JP5229022B2 - 発光素子、表示装置および電子機器 - Google Patents

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本発明は、発光素子、表示装置および電子機器に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような発光素子としては、例えば、陰極と陽極との間に、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に対応する3層の発光層を積層し、白色発光させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような白色発光する発光素子は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色が画素ごとに塗り分けられたカラーフィルタと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
また、特許文献1にかかる発光素子では、発光層同士の間に中間層を設けることで、発光層間でのキャリア(電子および正孔)の移動を制限することができ、各発光層での正孔と電子との再結合の量を調整している。この結果、発光素子の発光効率、発光寿命等の性能を向上させている。
ところで、画像表示に用いられる発光素子には、通常、駆動用トランジスタを介して駆動電圧の印加が行われる。言い換えると、陰極(または陽極)および駆動用トランジスタ間には、常時一定の駆動電圧が印加されており、駆動用トランジスタが電源と陽極(または陰極)を導通させることにより、発光素子の陽極と陰極との間に駆動電圧が印加され、発光素子は発光する。一方で、駆動用トランジスタが電源と陽極(または陰極)とを導通させない場合、発光素子の陽極と陰極との間には駆動電圧が印加されず、発光素子は発光しないように設計されている。
しかしながら、駆動用トランジスタが電源と陽極(または陰極)とを導通させない場合においても、陰極と陽極との間には、微弱な電圧が印加される。このような微弱な電圧が印加された際において、特許文献1に記載のような発光素子は、わずかに発光する。このような発光しないように設定された状態においてわずかに発光する現象(黒浮き現象)が起こると、表示される画像のコントラスト比が高いものとならない問題があった。特に白色発光する発光素子とカラーフィルタとを組み合わせた場合、上記のような黒浮き現象が起こると、各発光層の発光バランスが、駆動電圧が印加された際とは異なってしまい、発光素子は設計された色とは異なる色で微弱に発光する問題があった。特に、各発光層の発光バランスが異なってしまう場合、発光が比較的容易な赤色が主に発光しやすい。
特開2007−287691号公報
本発明の目的は、黒浮き現象が抑制され、好適に画像表示に用いることのできる発光素子、この発光素子を備えた信頼性の高い表示装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の発光素子は、陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に設けられ、第1の色に発光する第1の発光層と、
前記第1の発光層と前記陰極との間に設けられ、前記第1の色とは異なる第2の色に発光する第2の発光層と、
前記第2の発光層と前記陰極との間に前記第2の発光層に接するように設けられ、前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色に発光する第3の発光層と、
前記第1の発光層と前記第2の発光層との層間にこれらに接するように設けられ、平均厚さが10〜60nmであり、電子および正孔の流れを調整する中間層とを有し、
前記中間層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料と、電子を輸送する機能を有する電子輸送材料とを含み、
前記電子輸送性材料は、アントラセン誘導体であり、
前記第1の発光層の平均厚さをT [nm]、前記中間層の平均厚さをT [nm]、前記第2の発光層の平均厚さをT [nm]、前記第3の発光層の平均厚さをT [nm]としたとき、
3.0≦(T +T )/T ≦5、かつ、0.8≦T /T ≦10の関係を満足することを特徴とする。
これにより、黒浮き現象が抑制され、好適に画像表示に用いることのできる発光素子を提供することができる。
ここで、前記中間層正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料を含むことより、各発光層がバランスよく発光しやすいものとなり、発光素子は、より確実に目的とする色を発光することができるとともに、発光効率に優れたものとなる。
また、前記中間層、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料と、電子を輸送する機能を有する電子輸送材料とを含むことより、各発光層がバランスよく発光しやすいものとなり、発光素子は、より確実に目的とする色を発光することができるとともに、発光効率に優れたものとなる。また、発光素子の発光寿命がより長いものとなる。
また、前記電子を輸送する機能を有する材料(アントラセン誘導体)は、電子輸送性に優れるため、第2の発光層から中間層を介して第1の発光層へ電子を円滑に受け渡すことができる。また、このような材料は励起子に対する体制に優れているため、中間層の励起子による劣化を防止または抑制し、その結果、発光素子の耐久性(発光寿命)を優れたものとすることができる。
また、3.0≦(T +T )/T ≦5の関係を満足することにより、各層間での発光バランスがより優れたものとなる。
しかも、0.8≦T /T ≦10の関係を満足することにより、第1の色が優先的に発光するのを防止することができ、発光素子は、各発光層の発光バランスがより優れたものとなる。
本発明の発光素子では、前記中間層における前記正孔輸送材料の含有量をC[wt%]、前記電子輸送材料の含有量をC[wt%]としたとき、0.5≦C/C≦20の関係を満足することが好ましい。
これにより、より確実に、キャリアや励起子に対する中間層の耐性を優れたものとしつつ、各発光層の発光バランスをより優れたものとすることができる。また、発光素子に印加される電圧が変化した場合であっても各発光層の発光バランスがより変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記正孔を輸送する機能を有する材料は、アミン系材料であることが好ましい。
このようなアミン系材料は、一般に、正孔輸送性に優れている。したがって、第1の発光層から中間層を介して第2の発光層へ正孔を円滑に受け渡すことができる。また、陽極と陰極との間に印加される電圧が変化した場合であっても各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記正孔を輸送する機能を有する材料は、テトラアリールベンジジン誘導体であることが好ましい。
このようなアミン系材料は、一般に、正孔輸送性に優れている。したがって、第1の発光層から中間層を介して第2の発光層へ正孔を円滑に受け渡すことができる。また、陽極と陰極との間に印加される電圧が変化した場合であっても各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記第1の色は、赤色であることが好ましい。
これにより、各発光層をよりバランスよく発光させることができる。また、発光素子に印加される電圧が変化した場合であっても、各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記第2の色は、青色であることが好ましい。
これにより、各発光層をよりバランスよく発光させることができる。また、発光素子に印加される電圧が微弱な場合や電圧が変化した場合であっても、各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
本発明の発光素子では、前記陽極と前記陰極とに駆動電圧を印加することにより、白色に発光することが好ましい。
白色発光する発光素子は、黒浮き現象が顕著に出やすいが、本発明によれば、黒浮き現象を好適に防止することができる。
本発明の発光素子では、前記中間層は、前記陰極と前記陽極との間に0.00033mA/cm の電流で電圧が印加された際に、発光素子に電流が流れるのを防止するものであることが好ましい。
これにより、黒浮き現象を好適に防止することができる。
本発明の表示装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、黒浮き現象が防止され、高品位な画像を表示することができる表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、黒浮き現象が防止され、高品位な画像を表示することができる電子機器を提供することができる。
本発明の発光素子の好適な実施形態を縦断面を模式的に示す図である。 本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 各実施例および各比較例の黒浮き現象および発光効率の評価を示すグラフである。
以下、本発明の発光素子、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の発光素子の好適な実施形態を縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側、すなわち陰極12側を「上」、下側、すなわち陽極3側を「下」として説明を行う。
図1に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)を発光させて、白色発光するものである。
このような発光素子1は、陽極3と正孔注入層4と正孔輸送層5と赤色発光層(第1の発光層)6と中間層7と青色発光層(第2の発光層)8と緑色発光層(第3の発光層)9と電子輸送層10と電子注入層11と陰極12とがこの順に積層されてなるものである。
言い換えすれば、発光素子1は、正孔注入層4と正孔輸送層5と赤色発光層6と中間層7と青色発光層8と緑色発光層9と電子輸送層10と電子注入層11と陰極12とがこの順に積層で積層された積層体15が2つの電極間(陽極3と陰極12との間)に介挿されて構成されている。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材13で封止されている。
このような発光素子1にあっては、電源25から陽極3および陰極12に駆動電圧が印加されることにより、赤色発光層6、青色発光層8、および緑色発光層9の各発光層に対し、陰極12側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。これにより、発光素子1は、白色発光する。
また、発光素子1に印加される駆動電圧の制御は、駆動用トランジスタ24によって行われる。駆動用トランジスタ24は、陽極3と電源25との間に設置され、動作することにより、陽極3と電源25とを導通させる。また、駆動用トランジスタ24は、動作を解除されることにより、陽極3と電源25との導通を解除する。このように、駆動用トランジスタ24の駆動が解除された際に、陽極3および陰極12の間には、本来、電圧がかからないように設定されている。しかしながら、実際には、陽極3および陰極12との間に微弱な電圧が発生する。このような状況下において、従来の発光素子では黒浮き現象の問題が発生しやすい。特に白色発光する発光素子は、このような問題が顕著に現れやすいが、本発明では、後述するような中間層7を設けることにより、黒浮き現象の問題を解決している。
基板2は、陽極3を支持するものである。本実施形態の発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
以下、発光素子1を構成する各部を順次説明する。
(陽極)
陽極3は、後述する正孔注入層4を介して正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
(陰極)
一方、陰極12は、後述する電子注入層11を介して電子輸送層10に電子を注入する電極である。この陰極12の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極12の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極12の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極12の構成材料として用いることにより、陰極12の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極12の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、200〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極12に、光透過性は、特に要求されない。
(正孔注入層)
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔注入層4の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、下記化1に示すN,N'−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N,N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が挙げられる。
Figure 0005229022
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔注入層4は、省略することができる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層5は、陽極3から正孔注入層4を介して注入された正孔を赤色発光層6まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層5の構成材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、下記化2に示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005229022
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、この正孔輸送層5は、省略することができる。
(赤色発光層)
この赤色発光層(第1の発光層)6は、赤色(第1の色)に発光する第1の発光材料を含んで構成されている。
このように第1の色として比較的長い波長の光を用いることにより、最低非占有分子軌道(HOMO)と最高占有分子軌道(LUMO)とのエネルギー準位差(バンドギャップ)が比較的小さい発光材料を用いることができる。このようにバンドギャップが比較的小さい発光材料は、正孔や電子を捕獲しやすく、発光しやすい。したがって、陽極3側に赤色発光層6を設けることで、バンドギャップが大きく発光し難い青色発光層8や緑色発光層9を陰極12側とし、各発光層をバランスよく発光させることができる。
また、このように第1の発光材料がバンドギャップの比較的小さな材料であると、第1の発光層6中の電子、正孔の密度が少ない場合であっても、好適に発光することができる。
このような赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記化3に示すテトラアリールジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
Figure 0005229022
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、赤色発光層6の構成材料としては、前述したような赤色発光材料に加えて、この赤色発光材料をゲスト材料とするホスト材料(第1のホスト材料)を用いてもよい。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。このような第1のホスト材料は、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料をドーパントとして第1のホスト材料にドープして用いることができる。
このような第1のホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、赤色発光材料が赤色蛍光材料を含む場合、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、ナフタセン誘導体、下記化4に示すようなアントラセン誘導体、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)等のアントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、下記化5に示されるルブレン誘導体等のルブレンおよびその誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、赤色発光材料が赤色燐光材料を含む場合、第1のホスト材料としては、例えば、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 0005229022
Figure 0005229022
赤色発光層6に第1のホスト材料が含まる場合、赤色発光層6中における赤色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、後述する青色発光層8や緑色発光層9の発光量とのバランスをとりつつ赤色発光層6を発光させることができる。
また、赤色発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、5〜30nm程度であるのが好ましく、10〜20nm程度であるのがより好ましい。これにより、発光素子1の各発光層をバランスよく発光させることができる。
(中間層)
この中間層7は、前述した赤色発光層6と後述する青色発光層8との層間にこれらに接するように設けられている。そして、中間層7は、青色発光層8から赤色発光層6へ輸送される電子の量を調節する機能を有する。また、中間層7は、赤色発光層6から青色発光層8へ輸送される正孔の量を調節する機能を有する。また、中間層7は、赤色発光層6と青色発光層8との間で励起子のエネルギーが移動するのを阻止する機能を有する。この機能により、赤色発光層6および青色発光層8をそれぞれ効率よく発光させることができる。この結果、各発光層をバランスよく発光させることができ、発光素子1は目的とする色(本実施形態では白色)を発光することができるものとなるとともに、発光素子1の発光効率および発光寿命の向上を図ることができる。
また、本発明においては、中間層7は、その平均厚さが10〜60nmである。このように、比較的厚い中間層7を設けることにより、陽極3と陰極12との間に微弱な電圧が印加された際に、発光素子1に電流が流れるのを防止する。このため、駆動用トランジスタ24によって、発光素子1に駆動電圧が印加されていない場合には、発光素子1は発光しにくいものとなり、黒浮き現象が防止される。また、平均厚さが、前記上限値以下であることにより、中間層7で輸送される電子および正孔の量が減少し、発光効率が低下することが防止される。
以上より、上記のような中間層7を設けることにより、発光素子1は、優れた発光効率および発光バランスを維持しつつ、黒浮き現象が防止されたものとなる。
また、中間層7は上記のように比較的厚いものであるため、耐久性に優れている。さらに、発光バランスに優れるため、特定の発光層に正孔および電子が集中して当該発光層が劣化するのを防止することができ、以上から、発光素子1全体としての発光寿命を長いものとすることができる。
これに対し、中間層7の平均厚さが前記下限値未満だと、陽極3と陰極12との間に微弱な電圧が印加された際に、発光素子1に電流が流れやすくなり、黒浮き現象を抑制することができない。一方、中間層7の平均厚さが前記上限値を超えると、発光素子1全体としての発光効率が急激に低下してしまう。
中間層7の平均厚さは、上述したような範囲内であればよいが、15〜60nmであるのが好ましく、20〜60nmであるのがより好ましく、上述したような効果をより顕著に得ることができる。
このような中間層7の構成材料としては、中間層7が前述したような機能を発揮することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、正孔を輸送する機能を有する材料(正孔輸送材料)、電子を輸送する機能を有する材料(電子輸送材料)等を用いることができ、特に、正孔を輸送する機能を有する材料を用いることが好ましい。
一般に、電子と比較して正孔は、移動度が遅いが、中間層7が正孔輸送材料を含むことにより、正孔は円滑に中間層7から青色発光層8に受け渡され、各発光層がバランスよく発光しやすいものとなり、発光素子1は、目的とする色(白色)により確実に発光することができるとともに発光効率に優れたものとなる。
このような中間層7に用いられる正孔輸送材料としては、中間層7が前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、前述した正孔輸送材料のうちのアミン骨格を有するアミン系材料を用いることができるが、ベンジジン系アミン誘導体を用いるのが好ましい。
特に、ベンジジン系アミン誘導体のなかでも、中間層7に用いられるアミン系材料としては、2つ以上の芳香環基を導入したものが好ましく、テトラアリールベンジジン誘導体がより好ましい。このようなベンジジン系アミン誘導体としては、例えば、前記化2に示されるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)や、N,N,N’,N’−テトラナフチル−ベンジジン(TNB)などが挙げられる。
このようなアミン系材料は、一般に、正孔輸送性に優れている。したがって、赤色発光層6から中間層7を介して青色発光層8へ正孔を円滑に受け渡すことができる。また、各発光層の中で最も発光しにくい青色発光層8に正孔が十分に供給されるため、陽極3と陰極12との間に印加される電圧が変化した場合であっても各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
また、特に、中間層7の構成材料として、正孔輸送材料に加え、電子輸送材料を同時に含むことが好ましい。これにより、中間層7は、電子輸送性および正孔輸送性を有する。すなわち、中間層7は、バイポーラ性を有する。このように中間層7がバイポーラ性を有すると、赤色発光層6から中間層7を介して青色発光層8へ正孔を円滑に受け渡すとともに、青色発光層8から中間層7を介して赤色発光層6へ電子を円滑に受け渡すことができる。その結果、赤色発光層6および青色発光層8にそれぞれ電子および正孔を効率的に注入して発光させることができる。
また、このような中間層7は、バイポーラ性を有するため、キャリア(電子、正孔)に対する耐性に優れている。このため、中間層7中で電子と正孔が再結合して励起子が生成しても、中間層7の劣化を防止または抑制することができる。これにより、中間層7の励起子による劣化を防止または抑制し、その結果、発光素子1の耐久性(発光寿命)を優れたものとすることができる。
中間層7に用いることができる電子輸送材料としては、中間層7が前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、アセン系材料を用いることができる。アセン系材料は、電子輸送性に優れるため、青色発光層8から中間層7を介して赤色発光層6へ電子を円滑に受け渡すことができる。また、アセン系材料は励起子に対する体制に優れているため、中間層7の励起子による劣化を防止または抑制し、その結果、発光素子1の耐久性を優れたものとすることができる。
このようなアセン系材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、ヘキサセン誘導体、ヘプタセン誘導体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体を用いるのが好ましく、アントラセン誘導体を用いることがより好ましい。アントラセン誘導体としては、例えば、前記化4に示されるアントラセン誘導体、下記化6に示される2−t−ブチル−9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(TBADN)等が挙げられる。
Figure 0005229022
中間層7に正孔輸送材料と電子輸送材料とが同時に含まれる場合、中間層7中における正孔輸送材料の含有量は、特に限定されないが、5〜95wt%であるのが好ましく、7〜90wt%であるのがより好ましく、10〜85wt%であるのがさらに好ましい。
また、中間層7中におけるアセン系材料の含有量は、特に限定されないが、10〜70wt%であるのが好ましく、15〜60wt%であるのがより好ましく、20〜55wt%であるのがさらに好ましい。
中間層7における正孔輸送材料の含有量をC[wt%]、電子輸送材料の含有量をC[wt%]としたとき、0.5≦C/C≦20の関係を満足することが好ましく、1.0≦C/C≦10の関係を満足することがよりこのましい。これにより、より確実に、キャリアや励起子に対する中間層7の耐性を優れたものとしつつ、赤色発光層6および青色発光層8にそれぞれ電子および正孔を注入して発光させることができ、各発光層の発光バランスをより優れたものとすることができる。また、発光素子1に印加される電圧が変化した場合であっても各発光層の発光バランスがより変化しにくいものとなる。
(青色発光層)
青色発光層(第2の発光層)8は、青色(第2の色)に発光する青色発光材料(第2の発光材料)を含んで構成されている。
このように第2の色として比較的短い波長の光を用いることにより、バンドギャップが比較的大きい発光材料を用いることができる。このようにバンドギャップが比較的大きい発光材料は、バンドギャップが比較的小さい発光材料と比較して正孔や電子を捕獲しにくい。しかしながら、青色発光層8がこのような位置に配置されることにより、正孔および電子が十分に青色発光層8に供給され、青色発光層8を十分に発光させることができる。また、中間層7と青色発光層8との界面付近において電子と正孔とが再結合して生成した励起子のエネルギーが効率よく青色発光層8の発光に用いられる。このため、各発光層は、バランスよく発光することができる。また、発光素子1に印加される電圧が微弱な場合や電圧が変化した場合であっても、各発光層の発光バランスが変化しにくいものとなる。
このような青色発光材料としては、特に限定されず、各種青色蛍光材料、青色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、下記化7で示されるジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 0005229022
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。より具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、青色発光層8の構成材料としては、前述したような青色発光材料に加えて、この青色発光材料をゲスト材料とするホスト材料(第2のホスト材料)を用いてもよい。青色発光層8に用いることのできる第2のホスト材料としては、前述した赤色発光層6の第1のホスト材料と同様のホスト材料を用いることができる。
青色発光層8が第2のホスト材料を含む場合、青色発光層8中における青色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜20wt%であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましい。青色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、赤色発光層6や後述する緑色発光層9の発光量とのバランスをとりつつ青色発光層8を発光させることができる。
また、青色発光層8の平均厚さは、特に限定されないが、10〜30nm程度であるのが好ましく、12〜20nm程度であるのがより好ましい。
(緑色発光層)
緑色発光層(第3の発光層)9は、緑色(第3の色)に発光する緑色発光材料(第3の発光材料)を含んで構成されている。
このような緑色発光材料としては、特に限定されず、各種緑色蛍光材料、緑色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、下記化8に示すキナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 0005229022
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。中でも、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つが、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものが好ましい。より具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウムが挙げられる。
また、緑色発光層9はホスト材料(第3のホスト材料)を含んでいてもよい。緑色発光層9の第3のホスト材料としては、前述した赤色発光層6のホスト材料と同様のホスト材料を用いることができる。
緑色発光層9が第3のホスト材料を含む場合、緑色発光層9中における緑色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜20wt%であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましい。緑色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、赤色発光層6や青色発光層8の発光量とのバランスをとりつつ緑色発光層9を発光させることができる。
また、緑色発光層9の平均厚さは、特に限定されないが、5〜20nm程度であるのが好ましく、8〜15nm程度であるのがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層10は、陰極12から電子注入層11を介して注入された電子を緑色発光層9に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層10の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、下記化9に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005229022
電子輸送層10の平均厚さは、特に限定されないが、0.5〜100nm程度であるのが好ましく、1〜50nm程度であるのがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層11は、陰極12からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層11の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層11を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層11の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
また、上述したような積層体15の平均厚さは、30〜120nmであることが好ましく、25〜100nmであることがより好ましい。積層体15の平均厚さが前記上限値以下であると、駆動電圧が高くなりすぎたり、発光素子1の発光効率が低下することを防止することができる。また、積層体15の平均厚さが前記下限値以上だと、積層体15(ひいては発光素子1)を比較的容易に形成することができ、発光素子1の品質のばらつきが少ないものとなり、発光素子1の歩留まりが高いものとなる。
また、積層体15において、赤色発光層6の平均厚さをT[nm]、中間層の平均厚さをT[nm]、青色発光層8の平均厚さをT[nm]、緑色発光層9の平均厚さをT[nm]としたとき、以下の関係を満足することが好ましい。
積層体15は、3.0≦(T+T)/T≦5の関係を満足することが好ましく、3.0≦(T+T)/T≦4.5の関係を満足することがより好ましい。これにより、各層間での発光バランスがより優れたものとなる。
積層体15は、0.8≦T/T≦10の関係を満足することが好ましく、1.0≦T/T≦8の関係を満足することがより好ましい。これにより、赤色が優先的に発光するのを防止することができ、発光素子1は、各発光層の発光バランスがより優れたものとなる。
(封止部材)
封止部材13は、陽極3、積層体15、および陰極12を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材13を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材13の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材13の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材13と陽極3、積層体15、および陰極12との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材13は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
以上のように構成された発光素子1によれば、中間層7が赤色発光層6と青色発光層8との間での電子と正孔の輸送のバランスをとることができるため、赤色発光層6および青色発光層8をそれぞれ効率よく発光させることができる。このため、発光以外に用いられる電子および正孔の量が少なくなり、この結果、発光素子1の材料が劣化することが防止され、発光素子1の発光寿命が長いものとなる。
また、比較的厚い中間層7を設けることにより、陽極3と陰極12との間に微弱な電圧が印加された際に、発光素子1に電流が流れるのを防止する。このため、駆動用トランジスタ24によって、発光素子1に駆動電圧が印加されていない場合には、発光素子1は発光しにくいものとなり、黒浮き現象が防止される。また、中間層7は、その平均厚さが比較的厚いため、耐久性に優れたものである。
以上より、上記のような中間層7を設けることにより、発光素子1は、優れた発光効率、発光寿命および発光バランスを維持しつつ、黒浮き現象が防止されたものとなる。
また、本実施形態では、陽極3側から陰極12側へ、赤色発光層6、中間層7、青色発光層8、緑色発光層9の順に設けることで、比較的簡単に、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)をバランスよく発光させて、白色発光させることができ、電圧が変化した際の各発光層の発光バランスの変化を抑制することができる。
以上のような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔注入層4は、例えば、正孔注入材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層4を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面を親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
[3] 次に、正孔注入層4上に正孔輸送層5を形成する。
正孔輸送層5は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次に、正孔輸送層5上に、赤色発光層6を形成する。
赤色発光層6は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、赤色発光層6上に、中間層7を形成する。
中間層7は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[6] 次に、中間層7上に、青色発光層8を形成する。
青色発光層8は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[7] 次に、青色発光層8上に、緑色発光層9を形成する。
緑色発光層9は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[8] 次に、緑色発光層9上に電子輸送層10を形成する。
電子輸送層10は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、電子輸送層10は、例えば、電子輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、緑色発光層9上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[9] 次に、電子輸送層10上に、電子注入層11を形成する。
電子注入層11の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層11は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[10] 次に、電子注入層11上に、陰極12を形成する。
陰極12は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように封止部材13を被せ、基板2に接合する。
以上説明したような発光素子1は、例えば光源等として使用することができる。また、複数の発光素子1をマトリックス状に配置することにより、ディスプレイ装置(本発明の表示装置)を構成することができる。
なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
次に、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の一例について説明する。
図2は、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図2に示すディスプレイ装置100は、基板21と、サブ画素100R、100G、100Bに対応して設けられた複数の発光素子1R、1G、1Bおよびカラーフィルタ19R、19G、19Bと、各発光素子1R、1G、1Bをそれぞれ駆動するための複数の駆動用トランジスタ24とを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。
基板21上には、複数の駆動用トランジスタ24が設けられ、これらの駆動用トランジスタ24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスタ24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
駆動用トランジスタ24は、ゲート電極243に電圧が印加されることにより、動作し、ソース電極244とドレイン電極245とを導通させる。また、ゲート電極243に印加する電圧を調節することにより、ソース電極244とドレイン電極245とを流れる電流を調節することができ、ひいては、発光素子1R、1G、1Bに印加される電圧を調節することができる。
平坦化層上には、各駆動用トランジスタ24に対応して発光素子1R、1G、1Bが設けられている。
発光素子1Rは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体(有機EL発光部)15、陰極12、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1R、1G、1Bの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスタ24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1R、1G、1Bの陰極12は、共通電極とされている。
なお、発光素子1G、1Bの構成は、発光素子1Rの構成と同様である。また、図2では、図1と同様の構成に関しては、同一符号を付してある。また、反射膜32の構成(特性)は、光の波長に応じて、発光素子1R、1G、1B間で異なっていてもよい。
隣接する発光素子1R、1G、1B同士の間には、隔壁31が設けられている。また、これらの発光素子1R、1G、1B上には、これらを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
カラーフィルタ19R、19G、19Bは、前述したエポキシ層35上に、発光素子1R、1G、1Bに対応して設けられている。
カラーフィルタ19Rは、発光素子1Rからの白色光Wを赤色(R)に変換するものである。また、カラーフィルタ19Gは、発光素子1Gからの白色光Wを緑色(G)に変換するものである。また、カラーフィルタ19Bは、発光素子1Bからの白色光Wを青色(B)に変換するものである。このようなカラーフィルタ19R、19G、19Bを発光素子1R、1G、1Bと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
また、隣接するカラーフィルタ19R、19G、19B同士の間には、遮光層36が形成されている。これにより、意図しないサブ画素100R、100G、100Bが発光するのを防止することができる。
そして、カラーフィルタ19R、19G、19Bおよび遮光層36上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
以上説明したようなディスプレイ装置100は、単色表示であってもよく、各発光素子1R、1G、1Bに用いる発光材料を選択することにより、カラー表示も可能である。
このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、各種の電子機器に組み込むことができる。
このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、前述したような発光装置を用いるため、黒浮き現象が防止され、高品位な画像を長期にわたり表示することができる。
図3は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図4は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図5は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、図3のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図4の携帯電話機、図5のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した実施形態では、発光素子が3層の発光層を有するものについて説明したが、発光層が2層または4層以上であってもよい。また、発光層の発光色としては、前述した実施形態のR、G、Bに限定されない。
また、中間層は、発光層同士の少なくとも1つの層間に設けられていればよく、2層以上の中間層を有していてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、前記化1に示すN,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N,N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミンを真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの正孔注入層を形成した。
<3> 次に、正孔注入層上に、前記化2に表わされるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの正孔輸送層を形成した。
<4> 次に、正孔輸送層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの赤色発光層(第1の発光層)を形成した。赤色発光層の構成材料としては、赤色発光材料(ゲスト材料)として前記化3で表わされるテトラアリールジインデノペリレン誘導体(RD−1)を用い、ホスト材料として前記化5で表わされるルブレン誘導体(RB)を用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、2.0wt%とした。
<5> 次に、赤色発光層上に、中間層の構成材料を真空蒸着法により付与し、平均厚さ10nmの中間層を形成した。中間層の構成材料としては、前記化2に表わされるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)と、前記化4に示すアントラセン誘導体とを用い、中間層中の材料の使用割合を、重量比でα−NPD:前記化4に示すアントラセン誘導体=1:1となるようにした。
<6> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの青色発光層(第2の発光層)を形成した。青色発光層の構成材料としては、青色発光材料として前記化7で示されるジスチリルジアミン系化合物を用い、ホスト材料として前記化4に示すアントラセン誘導体を用いた。また、青色発光層中の青色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、10.0wt%とした。
<7> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの緑色発光層(第3の発光層)を形成した。緑色発光層の構成材料としては、緑色発光材料(ゲスト材料)として前記化8に示すキナクリドン誘導体を用い、ホスト材料としてホスト材料として前記化4に示すアントラセン誘導体を用いた。また、緑色発光層中の緑色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、10.0wt%とした。
<8> 次に、緑色発光層上に、前記化9に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ10nmの電子輸送層を形成した。
<9> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<10> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ200nmの陰極を形成した。
<11> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、白色発光する図1に示すような発光素子を製造した。
(実施例2)
中間層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例3)
中間層の平均厚さを30nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例4)
中間層の平均厚さを40nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例5)
中間層の平均厚さを50nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例6)
中間層の平均厚さを60nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例7)
中間層を構成する材料として、前記化2に表わされるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例8)
中間層の平均厚さを60nmとした以外は、前述した実施例7と同様にして発光素子を製造した。
(実施例9)
中間層を構成する材料として、前記化2に表わされるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)と、下記化6に表わされる2−t−ブチル−9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(TBADN)とを用い、中間層中の材料の使用割合を、重量比でα−NPD:TBADN=1:1となるようにした。また、赤色発光層の平均厚さを5nm、青色発光層の平均厚さを12nm、緑色発光層の平均厚さを8nmとした。そして、上述した以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例10)
中間層の平均厚さを60nmとした以外は、前述した実施例9と同様にして発光素子を製造した。
(比較例1)
中間層の平均厚さを5nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例2)
中間層の平均厚さを7nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例3)
中間層の平均厚さを70nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例4)
中間層の平均厚さを80nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例5)
中間層の平均厚さを90nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例6)
中間層の平均厚さを7nmとした以外は、前述した実施例7と同様にして発光素子を製造した。
(比較例7)
中間層の平均厚さを80nmとした以外は、前述した実施例7と同様にして発光素子を製造した。
(比較例8)
中間層の平均厚さを7nmとした以外は、前述した実施例9と同様にして発光素子を製造した。
(比較例9)
中間層の平均厚さを80nmとした以外は、前述した実施例9と同様にして発光素子を製造した。
2.評価
2−1.黒浮き現象の評価
実施例1〜6および比較例1、3〜5の発光素子について、直流電源を用いて発光素子に0.00033mA/cmの定電流を流し、輝度計を用いて輝度(cd/m)を測定した。
2−2.発光効率の評価
実施例1〜6および比較例1〜5の発光素子について、直流電源を用いて発光素子に20mA/cmの定電流を流し、輝度計を用いて輝度を測定した。測定された輝度から、発光効率(cd/A、電流あたりの輝度)を求めた。
図6に、2−1、2−2の結果をグラフにして示す。図6から明らかなように、中間層の平均厚さが10〜60nmの発光素子(実施例1〜6の発光素子)は、比較的低い電流(0.00033mA/cm)が流れている条件下において発光しづらく、黒浮き現象が防止されているとともに、電流効率(@20mA/cm)では、発光効率に優れていた。
これに対し、中間層の平均厚さが10nm未満の発光素子(比較例1の発光素子)は、比較的低い電流が流れている条件下において発光し、黒浮き現象が発生した。また、中間層の平均厚さが60nmを超えた発光素子(比較例3〜6の発光素子)は、黒浮き現象は防止できるものの、発光効率が低いものであった。
また、実施例7〜10および比較例6〜9の発光素子も、実施例1〜6および比較例1〜5と同様の傾向が見られた。
2−3.発光寿命の評価
実施例1、6〜10および比較例2、4、6〜9について、直流電源を用いて発光素子に200mA/cmの定電流を流しつづけ、その間、輝度計を用いて輝度を測定し、その輝度が初期の輝度の80%となる時間(LT80)を測定した。そして、比較例9におけるLT80の時間を100として、各比較例および各実施例のLT80の時間を相対的に評価した。
表1に、上記の評価結果を各実施例および各比較例の中間層の構成材料、平均厚さと合わせて示す。なお、表中、前記化4に示すアントラセン誘導体を「ATCd」で示した。
Figure 0005229022
表1から明らかなように、各実施例の発光素子は、同様の材料で中間層が構成された比較例の発光素子に比して一定の電流下での発光寿命が長いものであった。
また、各実施例および比較例の発光素子について、直流電流を用いて、0.00033〜20mA/cmと電流を変化させながら発光させたところ、各実施例の発光素子では、電流が小さいときと大きい時とで光の色の変化は見られなかったものの、各比較例の発光素子では、電流が小さくなるにつれ、光の色が赤みが増すのが観測された。
以上より、各実施例の発光素子は、黒浮き現象が防止され、好適に画像表示に用いることのできる発光素子であると考えられた。
1、1B、1G、1R……発光素子 2……基板 3……陽極 4……正孔注入層 5……正孔輸送層 6……赤色発光層(第1の発光層) 7……中間層 8……青色発光層(第2の発光層) 9……緑色発光層(第3の発光層) 10……電子輸送層 11……電子注入層 12……陰極 13……封止部材 15……積層体 19B、19G、19R……カラーフィルタ 100……ディスプレイ装置 100B、100G、100R……サブ画素 20……封止基板 21……基板 22……平坦化層 24……駆動用トランジスタ 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 25……電源 27……配線 31……隔壁 32……反射膜 33……腐食防止膜 34……陰極カバー 35……エポキシ層 36……遮光層 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ W……白色光

Claims (10)

  1. 陰極と、
    陽極と、
    前記陰極と前記陽極との間に設けられ、第1の色に発光する第1の発光層と、
    前記第1の発光層と前記陰極との間に設けられ、前記第1の色とは異なる第2の色に発光する第2の発光層と、
    前記第2の発光層と前記陰極との間に前記第2の発光層に接するように設けられ、前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色に発光する第3の発光層と、
    前記第1の発光層と前記第2の発光層との層間にこれらに接するように設けられ、平均厚さが10〜60nmであり、電子および正孔の流れを調整する中間層とを有し、
    前記中間層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料と、電子を輸送する機能を有する電子輸送材料とを含み、
    前記電子輸送性材料は、アントラセン誘導体であり、
    前記第1の発光層の平均厚さをT [nm]、前記中間層の平均厚さをT [nm]、前記第2の発光層の平均厚さをT [nm]、前記第3の発光層の平均厚さをT [nm]としたとき、
    3.0≦(T +T )/T ≦5、かつ、0.8≦T /T ≦10の関係を満足することを特徴とする発光素子。
  2. 前記中間層における前記正孔輸送材料の含有量をC[wt%]、前記電子輸送材料の含有量をC[wt%]としたとき、0.5≦C/C≦20の関係を満足する請求項に記載の発光素子。
  3. 前記正孔を輸送する機能を有する材料は、アミン系材料である請求項またはに記載の発光素子。
  4. 前記正孔を輸送する機能を有する材料は、テトラアリールベンジジン誘導体である請求項ないしのいずれかに記載の発光素子。
  5. 前記第1の色は、赤色である請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  6. 前記第2の色は、青色である請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  7. 前記陽極と前記陰極とに駆動電圧を印加することにより、白色に発光する請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  8. 前記中間層は、前記陰極と前記陽極との間に0.00033mA/cm の電流で電圧が印加された際に、発光素子に電流が流れるのを防止するものである請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
  10. 請求項に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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