JP5375470B2 - デジタル加入者線用伝送装置及びatm帯域制御方法 - Google Patents

デジタル加入者線用伝送装置及びatm帯域制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、デジタル加入者線(DSL:Digital Subscriber Line)用伝送装置及びATM帯域制御方法に関する。本発明は、デジタル加入者線を使用したブロードバンド接続において、イーサフレームをATM(Asynchronous Transfer Mode)アダプテーションレイヤ5(以下、AAL5と称す。)により、ATMレイヤに適合させて伝送するデジタル加入者線用伝送装置及びATM帯域制御方法に適用することができる。
図5にデジタル加入者線(DSL)を使用したブロードバンド接続の構成例を示す。一般に、デジタル加入者線(DSL)を使用した典型的なブロードバンド接続では、ユーザのコンピュータ(PC)5−1と宅内DSLモデム(CPE:Customer Premise Equipment)5−2とがイーサネット(登録商標)で接続される。
宅内DSLモデム(CPE)5−2は、イーサフレームをAAL5処理によりATMレイヤに適合させ、デジタル加入者線(DSL)を介して、ATM信号を局舎内集線装置(DSLAM:DSL Access Multiplexer)5−3と送受する。
局舎内集線装置(DSLAM)5−3は、複数のデジタル加入者線(DSL)を収容して回線を多重化する。局舎内集線装置(DSLAM)5−3は、ブロードバンドアクセスサーバ(BAS)5−4と、イーサネット(登録商標)又はATM網により接続される。
ブロードバンドアクセスサーバ(BAS)5−4は、インタネットサービスプロバイダ(ISP)が管理する集線装置であり、局舎内集線装置(DSLAM)5−3間は、それぞれのネットワーク形態に応じてATM網(PPPoA)又はイーサネット(登録商標)(PPPoE)によりブロードバンドアクセスサーバ(BAS)5−4と接続される。
宅内DSLモデム(CPE)5−2とブロードバンドアクセスサーバ(BAS)5−4との間でPPP(Point-to-Point Protocol)認証処理が行われ、ユーザのコンピュータ(PC)5−1は、IP(Internet Protocol)によりインタネットサービスプロバイダ(ISP)を介してネットワーク5−5と接続され、通信サービスを受ける。
昨今、ネットワークのIP化が益々進んでいるが、伝送ネットワークがIPベースであったとしても、通信事業者の既存設備の規模等の理由から、宅内DSLモデム(CPE)5−2と局舎内集線装置(DSLAM)5−3との間のアクセス回線上は、ATMベースでイーサフレーム・IPデータを搬送するのが一般的である。本発明は、デジタル加入者線用伝送装置として使用される宅内DSLモデム(CPE)5−2又は局舎内集線装置(DSLAM)5−3に適用され、その間のATM伝送における帯域制御等に好適に適用することができる。
イーサフレームは、宅内DSLモデム(CPE)又は局舎内集線装置(DSLAM)においてAAL5によりATMセル化される。図6にAAL5によるユーザデータのATMセルへのマッピング例を示す。AAL5では、ユーザデータ(ユーザのコンピュータ等で送受されるデータフレーム、但し、厳密には完全なユーザデータではなく、PPPヘッダやLLC−SNAP(Logical link control - Sub Network Access Protocol)ヘッダ等が付加された通信対象データ)が、CPCS−PDU(Common Part Convergence Sub layer - Payload Data Unit)のデータユニットのペイロードにマッピングされる。
CPCS−PDUのデータユニットは、ペイロード部、パディング部及びトレーラ部を有する。CPCS−PDUのデータユニットは、ATMセルペイロードに格納される48バイトのSAR−PDU(Segmentation And Reassembly-PDU)に分割される。そのため、CPCS−PDUのデータユニットとデータ長が48バイトの整数倍になるように0〜47バイトのデータをパディング部に詰め込むパディング処理を行い、データ長が調整される。
CPCS−PDUのデータユニットを分割した48バイトのSAR−PDUは、ATMセルの48バイトのペイロードに格納される。ATMセルは、5バイトのATMセルヘッダが付加され、合計53バイトのATMセルとして送信される。
ATMセルが送信されるデジタル加入者線(DSL)毎の帯域制御は、通常、ATMレイヤ上で行われる。ATMレイヤのサービスクラス(Cos:Class of service)の帯域制御として、CBR(Constant Bit Rate:固定伝送速度)、VBR(Variable Bit Rate:可変伝送速度)、UBR(Un-specified Bit Rate:帯域非保証速度)、ABR(Available Bit Rate:利用可能帯域速度)、及びPCR(Peak Cell Rate:ピークセル速度)等があるが、ここでは説明を簡明化するため、PCRのみによる制御を行うCBR及びUBRについて考察する。
例えば、PCRを10,000セル/秒と設定した場合、そのピーク時のデータ速度は、4,240kbps(=53×10,000×8[bps])となり、該データ速度を超過するユーザデータは廃棄されることとなる。このときのATMペイロード(48バイト)つまりCPCS−PDUのデータユニットデータ速度は、3,840kbps(=48×10,000×8[bps])である。
IPパケットを始め、レイヤ3以上のデータトラヒックやATM/PPP/イーサフレーム/STM等のレイヤ2フレームを同一搬送波上に多重する技術等は、例えば下記の特許文献1等により知られている。また、ATMコネクションを用いて複数のLANの間を通信可能にするATM通信システムにおいて、ATM伝送交換装置としてIP網とATM網との関門に設置されるATMゲートウェイ装置は、例えば下記の特許文献2等により知られている。
特開2001−144778号公報 特開平11−331274号公報
デジタル加入者線(DSL)は、宅内DSLモデム(CPE)と局舎内集線装置(DSLAM)との間は、ユーザデータをAAL5により適合化したATMセルで伝送され、このデジタル加入者線(DSL)の帯域は、PCR等によりATMセル単位で帯域制御される。
しかし、ユーザデータの帯域保証は、AAL5によるCPCS−PDUのデータユニットでのパディングやトレーラ(8バイト固定)等、ATM伝送に際して付加される伝送オーバヘッドを含めたデータに対して帯域保証が行われ、純粋のユーザデータに対する厳密な帯域保証は行われていない。
ユーザは、約3,840kbpsのデータ速度(CPCS−PDUのデータ速度)を期待して、PCRの設定値を10,000セル/秒に設定するとする。このとき、ピーク時のCPCS−PDUのデータユニットのデータ速度は、3,840kbps(=48×10,000×8[bps])であるが、ユーザデータであるCPCS−PDUのデータユニットのペイロードのデータ速度は、該データユニットのパディング量及びSAR−PDUへの分割数(即ち、ATMセル分割数)に依存する。
以下にSAR−PDU分割数が5の場合を例に、パディング量が最小サイズの0バイトのケース1とパディング量が最大サイズの47バイトのケース2について、CPCS−PDUのデータユニットのペイロードのデータ速度の差について説明する。
<ケース1:SAR−PDU分割数5、パディング量0バイト>
CPCS−PDUデータユニットのペイロードが232バイトのフレームばかりのユーザデータがピーク設定値を超えて入力されたとする。この場合、CPCS−PDUデータユニットのパケット長は、232(CPCS−PDUペイロード)+0(パディング量)+8(CPCSトレーラ)=240=48×5[バイト]となり、分割数5、パディング無しで伝送される。
このとき、PCRは10,000セル/秒であるので、ピーク時のCPCS−PDUデータユニットの数は、10,000[セル/秒]/5[セル]=2,000[CPCS−PDU/秒]となり、ユーザデータであるCPCS−PDUデータユニットのペイロードのデータ速度は、以下のとおりとなる。
・232[バイト]×2,000[CPCS−PDUs/秒]×8[ビット]=3,712[kbps]
<ケース2:SAR−PDU分割数5、パディング量47バイト>
CPCS−PDUデータユニットのペイロードが185バイトのフレームばかりのユーザデータがピーク設定値を超えて入力されたとする。この場合、CPCS−PDUデータユニットのパケット長は、185(CPCS−PDUペイロード)+47(パディング量)+8(CPCSトレーラ)=240=48×5[バイト]となり、分割数5、パディング量47で伝送される。
ケース2ではケース1と同様に、PCRが10,000セル/秒のときのCPCS−PDUデータユニットの数は、2,000[CPCS−PDUs/秒]であるため、ユーザデータであるCPCS−PDUデータユニットのペイロードのデータ速度は、以下のとおりとなる。
・185[バイト]×2,000[CPCS−PDUs/秒]×8[ビット]=2,960[kbps]
つまり、ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)に注目すると、ケース2の場合はケース1と比較して、PCRとして10,000セル/秒で保証される帯域のうち、総パディング量である47[バイト]×2,000[CPCS−PDUs/秒]=94[kバイト](752kbpsに相当)の分だけ、無効なパディングに帯域が使用され、PCRで保証される全帯域が必ずしもユーザデータの伝送に保証されなくなる。
表1に上記のケース1及びケース2の例を含め、PCRが10,000セル/秒の場合の、ユーザデータ(CPCS−PDUデータユニットのペイロード)が184バイト、185バイト、208バイト、232バイト、233バイトの各ケースについて、それぞれのパディング長、SAR−PDU分割数(ATMセル分割数)、CPCS−PDUデータユニットのデータ速度、CPCS−PDUデータユニットのペイロードのデータ速度を示す。
Figure 0005375470
表1に示すように、同一のPCRであっても、そのパディング量及びSAR−PDUへの分割数(ATMセル分割数)によって、ユーザデータであるCPCS−PDUデータユニットのペイロードのデータ速度に差異が生じ、表1に掲げた例では、2,960kbps〜3,712kbpsの範囲に亘り、ペイロードのデータ速度に差異が生じる。
つまり、デジタル加入者線(DSL)の帯域制御は、ATMレイヤ上でPCRによって行われるため、ユーザデータであるCPCS−PDUデータユニットのペイロードのデータ速度に注目すると、ATMセル数が同数であったとしても、CPCS−PDUデータユニットにおける0〜47バイトのパディング量によって、ユーザデータのデータ速度に差異が生じてしまう。
本発明は、ユーザデータに対する帯域保証について、ATM伝送に際して付加される伝送オーバヘッドを可能な限り含まない通信対象データに対して所定の帯域を保証することができるよう、ATM帯域制御を改善することを目的とする。
上記課題を解決する一形態としてのデジタル加入者線用伝送装置は、通信対象データにパディング及びトレーラを付加したデータユニットをATMセル化したATMレイヤ信号を終端し、該ATMセルをイーサフレームに、又はイーサフレームを該ATMセルに適合させるATMアダプテーションレイヤ処理を行うデジタル加入者線用伝送装置において、前記通信対象データのフレームサイズを監視するATMアダプテーションレイヤ処理部と、所定の監視期間における前記フレームサイズの監視結果を基に、前記パディングの量を算出し、該パディングを除外したデータユニットのデータ速度が所定の速度となる最適ピークセルレートを算出する最適ピークセルレート計算部と、前記最適ピークセルレート計算部で算出された最適ピークセルレートに従って、ピークセルレートによるATMレイヤの帯域制御を行うATM帯域制御部と、を備えたものである。
CPCS−PDUのデータユニットのパディングによる伝送オーバヘッド量の差異によって、ユーザフレームの実質データ速度に差分が生じることなく、パディング量が多いユーザフレームに対しても、該パディング量に影響されない伝送帯域を保証することができる。
Ingress信号処理部を含む局舎内集線装置の構成例を示す図である。 Egress信号処理部を含む局舎内集線装置の構成例を示す図である。 最適PCRの更新のフローを示す図である。 局舎内集線装置(IP−DSLAM)の実施例を示す図である。 デジタル加入者線(DSL)を使用したブロードバンド接続の構成例を示す図である。 ユーザデータのATMセルへのマッピング例を示す図である。
図1及び図2にこのデジタル加入者線用伝送装置の一実施形態である局舎内集線装置(IP−DSLAM)の構成例を示す。図1は入口(Ingress)信号処理部を含む構成例を示し、図2は出口(Egress)信号処理部を含む構成例を示している。ここで、入口(Ingress)信号処理部は、宅内DSLモデム(CPE)から送信され、デジタル加入者線(DSL)を介して入力される上り方向のATMセルをイーサフレームに組み立て、ブロードバンドアクセスサーバ(BAS)へ送信する処理部であり、デジタル加入者線(DSL)毎に備えられる。
図2に示す出口(Egress)信号処理部は、ブロードバンドアクセスサーバ(BAS)から入力されるイーサフレームを分解してATMセルに組み立て、デジタル加入者線(DSL)を介して下り方向のATMセルを宅内DSLモデム(CPE)へ送信する処理部であり、デジタル加入者線(DSL)毎に備えられる。
図1及び図2に示すように、局舎内集線装置(IP−DSLAM)は、デジタル加入者線(DSL)とのインタフェース1−1,2−1、DSL処理部1−2,2−2、ATM帯域制御部1−3,2−3、AAL5処理部1−4,2−4、最適PCR計算部1−5,2−5、マルチプレクサ1−6,2−6、及びイーサネット(登録商標)回線とのインタフェース1−7,2−7を備える。
図1に示す入口(Ingress)信号処理部内のDSL処理部1−2は、上り方向のデジタル加入者線(DSL)信号を処理し、ATM帯域制御部1−3は、上り方向のATM帯域を制御する。AAL5処理部1−4はATMレイヤを終端し、ATMセルをイーサフレームに組み立て、マルチプレクサ1−6に該イーサフレームを送出する。
また、AAL5処理部1−4は、ユーザデータ(通信対象データ)のフレームサイズを監視し、ソフトウェア処理により、一定期間のユーザデータの平均フレームサイズを算出する。一般に、実際のネットワークで伝送されるユーザデータのフレームサイズは、インタフェース毎(デジタル加入者線毎)におおよそ定まったものとなる傾向がある。
フレームサイズから、CPCS−PDUのデータユニットのパディング量及びSAR−PDUへの分割数(ATMセル分割数)が決定される。従って、ユーザデータのフレームサイズ、CPCS−PDUのデータユニットのパディング量、SAR−PDUへの分割数(ATMセル分割数)の統計情報を基に、デジタル加入者線(DSL)毎に所定の監視期間Tにおける、(1)ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の平均フレームサイズ[バイト]、(2)平均秒間パディング量[バイト/秒]、(3)平均SAR−PDU分割数[セル]が求められる。ここで、平均秒間パディング量[バイト/秒]は、監視期間Tにおける1秒間の平均パディング量[バイト/秒]である。
最適PCR計算部1−5は、これら(1)〜(3)の情報からユーザデータのデータ速度を、ユーザが期待するデータ速度により近づける最適ピークセルレート(PCR)を算出する。そして、この算出した最適ピークセルレート(PCR)を、ATM帯域制御部1−3におけるピークセルレート(PCR)の設定値として動的に更新する。こうすることにより、パディング量の影響を受けないデータ速度を、各ユーザに対して保証することができる。また、入力される各ユーザデータのフレームサイズの傾向の変化に対応した最適のデータ速度を保証することができる。
上述の最適PCRの算出法の説明の前に、先ず、上記(1)、(2)及び(3)の値の算出法について説明する。SAR−PD分割数[セル]は、ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)のサイズ(バイト数)に、CPCSトレーラ[8バイト固定]を加算した値を、1セルのバイト数である48バイトで除算し、少数以下を切り上げた値となる。即ち、
・“SAR−PD”分割数[セル]=Roundup{(“CPCS−PDU”のペイロードバイト数+CPCSトレーラ[8バイト固定])÷48[バイト]}
CPCS−PDUのデータユニットのパディング量[バイト]は、上述のSAR−PD分割数[セル]に、1セルのバイト数である48バイトを乗算し、該乗算結果から、CPCS−PDUのペイロードのバイト数及びCPCSトレーラ[8バイト固定]を減算した値である。即ち、
・“CPCS−PDU”のパディング量[バイト]=“SAR−PDU”分割数×48[バイト]−“CPCS−PDU”のペイロードバイト数−CPCSトレーラ[8バイト固定]
このように、CPCS−PDUのデータユニットのペイロードサイズによって、SAR−PDU分割数及びCPCS−PDUのパディング量が決定される。表2にCPCS−PDUのペイロードサイズ[バイト数]、SAR−PD分割数[セル数]、及びCPCS−PDUのパディング量[バイト数]の数値例を示す。
Figure 0005375470
監視期間T当たりのこれらの平均量を演算した値が、上述の(1)ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の平均フレームサイズ[バイト]、(2)平均秒間パディング量[バイト/秒]、(3)平均SAR−PDU分割数[セル]である。
パディング量による伝送オーバヘッドの影響を受けない最適PCRは、以下の計算式によって算出される。
・最適PCR[セル/秒]=現行のPCR[セル/秒]+平均秒間パディング量[バイト/秒]÷平均フレームサイズ[バイト]×平均“SAR−PDU”分割数[セル]
最適PCR計算部1−5における最適PCRの算出は、ソフトウェアによって行う構成とすることができる。最適PCR計算部1−5で算出した最適PCRを、ATM帯域制御部1−3における上り方向のATMセルに対する帯域制御のためのPCRとして設定する。
図2に示す出口(Egress)信号処理部内のDSL処理部2−2は、下り方向のデジタル加入者線(DSL)信号を処理し、ATM帯域制御部2−3は、下り方向のATM帯域を制御する。AAL5処理部2−4は、マルチプレクサ2−6から入力されるイーサフレームを分解し、ATMセルに組み立てる。
また、AAL5処理部2−4は、入口(Ingress)信号処理部におけるAAL5処理部1−4と同様に、ユーザデータのフレームサイズを監視する。該フレームサイズからソフトウェア処理によりCPCS−PDUのデータユニットのパディング量及びSAR−PDUへの分割数が決定される。
最適PCR計算部2−5は、入口(Ingress)信号処理部における最適PCR計算部1−5と同様に、監視期間Tにおける(1)ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の平均フレームサイズ[バイト]、(2)平均秒間パディング量[バイト/秒]、(3)平均SAR−PDU分割数[セル]の情報から、ユーザデータのデータ速度を、ユーザが期待するデータ速度により近づける最適PCRを算出する。算出した最適PCRを、ATM帯域制御部2−3における下り方向のATMセルに対する帯域制御のためのPCRの設定値として更新する。
上述の最適PCRの更新のフローを図3に示す。最適PCRの更新は、まず、PCRの初期値を現行PCR値CurrPCRとして設定する(3−1)。次に、自動PCR更新設定がイネーブルとなっているか否かを判定する(3−2)。ディスイネーブルとなって入る場合は処理を終了する。イネーブルとなっている場合は、監視期間Tのタイマーをスタートさせる(3−3)。
次に、ユーザデータのフレーム長、CPCS−PDUのデータユニットのパディング量及びSAR−PDUへの分割数の統計情報を収集する(3−4)。次に、監視期間Tが経過したか否かを判定し(3−5)、経過していない場合は、フロー3−4による統計情報の収集を実施する。監視期間Tが経過した場合は、監視期間Tにおけるユーザデータの平均フレーム長(AvrLendth)、平均秒間パディング量(AvrPadding)及び平均SAR−PDU分割数(AvrSARPDUs)を算出する(3−6)。
上記の値を基に最適PCRの更新値(NewPCR)として、現行PCR値(CurrPCR)に、平均秒間パディング量(AvrPadding)を平均フレーム長(AvrLendth)で除算し、平均SAR−PDU分割数(AvrSARPDUs)を乗算した値を加算した値を設定する(3−7)。
最適PCRの更新値(NewPCR)を現行PCR値(CurrPCR)に設定する(3−8)。そして、自動PCR更新の設定がイネーブルとなっているか否かを判定する(3−9)。ディスイネーブルとなって入る場合は処理を終了する。イネーブルとなっている場合は、フロー3−3に戻って監視期間Tのタイマーをスタートさせ、同様の処理を繰り返す。
ここで、ユーザデータのフレームサイズに依存するパディング量に応じてPCRを更新し、ユーザが期待するデータ速度(伝送オーバヘッドを含まないデータの速度)を保証する動作を、具体例を挙げて説明する。
<例1>
ユーザは、前述のケース1と同様に約3,840kbpsのデータ速度(CPCS−PDUデータユニットのデータ速度)を期待して、PCRを10,000セル/秒に設定したとする。そして、前述の<ケース2:SAR−PDU分割数5、パディング量47バイト>と同様に、CPCS−PDUペイロードが185バイトのフレームばかりのユーザデータがピークを超えて入力されたとする。
すると、1つのCPCS−PDUのデータユニット当たりに47バイトのパディングが挿入され、CPCS−PDUのデータユニットは、5つのSAR−PDUに分割されてATMセルにより伝送される。そのため、CPCS−PDUペイロードのデータ速度は、10,000[セル/秒]÷5[セル]×185[バイト]×8[bits]=2,960[kbps]となる。
この場合、1秒間当たり、94,000[バイト/秒](=10,000[セル/秒]÷5[セル]×47[バイト])のパディングが、ユーザデータではない伝送オーバヘッドとして帯域を消費したこととなる。
この伝送オーバヘッド分を、PCRを増加させることによりユーザデータのデータ速度を補償する。この場合、94,000[バイト/秒]÷185[バイト]×5[セル]≒2,540[セル/秒]であるので、2,540[セル/秒]だけPCRを増加すればよい。従って、現行のPCR10,000に2,540を加えた12,540[セル/秒]を最適PCRとしてPCR値を更新する。
このとき、CPCS−PDUのデータユニットのペイロードのデータ速度は、185[バイト]×12,540[セル/秒]÷5[セル]×8[bits]=3,712[kbps]となり、PCRが10,000[セル/秒]でパディング量が0の場合のデータ速度とほぼ等しくすることができる。
表3に、ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)が184バイト、185バイト、208バイト、232バイト、233バイトの各ケースについて、最適PCRにより補償した後のユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)のペイロードのデータ速度算出値を示す。
Figure 0005375470
表1に示すパディングの補償を行っていない各ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の各データ速度が、3,680、2,960、3,328、3,712、3,107であるのに対し、表3に示すようにパディング補償の補償を行った各ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の各データ速度は、3,680、3,712、3,711、3,712、3,731に改善される。
<例2>
例1では、説明を簡潔にするために「一定サイズ(185バイト)のユーザデータばかりが入力される」という例であったが、実際には、入力されるユーザデータのサイズは多少の傾向は有るものの多岐に亘る。従って、ここでは幾つかの異なるサイズのユーザデータが或る割合でピークを超えて入力される例について説明する。
ユーザデータとして以下(i)〜(iii)の3種類のデータが入力されるものとする。
(i)CPCS−PDUデータユニットのペイロードのサイズが185バイト、パディング量が47バイト、SAR−PDU分割数が5
(ii)CPCS−PDUデータユニットのペイロードのサイズが425バイト、パディング量が47バイト、SAR−PDU分割数が10
(iii)CPCS−PDUデータユニットのペイロードのサイズが905バイト、パディング量が47バイト、SAR−PDU分割数が20
上記(i),(ii),(iii)のユーザデータは、10,000セル/秒のPCRの帯域を、それぞれ4,000セル/秒、3,000セル/秒、3,000セル/秒を消費する割合で入力されたとする。この場合、10,000セル/秒のPCRの帯域に制御されたCPCS−PDUペイロードのデータ速度は、表4に示すとおりとなる。
Figure 0005375470
表4に示すように、10,000セル/秒のPCRの帯域に制御された(i)〜(iii)のユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の補償無しの場合の各データ速度は、それぞれ、1,184kbps、1,020kbps、1,086kbpsで、全体で3,290kbpsとなる。
これに対して最適PCRを設定して補償を行った場合のデータ速度を表5に示す。
Figure 0005375470
表5に示すように、PCRの補償により、(i)のデータに対しては帯域が4,000セル/秒が5,010セル/秒に、(ii)のデータに対しては帯域が3,000セル/秒が3,330セル/秒に、(iii)のデータに対しては帯域が3,000セル/秒が3,150セル/秒に帯域が増加し、全体で帯域が11,490セル/秒に設定される。
そして、(i)〜(iii)の各ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の各データ速度は、それぞれ、1,483kbps、1,132kbps、1,140kbpsとなり、全体で3,755kbpsとなる。従って、ユーザが期待するデータ速度(3,840kbps)により接近させることができる。
一般にATMレベルでの帯域管理において、PCRはユーザからの接続要求があった場合に、ユーザが求める通信品質を満足する帯域が確保されるかどうかで受付の可否を判断し、帯域を管理するCAC(Connection Admission Control)により管理される。上述の伝送オーバヘッドの影響を受けないユーザデータ速度の補償は、動的にPCRを更新することにより行うため、PCRの自動更新が上述のCACの範囲で許容可能であることが、このデータ速度の補償の適用条件の1つとなる。
次にデータ速度補償を更に精度良く行う実施形態について説明する。前述のパディングによる伝送オーバヘッドの影響を受けない最適PCRの算出では、CPCS−PDUのデータユニット中の8バイトのCPCSトレーラの伝送オーバヘッドを、計算から除外していた。従って、この伝送オーバヘッド分も含めて最適PCRの算出を行うことにより、より精度の高いユーザデータのデータ速度を保証することが可能となる。
前述の最適PCRの算出では、(1)ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の平均フレームサイズ[バイト]、(2)平均秒間パディング量[バイト/秒]、(3)平均SAR−PDU分割数[セル]の3つのパラメータを用いて最適PCRを導出した。
ここで、上記(2)の平均秒間パディング量[バイト/秒]は、以下のように分解することができる。
・平均秒間パディング量[バイト/秒]=平均パディング量[バイト]×平均秒間“CPCS−PDU”数[フレーム/秒]
従って、収集・算出すべきパラメータとして、(1)’ユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)の平均フレームサイズ[バイト]、(2)’平均パディング量[バイト](1つのCPCS−PDUにおけるパディング量の平均サイズ)、(3)’平均秒間CPCS−PDU数[フレーム/秒](1秒間のCPCS−PDU数の平均)、(4)’平均SAR−PDU分割数[セル]の4つのパラメータとする。
これらのパラメータは、ユーザデータのフレームサイズ(CPCS−PDUのデータユニットのペイロードサイズ)とユーザデータのフレーム数(CPCS−PDUのデータユニット数)とによって、以下のように算出される。まず、CPCS−PDUのデータユニットペイロードサイズによって、以下のとおり、SAR−PDU分割数及びCPCS−PDUのデータユニットのパディング量が決定される。
・“SAR−PD”分割数[セル]=Roundup{(“CPCS−PDU”のペイロードバイト数+CPCSトレーラ[8バイト固定])÷48[バイト]}
・“CPCS−PDU”のパディング量[バイト]=“SAR−PDU”分割数×48[バイト]−“CPCS−PDU”のペイロードバイト数−CPCSトレーラ[8バイト固定]
上述の(1)’〜(4)’のパラメータは、CPCS−PDUのデータユニットのペイロードサイズ(統計収集)、CPCS−PDUのデータユニット数(統計収集)、CPCS−PDUパディング量(上記式により算出)、SAR−PDU分割数(上記式により算出)のそれぞれについて、監視期間Tにおける平均値の算定により取得される。
前述のCPCSトレーラの伝送オーバヘッド分を含めない前述の最適PCRの算出式は、以下のように変形される。
・最適PCR[セル/秒]=現行のPCR[セル/秒]+平均パディング量[バイト]×平均秒間“CPCS−PDU”数[フレーム/秒]÷平均フレームサイズ[バイト]×平均“SAR−PDU”分割数[セル]
これに対して、CPCSトレーラの伝送オーバヘッド分も含めて補償する最適PCRは、以下の算出式により算出される。
・最適PCR[セル/秒]=現行のPCR[セル/秒]+(平均パディング量[バイト]+CPCSトレーラ[8バイト固定])×平均秒間“CPCS−PDU”数[フレーム/秒]÷平均フレームサイズ[バイト]×平均“SAR−PDU”分割数[セル]
表6にCPCSトレーラを計算に含めて算出した最適PCRにより補償されるユーザデータ(CPCS−PDUペイロード)のデータ速度算出値の例を示す。
Figure 0005375470
表6に示す例は、表1及び表3のユーザデータと同様のケースについて示している。CPCSトレーラを含めずに算出した最適PCRによるデータ速度は、表3に示したとおり、おおよそ3,700kbpsまで保証可能であるのに対して、CPCSトレーラを含めて算出した最適PCRによるデータ速度は、表6に示すとおり、おおよそ3,840kbpsまで保証可能であり、ユーザが期待する3,840kbpsとほぼ等しい値となる。
以上のとおり、デジタル加入者線(DSL)毎に、伝送オーバヘッド含まないユーザデータでの帯域制御を高精度に行うことができる。また、ユーザデータのサイズの変化に対しても、所定の監視期間T毎に自動的に最適PCTを計算して更新するため、デジタル加入者線(DSL)を使用したブロードバンド接続において、高精度かつ信頼度の高い帯域制御が可能となる。また、通信事業者側の装置によって付加される伝送オーバヘッドのサイズに影響されないデータ速度(帯域)を、ユーザデータに対して保証することができ、ユーザに対する通信サービスの品質を向上させることができる。
上述の最適PCRの設定による伝送オーバヘッド分の伝送帯域を補償するデジタル加入者線用伝送装置の実施例を図4に示す。該実施例は、宅内DSLモデム(CPE)とデジタル加入者線(DSL)を介して接続され、ブロードバンドアクセスサーバ(BAS)とイーサネット(登録商標)回線を介して接続された局舎内集線装置(IP−DSLAM)の実施例を示している。
図4に示す局舎内集線装置(IP−DSLAM)は、複数のデジタル加入者線(DSL)を多重化し、AAL5によるATMレイヤの伝送を終端し、IPベースのルータ等の通信機器を介する通信に対して、高速・大容量のイーサネット(登録商標)・IP基幹回線(バックボーン)への橋渡しを行う。
局舎内集線装置(IP−DSLAM)は、より広義にはATMネットワーク(イーサフレーム・IPデータをATMベースで伝送するネットワーク)と、イーサネット(登録商標)・IPネットワーク(イーサフレーム・IPデータをそのまま伝送するネットワーク)との接続点のエッジ装置である。
図4において、スプリッタ4−1は、デジタル加入者線(DSL)の信号を、通信データ信号と音声通話信号とに分割し、通信データ信号をアナログフロントエンド部4−2に送出し、音声通話信号を音声処理系4−3に出力する。
アナログフロントエンド部4−2は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号をxDSLデジタルシグナルプロセッサ4−4に送出する。xDSLデジタルシグナルプロセッサ4−4は、デジタル加入者線信号を処理し、Utopia Level2バスを介して、ネットワークプロセッサ4−5にATM信号を送出する。
音声処理系4−3は、アナログ信号とデジタル信号との変換、及びデジタル信号とRTP(Real-time Transport Protocol)パケットとの変換を行い、HPI(Host Port Interface)バスを介して、ネットワークプロセッサ4−5に音声RTPパケットを送出する。
ネットワークプロセッサ4−5は、ATM帯域制御部4−51、AAL5処理部4−52、音声RTPパケット処理部4−53、マルチプレクサ4−54、及びイーサフレーム/IP部4−55を備える。ATM帯域制御部4−51は、デジタル加入者線(DSL)におけるATM信号の伝送帯域を制御する。AAL5処理部4−52は、ATMアダプテーションレイヤを終端し、通信データのフレームサイズを監視し、該フレームサイズの情報を中央処理装置(CPU)4−6に通知する。
中央処理装置(CPU)4−6は、AAL5処理部4−52から通知されるフレームサイズの情報から、監視期間Tにおける平均フレームサイズ[バイト]、平均秒間パディング量[バイト/秒]、平均SAR−PDU分割数[セル]を算出する。又は平均秒間パディング量[バイト/秒]の代わりに、平均パディング量[バイト]及び平均秒間CPCS−PDU数[フレーム/秒]を算出する。
中央処理装置(CPU)4−6は、これらの統計情報をメモリ4−7に保存し、また、これらの統計情報から最適PCR[セル/秒]を算出し、該最適PCR[セル/秒]をATM帯域制御部4−51に設定する。ATM帯域制御部4−51は、該最適PCR[セル/秒]に従って、デジタル加入者線(DSL)毎のATM帯域を制御する。
なお、図4の構成例について、デジタル加入者線(DSL)からイーサネット(登録商標)回線への上り方向の信号に対する動作を説明したが、逆方向のイーサネット(登録商標)回線からデジタル加入者線(DSL)への下り方向の信号に対する動作も、同様の手法により最適PCR[セル/秒]を算出し、最適PCR[セル/秒]をATM帯域制御部4−51に設定し、デジタル加入者線(DSL)毎のATM帯域を制御する。
図4の機能ブロック構成において、ネットワークプロセッサ4−5及びCPU4−6における処理は、ソフトウェア処理によって行う構成とすることができ、従来のハードウェア構成に対して、ソフトウェア処理により簡単に新機能の追加が可能である。
1−1 インタフェース
1−2 DSL処理部
1−3 ATM帯域制御部
1−4 AAL5処理部
1−5 最適PCR計算部
1−6 マルチプレクサ
1−7 インタフェース

Claims (6)

  1. 通信対象データにパディング及びトレーラを付加したデータユニットをATMセル化したATMレイヤ信号を終端し、該ATMセルをイーサフレームに、又はイーサフレームを該ATMセルに適合させるATMアダプテーションレイヤ処理を行うデジタル加入者線用伝送装置において、
    前記通信対象データのフレームサイズを監視するATMアダプテーションレイヤ処理部と、
    所定の監視期間における前記フレームサイズの監視結果を基に、前記パディングの量を算出し、該パディングを除外したデータユニットのデータ速度が所定の速度となる最適ピークセルレートを算出する最適ピークセルレート計算部と、
    前記最適ピークセルレート計算部で算出された最適ピークセルレートに従って、ピークセルレートによるATMレイヤの帯域制御を行うATM帯域制御部と、
    を備えたことを特徴とするデジタル加入者線用伝送装置。
  2. 前記最適ピークセルレート計算部は、前記パディング及び前記トレーラを除外したデータユニットのデータ速度が所定の速度となる最適ピークセルレートを算出することを特徴とする請求項1に記載のデジタル加入者線用伝送装置。
  3. 通信対象データにパディング及びトレーラを付加したデータユニットをATMセル化したATMレイヤ信号を処理し、該ATMセルをイーサフレームに、又はイーサフレームを該ATMセルに適合させるATMアダプテーションレイヤ処理を行う伝送装置のATM帯域制御方法において、
    前記ATMアダプテーションレイヤ処理の際に、前記通信対象データのフレームサイズを監視するステップと、
    所定の監視期間における前記フレームサイズの監視結果を基に、前記パディング処理によるパディング量を算出し、パディングを除外したデータユニットのデータ速度が所定の速度となる最適ピークセルレートを算出するステップと、
    前記最適ピークセルレートに従って、ピークセルレートによるATMレイヤの帯域制御を行うステップと、
    を含むことを特徴とするATM帯域制御方法。
  4. 前記最適ピークセルレートを算出する際に、前記パディング及び前記トレーラを除外したデータユニットのデータ速度が所定の速度となる最適ピークセルレートを算出することを特徴とする請求項3に記載のATM帯域制御方法。
  5. 前記最適ピークセルレートを算出するステップにおいて、前記通信対象データのフレームサイズから、所定の監視期間における平均フレームサイズ、平均秒間パディング量、及び平均ATMセル分割数を算定し、
    該平均秒間パディング量を該平均フレームサイズで除算し、該平均ATM分割数を乗算した値を、現行のピークセルレートに加算した値を、最適ピークセルレートとして算出することを特徴とする請求項3に記載のATM帯域制御方法。
  6. 前記最適ピークセルレートを算出するステップにおいて、前記通信対象データのフレームサイズから、所定の監視期間における平均フレームサイズ、前記データユニットの平均パディング量、平均秒間データユニット数、及び平均ATM分割数を算定し、
    該平均パディング量に該トレーラのサイズを加えた値に該平均秒間データユニット数を乗算し、該平均フレームサイズで除算し、平均ATM分割数を乗算した値に、現行のピークセルレートを加えた値を、最適ピークセルレートとして算出することを特徴とする請求項4に記載のATM帯域制御方法。
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