JP5322793B2 - 音声合成装置及び音声合成方法 - Google Patents
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即ち、テキスト音声合成技術では、音声合成装置が、母音を「V」、子音を「C」で表して、「CV」、「CVC」、「VCV」等の基本となる小さな単位の特徴パラメータを音声素片として予め記憶している。この音声合成装置に、テキストから得られた音韻記号及び韻律情報が入力されると、その音韻記号に対応する音声素片を選択的に読み出し、読み出した音声素片のピッチや音韻継続時間長を韻律情報に従って制御して順次接続することにより、テキストに対応した音声を合成するようにしている。
なお、特許文献1に開示されている音声合成装置では、音声波形の圧縮に、固定長フレームで履歴を有し、かつ、圧縮結果が固定長である圧縮方式を使用している。ここで、「履歴を有する」とは、あるフレームを圧縮する際に、時間的にその前のフレームの情報を使用することである。このような圧縮方式としては、CELP(Code Excited Linear Prediction)、VSELP(Vector Sum Excited Linear Prediction)等が知られている。
図1は、この発明の実施の形態1による音声合成装置の構成を示すブロック図である。この音声合成装置は、入力テキストに応じた合成音声を生成するものであり、入力テキストに対して言語解析処理及び韻律生成処理を実施することにより得られる音韻記号及び韻律情報を入力として用いる。なお、韻律情報としては、ピッチ、音韻継続時間長、パワー等の情報がある。
図2は、音声素片辞書1が格納する音声素片を説明するための図である。図2に示すように、例えば「あたまが」という発声された音声波形を圧縮した圧縮音声波形のうち、CV素片「ta」を音声素片として用いる場合には、音声素片「ta」に先行する区間も含めた音声素片として音声素片辞書1に格納される。また、音声素片「ta」と一部重複する音声素片「am」を音声素片として用いる場合には、音声素片「ta」,「am」と各先行区間とを含む一連の音声素片として音声素片辞書1に格納してもよい。この場合には、音声素片辞書1に格納すべき情報量(メモリ量)を削減する効果がある。
図3は、音声波形伸張部3の内部構成を示すブロック図である。図3において、圧縮音声波形分離部6は、圧縮音声波形読み出し部2により読み出された圧縮音声波形を、圧縮音源信号(第1の部分圧縮音声波形)と圧縮スペクトル(第2の部分圧縮音声波形)とに分離する処理を実施する。なお、圧縮音声波形分離部6は圧縮音声波形分離手段を構成している。
音源信号伸張部7は、圧縮音声波形分離部6により分離された圧縮音源信号を伸張して音源信号(第1の伸張データ)にする。なお、音源信号伸張部7は第1の伸張手段を構成している。
スペクトル伸張部8は、圧縮音声波形分離部6により分離された圧縮スペクトルを伸張してスペクトル(第2の伸張データ)にする。なお、スペクトル伸張部8は第2の伸張手段を構成している。
合成部9は、音源信号伸張部7で伸張された音源信号と、スペクトル伸張部8で伸張されたスペクトルとを合成して音声波形を生成する処理を実施する。なお、合成部9は合成手段を構成している。
音声合成装置には、入力テキストから得られる複数の音韻記号及び韻律情報が順次入力される。また、この音声合成装置の音声素片辞書1には、音声素片の音声波形が格納されているが、記憶容量を低減するために、CELP、VSELP等の圧縮方式により音声素片の音声波形が圧縮され、圧縮音声波形として格納されている。単語、単文中の一部分を音声素片として用いる場合には、その音声素片区間に先行する区間を含めた圧縮音声波形が格納されていることは上述のとおりである。
例えば、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片が「ta」であれば、音声素片辞書1に格納されている圧縮音声波形のうち、音声素片「ta」の音声波形を含み、かつ、その音声波形の前方の所定の先行区間を含んだ圧縮音声波形を読み出すようにする。
なお、上記では音声素片の波形を、ピッチ及び音韻継続時間長を変形して用いているが、これに代え、ピッチ若しくは音韻継続時間長のどちらか一方、又は両方を変形せずに用いることも当然可能である。
先ず、圧縮音声波形分離部6は、圧縮音声波形読み出し部2が読み出した圧縮音声波形を、圧縮音源信号と圧縮スペクトルとに分離する処理を実施する(ステップST11)。そして、圧縮音声波形分離部6は圧縮音源信号を音源信号伸張部7に、圧縮スペクトルをスペクトル伸張部8に、それぞれ出力する。
ここで、音源信号の圧縮に履歴を有する圧縮方式を使用しているため、第1の先行区間は、この履歴を考慮して、例えば音源信号を伸張する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。
ここで、スペクトルの圧縮に履歴を有する圧縮方式を使用しているため、第2の先行区間は、この履歴を考慮して、例えばスペクトルを伸張する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。
ここで、音声波形の生成には履歴を有する生成方式を使用しているため、第3の先行区間は、例えば音声波形を生成する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。又は、ユーザが合成音声を受聴する際の劣化感が十分に小さくなるように設定されているものとする。
上記実施の形態1では、音声素片辞書1が音声素片の先行区間の圧縮音声波形を保持する構成としたが、本実施の形態2では、圧縮音声波形のうち、伸張処理に不要な先行区間の圧縮音源波形又は圧縮スペクトルを削除する構成にする。なお、本実施の形態2の音声合成装置は、図1及び図3に示す音声合成装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図1及び図3を援用して説明する。
このため、合成音声の品質に影響を与えることなく音声素片辞書1に保持すべき情報を削減でき、この結果、少ない記憶容量で、高い品質の合成音声を生成することができる。
さらに、圧縮音声波形読み出し部2では読み出すべき情報が削減されるので、読み出す処理に要する処理量を削減することができ、この結果、少ない処理量で、高い品質の合成音声を生成することができる。
図7は、この発明の実施の形態3による音声合成装置の構成を示すブロック図である。この音声合成装置は、入力テキストに応じた合成音声を生成するものであり、入力テキストに対して言語解析処理及び韻律生成処理を実施することにより得られる音韻記号及び韻律情報を入力として用いる。なお、韻律情報としては、ピッチ、音韻継続時間長、パワー等の情報がある。
図8は、音声素片辞書10が格納する音声素片を説明するための図である。図8に示すように、例えば「あたまが」という発声された音声波形を圧縮した圧縮音声波形のうち、CV素片「ta」を音声素片として用いる場合には、音声素片「ta」に先行する第1の先行区間の圧縮音源信号と、第2の先行区間の圧縮スペクトルとを含めた音声素片として音声素片辞書10に格納する。
図9は、音声波形伸張部13の内部構成を示すブロック図である。図9において、音源信号伸張部7は、圧縮音源信号読み出し部11により読み出された圧縮音源信号を伸張して音源信号にする。なお、音源信号伸張部7は第1の伸張手段を構成している。
スペクトル伸張部8は、圧縮スペクトル読み出し部12により読み出された圧縮スペクトルを伸張してスペクトルにする。なお、スペクトル伸張部8は第2の伸張手段を構成している。
合成部9は、音源信号伸張部7で伸張された音源信号と、スペクトル伸張部8で伸張されたスペクトルとを合成して音声波形を生成する処理を実施する。なお、合成部9は合成手段を構成している。
音声合成装置には、入力テキストから得られる複数の音韻記号及び韻律情報が順次入力される。また、この音声合成装置の音声素片辞書10には、音声素片の音声波形が格納されているが、記憶容量を低減するために、CELP、VSELP等の圧縮方式により音声素片の音声波形が圧縮され、圧縮音源信号と圧縮スペクトルとに分離して格納されている。単語、単文中の一部分を音声素片として用いる場合には、その音声素片区間に先行する区間を含めた圧縮音源信号及び圧縮スペクトルが格納されていることは上述のとおりである。また、音声素片に先行する区間が、圧縮音源信号では第1の先行区間、圧縮スペクトルでは第2の先行区間に相当することも上述のとおりである。
例えば、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片が「ta」であれば、音声素片辞書10に格納されている圧縮音源信号のうち、音声素片「ta」の音源信号を含み、かつ、その音源信号の前方の第1の先行区間を含んだ圧縮音源信号を読み出すようにする。
例えば、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片が「ta」であれば、音声素片辞書10に格納されている圧縮スペクトルのうち、音声素片「ta」のスペクトルを含み、かつ、そのスペクトルの前方の第2の先行区間を含んだ圧縮スペクトルを読み出すようにする。
なお、上記では音声素片の波形を、ピッチ及び音韻継続時間長を変形して用いているが、これに代え、ピッチ若しくは音韻継続時間長のどちらか一方、又は両方を変形せずに用いることも当然可能である。
先ず、音源信号伸張部7は、圧縮音源信号読み出し部11から圧縮音源信号が入力されると、第1の先行区間と音声素片区間の一連の圧縮音源信号を伸張する(ステップST31)。
ここで、音源信号の圧縮には履歴を有する圧縮方式を使用しているため、第1の先行区間は、この履歴を考慮して、例えば音源信号を伸張する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。又は、ユーザが合成音声を受聴する際の劣化感が十分に小さくなるように設定されているものとする。
ここで、スペクトルの圧縮には履歴を有する圧縮方式を使用しているため、第2の先行区間は、この履歴を考慮して、例えばスペクトルを伸張する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。又は、ユーザが合成音声を受聴する際の劣化感が十分に小さくなるように設定されているものとする。
ここで、音声波形の生成には履歴を有する生成方式を使用しているため、第3の先行区間は、例えば音声波形を生成する際に音声素片の区間での歪みが十分に小さくなるように設定されているものとする。又は、ユーザが合成音声を受聴する際の劣化感が十分に小さくなるように設定されているものとする。
Claims (10)
- 音声素片の音声波形と、当該音声素片に先行する区間の音声波形とを含めて圧縮した圧縮音声波形を格納している音声素片辞書と、
上記音声素片辞書に格納されている圧縮音声波形の中から、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片の音声波形とその先行区間の音声波形とを含む圧縮音声波形を読み出す圧縮音声波形読み出し手段と、
上記圧縮音声波形読み出し手段により読み出された圧縮音声波形を伸張して音声波形を得る音声波形伸張手段と、
上記音声波形伸張手段により得た音声波形から音声素片の音声波形を抽出する音声波形抽出手段と、
上記音声波形抽出手段により抽出された音声素片の音声波形を順次接続して合成音声を生成する音声生成手段とを備えた音声合成装置において、
上記音声波形伸張手段は、
上記圧縮音声波形読み出し手段により読み出された圧縮音声波形を、音声波形の音源信号を圧縮した第1の部分圧縮音声波形と当該音声波形のスペクトルを圧縮した第2の部分圧縮音声波形とに分離する圧縮音声波形分離手段と、
上記第1の部分圧縮音声波形のうち、音声素片区間と当該音声素片区間に先行する第1の先行区間とを伸張して第1の伸張データを得る第1の伸張手段と、
上記第2の部分圧縮音声波形のうち、上記音声素片区間と上記音声素片区間に先行する第2の先行区間とを伸張して第2の伸張データを得る第2の伸張手段と、
上記第1の伸張データと上記第2の伸張データとを、第3の先行区間と上記音声素片区間とに渡って合成して音声波形を得る合成手段とを有し、
上記第1の先行区間、上記第2の先行区間、及び上記第3の先行区間のうちの少なくとも一つの区間長が他の区間長と異なることを特徴とする音声合成装置。 - 音声素片辞書は、音声素片に先行する区間の音声波形のうち、第1の伸張手段又は第2の伸張手段に不要な区間の第1の部分圧縮音声波形又は第2の部分圧縮音声波形を削除した圧縮音声波形を格納していることを特徴とする請求項1記載の音声合成装置。
- 音声素片の音声波形と、当該音声素片に先行する区間の音声波形とを含めて圧縮した圧縮音声波形を、当該音声素片区間と当該音声素片区間に先行する第1の先行区間とを含む音声波形の音源信号を圧縮した第1の部分圧縮音声波形と、当該音声素片区間と当該音声素片区間に先行し上記第1の先行区間と異なる区間長の第2の先行区間とを含む音声波形のスペクトルを圧縮した第2の部分圧縮音声波形とに分離して格納している音声素片辞書と、
上記音声素片辞書に格納されている第1の部分圧縮音声波形の中から、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片とその第1の先行区間とを含む第1の部分圧縮音声波形を読み出す第1の部分圧縮音声波形読み出し手段と、
上記音声素片辞書に格納されている第2の部分圧縮音声波形の中から、上記音韻記号に対応する音声素片とその第2の先行区間とを含む第2の部分圧縮音声波形を読み出す第2の部分圧縮音声波形読み出し手段と、
上記第1の部分圧縮音声波形読み出し手段により読み出された第1の部分圧縮音声波形と、上記第2の部分圧縮音声波形読み出し手段により読み出された第2の部分圧縮音声波形とを用いて、音声波形を得る音声波形伸張手段と、
上記音声波形伸張手段により得た音声波形から音声素片の音声波形を抽出する音声波形抽出手段と、
上記音声波形抽出手段により抽出された音声素片の音声波形を順次接続して合成音声を生成する音声生成手段とを備えた音声合成装置。 - 音声波形伸張手段は、
第1の部分圧縮音声波形を伸張して第1の伸張データを得る第1の伸張手段と、
第2の部分圧縮音声波形を伸張して第2の伸張データを得る第2の伸張手段と、
上記第1の伸張データと上記第2の伸張データとを、第3の先行区間と音声素片区間とに渡って合成して音声波形を得る合成手段とを有することを特徴とする請求項3記載の音声合成装置。 - 第1の部分圧縮音声波形に含まれる第1の先行区間の区間長は、第2の部分圧縮音声波形に含まれる第2の先行区間の区間長より長いことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の音声合成装置。
- 音声素片の音声波形と、当該音声素片に先行する区間の音声波形とを含めて圧縮した圧縮音声波形を格納している音声素片辞書から、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片の音声波形とその先行区間の音声波形とを含む圧縮音声波形を読み出す圧縮音声波形読み出しステップと、
上記圧縮音声波形読み出しステップにより読み出された圧縮音声波形を伸張して音声波形を得る音声波形伸張ステップと、
上記音声波形伸張ステップにより得た音声波形から音声素片の音声波形を抽出する音声波形抽出ステップと、
上記音声波形抽出ステップにより抽出された音声素片の音声波形を順次接続して合成音声を生成する音声生成ステップとを備えた音声合成方法において、
上記音声波形伸張ステップは、
上記圧縮音声波形読み出しステップにより読み出された圧縮音声波形を、音声波形の音源信号を圧縮した第1の部分圧縮音声波形と当該音声波形のスペクトルを圧縮した第2の部分圧縮音声波形とに分離する圧縮音声波形分離ステップと、
上記第1の部分圧縮音声波形のうち、音声素片区間と当該音声素片区間に先行する第1の先行区間とを伸張して第1の伸張データを得る第1の伸張ステップと、
上記第2の部分圧縮音声波形のうち、上記音声素片区間と上記音声素片区間に先行する第2の先行区間とを伸張して第2の伸張データを得る第2の伸張ステップと、
上記第1の伸張データと上記第2の伸張データとを、第3の先行区間と上記音声素片区間とに渡って合成して音声波形を得る合成ステップとを有し、
上記第1の先行区間、上記第2の先行区間、及び上記第3の先行区間のうちの少なくとも一つの区間長が他の区間長と異なることを特徴とする音声合成方法。 - 音声素片辞書は、音声素片に先行する区間の音声波形のうち、第1の伸張ステップ又は第2の伸張ステップに不要な区間の第1の部分圧縮音声波形又は第2の部分圧縮音声波形を削除した圧縮音声波形を格納していることを特徴とする請求項6記載の音声合成方法。
- 音声素片の音声波形と、当該音声素片に先行する区間の音声波形とを含めて圧縮した圧縮音声波形を、当該音声素片区間と当該音声素片区間に先行する第1の先行区間とを含む音声波形の音源信号を圧縮した第1の部分圧縮音声波形と、当該音声素片区間と当該音声素片区間に先行し上記第1の先行区間と異なる区間長の第2の先行区間とを含む音声波形のスペクトルを圧縮した第2の部分圧縮音声波形とに分離して格納している音声素片辞書から、入力テキストから得られる音韻記号に対応する音声素片とその第1の先行区間とを含む第1の部分圧縮音声波形を読み出す第1の部分圧縮音声波形読み出しステップと、
上記音声素片辞書から、上記音韻記号に対応する音声素片とその第2の先行区間とを含む第2の部分圧縮音声波形を読み出す第2の部分圧縮音声波形読み出しステップと、
上記第1の部分圧縮音声波形読み出しステップにより読み出された第1の部分圧縮音声波形と、上記第2の部分圧縮音声波形読み出しステップにより読み出された第2の部分圧縮音声波形とを用いて、音声波形を得る音声波形伸張ステップと、
上記音声波形伸張ステップにより得た音声波形から音声素片の音声波形を抽出する音声波形抽出ステップと、
上記音声波形抽出ステップにより抽出された音声素片の音声波形を順次接続して合成音声を生成する音声生成ステップとを備えた音声合成方法。 - 音声波形伸張ステップは、
第1の部分圧縮音声波形を伸張して第1の伸張データを得る第1の伸張ステップと、
第2の部分圧縮音声波形を伸張して第2の伸張データを得る第2の伸張ステップと、
上記第1の伸張データと上記第2の伸張データとを、第3の先行区間と音声素片区間とに渡って合成して音声波形を得る合成ステップとを有することを特徴とする請求項8記載の音声合成方法。 - 第1の部分圧縮音声波形に含まれる第1の先行区間の区間長は、第2の部分圧縮音声波形に含まれる第2の先行区間の区間長より長いことを特徴とする請求項6から請求項9のうちのいずれか1項記載の音声合成方法。
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