JP5294717B2 - 無鉛弾 - Google Patents

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Description

本発明は、機関銃から発射される無鉛弾に係り、鉛による環境汚染を起こすことなく鉛と類似の性能を発揮する機関銃弾丸に関する。
機関銃から発射される弾丸(例えば、口径12.7mm弾、口径7.62mm弾、口径5.56mm弾等)は、鉛身と呼ばれる充填材(鉛金属)を鉄合金でできた弾心の先端部に配置し、弾丸が斜めの標的に衝突した際に充填材が変型することにより衝突エネルギーを吸収し、鉄合金製弾心が標的で跳ね返る(跳弾)ことを防いでいた。また、鉛が変形して標的に張り付くことにより弾心が斜めの標的に真っ直ぐに衝突する姿勢を保ち、弾心が標的に潜りやすくしていた。
しかしながら、鉛の環境への危険はよく知られており、射撃後の未回収の鉛含有弾丸から鉛が土壌にしみ出すことにより、土壌さらには地下水の汚染が懸念される。
無毒性の無鉛充填材を製造するため、種々の解決方法が提案されてきた。
特許文献1では、タングステン、繊維、バインダーを含む高密度体の小火器弾薬への応用を開示している。また、特許文献2では、タングステン等の重い成分と金属合金又はプラスチック等結合成分からなる高密度弾丸を開示している。特許文献3では、タングステン等の重い成分とスズ等の柔らかい材料からの混合圧填で作られる高密度体からなる弾丸を開示している。
特許文献4では、高純度のスズを使用することによる鉛なし弾を開示している。スズは、毒性が無く、鉛と殆ど同程度の加工性を有し、製造上問題がない。
米国特許第6,048,379号明細書 特表平9−504358号公報 米国特許第5,760,331号明細書 特表2002−508501号公報
しかしながら、特許文献1,2,3に開示される従来の無鉛充填材を製造する解決方法では、いずれも鉛の密度に等しい高密度体の部品を製造するため、原料としてタングステン粉を使用しており、タングステンが鉛に比較して数十倍の価格であることから、その材料費は高価になり、またタングステン粉は密度を鉛に合わせるために使用されており、鉛が持つ強度・展性による標的衝突時の粘着効果を考慮していないという課題があった。
一方、特許文献4に開示される高純度のスズを使用することによる鉛なし弾では、スズの純度が高いとスズの引っ張り強度が小さく、機関銃弾の発射衝撃、回転衝撃で弾心が移動する可能性を持っている。また、高純度のスズは、使用されてから時間がたつともろくなる「スズペスト」と呼ばれる性質を持ち、長期間を経た後に金属としての性能が発揮できなくなるという課題があった。弾心が標的鋼板を打ち抜くため、特に傾斜した鋼板標的では弾が標的に衝突した際、標的に張り付く必要がある。この張り付き(粘着性)には弾心の前に配置された金属(充填材)の展性が有効であり、もろくなった金属では粘着性能を損なう危険性があった。充填剤が傾斜した標的に張り付き、弾心が横滑りする動きを押さえることにより、姿勢が保持されて標的を打ち抜くと考えられる。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、鉛の毒性による健康への障害及び環境汚染を回避する無鉛弾、及び安価な機関銃弾丸を提供することにある。
本発明者は、無鉛弾について探索すると共に、その効果について鋭意研究を行ってきた。その結果、引っ張り強度を25MPa〜120MPaの鉛以外の金属製充填材を使用した弾丸を製造することで、鉛含有弾とほぼ同等の弾道性能を有し、鉛含有弾が環境に与えていた影響を解消し、同一構造を有する全ての弾丸に適用できることを見出し、本発明を完成させた。
そこで、請求項1に係る発明は、空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、引っ張り強度70MPa〜120MPa、伸び13%〜50%、密度2.7g/cm 3 のアルミ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、先端が円錐形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心とで構成され、前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満することを特徴とする
請求項2に係る発明は、空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、引っ張り強度32MPa〜45MPa、伸び40%〜49%、密度7.3g/cm 3 のスズ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、先端が円錐形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心とで構成され、前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満することを特徴とする
請求項に係る発明は、空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、引っ張り強度70MPa〜120MPa、伸び13%〜50%、密度2.7g/cm 3 のアルミ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、先端が平坦形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心とで構成され、前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満することを特徴とする
請求項に係る発明は、空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、引っ張り強度32MPa〜45MPa、伸び40%〜49%、密度7.3g/cm 3 のスズ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、先端が平坦形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心とで構成され、前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満することを特徴とする
請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか記載の無鉛弾において、前記無鉛弾は、徹甲弾又は訓練弾であることを特徴とする
本発明によれば、充填材に鉛金属を使用した弾丸と同性能(跳弾の防止と貫徹性)を持ち、且つ鉛の毒性による健康への障害及び環境汚染を回避することができる。また、安価な機関銃弾丸を製造することができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明に係る無鉛弾を小火器用弾丸である口径12.7mmの徹甲弾又は訓練弾(以下、弾丸10と称する)に適用した例を示す。
弾丸10は、被甲12を持つ。被甲12を規定する内部表面14を有し、その空洞に、無鉛材からできた充填材16が装填され、さらに弾心18が挿入、圧入され、充填材16は弾心18の先端部と被甲12の内部表面14の間に流れ充満する。尾部26において被甲12の開口部は弾心18の後方にカシメられる。被甲12の外表面20は空力形状を有する。典型的には、外表面20は一般的に円筒状であり、先細りテーパーのついた前端部22と、本質的に一定直径の中央にある体部24とを持ち、尾部26は体部24に対し直角である。
体部24と尾部26との間の遷移部分は、比較的きつい半径、又は、図1に示されるように、ボートテールと呼ばれるテーパ部28で構成されている。弾心18は、徹甲弾においては徹甲性を有する特殊鋼で、訓練弾においては通常の鋼からつくられる。被甲12は、銅又は銅―亜鉛合金、特に丹銅から製造される。充填材16は、25MPa〜120MPaの引っ張り強度を有する鉛以外の金属で製造される。
(第二実施形態)
図2は、本発明に係る無鉛弾を小火器用弾丸である口径12.7mmの曳光弾30に適用した例を示す。
曳光弾30は、被甲12を持つ。被甲12は空洞を規定する内部表面14を有し、その空洞に、無鉛材からできた充填材16が装填、圧入され、さらに曳光剤32、着火剤34が圧填される。さらに、曳光弾30は塞板36挿入後、被甲12の円筒端部がカシメられる。被甲12は、銅、銅−亜鉛合金又は、丹銅被覆鋼板から製造される。充填材16は、25MPa〜120MPaの引っ張り強度を有する鉛以外の金属で製造される。
(第三実施形態)
図3は、本発明に係る無鉛弾を小火器用弾丸である口径12.7mmの徹甲弾又は訓練弾(以下、弾丸40と称する)に適用した例を示す。
弾丸40は、弾心18の先端に平面42を有した構造を示す。弾丸40は、被甲12を持つ。被甲12を規定する内部表面14を有し、その空洞に、無鉛材からできた充填材16が装填され、さらに平面42を有する弾心18が挿入、圧入され、充填材16は弾心18の先端部と被甲12の内部表面14の間に流れ充満する。尾部26において被甲12の開口部は弾心18の後方にカシメられる。被甲12の外表面20は空力形状を有する。典型的には、外表面20は一般的に円筒状であり、先細りテーパのついた前端部22、本質的に一定直径の中央にある体部24を持ち、尾部26は体部24に対し直角である。
捕鯨用の銛は、銛が尖頭であると鯨に衝突した際に滑ることがあり、この滑りを防ぐために銛の先端を平らにして滑りを防いだことは「平田銛」として知られている。弾心形状が尖頭であると標的が傾斜している場合に滑ることも考えられる。本発明では、弾心の形状を平らにすることをさまたげるものではない。
本発明の特徴は、機関銃用弾丸において使用されている充填材16の代替として25MPa〜120MPaの引っ張り強度を有する鉛以外の金属を使用することにより、鉛に起因する問題点を解決するものである。25MPa〜120MPaの引っ張り強度を有する鉛以外の金属としては、スズ合金、アルミニウム合金がある。スズに不純物を添加すると「スズペスト」は無くなる。鉛フリーハンダはスズペストが発生しないよう不純物を添加した組成となっている。
スズ合金、アルミニウム合金を使用した場合、鉛と比較して弾丸の質量、加工性、コストは同等である。ただし、アルミニウム合金の場合は、図2に示す曳光弾30では、アルミニウムの密度が2.7g/cm3であり、鉛の密度が11.3g/cm3と比較して、かけ離れ、しかも図1に示す弾丸10に比べて使用する容積が大きいので、弾道性能が確保されないという欠点がある。アルミニウム合金は、図1に示す弾丸10に有効である。
次に、充填材16に使用する金属材料を選定した経緯を述べる。
一般的な金属材料を密度順に並べると次の通りである。
金19.3>タングステン19.3>鉛11.3>銀10.5>ビスマス9.8>銅8.9>=ニッケル8.9>鉄7.9>スズ7.3>亜鉛7.1>アルミニウム2.7(単位:g/cm3
これらの金属の中で、鉛の引っ張り強度に近いものは、金、銀、スズ、アルミニウムがある。ただし、金、銀は、高価なため量産での使用は不可能となる。
スズの密度は、7.3g/cm3であり、鉛の63%であるが、弾丸の内部に使用する容積は0.408cm3 (徹甲弾、訓練弾)と全体容積の1割以下であるので、質量変化が弾道性能に与える影響は少ない。スズ合金は、スズに混ぜる金属の量を変えることにより、その引っ張り強度を調整できるという特徴がある。例えば、スズにアンチモンを2%程度混ぜることにより、硬鉛と同等の引っ張り強度の合金を得ることが可能である。
アルミニウムの密度は、2.7g/cm3と鉛の24%であるが、スズと同様弾丸の内部に使用する容積は0.408cm3(徹甲弾、訓練弾)と全体容積の1割以下であるので、質量変化が弾道性能に与える影響は少ない。
鉛、スズ、スズ合金、アルミ合金の引っ張り強度は、表1に示すとおりである。
Figure 0005294717
機関銃弾の充填材に使用されている鉛は、硬鉛で硬度が25MPa程度である。
機関銃弾は、命中性能を確保するため、軸方向に回転をしながら飛翔する。軸方向に回転することにより、機関銃弾は真っ直に飛翔し、その結果、狙った位置に当たる。軸方向に回転していないと、機関銃弾飛翔形態が不安定になり、途中で前後の回転やふらつきを生じ、狙った位置に当たる前に横にそれたり、地面に落下したりする。充填材16に使用する金属の強度が弱いと、機関銃弾の発射衝撃や、砲身に刻んだライフルによって弾丸に与えられる回転による加速度で、充填材16が流動性を発揮し、本来の目的である粘着性が出なかったり、弾心18の移動、被甲12の破壊を引き起こしてしまう。そのため、鉛を充填材16として使用する場合は、純度の高い鉛より少し強度の強い硬鉛を使っている。
材料単価は、その時々で変化するが目安として単価比は次のようになる。
鉛:スズ:アルミニウム:タングステン=1:6:1:50
材料単価は、鉛とアルミニウムは殆ど差がない。スズは鉛の6倍、タングステンは50倍と高価である。
弾丸内に使用する容積が小さい訓練弾、徹甲弾の場合は、材料費が鉛の5〜6倍程度であっても、弾丸としてのコスト上昇率は2〜3%である。アルミニウムを用いれば、コストアップはない。タングステン−バインダーを使うと、タングステン−バインダーの混合工程等の費用もかさみ倍以上のコストになる。
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
SnにCu、Ni、Geが入った市販の鉛フリーハンダ(Sn100C(NIHON SUPERIOR社 Sn100C))を、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。この合金の引っ張り強度は、32MPa、伸びは49%である。充填材容積は0.33cm3であり、硬鉛の場合3.7gとなる。本発明者は、Sn100Cを先端が少し細い形状に加工して弾丸を組み立てた。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にSn100Cを入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、Sn100Cの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色がなかった。
(実施例2)
純度の高いアルミニウムJIS 1070、引っ張り強度 70MPaを、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。アルミニウムは先端が少し細い形状に加工して圧入した。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にアルミニウム充填材16を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、アルミニウムの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色なかった。
(実施例3)
純度の高いアルミニウムJIS 1100、引っ張り強度 90MPaを、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。アルミニウムは先端が少し細い形状に加工して圧入した。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にアルミニウム充填材16を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、アルミニウムの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色なかった。
(実施例4)
SnにZnが9%入った市販のSn―Zn合金を、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。この合金の引っ張り強度は32MPa、伸びは49%である。充填材容積は0.33cm3であり、硬鉛の場合3.7gとなる。本発明者は先端が少し細い形状に加工して弾丸を組み立てた。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にSn―Zn合金を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、Sn―Zn合金の被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色がなかった。
(実施例5)
純度の高いアルミニウムJIS 1050、引っ張り強度 80MPaを、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。アルミニウムは先端が少し細い形状に加工して圧入した。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にアルミニウム充填材16を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、アルミニウムの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色なかった。
(実施例6)
純度の高いアルミニウムJIS 3003、引っ張り強度 120MPaを、図1に示すように、充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。アルミニウムは先端が少し細い形状に加工して圧入した。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にアルミニウム充填材16を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、アルミニウムの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色なかった。
(実施例7)
SnにZnが9%入った市販の合金を、図2に示すように、充填材16として12.7mm弾(曳光弾)を製造した。この合金の引っ張り強度は65MPa、伸びは40%である。充填材容積は1.18cm3であり、硬鉛の場合13.4gとなる。Sn−Zn合金を先端が少し細い形状に加工して弾丸を組み立てた。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にSn−Znを入れ、鋼製杵で充填材16を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は98MPaで行った。その後方に曳光剤を圧填して曳光弾を組み立てた。組み立て後の曳光弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、Sn−Zn合金の被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色がなかった。
(実施例8)
SnにCu、Ni、Geが入った市販の鉛フリーハンダ(Sn100C(NIHON SUPERIOR社 Sn100C))を、図2に示すように、充填材16として12.7mm弾(曳光弾)を製造した。本発明者は、Sn100Cを先端が少し細い形状に加工して弾丸を組み立てた。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にSn100Cを入れ、所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は98MPaで行った。充填材16の上から曳光剤32、着火剤34、塞板36を組み立て、組み立て後の曳光弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、Sn100Cの被甲12内での圧填及び展延性もよく、鉛と遜色がなかった。
(比較例1)
現在使用している硬鉛(Pb99%、Sb4%)、引っ張り強度25MPaを使用して徹甲弾・訓練弾を組み立てた。硬鉛を被甲12の中に入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は137MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、硬鉛の圧填及び展延性もよかった。
(比較例2)
金属の中では比較的柔らかい銅を使用して徹甲弾・訓練弾を組み立てた。使用した銅の引っ張り強度240MPaである。銅は先端が尖った形状に加工して圧入した。圧入の圧力は235MPaで行ったが、組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、弾心18の周り及び先端部に隙間が発生した。
(比較例3)
純度の高いアルミニウムJIS 6063、引っ張り強度 210MPaを充填材16として12.7mm弾(徹甲弾・訓練弾)を製造した。アルミニウムは先端が少し細い形状に加工して圧入した。被甲12を受臼の中に入れ、被甲12の中にアルミニウム充填材16を入れ、弾心18を入れ、弾心18を所定の圧力で圧入する。圧入の圧力は235MPaで行った。組み立て後の訓練弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、弾心18の周り及び先端部に隙間が発生した。
(比較例4)
現在使用している硬鉛(Pb99%、Sb4%)、引っ張り強度25MPaを被甲12の中に入れ、鋼製杵で圧入後、曳光剤を圧填する。圧入の圧力は98MPaで行った。組み立て後の曳光弾を軸方向に切断して断面を観察したところ、硬鉛の圧填及び展延性もよかった。
Figure 0005294717
表2に実施例1〜比較例4までの弾丸緒言を記す。なお、訓練弾と徹甲弾は、質量、形状が同じであるので弾道飛翔性能は同じになる。表3に実施例1〜比較例4までの砲外弾道特性(計算結果)を示す。
砲外弾道計算は、
弾の直径:Dcm
弾の質量:Gg
弾の初速:V0m/sec
射角1.1°としてコンピュータに入力して計算を行った。計算には、空気中の音速Vam/secと弾の存速Vpの比率をMach数を Vp/Vaとした場合、Mach数と空気抗力係数(弾の形状による空気抵抗を示す係数)は下記の値を使用した。
Mach 0〜0.4 =0.23
0.4over〜0.75=0.34
0.75over〜0.9=0.38
0.9over〜1.3=0.42
1.3over〜1.65=0.38
1.65over=0.3
なお、空気中の音速は空気密度に依存するので、弾の高度により変化するものとして算出した。
地上高さ1mの位置に1.1°の射角に設置された機関銃から弾が初速V0=867m/secで射撃されたときの0.001sec毎の重力と空気の抵抗による弾の減速を加味した弾の高度、機関銃口からの飛距離、存速を積分計算(ルンゲクッタ法)により求めた。
各計算結果の相違は弾の質量の違いにより生じてくることになる。
表中の射距離とは銃口からの距離を示し、例えば実施例1の場合、銃口の高さが1mで銃身の角度が水平に対し上向きに1.1°で射撃した場合射距離100mでは、弾の銃身の位置での地面からの高さに比較し、2.88mであり、そのときの弾丸の速度は821m/secであることを示している。
Figure 0005294717
実施例1〜6は比較例1〜3に比べると、射距離100m、500m、1000mでの弾丸速度、高さとも実用に影響がない程度の差が認められるだけである。現用弾(比較例1)が射距離1000mで高さが10.78m、速度501m/secに対し、実施例1〜6は480m/sec、10.50mであった。機関銃弾は、隊員が目視で標的を狙って射撃し、狙いの修正も目標を見ながら行うので、表3に示す範囲の高さの差は実用に影響がない。
実施例7〜8は1000m位置で、420m/sec、9.62m、比較例4では466m/sec、10.32であった。
実施例1〜3、比較例1、2で製造した徹甲弾の威力を測定した。銃身を地上より1mの高さに設置し、銃口より100m離れた位置に20mm厚鋼板を地面に垂直(90°)に設置し、徹甲弾が鋼板を貫徹するかどうかを見たところ、全て(各実施例、比較例とも3発を射撃試験に使用)の徹甲弾が20mm厚鋼板を貫徹した。
また、鋼板の角度を変え、地面に浅い角度で鋼板を設置したときに弾心18が鋼板に突き刺さるか、斜めにはじき飛ばされるかを観察した。試験は各試料5発を射撃した。地面と鋼板の角度は地面に対して40°、45°、50°と3水準を設定し、弾心18が鋼板に突き抜けた数をカウントした。結果を表4に示す。
Figure 0005294717
実施例1及び比較例1は、鋼板角度45°で全数が弾心18は鋼板に潜り込んでいた。実施例2、3、比較例2は鋼板の角度が45°になると弾き飛ばされるものが発生してくる。つまり、充填材16の引っ張り強度が強くなると、跳弾の可能性が高くなることがわかった。実施例1、比較例1が45°で標的を貫通し、実施例2、3が貫通しないものが発生していることから、充填材16の密度がスズ(密度7.3)より大きいと標的を貫通しやすくなることがわかる。ただし、比較例2が45°標的を貫通しないことから、充填材16の密度が大きくても、充填材16の強度が銅の強度(240MPa)であると、貫徹しないことがわかる。また、弾心18の展性は、充填材16の強度と伸びに関係しており、標的に衝突するエネルギーが同じであれば、充填材16の強度が大きいと、充填材16の変形が小さく、標的に当たった際の弾心18の姿勢が不安定となり貫徹しないことがわかる。
また、命中精度を求めるため、銃口から183m点に標的紙を立て、10発射撃して標的紙上の弾痕より求めた平均半径(cm)で表している。平均半径RはNケの弾痕より、中心Cを求め、Cからの距離Zを計算し、平均半径R=Z/Nで求めた。飛翔性は標的紙上の弾痕から読み取れる弾丸飛翔姿勢から判断した。弾痕がほぼ真円ならば、弾丸10,40が正常姿勢であり良好と判断した。その結果、飛翔姿勢は全弾良好と判断した。また命中精度は、比較例、実施例の徹甲弾は全てRが3cm以内であった。また比較例、実施例の訓練弾は2.5cm以内であった。比較例、実施例の曳光弾はRが9cm以内であった。曳光弾は射距離183m以内では曳光性(目視で曳光が確認できること)も比較例、実施例とも良好であり、差が認められなかった。
機関銃弾の充填材16の引っ張り強度は、飛翔弾道性能、命中性、貫徹性には影響がないが、製造性・跳弾の可能性には影響を及ぼすことがわかった。また、製造性・跳弾の可能性には影響を及ぼさない引っ張り強度は、120MPa以下であれば実用上問題ない。
本発明の第一実施形態に係る口径12.7mm徹甲弾及び訓練弾の説明図であり、その半裁断面図である。 本発明の第二実施形態に係る口径12.7mm曳光弾の説明図であり、その半裁断面図である。 本発明の第三実施形態に係る口径12.7mm徹甲弾及び訓練弾の説明図であり、弾心の先端部を平らにした半裁断面図である。
符号の説明
10、40 弾丸(徹甲弾、訓練弾)
12 被甲
14 内部表面
16 充填材
18 弾心
20 外表面
22 前端部
24 体部
26 尾部
28 テーパ部
30 弾丸(曳光弾)
32 曳光剤
36 塞板
34 着火剤
42 平面

Claims (5)

  1. 空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、
    引っ張り強度70MPa〜120MPa、伸び13%〜50%、密度2.7g/cm 3 のアルミ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、
    先端が円錐形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心と
    で構成され
    前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満する
    ことを特徴とする無鉛弾。
  2. 空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、
    引っ張り強度32MPa〜45MPa、伸び40%〜49%、密度7.3g/cm 3 のスズ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、
    先端が円錐形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心と
    で構成され、
    前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満する
    ことを特徴とする無鉛弾。
  3. 空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、
    引っ張り強度70MPa〜120MPa、伸び13%〜50%、密度2.7g/cm 3 のアルミ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、
    先端が平坦形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心と
    で構成され、
    前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満する
    ことを特徴とする無鉛弾。
  4. 空力弾丸を規定する外表面と内部空間を規定する内表面とを有する被甲と、
    引っ張り強度32MPa〜45MPa、伸び40%〜49%、密度7.3g/cm 3 のスズ合金から成り、前記被甲の内部空間内に装填される充填材と、
    先端が平坦形状を為し、前記充填材が装填された前記内部空間内に圧入される弾心と
    で構成され、
    前記充填材は、前記弾心の圧入によって前記弾心の先端部と前記被甲の内部表面との間に流れ充満する
    ことを特徴とする無鉛弾。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか記載の無鉛弾において、
    前記無鉛弾は、徹甲弾又は訓練弾である
    ことを特徴とする無鉛弾。
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