JP5298387B2 - アンテナ装置、及びフェーズドアレイアンテナ装置 - Google Patents
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Description
各誘電体基板、各導電素子、及び接地導体は、通信に用いる波長の制約を受けることなく任意の厚さで構成可能である。
また、第1及び第2の給電手段から与える電流を適宜選択することにより、第1と第2の導電素子から、それぞれ垂直・水平偏波を発生させることが可能である。
さらには、このような構成をとるアンテナ装置において、一方の偏波はアンテナ装置と垂直な(天頂)方向でナルとなる(落ち込みを形成する)ような放射指向性を有し、実質的に水平方向へと放射される。後述する一つの実施形態において、他方の偏波は垂直方向へ通常のパッチアンテナと同様の放射指向性を有する。したがって、天頂方向と水平方向との両方向に放射電波が届くこととなる。
第1及び第2の導電素子を少なくとも一部重ねた上で、各導電素子の形状や配置を調整することにより、好ましい指向性を達成するための一つの態様である。
上記形状や配置の調整に加えて給電点の位置を調整することにより、好ましい指向性を達成するための一つの態様である。
各導電素子の形状や配置の調整に関する、別の実施形態である。このように調整されたアンテナ装置は、特に衛星通信用フェーズドアレイアンテナ装置を構成するために適している。
上記形状や配置の調整に加えて給電点の位置を調整することにより、好ましい指向性を達成するための一つの態様である。
所望の指向性と偏波放射・受信性能とを備える平面型フェーズアレイアンテナ装置が与えられる。
特に、第1及び第2の導電素子が一部重なり合うことでアンテナ素子それぞれは天頂方向にナルとなるような指向性パターンを有することとなり、このような特徴はフェーズドアレイアンテナ装置を構成するために都合が良い。
各導電素子の形状や配置を調整することにより、好ましい指向性を達成するための一つの態様である。
各導電素子の形状や配置の調整に関する、別の実施形態である。このように調整されたアンテナ装置は、特に衛星通信用フェーズドアレイアンテナ装置として適している。
直線状フェーズドアレイアンテナ装置を用いて、例えば仰角45度の衛星へと、アンテナ自体を傾けることなしに指向性を調整することができる。
二次元パターンでフェーズドアレイアンテナ装置を構成することにより、所望される仰角以外への指向性を更に厳密に抑制することや、仰角と同時に方位角についても指向性を調整することが可能となる。
また、このアンテナ装置は、その用途に応じて幅広くカスタマイズすることが可能である。後述する実施形態においては、その一例として、天頂方向と水平方向との両方に放射可能であるために無線LAN用基地局として最適であるようなアンテナ構成と、特定の一方向に強い放射指向性を持つために衛星通信用フェーズドアレイアンテナ用素子として最適であるようなアンテナ構成とが示されているが、本発明によって実現可能なアンテナ構成はこれらに限られるわけではなく、各導体素子の形状、位置関係、給電される電流等の細部を適宜調整することによって、その特性を多様に変化させることが可能である。
さらに、このアンテナ装置は二つの導電素子を有し、それぞれの導電素子から異なる方向の偏波を発生させる、又は受信することが可能であるために、相手方から送信される偏波の方向に関わらず通信をすることが可能である。
なお、本実施形態として説明するアンテナ装置は、無線LANで使用される5.8GHz帯の周波数で用いることを念頭に設計されている。各導電素子の寸法や誘電体基板の誘電率等はその用途に合うよう設定されたものであり、当然ながら別の用途のために異なる寸法・誘電率でアンテナを構築することが可能である。
図1は、本発明にかかる第1のアンテナ装置100の構成を示している。このアンテナは、誘電体基板102の片面を銅箔104にて全面エッチングし、もう一方の面にパッチ型の銅箔106をエッチングし、その銅箔106をエッチングした面に、2層目の誘電体基板108を積層化技術により貼り合わせ、貼りあわせた誘電体基板108上に、更に銅箔110をエッチングしてなる構造を有する。銅箔104と106とのペア、及び銅箔104と銅箔110とのペアは、それぞれ同軸給電線路116及び118により接続されている。
また誘電体材料は、その用途に応じて適宜選択されることが一般的である。例えばGPSのような波長の短い周波数帯で使用する場合には、比誘電率が20以上の高誘電率の誘電体を選択し、一方で波長の長い周波数帯で使用する場合には、比誘電率が3以下の誘電体を選択するのが一般的である。
同軸給電線路116及び118の外部導体は、その剥離された位置においてそれぞれ銅箔104に接続される。同軸線路116の内部導体は、誘電体基板102を貫いて、給電点112で銅箔106に接続される。同軸線路118の内部導体は、誘電体基板102及び108を貫いて、給電点114で銅箔110に接続される。
なお、本発明のアンテナを構成するためには、給電法として同軸給電線路以外の手段を用いることも可能である。例えばグラウンド面にトリプレート線路を構成し、電源からグラウンド面に対しては1つの給電点にて給電しつつ、各導電素子にはトリプレート線路の終端から給電ピンにて給電する方法や、あるいはトリプレート線路ではなく、アンテナグラウンド面の下部に、更にもう1層マイクロストリップ構造の給電線路を接続する方法を用いてもよい。当業者であれば、本発明の範囲内において適宜そのような給電手段を選択し、またそれに応じてアンテナ構造を調整することが可能である。
本実施形態においては、幅(W)は17.23mm、長さ(L1及びL2)は共に10.57mmであるとして、各方形素子の寸法を設定している。方形素子は、誘電体基板108を介して互いに一部重なり合っており、全体としてのアンテナ長(L3)は20.07mmである。上面からみた方形素子の配置が図2に示されている。5.8GHz帯での電磁波の(真空中)波長λと比較すると、幅(W)はおよそ0.33λと、そしてアンテナ長(L3)はおよそ0.39λと、それぞれ表すことができる。これらのアンテナサイズは、一般のパッチアンテナにおいて要求される、各辺の大きさが0.5λ以下であるという条件を満たしている。またこれらのサイズは、アンテナを配列する場合に通常最適とされる配列間隔0.55λ以下ともなっている。したがって図1に示すアンテナは、後述のフェーズドアレイアンテナを構成するためにも適している。
また、各給電点112及び114は、銅箔106及び110それぞれの幾何学的中心点から互いに対称に、それぞれの銅箔端部までの距離のほぼ3分の2離れた位置に配置されている。
次に、電流を与えたときにアンテナ装置100から発生される偏波と、その放射指向性とを説明する。
図3及び図4は、給電点112及び114に同強度同相の交流電流を与えたときの、異なる瞬間における電流分布を示している。それぞれの図で上部(x軸マイナス方向)に描かれているのが下層の銅箔106であり、下部(x軸プラス方向)に描かれているのが上層の銅箔110である。図中に多数描かれている矢印が、各銅箔内それぞれの地点における電流の強さと向きとを表している。
なお偏波の方向として、ここではy軸方向への偏波を「水平」と、x軸方向への偏波を「垂直」と呼んでいるが、これらは本実施形態中のみにおいて用いられる便宜的な基準である。
一方で、図6に示される、下層の銅箔106から放射される垂直偏波の指向性は、天頂方向に強い放射を有する通常のマイクロストリップアンテナの放射指向性である。強度がデシベル(dB)で表示されていることに鑑みれば、水平方向への指向性は天頂方向への指向性に対して十分小さく、すなわち単一ビームの指向性となっていることが分かる。
なお、偏波に対しての「水平」、「垂直」とは銅箔と同一平面上での2方向を指すものであるのに対して、指向性について用いる「天頂(垂直)」とは上記銅箔平面に対して垂直な方向を指し、また同じく指向性について用いる「水平」とは、銅箔平面内の所定の方向を指すものである。
図7は、アンテナ装置(素子)100を直線上に4つ配列することで構成した、一次元フェーズドアレイアンテナ装置700を示している。各アンテナ素子に与える電流の位相を変えることにより、フェーズドアレイ全体として、任意の方向へのビーム指向性を実現することができる。図7においては、各素子が間隔0.55λで配置されている。
図9は、本発明にかかる第2のアンテナ装置900の構成を示している。このアンテナは、誘電体基板902の片面を銅箔904にて全面エッチングし、もう一方の面にパッチ型の銅箔906をエッチングし、その銅箔906をエッチングした面に、2層目の誘電体基板908を積層化技術により貼り合わせ、貼りあわせた誘電体基板908上に、更に銅箔910をエッチングしてなる構造を有する。銅箔904と906とのペア、及び銅箔904と銅箔910とのペアは、それぞれ同軸給電線路916及び918により接続されている。
図11に、第2のアンテナ装置900の3次元指向性を示す。ここにおいては、偏波方向に関わらず特定方向に単位時間当たり放出される電磁波の強度を示している。
図から分かるとおり、このアンテナは天頂方向に対してほとんど指向性を持たず、z軸周りの側方向(例えばx軸からz軸に向かって60度程度傾いた方向)にのみ放射することが分かる。したがって、第2のアンテナ装置900を用いて上述したようなフェーズドアレイアンテナ装置を構成すれば、第1のアンテナ装置100による場合よりも更に容易に、その主放射方向を通信衛星へと向けることが可能となる。
なお、アンテナ装置100と同様にアンテナ装置900も2つの銅箔を有し、両方向の偏波を発生する。すなわちアンテナの可逆性を考えれば両方向の偏波を受信できることとなり、例えば衛星からの電波が直線偏波であったとしても、問題なく受信することが可能である。この点においても、第2のアンテナ装置900は、衛星通信用フェーズドアレイアンテナ用素子として最適である。
また、各構成素子の形状、位置関係、給電手段等を調整することでアンテナの放射指向性が多様に変化するので、それ以外にもさまざまな用途に利用できる。
104 銅箔
106 銅箔
108 誘電体基板
110 銅箔
112 給電点
114 給電点
116 同軸給電線路
118 同軸給電線路
902 誘電体基板
904 銅箔
906 銅箔
908 誘電体基板
910 銅箔
912 給電点
914 給電点
916 同軸給電線路
918 同軸給電線路
Claims (6)
- 多層構造アンテナ装置であって、
第1の誘電体基板における一方の表面を被覆する接地導体と、
前記第1の誘電体基板における他方の表面上に配置された第1の導電素子と、
前記第1の誘電体基板における前記他方の表面上に積層された第2の誘電体基板上に配置された、第2の導電素子と、
前記第1の導電素子と前記接地導体とに接続された第1の給電手段と、
前記第2の導電素子と前記接地導体とに接続された第2の給電手段と、
を備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、前記第2の誘電体基板を介して少なくとも一部重なり合い、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とはほぼ同一の方形パッチ形状を有する導電素子であって、
前記第1の導電素子に対する前記第2の導電素子の、前記第2の誘電体表面上での相対変位は、前記第1の導電素子を形成する方形又は前記第2の導電素子を形成する方形の各辺から選択された所定の一辺に平行な成分のみを有し、
前記第1の給電手段により前記第1の導電素子に対して給電が行われる第1の給電点は、前記第1の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から前記相対変位に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置され、
前記第2の給電手段により前記第2の導電素子に対して給電が行われる第2の給電点は、前記第2の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から前記相対変位に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置される、アンテナ装置。 - 多層構造アンテナ装置であって、
第1の誘電体基板における一方の表面を被覆する接地導体と、
前記第1の誘電体基板における他方の表面上に配置された第1の導電素子と、
前記第1の誘電体基板における前記他方の表面上に積層された第2の誘電体基板上に配置された、第2の導電素子と、
前記第1の導電素子と前記接地導体とに接続された第1の給電手段と、
前記第2の導電素子と前記接地導体とに接続された第2の給電手段と、
を備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、前記第2の誘電体基板を介して少なくとも一部重なり合い、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とはほぼ同一の方形パッチ形状を有する導電素子であって、
前記第1の導電素子に対する前記第2の導電素子の、前記第2の誘電体表面上での相対変位は、前記第1の導電素子を形成する方形又は前記第2の導電素子を形成する方形の各辺から選択された所定の一辺に平行な成分と、該選択された所定の一辺に垂直な成分とを有し、
前記第1の給電手段により前記第1の導電素子に対して給電が行われる第1の給電点は、前記第1の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から、該方形の各辺より選択された所定の一辺に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置され、
前記第2の給電手段により前記第2の導電素子に対して給電が行われる第2の給電点は、前記第2の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から、該方形の各辺より選択された所定の一辺に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置される、アンテナ装置。 - 多層構造アンテナ素子を配列してなるフェーズドアレイアンテナ装置であって、
第1の誘電体基板における一方の表面上に配置された第1の導電素子と、
前記第1の誘電体基板における前記一方の表面上に積層された第2の誘電体基板上に配置された、第2の導電素子と、
前記第1の導電素子と、前記第1の誘電体基板における他方の表面を被覆する接地導体と、に接続された第1の給電手段と、
前記第2の導電素子と前記接地導体とに接続された第2の給電手段と、
からなり、前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、前記第2の誘電体基板を介して少なくとも一部重なり合う、アンテナ素子、
を同一平面上に配列したフェーズドアレイアンテナ装置であって、
前記アンテナ素子の各々において、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とはほぼ同一の方形パッチ形状を有する導電素子であって、
前記第1の導電素子に対する前記第2の導電素子の、前記第2の誘電体表面上での相対変位は、前記第1の導電素子を形成する方形又は前記第2の導電素子を形成する方形の各辺から選択された所定の一辺に平行な成分のみを有し、
前記第1の給電手段により前記第1の導電素子に対して給電が行われる第1の給電点は、前記第1の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から前記相対変位に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置され、
前記第2の給電手段により前記第2の導電素子に対して給電が行われる第2の給電点は、前記第2の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から前記相対変位に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置される、
フェーズドアレイアンテナ装置。 - 多層構造アンテナ素子を配列してなるフェーズドアレイアンテナ装置であって、
第1の誘電体基板における一方の表面上に配置された第1の導電素子と、
前記第1の誘電体基板における前記一方の表面上に積層された第2の誘電体基板上に配置された、第2の導電素子と、
前記第1の導電素子と、前記第1の誘電体基板における他方の表面を被覆する接地導体と、に接続された第1の給電手段と、
前記第2の導電素子と前記接地導体とに接続された第2の給電手段と、
からなり、前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、前記第2の誘電体基板を介して少なくとも一部重なり合う、アンテナ素子、
を同一平面上に配列したフェーズドアレイアンテナ装置であって、
前記アンテナ素子の各々において、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とはほぼ同一の方形パッチ形状を有する導電素子であって、
前記第1の導電素子に対する前記第2の導電素子の、前記第2の誘電体表面上での相対変位は、前記第1の導電素子を形成する方形又は前記第2の導電素子を形成する方形の各辺から選択された所定の一辺に平行な成分と、該選択された所定の一辺に垂直な成分とを有し、
前記第1の給電手段により前記第1の導電素子に対して給電が行われる第1の給電点は、前記第1の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から、該方形の各辺より選択された所定の一辺に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置され、
前記第2の給電手段により前記第2の導電素子に対して給電が行われる第2の給電点は、前記第2の導電素子を形成する方形の幾何学的中心から、該方形の各辺より選択された所定の一辺に対して平行に、且つ前記一部重なり合った部分から離れる方向に、該幾何学的中心から該方形の端部までの距離のほぼ3分の2変位した場所に配置される、
フェーズドアレイアンテナ装置。 - 前記アンテナ素子を直線上に配列した、請求項3又は4に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
- 前記アンテナ素子を二次元パターンにより配列した、請求項3又は4に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
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