JP5177121B2 - 機械部品の補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐エロージョン性の要求される機械部品である例えば蒸気タービン部品の補修方法に関する。
水滴を含む湿り蒸気などが高速で衝突する場合などに部材が侵食されるエロージョンは、蒸気タービンの翼、ポンプの配管、流体の噴射部品等で重要な問題であり、ろう付けや肉盛溶接、溶射などにより耐エロージョン性の高い材料を設置するなど、様々な取り組みがなされてきている。
しかしながら、前記のような取り組みにもかかわらず、完全にエロージョンを抑えることはできずに、長期間の使用に伴って侵食が進行し、補修の必要が生じる。
例えばエロージョン対策としてステライトシールド板をろう付けして使用している場合、補修としてステライト板の交換するが、銀ろうによる再溶着あるいは再溶接の場合には、動翼の熱変形および材料強度の低下がさらに大きくなるため、後工程が必要となるなど、補修作業に多大な工数を要するため、より簡便な補修方法が求められている。
特開昭59-110778号公報には、タービン羽根の浸食部の補修方法として、浸食部周辺と同材質から成る粉状金属を浸食部に充填し、レーザビームにより溶融してタービン羽根と接着一体化させる方法が開示されている。
特開2007-182776号公報には、Cr−C溶射エロージョンが発生した場合に、耐食皮膜の除去範囲を最小限にとどめて部分的に補修することができるタービン翼の補修方法が開示されている。
特開平9-68002公報には、動翼部材に凹部を設け、エロージョン対策で設けてあるステライトに凸部を設け、損傷が大きくなったためステライトを交換する際に、常温硬化型接着剤で凹部と凸部を固着させることで、熱変形が起こらず、また接合部の残留応力による材料強度の低下が無く、信頼性が向上することが開示されている。
特開昭59-110778号公報 特開2007-182776号公報 特開平9-68002公報
以上のように、耐エロージョン性機械部品の補修方法として、さまざまな方法が試みられているが、Si含有表面層を有する耐エロージョン性機械部品に適用できる方法は見つかっておらず、Si含有表面層を有する耐エロージョン性機械部品に損傷が見つかった場合は、新品と交換せざるを得ないのが、実情であった。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、耐エロージョン性機械部品にエロージョンが発生した場合に、簡便に補修できる方法を提供することを目的としている。
本発明に係る耐エロージョン性機械部品の補修方法は、耐エロージョン性が求められる蒸気タービン翼の先端前縁部に形成された、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成された部位に対し、該Si含有鉄基金属組織厚さ未満の深さのエロージョン部が発生した機械部品の補修方法において、該エロージョン部にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を、上記Si含有鉄基金属組織厚さ以下の厚さで再形成させる時間分、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させるものである。

本発明によれば、新しい翼と交換することなく、翼の浸食部を簡便に、短期間で補修して再使用することができる。
放電表面処理システムの説明図である。 放電表面処理における電圧、電流波形を示した図である。 放電現象を表した図である。 電極の抵抗値R、抵抗率ρ、面積S、長さLの関係を示す図である。 放電を検出できない場合の電流波形を示した図である。 Siを含む表面層の分析結果を示す図である。 耐エロージョンの評価試験の概略図である。 ステンレス基材の評価試験結果を示す図である。 ステライトの評価試験結果を示す図である。 TiC皮膜の評価試験結果を示す図である。 Si表面層の評価試験結果を示す図である。 Si表面層の評価試験結果を示す図である。 Si表面層の条件一覧表である。 Si表面層の表面写真である。 Si表面層の断面写真である。 Si表面層が破壊された様子を示した写真である。 ステライトのエロージョンの様子を示した写真である。 Si表面層の耐エロージョン特性図である。 Si表面層にクラックが進展した写真である。 Si表面層の耐エロージョン特性図である。 Si表面層の耐エロージョン特性図である。 Si表面層のX線回折像である。 蒸気タービンの動翼に対してSi表面層を形成する様子を示した図である。 蒸気タービンの動翼に対してSi表面層を形成する様子を示した図である。 蒸気タービンの動翼に対してSi表面層を形成する様子を示した図である。 蒸気タービン動翼前縁部の補修方法による補修の各過程におけるタービン動翼の断面を表す断面概略図である。 蒸気タービン動翼前縁部の補修方法による補修の各過程におけるタービン動翼の断面を表す断面概略図である。 蒸気タービン動翼前縁部の補修方法による補修の各過程におけるタービン動翼の断面を表す断面概略図である。 蒸気タービン動翼前縁部の補修方法による補修の各過程におけるタービン動翼の断面を表す断面概略図である。 Si表面層に発生したエロージョンを補修した様子を示した写真である。
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
実施の形態1.
Si電極と部材との間にパルス状の放電を発生させ、部材表面に耐エロージョン性の機能を有する組織を形成する放電表面処理方法の概略を図1に示す。
図において、1は固体形状の金属シリコン(Si)電極、2は蒸気タービン翼などの処理対象である部材、3は加工液である油、4は直流電源、5は直流電源4の電圧をSi電極1と部材2との間に印加する(あるいは停止する)ためのスイッチング素子、6は電流値を制御するための電流制限抵抗、7はスイッチング素子5のオンオフを制御するための制御回路、8はSi電極1と部材2の間の電圧を検出し放電が発生したことを検出するための放電検出回路である。なお、蒸気タービン翼などの処理対象である部材2は、例えばSUS630やSUS410J1、SUS304、SUS316といった鉄基の合金である。
次に動作について電圧、電流波形を示した図2を用いて説明する。
制御回路7によりスイッチング素子5をオンすることで、Si電極1と部材2との間に電圧が印加される。図示しない電極送り機構により、Si電極1と部材2との間の極間距離は適切な距離(放電が発生する距離)に制御されており、しばらくするとSi電極1と部材2との間に放電が発生する。予め電流パルスの電流値ieやパルス幅te(放電持続時間)や放電休止時間t0(電圧を印加しない時間)は設定しておき、制御回路7及び電流制限抵抗6により決定される。
放電が発生すると、放電検出回路8により、Si電極1と部材2との間の電圧の低下とタイミングから放電の発生を検出し、放電発生と検出された時から所定の時間(パルス幅te)後に制御回路7によりスイッチング素子5をオフする。
スイッチング素子5をオフした時から所定の時間(休止時間t0)後に再び制御回路7によりスイッチング素子5をオンする。
以上の動作を繰り返し行うことで連続して設定した電流波形の放電を発生させることができる。
尚、図1では、スイッチング素子をトランジスタとして描画しているが電圧の印加を制御できる素子であれば他のものでもよい。また、電流値の制御を抵抗器で行っているように描画しているが、電流値が制御できれば他の方法でもよいことはいうまでない。
また、図1の説明では、電流パルスの波形を矩形波としているが、他の波形でももちろんよい。電流パルスの形により電極をより多く消耗させてSi材料を多く供給したり、電極の消耗を減らしたりすることで材料を有効に使用するなどのことができるが、本明細書の中では詳細は論じない。
以上のように連続してSi電極1と部材2との間に放電を発生させることで、部材2の表面にSiを多く含んだ層を形成することができる。
しかし安定して本目的にかなう良質のSi含有層を形成するためにはどのようなSiでもよいわけではなく、また、図1の回路にも必要な条件がある。このことについて、後ほど詳細に説明する。
まず、Si電極及び回路の条件について説明する前に、放電表面処理に関する従来技術と本実施の形態との差異を明確にするために、放電加工による皮膜成形技術について説明する。
シリコンを放電加工の電極として用い、被加工物表面にアモルファス合金層若しくは微細な結晶構造をもつ高耐蝕、高耐熱特性の表面層を形成する手法が日本国特公平5−13765号公報に開示されている。
該公報に開示されたSi電極での放電加工は、電圧印加時間を3μs、休止時間を2μsと固定した周期的に電圧をオンオフする回路方式により、ピーク値Ipが1Aのエネルギを供給する手法である。
そのため、電圧を印加している3μsの期間において、放電が電圧パルスのどこで発生するかは全て異なり、実際の放電継続時間である電流が流れる電流パルス幅が逐次変化し、安定した皮膜形成は難しくなる。
例えば、図3に例示する如く、周期的に電圧をオンオフする回路方式の電源では、電圧波形、電流波形が変化し、パルス毎のエネルギが異なる現象が生じ、電極材料であるSiを部材に供給する量、および、部材の表面を溶融させ表面層を作るエネルギがばらばらになるため、安定した処理が困難になる。
なお、図では、放電の電圧は一定、電流も一定としているが、実際には電圧は変動するし、電流も変動する。また、Siのような高抵抗の材料を電極とした場合には、Siでの電圧降下分も含んだ電圧になるため、電圧は高く、また、変動も大きくなる。
次に、該公報が上述のように周期的に電圧をオンオフしなければならなかった理由について説明する。
該公報では、固有抵抗値0.01Ωcm程度の高抵抗材料であるシリコンを用い、非常に小さな電流パルスの条件を使用している。
そのため、放電のアーク電位を検出することで放電発生を検出する従来の制御方式では、電極が高抵抗材料である場合の放電発生時には、Si電極に電流が流れた場合の電圧降下の電圧が放電のアーク電位に加わった値となり、電圧降下の電圧が高い場合には、放電が発生しているにもかかわらず、回路は放電が発生したと認識できないからである。
また、従来の放電加工によるシリコン皮膜は、処理が大きくばらつき、安定してできないといった問題もあった。
この問題もSiが高抵抗であることに起因している。
例えば、図4に示すように電極の抵抗値Rは抵抗率をρ、面積をS、長さをLとすると、R=ρ・L/Sと表される。
しかし電極への給電の方法、すなわち、電極の保持方法により、ρが大きい場合にはRの値は大きくばらつくことになってしまう。
従来では、ρ=0.01Ωcmのシリコンを電極として使用しているが、これくらいの高抵抗の材料の場合には、無条件で処理ができるわけではない。例えば、Si電極が長く、一方の端をつかんで給電する場合には、電極が長い場合には、電極の抵抗が高く、短くなるに従い抵抗が低くなる。電極が長く抵抗が高い場合には、上述のように放電を検出できず、異常なパルスが発生する確率も高くなるし、異常が発生しない場合でも抵抗が高いため、放電の電流値が低くなる。
発明者らの研究では、ρ=0.01Ωcm程度の抵抗値のシリコンを電極として使用する場合、電極長さが数10mm程度以上になると放電が発生した場合の電流による電極での電圧降下が大きくなり異常な放電が発生し正常な表面層の形成が困難であったとなる場合があった。
また、このような異常な放電が起きる条件は、ほぼ、給電位置と放電の位置、すなわち、電極の長さによって決まり、電極の面積(太さ)にはあまり関係ないことがわかった。
これは、電流が電極内を流れる際に電極の断面全体を均一に流れるのではなく、ある細い経路を流れるからであると推測できる。したがって、0.01Ωcm以上の抵抗率のシリコンを電極として用いても放電が発生する位置と給電点を近くすれば安定した放電を発生させることは可能になる。例えば、1mm程度の板状のシリコンを金属に接合して給電すれば、抵抗値が0.05Ωcm程度でも安定した放電は可能であった。しかし、0.01Ωcmの電極でも数10mm程度以上、例えば100mm程度の長さになると、異常な放電が発生する場合があり、安定した処理は困難であった。
以上の議論のように発明者らの実験から以下のことが明らかとなった。
・シリコンを電極として油中でのパルス放電を利用して部材の表面にSiを含む表面層を、工業的に使用に耐えるように10μm程度の厚みで高速に形成するためには、抵抗の低いSiを用い、図1、図2に示したような放電のパルス幅(放電電流パルス)を制御(ほぼ同じパルス幅にそろえる)する方式の回路を使用しなければならない。
・シリコンを電極として部材表面に10μm程度の表面層を形成するためには、抵抗値(比抵抗)は低い方がよい。工業的な実用を考慮し、電極の長さが100mm程度以上でも使用する場合を考えるとρが0.005Ωcm以下であることが望ましい。Siの抵抗値を下げるには、他の元素をドーピングするなど、いわゆる不純物の濃度を増せばよい。
・ρが0.005Ωcm以上であっても、給電点と放電位置が近い場合には、安定した処理が可能である。その際の指標は、ρが0.005Ωcm以下の場合も含めて以下のようにすればよい。
すなわち、極間に印加する電圧が低下したことにより放電が発生したと認識し、その放電が発生したと認識した時点から所定の時間(パルス幅te)経過した後に電圧の印加を停止(すなわち放電を停止)させる電源により、Siを電極として部材表面にSiを含む表面層を形成する際に、放電が発生した際の抵抗体であるSi電極での電圧降下を含んだ極間電圧が、放電検出レベルよりも低くなる状態で処理を行えばよい。
一般的にアークの電位は25V〜30V程度であるが、放電検出レベルの電圧は、電源電圧よりも低く、アークの電位よりも高く設定すればよい。しかし、放電検出レベルを低く設定すれば、Siの抵抗値は低くしなければ放電が発生しても放電が発生したと認識できず、図5に示したような異常な長いパルスが生じてしまう危険が増える。
放電検出レベルを高く設定すれば、Siの抵抗がやや高くても放電が発生した場合には放電検出レベルを下回りやすくなる。すなわち、Siの抵抗値が低い場合には、電極が長くともよく、Siの抵抗値が高い場合には、Siの長さを短くして、放電が発生した場合の極間電圧が放電検出レベルよりも低くなるようにすればよい。放電検出レベルは、電源電圧よりも低く、アークの電位よりも高く設定すればよいが、以上の説明から、電源電圧よりもわずかに低いレベルに設定するのがよい。
発明者らの実験では、電源電圧よりも10V〜30V程度低い値に設定することが実用上もっとも汎用性があることがわかった。より厳密には、10V〜20V程度電源電圧よりも低い値とするのが使用できるSiにも幅ができて都合がよかった。
以上のような条件を満たすことで、高抵抗材料であるSiを電極として用いて、自在な放電パルスを安定して発生させることができ、Siを含む表面層を部材に形成することができる。
さて、以上のようなSiを含む表面層ができるようになり、その性質を調べたところ以下のようなことがわかってきた。
図6はSiを含む表面層の分析結果である。上段左写真がSi表面層断面のSEM写真、上段中がSiの面分析結果、上段右はCrの面分析結果、下段左はFeの面分析結果、下段右(中)はNiの面分析結果である。
また、この結果からある程度の厚みがある表面層になっているが、Si表面層はSiが母材の上にのっているのではなく、Siが母材と一体化しており、母材にSiが高濃度で浸透したような状態の表面層になっていることがわかる。この表面層はSiの含有量を増した鉄基金属組織であり、被膜という表現は適切ではないため、以下簡単のため、Si表面層と呼ぶことにする。なお、この表面層は、成分分析により母材よりわずかでもSi量が増加した部分を、表面層と定義することとする。
このような状態であるので、表面層は他の表面処理方法とは異なり被膜が剥離することはない。この表面層について調べた結果、ある条件を満たす場合には極めて高い耐エロージョン性があることがわかった。エロージョンとは、部材に水などがあたり浸食する現象であり、水や蒸気の通る配管部品、あるいは、蒸気タービンの動翼などの故障の原因となる現象である。耐エロージョンのための技術としては、前述のように様々な先行技術があるが、それぞれが問題を有している。
ここでまず、所定の条件を満たすSi表面層の高い耐エロージョン性を示す実験結果について説明する。所定の条件については後述する。
本実施の形態の耐エロージョン性能について以下に試験結果を説明する。
図7は耐エロージョンの評価として試験片にウォータージェットを当てて浸食の様子を比較した試験の概略である。
ウォータージェットを200MPaの圧力で当てた。試験片としては、1)ステンレス基材、2)ステライト(一般的に、耐エロージョン用途に使用される材料)、3)放電によるTiC皮膜、4)本発明によるSiの多い表面層をステンレスに形成したもの、の4種類を使用した。
3)の皮膜は、国際公開番号WO01/005545に開示されている方法により形成したTiC皮膜であり、高い硬さを持っている被膜である。
それぞれの試験片に10秒間ウォータージェットを当て、試験片の浸食をレーザー顕微鏡により測定した。
図8は1)の結果、図9は2)の結果、図10は3)の結果、図11は4)すなわち本実施の形態による表面層の場合の結果である。
図8に示される如く、ステンレス基材では10秒間ウォータージェットを当てた場合に約100μmの深さまで浸食されている。
それに対し、図9に示される如く、ステライト材では、浸食の様子が異なるものの、深さは60〜70μm程度であり、ステライト材での耐エロージョン性がある程度確認できた。
図10は、硬さの非常に高いTiC被膜の結果であるが、約100μmの深さまで浸食されており、耐エロージョンが表面の硬さだけによるのではないことがわかる結果となった。
一方、図11は本実施の形態によるSiの表面層の場合の結果であるが、ほとんど浸食されていないことがわかる。
この表面層の硬さは約800HV程度(表面層の厚みが薄いため荷重10gとしてマイクロビッカース硬さ計で測定した。硬さの範囲は、おおよそ600〜1100Hvの範囲であった)であり、1)に示されるステンレス基材(350Hv程度)や、2)に示されるステライト材(420Hv程度)に比べると高いものの、3)に示されるTiC皮膜(約1500Hv)に比べると硬さは低い。
すなわち、耐エロージョン性は硬さだけでなく、他の性質も合わせた複合的な効果であることがわかる。
図10では、硬い被膜であるにもかかわらず、えぐり取られたようにみえることから、表面だけ硬い場合でも表面に靭性がない薄い被膜の場合にはウォータージェットの衝撃で破壊されてしまうと推察される。
それに対して本実施の形態における4)の被膜は別の試験により靭性があり、変形にも耐えられる表面になっており、その点が高い耐エロージョン性を示す原因であると推察している。実験的には、薄板表面にTiC皮膜とSi表面層を形成し、折り曲げ試験を行なった場合、TiCにはクラックがすぐに入るが、Si表面層には入りにくかった。
4)の表面層は厚さ5μm程度の厚さで試験しているが、被膜が薄い場合にはやはり強度が十分ではなく浸食がおきやすくなることが確認された。
先行技術である日本国特公平5−13765号公報では、Siの被膜について研究され、高い耐食性は明らかとされたにもかかわらず耐エロージョン性については発見できなかったのは表面層を厚くできなかったことが大きな原因の1つであると推察できる。
耐エロージョンの場合には、水などのエロージョンの原因となる物質の衝突する速度にもよるが、5μm以上の表面層のあることが望ましい。もちろん衝突する物質の速度が遅い場合には2〜3μm以上であれば十分効果を発揮する場合もある。
4)に示されるSiの表面層に対する試験ではほとんど浸食が確認できなかったので、さらにSiの表面層に対する試験を延長して60秒間連続してウォータージェットを当てた結果を図12に示す。
ウォータージェットが当たった場所が少し磨かれた状態になり判別はできるが、ほとんど磨耗はしていないことがわかる。
以上より、本実施の形態の表面層の高い耐エロージョン性が確認できた。
以上の結果を踏まえ、蒸気タービンの用途に適切な条件を見出すための実験を行なった。
図13に示した各条件での被膜にウォータージェットを当てて浸食の様子を調べた。
図13には、各処理条件に対し、その条件の放電パルスのエネルギに相当する値である放電パルスの電流値の時間積分の値(A・μs)(矩形波であれば、電流値ie×パルス幅te)、その処理条件でのSi表面層の厚み、Si表面層のクラックの有無を示している。
処理条件は、横軸に電流値ie、縦軸にパルス幅teとして、その値の矩形波の電流パルスを使用した。この試験に使用した基材はSUS630である。
Siはρ=0.01Ωcmのものを使用し、放電パルスが正常に発生する範囲のサイズの電極を作成し、試験を行なった。
図より、Si表面層の形成条件の1つとして、クラックの有無について見ることができる。クラックの有無は放電パルスのエネルギと相関が強く、放電パルスのエネルギ相当量である放電電流の時間積分値が80A・μs以下の範囲にあることがクラックのないSi表面層を形成するための条件であることがわかる。
もちろん加工条件によりクラックが入るか入らないかは、基材にも多少は影響を受ける。
例えばステンレス鋼と呼ばれる材料の中でも、SUS304のような固溶体である材料は比較的クラックが入りにくく、SUS630のような析出硬化型の材料では若干クラックが入りやすい傾向がある。蒸気タービンには一般的にSUS630等の析出硬化型のステンレス鋼が用いられるので、クラックの入らない望ましい範囲はSUS304のようなオーステナイト系のステンレス鋼よりは狭くなる。
図13より、Si表面層の形成条件の他の1つとしてSi表面層の厚みがある。
図13からわかるように、Si表面層の厚みも放電パルスのエネルギ相当量である放電電流の時間積分値と相関があり、放電電流の時間積分値が小さいと厚みが小さくなり、放電電流の時間積分値が大きいと厚みも大きくなることがわかる。
ここで言うところの厚みはすなわち放電のエネルギで溶融し、電極成分であるSiが進入した範囲のことを言っている。
熱の影響の範囲は放電パルスのエネルギの大きさ相当量である放電電流の時間積分値の大きさで決まるが、進入するSiの量は放電の発生回数も影響する。放電が少ない場合には当然のことながらSiが十分に進入できないので、Si表面層のSiの量は少なくなる。逆に十分以上に放電が発生してもSi表面層のSi量はある値で飽和し、それ以上は増加しなくなる。
Si量が少ない場合には、後述するようなSi表面層の効果は十分に得られなくなる場合がある。Si量は十分にSi表面層にSiが入った場合で、3〜11wt%であった。より安定して形成したSi表面層では6〜9wt%であった。ここで言うSi量は、エネルギ分散型X線分光分析法(EDX)により測定した値であり、測定条件は、加速電圧15.0kV、照射電流1.0nAである。またSi量は、表面層の中でほぼ最大の値を示した部分の数値である。
Si表面層のSi量は6〜9wt%が最適であり、この範囲では、処理した面が平滑であり、エロージョンの起点となるような面の荒れがほとんどない状態になる。Siが表面に入ることで、放電により溶融した基材材料と、電極のSiの材料が平滑に凝固することができる。Si量が少なくなると溶融した材料を平滑にする働きが少なくなり3wt%を下回ると、放電により溶融し、凝固した材料が固まる際の凹凸部がより目立つようになり、水滴などが衝突したときにダメージの起点になる部分ができ、耐エロージョン性が発揮できなくなることがわかった。
逆にSi量を多くするには、パルス幅teを長くすることが必要になり、パルス幅が長くなるとその条件により面の凹凸がやはり大きくなることがわかった。
Si量を11wt%以上にしようとすると面の凹凸が大きくやはりダメージの起点になる部分が増えることがわかった。
以上より、Si表面層のSi量は、3〜11wt%より望ましくは6〜9wt%であることがわかった。以上のような効果が得られる範囲のSi表面層では硬さが、600Hv〜1100Hvであった。
後述の段落0044項でも触れるが、本実施の形態により処理されたSi表面層はアモルファス構造を有しているため耐エロージョン性が高くなる。ただし、アモルファス構造を有しているだけでは耐エロージョン性の確保は不十分で、上述の通り、表面粗さも重要な要素となる。発明者らの検討により、本発明の耐エロージョン性と表面粗さの関係を調査した結果、表面粗さが小さくなるほど耐エロージョン性が高くなることがわかっている。蒸気タービンの翼の表面粗さは10〜20μmであることが知られている。そこで、Si表面層を形成させる基材の表面粗さと、その表面にSi量が3〜11wt%となるように形成したSi表面層の上述の耐エロージョン性評価を行ったところ、Rz(最大高さ)が20μm以下の場合に耐エロージョン性が良好であることが確認された。信頼性の観点では、Rz8μm以下であるとより好ましい。
説明が後になったが、表面粗さの測定方法は次の通りである。
測定装置はTaylorHobson製フォームタリサーフを用い、スタンダードのスタイラスで、測定長さを4.8mm、高域カットオプ長0.8mm、バンド幅比100:1、フィルタタイプをガウシアンとして測定した。測定した値はJISのB0601:2001に準拠した。
Si表面層のSi量が面の凹凸の性状に影響する点について述べたが、その一例を図14、図15に示す。
Si電極での同一処理条件での処理を時間毎に変えて行い、Si表面層の表面(図14)、及び、Si表面層の断面(図15)の様子を観察したものである。
すべての処理を処理条件一定で行なっているので、処理条件はすなわち発生した放電の回数の比とほぼ同じと考えてよい。すなわち、処理時間が短い場合には放電回数が少なく、処理時間が長い場合には放電の回数が多いことになる。(ただし、処理時間は休止時間などの条件により変わるため、同一放電パルス数を発生させるためには、休止時間が変化すれば必要な処理時間はかわる。)
図に示したSi表面層の処理時間は3分、4分、6分、8分である。図から以下のことが言える。
処理時間が短い場合(3分)ではまだ面の凹凸が多く、表面に小さな突起状の部分が存在するのが観察される。(図示は省略するが、より短いとさらに突起状の部分が多く、処理時間3分程度で突起が目立たなくなる。)
処理時間を増していくと、これらの凹凸、突起が少なくなり平滑になっていく様子がわかる。
一方、断面写真を見ると、処理時間3分から8分までの断面で、Si表面層の厚みはほとんど変化のないことがわかる。それぞれの被膜のSi量を分析すると、処理時間3分の被膜が約3wt%、処理時間4分の被膜が約6wt%、処理時間6分の被膜が約8wt%、処理時間8分の被膜が約6wt%であった。処理時間が短い場合にはSiが十分に表面層に入っていないが、ある程度処理時間が経過(この条件では4分)するとSiがほぼ十分に入り、面が平滑になることがわかった。以上より、Siが少ないと面の平滑性が悪く、3wt%以上は必要であり、より望ましくは6wt%以上必要なことがわかる。
説明が後になったが、Si表面層の性能について以下に論じる。
なお、エロージョンには大きく2つのモードがあり、1つは水の衝撃で大きく抉り取られるモード、もう1つは水が強く当たり表面を流れる際に表面を引っかき削りとるモードである。
図16は、厚さ3μmのSi表面層にウォータージェットを200MPaで60秒当てたときにSi表面層が破壊された結果である。細かく剥ぎ取られたような痕は見えないものの、大きく抉り取られるように破壊されていることがわかる。これは、水の衝突により擦り取られた傷ではなく、ウォータージェットで大量の水を当てているための衝撃にSi表面層が耐えられずに破壊された結果であると考えられる。すなわち、Si表面層が4μm以下と薄い場合には、水が強く当たり表面を流れる際に表面を引っかき削りとるモードに対しては効果があるが、水の衝撃で大きく抉り取られるモードに対しては、効果が少ないということを示している。
また、図17は、耐エロージョン性が高いとされる材料であるステライトNo6単体であり、90MPaのウォータージェットを60秒当てた場合の結果である。図では、水が強く当たり表面を流れる際に表面を引っかき削りとるモードを示している。
次に、Si表面層の厚さと耐エロージョン性との関係を図18に示す。
図に示されるように、Si表面層の厚さが4μm以下では蒸気タービンで水滴がタービン翼に衝突する速度相当である音速程度の速度でウォータージェットを当てた場合には、Si表面層が薄いと被膜が耐えられず、表面が破壊される現象が高い確率で発生することがわかった。
Si表面層の厚みが薄いと衝撃に弱く、厚いと衝撃に強い理由は以下のように推察している。すなわち、Si表面層が薄い場合には、衝撃を受けていると歪が基材に徐々に蓄積され最後に母材の粒界から破壊が発生するが、Si表面層が厚い場合には、歪が母材に達しにくく基材が守られる一方で、Si表面層は非晶質に近い組織であるため粒界がなく粒界での破壊に至らないということである。
この観点で、Si表面層を厚くするためには、放電パルスのエネルギを大きくする必要があり、5μm以上にするためには、放電パルスのエネルギは30A・μs以上である必要があることがわかった。
以上のようにSi表面層の膜厚を厚くすることで耐エロージョン性を上げることができるが、一方で、膜厚を厚くすることに伴う問題もあり、そのことが原因で耐エロージョン性を悪化させることがある。前述のように、Si表面層を厚くするためには、放電パルスのエネルギを大きくする必要があるが、放電のエネルギを大きくするに従い、熱の影響も大きくなり、表面にクラックが発生するようになる。クラックは、放電パルスのエネルギが大きくなるほど入りやすくなり、前述のように、80A・μs以上のパルスで処理した場合には表面にクラックが入るようになる。
表面にクラックが入ると耐エロージョン性が著しく低下することがわかった。図19はウォータージェットを当てることでクラックが進展した様子を示している。さらに継続するとある範囲で大きく被膜が破壊される。80A・μsのエネルギのパルス条件で処理した場合に膜厚は10μm程度になり、これが事実上の耐エロージョン用途のSi表面層の上限値になることがわかった。
クラックの観点で、Si表面層の膜厚と耐エロージョン性との関係を図示すると、図20のようになる。図18と図20をあわせると、Si表面層の膜厚と耐エロージョン性との関係は図21のようになることがわかった。
以上をまとめると次のようになる。耐エロージョン性を有するSi表面層を形成するためには、Si表面層を5μm以上にすることが必要であり、そのためには放電パルスのエネルギは30A・μs以上である必要がある。
一方で、表面のクラックを防止するためには、放電パルスのエネルギは80A・μs以下であることが必要であり、そのためSi表面層は10μm以下となる。
すなわち、耐エロージョン性を有するSi表面層を形成するための条件は被膜厚さが5μm〜10μmの厚みの被膜であり、そのための放電パルスのエネルギが30A・μs〜80A・μsであることが今回発明者らの実験により明らかになった。そのときの被膜硬さは、600Hv〜1100Hvの範囲である。
ところで、耐エロージョン性能として、本発明によるSi表面層が優れている理由については以下のように考えている。耐エロージョン性は、一般的には硬さと相関が強いといわれている。しかし、前述の評価結果からもわかるように、硬さだけでは説明のつかない点も多い。硬さ以外の要素としては、表面の性状が影響しており、粗い面より、より鏡面に近いほうが、耐エロージョン性が上がることがわかってきている。Si表面層で耐エロージョン性が優れている理由としても面の性状が挙げられる。Si表面層は硬さが600Hv〜1100Hvとある程度硬く、面の性状が滑らかな面になっている。このことが耐エロージョン性に影響していると考えている。
さらに、通常の高硬度な被膜(例えば前述のTiC被膜やPVD、CVDなどによる硬質被膜)は靭性が低く、わずかな変形により被膜が破壊されてしまうのに対し、Si表面層は靭性が高く変形を加えてもクラックなどが入りにくい性質を持っていることも高い耐エロージョン性の原因の1つであると考えている。さらに、Si表面層の結晶構造にも影響していると考えている。本発明の範囲の条件で形成したSi表面層のX線回折結果を図22に示す。図では基材のSUS630とその上にSi表面層を形成した場合の回折像を示している。Si表面層の回折像を見るとわかるように基材のピークは見えるものの、非晶質(アモルファス)組織の形成が認められる幅広いバックグラウンドが観察される。すなわちSi表面層は非晶質になっており、そのため通常の材料で発生しやすい結晶粒界での破壊がおきにくいと考えることができる。なお、この耐エロージョン性を有するのに必要な条件の1つとなる非晶質構造を持たせるには、Si量は1〜20wt%である。1wt%以下では非晶質構造が形成されず、20wt%以上とすると結晶化してしまう。
さて、本実施の形態により高い耐エロージョン表面層が得られることがわかったので、実際のアプリケーション技術について説明する。
なお、これ以降のアプリケーション技術では、これまで述べてきた基本技術を実際の用途に適用する技術について述べるので、以後の説明の中では繰り返さないが、今まで説明した技術を使用することが前提であることを断っておく。
図23はエロージョンが問題となることの多い蒸気タービンの動翼に対して本発明のSi表面層を形成する様子を示している。
図において、11はSi電極、12は被処理部材である蒸気タービン動翼、13は蒸気タービン動翼12の表面に形成されたSiを含む表面層である。蒸気タービン動翼12は図示しない治具により位置決めされ、固定される。なお、蒸気タービン動翼12のSiを含む表面層を形成させる面は1mm段状に盛り上がっている。また、本実施の形態で使用した蒸気タービン翼2の材質はSUS630である。
実際の加工に際しては、根元のツリー部分を固定すれば安定して固定することができる。
放電による表面層形成の際には、放電する部分は油中に浸漬する必要があるので、図示しない治具も油を貯めるための加工槽内に設置するのが実用上は便利である。
蒸気タービンの場合、エロージョンが起きるのは前述の特許文献にも説明があるように動翼の前縁部などの部分である。
図では、耐エロージョン性が要求される部位の形状に合わせたSi電極を作り、図示しない油の中で蒸気タービン動翼と対向させる。
Siは長時間放電しても相手部材(タービン動翼)にダメージを与えないので、放電により形状をならわせてもよい。従来の溶接や溶射あるいはろう付けによる別の材料の付着処理では入熱が大きく部材が変形してしまうが、本放電表面処理による方法では、変形がほとんどないため、部材の形状に合わせた電極ができればそのまま繰り返し使用することができる。
よって、従来の方法が人手による熟練の必要な方法であったのに対し、本実施の形態では、作業を機械が行うため、人によらず安定した処理ができる。
上記方法により、蒸気タービン動翼に自動で、耐エロージョン性の高い表面層を形成することができるが、大きな面積の電極を形成するのがやはり大変な場合もある。
そのような場合には、図24のように薄い電極を作り、電極を処理進行に従い走査することで必要な部分全体に処理を行うこともできる。
蒸気タービン動翼の前縁部は湾曲しているため、同一の形状の電極で走査するだけでは電極形状が動翼断面の形状に合わないが、電極の厚みを薄くすることで電極の消耗を促進させ、形状にならいやすくすることができる。
以上の方法により、蒸気タービン動翼に自動で、耐エロージョン性の高い表面層を形成することができるが、処理面積が大きい場合には、処理時間が長くかかるという問題がある。その場合には、図25のように電極を分割し、それぞれ独立に給電することで処理時間を短縮することができる。
電極と電極の間の隙間は電極を電極間の間隙部分以上、わずかに移動させながら処理することで、隙間なく被膜を形成することができる。
通常、蒸気タービン翼は、鍛造にて概略形状を作った後、切削加工などにより詳細形状を作り、その後耐エロージョン性を付与するためにろう付けや溶接の処理を行い、その後、歪とりのための処理、熱処理を経て、最後に仕上げ加工という工程で製造される。本発明の技術を用いれば、鍛造にて概略形状を作った後、切削加工などにより詳細形状を作り、仕上げ加工を行い、最後に、Si表面層を形成する処理を行なうことで、耐エロージョン性を付与することができる。工程も短縮でき、大幅なコストダウンが可能となる。
次に、上記の方法で作成された蒸気タービン翼を実際に運転して、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで、被処理部分にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた箇所にエロージョンが発生した際の補修方法と、この補修方法により再利用が可能となったタービン翼を、図26〜29を用いて説明する。
図26〜29は、蒸気タービン翼前縁部の補修の各過程における断面図である。
図26(a)は上記Si表面層に深さ6μmのエロージョンが発生した箇所を示している。図26(b)は、上述した段落0044〜0048で記載した方法により、図26(a)のエロージョンが発生した箇所に対して、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し1分間発生させることで、被処理部分にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで再形成させた状態を示している。
Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた箇所に深さ6μmのエロージョンが発生した場合、該箇所とSi電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し1分間発生させると、母材から浮き上がってきた鉄などの母材成分と、Si電極から供給されるSi成分が溶け合い、Siの含有量が3〜11wt%の範囲の鉄基金属組織でエロージョン部が完全に埋まり、耐エロージョン性の高い、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を、蒸気タービン翼に5〜10μmの厚さで再形成できることが実験で確認できた。母材から鉄などの母材成分が浮き上がる分、Si含有層の最表面位置は補修前よりわずかに、例えば2μm程度低くなっているが、蒸気タービン翼の性能としては問題ないと考えられる。また、本方法ではエロージョンが発生していないSi含有表面層部分にも1分間放電パルスを繰り返し発生させることになるが、段落0038で述べたとおり、処理時間が長くなってもSi表面層の厚みはほとんど変化せず、Si量も3〜11wt%の範囲で収まる。
以上より、エロージョンが発生した箇所に対して、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させ、被処理部分にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで再形成される時間まで処理することでエロージョンが発生した蒸気タービン翼を、高い耐エロージョン性を有するタービン翼として再使用が可能となる。また上記に記した通り、補修後のSi含有層の最表面位置はわずかに低くなるが、問題とならない程度であるため、何度でも補修可能である。なお、エロージョンが発生した箇所のみならず、耐エロージョン性が求められる箇所全面に実施すれば、被膜は均一な厚さとすることも可能である。
上記方法で補修できるエロージョンの深さについては、本実施の形態では6μmとしたが、6μm以上であっても処理時間を長くすることで補修可能である。なお、段落0038でも述べたとおり、処理時間はすなわち発生した放電の回数の比とほぼ同じと考えてよい。
ただし、処理時間は処理面積や休止時間などの条件により変わるため、同一放電パルス数を発生させるためには、処理面積や休止時間が変化すれば必要な処理時間は変わることを断っておく。
一方、エロージョンによる損傷が深さ5〜10μm以下のクラックの場合、該箇所とSi電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させると、図27に示すように、クラックの周囲のSi含有層が溶融し、クラックを埋めることができる。なお、クラックの周囲のSi含有表面層部分に放電パルスを繰り返し発生させることになるが、段落0039で述べたとおり、処理時間が長くなってもSi表面層の厚みはほとんど変化せず、Si量も3〜11wt%の範囲で収まる。
図30は、発生したエロージョン部を補修した一例として、前記ウォータージェット試験によって発生したクラックや損傷を上記方法で補修した様子を示している。
一方、段落0052〜0055の方法では補修できないようなSi表面層の膜厚以上の深いエロージョンが発生する場合もある。
図28(a)は上記Si表面層に深さ1mmのエロージョンが発生した箇所を示し、図28(b)は、図28(a)に対してエロージョンを受けた深さまで放電加工により周辺を除去加工した状態を示し、図28(c)は、段落0045〜0049で記載した方法により、図28(b)でエロージョン部を除去加工した面に対して、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで、被処理部分にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた状態を示している。
このように、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた箇所に深さ1mmのエロージョンが発生した場合、エロージョンを受けた深さまで放電加工により周辺を除去加工し、その後Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで、蒸気タービン翼表面にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで再形成することができた。これにより、深さ1mmのエロージョンが発生した蒸気タービン翼を、高い耐エロージョン性を有するタービン翼として再使用が可能となる。
なお、上記方法の除去加工においては、放電加工を用いたが、グラインダーや研磨、研削等を用いても良い。また、一般に放電加工ではグラファイト電極や銅電極、タングステン電極を用いるが、エロージョン深さが浅い場合は、Si電極を用いることもできるが、時間はかかる。またいずれの除去加工方法の場合も、Si表面層の耐エロージョン性能をより高めるためとその後のSi表面層を形成させる処理時間の短縮のため、Si表面層を形成する前の母材表面粗さは特に規定はないが、Si表面層を形成していない部分と同程度の表面粗さ以下にまで仕上げることが望ましい。
また、Si表面層形成処理を長時間行うと、Si表面層を付与しつつも表面高さが下がっていくため、図28(b)の状態を経ずに、図28(a)から図28(c)の状態に補修することができる。そのため、工程数を削減することができるが、本手法では表面高さが下がる速度が非常にゆっくりであるため、補修するまで時間がかかる。
上記方法で補修できるエロージョン深さについては、本実施の形態では1mmとしたが、エロージョン深さが1mm以上であっても補修可能である。ただし、図28(c)でのSi表面層位置が元の高さより2mm以上低くなると、タービン中を流れる蒸気の流れを乱し、機械としての効率が低下し、問題となる。そのため、上記方法を実施するエロージョン深さは、0.01〜2mmの範囲がよい。
なお、実際の蒸気タービンでは0.5mmのエロージョンが発生すれば、エロージョンシールド板の張り替え等の補修を実施するので、0.01〜0.5mmの範囲が有効と思われる。
また、段落0052〜0053の方法では補修できないようなSi表面層の膜厚以上の深いエロージョンに対しては次の方法も取ることができる。
図29(a)は上記Si表面層に深さ3mmのエロージョンが発生した箇所を示している。図29(b)は、図29(a)に対して、エロージョン部を蒸気タービン翼と共材で肉盛溶接で肉盛した状態を示している。その後、図29(c)のように肉盛部と周囲のSi表面層を放電加工に平滑する。図29(d)は、段落0045〜0049で記載した方法により、図29(c)の面に対して、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで、被処理部分にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた状態を示している。
このように、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させた箇所に深さ3mmのエロージョンが発生した場合、エロージョン部を肉盛溶接により埋めた後、肉盛部と周囲のSi表面層を放電加工に平滑し、その後Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで、蒸気タービン翼表面にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで再形成することができた。これにより、深さ3mmのエロージョンが発生した蒸気タービン翼を、高い耐エロージョン性を有するタービン翼として再使用が可能となる。
本方法では肉盛部の周囲のSi含有表面層部分にも放電パルスを繰り返し発生させることになるが、段落0038で述べたとおり、処理時間が長くなってもSi表面層の厚みはほとんど変化せず、Si量も3〜11wt%の範囲で収まる。
なお、上記方法のエロージョン部を肉盛して埋める際には共材による肉盛溶接を用いたが、異材金属による肉盛溶接を用いる場合においても同様である。異材金属部は組成は異なっているが、Siの含有量およびアモルファス構造を有する点は共材の場合と同じである。また肉盛方法としては、溶接以外に、放電表面処理や溶射などの肉盛技術を用いることもできる。また、肉盛部と周囲のSi表面層と平滑にする際に放電加工を用いたが、グラインダーや研磨、研削等を用いても良い。
上記方法で補修できるエロージョンの深さについては、本実施の形態では3mmとしたが、エロージョン深さが3mm以上であっても補修可能である。ただし、補修するエロージョン深さが4mm以上になると、形状修正のための肉盛溶接や溶射による肉盛部の機械的強度が低下するため、問題となる。そのため、上記方法を実施するエロージョン深さは、0.01〜4mmの範囲がよい。
なお、実際の蒸気タービンでは0.5mmのエロージョンが発生すれば、エロージョンシールド板の張り替え等の補修を実施するので、0.01〜0.5mmの範囲が有効と思われる。
特許文献4に記載されているレーザ光や超音波などを利用した非接触型光学式粗さ検出器を用いて、蒸気タービン翼のエロージョンによる侵食深さを測定することで、いずれの補修方法を実施する必要があるか、あらかじめ決定することができる。
実施の形態として、耐エロージョン部品としては蒸気タービンの動翼に適用する場合について述べたが、他にも耐エロージョン性が要求される耐エロ-ジョン部品用途には同様に適用できることは言うまでない。
例えば、配管内部の流体が強く当たる部分やキャビテーションを生じやすい形状の部分などには、同様の方法で処理することができる。このような用途には、他に燃料の噴射部品などがある。
本発明に係る表面層成形方法は、耐エロ-ジョン部品への適用に有用である。
1 Si電極、2 部材、3 加工液、4 直流電源、5 スイッチング素子、6 電流制限抵抗、7 制御回路、8 放電検出回路、11 Si電極、12 蒸気タービン動翼、13 Siを含む表面層、14 Siを含む表面層に生じたエロージョン、15 Siを含む表面層、16 蒸気タービン動翼本体、17 新規に形成されたSiを含む表面層、18 エロージョンにより、Si表面層内に発生したクラック 19 エロージョン箇所がなくなるように切除された、蒸気タービン動翼、20 エロージョン箇所を肉盛溶接で肉盛した箇所、21 周囲のSi表面層と平滑なるように切除された肉盛箇所、22 肉盛した箇所に形成されたSiを含む表面層。

Claims (6)

  1. 耐エロージョン性が求められる蒸気タービン翼の先端前縁部に形成された、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成された部位に対し、該Si含有鉄基金属組織厚さ未満の深さのエロージョン部が発生した機械部品の補修方法において、該エロージョン部にSiの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を、上記Si含有鉄基金属組織厚さ以下の厚さで再形成させる時間分、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることを特徴とする耐エロージョン性機械部品の補修方法。
  2. エロージョン部が発生した部位以外の耐エロージョン性が求められる部位全面を30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることで被膜を再形成させることを特徴とする請求項1に記載の耐エロージョン性機械部品の補修方法。
  3. 耐エロージョン性が求められる蒸気タービン翼の先端前縁部に形成された、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成された部位に対し、該Si含有鉄基金属組織厚さ以上の深さのエロージョン部が発生した機械部品の補修方法において、エロージョン発生部位を除去する工程と、該エロージョン発生部位を除去した部位に、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させる時間分、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることを特徴とする耐エロージョン性機械部品の補修方法。
  4. エロージョン発生部位の除去は、機械加工あるいは放電加工により、エロージョンを受けた深さまで除去加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の耐エロージョン性機械部品の補修方法。
  5. 耐エロージョン性が求められる蒸気タービン翼の先端前縁部に形成された、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成された部位に対し、該Si含有鉄基金属組織厚さ以上の深さのエロージョン部が発生した機械部品の補修方法において、エロージョン発生部位に蒸気タービン翼の共材あるいは異材で肉盛り処理を行う工程と、該肉盛り部位を平滑化する工程と、該平滑化した部位に、Siの含有量が3〜11wt%となる鉄基金属組織を5〜10μmの厚さで形成させる時間分、Si電極との間で放電パルスの電流値の時間積分の値が30A・μs〜80A・μsの範囲である放電パルスを繰り返し発生させることを特徴とする耐エロージョン性機械部品の補修方法。
  6. 新たにSi含有の鉄基金属組織を形成する工程に使用する電極は、0.01Ωcm以下の比抵抗を有する部材を選定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の機械部品の補修方法。
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