JP5319935B2 - 毛髪繊維配向の測定方法 - Google Patents

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本発明は、毛髪繊維配向の測定方法に関する。さらに、毛髪繊維の配向変化から、毛髪のダメージや、くせ毛の程度を評価する方法に関する。
毛髪はケラチン蛋白質からなる直径40〜150μm程度の繊維である。毛髪は最外層にキューティクル、その内側には毛髪の主要部分を占めるコルテックスと呼ばれる組織がある。コルテックス細胞内部は、α−へリックス構造を主体とする結晶性繊維蛋白質の集合体と非晶質の球状蛋白質からなり、全体として複雑な階層構造を形成している。毛髪の繊維配向は、パーマやブリーチなどの化学処理、直毛やくせ毛などの個人差によって変化することが知られている。毛髪に関わる様々な現象の把握や直毛やくせ毛など個人差を評価するために、毛髪内の繊維配向を測定することは重要である。
毛髪内の繊維配向の測定方法としては、X線小角散乱法が挙げられる(例えば非特許文献1を参照)。この手法では毛束全体での繊維配向が把握できる。更にマイクロビームX線小角散乱法を用いると、毛髪一本について、くせの程度を繊維配向の違いとして測定できる。しかしながら、この方法では直径5μm以下の局所での構造情報は取得できない。また、測定には大規模な放射光使用施設が必要であるため、簡便に毛髪内の繊維配向を測定する方法とは言い難く、毛髪内局所の繊維配向は簡便に測定できないという欠点があった。
毛髪のダメージや個人差といった特徴を評価する方法としては、毛髪太さやカール半径など毛髪形状の測定(例えば特許文献1を参照。)、ねじり弾性や粘弾性の測定(例えば特許文献2を参照。)などが従来行われてきた。また、有機物を毛髪内に浸透させた後にその浸透速度を観測することによってくせ毛を診断する方法も提案されている(例えば特許文献3を参照。)。
特開2002−112834号公報 特開平8−15111号公報 特開平9−178738号公報 Journal of Structural Biology,(2006),155(3),p.438-444.
本発明では、毛髪切片を作成することなく、毛髪内の局所(例えば、直径5μm以下の局所)における繊維配向を簡便に定量的に測定しうる方法を提供することを目的とする。また、その測定結果に基づいて毛髪の個人差やダメージを評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ラマン分光法によって毛髪のラマンスペクトルを測定することで、毛髪の繊維配向がいくつかのラマンバンドに反映され、そのピーク強度の変化から繊維配向を簡便に定量的に測定し評価することが可能であることを見出した。本発明は、このような知見に基づきなされるに至ったものである。
本発明は、偏光励起レーザーを毛髪に照射し、得られたラマンスペクトルからC−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンド及びNHバンドよりなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(A)と、CHバンド及びCHバンドからなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(B)とを得て、(A)と(B)との信号強度比(A)/(B)に基づいて毛髪の繊維配向を測定する方法に関する。
本発明によれば、毛髪切片を作成することなく、例えば直径5μm以下の毛髪内の局所における繊維配向を簡便に定量的に測定することが可能になる。また、測定結果に基づいてダメージ毛や個人差(くせ毛・直毛など)を簡便に評価することが可能である。
また、本発明によれば、毛髪を断片したり有機物を浸透させる等の加工処理を必要とせず、簡便な方法で、微細な範囲における毛髪の繊維配向を測定することが可能である。また、毛髪繊維配向の測定によって、毛髪のダメージや、くせ毛・直毛などの個人差も容易に評価することが可能となる。
本発明について以下に説明する。
本発明では、偏光励起レーザーを毛髪に照射し、ラマン分光計を用いて毛髪内の局所におけるラマンスペクトルを測定する。ここで、「局所」とは、レーザービームが照射されたときの焦点部分となる毛髪の一部分をいい、レーザービームの照射面積(ビーム径)、及び共焦点ラマン分光器の共焦点光学系のピンホールによって定まる範囲をいう。
ラマン分光測定においては、一般的な方法を使用することができ、特に、共焦点顕微ラマン法による測定が好ましい。また、本発明に用いられる偏光励起レーザーとしては、ラマン分光測定において一般的に用いられるレーザー光源を使用することができる。
本発明におけるラマン分光測定は、1本又は複数の測定対象の毛髪に対して、偏光している励起レーザー光を照射することによって行う。該レーザー光としては、毛髪軸に対して一定方向に偏光した励起レーザーを用いて行うことが、得られたラマンスペクトルの、上述した各バンド情報から毛髪繊維配向の情報を精度良く得ることが容易となるので好ましい。ここで、毛髪軸とは、測定部位における毛髪の成長方向(図1(b)を参照。)を指す。
「毛髪軸に対して一定方向に偏光した」とは、(1)毛髪軸と平行な方向に偏光した場合、(2)毛髪を置く試料台面と同一面内でかつ毛髪軸と垂直な方向に偏光した場合、(3)(1)と(2)とをベクトル的に合成したときに得られる一方向に偏光した場合、又は(4)毛髪を置く試料台面内にない一方向へ偏光した場合のいずれかを意味する。このうち、(1)又は(2)の方向に偏光したレーザーを使用することが、毛髪の繊維配向の情報をより精度良く得られるので好ましい。この場合、(1)と(2)各々のレーザー光を同一の毛髪に対して別々に照射して対応する2つのラマンスペクトルを得て、両スペクトルから得られた、後述する(A)/(B)を比較して毛髪繊維配向情報を得る方法や、複数の毛髪に対して、(1)のレーザー光を照射して、対応するラマンスペクトルを得て、各スペクトルから得られた後述する(A)/(B)を比較して毛髪繊維配向情報を測定することが好ましい。
本発明の方法では、ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのうち、C−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンド及びNHバンドよりなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(A)と、CHバンド及びCHバンドからなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(B)とを得る。
ここで、C−Cバンドは936cm−1付近、C−Hバンドは1314cm−1付近、アミドIバンドは1666cm−1付近、NHバンドは3290cm−1付近、CHバンドは2930cm−1付近、CHバンドは1452cm−1付近で観測されるものである。なお、NH伸縮振動領域はOH伸縮振動が重なって観測される領域であるが、ピーク強度の増強に水がかかわっていないと仮定できるとき、3290cm−1付近のピークをNH伸縮振動のピークとする。
また、(B)群のピークは、(A)群のピークを正規化する目的で使用されるため、そのピークが大きく、かつ、毛髪繊維配向以外の影響を受けにくいものが好ましく選択される。このような観点から、(B)群のうちCHバンドの信号強度を用いることが好ましい。
ピーク(A)とピーク(B)とのピーク強度比(A)/(B)を算出して、(A)のピーク強度を(B)のピーク強度により正規化する。ピーク強度(信号強度)とは各ピーク波長におけるそれぞれのベースラインからピークまでの高さであるが、各ピーク強度を、それぞれのピーク面積に置き換えて算出することもできる。ピーク(B)の信号強度で正規化したピーク(A)の信号強度を対比することにより、毛髪内の局所におけるα−ヘリックス構造の配向状態を知ることができる。
一般に、毛髪の繊維構造は、ケラチンのα−へリックス構造が主体となっていることが知られている。そして、α−へリックスに由来するC−C伸縮、アミドI(C=O伸縮)、NH伸縮の振動方向は、α−へリックス構造軸に対して平行であることが知られており、α−へリックス構造軸は毛髪軸に沿った方向であることが知られている。したがって、毛髪軸に対して平行な偏光を与えた場合にC−C伸縮、アミドI、NH伸縮のバンドを測定し、その散乱光強度を観測することによって、毛髪中のα−へリックス構造の配向情報を得ることが可能となる。
また、一般に、機械力により毛髪を20%以上延伸すると、繊維の伸長過程で、α−へリックス構造がほぐれβ−シート構造の生成が生じることが知られている(Biophysical Journal,Vol.87,p.640-647,(2007)を参照。)。ほぐれて生成したβ−シートに由来するアミドI(C=O伸縮)、NH伸縮のバンドは、毛髪軸に対して垂直方向であることが知られている。したがって、毛髪軸に対して垂直な偏光を与えた場合に、アミドI、NH伸縮のバンドを測定し、その散乱光強度を観測することによって、毛髪中のβ−へリックス構造の配向情報を得ることが可能となる。
前記の(A)/(B)を比較して毛髪繊維配向情報を得る手法により、毛髪内の局所(例えば、直径5μm以下の局所)における繊維配向を測定することができる。特に、本発明によれば、毛髪切片を作成することなく簡便に定量的に繊維配向を測定することができる。
本発明の方法により毛髪の繊維配向を測定した後、その毛髪の繊維配向の状態から、くせ毛の程度を評価したり、毛髪のダメージを評価したりすることができる。すなわち、直毛やくせ毛などの毛髪の個体差を評価することができる。また、毛髪の過収縮(パーマ処理)、毛髪の伸長(ストレートパーマ処理)等の化学処理による毛髪の繊維配向の状態から毛髪のダメージを評価することができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の装置を用いて試験を行った。
<装置構成>
ラマン分光器:ナノファインダー30(東京インスツルメンツ社製、商品名)
励起波長:632.8nm
ピークパワー:8mW
対物レンズ:40倍(NA=0.9)
実施例1
(未処理毛の測定)
実験におけるレーザーの向き、偏光方向、試料の向きなどの位置関係、及び実験装置の概略図を図1に示す。図1(a)は実験装置の概略図を示し、図1(b)は、実験の座標系を示す。測定対象の毛髪は、毛髪軸(測定部位における毛髪の長軸方向)が試料台面上で常に一定方向になるように配置しその方向をX軸とした。また、試料台面と同一面内で、かつ毛髪と垂直な方向をY軸、試料台面内になく、かつ毛髪と垂直な方向をZ軸方向とした。レーザー光源10から照射された入射光は、入射光の偏光の精度を高めるために、グランテーラープリズム11を透過させた後、2分の1波長板12を用いて偏光面を90度回転させて偏光方向の切り替えを行い、試料台13上に配置した測定対象(毛髪)に対して照射した。測定対象の毛髪試料は、張力はあたえずそのままの形状を維持したまま、上から針金などで荷重を加え、試料台面上に置いた。散乱光は、散乱光の偏光成分を取り出すために、ラマン分光器の付属品であるグランテーラープリズム14を検出器側に付け、プリズムを90度回転させて偏光を選択し、CCD15により検出した。なお、測定対象はすべて日本人男性の白髪で行った。測定の際には、毛髪表面から約10μm奥のコルテックス部分について測定を行った。
未処理の毛髪を、毛髪軸がステージ上で常に一定方向になるように置き(X軸方向)、試料下方(Z軸方向)から励起レーザーを照射した。このとき、毛髪軸と平行な方向に偏光したレーザー、または、毛髪を置く試料台面と同一面内でかつ毛髪軸と垂直な方向に偏光したレーザーを用いて2種類のラマンスペクトルの測定を行った。それぞれ、励起レーザーと同じ向きの散乱光を検出し、毛髪軸に対して平行な励起レーザーを用いた場合の測定を、Z(XX)Z、毛髪軸に対して垂直な励起レーザーを用いた場合の測定をZ(YY)Zと表記する。それぞれの測定結果を図2に示す。
図2から明らかなように、α−へリックス由来のC−C伸縮振動(936cm−1)、α−へリックス由来C−H変角振動(1314cm−1)、アミドI(1666cm−1)及びNH伸縮振動(3290cm−1)のピークが、Z(YY)ZよりもZ(XX)Zで強く観測された。NH伸縮振動の領域はOH伸縮振動とNH伸縮振動が重なって観測されるが、ピーク強度の増強には主にNH伸縮振動が寄与している。
図2に示した各ラマンスペクトルにおいて、C−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンドのピーク強度をそれぞれ2930cm−1付近のCHのピーク強度で除することで正規化し、CHバンドのピーク強度を100としたときのピーク強度を表1及び図3に示す。図3中、それぞれ左側のピーク強度がZ(XX)Zの測定結果を表し、右側のピーク強度がZ(YY)Zの測定結果を表す。
Figure 0005319935
表1及び図3から明らかなように、それぞれのバンドにおけるピーク面積はZ(YY)Zの測定結果よりもZ(XX)Zの測定結果の方が大きかった。毛髪軸に平行な繊維配向の信号は、Z(YY)よりもZ(XX)Zで強く得られた。したがって、本発明の方法により毛髪内の繊維の配向を測定できることが分かった。
実施例2
(くせ毛および直毛の測定)
くせ毛のくせの内外を2箇所ずつ計4部位(図4(b)におけるA点〜D点)について、毛髪軸(測定部位における長軸方向)が、常に試料面台に対して一定方向(X軸方向)になるように置き(図4(c)及び(d))、実施例1と同様にして、毛髪軸と平行な方向に偏光したレーザーを用い、励起レーザーと同じ向きの散乱光を検出する測定(Z(XX)Z)を行った。また、同様にして、直毛の任意の4部位についてZ(XX)Zの測定を行った。くせ毛のスペクトルの測定結果を図4(a)に示す。
得られたくせ毛及び直毛のラマンスペクトルにおいて、アミドIバンド(1666cm−1)のピーク強度をそれぞれ2930cm−1付近のCHのピーク強度で除することで正規化し、CHバンドのピーク強度を100としたときのピーク強度を表2及び図5に示す。
Figure 0005319935
表2及び図5から明らかなように、直毛では毛髪のどの部位においてもほぼ同じスペクトルが得られ、ピーク強度比もほぼ一定であり、繊維配向が一定であることがわかった。一方、くせ毛では部位によりスペクトル形状が異なり、ピーク強度比もばらつきがあり、繊維配向が一定でないことがわかった。
したがって、本発明の方法により、毛髪の個体差(直毛・くせ毛)や、毛髪の局所における繊維配向状態の部位差を評価できることが分かった。
実施例3
(過収縮毛の測定)
市販のブリーチ剤、パーマ剤を用いて無限浴で、ブリーチ処理を5回、パーマ処理を1回行った毛髪試料に対し、実施例1と同様に、毛髪軸と平行な方向に偏光したレーザー及び毛髪軸と垂直な方向に偏光したレーザー各々を用いて2種類のラマンスペクトルの測定を行った。それぞれ、励起レーザーと同じ向きの散乱光を検出し、毛髪軸に対して平行な励起レーザーを用いた場合の測定を、Z(XX)Z、毛髪軸に対して垂直な励起レーザーを用いた場合の測定を(Z(YY)Z)と表記する。それぞれの測定結果を図6に示す。また、図6中、実施例1で測定した未処理毛の測定結果をあわせて示す。
また、図6に示した各ラマンスペクトルにおいて、C−Cバンド(936cm−1)、C−Hバンド(1314cm−1)及びアミドIバンド(1666cm−1)のピーク強度をそれぞれ2930cm−1付近のCHのピーク強度で除することで正規化し、CHバンドのピーク強度を100としたときのピーク強度を表3及び図7に示す。表3及び図7中、実施例1で測定した未処理毛の測定結果をあわせて示す。
また、過収縮毛および未処理毛のそれぞれの表面について、光学顕微鏡(倍率40倍)を用いて観察した。それぞれの光学顕微鏡写真(光顕像)を図8(a)及び(b)に示す。図8(a)は未処理毛の表面の光学顕微鏡写真であり、図8(b)は過収縮毛の表面の光学顕微鏡写真である。
Figure 0005319935
表3及び図7のZ(XX)Zの結果から明らかなように、未処理毛では過収縮毛に対して、毛髪のα−へリックスに由来するC−Cバンド、C−Hバンド及びアミドIバンドの各ピーク強度が減少した。一このことから、過収縮毛では、毛髪が縮んだことによってα−へリックスの毛髪軸に対する傾きが大きくなったと考えられる。また、図8から明らかなように、未処理毛では毛髪表面にキューティクルが観察されたが(図8(a))、過収縮毛では毛髪表面にキューティクルが観察できず、コルテックスがむき出しになっていることがわかった(図8(b))。
したがって、本発明の方法により、化学処理などのダメージによる毛髪内繊維の配向変化を測定できることが分かった。
実施例4
(伸長毛の測定)
伸長毛のモデルとして、市販のパーマ剤を用いて無限浴でパーマ1剤を塗布して軟化した髪を1.4倍に伸長させた後、パーマ2剤を塗布して毛髪試料を作製した。作製した毛髪試料に対し、実施例1と同様にしてZ(XX)ZとZ(YY)Zの2種類の偏光ラマンスペクトルを測定した。結果を図9に示す。図9中、実施例1で測定した未処理毛の測定結果をあわせて示す。
また、図6に示した各ラマンスペクトルにおいて、C−Cバンド(936cm−1)、C−Hバンド(1314cm−1)及びアミドIバンド(1666cm−1)のピーク強度をそれぞれ2930cm−1付近のCHのピーク強度で除することで正規化し、CHバンドのピーク強度を100としたときのピーク強度を表4及び図10に示す。表4及び図10中、実施例1で測定した未処理毛の測定結果をあわせて示す。
Figure 0005319935
表4及び図10の、Z(XX)Zの結果から明らかなように、伸長毛では、実施例3における過収縮毛と同様に、未処理毛に対して毛髪のα−へリックスに由来するC−Cバンド、C−Hバンド及びアミドIバンドの各ピーク強度が減少した。一方、表4及び図10の、Z(YY)Zの結果から明らかなように、アミドIバンドのピーク強度は、実施例3における過収縮毛では未処理毛とほぼ同じ値を示したのに対し、伸長毛では未処理毛に対して増加していた。この増加は、未処理毛に対して、伸長毛でβ−シート構造が増加したことを示すと考えられる。
以上のことより、Z(XX)Zにおけるα−へリックスに由来するピーク強度の低下は、繊維配向の傾きの変化ではなく、繊維自体がα−へリックスからβ−シートに変化して配向したことを意味すると考えられる。
したがって、本発明の方法により、伸長の処理を施すストレートパーマ等の化学処理による毛髪内繊維の配向変化を測定できることが分かった。
図1(a)は実験装置の概略図を示し、図1(b)は実験の座標系を示す。 図2は、未処理毛のZ(XX)Z及びZ(YY)Zで測定したラマンスペクトルを示す。 図3は、未処理毛におけるZ(XX)Z及びZ(YY)ZのC−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンドのピーク強度の測定結果を示す。 図4(a)は、くせ毛のZ(XX)Zで測定したラマンスペクトルを示す。図4(b)は、くせ毛の測定点を示す。図4(c)及び(d)は、試料面台上の毛髪軸の配置方向を示す。 図5は、くせ毛におけるZ(XX)ZのアミドIバンドのピーク強度の測定結果を示す。 図6は、過収縮毛および未処理毛のZ(XX)Z及びZ(YY)Zで測定したラマンスペクトルを示す。 図7は、過収縮毛および未処理毛におけるZ(XX)Z及びZ(YY)ZのC−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンドのピーク強度の測定結果を示す。 図8(a)は未処理毛の表面の光学顕微鏡写真であり、図8(b)は過収縮毛の表面の光学顕微鏡写真である。 図9は、伸長毛および未処理毛のZ(XX)Z及びZ(YY)Zで測定したラマンスペクトルを示す。 図10は、伸長毛および未処理毛におけるZ(XX)Z及びZ(YY)ZのC−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンドのピーク強度の測定結果を示す。

Claims (5)

  1. 毛髪軸に対して一定方向に偏光した励起レーザーを毛髪に照射し、得られたラマンスペクトルからC−Cバンド、C−Hバンド、アミドIバンド及びNHバンドよりなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(A)と、CHバンド及びCHバンドからなる群より選択される少なくとも一つのバンドの信号強度(B)とを得て、(A)と(B)との信号強度比(A)/(B)に基づいて毛髪の繊維配向を測定する方法。
  2. 前記信号強度(B)としてCH バンドの信号強度を用いる、請求項1記載の方法。
  3. 上記偏光励起レーザーとして毛髪軸に対し、平行に偏光したレーザー及び垂直に偏光したレーザー各々を用いて、各々のスペクトルを得て、それらから得られる各々の(A)/(B)を比較して毛髪の繊維配向を測定する請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によって毛髪の繊維配向を測定し、その毛髪の繊維配向の状態から毛髪のダメージを評価する方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によって毛髪の繊維配向を測定し、その毛髪の繊維配向の状態からくせ毛の程度を評価する方法。
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