この発明の画像処理装置および画像処理方法は、低解像度画像を高解像度化する超解像処理して高解像度画像を生成するものである。この発明の画像処理装置および画像処理方法では、二次元超解像処理と三次元超解像処理を超解像モードで指定して切り替えることで所望の超解像処理を行うことができる。超解像モードは、二次元超解像モードまたは三次元超解像モードで指定するものとする。
この発明の画像処理装置および画像処理方法による超解像処理は、共通のハードウェア構成で、二次元超解像処理と三次元超解像処理を切り替えて、一部異なる手順で動作させる制御を行うことで所望の超解像処理を実現する。以下、この発明の画像処理装置および画像処理方法による超解像処理について説明する。なお、この発明の画像処理装置および画像処理方法についての説明中、例えば画像番号nの低解像度入力画像をf(n)のように表記するところ、具体的に画像番号n=1のような数値で番号が与えられるときには括弧を付さずf1と表記して説明するものとする。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1では、二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る画像処理方法の一例を示すフローチャートである。図において、ステップST201からステップST207は二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う共通処理ステップ、ステップST207で分岐したステップST208からステップST214は二次元超解像処理を行う処理ステップ、またステップST302からステップST314は三次元超解像処理を行う処理ステップを示している。この図1のフローチャートでは、連続して入力される各低解像度入力画像に対応する超解像画像を繰り返し生成するループを含むものとなっている。以下、図1のフローチャートに基づいて、この発明の実施の形態1に係る二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う画像処理方法を、次に説明する共通の画像処理装置の構成と対応付けて説明する。
図2および図3は、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。この図2は、二次元超解像モード時において、画像番号n=1のときに二次元超解像処理を行う処理の状態、画像名を示したものである。また、図3は、図2とブロック構成は共通であるが、三次元超解像モード時において、画像番号n=1のときに三次元超解像処理を行う処理の状態、画像名を示したものである。図において、低解像度入力画像記憶部11aは、解像度の低い入力画像(以下、低解像度入力画像という)g(n)を記憶する。第1の高解像度変換部12aは、低解像度入力画像記憶部11aが記憶した低解像度入力画像g(n)を高解像度変換(T−1)して高解像度入力画像を生成する。推定高解像度画像記憶部13aは、第1の高解像度変換部12aが生成した高解像度入力画像または高解像度画像f’(n)を推定高解像度画像f(n)として記憶する。低解像度変換部14は、推定高解像度画像記憶部13aが記憶した推定高解像度画像f(n)を低解像度変換(T)して低解像度画像g’(n)を生成する。低解像度画像記憶部15は、低解像度変換部14が生成した低解像度画像g’(n)を記憶する。差分画像生成部(減算部)16は、低解像度入力画像記憶部11aが記憶した低解像度入力画像g(n)と低解像度画像記憶部15が記憶した低解像度画像g’(n)とから差分画像g”(n)を生成する。差分画像記憶部17aは、差分画像生成部(減算部)16が生成した差分画像g”(n)を記憶する。指標値算出部18は、低解像度入力画像記憶部11aが記憶した低解像度入力画像g(n)と低解像度画像記憶部15が記憶した低解像度画像g’(n)とから指標値eを算出する。第2の高解像度変換部19は、差分画像記憶部17aが記憶した差分画像g”(n)を高解像度変換(T−1)して差分高解像度画像j(n)を生成する。差分高解像度画像記憶部20は、第2の高解像度変換部19が生成した差分高解像度画像j(n)を記憶する。高解像度画像生成部(加算部)21は、推定高解像度画像記憶部13aが記憶した推定高解像度画像f(n)と差分高解像度画像記憶部20が記憶した差分高解像度画像j(n)とから高解像度画像f’(n)を生成する。制御部(図示せず)は、推定高解像度画像記憶部13aが記憶した推定高解像度画像f(n)に基づいて高解像度画像生成部(加算部)21に高解像度画像f’(n)を反復して生成させるか、または推定高解像度画像f(n)を超解像画像として出力して終了するかを制御する。
また、制御部は、指標値算出部18が算出した指標値eに基づいて、第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19の高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14の低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)の更新を判断する。
ここで、低解像度入力画像記憶部11aは、低解像度入力画像を蓄積する蓄積部111aと、蓄積部111aが記憶した低解像度入力画像の出力先として第1の高解像度変換部12a、差分画像生成部(減算部)16のいずれかに切り替えるスイッチ(SWa)112aを有する。また、推定高解像度画像記憶部13aは、推定高解像度画像を蓄積する蓄積部132と、蓄積部132に記憶させる推定高解像度画像の入力元として第1の高解像度変換部12aまたは高解像度画像生成部(加算部)21のいずれかに切り替えるスイッチ(SWb)131aと、蓄積部132が記憶した推定高解像度画像の出力先として低解像度変換部14、高解像度画像生成部(加算部)21、装置の外部出力のいずれかに切り替えるスイッチ(SWc)133aを有する。制御部は、これらのスイッチによる画像の入力元や出力先を切り替えて処理経路を制御することで、所望の超解像処理を実行する。
最初に、この発明の実施の形態1に係る二次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について、図1に示される画像処理方法のフローチャートを二次元超解像処理では図2、三次元超解像処理では図3に示される画像処理装置のブロック構成図と対応付けて説明する。
(1)二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う共通処理ステップ
最初に、図1に示される画像処理方法のフローチャートにおける二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う共通処理ステップであるステップST201からステップST207について説明する。ステップST201では、画像番号nおよび第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)を初期化する。例えば、画像番号nは初期値に1を設定する。
ステップST202では、その画像番号nの低解像度入力画像g(n)を低解像度入力画像記憶部11aに記憶する。
ステップST203では、低解像度入力画像g(n)を第1の高解像度変換部12aで高解像度変換(T−1)を適用して高解像度入力画像を生成して、生成した高解像度入力画像を推定高解像度画像f(n)の初期画像として推定高解像度画像記憶部13aに記憶する。このとき、制御部は、スイッチ(SWa)112a、スイッチ(SWb)131aを制御して画像データの経路を確保して記憶させる。
第1の高解像度変換部12aにおける高解像度変換(T−1)は、例えば特許文献1に記載の逆投影法を用いることができ、推定高解像度画像f(n)を生成する算式は次の(式1)のように表せる。ここで、pは逆投影カーネルと呼ばれるパラメータを表し、(式1)における"×"はコンボリュージョン(畳み込み)演算子を表す。
なお、この発明の実施の形態1では、超解像処理方式として逆投影法およびその正変換となる投映法を用いる場合について示したが、その限りでなく、例えばLR法(Lucy-Richardson法)や条件確率を用いるベイズ法など、一般的な超解像処理方式を用いてもよい。
ステップST204では、推定高解像度画像f(n)を低解像度変換部14で低解像度変換(T)を適用して低解像度画像g’(n)を生成して低解像度画像記憶部15に記憶する。このとき、制御部は、スイッチ(SWc)133aを制御して画像データの経路を確保して記憶させる。低解像度変換部14における低解像度変換(T)は、第1の高解像度変換部12aにおける高解像度変換(T−1)に対する正変換とし、例えば特許文献1に記載の逆投影法の正変換となる投映法を用いることができ、低解像度画像g’(n)を生成する算式は次の(式2)のように表せる。ここで、hは、カメラの光学系におけるボケ過程を表し、例えば点広がり関数やガウス関数などを用いることができる。
ステップST205では、低解像度画像g’(n)を低解像度入力画像g(n)から減算器(差分画像生成部)16で減じて差分画像g”(n)を生成して差分画像記憶部17aに記憶する。このとき、制御部は、スイッチ(SWa)112aを制御して画像データの経路を確保して記憶させる。差分画像g”(n)を生成する算式は、次の(式3)のように表せる。
ステップST206では、低解像度入力画像g(n)と低解像度画像g’(n)に対して所定の指標値eを算出し、これらの画像の類似度(相関性)を定量化する。指標値eとしては、例えば差分絶対値和であれば、次の(式4)のように表せる。次式中、低解像度画像のサイズをU×Vとしてu、vは座標を表し、画像番号nはの表記は省略している。
なお、この発明の実施の形態1では、指標値として差分絶対値和を用いる場合について説明したため、図2のブロック構成図では差分画像g”(n)から指標値を算出するように示しているが、低解像度入力画像g(n)と低解像度画像g’(n)から指標値を算出する指標値算出部18としても構わない。また、指標値は差分絶対値和に限らず、差分二乗和、最小二乗法やPSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio)など、2枚の画像の差を定量化できる一般的な指標値を用いてもよい。
ステップST207では、超解像モードの指定が二次元超解像モードか否かを判定する。二次元超解像モードが指定されている(Yes)とき、ステップST208からステップST214の二次元超解像処理に進む。一方、二次元超解像モードが指定されていない(三次元超解像モードが指定されている)(No)とき、ステップST302からステップST314の三次元超解像処理に進む。このとき、制御部は、二次元超解像モードが指定されているならば、二次元超解像処理に進み、また三次元超解像モードが指定されているならば、三次元超解像処理に進むように制御する。
(2)二次元超解像処理を行う処理ステップ
次に、図1に示される画像処理方法のフローチャートにおける二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う共通処理ステップであるステップST201からステップST207に続いて、ステップST207以降の二次元超解像処理を行う処理ステップであるステップST208からステップST214について説明する。
ステップST208では、差分画像g”(n)を第2の高解像度変換部19で高解像度変換(T−1)を適用して差分高解像度画像j(n)を生成して差分高解像度画像記憶部20に記憶する。差分高解像度画像j(n)を生成する算式は、次の(式5)のように表せる。ここで、pは(式1)の高解像度変換(T−1)の演算で説明したパラメータである。
ステップST209では、差分高解像度画像j(n)を推定高解像度画像f(n)に加算器(高解像度画像生成部)21で加えて高解像度画像f’(n)を生成し、推定高解像度画像f(n)として推定高解像度画像記憶部13aに再記憶して更新する。このとき、制御部は、スイッチ(SWc)133a、スイッチ(SWb)131aを制御して画像データの経路を確保して更新させる。先に記憶された推定高解像度画像f(n)は、高解像度画像f’(n)で推定高解像度画像記憶部13aに上書きされる。高解像度画像f’(n)を生成する算式は、次の(式6)のように表せる。
ステップST210では、ステップST206で算出した指標値eが所定の収束条件を満たすか否かによって類似度を判定する。ここで、所定の収束条件は、例えば指標値eが所定のしきい値以下になるか否かとする。すなわち、指標値eが所定のしきい値以下となり、所定の収束条件を満足している(Yes)と判定された場合は、ステップST212に進み、所定の収束条件を満足していない(No)と判定された場合は、ステップST211に進む。このとき、制御部は、指標値eを参照し、所定の収束条件を満たしているか否かによって、高解像度変換(T−1)、低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)の適正を判定する。
指標値eが所定の収束条件を満足していないとステップST210で判定された場合は、まだ十分な超解像効果が得られていないものとして、ステップST211で、第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)を修正する。なお、指標値eが所定のしきい値以下となり、所定の収束条件を満たしていると判定した場合は、第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)を修正しないものとする。このように、ステップST211で高解像度変換および低解像度変換の変換定義(変換パラメータ)を更新した後、二次元超解像処理のステップST202からステップST210の処理ステップを指標値eが所定の収束条件を満足するまで低解像度入力画像g(n)に対する二次元超解像処理を反復して継続する。
ここで、高解像度変換(T−1)、低解像度変換(T)の定義について説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係る画像処理方法における高解像度変換(T−1)、低解像度変換(T)の定義の一例を示す説明図である。ここでは、画像番号n=1として説明する。図に示すように、例えば、低解像度変換Tは点広がり関数で定義できる。(a)は推定高解像度画像f1においてインパルス信号が存在する様子を示している。また、(b)は低解像度入力画像g1で観察されるインパルス応答を示している。このステップST208における変換定義の修正は、例えば低解像度変換Tがこの点広がり関数として定義される場合、(b)のインパルス応答として標準偏差σとする±3σに対して、より広範囲な分布状態に広げるか、より狭い範囲の分布状態に狭めることで行う。標準偏差σは、分布の90%以上をカバーする分布範囲を示す。よって、低解像度変換Tの定義をより広範囲な分布状態に広げるように修正することで、対応する高解像度変換T−1の定義はより補正をより強めるように修正される。また、低解像度変換Tの定義をより狭い範囲の分布状態に狭めるように修正することで、対応する高解像度変換T−1の定義は補正をより弱めるように修正される。
また、指標値eが所定の収束条件を満足しているとステップST210で判定された場合は、十分な超解像効果が得られているものとして、ステップST212で、推定高解像度画像記憶部13aに記憶された推定高解像度画像f(n)を超解像画像(二次元超解像画像)として出力する。二次元超解像画像を出力することで、低解像度入力画像g(n)に対する二次元超解像処理を終了となる。このとき、制御部は、スイッチ(SWc)133aを制御して画像データの経路を確保して出力させる。
ステップST213では、低解像度入力画像g(n)以降の画像があるか判定し、続く画像があって終了しない(No)ならば、ステップST214に進み、続く画像がなく終了する(Yes)ならば、二次元超解像処理を終了する。このとき、制御部は、低解像度入力画像g(n)以降の画像があるか判定して二次元超解像処理を継続または終了させる。
ステップST214では、画像番号nを更新する。画像番号nを更新した後、新しい低解像度入力画像g(n)に対する二次元超解像処理をステップST202から開始する。
このように図1のステップST201からステップST214の処理ステップを実行することにより、低解像度入力画像g1、g2、…から二次元超解像画像f1、f2、…を生成することができる。
なお、この発明の実施の形態1では、ステップST210の二次元超解像処理の収束条件判定において、指標値eにより収束したか否かを判定し、この判定を二次元超解像処理における第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)の修正処理の要否判定と、低解像度入力画像g(n)の二次元超解像処理の反復処理の終了判定と兼用するものとしたが、この限りでない。例えば、図5および図6は、この発明の実施の形態1に係る画像処理方法の一例を示すフローチャート(第1、第2の部分変更例)である。図1のステップST210およびステップST211の部分において、図5に示すように、指標値eをステップST211の高解像度変換および低解像度変換の変換定義(変換パラメータ)の修正処理の要否判定のみに用い、追加したステップST215で、低解像度入力画像g(n)の二次元超解像処理の反復処理の終了判定として、反復回数を計数することで、所定回数だけ反復処理したか否かで判定してもよい。また、図6に示すように、図5に対して、ステップST210の二次元超解像処理の収束条件判定において、指標値eが収束した場合(Yes)に、低解像度入力画像g(n)の二次元超解像処理の反復処理が所定回数に満たなくても終了できるように、ステップST215でなく、ステップST212に進むようにしてもよい。
(3)三次元超解像処理を行う処理ステップ
また、図1に示される画像処理方法のフローチャートにおける二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う共通処理ステップであるステップST201からステップST207に続いて、ステップST207以降の三次元超解像処理を行う処理ステップであるステップST302からステップST314について説明する。
ステップST302では、画像番号nの低解像度入力画像g(n)に対するステップST202と同様に、その画像番号(n+1)の低解像度入力画像g(n+1)を低解像度入力画像記憶部11aに記憶する。先にステップST202で記憶された低解像度入力画像g(n)は、低解像度入力画像g(n+1)で低解像度入力画像記憶部11aに上書きされる。
ステップST303では、画像番号nの推定高解像度画像f(n)に対するステップST203と同様に、低解像度入力画像g(n+1)を第1の高解像度変換部12aで高解像度変換(T−1)を適用して高解像度入力画像を生成して、生成した高解像度入力画像を推定高解像度画像f(n+1)の初期画像として推定高解像度画像記憶部13aに記憶する。このとき、制御部は、スイッチ(SWa)112a、スイッチ(SWb)131aを制御して画像データの経路を確保して記憶させる。先にステップST203で記憶された推定高解像度画像f(n)は、推定高解像度画像f(n+1)で推定高解像度画像記憶部13aに上書きされる。
ステップST308では、画像番号nの差分高解像度画像j(n)に対するステップST208と同様に、差分画像g”(n)を第2の高解像度変換部19で高解像度変換(T−1)を適用して差分高解像度画像j(n)を生成して差分高解像度画像記憶部20に記憶する。
ステップST309では、差分高解像度画像j(n)を推定高解像度画像f(n+1)に加算器(高解像度画像生成部)21で加えて高解像度画像f’(n+1)を生成し、推定高解像度画像f(n+1)として推定高解像度画像記憶部13aに再記憶して更新する。このとき、制御部は、スイッチ(SWc)133a、スイッチ(SWb)131aを制御して画像データの経路を確保して更新させる。先にステップST303で記憶された推定高解像度画像f(n+1)は、高解像度画像f’(n+1)で推定高解像度画像記憶部13aに上書きされる。高解像度画像f’(n+1)を生成する算式は、次の(式7)のように表せる。
ステップST310では、ステップST210と同様に、ステップST206で算出した指標値eが所定の収束条件を満たすか否かによって類似度を判定する。ここで、所定の収束条件は、例えば指標値eが所定のしきい値以下になるか否かとする。すなわち、指標値eが所定のしきい値以下となり、所定の収束条件を満足している(Yes)と判定された場合は、ステップST312に進み、所定の収束条件を満足していない(No)と判定された場合は、ステップST311に進む。このとき、制御部は、指標値eを参照し、所定の収束条件を満たしているか否かによって、高解像度変換(T−1)、低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)の適正を判定する。
指標値eが所定の収束条件を満足していないとステップST310で判定された場合は、まだ十分な超解像効果が得られていないものとして、ステップST311で、ステップST211と同様に、第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)を修正する。なお、指標値eが所定のしきい値以下となり、所定の収束条件を満たしていると判定した場合は、第1の高解像度変換部12a、第2の高解像度変換部19が行う高解像度変換(T−1)、低解像度変換部14が行う低解像度変換(T)の変換定義(変換パラメータ)を修正しないものとする。なお、三次元超解像処理では、二次元超解像処理のように反復処理せず、指標値eが所定の収束条件を満たすか否かに関わらず、ステップST312に進む。
ステップST312では、推定高解像度画像記憶部13aに記憶された推定高解像度画像f(n+1)を超解像画像(三次元超解像画像)として出力する。三次元超解像画像を出力することで、低解像度入力画像g(n)に対する三次元超解像処理を終了となる。このとき、制御部は、スイッチ(SWc)133aを制御して画像データの経路を確保して出力させる。
ステップST313では、低解像度入力画像g(n+1)以降の画像があるか判定し、続く画像があって終了しない(No)ならば、ステップST314に進み、続く画像がなく終了する(Yes)ならば、三次元超解像処理を終了する。このとき、制御部は、低解像度入力画像g(n+1)以降の画像があるか判定して三次元超解像処理を継続または終了させる。
ステップST314では、画像番号nを更新する。画像番号nを更新した後、新しい低解像度入力画像g(n)に対する三次元超解像処理をステップST202から開始する。
このように図1のステップST201からステップST207、およびステップST302からステップST314の処理ステップを実行することにより、低解像度入力画像g1、g2、…から三次元超解像画像f2、f3、…を生成することができる。
なお、この発明の実施の形態1では、二次元超解像処理または三次元超解像処理の終了を判定して終了でないときに、画像番号nを更新してそれまでに修正された変換定義(変換パラメータ)をそのまま適用して二次元超解像処理または三次元超解像処理を繰り返す場合について示したが、この限りでなく、低解像度入力画像g(n)ごとに変換定義を最初に再初期化してもよい。
また、この発明の実施の形態1では、ステップST206の指標値eの算出をステップST205の低解像度入力画像g(n)と低解像度画像g’(n)の差分を算出する差分画像g”(n)の生成の直後(または同時)に行うように示しているが、指標値eを差分画像g”(n)から算出するのであれば、差分画像g”(n)が維持されている限り、低解像度入力画像g(n)と低解像度画像g’(n)が更新されても影響がないので、現状の図1の処理位置から指標値eから収束条件を判定するステップST210およびステップST310の前までのどの位置で算出してもよい。
また、この発明の実施の形態1では、指標値eから収束条件の判定と変換定義の修正を二次元超解像画像f(n)または三次元超解像画像f(n+1)の出力直前に行うように示しているが、二次元超解像処理では終了判定を別途行うようにすれば、三次元超解像処理ともに、指標値e算出以降であれば現状の図1の処理位置までのどの位置で判定して変換定義の修正するようにしてもよい。
また、この発明の実施の形態1では、三次元超解像処理におけるステップST302の低解像度入力画像g(n+1)の蓄積は、低解像度入力画像g(n)を参照するステップST205の差分画像g”(n)の生成以降であれば、ステップST303の推定高解像度画像f(n+1)の蓄積で制約される推定高解像度画像f(n)の蓄積を参照するステップST204の低解像度画像g’(n)の生成以降となるので、現状の図1の処理位置までのどの位置で行ってもよい。
このように、この発明の実施の形態1の画像処理方法では、図1に示されるように、二次元超解像処理と三次元超解像処理は、ステップST207以降の共通処理ステップでない処理ステップでも、図2および図3の画像処理装置の高解像度画像生成部(加算部)21に入力する画像を切り替えた高解像度画像f’(n)またはf’(n+1)を生成と、反復処理の有無の違いはあるが、特別に異なる処理部を必要としないので、同一構成の画像処理装置で実現することができることは明らかである。
また、この発明の実施の形態1の画像処理装置では、図1に示される画像処理方法の各処理を画像データの参照や更新に制約がない限り、パイプラインを組んで並列処理することができることは明らかである。
以上のように、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了した時点で、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2では、この発明の実施の形態1と異なる装置構成で、二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。
最初に、三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法として動作する場合について説明する。
図7は、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。図7のブロック構成図は、この発明の実施の形態1に係る三次元超解像処理を行う画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図3に対し、低解像度入力画像記憶部11aの蓄積部114a、推定高解像度画像記憶部13aの蓄積部134の追加と、それに伴うスイッチ(SWd)113の追加およびスイッチ(SWa)112b、スイッチ(SWb)131b、スイッチ(SWc)133bの入出力数の変更をしたものである。その他の処理ブロックは、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図3に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
図7において、低解像度入力画像記憶部11aのスイッチ113は、入力される低解像度入力画像を蓄積部111a、114aに振り分ける。蓄積部114aは、低解像度入力画像g(n+1)を記憶する。スイッチ112bは、蓄積部111aに蓄積された低解像度入力画像g(n)、蓄積部114aに蓄積された低解像度入力画像g(n+1)を第1の高解像度変換部12aまたは差分画像生成部(減算部)16に出力する。このスイッチ112bは、1入力1出力で単一で転送動作しても、例えば差分画像g”(n)の生成のために差分画像生成部(減算部)16に低解像度入力画像g(n)を参照させながら、同時に低解像度入力画像g(n+1)を第1の高解像度変換部12aに送る2入力2出力で同時に転送動作しても構わない。推定高解像度画像記憶部13aのスイッチ131bは、高解像度入力画像と高解像度画像を蓄積部132、134に振り分ける。このスイッチ131bは、例えば高解像度画像f’(n)を蓄積部132に送りながら、同時に高解像度入力画像f(n+1)を蓄積部134に送ることができる。蓄積部134は、推定高解像度画像f(n+1)を記憶する。スイッチ133bは、蓄積部132、134に蓄積された推定高解像度画像f(n)、f(n+1)を低解像度変換部14、高解像度画像生成部(加算部)21または差分画像生成部(減算部)16に出力する。このスイッチ133bは、1入力1出力で単一で転送動作しても、例えば推定高解像度画像f(n)を低解像度変換部14に送りながら、同時に推定高解像度入力画像f(n+1)を外部に送る2入力2出力で同時に転送動作しても構わない。このとき、制御部は、スイッチ(SWd)113、スイッチ(SWa)112b、スイッチ(SWb)131bおよびスイッチ(SWc)133bを制御して画像データの経路を確保して出力させる。
三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法としての動作は、図1のフローチャートにおいて、三次元超解像モードが選択された場合に対応し、この発明の実施の形態1に係る画像処理方法における三次元超解像処理と同様に説明できる。
なお、連続して画像を三次元超解像処理する場合、低解像度入力画像記憶部11aに入力される低解像度入力画像g(n)は、例えば蓄積部111a、113に交互に振り分けて、画像番号nを更新していくことで、画像番号n、n+1の低解像度入力画像g(n)、g(n+1)の相対関係を保ち続ける。
この発明の実施の形態2に係る画像処理装置の三次元超解像処理がこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置の三次元超解像処理と相違する点は、低解像度入力画像記憶部11aに低解像度入力画像g(n+1)、推定高解像度画像記憶部13aに推定高解像度画像f(n+1)に各生成時に、低解像度入力画像g(n)、推定高解像度画像f(n)に上書きしなくてよいため、低解像度入力画像g(n)を参照する差分画像g”(n)の生成を待たずに低解像度入力画像g(n+1)を開始できることである。低解像度入力画像g(n+1)の開始を早めることで、以降の処理もこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置の三次元超解像処理よりも早めることができ、三次元超解像処理の効率が向上する。
次に、二次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法として動作する場合について説明する。
図7のブロック構成図は、この発明の実施の形態1に係る二次元超解像処理を行う画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図2に対しても図3に対するのと同様に、低解像度入力画像記憶部11aの蓄積部114a、推定高解像度画像記憶部13aの蓄積部134の追加と、それに伴うスイッチ(SWd)113の追加およびスイッチ(SWa)112b、スイッチ(SWb)131b、スイッチ(SWc)133bの入出力数の変更をしたものである。その他の処理ブロックは、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図2に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
二次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法としての動作は、図1のフローチャートにおいて、二次元超解像モードが選択された場合に対応し、この発明の実施の形態1に係る画像処理方法における二次元超解像処理と同様に説明できる。
ここで、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図7の構成において、この発明の実施の形態1の図2に対して追加した低解像度入力画像記憶部11aの蓄積部114a、推定高解像度画像記憶部13aの蓄積部134を使用しないようにすることで、この発明の実施の形態1と同様の二次元超解像処理を説明できることはいうまでもない。また、低解像度入力画像記憶部11aの蓄積部111a、114a、推定高解像度画像記憶部13aの蓄積部132、134を例えばそれぞれ交互に両方を使用して二次元超解像処理を実行してもよい。
また、低解像度入力画像記憶部11aの蓄積部114a、推定高解像度画像記憶部13aの蓄積部134を使用して、独立した低解像度入力画像の二次元超解像処理を三次元超解像処理と同様にパイプラインを構成して処理ブロックの使用が重ならないように効率よく並行して実行することも可能となる。
このように、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した所望の二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、より効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明の実施の形態2に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、処理ブロックの使用が重ならないようにしさえすれば、より効率的にパイプラインを構成して並行して二次元超解像処理することができ、処理時間の短縮を図ることができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3では、この発明の実施の形態1および実施の形態2と異なる装置構成で、二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図8は、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。図8のブロック構成図は、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図2および図3に対し、第1の高解像度変換部12aと第2の高解像度変換部19を共通化した高解像度変換部12bに、共通化して統合した高解像度変換部122、この高解像度変換部122の入力元を切り替えるスイッチ(SWp)121と出力先を切り替えるスイッチ(SWq)123を設けたものである。その他の処理ブロックは、この発明の実施の形態1に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図2および図3に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
図8において、高解像度変換部12bは、スイッチ(SWp)121、高解像度変換部122、スイッチ(SWq)123を有する。スイッチ(SWp)121は、低解像度入力画像記憶部11aが記憶する低解像度入力画像g(n)と差分画像記憶部17aが記憶する差分画像g”(n)を入力として、低解像度入力画像g(n)または差分画像g”(n)を出力する。高解像度変換部122は、スイッチ(SWp)121が出力する低解像度入力画像g(n)または差分画像g”(n)を高解像度変換して出力する。スイッチ(SWq)123は、高解像度変換部122が低解像度入力画像g(n)を高解像度変換した高解像度入力画像を推定高解像度画像記憶部13aに出力するとともに、高解像度変換部122が低解像度入力画像g(n)を高解像度変換した差分高解像度画像j(n)を差分高解像度画像記憶部20に出力する。このとき、制御部は、スイッチ(SWp)121およびスイッチ(SWq)123を制御して画像データの経路を確保して出力させる。
二次元超解像処理または三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法として動作する場合については、いずれも図1のフローチャートにおけるこの発明の実施の形態1に係る画像処理方法における二次元超解像処理または三次元超解像処理の動作と同様に説明できる。
この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の二次元超解像処理および三次元超解像処理がこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置の二次元超解像処理および三次元超解像処理と相違する点は、図8の高解像度変換部12bに、この発明の実施の形態1の図2および図3における第1の高解像度変換部12aと第2の高解像度変換部19を共通化して統合することで、1つの高解像度変換部で構成できることである。2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模を小さくでき、低コスト化を図ることが可能となる。
このように、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1および実施の形態2と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した所望の二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1および実施の形態2と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模をより小さくでき、低コスト化を図れる。
また、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1と同様に、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了した時点で、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4では、この発明の実施の形態1ないし実施の形態3と異なる装置構成で、二次元超解像処理および三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図9は、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。図9のブロック構成図は、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図8に対する低解像度入力画像記憶部11a、推定高解像度画像記憶部13aをこの発明の実施の形態2に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図7に対する低解像度入力画像記憶部11b、推定高解像度画像記憶部13bに置き換えたものである。各処理ブロックは、この発明の実施の形態2および3に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図7および図8に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
二次元超解像処理または三次元超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法として動作する場合については、いずれも図1のフローチャートにおけるこの発明の実施の形態1に係る画像処理方法における二次元超解像処理または三次元超解像処理の動作と同様に説明できる。
このように、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1ないし実施の形態3と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した所望の二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1ないし実施の形態3と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態3と同様に、2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模をより小さくでき、低コスト化を図れる。
また、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2と同様に、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、より効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明の実施の形態4に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2と同様に、二次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、処理ブロックの使用が重ならないようにしさえすれば、より効率的にパイプラインを構成して並行して二次元超解像処理することができ、処理時間の短縮を図ることができる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5では、この発明の実施の形態2のブロック構成を示す図7、またはこの発明の実施の形態4の構成を示す図9のように、三次元超解像処理を行う際に、低解像度入力画像記憶部に映像の連続する2枚の低解像度入力画像g(n)、g(n+1)を記憶し、その2枚の低解像度入力画像から動き検出して、動きのある領域を動き補償して参照した差分画像g”(n)から差分高解像度画像j(n)を生成して超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図10は、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置の動き検出部が検出した動き領域の一例を示す説明図である。図において、前フレームと現フレーム間の画像情報を用いて動き検出を行い、例えば、木を含む背景領域は静止しており、動きのある領域とは検出されず、移動する人物の周囲の領域が動きのある領域(動き検出領域)として検出される場合を示している。動きのない領域および動きのある領域のそれぞれは、1枚の画像に1領域に限らず、また連続した領域でも分割された状態で複数の領域として検出してもよい。また、動きのある領域は動きのある対象物の形状のまま抽出しても、周囲の背景を含む矩形のブロック等の形状で抽出してもよい。動き検出に用いる領域のサイズは、1つに固定しても、また複数を組み合わせても構わない。
図11は、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。図において、この発明の実施の形態3のブロック構成を示す図7と異なる部分は、動き情報を検出する動き検出部(MV)31aを備えたことである。また、差分画像記憶部17bは、動き検出部(MV)31aが検出した動き情報に基づいて差分画像g”(n)を出力する。その他の処理ブロックは、この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図7に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
動き検出部(MV)31aは、低解像度入力画像記憶部11cの蓄積部111b、114bに記憶された低解像度入力画像g(n)、g(n+1)を参照して領域単位に動き情報を検出(動き検出)し、差分画像記憶部17bに出力する。差分画像記憶部17bは、動き検出部(MV)31aが検出した動き情報に基づいて、高解像度変換部19で高解像度変換する差分高解像度画像j(n)の領域に対応した差分画像g”(n)の参照画像領域を出力する。高解像度変換部19は、差分画像記憶部17bが動き情報に基づいて出力した差分画像g”(n)の参照画像領域を高解像度変換して差分高解像度画像j(n)を生成する。差分高解像度画像記憶部20は、高解像度変換部19が生成した差分高解像度画像j(n)を対応する領域に記憶する。このとき、制御部は、高解像度変換部19で高解像度変換する差分高解像度画像j(n)の領域に対応した差分画像g”(n)の参照画像領域が差分画像記憶部17bから出力されるように、動き検出部(MV)31aに動き情報を出力させ、動き情報の検出対象とした各領域について動き補償された差分高解像度画像j(n)を生成させる。
図12は、この発明の実施の形態5に係る画像処理方法における三次元超解像処理の一例を示すフローチャート(動き検出の部分変更例)である。図1のステップST308の部分において、図12に示すように、領域単位に、ステップST3081で、動き検出部(MV)31aは動き情報を検出する。ステップST3082では、動き検出部(MV)31aが検出した動き情報に基づいて、生成しようとする差分高解像度画像j(n)の領域に対応した差分画像g”(n)の参照領域を差分画像記憶部17bから出力させ、高解像度変換部19で高解像度変換して差分高解像度画像j(n)を差分高解像度画像記憶部20に記憶する。ステップST3083では、最終領域まで差分高解像度画像j(n)を生成したか判定し、未処理の領域が残っていれば、その領域についてステップSY3081から繰り返し、未処理の領域がなくなれば、差分高解像度画像j(n)の生成を終了してステップST309へ進む。このとき、制御部は、これらの処理を領域ごとに行うように制御する。
この発明の実施の形態5に係る画像処理装置では、例えば動き検出する単位領域を固定のサイズとすれば、低解像度入力画像記憶部の蓄積部111b、114b、推定高解像度画像記憶部の蓄積部132、134、動き情報によって領域参照される差分画像記憶部17bは記憶する対象の各画像1枚の容量を必要とするが、低解像度画像記憶部15、差分高解像度画像記憶部20は領域単位で三次元超解像処理を進めることで1領域分の容量で実装してもよい。ただし、この画像処理装置と同一の構成で行う二次元超解像処理も領域単位で行うことになる。
この発明の実施の形態5に係る画像処理装置では、この発明の実施の形態3の図7のブロック構成に対して動き検出部(MV)31aを設ける例について説明したが、この発明の実施の形態4の図9のブロック構成に対しても同様に、動き検出部(MV)31aを設けた三次元超解像処理を説明できることはいうまでもない。
なお、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法を用いて、動き検出部(MV)31aを動作させずに処理すれば、この発明の実施の形態1ないし実施の形態4と同様に二次元超解像処理を行うことができることは明らかである。
このように、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2および実施の形態4と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した所望の二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2および実施の形態4と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態4と同様に、2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模をより小さくでき、低コスト化を図れる。
また、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2および実施の形態4と同様に、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、より効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理する際に2枚の低解像度入力画像の動き情報を検出して動き補償した差分高解像度画像を生成するので、高解像度画像生成部(加算部)で加算する推定高解像度画像と差分高解像度画像との領域対応が向上するので、より高精度な三次元超解像処理を実現できる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6では、この発明の実施の形態5と同様に、この発明の実施の形態2の画像処理装置のブロック構成を示す図7、またはこの発明の実施の形態4の画像処理装置のブロック構成を示す図9のように、三次元超解像処理を行う際に、低解像度入力画像記憶部に映像の連続する2枚の低解像度入力画像g(n)、g(n+1)を記憶し、その2枚の低解像度入力画像から動き検出して、動きのある領域を動き補償して参照した差分画像g”(n)から差分高解像度画像j(n)を生成して超解像処理を行う画像処理装置および画像処理方法について説明する。ただし、この発明の実施の形態6の画像処理装置および画像処理方法では、動き情報を検出して、動きがある領域にはこの発明の実施の形態5と同様の処理を行うが、動きがない領域にはこの発明の実施の形態5と異なる変換処理で低解像度入力画像を高解像度変換する。以下、この発明の実施の形態6における検出された動き情報の有無により適用する高解像度変換、低解像度変換を切り替える画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図13は、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である。図において、この発明の実施の形態5のブロック構成を示す図11と異なる部分は、動き情報を検出する動き検出部(MV)31aに代えて動き検出部(MV)31bを備えたことである。また、高解像度変換部12cは、動き情報に基づいて動きのある領域と動きのない領域で異なる高解像度変換(T−1)を適用する。差分画像記憶部17cは、動き情報に基づいて動きのない領域では領域内の差分を0とする。その他の処理ブロックは、この発明の実施の形態5に係る画像処理装置の一例を示すブロック構成図である図11に同一番号を付した処理ブロックと同様である。
動き検出部31bは、低解像度入力画像記憶部11cの蓄積部111b、114bに記憶された低解像度入力画像g(n)、g(n+1)を参照して領域単位に動き情報を検出(動き検出)する。検出した動き情報は、高解像度変換部12c、差分画像記憶部17cに通知する。
高解像度変換部12cは、動き検出部31bから通知された動き情報に基づいて、動きのない領域では高解像度変換(T−1)を逆投映法ではなく、より低い処理負荷でも実行できる一般的な画像拡大処理、例えば最近傍法、線形補間法、双三次補間等を適用し、また動きのある領域では高解像度変換部12aと同様に逆投映法による高解像度変換(T−1)を適用する。動きない領域の高解像度入力画像として得られた推定高解像度画像f(n)は、この画像拡大処理された時点で、三次元超解像画像として推定高解像度画像記憶部13bに記憶される。
差分画像記憶部17cは、動き検出部31bから通知された動き情報に基づいて、領域内の差分を0とし、動き検出部31aと同様に差分高解像度画像j(n)を生成する際の各領域に対応した差分画像g”(n)の参照領域を差分画像記憶部17bから出力させる。すなわち、動きのない領域に対しては、低解像度変換部14、低解像度画像記憶部15、減算器(差分画像生成部)16を経由せず、領域の変換、演算を伴わずに差分画像g”(n)=0とすることができる。ここで、動きのない領域の差分画像g”(n)を0にしておくのは、動き情報に基づいて差分高解像度画像j(n)を生成する際に参照される可能性があるためであるが、低解像度入力画像g(n)の三次元超解像処理を開始する際に差分画像g”(n)全体を予め0で初期化するのであれば、動きのない各領域の差分画像の記憶処理の段階になって差分画像g”(n)=0とする必要はない。
図14は、この発明の実施の形態6に係る画像処理方法における三次元超解像処理の一例を示すフローチャートである。図において、各処理ステップは、この発明の実施の形態5に係る画像処理方法のフローチャートでもある図1および図12に同一番号を付した処理ステップと同様である。
図1に示した画像処理方法のフローチャートは二次元超解像処理および三次元超解像処理の両方を図示したが、超解像モードの指定が二次元超解像モードか否かを判定するステップST207で分岐して、二次元超解像モードの二次元超解像処理および三次元超解像モードの三次元超解像処理のフローチャートをモードごとに示すこともできる。この図14に示した画像処理方法のフローチャートは、動き情報を検出し、動き補償を利用して超解像処理を行う三次元超解像モードの三次元超解像処理を図示したものである。図1に示した画像処理方法のフローチャートに対して、三次元超解像モードの三次元超解像処理には処理手順を変更しているが、二次元超解像モードの二次元超解像処理の処理手順は変更しないものとする。
ここで、三次元超解像処理として変更されたステップST401からステップ406の処理ステップ、およびステップST407からステップST410の処理ステップは、それぞれ領域単位で行われる。このとき、制御部は、これらの処理を領域ごとに行うように制御する。
ステップST401からステップ406に示される動き検出から差分画像g”(n)を生成するまでの処理ステップについて説明する。ステップST401では、図12のステップ3081と同様に、領域ごとに動き情報を検出する。ここで、検出する各動き情報は、低解像度入力画像g(n)の三次元超解像処理が終わるまで必要とする間保持しておく。
ステップST402では、ステップST401で検出した動き情報に基づいて動きの有無を判定し、動きがあったときステップST303に進ませ、動きがなかったときステップST403に進ませる。
処理する領域が動きのある領域とステップST402で判定されたとき、図1で説明したように、ステップST303で低解像度入力画像g(n)を逆投映法によって高解像度変換して高解像度入力画像を生成し、推定高解像度画像f(n)として記憶し、ステップST204で推定高解像度画像f(n)を低解像度変換して低解像度画像g’(n)を生成して記憶し、ステップST205で低解像度入力画像g(n)と低解像度画像g’(n)の差分をとって差分画像g”(n)を生成して記憶する。
また、処理する領域が動きのない領域とステップST402で判定されたとき、ステップST403で低解像度入力画像記憶部11c(蓄積部114b)に記憶された低解像度入力画像g(n+1)を高解像度変換部12cで一般的な画像拡大処理によって高解像度変換して高解像度入力画像を生成し、推定高解像度画像f(n+1)として推定高解像度画像記憶部13b(蓄積部134)に記憶する。
ステップST405では、差分画像g”(n)=0を生成して差分画像記憶部17bに記憶する。
ステップST406では、ステップST401からステップ405の処理を最終領域まで行ったか判定し、未処理の領域が残っていればステップST401に戻して繰り返し処理させ、最終領域まで終了していればステップST206へ進む。
次に、ステップST407からステップST410に示される差分高解像度画像j(n)の生成から推定高解像度画像f(n+1)を生成するまでの処理ステップについて説明する。
ステップST407では、ステップST401で検出して保持された動き情報に基づいて動きの有無を判定し、動きがあったときステップST408に進ませ、動きがなかったときステップST410に進ませる。
ステップST408では、ステップST401で検出して保持された動き情報に基づいて生成しようとする差分高解像度画像j(n)の領域に対応した差分画像g”(n)の参照領域を差分画像記憶部17cから出力させ、高解像度変換部19で高解像度変換して差分高解像度画像j(n)を差分高解像度画像記憶部20に記憶する。
ステップST409では、差分高解像度画像j(n)を推定高解像度画像f(n+1)に加算器(高解像度画像生成部)21で加えて高解像度画像f’(n+1)を生成し、推定高解像度画像f(n+1)として推定高解像度画像記憶部13aに再記憶して更新する。
ステップST410では、ステップST407からステップ409の処理を最終領域まで行ったか判定し、未処理の領域が残っていればステップST407に戻して繰り返し処理させ、最終領域まで終了していればステップST310へ進む。
なお、この発明の実施の形態6の画像処理装置として、この発明の実施の形態4の画像処理装置のブロック構成を示す図9の高解像度変換部12bに対して動き検出部31bを追加して適用する場合には、動き検出部31bが検出した動き情報を共用高解像度変換部122に通知し、低解像度入力画像g(n+1)を高解像度変換して高解像度入力画像を生成するときに、動き情報に基づいて、動きのある領域に逆投映法による高解像度変換を行い、動きのない領域に一般的な画像拡大処理による高解像度変換を行うように切り替えることで、動き情報の有無を利用した三次元超解像処理することができる。
このように、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2、実施の形態4および実施の形態5と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した所望の二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2、実施の形態4および実施の形態5と同様に、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態4および実施の形態5と同様に、2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模をより小さくでき、低コスト化を図れる。
また、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態2、実施の形態4および実施の形態5と同様に、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、より効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態5と同様に、三次元超解像処理する際に2枚の低解像度入力画像の動き情報を検出して動き補償した差分高解像度画像を生成するので、高解像度画像生成部(加算部)で加算する推定高解像度画像と差分高解像度画像との領域対応が向上するので、より高精度な三次元超解像処理を実現できる。
また、この発明の実施の形態6に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、検出した動き情報に基づいて、動きのある領域に逆投映法による高解像度変換を行い、動きのない領域に一般的な画像拡大処理による高解像度変換を行うように、領域ごとに切り替えるようにしたので、高解像度変換を行う演算負荷を軽減することができる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7では、この発明の実施の形態1ないし6の画像処理装置および画像処理方法において、デジタルスチルカメラなどの撮影機器の光学補正を解像度変換に適用した画像処理装置および画像処理方法について説明する。
図15は、この発明の実施の形態7に係る画像処理装置の画像入力系の光軸中心からの距離とMTF(Modulation Transfer Function:光学伝達関数)の関係を示す説明図である。デジタルカメラ等の光学系を持つ機器では、レンズ歪みのために画像の中心部より周辺部の解像度が低下する特性(光学特性)がある。すなわち、処理対象画素が光軸中心から離れるに従ってMTFが低下するという画像入力系のレンズの特性として表れる。
このようなレンズの特性(MTF特性)を補正するために、高解像度変換処理において、処理対象画素の光軸中心からの距離rに応じて変換定義(変換パラメータ)を調整する。この光軸中心からの距離rに応じて変換定義を補正する演算は、光軸中心からの距離rを考慮していない(式1)に対して次の(式8)のように表せる。ここで、αrは、図15のMTF特性に応じて、光軸中心からの距離rのときに図4の±3σの幅を修正するための係数(修正係数)である。
図16は、この発明の実施の形態7に係る画像処理装置の画像入力系の光軸中心からの距離と変換パラメータの修正係数の関係を示す説明図である。光軸中心付近に位置する処理対象画素ではMTFが1.0に近く、画像周辺部(光軸中心からの距離r)に位置する処理対象画素では距離rが大きくなるに伴いMTFが低下していくという図15のMTF特性があるので、修正係数αrを例えば次のように設定する。
処理対象画素が光軸中心付近に位置する場合は図15のMTFは1.0に近いため、通常の逆変換T−1に近い変換となる修正係数α0を選択する。一方で、処理対象画素が画像周辺部(光軸中心からの距離R)に位置し、より大きなぼけ改善効果を要する場合は、図15のMTF特性に基づく大きさで図4の±3σの幅を広げることで、逆変換T−1による補正度合いを大きくする修正係数αRを選択する。ここで、修正係数αrを光軸中心からの距離rの関数として定義してもよく、また、光軸中心からの代表的な距離rに対して修正係数αrを求めておき、実際の光軸中心からの距離rに近い2点の修正係数から補間、例えば線形補間して設定するようにしてもよい。
このようなMTF特性に応じて各処理対象画素が位置する光軸中心からの距離rに基づく修正係数αrで補正する高解像度変換(T−1)は、この発明の実施の形態1ないし6に係る画像処理装置および画像処理方法に適用することができることはいうまでもない。このとき、画像処理装置の制御部は、各処理対象画素が位置する光軸中心からの距離rを管理し、修正係数αrで補正した高解像度変換(T−1)に適用させる。
変換定義(変換パラメータ)については、例えば図1に示した画像処理方法のフローチャートにおけるステップST201の変換定義の初期化、ステップST211およびステップST311の変換定義の修正は、光軸中心の処理対象画素に対する高解像度変換(T−1)の変換定義(変換パラメータ)を対象とし、さらに実際に各処理対象画素を高解像度変換(T−1)をするステップST203およびステップST303で、この発明の実施の形態7で説明した光軸中心からの距離rに応じた修正係数αrを用いて補正した変換定義(変換パラメータ)を適用する。
また、この発明の実施の形態1ないし6に係る画像処理装置および画像処理方法で行う二次元超解像処理および三次元超解像処理では、例えば図1に示した画像処理方法のフローチャートにおけるステップST203およびステップST303で、低解像度入力画像g(n)を高解像度変換(T−1)して高解像度入力画像(推定高解像度画像f(n))を得るときにMTF特性に応じて各処理対象画素が位置する光軸中心からの距離rに基づく修正係数αrで補正するだけでなく、ステップST204で、推定高解像度画像f(n)を低解像度変換(T)して低解像度画像g’(n)を得るとき、およびステップST208およびステップST308で、差分画像g”(n)を高解像度変換(T−1)して差分高解像度画像j(n)を得るときにも同様に修正係数で補正する必要がある。この光軸中心からの距離rに基づく修正係数で変換定義を補正する演算は、光軸中心からの距離rを考慮していない(式2)、(式5)に対して次の(式9)、(式10)、のように表せる。ここで、αrは、(式8)に示した修正係数、βrは、高解像度変換(T−1)の修正係数αrに対する低解像度変換(T)のための修正係数である。
このようなMTFの特性に応じた修正係数を解像度変換に適用するように構成することで、複雑な群構成の光学系が搭載された撮影機器で撮影されるときに、映像のMTFの特性がズーム動作によってダイナミックに変動する場合に対しても、高解像度変換(T−1)、低解像度変換(T)を光軸中心から処理対象画素までの距離に応じて順次補正していくことで好適なMTF補正が実現可能になる。
このように、この発明の実施の形態7に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1ないし6に係る画像処理装置および画像処理方法で行う二次元超解像処理および三次元超解像処理に対して、MTFの特性に応じた修正係数で光学補正を適用した各実施の形態と同様の効果をそれぞれ得ることができる。
また、この発明の実施の形態7に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、この発明の実施の形態1ないし6に係る画像処理装置および画像処理方法で行う二次元超解像処理および三次元超解像処理の解像度変換に、MTFの特性に応じた修正係数で光学補正を適用することで、光軸中心から離れた処理対象画素でも劣化のない超解像画像を得ることができる。
以上のように、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、次のような効果が得られる。
この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理と三次元超解像処理を同一の構成で、二次元超解像処理または三次元超解像処理を実行するように制御することで、低解像度の入力画像を超解像処理した二次元超解像画像または三次元超解像画像を生成することができる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理と三次元超解像処理の回路を個別に設ける必要がないため、装置規模や回路規模の削減、低コスト化を図ることができる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、2つの高解像度変換部を共通化して1つの高解像度変換部に統合することで、装置規模、回路規模をより小さくでき、低コスト化を図れる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了した時点で、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、より効率的にパイプラインを構成して三次元超解像処理することができ、フレーム間処理のタイムラグを最小にすることが可能となり、動画処理時のフレームレートを維持できる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理を現低解像度入力画像の参照が終了する前に、次低解像度入力画像の処理を開始できるので、処理ブロックの使用が重ならないようにしさえすれば、より効率的にパイプラインを構成して並行して二次元超解像処理することができ、処理時間の短縮を図ることができる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、三次元超解像処理する際に2枚の低解像度入力画像の動き情報を検出して動き補償した差分高解像度画像を生成するので、高解像度画像生成部(加算部)で加算する推定高解像度画像と差分高解像度画像との領域対応が向上するので、より高精度な三次元超解像処理を実現できる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、検出した動き情報に基づいて、動きのある領域に逆投映法による高解像度変換を行い、動きのない領域に一般的な画像拡大処理による高解像度変換を行うように、領域ごとに切り替えるようにしたので、高解像度変換を行う演算負荷を軽減することができる。
また、この発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、二次元超解像処理および三次元超解像処理の解像度変換に、MTFの特性に応じた修正係数で光学補正を適用することで、光軸中心から離れた処理対象画素でも劣化のない超解像画像を得ることができる。