JP5160202B2 - 熱媒油の劣化防止方法、および熱輸送システム - Google Patents

熱媒油の劣化防止方法、および熱輸送システム Download PDF

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Description

本発明は、蓄熱装置と、熱源設備および熱利用設備との間で熱交換するために用いる熱媒油の劣化防止方法に関する。
製鉄所、廃棄物焼却施設などの工場や処理場(熱源設備)において発生する熱は、工場や処理場付近の様々な施設(熱利用設備)に利用されている。また、これら工場や処理場(熱源設備)で発生した熱を一時的に蓄熱装置に蓄え、その蓄熱装置を輸送することで、工場や処理場から離れた施設(熱利用設備)においても熱を利用することができる。ここで、蓄熱装置に蓄熱した熱を輸送する熱輸送システムに関する技術としては、例えば、下記の特許文献1に開示されているような技術が開示されている。
従来、発生した熱を蓄え、離れた場所に熱を輸送することができる熱貯蔵ユニットに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この熱貯蔵ユニットは、固体と液体との状態変化により蓄熱する酢酸ナトリウムやエリスリトールなどの蓄熱体と、この蓄熱体に対して直接接触することにより熱交換し、この蓄熱体よりも比重が小さい熱交換媒体(油)とを収容する貯蔵容器と、この熱交換媒体を貯蔵容器内に供給する供給管と、この熱交換媒体を貯蔵容器の外部に排出する排出管とを備えているものである。
ここで、熱交換媒体(油)は、蓄熱体との直接接触により、蓄熱体との間で熱交換する。熱交換媒体は、上記排出管から貯蔵容器の外部に排出されて熱交換器に取り込まれ、熱交換器内で熱供給されると、上記供給管を介して蓄熱体内に供給される。供給された熱交換媒体は、比重が蓄熱体よりも小さいため、上層の熱交換媒体まで上昇する。この上昇中に、蓄熱体との直接接触により熱交換媒体に供給された熱が蓄熱体に伝導されるようになっている。
特開2005−188916号公報
特許文献1中の記載において、熱交換媒体(油)と蓄熱体(酢酸ナトリウム)とは、互いに混合しない、と称されている(明細書中の段落0027)。しかしながら、熱交換媒体(油、以下、「熱媒油」という)は、加熱、冷却の繰り返しによる熱履歴が蓄積して次第に劣化していく。ここで、熱媒油は、鉱物油などの炭化水素であり、熱媒油の劣化とは、その炭素原子同士を結合する鎖が切れて分子量の小さい炭化水素になっていくことをいう。また炭素原子同士を結合する鎖が切れると、そこに酸素が結合して熱媒油は酸化する。熱媒油が酸化すると、熱媒油と蓄熱体との分離性は悪化する傾向がある。すなわち、熱媒油が新しいうちは、熱媒油と蓄熱体との分離性がよく互いに混合してしまうことはないが、熱媒油が劣化していくと、熱媒油と蓄熱体との境界付近における分離性が不十分となっていく。また、熱媒油が劣化すると、その分子量が小さくなることで引火点が下がる。熱媒油は、その引火点が250℃未満になると危険物としての取り扱いになり、すなわち、劣化により熱媒油の引火点が250℃未満になると、可燃性液体であり危険であると同時にその取り扱いが煩雑になるという問題も生じる。
一方、熱媒油には、通常その劣化を抑制するための劣化防止剤が元々添加されている。劣化防止剤が分解していくことで、熱媒油を構成する分子の炭素原子同士を結合する鎖が切れていくことを防止している。しかしながら、熱媒油の使用時間の増加やその経時変化により劣化防止剤は徐々に減少していく。劣化防止剤が減少し、それにより一旦、熱媒油が劣化してしまった場合、この熱媒油を、例えば劣化防止剤の添加等により劣化前の状態に回復させることはできないため、従来は、熱媒油が劣化すると、熱媒油を全量交換または一部交換する対応をとっていた。熱媒油の劣化対策は特になされていなかった。熱媒油を全量交換または一部交換する対応は、時間的ロスも大きく、維持管理コストにも大きく影響を与えるものである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄熱装置の使用や経時変化によって生じる熱媒油の劣化を抑制するための熱媒油の劣化防止方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
本発明は、蓄熱装置と、熱源設備および熱利用設備との間で熱交換するために用いる熱媒油の劣化防止方法であって、前記熱媒油に含まれる当該熱媒油の劣化防止剤の含有量を測定する含有量測定工程と、前記含有量の測定値が所定の値以下に低下したら前記劣化防止剤を前記熱媒油に添加する劣化防止剤添加工程と、を備える熱媒油の劣化防止方法である。
この構成によると、劣化防止剤を熱媒油に添加することで、熱媒油の原子間を結合する鎖の切断を抑制できる。すなわち、熱媒油の劣化を抑制することができる。また、劣化防止剤の含有量測定値が所定の値以下に低下したのに合わせて劣化防止剤を熱媒油に添加するため、劣化防止剤の過剰な添加も防止できる。
また好適には、前記劣化防止剤添加工程により、前記熱媒油に対する前記劣化防止剤の含有率を、0.4wt%〜0.6wt%にすることである。この構成によると、熱媒油の劣化抑制効果と、劣化防止剤の過剰添加防止とを高い次元で両立させることができる。
さらに好適には、前記熱媒油に対する前記劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下に低下したら、前記劣化防止剤を前記熱媒油に添加することである。この構成によると、熱媒油の劣化抑制効果と、劣化防止剤の過剰添加防止とを高い次元で両立させることができる。
さらに好適には、前記劣化防止剤の含有量をガスクロマトグラフで測定することである。この構成によると、熱媒油に含まれる劣化防止剤の含有量を精度良く測定でき、ひいては熱媒油に対する劣化防止剤の含有率の測定精度を高めることができる。
また本発明は、その第2の態様によれば、前記熱源設備から前記蓄熱装置に蓄熱した熱を、当該蓄熱装置を介して前記熱利用設備へ輸送する熱輸送システムであって、前記した熱媒油の劣化防止方法により維持管理されてなる熱輸送システムである。この熱輸送システムによると、熱媒油の寿命を長期化でき、その結果、熱媒油の交換周期を飛躍的に延ばすことができる。また、日常の維持管理は、熱媒油への劣化防止剤の添加という労力のかからない作業で熱媒油の劣化を抑制できる。したがって、システムの維持管理のための労力およびシステムの維持管理費用を大きく軽減することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。ここでは、まず、蓄熱装置を用いた熱輸送システム、および蓄熱装置についてその概要を説明し、そのあと、本発明の一実施形態に係る熱媒油の劣化防止方法について説明する。
(熱輸送システム)
図1は、蓄熱装置を用いた熱輸送システムを説明するための模式図である。図1に示すように、この熱輸送システムは、例えば製鉄所、発電所、および廃棄物焼却施設などの熱源設備100で発生した排熱を、蓄熱装置1を介して、例えば病院、学校、温水プール、およびビルなどの熱利用設備200へ輸送するためのシステムである。まず、熱源設備100で発生した排熱をトラック等の輸送車両4の荷台3に搭載した蓄熱装置1に蓄え、この蓄熱装置1を熱利用設備200へ輸送する(図1(a)参照)。そして、蓄熱装置1から熱利用設備200へ熱供給し、熱供給完了後、蓄熱装置1を熱源設備100へ輸送する(図1(b)参照)。このように、蓄熱装置1は、輸送車両4の荷台3に搭載された状態で、熱源設備100と熱利用設備200との間を必要に応じて繰り返し往復する。尚、図1における矢印のうち、点線の矢印は輸送車両4の移動方向を示し、実線の矢印は熱の移動方向を示す。
また、作業効率の観点から、通常、蓄熱装置1を輸送車両4の荷台3に搭載した状態で、蓄熱装置1と熱源設備100側(または、熱利用設備200側)とを、例えばフレキシブルホース2などで連結し、フレキシブルホース2内を流れる熱媒油を介して熱源設備100から蓄熱装置1への蓄熱(または、蓄熱装置1から熱利用設備200への熱供給)が行われる。
(蓄熱装置)
次に、蓄熱装置について、その概略を説明する。図2は、蓄熱装置1を示す模式図である。図2に示すように、蓄熱装置1は、潜熱蓄熱による蓄熱に用いられる潜熱蓄熱材12と、潜熱蓄熱材12を収容する貯蔵容器11と、潜熱蓄熱材12と比較して比重の小さい熱媒油13を貯蔵容器11の外部から貯蔵容器11の内部へ供給するための供給管14と、貯蔵容器11の内部に供給された熱媒油13を貯蔵容器11の外部へ排出するための排出管15とを備えている。
上記の潜熱蓄熱材12としては、潜熱(融解熱)が大きく常温で固体となる物質を採用することが好ましく、このような物質として、例えば、エリスリトールや酢酸ナトリウム三水和物などが挙げられる。エリスリトールは、融点:約121℃、融解熱:約340kJ/kg、酢酸ナトリウム三水和物は、融点:約58℃、融解熱:約250kJ/kg、の物質であり、いずれも常温で固体となっている。尚、以降の説明では、特記なき限り、潜熱蓄熱材12として上記エリスリトールを採用したものとする。
また、上記の熱媒油13は、炭化水素からなる鉱物油である。熱媒油13は、その引火点が250℃以上であることが好ましい。引火点が250℃以上であると、危険物としての取り扱いにならないからである。したがって、熱媒油13は、その引火点が250℃以上となるように蒸留処理され、熱媒油13から低沸点成が除去されている。尚、熱媒油13は、蓄熱装置1を輸送する際に貯蔵容器11内に収容していてもよいし、蓄熱装置1を輸送する前に貯蔵容器11から抜き取り、別途、準備した貯留タンク(不図示)などに貯留してもよい。貯留タンク(不図示)などに貯留しておくことで、蓄熱装置1の全体重量を低減することができ、蓄熱装置1を輸送し易くなる。
熱源設備100からの排熱により加熱された(または、熱利用設備200に抜熱された)熱媒油13は、図2に示す供給菅14から、貯蔵容器11に収容されている潜熱蓄熱材12内へ供給され、潜熱蓄熱材12に対して直接接触することで潜熱蓄熱材12に熱を供給(潜熱蓄熱材12と熱交換)しながら、潜熱蓄熱材12と熱媒油13との比重差により上昇(浮上)する。そして、熱媒油13は、潜熱蓄熱材12の上方に形成された熱媒油13の層へ到達するようになっている。熱媒油13の層に到達し、放熱した(受熱した)した熱媒油13は、熱源設備100の排熱により加熱されるために(または、熱利用設備200に抜熱されるために)排出管15から外部に排出される。
このようにして熱媒油13は使用されるのであるが、熱媒油13の使用により、熱媒油13には、加熱、冷却の繰り返しによる熱履歴が蓄積していく。そして熱媒油13に熱履歴が蓄積していくと、熱媒油13は次第に劣化していく。ここで、前記したように、熱媒油13が劣化していくと、その炭素原子同士を結合する鎖が切れて分子量の小さい炭化水素になり、熱媒油13の引火点が下がっていく。また、熱媒油13と潜熱蓄熱材12との分離性が悪化して、熱媒油13の層と潜熱蓄熱材12の層との境界付近(図2参照)における分離性が不十分となっていく。熱媒油13の引火点が250℃未満になると、危険性が高まり、その取り扱いが煩雑になる。また、熱媒油13と潜熱蓄熱材12との分離性が不十分になると、熱源設備100(または、熱利用設備200)に向けて排出管15から出ていく熱媒油13に潜熱蓄熱材12が混入して、配管などに目詰まりが生じる原因となる。
一方、一旦劣化してしまった熱媒油13を劣化前の状態に回復させることはできないため、従来は、熱媒油13が劣化すると、熱媒油13を全量交換または一部交換する対応をとっていた。
(蓄熱装置と熱源設備との間での熱交換)
次に、熱媒油13を介した、蓄熱装置1と熱源設備100(または、熱利用設備200)との間の熱交換に関して、さらに詳述する。図3は、蓄熱装置1を用いた蓄熱システム50を示すブロック図である。ここでは、熱源設備100から蓄熱装置1に蓄熱するための蓄熱システム50について説明する。尚、蓄熱装置1から熱利用設備200へ熱を供給するための熱供給システムは、蓄熱システム50と同様のシステムであり、図3に示す熱源設備100を熱利用設備200に置き換えることで示される。
図3に示すように、蓄熱システム50は、輸送可能に形成された蓄熱装置1と、蓄熱装置1に接続し内部を熱媒油13が循環する熱媒循環経路6と、熱媒循環経路6中に配置され熱媒油13を循環させる循環ポンプPと、熱媒循環経路6に接続する熱交換器101と、熱源側循環経路7を介して熱交換器101に接続する熱源設備100とからなるシステムである。また、熱媒循環経路6は、蓄熱装置1を接続するためのフレキシブルホース2と、複数のバルブと、管材とからなる。フレキシブルホース2は、蓄熱装置1を輸送車両に搭載した状態などで熱媒循環経路6に着脱するためのものである。
なお、熱源側循環経路7の内部を流れる熱交換媒体は通常、熱媒循環経路6の内部を流れる熱媒油13とは異なるものが利用され、特に限定されないが例えば水が利用される。
また、熱媒循環経路6には分岐管を介してドレンバルブ10が取り付けられている。このドレンバルブ10は、熱媒循環経路6中の最も低い位置に取り付けられることが好ましい。また、図3中に点線で示すように、循環ポンプPの吐出部に近い熱媒循環経路6に、分岐管を介してバルブ9を取り付けてもよい。ドレンバルブ10およびバルブ9は、ボール弁、仕切弁、蝶形弁などであり、電動であってもよいし手動であってもよい。ドレンバルブ10は、熱媒油13を、別途準備した貯留タンク(不図示)などに貯留する際に、熱媒循環経路6から熱媒油13を抜くためのバルブであり、バルブ9は、熱媒油13を熱媒循環経路6から取り出すためのバルブである。
次に、熱源設備100の排熱が蓄熱装置1に蓄熱される仕組みについてその概要を説明する。熱源設備100からの排熱により加熱された高温の熱交換媒体は、熱源側循環経路7を経由して熱交換器101に達する。一方、貯蔵容器11内の潜熱蓄熱材12に蓄熱するための低温の熱媒油13は、熱媒循環経路6を経由して熱交換器101に達する。そして、熱交換器101内で高温の熱交換媒体から低温の熱媒油13に熱が移動し、高温となった熱媒油13は、熱媒循環経路6を経由して貯蔵容器11に入り潜熱蓄熱材12と直接接触することにより潜熱蓄熱材12に熱が蓄えられる。
(熱媒油の劣化防止方法)
次に、熱媒油13の劣化防止方法について説明する。図4は、劣化防止剤の添加フローを示すフローである。ここで、熱媒油13の劣化を抑制する劣化防止剤としては、4,4’−メチレンビス、ジフェニルアミン、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物などが挙げられる。これら劣化防止剤は、所定の比率で元々、熱媒油13中に含有されている。
熱源設備100から蓄熱装置1への蓄熱が完了したあと、ドレンバルブ10を開いて熱媒循環経路6から熱媒油13を抜いたり、例えば貯蔵容器11に設けた熱媒油13用のドレンバルブ(不図示)を開いて貯蔵容器11から熱媒油13を抜いたりして、熱媒油13は、別途準備した貯留タンク(不図示)に貯留されている。
そして、図4に示すように、定期的に貯留タンク(不図示)から熱媒油13を取り出す(ステップ1、以下、「S1」という。他のステップも同様)。尚、熱媒油13の取り出しは、熱源設備100から蓄熱装置1への蓄熱作業中に、図3中に点線で示したバルブ9を開いて熱媒油13が循環する熱媒循環経路6から定期的に熱媒油13を取り出してもよい。
次に、熱媒油13に含まれる劣化防止剤の含有量を測定する含有量測定工程に移行する(S2)。ここで、劣化防止剤の含有量測定には、ガスクロマトグラフが用いられる。尚、ガスクロマトグラフとは、吸着、吸収剤を用いてガスに対する吸着吸収の能力の差を利用して、多成分ガスの各成分を成分ごとに分離し、測定する計器のことをいう。さらに具体的には、劣化防止剤の含有量を測定する計器として、ガスクロマトグラフと質量分析計とを接続部を介して直結したガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)、ガスクロマトグラフ水素炎イオン化検出器(GC/FID)、およびガスクロマトグラフ熱伝導度型検出器(GC/TCD)などが挙げられる。劣化防止剤の含有量を測定する計器として、ガスクロマトグラフを用いることで、熱媒油13に含まれる劣化防止剤の含有量を精度良く測定でき、ひいては熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率の測定精度を高めることができる。
なお、劣化防止剤の含有量測定には上述したガスクロマトグラフ以外にもフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を利用することもできる。
次に、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下か否かを判断する(S3)。尚、wt%とは、質量比のことをいう。また、「0.3wt%以下か否か」の判断における、0.3wt%という閾値は、必ずしも0.3wt%である必要はなく、例えば0.5wt%であってもよいし、0.4wt%であってもよいし、0.2wt%であってもよい。
そして、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下であれば、熱媒油13に劣化防止剤を添加する劣化防止剤添加工程(S4)を行う。劣化防止剤の含有率が0.3wt%よりも高ければ、劣化防止剤の添加は行わない。ここで、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下に低下したら劣化防止剤を熱媒油13に添加するというのは、劣化防止剤の含有率が0.3wt%まで低下した場合を含むものである。「劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下に低下したら」と記載しているのは、貯留タンク(不図示)から熱媒油13を取り出すのは定期的なものであり、また、S1〜S4の工程を実施するのにもある程度の時間を要するので、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率が0.3wt%まで低下したと同時に、熱媒油13への劣化防止剤の添加を行えない場合もあることを考慮したためである。
また、熱媒油13への劣化防止剤の添加は、別途準備した貯留タンク(不図示)内の熱媒油13中に劣化防止剤を投入することにより行われる。尚、熱媒循環経路6中に注入経路(注入配管など)を設けて、蓄熱装置1への蓄熱作業中に、熱媒油13が循環する熱媒循環経路6中に劣化防止剤を注入してもよい。また、貯蔵容器11に注入経路(注入配管など)を設けて、熱媒油13が貯蔵容器11内にあることを条件に、貯蔵容器11中に劣化防止剤を注入してもよい。
上記S1〜S4により、熱媒油13に劣化防止剤を添加することで、熱媒油13を構成する分子の炭素原子間を結合する鎖の切断を抑制できる。すなわち、熱媒油の劣化を抑制することができる。ひいては、熱媒油13の引火点低下を防止できるとともに、熱媒油13と潜熱蓄熱材12との分離性悪化を防止することができる。また、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下に低下したのに合わせて劣化防止剤を熱媒油13に添加するため、劣化防止剤の過剰な添加も防止でき、熱媒油13の劣化抑制効果と、劣化防止剤の過剰添加防止とを高い次元で両立させることができる。
尚、熱媒油13に対する劣化防止剤の含有率は、熱媒油13への劣化防止剤の添加により、0.4wt%〜0.6wt%となるように調整されることが好ましい。これにより、熱媒油13の劣化抑制効果と、劣化防止剤の過剰添加防止とをより高い次元で両立させることができる。尚、劣化防止剤の含有率は、0.4wt%〜0.7wt%であってもよいし、0.4wt%〜0.8wt%であってもよいし、0.5wt%〜0.7wt%であってもよいし、0.5wt%〜0.8wt%であってもよいし、0.3wt%〜0.6wt%であってもよい。より好ましくは、0.4wt%〜0.5wt%、または0.5wt%〜0.6wt%となるように調整されることである。
なお、劣化防止剤は有毒であるものが多いため安全上、添加量は少ない方が好ましく、コスト面からも添加量は少ない方が好ましい。
(熱輸送システムに関して)
上記S1〜S4のステップを有する熱媒油の劣化防止方法により、熱輸送システムを維持管理することで、熱交換に用いられる熱媒油13の寿命を長期化でき、その結果、熱媒油13の交換周期を飛躍的に延ばすことができる。また、日常の維持管理は、熱媒油13への劣化防止剤の添加という労力のかからない作業で熱媒油13の劣化を抑制でき、熱輸送システムの維持管理のための労力および熱輸送システムの維持管理費用を大きく軽減することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
例えば、上記実施形態においては、熱源設備100で発生した排熱を、当該熱源設備100から離れた場所に位置する熱利用設備200へ輸送するための輸送可能な蓄熱装置1に対して本発明に係る熱媒油の劣化防止方法を適用した例を示した。しかしながら、本発明に係る熱媒油の劣化防止方法は、輸送可能な蓄熱装置だけではなく、固定設置された定置式の蓄熱装置に対しても適用することができる。
ここで、本発明に係る熱媒油の劣化防止方法を、定置式蓄熱装置に適用する場合には、定置式蓄熱装置を固定設置する場所として、例えば2つの例が挙げられる。まず1つ目は、製鉄所、発電所、および廃棄物焼却施設などの熱源設備100内に定置式蓄熱装置を固定設置する場合である。この場合、熱源設備100からの排熱を定置式蓄熱装置に蓄熱し、この定置式蓄熱装置から必要に応じて熱源設備100内の暖房設備、給湯設備などの熱利用設備へ熱供給する。尚、熱源設備100からの排熱を熱源設備100内に固定設置した定置式蓄熱装置に一旦蓄熱し、この定置式蓄熱装置から必要に応じて輸送可能な蓄熱装置1を用いて熱を輸送し、熱利用設備200へ熱供給してもよい(この場合、輸送可能な蓄熱装置1が定置式蓄熱装置に対する熱利用設備となる)。
2つ目は、病院、学校、温水プール、およびビルなどの熱利用設備200内に定置式蓄熱装置を固定設置する場合である。輸送可能な蓄熱装置1などから熱利用設備200内に固定設置した定置式蓄熱装置に一旦蓄熱し、この定置式蓄熱装置から必要に応じて熱利用設備200内の暖房設備、給湯設備などの熱利用設備へ熱供給するのである。尚、この場合は、輸送可能な蓄熱装置1が熱源設備に相当することとなる。
尚、定置式蓄熱装置を、熱源設備100内および熱利用設備200内のうちのいずれか一方だけでなく、両設備内に固定設置してもよい。この場合、例えば、熱源設備100からの排熱を熱源設備100内に固定設置した定置式蓄熱装置に一旦蓄熱し、この定置式蓄熱装置から必要に応じて輸送可能な蓄熱装置1を用いて熱利用設備200側に熱を輸送する。その後、輸送した熱を一旦、熱利用設備200内に固定設置した定置式蓄熱装置に蓄熱し、この定置式蓄熱装置から熱利用設備200内の暖房設備、給湯設備などの熱利用設備へ熱供給する。
蓄熱装置を用いた熱輸送システムを説明するための模式図である。 蓄熱装置を示す模式図である。 蓄熱装置を用いた蓄熱システムを示すブロック図である。 劣化防止剤の添加フローを示すフローである。
符号の説明
1:蓄熱装置
6:熱媒循環経路
13:熱媒油
50:蓄熱システム
100:熱源設備
200:熱利用設備
P:循環ポンプ

Claims (5)

  1. 蓄熱装置と、熱源設備および熱利用設備との間で熱交換するために用いる熱媒油の劣化防止方法であって、
    前記熱媒油に含まれる当該熱媒油の劣化防止剤の含有量を測定する含有量測定工程と、
    前記含有量の測定値が所定の値以下に低下したら前記劣化防止剤を前記熱媒油に添加する劣化防止剤添加工程と、
    を備えていることを特徴とする、熱媒油の劣化防止方法。
  2. 前記劣化防止剤添加工程により、前記熱媒油に対する前記劣化防止剤の含有率を、0.4wt%〜0.6wt%にすることを特徴とする、請求項1に記載の熱媒油の劣化防止方法。
  3. 前記熱媒油に対する前記劣化防止剤の含有率が0.3wt%以下に低下したら、前記劣化防止剤を前記熱媒油に添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱媒油の劣化防止方法。
  4. 前記劣化防止剤の含有量をガスクロマトグラフで測定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱媒油の劣化防止方法。
  5. 前記熱源設備から前記蓄熱装置に蓄熱した熱を、当該蓄熱装置を介して前記熱利用設備へ輸送する熱輸送システムであって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱媒油の劣化防止方法により維持管理されてなることを特徴とする、熱輸送システム。
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