JP5208105B2 - ErbB2を介するシグナル伝達経路のダウンレギュレーションの有無を判定する方法、抗癌剤による治療の要否の判断を補助する方法、およびシグナル伝達阻害剤 - Google Patents
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Description
1.シグナル伝達経路のダウンレギュレーションの有無を判定する方法であって、
前記シグナル伝達経路が、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
ヒトFRS2βおよびヒトFRS2β遺伝子の転写産物の少なくとも一方を検出する工程を含む、ダウンレギュレーション判定方法;
2.前記検出する工程における検出量が、予め設定されたカットオフ値よりも大きい場合に、ErbB2を介するシグナル伝達経路のダウンレギュレーションが存在すると判定する、上記1に記載のダウンレギュレーション判定方法。
3.前記ヒト細胞がErbB2を発現している、上記1または2に記載のダウンレギュレーション判定方法;
4.ヒト癌細胞に対する抗ErbB2抗体を標的とする抗癌剤による治療の要否の判断を補助する方法であって、
ヒト癌細胞由来の生体試料において、ヒトFRS2βおよびヒトFRS2β遺伝子の転写産物の少なくとも一方を検出する工程を含む、方法;
5.前記検出する工程における検出量が、予め設定されたカットオフ値よりも大きい場合に、前記抗ErbB2抗体による治療を要しないと判定する、上記4に記載の方法;
6.前記ヒト癌細胞がErbB2を発現している、上記4または5に記載の方法;
7.シグナル伝達経路の活性化を阻害するシグナル伝達阻害剤であって、
前記シグナル伝達経路は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
核酸を含み、
前記核酸は、配列番号2に記載の塩基配列における1番目〜555番目の領域を含む塩基配列からなる核酸であり、
前記核酸は、コードするポリペプチドを細胞内で発現する、シグナル伝達阻害剤。
8.前記シグナル伝達阻害剤が、さらにベクターを含み、前記核酸が前記ベクターに連結されている、上記7に記載のシグナル伝達阻害剤;
9.シグナル伝達経路の活性化を阻害するシグナル伝達阻害剤であって、
前記シグナル伝達経路は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
ポリペプチドを含み、
前記ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチドである、シグナル伝達阻害剤。
本発明のシグナル伝達阻害方法は、前述のように、シグナル伝達経路の活性化を阻害するシグナル伝達の阻害方法であって、前記シグナル伝達経路は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、前記(A1)、(A2)、(B1)および(B2)からなる群から選択された少なくとも一つのポリペプチドにより、前記シグナル経路の活性化を阻害する方法である。
(A1) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド
(A2) 前記(A1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、ヒトFRS2βのPTBドメインと同等の機能を有するポリペプチド
(B1) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における232番目〜252番目または237番目〜252番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B2) 前記(B1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、ヒトERK2と結合する機能を有するポリペプチドである。
(A1) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド
(A2) 前記(A1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、ヒトFRS2βのPTBドメインと同等の機能を有するポリペプチド
(A3) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド(配列番号3)
(B1) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における232番目〜252番目または237番目〜252番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B2) 前記(B1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、ヒトERK2と結合する機能を有するポリペプチド
(B3) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における232番目〜252番目または237番目〜252番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド(配列番号5)
(B4) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における250、251、315および316番目のアミノ酸の少なくとも1つを含むアミノ酸配列からなるポリペプチド
(C1) 配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトFRS2β
(C2) 前記(A1)および(A2)の少なくも一方のポリペプチドと前記(B1)および(B2)の少なくとも一方のポリペプチドとを含む融合ポリペプチド
(C3) 前記(C1)または(C2)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、PTBドメインと同等の機能とヒトERK2と結合する機能とを有するポリペプチド
本発明のシグナル伝達阻害方法は、例えば、ヒト細胞に、核酸を含むシグナル伝達阻害剤を投与する工程を含み、前記核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸であり、前記核酸は、ヒト細胞内で前記ポリペプチドを発現する。なお、前記核酸を含むシグナル伝達阻害剤を、以下、本発明における「第1のシグナル伝達阻害剤」ともいう。
(a1) 配列番号2に記載の塩基配列における1番目〜555番目の領域を含む塩基配列からなる核酸
(a2) 前記(a1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなる核酸であり、ヒトFRS2βのPTBドメインと同等の機能を有するポリペプチドをコードする核酸
(a3) 配列番号2に記載の塩基配列における1番目〜555番目塩基配列からなる核酸(配列番号4)
(a4) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目の領域を含むアミノ酸配列をコードする核酸
(a5) 前記(a4)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなる核酸であり、ヒトFRS2βのPTBドメインと同等の機能を有するポリペプチドをコードする核酸
(b1) 配列番号2に記載の塩基配列における709番目〜756番目の領域を含む塩基配列からなる核酸
(b2) 前記(b1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなる核酸であり、ヒトERK2と結合する機能を有するポリペプチドをコードする核酸
(b3) 配列番号2に記載の塩基配列における709番目〜756番目塩基配列からなる核酸(配列番号6)
(b4) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における232番目〜252番目または237番目〜252番目の領域を含むアミノ酸配列をコードする核酸
(b5) 配列番号1に記載のアミノ酸配列における250、251、315および316番目のアミノ酸の少なくとも1つを含むアミノ酸配列をコードする核酸であり、ヒトERK2と結合する機能を有するポリペプチドをコードする核酸
(b6) 前記(b4)または(b5)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなる核酸であり、ヒトERK2と結合する機能を有するポリペプチドをコードする核酸
(c1) 配列番号2の塩基配列からなるヒトFRS2β遺伝子
(c2) 前記(a1)〜(a5)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸と前記(b1)〜(b6)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸とを含むキメラ核酸
(c3) 前記(c1)および(c2)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなる核酸であり、ヒトPTBドメインの機能とヒトERK2と結合する機能とを有するポリペプチドをコードする核酸
本発明のシグナル伝達阻害方法は、例えば、ヒト細胞に、前記ポリペプチドを含むシグナル伝達阻害剤を投与する工程を含む。このように、目的の細胞に直接前記ポリペプチドを投与することによっても、ErbB2のシグナル伝達経路をダウンレギュレーションできる。なお、前記ポリペプチドを含むシグナル伝達阻害剤を、以下、本発明の「第2のシグナル伝達阻害剤」ともいう。
本発明のシグナル伝達阻害剤は、前述のように、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路の活性化を阻害する阻害剤である。本発明のシグナル伝達阻害剤としては、まず、前述のような、核酸を含む第1のシグナル伝達阻害剤があげられる。前記第1の阻害剤は、前記PTBドメインの機能を有するポリペプチドおよびERK2結合ドメインの機能を有するポリペプチドの少なくとも一方をコードし、細胞内でこれを発現する核酸を含んでいればよい。このような核酸を含む第1のシグナル伝達阻害剤は、前述の通りである。つぎに、本発明のシグナル伝達阻害剤としては、前述のようなポリペプチドを含む第2のシグナル伝達阻害剤があげられる。前記第2の阻害剤は、前記PTBドメインの機能を有するポリペプチドおよびERK2結合ドメインの機能を有するポリペプチドの少なくとも一方を含んでいればよい。このようなポリペプチドを含む第2のシグナル伝達阻害剤は、前述の通りである。
本発明の治療方法は、ヒトの癌の治療方法であって、本発明のシグナル伝達阻害剤を投与する工程を含む。本発明の治療方法においては、本発明のシグナル伝達阻害剤を使用すること自体が特徴であって、その他の工程や条件は制限されない。本発明のシグナル伝達阻害剤の投与方法は、例えば、前述と同様である。具体的には、ヒトの癌化部位に、in vivoで、前記シグナル阻害剤を直接投与してもよいし、取り出した目的細胞や組織に、ex vivoで、前記シグナル阻害剤を導入し、導入後の細胞等をヒトの体内に戻す方法等があげられる。また、本発明を適用する癌は、例えば、ErbB2のシグナル伝達経路が関与するものが好ましく、例えば、乳癌、卵巣癌、胃癌、膀胱癌、口腔癌、食道癌、脳腫瘍、肺癌、頭頚部癌、皮膚癌、子宮癌、大腸癌、膵臓癌等があげられる。また、前述の癌が発生する可能性がある細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、膀胱、口腔、食道、脳、肺、頭頚部、皮膚、子宮、大腸、膵臓、頭頚部等の正常細胞への適用も有用である。なお、本発明の治療方法は、例えば、癌化の予防も含む。
本発明の抗癌剤は、ヒトの抗癌剤であって、本発明のシグナル伝達阻害剤を含む。本発明の抗癌剤は、前記シグナル伝達阻害剤を含んでいればよく、その形態は制限されない。また、その使用方法等も、前述の通りである。
本発明の細胞増殖阻害剤は、本発明のシグナル伝達阻害剤を含む。本発明の細胞増殖阻害剤は、前記シグナル伝達阻害剤を含んでいればよく、その形態は制限されない。また、その使用方法等も、前述の通りである。また、本発明の細胞増殖阻害剤を適用する細胞も、制限されないが、前述のような癌細胞や正常細胞があげられる。
本発明のマーカーは、前述のように、シグナル伝達経路のダウンレギュレーションの有無を判定するためのマーカーであって、前記シグナル伝達経路が、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、ヒトFRS2βおよびヒトFRS2β遺伝子の転写産物の少なくとも一方を含む。
(1)前述のように、ErbB2の過剰発現、および、過剰発現したErbB2の活性化が、癌化の一因であることが知られている。したがって、ヒト細胞について本発明のマーカーを検出し、ダウンレギュレーションの有無を判断すれば、例えば、ヒト細胞の癌化の危険性を判断できる。すなわち、ダウンレギュレーションが起こっていれば、前記シグナル伝達経路に起因する癌化の可能性は低いと判断でき、ダウンレギュレーションが起こっていなければ、前記シグナル伝達に起因する癌化の可能性があると判断できる。
(2)ヒト癌細胞について本発明のマーカーを検出し、ダウンレギュレーションの有無を判断すれば、前記癌細胞の癌化が、前記シグナル伝達経路に起因するものか、他のメカニズムに起因するものかを判断できる。
(3)さらに、前記(2)のように、癌化の原因が前記シグナル伝達経路に起因するか否かを判断すれば、癌の治療方針を決定することも可能となる。一例として、乳癌の治療方針をあげる。乳癌は、約10〜30%の患者で、ErbB2の過剰発現が確認されており、このような患者に有効な抗癌剤として、ErbB2の機能を阻害する前記ハーセプチン等のモノクローナル抗体が使用されている。しかし、ErbB2が強陽性でも、ハーセプチンが奏功する症例は約40%に満たないことが問題になっている。今回、本発明者らの研究より、ErbB2のシグナル伝達が、FRS2βによってダウンレギュレートされている場合、前記モノクローナル抗体によるシグナル伝達阻害効果を促進することがわかった。そこで、患者の乳癌細胞について本発明のマーカーを検出し、ダウンレギュレーションの有無を確認することによって、ハーセプチン等の低分子化合物による治療が適切であるかを判断できる。
(4)また、乳癌に関しては、前述のようにErbB2の過剰発現を検出するハーセプテストが行われている。しかしながら、ErbB2のリン酸化を検出する必要があるものの、この方法では、他のErbファミリーも検出してしまう。このため、実際に、ErbB2のシグナル伝達が働いているか否かを判断し難いという問題がある。これに対して、本発明のマーカーを検出して、ダウンレギュレーションの有無を確認すれば、ErbB2自体を検出するのではなく、実際に、ErbB2のシグナル伝達が働いているか否かを検出することが可能となる。
本発明のマーカーの測定は、制限されず、マーカーの種類に応じて適宜決定できる。
前記本発明のマーカーが、ヒトFRS2βの場合、例えば、特定のポリペプチドやタンパク質を検出する従来公知の測定方法が採用できる。前記測定方法は、何ら制限されない。具体例としては、例えば、抗体を用いた免疫測定法(イムノアッセイ法)があげられる。前記免疫測定法としては、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、ラテックス免疫凝集法等の免疫凝集法、ラテックス免疫比朧法等の免疫比朧法、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング法等があげられる。前記免疫測定法としては、中でも、ELISAが好ましい。前記ELISAとしては、例えば、サンドイッチELISA法や競合ELISA法等があげられる。
(1) 生体試料に、前記ヒトFRS2βに対する抗ヒトFRS2β抗体を添加し、前記生体試料中のヒトFRS2βに、前記抗ヒトFRS2β抗体を結合させて複合体を形成させる工程
(2) 前記複合体を測定する工程
前記本発明のマーカーが、ヒトFRS2βの転写産物の場合、例えば、mRNAの転写の有無や転写量を測定すればよい。これらの測定方法としては、従来公知の測定方法が採用できる。具体例としては、例えば、特異的なプライマーを用いた核酸増幅法や、検出プローブを用いた方法があげられる。前者としては、例えば、PCR法、逆転写PCR法、リアルタイムPCR法等があげられ、後者としては、例えば、サザンブロット法、ノーザンブロット法等があげられる。なお、特異的プライマーや検出プローブの配列は、ヒトFRS2β遺伝子およびmRNAの配列に基づいて適宜決定できる。
本発明のマーカー測定キットは、前記ヒトFRS2βを含むマーカーを測定するための第1のキットと、前記ヒトFRS2β遺伝子の転写物を含むマーカーを測定するための第2のキットがあげられる。前記第1のキットは、ヒトFRS2βに特異的な抗体を含む。前記抗体は、前述と同様である。また、第2のキットは、ヒトFRS2β遺伝子に特異的なプローブ、および、ヒトFRS2β遺伝子に特異的なプライマーからなる群から選択された少なくとも一つを含む。前記プローブやプライマーは、前述と同様である。本発明のマーカー測定キットは、さらに、取り扱い説明書を含んでもよい。
本発明の診断方法は、ヒト癌細胞に対する抗癌剤による治療の要否を判断する診断方法であって、本発明のマーカーを検出する工程を含む。前述のように、ErbB2の過剰発現が原因となる癌に対しては、例えば、前述のハーセプチン等が分子標的抗癌剤として使用されている。しかし、前述のように、ErbB2が強陽性でも、ハーセプチンが奏功する症例は約40%に満たないことが問題になっている。今回、本発明者らの研究より、ErbB2のシグナル伝達が、FRS2βによってダウンレギュレートされている場合、前記モノクローナル抗体によるシグナル伝達阻害効果を促進することがわかった。このため、本発明では、マーカーを検出し、ダウンレギュレーションの有無を判断することによって、前記分子標的抗癌剤による治療の要否を判断できる。
本発明は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路の活性化を阻害するための、前記(a1)〜(a5)および(b1)〜(b6)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸の使用である。また、本発明は、ヒトの癌を治療するための、前記(a1)〜(a5)および(b1)〜(b6)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸の使用である。また、本発明は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路の活性化を阻害するための、前記(A1)〜(A3)および(B1)〜(B4)からなる群から選択された少なくとも一つのポリペプチドの使用である。また、本発明は、ヒトの癌を治療するための、前記(A1)〜(A3)および(B1)〜(B4)からなる群から選択された少なくとも一つのポリペプチドの使用である。
FRS2βの全長cDNAと、C末端にFLAGを付加するFLAG−tagのコード配列とを、レトロウイルスベクター(pMXs−puroベクター:東大医科研・北村俊雄教授より供与)、プラスミドベクター(商品名pcDNA:Sigma社製)、レンチウイルス(CSII−EFベクター、理化学研究所・バイオリソースセンターより供与)に連結した。これらを、FRS2β発現レトロウイルスベクター、FRS2β発現プラスミドベクター、FRS2β発現レンチウイルスベクターという。これらのベクターから発現する目的のポリペプチドは、C末端にFlag−tagが付加される。また、配列番号1に示すFRS2βのアミノ酸配列のうち、232番目〜252番目の領域を欠損したΔ232-252FRS2βをコードするcDNAを調製し、同様に前記レトロウイルスベクター、前記プラスミドベクターまたは前記レンチウイルスベクターに連結した。これを、Δ232-252FRS2β発現レトロウイルスベクター、Δ232-252FRS2β発現プラスミドベクター、Δ232-252FRS2β発現レンチウイルスベクターという。
NIH3T3細胞にErbB2およびFRS2βを発現させて、FRS2βによるトランスフォーミング活性の抑制を確認した。
前記活性型ErbB2発現プラスミドベクターを用いて、NIH3T3細胞にトランスフェクションし、安定形質転換株を得た(参考文献:BBRC178,p724−732,1991)。この細胞に、FRS2β発現レトロウイルスベクター、Δ232-252FRS2β発現レトロウイルスベクターならびに空のレトロベクターをそれぞれ導入し、ピューロマインで処理し、安定形質転換株を選択した。これらの形質転換細胞を、10%ウシ新生仔血清(NBCS)および3%アガロースを含むDMEM培地に懸濁した。続いて、この懸濁液(細胞数:約1000個)を、直径3.5cm培養皿の0.6%アガロース含有DMEM培地上に重層した。そして、37℃、5%CO2の条件下で培養し、3週間後、肉眼で確認できるコロニー(直径約0.2mm以上の肉眼で確認できるコロニー数をカウントした。なお、コントロールとして、各レトロベクターを導入していない活性化ErbB2を発現するNIH3T3細胞についても、同様にアッセイを行った。
ヒト乳癌細胞株MCF−7細胞にFRS2βを発現させて、その増殖の抑制を確認した。
FRS2βがErbB2に結合するか否かを確認した。
ErbB2は、同じErbファミリーのErbB3とヘテロ二量体を形成し、この二量体化の誘導によって、前記受容体(ErbB2やErbB3)の細胞内ドメインが活性化されることが知られている。そこで、FRS2βが、ErbB2およびErbB3の活性化に与える影響を確認した。
FRS2βがERKおよびErbB3のリン酸化に与える影響を確認した。
ErbB2とEGFRとのヘテロ二量体の形成に対するFRS2βの影響を確認した。
FRS2βの発現によるハーセプチン感受性に対する影響を確認した。
FRS2β発現レンチウイルスベクターならびにコントロールベクター(dsVenusを発現)を、ヒト乳癌細胞株BT474細胞に導入し、安定形質転換株を得た。これらの形質転換体を、1well当たり約1×104個となるように96well培養プレートに播き、24時間、37℃、5%CO2の条件下、10%牛胎児血清を含有するRPMI培地で培養した。24時間後、培地を希釈系列ハーセプチン含有培地に交換し、さらに培養を行った。培地交換から10日後、さらに、前記培地について、MTSアッセイ用試薬(Promega)を用いて、添付されたプロトコールに従って処理を行い、490nmにおけるwellの吸光度を測定した。
乳癌細胞株におけるErbB2とFRS2βの発現を確認した。
各種癌細胞株におけるerbB2とFRS2βの発現を確認した。
乳癌患者の癌組織における、FRS2βの発現を確認し、同患者における、ErbB2の発現との比較を行った。
Claims (9)
- シグナル伝達経路のダウンレギュレーションの有無を判定する方法であって、
前記シグナル伝達経路が、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
ヒトFRS2βおよびヒトFRS2β遺伝子の転写産物の少なくとも一方を検出する工程を含む、ダウンレギュレーション判定方法。 - 前記検出する工程における検出量が、予め設定されたカットオフ値よりも大きい場合に、ErbB2を介するシグナル伝達経路のダウンレギュレーションが存在すると判定する、請求項1に記載のダウンレギュレーション判定方法。
- 前記ヒト細胞がErbB2を発現している、請求項1または2に記載のダウンレギュレーション判定方法。
- ヒト癌細胞に対する抗ErbB2抗体による治療の要否の判断を補助する方法であって、
ヒト癌細胞由来の生体試料において、ヒトFRS2βおよびヒトFRS2β遺伝子の転写産物の少なくとも一方を検出する工程を含む、方法。 - 前記検出する工程における検出量が、予め設定されたカットオフ値よりも大きい場合に、前記抗ErbB2抗体による治療を要しないと判定する、請求項4に記載の方法。
- 前記ヒト癌細胞がErbB2を発現している、請求項4または5に記載の方法。
- シグナル伝達経路の活性化を阻害するシグナル伝達阻害剤であって、
前記シグナル伝達経路は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
核酸を含み、
前記核酸は、配列番号2に記載の塩基配列における1番目〜555番目の領域を含む塩基配列からなる核酸であり、
前記核酸は、コードするポリペプチドを細胞内で発現する、シグナル伝達阻害剤。 - 前記シグナル伝達阻害剤が、さらにベクターを含み、前記核酸が前記ベクターに連結されている、請求項7に記載のシグナル伝達阻害剤。
- シグナル伝達経路の活性化を阻害するシグナル伝達阻害剤であって、
前記シグナル伝達経路は、ヒト細胞におけるErbB2を介するシグナル伝達経路であり、
ポリペプチドを含み、
前記ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列における1番目〜185番目の領域を含むアミノ酸配列からなるポリペプチドである、シグナル伝達阻害剤。
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