JP5210808B2 - 年齢推定装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、人間の見た目年齢を推定する装置及び方法に関する。
店舗等におけるマーケティングでは、来店する客の年齢層を分析し、それに基づいて仕入れる商品の種類や数量を変更している。
例えば、コンビニエンスストアなどにおいては、会計の際に店員が客の年代を推定し、推定結果を登録することによって来店する客の年齢層を分析する手法がとられている。
しかし、人手による年齢推定の結果には、推定する者の主観が多分に含まれるため、客観性に乏しい。このため、識別器等を用いて機械的に人間の年齢を推定することが求められている。
識別器等を用いて機械的に人間の年齢を推定する手法は、二つに大別できる。一つは、子供、大人、お年寄りなどのように、年齢のカテゴリを識別する手法(年齢の推定を識別問題として行う手法)であり、年齢を離散量として推定する方法である。もう一つは、年齢そのものを識別する手法であり、年齢を連続量として推定する(年齢の推定を回帰問題として行う手法)方法である。
特許文献1に開示される発明のような年齢のカテゴリを識別する手法においては、例えば10歳刻みのように細分化して識別することも試みられている。しかし、年齢の問題を識別問題として解く場合、
・離したいデータ同士を近づけ、近づけたいデータ同士を離してしまう
・連続した年齢の関係を表現できない
と言う問題があり、これらの問題は年齢認識の精度を落とす原因となっている。
例えば、線形判別分析で10歳刻みの年齢識別を行う際に、10〜19歳、20〜29歳というカテゴリを設けた場合には、1歳差の19歳と20歳とを分離しようとし、9歳差の10歳と19歳とを近づけようとするという矛盾が現れる。
また、あるカテゴリを他のカテゴリと遠ざけようとするものの、カテゴリ間の距離を変えることはできない。例えば、10代のカテゴリは他の全ての年代から遠ざけられることとなるが、20代との距離も、50代との距離も同じである。すなわち、遠い年代同士の距離を遠ざけたり、近い年代同士の距離を近づけたりすることはできない。
一方、非特許文献1のように、年齢の推定を回帰問題として行う場合は、連続している年齢を表現できるため、識別問題と比べて矛盾が少なく、精度良く年齢を認識できることが実験によって証明されている。
回帰問題は、推定年齢と正解年齢との差を最小化する問題として解くことで求めることができる。その具体的な例としては、重回帰分析や(Kernel)Ridge Regressionが挙げられるが、これらは推定年齢と正解年齢との二乗誤差の平均、あるいは絶対値誤差の平均を小さくするように学習を行う。
図6に、年齢の推定を回帰問題として行う年齢推定装置の一例を示す。入力される画像データは、画素数×輝度数の次元を持つ高次元のデータである。よって、次元圧縮部61においては、年齢の情報が強調され、不要な情報(照明条件や顔角度など)が削除されるように画像データから特徴を抽出する。例えば、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)、線形判別分析(LDA:Linear Discriminant Analysis)、局所性保存射影法(LPP:Locality Preserving Projection)などの手法が適用される。この処理は、「特徴選択」や「次元圧縮」などとも称される。
そして、抽出した特徴に基づいて、識別器62が年齢を推定する。
このような年齢推定装置60によって画像データから年齢を推定するためには、次元圧縮部61及び識別器62に対する学習を行う必要がある。
すなわち、正解年齢(実年齢又は知覚年齢)の分かっている人物の画像データを複数個、次元圧縮部61に入力し、N分割交差検定や一つ抜き交差検定などの手法で評価する。この評価結果に基づいてエラー(正解との差)が少なくなるように識別器62の出力を調整する。識別器62の学習には線形回帰や重回帰、Ridge Regression、ニューラルネットワークなどの手法が適用される。
同様の手順を、特徴の種類や組み合わせ、抽出方法などを(換言すると、次元圧縮のパラメータを)変化させて繰り返すことによって、エラーが小さくなるようにパラメータやモデルを選択する。
特開2005−148880号公報 Y.Fu, Y.Xu, and T.S.Huang. Estimating human age by manifold analysis of face pictures and regression on aging features. Proceedings of the IEEE Multimedia and Expo, pp.1383-1386,2007.
しかし、年齢間の距離は対象となる年齢によって異なるため、推定年齢と正解年齢の二乗誤差や絶対値誤差を用いることは年齢認識の精度を落とす原因となる。
例えば、正解年齢と認識年齢との間に10歳の差(エラー)があった場合でも、5歳を15歳と間違えた場合と、35歳を45歳と間違えた場合とではエラーの深刻度が異なるべきである。すなわち、同じ10歳違いのエラーであっても、5歳を15歳と間違うことは幼稚園児を中学生又は高校生と間違うことであるため、人間の感覚としては非常に深刻なエラーである。一方、35歳の人間と45歳の人間とでは、顔の特徴は非常に似ているため、実際に人が見ても判別できないことも多く、これらを間違えることは、5歳を15歳と間違えることと比較すると、それほど深刻なエラーではない。
人間は、成長期などの若年期には外観が急激に変化し、大人になった後ではその変化は緩やかになる。したがって、同じ年齢差のエラーであっても、同じ指標で評価するのは問題である。
図7に、被験者に顔画像を見せ、1歳単位で年齢を推定してもらった結果の一例を示す、グラフは、ある正解年齢(実年齢)の人物を推定した結果を1歳ごとに分類し、「正解年齢」と「推定年齢の平均値」との標準偏差(ぶれ具合)を示しており、横軸は年齢、縦軸がその標準偏差である。若年層は標準偏差が小さいため、評価した人のほとんどが同じような年齢であると推定していることがわかる。
よって、年齢推定装置において若年層のデータを誤って大人と認識してしまうと、人間が知覚する結果と大きく異なってしまう。
このように、人間の感覚に近い認識結果を得ることのできる年齢推定装置、方法は提供されていなかった。
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、人間が知覚する結果に近い認識結果を得られる年齢推定装置及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、画像データに写された人物の年齢を推定する年齢推定装置であって、前記画像データに対して次元圧縮を施して低次元データを出力する次元圧縮手段と、前記低次元データに含まれる特徴量を用いて前記人物の年齢を推定する識別手段とを有し、見た目の違いに基づく任意の知覚年齢について、その知覚年齢と知覚される正解年齢の分布に基づいて定められた知覚年齢距離に基づいて、知覚年齢の平均エラーが最も小さくなるように前記次元圧縮に用いるパラメータと前記特徴量と、を前記次元圧縮手段及び前記識別手段に学習させることによって、前記人物の年齢を推定することを特徴とする年齢推定装置を提供するものである。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、画像データに写された人物の年齢を推定する年齢推定方法であって、前記画像データに対して次元圧縮を施して低次元データを出力する次元圧縮と、前記低次元データに含まれる特徴量を用いて前記人物の年齢を推定する識別、によって、見た目の違いに基づく任意の知覚年齢について、その知覚年齢と知覚される正解年齢の分布に基づいて定められた知覚年齢距離に基づいて、知覚年齢の平均エラーが最も小さくなるように前記次元圧縮に用いるパラメータと前記特徴量と、を学習させることによって、前記人物の年齢を推定することを特徴とする年齢推定方法を提供するものである。


本発明によれば、人間が知覚する結果に近い認識結果を得られる年齢推定装置及び方法を提供できる。
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態にかかる年齢推定装置の構成を示す。年齢推定装置10は、次元圧縮部11と識別器12とを有する。
次元圧縮部11及び識別器12は、一般的な構成のものを適用可能である。ただし、次元圧縮部11及び識別器12は、知覚年齢間の距離の概念を用いた学習によって、特徴抽出方法や識別器の種類が決定されている。
特徴抽出方法の決定、識別器の種類の決定の際には、学習データとテストデータとを用いて、N分割交差検定や一つ抜き交差検定などを実施して評価し、テストデータの中で最高の精度を実現するもの(エラーが最も小さいもの)を選ぶことが基本である。よって、本実施形態においても、知覚年齢間の距離を用いて検定を実施することによって、特徴抽出方法や識別器の種類を決定する。
ここで、知覚年齢を付与してもらった結果に基づいて年齢間の距離を定義する。具体的には、人が付与する知覚年齢の分布が正規分布であると仮定し、二つのデータxi,xjに対応する年齢agei,agejの正規分布の距離をKL情報量で下記式(1)のように定義する。
Figure 0005210808
KL情報量は対称性を持たないため、最終的に使用する知覚年齢距離(Percieved Age Distance:PAD)は、KL(agei||agej)とKL(agej||agei)との平均を取ったものを用いる。つまり、年齢の差分を示すPADを下記式(2)で定義する。
Figure 0005210808
これにより、知覚年齢の平均エラー(Mean Perceived Age Error:MPAE)は下記式(3)で定義でき、これを評価基準として用いることで、人間の知覚年齢に近い年齢を出力するような次元圧縮方法、識別器を選択できる。
Figure 0005210808
このように、本実施形態に係る年齢推定装置は、人間の知覚年齢に近い年齢を出力するように次元圧縮方法、識別器が選択されているため、人間の感覚に近い推定結果を出力できる。
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。
図2に、本実施形態に係る年齢推定装置の構成を示す。年齢推定装置20には、第1の実施形態と同様に、一般的な構成の次元圧縮部21、識別器22を適用可能である。ただし、本実施形態においては、知覚年齢距離の概念を次元圧縮時の処理に導入することにより、人の認識結果に近い結果が得られるような特徴抽出を実現している。
距離に基づく次元圧縮の方法として、局所性保存射影法(Locality Preserving Projection:LPP)が提案されている。LPPは、元の特徴空間上で距離が近いものを圧縮後の空間でも近くに保存する写像方法である。LPPでは、二つのデータxi,xjの幾何学的な距離のみを使用しているため、出力ラベル(年齢)の値は全く考慮されていない。
そこで、二つのデータの出力ラベルの値agei,agejを利用することで、年齢が近いデータを近くに保存できる写像方法(Class Distance weighted Locality Preserving Projection:CDLPP)が、宮 雅一,植木 一也,小林 哲則.クラス距離を重みとする局所保存射影とその顔画像による年齢推定への応用.IEICE Technical Report, vol.107 no.206, PRMU2007-61,pp.83-88,September 2007.に提案されている。これにより、二つのデータの年齢差を考慮した次元圧縮を行うことが可能である。
具体的には、LPPでは類似度行列Sを下記式(4)で計算するのに対し、CDLPPでは下記式(5)として年齢の絶対値誤差が少ないものを近くに保存するように写像の軸を選択する。
Figure 0005210808
しかし、ここで使われているのは年齢の絶対値誤差であり、人間の知覚年齢との間には隔たりがある。
そこで、本実施形態においては、知覚年齢距離に基づく局所性保存写像法(Perceived Age Distance weighted Locality Projection:PADLPP)で次元圧縮を行う。
具体的には、式(2)に定義したPADを利用し、下記式(6)のように定義する類似度行列を用いる。
Figure 0005210808
PADLPPを用いることにより、人間の感覚的な年齢認識に近い距離の概念で、写像の軸を選択できる。
類似度行列から写像の軸(変換行列)を求める方法などについては、X.F.He, S.C.Yan, Y.X.Hu, P.Niyogi, and H.J.Zhang. Face recognition using Laplacianfaces. IEEE Trans. on Pattern Analysis and Machine Intelligence, vol.27, no.3, pp.328-340, 2005.に詳細に説明されている公知技術であるため、詳細な説明は割愛する。
本実施形態によれば、人間の感覚的な年齢認識に近い距離の概念の写像軸で次元圧縮を行える。これにより、年齢推定結果が人間の感覚に近い。
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。
図3に、本実施形態に係る年齢推定装置の構成を示す。年齢推定装置30には、第1の実施形態と同様に、一般的な構成の次元圧縮部31、識別器32を適用可能である。ただし、本実施形態においては、識別器32の学習内容及び推定結果に知覚年齢距離の概念を導入することにより、人の認識結果に近い結果が得られるような特徴抽出を実現している。
図7に示すように、若年層の年齢推定結果はばらつきが小さく、中年層(40代、50代)ではばらつきが大きい。これは、若年層においては年齢の変化に対する見た目の変化量が大きいために、年齢を正確に推定しやすく、中年層ではその逆であることを意味している。
よって、若年層では年齢が少し変化しても変化量が大きく、中年層では年齢が変化してもあまり変化しないような値に年齢を変換することにより、人間の変化の度合い(成長度)に応じた識別器を構成できる。これにより、若年層では同じ年齢差でも値の変化が大きくなるため、識別器はその差をより減らそうとし、人間の知覚年齢に近い推定結果が得られる。
ここで、変化の度合いをDoC(Degree of Change)と呼ぶこととすると、本実施形態においては、DoCを識別器に学習させる。ここで、識別器にとっては、実年齢ageは未知であるため、DoCの値のみを最適化するように学習する。
例として、図7の年齢の標準偏差を基にDoCの値を決定する方法を示す。年齢ageの各々に対して、下記式(7)のようにDoCを定めると、年齢ageと変化度DoCとの対応関係は図4に示すようになる。図4において、横軸は年齢ageであり、縦軸は変化度合いDoCである。また、σkは年齢kの標準偏差である。
Figure 0005210808
また、テストの段階ではテストデータxjを入力すると、識別器からの出力はDoCが得られる。そのときの年齢agejは、上記と逆の変換と考え、下記式(8)で求めることができる。
Figure 0005210808
上記の変換の例は単なる一例であり、年齢と変化度DoCとの間に変換テーブルを作り、それを利用するようにしても良い。変換方法には、人間の直感的な部分を入れる(例えば、特定の年齢間の間隔を広げる)こともできるし、生物学的に顔の変化量が抽出できる場合には、それを利用することも可能である。
このように、本実施形態においては、人間の感覚に近い識別器によって年齢を推定するため、知覚年齢に近い年齢を推定できる。
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態においては、特徴抽出方法や識別器を決定する際の評価基準、次元圧縮時の写像軸の選択、識別器の学習内容及び推定結果に関して、個別に知覚年齢距離の概念を導入した場合について説明したが、これらのうちの任意の二つの組み合わせについて導入することも可能であるし、図5に示すように三つ全てに導入することも可能である。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
本発明を好適に実施した第1の実施形態に係る年齢推定装置の構成を示す図である。 本発明を好適に実施した第2の実施形態に係る年齢推定装置の構成を示す図である。 本発明を好適に実施した第3の実施形態に係る年齢推定装置の構成を示す図である。 年齢と変化度との対応関係を示す図である。 特徴抽出方法や識別器を決定する際の評価基準、次元圧縮時の写像軸の選択、識別器の学習内容及び推定結果の全てに知覚年齢距離の概念を導入した年齢推定装置の構成を示す図である。 年齢の推定を回帰問題として行う年齢推定装置の一例を示す図である。 被験者に顔画像を見せ、1歳単位で年齢を推定してもらった結果の一例を示す図である。
符号の説明
10、20、30 年齢推定装置
11、12、13 次元圧縮部
12、22、23 識別器

Claims (8)

  1. 画像データに写された人物の年齢を推定する年齢推定装置であって、
    前記画像データに対して次元圧縮を施して低次元データを出力する次元圧縮手段と、
    前記低次元データに含まれる特徴量を用いて前記人物の年齢を推定する識別手段とを有し、
    見た目の違いに基づく任意の知覚年齢について、その知覚年齢と知覚される正解年齢の分布に基づいて定められた知覚年齢距離に基づいて、知覚年齢の平均エラーが最も小さくなるように前記次元圧縮に用いるパラメータと前記特徴量と、を前記次元圧縮手段及び前記識別手段に学習させることによって、前記人物の年齢を推定する年齢推定装置。
  2. 前記次元圧縮の写像の軸が、元の特徴空間上で前記知覚年齢距離が小さいほど前記次元圧縮後には近くに保存されるように選択されたことを特徴とする請求項1記載の年齢推定装置。
  3. 前記識別手段は、人間の成長に伴う外観の変化の度合いを表す数値である成長度を前記年齢の代わりに用いた学習がなされ、前記成長度を推定結果として出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の年齢推定装置。
  4. 前記成長度が、知覚年齢ごとの標準偏差に基づいて定義されたことを特徴とする請求項記載の年齢推定装置。
  5. 画像データに写された人物の年齢を推定する年齢推定方法であって、
    前記画像データに対して次元圧縮を施して低次元データを出力する次元圧縮と、
    前記低次元データに含まれる特徴量を用いて前記人物の年齢を推定する識別、によって
    見た目の違いに基づく任意の知覚年齢について、その知覚年齢と知覚される正解年齢の分布に基づいて定められた知覚年齢距離に基づいて、知覚年齢の平均エラーが最も小さくなるように前記次元圧縮に用いるパラメータと前記特徴量と、を学習させることによって、前記人物の年齢を推定することを特徴とする年齢推定方法。
  6. 前記次元圧縮の写像の軸を、元の特徴空間上で前記知覚年齢距離が小さいほど前記次元圧縮後には近くに保存されるように選択することを特徴とする請求項記載の年齢推定方法。
  7. 前記識別器によって、
    人間の成長に伴う外観の変化の度合いを表す数値である成長度を前記年齢の代わりに用いた学習がなされ、前記成長度を推定結果として出力することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の年齢推定方法。
  8. 前記成長度を、知覚年齢ごとの標準偏差に基づいて定義することを特徴とする請求項記載の年齢推定方法。
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