上記目的を達成するための第1発明に係る人工股関節用コンポーネントは、人工股関節において用いられ、臼蓋に対して配置される半球状の殻状部材の内面と又は臼蓋と摺動する球状外面が形成された臼蓋側部分と、大腿骨に対して近位部側において埋入される大腿骨側部分と、を有する人工股関節用コンポーネントに関する。そして、第1発明に係る人工股関節用コンポーネントは、前記臼蓋側部分として設けられ、前記球状外面が形成された半球状の第1球殻部を有する第1骨頭部材と、前記大腿骨側部分として設けられ、大腿骨の髄腔部に沿って埋入される第1棒状部材と、を備え、前記第1骨頭部材及び前記第1棒状部材が、他の部材を介して連結されることにより又は嵌合することにより組み合わされ、前記第1球殻部は、前記球状外面を有し内部に空間を区画する半球状のシェル部分として形成されていることを特徴とする。
この発明によると、第1骨頭部材と第1棒状部材とが他の部材を介して連結されることにより又は嵌合することにより組み合わされることで人工股関節用コンポーネントが構成される。そして、この人工股関節用コンポーネントは、第1棒状部材が髄腔部に沿って埋入されるため、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用しようとしていた手術中に大腿骨の頸部の割れが発生してしまったような場合であっても、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。さらに、この人工股関節用コンポーネントの第1骨頭部材は、臼蓋に対して配置される半球状の殻状部材の内面と又は臼蓋と摺動する球状外面が形成された臼蓋側部分として設けられている。このため、臼蓋側の処置が表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用するためのものであっても、臼蓋側に関して別途の部材や器具を必要とせずにそのまま本発明の人工股関節用コンポーネントを適用することができ、大径骨頭の人工股関節置換術を行うことができる。
従って、本発明によると、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行う場合に、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用も可能とするための準備をより容易にし、より少ない部材や器具での柔軟な対応を可能とする、人工股関節用コンポーネントを提供することができる。
尚、本発明の人工股関節用コンポーネントは、第1骨頭部材と第1棒状部材とが他の部材を介して連結されることにより又は嵌合することにより組み合わされるものになっている。このため、第1骨頭部材及び第1棒状部材のそれぞれの形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る人工股関節用コンポーネントをより少ない部材で容易に形成することができる。これにより、少ない部材点数の構成部材を準備しておくことにより、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に、より適切な形態や寸法の人工股関節用コンポーネントを形成して対応し易くすることができる。
この発明によると、大腿骨の頸部に挿入されて固定されるとともに第1骨頭部材に対して結合する第2棒状部材が更に備えられている。このため、大腿骨の頸部において人工股関節用コンポーネントを固定することができる場合には、第1骨頭部材及び第2棒状部材を結合した状態の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行い、頸部の割れが発生してしまった場合には、第1骨頭部材及び第1棒状部材を組み合わせた状態の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行うことができる。このため、第1骨頭部材を第1棒状部材及び第2棒状部材のいずれに対しても共通して用いることができ、更により少ない部材や器具での対応を可能とすることができる。また、第2棒状部材の長さ寸法や太さ寸法を適宜設定することで、第1骨頭部材及び第2棒状部材を結合した状態の人工股関節用コンポーネントを表面置換型の人工股関節用コンポーネントとして用いることもできる。また、第2棒状部材を大腿骨の頸部と螺合させる構成とすることで、損傷部分に適度な圧迫力を加わることによって骨癒合の促進を図るCHS法(CHS:Compression Hip Screw)を適用するための人工股関節用コンポーネントとして用いることもできる。尚、第1骨頭部材及び第1棒状部材が他の部材を介して連結される構成の場合においては、第1骨頭部材と第2棒状部材との結合形態については、嵌合により結合する形態に加え、例えば螺合によって結合する形態とすることもできる。
この発明によると、第2棒状部材が、第1骨頭部材と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部が大腿骨の頸部に埋入される構成のため、第1骨頭部材及び第2棒状部材を結合した状態の人工股関節用コンポーネントを表面置換型の人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。このため、手術に際し、第1骨頭部材、第1棒状部材、及び第2棒状部材を人工股関節用コンポーネントとして準備することで、表面置換型の人工股関節用コンポーネントの適用、及び人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用のいずれに対しても対応することができる。即ち、第1骨頭部材を共通化した部材として用い、更により少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。また、手術に際し、長さ寸法や太さ寸法が異なる第2棒状部材を複数準備することで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に、より適切な形態や寸法の表面置換型の人工股関節用コンポーネントを形成して対応することができる。
この発明によると、一端側で第1骨頭部材と結合し他端側で第1棒状部材と嵌合することで第1骨頭部材及び第1棒状部材を連結する連結部材が更に備えられている。このため、連結部材の寸法を適宜設定することにより、第1骨頭部材と第1棒状部材とを簡易な連結構造を介して所望の位置関係において容易に組み合わせることができる。尚、第1骨頭部材と連結部材との結合形態は、嵌合により結合する形態に加え、例えば螺合によって結合する形態とすることもできる。
この発明によると、臼蓋側結合部と大腿骨側嵌合部との間の距離寸法、及び臼蓋側結合部の結合方向と大腿骨側嵌合部の嵌合方向とが成す角度、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の連結部材が備えられている。このため、手術の際、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントとして適用する場合に、寸法や形状が異なる複数の連結部材のうちから患者の状況に最適なものを適宜選択することができる。従って、寸法や形状のバリエーションをもたせた複数の連結部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、更に多くの種々の形態や寸法の人工股関節用コンポーネントを容易に形成することができる。
この発明によると、第2棒状部材が大腿骨の頸部を貫通してこの頸部に螺合し、第2棒状部材の一端側が第1骨頭部材と結合して他端側が大腿骨の外側に固定される外側固定部材と係合する。このため、損傷部分に適度な圧迫力を加えることによって骨癒合の促進を図るCHS法(CHS:Compression Hip Screw)を適用するための人工股関節用コンポーネントとして用いることができ、CHS法による対応も可能とする場合も含めて、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。
この発明によると、骨頭部分を覆う第2骨頭部材とこの第2骨頭部材と結合する第3棒状部材とが更に備えられている。このため、大腿骨の頸部において人工股関節用コンポーネントを固定することができる場合には、第2骨頭部材及び第3棒状部材を結合した状態の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行い、頸部の割れが発生してしまった場合には、第1骨頭部材及び第1棒状部材を組み合わせた状態の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行うことができる。このため、臼蓋側の処置が表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用するためのものであっても、臼蓋側に関して別途の部材や器具を必要とせず、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。また、第2棒状部材の長さ寸法や太さ寸法を適宜設定することで、第2骨頭部材及び第3棒状部材を結合した状態の人工股関節用コンポーネントを表面置換型の人工股関節用コンポーネントとして用いることもできる。また、第3棒状部材を大腿骨の頸部と螺合させる構成とすることで、損傷部分に適度な圧迫力を加わることによって骨癒合の促進を図るCHS法(CHS:Compression Hip Screw)を適用するための人工股関節用コンポーネントとして用いることもできる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、人工股関節において用いられ、臼蓋に対して配置される半球状の殻状部材の内面と又は臼蓋と摺動する球状外面が形成された臼蓋側部分と、大腿骨に対して近位部側において埋入される大腿骨側部分と、を有する人工股関節用コンポーネントとして広く適用することができるものである。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る人工股関節用コンポーネント1を示す図であって、組み合わされていない状態の各構成部材の断面図を示したものである。尚、図1(h)に示す構成部材のみ断面図ではなく平面図を示している。この人工股関節用コンポーネント1は、図1(a)〜(h)に示すように、複数の構成部材を備えたユニットとして構成されている。そして、各構成部材が、後述するように適宜組み合わされることで、種々の形態で組み合わされた状態の人工股関節用コンポーネントを得ることができるようになっている。これにより、表面置換型の人工股関節用コンポーネント及び人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントのいずれであっても容易に組み合わせて構成できるようになっている。
尚、図11は、特許文献1に開示のような従来技術における表面置換型の人工股関節用コンポーネント103(図11(a))及び人工股関節置換術(THA)に用いられる人工股関節用コンポーネント105(図11(b))を示す断面図である(図11では、大腿骨100及び骨盤101については断面状態を示す斜線を省略している)。人工股関節用コンポーネント103は、図11(a)に示すように、臼蓋側部分103a及び大腿骨側部分103bが一体に形成されている。そして、臼蓋側部分103aは、骨盤101の臼蓋101aに配置される半球状の殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面が形成され、大腿骨100の骨頭部分100aを覆うように配置される。大腿骨側部分103bは、大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定される。一方、人工股関節用コンポーネント105は、図11(b)に示すように、骨頭ボール部材105a及びステム部材105bが組み合わされて構成されている。そして、骨頭ボール部材105aは、骨盤101の臼蓋101aに配置されて外側半球殻部材104a及び内側半球殻部材104bを有する二層構造の殻状部材104に対して摺動するように配置されている。ステム部材105bは、大腿骨100の髄腔部100cに埋入されて、先端に骨頭ボール部材105aが取り付けられる。これに対し、本実施形態に係る人工股関節用コンポーネント1では、骨盤101側の処置としては臼蓋101aに図11(a)に示す殻状部材102を配置するだけで、表面置換型の人工股関節用コンポーネント及び人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントのいずれとしても容易に組み合わせて適用できるようになっている。
以下、人工股関節用コンポーネント1について詳しく説明する。図1に示すように、人工股関節用コンポーネント1においては、図1(a)に示す骨頭部材11、図1(b)〜(e)に示す連結部材12(12a、12b、12c、12d)、図1(f)及び(g)に示す表面置換用ステム部材13(13a、13b)、図1(h)に示すTHA用ステム部材(人工股関節置換術用ステム部材)14が構成部材として備えられている。尚、本実施形態では、骨頭部材11が第1骨頭部材を構成し、THA用ステム部材14が第1棒状部材を構成し、表面置換用ステム部材13が第2棒状部材を構成している。後述するように、骨頭部材11及びTHA用ステム部材14が連結部材12を介して連結されるよう組み合わされることにより、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントが構成されるようになっている(図8参照)。また、骨頭部材11及び表面置換用ステム部材13が組み合わされることにより、表面置換型の人工股関節用コンポーネントが構成されるようになっている(図7参照)。
図2は、骨頭部材11の斜視図(図2(a))及び断面図(図2(b))を示したものである。この図2に示すように、骨頭部材11は、臼蓋101aに配置される図11(a)に示すような殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面21が形成された臼蓋側部分として設けられている。骨頭部材11は、例えばコバルトクロム合金で形成され、球状外面21が形成された半球状の球殻部22(本実施形態の第1球殻部)と軸状突起部23とを備えて構成されている。球殻部22は、球状外面21を有し内部に空間を区画する半球状のシェル部分として形成されている。軸状突起部23は、球殻部22の内面側から突出する軸状の突起部分として形成されており、球殻部22に連続する根元側(球殻部22側)から先端側にかけて僅かに窄まる円錐曲面の一部をなすテーパ状曲面となるように側面が形成されている。
図3(a)は連結部材12の斜視図を示したものであり、図4(a)〜(d)は連結部材12(12a、12b、12c、12d)の断面図を示したものである。人工股関節用コンポーネント1においては、図4(a)〜(d)に示すように、それぞれ高さ寸法が異なる複数の連結部材12(12a、12b、12c、12d)が備えられており、各連結部材12は、いずれもほぼ円柱状の外形に形成されている。この連結部材12は、例えばコバルトクロム合金で形成される。
図3(a)及び図4(a)〜(d)に示すように、連結部材12には、一端側において骨頭部材11に対して球状外面21とは反対側で結合するための臼蓋側結合部24(24a、24b、24c、24d)が設けられている。この臼蓋側結合部24(24a〜d)は、骨頭部材11の軸状突起部23の外形に対応した孔部(即ち、奥側に向かって僅かに円錐状に窄まるテーパ状の内周面が形成された孔部)として形成されて連結部材12の一端側の端面に開口するように設けられている。これにより、臼蓋側結合部24と軸状突起部23とが嵌合により結合するようになっている。また、連結部材12には、他端側においてTHA用ステム部材14と嵌合するための大腿骨側嵌合部25(25a、25b、25c、25d)が設けられている。この大腿骨側嵌合部25(25a〜d)は、THA用ステム部材14の一端側の嵌合用突起部14a(図1参照)の外形に対応した孔部(即ち、奥側に向かって円錐状に窄まるテーパ状の内周面が形成された孔部)として形成されて連結部材12の他端側の端面に開口するように設けられている。これにより、大腿骨側嵌合部25とTHA用ステム部材14の嵌合用突起部14aとが嵌合するようになっている。このように、連結部材12は、一端側において骨頭部材11と嵌合するとともに他端側においてTHA用ステム部材14と嵌合することで、骨頭部材11とTHA用ステム部材14とを連結可能に形成されている。
また、図4(a)〜(d)に示すように、複数の連結部材12(12a〜d)においては、高さ寸法、即ち、骨頭部材11に結合する臼蓋側結合部24(24a〜d)とTHA用ステム部材14に嵌合する大腿骨側嵌合部25(25a〜d)との間の距離寸法がそれぞれ異なるように形成されている。これにより、所望の高さ寸法の連結部材12を選択してTHA用ステム部材14と骨頭部材11とを連結することで、THA用ステム部材14に対して連結部材12を介して骨頭部材11を取り付けるときのTHA用ステム部14から骨頭部材11までの距離寸法を適宜調整することができる。
尚、THA用ステム部材14から骨頭部材11までの距離寸法だけでなく、連結部材12とは異なる寸法バリエーションの連結部材を準備することで、THA用ステム部材14に対して骨頭部材11を取り付けるときのTHA用ステム部材14に対する骨頭部材11の取付角度も調整することができる。図3(b)は、変形例に係る連結部材15の斜視図を示したものであり、図4(e)〜(h)は連結部材15(15a、15b、15c、15d)の断面図を示したものである。各連結部材15は、それぞれ高さ寸法が異なるとともに、いずれも円柱状の外形を有する2つの部分が斜めに結合された形態の外形に形成されている。人工股関節用コンポーネント1は、連結部材12(12a〜d)に加え、図4(e)〜(h)に示す連結部材15(15a〜d)を更に備えているものであってもよい。
図3(b)及び図4(a)〜(d)に示すように、連結部材15(15a〜d)には、一端側において骨頭部材11に対して軸状突起部23で結合する臼蓋側結合部26(26a、26b、26c、26d)が、臼蓋側結合部24と同形状の孔部として形成され、一方の円柱状の部分28の端面に開口するように設けられている。また、連結部材15(15a〜d)には、他端側においてTHA用ステム部材14の嵌合用突起部14aと嵌合する大腿骨側嵌合部27(27a、27b、27c、27d)が、大腿骨側嵌合部25と同形状の孔部として形成され、一方の円柱状の部分28に対し斜めに結合する他方の円柱状の部分29の端面に開口するように設けられている。このように、連結部材15(15a〜d)においては、斜めに結合する2つの円柱状の部分(28、29)の両端面において臼蓋側結合部26及び大腿骨側嵌合部27が設けられている。このため、臼蓋側結合部26(26a〜d)の骨頭部材11への結合方向と大腿骨側嵌合部27(27a〜d)のTHA用ステム部材14への嵌合方向とが成す角度が、連結部材12における臼蓋側嵌合部24の骨頭部材11への結合方向と大腿骨側嵌合部25のTHA用ステム部材14への嵌合方向とが成す角度とは、異なるように設けられている。尚、人体においては、大腿骨の本体部分に対する頸部の傾き角度である頸体角は120°〜135°程度であり、15°程度の範囲に亘ってばらついている。このため、連結部材15においては、臼蓋側結合部26の骨頭部材11への結合方向と大腿骨側嵌合部27のTHA用ステム部材14への嵌合方向とが成す角度を15°程度の範囲内で適宜設定し、頸体角のばらつきに柔軟に対応できるように設定することが望ましい。また、この変形例においては、連結部材12に加えて連結部材15も備えられている場合を説明したが、連結部材12の替わりに連結部材15を備えるものとして人工股関節用コンポーネント1が構成されていてもよい。
THA用ステム部材14は、図1(h)に示すように、嵌合用突起部14aと本体部14bとを備えて構成されている。THA用ステム部材14は、例えばチタン合金で形成される。そして、このTHA用ステム部材14は、大腿骨に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、図11に示すような大腿骨100の髄腔部100cに沿って埋入される。嵌合用突起部14aは、THA用ステム部材14の一端側に設けられ、前述のように連結部材12の大腿骨側嵌合部25と嵌合するように形成されている。本体部14bは、大腿骨に埋入される部分として形成されており、一般的には、THA用ステム部材14の他端側に向かって断面積が小さくなるように(太さが細くなるように)形成されている。このTHA用ステム部材14として、図11(b)に示すような人工股関節置換術に用いられるステム部材105bを用いることもできる。この場合、ステム部材105bの嵌合用突起部の形状に合わせて連結部材12の大腿骨側嵌合部25を形成することで対応することができる。
図5は表面置換用ステム部材13bの斜視図を示したものであり、図1(f)及び(g)は表面置換用ステム部材13(13a、13b)の断面図を示したものである。人工股関節用コンポーネント1においては、図1(f)及び(g)に示すように、長手方向の形状が異なる複数の表面置換用ステム部材13(13a、13b)が備えられている。表面置換用ステム部材13は、大腿骨に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、図11(a)に示すような大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定される。この表面置換用ステム部材13(13a、13b)は、例えばコバルトクロム合金やチタン合金で形成される。そして、表面置換用ステム部材13(13a、13b)の一端側の端部には、骨頭部材11の軸状突起部23の外形に対応する孔形状の嵌合孔部30(30a、30b)が開口形成されている。これにより、表面置換用ステム部材13(13a、13b)は、一端側の嵌合孔部30(30a、30b)にて骨頭部材11に対して球状外面21とは反対側の軸状突起部23で嵌合により結合するようになっている。また、表面置換用ステム部材13は、骨頭部材11と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部が、図11(a)に示す人工股関節用コンポーネント103の大腿骨側部分103bと同様に、大腿骨100の頸部100bに埋入されるようになっている。尚、本実施形態では、表面置換用嵌合ステム部材13の嵌合孔部30が骨頭部材11の軸状突起部23と嵌合する場合を例にとって説明しているが、嵌合の凹凸関係が逆であっても本発明を実施することができる。即ち、骨頭部材に嵌合用の孔部が形成されるとともに表面置換用ステム部材に突起部が形成され、嵌合用の孔部と突起部とが嵌合することで骨頭部材と表面置換用ステム部材とが結合するものであってもよい。この変形例を実施する場合、連結部材の一端側において、骨頭部材に形成された嵌合用の孔部と結合する突起部を設けることで、連結部材を介して骨頭部材とTHA用ステム部材とを連結することができる。
また、表面置換用ステム部材13bは、図5及び図1(g)に示すように、嵌合孔部30bが形成されている一端側の端部から他端側の端部にかけて(長手方向に沿って)円形断面の断面積が少しずつ小さくなって窄まるような円錐曲面の一部をなすテーパ状の側面を有するように形成されている。一方、表面置換用ステム部材13aは、図1(f)に示すように、嵌合孔部30aが形成されている一端側の端部から他端側の端部にかけて(長手方向に沿って)円形断面の断面積が変化しないような円柱状の側面を有するように形成されている。表面置換用ステム部材13としては、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に適切な形状の表面置換用ステム部材(13a、13b)を適宜選択して用いることができる。尚、手術のときに表面置換用ステム部材13を大腿骨100の頸部100bに埋入して固定する際には、例えば、円柱状断面の表面置換用ステム部材13aについてはセメントを用いずに固定してもよく、テーパ状断面の表面置換用ステム部材13bについてはセメントを用いて固定してもよい。
尚、表面置換用ステム部材13においては、側面形状が異なる表面置換用ステム部材(13a、13b)が備えられているが、長さ寸法や太さ寸法が異なる表面置換用ステム部材を準備することで、さらに患者に適切な寸法の表面置換用ステム部材を選択できるようにすることもできる。図6は、変形例に係る表面置換用ステム部材(31、32)を示す断面図である(尚、図6においては、断面状態を示す斜線については省略しており、寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材を重ねた状態で模式的に図示している)。
表面置換用ステム部材31としては、図6(a)に例示するように、長さ寸法及び太さ寸法が異なる複数の表面置換用ステム部材が備えられており、それぞれ図1(f)に示す表面置換用ステム部材13aと同様に長手方向において円形断面の断面積が変化しないような円柱状の側面を有するように形成されている。図6(a)では、長さ寸法のバリエーションとしては、L1、L2、L3、L4、L5、L6の6種類のものを例示しており、太さ寸法(直径寸法)のバリエーションとしては、A1、A2、A3、A4、A5の5種類のものを例示している。これらの表面置換用ステム部材31は、長さ寸法及び太さ寸法が異なるが、表面置換用ステム部材13aの嵌合孔部30aと同一形状の嵌合孔部31aが設けられており、骨頭部材11の軸状突起部23と嵌合できるようになっている。尚、長さ寸法のバリエーション(L1〜L6)や太さ寸法のバリエーション(A1〜A5)については、例示であり、長さ寸法や太さ寸法のバリエーションは適宜選択することができる。
また、表面置換用ステム部材32としては、図6(b)に例示するように、長さ寸法及び太さ寸法が異なる複数の表面置換用ステム部材が備えられており、それぞれ図1(g)に示す表面置換用ステム部材13bと同様に長手方向において円形断面の断面積が少しずつ小さくなって窄まるような円錐曲面の一部をなすテーパ状の側面を有するように形成されている。図6(b)では、長さ寸法のバリエーションとしては、M1、M2、M3、M4、M5、M6の6種類のものを例示しており、太さ寸法(最大直径寸法)のバリエーションとしては、B1、B2、B3、B4、B5の5種類のものを例示している。これらの表面置換用ステム部材32は、長さ寸法及び太さ寸法が異なるが、表面置換用ステム部材13bの嵌合孔部30bと同一形状の嵌合孔部32aが設けられており、骨頭部材11の軸状突起部23と嵌合できるようになっている。尚、長さ寸法のバリエーション(M1〜M6)や太さ寸法のバリエーション(B1〜B5)については、例示であり、長さ寸法や太さ寸法のバリエーションは適宜選択することができる。
図7及び図8は、上述した人工股関節用コンポーネント1の構成部材を適宜組み合わせることで構成した人工股関節用コンポーネントを示したものである。図7は表面置換型の人工股関節用コンポーネント1aを示す斜視図であり、図8は人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント1bを示す斜視図である。
図7に示すように、骨頭部材11の軸状突起部23と表面置換用ステム部材13bとを嵌合することにより骨頭部材11と表面置換用ステム部材13bとを組み合わせることで、表面置換型の人工股関節用コンポーネント1aを容易に構成することができる。この人工股関節用コンポーネント1aは、手術の際に、図11(a)に示すような大腿骨100の骨頭部分100aが球殻部22で覆われるとともに頸部100bに表面置換用ステム部材13bが挿入されて固定されて用いられる。尚、表面置換用ステム部材13aを用いても、同様に、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを構成することができる。また、大腿骨100の骨頭部分100aの損傷の程度によっては、手術の際に適宜、骨頭部分100aと球殻部22との間に骨セメントを充填することが行われる。即ち、骨頭部分100aと球殻部22との間において空間部分の隙間が形成されないように骨セメントを充填した状態で、人工股関節用コンポーネント1aが用いられることになる。
また、図8に示すように、骨頭部材11の軸状突起部23と連結部材12の臼蓋側嵌合部24とを嵌合するとともに、THA用ステム部材14の嵌合用突起部14aと連結部材12の大腿骨側嵌合部25とを嵌合し、骨頭部材11と連結部材12とTHA用ステム部材14とを組み合わせることで、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント1bを容易に構成することができる。この人工股関節用コンポーネント1bは、手術の際に、図11(b)に示すような大腿骨100の髄腔部100cに沿ってTHA用ステム部材14が埋入されて固定されて用いられる。
以上説明した人工股関節用コンポーネント1によると、骨頭部材11とTHA用ステム部材14とが連結部材12を介して連結されて組み合わされることで人工股関節用コンポーネント1bが構成される。そして、この人工股関節用コンポーネント1bは、THA用ステム部材14が髄腔部に沿って埋入されるため、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用しようとしていた手術中に大腿骨の頸部の割れが発生してしまったような場合であっても、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。さらに、この人工股関節用コンポーネント1の骨頭部材11は、図11に示すような臼蓋101aに対して配置される殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面21が形成された臼蓋側部分として設けられている。このため、臼蓋側の処置が表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用するためのものであっても、臼蓋側に関して別途の部材や器具を必要とせずにそのまま人工股関節用コンポーネント1bを適用することができ、人工股関節置換術を行うことができる。尚、本実施形態では、骨頭部材11として図11に示すような臼蓋101aに配置される殻状部材102の内面102aと摺動する場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、骨頭部材11の球状外面21が臼蓋101aと直接に摺動するものであってもよい。
従って、人工股関節用コンポーネント1によると、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行う場合に、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用も可能とするための準備をより容易にし、より少ない部材や器具での柔軟な対応を可能とする、人工股関節用コンポーネントを提供することができる。
尚、人工股関節用コンポーネント1は、骨頭部材11とTHA用ステム部材14とが連結部材12を介して連結されることにより組み合わされるものになっている。このため、骨頭部材11及びTHA用ステム部材14のそれぞれの形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る人工股関節用コンポーネントをより少ない部材で容易に形成することができる。これにより、少ない部材点数の構成部材を準備しておくことにより、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に、より適切な形態や寸法の人工股関節用コンポーネントを形成して対応し易くすることができる。
また、人工股関節用コンポーネント1によると、大腿骨の頸部に挿入されて固定されるとともに骨頭部材11に対して結合する表面置換用ステム部材13が第2棒状部材として更に備えられている。このため、大腿骨の頸部において人工股関節用コンポーネントを固定することができる場合には、骨頭部材11及び表面置換用ステム部材13を結合した状態の人工股関節用コンポーネント1aを適用する手術を行い、頸部の割れが発生してしまった場合には、骨頭部材11及びTHA用ステム部材14を組み合わせた状態の人工股関節用コンポーネント1bを適用する手術を行うことができる。
尚、人工股関節用コンポーネント1によると、第2棒状部材である表面置換用ステム部材13は、骨頭部材11と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部が大腿骨の頸部に埋入される構成のため、骨頭部材11及び表面置換用ステム部材13を結合した状態の人工股関節用コンポーネント1aをそのまま表面置換型の人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。このため、手術に際し、骨頭部材11、THA用ステム部材14、連結部材12、及び表面置換用ステム部材13を人工股関節用コンポーネントとして準備することで、表面置換型の人工股関節用コンポーネントの適用、及び人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用のいずれに対しても対応することができる。即ち、骨頭部材11を共通化した部材としてTHA用ステム部材14及び表面置換用ステム部材13のいずれに対しても共通して用いることができ、更により少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。また、手術に際し、長さ寸法や太さ寸法が異なる表面置換用ステム部材(31、32)を複数準備することで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に、より適切な形態や寸法の表面置換型の人工股関節用コンポーネントを形成して対応することができる。
人工股関節用コンポーネント1によると、一端側で骨頭部材11と結合し他端側でTHA用ステム部材14と嵌合することで骨頭部材11及びTHA用ステム部材14を連結する連結部材12が更に備えられている。このため、連結部材12の寸法を適宜設定することにより、骨頭部材11とTHA用ステム部材14とを簡易な連結構造を介して所望の位置関係において容易に組み合わせることができる。尚、本実施形態においては、骨頭部材11と連結部材12とが嵌合により結合する結合形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、人工股関節用コンポーネント1において、雄ネジ部が骨頭部材11の軸状突起部23に形成されるとともにこの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が連結部材12の臼蓋側嵌合部24に形成された構成とし、骨頭部材11と連結部材12とが螺合によって結合する形態とすることもできる。また、この場合、表面置換用ステム部材13の嵌合孔部30に軸状部材23の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成された構成とすることで、骨頭部材11及び表面置換用ステム部材13も螺合によって結合する形態にすることができる。
また、人工股関節用コンポーネント1とその変形例によると、臼蓋側結合部(24、26)と大腿骨側嵌合部(25、27)との間の距離寸法、及び臼蓋側結合部(24、26)の結合方向と大腿骨側嵌合部(25、27)の嵌合方向とが成す角度が異なる複数の連結部材(12、15)が備えられている。このため、手術の際、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントとして適用する場合に、寸法や形状が異なる複数の連結部材(12、15)のうちから患者の状況に最適なものを適宜選択することができる。従って、寸法や形状のバリエーションをもたせた複数の連結部材(12、15)を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、更に多くの種々の形態や寸法の人工股関節用コンポーネントを容易に形成することができる。
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、人工股関節用コンポーネント1において、第2棒状部材として、大腿骨の頸部と螺合させる構成のものを更に備えていてもよい。図9は、大腿骨の頸部に螺合させる構成の第2棒状部材であるラグスクリュー33とこのラグスクリュー33に組み合わされる外側固定部材であるプレート34とを示す平面図である(図9ではラグスクリュー33とプレート34とが組み合わされた状態を示している)。また、図10は、ラグスクリュー33、プレート34、及び骨頭部材11が組み合わされて人工股関節用コンポーネント1cが構成された状態を示す斜視図である。
図9及び図10に示すように、プレート34は、ラグスクリュー33が貫通可能な貫通孔34aが形成されている。このプレート34は、複数のネジ(図示せず)を用いて大腿骨(図示せず)の外側に対して頸部から下方にかけて固定されるようになっている。また、ラグスクリュー33は、一端側の端部に雄ネジとして形成されたスクリュー部33aが設けられており、大腿骨(図示せず)の頸部を貫通するように挿入されるとともに頸部に対してスクリュー部33aにて螺合するように構成されている。また、ラグスクリュー33におけるスクリュー部33aが設けられている一端側の端部には、骨頭部材11の軸状突起部23の外形に対応する孔形状の嵌合孔部33bが開口形成されている。これにより、ラグスクリュー33は、一端側の嵌合孔部33bにて骨頭部材11に対して球状外面21とは反対側の軸状突起部23で嵌合により結合するようになっている。また、プレート34は、その貫通孔34aが、ラグスクリュー33における骨頭部材11と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部と係合するようになっている(図9、図10では、係合状態の図示を省略している)。尚、ラグスクリュー33及びプレート34は、例えばチタン合金により形成される。
上述した構成を備えるラグスクリュー33及びプレート34を用いて手術を行う場合には、最初の作業として、例えば、大腿骨の頸部から骨頭部分にかけて貫通するように所定の器具を用いて孔をあけてタッピングを行い、タッピングの終了後に、骨頭部材11を取り付けることができるように骨頭部分の形状を修正することが行われる。そして、プレート34の貫通孔34aにラグスクリュー33をその一端側の端部から挿通し、貫通孔34aに挿通した状態のままラグスクリュー33を大腿骨の頸部にあけた孔を貫通させるように挿入する。このとき、スクリュー部33aを頸部と螺合させながらラグスクリュー33を大腿骨に挿入していく。ラグスクリュー33は、その一端側の端部が大腿骨の骨頭部分から露出するとともに他端側の端部がプレート34の貫通孔34aと係合するまで挿入される。次いで、大腿骨の外側に配置した状態のプレート34を大腿骨に対してその外側から複数のネジで固定する。最後に、骨頭部分に対して骨頭部材11を取り付けるとともに、ラグスクリュー33の一端側の端部の嵌合孔部33bを骨頭部材11の軸状突起部23と嵌合させ、図10に示す人工股関節用コンポーネント1cの大腿骨への取付が完了することになる。
上述したように、人工股関節用コンポーネント1cでは、ラグスクリュー33が大腿骨の頸部を貫通してこの頸部に螺合し、ラグスクリュー33の一端側が骨頭部材11と結合して他端側が大腿骨の外側に固定されるプレート34と係合する。このように、人工股関節用コンポーネント1において、ラグスクリュー33及びプレート34を更に備えることで、損傷部分に適度な圧迫力を加えることによって骨癒合の促進を図るCHS法(CHS:Compression Hip Screw)を適用するための人工股関節用コンポーネント1cとして用いることもでき、CHS法による対応も可能とする場合も含めて、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。尚、骨頭部材11の軸状突起部23と連結部材12の臼蓋側嵌合部24とが螺合により結合する形態である場合には、軸状突起部23に形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部をラグスクリュー33の嵌合孔部33bに形成することで、骨頭部材11及びラグスクリュー33も螺合によって結合する形態にすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図12及び図13は、第2実施形態に係る人工股関節用コンポーネント2を示す図であって、図12及び図13でそれぞれ異なる組合せで構成部材が組み合わされた状態を示す断面図を示したものである。尚、図12は人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント2aとして組み合わされて適用された場合の断面図であり、図13は表面置換型の人工股関節用コンポーネント2bとして組み合わされて適用された場合の断面図である(図12及び図13では、大腿骨100及び骨盤101については断面状態を示す斜線を省略している)。
図12及び図13に示すように、人工股関節用コンポーネント2においては、骨頭部材35、THA用ステム部材(人工股関節置換術用ステム部材)36、及び表面置換用ステム部材40が構成部材として備えられている。この第2実施形態では、骨頭部材35が第1骨頭部材を構成し、THA用ステム部材36が第1棒状部材を構成し、表面置換用ステム部材40が第2棒状部材を構成している。尚、第2実施形態では、第1実施形態の人工股関節用コンポーネント1のような連結部材は備えられておらず、骨頭部材35及びTHA用ステム部材36が直接嵌合することにより組み合わされる点で、第1実施形態と異なっている。
図12及び図13に示すように、骨頭部材35は、臼蓋101aに配置される殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面37が形成された臼蓋側部分として設けられている。この骨頭部材35は、例えばコバルトクロム合金で形成され、球状外面37が形成された半球状の球殻部38(本実施形態の第1球殻部)と柱状部39とを備えて構成されている。球殻部38は、球状外面37を有し内部に空間を区画する半球状のシェル部分として形成されている。柱状部39は、球殻部38の内面から突出する円柱状の突出部分として形成されている。そして、柱状部39は、球殻部38に連続する根元側(球殻部38側)とは反対側の端部に嵌合凹部39aが開口形成されている。この嵌合凹部39aは、後述するTHA用ステム部材36の嵌合用突起部36aの外形に対応する孔形状となるように形成されている。
THA用ステム部材36は、図12に示すように、嵌合用突起部36aと本体部36bとを備えて構成されている。THA用ステム部材36は、例えばチタン合金で形成される。そして、このTHA用ステム部材36は、大腿骨100に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、大腿骨100の髄腔部100cに沿って埋入される。嵌合用突起部36aは、THA用ステム部材36の一端側に設けられ、骨頭部材35の嵌合凹部39aと嵌合するように形成されている。本体部36bは、大腿骨100に埋入される部分として形成されており、一般的に、THA用ステム部材36の他端側に向かって断面積が小さくなるように(太さが細くなるように)形成されている。
表面置換用ステム部材40は、図13に示すように、大腿骨100に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定される。この表面置換用ステム部材40は、例えばコバルトクロム合金やチタン合金で形成され、円柱状の丸棒として形成されている。そして、表面置換用ステム部材40の径寸法は、骨頭部材35の柱状部39に設けられた嵌合凹部39aの内径寸法よりも僅かに小さい寸法になっている。これにより、表面置換用ステム部材40は、その一端側の端部にて骨頭部材35に対して球状外面37とは反対側の柱状部39の嵌合凹部39aで嵌合により結合するようになっている。また、表面置換用ステム部材40は、骨頭部材35と結合する一端側の端部とは反対側の端部が、大腿骨100の頸部100bに埋入されるようになっている。
上述した人工股関節用コンポーネント2においては、図12に示すように、柱状部39の嵌合凹部39aと嵌合用突起部36aとを嵌合して骨頭部材35とTHA用ステム部材36とを組み合わせることで、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント2aを容易に構成することができる。この人工股関節用コンポーネント2aは、手術の際に、大腿骨100の髄腔部100cに沿ってTHA用ステム部材36を埋入されて固定されて用いられる。そして、人工股関節用コンポーネント2aにおける骨頭部材35の球状外面37は、臼蓋101aに配置された殻状部材102と摺動することになる。尚、人工股関節用コンポーネント2aにおいては、骨頭部材35における柱状部39の突出長さ寸法(柱状部39の根元部分から嵌合凹部39aまでの距離寸法)が適宜設定されることで、嵌合状態における骨頭部材35のTHA用ステム部材36に対する位置が設定されることになる。このため、人工股関節用コンポーネント2においては、柱状部39の突出長さ寸法が異なる複数の骨頭部材35が備えられているものであってもよい。この場合、骨頭部材35のTHA用ステム部材36に対する位置を手術の際に容易に調整でき、手術中の患者の状況に応じてより柔軟に対応できる人工股関節用コンポーネントを構成することができる。
また、図13に示すように、柱状部39の嵌合凹部39aと表面置換用ステム部材40の一端側の端部とを嵌合して骨頭部材35と表面置換用ステム部材40とを組み合わせることで、表面置換型の人工股関節用コンポーネント2bを容易に構成することができる。この人工股関節用コンポーネント2bは、手術の際に、大腿骨100の骨頭部分100aが球殻部38で覆われるとともに頸部100bに表面置換用ステム部材40が挿入されて固定されて用いられる。尚、表面置換用ステム部材40は円柱状の丸棒として形成されているため、手術のときに表面置換用ステム部材40を大腿骨100の頸部100bに埋入して固定する際には、セメントを用いずに固定してもよい。
以上説明した人工股関節用コンポーネント2によると、骨頭部材35とTHA用ステム部材36とが嵌合により組み合わされることで人工股関節用コンポーネント2aが構成される。そして、この人工股関節用コンポーネント2aは、THA用ステム部材36が髄腔部に沿って埋入されるため、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用しようとしていた手術中に大腿骨の頸部の割れが発生してしまったような場合であっても、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。さらに、この人工股関節用コンポーネント2の骨頭部材35は、臼蓋101aに対して配置される殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面37が形成された臼蓋側部分として設けられている。このため、臼蓋側の処置が表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用するためのものであっても、臼蓋側に関して別途の部材や器具を必要とせずにそのまま人工股関節用コンポーネント2aを適用することができ、人工股関節置換術を行うことができる。尚、本実施形態では、骨頭部材35として臼蓋101aに配置される殻状部材102の内面102aと摺動する場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、骨頭部材35の球状外面37が臼蓋101aと直接に摺動するものであってもよい。
従って、人工股関節用コンポーネント2によると、表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用する手術を行う場合に、人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用も可能とするための準備をより容易にし、より少ない部材や器具での柔軟な対応を可能とする、人工股関節用コンポーネントを提供することができる。
尚、人工股関節用コンポーネント2は、骨頭部材35とTHA用ステム部材36とが嵌合することにより組み合わされるものになっている。このため、骨頭部材35及びTHA用ステム部材36のそれぞれの形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る人工股関節用コンポーネントをより少ない部材で容易に形成することができる。これにより、少ない部材点数の構成部材を準備しておくことにより、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に、より適切な形態や寸法の人工股関節用コンポーネントを形成して対応し易くすることができる。
また、人工股関節用コンポーネント2によると、大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定されるとともに骨頭部材35に対して結合する表面置換用ステム部材40が第2棒状部材として更に備えられている。このため、大腿骨100の頸部100bにおいて人工股関節用コンポーネントを固定することができる場合には、骨頭部材35及び表面置換用ステム部材40を結合した状態の人工股関節用コンポーネント2bを適用する手術を行い、頸部100bの割れが発生してしまった場合には、骨頭部材35及びTHA用ステム部材36を組み合わせた状態の人工股関節用コンポーネント2aを適用する手術を行うことができる。
尚、人工股関節用コンポーネント2によると、第2棒状部材である表面置換用ステム部材40は、骨頭部材35と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部が大腿骨100の頸部100bに埋入される構成のため、骨頭部材35及び表面置換用ステム部材40を結合した状態の人工股関節用コンポーネント2bをそのまま表面置換型の人工股関節用コンポーネントとして用いることができる。このため、手術に際し、骨頭部材35、THA用ステム部材36、及び表面置換用ステム部材40を人工股関節用コンポーネントとして準備することで、表面置換型の人工股関節用コンポーネントの適用、及び人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネントの適用のいずれに対しても対応することができる。即ち、骨頭部材35を共通化した部材としてTHA用ステム部材36及び表面置換用ステム部材40のいずれに対しても共通して用いることができ、更に、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)本実施形態においては、骨頭部材と表面置換用ステム部材とが直接嵌合して結合する形態について説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよく、例えば、骨頭部材と表面置換用ステム部材とが他の中間の部材を介して嵌合して結合するものであってもよい。即ち、柱状部の嵌合凹部に外側で嵌合するとともに内側で表面置換用ステム部材の一端側の端部と嵌合する筒状の他の中間の部材が備えられていてもよい。これにより、骨頭部材の柱状部の嵌合凹部の内径寸法よりも表面置換用ステム部材の径寸法(とくに、一端側の端部の径寸法)が小さい場合であっても、この中間の部材を介して、骨頭部材と表面置換用ステム部材とを嵌合により結合することができる。尚、このような中間の部材を介した骨頭部材と表面置換用ステム部材との結合形態としては、嵌合のみの形態のものに限らず、中間の部材と表面置換用ステム部材の一端側の端部とが螺合する形態のものであっても本発明を適用することができる。
(2)図14は、骨頭部材及び表面置換用ステム部材の結合形態についての変形例と、表面置換用ステム部材の長さ寸法についての変形例を説明する断面図である。図14の断面図においては、大腿骨100、骨盤101、及び表面置換用ステム部材42については、断面状態を示す斜線を省略している。また、寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材42を重ねた状態で模式的に図示している。尚、第2実施形態にて説明した要素と重複する要素については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示す人工股関節用コンポーネント2cは、骨頭部材41と表面置換用ステム部材42(42a、42b、42c)とを備えて構成されている。人工股関節用コンポーネント2として、骨頭部材35とTHA用ステム部材36と表面置換用ステム部材40とが備えられている例を説明したが、手術に際し、骨頭部材35とTHA用ステム部材36と骨頭部材41(骨頭部材35とは異なる骨頭部材)と表面置換用ステム部材42とを備える人工股関節用コンポーネントを準備することもできる。この場合、骨頭部材35とTHA用ステム部材36とを嵌合して組み合わせることで図12に示す人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント2aを構成できるとともに、骨頭部材41と表面置換用ステム部材42とを結合して組み合わせることで図14に示す表面置換型の人工股関節用コンポーネント2cを構成することもできる。
骨頭部材41は、第2実施形態の骨頭部材35と同様に、臼蓋101aに配置される殻状部材102の内面102aと摺動する球状外面45が形成された臼蓋側部分として設けられ、例えばコバルトクロム合金で形成される。この骨頭部材41は、球状外面37が形成されるとともに大腿骨100の骨頭部分100aの大部分(又は全部)覆うように配置される半球状の球殻部43(本実施形態の第2球殻部)と柱状部44とを備える本実施形態の第2骨頭部材として構成されている。そして、球殻部43の内面から突出する円柱状の突出部分として形成されている柱状部44は、球殻部43に連続する根元側(球殻部43側)とは反対側の端部に結合凹部44aが開口形成されている。この結合凹部44aの内周には、雌ネジ部が形成されている。
表面置換用ステム部材42は、大腿骨100に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定される。表面置換用ステム部材42としては、長さ寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材(42a、42b、42c)が備えられている。各表面置換用ステム部材(42a、42b、42c)は、いずれも同一形状の円形断面(同一直径の円形断面)の円柱状の丸棒として形成されているが、長さ寸法が3段階に異なるように形成されている。そして、いずれの表面置換用ステム部材42(42a〜c)においても、その一端側の端部に雄ネジ部46が形成されており、骨頭部材41の結合凹部44aに形成された雌ネジ部と螺合するようになっている。これにより、表面置換用ステム部材42(42a〜c)は、その一端側の端部にて骨頭部材41に対して球状外面45とは反対側の柱状部44の結合凹部44aで螺合により結合する本実施形態の第3棒状部材を構成している。尚、表面置換用ステム部材42(42a〜c)は、骨頭部材41と結合する一端側の端部とは反対側の端部が、大腿骨100の頸部100bに埋入されるようになっている。
この変形例によると、骨頭部材35(第1骨頭部材)及びTHA用ステム部材36に加え、大腿骨100の骨頭部分100aを覆う骨頭部材41(第2骨頭部材)とこの骨頭部材41と結合する表面置換用ステム部材42(第3棒状部材)とが更に備えられている。このため、大腿骨100の頸部100bにおいて人工股関節用コンポーネントを固定することができる場合には、骨頭部材41及び表面置換用ステム部材42を結合した状態の人工股関節用コンポーネント2cを適用する手術を行い、頸部100bの割れが発生してしまった場合には、骨頭部材35及びTHA用ステム部材36を組み合わせた状態の人工股関節用コンポーネント2aを適用する手術を行うことができる。このため、臼蓋101a側の処置が表面置換型の人工股関節用コンポーネントを適用するためのものであっても、臼蓋101a側に関して別途の部材や器具を必要とせず、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。
また、この変形例によると、表面置換用ステム部材42として、異なる長さ寸法の複数の表面置換用ステム部材(42a、42b、42c)が備えられている。このため、手術の際に、手術中の患者の状況に応じてより適切な長さ寸法の表面置換用ステム部材を選択して表面置換型の人工股関節用コンポーネント2cを構成することができる。
(3)図15及び図16は、表面置換用ステム部材の寸法に関する図14とは異なる他の変形例を説明する断面図である。図15及び図16の断面図においては、図14と同様に、大腿骨100、骨盤101、及び表面置換用ステム部材(47、48)については、断面状態を示す斜線を省略している。そして、寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材(47、48)を重ねた状態で模式的に図示している。また、第2実施形態及び上記の変形例にて説明した要素と重複する要素については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
図15に示す人工股関節用コンポーネント2dは、骨頭部材41と表面置換用ステム部材47(47a、47b、47c)とを備えて構成されており、図16に示す人工股関節用コンポーネント2eは、骨頭部材41と表面置換用ステム部材48(48a、48b、48c)とを備えて構成されている。手術に際しては、骨頭部材35(第1骨頭部材)及びTHA用ステム部材36に加え、骨頭部材41(第2骨頭部材)と表面置換用ステム部材47(第3棒状部材)とを備える人工股関節用コンポーネントを準備することもできる。又は、骨頭部材35及びTHA用ステム部材36に加え、骨頭部材41と表面置換用ステム部材48(第3棒状部材)とを備える人工股関節用コンポーネントを準備することもできる。この場合、骨頭部材35とTHA用ステム部材36とを嵌合して組み合わせることで図12に示す人工股関節置換術に用いられる人工股関節用コンポーネント2aを構成できるとともに、骨頭部材41と表面置換用ステム部材47とを結合して組み合わせることで図15に示す表面置換型の人工股関節用コンポーネント2d(又は、骨頭部材41と表面置換用ステム部材48とを結合して組み合わせることで図16に示す表面置換型の人工股関節用コンポーネント2e)を構成することもできる。
図15に示す表面置換用ステム部材47及び図16に示す表面置換用ステム部材48は、図14に示す表面置換用ステム部材42と同様に、大腿骨100に対して近位部において埋入される大腿骨側部分として設けられており、大腿骨100の頸部100bに挿入されて固定される。表面置換用ステム部材47としては、太さ寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材(47a、47b、47c)が備えられている。各表面置換用ステム部材(47a、47b、47c)は、いずれも長さ寸法が同一で円形断面の円柱状の丸棒として形成されているが、太さ寸法(直径寸法)が3段階に異なるように形成されている。一方、表面置換用ステム部材48としては、長さ寸法及び太さ寸法の異なる複数の表面置換用ステム部材(48a、48b、48c)が備えられている。各表面置換用ステム部材(48a、48b、48c)は、いずれも円形断面の円柱状の丸棒として形成されているが、一端側の端部を除いてほぼ相似形となるように、長さ寸法及び太さ寸法が3段階に異なるように形成されている。そして、いずれの表面置換用ステム部材47(47a〜c)及び表面置換用ステム部材48(48a〜c)においても、その一端側の端部に同一の形状及び寸法に形成された雄ネジ部46が設けられている。これにより、雄ネジ部46が骨頭部材41の結合凹部44aに形成された雌ネジ部と螺合し、表面置換用ステム部材47(47a〜c)及び表面置換用ステム部材48(48a〜c)は、その一端側の端部にて骨頭部材41に対して球状外面45とは反対側の柱状部44の結合凹部44aで螺合により結合するようになっている。尚、表面置換用ステム部材47(47a〜c)及び表面置換用ステム部材48(48a〜c)は、骨頭部材41と結合する一端側の端部とは反対側の端部が、大腿骨100の頸部100bに埋入されるようになっている。
この変形例によると、表面置換用ステム部材47(又は表面置換用ステム部材48)として、異なる太さ寸法(又は異なる長さ寸法及び太さ寸法)の複数の表面置換用ステム部材47a〜c(又は48a〜c)が備えられている。このため、手術の際に、手術中の患者の状況に応じてより適切な太さ寸法(より適切な長さ寸法及び太さ寸法)の表面置換用ステム部材を選択して表面置換型の人工股関節用コンポーネント2d(又は2e)を構成することができる。
(4)図17は、人工股関節用コンポーネント2において、更に、CHS法を適用するための人工股関節用コンポーネント2fとして用いることも可能にするための構成部材を示す断面図である。図17に示すように、大腿骨100の頸部100bに螺合させる構成の第2棒状部材であるラグスクリュー49とこのラグスクリュー49に組み合わされる外側固定部材であるプレート50とが人工股関節用コンポーネント2において更に備えられることで、CHS法による対応も可能にすることができる。尚、図17の断面図においては、大腿骨100及び骨盤101については、断面状態を示す斜線を省略している。また、第2実施形態にて説明した要素と重複する要素については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、プレート50は、ラグスクリュー49が貫通可能な貫通孔50aが形成されている。このプレート50は、複数のネジ51を用いて大腿骨100の外側100dに対して頸部100bから下方にかけて固定されるようになっている。また、ラグスクリュー49は、雄ネジとして形成されたスクリュー部49aが設けられており、大腿骨100の頸部100bを貫通するように挿入されるとともに頸部100bに対してスクリュー部49aにて螺合するように構成されている。また、ラグスクリュー49における一端側の端部は、骨頭部材35の柱状部39の嵌合凹部39aの孔形状に対応した形状に形成され、嵌合凹部39aと嵌合して結合するようになっている。また、プレート50は、その貫通孔50aが、ラグスクリュー49における骨頭部材35と結合する一端側の端部とは反対側の他端側の端部と係合するようになっている。
上述した構成を備えるラグスクリュー49及びプレート50を用いて手術を行う場合には、最初の作業として、例えば、大腿骨100の頸部100bから骨頭部分100aにかけて貫通するように所定の器具を用いて孔をあけてタッピングを行い、タッピングの終了後に、骨頭部分100aを取り付けることができるように骨頭部分100aの形状を修正することが行われる。そして、プレート50の貫通孔50aにラグスクリュー49をその一端側の端部から挿通し、貫通孔50aに挿通した状態のままラグスクリュー49を大腿骨100の頸部100bにあけた孔を貫通させるように挿入する。このとき、スクリュー部49aを頸部100bと螺合させながらラグスクリュー49を大腿骨100に挿入していく。ラグスクリュー49は、その一端側の端部が大腿骨100の骨頭部分100aから露出するとともに他端側の端部がプレート50の貫通孔50aと係合するまで挿入される。次いで、大腿骨100の外側100dに配置した状態のプレート50を大腿骨100に対してその外側100dから複数のネジ51で固定する。最後に、大腿骨100の骨頭部分100aに対して骨頭部材35を取り付けるとともに、ラグスクリュー49の一端側の端部を骨頭部材35の柱状部39の嵌合凹部39aと嵌合させ、図17に示す人工股関節用コンポーネント2fの大腿骨100への取付が完了することになる。
この変形例のように、人工股関節用コンポーネント2において、ラグスクリュー49及びプレート50を更に備えることで、損傷部分に適度な圧迫力を加わることによって骨癒合の促進を図るCHS法を適用するための人工股関節用コンポーネント2fとして用いることもでき、CHS法による対応も可能とする場合も含めて、より少ない部材や器具での対応を可能にすることができる。尚、CHS法に関する他の変形例としては、図14に示す骨頭部材41(第2骨頭部材)と螺合により結合するラグスクリューを備えるものを実施することもできる。この場合、例えば、骨頭部材41と螺合させるためにラグスクリューの一端側の端部に形成する雄ネジ部を大腿骨の頸部と螺合させるために形成するスクリュー部よりも径の小さい雄ネジ部として形成してもよい。