JP5345408B2 - カニューレ - Google Patents
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Description
この大動脈カニューレは、大人の場合には外径5mmから8mmのものが一般的に使用され、日本人の多くの症例では外径6mmから7mmのものが使用されている。
かかる構成を採用することにより血液を吐出孔から分散して吐出し、その結果として大動脈内に環流する血液流がジェット流となるのを抑制し、ひいては血管内に付着した血栓塊の剥離を抑制しようとするものである。
そこで、大動脈に血液を還流するにあたり、血栓塊の剥離及び血球の破壊が低減可能な大動脈カニューレの開発が望まれている。
請求項1に記載の発明は、一方端に血管に挿入されて前記血管内に流体を吐出する吐出部が形成されるとともに他方端に前記流体が導入される流体導入部が形成され、前記他方端から前記一方端に流通する流路を有するカニューレであって、前記吐出部は、前記流体を保持する流体通過部と、前記流体を吐出させる方向に伸びる吐出孔と、前記吐出孔から吐出した流体の通過経路の範囲を前記流体の進行にしたがって拡大するとともに、拡大された後に前記通過経路の範囲を前記流体の進行にしたがって縮小する流体経路制御手段と、を備え、前記流体経路制御手段は、前記流体通過部の外周に前記流体の吐出方向に伸びる流体制御壁部からなり、前記流体制御壁部は、前記流体制御壁部の長手方向に伸び外周側に突出し頂部側が縮小される第1のテーパが外周に形成されるとともに、前記流体制御壁部の長手方向途中から前記先端側に伸び内周側に突出し頂部側が縮小されかつ前記先端に向かうにしたがって突出量が漸次大きくなる第2のテーパが内周に形成されており、前記吐出孔は、隣接する前記流体制御壁部間に形成されることを特徴とする。
その結果、血管内に注入された流体が血管内壁に強くあたることが抑制される。
この明細書において、流体の通過する通過経路の範囲とは、吐出部から吐出された流体がジェット噴流として進行する3次元空間の範囲をいい、ここで範囲とはジェット噴流が通過する最も外郭を指している。なお、この範囲に、吐出された流体以外の低速、又は静止した流体が存在していてもかまわない。
この発明に係るカニューレによれば、簡単な構造によって吐出孔から吐出される流体の通過経路の範囲を一端拡大し後に縮小することができる。したがって、カニューレの吐出部として容易に用いることが可能である。
また、流体制御壁部が、7以下とされているので、吐出孔の面積が小さくなりすぎて吐出時の流速が高速となるのを抑制することができる。
また、かかる構成によれば、流体制御壁部に充分な強度を確保して吐出部が大きくなるのを抑制するうえでも好適である。
なお、流体制御壁部の数を4から6列に設定した場合、吐出時の流体速度の高速化の抑制、流体制御壁部の強度確保及び吐出部を小型化する上でさらに好適である。
その結果、カニューレから血管内に流体を注入した場合に、血管内壁に付着した血栓塊が剥離することが抑制される。
カニューレ10は、図1、図2に示すように、チューブ11と、先端チップ(吐出部)12とを備え、先端チップ12はチューブ11の一方端に接続されるとともに血管内に挿入可能とされ、先端チップ12に形成された吐出孔13から血液等の流体を血管内に吐出するようになっている。
また、チューブ11の他方端には流体導入部11Aが形成されていて、流体導入部11Aから導入された流体が先端チップ12に移送されるようになっている。
また、チューブ11は、例えば、屈曲し又は圧迫された場合でも流路を確保するためにチューブ周壁部には螺旋状に成形されたステンレス製(金属製)のコイル11Wが埋設されている。
また、先端チップ12の屈曲部分には、略球体の一部を用いることにより構成された係止凸部17が形成されている。
流体制御壁部14は、外周に第1のテーパ14Aが形成され、内周(流体通過路側)に第2のテーパ14Bが形成されている。
流体制御壁部14の先端側が漸次近づくことにより、流体通過部12A及び吐出孔13は先端側が縮小する構成とされている。
流体の通過経路の範囲が、一端拡大した後に縮小されるので高速の流体が血管内壁に衝突すること抑制される。
また、流体制御壁部が6列とされているので流体制御壁部14に充分な強度を確保して先端チップ12を小型化するうえで好適である。
また、カニューレ10によれば、例えば、球体の一部を用いた係止凸部17が形成されているので、血管の損傷を抑制しつつ先端チップ12が血管内に過剰に挿入されることが抑制される。
以上のように、カニューレ10によれば、血管に注入する血液の流速を低くして血管に付着した血栓塊の剥離を抑制してすることができる。
第2の実施形態に係るカニューレ20がカニューレ10と異なるのは、流体制御壁部24が流体の吐出方向に略直線状に4列伸び、先端チップ22の先端側から流体が吐出されるのを抑制するための遮断壁部25が先端チップ22の先端に形成されている点と、先端チップ22の基端側に、先端チップ22が血管に過剰に挿入されるのを抑制するための矩形のフランジ部27が配置されている点である。他の箇所は、カニューレ10と同様であるため、同じ符号を付し説明を省略する。また、フランジ部27には、対向する辺に互いに接近する方向に形成された切欠凹部28が形成されている。
図8は、カニューレ10の流体導入部11Aからチューブ内に導入した流体を先端チップ12の吐出孔13から吐出される状態をテストした結果を示した図である。
このテストでは、0.9wt%の食塩水を遠心ポンプを用いて4L/分の流量でカニューレ10の吐出口から噴射させた。
カニューレ10では、図8に示すように、先端チップ12から吐出された流体の通過する経路の範囲は、流体の進行にしたがって略円錐状に一端拡大し、その後流体の進行にしたがって円錐状に縮小する、略円弧回転体状となる。
従来のカニューレでは、図9に示すように、吐出された流体の通過する経路の範囲が流体の移動距離と略比例して略直線的に拡大する。そのため、血管の内壁に高速で衝突する可能性が高いことがわかる。
その結果、血管内壁に付着した血栓塊が剥離するのを低減することが期待される。
上記実施の形態においては、流体経路制御手段が、流体制御壁部14、24により構成される場合について説明したが、吐出された流体が通過する通過経路の範囲が吐出された流体が進行するにつれて、一端拡大され、その後縮小するように構成されていれば、他の流体経路制御手段により実現してもよい。
また、上記実施の形態においては、吐出された流体の通過する経路の範囲が円弧を回転させた円弧の略回転体状とされる場合について説明したが、流体が通過する経路の範囲が他の形状とされてもよい。
また、金属製コイルを埋設しない構成としてもよいことは当然である。
11 チューブ
11A 流体導入部
11W ステンレス製コイル(金属製コイル)
12、22 先端チップ(吐出部)
12A 流体通過部
13 吐出孔
14、24 流体制御壁部
14A 第1のテーパ
14B 第2のテーパ
17 係止凸部
25 遮断壁部
27 フランジ部
Claims (7)
- 一方端に血管に挿入されて前記血管内に流体を吐出する吐出部が形成されるとともに他方端に前記流体が導入される流体導入部が形成され、前記他方端から前記一方端に流通する流路を有するカニューレであって、
前記吐出部は、
前記流体を保持する流体通過部と、
前記流体を吐出させる方向に伸びる吐出孔と、
前記吐出孔から吐出した流体の通過経路の範囲を前記流体の進行にしたがって拡大するとともに、拡大された後に前記通過経路の範囲を前記流体の進行にしたがって縮小する流体経路制御手段と、を備え、
前記流体経路制御手段は、
前記流体通過部の外周に前記流体の吐出方向に伸びる流体制御壁部からなり、
前記流体制御壁部は、前記流体制御壁部の長手方向に伸び外周側に突出し頂部側が縮小される第1のテーパが外周に形成されるとともに、前記流体制御壁部の長手方向途中から前記先端側に伸び内周側に突出し頂部側が縮小されかつ前記先端に向かうにしたがって突出量が漸次大きくなる第2のテーパが内周に形成されており、
前記吐出孔は、隣接する前記流体制御壁部間に形成されることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1に記載のカニューレであって、
前記流体制御壁部が、2から7列に形成されていることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1又は請求項2に記載のカニューレであって、
前記流体制御壁部は、先端側が漸次近接するとともに先端において接続されていることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1又は請求項2に記載のカニューレであって、
前記流体制御壁部の先端に前記流体の流れを阻止する遮断壁部が形成されていることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のカニューレであって、
前記チューブの周壁部には、金属製のコイルが配置されていることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のカニューレであって、
前記吐出部の前記他方側に、前記チューブの外周に突出する係止凸部が形成されていることを特徴とするカニューレ。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のカニューレであって、
前記吐出部の前記他方側に、前記チューブの外周に形成されるフランジ部が配置されていることを特徴とするカニューレ。
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