JP5334773B6 - Trailに結合する受容体 - Google Patents

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TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)として知られているタンパク質は、リガンドの腫瘍壊死因子ファミリーの一員である(Wiley等、Immunity,3:673〜682,1995)。TRAILは、ウィルス感染細胞だけでなく多くの様々なタイプの癌細胞を含むある種の形質転換細胞のアポトーシスを誘導する能力を示した(PCT出願WO97/01633及びWiley等、同上)。
TRAILに結合する受容体タンパク質が同定されればTRAILの生物活性のさらなる研究に有益であろう。しかしながら、本発明以前にTRAILの受容体はひとつも報告されていなかった。
WO97/01633
Wiley等、Immunity,3:673〜682,1995
本発明は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)として知られているタンパク質と結合する、TRAIL受容体(TRAIL−R)と称される新規なタンパク質に指向されている。TRAIL−RをコードしているDNA及びそのようなDNAを含む発現ベクターが提供される。TRAIL−Rポリペプチドを産生する方法は、TRAIL−Rをコードしている組換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞をTRAIL−Rの発現を促進する条件で培養し、次いで発現されたTRAIL−Rポリペプチドをその培養物から回収することを含む。TRAIL−Rと免疫反応する抗体もまた提供される。
図1は、ヒトTRAIL受容体DNA断片のヌクレオチド配列とそれによってコードされるアミノ酸配列を示す。このDNA断片は実施例3に記載される。 図2は、実施例7に記載されるアッセイの結果を示す。このアッセイにおいて、可溶性のTRAIL−R/Fc融合タンパク質は、ジャーカット(Jurkat)細胞のTRAIL誘導性アポトーシスを阻止した。 図3は、実施例8に記載される実験の結果を示す。示された化合物はTRAIL受容体を発現している細胞のアポトーシスを阻害することが証明された。
TRAIL受容体(TRAIL−R)と称される新規なタンパク質が本明細書において提供される。TRAIL−Rは、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)と称されるサイトカインと結合する。以下に論じられるように、TRAIL−Rのある特定の使用はTRAILと結合するこの能力から生まれている。例えば、TRAIL−RはTRAILの生物活性を阻害すること又はアフィニティークロマトグラフィーによってTRAILを精製することに使用を見出す。
ヒトTRAIL受容体DNAのコード領域のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1として表示される。SEQ ID NO:1のDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示される。この配列情報が、TRAIL受容体タンパク質を、受容体の腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)ファミリーの一員として同定する(Smithら、Cell 76:959〜962,1994)。細胞外ドメインはシステイン過多の繰り返し部分を含むが、このモチーフがこのファミリーの他の受容体におけるリガンド結合にとって重要であることが報告されてきた。TRAIL−Rは細胞質領域にいわゆる「デスドメイン」を含むが、ある特定の他の受容体のこのようなドメインはアポトーシス信号の伝達に関連している。このタンパク質の上記及び他の特徴は以下でより詳細に論じる。
TRAIL−Rタンパク質又はその免疫原性断片はそれらと免疫反応する抗体を産生するための免疫原として利用され得る。本発明の1つの態様では、抗体はモノクローナル抗体である。
ヒトTRAIL−Rタンパク質は、実施例1に記載されるようにして精製された。実施例2には、TRAIL−Rの断片に由来するアミノ酸配列情報が示されている。本発明の1つの態様はTRAILに結合し得る精製されたヒトTRAIL−Rタンパク質に指向されていて、本明細書中でTRAIL−Rはアミノ酸配列VPANEGD(SEQ ID NO:2の327〜333位のアミノ酸)を含むものとして特徴づけられる。別の態様では、TRAIL−RはETLRQCFDDFADLVPFDSWEPLMRKLGLMDNEIKVAKAEAAGHRDTLXTML(SEQ ID NO:2の336〜386位のアミノ酸、1つの未知アミノ酸をXと表示)という配列を追加的に含む。また、これら特徴的なアミノ酸配列の唯一つを含むTRAIL−R断片も提供される。
TRAIL−R DNA断片のヌクレオチド配列、及びそれによってコードされるアミノ酸配列が図1に示されている(SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:4):実施例3を参照せよ。図1に示されるアミノ酸配列は、ある特定の他の受容体タンパク質の細胞質領域に見出される、いわゆる「デスドメイン」の特徴を有する。このようなドメインはアポトーシス信号の伝達に関連していると報告されてきた。細胞質のデスドメインは、Fas抗原(ItohとNagata、J.Biol.Chem.268:10932,1993)、TNF受容体タイプI(Tartaglia等、Cell 74:845,1993)、DR3(Chinnaiyan等、Science 274:990〜992,1996)及びCAR−1(Brojatsch等、Cell 87:845〜855,1996)のなかに同定されてきた。これらデスドメインの細胞内アポトーシス信号カスケードの開始における役割は以下でさらに論じる。
SEQ ID NO:1は、開始コドン(ATG)及び終止コドン(TAA)を含むヒトTRAIL受容体DNAのコード領域のヌクレオチド配列を示す。SEQ ID NO:1のDNAによってコードされるアミノ酸配列はSEQ ID NO:2に示される。図1に表示された断片は、SEQ ID NO:2の336〜386位のアミノ酸として示されるTRAIL−Rの領域に相当している。
SEQ ID NO:2のTRAIL−Rタンパク質は、シグナルペプチドとして機能するN末端の疎水性領域、続いて細胞外ドメイン、211〜231位のアミノ酸を含む膜貫通領域、及びC末端の細胞質ドメインを含む。コンピュータ分析は、シグナルペプチドがSEQ ID NO:2の残基1〜51に相当することを予測している。従って、シグナルペプチドが開裂すると、SEQ ID NO:2の52〜440位のアミノ酸を含む成熟タンパク質が産生される。SEQ ID NO:2の残基52〜440を含む成熟タンパク質の計算分子量は、約43キロドルトンである。コンピュータが予測する次に可能性のあるシグナルペプチダーゼ開裂部位は、SEQ ID NO:2の(下降順で)50位及び58位のアミノ酸の後である。
本発明の別の態様では、成熟TRAIL−Rタンパク質のN末端残基はSEQ ID NO:2の56位にあるイソロイシン残基である。TRAIL−Rのいくつかのトリプシン消化ペプチド断片の配列が、N末端配列決定法及びナノES MS/MS(ナノエレクトロスプレータンデム型質量分析法)の組み合わせによって決定された。このペプチド断片の1つのN末端アミノ酸は、SEQ ID NO:2の56位にあるイソロイシンであった。この断片がトリプシン開裂部位に先行されなかったので、この(Ile)56残基はシグナルペプチドの開裂から生じるN末端残基に相当する可能性がある。
本発明のさらなる態様は、N末端残基としてアミノ酸54を有する成熟TRAIL−Rに指向されている。TRAIL−Rの1つの調製物(CV−1/EBNA細胞で発現される可溶性TRAIL−R/Fc融合タンパク質)では、シグナルペプチドはSEQ ID NO:2の53位の残基の後で開裂された。
当業者は、特別に調製されたTRAIL−Rタンパク質の分子量が、グリコシル化の程度のような要因によって異なる場合があることを認めるであろう。特別に調製されるTRAIL−Rのグリコシル化様式は、例えばこのタンパク質が発現される細胞のタイプによって違うかもしれない。さらに、ある一定の調製物も様々にグリコシル化された多くの種類のタンパク質を含むかもしれない。関連する天然のグリコシル化様式を持つ又は持たないTRAIL−Rポリペプチドが本明細書中に提供される。大腸菌のような細菌の発現系におけるTRAIL−Rポリペプチドの発現は、非グリコシル化分子を提供する。
1つの態様では、このタンパク質は約50〜55キロダルトンの範囲内の分子量によって特徴づけられるが、これは天然の完全な長さのヒトTRAIL−Rの調製物のために決定された分子量である。分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって決定され得る。
実施例1はTRAIL−Rタンパク質を精製する1つの方法を示す。ジャーカット細胞を破壊し、その後の精製方法はアフィニティークロマトグラフィー(TRAILを含むクロマトグラフィーマトリクスを利用する)及び逆相HPLCを含む。
本発明のTRAIL−Rポリペプチドは、既知のタンパク質精製技術を用いた適切な他の方法によっても精製され得る。1つの別の手法では、クロマトグラフィーマトリクスは代わりにTRAIL−Rと結合する抗体を含む。TRAIL−Rを発現する他の細胞タイプ(例えば、実施例2に記載されるPS−1細胞)はジャーカット細胞の代わりになり得る。上記の細胞は、凍結融解サイクル法、音波処理、機械的破砕法又は細胞溶解剤の使用を含む多くの既存技術のいずれによっても破壊され得る。
所望される精製の程度はタンパク質の意図される使用次第である。比較的高純度が所望されるのは、例えば、タンパク質がインビボ投与される場合である。有利には、TRAIL−Rポリペプチドは他の(非TRAIL−R)タンパク質に相当するタンパク質のバンドがSDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)によって検出されないほどに精製される。当業者には、グリコシル化の違い、翻訳後のプロセシングの違い、といったもののために、SDS−PAGEによってTRAIL−Rタンパク質に相当する多重バンドが視覚化される場合があることが認識されるだろう。TRAIL−Rは、SDS−PAGEによる分析で単一のタンパク質バンドによって示されるように、最も好ましくは実質的に均質なものになるまで精製される。タンパク質バンドは銀染色、クマシーブルー染色又は(タンパク質が放射標識されていれば)オートラジオグラフィーによって視覚化される場合もある。
本発明は、天然に存在するもの又は組換えDNA技術が関わる方法のような様々な技術を介して産生されるものを含め、種々の形態のTRAIL−Rを包含する。このようなTRAIL−Rの形態には、TRAIL−Rの断片、誘導体、変異体及びオリゴマー、さらにTRAIL−R又はその断片を含む融合タンパク質があるが、それに限定されるものではない。
TRAIL−Rは、グリコシル基、脂質、リン酸、アセチル基といったような他の化学成分との共有又は凝集結合体を形成することによってその誘導体を創製するように修飾され得る。TRAIL−Rの共有的誘導体は、TRAIL−Rアミノ酸側鎖上の官能基に又はTRAIL−RポリペプチドのN末端又はC末端において化学成分を結合させることによって製造され得る。診断(検出)又は治療薬がTRAIL−Rについた結合体は、以下により詳しく論じるように、本明細書中で考慮される。
本発明の範囲内にある他のTRAIL−R誘導体は、N末端又はC末端の融合といった組換え培養における合成のような、他のタンパク質又はポリペプチドとTRAIL−Rポリペプチドの共有又は凝集結合体を含む。融合タンパク質の例はTRAIL−Rオリゴマーに関連して以下に論じる。さらに、TRAIL−R含有融合タンパク質はTRAIL−Rの精製及び同定を促進するために加えられたペプチドを含み得る。このようなペプチドは、例えば、ポリ−His又は米国特許第5,011,912号及びHopp等、Bio/Technology 6:1204,1988に記載された抗原同定ペプチドを含む。このようなペプチドの1つがAsp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−LysというFlag(登録商標)ペプチドであり、これは抗原性が高く、特異的なモノクローナル抗体と可逆的に結合したエピトープを提供し、発現される組換えタンパク質の迅速なアッセイと簡便な精製を可能にする。4E11と表記されるマウスのハイブリドーマは、本明細書中に援用する米国特許第5,011,912号に記載されるようなある種の2価金属カチオンの存在下でFlag(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生する。4E11ハイブリドーマ細胞株は、寄託番号HB9259の下でアメリカ・タイプカルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託されている。Flag(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体は、イーストマンコダック社、サイエンティフィックイメージングシステム部門、ニューヘーヴン、コネチカット、から入手し得る。
TRAIL−Rの細胞膜結合型及び可溶(分泌)型のいずれもが本明細書中に提供される。可溶性のTRAIL−Rは、TRAIL−Rポリペプチドを発現している生きた細胞を例えば遠心分離によって培養液から分離し、所望のタンパク質の存在に対して培養液(上澄液)をアッセイすることによって同定され得る(同時に、非可溶性の膜結合型から区別される)。培養液にTRAIL−Rが存在していることは、このタンパク質が細胞から分泌され、所望のタンパク質の可溶型となることを示している。
受容体タンパク質の可溶型は、通常そのタンパク質を細胞表面に保持させ得る膜貫通領域を欠いている。本発明の1つの態様では、可溶性のTRAIL−Rポリペプチドはこのタンパク質の細胞外ドメインを含む。可溶性のTRAIL−Rポリペプチドは、それが産生される細胞から分泌される限りは、細胞質ドメイン又はその一部分を含んでもよい。可溶性TRAIL−Rの1つの例は、SEQ ID NO:2の52〜210位のアミノ酸を含む可溶性のヒトTRAIL−Rである。他の可溶性TRAIL−Rポリペプチドは、限定しないが、SEQ ID NO:2のX〜210位のアミノ酸を含むポリペプチドを含み、ここでXは51〜59までの整数である。
TRAIL−Rの可溶型はこのタンパク質の膜結合型に比較していくつかの長所を有する。可溶性タンパク質は細胞から分泌されるので組換え宿主細胞からのタンパク質の精製が促進される。さらに、可溶性タンパク質は、一般に例えば静脈内投与のようなある種の応用により適している。
TRAIL−R断片が本明細書中に提供される。このような断片は多くの従来技術のいずれによっても調製され得る。所望のペプチド断片は化学的に合成してもよい。1つの別の手段は、酵素による消化、例えば特定のアミノ酸残基によって定義される部位でタンパク質を開裂させることが知られている酵素でタンパク質を処置することによってTRAIL−R断片を産生することを伴う。また別の適した技術は、所望のポリペプチド断片をコードしているDNA断片を単離してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅することに関わる。DNA断片の所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドがPCRにおける5’及び3’プライマーとして利用される。
断片の例は、SEQ ID NO:2の配列にある少なくとも20又は少なくとも30の連続したアミノ酸を含むものである。細胞質ドメイン由来の断片は、TRAIL−R介在性の信号伝達の研究、及び生物学的な信号の伝達に関連した細胞プロセスを調節することに使用を見出す。TRAIL−Rポリペプチドの断片はまた抗体産生における免疫原として利用され得る。特定の態様は、TRAILを結合する能力を保持しているTRAIL−Rのポリペプチド断片に指向されている。このような断片は上記に記載したような可溶性のTRAIL−Rポリペプチドでもよい。
SEQ ID NO:2のTRAIL−Rタンパク質の天然に存在する変異体が本明細書中に提供される。このような変異体は、例えば、選択的mRNAスプライシングから又はTRAIL−Rタンパク質のタンパク分解性の開裂から生じるタンパク質を含む。選択的mRNAスプライシングからは、例えばこのタンパク質の天然に存在する可溶型のような、短縮型の(truncated)生物活性のあるTRAIL−Rタンパク質を生じる場合がある。タンパク分解から生じる変異には、例えばTRAIL−Rタンパク質から1つ又はそれ以上の末端アミノ酸(通常は1〜5の末端アミノ酸)がタンパク分解によって除去されることによる、様々なタイプの宿主細胞における発現時のN又はC末端の差異がある。アミノ酸配列における差異が遺伝的多形型(タンパク質を産生する個体間の対立遺伝子変異)に起因するTRAIL−Rタンパク質も本明細書中に考慮される。
当業者はまた、シグナルペプチドの開裂部位が、コンピュータ・プログラムによって予測されるものとは異なる場合があること、及び組換えTRAIL−Rポリペプチドを発現させるのに利用される宿主細胞のタイプのような要因に応じて変わる場合があることを認めるであろう。あるタンパク質の調製物は、1つ以上の部位でシグナルペプチドが開裂されるので、種々のN末端アミノ酸を有するタンパク質分子の混合物を含む場合がある。すでに論じたように、本明細書中で提供される成熟TRAIL−Rタンパク質の特定の態様は、N末端アミノ酸としてSEQ ID NO:2の51、52、54、56又は59位の残基を有するタンパク質であるが、それに限定されるものではない。
TRAIL−Rの様々なドメインに関する論考について言えば、当業者はこのタンパク質のそのような領域の上記境界はおおまかであることを認めるだろう。例証すると、膜貫通領域の境界が(その目的のために供されるコンピュータ・プログラムを用いて予測し得るが)上記に記載したものと異なる場合がある。従って、細胞外ドメインのC末端が上記に同定された残基とは異なる可溶性のTRAIL−Rポリペプチドが本明細書中で考慮される。
他の天然に存在するTRAIL−R DNA及びポリペプチドには非ヒトの種に由来するものを含む。例えば、SEQ ID NO:2というヒトTRAIL−Rの、他の哺乳類種由来の相同体が本明細書中で考慮される。SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:1のヒトDNA配列に基づいたプローブは、慣用の交叉種ハイブリダイゼーション技術を用いて他の哺乳類種由来のcDNAライブラリーをスクリーニングするのに利用され得る。
TRAIL−R DNA配列は本明細書中で開示される天然の配列と異なっていてもよい。1つ以上のコドンが同一のアミノ酸をコードする既知の遺伝暗号の縮重性により、DNA配列がSEQ ID NO:1に示されたものとは異なってもSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有するTRAIL−Rタンパク質をコードすることが可能である。このような変異DNA配列は、サイレント突然変異(例えば、PCR増幅の間に起こる)から生じても、天然の配列に対する計画的な突然変異誘発の産物であってもよい。従って、本明細書中に提供されるDNA配列のなかには、天然のTRAIL−R配列(例えばSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を含むcDNA)及び天然のTRAIL−R DNA配列に対する遺伝暗号の結果として縮重しているDNAがある。
本明細書中に提供されるTRAIL−Rポリペプチドのなかには、天然のTRAIL−Rの生物活性を保持している天然のTRAILポリペプチドの変異体がある。このような変異体は、天然のTRAIL−Rと実質的に相同であっても、1つ又はそれ以上の欠損、挿入又は置換のために天然のTRAIL−Rとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特定の態様は、限定しないが、天然のTRAIL−R配列に比較して1〜10のアミノ酸残基が欠失、挿入又は置換しているTRAIL−Rポリペプチドを含む。本発明のTRAIL−RコードDNAは、1つ又はそれ以上の欠失、挿入又は置換のために天然のTRAIL−R DNAとは異なるが、生物活性のあるTRAIL−Rポリペプチドをコードする変異体を含む。TRAIL−Rの生物活性の1つはTRAILと結合する能力である。
SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3のDNAに中等度ストリンジェント又は高度ストリンジェント条件でハイブリダイズすることができ、生物学的に活性なTRAIL−Rをコードする核酸が本明細書中で提供される。このようなハイブリダイズする核酸は変異したDNA配列及び、例えば非ヒト哺乳類のような非ヒト種由来のDNAを含むが、それに限定されるものではない。
中等度ストリンジェント条件は、例えば、Sambrook等、「分子クローニング:実験マニュアル」第2版、1巻、1.101〜104頁、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、1989に記載される条件を含む。Sambrook等によって規定されたような中等度ストリンジェンシィ条件は、5XSSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液の使用及び約55℃、5XSSC、一晩中というハイブリダイゼーション条件を含む。高度ストリンジェント条件は、より高い温度でのハイブリダイゼーション及び洗浄操作を含む。本発明の1つの態様は、高度ストリンジェント条件でSEQ ID NO:1又は3のDNAにハイブリダイズするDNA配列に指向されているが、ここで前記条件は68℃でハイブリダイゼーションさせた後に63〜68℃において0.1XSSC/0.1%SDSで洗浄することを含む。
本明細書中で提供されるある種のDNA及びポリペプチドは、天然のTRAIL−R配列と少なくとも80%同一であるヌクレオチド又はアミノ酸をそれぞれ含む。また、TRAIL−R DNA又はポリペプチドが天然のTRAIL−R配列と少なくとも90%同一であるか、少なくとも95%同一であるか、又は少なくとも98%同一である配列を含む態様も考慮されている。この同一性比率は、例えば、Devereux等(Nucl.Acids Res.12:387,1984)によって記載され、ウィスコンシン大学遺伝学コンピュータグループ(UWGCG)より入手し得るGAPコンピュータ・プログラム、バージョン6.0を用いて配列情報を比較することによって決定され得る。GAPプログラムに対する好ましいデフォルトパラメータは、(1)ヌクレオチドに対する(同定記号の1値及び非同定記号の0値を含む)単一の比較マトリクス、及びSchwartzとDayhoff編、「タンパク質の配列・構造アトラス」、国立バイオ医学研究財団、353〜358頁、1979に記載されるような、GribskovとBurgess、Nucl.Acids Res.14:6745,1986の加重比較マトリクス、(2)各ギャップ(gap)に対する3.0のペナルティ(penalty)及び各ギャップの各記号に対する追加的な0.10のペナルティ、及び(3)エンドギャップに対するノー・ペナルティ、を含む。
本発明の特定の態様では、変異TRAIL−Rポリペプチドはアミノ酸配列において天然のTRAIL−Rと異なるが、生物活性においては天然のTRAIL−Rと実質的に同等である。1つの例は、天然のTRAIL−Rと実質的に同じ結合親和性をもってTRAILと結合する変異TRAIL−Rである。結合親和性は、例えば米国特許第5,512,457号に記載されるような慣用の方法によって測定され得る。
変異したアミノ酸配列は、天然TRAIL−Rの1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が別の残基に置換されているが、この保存的に置換されたTRAIL−Rポリペプチドが天然のタンパク質の有する所望の生物活性(例えばTRAILに結合する能力)を保持しているという保存的な置換を含みうる。ある既定のアミノ酸は同様の物理化学的特性を有する残基によって置換され得る。保存的な置換の例は、1つの脂溶性残基を例えばIle、Val、Leu又はAlaのような別の脂溶性残基とお互いに置換すること、又は、1つの極性残基を別の極性残基と、例えばLysとArg、GluとAsp、又はGlnとAsnの間でお互いに置換することを含む。他の保存的な置換、例えば同様の疎水特性を有する全体領域の置換に関わること、もよく知られている。
もうひとつの変異体の例においては、生物活性にとって必須ではないCys残基をコードする配列が、Cys残基が欠損又は他のアミノ酸で置換されるように変更され、再生時に不適正な分子内ジスルフィド結合の形成が阻止される。TNF−Rファミリーのある受容体は、その細胞外ドメインにシステイン過多の繰り返しモチーフを含む(Marsters等、J.Biol.Chem.267:5747〜5750,1992)。これらの繰り返し部分はリガンド結合にとって重要であると考えられている。例証すると、Marsters等、同上は、この繰り返し部分の1つを欠く可溶性TNF−R1型ポリペプチドのTNFα及びTNFβに対する結合親和性が10倍減少していること、また、さらに繰り返し部分を欠失させると、このリガンドの検出し得る結合性が完全に失われることを示した。SEQ ID NO:2のヒトTRAIL−Rは2つのそのようなシステイン過多の繰り返し部分を含むが、第一のものは残基94〜137を含み、第二のものは残基138〜178を含む。上記システイン過多ドメインの内部にあるシステイン残基は、TRAIL結合活性の保持が所望されるときは、TRAIL−R変異体において有利なことに変更されないままである。
他の変異体は、隣接した二塩基性アミノ酸残基の修飾によって製造され、KEX2プロテアーゼ活性が存在している酵母系での発現を増強することができる。EP212,914は、タンパク質のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性化する部位特異的突然変異誘発の使用を開示している。KEX2プロテアーゼプロセシング部位は、Arg−Arg、Arg−Lys及びLys−Argの対をこれら隣接塩基性残基の出現をなくすように変更する残基の欠失、付加又は置換によって不活性化される。成熟ヒトTRAIL−Rは、SEQ ID NO:2の72−73、154−155、322−323、323−324及び359−360位のアミノ酸においてそのような隣接した塩基性の残基対を含む。Lys−Lys対合はKEX2による開裂に対してほとんど非感受性なので、Arg−Lys又はLys−ArgをLys−Lysへ変換することはKEX2部位を不活性化するための保存的及び好ましいアプローチを代表している。
TRAIL−Rポリペプチドは、その変異体及び断片を含め、任意の適切なアッセイにおいて生物活性を試験され得る。TRAILに結合するTRAIL−Rポリペプチドの能力は慣用の結合アッセイで確かめられるが、その実施例は以下に記載される。
発現系
本発明はまた、TRAIL−R DNAを含む組換えクローニング及び発現ベクター、並びに組換えベクターを含む宿主細胞を提供する。TRAIL−R DNAを含む発現ベクターは、そのDNAによってコードされるTRAIL−Rポリペプチドを製造するために使用され得る。TRAIL−Rポリペプチドの産生法は、TRAIL−Rをコードする組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞をTRAIL−Rの発現を促進させる条件下で培養し、次いで発現したTRAIL−Rポリペプチドをこの培養物から回収することを含む。当業者は、用いられる宿主のタイプ、並びにTRAIL−Rが膜結合型かそれとも宿主細胞から分泌される可溶型か、というような要因に応じて発現されたTRAIL−Rの精製法が変わることを認めるであろう。
任意の適切な発現系が利用され得る。ベクターは、哺乳類、微生物、ウィルス又は昆虫の遺伝子に由来するような適切な転写又は翻訳の調節ヌクレオチド配列と機能可能に結合したTRAIL−RポリペプチドをコードするDNAを含む。調節配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、又はエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、及び転写及び翻訳の開始及び終止を制御する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列がTRAIL−R DNA配列に機能的に関連しているとき、機能可能に結合している。従って、プロモーターのヌクレオチド配列がTRAIL−R DNA配列の転写を制御するならば、プロモーターのヌクレオチド配列は、TRAIL−R DNA配列と機能可能に結合している。所望される宿主細胞における複製能力を与える複製起点、及び形質変換体を同定する選択遺伝子が発現ベクターに一般に導入される。
さらに、(天然又は異種の)適当なシグナルペプチドのコード配列が発現ベクターに導入され得る。シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列は、TRAIL−Rがシグナルペプチドを含む融合タンパク質として最初に翻訳されるようにTRAIL−R配列と読み枠内で融合され得る。所望の宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドは、TRAIL−Rポリペプチドの細胞外分泌を促進する。このシグナルペプチドは、TRAIL−Rが細胞から分泌されるときTRAIL−Rポリペプチドから開裂される。
TRAIL−Rポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、原核生物、酵母又はより高等な真核生物の細胞がある。哺乳類又は昆虫の細胞が一般に宿主細胞としての使用に好ましい。細菌、真菌、酵母、及び哺乳類細胞の宿主とともに使用するのに適切なクローニング及び発現ベクターが、例えばPouwels等、「クローニングベクター:実験マニュアル」、エルシーバー、ニューヨーク(1985)に記載されている。本明細書中に開示されるDNA構築体に由来するRNAを用いてTRAIL−Rポリペプチドを産生するために、無細胞翻訳系も利用され得る。
原核生物はグラム陰性又はグラム陽性菌を含み、例えば、大腸菌やバシラスである。形質転換に適した原核生物の宿主細胞は、例えば、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌、並びにシュードモナス、ストレプトマイセス、スタフィロコッカス属に含まれる様々な他の種を含む。大腸菌のような原核宿主細胞では、TRAIL−Rポリペプチドは、原核宿主細胞における組換えポリペプチドの発現を促進するためのN末端メチオニン残基を含みうる。このN末端Metは発現された組換えTRAIL−Rポリペプチドから開裂され得る。
原核宿主細胞に用いられる発現ベクターは、通常1つ又はそれ以上の表現型によって選択し得るマーカー遺伝子を含む。表現型選択マーカー遺伝子とは、例えば、抗菌耐性を与える又は自己栄養要求性をもたらすタンパク質のコード遺伝子である。原核宿主細胞にとって有用な発現ベクターの例は、クローニングベクターpBR322(ATCC 37017)のような市販されているプラスミドに由来するものを含む。pBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を含むので、形質転換された細胞を同定する簡便な方法を提供する。適切なプロモーター及びTRAIL−R DNA配列がpBR322ベクターに挿入される。他の市販ベクターには、例えばpKK223−3(ファルマシアファインケミカルズ、ウプサラ、スウェーデン)及びpGEM1(プロメガバイオテク、マジソン、WI、アメリカ)がある。
組換え原核宿主細胞の発現ベクターとして一般的に使用されているプロモーター配列は、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang等、Nature 275:615,1978及びGoeddel等、Nature 281:544,1979)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel等、Nucl.Acids Res.8:4057,1980;及びEP−A−36776)及びtacプロモーター(Maniatis、「分子クローニング:実験マニュアル」コールドスプリングハーバーラボラトリー、412頁,1982)を含む。特に有用な原核宿主発現系は、λファージPプロモーター及びcI857ts易熱性リプレッサー配列を利用する。アメリカ・タイプカルチャー・コレクションから入手し得る、λPプロモーターの誘導体を取り込むプラスミドベクターには、プラスミドpHUB2(大腸菌株JMB9,ATCC 37092に存在)及びpPLc28(大腸菌PR1,ATCC 53082に存在)がある。
TRAIL−Rは、あるいは酵母の宿主細胞、好ましくはサッカロマイセス属(例えば、S.セレビシエ)で発現されてもよい。ピキア(Pichia)又はクリベロミセスのような酵母の他の属も利用され得る。酵母ベクターは、2μ酵母プラスミド由来の複製起点配列、自動複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化配列、転写終止配列及び選択マーカー遺伝子をしばしば含む。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、特に、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman等、J.Biol.Chem.255:2073,1980)、あるいはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホ−グルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼのような他の解糖系酵素(Hess等、J.Adv.Enzyme Reg.7:149,1968;及びHolland等、Biochem.17:4900,1978)に対するプロモーターが含まれる。酵母での発現に使用される他の適切なベクター及びプロモーターは、Hitzeman,EPA−73,657にさらに記載されている。もうひとつの別の手段は、Russel等(J.Biol.Chem.258:2674,1982)及びBeier等(Nature 300:724,1982)によって記載されたグルコースで抑制性のADH2プロモーターである。酵母と大腸菌のいずれでも複製されるシャトルベクターは、大腸菌における選択及び複製用(Amp遺伝子及び複製起点)のpBR322由来のDNA配列を上記酵母ベクターに挿入することによって構築され得る。
酵母のα因子リーダー配列がTRAILポリペプチドの分泌を指示するために利用されうる。このα因子リーダー配列はしばしばプロモーター配列と構造遺伝子配列の間に挿入される。例えば、Kurjan等、Cell 30:933,1982及びBitter等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:5330,1984を参照せよ。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌を促進するのに適した他のリーダー配列も当業者に知られている。リーダー配列は1つないしそれ以上の制限部位を含むようにその3’末端の近傍で修飾され得る。これによってリーダー配列の構造遺伝子への融合が促進される。
酵母の形質転換プロトコールは当業者に知られている。そのようなプロトコールがHinnen等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929,1978によって記載されている。このHinnen等のプロトコールは選択培地においてTrp形質転換体を選択するが、ここで選択培地は、0.67%酵母窒素塩基、0.5%カサミノ(casamino)酸、2%グルコース、10μg/mLアデニン及び20μg/mLウラシルを含む。
ADH2プロモーター配列を含むベクターによって形質転換された酵母宿主細胞は「富(リッチ)」培地における発現誘導のために生育され得る。富培地の1例は、1%酵母抽出物、2%ペプトン及び80μg/mLアデニンと80μg/mLウラシルを添加した1%グルコースを含むものである。グルコースが培地から消費されるとADH2プロモーターの脱抑制が起こる。
哺乳類又は昆虫の宿主培養系も組換えTRAIL−Rポリペプチドを発現させるために利用され得る。昆虫細胞における異種タンパク質の産生用のバキュロウィルス株がLuckowとSummers、Bio/Technology 6:47(1988)によって概説されている。哺乳類起源の確立された細胞系もまた利用され得る。適切な哺乳類宿主細胞系の例は、サルの腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman等、Cell 23:175,1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒーラ細胞及びBHK(ATCC CRL 10)細胞系、及びMcMahan等(EMBO J.10:2821,1991)によって記載されたアフリカミドリザルの腎臓細胞株、CV1(ATCC CCL 70)に由来するCV1/EBNA細胞株を含む。
哺乳類宿主細胞の発現ベクターに対する転写及び翻訳の制御配列がウィルスゲノムから摘出され得る。一般的に用いられるプロモーター配列及びエンハンサー配列はポリオーマ・ウィルス、アデノウィルス2、シミアン・ウィルス40(SV40)及びヒトサイトメガロウィルスに由来する。例えば、SV40ウィルスゲノム由来のDNA配列、SV40複製起点、初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプライス及びポリアデニル化部位は、哺乳類宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝子要素を提供するのに使用され得る。ウィルスの初期及び後期プロモーターが特に有用なのは、ウィルスの複製開始部位をも含み得る断片としていずれもウィルスゲノムから容易に入手されるからである(Fiers等、Nature 273:113,1978)。SV40ウィルスの複製起点に位置するHindIII部位からBglI部位に向かって広がる約250bpの配列が含まれる限り、より短い又はより長いSV40断片も使用され得る。
哺乳類宿主細胞に用いられる発現ベクターはOkayamaとBerg(Mol.Cell.Biol.3:280,1983)によって開示されたようにして構築され得る。C127マウス乳房上皮細胞において哺乳類のcDNAを安定な高レベルで発現させるための有用な系は、実質的にCosman等(Mol.Immunol.23:935,1986)によって記載された方法によって構築され得る。Cosman等、Nature 312:768,1984に記載された高発現ベクター、PMLSV N1/N4は、ATCC 39890として寄託されている。さらなる哺乳類発現ベクターはEP−A−0367566及びWO91/18982に記載されている。1つの別の手段として、ベクターはレトロウィルスに由来してもよい。完全な長さのTRAIL−Rが過剰に発現すると、形質転換されたCV−1/EBNA細胞に膜泡状化(blebbing)と核濃縮を生じたが、このことは細胞死の機構がアポトーシスであることを示している。このようなTRAIL−R介在性のアポトーシスが起こる宿主細胞に対しては適切なアポトーシス阻害剤を発現系に含める場合がある。
組換えTRAIL−Rを発現している宿主細胞のTRAIL−R誘導性アポトーシスを阻害するために、この細胞はアポトーシス阻害剤として機能するポリペプチドをコードする発現ベクターとともに同時形質転換してもよい。このようなポリペプチドをコードする発現ベクターは従来の方法によって製造され得る。もうひとつのアプローチは培養液にアポトーシス阻害剤を添加することを含む。ポックスウィルスCrmA、バキュロウィルスP35、FADDのC末端断片及びトリペプチド誘導体zVAD−fmkを使用して宿主細胞の死を減少させることが、実施例6及び8に示されている。
zVAD−fmk(ベンジルオキシカルボニル−Val−Ala−Asp−フルオロメチルケトン)は、エンザイムシステムプロダクツ、ダブリン、カリフォルニアから供されるトリペプチドベースの化合物である。実施例8に示されるように、zVAD−fmkはTRAIL−Rを発現する細胞が培養される培地へ添加してもよい。
後にCrmAと称された38キロダルトンの牛痘由来のタンパク質が、Pickup等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7698〜7702,1986;本明細書中に援用する)に記載されている。CrmAの配列情報は、Pickup等、同上の図4に示されている。CrmAタンパク質を産生し精製する1つのアプローチがRay等(Cell,69:597〜604,1992;本明細書中に援用する)に記載されている。
バキュロウィルスである核多面体病ウィルスAutographa californicaによってコードされる35キロダルトンのタンパク質がFriesenとMiller(J.Virol.61:2264〜2272,1987;本明細書中に援用する)に記載されている。ここでバキュロウィルスp35と表記されるこのタンパク質の配列情報が、FriesenとMiller、同上の図5に示されている。
デスドメイン含有の細胞質タンパク質、FADD(MORT1としても知られる)は、Boldin等(J.Biol.Chem.270:7795〜7798,1995;本明細書中に援用する)に記載されている。FADDは、アポトーシスに介在するある種の受容体の細胞質のデスドメインと直接的又は間接的に結合していると報告されている(Boldin等、Cell 85:803〜815,1996年6月号;Hsu等、Cell 84:299〜308,1996年1月号)。
本発明の1つの態様では、(タンパク質のC末端部分に位置する)デスドメインを含むがアポトーシス・エフェクター機能の起因されているN末端領域を欠いている、短縮型FADDポリペプチドがアポトーシスを減少させるために利用されている。N末端で短縮された、ある特定のFADD欠失突然変異体のポリペプチドを用いて、他のアポトーシス誘導受容体を発現している細胞の死を阻害することが、Hsu等(Cell 84:299〜308,1996年1月号;本明細書中に援用する)に記載されている。
このアプローチは実施例8に明示されているが、これは、Boldin等(J.Biol.Chem.270:7795〜7798,1995)に示されたMORT1のアミノ酸配列における117〜245位のアミノ酸に相当するアミノ酸配列を有する、1つの適切なFADD優性ネガティブ(FADD−DN)ポリペプチドを利用するものである。実施例8では、細胞は、TRAIL−Rをコードしている発現ベクター及び、FADD−DNポリペプチドのN末端に融合した上記Flag(登録商標)ペプチドをコードする発現ベクターで同時形質転換された。
理論に縛られることを望むわけではないが、1つの可能な解釈は、FADDのC末端断片は受容体の細胞内デスドメインと結合するがアポトーシスを起こすのに必要なタンパク質のN末端部分を欠いている、ということである(Hsu等、Cell 84:299〜308,1996年1月号;Boldin等、Cell 85:803〜815,1996年6月号)。短縮型FADDは、内因性の完全な長さのFADDが受容体のデスドメインと結合することを阻止する可能性がある;従って、このような内因性FADDによって開始されるはずのアポトーシスが阻害されるのである。
本発明の発現系に有用な他のアポトーシス阻害剤は慣用のアッセイ法で同定され得る。TRAIL−R発現細胞のアポトーシスを減少させる能力に対して化合物を試験するこのようなアッセイが実施例8に記載されている。
ポックスウィルスCrmA、バキュロウィルスP35及びzVAD−fmkは、ウィルスのカスパーゼ阻害剤である。他のカスパーゼ阻害剤はTRAIL−R介在性の細胞死を減少させる能力に対して試験され得る。
CrmA、バキュロウィルスp35及びある特定のペプチド誘導体(zVAD−fmkを含む)を特定の細胞/系においてアポトーシス阻害剤として使用することがSarin等(J.Exp.Med.184:2445〜2450,1996年12月号;本明細書中に援用する)に論じられている。プログラム化された細胞死につながるシグナル伝達カスケードにおけるインターロイキン−1β変換酵素(ICE)ファミリープロテアーゼの役割、及びこのようなプロテアーゼの阻害剤をアポトーシスの阻止に使用することがSarin等、同上及びMuzio等(Cell 85:817〜827,1996)に論じられている。
一般に、細胞質ドメインを欠いている(つまり、シグナル伝達に関わるタンパク質領域を欠いている)TRAIL−Rポリペプチドの発現に対してアポトーシス阻害剤を利用する必要はない。従って、細胞外ドメイン(又はその断片)だけを含む可溶性のTRAIL−Rポリペプチドを産生する発現系は、上記アポトーシス阻害剤の1つを含む必要はない。
TRAIL−Rを産生するのに利用され得るシグナルペプチドに関し、所望ならば、TRAIL−Rの天然のシグナルペプチドを異種のシグナルペプチド又はリーダー配列で置換してもよい。シグナルペプチド又はリーダーの選択は組換えTRAIL−Rが産生される宿主細胞のタイプのような要因に依存しうる。例証すると、哺乳類の宿主細胞において機能的である異種シグナルペプチドの例は、米国特許第4,965,195号に記載されたインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列、Cosman等、Nature 312:768(1984)に記載されたインターロイキン−2受容体のシグナル配列;EP367,566に記載されたインターロイキン−4受容体のシグナルペプチド; 米国特許第4,968,607号に記載されたI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;及びEP460,846に記載されたII型インターロイキン−1受容体のシグナルペプチド、を含む。
TRAIL−Rのオリゴマー型
本発明はTRAIL−Rポリペプチド(複数)を含むオリゴマーも包含する。TRAIL−Rオリゴマーは、共有結合又は非共有結合したダイマー、トリマー又はより高次のオリゴマーの形態で存在し得る。
本発明の1つの態様は、TRAIL−Rポリペプチドに融合したペプチド成分間の共有的または非共有的な相互作用を介して結合した多くのTRAIL−Rポリペプチドを含むオリゴマーに指向されている。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)又は、オリゴマー化を促進する性質を有するペプチドであり得る。ロイシンジッパー及び抗体由来のある特定のポリペプチドは、以下により詳しく記載するように、TRAIL−Rポリペプチドに付着してそのオリゴマー化を促進し得るペプチドのひとつである。
特定の態様では、オリゴマーは2〜4のTRAIL−Rポリペプチドから成る。オリゴマーのTRAIL−R成分は、すでに記載したように、可溶性のポリペプチドでもよい。
1つの別の方法として、TRAIL−Rオリゴマーは免疫グロブリンに由来するポリペプチドを用いて調製される。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合したある種の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi等(PNAS USA 88:10535,1991);Byrn等(Nature 344:677,1990)及び、HollenbaughとAruffo(「免疫グロブリン融合タンパク質の構築」、免疫学の最新プロトコール、補巻4、10.19.1〜10.19.11頁,1992)に記載されている。
本発明の1つの態様は、抗体Fc領域にTRAIL−Rを融合させることによって作成された2つの融合タンパク質を含むTRAIL−Rダイマーに指向されている。TRAIL−R/Fc融合タンパク質をコードする融合遺伝子が適切な発現ベクターに挿入される。TRAIL−R/Fc融合タンパク質は、組換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞において発現され、抗体分子とほぼ同様にして会合されるが、このとき鎖間ジスルフィド結合がFc成分間に形成され、2価のTRAIL−Rを産生する。
本明細書中に提供されるのは、抗体由来のFcポリペプチドに融合したTRAIL−Rポリペプチドを含む融合タンパク質である。Fc成分間のジスルフィド結合を介して結合した2つの融合タンパク質を含むダイマーだけでなく、そのような融合タンパク質をコードするDNAもまた提供される。本明細書中に使用される「Fcポリペプチド」という用語は、抗体Fc領域に由来するポリペプチドの天然及び変異型を含む。ダイマー化を促進するヒンジ部を含むこのようなポリペプチドの短縮型もまた含まれる。
PCT出願WO93/10151(本明細書中に援用する)に記載された1つの適切なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ部から天然C末端に伸びる短鎖ポリペプチドである。もうひとつの有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号及びBaum等(EMBO J.13:3992〜4001,1994)に記載されたFc変異型である。この変異型のアミノ酸配列はWO93/10151に示された天然Fc配列のそれと、19位のアミノ酸がLeuからAlaに変化していること、20位のアミノ酸がLeuからGluに変化していること、及び22位のアミノ酸がGlyからAlaに変化していることを除けば、同一である。この変異型はFc受容体に対して減少した親和性を示す。
別の態様では、TRAIL−Rは抗体の重鎖又は軽鎖の可変部で置換されていてもよい。融合タンパク質が抗体の重鎖及び軽鎖の両方で作られるならば、4つものTRAIL−R細胞外領域を用いてTRAIL−Rオリゴマーを形成することが可能である。
また、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を有する又は有さない、多種のTRAIL−Rポリペプチドを含む融合タンパク質である。適切なペプチドリンカーの中には、本明細書中に援用する米国特許第4,751,180号及び第4,935,233号に記載されたものがある。所望のペプチドリンカーをコードするDNA配列は、任意の適切な慣用技術を用いて、TRAIL−RをコードするDNA配列の中に、同じ読み枠で挿入され得る。例えば、リンカーをコードする化学合成されたオリゴヌクレオチドがTRAIL−Rコード配列の中で連結され得る。特定の態様では、融合タンパク質は、ペプチドリンカーによって分離された2〜4の可溶性TRAIL−Rポリペプチドを含む。
オリゴマーのTRAIL−Rを製造する別の方法はロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインとはそれが存在するタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。もともとロイシンジッパーはいくつかのDNA結合タンパク質の中で同定され(Landschulz等、Science 240:1759,1988)、それ以来多種多様なタンパク質の中に見出されてきた。既知のロイシンジッパーには、ダイマー化又はトリマー化する天然に存在するペプチド及びその誘導体がある。可溶性のオリゴマータンパク質を産生するのに適したロイシンジッパードメインの例がPCT出願WO94/10308に記載され、肺の界面活性タンパク質D(SPD)由来のロイシンジッパーがHoppe等(FEBS Letters 344:191,1994)に記載されている(本明細書中に援用する)。修飾されたロイシンジッパーを使用してそれに融合した異種タンパク質の安定なトリマー化を可能にすることがFanslow等(Semin.Immunol.6:267〜278,1994)に記載されている。ロイシンジッパーペプチドに融合した可溶性TRAIL−Rポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は適切な宿主細胞で発現され、形成される可溶性オリゴマーTRAIL−Rが培養上澄液から回収される。
オリゴマーのTRAIL−Rには、TRAILに対する例えば2価、3価の結合部位という特性がある。Fc成分を含む上記融合タンパク質(及びそれより形成されるオリゴマー)は、プロテインA又はプロテインGカラムのアフィニティークロマトグラフィーによって容易に精製できるという利点を提供する。オリゴマーのTRAIL−Rをコードする又はTRAIL−Rオリゴマーの製造に有用な融合タンパク質をコードするDNAが本明細書中に提供される。
アッセイ
TRAIL−Rタンパク質(TRAIL−Rの断片、変異体、オリゴマー及び他の形態を含む)は、慣用の結合アッセイのような任意の適切なアッセイにおいて、TRAILに結合する能力を試験され得る。例証すると、TRAIL−Rは検出可能な試薬(例、放射性核種、発色団、比色又は蛍光反応の触媒酵素、といったもの)で標識され得る。標識されたTRAIL−RをTRAILを発現している細胞と接触させる。ついで細胞を洗浄し、結合していない標識TRAIL−Rを除去し、細胞に結合した標識の存在を、その標識の性質に応じて選択される適切な技術によって決定する。
結合アッセイ法の1つの実施例は以下の通りである。TRAIL−RのcDNAを含む組換え発現ベクターが、例えばPCT出願WO97/01633(本明細書中に援用する)に記載されたようにして構築される。ヒト及びマウスTRAILのDNAおよびアミノ酸配列情報はWO97/01633に示されている。TRAILはN末端細胞質ドメイン、膜貫通領域及びC末端細胞外ドメインを含む。10cmディッシュ中のCV1−EBNA−1細胞を組換え発現ベクターで形質転換する。CV−1/EBNA−1細胞(ATCC CRL 10478)は、CMV初期−早期エンハンサー/プロモーターから駆動されるEBV核抗原−1を構成的に発現する。CV1−EBNA−1は、McMahan等(EMBO J.10:2821,1991)によって記載されたように、アフリカミドリザルの腎臓細胞株、CV−1(ATCC CCL 70)に由来した。
形質転換された細胞を24時間培養し、各皿の細胞を24ウェルプレートに分割する。さらに48時間培養した後、この形質転換細胞(約4x10細胞/ウェル)をBM−NFDMで洗浄する。BM−NFDMは50mg/mLの非脂肪性乾燥乳が添加された結合培地(25mg/mLのウシ血清アルブミン、2mg/mLのアジ化ナトリウム、20mMヘペス[Hepes]pH7.2、を含むRPMI 1640)である。次いで細胞を様々な濃度の可溶性TRAIL/Fc融合タンパク質とともに37℃で1時間インキュベートする。次いで細胞を洗浄し、結合培地中の一定飽和濃度の125I−マウス抗ヒトIgGと、穏やかに撹拌しながら37℃で1時間インキュベートする。十分に洗浄した後、トリプシン処理によって細胞を遊離させる。
上記で利用されるマウス抗ヒトIgGは、ヒトIgGのFc領域に対して指向され、ジャクソン・イムノリサーチラボラトリーズ社、ウェストグローヴ、PAより入手し得る。この抗体は標準的なクロラミン−T法を用いて放射性ヨード化される。抗体は細胞に結合した任意のTRAIL−R/Fcタンパク質のFc部分に結合する。すべてのアッセイにおいて、125I−抗体の非特異的結合は、TRAIL−R/Fcの不在下、並びにTRAIL−R/Fc及び200倍モル過剰の非標識マウス抗ヒトIgG抗体の存在下においてアッセイされる。
細胞に結合した125I−抗体は、パッカード・オートガンマカウンターで定量化される。アフィニティー計算(Scatchard、Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660,1949)は、マイクロヴァクスコンピュータで処理されるRS/1(BBNソフトウェア、ボストン、MA)に基づいてなされる。
他のタイプの適切な結合アッセイは、競合的結合アッセイである。例証すると、TRAIL−R変異体の生物活性は、TRAILへの結合に対して天然のTRAIL−Rと競合する変異体の能力をアッセイすることによって決定され得る。
競合的結合アッセイは、慣用の方法によって実施され得る。競合的結合アッセイに利用され得る試薬は、放射標識されたTRAIL−R及び細胞表面に(内因性又は組換え)TRAILを発現している無傷の(intact)細胞を含む。例えば、放射標識された可溶性TRAIL−R断片は、細胞表面のTRAILに結合することに対して可溶性のTRAIL−R変異体と競合するために使用され得る。無傷細胞の代わりに、プロテインA又はプロテインGのFc成分との(固相上での)相互作用を介して固相に結合した可溶性TRAIL/Fc融合タンパク質を置換し得る。プロテインA及びプロテインGを含むクロマトグラフィーカラムは、ファルマシアバイオテク社、ピスカタウェイ、NJより入手できるものを含む。別のタイプの競合的結合アッセイは、可溶性TRAIL/Fc融合タンパク質のような放射標識された可溶性TRAIL及びTRAIL−Rを発現している無傷細胞を利用する。競合的オートラジオグラフィープレート結合アッセイによって定性的な結果が得られるのに対し、スキャッチャードプロット(Scatchard、Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660,1949)は、定量的な結果を生むのに利用され得る。
生物活性に対する別のタイプのアッセイは、例えばジャーカット細胞として知られるヒト白血病T細胞株のような標的細胞のTRAIL介在性アポトーシスを阻止する能力に対してTRAIL−Rポリペプチドを試験することに関わる。ジャーカットクローンE6−1(ATCC TIB 152)と称される細胞系のTRAIL介在性アポトーシスは、PCT出願WO97/01633(本明細書中に援用する)に記載されたアッセイ方法に示されている。
TRAIL−Rの使用
TRAIL−Rの使用は以下のものを含むが、それに限定されるものではない。これらのTRAIL−Rの使用のあるものはTRAILに結合する能力に由来する。
TRAIL−Rはタンパク質精製の試薬として使用を見出す。TRAIL−Rポリペプチドは、固体の支持物質に付着してアフィニティークロマトグラフィーによってTRAILを精製するのに使用され得る。特定の態様では、TRAIL−Rポリペプチド(本明細書中に記載されるTRAILに結合し得る任意の形態)は、慣用の方法によって固体の支持体へ付着される。1つの実施例として、タンパク質のアミノ酸側鎖上の官能基と反応する官能基を含むクロマトグラフィーカラムが入手される(ファルマシアバイオテク社、ピスカタウェイ、NJ)。別の手段では、TRAIL/Fcタンパク質は、Fc成分との相互作用を介してプロテインA又はプロテインG含有クロマトグラフィーカラムに付着される。
TRAIL−Rタンパク質はまたTRAIL−Rへの結合親和性に関するTRAILタンパク質の生物活性を測定することに使用を見出す。従ってTRAIL−Rタンパク質は、例えば種々の条件下におけるTRAILタンパク質の貯蔵寿命及び安定性をモニターする「品質保証」試験を実施する人々によって利用され得る。例証すると、TRAIL−Rは、種々の温度で保存されたり、種々の細胞タイプで産生されたTRAILタンパク質の生物活性を測定する結合親和性試験に利用され得る。TRAIL−RはまたTRAILタンパク質の修飾(例えば、化学修飾、短縮、突然変異、等)の後に生物活性を保持しているかどうかを確認するために利用され得る。修飾されたTRAILタンパク質のTRAIL−Rに対する結合親和性を非修飾TRAILタンパク質のそれと比較して、TRAILの生物活性に対するその修飾の不都合な影響を検出する。そうすれば、あるTRAILタンパク質の生物活性は、例えばそれを研究試験に用いる前に、確認することができる。
TRAIL−Rはまた細胞表面にTRAILを発現する細胞を精製する又は同定することに使用を見出す。TRAIL−Rポリペプチドはカラムクロマトグラフィーマトリクスのような固相又は似たような適切な基質に結合する。例えば、磁気ミクロスフェアをTRAIL−Rでコートして磁場のかかった保温容器に保つことができる。TRAIL発現細胞を含む細胞混合物の懸濁液をTRAIL−Rの付着した固相に接触させる。細胞表面にTRAILを発現している細胞は固定化されたTRAIL−Rに結合し、結合しなかった細胞は洗い落とされる。
また、TRAIL−Rは、検出可能な成分と結合し、TRAILの発現を試験される細胞とともにインキュベートし得る。インキュベーション後、結合しなかった標識化TRAIL−Rは除去され、検出可能な成分の細胞表面における存在又は不在が確認される。
さらに別のものでは、TRAIL細胞を含むことが疑われる細胞混合物がビオチニル化したTRAIL−Rとともにインキュベートされる。インキュベーション時間は通常少なくと十分な結合を保証する1時間である。得られた混合物をアビジン被覆ビーズの詰まったカラムに通し、よってビオチンのアビジンに対する高親和性によって、所望される細胞がビーズと結合することが可能になる。アビジン被覆ビーズを使用する方法は知られている(Berenson等、J.Cell.Biochem.10D:239,1986を参照)。洗浄して非結合性の物質を除去すること、及び結合した細胞の遊離は、慣用の方法を用いて実施される。
TRAIL−Rポリペプチドはまた、それに付着した薬剤をTRAILを担う細胞まで運搬するキャリアーとしての使用を見出す。TRAIL発現細胞は、Wiley等(Immunity,3:673〜682,1995)に同定されるものを含む。従ってTRAIL−Rタンパク質は、診断又は治療剤をそのような細胞(又は細胞表面にTRAILを発現することが見出される他の細胞タイプ)へインビトロ又はインビボの方法で運搬することに使用され得る。
TRAIL−Rポリペプチドに付着し得る診断(検出)又は治療剤は、限定しないが、毒素、他の細胞毒性剤、薬物、放射性核種、発色団、比色又は蛍光反応の触媒酵素等を含み、その意図される応用に応じて特定の薬剤が選択される。毒素には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、緑膿菌の外毒素A、リボソーム不活化タンパク質、トリコテセン類(trichothecenes)のような真菌毒素、及びそれらの誘導体又は断片(例えば、短鎖)がある。診断用に適した放射性核種は、限定しないが、123I、131I、99mTc、111In及び76Brを含む。治療用に適した放射性核種の例は、131I、211At、77Br、186Re、188Re、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、及び67Cuである。
このような薬剤は任意の適切な慣用方法によってTRAIL−Rに付着され得る。タンパク質であるTRAIL−Rはアミノ酸の側鎖に官能基を含み、これが所望の薬剤の官能基と反応して例えば共有結合を形成する。あるいは、このタンパク質又は剤は所望の反応性官能基を産生又は付着するように誘導化してもよい。誘導化は、様々な分子をタンパク質に付着させるために供される二官能性連結試薬(ピアスケミカルカンパニー、ロックフォード、イリノイ)の1つを付着させることを伴ってもよい。タンパク質を放射標識する多くの技術が知られている。放射性核種金属は、例えば適切な二官能性キレート剤を使用することによってTRAIL−Rへ付着され得る。
TRAIL−R及び(好ましくは共有結合した)適切な診断又は治療剤を含む結合体はこのようにして製造される。この結合体は、投与されるか又は特定の応用に適した量で適用される。
本発明のTRAIL−R DNA及びポリペプチドは、欠失又は不十分な量のTRAIL−Rによって(直接的又は間接的に)引き起こされる障害の治療方法の開発において使用され得る。TRAIL−Rポリペプチドはそのような障害に罹患している哺乳類へ投与してもよい。また、遺伝子治療アプローチを採用してもよい。天然のTRAIL−Rヌクレオチド配列の開示によって欠失TRAIL−R遺伝子の検出及びその正常TRAIL−Rコード遺伝子による置換が可能になる。欠失遺伝子は、インビトロの診断アッセイにおいて、及び本明細書中に開示される天然TRAIL−Rヌクレオチド配列をこの遺伝子の欠失を有していることが疑われる人間に由来するTRAIL−R遺伝子のそれと比較することによって、検出され得る。
本発明のタンパク質の別の使用は、種々の細胞タイプでのTRAIL/TRAIL−R相互作用を阻害することから生じる生物学的効果を研究するための研究ツールとしてである。TRAIL−RポリペプチドはまたTRAIL又はTRAIL−R又はその相互作用を検出するインビトロアッセイに利用してもよい。
TRAIL−Rはインビトロ又はインビボの方法でTRAILの生物活性を阻害するのに利用してもよい。精製されたTRAIL−RポリペプチドはTRAILが内因性の細胞表面TRAIL−Rに結合することを阻害するのに使用され得る。このようにしてTRAILが内因性の受容体に結合することから生じる生物学的効果が阻害される。例えば、TRAILに結合し得る上記のTRAIL−R断片、オリゴマー、誘導体、及び変異体を含めて種々の形態のTRAIL−Rが利用され得る。1つの態様では、TRAILの生物活性を阻害するために、例えば、特定の細胞のTRAIL介在性アポトーシスを阻害するために、可溶性のTRAIL−Rが利用される。
TRAIL−RはTRAIL介在性の障害を治療するために哺乳類へ投与してもよい。このようなTRAIL介在性の障害は、TRAILによって(直接的又は間接的に)引き起こされる又は増悪される病態を含む。
TRAIL−Rは血栓性微小血管障害の治療に有用であると思われる。1つのこのような障害は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である(Kwaan,H.C.,Semin.Hematol.24:71,1987;Thompson等、Blood 80:1890,1992)。TTPに起因した死亡率の上昇がアメリカ疾病コントロールセンターによって報告されている(Torok等、Am.J.Hematol.50:84,1995)。
TTP罹患者(HIV及びHIV患者を含む)由来の血漿は皮膚微小血管起源のヒト上皮細胞のアポトーシスを誘導するが、大血管起源のものは誘導しない(Laurence等、Blood,87:3245,4月15日,1996)。従って、TTP患者の血漿はアポトーシスを直接的又は間接的に誘導する1つ又はそれ以上の因子を含むと考えられている。PCT出願WO97/01633(本明細書中に援用する)に記載されているように、TRAILはTTP患者の血漿に存在していて、微小血管上皮細胞のアポトーシスを誘導する役割を果たしている可能性がある。
もうひとつの血栓性微小血管障害は、溶血性尿毒症性症候群(HUS)である(Moake,J.L.Lancet,343:393,1994;Melnyk等、Arch.Intern.Med.,155:2077,1995;Thompson等、同上)。本発明の1つの態様は「成人性HUS」(小児も罹患するが)とよく言われる病態を治療するためにTRAIL−Rを使用することに指向されている。小児/下痢関連性HUSとして知られている障害は成人性HUSとは病因が異なる。
小血管の凝塊形成によって特徴づけられる他の病態がTRAIL−Rを使用して治療され得る。そのような病態は以下のものであるが、それに限定されない。小児AIDS患者の約5〜10%に見られる心臓の問題に小血管の凝塊形成が関与していると考えられている。心臓内微小血管の破損が多発性硬化症患者に報告されている。さらなる例として、全身性紅斑性狼瘡(SLE)の治療が考慮されている。
1つの態様では、患者の血液又は血漿を体外で(ex vivo)TRAIL−Rと接触させる。TRAIL−Rは慣用の方法によって適切なクロマトグラフィーに結合され得る。患者の血液又は血漿を、マトリクスに結合したTRAIL−Rを含むクロマトグラフィーカラムに流した後、患者に戻す。固定化された受容体は、TRAILと結合することで、患者の血液からTRAILタンパク質を除去する。
また、TRAIL−Rは、血栓性微小血管障害の罹患者にインビボで投与され得る。1つの態様では、可溶型のTRAIL−Rがその患者に投与される。
従って、本発明は、有効量のTRAIL−Rの使用を介して、血栓性微小血管障害を治療する方法を提供する。TRAIL−Rポリペプチドは、微小血管上皮細胞に対するTRAIL介在性の障害(例えば、アポトーシス)を阻害するためのインビボ又は体外的な方法に利用され得る。
TRAIL−Rは、特定の障害を治療するのに有用な他の剤と一緒に利用され得る。Laurence等(Blood 87:3245,1996)に報告されたインビトロ試験では、抗Fas阻止抗体、オーリントリカルボン酸又は寒冷型沈降物の枯渇した正常血漿を用いることによって、微小血管上皮細胞のTTP血漿介在性アポトーシスの減少が達成された。
従って、上皮細胞のFasリガンド介在性アポトーシスを阻害する剤を上皮細胞のTRAIL介在性アポトーシスを阻害する剤と組み合わせて、患者を治療し得る。1つの態様では、TRAIL−R及び抗Fas阻止抗体が、TTPやHUSのような血栓性微小血管障害に特徴づけられる障害の罹患者へ一緒に投与される。Fas抗原(CD95)に対して指向されたモノクローナル阻止抗体の例がPCT出願公開番号WO95/10540(本明細書中に援用する)に記載されている。
本発明の別の態様はHIV感染患者のTRAIL介在性T細胞死を減少させるためのTRAIL−Rの使用に指向されている。AIDSの進展におけるT細胞アポトーシスの役割が多くの研究の主題になっている(例えば、Meyaard等、Science 257:217〜219,1992;Groux等、J.Exp.Med.,175:331,1992;Oyaizu等、「HIV感染における細胞の活性化とアポトーシス」 Andrieu及びLu編、プレナムプレス,ニューヨーク,1995,101〜114頁、を参照)。ある特定の研究者たちはFas介在性アポトーシスの役割を研究してきたが、インターロイキン−1β変換酵素(ICE)の関与もまた探究されてきた(Estaquier等、Blood 87:4959〜4966,1996;Mitra等、Immunology 87:581〜585,1996;Katsikis等、J.Exp.Med.181:2029〜2036,1995)。T細胞アポトーシスは多数のメカニズムを介して発現するらしい。
HIV患者に見られるT細胞死の少なくともいくつかにTRAILが介在していると考えられている。理論に縛られることを望むわけではないが、このようなTRAIL介在性T細胞死は、活性化誘導性細胞死(AICD)として知られるメカニズムを介して発現すると考えられている。
活性化されたヒトT細胞は、CD3/T細胞受容体複合体を介して活性化誘導性細胞死(AICD)と名づけられたプロセスの引き金を引くと、プログラム化された細胞死(アポトーシス)を実行するように誘導される。HIV感染無症候性者から単離したCD4T細胞のAICDが報告されている(Groux等、同上)。従って、AICDは、HIV感染者におけるCD4T細胞の枯渇及びAIDSへの進行にある役割を果たしている可能性がある。
本発明は、TRAIL−R(好ましくは可溶性のTRAIL−Rポリペプチド)を患者に投与することを含む、HIV患者におけるTRAIL介在性T細胞死を阻害する方法を提供する。1つの態様では、TRAIL−Rを用いた治療が開始されるとき、患者は無症候性である。所望ならば、治療の前に、末梢血のT細胞をHIV患者より抽出し、慣用の方法によってTRAIL介在性細胞死に対する感受性を試験してもよい。
1つの態様では、患者の血液又は血漿を体外で(ex vivo)TRAIL−Rと接触させる。TRAIL−Rは慣用の方法によって適切なクロマトグラフィーに結合され得る。患者の血液又は血漿を、マトリクスに結合したTRAIL−Rを含むクロマトグラフィーカラムに流した後、患者に戻す。固定化された受容体は、TRAILと結合することで、患者の血液からTRAILタンパク質を除去する。
HIV患者の治療において、TRAIL−Rは他のT細胞アポトーシス阻害剤と組み合わせて利用され得る。Fas介在性アポトーシスはまた、HIV者におけるT細胞の欠失に関連があるとされている(Katsikis等、J.Exp.Med.181:2029〜2036,1995)。従って、Fasリガンド(Fas−L)介在性及びTRAIL介在性のT細胞死に感受性のある患者は、TRAIL/TRAIL−R相互作用を阻止する剤とFas−L/Fasの相互作用を阻止する薬剤の双方で治療され得る。Fas−LのFasへの結合を阻止するのに適した剤は、限定されないが、可溶性Fasポリペプチド;可溶性Fasポリペプチドのオリゴマー型(例えば、sFas/Fcのダイマー);アポトーシスを生じる生物信号を伝達することなくFasに結合する抗Fas抗体;Fas−LのFasへの結合を阻止する抗Fas−L抗体;及びFasに結合するがアポトーシスを生じる生物信号を伝達しないFas−Lの変異型、である。好ましくは、この方法に利用される抗体はモノクローナル抗体である。抗Fasモノクローナル抗体を阻止することを含め、Fas−L/Fas相互作用を阻止するのに適した薬剤の例がWO95/10540に記載されており、本明細書中に援用する。
本発明のTRAIL−Rポリペプチドの有効量を、生理学的に許容される希釈剤、キャリアー又は賦形剤のような他の成分と組み合わせて含む組成物が、本明細書中に提供される。TRAIL−Rは医薬的に有用な組成物を製造するために用いられる既知の方法に従って製剤化され得る。TRAIL−Rは、単独の活性物質として又はある適応症に適した他の既知の活性物質とともに、医薬的に許容される希釈剤(例えば、生理食塩水、トリス塩酸、酢酸塩及びリン酸緩衝液)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類[parabens])、乳化剤、安定化剤、アジュバント及び/又はキャリアーと混ぜて配合され得る。医薬組成物に適したフォーミュレーションは、「レミントンの製薬科学」16版、1980,マック・パブリッシングカンパニー、イーストン、PAに記載されるものを含む。
さらに、そのような組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合した又はポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストラン等のようなポリマー化合物に取り込まれた、又はリポソーム、ミクロ乳濁液、ミセル、単層又は多層性の小胞、赤血球ゴースト又はスフェロブラストに取り込まれたTRAIL−Rを含み得る。このような組成物はTRAIL−Rの物理的状態、溶解性、安定性、インビボ遊離速度及びインビボクリアランス速度に影響し、意図される応用に応じて選択される。細胞表面上に発現されるTRAIL−Rも同様の使用を見出し得る。
本発明の組成物は、天然のタンパク質、変異体、誘導体、オリゴマー及び生物活性のある断片のような本明細書中に記載される任意の形態のTRAIL−Rポリペプチドを含んでよい。特定の態様では、組成物は可溶性のTRAIL−Rポリペプチド又は可溶性TRAIL−Rポリペプチドを含むオリゴマーを含む。
TRAIL−Rは、局所的、非経口的、又は吸入等、任意の適したやり方で投与され得る。「非経口的」なる用語は、例えば、皮下、静脈内、筋肉内の注射、また例えば疾病又は損傷の部位における局所投与を含める。インプラントからの持続性放出も考慮される。当業者は、治療される障害の本質、患者の体重、年齢及び全般の状態、及び投与経路のような要因によって、適切な投与量が変化することを認知するであろう。初期用量は動物試験によって決定され、人間への投与量の評定は業界に受け入れられた方法によって実施される。
生理学的に許容されるフォーミュレーションでTRAIL−R核酸を含む組成物も考慮される。TRAIL−RのDNAは、例えば注射用に製剤化され得る。
抗体
TRAIL−Rポリペプチドと免疫反応する抗体が本明細書中に提供される。このような抗体は、抗体が(非特異的な結合ではなく)抗体の抗原結合部位を介してTRAIL−Rに結合するという点において、TRAIL−Rと特異的に結合する。
実施例1に記載されるようにして製造されたTRAIL−Rタンパク質は、それと免疫反応する抗体を産生するときの免疫原として利用され得る。また、断片又は融合タンパク質のような別の形態のTRAIL−Rも免疫原として利用される。
ポリクローナル及びモノクローナル抗体は従来の技術によって製造され得る。例えば、「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物分析の新しい次元」Kennet等(編)、プレナムプレス、ニューヨーク(1980);「抗体:実験マニュアル」、HarlowとLand(編)、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、NY(1988)を参照のこと。TRAIL−Rに対して指向されるモノクローナル抗体の産生は実施例4でさらに説明される。
このような抗体の抗原結合断片は、従来の技術によって産生され得るが、本発明によっても包含される。このような断片は、限定されないが、Fab及びF(ab’)断片を含む。遺伝子工学技術によって産生される抗体断片及び誘導体もまた提供される。
本発明のモノクローナル抗体は、例えばマウスモノクローナル抗体のヒト化版のような、キメラ抗体を含む。このようなヒト化抗体は既知の技術によって製造され得て、抗体が人に投与されるとき、低減された免疫原性という長所を提供する。1つの態様では、ヒト化抗体は、マウス抗体の可変部(あるいはその抗原結合部位のみ)及びヒト抗体由来の定常部を含む。あるいは、ヒト化抗体断片は、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位及びヒト抗体由来の(抗原結合部位を欠いた)可変部断片を含む。キメラ化及びさらに工学処理したモノクローナル抗体を産生する方法は、Riechmann等(Nature 332:323,1988)、Liu等(PNAS 84:3439,1987)、Larrick等(Bio/Technology 7:934,1989)及びWinterとHarris(TIPS 14:139,1993年5月)に記載されているものを含む。
この抗体の使用のなかには、インビトロ又はインビボのいずれかにおいて、TRAIL−Rポリペプチドの存在を検出するアッセイにおける使用がある。この抗体はまた免疫アフィニティークロマトグラフィーによってTRAIL−Rタンパク質を精製するときに利用され得る。
TRAIL−RのTRAILへの結合をさらに阻止し得る上記の抗体は、そのような結合から生じる生物活性を阻害するために使用され得る。このような阻止抗体は、TRAIL−R発現細胞に対するTRAILの結合を阻害する能力に対して抗体を試験するような、任意の適切なアッセイ法を用いて同定してもよい。このような細胞の例は以下の実施例2に記載されるジャーカット細胞及びPS1細胞である。あるいは、阻止抗体は、標的細胞に対するTRAILの結合から生じる生物活性を阻害する能力に対するアッセイにおいて同定してもよい。例えば、抗体は、ジャーカット細胞のTRAIL介在性溶解を阻害する能力に対してアッセイされ得る。
このような抗体はインビトロの方法において利用され得るか、又は、TRAIL−R介在性の生物活性を阻害するためにインビボで投与され得る。細胞表面のTRAIL受容体とTRAILの相互作用によって(直接的又は間接的に)引き起こされる又は増悪される障害はこのようにして治療される可能性がある。1つの治療方法は、TRAIL介在性の生物反応を阻害するのに有効な量の阻止抗体を哺乳類にインビボ投与することを伴う。TRAILによって、直接的又は間接的に、引き起こされる又は増悪される障害は、このようにして治療される。モノクローナル抗体は一般にこのような治療法における使用に対して好ましい。1つの態様では、抗原結合性の抗体断片が利用されている。
TRAIL−Rに対して指向された阻止抗体は、例えばTTP又はHUSを治療するような血栓性微小血管障害を治療する上記の方法においてTRAIL−Rの代用になり得る。この抗体は、微小血管性上皮細胞に対する(アポトーシスのような)TRAIL介在性の障害を阻害するためにインビボで投与され得る。
TRAIL−Rに対して産生された抗体は、作動性の(agnositic)(即ち、リガンドを模倣した)性質によってスクリーニングされ得る。このような抗体は、細胞表面のTRAIL−Rに結合すると、TRAILが細胞表面のTRAIL−Rに結合するときに引き起こされる生物学的効果に似た生物学的効果(例えば生物信号の伝達)を引き起こす。アゴニスト抗体は、TRAILに関して報告されているように、ある種の癌細胞又はウィルス感染細胞のアポトーシスを引き起こすために使用され得る。癌細胞(限定されないが、白血球、リンパ腫、メラノーマ細胞を含む)及びウィルス感染細胞を殺すTRAILの能力は、Wiley等(Immunity 3:673〜682,1995)及びPCT出願WO97/01633に記載されている。
TRAIL−Rに対して指向された抗体及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又はキャリアーを含む組成物が本明細書中に提供される。このような組成物に適した成分は、TRAIL−Rタンパク質を含む組成物に対して上記に記載されるようなものである。
本明細書中にまた提供されるのは、TRAIL−Rに対して指向される抗体に付着した、検出可能な(例えば診断用の)又は治療用の剤を含む結合体である。このような薬剤の例は上記に示される。この結合体は、インビトロ又はインビボの方法において使用を見出す。
核酸
本発明はTRAIL−Rの核酸を提供する。このような核酸は、限定されないが、実施例2に記載されるペプチドをコードするDNAを含む。このようなDNAは遺伝暗号の知識から同定され得る。本発明の他の核酸はSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3に示される核酸配列から成る単離DNAを含む。
本発明は、TRAIL−Rポリペプチドの産生、例えば上記に論じた組換え発現系に有用な単離核酸を提供する。このような核酸は、限定されないが、SEQ ID NO:1のヒトTRAIL−R DNAを含む。本発明の核酸分子は、1本鎖及び2本鎖いずれの形でのTRAIL−R DNAだけでなく、そのRNA相補体をも含む。TRAIL−R DNAは、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA及びそれらを組み合わせたものを含む。ゲノムDNAは、例えばSEQ ID NO:1又は3のcDNA又はその適切な断片をプローブとして使用する、慣用の技術によって単離され得る。
本明細書中に考慮される任意の形態のTRAIL−R(完全な長さのTRAIL−R又はその断片)をコードするDNAが提供される。TRAIL−RコードDNAの特定の態様は、SEQ ID NO:2(N末端のシグナルペプチドを含む)の完全長のヒトTRAIL−RをコードするDNA、及び完全長の成熟ヒトTRAIL−RをコードするDNAを含む。他の態様は、可溶性のTRAIL−Rをコードする(例えば、シグナルペプチドを有する又は有さないSEQ ID NO:2のタンパク質の細胞外ドメインをコードする)DNAを含む。
本発明の1つの態様は、TRAIL−R DNA配列の少なくとも約17の連続したヌクレオチドを含むTRAIL−Rヌクレオチド配列の断片に指向されている。他の態様では、DNA断片は、TRAIL−R DNA配列の少なくとも30、又は少なくとも60の連続したヌクレオチドを含む。本明細書中に提供される核酸は、1本鎖及び2本鎖の形態をしたTRAIL−R DNAとともに、前記断片のDNA及びRNA相補体を含む。
TRAIL−R核酸断片の使用のなかにはプローブ又はプライマーとしての使用がある。遺伝暗号及び実施例2に示されるアミノ酸配列に関する知識を用いて、幾組みもの縮重したオリゴヌクレオチドが製造され得る。このようなオリゴヌクレオチドは、例えばTRAIL−R DNA断片が単離され増幅されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてプライマーとしての使用を見出す。
TRAIL−R核酸の他の有用な断片は、標的となるTRAIL−RのmRNA(センス)又はTRAIL−RのDNA(アンチセンス)配列に結合し得る1本鎖の核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含むアンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドを含む。本発明によるアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドはTRAIL−R DNAのコード領域の断片を含む。このような断片は、一般に、少なくとも約14のヌクレオチド、好ましくは約14から約30のヌクレオチドを含む。あるタンパク質をコードするcDNA配列に基づいてアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを誘導し得ることは、例えば、SteinとCohen(Cancer Res.48:2659,1988)及びvan der Krol等(BioTechniques 6:958,1988)に記載されている。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドが標的核酸配列に結合すると、2本鎖分子が形成され、その2本鎖の増強された分解、転写又は翻訳の未熟な終止、又は他の手段を含むいくつかの手段の1つによって標的配列の転写又は翻訳が阻止される。アンチセンスオリゴヌクレオチドはこのようにしてTRAIL−Rタンパク質の発現を阻止するために使用され得る。さらにアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは修飾された糖リン酸ジエステル骨格(又はWO91/06629に記載されるような他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを含み、ここでそのような糖結合は内因性ヌクレアーゼに対して抵抗性である。抵抗性の糖結合を有するこのようなオリゴヌクレオチドはインビボで安定である(即ち、酵素分解に抵抗し得る)が、標的ヌクレオチド配列に結合し得る配列特異性を保持している。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例は、WO90/10448に記載されるような有機成分及び、ポリ−(L−リジン)のような、標的核酸配列に対する親和性を増加させる他の成分に共有結合したオリゴヌクレオチドを含む。さらにまた、エリプチシン(ellipticine)のような挿入剤、及びアルキル化剤又は金属錯体もセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドと結合して標的ヌクレオチド配列に対するアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾し得る。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、例えばCaPO介在性DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む任意の遺伝子導入法によって、又はエプスタイン・バーウィルスのような遺伝子導入ベクターを用いることによって、標的核酸核酸配列を含む細胞へ導入され得る。好ましい方法では、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは適切なレトロウィルスベクターへ挿入され得る。標的核酸配列を含む細胞はインビボ又は体外で(ex vivo)組換えレトロウィルスベクターと接触される。適切なレトロウィルスベクターは、限定しないが、マウスレトロウィルスであるM−MuLV、N2(M−MuLV由来のレトロウィルス)又はDCT5A、DCT5B及びDCT5C(WO90/13641を参照のこと)と表記される二重コピーベクターを含む。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、WO91/04753に記載されるように、リガンド結合分子との結合体の形成によって標的ヌクレオチド配列を含む細胞へ導入され得る。適切なリガンド結合分子は、限定しないが、細胞表面受容体、成長因子、他のサイトカイン又は細胞表面受容体に結合する他のリガンドを含む。好ましくは、リガンド結合分子の結合は、その対応する分子又は受容体に結合したり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその結合した変換体が細胞に侵入するのを阻止するこのリガンド結合分子の能力に実質的に干渉しない。
また、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、WO90/10448に記載されるように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成によって標的ヌクレオチド配列を含む細胞へ導入され得る。このセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは細胞内部で内因性リパーゼによって分離される。
以下の実施例は本発明の特定の態様をさらに詳しく示すために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
実施例1:TRAIL−Rタンパク質の精製
ヒトTRAIL受容体(TRAIL−R)タンパク質は以下の方法によって調製された。ヒト急性T白血病細胞株であるジャーカット細胞の細胞膜からTRAIL−Rを単離した。ジャーカット細胞が選択されたのは、アフィゲル(affi−gel)ビーズ(バイオラド・ラボラトリーズ、リッチモンド、CA)に共有結合したFlag(登録商標)ペプチドを用いて、表面がビオチニル化したジャーカット細胞から特定のバンドがアフィニティー沈殿され得るからである。この沈殿バンドは分子量約52kDを有している。約42kDのマイナーな特定のバンドも存在していたが、恐らくはTRAIL−Rのタンパク分解産物又はグリコシル化の少ない形態と解釈される。
約500億個のジャーカット細胞が遠心分離によって採取され(80mLの細胞ペレット)、1度PBSで洗浄した後、液体窒素にショック(shock)冷凍した。Maeda等(Biochim.et Biophys.Acta,731:115、1983;本明細書中に援用する)に記載された第3の方法に以下の5つの変更を加えて、形質膜を単離した。
1.以下のプロテアーゼ阻害剤が指定の濃度ですべての溶液に含まれた:アプロチニン,150nM;EDTA,5mM;ロイペプチン,1μM;pAPMSF,20μM;ペファブロック,500μM;ペプスタチンA,1μM;PMSF,500μM。
2.ジチオトレイトールは使用しなかった。
3.DNAアーゼは均質化(ホモジェナイゼーション)溶液に使用しなかった。
4.1mLの細胞ペレットに対し、1.25mLの均質化緩衝液を使用した。
5.均質化は、すりガラスのダンス(dounce)ホモジェナイザーを5回通すことによって達成した。
細胞膜を単離した後、1%のオクチルグルコシド及び上記濃度の上記プロテアーゼ阻害剤をすべて含む50mL PBSに単離細胞膜を再懸濁した。次に、得られた溶液を4℃、30分のインキュベーションの間、繰り返し渦状に撹拌(vortex)した。この溶液をLE−80ベックマン超遠心機(ベックマンインスツルメンツ社、パロアルト、CA)、SW28ローターにて20,000rpmで遠心分離し、上澄液(膜抽出物)を得た。
クロマトグラフィー
上記のように製造された膜抽出物からTRAIL−Rを精製する第1の工程はアフィニティークロマトグラフィーであった。先ず膜抽出物を抗Flag(登録商標)M2アフィゲルカラム(2mLのアフィゲルビーズに10mgのモノクローナル抗体M2が結合したもの)に流し、非特異的に結合する物質を吸着させた。次に、この通り抜け(フロースルー)画分をFlag(登録商標)TRAILアフィゲルカラム(1mLのアフィゲルビーズに10mgの組換えタンパク質が結合したもの)に流した。
アフィゲル支持体は、誘導化、架橋化したアガロースゲルビーズのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(バイオラド・ラボラトリーズ、リッチモンド、CAより入手できる)である。上記に論じたように、Flag(登録商標)ペプチド、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lysは、特異的なモノクローナル抗体によって可逆的に結合したエピトープを提供し、発現される組換えタンパク質の迅速なアッセイ及び簡便な精製を可能にする。M2とはFlag(登録商標)に結合するモノクローナルである。Flag(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体、並びにFlag(登録商標)融合タンパク質を製造及び使用するための他の試薬は、イーストマンコダック社、サイエンティフィックイメージングシステム部門、ニューヘーヴン、コネチカット、から入手される。Flag(登録商標)TRAIL融合タンパク質(可溶性のTRAILポリペプチドに融合したFlag(登録商標)を含む)の製造は、本明細書中に援用するPCT出願WO97/01633にさらに詳しく記載されている。
上記カラムは以下の緩衝液それぞれ25mLで以下の順序で洗浄した:
1.1%オクチルグルコシドを含むPBS
2.PBS
3.追加的な200mMのNaClを含むPBS
4.PBS
結合した物質を50mMのクエン酸ナトリウム(pH3)1mL分画にて数回溶出し、各分画につき直ちに300μLの1Mトリス塩酸(pH8.5)で中和した。各分画のTRAIL結合活性を以下に記載されるTRAIL−R特異的ELISAによって決定した。TRAIL結合活性の高い分画をプールし、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液とし、次いでキャピラリー逆相HPLCカラム[内径500μmX25cm、5μmのVydac C素材(Vydac、ヘスペリア、CA)を充填した融合シリコンキャピラリーカラム]にて、0.1%TFAを含む0%〜100%のアセトニトリル水溶液の連続(linear)勾配液(1分間につき2%)を用いてクロマトグラフした。次に、高いTRAIL結合活性を有する分画を上記のようにして決定し、プールして、所望されるならば、凍結乾燥した。
TRAIL−R特異的ELISA
TRAIL−R含有試料(50mMのNaHCO溶液をNaOHでpH9としたもの)の段階希釈液を、Linbro/Titrekの96ウェル平底E.I.A.微量滴定プレート(ICNバイオメディカル社、オーロラ、OH)に100μL/ウェルで載せた。4℃16時間のインキュベーション後、ウェルは0.05%のトゥイーン20を含むPBS(PBS−トゥイーン)200μLで6回洗浄した。このウェルを5%ウシ胎仔血清(FCS)を含む1μg/mLのFlag(登録商標)TRAILのPBS−トゥイーン溶液とともに90分間(各ウェル100μL)インキュベートし、次いで上記のようにして洗浄した。次に、各ウェルを5%FCSを含む、1μg/mLの抗Flag(登録商標)モノクローナル抗体M2のPBS−トゥイーン溶液とともに90分間(各ウェル100μL)インキュベートし、次いで上記のようにして洗浄した。引き続き、ポリクローナル山羊抗mIgG1特異的西洋ワサビペルオキシダーゼ結合性抗体(市販用ストックを5%FCSを含むPBS−トゥイーン溶液で1/5000に希釈したもの)でウェルを90分間(各ウェル100μL)インキュベートした。HRP結合性抗体は、サザンバイオテクノロジーアソシエーツ社、バーミンガム、アラバマから入手された。次いでウェルは、上記のようにして6回洗浄された。
ELISAの顕色のために、基質混合物[各ウェル100μLの、TMBペルオキシダーゼ基質とペルオキシダーゼ溶液B(キルケガードペリーラボラトリーズ、ゲイザースブルグ、メリーランド)の1:1前混合液]をウェルに添加した。十分な発色反応の後、この酵素反応を2Nの硫酸を添加(各ウェル50μL)して終止させた。(TRAIL結合活性を示す)発色強度は、450nmにおける吸光度をVMaxプレートリーダー(モレキュラーデバイス、サニヴェイル、CA)で測定することによって決定した。
実施例2:アミノ酸配列
(a)ジャーカット細胞から精製したTRAIL−R
ジャーカット細胞から単離したTRAIL−Rタンパク質を、従来の方法を用いて、トリプシンで消化した。このトリプシン消化によって産生されたペプチド断片の1つに対してアミノ酸配列分析を実施した。この断片は以下の配列を含むことが判明したが、これはSEQ ID NO:2に示される配列の327〜333位のアミノ酸、即ち、VPANEGDに対応する。
(b)PS−1細胞から精製したTRAIL−R
TRAIL−Rタンパク質はPS−1細胞からも単離された。PS−1は、ヒト末梢血リンパ球(PBLs)を致死的に照射した後に自然発生的に出現したヒトB細胞株である。このTRAIL−Rタンパク質を、慣用の方法を用いて、トリプシンで消化した。このトリプシン消化から生じた幾つかのペプチド断片に対してアミノ酸配列分析を実施した。この断片の1つは以下の配列を含むことが判明したが、これは(a)に示される断片と同様に、SEQ ID NO:2に示される配列の327〜333位のアミノ酸、即ち、VPANEGDに対応する。
実施例3:DNA及びアミノ酸の配列
TRAIL−Rをさらにトリプシンで消化したペプチド断片のアミノ酸配列が決定された。このペプチドの2つのアミノ酸配列に基づいて、縮重したオリゴヌクレオチドが製造された。TRAIL−R DNA断片が単離され、縮重オリゴヌクレオチドを5’及び3’プライマーとして用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。PCRは、実施例2に記載されたPS−1細胞株由来のcDNAを鋳型として用いて、慣用の方法に準じて実施した。単離されたTRAIL−R DNA断片のヌクレオチド配列(プライマーの部分に対応する部分を除く)及びそれによってコードされるアミノ酸配列が図1(SEQ ID NO:3及び4)に示されている。PCRによって単離された全TRAIL−R DNA断片の配列はSEQ ID NO:1のヌクレオチド988〜1164に対応し、これはSEQ ID NO:2の330〜388位のアミノ酸をコードする。
SEQ ID NO:4のアミノ酸配列は、ある他の受容体に見出されるいわゆるデスドメインと有意な相同性を有している。Fasの細胞質領域及びTNF受容体タイプIはそれぞれデスドメインを含み、これがアポトーシス信号の伝達に関連している(Tartaglia等、Cell 74:845,1993;ItohとNagata、J.Biol.Chem.268:10392,1993)。従って、SEQ ID NO:4に示される配列は、TRAIL−Rの細胞質ドメインの内部に見出されると考えられている。
上記の単離断片由来のプローブがcDNAライブラリー(λgt10ベクター中のヒト包皮線維芽細胞由来のcDNA)をスクリーニングするために使用され、ヒトTRAIL−RcDNAが単離された。このcDNAのコード領域のヌクレオチド配列がSEQ ID NO:1に示され、それによってコードされるアミノ酸配列はSEQ ID NO:2に示されている。
実施例4:TRAIL−Rに結合するモノクローナル抗体
この実施例は、TRAIL−Rに結合するモノクローナル抗体を製造する方法を明示する。このような抗体を産生するのに利用され得る適切な免疫原は、限定しないが、精製されたTRAIL−Rタンパク質又は細胞外ドメインのようなその免疫原性断片、又はTRAIL−Rを含む融合タンパク質(例えば、可溶性のTRAIL/Fc融合タンパク質)である。
精製TRAIL−Rは、米国特許第4,411,993号に記載されるような従来技術を用いて、それと免疫反応するモノクローナル抗体を産生するために使用され得る。簡略に言うと、完全フロイントアジュバントで乳化したTRAIL−Rの免疫原でマウスを免疫し、10〜100μgの量を皮下又は腹腔内に注射する。10〜12日後、免疫化した動物に不完全フロイントアジュバントで乳化したTRAIL−Rをさらに追加免疫する。マウスはその後1週間から2週間の免疫化スケジュールで定期的に追加免疫される。後眼窩出血又は尾先端切除によって血清サンプルを周期的に採取してドットブロット法、ELISA(酵素結合性免疫吸着剤検定)又はTRAIL結合の阻害によってTRAIL−R抗体を試験する。
適度な抗体力価を検出した後、陽性動物に対してTRAIL−Rの生理食塩溶液を最後に1回静脈注射する。3〜4日後、この動物を屠殺し、脾臓細胞を採取し、脾臓細胞をマウスの骨髄腫細胞株、例えばNS1又は好ましくはP3x63Ag8.653(ATCC CRL 1580)に融合させる。融合によってハイブリドーマ細胞が産生され、これを非融合細胞、ミエローマハイブリッド及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害するHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)選択培地の入ったマルチマイクロタイタープレートにまく。
Engvall等、Immunochem.8:871,1971及び米国特許第4,703,004号に開示された技術を適用することによって、ハイブリドーマ細胞を精製TRAIL−Rへの反応性に対するELISAでスクリーニングする。好ましいスクリーニング技術は、ベックマン等(J.Immunol.144:4212,1990)に記載された抗体捕捉技術である。陽性のハイブリドーマ細胞を同系のBALB/cマウスに腹腔内注射して、高濃度の抗TRAIL−Rモノクローナル抗体を含む腹水を産生させることができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は様々な技術によってフラスコまたはローラーボトルの中でインビトロで生育させ得る。マウスの腹水で産生されたモノクローナル抗体は硫安沈殿の後、ゲル排除クロマトグラフィーによって精製され得る。また、プロテインA又はプロテインGに対する抗体の結合に基づくアフィニティークロマトグラフィーもまた、TRAIL−Rへの結合に基づいたアフィニティークロマトグラフィーと同様に、使用され得る。
実施例5:ノーザンブロット分析
TRAIL−R mRNAの組織分布を以下のようなノーザンブロット分析によって検討した。放射標識プローブ(実施例3のcDNAライブラリースクリーニングに使用したものと同じ放射標識プローブ)の部分標本に2つの異なるヒト多組織ノーザンブロット(クローンテク、パロアルト、CA;バイオチェイン、パロアルト、CA)を添加した。ハイブリダイゼーションは、かつて記載された(March等、Nature 315:641〜647,1985)ように、50%ホルムアミドにて63℃、一晩の条件で実施した。次いでブロットを68℃で30分間、2XSSC,0.1%SDSで洗浄した。RNA負荷(loadings)を標準化するために、グリセロール−アルデヒド−リン酸脱水素酵素(GAPDH)が用いられた。
脾臓、胸腺、末梢血リンパ球(PBLs)、前立腺、精巣、卵巣、子宮、胎盤及び胃腸管に沿った多数の組織(食道、胃、十二指腸、空腸/回腸、結腸、直腸及び小腸を含む)を含めて、検査したすべての組織に、4.4キロベース(kb)の単一の転写産物が存在していた。最高レベルのTRAIL−RmRNAを有する細胞及び組織は、GAPDH特異的プローブとの対照ハイブリダイゼーションとの比較によって示されるように、PBLs、脾臓及び卵巣である。
実施例6:結合アッセイ
完全長のヒトTRAIL−Rが発現され、TRAILに結合する能力を試験された。この結合アッセイは以下のようにして実施された。
可溶性TRAILポリペプチドのN末端に融合したロイシンジッパーペプチド(LZ−TRAIL)を含む融合タンパク質がこのアッセイに利用された。Flag(登録商標)ペプチドをコードするDNAを、三量体化を可能にする修飾ロイシンジッパーをコードする配列に置換した他は、本質的にWiley等(Immunity,3:673〜682,1995;本明細書中に援用する)においてFlag(登録商標)TRAIL発現構築体の製造のために記載されたようにして、発現構築体を製造した。発現ベクターpDC409というこの構築体は、可溶性TRAILポリペプチドのN末端に融合したロイシンジッパー成分が続くヒトサイトメガロウィルス由来のリーダー配列をコードした。TRAILポリペプチドは、Wiley等(同上)に記載されたように、ヒトTRAILの95〜281位のアミノ酸(細胞外ドメインの断片)を含んでいた。LZ−TRAILはCHO細胞において発現され、培養上澄液から精製された。
pDC409と称された発現ベクターは、McMahan等(EMBO J.10:2821〜2832,1991;本明細書中に援用する)に記載されたpDC406ベクターに由来する哺乳類の発現ベクターである。(pDC406と比較して)pDC409に加えられた特徴は、多クローニング部位(mcs)における独自の制限部位の追加、mcsの下流に位置する3つの終止コドン(各読み取りフレームに1つ)、及びmcsの下流にあってmcsに挿入されたDNAの配列決定を容易にするT7ポリメラーゼプロモーター、を含む。
完全長のヒトTRAIL−Rタンパク質の発現には、完全なコード領域(即ち、SEQ ID NO:1に示されるDNA配列)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。PCRに利用された鋳型は、実施例3に記載された、ヒト包皮線維芽細胞のcDNAライブラリーから単離されたcDNAクローンであった。単離され増幅されたDNAを発現ベクターpDC409に挿入し、pDC409−TRAIL−Rと表記される構築体を産生した。
上記及び実施例8で論じられるように、組換えTRAIL−Rを発現する宿主細胞のアポトーシスを阻害するためにCrmAタンパク質が利用された。pDC409−CrmAと称される発現ベクターは、pDC409の中にポックスウィルスのCrmAをコードするDNAを含んでいた。CrmAと表記された38キロダルトンの牛痘由来タンパク質については、Pickup等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7698〜7702,1986;本明細書中に援用する)に記載されている。
CV−1/EBNA細胞は、pDC409−TRAIL−R及びpDC409−CrmAによって同時形質転換されたか、又はpDC409−CrmA単独で形質転換された。この細胞を10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン及びグルタミンを補充したDMEMにおいて培養した。形質転換後48時間、細胞を非酵素的に分離し、LZ−TRAIL(5μg/mL)、ビオチニル化抗LZモノクローナル抗体(5μg/mL)及びフィコエリトリン結合性ストレプトアビジン(1:400)とともにインキュベートした後、蛍光標示式細胞スキャニング(FACS)によって分析した。血球計算分析はFACスキャン(ベクトンディキンソン、サンホセ、CA)によって実施した。
TRAIL−R及びCrmAをコードするベクターで同時形質転換されたCV−1/EBNA細胞では、CrmAをコードするベクター単独で形質転換された細胞に比べると、LZ−TRAILの結合が有意に増強されたことを示した。
実施例7:TRAIL−Rは標的細胞のTRAIL誘導性アポトーシスを阻止する。
ジャーカット細胞のTRAIL誘導性アポトーシスを阻止する能力に対してTRAIL−Rを試験した。このアッセイに利用したTRAIL−RはsTRAIL−R/Fcと称される融合タンパク質の形態であり、ヒトIgG1由来のFcポリペプチドのN末端に融合したヒトTRAIL−Rの細胞外ドメインを含むものであった。
実施例6に記載したpDC409ベクターの中にsTRAIL−R/Fcタンパク質をコードしている融合遺伝子を含む組換え発現ベクターでCV−1/EBNA細胞を形質転換し、融合タンパク質の発現が可能になるよう培養した。sTRAIL−R/Fc融合タンパク質を培養上澄液から回収した。異種タンパク質をコードしているDNAにIgG1FcポリペプチドをコードしているDNAを融合する方法はSmith等(Cell 73:1349〜1360,1993)に記載されているが、本明細書中でも同様の方法を利用した。
対照として利用したTNF−R2−Fcと称される融合タンパク質は、p75又はp80TNF−R(Smith等、Science 248:1019〜1023,1990;Smith等、Cell 76:959〜962,1994)として知られるTNF受容体タンパク質の細胞外ドメインを含み、Fcポリペプチドに融合していた。ヒトTRAILに対して指向された阻止抗体であるマウスのモノクローナル抗体もこのアッセイに利用された。
ジャーカット細胞が、様々な又は一定の濃度のLZ−TRAIL(LZ−TRAIL融合タンパク質については実施例6に記載)とともに、様々な濃度のsTRAIL−R−Fc、TNF−R2−Fc又はTRAIL特異的モノクローナル抗体の非存在下又は存在下でインキュベートされた。かつて記載された(Mosmann、J.Immunol.Methods 65:55〜63,1983)MTT細胞活性アッセイ(MTTとは、3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドのこと)を用いて、細胞死を定量化した。この結果が図2に示されているが、これは無処置(△)又は可変濃度(▲)又は一定濃度(○、●、□、■)のLZ−TRAIL(13ng/mL)とともに、可変濃度のTRAIL−R2−Fc(■)、TNF−R2−Fc(□)又は抗TRAIL抗体(○)の存在下又は非存在下(●)で処置されたジャーカット細胞の細胞死比率を表している。すべての材料に対する可変濃度は10μg/mLから始めて連続的に希釈した。
抗TRAILモノクローナル抗体及びsTRAIL−R/FcがそれぞれTRAIL誘導性アポトーシスを用量依存的に阻止したのに対し、TNF−R2−Fcは阻止しなかった。従って、TRAIL−Rの細胞外ドメインは、TRAILに結合し、標的細胞のTRAIL介在性アポトーシスを阻害することが可能である。
実施例8:TRAIL誘導性アポトーシスはカスパーゼ阻害剤及びFADD−DNによって阻止される。
CV−1/EBNA細胞を、DEAE−デキストラン法によって、TRAIL−Rの発現プラスミド(pDC409−TRAIL−R)を用いて、z−VAD−fmk(培地中10μM)の存在下又は非存在下で3倍過剰の空の発現ベクター(pDC409)とともに、又は3倍過剰の発現ベクターpDC409−CrmA、pDC409−p35又はpDC409−FADD−DNとともに、形質転換した。さらに、大腸菌lacz遺伝子の発現ベクター(400ng/スライド)をすべてのDNA混合物とともに同時形質転換した。形質転換された細胞は、スライド台に固定した箱の中で培養された。
哺乳類の発現ベクターであるpDC409及び完全長のヒトTRAIL−RをコードしているpDC409−TRAIL−Rベクターについては実施例6に記載されている。トリペプチド誘導体であるzVAD−fmk(ベンジルオキシカルボニル−Val−Ala−Asp−フルオロメチルケトン)は、エンザイムシステムプロダクツ、ダブリン、カリフォルニアから供される。
CrmAと表記された38キロダルトンの牛痘由来のタンパク質がPickup等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7698〜7702,1986;本明細書中に援用する)に記載されている。CrmAの配列情報は、Pickup等、同上の図4に示されている。
バキュロウィルスである核多面体病ウィルス、Autographa californicaによってコードされる35キロダルトンのタンパク質がFriesenとMiller(J.Virol.61:2264〜2272,1987;本明細書中に援用する)に記載されている。ここでバキュロウィルスp35と表記されるこのタンパク質の配列情報は、FriesenとMiller、同上の図5に示されている。
FADD(MORT1とも称される)は、Boldin等(J.Biol.Chem.270:7795〜7798,1995;本明細書中に援用する)に記載されている。FADD−DN(FADD優性ネガティブ)と呼ばれるこのタンパク質は、デスドメインを含むFADDのC末端断片である。N末端Flag(登録商標)エピトープ標識(上記に記載)に融合したFADD−DNをコードするDNAを、実施例6に記載されたpDC409発現ベクターに挿入し、pDC409−FADD−DNを形成させた。このFADD−DNポリペプチドは、Boldin等、同上に示されたMORT1アミノ酸配列の117〜245位のアミノ酸に相当する。
形質転換から48時間、細胞をPBSで洗浄し、グルタルアルデヒドで固定した後、X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトピラノシド)とともにインキュベートした。β−ガラクトシダーゼを発現している細胞は青く染まる。染色された細胞の比率が減少することはβ−ガラクトシダーゼ発現の欠失を示し、lacz遺伝子で同時形質転換された、このタンパク質を発現する細胞の死と関連する。
この結果が図3に示されているが、ここでプロットされた数値は少なくとも3回の個別実験の平均値及び標準偏差を表している。ポックスウィルスCrmA、バキュロウィルスp35、FADD−DN及びz−VAD−fmkは、TRAIL−Rを発現している形質転換細胞の死をいずれも効果的に減少させた。
本発明は、以下の態様1−39をも提供する。
態様1.アミノ酸配列VPANEGDを含むことを特徴とする、TRAILに結合し得る精製されたTRAIL受容体(TRAIL−R)ポリペプチド。
態様2.前記ポリペプチドが約50〜55キロダルトンの分子量であることをさらに特徴とする、態様1に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様3.前記ポリペプチドがアミノ酸配列ETLRQCFDDFADLVPFDSWEPLMRKLGLMDNEIKVAKAEAAGHRDTLXTMLを含むことをさらに特徴とする、態様1に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様4.前記ポリペプチドが約50〜55キロダルトンの分子量であることをさらに特徴とする、態様3に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様5.a)SEQ ID NO:2のTRAIL−Rポリペプチド、及びb)TRAILに結合し得る、(a)のポリペプチドの断片、を含むグループから選択される精製されたTRAIL−Rポリペプチド。
態様6.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2のx〜440位のアミノ酸を含み、xは51〜59までの整数である、態様5に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様7.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2の54〜440位のアミノ酸を含む、態様6に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様8.前記断片がSEQ ID NO:2のTRAIL−Rタンパク質の細胞外ドメインを含む、可溶性TRAIL−Rである、態様5に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様9.SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む精製されたTRAIL−Rポリペプチド。
態様10.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、態様9に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様11.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、態様10に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様12.前記ポリペプチドが天然に得られたものである、態様9に記載のTRAIL−Rポリペプチド。
態様13.態様5に記載のTRAIL−Rポリペプチドを2ないし4つ含むオリゴマー。
態様14.態様8に記載のTRAIL−Rポリペプチドを2ないし4つ含むオリゴマー。
態様15.態様5に記載のTRAIL−Rポリペプチド、並びに及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又はキャリアーを含む組成物。
態様16.態様8に記載のTRAIL−Rポリペプチド、並びに生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又はキャリアーを含む組成物。
態様17.図1に示されるヌクレオチド配列を含む、単離されたTRAIL−R DNA。
態様18.a)SEQ ID NO:2のTRAIL−Rポリペプチド、及びb)TRAILに結合し得る、(a)のポリペプチドの断片、を含むグループから選択されるポリペプチドをコードする単離されたTRAIL−R DNA。
態様19.前記DNAがSEQ ID NO:2の1〜440位のアミノ酸をコードする、態様18に記載のTRAIL−R DNA。
態様20.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2のx〜440位のアミノ酸を含み、xは51〜59までの整数である、態様18に記載のTRAIL−R DNA。
態様21.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2の54〜440位のアミノ酸を含む、態様20に記載のTRAIL−R DNA。
態様22.前記断片がSEQ ID NO:2のTRAIL−Rタンパク質の細胞外ドメインを含む可溶性TRAIL−Rである、態様18に記載のTRAIL−R DNA。
態様23.前記DNAがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたTRAIL−R DNA。
態様24.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、態様23に記載のTRAIL−R DNA。
態様25.前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、態様24に記載のTRAIL−R DNA。
態様26.前記ポリペプチドが天然に得られたものである、態様23に記載のTRAIL−R DNA。
態様27.態様18によるDNAを含む発現ベクター。
態様28.態様19によるDNAを含む発現ベクター。
態様29.態様20によるDNAを含む発現ベクター。
態様30.態様22によるDNAを含む発現ベクター。
態様31.態様23によるDNAを含む発現ベクター。
態様32.態様27に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
態様33.態様28に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
態様34.態様29に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
態様35.態様30に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
態様36.態様31に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
態様37.SEQ ID NO:1の配列の少なくとも60のヌクレオチド又はそのDNA又はRNA相補体を含む単離されたTRAIL−R DNA。
態様38.態様5に記載のTRAIL−Rポリペプチド又はその抗原結合断片に対して指向された抗体。
態様39.前記抗体がモノクローナル抗体である。態様38に記載の抗体。

Claims (9)

  1. TRAIL−Rポリペプチドに対して指向された抗体又はその抗原結合断片であって、該TRAIL−Rポリペプチドが、
    a)SEQ ID NO:2のTRAIL−Rポリペプチド;
    b)SEQ ID NO:2のx〜440位のアミノ酸、ここでxは51〜59までの整数である、を含むポリペプチド;及び
    c)SEQ ID NO:2の54〜440位のアミノ酸を含むポリペプチド;
    からなるグループから選択される、前記抗体又はその抗原結合断片。
  2. TRAIL−Rポリペプチドに対して指向された抗体又はその抗原結合断片であって、該TRAIL−RポリペプチドがSEQ ID NO:2のx〜210位のアミノ酸、ここでxは51〜59までの整数である、を含む可溶性TRAIL−Rである、前記抗体又はその抗原結合断片。
  3. TRAIL−Rポリペプチドが、SEQ ID NO:2の52〜210位のアミノ酸を含む、請求項2に記載の抗体又はその抗原結合断片。
  4. TRAIL−Rポリペプチドに対して指向された抗体又はその抗原結合断片であって、該TRAIL−RポリペプチドがSEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
  5. TRAIL−Rポリペプチドが天然に生じたものである、請求項4に記載の抗体又はその抗原結合断片。
  6. 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、および生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又はキャリアーを含む組成物。
  8. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片についた検出可能な剤又は治療薬を含む結合体。
  9. 請求項6に記載の単離されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
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