本発明の有機EL素子材料においては、請求項1〜12のいずれか1項に規定される構成により、有機EL素子用に有用な有機EL素子材料の分子設計に成功した。
また、該有機EL素子材料を用いることにより、発光波長が制御され、高い発光効率を示し、且つ、発光寿命の長い有機EL素子、照明装置及び表示装置を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明の有機EL素子材料に係る金属錯体について説明する。
本発明者等は上記の問題点について鋭意検討を行った結果、前記一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)で各々表される金属錯体を有機EL素子材料として含む有機EL素子により、発光効率と発光寿命が大きく改善されるという知見を得た。
本発明者らは、フェニルイミダゾール誘導体を一例としてとりあげ、母核であるフェニルイミダゾールへの置換基の置換位置や種類の影響で錯体の安定性が大きく左右され、そのことが発光寿命に大きな影響を与えることが分かった。
本発明者らは、本発明に係る金属錯体が有する特定の環構造(5員環の構成中、1,3位に窒素原子を有するので、1,3−ジアゾール骨格を有する、但し、前記一般式(1)のY1、Y2により、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等を形成することができる。)に特定の立体的パラメータまたは電子的パラメータを有する置換基を、複素環、芳香族複素環または芳香族炭化水素環基を導入することにより、従来の青色用の金属錯体、特に電子吸引基によってのみ発光波長を短波側に制御してきた有機EL素子材料を用いて作製された有機EL素子の問題点であった発光寿命が大幅に改善されることを見出し、発光効率と発光寿命を両立できるに到った。
また、芳香環状の置換基の置換位置、及び大きさや電子的性質を本発明のように特定することにより、色純度の優れた青色用発光素子の更なる長寿命化を見出すことが分かり、有機EL素子の発光寿命の大幅な改善に成功した。
本発明の概念を2−フェニルイミダゾール環を例にとり、更に、2−フェニルイミダゾールのN位にフェニル基等の芳香族炭化水素環を導入する例を挙げ説明する。
即ち、2−フェニルイミダゾールのN位にフェニル基を導入することは、直鎖アルキル基をN位に導入する場合と比較して、合成的にも困難であることが知られている。加えて、この配位子を用いた金属錯体は発光波長が長波長であり、波形がブロード化するという特徴があった。
これは、N位上のフェニル基が窒素原子を介しているにも関わらず共役系が切断されていないことを示唆しており、発光波長がブロードなのは、例えば、N−メチル体の配位子と比較しても回転による振動準位の存在確率が格段に高まるためと説明できる。この仮定は、GAUSSIANによる分子軌道計算によってもサポートされている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、フェニルイミダゾールのN位にオルト位に嵩高い置換基を有する環状置換基を導入することにより
1)フェニル基のねじれを大きくし、共役系を切断させ、短波化する
2)嵩高い置換基により自由回転を抑制することで振動準位の確率を低くする
3)酸化を受けやすいN位を嵩高い置換基で保護することで分子の安定性を大きく向上させる
4)置換している原子の大きさと電子効果を組み合わせることにより短波化と長寿命化の両立が可能である
以上の効果を見出し、本発明を完結させるに至った。
また、本発明に係る母核を有する配位子であっても、組み合わせる補助配位子や置換基自身が長波なものを置換基として導入することにより、金属錯体の発光波長を所望の領域に制御できる。従って、金属錯体の発光波長を長波な領域(緑〜赤)に制御する機能を付与するための分子設計は、本発明に係る一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)を基本骨格設計の出発点とすることにより可能である。
(配位子)
本発明に係る金属錯体は、例えば、上記一般式(1)で説明するとm1>m2である場合、m1を有する括弧内に示す部分構造、もしくはその互変異性体で表される部分構造を主配位子と称し、m2を有する括弧内に示す部分構造、もしくはその互変異性体で表される部分構造を副配位子と称す。
本発明においては、一般式(1)に代表されるように、該金属錯体は主配位子もしくはその互変異性体と副配位子もしくはその互変異性体の組み合わせで構成されるか、後述するが、m2=0の場合、即ち該金属錯体の配位子の全てが主配位子またはその互変異性体で表される部分構造のみで構成されていてもよい。
更に従来公知の金属錯体形成に用いられる、所謂配位子として当該業者が周知の配位子(配位化合物ともいう)を必要に応じて配位子として有していてもよい。
本発明に記載の効果を好ましく得る観点からは、錯体中の配位子の種類は1〜2種類から構成されることが好ましく、更に好ましくは1種類である。
従来公知の金属錯体に用いられる配位子としては、種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子なと)が挙げられる。
(元素周期表の8〜10族の遷移金属元素)
本発明に係る、一般式(1)、(2)、(3)及び一般式(4)で表される金属錯体の形成に用いられる金属としては、元素周期表の8〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム、白金が好ましい遷移金属元素として挙げられる。
更に、このような有機EL素子材料を用いることにより、発光波長が制御され、高い発光効率を示し、且つ、発光寿命の長い有機EL素子、照明装置及び表示装置を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明の有機EL素子材料である金属錯体について説明する。
本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)で表される金属錯体の含有層としては、発光層及び/または電子阻止層が好ましく、また発光層に含有する場合は、発光層中の発光ドーパントとして用いることにより、本発明の有機EL素子の外部取り出し量子効率の効率アップ(高輝度化)や発光寿命の長寿命化を達成することができる。
ここで、本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)で表される金属錯体について説明する。
《一般式(1)で表される金属錯体》
本発明に係る一般式(1)で表される金属錯体について説明する。
一般式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
これらの基は、後述するRaで表される置換基を更に有していても良い。
一般式(1)において、Rで表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
これらの基は、後述するRaで表される置換基を更に有していても良い。
一般式(1)において、Rで表される芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は、後述するRaで表される置換基を更に有していても良い。
一般式(1)において、Rで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1、1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることが出来る。
これらの基は、後述するRaで表される置換基を更に有していても良い。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、後述するRaで表される置換基を更に有していても良い。
一般式(1)において、Y1、Y2のRaで表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよく、また、複数のC(Ra)が存在する場合、各々のRaは同一でも異なっていてもよく、お互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1)において、Z1、Z2、Z3、Z4のRbで表される置換基は、一般式(1)において、Y1、Y2のRaで表される置換基と同義である。また、複数のC(Rb)が存在する場合、それぞれのRbは同一でも異なっていてもよく、また、お互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1)において、X1−L1−X2で表される2座の配位子の具体例としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(1)において、M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム、白金が好ましい遷移金属元素として挙げられる。
一般式(1)において、m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3であり、m2は0である場合が好ましい。
《一般式(2)で表される金属錯体》
本発明に係る一般式(2)で表される金属錯体について説明する。
一般式(2)において、Zにより形成される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも、上記の置換基を有していてもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも、上記の置換基を有していても良い。
一般式(2)において、Zにより形成される複素環基としては、一般式(1)において、Rで表される複素環基と同義のものを挙げることができる。
一般式(2)において、R1は置換基を表し、該置換基は、該Zにより形成される炭化水素環基または複素環基と窒素原子との結合部位にある原子の隣接位の原子に結合している立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下であり、中でも、電子供与性基であることが好ましい。
以下、立体パラメータ値(Es値)について説明する。
(立体パラメータ値(Es値))
本発明において、Es値とは化学反応性より誘導された立体パラメータであり、この値が小さければ小さいほど立体的に嵩高い置換基ということができる。
一般に、酸性条件下でのエステルの加水分解反応においては、置換基が反応の進行に対して及ぼす影響は立体障害だけと考えてよいことが知られており、この事を利用して置換基の立体障害を数値化したものがEs値である。
置換基XのEs値は、次の化学反応式
X−CH2COORX+H2O→X−CH2COOH+RXOH
で表される、酢酸のメチル基の水素原子1つを置換基Xで置換したα位モノ置換酢酸から誘導されるα位モノ置換酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kXと、次の化学反応式
CH3COORY+H2O→CH3COOH+RYOH
(RXはRYと同一)で表される、上記のα位モノ置換酢酸エステルに対応する酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kHから次の式で求められる。
Es=log(kX/kH)
置換基Xの立体障害により反応速度は低下し、その結果kX<kHとなるのでEs値は通常負となる。実際にEs値を求める場合には、上記の二つの反応速度定数kXとkHを求め、上記の式により算出する。
Es値の具体的な例は、Unger,S.H.,Hansch,C.,Prog.Phys.Org.Chem.,12,91(1976)に詳しく記載されている。また、『薬物の構造活性相関』(化学の領域増刊122号、南江堂)、「American Chemical Society Professional Reference Book,‘Exploring QSAR’p.81 Table 3−3」にも、その具体的な数値の記載がある。次にその一部を表1に示す。
ここで、注意するのは本明細書で定義するところのEs値は、メチル基のそれを0として定義したのではなく、水素原子を0としたものであり、メチル基を0としたEs値から1.24を差し引いたものである。
本発明に係るEs値は−0.5以下である。好ましくは−7.0〜−0.6である。最も好ましくは−7.0〜−1.0である。
ここで、本発明においては、立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基、例えば、Zにケト−エノール互変異性体が存在し得る場合、ケト部分はエノールの異性体としてEs値を換算している。他の互変異性が存在する場合も同様の換算方法においてEs値を換算する。更にEs値が−0.5以下の置換基は、電子的効果においては電子供与性の置換基であることが好ましい。
(電子供与性基(電子供与性の置換基))
本発明において、電子供与性の置換基とは下記に記載のハメットのσp値が負の値を示す置換基のことであり、そのような置換基は水素原子と比べて結合原子側に電子を与えやすい特性を有する。
電子供与性を示す置換基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、)、アセチルオキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、メシチル基等)が挙げられる。またハメットのσp値については、例えば、下記文献等が参照できる。
本発明に係るハメットのσp値とはハメットの置換基定数σpを指す。ハメットのσpの値は、Hammett等によって安息香酸エチルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、『薬物の構造活性相関』(南江堂:1979年)、『Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology』(C.Hansch and A.Leo,John Wiley&Sons,New York,1979年)等に記載の基を引用することができる。
《一般式(3)で表される金属錯体》
本発明に係る一般式(3)で表される金属錯体について説明する。
一般式(3)において、R1で表される、立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基は、一般式(2)において、R1で表される置換基と同義である。
一般式(3)において、R2、R3で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1、Y2のRaで表される置換基と同義である。
尚、複数のR2、R3が存在する場合、各々のR2、R3は、同一でも異なっていてもよく、また、お互いに連結して環を形成しても良い。
《一般式(4)で表される金属錯体》
本発明に係る一般式(4)で表される金属錯体について説明する。
一般式(4)において、R1、R4で各々表される立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基は、一般式(2)において、R1で表される置換基と各々同義である。
R1、R4として、特に好ましいのは、共に電子供与性基であることが好ましい。
一般式(4)において、R2、R3で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1、Y2のRaで表される置換基と同義である。
尚、複数のR2、R3が存在する場合、各々のR2、R3は、同一でも異なっていてもよく、また、お互いに連結して環を形成しても良い。
《一般式(1)〜(4)で表される金属錯体の発光波長》
本発明に係る、一般式(1)〜(4)で表される各々の金属錯体の第一発光波長は、400nm〜500nmの範囲であることが好ましい。
ここで、第1発光波長とは、金属錯体の吸収波長で励起させ得られる発光光の中で最も短波な成分をいい、該第1発光波長は、蛍光光度計を使用し測定することにより求めることが出来る。
《一般式(1)〜(4)のいずれかひとつを部分構造として含む重合体》
また、本発明においては、上記一般式(1)〜(4)のいずれかひとつで表される金属錯体を部分構造として有する重合体(ポリマーともいう)を本発明の有機EL素子材料として用いることができる。
以下、本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)で表される金属錯体、および一般式(1)、(2)、(3)または一般式(4)で表される金属錯体を部分構造として有するポリマーの具体例を示すが(金属錯体3−2−25、4−1−14、4−2−22、4−2−28、4−3−43、4−3−55、およびポリマー4、5、6を除く。)、これらの化合物はさらに置換基を有していてもよいなど、本発明はこれらに限定されない。
これらの金属錯体は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を参照することにより合成できる。
以下に、本発明に係る金属錯体の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
《例示化合物4−4−64の合成》
工程1:錯体Aの合成
27.74g(0.1モル)の5−(1−mesityl−1H−imidazol−2−yl)−2−methylpyridine及び14.1g(0.04モル)の塩化イリジウム・3水和物を2−エトキシエタノール500mlおよび水170ml中、窒素バブリングを行いながら18時間還流した。
反応液を濃縮し、水/メタノール=1/1の100ml溶液で析出した固体を濾取し、水/メタノール=1/2溶液で固体を洗浄乾燥して錯体Aを23.8g(76.2%)得た。
得られた錯体Aはピリジン環2位および4位でオルトメタル化した化合物の混合物であった。尚、錯体Aの構造は、1H−NMR、13C−NMR等を用いて構造を同定した。
工程2:錯体Bの合成
工程1で得られた、20g(0.01281モル)の錯体A及び5.25g(0.05190モル)のアセチルアセトン、20gの炭酸ナトリウムを2−エトキシエタノール400ml中、窒素バブリングを行いながら3時間還流した。
反応液を冷却後、塩を濾別し、濾液を濃縮した後、水/メタノール=1/1の100ml溶液で析出した固体を濾取し、水/メタノール=1/1溶液で固体を洗浄乾燥して錯体Bを14.8g(68.5%)得た。
得られた錯体Bはピリジン環2位および4位でオルトメタル化した化合物の混合物であった。
工程3:例示化合物4−4−64の合成
工程2で得られた、10.0g(0.01185モル)の錯体B及び8.22g(0.02962モル)の5−(1−mesityl−1H−imidazol−2−yl)−2−methylpyridineをグリセリン350ml中、窒素バブリングを行いながら内温150℃から170℃で5時間反応させた。
反応液を冷却後、メタノール800mlを加え、析出した固体を濾取、乾燥し、10.6gの個体を得た。
得られた個体は、例示化合物4−4−64と4−2−32及び若干量のピリジン環の2位でオルトメタル化したトリス化錯体の混合物であった。
この固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/テトラヒドロフラン/トリエチルアミン)により分離生成し、例示化合物4−4−64を2.18g(18.0%)、例示化合物4−2−32を4.52g(37.3%)得た。
なお、例示化合物4−2−32の溶液における発光波長は447nmであった(発光波長は、2−メチルテトラヒドロフラン中で測定したものである。)
本発明では、例示化合物の発光波長を以下のように測定した。まず、例示化合物の吸収スペクトルを測定し、300nm−350nmの範囲の吸収最大波長を励起光として設定する。
設定した励起光を用いて、窒素バブリングを行いながら蛍光光度計F−4500(日立製作所製)にて発光波長を測定する。
尚、使用できる溶媒に制限はないが、化合物の溶解性の観点から2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン等が好ましく用いられる。
測定時の濃度は充分希釈していることが好ましく、具体的には10-6mol/lから10-4mol/lの範囲で測定することが好ましい。
また、測定時の温度としては、特に制限はないが、一般的には室温〜77Kの範囲の温度設定が行われることが好ましい。
《有機EL素子材料の有機EL素子への適用》
本発明の有機EL素子材料を用いて本発明の有機EL素子を作製する場合、有機EL素子の構成層(詳細は後述する)の中で、発光層または電子阻止層に本発明の有機EL素子材料を用いることが好ましい。また、発光層中では下記の発光ドーパントとして好ましく用いられる。
(発光ホストと発光ドーパント)
発光層中の主成分であるホスト化合物である発光ホストに対する発光ドーパントとの混合比は、好ましくは質量で0.1質量%〜30質量%未満の範囲に調整することである。
但し、発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよく、混合する相手は構造を異にする、その他の金属錯体やその他の構造を有するリン光性ドーパントや蛍光性ドーパントでもよい。
ここで、発光ドーパントとして用いられる金属錯体と併用してもよいドーパント(リン光性ドーパント、蛍光性ドーパント等)について述べる。発光ドーパントは大きく分けて、蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
前者(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
後者(リン光性ドーパント)の代表例としては、好ましくは元素周期表で8族、9族、10族の遷移金属元素を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
具体的には以下の特許公報に記載されている化合物である。
国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等。
以下に、具体例の一部を示す。
(発光ホスト)
本発明に用いられるホスト化合物とは、発光層に含有される化合物のうちで室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.01未満の化合物を表す。
本発明に用いられる発光ホストとしては構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、またはカルボリン誘導体や該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体等が挙げられる。中でも、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体や該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体が好ましく用いられる。
以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は正孔阻止材料として使用することも好ましい。
本発明に係る発光層においては、ホスト化合物として公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明に用いられる発光ホストは低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
発光ホストとしては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、且つ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
発光ホストの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が好適である。例えば、特開2001−257076号公報、特開2002−308855号公報、特開2001−313179号公報、特開2002−319491号公報、特開2001−357977号公報、特開2002−334786号公報、特開2002−8860号公報、特開2002−334787号公報、特開2002−15871号公報、特開2002−334788号公報、特開2002−43056号公報、特開2002−334789号公報、特開2002−75645号公報、特開2002−338579号公報、特開2002−105445号公報、特開2002−343568号公報、特開2002−141173号公報、特開2002−352957号公報、特開2002−203683号公報、特開2002−363227号公報、特開2002−231453号公報、特開2003−3165号公報、特開2002−234888号公報、特開2003−27048号公報、特開2002−255934号公報、特開2002−260861号公報、特開2002−280183号公報、特開2002−299060号公報、特開2002−302516号公報、特開2002−305083号公報、特開2002−305084号公報、特開2002−308837号公報等。
また、発光層はホスト化合物として更に蛍光極大波長を有するホスト化合物を含有していてもよい。この場合、他のホスト化合物とリン光性化合物から蛍光性化合物へのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光極大波長を有する他のホスト化合物からの発光も得られる。蛍光極大波長を有するホスト化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。
ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光極大波長を有するホスト化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
次に、代表的な有機EL素子の構成について述べる。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《阻止層(電子阻止層、正孔阻止層)》
本発明に係る阻止層(例えば、電子阻止層、正孔阻止層)について説明する。
本発明においては、正孔阻止層、電子阻止層等に本発明の有機EL素子材料を用いることが好ましく、特に好ましくは正孔阻止層に用いることである。
本発明の有機EL素子材料を正孔阻止層、電子阻止層に含有させる場合、請求項1〜7のいずれか1項に記載されている本発明の有機EL素子材料を、正孔阻止層や電子阻止層等の層構成成分として100質量%の状態で含有させてもよいし、他の有機化合物等と混合してもよい。
本発明に係る阻止層の膜厚としては好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層としては、例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載の正孔阻止(ホールブロック)層等を本発明に係る正孔阻止層として適用可能である。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子は構成層として正孔阻止層を有し、該正孔阻止層が前記カルボリン誘導体または該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体を含有することが好ましい。
《電子阻止層》
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
また本発明においては、発光層に隣接する隣接層、即ち正孔阻止層、電子阻止層に上記の本発明の有機EL素子材料を用いることが好ましく、特に電子阻止層に用いることが好ましい。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料を含み、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送材料は正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4′−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
この正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5000nm程度である。この正孔輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層を設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、下記の材料が知られている。
更に、電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、または該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体等が挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
この電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5000nm程度である。この電子輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる注入層について説明する。
《注入層》:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
この注入層は上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。注入層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5000nm程度である。この注入層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《陽極》
本発明の有機EL素子に係る陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、本発明に係る陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては、例えば、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
照明用途で用いる場合には、発光ムラを低減させるために粗面加工したフィルム(アンチグレアフィルム等)を併用することもできる。
多色表示装置として用いる場合は、少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
この有機化合物を含有する薄膜の薄膜化の方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。更に層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10-6Pa〜10-2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではない。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は画素の模式図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
また本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。発光層もしくは正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
このように、本発明に係る白色発光有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、実施例に用いられる化合物の構造を以下に示す。
実施例1
《有機EL素子1−1の作製》
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をiso−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方5つのタンタル製抵抗加熱ボートにα−NPD、H4、Ir−12、BCP、Alq3をそれぞれ入れ、真空蒸着装置(第1真空槽)に取り付けた。
更に、タンタル製抵抗加熱ボートにフッ化リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボートにアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第2真空槽に取り付けた。
まず、第1の真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明支持基板に膜厚20nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入/輸送層を設けた。
更に、H4の入った前記加熱ボートとIr−12の入ったボートをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるH4と発光ドーパントであるIr−12の蒸着速度が100:6になるように調節し、膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
次いで、BCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ10nmの正孔阻止層を設けた。
更にAlq3の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚20nmの電子輸送層を設けた。
次に、電子輸送層まで成膜した素子を真空のまま第2真空槽に移した後、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが配置されるように装置外部からリモートコントロールして設置した。
第2真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボートに通電して蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒で膜厚0.5nmの陰極バッファー層を設け、次いでアルミニウムの入ったボートに通電して、蒸着速度1nm/秒〜2nm/秒で膜厚150nmの陰極をつけ、有機EL素子1−1を作製した。
《有機EL素子1−2〜1−40の作製》
有機EL素子1−1の作製において、表2に記載のように発光ホスト、発光ドーパントおよび正孔阻止材料を変更した以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−40を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた有機EL素子1−1〜1−40を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止して、図5、図6に示すような照明装置を形成して評価した。
図5は照明装置の概略図を示し、有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った)。図6は照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
(外部取り出し量子効率)
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m2]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。外部取り出し量子効率は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
(発光寿命)
有機EL素子を室温下、2.5mA/cm2の定電流条件下による連続点灯を行い、初期輝度の半分の輝度になるのに要する時間(τ1/2)を測定した。発光寿命は有機EL素子1−1を100と設定する相対値で表した。
(発光色)
有機EL素子を室温下、2.5mA/cm2の定電流条件下による連続点灯を行った際の発光色を目視で評価した。
得られた結果を表2に示す。
表2から、本発明に係る金属錯体を用いて作製した有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、高い発光効率と発光寿命の長寿命化が達成できることが明らかである。
加えて、比較例の有機EL素子に比べ、青色純度が高く、青色発光素子として有用であることがわかる。更に、カルボリン誘導体またはカルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが、更に窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体を発光層または正孔阻止層に併用することにより、更に本発明の効果の向上が見られた。
更に、素子1−1と1−40の作製時において、封止前にいったん大気中に24時間暴露し、再び脱気および窒素条件化で封止を行った場合、素子1−1では外部取り出し効率と発光寿命が表1の結果と比較して50%以下になったのに対し、素子1−40では大きな変化は見られなかった。
従って、本発明に係る金属錯体を用いて作製した有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、酸化劣化耐性が極めて高いことがわかった。
実施例2
《有機EL素子2−1の作製》
25mm×25mm×0.5mmのガラス支持基板上に直流電源を用い、スパッタ法にてインジウム錫酸化物(ITO、インジウム/錫=95/5モル比)の陽極を形成した(厚み200nm)。この陽極の表面抵抗は10Ω/□であった。
これにポリビニルカルバゾール(正孔輸送性バインダーポリマー)/Ir−13(青発光性オルトメタル化錯体)/2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(電子輸送材)=200/2/50質量比を溶解したジクロロエタン溶液をスピンコーターで塗布し、100nmの発光層を得た。
この有機化合物層の上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内で陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nm及び陰極としてアルミニウム150nmを蒸着して陰極を設けて、青色発光の有機EL素子2−1を作製した。
《有機EL素子2−2〜2−11の作製》
有機EL素子2−1の作製において、表3に記載のように発光ドーパントを変更した以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−11を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた有機EL素子2−1〜2−11を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止して、図5、図6に示すような照明装置を形成して評価した。
次いで、下記のようにして発光輝度及び発光効率を測定した。
(発光輝度、発光効率)
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加して発光させ、10Vの直流電圧を印加した時の発光輝度(cd/m2)と2.5mA/cm2の電流を通じた時の発光効率(lm/W)を測定した。得られた結果を表3に示す。
表3から、本発明に係る金属錯体を用いて作製した有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、高い発光効率と高い輝度が達成できることが明らかである。
実施例3
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子1−40を青色発光素子として用いた。
(緑色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子1−2において、Ir−13をIr−1に変更した以外は同様にして、緑色発光素子を作製し、これを緑色発光素子として用いた。
(赤色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子1−2において、Ir−13をIr−9に変更した以外は同様にして、赤色発光素子を作製し、これを赤色発光素子として用いた。
上記で作製した赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
即ち、同一基板上に複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
前記複数画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されるとデータ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。このように赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
このフルカラー表示装置は駆動することにより、輝度が高く、高耐久性を有し、且つ鮮明なフルカラー動画表示が得られることが分かった。
実施例4
《白色発光素子及び白色照明装置の作製》
実施例1の透明電極基板の電極を20mm×20mmにパターニングし、その上に実施例1と同様に正孔注入/輸送層としてα−NPDを25nmの厚さで成膜し、更にH4の入った前記加熱ボートと例示化合物(4−4−64)の入ったボート及びIr−9の入ったボートをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるCBPと発光ドーパントである例示化合物(4−4−64)及びIr−9の蒸着速度が100:5:0.6になるように調節し、膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
次いで、BCPを10nm成膜して正孔阻止層を設けた。更に、Alq3を40nmで成膜し電子輸送層を設けた。
次に、実施例1と同様に電子注入層の上にステンレス鋼製の透明電極とほぼ同じ形状の正方形穴あきマスクを設置し、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nm及び陰極としてアルミニウム150nmを蒸着成膜した。
この素子を実施例1と同様な方法及び同様な構造の封止缶を具備させ、図5、図6に示すような平面ランプを作製した。この平面ランプに通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用できることが分かった。
実施例5
《有機EL素子5−1の作製》:本発明
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70質量%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入・輸送層を設けた。
この正孔注入・輸送層上に、例示化合物1(ポリマー−1)を30mgをトルエン3mlに溶解した溶液を、1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により製膜し、60℃で1時間真空乾燥し、膜厚80nmの発光層とした。
これを真空蒸着装置に取付け、次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧し、陰極バッファー層としてカルシウム10nm及び陰極としてアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子5−1を作製した。
《有機EL素子5−2〜5−17の作製》:本発明
有機EL素子5−1の作製において、発光層の作製に用いた例示化合物1を、1、2、7、8、10、11、13、15、17、19、20、22、24、25、29、30に各々変更した以外は全く同様にして、有機EL素子5−2〜5−17を各々作製した。
《有機EL素子5−18の作製》:比較例
有機EL素子5−1の作製において、3mlの例示化合物1の溶液を以下[A]に記載する溶液に置き換えた以外は全く同様にして、有機EL素子5−18を作製した。
[A]:ポリビニルカルバゾール30mgとIr−13(青発光性オルトメタル化錯体)1.5mgとをトルエン3mlに溶解した溶液
《有機EL素子5−1〜5−18の評価》
得られた有機EL素子5−1〜5−18を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止して、図5、図6に示すような照明装置を形成して評価した。
次いで、下記のようにして外部取り出し量子効率および発光寿命を測定した。
《外部取りだし量子効率》
有機EL素子について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下、2.5mA/cm2定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。尚、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)を用いた。
《発光寿命》
23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下、2.5mA/cm2の一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ1/2)として寿命の指標とした。
尚、測定には同様に、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)を用いた。
有機EL素子5−1〜5−18の外部取り出し量子効率、発光寿命の測定結果は、有機EL素子5−18を100とした時の相対評価を行った。
得られた結果を下記の表4に示す。
表4から、かかる表に記載の高分子化合物を発光層に用いることで、外部取り出し量子効率が大幅に向上し、消費電力が抑制されることがわかった。また発光寿命も改善されることも併せてわかった。
尚、化合物29を用いた素子(5−16)からは緑色発光が得られ、化合物30を用いた素子(5−17)からは赤色発光が得られた。それ以外の有機EL素子は何れも青色または青緑色に発光した。