほぼ同じであるため、上記クリアランスを小さくすることに対応してサイズを小さくした場合に、オフセットが生じていない通常状態であっても、プレートに対する突っ張り力を確保しにくく、接触圧を確保しにくいと考えられる。即ち、径方向中間部の幅が大きい第1のリップ部32aがアウターリンクプレート8に十分に当接しても、幅寸法が小さい第2のリップ部32bのインナーリンクプレート6に対する接触圧が小さく、結果として、シール部材によるインナーリンクプレート6とアウターリンクプレート8との間での突っ張り力を十分に大きくできない。このため、第1のリップ部32aとアウターリンクプレート8との接触圧も十分に確保できないと考えられる。
In the case of the structure shown in FIG. 10B, the base end portion of the
また、図10(b)の形状の場合も、第2のリップ部32bが同幅にて径方向に延びるように形成されているため、シールチェーンがオフセット状態となってシール潰し量が変化した場合に、この変化に対応しにくく接触圧が大きくなる部分と小さくなる部分との接触圧の差が大きくなると考えられる。なお、第1のリップ部32aに関しては、径方向中間部の幅が大きく基端部の幅が小さいため、該基端部で上記シール潰し量の変化を多少は吸収でき、図10(a)の形状よりもオフセットによる接触圧の差を小さくできると考えられる。
Also in the case of the shape of FIG. 10B, the
但し、上記基端部のアール形状r’を大きくしなければ、変形時に応力集中が生じ、シール部材に損傷が生じ易くなったり、シール部材の追従性が悪化し易くなる。アール形状r’を大きくすると、第1のリップ部32aの径方向基端部と中間部との幅の差が小さくなり、該中間部の幅が小さくなる。該中間部の幅が小さくなれば、第1のリップ部32aによる突っ張り力が低下し、接触圧が低くなってしまう。一方、第1のリップ部32aの径方向の長さを長くすれば、アール形状r’を大きくしつつ、上記径方向基端部と中間部との幅の差を大きくすることはできるが、この長さ寸法は、幅の狭いプレート6、8同士の間に組み付ける関係上、制約があるため、図10(b)の形状の場合、アール形状r’を大きくすることは難しい。
However, unless the R shape r ′ of the base end portion is increased, stress concentration occurs at the time of deformation, and the seal member is likely to be damaged or the followability of the seal member is likely to be deteriorated. When the rounded shape r ′ is increased, the difference in width between the radial base end portion and the intermediate portion of the
本発明は、チェーンの引張り強度を高めるべく、インナーリンクプレートとアウターリンクプレートとのクリアランスを小さくしたものに対応して、シール部材のサイズを小さくしても、リップ部とプレートとの接触圧が適切に確保でき、且つ、シールチェーンが斜めに掛け渡されシール潰し量が不均一になっても上記接触圧の不均一を抑制でき、更には、シール部材が潰された状態で各リップ部の接続部の応力集中を緩和できるシールチェーンを提供することを目的とするものである。 In the present invention, in order to increase the tensile strength of the chain, the contact pressure between the lip portion and the plate is reduced even if the size of the seal member is reduced in response to the reduction in the clearance between the inner link plate and the outer link plate. Even when the seal chain is slanted over and the amount of crushing of the seal becomes uneven, the contact pressure can be prevented from being uneven. It is an object of the present invention to provide a seal chain that can relieve stress concentration in a connection portion.
上記課題を解決するため、本発明は、インナーリンクプレート(16)よりブシュ(17)を一部突出し、該突出部(17a)を囲むようにかつインナーリンクプレート(16)とアウターリンクプレート(18)との間に挟持されるようにリング状のシール部材(13)を配置し、
前記シール部材(13)は、自然状態における断面が十字形状からなり、中央基部(13e)と、該中央基部(13e)から内径方向に延びる第1のリップ部(13a)と、前記中央基部(13e)から外径方向に延びる第2のリップ部(13b)と、前記中央基部(13e)から左右方向(図2、3の上下方向)に延びる第3及び第4のリップ部(13c)(13d)とを有し、
前記第1のリップ部(13a)を、前記ブシュの突出部(17a)先端と前記アウターリンクプレート(18)との間に配置した状態で、アウターリンクプレート(18)をインナーリンクプレート(16)に接近する方向に移動して、前記シール部材(13)が、前記ブシュの突出部(17a)との接触に基づく回転モーメントにより捩られ、断面略々X字状に変形して前記インナーリンクプレート(16)と前記アウターリンクプレート(18)との間に挟持されてなる、シールチェーン(11)に関する。
In order to solve the above-mentioned problems, the present invention has a structure in which the bush (17) is partially protruded from the inner link plate (16) so as to surround the protruding portion (17a) and the inner link plate (16) and the outer link plate (18). The ring-shaped sealing member (13) is disposed so as to be sandwiched between
The seal member (13) has a cross-section in a natural state having a cross shape, a central base (13e), a first lip portion (13a) extending from the central base (13e) in an inner diameter direction, and the central base ( 13e) a second lip portion (13b) extending in the outer diameter direction, and third and fourth lip portions (13c) (13c) extending in the left-right direction (vertical direction in FIGS. 2 and 3 ) from the central base portion (13e) . 13d)
With the first lip portion (13a) disposed between the front end of the bushing projection (17a) and the outer link plate (18), the outer link plate (18) is moved to the inner link plate (16). The seal member (13) is twisted by a rotational moment based on contact with the projection (17a) of the bush , and is deformed into a substantially X-shaped cross section. The present invention relates to a seal chain (11) sandwiched between (16) and the outer link plate (18).
そして、自然状態において、前記第1のリップ部(13a)は、アール面(13g)又はそれに近い曲面により形成される断面円形又はそれに近い形状からなり、
前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)は、それぞれ、径方向中間部の幅(A)が前記第3及び第4のリップ部(13c)(13d)の幅(B)よりも大きく、径方向基端部に、前記径方向中間部よりも幅が狭く、前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)の左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部(13c)(13d)の径方向両端面とをそれぞれ湾曲凹面(13h)により連続させるくびれ部(13f)を有する、ことを特徴とする。
And in the natural state, the first lip portion (13a) has a round cross section formed by a rounded surface (13g) or a curved surface close thereto or a shape close thereto,
In the first and second lip portions (13a) and (13b), the width (A) of the radial intermediate portion is larger than the width (B) of the third and fourth lip portions (13c) and (13d), respectively. Larger in width and narrower than the intermediate portion in the radial direction, the left and right side surfaces of the first and second lip portions (13a) and (13b), and the third and fourth lips. It has a constriction part (13f) which makes the both ends of a diameter direction of a part (13c) (13d) continue by a curved concave surface (13h), respectively.
なお、上記第1のリップ部(13a)は、断面円形に限らず、楕円,長円,小判形等の円に近い形状のものも含まれる。また、上記第2のリップ部(13b)も、第1のリップ部(13a)と同様に、断面円形又はそれに近い形状とすることもできる。 The first lip portion (13a) is not limited to a circular cross section, and includes a shape close to a circle such as an ellipse, an ellipse, or an oval. Further, the second lip portion (13b) can also have a circular cross-section or a shape close to the same as the first lip portion (13a).
好ましくは、自然状態において、前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)は、それぞれ、径方向基端部の幅(C)が前記第3及び第4のリップ部(13c)(13d)の幅(B)よりも大きい。 Preferably, in the natural state, the first and second lip portions (13a) and (13b) each have a width (C) of the radial base end portion that is the third and fourth lip portions (13c) ( It is larger than the width (B) of 13d).
好ましくは、自然状態において、前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)は、前記シール部材(13)の断面で径方向に直交する中心線(O−O)に関し線対称に形成される。 Preferably, in the natural state, the first and second lip portions (13a) and (13b) are formed symmetrically with respect to a center line (OO) perpendicular to the radial direction in the cross section of the seal member (13). Is done.
好ましくは、自然状態において、前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)の幅が最も大きい部分の幅(A)は、前記第3及び第4のリップ部(13c)(13d)の幅(B)の1.5〜1.7倍である。 Preferably, in the natural state, the width (A) of the largest portion of the first and second lip portions (13a) and (13b) is the third and fourth lip portions (13c) and (13d). The width (B) is 1.5 to 1.7 times.
好ましくは、自然状態において、前記第1及び第2のリップ部(13a)(13b)のくびれ部(13f)の湾曲凹面(13h)は、前記シール部材(13)の左右方向(図2、3の上下方向)の寸法の0.12倍以上の曲率半径(r2)を有する。なお、前記湾曲凹面(13h)の曲率半径(r2)は、好ましくは前記シール部材の左右方向の寸法の0.2倍以下とし、より好ましくは0.15倍以下とする。 Preferably, in a natural state, the curved concave surface (13 h ) of the constricted portion (13f) of the first and second lip portions (13a) (13b) is formed in the left-right direction of the seal member (13) (FIG. 2, 3 ) and a radius of curvature (r 2 ) of 0.12 times or more. In addition, the curvature radius (r 2 ) of the curved concave surface (13 h ) is preferably 0.2 times or less, more preferably 0.15 times or less the horizontal dimension of the seal member.
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。 In addition, although the code | symbol in the said parenthesis is for contrast with drawing, it has no influence on a claim by this.
請求項1に係る本発明によると、第1及び第2のリップ部は、径方向中間部の幅が第3及び第4のリップ部の幅よりも大きいため、シール部材が押し潰された状態で前記第1及び第2のリップ部がプレートに対して十分に突っ張り、リップ部とプレートとの接触圧を確保できる。また、径方向基端部に、前記径方向中間部よりも幅が狭く、前記第1及び第2のリップ部の左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部の径方向両端面とをそれぞれ湾曲凹面により連続させるくびれ部を有するため、シール潰し量が大きくなってもこのくびれ部で変形し易く、このくびれ部の変形によりシール潰し量の増大によるリップ部とプレートとの接触圧の増大を抑えられる。また、前記くびれ部に前記湾曲凹面を設けることにより、シール部材が押し潰された状態で応力集中を緩和できる。
According to the first aspect of the present invention, the first and second lip portions are in a state in which the seal member is crushed because the radial intermediate width is larger than the third and fourth lip widths. Thus, the first and second lip portions are sufficiently stretched against the plate, and the contact pressure between the lip portion and the plate can be secured. Further , the radial base end portion is narrower than the radial intermediate portion, and both the left and right side surfaces of the first and second lip portions and the radial end surfaces of the third and fourth lip portions. Since each constriction has a constricted part that continues with a curved concave surface, it is easy to deform at the constricted part even if the amount of crushing of the seal increases, and the deformation of the constricted part causes the contact pressure between the lip part and the plate to be Increase can be suppressed. Further, by providing the curved concave surface in the constricted portion, stress concentration can be relaxed in a state where the seal member is crushed.
この結果、インナーリンクプレートとアウターリンクプレートとのクリアランスを小さくしてチェーンの引張り強度を高めたものであっても、シール部材を押し潰され過ぎないサイズにしつつ、リップ部とプレートとの接触圧が適切に確保でき、且つ、シールチェーンが斜めに掛け渡されシール潰し量が不均一になっても上記接触圧の不均一を抑制でき、更には、シール部材が潰された状態で各リップ部の接続部の応力集中を緩和でき、シールチェーンの耐久性を向上させられる。 As a result, even if the clearance between the inner link plate and the outer link plate is reduced to increase the tensile strength of the chain, the contact pressure between the lip portion and the plate is reduced while preventing the seal member from being crushed too much. Can be ensured properly, and even if the seal chain is slanted and the amount of crushing of the seal becomes uneven, the non-uniformity of the contact pressure can be suppressed. It is possible to alleviate the stress concentration at the connecting portion of the seal and improve the durability of the seal chain.
請求項2に係る本発明によると、第1及び第2のリップ部は、それぞれ、径方向基端部の幅が第3及び第4のリップ部の幅(B)よりも大きいため、第1及び第2のリップ部の長さを長くすることなく、第1及び第2のリップ部による突っ張り力を確保しつつ、応力集中を緩和できる。即ち、応力集中の緩和のために前記湾曲凹面の曲率半径を大きくすると、前記第1及び第2のリップ部の長さ寸法の制約があり、前記径方向基端部と前記径方向中間部との幅の差を大きくしにくいが、前記径方向基端部の幅が前記第3及び第4のリップ部の幅よりも大きいため、前記突っ張り力の低下は抑えられる。したがって、第1及び第2のリップ部の長さを長くすることなく、第1及び第2のリップ部による突っ張り力を確保しつつ、応力集中を緩和できる。 According to the second aspect of the present invention, each of the first and second lip portions has a width in the radial base end portion larger than the width (B) of the third and fourth lip portions. And stress concentration can be relieved, ensuring the tension force by the 1st and 2nd lip part, without lengthening the length of a 2nd lip part. That is, when the radius of curvature of the curved concave surface is increased to alleviate stress concentration, there are restrictions on the length of the first and second lip portions, and the radial base end portion and the radial intermediate portion Although it is difficult to increase the difference in width, the width of the proximal end portion in the radial direction is larger than the widths of the third and fourth lip portions. Therefore, stress concentration can be alleviated while securing the tension force by the first and second lip portions without increasing the length of the first and second lip portions.
請求項3に係る本発明によると、第1及び第2のリップ部は線対称に形成されるため、シール部材が潰されることによる変形がバランス良く行われ、リップ部とプレートとの接触圧をより安定させ易くなる。 According to the third aspect of the present invention, since the first and second lip portions are formed in line symmetry, deformation due to the crushing of the seal member is performed in a well-balanced manner, and the contact pressure between the lip portion and the plate is reduced. It becomes easier to stabilize.
請求項4に係る本発明によると、第1及び第2のリップ部の幅が最も大きい部分(最大幅寸法部分)の幅を適切な範囲にしているため、シール部材が押し潰された状態で前記第1及び第2のリップ部の突っ張り力を適切にでき、リップ部とプレートとの接触圧を適切な範囲にできる。即ち、前記最大寸法部分の幅が第3及び第4のリップ部の幅の1.5倍未満であれば、前記第1及び第2のリップ部の突っ張り力を十分に確保できず、リップ部とプレートとの接触圧が不足し易くなる。一方、前記最大寸法部分の幅が前記第3及び第4のリップ部の幅の1.7倍よりも大きいと、前記第1及び第2のリップ部の突っ張り力が大き過ぎて、リップ部とプレートとの接触圧が過大になり易くなる。 According to the fourth aspect of the present invention, since the width of the largest width portion (maximum width dimension portion) of the first and second lip portions is within an appropriate range, the seal member is crushed. The tension force of the first and second lip portions can be made appropriate, and the contact pressure between the lip portion and the plate can be made in an appropriate range. That is, if the width of the maximum dimension portion is less than 1.5 times the width of the third and fourth lip portions, the tension force of the first and second lip portions cannot be sufficiently secured, and the lip portion The contact pressure between the plate and the plate tends to be insufficient. On the other hand, when the width of the maximum dimension portion is larger than 1.7 times the width of the third and fourth lip portions, the tension force of the first and second lip portions is too large, The contact pressure with the plate tends to be excessive.
したがって、前記第1及び第2のリップ部の最大寸法部分の幅を適切な範囲にすることにより、接触圧の不足による潤滑油の漏れをより抑制し易く、接触圧が過大になることによるチェーンの屈曲性の悪化、シール部材の早期摩耗の発生をより防止し易くなる。 Therefore, by setting the width of the maximum dimension portion of the first and second lip portions within an appropriate range, it is easier to suppress the leakage of lubricating oil due to insufficient contact pressure, and the chain due to excessive contact pressure. It becomes easier to prevent the deterioration of the bending property and the early wear of the seal member.
請求項5に係る本発明によると、第1及び第2のリップ部のくびれ部の湾曲凹面を、シール部材の左右方向の寸法の0.12倍以上と曲率半径を大きくしているため、シール部材が押し潰された状態で応力集中をより緩和できる。但し、前記曲率半径を大きくし過ぎると、くびれ部と第1及び第2のリップ部の最大幅寸法部分との寸法差が小さくなり、くびれ部で変形しにくくなる。そして、このくびれ部の変形によりシール潰し量の増大によるリップ部とプレートとの接触圧の増大を抑えられると言う効果を得られにくくなる。したがって、前記湾曲凹面の曲率半径は、好ましくは前記シール部材の左右方向の寸法の0.2倍以下とし、より好ましくは0.15倍以下とする。 According to the fifth aspect of the present invention, since the curved concave surfaces of the constricted portions of the first and second lip portions have a radius of curvature of 0.12 times or more of the horizontal dimension of the seal member, Stress concentration can be further relaxed in a state where the member is crushed. However, if the radius of curvature is too large, the dimensional difference between the constricted portion and the maximum width dimension portion of the first and second lip portions becomes small, and deformation at the constricted portion becomes difficult. And it becomes difficult to obtain an effect that an increase in contact pressure between the lip portion and the plate due to an increase in the amount of crushing of the seal can be suppressed by the deformation of the constricted portion. Therefore, the radius of curvature of the curved concave surface is preferably 0.2 times or less, more preferably 0.15 times or less, of the horizontal dimension of the seal member.
以下、図1ないし図8を用いて、本発明の実施形態について説明する。本シールチェーン11は、図1に示すように、2枚の鋼製のまゆ形のアウター(ピン)リンクプレート18の両端部をピン12にて連結したアウター(ピン)リンク19と、同形状の2枚のインナー(ローラ)リンクプレート16の両端部とをブシュ17にて連結したインナー(ローラ)リンク20とを、ブシュ17にピン12を嵌挿することにより無端状に連結して構成されている。また、前記ブシュ17にはローラ21が回転自在に被嵌されており、該ブシュ17は、インナーリンクプレート16の外側面から所定量突出して固定されている。そして、該ブシュ17の突出部17aを囲むように、前記インナーリンクプレート16とアウターリンクプレート18との間には、本実施形態に係るシール部材(シールリング)13が介在している。アウターリンクプレート18とインナーリンクプレート16とのクリアランスi{左右(図1の上下)のリンクプレートにそれぞれクリアランスがあるので、チェーン全体では2iとなる}は小さい。そして、このクリアランス内に前記シール部材13を弾性的に圧縮した状態で配置している。
Hereinafter, an embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 1 to 8. As shown in FIG. 1, the
シール部材13は、図2に示すように、ゴムなどの弾性材をリング状に形成したもので、自然状態にあって断面が十(プラス)字状で、左右方向(図1の上下方向)の幅寸法Hが前記クリアランスiよりも大きい。例えば、i/Hが50〜70%である。このようなシール部材13は、前述の図9に示した場合と同様に、インナーリンクプレート16とアウターリンクプレート18との間に挟持される装着状態では、断面略々X字状となる。そして、ピン12及びブシュ17との間の軸受空間にグリース又はオイル等の潤滑剤を封入する。前記シール部材13は、装着された状態でアウターリンクプレート18及びインナーリンクプレート16との間に所定量圧縮されているが、該シール部材13の材料であるゴムは、比較的硬いものが用いられている。
As shown in FIG. 2, the
このような本実施形態のシール部材13の自然状態の形状について、図2及び図3を用いて説明する。シール部材13は、中央基部13eと、該中央基部13eから内径方向に延びる第1のリップ部13aと、前記中央基部13eから外径方向に延びる第2のリップ部13bと、前記中央基部13eから左右方向(図2、3の上下方向)に延びる第3及び第4のリップ部13c、13dとを有する。
Such a natural shape of the
本実施形態の場合、シール部材13は、その断面形状において、径方向(図2、3の左右方向)に直交する中心線O−Oに関し線対称に形成される。したがって、前記第1及び第2のリップ部13a、13bは、前記シール部材13の断面で径方向に直交する中心線O−Oに関し線対称に形成される。このような第1及び第2のリップ部13a、13bは、径方向中間部乃至先端部の外周面がアール(円弧)面13gにより形成される断面円形からなり、径方向基端部に、径方向中間部よりも幅が狭いくびれ部13fを有する。そして、くびれ部13fの側面である、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部13c、13dの径方向両端面との連続部を湾曲凹面13hとしている。言い換えれば、これら湾曲凹面13hにより、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部13c、13dの径方向両端面とを滑らかに連続させている。また、前記湾曲凹面13hは前記アール面r1と滑らかに連続している。なお、滑らかにとは、局所的に凹凸がなく変形時に局所的な応力集中が生じにくいことを言う。
In the case of the present embodiment, the
上述のアール面13gの曲率半径r1は、前記シール部材13の左右方向の寸法Hの0.15倍〜0.25倍とすることが好ましく、特に0.2倍とすることが好ましい。また、上述の湾曲凹面13hの曲率半径r2は、前記シール部材13の左右方向の寸法Hの0.12倍以上とする。なお、この曲率半径r2は、好ましくは前記シール部材13の左右方向の寸法Hの0.2倍以下とし、より好ましくは0.15倍以下とする。
The radius of curvature r 1 of the aforementioned
また、前記第1及び第2のリップ部13a、13bは、それぞれ、径方向中間部の幅Aが、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの幅Bよりも大きい。また、第1及び第2のリップ部13a、13bの径方向基端部乃至中間部のうち最も幅が狭いくびれ部13fの幅Cも、第3及び第4のリップ部13c、13dの幅Bよりも大きい。また、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの幅が最も大きい部分(最大寸法部分)の幅Aは、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの幅Bの1.5〜1.7倍とする。また、この最大寸法部の幅Aは、シール部材13の幅寸法Hの0.35〜0.45倍とすることが好ましい。更に、前記くびれ部13fの幅Cは、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの幅Bの1.2〜1.4倍とすることもできる。
Further, the first and
また、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの径方向両端面からの突出量Lは、これらリップ部13c、13dの幅Bの1.8〜2.2倍、好ましくは2倍程度で、前記シール部材13の幅寸法Hの0.4〜0.6倍、好ましくは0.5倍程度とすることが好ましい。これらをまとめると以下のようになる。
A:B=1.5〜1.7:1
A:H=0.35〜0.45:1
C:B=1.2〜1.4:1
L:B=1.8〜2.2:1
L:H=0.4〜0.6:1
Further, the protruding amount L of the first and
A: B = 1.5 to 1.7: 1
A: H = 0.35-0.45: 1
C: B = 1.2 to 1.4: 1
L: B = 1.8-2.2: 1
L: H = 0.4-0.6: 1
また、シール部材13は、その断面形状において、左右方向(図2、3の上下方向)に直交する中心線N−Nに関し線対称に形成される。したがって、前記第3及び第4のリップ部13c、13dは、前記シール部材13の断面で左右方向に直交する中心線N−Nに関し線対称に形成される。したがって、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの左右方向両側面からの突出量は同じである。また、前記第3及び第4のリップ部13c、13dは、湾曲凹面13hとの連続部を除いて左右方向にほぼ同幅に形成されている。また、先端部の角部は面取り又は湾曲させている。なお、第3及び第4のリップ13c、13dは、図示のように左右方向にほぼ同幅とする以外に、例えば、先端に向かう程幅が小さくなるような形状とすることもできる。この場合に、前記幅Bは平均値とする。また、前記第3及び第4のリップ部13c、13dの形状を一致させないようにもできるが、この場合に、前記幅Bは前記第3及び第4のリップ部13c、13dのうちの幅が大きい方を基準として定める。
Further, the
このような本実施形態の場合も、前述の図9で説明した場合と同様に、シール部材13の配置を次のように行う。まず、前記第1のリップ部13aを、前記ブシュ突出部17a先端と前記アウターリンクプレート18との間に配置した状態で、アウターリンクプレート18をインナーリンクプレート16に接近する方向に移動する。すると、前記シール部材13が、前記ブシュ突出部17aとの接触に基づく回転モーメントにより捩られ、断面略々X字状に変形して前記インナーリンクプレート16と前記アウターリンクプレート18との間に挟持される。
In the case of this embodiment as well, as in the case described with reference to FIG. 9 , the
このような本実施形態によると、第1及び第2のリップ部13a、13bは、径方向中間部の幅が第3及び第4のリップ部の幅Bよりも大きいため、シール部材13が押し潰された状態で前記第1及び第2のリップ部13a、13bがプレート16、18に対して十分に突っ張り、リップ部13aとプレート18との接触圧を確保できる。この場合に、第1及び第2のリップ部13a、13bの最大幅寸法部分の幅Aと前記Bとの関係をA:B=1.5〜1.7:1とすることにより、接触圧が不足したり接触圧が過大になることを防止できる。
According to this embodiment, since the first and
また、前記径方向基端部に、前記径方向中間部よりも幅が狭く、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部13c、13dの径方向両端面とをそれぞれ湾曲凹面13hにより連続させるくびれ部13fを有するため、シール潰し量が大きくなってもこのくびれ部13fで変形し易く、このくびれ部13fの変形によりシール潰し量の増大によるリップ部13a、13bとプレート16、18との接触圧の増大を抑えられる。即ち、本実施形態の場合、第1及び第2のリップ部13a、13bの幅を大きくすることにより、必要な接触圧を確保すると共に、くびれ部13fを設けることにより、インナーリンクプレート16とアウターリンクプレート18とのクリアランスが小さくなってシール潰し量が大きくなった場合には、前記くびれ部13fで変形して接触圧の増大を抑えている。
Further, the radial base end portion is narrower than the radial intermediate portion, and both the left and right side surfaces of the first and
また、前記くびれ部13fに前記湾曲凹面13hを設けることにより、シール部材13が押し潰された状態で応力集中を緩和できる。この場合に、前記湾曲凹面13hを、シール部材13の左右方向の寸法Hの0.12倍以上と曲率半径を大きくすると、シール部材が押し潰された状態で応力集中をより緩和できる。但し、前記曲率半径r2を大きくし過ぎると、くびれ部13fと第1及び第2のリップ部13a、13bの最大幅寸法部分との寸法差が小さくなり、くびれ部13fで変形しにくくなるたるため、前記湾曲凹面13hの曲率半径r2は、前記シール部材13の左右方向の寸法Hの0.2倍以下、より好ましくは0.15倍以下としている。
Further, by providing the curved
なお、本実施形態の場合、応力集中の緩和のために前記湾曲凹面13hの曲率半径r2を大きくしているが、前記第1及び第2のリップ部の長さ寸法の制約があり、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの径方向基端部と径方向中間部との幅の差を大きくしにくい。但し、本実施形態の場合、前記径方向基端部の幅Cが前記第3及び第4のリップ部13c、13dの幅よりも大きいため、前記差を大きくできなくても前記突っ張り力の低下は抑えられる。したがって、第1及び第2のリップ部の長さを長くすることなく、第1及び第2のリップ部13a、13bによる突っ張り力を確保しつつ、応力集中を緩和できる。
In the case of this embodiment, although a larger radius of curvature r 2 of the concave
また、前記Aとシール部材13の左右方向の幅Hとの関係をA:H=0.35〜0.45:1とし、前記第1及び第2のリップ部13a、13bの突出量Lと前記Hとの関係をL:H=0.4〜0.6:1とすることにより、シール部材13の自然状態での左右方向の幅と径方向の幅との関係を適切にでき、装着状態で、各リップ部をプレート16又は18或はブシュ突出部17aに適切に当接させることができる。また、このような関係を有することにより、前記湾曲凹面13hを適切な曲率半径により形成し易くなり、応力集中の緩和を図り易くなると共に、くびれ部13fを適切に変形させ易くできる。例えば、突出量Lが小さ過ぎると、湾曲凹面13hを適切な曲率半径とするためには、くびれ部13fの幅が大きくなり過ぎて、このくびれ部13fを変形させにくくなる。
The relationship between A and the width H in the left-right direction of the
なお、第3及び第4のリップ13c、13dに関しては、A:B=1.5〜1.7:1及びA:H=0.35〜0.45:1を満たすような幅、即ち、B:H≒0.2〜0.3:1とすることにより、必要な突っ張り力を確保すると共に突っ張り力が過大になることを防止できる。この結果、上述のような第1及び第2のリップ部13a、13bによる突っ張り力に基づく接触圧をより安定させられる。例えば、第3及び第4のリップ部13c、13dの幅が小さ過ぎる場合、突っ張り力が小さくて、そもそもシール部材13を組み付けた状態で所定の断面略X字状を維持しにくくなる。一方、第3及び第4のリップ部13c、13dの幅が大き過ぎる場合、突っ張り力が大きくて、クリアランスの減少による上述のくびれ部13fの変形を円滑に行いにくくなる。
For the third and
また、本実施形態の場合、第1及び第2のリップ部13a、13bは線対称に形成されるため、シール部材13が潰されることによる変形がバランス良く行われ、リップ部13a、13bとプレート16、18との接触圧をより安定させ易くなる。但し、本発明はこのような構造に限らず、第1及び第2のリップ部13a、13bが非対称であっても良い。この場合に、第1及び第2のリップ部13a、13bが上述の数値関係の範囲に入るようにすることが好ましい。この場合に、第1及び第2のリップ部13a、13bが非対称であるから、それぞれに適用される数値自体が異なることは言うまでもない。また、第3及び第4のリップ部13c、13dに関しても、線対称に限定されず、このような第1及び第2のリップ部13a、13bと同様に扱える。
In the case of this embodiment, since the first and
本実施形態の場合、上述のように構成及び作用を有する結果、インナーリンクプレート16とアウターリンクプレート18とのクリアランスiを小さくしてチェーンの引張り強度を高めたものであっても、シール部材13を押し潰され過ぎないサイズにしつつ、リップ部13a、13bとプレート16、18との接触圧が適切に確保でき、且つ、シールチェーン11が斜めに掛け渡されシール潰し量が不均一になっても上記接触圧の不均一を抑制でき、更には、シール部材13が潰された状態で各リップ部13a、13b、13c、13dの接続部の応力集中を緩和でき、シールチェーンの耐久性を向上させられる。
In the case of the present embodiment, even if the clearance i between the
次に、本実施形態のシール部材と、前述の図10(b)に示したような形状を有する従来構造のシール部材とで、シール潰し量の変化に対する接触圧の変化の違いを検討した結果について、図4及び図5を用いて説明する。なお、本実施形態と従来例とで、自然状態において、シール部材の左右方向の寸法(Hに相当)及び径方向の寸法(2L+Bに相当)は、同じとした。その他の寸法関係については、本実施形態では、上述した関係を満たし、従来例では、図10(b)で説明した関係を満たす。 Next, as a result of examining the difference in the contact pressure change with respect to the change in the seal crushing amount between the seal member of the present embodiment and the seal member having the conventional structure having the shape as shown in FIG. Will be described with reference to FIGS. In this embodiment and the conventional example, in the natural state, the horizontal dimension (corresponding to H) and the radial dimension (corresponding to 2L + B) of the seal member are the same. As for other dimensional relationships, in the present embodiment, the above-described relationship is satisfied, and in the conventional example, the relationship described in FIG. 10B is satisfied.
そして、このようなシール部材が配置されるアウターリンクプレートとインナーリンクプレートとのクリアランスiを変えた場合に、各接触部に作用する接触圧を計算により求めた。この結果を図4及び図5に示す。なお、図4は従来例で、図5は本実施形態で、それぞれ、シール部材を、アウターリンクプレートとインナーリンクプレートとブシュの突出部との間に配置した状態の断面図である。また、それぞれの(a)はi/Hが0.5、(b)はi/Hが0.6、(c)はi/Hが0.7の場合を示す。このうちのクリアランスiがシールチェーンの使用状態で正規のクリアランスであるとする。また、各図の黒塗り部分が接触圧の大きさ及び作用している個所を示しており、高さが高い程、接触圧が大きい。また、各図の上側がアウターリンクプレートの接触部に対応し、下側がインナーリンクプレートの接触部に対応し、左側がブシュの突出部の接触部に対応する。したがって、シール部材の断面の左上が第1のリップ部、右下が第2のリップ部、右上が第3のリップ部、左下が第4のリップ部である。 Then, when the clearance i between the outer link plate and the inner link plate on which such a seal member is arranged is changed, the contact pressure acting on each contact portion is obtained by calculation. The results are shown in FIGS. 4 is a conventional example, and FIG. 5 is a cross-sectional view of the present embodiment in a state in which the seal member is disposed between the outer link plate, the inner link plate, and the bushing protrusion. Each (a) shows a case where i / H is 0.5, (b) shows i / H is 0.6, and (c) shows i / H is 0.7. It is assumed that the clearance i among these is a regular clearance in the use state of the seal chain. In addition, the black-painted portion in each figure shows the magnitude of the contact pressure and the location where it acts. The higher the height, the greater the contact pressure. Moreover, the upper side of each figure corresponds to the contact portion of the outer link plate, the lower side corresponds to the contact portion of the inner link plate, and the left side corresponds to the contact portion of the protruding portion of the bush. Therefore, the upper left of the cross section of the seal member is the first lip, the lower right is the second lip, the upper right is the third lip, and the lower left is the fourth lip.
図4の従来例の場合、図の左上である第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触部の接触圧が、クリアランスiの減少、即ちシール潰し量の増大により大きく変化していることがわかる。また、正規の状態である(c)では、この部分で接触圧がある程度高いところは僅かであり、接触圧の平均値は低いことがわかる。この第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触部は、潤滑剤が最も封入されている軸受空間に近いため、潤滑剤の漏出を防ぐ上で重要な部分である。また、通常、シール部材とアウターリンクプレートとの接触部では、使用状態で摺動が生じる。このため、接触圧が高すぎると、チェーンの屈曲性が悪化すると共に、シール部材で摩耗が早期に生じ易くなる。そして、潤滑剤が漏出し易くなり、チェーンの寿命が短くなってしまう。 In the case of the conventional example of FIG. 4, the contact pressure of the contact portion between the first lip portion and the outer link plate at the upper left of the drawing is greatly changed due to a decrease in clearance i, that is, an increase in the amount of seal crushing. Recognize. Further, in the normal state (c), it is found that there are few places where the contact pressure is high to some extent in this portion, and the average value of the contact pressure is low. Since the contact portion between the first lip portion and the outer link plate is close to the bearing space in which the lubricant is most enclosed, it is an important portion for preventing leakage of the lubricant. In general, the contact portion between the seal member and the outer link plate slides in use. For this reason, when the contact pressure is too high, the flexibility of the chain is deteriorated and the seal member is likely to be worn early. And it becomes easy to leak a lubricant, and the lifetime of a chain will become short.
したがって、図4の従来例の場合には、クリアランスが正規の状態では、第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触圧が小さいため、潤滑剤が漏出し易い。一方、クリアランスが小さくなった状態では、この部分の接触圧が高すぎるため、チェーンの屈曲性が悪化したりシール部材が早期に摩耗する可能性がある。特に、前述したように、チェーンのオフセット状態が生じた場合には、クリアランスが不均一になり、シール部材のシール潰し量も変化する。このため、チェーンの駆動により図の(a)〜(c)の状態が繰り返され、図4の従来例の場合には、第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触圧が大きく変化することが繰り返されてしまうことになる。 Therefore, in the case of the conventional example of FIG. 4, when the clearance is in a normal state, the contact pressure between the first lip portion and the outer link plate is small, so that the lubricant is likely to leak. On the other hand, when the clearance is small, the contact pressure at this portion is too high, so that the flexibility of the chain may be deteriorated or the seal member may be worn early. In particular, as described above, when an offset state of the chain occurs, the clearance becomes non-uniform and the seal crushing amount of the seal member also changes. For this reason, the state of (a)-(c) of a figure is repeated by the drive of a chain, and in the case of the prior art example of FIG. 4, the contact pressure of a 1st lip | rip part and an outer link plate changes a lot. Will be repeated.
これに対して図5の本実施形態の場合には、図の左上である第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触部の接触圧が、クリアランスiの減少、即ちシール潰し量の増大による変化量が小さいことがわかる。また、正規の状態である(c)では、この部分で接触圧がある程度高いところが多く、接触圧の平均値が高いことがわかる。したがって、図5の本実施形態の場合には、クリアランスが正規の状態でも、第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触圧を確保でき、潤滑剤の漏出を抑制できる。一方、クリアランスが小さくなった状態でも、この部分の接触圧の上昇を抑えられ、チェーンの屈曲性が悪化したりシール部材が早期に摩耗することを抑制できる。したがって、チェーンのオフセット状態が生じても、第1のリップ部とアウターリンクプレートとの接触圧の変化が少なく、安定したチェーンの駆動を長期に亙って維持できる。 On the other hand, in the case of the present embodiment of FIG. 5, the contact pressure of the contact portion between the first lip portion and the outer link plate at the upper left of the drawing is due to a decrease in clearance i, that is, an increase in the amount of seal crushing. It can be seen that the amount of change is small. In the normal state (c), it can be seen that the contact pressure is high to some extent in this portion, and the average value of the contact pressure is high. Therefore, in the case of the present embodiment of FIG. 5, even when the clearance is in a normal state, the contact pressure between the first lip portion and the outer link plate can be ensured, and leakage of the lubricant can be suppressed. On the other hand, even in a state where the clearance is reduced, it is possible to suppress an increase in the contact pressure of this portion, and it is possible to suppress deterioration of the flexibility of the chain and early wear of the seal member. Therefore, even if the chain is in an offset state, the change in contact pressure between the first lip portion and the outer link plate is small, and stable chain driving can be maintained over a long period of time.
次に、本実施形態のシール部材13を組み込んだシールチェーン11の耐久試験について説明する。なお、チェーンとしては、JIS 50を使用した。また、シール部材13の形状の寸法関係は、以下の通りである。
A:B=1.5〜1.7:1
A:H=0.35〜0.45:1
C:B=1.2〜1.4:1
L:B=1.8〜2.2:1
L:H=0.4〜0.6:1
r1:H=0.15〜0.25:1
r2:H=0.12〜0.2:1
Next, the durability test of the
A: B = 1.5 to 1.7: 1
A: H = 0.35-0.45: 1
C: B = 1.2 to 1.4: 1
L: B = 1.8-2.2: 1
L: H = 0.4-0.6: 1
r 1 : H = 0.15 to 0.25: 1
r 2: H = 0.12~0.2: 1
そして、このような形状のシール部材13を組み込んだシールチェーン11を、図6に示すように、歯数が多い大スプロケット30と歯数が少ない小スプロケット31とに掛け渡し、所定の引張張力Tを付与した状態で所定回転数で回転させた。また、これら大スプロケット30と小スプロケット31とは、図7に示すように所定量δオフセットさせた。試験条件は次の通りである。
大スプロケット30の歯数:小スプロケット31の歯数=43:15
チェーン引張張力T=1.96kN
小スプロケット31の回転数=3500rpm
オフセット量δ=8mm
Then, as shown in FIG. 6, the
Number of teeth of large sprocket 30: Number of teeth of
Chain tension T = 1.96kN
Number of rotations of
Offset amount δ = 8mm
このような試験条件で回転させ、所定時間経過後のシールチェーン11(本発明品)の伸びを測定した。なお、試験は、常温常湿の屋内で、給油を20時間毎に、送風なしで行った。また、同じ試験条件で、前述の図10(b)に示した従来例のシール部材を組み込んだシールチェーン(従来品)についても耐久試験を行った。この試験結果を図8に示す。図8は駆動時間に対するシールチェーンの伸び率を示しており、従来品のシールチェーンの伸び率が0.5%に達した時間を100%とした。この図8から明らかなように、本発明品の場合、従来品に比べて耐久性を2倍以上にできた。 The sample was rotated under such test conditions, and the elongation of the seal chain 11 (product of the present invention) after a predetermined time elapsed was measured. In addition, the test was performed indoors at normal temperature and humidity with no air supply every 20 hours. In addition, a durability test was performed on a seal chain (conventional product) incorporating the conventional seal member shown in FIG. 10B under the same test conditions. The test results are shown in FIG. FIG. 8 shows the elongation of the seal chain with respect to the driving time. The time when the elongation of the conventional seal chain reaches 0.5% is defined as 100%. As is apparent from FIG. 8, in the case of the product of the present invention, the durability could be more than doubled compared to the conventional product.
11 シールチェーン
12 ピン
13 シール部材
13a 第1のリップ部
13b 第2のリップ部
13c 第3のリップ部
13d 第4のリップ部
13e 中央基部
13f くびれ部
13g アール面
13h 湾曲凹面
16 インナーリンクプレート
17 ブシュ
17a ブシュ突出部
18 アウターリンクプレート
19 アウターリンク
20 インナーリンク
21 ローラ
i 両リンクプレートのクリアランス
r1 第1及び第2のリップ部アール面の曲率半径
r2 湾曲凹面の曲率半径
A 第1及び第2のリップ部最大寸法部分
B 第3及び第4のリップ部の幅
C くびれ部の幅
H シール部材の左右方向の幅寸法
L 第1及び第2のリップ部の突出量
DESCRIPTION OF
Claims (5)
前記シール部材は、自然状態における断面が十字形状からなり、中央基部と、該中央基部から内径方向に延びる第1のリップ部と、前記中央基部から外径方向に延びる第2のリップ部と、前記中央基部から左右方向に延びる第3及び第4のリップ部とを有し、
前記第1のリップ部を、前記ブシュの突出部先端と前記アウターリンクプレートとの間に配置した状態で、アウターリンクプレートをインナーリンクプレートに接近する方向に移動して、前記シール部材が、前記ブシュの突出部との接触に基づく回転モーメントにより捩られ、断面略々X字状に変形して前記インナーリンクプレートと前記アウターリンクプレートとの間に挟持されてなる、シールチェーンにおいて、
自然状態において、前記第1のリップ部は、アール面又はそれに近い曲面により形成される断面円形又はそれに近い形状からなり、
前記第1及び第2のリップ部は、それぞれ、径方向中間部の幅が前記第3及び第4のリップ部の幅よりも大きく、径方向基端部に、前記径方向中間部よりも幅が狭く、前記第1及び第2のリップ部の左右方向両側面と前記第3及び第4のリップ部の径方向両端面とをそれぞれ湾曲凹面により連続させるくびれ部を有する、
ことを特徴とするシールチェーン。 A bush-shaped seal member is arranged so as to partially protrude the bush from the inner link plate, and to be sandwiched between the inner link plate and the outer link plate so as to surround the protruding portion.
The seal member has a cross-section in a natural state having a cross shape, a central base, a first lip extending from the central base in the inner diameter direction, and a second lip extending from the central base in the outer diameter direction, A third lip portion and a fourth lip portion extending in the left-right direction from the central base portion;
In a state where the first lip portion is disposed between the projecting end of the bush and the outer link plate, the outer link plate is moved in a direction approaching the inner link plate, and the seal member is In a seal chain that is twisted by a rotational moment based on contact with the bushing protrusion and deformed into a substantially X-shaped cross section and is sandwiched between the inner link plate and the outer link plate,
In a natural state, the first lip portion has a round cross section formed by a round surface or a curved surface close thereto or a shape close thereto,
Each of the first and second lip portions has a width in the radial intermediate portion that is larger than the widths of the third and fourth lip portions, and the width in the radial base end portion is larger than that in the radial intermediate portion. Is narrow, and has constricted portions that allow both the left and right side surfaces of the first and second lip portions and the radial end surfaces of the third and fourth lip portions to be continuous with curved concave surfaces, respectively.
A seal chain characterized by that.
ことを特徴とする請求項1記載のシールチェーン。 In the natural state, each of the first and second lip portions has a radial base end portion having a width greater than that of the third and fourth lip portions.
The seal chain according to claim 1.
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシールチェーン。 In the natural state, the first and second lip portions are formed in line symmetry with respect to a center line orthogonal to the radial direction in the cross section of the seal member.
The seal chain according to claim 1 or 2, wherein
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちの何れか1項記載のシールチェーン。 In the natural state, the width of the largest portion of the first and second lip portions is 1.5 to 1.7 times the width of the third and fourth lip portions.
The seal chain according to any one of claims 1 to 3, characterized in that:
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちの何れか1項記載のシールチェーン。 In a natural state, the curved concave surfaces of the constricted portions of the first and second lip portions have a radius of curvature that is equal to or greater than 0.12 times the horizontal dimension of the seal member.
The seal chain according to any one of claims 1 to 4, wherein the seal chain is provided.
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