JP5186072B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用電力と併用可能に接続された燃料電池発電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、学校やビルなどでは電力供給方法として従来の電力会社からの商用電力と燃料電池からの電力を併用する燃料電池発電システムが普及しつつある。燃料電池は、酸素と水素とが化学反応を起こして水を生成する際に生じるエネルギーを電力とするものである。
【0003】
図9は燃料電池発電システムの概略を示したブロック構成図を示している。図9に示すように燃料電池発電システムは、商用電力としての系統電力線に接続され、ガス会社等から供給されたガスを用いて発電する固体高分子型燃料電池101(以下、燃料電池という。)と、燃料電池101の発電の際に生じる排熱により生成される温水を貯める貯湯漕102とを備え、燃料電池101は空調機器及び照明装置等の電気器具群103が接続されており、貯湯槽102は、給湯装置及び浴槽等の温水利用器具104が接続されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池により発電される電力量は単位時間あたり数kWと低いため、単位時間当たりに排出される排熱量は少なく、直接浴槽の水を昇温させると約10〜11時間かかる。このため、所望時に入浴を可能とするためには、予め昇温された水を貯留する200〜400リットルという大容量の貯湯漕が必要となる。このような大容量の貯湯漕を配置するには相当量の設置スペースを確保する必要があり、特に燃料電池システムを家庭用発電機として使用した場合、貯湯漕の設置スペースの問題が生じる。
【0005】
また、最近では浴槽に蓄えられた温水を常時一定温度に保つことができるいわゆる24時間風呂が開発されている。24時間風呂は浴槽内の温水を循環させて、温水を浄化するとともに、昇温し、常時一定の温度に保つものである。しかし、浴槽に蓄えられた水を一定温度に保つには、電力消費量が無視できない。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、燃料電池発電システムと24時間風呂とを組み合わせてエネルギーの効率的な利用により24時間風呂の電気エネルギーの消費量を低減し、かつ、貯湯漕の設置スペースの問題を解決する燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、系統連係部を介して商用電力線に接続された燃料電池と、浴槽に貯留された水と熱交換を行うべく槽内を経由する循環路を有する配水管の途中に設けられ、前記燃料電池の稼動時に生じる熱で配水管を循環する水を昇温する熱交換器と、前記配管の途中に設けられ、配水管を循環する水を加熱する加熱器と、熱交換器を介して浴槽内の水を所定の温度に調節するべく前記燃料電池の稼動を制御する第1の制御手段と、前記熱交換の不足分を補償するべく加熱器を作動させる第2の制御手段と、前記配水管の途中に付設された高温水循環路中に設置され、前記熱交換器により昇温された温水を更に昇温する高温加熱器と、前記高温加熱器により発熱された温水を貯留する高温水貯湯漕とを備えたことを特徴とする燃料電池発電システムである。この構成によれば、浴槽内の水は燃料電池の稼動時に生じる熱を熱交換することにより昇温される。また、燃料電池の稼動を制御することで浴槽内の水は所定温度に調整される。また、燃料電池の電力負荷によっては熱交換量が不足する場合もあるが、この場合、加熱器により熱交換の不足分が補償される。また、この構成によれば、配水管の水は更に昇温される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池発電システムにおいて、前記第2の制御手段は商用電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする。この構成によれば、商用電力により加熱器が作動される。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項記載の発明において、前記第2の制御手段は燃料電池からの電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする。この構成によれば、燃料電池の電力により加熱器が作動される。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、浴槽内の水を時間帯を指定して保温する保温時間指定手段を備えたことを特徴とする。この構成によれば、浴槽内の水は指定された時間帯において、所定温度に保温される。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池発電システムにおいて、前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池を低負荷で稼動させ、前記第2の制御手段は深夜時間帯に前記加熱器に対して商用電力を供給することを特徴とする。この構成によれば、深夜時間帯において、余剰電力の発生を防止するために燃料電池は低負荷好ましくは最低負荷で発電されるとともに、浴槽の水を所定温度に保つため加熱器は商用電力で作動される。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池発電システムにおいて、前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池を低負荷で稼動させた後、昼間の保温開始時までの所定時間、前記燃料電池の負荷を上昇させていき、前記第2の制御手段は、昼間の保温開始時までの所定時間、前記燃料電池からの電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする。この構成によれば、深夜時間帯において、燃料電池は余剰電力を防止するために低負荷好ましくは最低負荷で稼動される。また、昼間の保温開始時までの所定時間、浴槽の水を所定の温度に昇温するために燃料電池の負荷を上昇させていくとともに、燃料電池の排熱による熱交換を補償するために加熱器が作動される。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜4記載の燃料電池発電システムにおいて、前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池の稼動を停止させた後、夜の保温開始時までの所定時間、前記燃料電池の負荷を上昇させていき、前記第2の制御手段は、夜の保温開始時までの所定時間前記燃料電池の電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする。この構成によれば、深夜時間帯において、余剰電力を防止するため燃料電池の稼動は停止される。また、夜の保温開始時までの所定時間、浴槽の水を所定温度にするために燃料電池の負荷を上昇させていくとともに、燃料電池の排熱による熱交換の不足分を補償するために、加熱器を作動させる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る燃料電池発電システムの一実施形態を示す構成図である。本燃料電池発電システムは、屋内配線に接続される家庭用の電気器具群9に電力を供給する商用電源線の途中に介設された系統連係部2に接続された燃料電池1を備えると共に、燃料電池1の稼動時に発生する排熱で熱媒体としての温水を生成する構成を備える。
【0016】
本燃料電池発電システムは浴槽3に貯留された水を加温対象とするもので、浴槽3の槽内を経由して水を循環させる循環路33を備える。循環路33には熱交換器4、ヒータ5、前記浴槽3及び放熱器7がこの順番で介設されている。熱交換器4は燃料電池稼動時の排熱を利用するものであり、ヒータ5は電力乃至はバーナで燃焼したガスを利用するものである。循環路33のうち、熱交換器4と放熱器7との間には図略の切替弁などを介して水道管が接続され、熱媒体としての水の補給を可能にしている。
【0017】
循環路33のうち、熱交換器4とヒータ5との間には高温水循環路35が付設され、小型の高温水貯湯槽6を経由して温水利用器具8bに温水を供給可能にしている。高温貯湯槽6にはより高温を得るためのヒータ61が設けられている。また、循環路33のうち、浴槽3と放熱器7との間には本実施形態では、床暖房器具8aに温水を供給する配管81が並設され、さらに逆止弁37を介して温水利用器具8bに温水を供給する配管36が付設されるなどして温水の一層の有効利用を図っている。
【0018】
制御部10は燃料電池1の稼動を制御するもので、これにより浴槽の貯留水を所定温度に保持するようにしている。
【0019】
燃料電池1は、水道管及び都市ガス供給管に接続され、供給された都市ガス及び水を主原料として所定の電力を発生する。本実施形態では、燃料電池1は、固体高分子型の小型燃料電池(PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell))であって、0.5kW〜1.5kWの家庭用小型燃料電池として好ましい発電能力を有するものが採用されている。図2は燃料電池1の内部構成の一例を示す図である。燃料電池1は、脱硫器11、改質器12、CO変成器13、電池本体部14、空気圧縮機15、及び選択酸化器16からなる。
【0020】
脱硫器11は、都市ガスの供給が供給されるようにガス供給管と接続されている。脱硫器11は、都市ガス中に含まれる付臭材の硫黄分を除去する。
【0021】
改質器12は、脱硫器11のガス出力側に接続され、脱硫された都市ガスと水蒸気とをバーナ121で加熱して、反応させることにより、二酸化炭素と水素とを主成分とする改質ガスを生成する。
【0022】
CO変成器13は、改質器12のガス出力側に接続されており、セル電極の被毒及び発電効率の低下を防止するため、改質ガス中に含まれる一酸化炭素を二酸化炭素に変化させる。
【0023】
選択酸化器16は、セル電極の被毒防止を行うため、CO変成器13から送られてきたガスに含まれるCO濃度を10ppm以下にするものである。
【0024】
電池本体部14は、CO変成器13から送られる水素が供給される負極と、空気圧縮器15から送られる圧縮空気中の酸素が供給される正極とを備え、各極で起電反応を行わせて発電するものである。
【0025】
系統連係部2は、電気器具群9の電力需要に応じて、商用電力及び燃料電池1からの電力を供給する。系統連係部2は、電気器具群9の電力需要が、燃料電池1だけの電力では不足する場合、燃料電池1の電力を供給するととともに商用電力を電気器具群9に対して供給する。
【0026】
浴槽3は、図略の補給路を介して水道管に接続されており、一人用として十分な容積、例えば200リットルの容積を有するものである。浴槽3内の水は、循環路33内を流れる媒体温度例えば60℃の水により、風呂温度として好ましい例えば40℃に昇温される。制御部10は、浴槽3内の水の温度を所定の温度に保つよう燃料電池1及び昇温用ヒータ5を制御する。このため、浴槽3は、いわゆる24時間風呂として機能する。浴槽3内の水の設定温度は、循環路33中の浴槽3を挟む位置には分枝路32が設けてあり、この分枝路32の流量を分枝路32中に設置されたバルブ31により調節することで決められる。すなわち、バルブ31を調節し、分枝路32を流れる温水の量を増やすと、浴槽3側へ流れる温水の量が減り、浴槽3内の水の温度が低下する。また、バルブ31を調節し、分枝路32を流れる水の量を減らすと、浴槽3側へ流れる水の量が増し、浴槽3内の水が昇温する。なお、バルブ31は、図略のアクチュエータにより回転量が調整されるようになっており、制御部10からの制御信号により回転量が調節されて浴槽3内の温度が設定される。
【0027】
浴槽3は浄化用循環路34を有する。図3は、浄化用循環路34中に介設された浄化機器の構成を示す図である。浴槽3の水は、浴槽内の水を浄化用循環路34の出口に設置されたプレフィルタにより一次浄化される。プレフィルタを通過した水は、ポンプ342を経て、殺菌装置343へ流入される。殺菌装置343は水に含まれる大腸菌などを消毒する。殺菌された温水は、ろ過タンク344によりろ過されて2次浄化される。2次浄化された水は再び浴槽3へ流れる。これにより浴槽3内の水は常に清潔に保たれる。
【0028】
熱交換器4は、燃料電池1の稼動により生じた熱(排熱)により循環路33内を流れる水を昇温して、所定温度の温水を生成する。生成された温水はヒータ5及び高温水貯湯層6へ流れる。本実施形態では、熱交換器4として公知のプレートフィンタイプのものが使用される。また、本実施形態では、熱交換器4により水は60℃に昇温される。
【0029】
ヒータ5は、熱交換器4による熱交換の不足分を補償するために循環路33の水を加熱するものであり、循環路33中の熱交換器4と浴槽3との間に設置されている。ヒータ5は、循環路33の水が所定温度例えば60℃以下になると後述する制御部10の制御信号により作動し、循環路33の水を加熱する。本実施形態では、ヒータ5には系統連係部2の出力側と電気的に接続されており(図略)、燃料電池1の電力及び商用電力が供給される。
【0030】
高温水貯湯漕6は、循環路33の水を加熱するヒータ61を内蔵し、ヒータ61で加熱された水を貯留するものである。ヒータ61は、系統連係部2の出力側に電気的に接続されており、系統連係部2から電力が供給されて、熱交換器4から出力された60℃の水を所定温度たとえば90℃に昇温する。高温水貯湯漕6には、図略のサーモスタットが取り付けられており、水が所定温度値まで下がると加熱ヒータがオンされ、水の温度が90℃に達すると、ヒータ61がオフにされ、高温水貯湯漕6内の温水を常に90℃に保つ。高温水貯湯槽6内の温水は、例えば洗面所や台所などの温水利用器具8bで用いられる。
【0031】
放熱器7は、循環路33の水が不必要に高くなるのを防ぐために、浴槽3の水を加熱した循環路33の水を所定の温度に降温する。降温された温水は熱交換器4に戻り、燃料電池1の稼働熱により所定温度、例えば60℃に昇温される。
【0032】
電気器具群9は、例えば、テレビ、エアコン、冷蔵庫、及び照明の家庭用電気器具を含む。各電気器具は系統連係部2の出力側と電気的に接続されており、燃料電池1の電力あるいは商用電力が供給される。
【0033】
床暖房器具8aは、浴槽3と放熱器7との間に併設された配管81中に設置されている。循環路33内の水の一部は、配管81内を流れるため、床暖房器具8aは床を暖めることができる。配管81内を流れた水は、再び、循環路33上放熱器7の上流側で、循環路33内の水と合流する。
【0034】
温水利用器具8bは、例えば台所、洗面所を含む。温水利用器具8bは、高温水循環路35上高温水貯湯漕6の下流側の位置にそれぞれ配管36を介して接続されている。また、配管36は、循環路33上浴槽3の下流側に逆止弁37を介して接続されている。このため、温水利用器具8bは、循環路33内の水及び高温水循環路35内の所定温度例えば90℃の温水が供給される。逆止弁37は、高温水循環路35内の水及び配管36内の水が循環路33へ逆流するのを防ぐ。
【0035】
制御部10は、燃料電池発電システム全体を制御する。制御部10は、燃料電池1の稼動を制御する燃料電池制御部111、ヒータ5の作動を制御するヒータ制御部112、燃料電池1の稼動時間などを管理するタイマ113、バルブ31を調節するバルブ制御部114、循環路33の水の流量を制御するポンプ制御部115、及び浴槽3の水の保温時間帯を指定する保温時間指定部116を備える。
【0036】
燃料電池制御部111は、浴槽3内の水の温度が所定の温度例えば40℃になるように燃料電池1の発電又は電気出力を制御するとともに、電気器具群9の電力需要に応じて燃料電池1の稼動を制御する。燃料電池制御部111は、必要に応じて燃料電池1の稼働を停止させる。燃料電池制御部111は、後述する保温時間指定部116により浴槽3の水の保温時間帯が設定されると、電気器具群9に必要な電力を供給しつつ、保温開始時までに浴槽3の水の温度が所定の温度となるように燃料電池1の稼動を制御する。燃料電池制御部111は、温度制御を浴槽3内の温度センサ(図略)により行う。
【0037】
ヒータ制御部112は、燃料電池1の排熱による熱交換だけでは浴槽3の水の温度を所定温度に保持できない場合に、熱交換の不足分を補償するためにヒータ5の作動を制御する。
【0038】
バルブ制御部114は、バルブ31の開度を調節信号を出力して、分枝路32内に流れる流量を制御する。
【0039】
ポンプ制御部115は、循環路33上のポンプの駆動量を調整する信号を出力し循環路33内の水の流量を制御する。
【0040】
保温時間指定部116は、ユーザによる図略の操作部から入力を受け付けて、浴槽3の水を保温管理する時間を指定する。時間の指定は、例えば保温開始時間、保温終了時間、及び後述する第1〜第3運用形態を指定できる。
【0041】
次に、燃料電池発電システムの動作について説明する。本実施形態では燃料電池発電システムの運用形態として、3つの形態を採用する。第1運用形態は常時浴槽3の水温を一定に保つ形態であり、第2運用形態は朝から夜間にかけて浴槽3の水温を一定に保つ形態であり、第3運用形態は夜間のみ浴槽3の水温を一定に保つ形態である。なお、本実施形態では夜間とは18時から23時ごろをいう。
【0042】
(第1運用形態)
第1運用形態は、浴槽3に蓄えられた温水を常時一定温度に保ち、常時24時間風呂状態とするものである。一般家庭では、深夜は電力負荷が低いため、燃料電池1の負荷を例えば0.5kW程度に下げる。なお、本実施形態では、深夜とは24時から翌朝6時ごろをいう。このため、24時間風呂に供給できる熱量は少なくなり、風呂の温度は低下する。そこで、ヒータ5により浴槽3の温水の温度を40℃に安定させ、24時間風呂として機能するシステムとする。
【0043】
図4は、第1運用形態の燃料電池1の負荷及び浴槽3の温水の温度と時間との関係を示したものであり、縦軸は燃料電池1の発電量及び浴槽3の温水の温度を、横軸は時間を示す。6時から23時までの時間帯は燃料電池1の発電量を1.5kWの負荷で稼動させる。燃料電池1の負荷を1.5kWとしたため、浴槽3の水は、十分な熱量を得ることができ、ヒータ5を使用しなくとも、燃料電池1の排熱により常時40℃に保たれる。
【0044】
23時から翌朝6時までは、燃料電池制御部111は、電力需要が低いため燃料電池1の負荷を0.5kWに低下させる。このため、浴槽3の水は、燃料電池1の排熱が減少し、供給される熱量よりも放熱の方が大きくなり温度が低下する。この温度低下を防止するために、ヒータ制御部112は、ヒータ5を発熱させて浴槽3の水に対して熱量を供給し温度低下を防止する。ヒータ5の発熱は、燃料電池1の電力を使用してもよいが、深夜電力が安いことに鑑みて、深夜電力を使用する。
【0045】
上記のように、燃料電池111及びヒータ制御部112が燃料電池1の負荷及びヒータ5の動作を制御して、浴槽3の温水を常時40℃に保つことができる。
【0046】
(第2運用形態)
第2運用形態は、昼間及び夜間時間帯(13時〜23時)に、浴槽3の水の温度を所定の温度に保つものである。図5は第2運用形態の燃料電池1の負荷及び浴槽3の水の温度と時間との関係を示したものであり、縦軸は燃料電池1の負荷及び浴槽3の水の温度を、横軸は時間を示している。図5の場合、保温時間指定部117により、保温開始時間を13時に設定したとする。
【0047】
23時から翌朝6時までは電力需要が低いため燃料電池1を0.5kWの負荷で稼動させる。このため、浴槽3の水は、供給される熱量よりも放熱の方が大きくなり、温度が低下する。第2運用形態では、深夜は浴槽3の水を保温管理しない形態であるため、第1運用形態のように23時から翌朝6時までの時間帯はヒータ5を作動させない。したがって、浴槽3の温水の温度は漸次減少し6時の時点で最低温度となる。この最低温度は、冬場で10℃、夏場で20℃と予想される。
【0048】
6時になると13時までに浴槽3の水の温度を40℃にするために、燃料電池制御部111は、燃料電池1の負荷を電力需要を鑑みて例えば750wの負荷で稼動させる。図8は、家庭内の電力需要及び温水需要を示したグラフであり、▲1▼は電力需要、▲2▼は温水需要を示している。グラフ▲1▼から分かるように6時から18時までは電力需要が1kW以下であり電力負荷は低い。燃料電池1を750wの負荷で稼動させると13時までに浴槽3の水の温度を40℃に昇温することができない。そこで、9時になると、燃料電池制御部111は、燃料電池1を1.5kWの負荷で稼動させるとともに、ヒータ制御部112は、ヒータ5を作動させる。ヒータ制御部112は、深夜時間帯ではないので経済性を考慮してヒータ5を燃料電池1の電力で作動させる。これにより13時には、浴槽3の水は40℃に昇温され、入浴できる状態となる。
【0049】
(第3運用形態)
第3運用形態は、夜間時間帯(18時〜23時)浴槽3の水を所定温度に保つ運用形態である。一般家庭では、深夜は電力需要が0.5kW程度と低いため、経済性を考慮して、燃料電池1の稼働を停止し、深夜電力により家庭内の電力需要をまかうケースが考えられる。図6は、第3運用形態の燃料電池1の負荷及び浴槽3の水の温度と時間との関係を示したグラフである。縦軸は燃料電池1の負荷及び浴槽3の水の温度を示し、横軸は時間を示している。
【0050】
図6では、18時〜23時まで浴槽の水を40℃に保温する。燃料電池制御部111は、家庭内の電力需要を全て深夜電力でまかなうため、23時になると燃料電池1の稼働を停止させる。このため、浴槽3の水の温度は、排熱による熱供給がされなくなり漸次低下する。浴槽3の水は、翌朝6時になると15℃〜20℃程度に低下する。燃料電池制御部111は、燃料電池1の電力により電気器具群9へ電力を供給するため、翌朝6時になると燃料電池1の稼働を開始させる。燃料電池制御部111は、家庭内の電力需要を考慮して、燃料電池1を例えば250Wの負荷で稼動させる。浴槽3の水の温度は、燃料電池1の排熱により昇温されるが、燃料電池1が250Wの負荷で稼動されているため、ほとんど昇温されない。燃料電池制御部111は、15時になると保温開始時間である18時までに浴槽3の水を40℃に昇温するため燃料電池1を1.5kWの負荷で稼動させる。しかし、燃料電池1の排熱のみでは、保温開始時間である18時までに浴槽3の水の温度を40℃にすることはできない。そこで、ヒータ制御部112は、ヒータ5を作動させ、循環路33内の水を昇温させる。このため、浴槽3内の水の温度は急速に昇温され、18時には40℃になる。ヒータ制御部112は、保温開始時間である18時になると浴槽3の水の温度が40℃となり循環路33内の水を保温は燃料電池1の排熱で十分であるため、ヒータ5の作動を停止させる。
【0051】
燃料電池制御部111は、燃料電池1を23時まで1.5kWの負荷で稼働させるため、浴槽3の水の温度は、保温終了時間である23時までは40℃を維持する。そして、燃料電池制御部111は、保温終了時間である23時になると燃料電池1の稼働を停止させる。このように、第3運用形態によれば、夜の時間帯に浴槽3の水が保温され、入浴できる状態となる。
【0052】
次に、本実施形態に係る24時間風呂の経済的効果について説明する。図7は、蓄熱漕付24時間風呂、従来型24時間風呂、灯油熱源風呂、ガス熱源風呂、及びLPG熱源風呂の年間ランニングコストを示したグラフであり、縦軸は年間ランニングコストを示している。
【0053】
本実施形態に係る24時間風呂と従来型24時間風呂との比較
水道代は本実施形態に係る24時間風呂(以下、本風呂という。)と蓄熱漕付24時間風呂とも3,800円であり同じである。本風呂は、燃料電池1の排熱により保温することができるため、本風呂の電気代は、深夜に燃料電池1の発電量を低下させたときの排熱の減少分を補償するために作動させるヒータ5に費やされる深夜電力代のみとなる。深夜の燃料電池1を0.5kWの負荷で稼働させた場合、必要な深夜電力の費用は、夏、冬に分けてそれぞれ算出した以下の式で示すように、数1から夏期には4890円、数2から冬期には1840円となり年間で6100円となる。
【0054】
【数1】
(490kcal/h−240/2kcal/h)÷0.9×8h×365日÷2÷860kcal/kW×7円/kWh=4890円/年
【0055】
【数2】
(275kcal/h−272/2kcal/h)÷0.9×8h×365日÷2÷860kcal/kW×7円/kWh=1840円
なお、上記各式は、ヒータ5の効率を0.9とした。
【0056】
この結果に水道代3,800円及び補助燃料代22,800円を加算すると、本風呂の年間ランニングコストは、33,000円と概算できる。したがって、本風呂は、蓄熱漕付24時間風呂及び従来型24時間風呂に比べ年間ランニングコストがはるかに安くなることが分かる。また、図7から分かるように、ガス熱源風呂と比較して年間70,000円のコストを削減することができる。年間70,000円のコスト削減は、5年間で350万円となり、例え燃料電池1で発電する電気料金が電力会社の購買電気料金と同等で、電気料金のコストメリットがないと仮定しても、5年間で燃料電池1の設備費(現在、市販が計画されている価格は1台30〜40万円)を回収できる。
【0057】
なお、本発明は、以下の実施形態を採用することができる。
【0058】
(1)本実施形態では、燃料電池1として1.5kWの電力を発電できるものを採用したが、本発明はこれに限らず2〜3kWの電力を発電できるものを採用してもよい。
【0059】
(2)本実施形態では、制御部10は、放熱器7の制御を行っていないが、放熱器7の近傍に例えば冷却ファンを取りつけ、制御部10がこのファンの回転量を制御することで、循環路33内の水の降温量を調節してもよい。
【0060】
(3)本実施形態では、燃料電池1に供給するガスを都市ガスとしているが、本発明はこれに限らず、例えばプロパンガス等であってもよい。
【0061】
(4)本実施形態では、熱交換器4として、プレートフィンタイプのものを使用したが、本発明はこれに限られず、例えば渦巻式熱交換器、多管式熱交換器などを使用してもよい。
【0062】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、燃料電池1の排熱により浴槽3内の水を所定温度に保ちエネルギーの有効利用ができるとともに、排熱を熱交換して生じた所定温度の水を蓄える貯湯漕を設置する必要がなくなり、貯湯漕の設置スペース問題を解決することができる。また、請求項1記載の発明によれば、熱交換された水の温度より高温の水を供給することができる。
【0063】
請求項2記載の発明によれば、商用電力により加熱器を作動することができる。
【0064】
請求項3記載の発明によれば、燃料電池の電力により加熱器を作動することができる。
【0065】
請求項4記載の発明によれば、時間帯を指定して浴槽内の水の温度を所定温度に保温することができる。
【0066】
請求項5記載の発明によれば、浴槽3の水を常時所定温度に保ちつつ、深夜時間帯における燃料電池の不必要な発電を防止することができる。
【0067】
請求項6記載の発明によれば、昼の保温開始時までに、浴槽の水を所定の温度に確実に昇温することができるとともに、燃料電池による深夜時間帯の不必要な発電を防止することができる。
【0068】
請求項7記載の発明によれば、夜の保温開始時までに、浴槽の水を所定温度に確実に昇温することができるとともに、燃料電池による深夜時間帯の不必要な発電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 燃料電池発電システムの一実施形態を示した図である。
【図2】 燃料電池の内部構成の一例を示した図である。
【図3】 浄化用循環路及び浄化用循環路上に配置された各種浄化機器の構成を示した図である。
【図4】 第1運用形態の燃料電池の発電量及び浴槽の温水の温度と時間との関係を示した図である。
【図5】 第2運用形態の燃料電池の発電量及び浴槽の温水の温度と時間との関係を示した図である。
【図6】 第3運用形態の燃料電池の発電量及び浴槽の温水の温度と時間との関係を示した図である。
【図7】 蓄熱漕付24時間風呂、従来型24時間風呂、灯油熱源風呂、ガス熱源風呂、及びLPG熱源風呂の年間ランニングコストを示したグラフである。
【図8】 家庭内の電力需要及び温水需要を示したグラフである。
【図9】 燃料電池発電システムの概略を示したブロック構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 系統連係部
3 浴槽
31 バルブ
32 分枝路
33 循環路
34 浄化用循環路
35 高温水循環路
36 配管
37 逆止弁
4 熱交換器
5 ヒータ
6 高温水貯湯漕
61 ヒータ
7 放熱器
8a 床暖房器具
9 電気器具群
10 制御部
111 燃料電池制御部
112 ヒータ制御部
113 タイマ
114 バルブ制御部
115 ポンプ制御部
116 保温時間指定部

Claims (7)

  1. 系統連係部を介して商用電力線に接続された燃料電池と、
    浴槽に貯留された水と熱交換を行うべく槽内を経由する循環路を有する配水管の途中に設けられ、前記燃料電池の稼動時に生じる熱で配水管を循環する水を昇温する熱交換器と、
    前記配水管の途中に設けられ、配水管を循環する水を加熱する加熱器と、
    熱交換器を介して浴槽内の水を所定の温度に調節するべく前記燃料電池の稼動を制御する第1の制御手段と、
    前記熱交換の不足分を補償するべく加熱器を作動させる第2の制御手段と、
    前記配水管の途中に付設された高温水循環路中に設置され、前記熱交換器により昇温された温水を更に昇温する高温加熱器と、
    前記高温加熱器により発熱された温水を貯留する高温水貯湯漕とを備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 前記第2の制御手段は商用電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム。
  3. 前記第2の制御手段は燃料電池からの電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム。
  4. 浴槽内の水を時間帯を指定して保温する保温時間指定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池を低負荷で稼動させ、
    前記第2の制御手段は、深夜時間帯に前記加熱器に対して商用電力を供給することを特徴とする請求項記載の燃料電池発電システム。
  6. 前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池を低負荷で稼動させた後、保温開始時までの所定時間、前記燃料電池の負荷を上昇させていき、
    前記第2の制御手段は、保温開始時までの所定時間、前記燃料電池からの電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする請求項記載の燃料電池発電システム。
  7. 前記第1の制御手段は、深夜時間帯に前記燃料電池の稼動を停止させ、保温開始時までの所定時間、前記燃料電池の負荷を上昇させていき、
    前記第2の制御手段は、保温開始時までの所定時間、前記燃料電池の電力で前記加熱器を作動させることを特徴とする請求項記載の燃料電池発電システム。
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