[パチンコ機の全体構造について]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜図5を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を閉塞すると共に、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。図2は、パチンコ機の正面から見た斜視図である。図3は、パチンコ機の正面図である。図4は、パチンコ機の背面図である。図5は、パチンコ機の平面図である。
図1および図2において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ後述の遊技パネル409(図11等参照)を含む遊技演出ユニット4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支される扉枠5と、を備えて構成されている。外枠2に対する本体枠3の施錠および本体枠3に対する扉枠5の施錠は、いずれも施錠装置60により行われる。なお、この実施の形態にかかる外枠2は、概ね52cmの横幅、及び概ね81cmの高さ、及び概ね7cmの奥行き幅をもった縦長矩形状をもって形成されている。
また、遊技演出ユニット4(具体的には遊技パネル409)には、後述の発射装置57(図4参照)から打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域20が形成されており、扉枠5は、この遊技領域20を遊技者が視認し得る透明板ユニットとしてのガラスユニット190と、該ガラスユニット190の下方に配置される皿ユニット300と、を備えている。皿ユニット300は、発射装置57に供給するための遊技球を貯留可能に構成されており、遊技の結果として遊技者に付与されうる賞としての遊技球(所謂賞球)も、この皿ユニットに払い出される。なお、以下、本明細書において、外枠2に対して本体枠3が軸支されている側(図16の左側)を軸支側と称し、この軸支側の反対側(外枠2に対して本体枠3が開放される側であって、図16の右側)を開放側と称する。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板6aによって被覆されている下部装飾板6が固着されている。また、詳細は後述するが、外枠2は、上下の木製の上枠板および下枠板と左右の軽合金(アルミニウム)製の側枠板とを、それぞれの端部を連結するための連結部材で連結することによって方形状に組み付けられている。なお、外枠2の上部に設けられる上支持金具7および下部装飾板6の一側上面に設けられる下支持金具8に、それぞれ、本体枠3の上下に固定される上軸支金具47および下軸支金具48を係合することにより、本体枠3が外枠2に対して開閉自在に軸支されている。
また、本体枠3には、上記したように遊技演出ユニット4が着脱自在に装着し得る他に、図4に示すように、その裏面に賞球を払い出すための賞球タンク50、タンクレール部材(タンクレール)51、球通路ユニット52、および球払出装置(球払出ユニット)53が取り付けられると共に、その裏面下部には、基板ユニット54が取り付けられている。この基板ユニット54には、発射装置57、および、遊技演出ユニット4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板395(図84参照)等が一纏めに設けられている。更に、本体枠3には、後面開口70(図16参照)が形成されていると共に、この後面開口70を覆う裏カバー58が着脱自在に設けられている。
また、遊技演出ユニット4(具体的には遊技パネル409)には、遊技領域20を区画形成すると共に遊技領域20内に遊技球を案内する案内レール482が、遊技領域20の左側縁に設けられている。この案内レール482は、外レール472と内レール462とから構成されている。また、内レール462の上端部には、一旦発射されて遊技領域20の内側に取り入れられた打球が再度外レール472に逆流することを防止する逆流防止部材463を有している。一方、正面視で遊技領域20の右上縁部には、勢いよく外レール472を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域20の内側に反発させる衝止部476を有している。なお、衝止部476は、ゴムや合成樹脂の弾性体で構成されている。
更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300に、ハンドルユニット318が設けられている。ここで、扉枠5に設けられる皿ユニット300は1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドルユニット318が扉枠5側である皿ユニット300に設けられている。また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくなっている。
[外枠について]
次に、外枠2について、図6〜図10を参照して説明する。図6は、外枠の正面斜視図である。図7は、外枠の正面から見た分解斜視図である。図8は、外枠の正面図である。図9は、外枠の背面図である。図10は、図8のB−B断面図(A)、図10(A)のC−C断面図(B)、図10(A)のD−D断面図(C)、図10(A)のE−E断面図(D)である。
図6および図7において、外枠2は、上下の上枠板10および下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材14で連結することによって、縦長矩形状に組み付けられるものである。なお、「側枠板12,13」は、本発明の「縦枠(縦板)」に相当する。
具体的には、連結部材14は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成されており、突出した中央の部分が、上枠板10および下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部10B,11Bに嵌合される。そして、連結部材14の一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し、且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。また、その状態で、上枠板10の係合切欠部10Bの両側方および下枠板11の係合切欠部11Bの両側方にそれぞれ形成される挿通穴10C,11Cと、連結部材14の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴16(図7の上枠板10と軸支側の側枠板12とを連結する連結部材14に表示するが、他の連結部材14にも存在する)と、を一致させて、上方または下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス16Bで止着している。
更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴12B,13Bと、連結部材14の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴15(図7の上枠板10と開放側の側枠板13とを連結する連結部材14に表示するが、他の連結部材14にも存在する)と、を一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス15Bで止着することにより、上下の上枠板10および下枠板11と、左右の側枠板12,13と、が強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス15Bのうち、1本の連結ビス15Bは、側枠板12,13と連結部材14とを連結するものではなく、上枠板10および下枠板11と連結部材14とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10、下枠板11および側枠板12,13のうち、短辺の上枠板10および下枠板11は従来と同じ木製であり、長辺の側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニウム合金の押出し成型板により構成されている。即ち、外枠2は、木製の短板材2つと軽金属製の長板材2つとで構成されている。上枠板10および下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を島に設置するに際して釘を打ち易くするためである。より詳しく説明すると、パチンコ機1を島に設置する場合、パチンコ機1を島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、このような作業は、上枠板10および下枠板11を島に釘を打ち付けて行われる。従って、上枠板10および下枠板11を、島に釘を打ち付け易いように、上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成したのである。
一方、側枠板12,13をアルミニウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べて強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるからである。側枠板12,13の肉厚を薄くすると、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の周面壁290〜293(図16参照)の正面視の左右幅(即ち、軸支側の周面壁290〜293と開放側の周面壁290〜293との左右方向の幅)を広くすることができ、その結果、左右方向の大きな遊技演出ユニット4を本体枠3に装着することが可能となる。これにより、結果的に遊技領域20を大きく形成することが可能となり、遊技球が流下する領域を確保しつつ演出表示装置115を大型化できる。
なお、木製に比べて強度を維持しつつ肉厚を薄く形成するために、図10(C)に示すように、軸支側の側枠板12(開放側の側枠板13は側枠板12と左右態様である)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部12G(開放側の側枠板13の空間部13Gは図9に表示)を形成して後方部分の肉厚h2が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h2は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法(すなわち、後述の遊技演出ユニット設置凹部30との関係で19mm以下であることが望ましい)となっている。また、このように空間部12Gが形成されることによって、リブが側枠板12,13の後方部分から単に折り曲げられているだけの場合と比べて、後方部分の肉厚h2を薄くすることができる。なお、このような引き抜き成型は木製では成しえない。従って、側枠板12,13を、引き抜き成型可能な金属製にすることによって初めて、肉厚を薄くしつつも従来の木製に比べて強度を維持することができるのである。また、側枠板12,13をアルミニウム合金のような軽金属にすると、パチンコ機1全体の軽量化を図ることもできる。
また、図10(B),(D)に示すように、軸支側の側枠板12の空間部12Gの前方には、連結部材14の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部12F(開放側の側枠板13の溝部13Fは図6に表示)が形成されている。軸支側の側枠板12の溝部12Fから前端部までは、図10(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材14の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、溝部12Fが形成される反対側の面(外側面)には、図6および図10(B)に示すように、上支持金具7の垂下片部7Eが挿入される凹部12H(開放側の側枠板13の凹部13Hは図7に表示)が形成されている。
そして、図7に図示されるように、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材14を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具7の垂下片部7Eを軸支側の側枠板12の外側に取付ビス17で止着するための取付穴12Cが穿設されている。また、軸支側の側枠板12の下部には、下支持金具8の側面折曲部に形成される取付穴8Cと一致させて取付ビス18で止着するための取付穴12Dが穿設されている。さらに、取付穴12Dの下部であって軸支側の側枠板12の前方部分には、軸支側の側枠板12と下部装飾板6とを止着ビス6Eで止着するための取付穴12Eが形成されている。
一方、開放側の側枠板13には、連結部材14を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起22を取付ネジ22Bで取り付けるための取付穴13Cが穿設されている。また、側枠部13Cの下部には、閉鎖用突起23を取付ネジ23Bで取り付けるための取付穴13Cが穿設されている。さらに、開放側の側枠板13の最下方には、側枠板13と下部装飾板6とを止着ビス6Eで止着するための取付穴13Dが形成されている。なお、この閉鎖用突起22,23は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる施錠装置60のフック部(詳細は後述する)と係合するものである。そして、後述するように施錠装置60のシリンダー錠868に鍵を差し込んで一方に回動することにより、施錠装置60のフック部と閉鎖用突起22,23との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
また、下枠板11および左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部装飾板6は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置される。下部装飾板6の表面および側面は、装飾カバー板6aによって被覆されているが、装飾カバー板6aの裏面からは、その後端に弾性爪が形成される止着突起6C(図9参照)が突設している。そして、この止着突起6Cが下部装飾板6を貫通する止着穴6Dに貫通させられることにより、装飾カバー板6aが下部装飾板6に取り付けられる。なお、外枠2の装飾カバー板6aの開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板6Fが交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と軸支側の側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具7と、下部装飾板6の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具8とが、本体枠3に設けられている。
上支持金具7には、前方に突出している支持突出片19に該支持突出片19の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴19Aが形成されており、この支持鉤穴19Aに本体枠3の上軸支金具47の軸支ピン(図16参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具8も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分には上向きに支持突起21が突設されており、この支持突起21に本体枠3の下軸支金具48(図16参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具8の支持突起21に本体枠3の下軸支金具48に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具47の軸支ピンを支持鉤穴19Aに掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
[遊技演出ユニットの概略構成について]
次に、遊技演出ユニット4の概略構成について、図11〜図13を参照して説明する。図11は、遊技演出ユニットの正面から見た斜視図である。図12は、遊技演出ユニットの正面図である。図13は、遊技演出ユニットの背面図である。
図11〜図13に示すように、遊技演出ユニット4は、透明板状の遊技パネル409を保持したほぼ正方形状のパネルホルダ540と、パネルホルダ540の前面に遊技領域20を囲むように取り付けられる前構成部材(遊技領域区画枠部材)680と、を有している。遊技パネル409の表面には、遊技領域20に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に、前構成部材680がパネルホルダ540の前面に取り付けられる。この前構成部材680は、遊技パネル409の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ540の外形に沿った形状に形成されている。
前構成部材680には、その下辺中程から時計回り方向に延びて上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール472として形成されるとともに、外レール472の終端に設けられる衝止部476の下部位置から時計回り方向に延びて当該衝止部476と略左右対称に位置する逆流防止部材463までの円弧面が内レール462として形成されている。外レール472は、その始端部に発射レール38の延長状に設けられたレール接続部材44に連接する接続通路部477が斜め状に形成されており、その接続通路部477に隣接してファール口489が形成されている。また、ファール口489の上流端から衝止部476までの外レール472には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部476は、勢いよく外レール472を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域20の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものである。また、逆流防止部材463は、一端発射されて遊技領域20の内側に取り入れられた打球が再度外レール472に逆流しないように防止するものである。
また、遊技演出ユニット4には、案内レール482を構成する内レール462と外レール472との間隙に、遊技領域20と連通する遊技球の流路である発射案内路29が形成されている。また、発射案内路29の上端は、遊技領域20の上部(逆流防止部材463の設置部位)に設けられて、当該遊技領域20内に遊技球を投入するための球投入口28として機能する。そして、内レール462に沿った下部中央(即ち遊技領域20内における最下流側)には、各始動口602,604や一般入賞口614等、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域20から排出するためのアウト口471が設けられている。一方、遊技領域20に到達せずに発射案内路29を逆流した遊技球は、後述するファール口489に取り込まれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域20は、実質的に内レール462によって囲まれる領域である。
そして、外レール472の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起465が突設されている。この防犯突起465は、扉枠5が閉じられた状態で防犯カバー210(図39参照)に突設される防犯後端部突片215(図39参照)と上下方向に重複して軸支側における本体枠3と扉枠5との隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
さらに、内レール462におけるアウト口471から衝止部476に向かう途中には、レール防犯溝464が形成されている。このレール防犯溝464は、扉枠5が閉じられた状態で防犯カバー210に突設される防犯後突片214(図39参照)の一部が侵入するように溝状に形成されている。そして、このレール防犯溝464と防犯後突片214との凹凸係合により、上下方向に重複して開放側における本体枠3と扉枠5との隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止している。
なお、遊技演出ユニット4の外形形状は、その上部左右に扉枠5の裏面に設けられるスピーカ144a,144bの後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部468が形成され、また、ファール口489の側方斜め下に、後述する球供給通路59の一部が挿入される通路用切欠部478が形成されている。
このような遊技演出ユニット4の一側(軸支側)には、本体枠3に形成されるユニット位置決め突起37に嵌合する位置決め凹部466が形成され、遊技演出ユニット4の他側(開放側)には、本体枠3に形成されるユニット止め具挿入穴(図示しない)に挿入される遊技演出ユニット止め具467が設けられている。遊技演出ユニット止め具467は、押し込み固定したときにその端部がユニット止め具挿入穴に挿入されるようになっている。しかして、遊技演出ユニット4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部466がユニット位置決め突起37に嵌合するように斜め方向から遊技演出ユニット4を差し込んだ後、遊技演出ユニット4の全体を本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技演出ユニット止め具467を押し込み固定してその端部をユニット止め具挿入穴に挿入して固定する。その後、本体枠3の板部32の前面上部に回動自在に設けられる遊技演出ユニット固定具46を回動して遊技パネル409の下部前面を固定する。これによって遊技パネル409を含む遊技演出ユニット4の全体を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技演出ユニット4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。ただし、図示の実施形態の場合には、遊技演出ユニット4の下方側の下端辺の一部を切り欠いて締結部469が形成されており、この締結部469と本体枠3の板部32に形成される締結穴41とを図示しない締結具で締結することにより、その締結具を切断しない限り遊技演出ユニット4を本体枠3から取り外せないようにすることも可能となっている。
一方、遊技演出ユニット4の裏面には、遊技領域20に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体491が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体491の裏面に遊技領域20のほぼ中央に配置される表示装置としての演出表示装置115(図51等参照)の表示を制御する表示装置制御基板816(図85参照)が収納される表示装置制御基板ボックス119が取り付けられている。
更に、遊技演出ユニット4の裏面には、入賞空間形成カバー体491の下方に基板ホルダ505が固定されている。この基板ホルダ505は、その前方に入賞空間形成カバー体491によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が入賞空間形成カバー体491の幅よりも比較的広い)が形成されている。そして、当該空間部の底面に形成された落下口(図示外)がアウト口471の後面部分で合流して、後述する基板ユニット54のアウト球通路645(図28参照)に連通する。
また、基板ホルダ505には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板710(図84参照)を収納する主制御基板ボックス25および周辺制御基板810(図85参照)を収納する周辺制御基板ボックス24と、後述する基板ユニット54に設けられる払出制御基板720(図84参照)や電源基板395(図84参照)等と接続するためのユニット中継基板625と、が取り付けられている。詳細には、基板ホルダ505には、周辺制御基板810が収納された周辺制御基板ボックス24が装着され、その周辺制御基板ボックス24の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板710が収納された主制御基板ボックス25が装着されている。
ユニット中継基板625には、遊技演出ユニット4を本体枠3に装着するだけで自動的に基板ユニット54に設けられる枠側ドロワコネクタ2000b,2002b(図28参照)と接続されるユニット側ドロワコネクタ2000a,2002aが設けられている。すなわち、遊技演出ユニット4側に設けられたユニット側ドロワコネクタ2000a,2002aと、本体枠3側に設けられた枠側ドロワコネクタ2000b,2002bとは、遊技演出ユニット4を前方から本体枠3に装着した場合に、各々が対向して相互に嵌合可能な位置に配設されている。また、ユニット中継基板625には、ユニット側ドロワコネクタ2000a,2002aの略中間位置に後方へ延設された嵌合突起751が形成されている。一方、基板ユニット54には、枠側ドロワコネクタ2000b,2002bの略中間位置に奥方向へ延びる嵌合孔646(図28参照)が形成されている。
かかる構造により、遊技演出ユニット4を本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に前面から取付ける際には、嵌合突起751が嵌合孔646内に案内されつつ嵌め込まれる。それとともに、遊技演出ユニット4側のユニット側ドロワコネクタ2000a,2002aが、本体枠3側の枠側ドロワコネクタ2000b,2002bに各々対向するように位置決めされる。そのため、遊技演出ユニット4を本体枠3に装着するだけで、主ドロワコネクタ2000(2000a及び2000b)及び副ドロワコネクタ2002(2002a及び2002b)が相互接続されるため、わざわざパチンコ機1の背後から電気的な接続作業を行う必要がなく、作業効率が向上する。
[本体枠について]
次に、本体枠3について、図4、図5、図14〜図18を参照して説明する。図4および図5は、前述した通りであり、図14は、遊技演出ユニットを取り付けた本体枠の正面図である。図15は、部品を取り付ける前の本体枠の側面図である。図16は、部品を取り付けた本体枠を前面側から見た斜視図である。図17は、部品を取り付けた本体枠の背面図である。図18は、本体枠を背面側から見た分解斜視図である。
先ず、遊技演出ユニット4が取り付けられる本体枠3の構成について説明すると、本体枠3は、合成樹脂によって一体的に成形されるものであり、本体枠3の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具47および下軸支金具48が取り付けられている。この上軸支金具47および下軸支金具48を、それぞれ、外枠2に取り付けられる上支持金具7および下支持金具8に係合することにより、本体枠3を外枠2に対して開閉自在に軸支することができる。なお、上述のとおり、扉枠5は本体枠3に開閉自在に軸支されているが、外枠2に対して本体枠3を開閉させるに際し、本体枠3に伴って扉枠5も開閉する。
ところで、この実施の形態にかかる本体枠3は、図14及び図17に示されるように、縦長の長方形状に形成されており、その上部の約3/4には、前方から後方に向かって立設するように延設された薄肉状(例えば1〜3.5mmの肉厚)の周面壁(この実施の形態ではいずれも2mm)290〜293を有している。また、この周面壁290〜293により囲繞されることによって形成された空間領域である遊技演出ユニット設置凹部(大収容部、大収容空間)30を有している。なお後述するが、この実施の形態にかかる周面壁290〜293は、外枠2の前面からその後面を超えて13cm以上後方の位置(外枠2の後面から6cm以上の距離をおいた位置)までそれぞれ後方に略立設するように形成されており、上記遊技演出ユニット設置凹部30を側枠板13側から覆うように設けられる第1の本体枠側壁部と、上記遊技演出ユニット設置凹部30を側枠板12側から覆うように設けられる第2の本体枠側壁部と、上記遊技演出ユニット設置凹部30を上方から覆うように設けられる本体枠上壁部とを有して構成されている。
ここで、同図16に示されるように、上記遊技演出ユニット設置凹部30の容積を決定付ける各種のパラメータは以下の通りである。
・遊技演出ユニット設置凹部30の前面収容口30aの最大横幅(第1の本体枠側壁部の前端部分(周面壁290)と第2の本体枠側壁部の前端部分(周面壁290)との距離)L1は概ね49cm。
・遊技演出ユニット設置凹部30の奥行き幅(周面壁290〜293の内壁側の奥行き幅)L2は概ね14cm。
・第1の本体枠側壁部のうちの最後端となる部分(側枠板13側の周面壁293の最後端)の内壁から、第2の本体枠側壁部のうちの最後端となる部分(側枠板12側の周面壁293の最後端)の内壁までの距離(奥側の最大横幅)L3は概ね44cm。
・側枠板13側の周面壁290の内壁側の高さ(前側の高さ)L4は概ね54cm(側枠板12側の周面壁290の内壁側の高さと同等)。
・側枠板13側の周面壁293の内壁側の高さ(奥側の高さ)L5は概ね46cm(側枠板12側の周面壁293の内壁側の高さよりも小さい)。
このような構成によれば、上記遊技演出ユニット設置凹部30の容積は、少なく見積もったとしても、
容積=「前面収容口30aの最大横幅L1」×「前側の高さL4」×「周面壁290の奥行き幅」+「奥側の最大横幅L3」×「後側の高さL5」×「周面壁291〜293の奥行き幅」
といった計算式に基づいて、「31259」立方センチメートルと算出することができる。なお、周面壁290〜293の内壁側の奥行き幅L2のうち、周面壁290の奥行き幅が概ね4.2cm、周面壁291〜293の奥行き幅が概ね9.3cmとして計算している。
すなわち、従来は、本体枠には遊技球を払い出す払出装置及び当該払出装置へ遊技球を案内する払出通路が配置されるが、払出装置や払出通路に干渉しないように、遊技盤を設計するのが一般的であり、これによって遊技盤後方のスペースが制限されていた。この点、このような構成によれば、前面収容口30aの最大横幅L1として概ね49cm、周面壁290〜293の内壁側の奥行き幅L2として概ね14cm、さらには「31259」立方センチメートルといった極めて大きな大収容空間(遊技演出ユニット設置凹部30)が予め確保されるため、遊技領域や演出領域や制御領域をどのように設計するかについての自由度の向上を図ることができるようになる。また、このような遊技演出ユニット設置凹部30を上記周面壁290〜293によって覆うように形成したため、該遊技演出ユニット設置凹部30に収容される部材(遊技領域や演出領域や制御領域が形成される部分)に対する不正行為を好適に抑制することができるようになる。
ちなみに、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、概ね49cmの最大横幅をもって主として遊技領域20(図1参照)が形成される大型遊技板部材と、該大型遊技板部材の裏面側略全域にわたって主として演出領域と制御領域とが形成される大規模裏部材とを有して構成される遊技演出制御ユニット99(図53参照)が、当該遊技演出ユニット設置凹部30に収容される部材として設計されている。すなわち後述するが、この遊技演出制御ユニット99では、図54および図55に示されるように、
・遊技領域20(図1参照)の外周を区画形成する枠状の前構成部材(遊技領域区画枠部材)680。
・前構成部材680の後側で上記遊技領域20(図1参照)を閉鎖するように配置される透明板状の遊技パネル409。
・遊技パネル409の外周を覆うとともに該遊技パネル409を前側から着脱可能に保持する嵌合段部(保持段部)540a、及び該嵌合段部540aの内側に形成され上記遊技領域20(図1参照)と略対応する大きさで前後方向に貫通する貫通口540bを有し、上記前構成部材680の後側に取り付けられる枠状のパネルホルダ540。
等々といった部品などから構成される大型遊技板部材に対し、
・パネルホルダ540の後側に取り付けられ、前側が開放された所定深さの箱状で後壁に開口部を備えた裏箱514、及びこの裏箱514内で上記開口部の外周に、遊技者側から投影して見たときに上記遊技領域20(図1参照)と重なる部分も含めて配置される発光装飾体1720を少なくとも有した裏ユニット510。
・裏ユニット510の開口部を後側から塞ぐように配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示装置115。
・演出表示装置115の背後に取り付けられて該演出表示装置115にかかる制御を行う内周側基板、及び発光装飾体1720の背後に取り付けられて該発光装飾体1720にかかる制御を行う外周側基板を含めて、複数の制御基板が奥行き方向に積層されるように配設されてなる制御装置(図示略)。
等々といった部品などから構成される大規模裏部材が、上記大型遊技板部材の裏面側略全域にわたって概ね8〜13cmの奥行き幅をもって取り付けられており、上記大型遊技板部材及び上記大規模裏部材共々、上記前面収容口30aからのみ上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に収容可能とされている。
このような遊技演出制御ユニット99では、これも後述するが、透明板状の遊技パネル409や、裏ユニット510などが設けられるため、従来の演出とは違った新たな演出を行うことができるようになる。ただし、このように透明板状の遊技パネル409や、裏ユニット510を備える場合には、遊技領域と演出領域とが奥行き方向に完全に分離されることとなる。しかも、この実施の形態では、裏ユニット510の開口部を後側から塞ぐように配置される演出表示装置115、及び裏ユニット510の開口部の外周に配置される発光装飾体1720が設けられているため、これらに付随する制御装置が上記裏ユニット510の裏面略全域にわたってさらに設けられることとなる。このため、当該遊技演出制御ユニット99は、奥行き幅が略全面12cm程度の大きさをもった略直方体状に形成されることとなってしまうが、上述の遊技演出ユニット設置凹部30によれば、このような遊技演出制御ユニット99であっても収納することが可能であり、これによって遊技の興趣の向上を図ることができるようになる。
なお、遊技演出ユニット設置凹部30の下方には、板部32が形成されている。また、遊技演出ユニット設置凹部30を囲む前面側には、開放側である前面右側辺部の上部、中間部、下部に、扉用フック穴352が開設されている。なお、扉用フック穴352は、本体枠3の開放側裏面に取り付けられる施錠装置60(詳細は後述する)に設けられる扉枠用フック部973を貫通させて前方に飛び出させるためのものである。また、軸支側である前面左側辺部の内側面に、遊技パネル409に形成される位置決め凹部466と係合するためのユニット位置決め突起37が設けられている。
ところで、従来は、上述のような容積をもった遊技演出ユニット設置凹部30を形成することは根本的に無理であった。すなわち、一般的なパチンコ機では、ホールに設置されている島設備との兼ね合いで、外枠2の最大横幅は概ね520mmに設定されている。ただし、従来のパチンコ機では、外枠の肉厚が概ね20mmに設定されていることから、左右に設けられる縦枠の肉厚分(合計40mm程度)、さらには上記外枠に対する上記本体枠の開放を規制するように上下方向に摺動可能な摺動杆などの配設スペースを考慮すると、遊技球が打ち込まれる遊技領域が形成される部材の横幅を480mm以上とすることすら不可能であった。このような背景にあって、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、外枠2や本体枠3としての最低限の強度は確保しつつ、前面収容口30aの最大横幅L1として概ね49cm、周面壁290〜293の内壁側の奥行き幅L2として概ね14cm、さらには「31259」立方センチメートルといった極めて大きな大収容空間(遊技演出ユニット設置凹部30)を予め確保している。
以下、このような大収容空間(遊技演出ユニット設置凹部30)を確保可能とした各種の新規な構成について、順に説明する。
まず、遊技演出ユニット設置凹部30の下方に設けられる板部32について、図14を参照して説明する。なお、板部32は、本体枠3の前面側の構成である。
図14に示すように、板部32には、前面の中央部から開放側の端部に向かって発射レール38がビス止め固定されている。この発射レール38(所謂M字レール)の軸支側の先端位置に対応する板部32の前面には、レール接続部材44が突設している。このレール接続部材44は、遊技演出ユニット設置凹部30に遊技演出ユニット4が設置されたときに、外レール472の下流端である接続通路部477と隣接するようになっている。レール接続部材44の軸支側の側方位置(発射レール38と反対側の位置)には、遊技演出ユニット4(具体的には遊技パネル409)の下部を固定するための楕円形状の遊技演出ユニット固定具46が回動自在に取り付けられている。この遊技演出ユニット固定具46は、遊技演出ユニット設置凹部30に遊技演出ユニット4が載置された状態で時計方向に回動して、遊技演出ユニット固定具46を遊技パネル409の前面に押圧して、遊技パネル409を含む遊技演出ユニット4の全体を本体枠3に固定するものである。一方、遊技演出ユニット4を取り外す場合には、遊技演出ユニット固定具46を反時計方向に回すことにより、遊技パネル409の下部の固定の解除を簡単に行うことができる。
また、本実施形態では、従来のような所謂下皿を設けることなく、1つの皿ユニット300を設けるのみである。下皿を設けていないのは、遊技領域20の拡大化を図るために遊技演出ユニット4の上下方向長さを長くするためである。また、ハンドルユニット318、発射レール38およびレール接続部材44等から構成される発射機構が板部32に配置されており、この板部32は、遊技演出ユニット設置凹部30よりも前面側且つ下方であるため、遊技領域20を、上下方向(遊技者から見た高さ方向)に拡大化できる。なお、従来の下皿がないことから、板部32ひいては発射機構が従来の遊技機よりも全体的に下方に位置している。
ところで、レール接続部材44が突設している位置には、従来のパチンコ機では、所謂ファール口が形成されていた。このファール口は、発射されたにも拘らず遊技領域20に打ち込まれずに逆流した遊技球(所謂ファール球)を受け入れ、当該ファール球を下皿に戻す役割を果たしていた。この位置にファール口が設けられていたのは、本体枠に遊技演出ユニットを装着する際に、遊技演出ユニットに設けられるレールと本体枠に設けられる発射レールとが接触して、これらの部品が破損する虞があるからである。よって、遊技演出ユニット側のレールと本体枠側の発射レールとの間に間隙を設けることによって、本体枠に遊技演出ユニットを装着する際に生じうる遊技演出ユニット側のレールと本体枠側の発射レールとの接触を防止していたのである。
しかしながら、本実施形態のパチンコ機1には下皿が設けられていない。そこで、ファール口489(図26参照)を、前構成部材680(より詳しく言えば、接続通路部477よりも上流側(軸支側)であって且つ接続通路部477と案内レール482(外レール472)との間)に形成することによって、皿ユニット300の貯留部361にファール球を戻すことが可能となる。貯留部361は、遊技演出ユニット4を載置する載置面(遊技演出ユニット4が載置される本体枠3の面)よりも下方であるから、ファール口489(図26参照)を遊技演出ユニット4としての前構成部材680側に形成することによって、貯留部361にファール球を戻すことができるのである。
上記構成とすることで、下皿を設けることなく遊技演出ユニット4の上下方向長さを大きくしつつも、ファール球を皿ユニット300の貯留部361に戻すことができると共に、本体枠3に遊技演出ユニット4を装着する際に生じうる遊技パネル409側の接続通路部477と本体枠3側の発射レール38との接触を防止することが可能となる。
更に、遊技演出ユニット固定具46の軸支側の側方には、賞球払出ストッパー機構39が設けられている。この賞球払出ストッパー機構39は、球払出装置53(図17参照)から払出された賞球を扉枠5側の皿ユニット300に払い出す賞球通路の途中に設けられており、扉枠5を開放したときに、自動的に賞球通路を閉塞して賞球通路から外部に球がこぼれ落ちないようにする一方、扉枠5を閉じたときに自動的に賞球通路を連通させて球払出装置53から払出された賞球を皿ユニット300に払い出すものである。なお、発射レール38の発射位置の上方の板部32には、遊技演出ユニット4に形成される締結部469と図示しない締結具で締結するための締結穴41が形成されている。
また、板部32の開放側下部には、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部40が形成されており、発射装置57は、この発射装置取付部40に、本体枠3の裏面から固定される。また、発射装置取付部40の前面壁部分には、ハンドル連結窓40aが形成されている。このハンドル連結窓40aには、扉枠5の裏面側に取り付けられるスライドユニット230のスライド係脱片231(図1参照)が挿入される。そして、扉枠5を閉じると、後述するスライド係脱片231がハンドル連結窓40aに挿入されて、扉枠5の下部前面に設けられるハンドルユニット318と発射装置57とが連携される。また、発射装置57は、ハンドルユニット318の回動操作量に応じた強さで遊技球に対する弾発力を調節することができるようになっており、これにより、発射レール38の発射位置にある遊技球を弾発して遊技領域20の所望の位置に打ち出すことができる。
本体枠3の前面構造は概ね上記した通りであるが、次に、本体枠3の裏側構造について、主として図4及び図17を参照して説明する。図4及び図17に示すように、本体枠3の裏面上部(本体枠上壁部の上面)には、賞球又は貸球として払い出すための遊技球を貯留する賞球タンク50が着脱自在に装着されている。また、この賞球タンク50の下方には、該賞球タンク50からの球を横傾斜状に誘導するタンクレール部材51が配置され、さらにタンクレール部材51の流下端から下方に向けて球通路ユニット52および球払出装置53が設けられている。
すなわち、この実施の形態では、図15と併せ示されるように、上記周面壁290〜293のうちの本体枠上壁部は、その後端部分(周面壁293)から内側方向(図4中、下方向)へ延設された後壁部(第2の後壁部)を有しており、上記周面壁290〜293のうちの第2の本体枠側壁部は、その後端部分(周面壁293)から内側方向(図4中、左方向)へ延設された後壁部(第3の後壁部)を有している。そしてこのうち、本体枠上壁部の後壁部にタンクレール部材51を取り付けるとともに、第2の本体枠側壁部の後壁部に球通路ユニット52および球払出装置53を取り付けるようにしている。このように、周面壁293の後端部分をわざわざ折り曲げて後壁部を設けるようにすることで、上記遊技演出制御ユニット99が収納される上記遊技演出ユニット設置凹部30としての奥行き幅を圧迫することなく、タンクレール部材51、球通路ユニット52、及び球払出装置53を上記後壁部に取り付けることができるようになる。
ここで、上記本体枠上壁部の後壁部の外面に取り付けられる上記タンクレール部材51は、上記賞球タンク50に貯留された遊技球を上記第1の本体枠側壁部の側(図4中、左側)から受け取って上記第2の本体枠側壁部の側(図4中、右側)まで横方向に流下させる構造を採用している。また、同タンクレール部材51は、遊技球が二列となって流下する二条の通路(図示略)を備えている。これにより、これにより、タンクレール部材51自体に多くの遊技球を確保することができるようになり、遊技者への遊技球の払い出しがスムーズになる。なお、賞球タンク50及びタンクレール部材51については一体形成してもよいが、これら部材の設計の自由度が高められたことを考慮すれば、別部材として設けるようにするほうが実用上望ましい。
これに対し、上記第2の本体枠側壁部の後壁部の外面に取り付けられる球通路ユニット52は、上記遊技演出ユニット設置凹部30としての奥行き幅を確保するために、上記タンクレール部材51からの遊技球が一列となって流下される一条の通路(図示略)を備えるようにしている。ただしこの場合、タンクレール部材51中を二列となって流下された遊技球が、球通路ユニット52に到達して一列となるときに互いに衝突してしまい、遊技球の払い出しが遅くなることや、遊技球の詰まりが生じることが懸念される。
そこで、この実施の形態にかかるタンクレール部材51では、上記二条の通路を通じて二列となって流下された遊技球を上記球通路ユニット52に交互に供給する順序供給装置51aを備えるようにしている。これにより、遊技球の払い出しが遅くなることや、遊技球の詰まりが生じることを好適に回避しつつ、上記遊技演出ユニット設置凹部30としての奥行き幅を確保することができるようになる。
なお、このような順序供給装置51aとしては、例えば、回転体に突設された各歯の間に遊技球を1つずつストックしながら回転する2つの歯車を備えた歯車装置などを採用することができる。すなわち、このような歯車装置にあっては、上記2つの歯車が、互いの歯の箇所が遊技球の半径程度ずれるように形成された状態にて、上記二条の通路の別にそれぞれ配設されている。そして、2つの歯車のいずれかを通過した遊技球が、上記球通路ユニット52の一条の通路に供給される仕組みとなっている。このような構成では、上記タンクレール部材51の二条の通路によって二列となって流下した遊技球は、この順序供給装置51aによって、1つずつ、上記一条の通路に順次に供給されるようになる。
そして、このような順序供給装置51aから球通路ユニット52に導かれた遊技球は、上記一条の通路を落下し、さらには上記球払出装置53に導かれる。そして、この球払出装置53に導かれた遊技球は、後述する払出制御基板ボックス55に収納される払出制御基板720(図84参照)によって実行される払出制御プログラムに応じて所定個数の賞球や貸球として、扉枠5の前面側に設けられる皿ユニット300に払い出される。なお、球払出装置53には、後述するように、払出モータおよび該払出モータによって回転駆動されて球を1個単位で払い出す回転払出部材が設けられている。
更に、本体枠3の裏面(後述の第4周面壁293から内側に向けて折り曲げられた面)には、遊技演出ユニット4の下端よりも下方に位置するようにして、基板ユニット54が取り付けられている。この基板ユニット54は、各種制御基板を収納する複数の基板ボックスがユニットとして集約化されたものである。複数の基板ボックスとしては、払出制御基板ボックス55、端子基板ボックス56、電源基板ボックス62等がある。これら各種基板ボックスは、電源基板ボックス62の後方に払出制御基板ボックス55および端子基板ボックス56が配置されることにより、積層配置されている。なお、払出制御基板ボックス55、端子基板ボックス56、電源基板ボックス62等は、遊技演出ユニット4の交換に伴って交換する必要がないものである。そこで、これらの制御基板ボックスを、遊技演出ユニット4とは分離した基板ユニット54として集約化して本体枠3の裏面に配置したのである。従って、複数の基板ボックスによって遊技演出ユニット4の奥行き方向のスペースが阻害されることがないので、遊技演出ユニット4を奥行き方向に大きくすることができる。また、これに加えて、パチンコ機1の背面側において、遊技演出ユニット4や基板ユニット54を効率よく配置できるので、見た目に整頓される。パチンコ機1の背面側が見た目に煩雑であれば、ぶら下がり基板のような不正な基板が取り付けられたとしても、ホール関係者がそれに気付くことが困難となってしまう。この点、パチンコ機1の背面側を見た目に整頓されていれば、上記のような不正行為があったとしても発見が容易となり、その結果、不正を抑制することが可能となる。
また、後述するように、遊技演出ユニット4を遊技演出ユニット設置凹部30に収納設置した際に、遊技演出ユニット4側に設けられる主制御基板と、基板ユニット54に設けられる基板であって主制御基板と接続する必要のある基板と、の電気的な接続が先述のドロワコネクタ2000,2002によって自動的に行われるようになっている。これにより、遊技演出ユニット4を遊技演出ユニット設置凹部30に収納設置したのち、わざわざパチンコ機1の背後から電気的な接続作業を行う必要がなく、作業効率が向上する。
また、上記した基板ユニット54の下方に位置する発射装置取付部40(図14参照)には、ユニット化された発射装置57が取り付けられている。さらに、本体枠3の前述した周面壁290〜293の後端に沿って形成される後面開口70には、裏カバー58が開閉自在に設けられている。この裏カバー(透明カバー体)58は、上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容された遊技演出制御ユニット99を後方から視認可能に覆うものであり、この裏カバー58を取り付けて後面開口70を閉じた状態では、図5に示すように、パチンコ機1の最も後方へ突出しているタンクレール部材51の後端部とほぼ同一垂直面となる。
すなわち、この実施の形態では、図15と併せ示されるように、上記周面壁290〜293のうちの第1の本体枠側壁部は、その後端部分(周面壁293)から内側方向(図4中、右方向)へ延設された後壁部(第1の後壁部)を有している。そして、第1の本体枠側壁部の後壁部の外面に、上記裏カバー58が開閉自在に軸支されるための裏カバー支持筒部280が設けるようにしている。このように、周面壁293の後端部分をわざわざ折り曲げて後壁部を設けるようにすることで、上記遊技演出制御ユニット99が収納される上記遊技演出ユニット設置凹部30としての奥行き幅を圧迫することなく、裏カバー58を上記後壁部に取り付けることができるようになる。
また、本体枠3の開放側裏面には、施錠装置60が固定されている。この施錠装置60は、外枠2に対する本体枠3の施錠および本体枠3に対する扉枠5の施錠の両方の施錠を行う所謂W錠といわれるものである。そして、この施錠装置60から本体枠3の前方に向けて、複数(本実施形態においては3個)の扉枠用フック部973とシリンダー錠868(共に図1参照)とが突出するように設けられているが、詳細は後述する。
総括すると、図18に示すように、本実施形態の本体枠3には、全体として以下のような組み付け構造を有する。すなわち、本体枠3の背面側には、第1周面壁290と第2周面壁291と接続する垂直面にタンク取付溝202が形成されており、このタンク取付溝202により賞球タンク50が遊技演出ユニット設置凹部30の上方に取り付けられる。また、レール係止溝203が後面開口70の開口縁に沿って形成されており、このレール係止溝203によりタンクレール部材51が、上後面壁295に沿って取付られる。また、軸支側後面壁296の背面側において形成された通路ユニット取付ボス204により、タンクレール部材51の下方に球通路ユニット52が取付けられる。また、タンクレール部材51の下方に形成された球払出装置設置領域205において、パチンコ機1の軸支側に隣接して球払出装置53が設置される。さらに、本体枠3の正面側から、遊技演出ユニット設置凹部30の軸支側底壁に相当する球供給通路設置部206に、球供給通路59が取り付けられる。
また、本体枠3の開放側背面下部において、後方に向かって突設された発射装置取付ボス208により、発射装置57が発射装置取付部40の凹状内部に取り付けられる。さらに、払出制御基板ボックス55、端子基板ボックス56、電源基板ボックス62、基板トレイ64などが一体にユニット化された基板ユニット54が、板部32の左右上下に設けられた取付穴部207に対して背面側から止着される。なお、開放側後面壁294の背面側には裏カバー支持筒部280が形成されており、この裏カバー支持筒部280によって裏カバー58が軸支されて後面開口70を閉塞可能となっている。
図示するように、かかる構造を有する本体枠3においては、遊技演出ユニット設置凹部30が大容量空間として形成されるとともに、遊技演出ユニット設置凹部30の底壁部が略面一となる。そのため、後述するように奥行きが大きい箱状の外観をなす遊技演出ユニット4を遊技演出ユニット設置凹部30に設置しやすい。さらに、遊技演出ユニット設置凹部30の空間形状と略同一の箱状外観を有する遊技演出ユニット4を、当該遊技演出ユニット設置凹部30に隙間なく緊密に設置することができるため、遊技演出ユニット4のぐら付きや不正行為が適切に防止される。以下では、本体枠3に組みつけられる各種部材について、さらに個別詳細に説明する。
<タンクレール部材>
上記した賞球タンク50の下方に配置されるタンクレール部材51について、主として図19及び図20を参照して説明する。図19は、賞球タンク、タンクレール部材、球通路ユニット、球払出装置及び球供給通路の関係を示すパチンコ機の背面側から見た斜視図である。図20は、賞球タンク、タンクレール部材、球通路ユニット、球払出装置及び球供給通路の関係を示すパチンコ機の正面側から見た斜視図である。
図19及び図20に示すように、タンクレール部材51は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク50の排出口1404に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット52に臨んでいる。また、タンクレール部材51の内部は、仕切壁によって遊技球が2列に整列して流下する二条の通路1412となっている。なお、この通路1412の底面は、細溝が切り欠けられており、遊技球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。
また、タンクレール部材51の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材1413が揺動自在に設けられている。この球ならし部材1413は、タンクレール部材51の2列のそれぞれの通路1412内に向かって垂下され、各通路1412を流下する遊技球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材1413の設置位置より下流側のタンクレール部材51の上面が球押え板1414によって被覆されている。この球押え板1414は、球ならし部材1413によって1段とならなかった遊技球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。
更に、タンクレール部材51の下流端部には、それぞれの通路1412に臨んで一対の整列歯車1416(先述の順序供給装置51aに相当)が、軸ピン1417によって回転自在に軸支されている。この整列歯車1416は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車1416の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン1417に固定されている。このため、タンクレール部材51の各通路1412を流下してきた遊技球の上部が整列歯車1416の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路1412の遊技球が交互に1つずつ送られることになる。なお、整列歯車1416は、その上面を円弧状の歯車カバー1415によって被覆されている。
<球通路ユニット>
上記したタンクレール部材51から一列状に落下される遊技球を球払出装置53に導くための球通路ユニット52について、主として図21を参照して説明する。図21は、球通路ユニットの正面断面図である。
図21に示すように、球通路ユニット52は、本体枠3に形成される遊技演出ユニット4の収容空間を背面で迂回するように垂直方向(高さ方向)に沿って設けられている。この球通路ユニット52は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁1421によって球落下通路(高さ方向通路)1422が形成されている。この球落下通路1422は、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部1422aと、該前後屈曲通路部1422aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部1422bと、該左右屈曲通路部1422bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部1422cとからなっている。また、垂直通路部1422cを構成する一方の屈曲通路壁1421に切欠部1423が形成され、その切欠部1423に上端が支軸1425によって軸支される球切れ検出片1424が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片1424の側方には、球切れスイッチ1426が取り付けられ、球切れスイッチ1426のアクチュエータ1427が球切れ検出片1424に当接している。
しかして、垂直通路部1422cに遊技球が存在しているときには、垂直通路部1422cに存在する遊技球によって球切れ検出片1424が押圧されて、アクチュエータ1427を押して球切れスイッチ1426をONとする。一方、垂直通路部1422cに球詰まりや球欠乏により遊技球が存在しなくなると、球切れ検出片1424が垂直通路部1422c内に向かって揺動するので、アクチュエータ1427が球切れスイッチ1426をOFFとする。球切れスイッチ1426がOFFになると、後述する球払出装置53の払出モータの回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。
なお、切欠部1423の下端部には、球切れ検出片1424の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起1428が形成されており、また、球通路ユニット52の球切れ検出片1424に対応する垂直通路部1422cに球詰まり用挿入溝1429が形成されている。この球詰まり用挿入溝1429は、球詰まり等で球切れ検出片1424の揺動動作が行われ難い場合に、球払出装置53の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片1424部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片1424に対面する他方の屈曲通路壁1421は、若干球切れ検出片1424側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部1422cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片1424を押圧して球切れスイッチ1426をONにするためである。
<球払出装置>
次に、上記した球通路ユニット52の下流側に配置される球払出装置53について、主として図22及び図23を参照して説明する。図22は、球払出装置の背面側から見た分解斜視図である。図23は、払出モータと払出部材としてのスプロケットとの関係を説明するための背面図である。
球払出装置53は、一対の屈曲通路壁1452によって屈曲通路1453が形成されるユニットベース体1451と、該ユニットベース体1451の後面を覆うユニットサブ板1475と、該ユニットサブ板1475の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板1480と、ユニットサブ板1475のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群1493,1494,1497及び検出円盤1500を被覆するギヤカバー1510とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体1451は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板1475側に向かって突設される一対の屈曲通路壁1452によって屈曲通路1453が形成されている。屈曲通路壁1452は、ユニットベース体1451の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体1451の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁1452が大きく左右に分かれた部分は、振分部材としてのスプロケット1457が配置される振分空間1455を構成する。そして、その振分空間1455の下部からユニットベース体1451の下流端までに左右に分かれた屈曲通路壁1452の対をなすように通路区画壁1459が突設形成されている。つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁1452と通路区画壁1459とによって振分空間1455から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路1460を構成し、他方の通路が球抜通路1461を構成している。なお、通路区画壁1459も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁1459の内側に払出モータ1465を収納するモータ収納空間1464が形成されている。
また、上記した振分空間1455には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット1457が回転自在に配置されるが、このスプロケット1457が固定される回転軸1458の他端を軸支する軸受筒1456が振分空間1455の底面に形成されている。また、振分空間1455の底部を構成する通路区画壁1459の上端部は、スプロケット1457の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路1460の上流部には、払出球検出センサ1462が着脱自在に装着されている。払出球検出センサ1462は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致する取付部を屈曲通路壁1452で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ1462からの配線(図示しない)は、後述する中継基板1480に接続されるようになっている。
また、ユニットベース体1451の下方であって賞球通路1460と球抜通路1461との間には、払出モータ1465を収納する円形状のモータ収納空間1464が形成されるが、このモータ収納空間1464の内部に払出モータ1465の円筒状本体が収納されるようになっている。そして、払出モータ1465がユニットサブ板1475のアルミ放熱板1491に取り付けられた状態で、払出モータ1465のモータ軸1468は、アルミ放熱板1491に穿設された軸挿通穴を貫通して第1ギヤ1493が固着されるようになっている。更に、ユニットベース体1451には、球抜通路1461の最下端に球抜きされた遊技球を球払出装置53の裏面側に誘導する誘導突片1469が突設され、この誘導突片1469に誘導された球が後述する球抜き接続通路415に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。
また、ユニットサブ板1475は、ユニットベース体1451の屈曲通路1453部分と振分空間1455部分と賞球通路1460部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ1465が取り付けられると共に球抜通路1461の下流部分とを覆うアルミ放熱板1491を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板1475の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板1480を取り付けるための中継基板領域1476が上部に形成され、その下方に複数のギヤ1493,1494,1497や検出円盤1500が取り付けられるギヤ領域1490が形成されている。
また、中継基板1480は、払出球検出センサ1462、払出モータ1465、及び後述するセンサ1505からの配線と、後述する払出制御基板720(図84参照)からの配線とを中継するものである。そのため、中継基板1480には、複数のコネクタ1481が設けられて、基板カバー1485によって被覆される。
また、基板カバー1485は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、基板カバー1485の正方形状の垂直面にはボタン開口1488及び接続開口部1489が形成されている。なお、基板カバー1485を被覆した状態では、着脱ボタン1472の頭部がボタン開口1488から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板1480に接続された配線は、接続開口部1489から外部に引き出されるようになっている。
次に、ギヤ領域1490に設けられるギヤ1493,1494,1497、及び検出円盤1500について説明する。前述したように、払出モータ1465のモータ軸1468の先端は、第1ギヤ1493が固着されている。第1ギヤ1493の上方には、該第1ギヤ1493と噛合する第2ギヤ1494が、軸1495に回転自在に設けられる。その第2ギヤ1494の上方には、該第2ギヤ1494と噛合する第3ギヤ1497が、軸1498に回転自在に設けられている。更に、第3ギヤ1497の上方には、該第3ギヤ1497と噛合するギヤ部1502を有する検出円盤1500が、スプロケット1457を軸支する回転軸1458に回転自在に設けられている。そして、スプロケット1457と検出円盤1500とは、回転軸1458を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ1465が回転駆動すると、その回転が第1ギヤ1493、第2ギヤ1494、第3ギヤ1497、検出円盤1500のギヤ部1502を介してスプロケット1457を回転するように伝達される。
検出円盤1500の外周は、ギヤ部1502の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部1502よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット1457の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠1501が形成されている。この検出切欠1501は、ユニットサブ板1475の表面に形成される基板取付部1507に挟持支持されるセンサ基板1504に設けられる投受光方式のセンサ1505によって検出されるものである。そして、センサ1505は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠1501の検出個数を検出することにより、スプロケット1457が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ1505により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット1457による球噛み状態)には、スプロケット1457を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた遊技球の個数は、前述した賞球通路1460に設けられる払出球検出センサ1462によって検出して計数のために使用している。
以上、球払出装置53の構成について説明してきたが、ユニットベース体1451とユニットサブ板1475と中継基板1480と基板カバー1485とギヤカバー1510とを組み付けた状態においては、払い出すべき遊技球が導かれる屈曲通路1453の下方位置に、払出モータ1465の円筒状の本体部分が収納されるように位置している。しかも、払出モータ1465とスプロケット1457とを、ユニットサブ板1475の後面のギヤ領域1490に設けられる複数のギヤ1493,1494,1497,1500(1502)によって回転駆動するように連結した構造となっている。よって、球払出装置53の上方から下方にかけての奥行き幅寸法をほぼ一定とし、従来のように払出モータを球払出装置の前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、球払出装置53のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。
また、本実施形態では、図4に示すように、球払出装置53の背面に同球払出装置53の組み付けに使用されるビスのビス止め部分を隠蔽するようにシール53aが貼り付けられている。近年、遊技機は液晶表示器等の大型化によってその裏面の構造が複雑となっており、ホール関係者等の作業者のメンテナンス性を考慮する必要がある。そして、本実施形態にかかる遊技機でも、一連の払出通路を遊技機背面に配置することでメンテナンス性を高めるようにしている。ところが、メンテナンス性を高めると、作業者が意図せず精密部品を分解等してしまうトラブル等が起こり易い。このため、本実施の形態では、球払出装置53におけるこうしたトラブル等を防ぐべく、同球払出装置53の組み付けに使用されるビスをシール53aにより隠蔽し、シール53aを剥がさない限り球払出装置53を分解することができないようにしている。すなわち、シール53aを設けることで作業者の作業意思が明確に確認されることとなり、意図せず取り外しや分解が行われることが好適に防止される。また、「分解禁止」の文字をシール53aに印刷することで、作業者の注意を促し、より明確に作業意思を確認することができる。なお、作業意思を確認するものであればシール53aに限らず上記ビスを覆うカバー部材等を設けることも可能である。また、注意を喚起する色として一般的に知られている黄色および黒色でシール53aを着色することも効果的である。
<球供給通路>
上記した球払出装置53の下流側に配置される球供給通路(奥行き方向通路)59について、主として図24及び図25を参照して説明する。図24は、球供給通路内の遊技球の流れを示す斜視図である。図25は、満タン揺動板の作用を説明するための平面図である。
球供給通路59は、上面が開放され、遊技球1つ分の厚みで略水平方向に広がるボックス状に形成されたボックス主体1521と、該ボックス主体1521の上面を覆う蓋体1541とから構成され、全体として平坦な形状を呈している。この球供給通路59は、上記本体枠3に遊技演出ユニット4が取り付けられたとき、この遊技演出ユニット4の底面に沿うように設けられる。ボックス主体1521は、賞球通路1460の下流端から流入した遊技球が内部をジグザグ状に誘導されて球出口1536から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体1541に形成される賞球入口1542から流入した遊技球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路1522が区画壁1526によって形成されている。側方誘導通路1522の賞球入口1542の直下の一端部には、遊技球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部1523が設けられ、側方誘導通路1522の他端内面に側方誘導通路1522を流れてきた遊技球の衝撃を受け止めて下流側に誘導する緩衝部材1524が設けられている。
また、側方誘導通路1522の他端内面に設けられる緩衝部材1524に衝突した遊技球は、向きを下流側に変えた後、その下流側に形成される傾斜側壁1527によって側方誘導通路1522の球の流れと逆方向に流れるように誘導される。つまり、区画壁1526と傾斜側壁1527とにより逆側方誘導通路1525が形成されている。逆側方誘導通路1525を流れた遊技球は、その後前方に向かって形成される前方誘導通路1535に導かれて該前方誘導通路1535の流下端に形成される球出口1536から前述した皿ユニット300の貯留部361に導かれる。
ところで、緩衝部材1524の下流側で逆側方誘導通路1525の一端部には、スイッチ収納空間1528が外側に突出するように形成されている。このスイッチ収納空間1528の前方下部位置には、支軸ピン1529が挿通された満タン揺動板1531が揺動自在に設けられている。満タン揺動板1531は、逆側方誘導通路1525の一端側壁を形成するように板状に形成され、その板状の下端に軸穴が形成されると共にその裏面に検出片1532が一体的に形成されている。検出片1532は、満タン揺動板1531の裏面に連結される扇状の連結板の後端部分を上下方向に突設することにより形成され、その突設した検出片1532が後に詳述する投受光方式の満タンスイッチ730の投光器と受光器との間を遮蔽したり導通させたりすることにより満タンスイッチ730のON・OFFを検出するようになっている。なお、蓋体1541には、スイッチ収納空間528に対応する位置は、投受光方式の満タンスイッチ730を取り付けるためのスイッチ取付部1543が形成されている。
そして、支軸ピン1529には、軸スプリング1530も挿通され、その軸スプリング1530の一端が満タン揺動板1531の裏面に係止され、他端が支軸ピン1529の後方に立設されるバネ係止ピン1549に係止されることにより、満タン揺動板1531の上端部が常時逆側方誘導通路1525側に付勢されている。ただし、スイッチ収納空間1528の上部には、側方誘導通路1522の他端側壁の下流側延長位置とその後方位置とに2つのストッパー片1534が形成されている。そのため、満タン揺動板1531の上端部は、この2つのストッパー片1534の間で支軸ピン1529を中心にして揺動するだけである。なお、スイッチ収納空間1528の上部側壁の後方部分には、満タンスイッチ730からの配線を外部に引き出すための配線引き出し凹部1547が形成されている。
更に、逆側方誘導通路1525の下流側の一側方にファール球通路1537が形成されている。ファール球通路1537は、その上流側のファール球入口1538が後述する連通口473(ファール球誘導路473a)に連通し、その下流側が前方誘導通路1535の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口489(図26参照)に取り入れられ連通口473に落入したファール球は、ファール球入口1538から屈曲したファール球通路1537を通って前方誘導通路1535に導かれ、さらに球出口1536を通って皿ユニット300の貯留部361に戻される。
上記のように構成される球供給通路59においては、図24に示すように、球払出装置53の賞球通路1460から払出された遊技球が、賞球入口1542から側方誘導通路1522の上流側に入り、側方誘導受部1523によって球出口1536の方向とは異なる側方に向かって誘導されて緩衝部材1524に衝突する。緩衝部材1524に衝突した遊技球は、その勢いが弱められた状態でそのまま下流側に向かって傾斜側壁1527に当たって逆側方誘導通路1525を側方誘導通路1522の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路1535に導かれ、前方誘導通路1535の球出口1536から皿ユニット300の貯留部361に導かれる。また、ファール球入口1538から入ったファール球も屈曲したファール球通路1537によって球の勢いを弱められて前方誘導通路1535に合流し、前方誘導通路1535の球出口1536から皿ユニット300の貯留部361に導かれる。
上記のように、球供給通路59内を遊技球が自然に流れているときには、図25(A)に示すように、側方誘導通路1522から逆側方誘導通路1525に遊技球が移動するときに、緩衝部材1524に当たって傾斜側壁1527のほぼ中央位置に向かって反射されるため、遊技球が満タン揺動板1531に当たることはほとんどない。このため、軸スプリング1530の付勢力により満タン揺動板1531の上端が前方のストッパー片1534に当接した状態となっているため、検出片1532が投受光方式の満タンスイッチ730の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300の貯留部361に賞球が貯留されて球供給通路59内にも遊技球が充満してきたときには、図25(B)に示すように、前方誘導通路1535及び逆側方誘導通路1525に貯留された遊技球の圧力により、満タン揺動板1531が軸スプリング1530の付勢力に抗して時計回転方向に揺動して後のストッパー片1534に当接した状態となる。この状態では、検出片1532が投受光方式の満タンスイッチ730の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ730がONすると、球払出装置53の払出モータ1465の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。なお、前方誘導通路1535及び逆側方誘導通路1525に遊技球が貯留された状態であっても、ファール球通路1537の底面の傾斜が極めて強いため、貯留している遊技球がファール球通路1537を逆流してファール球入口1538から逆流することはない。
上記したように、本実施形態に係る球供給通路59においては、本体枠3の球供給通路設置部206に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、球供給通路を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に球供給通路を形成する必要がない。
また、球供給通路59の上流直近に球払出装置53が設けられるため、球供給通路59に送り出され、平坦な球供給通路59によって適度な払い出しスピードで遊技球の払い出しを行うことができる。また、球払出装置53が球供給通路59の上流直近に設けられることで、球供給通路59への遊技球の供給を、その遊技球の勢いを極力弱めたかたちで実現できる。
また、球供給通路59が、略水平方向に広がるボックス状に形成されているため、この球供給通路59に送り出された遊技球を球供給通路59内で散らして貯留部361へと払い出すことができる。すなわち、従来の遊技機が、まとまった遊技球をいわば直線的に勢いよく払い出していたのに対し、本実施形態では、球供給通路59にて球の勢いを弱めてゆっくりとした払い出しスピードとするとともに、球供給通路59内における遊技球同士の衝突も含めて散らすように遊技球を払い出す。このため、こうした払い出し態様によって遊技者に出球感や払い出し感といったものを感じさせ、これにより、大当たり時の賞球獲得の際、至福感を与えることができる。また、球払出装置53の賞球通路1460から払い出された遊技球を、側方誘導受部1523によって球出口1536の方向とは異なる側方に向かって誘導し、一旦、緩衝部材1524へと衝突させるようにしたため、緩衝部材1524に衝突して以降の遊技球の速度をその自然落下力でほぼ一定速度に制御できるようになる。さらに、球供給通路59の内部をジグザグ状の通路とすることにより、球払出装置53の賞球通路1460から払出された遊技球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができ、払い出された賞球が貯留部361から外に飛び出すようなこともない。
また、満タンスイッチ730を作動させる満タン揺動板1531が通常の遊技球の流れによって影響を受けることのない側方誘導通路1522の流下端の下方の位置に設けられているので、通常時に満タンによる賞球の払出停止状態となることはなく、満タン時にだけ確実に賞球の払出停止状態とすることができる。
更に、本実施形態に係る球供給通路59は、ファール球を導くファール球通路1537が賞球を払い出す前方誘導通路1535の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
<ファール球排出に関する機構>
ここで、本体枠3及び遊技演出ユニット4によって形成されるファール球排出に関する機構について、図26を参照してより詳細に説明する。図26は、本体枠及び遊技演出ユニットの接合部位を中心とした正面拡大図であって、(A)が球案内通路における遊技球の射出態様を示す図であり、(B)が球案内通路における遊技球の逆流態様を示す図である。
図26に示すように、遊技者によるハンドルユニット318の操作に応じて、発射レール38の発射位置に供給される遊技球が、発射装置57の打球槌57aの往復動作によって発射案内路29に向けて射出される。この遊技球が発射案内路29により案内されて遊技領域20に到達すると、当該遊技球が球投入口28から投入されて遊技領域20を流下するように構成されている。
まず、図26(A)に示すように、発射装置57により射出された遊技球は、その付勢力によって発射レール38上を滑走して、この発射レール38の上端から発射案内路29内に放射される。ここで、発射レール38はパチンコ機1の開放側から軸支側に向けて傾斜が漸増するように上方に向けて若干湾曲している。また、発射レール38と接続通路部477との間隙を塞ぐレール接続部材44の上面部44aには、発射レール38と接続通路部477とが当該レール接続部材44によって接続されるように、パチンコ機1の開放側から軸支側に緩やかに上昇する勾配がつけられている。そして、このレール接続部材44において発射レール38と連結される部位は、当該発射レール38の上端部よりも低くなっている。
このような構造により、発射レール38の上端から放出される遊技球は、レール接続部材44および接続通路部477に接触することなく、発射案内路29における外レール472の内側面(レール面472a)に直接到達可能である。そして、外レール472に到達した遊技球は、さらに当該外レール472のレール面472aに案内されつつ、発射案内路29内を上昇するように流動する。一方、遊技球に対する付勢力が小さいために外レール472に到達する前に失速して、遊技球が接続通路部477上に落下することがある。この場合には、レール接続部材44によって遊技球が接続通路部477と発射レール38との間隙から下方にこぼれ落ちることが防止され、後述するように当該遊技球は発射レール38の発射位置に戻される。
なお、遊技演出ユニット4では、外レール472と接続通路部477との間隙が、連通口473に連通して遊技球が落入可能な開口(ファール口489)として機能する。そして、発射レール38の上端から放出されたものの逆流してファール口489に落入したファール球は、後述するように連通口473に進入して皿ユニット300の貯留部361に排出される。
次に、図26(B)に示すように、発射装置57により射出された遊技球が、遊技領域20に到達する前に失速して発射案内路29内を逆流(すなわち、下方に向けて流動)することがある。このとき、発射案内路29内を逆流する遊技球は、外レール472のレール面472aに案内されつつ下方に向けて流動し、外レール472の下端部472bに至ると、接続通路部477の軸支側上端部からファール口489の内部(すなわち、下方)に連設される止壁部477bに当接してファール口489に落下(落入)する。そして、このファール口489に落入した遊技球は、連通口473に向けて進入し、または、接続通路部477の止壁部477bに沿って連通口473に案内される。
ここで、連通口473には、当該連通口473の下縁に沿って遊技演出ユニット4を前後方向に貫通するように形成された遊技球の流路であるファール球誘導路473aが形成されている。そして、このファール球誘導路473aは、遊技演出ユニット4の前方から後方に向けて下方傾斜するとともに、遊技球の流下方向における最下流側において先述の球供給通路59のファール球入口1538に連通している。そのため、連通口473に進入した遊技球は、ファール球誘導路473a上を転動して遊技演出ユニット4の背面側に導かれ、さらに球供給通路59内を転動して皿ユニット300の貯留部361に排出される。
一方、発射案内路29を逆流する遊技球の勢いが大きい場合、当該遊技球がファール口489を跳び越えて接続通路部477の上面477aに至ることがある。このとき、当該遊技球は、開放側に向けて下方傾斜した接続通路部477の上面477aに案内されつつ、更に開放側に向けて転動する。そして、緩慢な傾斜を有するレール接続部材44の上面部44aで減速しつつ転動したのちに、発射レール38を逆流して発射位置まで戻ることとなる。
なお、遊技演出ユニット4を本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に設置し、且つ、当該本体枠3に対して扉枠5を閉鎖した状態で、遊技者は連通口473を遊技窓101を介して視認可能である。そのため、発射案内路29内を逆流する遊技球が連通口473に進入する態様を、遊技者が目視することができる。
ところで、従来、ファール口は遊技盤下方の本体枠に設けられており、ファール球のほぼすべてが、ファール口から回収される。つまり、外レールまで至らないような打ち損じたファール球でさえも、ファール口から回収されてしまうのである。そのため、外レールまで到達して遊技者から視認されないファール球は、遊技者側からは、どうなっているのか分からず、打ち出し調整が困難になるおそれがある。この点、本実施形態では、接続通路部477の上面477aのファール球は、発射レール38側へ戻される。すなわち、外レール472まで至らないような打ち損じたファール球は、発射位置へ戻される。これにより、打ち直しに要する時間を軽減することができ、打ち出し調整が従来よりも容易になる。
また、ファール口489が遊技演出ユニット4(詳細には、後述の前構成部材680)に設けられているため、外レール472を逆走する遊技球を速やかに回収できる。しかも、接続通路部477の止壁部477bによって、外レール472の下端部472bから流下するファール球がファール口489へ落入させられる。これにより、外レール472を逆走する遊技球を確実に回収できる。
ファール口489へ落入したファール球を遊技演出ユニット4(詳細には、後述の前構成部材680)の裏側へ排出する連通口473(ファール球誘導路473a)が設けられている。このように連通口473(ファール球誘導路473a)を遊技演出ユニット4(詳細には、後述の前構成部材680)に設けるようにしたため、ファール球が比較的高い位置で排出されることになり、例えば前面側の皿ユニット300の貯留部361へファール球を戻し易くなる。
また、従来では、前面側に上下2つの貯留皿を有する構成において、ファール口から回収された遊技球が、下側の貯留皿(下皿)へ戻されるようになっている。この場合、遊技者自らが下皿のファール球を上側の貯留皿(上皿)へ戻す必要があり、打ち出し調整のときには特にファール球が多くなることから、興趣の低下を招くおそれがある。この点、本実施形態では、ファール球誘導路473aにて排出されたファール球は、球払出装置53からの払い出される賞球の流路である球供給通路59へ合流させられる。つまり、入賞時の遊技球が払い出される皿ユニット300の貯留部361へファール球を戻すのである。これにより、遊技者自らがファール球を上皿へ戻すという作業が不必要となり、打ち出し調整時などのファール球による興趣の低下を軽減することができる。
特に、本体枠3の下部に設けられた球供給通路59よりも連通口473(ファール球誘導路473a)が上方に形成されているため、遊技演出ユニット4(詳細には、後述の前構成部材680)の裏側へ排出されるファール球が、滞りなく球供給通路59へ案内される。これによって、ファール球が皿ユニット300の貯留部361へ戻されるまでに要する時間が比較的短くなる。
また、内レール462が外レール472の内側並設されており、球投入口28へ至る発射案内路29が形成されている。これにより、球投入口28まで至らないファール球が発射案内路29に沿って下方へ流下するため、外レール472の下端部472bから流下するファール球の軌道を安定させることができ、接続通路部477の止壁部477bにより、当該ファール球をほぼ確実にファール口489へ落入させることができる。
ここで、本実施形態では、発射案内路29のほぼ全域が遊技窓101(図39参照)を介して前面側から視認可能となっている。そのため、球投入口28まで至らないファール球の挙動が分かり、打ち出し調整がさらに容易になっている。ここで、従来、本体枠にファール口を備える構成では、球投入口まで至らないファール球はファール口へ受け入れられて回収されていた。そのため、打ち出し調整時にファール球が多くなると、貯留皿へ戻される遊技球が多くなり、また、打ち出し調整がし難いという問題があった。この点、本実施形態では、ファール口489を越えて発射案内路29へ至ったファール球がファール口489へ受け入れられ、一方、ファール口489を越えず発射案内路29まで至らなかったファール球は、発射位置へ戻される。つまり、視認されたファール球のみがファール口489に受け入れられて回収され、視認されなかったファール球に関しては発射位置へ戻されるのである。このようにすれば、たとえ打ち出し調整時にファール球が多くなったとしても、皿ユニット300の貯留部361へ戻される遊技球を比較的少なくすることができる。また、視認されないようなファール球に関しては発射位置からの打ち直しが可能となるため、打ち出し調整が比較的容易となる。
ところで、ファール口489が、外レール472の下端部472bに隣接させて遊技演出ユニット4(詳細には、後述の前構成部材680)に設けられている。一方、発射レール38は、本体枠3に設けられる。したがって、仮に発射レール38を遊技演出ユニット4に到達するほど長くした場合、本体枠3に収容される遊技演出ユニット4(の一部である前構成部材680)に干渉してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、レール接続部材44と接続通路部477とからなる「整合部」を設けるようにした。この「整合部」は、ファール口489と発射レール38との間に介在して外レール472から発射レール38までを一連とするものである。このような「整合部」(レール接続部材44及び接続通路部477)を介在させれば、発射レール38を長くする必要がなくなり、発射レール38と遊技演出ユニット4(前構成部材680)との干渉という問題を解消することができる。これにより、たとえファール口489を遊技演出ユニット4(前構成部材680)に設ける構成であっても、発射レール38の取り付けが容易になる。
そして、上述の「整合部」の上面部が発射レール38側へ傾斜する傾斜面で構成され、当該傾斜面のファール球は、発射レール38側へ戻される。つまり、この「整合部」の上面部によって、所定の発射位置までファール球が戻されるのである。これにより、打ち直しに要する時間を軽減することができ、打ち出し調整が従来よりも容易になる。
ここで、上述の「整合部」のファール球を発射レール38側へ戻す構成では、「整合部」の発射レール38側の端部上面を、発射レール38の端部レール面と同一面上に配置することも考えられる。しかしながら、例えば発射レール38の取り付け誤差などにより、「整合部」の端部上面が発射レール38の端部レール面よりも高くなってしまうおそれがある。そして、「整合部」の端部上面が僅かでも高くなってしまうと、発射された遊技球が「整合部」に接触してしまうことになる。この点、本実施形態では、「整合部」の上面部の発射レール38側に近接する端部上面が、発射レール38の端部レール面よりも下方に配置されているため、例えば発射レール38の取り付け誤差などがあったとしても、「整合部」の端部上面が発射レール38の端部レール面よりも高くなってしまうことがない。すなわち、発射された遊技球がレール接続部材44に接触してしまうことが防止される。
また、上述の「整合部」が、遊技演出ユニット4の接続通路部477(案内部に相当)と本体枠3のレール接続部材44(段差部に相当)とからなるため、遊技演出ユニット4を本体枠3に収容する構成において、接続通路部477とレール接続部材44との整合を考えればよく、レール部分(発射レール38、外レール472)の干渉を回避することができる。特に、レール接続部材44が本体枠3の前面部に一体成形されてなるため、レール接続部材44を別体で取り付ける構成と異なり、レール接続部材44自体の取り付け誤差などが生じないようになっている。また、発射レール38が、レール接続部材44と所定の位置関係を保持するように本体枠3に取り付けられる。レール接続部材44は、上述したように本体枠3の前面部に一体成形されているため、発射レール38を本体枠3に対して適切に取り付けることができる。
また、上述の「整合部」のファール球をレール接続部材44側へ戻す構成では、接続通路部477のレール接続部材44側の端部上面を、当該レール接続部材44の端部上面と同一面上に配置することも考えられる。しかしながら、例えば遊技演出ユニット4の収容誤差などにより、レール接続部材44の端部上面が、接続通路部477の端部上面よりも高くなってしまうおそれがある。そして、レール接続部材44の端部上面が高くなってしまうと、接続通路部477から発射レール38側へファール球が戻り難くなってしまう。この点、本実施形態では、遊技演出ユニット4を本体枠3に収容した状態した状態において、レール接続部材44の上面部の接続通路部477側に近接する端部上面が、当該接続通路部477の上面部の端部上面よりも下方に配置されている。これにより、例えば遊技演出ユニット4の収容誤差などがあったとしても、レール接続部材44の端部上面が接続通路部477の端部上面よりも高くなってしまうことがなく、接続通路部477からレール接続部材44を経てファール球が速やかに発射位置に戻るようになる。
ところで、近年、液晶表示器等の大型化に伴って遊技領域が拡張される傾向にある。これに従い、発射装置から遊技領域の球投入口に至る遊技球の案内経路も長くなっている。この案内経路はレール部材で構成されるのであるが、レール部材が長くなるとレール部材から受ける摩擦力が大きくなり、また、外乱要因が大きくなるため、いわゆる球飛びが安定しないなどの不具合が生じるおそれがある。
この点、本実施形態では、外レール472の下端部472bとの間にファール口489を形成する接続通路部477が設けられている。さらに、接続通路部477と発射レール38との間に介在するレール接続部材44が本体枠3に設けられている。そして、発射位置から発射され発射レール38に案内された遊技球は、接続通路部477及びレール接続部材44を越えて外レール472へ直接到達する。つまり、発射レール38及び外レール472のみによって、球投入口28へ案内されるのである。このようなレール接続部材44を設けることで、発射レール38を一層短くすることができ、遊技球に生じる摩擦力をさらに抑制することができ、外乱要因も比較的小さくなるため、より一層、球飛びを安定させることができる。
そして、レール接続部材44の上面部44aも発射レール38側へ傾斜する傾斜面で構成され、当該傾斜面のファール球は、発射レール38側へ戻される。つまり、レール接続部材44の上面部44aによって、所定の発射位置までファール球が戻されるのである。これにより、打ち直しに要する時間を軽減することができ、打ち出し調整が従来よりも容易になる。
ところで、ファール口489を本体枠3側ではなく遊技演出ユニット4に形成するようにしたことで、ファール球の排出に伴う本体枠3の損傷や破損などを防止することができる。そして、ファール球の排出に伴って遊技演出ユニット4に損傷や破損などが生じたとしても、遊技演出ユニット4のみを交換すれば適切にファール球を排出できるようになるため、パチンコ機1や遊技演出ユニット4のリサイクルやメンテナンスが容易となるメリットがある。
また、先述のように、ファール球および賞球はともに1つの経路である球供給通路59によって共通の皿ユニット300の貯留部361に排出される。そのため、従来のように、ファール球の戻し通路と賞球の払出通路とを別途設ける必要がなく、本体枠3の構造が簡素化される。そして、本体枠3に設けられるファール球と賞球の排出通路が共通化されることから、遊技演出ユニット設置凹部30を狭めることなく、遊技演出ユニット設置凹部30を大収容空間として確保することが可能である。
<遊技演出ユニット設置凹部>
次に、遊技演出ユニット設置凹部30の構成について、図15および図16を参照してさらに説明する。遊技演出ユニット設置凹部30は、正確には、図16に示すように、上辺部と開放側の一部に遊技演出ユニット4を収納しない前向きの鍔面部分があり、上辺部の鍔面部分には特に何も形成されていないが、開放側の鍔面部分には、施錠装置60の扉枠用フック部973が貫通する扉用フック穴352が上中下の3箇所開設されている。つまり、開放側の鍔面部分の裏面に施錠装置60が固定されている(図4参照)。
しかして、遊技演出ユニット設置凹部30は、上述のとおり、第1周面壁290と、第2周面壁291と、第3周面壁292と、第4周面壁293とにより、本体枠3の左右側辺および上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。ここで、第1周面壁290は、軸支側の内側面、上辺部の鍔面部、開放側の鍔面部および下辺部の内側面から後方に向けて、遊技演出ユニット設置凹部30が囲繞されるように周設されている。また、第2周面壁291は第1周面壁290から後方に向けて延設され、第3周面壁292は第2周面壁291から後方に向けて延設され、第4周面壁293は該第3周面壁292から後方に向けて延設されている。このように、本体枠3は、四角筒状に一体成型されている。ただし、下辺部の内側面からは、第1周面壁290および第2周面壁291のみが延設されており、この第2周面壁291の後方に、基板ユニット54が近接して配置されている。
なお、第1周面壁290〜第4周面壁293は、上辺(本体枠上壁部)および軸支側の辺(第2の本体枠側壁部)からは段差をもって後方に真っ直ぐに延長して形成されるのに対し、開放側の辺(第1の本体枠側壁部)については、第1周面壁290から第4周面壁293に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図5参照)に形成されている。なお、開放側の第1周面壁290から第4周面壁293に向けて内側傾斜状としたのは、本体枠3を外枠2に対して開放する際に、スムーズに開放することができるようにするためである。即ち、開放側の辺の第1周面壁290から第4周面壁293までを後方に真っ直ぐに延長して形成すると、本体枠3を外枠2に対して開放する際に、第4周面壁293の最後端部が外枠2の側枠板の内面と当接してスムーズに開放できない虞があり、これを回避するためである。また、開放側の第1周面壁290に沿って施錠装置60が取り付けられるが、この施錠装置60の取付けは、第1周面壁290の後端辺に設けられる錠取付穴(図示外)を利用して行われるため、その錠取付穴(図示外)を形成するためにも開放側の第1周面壁290から第4周面壁293を傾斜段差状に形成することが好ましい。更に、第1周面壁290の内周面と遊技演出ユニット4の外周面とを当接させる必要があるため、第1周面壁290と第2周面壁291との段差はある程度大きな段差をもって形成されるが、第2周面壁291〜第4周面壁293の段差の寸法は極めて小さな段差となっている。
ただし、開放側の第1周面壁290から第4周面壁293に向けて、上記第1の本体枠側壁部を無駄に大きく内側傾斜状としたのでは、上述した遊技演出ユニット設置凹部30の容積、特に奥側の最大横幅L3として概ね44cmといった距離を確保することは困難となってしまう。そこで、この実施の形態では、外枠2の前面一側に対して上記本体枠3が軸支される部分を開閉軸Oとするとき、第1の本体枠側壁部については、上記開閉軸Oの軸点を中心として水平面上に描かれる仮想円の円弧Cに沿うように段階的に折り曲げられつつ後方に延びるように設けることとした(図5参照)。すなわちこの場合、上記第1の本体枠側壁部は、外枠2との間で衝突して上記本体枠3の開放動作に悪影響を及ぼさないための最小限の幅だけ内側に向かって内側傾斜状となって形成されることとなり、これによって上記遊技演出ユニット設置凹部30の容積、特に奥側の最大横幅L3として概ね44cmといった距離を確保することができるようになる。
また、上記第1の本体枠側壁部を、段階的に折り曲げつつ後方に延びるように設けることとしたため、単純に内側方向に直線的に形成した場合よりも当該本体枠3の構成部品としての強度を好適に確保することができるようになる。しかも、このような第1の本体枠側壁部と一体形成される上記第2の本体枠側壁部及び上記本体枠上壁部についても、第1の本体枠側壁部が折り曲げられる都度、自身の肉厚程度分だけ内側に折り曲げられつつ後方に延びるように設けることとしたため、薄肉の周面壁290〜293としての強度を効率よく確保することができるようになる。また、上記第2の本体枠側壁部及び上記本体枠上壁部については、自身の略肉厚分だけしか内側に折り曲げていないため、これによって上記遊技演出ユニット設置凹部30が無駄に小さくなってしまうこともない。
なお、この実施の形態では、上記第1の本体枠側壁部については、上記開閉軸Oの軸点から上記側枠板13の前面までの距離L11(図49参照)の概ね0.98倍を半径距離とする仮想円の円弧に沿うように段階的に折り曲げられつつ後方に延びるように設けるようにしている。ただし後述するが、この実施の形態では、上記側枠板13の後端部分に、概ね19mmの肉厚をもった厚み部13bが形成されている。このため、上記第1の本体枠側壁部は、外枠2に対して上記本体枠3が開放動作されるときに、外枠2の前端部分よりも特に後端部分(厚み部13b)との間で衝突してその開放動作に悪影響を及ぼしかねない。そこで、この実施の形態では、上記第1の本体枠側壁部については、上記開閉軸Oの軸点から上記厚み部13bまでの距離L12(図49参照)の概ね0.99倍を半径距離とする仮想円の円弧に沿うように段階的に折り曲げられつつ後方に延びるように設けるようにしている。このように、上記開閉軸Oの軸点から上記側枠板13の後端部分までの距離に対する倍率のほうが高くなるだけの半径距離をもった仮想円の円弧に沿うように上記第1の本体枠側壁部を設けたことで、従来の前端部分に半径距離を合わせる場合よりも、上記遊技演出ユニット設置凹部30の容積、特に奥側の最大横幅L3として概ね44cmといった距離を確保することができるようになる。すなわち、逆に言えば、上記概ね19mmの肉厚をもった厚み部13bを、上記側枠板13の前端部分でなく、その後端部分に設けるようにしたことで、上記遊技演出ユニット設置凹部30の容積、特に奥側の最大横幅L3として概ね44cmといった距離を確保することができるようになる。
そして、上記した周面壁290〜293は、図15に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第1周面壁290の幅寸法d1は遊技パネル409の側部を覆うことができる厚みに相当し、残りの第2周面壁291と第3周面壁292と第4周面壁293とによって形成される空間に、遊技演出ユニット4としての各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。特に、本実施形態の場合には、次に説明するように、遊技パネル409の外周辺に対応する位置まで第2周面壁291と第3周面壁292と第4周面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されている。これにより、例えば、遊技板としての遊技パネル409の大部分を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、この演出表示装置115の後側に取り付けられる表示装置制御基板ボックス119(図13等参照)による後方突出部分を楽に収納することができる。なお、この実施の形態にかかる周面壁290〜293は、上記外枠2の後面からは概ね63mm後方まで延びるように形成されている。
また、第4周面壁293の後端辺、具体的には開放側の辺、上辺および軸支側の辺から、それぞれ、開放側後面壁294、上後面壁295および軸支側後面壁296が内側に向かって延設されている。なお「開放側後面壁294、上後面壁295および/または軸支側後面壁296」は、本発明の「後壁部」に相当する。
軸支側後面壁296は、その前面が平板状となっており、その後面に球通路ユニット52と球払出装置53とが、軸支側後面壁296に沿って着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、軸支側後面壁296の内側への突出幅は、球通路ユニット52と球払出装置53とを取り付ける幅があれば充分である。
また、上後面壁295は、その前面が平板状となっており、その後面にタンクレール部材51が取り付けられる。なお、タンクレール部材51は、遊技球が流下可能であるように傾斜しており、上後面壁295の下端辺は、タンクレール部材51に沿って傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁295の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材51の高さ幅寸法があれば充分である。
更に、開放側後面壁294は、その前面が平板状となっており、その後面には裏カバー58を軸支する裏カバー支持筒部(取り付け部材)280が形成されている。したがって、開放側後面壁294の内側への突出幅は、裏カバー支持筒部280を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第4周面壁293の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁294、上後面壁295および軸支側後面壁296の前面が平板状に形成されている。また、上記したように、遊技パネル409の外周辺に対応する位置まで第2周面壁291と第3周面壁292と第4周面壁293とによって形成される空間の大きさが確保されている。従って、例えば、遊技板としての遊技パネル409の大部分を占めるような演出表示装置115等が取り付けられている場合においても、この演出表示装置115の後側に取り付けられる表示装置制御基板ボックス119による後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁294、上後面壁295および軸支側後面壁296の内側は、後面開口70となっており、この後面開口70が裏カバー58(図4参照)によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
<基板ユニット>
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット54について、主として図27及び図28を参照して説明する。図27は、基板ユニットを背面側から見た斜視図である。図28は、基板ユニットを前面側から見た斜視図である。
図27及び図28に示すように、基板ユニット54は、本体枠3の裏面下部に複数形成される取付穴部207(図18参照)に取り付けられるものであり、合成樹脂成形された基板トレイ64に、扉中継基板68、電源基板ボックス62、端子基板ボックス56、払出制御基板ボックス55、主ドロワ中継基板648及び副ドロワ中継基板649の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板68、電源基板ボックス62、端子基板ボックス56及び払出制御基板ボックス55は、基板トレイ64内の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板648及び副ドロワ中継基板649は、基板トレイ64内の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス55の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板648及び副ドロワ中継基板649は、基板カバー641に被覆されて取り付けられている。
まず、基板トレイ64は、横長状に合成樹脂で成形され、その後面側一側部に配線用開口642が形成され、該配線用開口642の内側に扉中継基板68を取り付けるための中継基板用凹部が形成されている。この基板トレイ64の左右両辺及び下辺には、基板ユニット54を本体枠3に取付けるための取付片643が外側に向かって突設され、該取付片643を本体枠3の取付穴部207(図18参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット54が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、基板トレイ64の他端側側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片644が形成されている。
また、基板トレイ64の前面側のほぼ中央には、アウト球通路645が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路645は、前述したアウト口471、球抜き接続通路415の下流側、及び落下口(図示外)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が遊技球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット54を本体枠3に取り付けたときには、アウト球通路645の幅広上流部がアウト口471の下面を支持する通路支持突起(図示外)の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路645の下流端からアウト球や入賞球、あるいは玉抜き球がパチンコ機1の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
次に、基板トレイ64の前面側に取り付ける主ドロワ中継基板648と副ドロワ中継基板649について説明する。
ここで、上記主ドロワ中継基板648には、枠側主ドロワコネクタ2000bと、払出制御基板用コネクタ2010とが上下に設けられている。このうち、枠側主ドロワコネクタ2000bは、上記遊技演出制御ユニット99の裏面側に取り付けられるユニット側主ドロワコネクタ2000a(図13参照)と接続されることで、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)に対する電源ラインを形成する部分である。すなわち、この実施の形態にかかる主制御装置(主制御基板710、図84参照)は、上記本体枠3側の払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)を介して電源を供給される構造となっており、上記枠側主ドロワコネクタ2000bは、当該主ドロワ中継基板648の基板内配線(図示略)にて上記払出制御基板用コネクタ2010と電気的に接続されている。そして、この払出制御基板用コネクタ2010が、上記払出制御基板(払出制御基板720、図84参照)の内部接続端子(図示略)とワイヤーハーネス(図示略)にて接続されることで、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)に対する上記電源ラインが形成されることとなる。なお、この実施の形態では、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000a及び払出制御基板用コネクタ2010は、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)と上記払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)との間の情報授受ラインとしても共有されている。
これに対し、上記副ドロワ中継基板649には、枠側副ドロワコネクタ2002bと、扉枠用コネクタ2012とが上下に設けられている。このうち、枠側副ドロワコネクタ2002bは、遊技演出制御ユニット99の裏面側に取り付けられるユニット側副ドロワコネクタ2002a(図13参照)と接続されることで、上記演出制御装置(周辺制御基板810、図85参照)の後述の枠装飾中継端子板240に対する情報授受ラインを形成する部分である。すなわち、上記枠側副ドロワコネクタ2002bは、当該副ドロワ中継基板649の基板内配線(図示略)にて上記扉枠用コネクタ2012と電気的に接続されており、この扉枠用コネクタ2012が上記枠装飾中継端子板240とワイヤーハーネス(図示略)にて接続されることで、上記演出制御装置(周辺制御基板810、図85参照)の後述の枠装飾中継端子板240に対する情報授受ラインが形成されることとなる。これにより、上記演出制御装置は、上記枠装飾中継端子板240を通じてスピーカ144a,144bや操作ボタン327や枠装飾ランプ842などの駆動にかかる制御を行うことができるようになる。
以上、基板ユニット54の構成について説明してきたが、本実施形態の場合には、パチンコ機1を駆動制御するために必要な各種の基板のうち、遊技演出ユニット4の変更に伴って交換される遊技制御基板及び表示装置制御基板以外の基板である扉中継基板68、電源基板ボックス62に収納された電源基板395(図84参照)、端子基板ボックス56に収納された外部端子板753(図84参照)、払出制御基板ボックス55に収納された払出制御基板720(図84参照)を、基板トレイ64に予め組み付けてユニット化している。そして、このユニット化した基板ユニット54を本体枠3の背面側下部に取り付けるだけの簡単な作業によって、従来別々に本体枠3の背面側に取り付けていた各種の基板取付作業に比べ、作業能率を向上することができる。また、この場合、基板ユニット54にユニット化される各基板同士の配線も基板トレイ64の内部に収めることができるので、基板同士を接続する配線が乱雑に入り乱れることがなく、整然と敷設することができる。
また、本実施形態においては、基板ユニット54の前面に枠側主ドロワコネクタ2000bを有する主ドロワ中継基板648と、枠側副ドロワコネクタ2002bを有する副ドロワ中継基板649とを設けた。そして、本体枠3に遊技演出ユニット4(詳細には、遊技演出制御ユニット99)をその前面側から装着する際に、遊技演出制御ユニット99の裏面側に設けられるユニット中継基板625のユニット側主ドロワコネクタ2000a及びユニット側副ドロワコネクタ2002aが、それぞれ対応する枠側主ドロワコネクタ2000b及び枠側副ドロワコネクタ2002bに接続される。したがって、遊技演出制御ユニット99の装着と基板間の接続とを同時に行うことができ、遊技演出制御ユニット99の交換作業を手際よく行うことができる。
すなわち上述の通り、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、図53に、図16と併せて示されるように、上記遊技パネル409は、主制御装置(遊技制御装置)を含めた1つの遊技演出制御ユニット99として上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30にその前面収容口30aから収容される構造となっている。この点、このようなパチンコ機1にあって、この実施の形態では、まず、上記箱状からなる基板ホルダ(周辺制御基板ボックス24、主制御基板ボックス25、表示装置制御基板ボックス119など)を、上記遊技演出制御ユニット99が上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容されたときに上記一対の本体枠側壁部及び上記本体枠上壁部のうちの少なくとも1つの内壁(周面壁290〜293の内壁の一部)と接するように設けるようにしている。
そしてこの上で、同図53に示されるように、基板ホルダの周縁にフランジ部FGを形成しておき、上記パネルホルダ540の後面の外周縁端に設けられたビス孔(図示略)との間で該フランジ部FGをビス止めすることによって、上記遊技パネル409を備えた大型遊技板部材に対して当該基板ホルダを取り付けるようにしている。またさらに、上記遊技演出制御ユニット99が上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容されたときの上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)に対する電源ラインを、上記本体枠3側の上記遊技演出ユニット設置凹部30の下方に取り付けられた上記払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)を介して、該払出制御装置との間の情報授受ラインと共有された主ドロワコネクタ(ユニット側主ドロワコネクタ2000a、及び枠側主ドロワコネクタ2000b)によって上記主制御装置(遊技制御装置)と上記払出制御装置とが電気的に接続されることによって形成するようにしている。また、上記主ドロワコネクタのうちの上記遊技演出制御ユニット99側に設けられるユニット側主ドロワコネクタ2000aを、上記基板ホルダの下部周縁の上記フランジ部FGが設けられる箇所にて後方を向くように固定配置するとともに、上記主ドロワコネクタのうちの上記本体枠3側に設けられる枠側主ドロワコネクタ2000bを、上記遊技演出ユニット設置凹部30の最下部にて前方を向くように固定配置するようにしている。
このような構成では、上記基板ホルダと上記本体枠3の内壁との間の接触によって、上記遊技演出制御ユニット99はその収容箇所まで案内されつつ上記遊技演出ユニット設置凹部30に適正に収容されるようになる。そしてこの上で、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)に対する電源ラインを、本体枠3側の上記払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)を介して、該払出制御装置との間の情報授受ラインと共有された主ドロワコネクタ(ユニット側主ドロワコネクタ2000a、及び枠側主ドロワコネクタ2000b)によって確保するにあたり、ユニット側主ドロワコネクタ2000aを、上記基板ホルダの下部周縁の上記フランジ部FGが設けられる箇所にて後方を向くように固定配置するとともに、枠側主ドロワコネクタ2000bを、上記遊技演出ユニット設置凹部30の最下部にて前方を向くように固定配置することとした。したがって、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99が収容されるだけで上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと上記枠側主ドロワコネクタ2000bとが自ずと接続されるようになり、これによって上記遊技演出制御ユニット99が上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容された後の、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)に対する電源ラインを適宜のコネクタによって接続するなどの手作業を割愛することができるようになる。
しかも、上記構成では、上記箱状からなる基板ホルダの周縁に、上記パネルホルダ540の後面に設けられるビス孔である取付孔540j(図58参照)との間でビス止めされる上記フランジ部FGを形成しておき、このフランジ部FGが形成される箇所に上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aを設けることとした。すなわち上述の通り、透明板状の遊技パネル409を有する大型遊技板部材(遊技板部)に対し、所定深さを有する箱状の裏ユニット510を取り付けることによってその後方から発光演出を行う構造を採用した上記遊技演出制御ユニット99では、奥行き方向に各種の制御基板が配設されるスペースが必要となる。この点、上記構成では、基板ホルダのフランジ部FGに上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aを設けることとしたため、当該コネクタ2000aをコンパクトに配設することができることはもとより、上記各種の制御基板が配設される奥行き方向のスペースに設計変更が生じたとしても、上記フランジ部FGに設けられる上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aについてはその位置を変更させる必要がなく、ひいては上記枠側主ドロワコネクタ2000bの位置も好適に維持されるようになる。
また、説明の便宜上、図示は割愛するが、この実施の形態では、ユニット側主ドロワコネクタ2000aを、上記フランジ部FGから上記基板ホルダ内に進入するように設けられたワイヤーハーネス(図示略)と接続させておき、該ワイヤーハーネスの逆側には、自由端とされて上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)と接続されるホルダ内ドロワコネクタ(図示略)を形成することとしたため、上記主制御装置の配置や設計に変更が生じたとしても、上記フランジ部FGに設けられる上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aについてはその位置を好適に維持することができるようになる。またさらに、フランジ部FGから上記基板ホルダ内に進入するように設けられたワイヤーハーネスと接続させておくようにしたことで、上記主制御装置(主制御基板710、図84参照)と上記払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)との間での情報授受に用いられる信号ライン(ワイヤーハーネス)を、同図53に示されるように、上記基板ホルダ(周辺制御基板ボックス24、主制御基板ボックス25)内にて不正行為から好適に保護することができるようになる。
なお、この実施の形態では、上記パネルホルダ540の後面の外周縁端には上記基板ホルダの取り付けのために必要とされる以上の複数のビス孔(取付孔540j)が予め設けられている。これにより、上記基板ホルダ側の設計に変更が生じたとしても、上記大型遊技板部材(遊技板部)の構成を好適に維持することができるようになる。
また、その一方で、上記本体枠3側においては、図28に、図16と併せて示されるように、上記枠側主ドロワコネクタ2000bの固定配置される上側部分のみが、上記本体枠3の裏面下部(本体枠3の下側部分)から上記遊技演出ユニット設置凹部(大収容空間)30に突出するように設けられた主ドロワ中継基板648を備えるようにしている。なお、枠側主ドロワコネクタ2000bの固定配置される位置は、上記遊技演出制御ユニット99が上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容されたときに上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aが位置する位置となっている。そして、当該主ドロワ中継基板648のうちの上記枠側主ドロワコネクタ2000bが固定配置される面と同一面の下側部分に、上記枠側主ドロワコネクタ2000bと基板内配線(図示略)にて電気的に接続された払出制御基板用(枠内主ドロワコネクタ)コネクタ2010を固定配置することとしたため、上記払出制御装置(払出制御基板720、図84参照)の配置や設計に変更が生じたとしても、上記枠側主ドロワコネクタ2000bについてはその位置を好適に維持することができるようになる。またさらに、上記払出制御基板用コネクタ2010を、上記主ドロワ中継基板648と上記本体枠3の裏面下部との間に挟まれるかたちで固定配置することとしたため、主制御装置と払出制御装置との間での情報授受に用いられる信号ライン(ワイヤーハーネス)を、上記主ドロワ中継基板648と上記本体枠3の下側部分との間のスペース内にて不正行為から好適に保護することができるようになる。
ちなみに、このようなユニット側主ドロワコネクタ2000aの構造や、取付け位置は、ユニット側副ドロワコネクタ2002aにおいても同様のことが言える。すなわち、ユニット側副ドロワコネクタ2002aも、上記基板ホルダの下部周縁の上記フランジ部FGが設けられる箇所にて後方を向くように固定配置されるとともに、上記フランジ部FGから上記基板ホルダ内に進入するように設けられたワイヤーハーネス(図示略)と接続されている。なお、このワイヤーハーネスもその逆側には、自由端とされて上記演出制御装置と接続されるホルダ内ドロワコネクタ(図示略)が形成されている。
また、枠側副ドロワコネクタ2002bも同様、上記副ドロワ中継基板649では、当該枠側副ドロワコネクタ2002bの固定配置される上側部分のみが、上記本体枠3の裏面下部(本体枠3の下側部分)から上記遊技演出ユニット設置凹部(大収容空間)30に突出するように設けられている。そして、この枠側副ドロワコネクタ2002bの固定配置される位置は、上記遊技演出制御ユニット99が上記遊技演出ユニット設置凹部30に収容されたときに上記ユニット側副ドロワコネクタ2002aが位置する位置となっている。
<ドロワコネクタ>
次に、本体枠3と遊技演出制御ユニット99との間の電気的な接続に用いられるドロワコネクタについて、図29を参照して説明する。図29は、主ドロワコネクタ及び副ドロワコネクタの構成を示す図である。
上述したように、遊技演出制御ユニット99側にはユニット側のドロワコネクタ2000a,2002aが設けられ、本体枠3側には枠側のドロワコネクタ2000b,2002bが設けられている。なお、ユニット側主ドロワコネクタ2000aと、枠側主ドロワコネクタ2000bとから構成される一対のドロワコネクタが、主ドロワコネクタ2000である。また、ユニット側副ドロワコネクタ2002aと、枠側副ドロワコネクタ2002bとから構成される一対のドロワコネクタが、副ドロワコネクタ2002である。
図29(a)に示すように、遊技演出制御ユニット99側にはユニット側のドロワコネクタ2000a,2002aを、本体枠3側の枠側のドロワコネクタ2000b,2002bに挿入することで電気的に接続することができる。ユニット側のドロワコネクタ2000a,2002aは、図29(b)に示すように、ターミナル2001a,2003aを備えている。枠側のドロワコネクタ2000b,2002bは、図29(c)に示すように、コンタクト2001b,2003bを備えている。ユニット側のドロワコネクタ2000a,2002aを枠側のドロワコネクタ2000b,2002bに挿入すると、図29(c)に示すように、ターミナル2001a,2003aがコンタクト2001b,2003bを押し下げ、当該コンタクト2001b,2003bが変位する。この変位によって発生したコンタクト2001b,2003bの反発力は、ターミナル2001a,2003aを強く接触することで電気的な導通状態となる。
これにより、主ドロワコネクタ2000及び副ドロワコネクタ2002には、各種制御基板相互による(例えば、主制御基板710と払出制御基板720とによる)各種制御信号を伝える制御信号ラインが形成される。また、主ドロワコネクタ2000及び副ドロワコネクタ2002には、さらに電源基板395によって作成された各種電圧を供給する電圧供給ラインが形成される。このように、遊技演出ユニット4を本体枠3に着脱自在に装着することで、ユニット側のドロワコネクタ2000a,2002a及び枠側のドロワコネクタ2000b,2002b(すなわち、主ドロワコネクタ2000及び副ドロワコネクタ2002)による制御信号ライン及び電圧供給ラインが接離自在に接続することができる。
なお、本実施形態におけるターミナル2001a,2003a及びコンタクト2001b,2003bは、ベローズタイプのものを採用している。ピンタイプのものでは作業時にうっかりピンに触れて曲げてしまうおそれがあるが、ベローズタイプのものではそのおそれがない。また、ターミナル2001a,2003a及びコンタクト2001b,2003bのメッキには摩擦係数の小さい金メッキを採用している。これにより、遊技演出ユニット4の着脱時のすべり良さ(勘合の良さ)が確保されている。
ここで、遊技演出ユニット4を本体枠3に取り付けるときに、電源スイッチを入れたままの状態でその作業を行うと、ターミナル2001aとコンタクト2001bとの接点、具体的には、各種電圧供給ライン用接点では大電流(後述する突入電流)が流れるため溶着することとなる。この溶着した状態のまま、遊技演出ユニット4を本体枠3に無理に押し込んで取り付けようとすると、コンタクト2001bが折れ曲がって壊れたり、その遊技演出ユニット4を本体枠3から取り外すときに、コンタクト2001bがドロワコネクタ2000aから剥がれて破損したりして、ドロワコネクタ2000aが使用できなくなる。
また、ターミナル2001aとコンタクト2001bとが溶着すると、コネクタの破損にともない、各種制御基板が誤動作したり、各種制御基板に実装された電子部品が破損したりするおそれもある。そこで、本実施形態では、溶着を防止する回路(活線故障防止回路2100)を主制御基板710に設けて対応しているが、詳細は後述する。
<施錠装置>
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる施錠装置60について、主として図30〜図38を参照して説明する。図30は、施錠装置と本体枠との関係を示す背面斜視図である。図31は、施錠装置の本体枠への掛け止め構造を示す拡大側方断面図である。図32は、パチンコ機の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図である。図33は、施錠装置と本体枠の第1周面壁および第2周面壁との詳細な関係を示す拡大断面図である。図34は、施錠装置の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)である。図35は、施錠装置の背面側から見た斜視図(A)、施錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆と本体枠用摺動杆の斜視図(B),(C)である。図36は、施錠装置の分解斜視図である。図37は、扉枠用摺動杆と本体枠用摺動杆の作用を説明するための正面図である。図38は、不正防止部材の作用を説明するための正面図である。
図30に示すように、施錠装置60は、本体枠3の開放側の第1周面壁290に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられると共に、コ字状基体685を有している。このコ字状基体685は、本体枠3の外周側辺と第1周面壁290の立ち上がり部との間の上下端近い部分および中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴351と、第1周面壁290の垂直面の上部および中程に切り欠けられて形成される錠取付穴350と、シリンダー錠貫通穴354の上部近傍に形成される錠取付穴353と、によって支持固定される。以下、施錠装置60の構造について詳細に説明する。
図34〜図37に示すように、施錠装置60は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体685と、該コ字状基体685内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆971と、前記コ字状基体685内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆984と、該本体枠用摺動杆984の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体685の下部に取り付けられる不正防止部材882,890と、を備えている。
コ字状基体685は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、遊技演出ユニット4の左右方向および上下方向の大きさを極めて大きくすることによって、本体枠3の周面壁290〜293で囲まれる空間を大きくするためである。即ち、遊技演出ユニット4の左右方向および上下方向の大きさを極めて大きくするためには、第1周面壁290と本体枠3の外周辺との間の寸法を極めて小さくする必要がある。よって、本実施形態に係る施錠装置60の横幅寸法を小さく形成して施錠装置60を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造としたのである。そして、コ字状基体685の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、施錠装置60が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とが、それぞれのフック部973,988,1014を除いてコ字状基体685に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。即ち、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984がコ字状基体685に収納されているので、外枠2に対して扉枠5を開放した状態であっても、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を直接触れることができない。これにより、セキュリティ性の高いパチンコ機を提供することが可能となる。
このコ字状基体685は、開放側と反対側の上下に本体枠用摺動杆984のフック部988,1014が貫通される長方形状のフック貫通開口860が開設されている。また、開放側と反対側であって第1周面壁290と密着する側面685b(図36参照)上部および中程に水平方向にビス止め部861が突設されている。さらに、開放側の第1周面壁290と密着しない側面685a(図36参照)の上端部および中間部と、開放側の両側面685a,685bの下端部とに係止突起862が突設形成されている。ビス止め部861および係止突起862は、施錠装置60を本体枠3の裏面に取り付けるためのものである。係止突起862を本体枠3の錠係止穴351に差し込んで上方に移動させると(図31参照)、その状態でビス止め部861と錠取付穴350とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、施錠装置60を本体枠3に強固に固定することができる。なお、施錠装置60のビスによる取付けは、上部および中程のビス止め部861だけではなく、後述する錠取付片866に形成されるビス止め穴898と前記シリンダー錠貫通穴354の上方近傍に形成される錠取付穴353とを対応させて図示しないビスで止着することにより、施錠装置60の下方も取り付けられるようになっている。
すなわち、この実施の形態では、第1の本体枠側壁部のうち、後述の外壁部12a(図10参照)の内壁に対向配置される部分(第1周面壁290)の所定箇所には、上記外壁部12aの内壁との間に設けられる上記施錠装置60の取り付け用部材としてのビス止め部861が差し込まれる差込穴290a(図30参照)が形成されている。また、第1周面壁290のうちの上記差込穴290aが形成されたことによって露出された薄肉面のうち、図示しないビス(ねじ)との間で螺合される部分は3mmを超える厚肉に形成されており、この厚肉の部分には錠取付穴350が予め前後方向に形成されている。したがって、上記第1周面壁290の差込穴290aに上記ビス止め部861を差し込んだ状態にて、このビス止め部861から上記錠取付穴350に対してビスを螺着するようにしている。なお、この実施の形態では、山部を含めて概ね3mmの径と、概ね12mmの長さをもったビスによって上記第1周面壁290に対して上記施錠装置60を取り付けている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体685の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起862を錠係止穴351に差し込んで位置決め係止する。その後、コ字状基体685の開放側と反対側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部861およびコ字状基体685の開放側(前方部)に形成されたビス止め穴898を錠取付穴350にビスで固定する構造である。そのため、施錠装置60の前方部を係止突起862と錠係止穴351とで係止し、施錠装置60の後方部をビス止め部861と錠取付穴350とで固定し、且つ施錠装置60の下方部をビス止め穴898と錠取付穴353とで固定するので、極めて簡単な構造で施錠装置60を本体枠3に強固に固定することができる。換言するならば、施錠装置60を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体685に集約して構成した場合でも、施錠装置60の前方部と後方部との係止および固定により、施錠装置60を本体枠3に強固に固定することができるものである。とくに、本実施形態では、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起862がコ字状基体685の第1周面壁290と密着しない側面685aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部861およびビス止め穴898がコ字状基体685の第1周面壁290と密着する側面685bから水平方向に突設形成される構造である。そのため、前方部の係止構造が第1周面壁290と密着する側面685bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように施錠装置60を本体枠3に固定することができる。
また、コ字状基体685の両側面685a,685bの上部、中程、下部には挿通穴863が形成されている。そして、コ字状基体685に扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を収納した状態で挿通穴863にリベット864を差込んでかしめることにより、コ字状基体685の内部に扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆971の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴974と、本体枠用摺動杆984の上フック部材985および下フック部材986にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴989,996と、にリベット864を貫通させることにより、扉枠用摺動杆971が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆984が下方に移動できるようになっている。したがって、図35(B)に示すように本体枠用摺動杆984のリベット用長穴989,996の下端部にリベット864が貫通しており、図35(C)に示すように扉枠用摺動杆971のリベット用長穴974の上端部にリベット864が貫通している。
さらに、コ字状基体685の下方部には、開放側と反対側面に不正防止切欠部865が形成されている。また、その開放側の本体枠3の第1周面壁290と密着する側面685bの前端部にシリンダー錠868を取り付けるための錠取付片866が側方に向かって突設されている。さらに、第1周面壁290と密着する側面685bに挿入縦開口878、バネ係止片879および逃げ横穴880がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部865は、後述する第1不正防止部材882のストッパー片部885が進退するようになっているが、これについては後述する。また、錠取付片866は、施錠装置60を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技演出ユニット設置凹部30の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体685の側面685bの前端部から側方に向かって突設される。なお、この錠取付片866には、シリンダー錠868が貫通する錠挿通穴867が形成されると共にシリンダー錠868をビス870で取り付けるための取付穴871が上下2箇所に穿設され、さらに、施錠装置60の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め穴898が穿設されている。また、挿入縦開口878は、シリンダー錠868に固定される係合カム873の第1係合突片874および第2係合突片875がシリンダー錠868の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片879は、不正防止部材882,890に設けられるバネ894が係止されるものであり、逃げ横穴880は、連結ピン893の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後述する。
次に、上記した錠取付片866に取り付けられるシリンダー錠868について説明する。シリンダー錠868は、錠取付基板869の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸872が錠取付基板869より後面に出ており、その錠軸872の後端に係合カム873がビス876によって固定されている。なお、シリンダー錠868は、円筒部分が扉枠5を貫通することによって、扉枠5の前方側から開施錠できるようになっている(図2、図3、図14等を参照)。さらに、このシリンダー錠868は、遊技演出ユニット4の下端辺(より具体的には皿ユニット300よりも下方)に配置されている。
係合カム873は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆984の下降係合穴997に係合する第1係合突片874となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆971の上昇係合穴979に係合する第2係合突片875となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠868は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴867に挿通して錠取付基板869の上下2箇所に形成される取付穴(符号なし)と錠取付片866の取付穴871とを一致させてビス870で螺着することにより、コ字状基体685に固定することができる。
次に、コ字状基体685に取り付けられる不正防止部材882,890について、図36を参照して説明する。不正防止部材882,890は、シリンダー錠868を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆984を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材882,890は、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とを連結ピン893で連結した構造となっている。第1不正防止部材882は、上端の揺動軸穴883を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成されている。この第1不正防止部材882は、揺動軸穴883が、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を摺動自在に取り付けるための挿通穴863およびリベット864のうち最下方の挿通穴863およびリベット864により、前述したコ字状基体685の内部に取り付けられることによって固定される。
また、第1不正防止部材882には、その板状面に前記挿入縦開口878と重複する縦長な突片挿入穴884が開設され、この突片挿入穴884に第2係合突片875が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴884および挿入縦開口878を第2係合突片875が貫通することにより、コ字状基体685の内部に設けられる扉枠用摺動杆971の上昇係合穴979と第2係合突片875とが係合するようになっている。また、第1不正防止部材882の突片挿入穴884の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部882aとなっている。この傾斜部882aは、係合カム873の回動時に第1係合突片874の後面側と当接するもので、係合カム873の回動時に、第1係合突片874と傾斜部882aとが当接することにより、第1不正防止部材882が揺動軸穴883を中心として揺動(図37(B)において時計回転方向)するようになっている。
さらに、第1不正防止部材882には、前記突片挿入穴884の斜め下方の外形線上にストッパー片部885が突設され、そのストッパー片部885の下方に規制突片889が突設され、該規制突片889の前方部にピン穴887と連結穴888とが上下に形成されている。ストッパー片部885は、本体枠用摺動杆984の施錠時に前記不正防止切欠部865および本体枠用摺動杆984の係合切欠部1017に侵入係合して本体枠用摺動杆984が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片889は、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とはバネ894によって連結されるが、そのバネ894で連結されたときに第2不正防止部材890の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴887は、ガイドピン886が固定されるものであり、ガイドピン886が第1不正防止部材882の裏面側からピン穴887に固定された状態で、そのガイドピン886を前記挿入縦開口878の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第1不正防止部材882をコ字状基体685の側面685bに沿って案内するものである。さらに、連結穴888は、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とを連結ピン893で連結するためのものである。
上記した第1不正防止部材882に連結される第2不正防止部材890は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴892が形成され、その上部他端にバネ係止穴896が穿設され、下方端部に当接部897が設けられている。連結穴892は、第1不正防止部材882の連結穴888と一致させて連結ピン893で連結するためのものであり、バネ係止穴896は、一端がコ字状基体685のバネ係止片879に係止されるバネ894の他端を係止するものである。また、当接部897は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起23と当接するものである。なお、上記した第1不正防止部材882および第2不正防止部材890の作用については後述する。
次に、コ字状基体685の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984について説明する。扉枠用摺動杆971は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部973が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部973は、コ字状基体685内に収納したときにその開放側から前方に突出しているもので、施錠装置60を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴352(図14参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成される係合開口175(図39参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部973は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆971を上昇させることにより扉枠用フック部973と係合開口175との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆971の上中下の側面中央に、前記リベット864が挿通される縦長のリベット用長穴974が形成され、該リベット用長穴974のうちの最上部のリベット用長穴974の下方および扉枠用摺動杆971の最下端にガイド突片976が突設されている。リベット用長穴974は、コ字状基体685の挿通穴863に挿通されるリベット864が貫通されるものであり、しかも、このリベット864が扉枠用摺動杆971の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴974の上端部にリベット864が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突片976は、本体枠用摺動杆984の上フック部材985および下フック部材986に形成される突片移動穴991,999に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆971の上端部にはスプリングフック部980が形成され、このスプリングフック部980にスプリング982の一端が係止され、そのスプリング982の他端が本体枠用摺動杆984の上フック部材985に形成されるスプリングフック部993に係止される。これにより、扉枠用摺動杆971が下方向に、本体枠用摺動杆984が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆971の中程には、当接弾性片981が凸状に形成されている。この当接弾性片981は、扉枠用摺動杆971の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体685の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆971がガタつかないようにするものである。さらに、扉枠用摺動杆971の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴978と上昇係合穴979とが形成されている。遊び穴978は、係合カム873の第1係合突片874が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第1係合突片874の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴979は、係合カム873の第2係合突片875が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆971が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆971の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部865よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部983が形成されている。この逃げ切欠部983は、第1不正防止部材882のストッパー片部885を確実に不正防止切欠部865および係合切欠部1017に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆984は、金属板製の上フック部材985と、金属板製の下フック部材986と、上フック部材985と下フック部材986とを連結する連結線杆987と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆984は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部988,1014を有する上フック部材985と下フック部材986とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材985と下フック部材986とを細い金属製の連結線杆987で連結したものである。このため、狭いコ字状基体685の空間に扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材985には、その上端部に後方に向かってフック部988が突設され、その板面部にリベット用長穴989と突片移動穴991とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部993と連結穴994とが形成され、さらに、その上辺および下辺に当接部1015が形成されている。フック部988は、コ字状基体685の上方のフック貫通開口860を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起22に係合するもので、上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴989は、扉枠用摺動杆971の上部に形成されるリベット用長穴974に対応するものであり、このリベット用長穴989にリベット864が貫通された通常の状態では、リベット864がリベット用長穴989の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材985が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴991は、前述したように扉枠用摺動杆971の上方のガイド突片976が挿入されて、扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部993は、前述したようにスプリング982の他端が係止されるものである。また、連結穴994は、連結線杆987の上端が折り曲げられて挿入されるものである。さらに、当接部1015は、コ字状基体685に収納されたときに、該コ字状基体685の内部側壁に当接して上フック部材985の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材986には、その下端部に後方に向かってフック部1014が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴996と下降係合穴997と遊び穴998と突片移動穴999とが順次形成されている。また、その前方の縦辺上端部に連結穴995が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1017がそれぞれ形成され、さらに、その上辺および下辺に当接部1016が形成されている。フック部1014は、コ字状基体685の下方のフック貫通開口860を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起23に係合するもので、上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴996は、扉枠用摺動杆971の下部に形成されるリベット用長穴974に対応するものであり、このリベット用長穴996にリベット864が貫通された通常の状態では、リベット864がリベット用長穴996の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、下フック部材986が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴997は、係合カム873の第1係合突片874が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆984が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴998は、係合カム873の第2係合突片875が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第2係合突片875の先端部が移動しえる空間を構成するものである。突片移動穴999は、前述したように、扉枠用摺動杆971の下方のガイド突片976が挿入されて、扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴995は、連結線杆987の下端が折り曲げられて挿入されるものである。さらに、当接部1016は、コ字状基体685に収納されたときに、該コ字状基体685の内部側壁に当接して下フック部材986の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
上記施錠装置60としてのこのような構造と、上記第1周面壁290などに対する上述の取付構造とを採用したことで、第1の本体枠側壁部(第1周面壁290)の外壁と、上記側枠板13の内壁との間の概ね18mmの距離をもった空間内に上記施錠装置60を配設することができるようになり、これによって上述の遊技演出ユニット設置凹部30の容積、特に上記前面収容口30aの最大横幅L1として概ね49cmを確保することができるようになる。
以上、施錠装置60を構成する各部材について説明してきたが、この施錠装置60を組み付ける方法は以下のとおりである。先ず、本体枠用摺動杆984の上フック部材985と下フック部材986とを連結線杆987で連結する。その状態で、扉枠用摺動杆971のガイド突片976を、上フック部材985および下フック部材986の突片移動穴991,999に挿入すると共に、相互のリベット用長穴974とリベット用長穴989,996とを位置合わせして重ね合わせる。そして、その重ね合わせた状態で、上フック部材985のフック部988と下フック部材986のフック部1014とをコ字状基体685のフック貫通開口860に貫通させながら、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を、コ字状基体685のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴863からリベット864を差し込む。この際、リベット864がリベット用長穴989,996、974を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット864を差し込むときには、第1不正防止部材882の揺動軸穴883にもリベット864を差し込んで第1不正防止部材882をコ字状基体685に同時に取り付ける必要がある。なお、第1不正防止部材882をコ字状基体685に取り付ける前に、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とを連結ピン893で連結し且つガイドピン886をピン穴887に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン886を挿入縦開口878の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
リベット864で扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984をコ字状基体685内に収納固定した状態で、スプリング982をスプリングフック部980,993相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とを相互に反対方向に付勢する。さらに、バネ894をバネ係止片879,594に掛け渡して第2不正防止部材890が規制突片889に当接した状態とする。その後、錠取付片866の錠挿通穴867にシリンダー錠868の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠868をビス870で取付穴871に固定する。なお、このとき、係合カム873の第1係合突片874の先端部が傾斜部882aの外側で且つ挿入縦開口878に僅かに挿入し、係合カム873の第2係合突片875の先端部が第1不正防止部材882の突片挿入穴884および挿入縦開口877に僅かに挿入した状態となるように、シリンダー錠868を錠取付片866に取り付ける。
上記のようにして組み付けた施錠装置60を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆971の扉枠用フック部973を本体枠3に形成される扉用フック穴352に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起862を本体枠3の錠係止穴351に差し込んで上方に移動させる。そして、その状態で水平方向に突出したビス止め部861およびビス止め穴898を錠取付穴350に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図30に示すように、施錠装置60を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。とくに、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起862がコ字状基体685の第1周面壁290と密着しない側面685aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部861およびビス止め穴898がコ字状基体685の第1周面壁290と密着する側面685bから水平方向に突設形成される構造である。そのため、前方部の係止構造が第1周面壁290と密着する側面685bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように施錠装置60を本体枠3に固定することができる。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた施錠装置60の作用について、図37および図38を参照して説明する。
まず、図37を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図37(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起22,23と本体枠用摺動杆984のフック部988,1014とが係止し且つ扉枠用摺動杆971の扉枠用フック部973と扉枠5の係合開口175とが係止した状態となっている。その状態で、シリンダー錠868に図示しない鍵を差し込んで係合カム873の第1係合突片874が挿入縦開口878内に侵入する方向に回動すると、図37(B)に示すように、第1係合突片874の先端が本体枠用摺動杆984の下降係合穴997に係合してスプリング982の付勢力に抗して下フック部材986を下方に押下げる。また、これと連結されている連結線杆987および上フック部材985も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起22,23と本体枠用摺動杆984のフック部988,1014との係止状態が解除され、本体枠3を前面側に引くことにより、本体枠3を外枠2に対して開放することができる。なお、本体枠3を閉じる場合には、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧する。このとき、フック部988,1014がスプリング982の付勢力により上昇した状態(図37(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部988,1014の上辺が外側に向かって下り傾斜している。そのため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部988,1014の上辺傾斜部が閉鎖用突起22,23の下端部と当接し、本体枠用摺動杆984が下方に下降する。そして、遂には、フック部988,1014の上向き爪部と閉鎖用突起22,23とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆984が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠868に図示しない鍵を差し込んで、係合カム873の第2係合突片875が挿入縦開口878内に侵入する方向に回動すると、図37(C)に示すように、第2係合突片875の先端が扉枠用摺動杆971の上昇係合穴979に係合してスプリング982の付勢力に抗して扉枠用摺動杆971を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5の係合開口175と扉枠用摺動杆971の扉枠用フック部973との係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。なお、扉枠5を閉じる場合には、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧する。このとき、扉枠用フック部973がスプリング982の付勢力により下降した状態(図37(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部973の下辺が外側に向かって上り傾斜している。そのため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部973の下辺傾斜部が係合開口175の上端部と当接し、扉枠用摺動杆971が上方に上昇する。そして、遂には、扉枠用フック部973の下向き爪部と係合開口175とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆971が下降して係止状態に戻る。
なお、本実施形態における扉枠用摺動杆971は、コ字状基体685の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体685が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられている。しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部973が扉枠用摺動杆971の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われる。よって、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る施錠装置60は、シリンダー錠868に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠868に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆984のフック部988,1014にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができない。このような不正行為を防止する構造の第1番目が第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とから構成されるロック機構であり、第2番目の不正防止構造がコ字状基体685の閉鎖空間に扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984が収納される構造である。
まず、第1番目の不正防止構造であるロック機構の作用について、図38を参照して説明する。外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図38(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起23と第2不正防止部材890の当接部897とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ894の付勢力により第1不正防止部材882が反時計方向に回動してストッパー片部885が不正防止切欠部865内に侵入し、ストッパー片部885が不正防止切欠部865に対応する位置にある本体枠用摺動杆984の下フック部材986に形成される係合切欠部1017と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆984にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部885と係合切欠部1017とが係合しているので、本体枠用摺動杆984を下方に引き下ろして本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠868に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図38(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム873の第1係合突片874が挿入縦開口878内に侵入するように回動される。この第1係合突片874の回動時に、第1不正防止部材882の傾斜部882aと第1係合突片874の側面とが当接するため、第1不正防止部材882が揺動軸穴883を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部885も不正防止切欠部865から退避するように移動する。このため、ストッパー片部885と係合切欠部1017との係合が解除された状態となる。このとき、第2不正防止部材890は、バネ894を伸ばして当接部897が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム873を回動させて第1係合突片874も回動させると、第1係合突片874の先端が下フック部材986の下降係合穴997に係合して本体枠用摺動杆984の全体を下降させるので、フック部988,1014と外枠2の閉鎖用突起22,23との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第2不正防止部材890は、規制突片889に当接した状態となっているため、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890との位置関係は、図38(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起23と第2不正防止部材890の当接部897とが正面から当接し、最終的に図38(A)に示す状態となる。このため、第1不正防止部材882と第2不正防止部材890とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態において、第1不正防止部材882および第2不正防止部材890は、本体枠用摺動杆984の下降動作だけが不正に行われないように防止している。これは、本体枠用摺動杆984を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆971を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は極めて行い難いという理由によるものである。このように、本体枠用摺動杆984に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第1番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第1不正防止部材882をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、仮にロック機構のロック機能が不正な行為により無力化されても、本実施形態においては、施錠装置60が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とが、それぞれのフック部973,988,1014を除いてコ字状基体685の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっている。これにより、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体685の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆984を引き下げようとしても、コ字状基体685の両側面685a,685bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない。
以上、詳述したように、本実施形態に係る施錠装置60は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体685の内部に扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とを摺動可能に設け、且つ施錠装置60を操作するためのシリンダー錠868のコ字状基体685への取付位置を遊技演出ユニット4の下端辺よりも下方となる位置とした。これにより、遊技演出ユニット4(とくに遊技パネル409)の収容スペースをシリンダー錠868によって阻害されることなく、遊技演出ユニット4の左右方向および上下方向の大きさを極めて大きくすることができる。よって、本体枠3の周面壁290〜293で囲まれる空間を大きくしても、施錠装置60を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、施錠装置60が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆971と本体枠用摺動杆984とが、それぞれのフック部973,988,1014を除いてコ字状基体685に完全に被覆された状態となっている。これにより、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆984を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。また、施錠装置60は、取り付けに際し、コ字状基体685の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起862を錠係止穴351に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体685の開放側と反対側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部861およびビス止め穴898を錠取付穴350にビスで固定する構造である。そのため、施錠装置60の前方部を係止突起862と錠係止穴351で係止し、施錠装置60の後方部をビス止め部861およびビス止め穴898と錠取付穴350で固定するので、極めて簡単な構造で施錠装置60を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体685の下方部をビス止めする構造として錠取付片866に形成されたビス止め穴898と本体枠3のシリンダー錠貫通穴354の上部近傍に形成した錠取付穴353とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠868を錠取付片866に取り付けるビス870を利用して、該ビス870の先端が錠取付片866を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴354の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体685の下方部をビス止めしなくても、施錠装置60の後方部のビス止め部861と錠取付穴350との固定だけでも、施錠装置60を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。さらに、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を左右の側面685a,685bを有するコ字状基体685で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を第1周面壁290に密着しない反対側の側面685aに摺動自在にリベット等で装着し、第1周面壁290に密着する側面685bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面685aと第1周面壁290とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造および不正防止構造とすることができる。
[扉枠について]
次に、扉枠5について、図39〜図41を参照して説明する。図39は、扉枠の背面図である。図40は、扉枠の正面から見た分解斜視図である。図41は、扉枠の背面から見た分解斜視図である。
図39〜図41に示すように、扉枠5には、方形状に形成される扉枠本体100に、扉レンズユニット120、補強板金160、ガラスユニット190、皿ユニット300及び防犯カバー210などが取付けられている。この扉枠本体100の上方部には、正面視で当該扉枠本体100の略3/4を占める開口面積を有する縦長六角形状の遊技窓101が形成されている。つまり、合成樹脂によって額縁状に形成された扉枠本体100には、その上方部に遊技窓101が形成される一方、遊技窓101の下方が板状部となっている。なお、遊技窓101の上部左右には、スピーカ144a,144bを貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成されている。また、スピーカ用開口102の下方に、ガラスユニット190の止め片194を係止するための止めレバー108が回動自在に設けられている。
そして、扉枠5において、扉レンズユニット120が遊技窓101の前面周囲に取り付けられる一方、皿ユニット300が遊技窓101の下方の板状部の前面に設けられている。なお、この皿ユニット300の一側(開放側)には、後述するハンドルユニット318が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金160が固定されるとともに、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット190が取り付けられている。さらに、遊技窓101の下方の板状部の裏面に、ハンドルユニット318に対応するスライドユニット230、装着台220及び枠装飾中継端子板240がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット190の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー210も装着されている。
そして、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋431(図46及び図47参照)が貫通する賞球通過口103が開設されている。また、賞球通過口103の斜め中央寄りに、側面開口蓋383(図46及び図47参照)を脱着するための蓋用開口105が開設されている。さらに、蓋用開口105の開放側の隣接する位置に、球送りユニット226を装着するための球送り開口104が開設されている。なお、この球送り開口104のさらに開放側寄りには、シリンダー錠868が貫通するための錠穴106が開設されている。
また、遊技窓101の下方の板状部の裏面側には、スライドユニット230を取り付けるためのスライドユニット装着凹部107が、球送り開口104の下方位置に形成されている。また、遊技窓101の下部左右に、ガラスユニット190の掛止突片195を掛け止めるための係合受片(図示外)が形成されている。そして、この係合受片の側方に、防犯カバー210の装着弾性片213が装着される装着開口部110が形成されている。
また、遊技窓101の下方の板状部の前面中央には、扉枠5の前方(すなわち、正面側)に向って、皿ユニット300の案内穴436(図47参照)に挿入される係合突起111が形成されている。一方、遊技窓101の下方の板状部の裏面には、扉枠5の後方(すなわち、背面側)に突出した扉枠突片112が、扉枠本体100の下辺に沿って形成されている。この扉枠突片112は、本体枠3に形成された係合溝42,43(図1参照)とともに、扉枠5と本体枠3との下側辺部において係合される外側の突条及び係合部を一対に構成する。
<扉レンズユニット>
次に、扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について、主として図42〜図44を参照して説明する。図42は、扉枠の前面側に取り付けられる扉レンズユニットの正面から見た分解斜視図である。図43は、扉レンズユニットのレンズカバーと皿ユニットに設けられるレンズカバーとの関係を示すパチンコ機の正面斜視図である。図44は、スピーカカバー及び装飾部材を構成する部材のうち、LEDに照射される部材を取り除いた場合の扉枠の正面図である。
図42〜図44に示すように、扉レンズユニット120は、リフレクタ122,130a,130bと、冷陰極管132,134a,134bと、LED基板137,138a,138bと、レンズカバー140と、スピーカ144a,144bと、レンズベース体121と、から構成されている。
より詳細には、リフレクタ122,130a,130bは各々の前面側が反射面となっている。そして、各リフレクタ122,130a,130bの前面に、冷陰極管132,134a,134bがそれぞれ取付けられる。また、各リフレクタ122,130a,130bの内部に、LED基板137,138a,138bがそれぞれ取付けられる。さらに、リフレクタ122,130a,130bの前方には、当該リフレクタ122,130a,130bを覆う光透過性のあるレンズカバー140が設けられる。このレンズカバー140は、後述のレンズベース体121をベースとして配設されるものであり、その上部には左右一対のスピーカ144a,144bが取り付けられる。
レンズベース体121は、平面視で前方が円弧状且つ後方が直線状を有するとともに、その後面(すなわち、背面)が開放した内部中空の三角形状をなすように、合成樹脂によって形成されている。そして、レンズベース体121の中空内部に、冷陰極管132,134a,134bに高電圧の電流を供給するインバータ基板136が収納固定されている。また、レンズベース体121の前面及び底面に当接するように、断面L字状の上リフレクタ122が取り付けられている。この上リフレクタ122は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、上リフレクタ122の表面は、上冷陰極管132及び上LED基板137から発せられた光を反射する反射面となっている。なお、後述の側方リフレクタ130a,130bも同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。
ところで、上リフレクタ122の両端部には、上冷陰極管132の両端を支持するための電極支持部125が各々形成されている。さらに、上リフレクタ122の前面には、適宜間隔を置いて上冷陰極管132を支持するために、先端部がU字状に形成された陰極管支持片123が突設されている。これは、上冷陰極管132の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、この中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすい構造を強度的に補うためである。つまり、横長形状の上冷陰極管132を、左右両端の電極支持部125だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片123で支持することにより、上冷陰極管132を破損することなく好適に支持することができる。さらに、上冷陰極管132を耐熱性ゴムパッキン(図示外)に挟んだ状態で、この上冷陰極管132を陰極管支持片123で動かないように支持することによって、一層破損し難い支持構造とすることができる。
また、左右両端の電極支持部125は、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管132の端部を受け入れるように開口した電極挿入孔(図示外)が形成されている。一方、上冷陰極管132において配線が接続される左右両端部に、弾性変形し得るゴム製スリーブ133がそれぞれ取付けられている。そして、電極支持部125に形成された電極挿入孔(図示外)にゴム製スリーブ133が上方から挿入された状態で、当該電極支持部125の上方から電極蓋127が嵌め込まれる。これにより、上冷陰極管132を上リフレクタ122の前面に装着することができる。
このように、上リフレクタ122の両端部にゴム製スリーブ133を装着して、そのゴム製スリーブ133部分を電極支持部125の電極挿入孔(図示外)に遊嵌状態で支持させている。かかる構造により、上冷陰極管132が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ133がその振動を吸収する際に、上冷陰極管132の端部が電極支持部125の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められる。そのため、電極支持部125部分及び上冷陰極管132の屈曲部での上冷陰極管132の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ122の左右端には、スピーカ144a,144bを貫通させるスピーカ貫通穴128a,128bがそれぞれ形成されている。
ところで、上リフレクタ122の左右両端には、側方リフレクタ130a,130bが垂下するように各々連結されている。この側方リフレクタ130a,130bも、上リフレクタ122と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有する。つまり、側方リフレクタ130a,130bの表面は、側方冷陰極管134a,134b及び側方LED基板138a,138bから発せられた光を反射する反射面となっている。なお、側方リフレクタ130a,130bの前方に取り付けられる側方冷陰極管134a,134bは、垂直方向に延びる直線状に形成されている。そのため、当該側方冷陰極管134a,134bを支持する電極支持部131a,131bが、側方リフレクタ130a,130bの上下端部の2箇所に各々形成されている。もちろん、側方冷陰極管134a,134bを電極支持部131a,131bで支持するための構造は、先述の上冷陰極管132及び電極支持部125と同様である。すなわち、側方冷陰極管134a,134bの端部にゴム製スリーブ135a,135bが装着され、そのゴム製スリーブ135a,135bが電極支持部131a,131bに当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管134a,134bが振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
なお、上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bの内側(遊技窓101を縁取る位置)には、多数のLEDが実装されたLED基板137,138a,138bが取り付けられている。このLED基板137,138a,138bに実装されるLEDによって、後述するレンズカバー140の内周面が装飾される。
そして、レンズベース体121と、上冷陰極管132が装着された上リフレクタ122と、側方冷陰極管134a,134bが装着された側方リフレクタ130a,130bとが、レンズカバー140の裏面側に固定される。このレンズカバー140は、透過性の樹脂で形成されたカバー体として、上レンズカバー部141及び側方レンズカバー部142a,142bを有する。上レンズカバー部141は、レンズベース体121及び上冷陰極管132が装着された上リフレクタ122に対応して設けられるカバー体である。側方レンズカバー部142a,142bは、側方冷陰極管134a,134bが装着された側方リフレクタ130a,130bに各々対応して設けられるカバー体である。
より詳細に説明すると、上レンズカバー部141及び側方レンズカバー部142a,142bは、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形されている。そして、レンズカバー部141,142a,142bにおける後端側には、当該レンズカバー部141,142a,142bとは着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部150が、遊技窓101を縁取る内周面に沿って各々成形されている。そして、レンズカバー部141,142a,142bでは、これらの白色レンズ部と赤色レンズ部150とが一連状に連結して成形されている。そして、この赤色レンズ部150を上LED基板137及び側方LED基板138a,138bに直線状に実装される複数のLEDによって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部141は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に、平面視においてブーメラン形状に構成されるものである。そして、上レンズカバー部141における楔状の先端部内面が、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管132と近接している。さらに、上レンズカバー部141の楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部141cが接着されている。かかる構造により、上レンズカバー部141のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面が、上冷陰極管132によって照明される。
また、側方レンズカバー部142a,142bは、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部141と同様である。しかし、側方レンズカバー部142a,142bは、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部141に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものである。また、側方レンズカバー部142a,142bの楔状の先端部内面が、前述した直線状に形成される側方冷陰極管134a,134bと近接している。さらに、側方レンズカバー部142a,142bの楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部142cが接着されている。かかる構造により、側方レンズカバー部142a,142bのほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面が、側方冷陰極管134a,134bによって照明される。
上記した実施形態においては、リフレクタ122,130a,130bによって区画される空間に配置される発光源を、冷陰極管132,134a,134bとLED基板137,138a,138bとした。そして、これらの発光源に対応するレンズカバー部141,142a,142bを、色彩の異なる合成樹脂(ここでは、白色と赤色)で成形して連結した。具体的には、リフレクタ122,130a,130bに対応するレンズカバー部141,142a,142bを白色レンズ部とする一方、LED基板137,138a,138bに対応するレンズカバー部141,142a,142bを赤色レンズ部150とした。このように、冷陰極管132,134a,134bとLED基板137,138a,138bとによって、レンズカバー部141,142a,142bを好適に照射される構造及び色彩で成形することができる。もちろん、種類の異なる発光源として、冷陰極管132,134a,134bとLED基板137,138a,138bの組み合わせに限らず、両者ともLED基板として構成してもよい。
ところで、レンズカバー140の上レンズカバー部141と側方レンズカバー部142a,142bとの連結部分には、スピーカ144a,144bを取り付けるためのスピーカ取付穴143a,143bが穿設されている。そして、これらのスピーカ144a,144bの前面には、スピーカコーン145aが設けられる。そのため、スピーカコーン145aを支持するコーン支持体が、所定の取付部材(図示しない)を用いてスピーカ取付穴143a,143bの裏面から取り付けられるようになっている。また、スピーカ取付穴143a,143bに取付けられるスピーカ144a,144bの前面は、網目状カバー147a,147b(パンチングメタル)を有するスピーカカバー146a,146bによって覆われている。
更に、側方レンズカバー部142a,142bの下方には、装飾部材取付領域148a,148bが形成され、その装飾部材取付領域148a,148bに装飾部材149a,149bが取り付けられている。この装飾部材149a,149bは、上記したスピーカカバー146a,146bと類似した形状を有している。かかる構造により、レンズカバー140を扉枠本体100の表面に取り付けると、レンズカバー140の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えることができる。
ところで、スピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、単にスピーカ144a,144bの前方を覆ったり、あるいはレンズカバー140の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。
具体的には、スピーカカバー146a,146bの内部では、合成樹脂で平板状に成形されたカバーベース板151の裏面にLED基板152が密着されている。そして、カバーベース板151の前方にスピーカ枠154を内蔵した状態で、当該スピーカ枠154が図示外のインナーレンズや前面レンズで覆われている。さらに、スピーカカバー146a,146bの前面を、網目状カバー147a,147bで閉塞する構成となっている。
また、装飾部材149a,149bの内部は、合成樹脂で平板状に成形された装飾ベース板155の裏面にLED基板156が密着されている。そして、装飾ベース板155の前方に装飾枠158を内蔵した状態で、当該装飾ベース板155が図示外のインナーレンズや装飾レンズで覆われている。さらに、装飾部材149a,149bの前面を、装飾板159a,159bで閉塞する構成となっている。
このように、スピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bによる光装飾とは別に、扉枠5の四隅を重点的に光装飾するように構成されている。そのため、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強かった。そのため、従来の遊技機では、スピーカ周りの光装飾が行われないために、遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていた。しかしながら、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く扉枠5の全周を、効果的に光装飾することができるものである。
なお、本実施形態では、扉枠5において光装飾を行なう冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bが、枠装飾ランプ842(図85参照)に相当する。
<補強板金>
次に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金160について、図40及び図41を参照して説明する。図40及び図41に示すように、補強板金160は、上側補強板金161、軸支側補強板金162、開放側補強板金163及び下側補強板金164が、相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。なお、上側補強板金161は、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる。軸支側補強板金162は、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる。開放側補強板金163は、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる。下側補強板金164は、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる。
上側補強板金161は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成される。そして、上側補強板金161における長辺の両端縁が、それぞれ後方に向って折曲した上折曲突片165及び下折曲突片166となっている。この上折曲突片165及び下折曲突片166は、本体枠3の上部防犯二重溝33(図14参照)に嵌合されるものである。
軸支側補強板金162も、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成される。そして、軸支側補強板金162の長辺の両端縁が、それぞれ後方に向って折曲した軸支側短折曲突片172及び軸支側L字状折曲突片167となっている。ただし、内側の折曲突片である軸支側短折曲突片172は極めて短い一方、外側の折曲突片である軸支側L字状折曲突片167がその折曲部から先がL字状に形成されている。この軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が前述した本体枠3の軸支辺部49の内側に当接するようになっている。
開放側補強板金163は、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成される。そして、開放側補強板金163の長辺の両端縁が、後方に向って折曲した開放側外折曲突片173及び開放側内折曲突片174となっている。開放側外折曲突片173は、前述した本体枠3の側部防犯溝34(図14参照)に挿入されるものであり、開放側内折曲突片174は、本体枠3の防犯凹部35(図14参照)に挿入されるものである。また、開放側補強板金163の上部、中間部、下部には、施錠装置60の扉枠用フック部973が侵入しえるように係合開口175が各々形成されている。そして、これらの係合開口175の裏面側を覆うように、扉枠用フック部973が係合するフックカバー176が固定されている。
下側補強板金164は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成される。そして、下側補強板金164の長辺の両端縁が、それぞれ後方に向って折曲した下折曲突片178及び上折曲突片179となっている。ただし、下折曲突片178は、下側補強板金164の下方長辺端縁が後方に向って折曲したものであり、上折曲突片179は、下側補強板金164の上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲したものであるそそして、両側部の上折曲突片179に挟まれる部分が、垂直方向に延設される垂直折曲突片180となっている。この垂直折曲突片180は、その上端縁形状が後述するガラスユニット190のユニット枠191の下端形状に合致するように凹状に形成されている。そして、ガラスユニット190を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片180の上端片がガラスユニット190のユニット枠191の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝200に係合するようになっている。なお、下側補強板金164には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部177が形成されている。
<ガラスユニット>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット190について、図40及び図41を参照して説明する。図40及び図41に示すように、ガラスユニット190は、ユニット枠191及びガラス板201(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。なお、ユニット枠191は、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状をなす枠体である。また、ガラス板201は、ユニット枠191の開口の外周前後面に配置される2枚の透明板である。
ユニット枠191の斜め上部左右には、止め片194が環状の外側に向かって突設形成されている。また、ユニット枠191の下部左右には、掛止突片195が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片194と掛止突片195とは、前述したように、ガラスユニット190を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。なお、本実施形態のガラスユニット190には、正面視で斜め上方に向って突設される一対の防犯用突出板部199(図39参照)が、ユニット枠191と一体に形成されている。そのため、ガラスユニット190を扉枠5に取り付けると、防犯用突出板部199がスピーカ144a,144bの側方位置と隙間なく連接される。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット190の下部裏面を被覆して遊技演出ユニット4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー210について、図40及び図41を参照して説明する。図40及び図41に示すように、防犯カバー210は、左右の補強板金162,163の間のガラスユニット190の下方部を覆うように、透明な合成樹脂によって平板状に形成される。そして、防犯カバー210の上辺部が、内レール462の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部211として形成されていると共に、その当接凹部211に沿って後方に向って防犯後突片214が突設されている。
また、防犯カバー210の後面には、当該防犯カバー210を扉枠5の取り付けた状態で、扉枠5の軸支側裏面において斜め状に突設する防犯後端部突片215が形成されている。一方、防犯カバー210の前面には、当該防犯カバー210を扉枠5の取り付けた状態で、ユニット枠191の下方形状に沿って突設する防犯前突片212と、当該ユニット枠191の下部両端にU字状に形成される装着弾性片213とが、前方に向けて突設形成されている。
<装着台>
図40及び図41に示すように、装着台220は、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものである。そして、防犯カバー210と同様に、透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台220の後面には球飛送誘導面227が形成されており、扉枠5を閉めたときに球飛送誘導面227と板部32とによって発射レール38が挟持される。これにより、発射レール38から発射された球が、スムーズに遊技領域20に導かれる。
ところで、本実施形態に係る装着台220の軸支側上部には、下側補強板金164に形成される賞球通過口被覆部(図示外)の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口221が形成されている。そして、装着台220の開放側下部に、球送りユニット226を取り付ける球送りユニット取付凹部222が形成されている。なお、この球送りユニット取付凹部222から斜め方向の領域が、先述の球飛送誘導面227となっている。また、球送りユニット取付凹部222に取り付けられる球送りユニット226には、発射装置57の打球杆の往復動差に対応して揺動する球送り部材(図示外)が設けられている。この球送り部材の揺動動作によって、皿ユニット300の誘導通路部362の流下端にある球を発射レール38の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台220の中程下部に、後述する側面開口蓋383を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口223が形成されている。更に、装着台220の上辺の一部には、垂直に立設される立壁224が形成されている。この立壁224は、防犯カバー210を取り付けたときに、該防犯カバー210の前面と当接して防犯カバー210の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
<枠装飾中継端子板>
図40及び図41に示すように、装着台220の下部の軸支側には、枠装飾中継端子板240が取り付けられている。また、この枠装飾中継端子板240の後面を覆うように中継基板カバー241が取り付けられている。この枠装飾中継端子板240には、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管132,134a,134b、LED基板137,138a,138b、スピーカ144a,144b,341a,341b、ハンドルユニット318内に設けられるスイッチ、貸球ユニット324、操作ボタンユニット326等)からの配線が集約して接続されている。そして、枠装飾中継端子板240からの配線が、本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット54に組み込まれる副ドロワ中継基板649の扉枠用コネクタ2012等を介して、払出制御基板ボックス55の払出制御基板や主制御基板ボックス25の主制御基板に接続されている。
<皿ユニット>
次に、図45〜図47を参照して、皿ユニット300の構成について説明する。図45は、扉枠の前面に設けられる皿ユニットの正面図である。図46は、皿ユニットの正面から見た分解斜視図である。図47は、皿ユニットの背面から見た分解斜視図である。
図46及び図47に示すように、皿ユニット300は、外観を構成するユニット枠301に、下部スピーカユニット330、皿体360、第2球抜リンクユニット400、皿蓋体430などの部材が取付けられて構成されている。具体的には、下部スピーカユニット330が、ユニット枠301の内部に取り付けられる一方、皿体360は、下部スピーカユニット330の上部でユニット枠301の上面に臨むように設けられる。そして、第2球抜リンクユニット400は、皿体360に設けられる球抜弁375の球抜き動作を行なう一方、皿蓋体430は、ユニット枠301の後面を閉塞するものである。
まず、ユニット枠301について説明する。図45〜図47に示すように、ユニット枠301は、上面カバー部302と前面カバー部303とが合成樹脂によって一体的に成形されている。この上面カバー部302は、その上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状を有し、ユニット枠301の上面を構成する。また、前面カバー部303は、その手前側から連続して後方側に延び、ユニット枠301の前面及び底面を構成するものである。そして、上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部302aも一体的に形成されている。この垂直カバー部302aには、その中央に貸球ボタンユニット用開口323が開設されている。そして、この貸球ボタンユニット用開口323に、貸球ユニット324が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット324は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
また、上面カバー部302の垂直カバー部302aの立ち上がり部から前方に向けて、皿体上面開口部305が開設されている。そして、皿体上面開口部305の前方中央に、操作ボタンユニット用凹空間部306が形成されている。また、操作ボタンユニット用凹空間部306から左右の上面カバー部302の前端部に沿って、LED装飾空間部307が穿設されている。さらに、皿体上面開口部305の側方には、第1球抜ボタン313を取り付けるための第1球抜ボタン用開口313aが設けられている。なお、皿体上面開口部305は、皿体360の貯留部361及びこれに連通する誘導通路部362の上面開口と同一形状に形成されている。そして、ユニット枠301に皿体360を取り付けると、皿体上面開口部305に皿体360の貯留部361及び誘導通路部362が臨むようになっている。
また、操作ボタンユニット用凹空間部306には、空間部形成部材310が取り付けられおり、この空間部形成部材310に操作ボタンユニット326が装着されるようになっている。そして、空間部形成部材310には、配線収納開口310bが形成されている。この配線収納開口310bは、操作ボタンユニット326を空間部形成部材310内に差し込んだときに、操作ボタンユニット326の底面に設けられるコネクタ(図示外)と接続される配線のコネクタ310aを収納するものである。なお、操作ボタンユニット326は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン327を有して構成されている。この複数の操作ボタン327は、演出表示装置115等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、第1球抜ボタン313は、上面カバー部302の第1球抜ボタン用開口313aに装着された摺動支持部材314を介して上面カバー部302に取り付けられるものであり、その摺動支持部材314内を上下方向に摺動するようになっている。そして、第1球抜ボタン313が遊技者によって押圧操作されると、第1球抜ボタン313の下方に位置する回動部材366が回動軸367を中心にして時計回転方向に回動する。そして、この回動部材366の動作に連動して、回動部材366の下端に連携されるスライド弁365が移動する。スライド弁365は、常にはバネ369により付勢されて皿体360の誘導通路部362の下流端部を閉塞した位置にある。そして、上記のように第1球抜ボタン313の操作により移動したときには、誘導通路部362から退避して、誘導通路部362と該誘導通路部362の下流側に連続する第1球抜通路部364とを連通させる。これにより、皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されていた球を、皿体360から球抜きすることができる。この構造については、皿体360の説明の際にさらに詳述する。
次に、ユニット枠301の前面カバー部303の構成について説明する。前面カバー部303は、上記したように上面カバー部302の手前側から連続してユニット枠301の前面と底面とを構成する。そのため、前面カバー部303の前面部分は、中央部分が最も前方に突出し左右に離れるほど奥側に傾斜している。前面カバー部303の前面部分(すなわち、中央突出部)の左右には、スピーカ用開口315a,315bが開設されている。このスピーカ用開口315a,315bは、網目状のスピーカカバー316a,316b(パンチングメタル)によって被覆されている。そして、スピーカカバー316a,316bの後方には、下部スピーカユニット330に収納固定される2つのスピーカ341a,341bが位置することになる。なお、スピーカ用開口315a,315bは、前面カバー部303の前面中央の突出部から奥側に向って傾斜する傾斜状面に形成されるものである。そのため、ユニット枠301を正面から見た場合に、パチンコ機1の中心縦ラインから外側に向って開放していることになる。そして、前面カバー部303の前面中央の突出部からスピーカ用開口315a,315bの上部及び下部の開口縁までを縁取るように、前面装飾板304が取り付けられている。
また、前面カバー部303の開放側端部下方には、ハンドルユニット318を取り付けるためのハンドル取付穴317が開設されている。このハンドルユニット318は、周知のように、打球の弾発力を調節するためのものである。そのため、ハンドルユニット318には、遊技者が操作し得る回動操作部材318aが設けられている。そして、この回動操作部材318aが回動操作されると、回動軸の後端に固定される係合カム319が回動する。そして、前述したように、係合カム319の回動運動をスライドユニット230のスライド係脱片231のスライド移動運動に変換することによって、発射装置57の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。
ここで、第2球抜リンクユニット400は、第2球抜ボタン401と、押圧揺動部材(図示外)と、第1リンク414及び第2リンク419と、から構成されている。押圧揺動部材(図示外)は、第2球抜ボタン401が係止されて揺動する部材である。第1リンク414及び第2リンク419は、押圧揺動部材(図示外)の押圧動作を、球抜弁375の球抜き揺動動作として伝達するための部材である。
そして、前面カバー部303の中央下部には、第2球抜リンクユニット400の一部を構成する第2球抜ボタン401を臨ませるための第2球抜ボタン用開口320が開設されている。また、前面カバー部303の底面中央には、第1球抜ボタン313及び第2球抜ボタン401の操作に応じて球抜きされた球を、皿ユニット300の外部に排出するための球排出口322が形成されている。そして、球排出口322の斜め前方には、操作ボタンユニット326を取り付けるための締具挿入穴325が形成されている。なお、本実施形態において、第1球抜ボタン313と第2球抜ボタン401の2つの球抜ボタン313,401を設けたのは、次の理由による。すなわち、第1球抜ボタン313の操作によって、皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、誘導通路部362で一列状に整列された球を球抜することになるために多少時間がかかる。それに対し、第2球抜ボタン401の操作によって、皿体360の貯留部361から上流側の球を径の大きな球抜開口388から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。つまり、遊技者が球抜きにかける時間の長短を任意に選択することができることとなる。また、遊技中に大当たりとなって皿ユニット300に大量の球が払出される場合に、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ730が機能することが想定される。すると、満タンスイッチ730の作動によって、払出動作が停止されたり弾発動作が停止されたりしてしまい、大当たり中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがある。このような場合に、第2球抜ボタン401の操作を行うことによって、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に、発射位置への球の供給を維持することで、大当たり中の遊技を継続することができる。
次に、皿ユニット300のユニット枠301の裏面を閉塞する皿蓋体430の構成について説明する。皿蓋体430は、ユニット枠301の裏面のほぼ全域を閉塞するように長方形状の平板として合成樹脂によって成形されている。また、皿蓋体430の前面側のほぼ中央に、球抜通路後樋433が一体的に突設形成されている。球抜通路後樋433には、上下に球を前方に誘導する湾曲状の上誘導樋434と下誘導樋435とが形成されている。そして、皿蓋体430をユニット枠301の裏面に取り付けると、下部スピーカユニット330のスピーカボックス本体331に形成される球抜通路前樋337とこの球抜通路後樋433と対面することで、一体の皿内球抜通路を構成する。このとき、球抜通路前樋337に形成される誘導樋338が、球抜通路後樋433の上誘導樋434と下誘導樋435との間に位置するようになっている。そのため、この皿内球抜通路は蛇行状に形成されることとなり、球抜きされた球が勢いを弱めながら球排出口322から外部に排出されるようになっている。
また、皿蓋体430には、球抜通路後樋433の上部側方に開口蓋取付窓432が開設されている。さらに、皿蓋体430の一端側(軸支側)上部裏面に、四角筒状の賞球連絡樋431が突設されている。賞球連絡樋431は、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、扉枠本体100の軸支側下部に形成された賞球通過口103を貫通して扉枠本体100の裏面側にまで貫通するものである。そして、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、本体枠3に形成される賞球通路の末端と重合状に対面するものである。なお、開口蓋取付窓432は、皿体360の第2球抜通路部(図示外)の側壁開口(図示外)を閉塞する側面開口蓋383を着脱自在に取り付けるための開口である。そして、扉枠本体100に形成される蓋用開口105(図40及び図41参照)に対応する位置に設けられるものである。
[外枠と本体枠と遊技演出ユニットとの関係について]
次に、外枠2に対して本体枠3を閉塞し、当該本体枠3に遊技演出ユニット4を装着した場合の位置関係について、図48および図49を参照して説明する。図48は、パチンコ機の平面断面図である。図49は、パチンコ機の平面断面図であって、外枠に対して本体枠が開放し、本体枠に対して扉枠が開放した図である。
外枠2を構成する上枠板10、下枠板11および側枠板12,13のうち、上枠板10および下枠板11は、厚み19mmの木製で構成されている。一方、側枠板12,13は、アルミニウム合金の押出し成型板により構成された薄肉部材である。本実施形態では、側枠板12,13の厚みは3mmで構成されている。また、側枠板12,13には、上述したとおり、後方部分内側にリブが形成されて、後方部分の肉厚h2(図10(C)参照)が厚くなるように引き抜き成型されている。即ち、側枠板12,13は、縦長の外壁部12a,13a(厚みが3mmの部分)と、側枠板12,13の後方部分内側に向けたリブが形成された厚み部12b,13bとから構成されている(開放側の側枠板13の外壁部13aおよび厚み部13bは図7に表示)。なお、厚み部12b,13bは、側枠板12,13の後方に開放した空間部12Gを有するように、平面断面が略コ字状に形成されている。
なお、外壁部12a,13aは略平坦な板部材であって、厚み部12b,13bは外壁部12a,13aの後端部から内側に折り曲げられて立設されている。これにより、側枠板12,13の前端部における左右方向の厚みは、外壁部12a,13aの厚みとなっており、他にこの厚みを増すような構成がない。また、外壁部12a,13aの内側には、リブの幅の外枠内スペース12A,13Aが形成されることとなる。従って、この外枠内スペース12Aに本体枠3の一部(より詳しくは第1周面壁290および第2周面壁291)を収容することができ、第1周面壁290および第2周面壁291を、外枠2に対して、より近接させることができる。その結果、軸支側の周面壁290〜293と開放側の周面壁290〜293との左右方向の幅を極限まで広くすることができ、遊技領域20の左右幅を大きくすることができる。また、側枠板12,13を薄肉にすることによって、その効果は顕著なものとなる。このように側枠板12,13の肉厚を薄くすることによって計量化を図りつつも、従来の木製と同等かもしくはそれ以上の強度を保持することができるだけでなく、遊技領域20の拡大化を図ることも可能となる。
さらに、開放側の外枠内スペース13Aには、本体枠3が外枠2に対し閉じ込められた状態において、前述の施錠装置60の扉枠用摺動杆971および本体枠用摺動杆984も収容される。これにより、遊技パネル409の横幅(遊技者から見た場合の左右幅)は、ほぼ、パチンコ機1全体の横幅から左右の側枠板12,13の厚み分(より詳しくは外壁部の厚み分)を差し引いたものとなる。その結果、遊技領域20の幅を十分に確保することができる。また、本体枠3が外枠2に対し閉じ込められたとき、本体枠3の第2周面壁291が側枠板13の開放側の厚み部13bに近接するので、厚み部13b内側(即ち厚み部bと第2周面壁291との間)から指等を差し入れることが困難となる。これにより、外枠2の背後から扉枠用摺動杆971または本体枠用摺動杆984を操作する等の不正を抑制することもできる。
本体枠3には、外枠2の内周面に沿った周面壁290〜293が形成されている。即ち、この本体枠3は、正面から見たときの左右幅の広さをほぼ維持しつつ周面壁290〜293が外枠2の内周壁の面に沿って周設されるものである。具体的には、軸支側の側枠板12の内側壁の面と軸支側の第1周面壁290の外側面とが互いに密に隣接しつつ、軸支側の側枠板12に形成されているリブまで第1周面壁290が延設されている。また、薄肉の施錠装置60(詳細は後述する)を挟んで開放側の側枠板13と開放側の第1周面壁290の外側面が互いに近接しつつ、開放側の側枠板13に形成されているリブまで第1周面壁290が延設されている。このようにして、第1周面壁290は、軸支側および開放側のいずれも、外枠2に最接近している。これにより、軸支側の周面壁290〜293と開放側の周面壁290〜293との左右方向の幅を最大限に広くすることができる。なお、周面壁290〜293には開口部が殆ど形成されていない。
また、軸支側において、本体枠3は、開放側の側枠板13に形成されているリブの直前で約18mm内側に略直角に折れ曲がっており、このリブを回避して第2周面壁291が後方に向けて第1周面壁290と略平行に延設されている。
また、この第2周面壁291の後端部(第2周面壁291と第3周面壁292との境界部)から後方に向けて、該第2周面壁291と略平行に第3周面壁292が延設されている。なお、第3周面壁292は、第2周面壁291よりも僅かに(約1mm)内側である。即ち、軸支側において、第2周面壁291と第3周面壁292との間には、肉厚程度の微段差が形成されることとなる。
さらに、この第3周面壁292の後端部(第3周面壁292と第4周面壁293との境界部)から後方に向けて、該第3周面壁292と略平行に第4周面壁293が延設されている。なお、第4周面壁293は、第3周面壁292よりも僅かに(約1mm)内側である。即ち、軸支側において、第3周面壁292と第4周面壁293との間には、肉厚程度の微段差が形成されることとなる。
なお、第2周面壁291と第3周面壁292との間および第3周面壁292と第4周面壁293との間の段差の厚みが肉厚程度と僅かなので、本体枠3は、第2周面壁291の先端部から第4周面壁293の後端部にかけて、遊技パネル409と略直交する方向にほぼ直線状に延設することとなる。しかも、第2周面壁291〜第4周面壁293がほぼ直線状でありつつも、肉厚程度の微段差が形成されていることによって本体枠3の強度アップが図られている。
一方、開放側において、本体枠3は、第1周面壁290の後端部(第1周面壁290と第2周面壁291との境界部)から後方に向けて、該第1周面壁290と略平行に第2周面壁291が延設されている。なお、第2周面壁291は、第1周面壁290よりも若干(約5mm)内側である。即ち、開放側において、第1周面壁290と第2周面壁291との間には、肉厚程度の微段差が形成されることとなる。
また、この第2周面壁291の後端部(第2周面壁291と第3周面壁292との境界部)から後方内側に向けて第3周面壁292が延設されている。なお、第2周面壁291と第3周面壁292との境界部には肉厚程度の微段差が形成されている。即ち、この第3周面壁292は、先端部(第2周面壁291と第3周面壁292との境界部)から後端部(第3周面壁292と第4周面壁293との境界部)に向けて、後方斜めに形成されることとなる。
また、この第3周面壁292の後端部(第3周面壁292と第4周面壁293との境界部)から後方内側に向けて第4周面壁293が延設されている。なお、第3周面壁292と第4周面壁293との境界部には肉厚程度の微段差が形成されている。即ち、開放側における第4周面壁293は、先端部(第3周面壁292と第4周面壁293との境界部)から後端部(第4周面壁293と開放側後面壁294との境界部)に向けて、後方斜めに形成されることとなる。
このように、本体枠3が第3周面壁292の先端部から第4周面壁293の後端部に向けて後方斜めに形成されることによって、開放側の側枠板13と干渉することなく、上軸支金具47と下軸支金具48(いずれも図2参照)とを結ぶ軸心を回動中心として、本体枠3を、外枠2に対して開放することが可能となる(図49参照)。とくに、本実施形態では、上軸支金具47と下軸支金具48(いずれも図2参照)とを結ぶ軸心を回動中心としたとき、開放側の周面壁290〜293は、当該軸心から側枠板13の内端に近接する部位(詳しくは第1周面壁)までの長さを半径とする円弧状に沿って形成されている。
換言すると、本体枠3は、上下方向を長手方向とする短冊状の板部としての複数の周面壁290〜293を有しており、より後方の周面壁ほど内側に配置されるように肉厚程度の微段差が形成されている。即ち、第2周面壁291は第1周面壁290よりも内側に、第3周面壁292は第2周面壁291よりも内側に、第4周面壁293は第3周面壁292よりも内側に、それぞれ配置されるように極僅かな段差部が形成されている。これにより、本体枠3の強度アップを図ることができると共に、開放側の周面壁290〜203を外枠2の側枠板13の内端(内側面)に近接させることができ、より大型の演出表示装置115を採用しつつも、遊技パネル409の幅(遊技者から見て左右方向の幅)、即ち遊技領域20の幅を十分に確保することができる。さらに、開放側においては、第3周面壁292および第4周面壁293が、後方に向けて内側に斜めに傾斜しているので、外枠2に対して本体枠3を開放するに際して本体枠3が外枠2に干渉することもなく、スムーズに本体枠3を開放することができる。
また、上述した本体枠3には、遊技演出ユニット4が内挿して装着される。より具体的には、遊技領域20を区画形成する前構成部材680およびパネルホルダ540が、第1周面壁290の内壁に沿って隙間なく配置される。また、透明の遊技パネル409は、この前構成部材680とパネルホルダ540とによって挟持される。
また、遊技演出ユニット4は、遊技演出ユニット設置凹部30に全てが収容されるようにして本体枠3に内挿される。即ち、遊技演出ユニット4の最前部(遊技パネル409の表面)が本体枠3の最前部(第1周面壁290の最前面)よりも奥まった位置になる。また、開放側後面壁294は開放側の第3周面壁292の後端部から内側(正面視左側)に向けて略直角に成型され、上後面壁295は上側の第4周面壁293の後端部から内側(正面視下側)に向けて略直角に成型され、軸支側後面壁296は軸支側の第3周面壁292の後端部から内側(正面視右側)に向けて略直角に成型されている。従って、遊技演出ユニット4は、外枠2の周面壁290〜293によって奥行き方向の全てが閉塞されることとなる。これにより、遊技パネル409の側方から異物を挿入して、遊技パネル409に設けられる各始動口602,604、一般入賞口614および開閉装置500等の入賞部材を操作する等といった不正行為を抑制することが可能となり、セキュリティ性に優れたパチンコ機1を提供することができる。とくに、周面壁290〜293には錠係止穴351以外の開口部が形成されていないので、周面壁290〜293は、遊技演出ユニット4を側方から覆う被覆部として機能することとなり、遊技演出ユニット4に対する側方からの不正行為を抑止することができる。
パネルホルダ540の後方には、所定容積の空間を形成する枠状箱型の裏箱514を有する裏ユニット510が配置されている。裏箱514の後面側には開口部514b(図65参照)が形成されており、この開口部514bを閉鎖するようにして、演出表示装置115が配置されている。演出表示装置115の後方には、主制御基板710(図84参照)を収納する主制御基板ボックス25や周辺制御基板810(図85参照)を収納する周辺制御基板ボックス24が装着されている。
このようにして、前構成部材680、パネルホルダ540、遊技パネル409、裏ユニット510、演出表示装置115、主制御基板ボックス25および周辺制御基板ボックス24が本体枠3に収容される。即ち、前構成部材680、パネルホルダ540、遊技パネル409、裏ユニット510、演出表示装置115、主制御基板ボックス25および周辺制御基板ボックス24が箱状を成す遊技箱体として、本体枠3に装着される。
ここで、外枠2、本体枠3および遊技演出ユニット4の互いの位置関係について換言すると、本体枠3が外枠2に対して閉じられ且つ遊技演出ユニット4が本体枠3に装着された状態において、軸支側および開放側の遊技パネル409の側部(長手方向の外側面)は、それぞれ、軸支側および開放側の側枠板12,13の内端(内側面)に近接させるように形成されている。また、軸支側および開放側のそれぞれについて、遊技パネル409の側部と側枠板12,13の内端との間には、薄肉状の第1周面壁290が前方から後方に向けて延設されている。さらに、遊技パネル409の上辺部(短辺方向の外側面)は、上枠板10の内端(内側面)に近接させるように形成されており、この遊技パネル409の上辺部と上枠板10の内端との間にも、薄肉状の第1周面壁290が前方から後方に向けて延設されている。これにより、遊技パネル409に形成される遊技領域20を十分に大きく設計することができる。また、遊技演出ユニット4の収容スペースの左限、右限および上限が分かり易いものとなり、遊技演出ユニット4の設計の容易化を図ることが可能となる。
ところで、裏ユニット510によって形成される空間には、発光装飾体1720が配置されている。発光装飾体1720は、後述するように電飾部材としての複数のLED1740を備えており、遊技演出ユニット4の正面側に向けて光を投射している。なお、発光装飾体1720の各LED1740は、裏ユニット510の略中央に配置される演出表示装置115の周囲に、遊技領域20の略全域に亘って散りばめて配置されている。
また、本実施形態では、遊技パネル409を透明樹脂製にするなど、遊技演出ユニット4を構成する主要部品の多くを光透過部材としている。さらに、裏ユニット510によって形成される空間には発光装飾体1720等の演出装置が配置されている。これにより、発光装飾体1720によって遊技領域20が狭小化されることなく、遊技球が流下可能なスペースを十分にとることが可能となる。しかも、本体枠3が幅広状態を維持しつつ後方に延設されているので、遊技パネル409の後方には、演出装置を収容する広域の演出空間510G(図48〜図50に図示される網掛け部)が形成されることとなり、幅広且つ奥行きを有する立体的な臨場感溢れる遊技を行うことが可能となる。とくに、奥行き方向に配置された発光装飾体1720などの電飾部材により、正面視で遊技演出ユニット4の全体がライトアップされるような印象を与えることができ、また、遊技演出ユニット4の奥行き(より詳しくは演出空間510Gの奥行き)が深いことが強く強調される。なお、この広域の演出空間510Gは、遊技パネル409の後方に広く形成されている(とくに案内レール482の後方まで形成されている)。
また、本体枠3は、第1周面壁290から第4周面壁293にかけて側面には殆ど開口部がなく、周面壁290〜293で囲繞されるように形成された収容部(遊技演出ユニット設置凹部30)を有している。また、この本体枠3は、一体成型されている。よって、複数の板材をネジ止めした場合等に生じうる隙間等がなく、セキュリティ性が高くなる。さらにこの本体枠3に、前構成部材680、パネルホルダ540、遊技パネル409、裏ユニット510、演出表示装置115、主制御基板ボックス25および周辺制御基板ボックス24を主たる構成要素とする箱状の遊技演出ユニット4をそっくりそのまま収容できる。これにより、周面壁290〜293によって確保されたスペースのみを考慮して遊技演出ユニット4を設計すれば良く、パチンコ機1を構成する他の構成部品との兼ね合いを考慮する必要がないので、遊技演出ユニット4の設計が容易となる。また、遊技パネル409には各始動口602,604、一般入賞口614および開閉装置500等の入賞部材が設けられているが、遊技パネル409の側方から異物を挿入してこれらの入賞部材を操作する等といった不正を抑制することが可能となり、セキュリティ性に優れたパチンコ機1を提供することができる。
また、本体枠3は、周面壁290〜293のうち側枠板12,13と対向する周面壁290〜293(本実施形態では第1周面壁290および第2周面壁291のうちの側壁)から後方に向けて延設されている。しかも、本体枠3は一体成型されると共に、裏カバー58が本体枠3の後端面(開放側後面壁294、上後面壁295、軸支側後面壁296)に設けられている。これにより、従来のように、裏カバー開閉用のヒンジと外枠(より詳しくは側枠板)との干渉を気にすることなく、裏カバー58を設けることができる。従って、周面壁290〜293を側枠板12,13の内端により一層近接させることができ、軸支側の周面壁290〜293と開放側の周面壁290〜293との左右方向の幅を広くすることができる。
ここで、賞球タンク50、タンクレール部材51、球通路ユニット52および球払出装置53を流れる遊技球の流れについて、図48および図50を参照して説明する。図48は上述のとおりであり、図50は、パチンコ機の側面断面図である。
賞球タンク50は、開放側後面壁294よりも前方であって且つ外枠2の上方に配置される(より詳しくは本体枠3の上辺から後方に向けて延設される周面壁290〜293の上面に載置される)。ところで、賞球タンク50は、島設備から循環供給される遊技球を受けているため、パチンコ機1のどの位置に配置されるかについては一義的に定まってしまう。即ち、島設備はむやみやたらに改造できるものではないため、いかなるパチンコ機が島に設置されたとしても、島設備から供給される遊技球を受けることができるようにしなければならない。しかし、本実施形態の賞球タンク50は、島設備から供給される遊技球を受ける位置(領域)を含み且つ周面壁290〜293の上面に亘る広い領域に亘って配置される。これにより、賞球タンク50の浅い皿状に形成されていたとしても多量の遊技球を貯留できるので、本体枠3の上辺から後方に向けて延設される周面壁290〜293を外枠2の上枠板10に近接して成型することができ、その結果、遊技演出ユニット4を、上下方向(遊技者から見た高さ方向)にも大きくすることができる。よって、左右方向および上下方向のいずれにも遊技領域20を拡大化できると共に、遊技パネル409の後方に設けられる演出空間510Gについても、左右方向および上下方向のいずれにも拡大化できる。これにより、左右方向および上下方向のいずれにも拡大化された遊技領域20および演出空間510Gを形成できるので、立体感および重厚感に溢れる遊技を提供することが可能となる。
賞球タンク50に貯留される遊技球は、重力作用によってタンクレール部材51に流れる。タンクレール部材51は二条レールとなっており、順序供給装置51aによって各レールから交互に遊技球が1球ずつ球通路ユニット52に送られる。なお、このタンクレール部材51は、開放側後面壁294の後面に沿って配置される。
球通路ユニット52は、一条レールとなっており、自重にて流下する遊技球が蛇行して流下するように、幅方向(遊技者から見た左右方向)に蛇行形成されている。これにより、タンクレール部材51内を流下する遊技球に必要以上の球圧がかからないようになっている。そして、球通路ユニット52を流れる遊技球は、1球ずつ球払出装置53に送られる。なお、この球通路ユニット52は、開放側後面壁294の後面に沿って配置される。また、球通路ユニット52を一条レールとすることによって、正面から見た前後方向および左右方向のいずれについても球通路ユニット52の厚みを薄くすることができ、球通路ユニット52のコンパクト化を図ることができる。さらに、球通路ユニット52を、左右方向に蛇行させることができるので、裏ユニット510によって遊技パネル409の裏面側全域に形成される広域の演出空間510Gの領域を確保することができる。
球払出装置53は、入賞に応じて所定数の遊技球を皿ユニット300の貯留部361に払い出す装置であり、球切りのための払出モータ1465を有している。そして、開放側後面壁294の後面に沿うと共に、球通路ユニット52の下方に配置されている。ただし、球払出装置53から払い出された遊技球は重力の作用によって貯留部361に供給されるため、球払出装置53は貯留部361よりも高い位置に配置される必要がある。本実施形態では、球払出装置53は、開放側後面壁294の後方であって且つ貯留部361よりも僅かに高い位置に配置されているだけであり、可能な限り下方に配置されている(少なくとも演出表示装置115よりも下方に配置されている)。
ここで、球払出装置53と貯留部361との間には、遊技球の流路が蛇行するように内部空間に形成された球供給通路59が形成されている(図16等参照)。この球供給通路59における遊技球の最下流側に形成された開口部である球出口1536(図24参照)が、後述する皿ユニット300の賞球連絡樋431(図46及び図47参照)、さらには通路用切欠部478(図26参照)に連通する。そして、球払出装置53から払い出された遊技球は、この球供給通路59および賞球連絡樋431を経て貯留部361に払い出される。この球供給通路59は、開放側後面壁294の後方から貯留部361までのキョリの分だけ遊技球を貯留できる。即ち、この球供給通路59は遊技者からは視認できないものの、払い出された遊技球を実質的に貯留できるので、貯留部361(視認できる部分)が貯留できる遊技球数よりも多くの遊技球を実際には貯留できることとなる。とくに、本実施形態のパチンコ機1は、従来のような下皿が存在しないものの、従来と同じかもしくはそれ以上の遊技球を貯留部361にて貯留することが可能となる。
一方、球供給通路59における遊技球の最上流側では、先述の球払出装置53が接続されるとともに、遊技球が流入可能な開口部であるファール球入口1538(図24参照)が形成されている。このファール球入口1538は、遊技演出ユニット4の背面側で連通口473に連通する。ここで、発射装置57により射出されて遊技演出ユニット4に進入した遊技球のうち、遊技領域20に到達せずに発射案内路29(外レール472と内レール462との間隙に形成される遊技球の射出経路)を逆流した打球はファール口489に受け入れられ連通口473に進入する。そして、連通口473に進入した遊技球は、遊技演出ユニット4の背面側からファール球入口1538を経由して球供給通路59に案内され、上述と同様に球供給通路59および賞球連絡樋431を経て貯留部361に排出される。なお、球払出装置53には、球抜きされた遊技球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するための流路である球抜き接続通路415も設けられている。
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、上述のとおり、タンクレール部材51、球通路ユニット52および球払出装置53は、いずれも開放側後面壁294の後面に沿って配置されている(即ち上述の遊技箱体よりも後方側に配置されることとなる)。これにより、上述の広域の演出空間510Gよりも後方に配置され且つ演出表示装置115の後側に取り付けられる表示装置制御基板ボックス119に干渉することもない。従って、広域の演出空間510Gの確保および演出表示装置115の大型化を図りつつ、タンクレール部材51、球通路ユニット52および球払出装置53の配置位置を自由に設計できる。とくに、球通路ユニット52は、所定の球圧以上の負荷がかからないように折り返して球圧を逃がす必要がある。しかし、本実施形態における球通路ユニット52はコンパクト化された一条レールであり、さらに開放側後面壁294の後面に沿って左右方向に蛇行して配置されていることから、配置位置や蛇行方法を自由に設計でき、球圧異常による球詰まりを回避することが可能となる。
また、球払出装置53は、可能な限り下方に配置されているので、パチンコ機1内に存在する遊技球を一定量以上確保することが可能となり、球切れトラブルを抑制することができる。即ち、パチンコ機1内に存在する遊技球を一定量以上確保することができなければ、例えば大量の遊技球が払い出されるときに、パチンコ機1内に存在する遊技球の量よりも払い出される遊技球の量が上回ってしまうことが懸念される。パチンコ機1内に存在する遊技球の量は、賞球タンク50から球払出装置53までの間に存在する遊技球の量によって決まるため、球払出装置53を可能な限り下方に配置することによって、球不足によるトラブルを抑制することができる。
なお、球払出装置53を下方に配置すると、入賞してから賞球としての遊技球が払い出されるまでの時間が短くなってしまい、賞球としての遊技球が確実に払い出されたことを遊技者が確認できない場合がある。即ち、入賞および賞球払い出しの一連の動作が瞬時に行われてしまうよりも、入賞と賞球払い出しとの間に一定のタイムラグがある方が、入賞の確認および賞球としての遊技球の払い出し確認の両方を行い易い。ところが、本実施形態のパチンコ機1では、球払出装置53と貯留部361との間に球供給通路59が設けられており、さらに、球通路ユニット52が一条レールであることから、球払出装置53を下方に配置することによって球切れトラブルを抑制しつつも、入賞と賞球払い出しとの間に一定のタイムラグを設けることが可能となる。
ところで、従来の遊技機では、本体枠に取り付けられる遊技盤は、平面視で(すなわち、上方から見ると)横幅方向に対して演出表示装置が設けられる中央部のみが大きく後方に突出する山型形状またはピラミッド型形状を有しているのが一般的であった。しかし、本実施形態に係る遊技演出ユニット4は、平面視で(すなわち、上方から見ると)横幅方向に亘って後方に略同じ突出幅を有する方形を有している。そのため、遊技演出ユニット4は、全体として略箱型の外観形状を有しているが、このような特徴的な形状は以下の点に起因するものである。
すなわち、遊技演出ユニット4では、先述のように演出表示装置115を遊技パネル409の後方(奥行き方向)に配置して、演出表示装置115と遊技パネル409との間隙に広域の演出空間510Gを形成している。かかる構造によって、遊技演出ユニット4の正面視における略中央部分は、遊技パネル409の後方(奥行き方向)に大きく突出することになる。
さらに、遊技演出ユニット4では、正面視で演出表示装置115の周囲において、各々LED基板を有する複数の発光部材としての各発光装飾体1720が、遊技パネル409の後方に配設されている。そして、これらの発光装飾体1720の後方(より詳細には、裏箱514の背面側)に、当該発光装飾体1720が有するLEDの点灯・点滅制御を行なう等の各種基板類を設けている。
このように、遊技演出ユニット4は、正面視における略中央部分に対する外周部分に、複数の発光部材やこれらに関する各種基板類を有している。そのため、この遊技演出ユニット4の略中央部分に対する外周部分も、遊技パネル409の後方(奥行き方向)に大きく突出することになる。かかる構造により、遊技演出ユニット4は正面視におけるほぼ全域が、遊技パネル409の後方(奥行き方向)に大きく突出することになり、全体として略箱型の外観形状を形成する。そして、この略箱型の遊技演出ユニット4を、当該遊技演出ユニット4と略均等な空間形状を有する演出空間510Gに対して緊密に嵌め込むことができる。
[遊技演出ユニットの詳細構成について]
次に、先述の遊技演出ユニット4の詳細な構成について、図51〜図55を参照して説明する。図51は、遊技演出ユニットの正面図である。図52は、遊技演出ユニットを正面から見た斜視図である。図53は、遊技演出ユニットを背面から見た斜視図である。図54は、遊技演出ユニットを構成する主な部材ごとに分解して正面から見た斜視図である。図55は、図54の分解図を背面から見た斜視図である。
図示するように、本実施形態のパチンコ機1における遊技演出ユニット4は、外レール472及び内レール462を有し、遊技者がハンドルユニット318を操作することで遊技媒体としての遊技球(単に「球」とも称す)が打ち込まれる遊技領域20の外周を区画形成する枠状の前構成部材680と、前構成部材680の後側で遊技領域20を閉鎖するように配置される透明板状の遊技パネル409と、遊技パネル409の外周を覆うと共に遊技パネル409を前側から着脱可能に保持し、前構成部材680の後側に取付けられる枠状のパネルホルダ540と、パネルホルダ540の後側に取付けられる裏ユニット510と、裏ユニット510の後側に配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示手段としての演出表示装置115とを備えている。なお、演出表示装置115は、従来のパチンコ機に用いられている演出表示装置と比較して、より大型のもの(例えば21インチ程度のもの)が備えられている。
遊技演出ユニット4における遊技領域20には、その略中央部分に枠状のセンター役物620が配設されており、このセンター役物620の枠内を通して前方(遊技者)から演出表示装置115に表示される演出画像を視認できるようになっている。このセンター役物620の外周左縁には、チャッカー入口1601とチャッカー出口1602とが上下に並んで形成されており、チャッカー入口1601とチャッカー出口1602とを結ぶように遊技球が流通可能なチャッカー通路(通過ゲート612)が形成されている(図59参照)。この通過ゲート612内には、流通する遊技球を検出するゲートセンサ760が備えられており、チャッカー入口1601から進入した遊技球がゲートセンサ760で検出された後にチャッカー出口1602からセンター役物620の左側の遊技領域20内へ戻されるようになっている。
また、センター役物620には、チャッカー出口1602の下側にワープ入口1605が形成されており、このワープ入口1605へ進入した遊技球が、ワープ通路1606を介して、センター役物620の下枠上面に形成されたステージ1607上に導かれるようになっている。
この遊技領域20には、センター役物620の中央下方に、アタッカユニット600が配設されている。このアタッカユニット600は、上方に常時開口し遊技球が入賞可能な第1始動口602と、第1始動口602の下方に設けられ開閉可能な一対の可動片606を有する第2始動口604と、第2始動口604の下方に配置された開閉装置500とを備えている。第2始動口604は、一対の可動片606が閉状態であるときは遊技球を受入れることが不可能または受入れ困難となっており、この一対の可動片606が開状態であるときは、第1始動口602よりも遊技球の受入れが容易となる。
また、開閉装置500は、大入賞口500aと、この大入賞口500aに対応して設けられた大入賞口開閉扉500bとを有している。大入賞口500aは、遊技球の受入れが可能な開口部である。大入賞口開閉扉500bは、大入賞口500aを、遊技球の受入れが可能な開状態と遊技球の受入れが不可能または困難にする閉状態とに切り換えるための部材である。なお、大入賞口500aが閉状態であるとき、遊技領域20に向けて打ち込まれた遊技球の受け入れが必ずしも不可能であることに限定されるものではなく困難、好ましくは極めて困難であっても良い。
更に、遊技領域20には、図51に示すように、アタッカユニット600の右側に、二つの一般入賞口614を有した入賞口部材670と、特別図柄表示器や普通図柄表示器等を有したLED図柄表示部80とを備えている。このLED図柄表示部80の上面には、左端が低くなったスロープ683が備えられており、LED図柄表示部80上に流下した遊技球が、スロープ683によって、遊技領域20の左右方向中央へ寄せられるようになっている。
このLED図柄表示部80には、後述する第1特別図柄抽選手段900による抽選結果を表示する第1特別図柄表示器84、第2特別図柄抽選手段910による抽選結果を表示する第2特別図柄表示器86、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数(保留の状態とされている第1特別図柄抽選手段900による抽選処理の処理数)を表示する第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数(保留の状態とされている第2特別図柄抽選手段910による抽選処理の処理数)を表示する第2特別図柄保留表示器90が設けられている。また、LED図柄表示部80には、普通図柄抽選手段920による抽選結果を表示する普通図柄表示器82と、普通図柄抽選手段920による抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器92とが設けられている。これらの表示器は、後述するRAM713に格納された制御データに基づいて後述の主制御基板710によって順次実行される遊技の進行にかかる複数の処理がそれぞれ機能していることが認識可能とされる主制御機能診断表示器とも言えるものである。
これらの各表示器82,84,86,88,90,92は、例えばLEDで構成されており、このLEDの点灯態様によって、第1特別図柄抽選手段900による抽選結果、第2特別図柄抽選手段910による抽選結果、普通図柄抽選手段920による抽選結果、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数、第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数および普通図柄抽選手段920による抽選の保留数が報知される。
なお、「抽選の保留数」とは、本実施形態によれば、当否判定用乱数を取得するものの当該取得した当否判定用乱数が当たりであるか否かの判定(抽選処理)の保留数を意味するが、これに限られず、当否判定用乱数の取得を保留し、当該取得を保留した当否判定用乱数の保留数であっても良い。
本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留数を、「第1特別図柄の保留数」または「第1特別図柄の始動記憶数」と称することがある。また、第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留数を、「第2特別図柄の保留数」または「第2特別図柄の始動記憶数」と称することがある。
また、第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄保留表示器90には、抽選の保留数の表示に代えて、抽選結果の表示の保留数であっても良い。即ち、当否判定用乱数を取得し且つ当該取得した当否判定用乱数の当否を判定するものの、当該判定結果を第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示することを保留し、かかる保留数を表示しても良い。
また、遊技領域20には、LED図柄表示部80とは左右方向反対側に、センター役物620の左側を流下してきた遊技球を、アタッカユニット600の方向へ誘導する誘導部材690が更に備えられている。この誘導部材690の上面には、右端が低くなったスロープ691が形成されており、このスロープ691によって、遊技球がアタッカユニット600の配置された中央側へ誘導されるようになっている。
本例のパチンコ機1では、一般入賞口614、第1始動口602、第2始動口604、及び大入賞口500aに遊技球が入賞すると、入賞した入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出されるようになっている。例えば、遊技球が一般入賞口614に入賞すると、10個の遊技球が、第1始動口602に入賞すると3個の遊技球が、第2始動口604に入賞すると4個の遊技球が、そして、大入賞口500aに入賞すると13個の遊技球が夫々払出される。
また、チャッカー入口1601から進入した遊技球がゲートセンサ760によって検出されると、所定の抽選が行われ、普通図柄表示器82において図柄が変動表示された後に、抽選結果を示唆する図柄が停止表示される。この普通図柄表示器82において「当り」を示唆する図柄が表示されると、第2始動口604を閉状態としている一対の可動片606が所定時間(例えば、0.5秒)開状態となり、その間、第2始動口604へ入賞が可能となる。
一方、第1始動口602及び第2始動口604のいずれかに遊技球が入賞すると、当否判定用乱数が取得され、特別図柄の変動開始条件が成立したときに、所定の抽選が行われる。そして、当該抽選に基づく特別図柄の変動表示が開始された後に、この抽選に対応する第1特別図柄表示器84及び第2特別図柄表示器86のいずれかにおいて、抽選結果を示唆する所定の態様で特別図柄が停止表示されるようになっている。この特別図柄表示器84,86において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、開閉装置500の大入賞口開閉扉500bが、所定のパターンで開閉動作する遊技(例えば、大当り遊技)が発生し、その間に大入賞口500aへ遊技球を入賞させることで、より多くの遊技球を獲得できるようになっている。なお、特別図柄の変動開始条件は、第1特別図柄表示器84及び第2特別図柄表示器86のいずれにおいても特別図柄の変動表示が行われていないときに成立する。また、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86において特別図柄の変動表示が行われているときは、当該変動表示が終了したときに、特別図柄の変動開始条件が成立する。
本例の遊技演出ユニット4は、表面(前面)に障害釘が植設された遊技パネル409が、透明板状とされ、遊技者から遊技パネル409の後側を視認することができ、図示するように、遊技パネル409の後側に配置された裏ユニット510の各種装飾体等が、遊技パネル409を通して視認することができるようになっている。
<遊技演出ユニットにおける遊技パネルの保持構造>
遊技演出ユニット4における遊技パネル409の保持構造について、図56〜図58を参照して説明する。図56は、遊技演出ユニットにおける前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダを組立てた状態で縦方向に切断して示す断面図である。図57は、遊技演出ユニットを主に構成する前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダ等を分解して正面から見た分解斜視図である。図58は、図57を背面から見た分解斜視図である。
本実施形態の遊技演出ユニット4は、上述したように、遊技領域20と対応する大きさの透明な合成樹脂からなる板状の遊技パネル409と、遊技パネル409を前方から着脱可能に保持する合成樹脂からなる枠状のパネルホルダ540と、パネルホルダ540の前側に配置され遊技領域20の外周を区画形成すると共に遊技領域20内に遊技球を案内する案内する外レール472及び内レール462を備えた前構成部材680と、パネルホルダ540の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内に配置される板状のパネル裏板504とを主に備えている。
この前構成部材680は、図示するように、その後面側に、後方へ突出する複数の位置決めボス680a及び位置決め突起680bが備えられている。これら位置決めボス680a及び位置決め突起680bは、詳細は後述するが、後側に配置されるパネルホルダ540や基板ホルダ505、及び遊技パネル409と位置決めできるようになっている。
遊技演出ユニット4における遊技パネル409は、その外形が遊技領域20よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板により形成されている。なお、遊技パネル409の板厚は、パネルホルダ540によりも薄く、障害釘410(図56参照)を植設しても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。
この遊技パネル409には、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔409aと、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔409bが夫々備えられている。これら嵌合孔409a及び長孔409bは、遊技領域20よりも外側に配置されており、パネルホルダ540との位置決めを行うものである。また、遊技パネル409には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部409cが夫々備えられている。この係合段部409cは、遊技パネル409の板厚の略半分を切り欠いた形態とされると共に、嵌合孔409a及び長孔409bと同様に、遊技領域20よりも外側に配置されており、遊技パネル409をパネルホルダ540へ係合固定するためのものである。
また、遊技パネル409には、所定位置に内レール固定孔409dが複数備えられている。この内レール固定孔409dに内レール462の後側から突出する位置決め突起680bを嵌合固定させることで、内レール462を所定の位置に固定することができるようになっている。
また、遊技パネル409には、図56に拡大して示すように、障害釘410を植設するための下孔409fが、遊技パネル409を貫通するように穿設されており、この下孔409fの内径は、障害釘410の植設側の外径よりも若干小さい径とされている。この遊技パネル409には、下孔409fが所定の位置に複数穿設されており、各下穴409fに前面側から障害釘410を、図示しない障害釘植設装置を用いて植設することで、多数の障害釘410が、所定のゲージ配列となるようになっている。
なお、本実施形態に係る障害釘410は、頭部の直径が4〜5mm及び全長が25〜30mmである。そして、障害釘410の軸部に形成される打ち込み部には、その先端に丸みが形成されるとともに、螺旋状に切り込まれたネジリ部が形成されている。つまり、障害釘410の打ち込み部の先端形状は丸みを帯びているため、小径の下孔409fに対して当該障害釘410を挿入しやすい。さらに、障害釘410の打ち込み部に形成されたネジリ部によって、当該障害釘410を遊技パネル409に埋め込みやすい。なお、遊技パネル409に対して障害釘410が植設される深さ(所謂、打ち込み寸法)は、10mm程度が好適である。
更に、遊技パネル409には、センター役物620、アタッカユニット600、入賞口部材670、及びLED図柄表示部80等が備えられるように内径が所定形状で前後方向に貫通する開口部409eが形成されていると共に、それらを固定するための固定孔が適宜位置に形成されている。
遊技演出ユニット4におけるパネルホルダ540は、遊技パネル409を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、従来のパチンコ機の遊技演出ユニットにおける木製合板からなる部材(例えば、遊技演出ユニットベース等)の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた熱可塑性合成樹脂からなるものである。このパネルホルダ540には、遊技パネル409を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部540aと、保持段部540aの内側において略遊技領域20と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口540bとを主に備えている。
パネルホルダ540の保持段部540aは、前面からの深さが遊技パネル409の厚さと略同じ深さとされており、保持段部540a内に保持された遊技パネル409の前面がパネルホルダ540の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部540aは、その前側内周面が、遊技パネル409の外周面に対して所定量のクリアランスCが形成される大きさとされている。このクリアランスCにより、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネル409が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている(図56参照)。なお、クリアランスC内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ540には、保持段部540aに保持される遊技パネル409に形成された嵌合孔409a及び長孔409bと対応する位置に配置され、保持段部540aの前面から前方に向かって延び、遊技パネル409の嵌合孔409a及び長孔409bに嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン540cを備えている。これらの突出ピン540cを遊技パネル409の嵌合孔409a及び長孔409bに嵌合及び挿通することで、パネルホルダ540と遊技パネル409とを互いに位置決めすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ540には、遊技パネル409の係合段部409cと対応する位置に、係合段部409cと係合する係合爪540d及び係合片540eを供えている。詳述すると、図56及び図57に示すように、係合爪540dは、パネルホルダ540の上側の保持段部540aに配置されており、遊技パネル409における上側の係合段部409cと対応し、保持段部540aの前面から前方に向かって突出し係合段部409cと弾性係合するようになっている。この係合爪540dは、その先端がパネルホルダ540の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片540eは、パネルホルダ540の下側の保持段部540aに配置され、遊技パネル409における下側の係合段部409cと対応し、保持段部540aの前面との間に遊技パネル409の係合段部409cが挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ540の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪540d及び係合片540eに遊技パネル409の係合段部409cを係合させることで、遊技パネル409がパネルホルダ540に対して着脱可能に保持されるようになっている。
また、パネルホルダ540には、前構成部材680に備えられた位置決めボス680aを挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔540fを備えている。このボス挿通孔540fに前構成部材680の位置決めボス680aを挿通することで、パネルホルダ540と前構成部材680とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ540には、図56及び図58に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部540gが備えられている。この取付支持部540gにより、パネルホルダ540の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部540gに取付固定される裏ユニット510における裏箱514のフランジ状の固定部514d(図67等参照)を収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1〜3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部540gに所定の部材を取付固定することで、その固定部514dがパネルホルダ540よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ540すなわち遊技演出ユニット4をパチンコ機1の遊技演出ユニット設置凹部30内に確実に設置装着できるようになっている。
また、パネルホルダ540の後面側には、下端より所定高さまでの所定範囲内で取付支持部540gが形成された位置より下側に形成され、前側に向かって窪み、パネル裏板504を収容可能な収容凹部540hと、この収容凹部540h内に前後方向に貫通するように配置されパネル裏板504に形成された係止爪504cを係止可能な係止部540iとを更に備えている。この収容凹部540hは、パネル裏板504の係止爪504cを係止部540iに係止させることでパネル裏板504を着脱可能に収容すると共に、収容されたパネル裏板504の後面が、パネルホルダ540の後面と略同一面となるように形成されている。
更に、パネルホルダ540には、図58に示すように、後面側の取付支持部540g内及び収容凹部540hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔540jが所定配列で配置されている。また、パネルホルダ540には、取付孔540jと対応するように配置される複数の位置決め孔540kが備えられている。この位置決め孔540kは、取付孔540jを用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、裏箱514の固定部514dに形成された位置決め突起514f)が挿入されるものである。なお、本例では、位置決め孔540kは、背面視略矩形状の止り孔とされている。
なお、取付孔540jに対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔540jを用いるようにしても良い。
更に、パネルホルダ540には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部540lが形成されており、肉抜き部540lによりパネルホルダ540の重量が軽減されるようになっている。ところで、図57に示すように、収容凹部540hの前側、つまり、パネルホルダ540の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部540lが形成されていない。つまり、この所定範囲内では、パネルホルダ540の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材680の接続通路部477の後面が略平らな面となる。そのため、発射装置57から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ540は、図示するように、肉抜き部540lが形成されることで、取付孔540j等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ540の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。
なお、このパネルホルダ540には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部540mが形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル409を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ540の下部には、前構成部材680のアウト口471と連通する開口540nと、前構成部材680のファール口489と連通する連通孔540oとが更に備えられている。
次に、パネル裏板504は、パネルホルダ540の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内の肉抜き部540lを覆うように配置されると共に、パネルホルダ540の収容凹部540hに後面同士が略同一面となるように収容可能とされ、平面状の後面に所定配列で配置され所定のビスを螺合可能な複数のビス孔504aと、ビス孔504aと対応するように配置される複数の位置決め孔504bと、パネルホルダ540の係止部540iに係止可能な係止爪504cと、前面側から貫通しないように陥没する減量用の凹陥部504dとを備えている。
なお、このパネル裏板504におけるビス孔504a及び位置決め孔504bは、パネルホルダ540における取付孔540j及び位置決め孔540kと略同じ構成とされている。また、このパネル裏板504もパネルホルダ540と同様に、凹陥部504dにより、ビス孔504a及び位置決め孔504b等が形成された部分がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネル裏板504の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。更に、パネル裏板504には、パネルホルダ540の開口540n、連通孔540o、及びボス挿通孔540fと対応した位置に前後方向に貫通する開口504eが備えられている。
このパネル裏板504は、パネルホルダ540の収容凹部540hに収容させると共に、パネル裏板504の係止爪504cをパネルホルダ540の係止部540iに係止させることで、パネルホルダ540と一体となり、その状態では、パネル裏板504の後面が、パネルホルダ540の後面と略同一面となる。このようにパネルホルダ540とパネル裏板504とを一体化することで、パネルホルダ540の後面側には、貫通口540bの外周側で略全周に亘って所定配列で取付孔540j、ビス孔504a等からなる取付孔と、位置決め孔540k及び504bが配置されることとなり、それら取付孔の存在により、所定の部材を任意の位置に取付固定できるようになっている。
上述したように、本例における遊技パネル409の保持構造によると、前方からパネルホルダ540の保持段部540a内へ遊技パネル409を嵌合挿入して、係合爪540d及び係合片540eと、係合段部409cとを係合させることで、パネルホルダ540に遊技パネル409を保持させることができると共に、遊技パネル409とパネルホルダ540の前面側が略面一となるようになっている。そのため、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても遊技パネル409をパネルホルダ540に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
また、遊技領域20を有した遊技演出ユニット4を、遊技パネル409、パネルホルダ540、及び前構成部材680に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化する遊技パネル409を交換パーツとすると共に、パネルホルダ540及び前構成部材680を共通パーツとすることができ、パネルホルダ540や前構成部材680等をリサイクル可能とすることができると共に遊技パネル409のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技演出ユニット4を備えたパチンコ機1とすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ540に予め複数の取付孔540jが所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ540の後面側に取付固定される裏ユニット510や基板ホルダ505等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔540jの位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ540を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
このように、本実施形態に係る遊技演出ユニット4では、少なくとも遊技パネル409を透明部材により構成するようにしており、遊技パネル409を通して後方に配置された電飾等を視認することができる。即ち、遊技領域に電飾等を設ける必要がなく、遊技領域20における実際に遊技球が流下可能な領域を可及的に広くすることができ、遊技球に種々の動きをさせて遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。また、遊技領域20が形成される遊技パネル409を透明部材により構成するようにしているので、遊技パネル409の後方に配置したものを遊技者に視認させることができる。例えば、遊技パネル409の後方に、遊技領域20全体に広がる大型の演出表示装置115を配置してこれまでにない大型の演出画像を表示したり、種々の演出用や装飾用の役物を奥行き方向に配置してこれまでに無い奥行感のある遊技演出ユニット4の構成としたりすることができる。これにより、遊技者の関心を引き付けられる訴求力の高いパチンコ機1を提供することが可能となる。
<センター役物>
センター役物620の詳細な構成について、図59〜図61を参考にして説明する。図59は、センター役物の正面図である。図60は、センター役物を正面から見た斜視図である。図61は、センター役物を背面から見た斜視図である。
センター役物620は、遊技領域20の幅方向に対して、4分の3以上の幅を占める大きさであり(図51等参照)、遊技パネル409に形成された開口部409eの周縁に略沿った枠状に形成されている。このセンター役物620の枠内を通して、後方に配置された演出表示装置115に表示された演出画像を視認することができるようになっている。
このセンター役物620の上縁部には、左右方向中央からやや右よりの位置に、「MAGMA ZONE」、「FREEZE ZONE」の文字が円形状に施された演出用装飾体1608が配置されている。この演出用装飾体1608の上面には、右側が低くなった誘導棚1609が備えられており、演出用装飾体1608の上側に打ち込まれた遊技球が、誘導棚1609に誘導されて、センター役物620の右側外周へと誘導されるようになっている。一方、上縁部における演出用装飾体1608よりも左側の上面は、左側が低くなった誘導棚1610が備えられており、誘導棚1610上へ流下した遊技球が、センター役物620の左側外周へ誘導されるようになっている。
センター役物620の演出用装飾体1608は、図51に示すように、その誘導棚1609と遊技領域20における内周上部との間に遊技球の径よりも若干大きい隙間が形成されるように上方へ延びだしている。そして、遊技領域20内へ打ち込まれた遊技球が、遊技領域20の内周に沿って転動しないかぎり、演出用装飾体1608を越えてセンター役物620の右側外周を流下しないようになっている。
センター役物620の左縁部には、その外周面に上から、チャッカー入口1601、チャッカー出口1602、及びワープ入口1605が備えられている。チャッカー入口1601とチャッカー出口1602は、通過ゲート612として連通している。そして、この通過ゲート612内に配置されたゲートセンサ760によって、通過ゲート612内を流通する遊技球を検出することができるようになっている。
また、センター役物620の右縁部には、その外周が遊技領域20の内周右部との間で遊技球の径よりも若干大きい隙間が形成された状態となる右縁誘導路1611を備えており、演出用装飾体1608を越えて誘導棚1609に誘導された遊技球が、右縁誘導路1611を流通して、LED図柄表示部80のスロープ683上へ供給されるようになっている。なお、この右縁誘導路1611には、誘導路内へ向かって突出する凸条1612が複数形成されており、この凸条1612に右縁誘導路1611内を流通する遊技球が当接することで遊技球の流通速度が減衰し、遊技球の流下速度が速くなるのを抑制することができるようになっている。これにより、右縁誘導路1611から放出された遊技球によって、右縁誘導路1611の下方に配置されたLED図柄表示部80等が破損するのを防止することができるようになっている。
センター役物620の下縁部には、その枠内の上面に、左右方向へ遊技球が転動可能なステージ1607が形成されている。このステージ1607は、左右方向中央が低くなった形態とされており、その転動面の形状が異なり前後方向に配置された第1ステージ1607aと第2ステージ1607bとから構成されている。このステージ1607の左右方向中央の下方に、第1始動口602、第2始動口604、及び大入賞口500aが配置されている。このステージ1607へは、ワープ入口1605に進入した遊技球が供給されるようになっており、遊技領域20内でセンター役物620の左側を流下する遊技球が、ワープ入口1605に進入すると、ステージ1607上へと供給され、ステージ1607上を左右方向に転動した後に、第1始動口602や第2始動口604へ遊技球が高い確率で入賞するように放出することができるようになっている。
本例のセンター役物620は、遊技パネル409における開口部409eの前側周縁部と当接するフランジ状部620aと、フランジ状部620aとは略直角方向に延び遊技パネル409の開口部409e内へ挿入される挿入部620bとを備えている。このフランジ状部620aと挿入部620bとによって、遊技パネル409における開口部409eの内周面(切断面)が遊技者から隠蔽されるようになっている。なお、挿入部620bは、その一部分が裏ユニット510の内部で、演出表示装置115の前面付近まで延びだした形態とされている。また、詳細は後述するが、センター役物620の挿入部620bは、その一部が裏ユニット510に配置された発光装飾体1720の壁状側面と連続するような形状に形成されている。
このセンター役物620は、上縁部の演出用装飾体1608から右縁部の下端にかけて、白色の不透明部材と白色の透光性部材とを組合わせた部材により構成すると共に、演出用装飾体1608の左側に配置された誘導棚1610から、左縁部及び下縁部(ステージ1607を含む)が、無色の透明部材により構成されている。そして、センター役物620の外表面が、氷や氷山を模した形状に造形されている。
<アタッカユニット及び入賞口部材>
アタッカユニット600及び入賞口部材670の構成について、図62を参考に説明する。図62(A)はアタッカユニットを前斜め上方から見た斜視図であり、(B)はアタッカユニットを後斜め上方から見た斜視図である。
このアタッカユニット600は、前方から遊技パネル409の開口部409eに挿入されて、遊技パネル409の後側から後方へ突出するケーシング600aと、ケーシング600aの前面から遊技パネル409の面に沿って延び開口部409eの前側周縁部と当接するフランジ部600bとを備えている。このケーシング600aには、第2始動口604を開閉する一対の可動片606を開閉駆動するための普通電動役物ソレノイド774と、開閉装置500の大入賞口500aを開閉する大入賞口開閉扉500bを開閉駆動するための開閉装置開閉ソレノイド778とが備えられており、普通電動役物ソレノイド774及び開閉装置開閉ソレノイド778は、夫々図示しないリンク機構によって一対の可動片606及び大入賞口開閉扉500bを開閉駆動することができるようになっている。
また、ケーシング600aには、第2始動口604に入賞した遊技球を検出する第2始動口センサ782と、大入賞口500aに入賞した遊技球を検出する開閉装置カウントセンサ776とが備えられている。なお、図示は省略するが、これら第2始動口センサ782及び開閉装置カウントセンサ776によって検出された遊技球は、ケーシング600aの下面に形成された異なる排出口から夫々下方へ排出されるようになっている。
アタッカユニット600におけるフランジ部600bの前面には、図示するように、第1始動口602、第2始動口604、及び一般入賞口614が、前方へ突出するように備えられている。また、第1始動口602、及び一般入賞口614からは、フランジ部600bと一体成形された誘導樋1641が後方へ延びだしている。このフランジ部600bには、貫通する複数の取付孔1642が形成されており、これら取付孔1642を介して所定のビスを遊技パネル409の前面にねじ込むことで、アタッカユニット600を遊技パネル409に取付固定することができるようになっている。
なお、図中符号1643は、遊技パネル409に対してアタッカユニット600の固定位置を位置決めするための突起であり、この突起1643と対応する遊技パネル409の位置に、突起1643が挿入される位置決め孔が穿設されている(図示は省略)。
一方、入賞口部材670は、上下方向に並んだ二つの一般入賞口614を有した本体部1671と、本体部1671の後方から遊技パネル409の前面に沿うように延びるフランジ部1672と、本体部1671の各一般入賞口614から後方へ向かって延びる誘導樋1673とを備えている。入賞口部材670のフランジ部1672には、貫通する取付孔1674が形成されており、この取付孔1674を介して所定のビスを遊技パネル409の前面にねじ込むことで、入賞口部材670を遊技パネル409へ固定することができるようになっている。
なお、上述したアタッカユニット600及び入賞口部材670の各誘導樋1641,1673は、遊技パネル409の開口部409eを貫通して遊技パネル409の後面から後方へ延びだした長さとなっており、各誘導樋1641,1673が、後述する裏ユニット510に備えられた球誘導ユニット1760と連通し、各誘導樋1641,1673を介して誘導された遊技球が、球誘導ユニット1760内の各センサによって検出された後に、下方へ排出されるようになっている。
また、本例では、アタッカユニット600及び入賞口部材670は、白色の不透光性部材により形成されており、上述したセンター役物620と同様に、氷山等の氷や雪をイメージした外形及び色とされている。
<基板ホルダ>
基板ホルダ505の構成について、図54および図55を参考に説明する。遊技演出ユニット4における基板ホルダ505は、パネル裏板504の後面側に配置されると共に前側及び上側が開放された箱状をなすとともに、遊技球排出口505a及び底板505bを備えている。遊技球排出口505aは、遊技球が通過可能な大きさの遊技媒体排出口である。底板505bは、その上面が遊技球排出口505aに向かって低くなるように傾斜した板状部である。この基板ホルダ505は、遊技領域20内に打ち込まれた遊技球を収集して、遊技球排出口505aから下方へ排出することができるようになっている。また、基板ホルダ505は、その背面側に主制御基板710を有した主制御基板ボックス25等を支持する。
また、基板ホルダ505には、その前面側の所定位置に、前構成部材680の位置決めボス680aと嵌合する筒状の固定ボス505eを備えている。そして、この固定ボス505eを、前構成部材680との間にパネルホルダ540を挟んだ状態で、前構成部材680の位置決めボス680aに嵌合させる。それと共に、基板ホルダ505の後方から固定ボス505eを貫通する貫通孔505fを通して、所定のビスを前構成部材680の位置決めボス680aにねじ込むことで、前構成部材680、パネルホルダ540及び基板ホルダ505を一体に固定できるようになっている。
更に、この基板ホルダ505には、その前面下部に、前構成部材680の連通口473と連通する開口受部505gを備えている。この開口受部505gは、遊技球排出口505aとは異なる位置で基板ホルダ505の下側に遊技球を誘導できるようになっている。そして、基板ホルダ505内部に受けられた「死球」と、遊技球を遊技領域20内へ打ち込む際に打ち損じた遊技球と、を区別できるようになっている。
かかる構造により、遊技演出ユニット4を構成する主要部材(前構成部材680、遊技パネル409、パネルホルダ540、パネル裏板504及び基板ホルダ505など)を容易且つ一体に組み付けることができる。特に、透明樹脂製の遊技パネル409を好適に保持して、この遊技パネル409の前後にセンター役物620、裏ユニット510及び演出表示装置115などを配置することで、従来にない奥行きのある遊技演出ユニット4を実現することができる。
<裏ユニット>
裏ユニット510の詳細な構成について、図63〜図71を参照して説明する。図63は、裏ユニットの正面図である。図64は、裏ユニットを前方斜め上から見た斜視図である。図65は、裏ユニットを後方斜め上から見た斜視図である。図66は、裏ユニットを各部材ごとに分解して前方斜め上から見た分解斜視図である。図67は、裏ユニットを各部材ごとに分解して後方斜め上から見た分解斜視図である。図68は、(A)が裏ユニットにおける左上発光装飾体を各部材ごとに分解して前方斜め上から示す分解斜視図であり、(B)が(A)における拡散レンズ部材を後方斜め上から見た斜視図である。図69は、裏ユニットにおける左下発光装飾体を各部材ごとに分解して前方斜め上から見た分解斜視図である。図70は、(A)が裏ユニットにおける右上発光装飾体を各部材ごとに分解して前方斜め上から見た分解斜視図であり、(B)が裏ユニットにおける右下発光装飾体を各部材ごとに分解して前方斜め上から見た分解斜視図である。図71は、裏ユニットにおける右下隅発光装飾体を各部材ごとに分解して前方斜め上から見た分解斜視図である。
また、図72は、右中可動発光装飾体を前方斜め上から見た斜視図である。図73は、(A)が右中可動発光装飾体における一対の第一表面形成部材が開いた状態を示す左側面図であり、(B)が一対の第一表面形成部材が閉じた状態を示す左側面図である。図74は、左上可動発光装飾体を前方斜め上から見た斜視図である。図75は、左上可動発光装飾体における移動機構を分解して示す分解斜視図である。図76は、左上可動発光装飾体における移動体アッシーを分解して示す分解斜視図である。図77は、左下可動発光装飾体を前方斜め上から見た斜視図である。図78は、左下可動発光装飾体における移動機構を分解して示す分解斜視図である。図79は、左下可動発光装飾体における移動体アッシーを分解して示す分解斜視図である。図80は、左中上発光装飾体の正面図である。図81は、左中上発光装飾体を分解して示す分解斜視図である。図82は、左中下発光装飾体を分解して示す分解斜視図である。図83は、図51のA−A断面図である。
本実施形態のパチンコ機1の遊技演出ユニット4における裏ユニット510は、パネルホルダ540の後側に取付けられ前側が開放された所定深さ(奥行)の箱状で後壁514aに貫通する開口部514bを有した裏箱514と、裏箱514内で後壁514aの開口部514bの外周に配置される複数の発光装飾体1720とを備えている。
裏ユニット510における裏箱514は、正面視外形が矩形状とされ前後方向に所定幅で延びる角筒状の外筒部514cと、外筒部514cの前端から外方へ延びるフランジ状の複数の固定部514dと、外筒部514cの後端開口を閉鎖する後壁514aと、後壁514aを貫通する矩形状の開口部514bとを備えている。固定部514dには、前後方向に貫通する固定孔514eと、前方へ突出する位置決め突起514fとが形成されている。この固定部514dをパネルホルダ540の後面側に当接させた上で、固定孔514eを介して所定のビスを、パネルホルダ540やパネル裏板504の取付孔540j,504aにねじ込むことで、裏箱514つまり裏ユニット510をパネルホルダ540の後側に取付固定することができるようになっている。また、位置決め突起514fは、パネルホルダ540やパネル裏板504の後面側に形成された位置決め孔540k,504bと嵌合することで、パネルホルダ540と裏ユニット510との相対位置を位置決めできるようになっている。なお、図示するように、固定部514dには、位置決め突起514fが形成されていないものもある。
裏箱514の後壁514aには、その前面側に、発光装飾体1720等を取付固定するための取付孔や、先端に取付孔が穿設されたボス等が適宜位置に形成されている。また、後壁514aの後面側には、パネル中継端子板750(図55及び図84参照)を取付固定するためのパネル中継端子板固定部514gと、パネル中継端子板750と接続される第1装飾制御基板746(図85参照)を有した第1装飾制御基板ボックス1713を取付固定するための第1装飾制御基板ボックス固定部514hと、第1装飾制御基板ボックス1713の第1装飾制御基板746と接続される第2装飾制御基板748(図85参照)を有した第2装飾制御基板ボックス1715を取付固定するための第2装飾制御基板ボックス固定部514iと、を備えている。
なお、パネル中継端子板750は、主制御基板ボックス25の主制御基板710等と遊技演出ユニット4とを接続するための中継基板である。また、第1装飾制御基板746は、各発光装飾体1720が有する各基板(左上基板1726h、左下基板1730h、及び左中基板1748等)における各LED1740(図85におけるユニット装飾ランプ852に相当)の発光態様を制御するための制御基板である。また、第2装飾制御基板748は、各発光装飾体1720が有する各基板(右中可動発光装飾体1725、左上可動発光装飾体1726、及び左下可動発光装飾体1730等)における各移動機構1725d,1726b,1730b(図85における演出用駆動部854に相当)の駆動態様を制御するための制御基板である。すなわち、第1装飾制御基板746及び第2装飾制御基板748は互いに協働して、各発光装飾体1720等の装飾を制御するものである。
また、裏箱514には、後壁514aの後面側における開口部514bの左右両側に、演出表示装置115を着脱可能に取付固定するための液晶固定部514jが備えられている。左右一方(背面視右側)の液晶固定部514jには、上下方向にスライド可能なスライド片1716が備えられており、このスライド片1716を上方にスライドさせた状態で、他方(背面視左側)の液晶固定部514jに演出表示装置115の固定片115a(図54及び図55参照)を挿入させた上、反対側の固定片(図示せず)を対応する液晶固定部514jに挿入し、スライド片1716を下方へスライドさせることで、演出表示装置115を裏箱514の後側に取付固定することができるようになっている。
この裏箱514は、後壁514aの後面側に演出表示装置115を取付固定することで、後壁514aの開口部514bが演出表示装置115によって閉鎖された状態となる。そして、裏箱514に演出表示装置115を取付固定することで、裏箱514が筒状の外筒部514cと後壁514a及び演出表示装置115とによって、前方が開放された箱状となる。この裏箱514により、前方側を除いて略密閉された所定容積の空間を遊技パネル409の後側に形成することができるようになっている。本例では、この空間内に種々の演出が可能な発光装飾体1720が配置されている。なお、この空間内に遊技球を流通させても良い。また、本例の裏箱514は、図示するように、後壁514aが一面の平面に形成されておらず、裏箱514の前面から後壁514aまでの距離(深さ)が、50mm〜100mmの範囲内とされている。
つまり、裏箱514には略中央に開口部514bが形成されており、この開口部514bに演出表示装置115が臨むようにして配置される。また、この裏ユニット510は、後述の演出空間510Gを形成するようにして、遊技パネル409の背面側に取付けられている。演出表示装置115は、液晶表示面が遊技パネル409と略平行となるように配置されており、これによって、遊技演出ユニット4の正面側からは、センター役物620の開口部を介して演出表示装置115の液晶表示面が視認可能となる。なお、センター役物620の開口部には、遊技領域20との間を遮蔽する透明の遮蔽板が設けられており、この遮蔽板の後方も上述の演出空間510Gに含まれる。
裏ユニット510における発光装飾体1720は、裏箱514内の左上中央よりに配置される左上発光装飾体1721と、左上発光装飾体1721の右側に隣接して配置される右上発光装飾体1722と、裏箱514内の左下中央よりに配置される左下発光装飾体1723と、左下発光装飾体1723の右側に隣接して配置される右下発光装飾体1724とを備えている。また、裏箱514内の右側で上下方向略中央には、遊技状態に応じて可動可能な右中可動発光装飾体1725が配置されている。
更に、発光装飾体1720は、裏箱514内の左端に上部で左上発光装飾体1721の左側に隣接して配置され、遊技状態に応じて可動可能な左上可動発光装飾体1726と、左上可動発光装飾体1726の下側に隣接して配置される左中上発光装飾体1727と、左中上発光装飾体1727の下側に隣接し裏ユニット510の上下方向略中央に配置される左中発光装飾体1728と、左中発光装飾体1728の下側に隣接して配置される左中下発光装飾体1729と、左中下発光装飾体1729の下側に隣接すると共に左下発光装飾体1723の左側に隣接して配置され、遊技状態に応じて可動可能な左下可動発光装飾体1730と、これら左上可動発光装飾体1726、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び左下可動発光装飾体1730は、図示するように、裏箱514内の左端に、上下方向に並んで配置されている。
裏箱514内の左側に、上下方向に列設された発光装飾体1720は、左上可動発光装飾体1726の前面に「E」の文字が、左中上発光装飾体1727の前面に「AG」の文字が、左中下発光装飾体1729の前面に「CE」の文字が、そして、左下可動発光装飾体1730の前面に「I」の文字が夫々形成されており、これらによって、パチンコ機1の機種を特徴付ける「ICEAGE」のロゴが現されるようになっている。
なお、右中可動発光装飾体1725は、詳細は後述するが、一対の第一表面形成部材1725aが開くと第二表面形成部材1725bが突出するように現れ、一対の第一表面形成部材1725aが閉じると第二表面形成部材1725bが引っ込んで隠れるような動きをすることができるようになっている。
また、左上可動発光装飾体1726と左下可動発光装飾体1730は、夫々左右方向に移動可能とされており、最も右側へ移動した状態で、左上発光装飾体1721と左下発光装飾体1723の左半分を略覆うことができるように形成されている。
また、発光装飾体1720は、裏箱514内の右下隅に配置され、右下発光装飾体1724の右側に隣接して配置される右下隅発光装飾体1731を更に備えている。なお、図66及び図67中、符号1732は、裏箱514の左上隅前面に配置される左上隅装飾部材であり、符号1733は、裏箱514の左下隅前面に配置される左下隅装飾部材である。
発光装飾体1720における左上発光装飾体1721は、図68に示すように、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状とされた第1表面形成部材1721aと、第1表面形成部材1721aに隣接して配置され湾曲凸条を複数組合わせた形態の表面形状とされた第2表面形成部材1721bと、第1表面形成部材1721a及び第2表面形成部材1721bの後側に配置された拡散レンズ部材1721cと、拡散レンズ部材1721cの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された上部左基板1741及び上部右奥基板1744の一部とから構成されている。
左上発光装飾体1721の第1表面形成部材1721aは、青色の透明部材が用いられていると共に、表面形状が角張った多面状に形成されている。つまり、表面に比較的大きな多面状のプリズムが複数形成されており、これにより、前方側からの光やLED1740からの光が緩やかに乱反射して、波立った海面(水面)を表現しているものである。また、第2表面形成部材1721bは、赤色の透明部材が用いられていると共に、表面形状が湾曲した凸条が曲線的に複数列設されており、流れ出る溶岩(マグマ)を表現しているものである。
また、左上発光装飾体1721の拡散レンズ部材1721cは、無色透明な部材が用いられていると共に、前面側に断面が円弧状で曲線状に上下方向に延びる複数の第1凸条1721dと、後面側に第1凸条1721dの配置間隔よりも狭い間隔で配置され断面が円弧状で波状に左右方向に延びる複数の第2凸条1721eとを備えている(図68(B)参照)。この第1凸条1721dによって、拡散レンズ部材1721cの前面側は、第2表面形成部材1721bと同様に流れを表現している。また、第2凸条1721eによって、海中の波を表現している。また、この拡散レンズ部材1721cは、表面形状による見た目の他に、第1凸条1721dと第2凸条1721eのレンズ作用によって、後側に配置されたLED1740からの光をより広く拡散させることができると共に、拡散レンズ部材1721cの厚さを薄くすることができるようになっている。
この左上発光装飾体1721は、拡散レンズ部材1721cが、第1表面形成部材1721aよりも左側に延びだした形態とされており、この延びだした部分が、第1表面形成部材1721aを介さずに直接前側へ露出することができるようになっている。なお、この拡散レンズ部材1721cの左側へ延びだした部分は、左上可動発光装飾体1726が右端側へ移動した状態で、左上可動発光装飾体1726によって前側への露出が被覆され(図63参照)、左上可動発光装飾体1726が左端側へ移動した状態で、前側へ露出するようになっている。
発光装飾体1720における左下発光装飾体1723は、図69に示すように、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状とされた第1表面形成部材1723aと、第1表面形成部材1723aに隣接して配置され湾曲凸条を複数組合わせた形態の表面形状とされた第2表面形成部材1723bと、第1表面形成部材1723a及び第2表面形成部材1723bの後側に配置された拡散レンズ部材1723cと、拡散レンズ部材1723cの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された下部左基板1742及び下部中基板1745の一部とから構成されている。
この左下発光装飾体1723もまた、左上発光装飾体1721と同様に、第1表面形成部材1723aが、青色の透明部材が用いられ、表面に形成された比較的大きな多面状の複数のプリズムにより波立った海面を表現していると共に、第2表面形成部材1723bが、赤色の透明部材が用いられ、流れ出る溶岩(マグマ)を表現しているものである。また、拡散レンズ部材1723cも、左上発光装飾体1721の拡散レンズ部材1721cと同様の構成とされ、無色透明な部材に対して、前面側に複数の第1凸条1723dが、後面側に複数の第2凸条(図示せず)が夫々形成されており、下部左基板1742等のLED1740からの光を広く拡散させることができるようになっている。
この左下発光装飾体1723は、拡散レンズ部材1723cが、第1表面形成部材1723aよりも左側に延びだした形態とされており、この延びだした部分が、第1表面形成部材1723aを介さずに直接前側へ露出することができるようになっている。なお、この拡散レンズ部材1723cの左側へ延びだした部分は、左下可動発光装飾体1730が右端側へ移動した状態で、左下可動発光装飾体1730によって前側への露出が被覆され(図63参照)、左下可動発光装飾体1730が左端側へ移動した状態で、前側へ露出するようになっている。
発光装飾体1720における右上発光装飾体1722は、図70(A)に示すように、表面に複数のLED1740が実装された円形状の上部右前基板1743と、前面側に上部右前基板1743を取付固定する円形状の基板固定部1722aを有し、前面が略平坦面とされた表面形成部材1722bと、表面形成部材1722bの後側で前側から視認可能な位置に配置された装飾補助部材1722cと、表面形成部材1722b及び装飾補助部材1722cの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された上部右奥基板1744及び上部左基板1741の一部とから構成されている。
この右上発光装飾体1722における表面形成部材1722bは、白色の透光性部材が用いられている。また、右上発光装飾体1722の装飾補助部材1722cは、白色の不透光性部材が用いられており、正面視の外形形状が地割れをイメージした形状(図63参照)とされていると共に、前後方向に貫通し内形が外形と略沿った形状とされた貫通部1722dを備えている。なお、この貫通部1722dは装飾補助部材1722cの下端において下方へ抜けた(開放された)形態となっている。
なお、図示するように、表面形成部材1722b及び装飾補助部材1722cと、上部右奥基板1744との間には、左中可動発光装飾体1725を裏箱514へ支持するための逆L字状の支持ベース1735の一部が配置されており、この支持ベース1735の前面に形成された取付ボス1735aに装飾補助部材1722cが取付固定されるようになっている。この支持ベース1735は、無色透明な部材により構成されており、上部右奥基板1744等のLED1740からの光を表面形成部材1722b側へ透過して良好な状態で発光装飾できるようになっている。
この右上発光装飾体1722は、上述したセンター役物620の演出用装飾体1608及び誘導棚1609を含むセンター役物620の上縁部右側の後方に配置されるものであり、センター役物620の演出用装飾体1608と対応する後側の位置に、表面形成部材1722bの前面に固定された上部右前基板1743が位置するようになっている。そして、センター役物620の上縁部右側の装飾部と、右上発光装飾体1722とが協働して、氷山や白濁した氷等を表現した装飾となっている。
なお、装飾補助部材1722cの貫通部1722dと対応するように上部右奥基板1744の表面に実装されたLED1740は、表面形成部材1722bの色と同じ白色光の他に、白色光とは全く異なる赤色光(オレンジ色を含む)も発光可能とされている。そして、LED1740を赤色に発光させた場合、センター役物620の上縁部右側に、貫通部1722dの内形と同形状の地割れ状に赤く光った発光演出を投影することができるようになっている。
また、右上発光装飾体1722の表面形成部材1722bには、前後方向の延びる壁状側面1722eを有しており(図67等参照)、この壁状側面1722eは、裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。
発光装飾体1720における右下発光装飾体1724は、図70(B)に示すように、前面側に遊技演出ユニット4面と略沿った段状の平面が形成され、側面側に前後方向に延び細長い平面が側面方向(前後方向とは直交する方向)に複数列設されたような多面形状に形成された形態の表面形状の表面形成部材1724aと、表面形成部材1724aの後側に配置された装飾補助部材1724bと、表面形成部材1724a及び装飾補助部材1724bの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された下部中基板1745及び下部右基板1746とから構成されている。
この右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aは、白色の透光性部材が用いられていると共に、前面側表面にシボ加工が施されている。また、装飾補助部材1724bは、右上発光装飾体1722の装飾補助部材1722cと同様に、白色の不透光性部材が用いられており、正面視の外形形状が地割れをイメージした形状とされていると共に、前後方向に貫通し内形が外形と略沿った形状とされた貫通部1724cを備えている。
この右下発光装飾体1724では、装飾補助部材1724bの後側に配置された下部右基板1746において、装飾補助部材1724bの貫通部1724cと対応する位置に配置されたLED1740は、表面形成部材1724aの色と同じ白色光の他に、白色光とは全く異なる赤色光(オレンジ色を含む)も発光可能とされている。そして、LED1740を赤色に発光させた場合、表面形成部材1724aに、貫通部1724cの内形と同形状の地割れ状に赤く光った発光演出を投影することができるようになっている。
なお、この右下発光装飾体1724は、図51等に示すように、アタッカユニット600及び入賞口部材670の後側に配置されており、表面形成部材1724aには、アタッカユニット600の後端を挿通可能な切欠き部1724dと、入賞口部材670の誘導樋1673を挿通可能な挿通部1724eとが形成されている。
また、図70(B)に示すように、右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aと、下部中基板1745及び下部右基板1746との間には、球誘導ユニット1760が配置されている。この球誘導ユニット1760は、右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aに形成された切欠き部1724d及び挿通部1724eを通して表面形成部材1724aの後側へ突出したアタッカユニット600や入賞口部材670の各誘導樋1641,1673により誘導された遊技球を受取った上で、何れの入賞口から入賞したかをセンサにより検出して下方へ排出するものである。なお、この球誘導ユニット1760は、薄い白色透明部材により構成されており、下部中基板1745や下部右基板1746等のLED1740から放射される光を表面形成部材1724a側へ充分に透過させることができると共に、LED1740からの光を拡散させることができるようになっている。
なお、本例では、右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aが白色の透光性部材とされており、また、アタッカユニット600及び入賞口部材670が白色不透光性部材で、球誘導ユニット1760が白色透明部材で、夫々形成されている。そのため、表面形成部材1724aによって、アタッカユニット600と入賞口部材670との遊技パネル409よりも後側へ突出した部分及び球誘導ユニット1760を、遊技者側から見え難くすることができるようになっている。詳述すると、表面形成部材1724aの色(ここでは、白色)に対して、アタッカユニット600、入賞口部材670、及び球誘導ユニット1760の色が略同色とされているので、表面形成部材1724aの色に対してアタッカユニット600や球誘導ユニット1760等の色が溶け込んでしまう。これにより、表面形成部材1724aの後側に配置された球誘導ユニット1760等を、前側から見え難くすることができるようになっている。
また、右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aには、前後方向に延びる壁状側面1724fを有しており、この壁状側面1724fは、裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。
発光装飾体1720における右下隅発光装飾体1731は、図71に示すように、前面側に遊技演出ユニット4面と略沿った段状の平面が形成され、左側面側に前後方向に延び細長い平面が側面方向(前後方向とは直交する方向)に複数列設されたような多面形状に形成された形態の表面形状の表面形成部材1731aと、表面形成部材1731aの後側に配置された拡散レンズ部材1731bと、表面形成部材1731a及び拡散レンズ部材1731bの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された下部右基板1746及び右部下基板1747とから構成されている。なお、図示は省略するが、右部下基板1747の前面は、透明な支持ベース1735の下端に被覆されるようになっている。
この右下隅発光装飾体1731は、図51に示すように、LED図柄表示部80の後側に配置されるものであり、LED図柄表示部80の後側に接続される配線を通すための溝1731cが、表面形成部材1731aの前面に形成されている。この溝1731cは、右側へ抜けた形態とされており、配線を裏箱514の右側外方へ導くことができるようになっている。
右下隅発光装飾体1731の表面形成部材1731aは、右下発光装飾体1724の表面形成部材1724aと同様に、白色の透光性部材が用いられていると共に、前面側表面にシボ加工が施されている。また、右下隅発光装飾体1731の拡散レンズ部材1731bは、無色の透明部材が用いられており、左上発光装飾体1721や左下発光装飾体1723の拡散レンズ部材1721c,1723cと同様に、前面側に複数の第1凸条1731dが、後面側に複数の第2凸条(図示せず)が夫々形成されており、下部右基板1746等のLED1740からの光を広く拡散させることができるようになっている。
また、右下隅発光装飾体1731の表面形成部材1731aには、前後方向に延びる壁状側面1731eを有している。この壁状側面1731eは、裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。
この右下隅発光装飾体1731は、右下発光装飾体1724との境界部分では、それらの表面形成部材1731a,1724aの対向する壁状側面1731e,1724f同士が、互いに接触せずその深さよりも狭い隙間が形成されるようになっており、この隙間によって氷河や雪渓上に発生したクレバスが表現されている。なお、この隙間の底(奥)には、拡散レンズ部材1731bの第1凸条1731dが望むように配置されており、この第1凸条1731dにより、クレバス内を流れる流体が表現されるようになっている(図63参照)。また、この隙間と対応する位置に配置されたLED1740は、青色光や白色光の他に、赤色光も発光可能とされており、遊技状態に応じて赤色に発光させることで、地割れしたクレバス内からマグマが出てきたような発光演出をすることができるようになっている。
この発光装飾体1720は、上述したような構成とされており、本例では氷山や氷河等を表現している装飾体である。より具体的には、左上発光装飾体1721や左下発光装飾体1723の第1表面形成部材1721a,1723aのように、表面に多面状のプリズムが複数形成されているものでは、前方側からの光に対しては様々な方向へ乱反射させることができるので、割れた氷の表面や波立つ海面をよりリアルに再現することができる。更に、それらの後面側に配置された複数のLED1740を適宜点滅させることで波の煌きを表現することができ、固形物である左上発光装飾体1721及び左下発光装飾体1723を、遊技者に対してあたかもそこに海面が実在するかのように錯覚させて、関心を強く引き付けることができるようになっている。
また、右上発光装飾体1722、右下発光装飾体1724、及び右下隅発光装飾体1731の表面形成部材1722b,1724a,1731aのように、白色の透光性部材や表面にシボ加工が施されたものでは、その後面側に配置された部材を遊技者側から見えなくすることができる。それと共に、後面側に配置されたLED1740からの光のあたり具合(光軸とのズレや、他の部材による遮蔽や透過及び反射)によりその表面において白色の濃淡が現れるので、その濃淡により遊技者に対してあたかも氷の厚さが異なっているかのように錯覚させて氷の厚さを表現することができ、限られた空間内で奥行を強く感じさせることができるようになっている。また、表面に形成されたシボにより、前方側からの光が細かく乱反射して、面状に反射するのを防止することができるので、平らな雪棚や氷山棚等に見せることができ、表現している氷山等のリアル感が増すようになっている。
次に、発光装飾体1720における右中可動発光装飾体1725は、図72および図73にも示すように、上下方向に並んで配置された一対の第1表面形成部材1725aと、一対の第1表面形成部材の間且つ後側に配置される第2表面形成部材1725bと、第2表面形成部材1725bの後側に配置され表面に複数のLED1740が実装された右中基板1725cと、第1表面形成部材1725a及び第2表面形成部材1725bを夫々移動させる移動機構1725dとを備えている。移動機構1725dは、第2表面形成部材1725bを前進させると一対の第1表面形成部材1725aを互いに離反させ、第2表面形成部材1725bを後進させると一対の第1表面形成部材1725aを互いに接近させるものである。
すなわち、この右中可動発光装飾体1725は、移動機構1725dによって、一対の第1表面形成部材1725aが開くと第2表面形成部材1725bが突出するように現れ、一対の第1表面形成部材1725aが閉じると第2表面形成部材1725bが引っ込んで隠れるような動きをすることができるようになっている。
右中可動発光装飾体1725の移動機構1725dを詳述すると、この移動機構1725dは、回転軸1725eを有したモータ1725fと、モータ1725fの回転軸1725eと共に回転するピニオンギヤ1725gと、ピニオンギヤ1725gと噛合するラックギヤ1725hと、先端側に右中基板1725c及び第2表面形成部材1725bが固定されるスライド部材1725iと、スライド部材1725iから外方へ突出する検知片1725jと、検知片1725jを検知可能なスライド位置センサ1725kと、スライド部材1725iを前後方向へ摺動可能に保持すると共にモータ1725f及びスライド位置センサ1725k等を保持するベース部材1725lと、を備えている。
また、移動機構1725dは、スライド部材1725iの右中基板1725cが固定された位置よりも後側の位置に配置され、スライド方向に対して直角方向外方へ突出する伝達ピン1725mと、伝達ピン1725mを挿通可能な長孔1725nが形成された略L字形状の棹部材1725oと、を更に有している。この棹部材1725oは、伝達ピン1725mに対して略鉛直方向に対応した位置でベース部材1725lに回動可能に軸支され、その軸支された部位からスライド方向に略沿って前方へ延びた一端側に第1表面形成部材1725aが固定されると共に、軸支された部位からスライド方向に対して略直角方向でスライド部材1725iの方向へ延びた他端側に形成される。なお、図72及び図73に示すように、棹部材1725oは、スライド部材1725iを挟んで上下に対向するように一対備えられていると共に、ベース部材1725lを挟んで左右にも夫々備えられている。そして、スライド部材1725iを挟んで、上側の棹部材1725oが上側の第1表面形成部材1725aを、下側の棹部材1725oが下側の第1表面形成部材1725aを、夫々支持するようになっている。
この移動機構1725dは、モータ1725fの回転によりその回転軸1725eに固定されたピニオンギヤ1725gが回転し、ピニオンギヤ1725gと噛合したラックギヤ1725hの送り作用によりスライド部材1725iが前後方向へスライド移動できるようになっている。そして、例えば、モータ1725fの回転によりスライド部材1725iを前側へスライドさせた場合、スライド部材1725iと共に伝達ピン1725mが前進する。そして、その伝達ピン1725mの前進が長孔1725nを介して棹部材1725oの他端側へと伝達され、棹部材1725oの他端側が前方へと移動することとなる。その際に、棹部材1725oがベース部材1725lに軸支されているので、伝達ピン1725mが長孔1725n内を摺動すると共に、棹部材1725oが軸支された部位を中心として回転し、棹部材1725oの一端側がスライド部材1725iから遠ざかる方向へ移動することとなる。
つまり、スライド部材1725iを前進させることで、その先端に固定された第2表面形成部材1725bが前進すると共に、棹部材1725oの一端側に固定された第1表面形成部材1725aがスライド部材1725iつまり第2表面形成部材1725bから遠ざかる方向へ移動することとなる。そして、本実施形態では、棹部材1725o及び第1表面形成部材1725aが、スライド部材1725iを挟んで対向するように備えられているので、スライド部材1725iを前進させることで、一対の第1表面形成部材1725aが互いに離反する方向へ移動すると共に、その間から第2表面形成部材1725bが突出するような感じで前進移動(図73における右方向に移動)することとなる。
一方、モータ1725fを逆回転させてスライド部材1725iを後進させた場合は、上述とは逆に、伝達ピン1725mが後進するので、それに伴って、棹部材1725oの他端側も後進するように回転する。これにより、棹部材1725oの一端側がスライド部材1725iに接近する方向(図73における左方向)へ移動することとなる。つまり、スライド部材1725iを後進させることで、第2表面形成部材1725bが後退すると共に、一対の第1表面形成部材1725aが互いに接近する方向へと移動することとなる。
なお、一対の第1表面形成部材1725aが閉じた状態となる位置までスライド部材1725iが後進(後退)すると、スライド部材1725iに形成された検知片1725jを、スライド位置センサ1725kが検知するようになっている。なお、本例では、スライド位置センサ1725kとして、フォトセンサが用いられている。
ところで、右中可動発光装飾体1725は、第1表面形成部材1725aが白色の不透光性部材で形成されていると共に、第2表面形成部材1725bが赤色の透明部材で形成されている。また、詳細な図示は省略するが、第2表面形成部材1725bには、その前面側に断面が円弧状で曲線状に左右方へ延びる複数の第1凸条が形成されていると共に、後面側に前面側の第1凸条の配置間隔よりも狭い間隔で配置され断面が円弧状で上下方向に延びる複数の第2凸条とが形成されている。これにより、第2表面形成部材1725bは、赤い溶岩の流れを表現すると共に、右中基板1725cのLED1740からの光を広く拡散させることができるようになっている。
この右中可動発光装飾体1725は、上述した通り、モータ1725fの回転によりスライド部材1725iを進退させることで、上下方向に配置された一対の第1表面形成部材1725aを開いたり閉じたりして、その間に配置された第2表面形成部材1725bを出現させたり隠蔽したりすることができる。それと共に、一対の第1表面形成部材1725aの開閉動作に伴って、第2表面形成部材1725bを前進させたり後退させたりすることができるようになっている。これらの動きによって、遊技者の関心を強く引き付けたり、遊技者を楽しませたりして、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、右中可動発光装飾体1725は、第1表面形成部材1725aが白色とされていると共に、第2表面形成部材1725bが赤色とされている。そのため、一対の第1表面形成部材1725aの開閉動作によって、第2表面形成部材1725bを出現させたり隠蔽させたりすると、形状的な装飾態様だけでなく、色彩的な装飾態様も大きく変化させることができ、遊技者の関心を更に強く引き付けることができるようになっている。
次に、発光装飾体1720における左上可動発光装飾体1726は、図74〜図76にも示すように、発光装飾可能な移動体アッシー1726aと、移動体アッシー1726aを左右方向へ移動させる移動機構1726bとを備えている。左上可動発光装飾体1726の移動体アッシー1726aは、図76に詳しく示すように、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状を有している。すなわち、移動体アッシー1726aは、前面側に所定の内周形状(ここでは、E字形状)とされた開口1726cを有した不透光性の外殻部材1726dと、外殻部材1726dの開口1726cを閉鎖する透光性を有した前面形成部材1726eと、前面形成部材1726eの後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成されたシート状の拡散レンズ部材1726fと、拡散レンズ部材1726fの後側に配置され前面形成部材1726eと協働して拡散レンズ部材1726fを狭持する透明な保持部材1726gと、保持部材1726gの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された左上基板1726hと、左上基板1726h及び保持部材1726gを少なくとも収容すると共に外殻部材1726dの後側開口を閉鎖するベース部材1726iと、を備えている。
この左上可動発光装飾体1726のベース部材1726iは、図74にも示すように、外殻部材1726dよりも右側へ延びだした延出部1726jを有している。この延出部1726jの表面形状は、外殻部材1726dの表面形状と同様に、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態とされている。
本例の左上可動発光装飾体1726では、外殻部材1726dの表面に、銀色のメッキ処理が施されており、雪景色における銀世界を表現していると共に、開口1726cの内周形状によりロゴの文字「E」が現されている。また、前面形成部材1726eは、無色透明とされており、その前面側が緩やかで滑らかな凹凸を有した形状とされ、開口1726cにより「E」形状の透明な氷を表現している。更に、ベース部材1726iは、青色の透明部材とされており、右側へ延びだした延出部1726jが、左上発光装飾体1721の第1表面形成部材1721aや左下発光装飾体1723の第1表面形成部材1723aと同様に、波立った海面(水面)を表現している。
この左上可動発光装飾体1726における移動機構1726bは、図75に示すように、回転軸1726kを有したモータ1726lと、モータ1726lの回転軸1726kと共に回転するピニオンギヤ1726mと、ピニオンギヤ1726mと噛合するラックギヤ1726nを有したスライド部材1726oと、スライド部材1726oから外方へ突出する検知片1726pと、検知片1726pを検知可能なスライド位置センサ1726qと、スライド部材1726o及び移動体アッシー1726aを左右方向へ摺動可能に保持すると共にモータ1726l及びスライド位置センサ1726q等を所定位置に保持するベース部材1726rと、を備えている。
この移動機構1726bは、ベース部材1726rの後側にスライド部材1726oが配置されている。また、このベース部材1726rのスライド部材1726oと対応する位置に、左右方向に延びるスリット1726sが形成されていると共に、スリット1726sを挟んでスライド部材1726oと対向するように横長の支持部材1726tが配置されている。そして、スライド部材1726oと支持部材1726tとがスリット1726sを介して連結ピン1726uで連結されることで、ベース部材1726rにスライド部材1726oがスライド可能に保持されるようになっている。なお、図示するように、スライド部材1726oと支持部材1726tとは、その長手方向(左右方向)両端同士が連結ピン1726uによって互いに連結されている。
また、ベース部材1726rには、スリット1726sの下側に、スリット1726sと平行に延びるもう一つのスリット1726vが形成されている。このスリット1726vを挟んで前側には、スリット1726vを貫通する突出ピン1726wを有したスライド支持部材1726xが配置されていると共に、スリット1726vの後側には、スライド支持部材1726xの突出ピン1726wと嵌合する固定ブッシュ1726yが配置されている。そして、スリット1726vを貫通したスライド支持部材1726xの突出ピン1726wに固定ブッシュ1726yを嵌合させることで、ベース部材1726rに対してスライド支持部材1726xをスライド可能に保持することができるようになっている。
そして、この移動機構1726bは、支持部材1726t及びスライド支持部材1726xに、移動体アッシー1726aを固定することで、移動体アッシー1726aが左右方向にスライド移動できるようになっている。なお、移動体アッシー1726aは、支持部材1726tの他にスライド支持部材1726xによってもスライド可能に支持されているので、このスライド支持部材1726xによりガタツクことなく左右方向にスライドできるようになっている。また、図75中、符号1726zは、モータ1726lをベース部材1726rの後側に固定するためのブラケットである。
この左上可動発光装飾体1726は、移動機構1726bのモータ1726lの回転駆動によって、移動体アッシー1726aを左右方向へスライド移動させることができる。それと共に、モータ1726lにおける回転軸1726kの回転を適宜制御することで、スライド部材1726o(移動体アッシー1726a)を右側移動端と左側移動端との間で自由に行き来させて、所望の演出動作をさせることができるようになっている。なお、スライド位置センサ1726qは、スライド部材1726oの右側移動端を検知するように配置されている。
また、左上可動発光装飾体1726は、その移動機構1726bにより移動体アッシー1726aが右側移動端の位置に移動した時に、移動体アッシー1726aの延出部1726jによって、左上発光装飾体1721における拡散レンズ部材1721cの前面側に露出した部分の前面側を覆い隠すようになっている。この移動体アッシー1726aが左側へ移動することで、左上発光装飾体1721の拡散レンズ部材1721cの一部を前面側へ露出させて遊技者から視認させることができるようになっている。
この左上可動発光装飾体1726は、上述した通り、移動機構1726bによって移動体アッシー1726aを左右方向へスライド移動させることができるので、LED1740によって発光装飾された前面形成部材1726e等が移動することで、遊技者の関心を引き付けることができるようになっている。それと共に、移動機構1726bにより移動体アッシー1726aと共に青色の延出部1726jを移動させることで、その後側に配置された透明(白色)の拡散レンズ部材1721cを出現させたり隠蔽させたりすることができる。これにより、形状的な装飾態様の変化だけでなく、色彩的な装飾態様も変化させることができ、遊技者を楽しませて、興趣が低下するのを防止することができるようになっている。
次に、発光装飾体1720における左下可動発光装飾体1730は、図77〜図79にも示すように、基本的な構成は左上可動発光装飾体1726と略同じ構成となっており、発光装飾可能な移動体アッシー1730aと、移動体アッシー1730aを左右方向へ移動させる移動機構1730bと、を備えている。左下可動発光装飾体1730の移動体アッシー1730aは、図79に詳しく示すように、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状を有している。すなわち、移動体アッシー1730aは、前面側に所定の内周形状(ここでは、I字形状)とされた開口1730cを有した不透光性の外殻部材1730dと、外殻部材1730dの開口1730cを閉鎖する透光性を有した前面形成部材1730eと、前面形成部材1730eの後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成されたシート状の拡散レンズ部材1730fと、拡散レンズ部材1730fの後側に配置され前面形成部材1730eと協働して拡散レンズ部材1730fを狭持する透明な保持部材1730gと、保持部材1730gの後側に配置され複数のLED1740が表面に実装された左下基板1730hと、左下基板1730h及び保持部材1730gを少なくとも収容すると共に外殻部材1730dの後側開口を閉鎖するベース部材1730iと、を備えている。
この左下可動発光装飾体1730のベース部材1730iは、図77にも示すように、外殻部材1730dよりも右側へ延びだした延出部1730jを有している。この延出部1730jの表面形状は、外殻部材1730dの表面形状と同様に、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態とされている。
本例の左下可動発光装飾体1730では、外殻部材1730dの表面に、銀色のメッキ処理が施されており、雪景色における銀世界を表現していると共に、開口1730cの内周形状によりロゴの文字「I」が現されている。また、前面形成部材1730eは、無色透明とされており、その前面側が、緩やかで滑らかな凹凸を有した形状とされ、開口1730cにより「I」形状の透明な氷を表現している。更に、ベース部材1730iは、青色の透明部材とされており、右側へ延びだした延出部1730jが、左上発光装飾体1721の第1表面形成部材1721aや左下発光装飾体1723の第1表面形成部材1723aと同様に、波立った海面(水面)を表現している。
この左下可動発光装飾体1730における移動機構1730bは、図78に示すように、回転軸1730kを有したモータ1730lと、モータ1730lの回転軸1730kと共に回転するピニオンギヤ1730mと、ピニオンギヤ1730mと噛合するラックギヤ1730nを有したスライド部材1730oと、スライド部材1730oから外方へ突出する検知片1730pと、検知片1730pを検知可能なスライド位置センサ1730qと、スライド部材1730o及び移動体アッシー1730aを左右方向へ摺動可能に保持すると共にモータ1730l及びスライド位置センサ1730q等を所定位置に保持するベース部材1730rと、を備えている。
この移動機構1730bは、ベース部材1730rの後側にスライド部材1730oが配置されている。また、このベース部材1730rのスライド部材1730oと対応する位置に、左右方向に延びるスリット1730sが形成されていると共に、スリット1730sを挟んでスライド部材1730oと対向するように横長の支持部材1730tが配置されている。そして、スライド部材1730oと支持部材1730tとがスリット1730sを介して連結ピン1730uで連結されることで、ベース部材1730rにスライド部材1730oがスライド可能に保持されるようになっている。なお、図示するように、スライド部材1730oと支持部材1730tとは、その長手方向(左右方向)両端同士が連結ピン1730uによって互いに連結されている。
また、ベース部材1730rには、スリット1730sの下側に、スリット1730sと平行に延びるもう一つのスリット1730vが形成されている。このスリット1730vを挟んで前側には、スリット1730vを貫通する突出ピン1730wを有したスライド支持部材1730xが配置されていると共に、スリット1730vの後側には、スライド支持部材1730xの突出ピン1730wと嵌合する固定ブッシュ1730yが配置されている。そして、スリット1730vを貫通したスライド支持部材1730xの突出ピン1730wに固定ブッシュ1730yを嵌合させることで、ベース部材1730rに対してスライド支持部材1730xをスライド可能に保持することができるようになっている。
そして、この移動機構1730bは、支持部材1730t及びスライド支持部材1730xに、移動体アッシー1730aを固定することで、移動体アッシー1730aが左右方向にスライド移動できるようになっている。なお、移動体アッシー1730aは、支持部材1730tの他にスライド支持部材1730xによってもスライド可能に支持されているので、このスライド支持部材1730xによりガタツクことなく左右方向にスライドできるようになっている。また、図78中、符号1730zは、モータ1730lをベース部材1730rの後側に固定するためのブラケットである。
この左下可動発光装飾体1730は、移動機構1730bのモータ1730lの回転駆動によって、移動体アッシー1730aを左右方向へスライド移動させることができる。それと共に、モータ1730lにおける回転軸1730kの回転を適宜制御することで、スライド部材1730o(移動体アッシー1730a)を右側移動端と左側移動端との間で自由に行き来させて、所望の演出動作をさせることができるようになっている。なお、スライド位置センサ1730qは、スライド部材1730oの右側移動端を検知するように配置されている。
また、左下可動発光装飾体1730は、その移動機構1730bにより移動体アッシー1730aが右側移動端の位置に移動した時に、移動体アッシー1730aの延出部1730jによって、左下発光装飾体1723における拡散レンズ部材1723cの前面側に露出した部分の前面側を覆い隠すようになっている。そして、この移動体アッシー1730aが左側へ移動することで、左下発光装飾体1723の拡散レンズ部材1723cの一部を前面側へ露出させて遊技者から視認させることができるようになっている。
この左下可動発光装飾体1730は、上述した通り、移動機構1730bによって移動体アッシー1730aを左右方向へスライド移動させることができるので、LED1740によって発光装飾された前面形成部材1730e等が移動することで、遊技者の関心を引き付けることができるようになっている。それと共に、移動機構1730bにより移動体アッシー1730aと共に青色の延出部1730jを移動させることで、その後側に配置された透明(白色)の拡散レンズ部材1723cを出現させたり隠蔽させたりすることができる。これにより、形状的な装飾態様の変化だけでなく、色彩的な装飾態様も変化させることができ、遊技者を楽しませて、興趣が低下するのを防止することができるようになっている。
次に、発光装飾体1720における左中上発光装飾体1727は、図79及び図80にも示すように、前面側に緩やかで滑らかな凹凸が形成された無色透明な第1表面形成部材1727aと、第1表面形成部材1727aによって閉鎖される所定の内周形状(ここでは、A字形状及びG字形状)の開口1727bと、を前面側に有している。さらに、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状とされた不透光性の外殻部材1727cと、外殻部材1727cの内部で第1表面形成部材1727aの後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成されたシート状の拡散レンズ部材1727dと、拡散レンズ部材1727dの後側に配置され第1表面形成部材1727aと協働して拡散レンズ部材1727dを狭持保持する透明な保持部材1727eと、保持部材1727eの左側面に配置され外殻部材1727cの側面と続くような外形形状とされた有色透明な第2表面形成部材1727fと、を備えている。
また、左中上発光装飾体1727には、保持部材1727eの後側に配置されると共に裏箱514の後壁514aの前面側に支持され、複数のLED1740が表面に実装された左中基板1748が備えられている。詳しくは、左中基板1748の上下方向中間よりも上側の部分が、保持部材1727eの後側に配置されている。なお、左中基板1748は、発光装飾用の基板として、左中上発光装飾体1727の他に、左中発光装飾体1728及び左中下発光装飾体1729を発光装飾させるための複数のLED1740も実装されている。
この左中上発光装飾体1727は、外殻部材1727cの後側からその開口1727bを閉鎖するように第1表面形成部材1727aが嵌め込まれるようになっており、この外殻部材1727cの内部に拡散レンズ部材1727d及び保持部材1727eが配置されるようになっている。なお、第2表面形成部材1727fが外殻部材1727cの後側に固定されることで、第1表面形成部材1727a、拡散レンズ部材1727d、及び保持部材1727eが、外殻部材1727cの内部から抜けないように支持されるようになっている。
本例の左中上発光装飾体1727は、外殻部材1727cの表面に、銀色のメッキ処理が施されており、雪景色における銀世界を表現している。それと共に、開口1727bの内周形状によりロゴの文字「A」と「G」とが現されており、開口1727bを通して第1表面形成部材1727aにより「A」及び「G」形状の透明な氷が表現されている。また、第2表面形成部材1727fは、青色の透明部材とされており、波立った海面(水面)を表現すると共に、その前側に配置された外殻部材1727cが水面から突出している(浮かんでいる)ような状態を表現している。
また、左中上発光装飾体1727には、センター役物620における通過ゲート612内のゲートセンサ760が配置された位置と対応する位置(真後側)に、ゲートセンサ760に接続される配線コードを裏箱514の後側へ導くための導通路1727gが形成されている。この導通路1727gは、詳述すると、左中上発光装飾体1727における「A」の文字が形成された部分の左側に配置され、外殻部材1727cを前後方向に貫通すると共に、左側面に開放された形態となっており、側面に開放された部分は正面視でクランク状に屈曲した形状となっている。この導通路1727gに、ゲートセンサ760に接続される配線コードを挿通させることで、配線コードを遊技者から見え難く隠蔽することができると共に、側面に開放された部分を通して導通路1727g内へ配線コードを簡単に挿通させることができるようになっている。なお、左中上発光装飾体1727の第2表面形成部材1727fは、導通路1727gが形成された部分で二つに分割された状態となっている。
また、左中上発光装飾体1727には、その側面に前後方向に延びる壁状側面1727hを有しており、この壁状側面1727hは、裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。また、この壁状側面1727hは、センター役物620の挿入部620bと連続するような形状に形成されている(図51及び図52参照)。
次に、発光装飾体1720における左中発光装飾体1728は、図82にも示すように、前面側に断面が円弧状で曲線状に左右方向へ延びる複数の凸条1728aが形成された赤色の透明部材とされており、その後側に表面に複数のLED1740が実装された左中基板1748の上下方向略中間部分が配置されている。この左中発光装飾体1728は、前面側に形成された複数の凸条1728aにより、赤い溶岩の流れを表現している。
この左中発光装飾体1728には、前後方向に延びる壁状側面1728bを有しており、この壁状側面1728bは、裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。また、この壁状側面1728bは、センター役物620の挿入部620bと連続するような形状に形成されている(図52参照)。
また、発光装飾体1720における左中下発光装飾体1729は、図82にも示すように、前面側に緩やかで滑らかな凹凸が形成された無色透明な第1表面形成部材1729aと、第1表面形成部材1729aによって閉鎖される所定の内周形状(ここでは、C字形状及びE字形状)の開口1729bとを、前面側に有している。さらに、配置角度が異なる平面を複数組合わせた形態の表面形状とされた不透光性の外殻部材1729cと、外殻部材1729cの内部で第1表面形成部材1729aの後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成されたシート状の拡散レンズ部材1729dと、拡散レンズ部材1729dの後側に配置され第1表面形成部材1729aと協働して拡散レンズ部材1729dを狭持保持する透明な保持部材1729eと、保持部材1729eの左側面に配置され外殻部材1729cの側面と続くような外形形状とされた有色透明な第2表面形成部材1729fと、を備えている。
この左中下発光装飾体1729は、その保持部材1729eの後側に、表面に複数のLED1740が実装された左中基板1748の上下方向中間よりも下側の部分が配置されている。
さらに、左中下発光装飾体1729は、外殻部材1729cの後側からその開口1729bを閉鎖するように第1表面形成部材1729aが嵌め込まれるようになっており、この外殻部材1729cの内部に、拡散レンズ部材1729d及び保持部材1729eが配置されるようになっている。なお、第2表面形成部材1729fが外殻部材1729cの後側に固定されることで、第1表面形成部材1729a、拡散レンズ部材1729d、及び保持部材1729eが、外殻部材1729cの内部から抜けないように支持されるようになっている。
本例の左中下発光装飾体1729は、外殻部材1729cの表面に、銀色のメッキ処理が施されており、雪景色における銀世界を表現している。それと共に、開口1729bの内周形状によりロゴの文字「C」と「E」とが現されており、開口1729bを通して第1表面形成部材1729aにより「C」及び「E」形状の透明な氷が表現されている。また、第2表面形成部材1729fは、青色の透明部材とされており、波立った海面(水面)を表現すると共に、その前側に配置された外殻部材1729cが水面から突出している(浮かんでいる)ような状態を表現している。
また、左中下発光装飾体1729には、その側面に前後方向に延びる壁状側面1729gを有しており、この壁状側面1729gは裏箱514の深さと略同じ長さとされ、裏箱514の後壁514a付近まで延びだしている。また、この壁状側面1729gは、センター役物620の挿入部620bと連続するような形状に形成されている(図51及び図52参照)。
また、発光装飾体1720の左中基板1748は、図83に示すように、裏箱514の後壁514aの前面側に近接するように支持されており、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729の前面に対して可及的に遠ざかった位置に配置されている。そして、遊技者側から左中基板1748に備えられたLED1740の光が、遊技者側から見て点状に発光しているのが判り難いようになっていると共に、発光装飾体1720の奥行感を高められるようになっている。
ところで、発光装飾体1720における左上可動発光装飾体1726、左中上発光装飾体1727、左中下発光装飾体1729、及び左下可動発光装飾体1730の拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fは、表面に複数の微細なプリズムが形成されたプリズムシートとされている。そして、そのプリズムの作用により前側から入射した光を前側へ放射することも可能とされ、後側に配置されたLED1740が発光していなくても、パール状にキラキラ光らせることができると共に、その後側を遊技者から視認不能な状態とすることができるようになっている。また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fの後側に配置されたLED1740を発光させると、その光を様々な方向へ細かく拡散させることができ、遊技者側から見て、更にパール状にキラキラ輝かせることができるようになっている。
また、発光装飾体1720における左上可動発光装飾体1726、左中上発光装飾体1727、左中下発光装飾体1729、及び左下可動発光装飾体1730の前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eは、上述したように、その表面が滑かな凹凸状に形成されていると共に、その後面が略平坦に形成されており、その厚さが滑かで不均一な厚さとされている。これにより、表面意匠が歪んで見え、透明な氷を自然な感じで再現することができるようになっている。
<発光装飾体の作用・効果>
ここで、上述した発光装飾体1720の作用・効果について総括する。本実施形態のパチンコ機1によると、外枠2における側枠板12,13を金属製の押出し型材とすることで本体枠3における遊技演出ユニット設置凹部30の左右方向の寸法を大きくした。それとともに、扉枠5前面の皿ユニット300を一つのみ備えるようにすることで遊技窓101の上下方向の寸法を大きくし、更に、本体枠3における周面壁291,292,293の後方突出量を賞球タンク50の後端辺と略同じ位置とすることで遊技演出ユニット設置凹部30の奥行を大きくなるようにした。これにより、遊技演出ユニット設置凹部30の容積を可及的に大きくすることができ、より大きな遊技演出ユニット4を良好に支持することができる。
さらに、遊技演出ユニット4をより大型化することができると共に、その際に、遊技領域20を形成する透明な遊技パネル409の後側に発光装飾体1720が配置されている。この発光装飾体1720は、透明な前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの後側に微細なプリズムを複数有した拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fと左上基板1726h、左下基板1730h、及び左中基板1748とを順次備えている。そのため、発光装飾体1720の拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fによって入射した光が分光拡散し、キラキラと七色の光を放つこととなると共に、遊技者の見る位置によって光具合が変化することとなる。そして、従来のパチンコ機のように平面的な図柄や画像等とは全くことなる印象を一見して遊技者に与えることが可能となり、遊技者の関心を強く引き付けて、本パチンコ機1での遊技に対する期待感を高めて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、発光装飾体1720に微細なプリズムを複数有した拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが配置されているので、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fの後側に配置されたLED1740や左上基板1726h、左下基板1730h、及び左中基板1748等を前側から見えなくすることができる。そして、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fの後側に配置されたLED1740等が視認できることで、発光装飾体1720の装飾性が損なわれて遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができる。また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fにより発光装飾体1720の前側から拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fに入射してきた光を、前側へ放射することができるので、LED1740が発光していなくても、ある程度発光装飾体1720をキラキラと輝かせることができて遊技者の関心を引き付けることができる。
更に、所定深さの裏箱514内に発光装飾体1720を配置するようにしており、発光装飾体1720を立体的に造形したものとすることができる。そのため、本パチンコ機1では、従来のパチンコ機において遊技領域内の平面的な図柄や画像等が視認できた位置に、透明な遊技パネル409を通して立体的な発光装飾体1720を視認することができる。そして、一見して遊技者に対して従来のパチンコ機とは異なる印象を与えることが可能となり、他のパチンコ機に対して本パチンコ機1を大きく差別化することができ、遊技するパチンコ機として本パチンコ機1が選択される可能性を高くすることができる。
また、透明な前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの厚さを不均一としているので、透過する光の屈折を不均一なものとすることが可能となる。そのため、遊技者側からその後側に配置された拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが歪んで見えるようにすることで、遊技者に前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの形状を認識させ易くすることができ、形状による装飾効果を発揮させて上述した作用効果を確実に奏することができるものを具現化することができる。また、前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの後側に配置された拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが、遊技者側から歪んで見えるようにすることができる。そのため、幾何学的な拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fの表面意匠が歪んで見え人工的な感じがするのを低減させることができ、立体的な発光装飾体1720(前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730e)のリアル感をより高めて遊技者の関心を強く引き付けられるものとすることができる。また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが歪んで見えることで、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fから放射される光も不均一となる。そのため、キラキラ光る拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fの光具合が不均一となって更にキラキラ感を増させることができ、遊技者の関心を強く引き付けられるものとすることができる。
更に、LED1740を有した左上基板1726h、左下基板1730h、及び左中基板1748を備えている。そのため、LED1740からの光を拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fで広く拡散させることできると共に、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fをパール状にキラキラ発光させることができ、発光装飾体1720の発光装飾によって、遊技者の関心をより強く引き付けて本パチンコ機1での遊技に対する期待感を高めることができる。
また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fを前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eと保持部材1726g,1727e,1729e,1730gとで狭持して保持することができる。そのため、シート状とされることで柔軟性のある拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fを確実に保持することができ、上述した作用効果を確実に奏することができるパチンコ機1を具現化することができる。
また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fを前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eと保持部材1726g,1727e,1729e,1730gとで狭持するようにしている。そのため、蓋然的に拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの前面の後側と接する位置に配置される。而して、前面形成部材1726e、第1表面形成部材1727a、第1表面形成部材1729a、及び前面形成部材1730eの前面と共に裏箱514の前面付近に拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが配置されることとなる。これにより、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fと裏箱514の後壁514aとの間に距離を取ることが可能となり、その間に、LED1740を有した各種基板を配置したり、発光装飾体1720を移動させる移動手段(移動機構)を配置したりすることができ、発光装飾体1720の装飾効果をより高めることができる。
また、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fが、前方から入射した光を前方へ放射可能とされており、装飾体の前方から拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fに入射した光が、プリズムにより反射したり屈折したりして拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fから前方へ放射される。そのため、拡散レンズ部材1726f,1727d,1729d,1730fよりも前側に光源があれば、パチンコ機1における遊技状態に関係なく発光装飾体1720をいつでもキラキラ輝かせることができ、遊技者に対する訴求力を高めて遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択させることができる。
更に、遊技領域20を形成する透明な遊技パネル409の後側に、50mm〜100mmの深さの裏箱514を配置した上で遊技パネル409の面に対して略垂直方向(前後方向)に延び裏箱514の深さと略同じ長さの壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eを備えた発光装飾体1720が配置されている。つまり、壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eにより奥行(前後方向)が強調された右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731が配置されている。よって、この立体的な発光装飾体1720により従来のパチンコ機における遊技演出ユニットとは一見して全く異なるものであると認識させて遊技者の関心を強く引き付けることができ、本パチンコ機1での遊技に対する期待感を高めて遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
また、右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731は、裏箱514の深さと略同じ長さの壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eを備えている。これにより、発光装飾体1720の前面が裏箱514の前面つまり遊技パネル409の後面に近接した位置に配置されることとなる。そのため、遊技者に対して、発光装飾体1720の前面と、遊技領域20内を流下する遊技球との距離の差を小さくすることが可能となり、発光装飾体1720と遊技球との間での焦点移動を可及的に少なくすることができる。さらに、発光装飾体1720と遊技球の両方を同時に見易くすることができると共に、早期に眼球疲労が発生するのを防止して、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、透明な遊技パネル409の後側に、裏箱の深さと略同じ長さの壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eを備えた発光装飾体1720(右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731)が配置されると共に、裏箱514の後側に演出表示装置115が配置されている。そのため、遊技者の焦点距離が遊技演出ユニット面(遊技パネル409)により規制されるのを回避させて、焦点距離の規制範囲をより遠くすることができるので、遊技演出ユニット4と対面する遊技者に対して圧迫感を与えるのを抑制することができ、遊技者をリラックスさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、裏箱514の深さを50mm〜100mmの深さとすると共に、その後壁514aの開口部514bに演出表示装置115を配置するようにしているので、演出表示装置115の表示画面を遊技演出ユニット面から所定の距離(裏箱の深さの距離)後側に配置されることとなる。つまり、従来のパチンコ機よりも演出表示装置115が遊技者から遠ざかった位置に配置されているので、蓋然的に演出画像に対する焦点距離も遠くなり、眼球疲労の発生を抑制して遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
更に、演出表示装置115が配置された裏箱514の開口部514bに略沿うように、発光装飾体1720の壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eが配置されている。そのため、演出表示装置115の外周を壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eで略覆って縁取ることができ、演出表示装置115と発光装飾体1720とを明確に分離して外見上メリハリのある遊技演出ユニット4とすることで遊技者の関心を引き付けることができる。それと共に、遊技演出ユニット4に対して上下或いは左右の斜め方向から演出表示装置115の表示画面に向かって入射してくる光を遮ることができ、これにより、不要な光の映り込みを防止して演出表示装置115に表示される演出画像を見易くすることができる。
また、裏箱514の深さを50mm〜100mmの範囲内としているので、裏箱514内に、奥行方向(深さ方向)に起伏の富んだ立体感の高い発光装飾体1720を確実に配置することができる。これにより、遊技者の関心を強く引き付けて、本パチンコ機1による遊技に対する期待感を高められるパチンコ機1とすることができる。
更に、上部右奥基板1744、下部中基板1745、下部右基板1746、右部下基板1747、及び左中基板1748によって、右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731を発光装飾させることが可能となる。そして、点灯・点滅したり、種々の色に発光したりする発光装飾体1720によって、更に、遊技者の関心を引き付けることが可能となり、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731を発光装飾させることができるので、透明な遊技パネル409の後側に配置された発光装飾体1720が暗くて見辛くなるのを防止することができ、発光装飾体1720による装飾効果をより高めて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、右下発光装飾体1724、左中上発光装飾体1727、左中発光装飾体1728、左中下発光装飾体1729、及び右下隅発光装飾体1731には、裏箱514の深さと略同じ長さの壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eを有しており、上述したように発光装飾体1720の前面が、裏箱514の前面付近に配置されることとなる。そのため、上部右奥基板1744、下部中基板1745、下部右基板1746、右部下基板1747、及び左中基板1748を裏箱514の後壁514a付近に容易に配置することができる。これにより、発光装飾体1720の前面(表面)とLED1740とを可及的に遠ざけることで、点状に発光するLED1740の光がより広がって発光装飾体1720全体を略均一に発光装飾させることができると共に、点状に発光するLED1740の光源を目立ち難くすることができる。また、遊技者側から上部右奥基板1744、下部中基板1745、下部右基板1746、右部下基板1747、及び左中基板1748やLED1740を見難くして、発光装飾体1720の装飾効果が低下するのを抑制することができる。
また、壁状側面1724f,1731e同士を対向配置させた部位では、その間隔よりも深さの方が深いので、底の部分が見辛くなってその深さが強調されることとなり、発光装飾体1720の奥行感を更に強調させて、遊技者の関心を強く引き付けられるものとすることができる。また、壁状側面1724f,1731e同士が対向した底の部分が見辛くなるので、遊技者に対して、その部分に何かがあるように思わせることが可能となり、その部分に対して何がしかの期待感を抱かせて、遊技に対する興趣が低下するのを防止することができる。更に、壁状側面1724f,1731e同士を対向配置した部位により、地割れやクレバス、穴等を表現することができ、よりリアルな発光装飾体1720とすることができる。また、壁状側面1724f,1731e同士が対向した部位の底にLED1740を有した基板を配置しているので、地割れ等から光が放射されるような発光演出が可能となり、より遊技者を楽しませられるパチンコ機1とすることができる。
更に、遊技パネル409の後側に配置され発光装飾体1720の壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eと連続するように形成された挿入部620bを有したセンター役物620が遊技パネル409の前面に配置されている。そのため、壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eと挿入部620bとにより、センター役物620の前面、つまり、遊技演出ユニット4の前面から裏箱514の後壁514aに至るまでの長さを有した奥行方向(前後方向)に延びる壁状の部分が遊技演出ユニット4に形成されることとなる。そして、この奥に長い壁状部分によって、より一層遊技演出ユニット4の奥行感を強調することができ、従来のパチンコ機と比較して、際立った奥行のあるパチンコ機1とすることができ、一見して他のパチンコ機と見分けられ本パチンコ機1に対する関心を強く引き付けることができ、本パチンコ機1による遊技に対する期待感を高めて、遊技者の興趣を高められる効果を期待できるパチンコ機1とすることができる。また、遊技パネル409に演出表示装置115の外周を囲うような枠状のセンター役物620が備えられているので、従来のセンター役物を備えたパチンコ機と似たパチンコ機1とすることができ、従来のパチンコ機に慣れた遊技者に対して、「全く未知なパチンコ機」との印象を持ち難くして、違和感無く遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択させることができる。
また、遊技演出ユニット設置凹部30の奥行を大きくすることができるので、パネルホルダ540から後側、つまり、裏ユニット510の奥行(裏箱514の深さ)を大きくすることができる。これにより、発光装飾体1720の壁状側面1724f,1727h,1728b,1729g,1731eをより長くして、遊技パネル409後側の空間の奥行感をより強調することができる。そして、従来の平面的な遊技演出ユニットに対して、明らかに異なる外観の遊技演出ユニット4を提供することが可能となり、この遊技演出ユニット4によって遊技者の関心を強く引き付けて、本パチンコ機1での遊技に対する期待感を高めて興趣が低下するのを抑制することができるパチンコ機1となる。
更に、パチンコ機1の機種を特徴付ける所定物を模した移動する第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aと、第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aの移動に伴って現れる第2表面形成部材1725b及び拡散レンズ部材1721c,1723cとが配置されている。そのため、従来のパチンコ機のように平面的な絵や画像とは全くことなる印象を一見して遊技者に与えることが可能となると共に、これまでのパチンコ機では変化しなかった部分が形状的に変化することで、大型の遊技演出ユニット4と相まって遊技者の関心を強く引き付けることができ、本パチンコ機1に対する期待感を高めて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、透明な遊技パネル409の後側に配置された第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aを移動機構1725d,1726b,1730bによって移動させることで、遊技演出ユニット4の背景を変化させるようにしている。これにより、透明遊技演出ユニットの後側に大型の液晶表示装置を配置して、その演出画像(動画も含む)により遊技演出ユニットの背景を変化させるようにした場合と比較して、変化の仕方を判りやすく単純なものとすることができ、発光装飾体1720の前側を遊技球が流通しても、遊技球が見辛くなるのを抑制して遊技に対する興趣が低下するのを防止することができる。
更に、左上基板1726h及び左下基板1730hにより移動体アッシー1726a,1730aを発光装飾させることができると共に、移動体アッシー1726a,1730aを移動機構1726b,1730bにより移動させることができる。よって、左上基板1726h及び左下基板1730hに備えられたLED1740によって、移動体アッシー1726a,1730aを、点灯・点滅させたり、種々の色に発光させたりすることができ、発光演出により遊技者の関心を更に強く引き付けることができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、移動体アッシー1726a,1730aを発光装飾させることができるので、透明な遊技パネル409の後側に配置された移動体アッシー1726a,1730aが暗くて見辛くなるのを防止することができ、移動体アッシー1726a,1730aによる装飾効果をより高めて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、移動体アッシー1726a,1730aの内部に左上基板1726h及び左下基板1730hを備えるようにしているので、前側から照明する場合と比較して、移動体アッシー1726a,1730aの前後方向(奥行)の寸法を可及的に大きく取ることが可能となる。そして、移動体アッシー1726a,1730aの形状をより立体感のあるものとすることができ、リアルな移動体アッシー1726a,1730aにより遊技者を楽しませて、興趣が低下するのを防止することができる。また、左上基板1726h及び左下基板1730hを保持部材1726g,1730gの後側に配置しているので、LED1740をできる限り後方に配置することが可能となり、LED1740と前面形成部材1726e,1730eの前面と距離を可及的に大きく取ることができ、点状に発光するLED1740の光源を目立ち難くすることができる。
更に、前面形状部材1726e,1730eの後側でLED1740が発光するので、前面形状部材1726e,1730eの表面形状が強調されるのを抑制することが可能となり、前面形状部材1726e,1730eに模された所定物としての透光性を有した氷を、その形状がリアルなだけでなく質感もリアルに再現することができ、よりリアルな前面形状部材1726e,1730eによって遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、移動機構1725d,1726b,1730bによる第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aの移動に伴って、第2表面形成部材1725b及び拡散レンズ部材1721c,1723cが出現したり、隠れたりする。これにより、遊技演出ユニット4の形状的な装飾態様を大きく変化させることができ、遊技者の関心をより引き付けられるものとすることができると共に、装飾態様の変化によって遊技に対する期待感を持たせることが可能となり、その期待感によって遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。更に、第2表面形成部材1725b及び拡散レンズ部材1721c,1723cの色を、第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aのそれとは異なる色としているので、移動機構1725d,1726b,1730bによる第1表面形成部材1725a及び移動体アッシー1726a,1730aの移動により、色の異なる第2表面形成部材1725b及び拡散レンズ部材1721c,1723cが現れることとなり、一見して発光装飾体1720の装飾態様が変化したことを遊技者に認識させることができ、遊技者の関心を強く引き付けることができる。
また、発光装飾体1720の表面形成部材1721a等を所定物としての氷山や氷河等と略同じ色とすると共に、その後側に配置されたLED1740を所定物と略同じ色又は白色で発光するようにしている。これにより、表面形成部材1721a等が所定物と近似した感じに発光することとなり、表面形成部材1721a等がよりリアルな感じとなって、遊技者に対する訴求力が高くなり、遊技者の関心を強く引き付けることができる。
更に、従来のパチンコ機では、遊技領域内において平面的な絵や画像等が視認できた位置に、透明な遊技パネル409を通して立体的な表面形成部材1721a等が配置されているので、一見して遊技者に対して従来のパチンコ機とは異なる印象を与えることが可能となる。そして、他のパチンコ機に対して本パチンコ機1を大きく差別化することができ、遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択する可能性を高くすることができる。
また、遊技パネル409の後側に配置される表面形成部材1721a等は、LED1740の発光により所定の色に発光する発光装飾体1720とされているので、単に発光が点滅したり色が変化したりするだけである。そのため、従来のパチンコ機のように動画が表示された場合と比較して、遊技パネル409の前面を流下する遊技球が見辛くなるのを抑制することができ、遊技球が見辛くなることに起因して遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
更に、遊技パネル409の後側に配置された立体的な表面形成部材1721a等によって、パチンコ機1の機種を特徴付けることができる。そのため、従来のパチンコ機のように、遊技領域内に機種を特徴付けるための特徴的な形状の役物や装飾体等を別途配置する必要が無く、それらによって遊技球の流域が狭くなるのを抑制することができ、遊技球の動きが単調なものとなるのを防止して、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを防止することができる。
また、表面形成部材1721a等の表面に多面状のプリズム又はシボが形成されているので、表面形成部材1721a等を透明度の高い素材で形成しても、遊技者側から表面形成部材1721a等の後側の部材を認識し辛くすることができる。そして、LED1740が発光していない時等に、表面形成部材1721a等の後側に配置された発光装飾用の各基板1741等やLED1740等が認識できて、表面形成部材1721a等のリアル感が低下して遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
更に、遊技演出ユニット設置凹部30の奥行を大きくすることができるので、パネルホルダ540から後側、つまり、裏ユニット510の奥行を大きくすることができる。これにより、奥行の大きな表面形成部材1721a等としたり、表面形成部材1721a等と発光装飾用の各基板1741等との距離を大きく取ったりすることが可能となる。そして、より所定物に似せたよりリアルな発光装飾体1720を具現化し易くすることができ、遊技者の関心を強く引き付けて、興趣が低下するのを防止することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、遊技演出ユニット4を大型化することができるので、演出表示装置115による演出画像の表示領域を広くしても、遊技球の流域が狭くなるのを抑制して、遊技球の動きと演出画像の両方を共に楽しめるようにすることができると共に、遊技演出ユニット4の遊技領域20を大きくして、流下する遊技球に様々な動きを付与したり、大型の可動役物や装飾体(可動装飾体)等を配置したりして、遊技者を楽しませてより興趣を高められるパチンコ機1とすることができる。
<発光装飾体の配置位置および発光態様の特長について>
ここで、遊技演出ユニット4においては、先述のように、遊技パネル409の背後に複数の電飾部品や発光体(具体的には、発光装飾体1720のLED1740)が配設されている。このように、遊技演出ユニット4のより奥行き側に電飾部材等を配置してその発光態様を様々に制御することで、以下のような作用・効果を奏することができる。
まず、従来のパチンコ機では、扉枠に形成される遊技窓(ガラスユニット)が、遊技演出ユニットの遊技領域に合わせて略円形状に形成されるのが通常である。しかしながら、本実施形態では、扉枠5に形成される遊技窓101(ガラスユニット190)は、正面視で遊技領域20を大きく越えて遊技パネル409の略全体を包含するような大きさを有する縦長略八角形状に形成されている。即ち、遊技窓101(ガラスユニット190)が従来と比べて面積が極めて大きい。これにより、遊技者は、本実施形態のパチンコ機1が有する奥行きの深さをより強く体感できるとともに、遊技演出ユニット4の奥側から発光装飾体1720(LED1740)から照射される光がパチンコ機1の正面側に表出しやすい(即ち、遊技者の視覚に発光態様が把握されやすい)ようにすることができる。
さらに、本実施形態にかかるパチンコ機1では、遊技演出ユニット4が配置される奥行きが深いため、パチンコ機1の外部から遊技領域20に光が進入しにくい。そのため、演出表示装置115や発光装飾体1720(LED1740)などが駆動していない状態では、従来のパチンコ機よりも遊技領域20が暗い状態となる。そして、演出表示装置115や発光装飾体1720(LED1740)が、外部からの光によって照らし出され難い遊技演出ユニット4の奥側に位置している。
このことから、演出表示装置115や発光装飾体1720(LED1740)は、パチンコ機1の外部から進入する光によって遊技者がその表示態様や発光態様を視認することが妨げられるような事態が防止される。つまり、演出表示装置115や発光装飾体1720(LED1740)は、比較的暗い状態に保たれる遊技演出ユニット4の奥側で表示又は発光することになるため、遊技者は演出表示装置115における画像表示や発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を視認しやすい。
さらに、本実施形態に係るパチンコ機1は、先述のように扉枠5において遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。従来のパチンコ機1においては、光装飾される範囲は主として遊技領域20に限られるのに対して、本実施形態のパチンコ機1を正面視すると遊技領域20および扉枠5を含めて光装飾される範囲が極めて大きい。言い換えれば、本実施形態のパチンコ機1では、従来の遊技機ではなしえなかった光装飾の平面的な広がりを実現することができる。
これに加えて、本実施形態のパチンコ機1では、遊技演出ユニット4の奥側から発光装飾体1720(LED1740)による光装飾を行なうことによって、従来にない光装飾による奥行き感を実現している。つまり、光装飾による平面的な広がりと奥行き感とが相まって、遊技者はあたかも光装飾に包まれるかのような印象を受けることとなり、従来にない興趣を体感しつつ一層遊技に集中することができる。
さらに、遊技演出ユニット4の奥側から発光装飾体1720(LED1740)による光装飾を行なうことにより、遊技領域20を流下する遊技球がその光によって照らし出されることになる。これにより、遊技領域20を流下する遊技球が浮遊しているかのような印象を遊技者に与えることができる。さらに、遊技球を照らし出す光が当該遊技球の表面で乱反射するため、遊技球における色彩に複雑な多様性をもたせることができる。
さらに、遊技演出ユニット4に具備された発光装飾体1720(LED1740)は、特に演出表示装置115との関係において、以下のような作用効果を奏する。すなわち、本実施形態では、裏ユニット510が複数の発光装飾体1720(LED1740)を有している。そして、この発光装飾体1720(LED1740)は、遊技パネル409の後方で演出装置を収容する後述の演出空間510G内であって、且つ、正面視で演出表示装置115の外周(即ち、裏ユニット510に形成された開口部の外縁)に沿って配置される。これにより、透明の遊技パネル409を介して、発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を把握できる。また、発光装飾体1720(LED1740)は、遊技領域20が形成された遊技パネル409の裏面側に配置される(遊技領域20に配置される必要がない)ことから、遊技球の流下スペースを徒に阻害することがない。これにより、複数または比較的大きめの発光装飾体1720(LED1740)を採用することができるだけでなく、無駄にならない範囲で大きな演出表示装置115を採用することができる。また、徒に高コストとなることも抑制できる。
ところで、演出表示装置115を必要以上に大きくしてしまうと、無駄な表示領域が増えるだけでなく高コストとなってしまう。即ち、人間の目は、大領域画面の全てを注視することができないため、演出表示装置115が必要以上に大型化されたとしても、遊技中に注視しているのは大領域画面のうち特定の領域のみである。従って、遊技者が注視可能な領域で演出等が行われたとしても、遊技者はそれに気付かないことが殆どである。そこで、本実施形態では、「発光装飾体」として、ランプやLEDのように液晶表示器と比べて輝度が高いもの(ここでは、発光装飾体1720のLED1740)を採用した。これにより、正面視で演出表示装置115の外周(即ち、遊技者が注視できないまたは困難な領域)に発光装飾体1720(LED1740)を配置したことで、遊技者は演出表示装置115の表示画像を認識しつつ、発光装飾体1720(LED1740)の点灯、点滅または/および消灯といった発光態様も把握することが可能となる。
さらに、本実施形態では、遊技演出ユニット4に具備された電飾部材は、パチンコ機1における遊技状態に応じて、その発光態様が適切に制御される。例えば、遊技者に有利な遊技状態(例えば、特別遊技状態)では、発光装飾体1720(LED1740)が有利態様となり派手な発光演出が行われる。これにより、遊技者は、演出表示装置115を注視することなく派手な演出が行われていることを確認できる。しかも、この派手な演出は、遊技パネル409の裏面側の略全域を使った広域演出領域(演出空間510G)において行われるので、三次元的な深みのあるオーラをパチンコ機1全体から醸し出すことができ、興趣の低下を抑制できる。また、この発光演出は、演出表示装置115の周り(即ち遊技者が注視困難な部位)にて行われるので、遊技者の目に悪影響を及ぼすことなく派手な発光演出を行うことができる。なお、「派手な発光演出」とは、例えば、各発光装飾体1720(LED1740)によってイルミネーションを行う演出等、遊技者の気分を高揚させる演出のことである。一方、遊技者に不利な遊技状態(例えば、通常遊技状態)では、発光装飾体1720(LED1740)が通常態様に制御される。この通常態様は、有利態様よりも地味な態様であって、例えば消灯や暗い点灯等が相当する。これにより、遊技者は、遊技状態が自己に有利でないことを把握できる。
以上説明したように、本実施形態に係るパチンコ機1では、遊技領域20の後方において、遊技領域20の左右方向、上下方向および奥行き方向に広がる広域の三次元空間としての演出空間510Gにて演出を行いうる構成となっている。
広域の演出空間510Gには、略中央に演出表示装置115が配置されており、この演出表示装置115の周囲に各発光装飾体1720(LED1740)が配置されている。この発光装飾体1720(LED1740)を遊技領域20の左右方向および上下方向に万遍なく配置することによって、遊技領域20の略全域において演出を行うことが可能となる。なお、演出空間510Gに配置されるのは発光装飾体1720(LED1740)のみに限られず、その他の複数種類のランプやLED等を配置しても良い。
ところで、従来、遊技球が流下する流路や障害釘等のスペースを確保する必要があることから、遊技領域の全域に亘って発光装飾体を配置することは困難であった。しかも、近年、演出表示装置が拡大化しているため、発光装飾体を配置するスペースが侵食されていた。そのため、発光装飾体を用いた演出よりも演出表示装置を用いた演出に流れつつあった。
ところが、人間の目で注視できる領域(以下、「注視領域」と称する)は限られた範囲であり、演出表示装置を徒に拡大化しても、注視できない無駄な領域を増やすだけである。また、このような無駄な領域を増やすと、高コストにもつながってしまう。そこで、本実施形態では、注視領域に演出表示装置115を配置すると共に、注視領域から外れた領域に発光装飾体1720(LED1740)を配置している。従って、注視領域外に配置される発光装飾体1720(LED1740)は、液晶表示器よりも輝度が高いランプやLEDであることが好ましい。
また、注視領域としての遊技領域20の略中央に演出表示装置115を配置すると共に、この演出表示装置115の周囲に沿って発光装飾体1720(LED1740)を配置することで、遊技者に対して直接的な情報発信と間接的な情報発信を行うことが可能となる。
この点について詳述すると、演出表示装置115は注視領域に配置されることから、この演出表示装置115の表示態様によって、現在の遊技状態等の情報を遊技者に直接的に知らしめることができる。例えば、液晶にキャラクタ等を表示することによって遊技状態にかかわる情報を発信する態様であれば、よそ見をしたりといったレアケースでない限り、普通に演出表示装置115を見て遊技を行っていれば、キャラクタが演出表示装置115に表示されたか否かを確認できる。こういった意味で、演出表示装置115による表示は直接的な情報発信となる。
一方、注視領域外に配置された発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を変化させた場合、よほど大きな変化でなければ遊技者が当該変化を気付かない場合がある。注視領域外(詳しくは演出表示装置115の外周側)に配置された各発光装飾体1720(LED1740)は、遊技領域20の略全域に万遍なく分散して配置されているため、個々の発光装飾体1720(LED1740)の発光態様は視認しやすいものの、全ての発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を一時に視認するのは困難である。言い換えると、遊技者からすれば、各発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を個別に把握することは容易であるが、広域に分散された全ての発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を一時に把握するのは困難である。従って、遊技領域20の略全域に万遍なく配置された発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を変化させることで、遊技者に対して間接的な情報発信を行うことが可能となる。
なお、発光装飾体1720(LED1740)の発光態様を変化させる例としては、一部の発光装飾体の発光態様のみを変化させる他、発光装飾体1720(LED1740)に送信されるパルス波のデューティー比を変えることによって、全体的な発光態様に軽微な変化を与えることが考えられる。従来は、少ない発光装飾体が遊技領域に配置されていたため、当該発光装飾体を用いて遊技者に情報発信する場合、明確に変化を与える必要があった。例えば、通常遊技状態であれば消灯し、特別遊技状態であれば点滅させる等である。これに対し、本実施形態のパチンコ機1では、遊技領域20の略全域を用いて情報発信できるので、発光装飾体1720(LED1740)の発光態様にファジーな変化を与える(即ち軽微な変化を与えることによって)、遊技者に対して間接的な情報発信を行うことが可能となる。
[主基板および周辺基板の制御的な構成について]
次に、パチンコ機1の主基板および周辺基板の制御的な構成について、図84および図85を参照して説明する。図84は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、主基板周辺の構成を主として示した図である。図85は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、周辺基板周辺の構成を主として示した図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続および方向を示し、細線の矢印は信号の接続および方向を示している。
本実施形態のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板700のグループ(図84に示す)と、周辺基板800のグループ(図85に示す)とで分担されている。主基板700のグループは遊技動作(入賞検出、乱数取得および当たり判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板800のグループは演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示および装飾体の動作等)を制御している。
図84に示すように、主基板700は、主制御基板710と払出制御基板720とから構成されている。主制御基板710は、中央演算装置としてのCPU711、読み出し専用メモリとしてのROM712および読み書き可能メモリとしてのRAM713を備えている。
CPU711は、ROM712に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板800や払出制御基板720に出力するコマンド信号を作成したりする。
RAM713には、主制御基板710で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主基板700は、電源基板395に接続されており、電源基板395から作動用電力が供給されるようになっている。具体的には、電源基板395から払出制御基板720に作動用電力が供給され、当該払出制御基板720を介して主制御基板710に作動用電力が供給される。ただし上述の通り、この実施の形態では、上記払出制御基板720と上記主制御基板710との間に主ドロワ中継基板648が設けられ、主制御基板710は、当該主ドロワ中継基板648(主ドロワコネクタ2000)を介して上記払出制御基板720からの電力供給を受けるようになっている。なお、主制御基板710と払出制御基板720との間での各種の情報授受もこの主ドロワ中継基板648(主ドロワコネクタ2000)を介して行われる。
この主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750を介して、第1始動口602への入賞状態を検出する第1始動口センサ780、第2始動口604への入賞状態を検出する第2始動口センサ782、通過ゲート612を遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ760および一般入賞口614に遊技球が入賞したことを検出する一般入賞口センサ762が接続されている。
さらに、主制御基板710の入力インタフェースには、パネル中継端子板750に接続された開閉装置中継端子板754を介して開閉装置カウントセンサ776が接続されている。
上記各センサからの検出信号は主制御基板710に入力されるようになっている。
一方、パネル中継端子板750の出力インタフェースには図柄制限抵抗基板766を介して普通図柄・特別図柄表示基板768が接続されている。これにより、主制御基板710は、普通図柄表示器82、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86への駆動信号を出力することが可能となっている。
また、開閉装置中継端子板754の出力インタフェースには普通電動役物ソレノイド774と開閉装置開閉ソレノイド778とが接続されており、主制御基板710から、普通電動役物ソレノイド774および開閉装置開閉ソレノイド778に向けて駆動信号が出力される。なお、普通電動役物ソレノイド774は第2始動口604に設けられた一対の可動片606を駆動するものであり、開閉装置開閉ソレノイド778は開閉装置500(より具体的には大入賞口開閉扉500b)を駆動するものである。
一方、払出制御基板720は、中央演算装置としてのCPU722、読み出し専用メモリとしてのROM724および読み書き可能メモリとしてのRAM726を備えている。
そして、払出制御基板720は、主制御基板710から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置53や、発射ハンドルおよび発射モータ等から構成される発射装置57に対して、駆動信号を出力する。これにより、球払出装置53は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射装置57は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。
また、払出制御基板720の入力インタフェースには、本体枠3の前枠体(図示外)の開放状態を検出する内枠開放スイッチ736および扉枠5の開放状態を検出する扉開放スイッチ738も接続されている。
なお、主制御基板710と払出制御基板720との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、たとえば主制御基板710が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板720から主制御基板710にACK信号が返される。
また、払出制御基板720には、皿体360に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する満タンスイッチ730も接続されており、この検出に基づいて、「遊技球を皿体360から取り出して下さい」旨の報知がなされる。
また、主制御基板710および払出制御基板720には外部端子板753が接続されている。各始動口602,604への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態および抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報は、この外部端子板753を介して、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力される。
一方、周辺基板800は、図85に示すように、周辺制御基板810と表示装置制御基板816とから構成されている。なお、上記の主制御基板710と周辺制御基板810との間では、それぞれの出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われている。即ち、主制御基板710から周辺制御基板810へのコマンド送信はあっても、周辺制御基板810から主制御基板710へのコマンド送信は行われない。また、周辺基板800に供給される作動用電力は、主制御基板710を介して供給される。
周辺制御基板810もまた、CPU811、ROM812およびRAM813等の電子部品を有しており、これらの電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。
また、周辺制御基板810には、効果音や楽曲等演出音の基となる音源を記憶したROM819と、このROM819に記憶された音源を基に演出内容等に応じた効果音や楽曲等の演出音を出力する音源IC818と、が設けられている。
なお、周辺制御基板810と表示装置制御基板816との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、表示装置制御基板816には、演出表示装置115としての液晶表示器(LCD)が接続されている。この表示装置制御基板816は、周辺制御基板810から送信されたコマンド信号を処理し、演出表示装置115に対して駆動信号を出力する。なお、表示装置制御基板816には、CPU832、RAM834、ROM836、VDP838および画像ROM839が備えられている。
CPU832は、周辺制御基板810から送られてきたコマンド信号を入出力インタフェースを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP838の制御を行う。
RAM834は、CPU832の作業領域を提供すると共に、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM836は、CPU832用(表示制御用)のプログラムを保持する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)838は、演出表示装置115に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP838の内部には、レジスタが設けられており、VDP838の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU832が書き換えることにより、演出表示装置115における表示態様を種々変化させることが可能となる。
画像ROM839は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データおよび背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
このように、周辺基板800(周辺制御基板810及び表示装置制御基板816)は、後述の装飾図柄1153についての変動表示演出なども含めて、演出表示装置115に表示される画像についての演出制御を行う部分である。この装飾図柄1153の変動表示は特別図柄の変動表示と同調している。なお、後述するが、装飾図柄の変動開始条件は、特別図柄の変動を開始するタイミングで主制御基板710から送信される変動パターンについての情報が含まれるコマンドを受信することである。
また、周辺制御基板810には、第1装飾制御基板746、第2装飾制御基板748および枠装飾中継端子板240が接続されている。
第1装飾制御基板746の出力インタフェースには、先述のユニット装飾ランプ852が接続されている。この第1装飾制御基板746によって、ユニット装飾ランプ852(すなわち、発光装飾体1720の各LED1740)の発光態様が制御される。また、第2装飾制御基板748の出力インタフェースには、先述の演出用駆動部854が接続されている。この第2装飾制御基板748によって、演出用駆動部854(すなわち、発光装飾体1720の各移動機構1725d,1726b,1730b)の駆動態様が制御される。
また、周辺制御基板810に接続された枠装飾中継端子板240には、扉枠5に接続されたスピーカ144,341、操作ボタン327および枠装飾ランプ842等が接続されている。そして、枠装飾中継端子板240は、先述の副ドロワ中継基板649を介して周辺制御基板810と接続されている。周辺制御基板810には、操作ボタン327の操作状態に基づいて演出表示装置115に出力される演出態様を切り替えると共に、スピーカ144,341や枠装飾ランプ842に対して駆動信号を出力する。
[主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成について]
次に、パチンコ機1の主基板700を構成する主制御基板710および周辺基板800を構成する周辺制御基板810の機能的な構成について、図86を参照して説明する。図86は、主制御基板および周辺制御基板の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図86に示すように、主制御基板710は、遊技状態制御手段934と、第1特別図柄抽選手段900と、第1特別図柄表示制御手段702と、第1特別図柄保留表示制御手段930と、第1特別図柄保留カウンタ903と、第2特別図柄抽選手段910と、第2特別図柄表示制御手段704と、第2特別図柄保留表示制御手段932と、第2特別図柄保留カウンタ913と、保留順記憶手段940と、当否判定用乱数記憶領域5131と、処理領域5132と、大当たり遊技実行手段715と、開閉動作制御手段938と、普通図柄抽選手段920と、普通図柄表示制御手段716と、普通図柄保留表示制御手段718と、普通図柄保留手段923と、可動片開閉制御手段928と、コマンド送信手段946と、を備えている。
まず、遊技状態制御手段934は、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する。本実施形態では、パチンコ機1の遊技状態として、確変機能および時短機能のいずれも作動しない通常遊技状態と、確変機能および時短機能のいずれも作動する特別遊技状態と、時短機能のみが作動する時短遊技状態と、のいずれかの遊技状態に制御される。なお、確変機能が作動すると、確変機能の非作動時よりも大当たりに当選しやすい当選確率のもとで当否判定処理が行なわれるため、大当たりへの期待感が高く遊技者に有利となる。また、時短機能が作動すると、時短機能の非作動時よりも一対の可動片606の開閉動作が行なわれやすくなるため、第2始動口604に遊技球が受け入れられやすくなり遊技者に有利となる。
第1特別図柄抽選手段900は、遊技球が第1始動口602への入賞に基づいて第1始動口センサ780により検出されると、所定の乱数幅(例えば、0〜640)で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数を、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得する。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第1特別図柄保留カウンタ903によって第1所定数(例えば4個)まで保留される。そして、第1特別図柄保留カウンタ903による保留が解除されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第1特別図柄当否判定手段904によって大当たりに当選したか否かが判定される。
なお、本実施形態では、第1特別図柄保留カウンタ903による抽選の保留を、「第1特別図柄の始動記憶」と称することがある。また、第2特別図柄保留カウンタ913による抽選の保留を、「第2特別図柄の始動記憶」と称することがある。
第1特別図柄当否判定手段904による当否判定は、確変機能が作動しない通常遊技状態または時短遊技状態であれば、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と第1通常特図判定テーブル906とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。一方、確変機能が作動する特別遊技状態であれば、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された乱数値と第1確変特図判定テーブル908とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。そして、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得した乱数値がこれらの大当たり乱数であるか否かが判定され、大当たり乱数であれば大当たり遊技実行手段715によって大当たり遊技が実行される。
第2特別図柄抽選手段910は、遊技球が第2始動口604への入賞に基づいて第2始動口センサ782により検出されると、遊技球が第1始動口602に入賞したときと同様に、所定の乱数幅(例えば、0〜640)で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち一つの乱数を、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912により取得する。この取得した乱数は当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に、当該取得した乱数の数は、第2特別図柄保留カウンタ913によって第2所定数(例えば4個)まで保留される。そして、第2特別図柄保留カウンタ913による保留が解除されると、取得された順に当否判定用乱数記憶領域5131に記憶される乱数が処理領域5132に移され、第2特別図柄当否判定手段914によって大当たりに当選したか否かが判定される。
第2特別図柄当否判定手段914による当否判定は、確変機能が作動しない通常遊技状態または時短遊技状態であれば、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された乱数値と第2通常特図判定テーブル907とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。一方、確変機能が作動する特別遊技状態であれば、第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された乱数値と第2確変特図判定テーブル909とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。
なお、本実施形態では、第1通常特図判定テーブル906に記憶されている大当たり乱数は、第2通常特図判定テーブル907に記憶されている大当たり乱数と同じである。より具体的には、第1通常特図判定テーブル906および第2通常特図判定テーブル907では、所定の乱数幅(例えば、0〜640)で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち、2つ(例えば、0及び1)が大当たり乱数に対応するようにすればよい。この場合、通常遊技状態または時短遊技状態での大当たり確率は、おおよそ320.5分の1となる。
同様に、第1確変特図判定テーブル908に記憶されている大当たり乱数は、第2確変特図判定テーブル909に記憶されている大当たり乱数と同じである。より具体的には、第1確変特図判定テーブル908および第2確変特図判定テーブル909では、所定の乱数幅(例えば、0〜640)で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち、13つ(例えば、0〜12)が大当たり乱数に対応するようにすればよい。この場合、特別遊技状態での大当たり確率は、おおよそ49.3分の1となる。
なお、大当たり遊技が実行されているとき、たとえ第1始動口602に遊技球が入賞しても当否判定は行われずに、取得した当否判定用乱数が当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されると共に第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値がカウントアップされる。また、第1通常特図判定テーブル906、第2通常特図判定テーブル907、第1確変特図判定テーブル908および第2確変特図判定テーブル909は、いずれもROM712(図84参照)に記憶されている。
このように、第1特別図柄当否判定手段904による当たり判定と第2特別図柄当否判定手段914による当たり判定とでは、異なるテーブルが用いられる。このように、各始動口602,604のうちいずれの始動口に入賞するかで抽選処理を異ならせることによって、遊技内容のバリエーションを増やすことが可能となり、興趣の低下を抑制できる。
また、この場合、第1特別図柄抽選手段900による抽選における当選確率と、第2特別図柄抽選手段910による抽選における当選確率と、が異なるようにしても良い。さらに、第1特別図柄抽選手段900による抽選において当選した場合の大当たり遊技態様と、第2特別図柄抽選手段910による抽選において当選した場合の大当たり遊技態様と、が異なる態様(例えば遊技者に付与される利益が異なる態様等)としても良い。もちろん、第1特別図柄当否判定手段904および第2特別図柄当否判定手段914による当否判定に用いられるテーブルを、同一の共通テーブルとしてもよい。
なお、当否判定用乱数記憶領域5131は、特別図柄抽選手段毎の抽選順序(即ち第1特別図柄抽選手段900による抽選順序および第2特別図柄抽選手段910による抽選順序)を、それぞれ記憶しているものの、両者を併合した抽選順序は記憶していない。すなわち、第1始動口602への入賞に基づく抽選(いわゆる、第1特別図柄の保留球)と、第2始動口604への入賞に基づく抽選(いわゆる、第2特別図柄の保留球)との両方が存在する場合に、どのような順序で抽選結果の導出を行なうか(言い換えれば、保留球の消化を行なうか)は、保留順記憶手段940によって設定される。従って、保留順記憶手段940によって設定された順序に基づいて、第1特別図柄抽選手段900(詳細には第1特別図柄当否判定手段904)または第2特別図柄抽選手段910(詳細には第2特別図柄当否判定手段914)によって、取得された乱数の当否判定が一つずつ行われることとなる(一つの乱数ずつ当否判定を行う)。
本実施形態では、保留順記憶手段940は、第1始動口602への入賞に基づく抽選(第1特別図柄の始動記憶)と、第2始動口604への入賞に基づく抽選(第2特別図柄の始動記憶)との両方が存在する場合は、第2特別図柄抽選手段910(詳細には第2特別図柄当否判定手段914)による当否判定を第1特別図柄抽選手段900(詳細には第1特別図柄当否判定手段904)による当否判定よりも優先して行なうように抽選順序を設定する。そのため、第2特別図柄の始動記憶は、第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出(いわゆる、保留の消化)がなされるように制御されるが、詳細は後述する。
ところで、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による当否判定の結果が大当たりと判定されると、図示しない図柄乱数取得手段によって、0〜99の乱数幅で発生する図柄乱数のうち一つの乱数が取得される。そして、この取得された乱数値が、0〜67であれば特別大当たりと判定され、68〜99であれば通常大当たりと判定される。この場合、大当たりを契機として、通常遊技状態または時短遊技状態から特別遊技状態に移行する確率(いわゆる、確変突入率)と、特別遊技状態が継続する確率(いわゆる、確変継続率)とは、ともにおおよそ3分の2(68%)となる。
当該判定された大当たりの種類が特別大当たりである場合には、長開放大当たり遊技実行手段715aによって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115の表示面に表示される状況のもとで、開閉装置500を開閉動作させる長開放大当たり遊技(遊技者に対する多量の遊技球の払い出しが促される大当たり遊技)が実行される。
一方、当該判定された大当たりの種類が通常大当たりである場合には、その通常大当たりが第1特別図柄(すなわち、第1始動口602への入賞)によるものか、あるいは、第2特別図柄(すなわち、第2始動口604への入賞)によるものか、によって大当たり遊技の態様が異なる。詳細には、通常大当たりは、第1特別図柄による通常大当たりである短開放通常大当たりと、第2特別図柄による通常大当たりである長開放通常大当たりと、により構成されており、短開放通常大当たりと長開放通常大当たりのいずれであるかによって遊技者に付与される利益が異なっている。
まず、当該判定された大当たりの種類が短開放通常大当たりである場合には、短開放大当たり遊技実行手段715bによって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115の表示面に表示されない状況のもとで、開閉装置500を開閉動作させる後述の短開放大当たり遊技(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促されない大当たり遊技)が実行される。一方、当該判定された大当たりの種類が長開放通常大当たりである場合には、特別大当たりと同様にして、長開放大当たり遊技実行手段715aによって、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115の表示面に表示される状況のもとで、開閉装置500を開閉動作させる後述の長開放大当たり遊技(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促される大当たり遊技)が実行される。
なお、特別大当たりに当選した場合は、当該特別大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が、遊技状態制御手段934によって特別遊技状態に制御される。先述のように、この特別遊技状態では、確変機能及び時短機能が作動することによって、遊技者が大当たりに当選しやすく且つ持ち球を減らさずに遊技を行なうことができる。
一方、長開放通常大当たりに当選した場合は、当該長開放通常大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が、遊技状態制御手段934によって所定期間だけ時短遊技状態に制御される。また、特別遊技状態および時短遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合も、当該短開放通常大当たりに基づく短開放大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が、遊技状態制御手段934によって所定条件が成立するまで時短遊技状態に制御される。先述のように、この時短遊技状態では、所定条件が成立するまで時短機能が作動することによって、遊技者が所定期間だけ持ち球を減らさずに遊技を行なうことができる。
ただし、本実施形態では、長開放通常大当たりを契機とした時短遊技状態と、短開放通常大当たりを契機とした時短遊技状態とでは、時短機能の終了条件が異なる。より具体的には、長開放通常大当たりに当選した場合は、長開放大当たり遊技が終了したのちに特別図柄の変動回数が「50回」に至ると、所定条件が成立して時短機能が停止する。一方、特別遊技状態および時短遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合は、短開放大当たり遊技が終了したのちに特別図柄の変動回数が「100回」に至ると、所定条件が成立して時短機能が停止する。つまり、大当たりの種類によって付与される時短回数が異なるように制御される。
このように、本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選において通常大当たり(短開放通常大当たり)に当選した場合の大当たり遊技態様と、第2特別図柄抽選手段910による抽選において通常大当たり(長開放通常大当たり)に当選した場合の大当たり遊技態様とでは、大当たり遊技および時短機能の態様(すなわち、遊技者に付与される利益)が異なるように制御される。かかる構成により実現される各種作用・効果についても、詳細は後述する。
なお、第1特別図柄抽選手段900および第2特別図柄抽選手段910による当否判定は、上述のとおり、第1特別図柄保留カウンタ903または第2特別図柄保留カウンタ913による保留の解除条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態における当該解除条件は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動開始であるが、これに限られない。例えば、特別図柄当否判定用の乱数を取得した際に当否判定を行い、当該当否判定結果を、第1特別図柄または第2特別図柄の変動が開始されるまで記憶するようにしても良い。
ところで、本実施形態では、第1特別図柄保留カウンタ903および第2特別図柄保留カウンタ913における各々の保留数に応じて、後述する高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合の第1特別図柄および第2特別図柄の変動時間が異なるように制御される。例えば、高期待演出が行なわれない場合は、詳細は後述するが、時短機能が作動しない遊技状態(通常遊技状態)では、第1特別図柄保留カウンタ903の保留球数が多いほど第1特別図柄の変動時間が短くなるように制御される一方、第2特別図柄の変動時間は第2特別図柄保留カウンタ913の保留球数に拘らず一定である。この時短機能が作動しない通常遊技状態では、第2始動口604よりも第1始動口602の方が遊技球が入賞し易く、しかも、稀に第2始動口604に遊技球が入賞したとしても、第2始動記憶についての抽選が第1始動記憶よりも優先される。したがって、第1始動記憶が第2始動記憶よりも多い状態が殆どとなる。そこで、通常遊技状態に制御されているときは、第2特別図柄の変動時間を第2特別図柄保留カウンタ913の保留球数に拘らず一定の時間とすることで、ROM712に記憶されるデータ記憶量の削減を図ることができ、CPU711の制御負荷が徒に大きくなることを抑制できる。
また、時短機能が作動する遊技状態(特別遊技状態および時短遊技状態)では、第2特別図柄保留カウンタ913の保留球数が多いほど第2特別図柄の変動時間が短くなるように制御される一方、第1特別図柄の変動時間は第1特別図柄保留カウンタ903の保留球数に拘らず一定である。この時短機能が作動する遊技状態では、第2始動口604への遊技球の入賞が促進されることに加えて、第2始動記憶についての抽選が第1始動記憶に優先して行われるので、第1始動情報についての抽選が行われる頻度が少ない。そこで、第1特別図柄の変動時間を第1特別図柄保留カウンタ903の保留球数に拘らず一定の時間とすることで、ROM712に記憶されるデータ記憶量の削減を図ることができ、CPU711の制御負荷が徒に大きくなることを抑制できる。
第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果は、第1特別図柄表示制御手段702または第2特別図柄表示制御手段704によって、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示される。ただし、当該表示は、複数のLEDの点灯パターンによって表示されるため、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果を、遊技者が把握することは困難である。
また、第1特別図柄保留カウンタ903または第2特別図柄保留カウンタ913による保留数は、それぞれ、第1特別図柄保留表示制御手段930または第2特別図柄保留表示制御手段932によって、第1特別図柄保留表示器88または第2特別図柄保留表示器90に表示される。
大当たり遊技実行手段715は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果に基づいて、条件装置の作動を伴う大当たり遊技を実行する。より具体的には、大当たり遊技実行手段715は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が大当たりであれば、開閉動作制御手段938によって開閉装置開閉ソレノイド778を作動させて開閉装置500を開閉させる動作を行い、大当たり遊技を実行する。
なお、条件装置は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果が大当たりである場合にのみ作動するものであって、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動した場合にのみ可能となる。例えば、通常遊技状態から特別遊技状態への変更(移行)などは、条件装置が作動することが条件である。
なお、一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者に不利な遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動することの他、遊技状態変更抽選(一の遊技状態から当該一の遊技状態よりも遊技者により不利な遊技状態に変更するか否かの抽選)に当選すること、または、特別図柄の変動が一定回数行われること、の条件が成立した場合に行われる場合もある。従って、例えば特別遊技状態から通常遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動しない場合であっても、上述した他の条件が成立することによって行われる場合がある。ただし、本実施形態では、条件装置の作動を伴う短開放通常大当たりを契機として特別遊技状態から通常遊技状態(または時短遊技状態)に移行するように構成されている。
ところで、本実施形態では、大当たり遊技の種類として、開閉装置500の最大開放時間が相対的に長い(例えば30sec)長開放大当たり遊技と、開閉装置500の最大開放時間が相対的に短い(例えば0.6sec)短開放大当たり遊技と、がある。第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が、先述の特別大当たりまたは長開放通常大当たりであれば、大当たり遊技実行手段715としての長開放大当たり遊技実行手段715aが長開放大当たり遊技を実行する。一方、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914により判定された抽選結果が、先述の短開放通常大当たりであれば、大当たり遊技実行手段715としての短開放大当たり遊技実行手段715bが短開放大当たり遊技を実行する。
ここで、長開放大当たり遊技は、開閉装置500の開閉動作を、開閉動作制御手段938によって15ラウンド行う遊技である。短開放大当たり遊技は、開閉装置500の開閉動作を、開閉動作制御手段938によって2ラウンド行う遊技である。開閉装置500に遊技球が入賞すると、開閉装置カウントセンサ776によって入賞球数がカウントされる。そして、賞球としての所定数(例えば15球)の遊技球が、払出制御基板720によって球払出装置53から受け皿に払い出される。なお、短開放大当たり遊技は、上述のとおり、開閉装置500の最大開放時間が長開放大当たり遊技と比べて極めて短いラウンド動作が2回(2ラウンド)行われるのみであり、遊技球が入賞し難く(仮に入賞したとしても辛うじて1球または2球入賞するのみである)、賞球を得ることがほとんどできない。また、短開放大当たり遊技が実行されても、遊技者が気付かないことが多い。
なお、大当たり遊技の種別は、長開放大当たり遊技と短開放大当たり遊技とに限定されるものではなく、開閉装置500の最大開放時間がほぼ同じ(例えば30秒)であるが、最大開放回数が相対的に多い大当たり(例えば15ラウンド)と、最大開放回数が相対的に少ない大当たり(例えば2ラウンド)とであっても良い。また、最大開放回数がほぼ同じ(例えば15ラウンド)であるが、開閉装置500の最大開放時間が相対的に長い当たり(例えば30sec)と、開閉装置500の最大開放時間が相対的に短い当たり(例えば0.3sec)とであっても良い。
ここで、「ラウンド」とは大当たり遊技時における開閉装置500の開閉動作単位であって、開閉装置500が開放したのち、当該開放状態から閉鎖条件が成立して開閉装置500が閉鎖するまでが1ラウンドである。当該閉鎖条件は、開閉装置500が開放してから所定時間経過すること、または、開閉装置500に最大入賞数の遊技球が入賞すること、である。このいずれかの条件を満たしたときに、開閉装置500が閉鎖する。
また、本実施形態では、長開放大当たり遊技時における閉鎖条件と短開放遊技時における閉鎖条件とが異なっている。長開放大当たり遊技における閉鎖条件は、開閉装置500が開放してから30sec経過すること、または、9球の遊技球が入賞すること、である。一方、短開放大当たり遊技における閉鎖条件は、開閉装置500が開放してから0.6sec経過すること、または、3球の遊技球が入賞すること、である。
なお、開閉装置500の閉鎖条件はこれらに限られるものではない。ただし、長開放大当たり遊技時においては、開閉装置500が開放してから所定時間経過するまでに最大入賞数の遊技球が開閉装置500に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。一方、短開放大当たり遊技時においては、開閉装置500が開放中に辛うじて1球または2球の遊技球が開閉装置500に入賞可能である程度となるように、閉鎖条件が設定されることが好ましい。
このように、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果が大当たりであったとしても、長開放大当たり遊技が行なわれる場合と短開放大当たり遊技が行なわれる場合とで、遊技者に付与される利益が大きく異なる。即ち、当選した大当たりの種別が特別大当たりまたは長開放通常大当たりである場合には、開閉装置500に多量の遊技球が入賞しうる。一方、当選した大当たりの種別が短開放通常大当たりである場合には、開閉装置500に辛うじて1球または2球の遊技球が入賞しうる程度である。
次に、普通図柄抽選手段920による抽選について説明する。
普通図柄抽選手段920は、遊技球が通過ゲート612を通過してゲートセンサ760により検出されると、0〜250の乱数幅で発生する普通図柄当否判定用乱数のうち一つの乱数を、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得する。この取得した乱数は、当該取得した乱数を記憶する記憶領域および当該取得した乱数の数をカウンタ値として記憶する普通図柄保留カウンタを有する普通図柄保留手段923によって所定の上限値(例えば4個)まで保留される。そして、普通図柄保留手段923による保留が解除されると、取得された順に普通図柄当否判定手段924によって当否が判定される。
普通図柄当否判定手段924による当否判定は、時短機能が作動しない通常遊技状態であれば、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と通常普図判定テーブル926とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では246〜250が当たり乱数なので、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は4000msecであり、一対の可動片606は、開放時間180msの開閉動作を1回実行する(平時態様)。
一方、時短機能が作動する特別遊技状態または時短遊技状態であれば、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、普通図柄当否判定用乱数取得手段922によって取得された乱数値と開放延長普図判定テーブル927とに基づいて行われるように、遊技状態制御手段934によって制御される。本実施形態では1〜250が当たり乱数なので、普通図柄当否判定用乱数取得手段922により取得した乱数値がこれらの当たり乱数であるか否かが判定され、当たり乱数であれば、可動片開閉制御手段928によって一対の可動片606の開閉動作が実行される。なお、このとき、普通図柄の変動時間は1024msecであり、一対の可動片606は、開放時間1300msecの開閉動作を3回および開放時間856msecの開閉動作を2回実行する(促進態様)。
このように、特別遊技状態または時短遊技状態であるとき、通常遊技状態の場合と比べて、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が飛躍的に向上する。従って、時短機能が作動する特別遊技状態または時短遊技状態であると、遊技者が持ち球を減らさずに遊技を楽しむことができる。さらに、特別図柄の抽選機会が飛躍的に増加し、大当たり遊技が実行される期待感が高まり、興趣の低下が抑制される。
ここで、通常普図判定テーブル926および開放延長普図判定テーブル927は、いずれもROM712(図84参照)に記憶されている。
なお、本実施形態において、普通図柄当否判定手段924による当否判定は、通常遊技状態であっても当たりであると判定されて一対の可動片606の開閉動作が実行されうるが、これに代えて、通常遊技状態であるときは当たり確率がゼロとなるようにしても良い。即ち、一対の可動片606の開閉動作が行われるのは、特別遊技状態または時短遊技状態であるときのみとしても良い。
普通図柄当否判定手段924による判定結果は、普通図柄表示制御手段716によって普通図柄表示器82に表示される。また、普通図柄保留手段923による保留数は、普通図柄保留表示制御手段718によって普通図柄保留表示器92に表示される。
可動片開閉制御手段928は、普通図柄当否判定手段924によって判定された抽選結果が当たりであるときに、普通電動役物ソレノイド774を作動させて一対の可動片606を開閉動作させる。ただし、上述したとおり、特別遊技状態または時短遊技状態である場合と、通常遊技状態である場合とでは、一対の可動片606の開閉動作態様は異なっている(特別遊技状態または時短遊技状態である場合、第2始動口604への遊技球の入賞が通常遊技状態である場合よりも容易化される)。
なお、本実施形態では、一対の可動片606が閉鎖されているとき、第2始動口604への遊技球の入賞が不可能となっており、一対の可動片606が開閉動作することに伴って、第2始動口604への遊技球の入賞が、第1始動口602への遊技球の入賞よりも容易となる。ただし、一対の可動片606が閉鎖されているとき、第2始動口604への遊技球の入賞が不可能である態様に限られず、第2始動口604への遊技球の入賞が第1始動口602への遊技球への入賞よりも困難であれば良い。
コマンド送信手段946は、第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による抽選結果およびこの抽選結果に拘わる情報を周辺基板800に送信する。「抽選結果に拘わる情報」とは、演出表示装置115にて行われる装飾図柄の変動時間等が相当する。
なお、第1特別図柄当否判定手段904、第2特別図柄当否判定手段914および普通図柄当否判定手段924による当否判定結果には、必ずしもハズレが含まれている必要はない。
一方、周辺制御基板810は、図86に示すように、コマンド受信手段950と、演出抽選手段960と、演出制御手段962と、を備えている。
コマンド受信手段950は、主制御基板710から送信された第1特別図柄当否判定手段904または第2特別図柄当否判定手段914による判定結果および当該判定結果に拘わる情報を受信する部分である。
また、演出抽選手段960は、主制御基板710から送信されるコマンドに基づいて演出表示装置115に表示すべき演出態様や、スピーカ144,341から出力される効果音、楽曲等の演出音、さらには各種ランプや発光装飾体1720における演出態様、等々を決定する部分である。
また、演出制御手段962は、演出抽選手段960により決定された演出態様が演出表示装置115に表示されるように、表示装置制御基板816に情報を送信する部分である。また併せて、演出音および表示等が、スピーカ144,341および枠装飾ランプ842において出力されるように枠装飾中継端子板240を介して制御する。さらには、第1装飾制御基板746および第2装飾制御基板748を介して発光装飾体1720における発光や駆動なども制御する。
[突入電流に対する保護回路について]
ところで上述の通り、この実施の形態では、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99(遊技演出ユニット4やそれに付随する各種の制御基板など)が収納されるだけで、該遊技演出制御ユニット99側のユニット側主ドロワコネクタ2000aと本体枠3側の枠側主ドロワコネクタ2000bとが電気的に接続される構造となっている。ただし、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが簡単に接続されるこのような構造では、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続されてしまう事態も想定される。
すなわち、パチンコ機では通常、この実施の形態にかかるパチンコ機1も含めて、周辺基板や各種のセンサに対して上記主制御基板710は電源ラインの上流側に設けられており、当該主制御基板からその他の電気部品に電源が供給される構造となっている。また、パチンコ機では、演出表示にかかる制御を行うMPUや、モータなどのアクチュエータ、などといった各種の電気部品が搭載されるが、それら電気部品はその種類などによって要求される電源供給にかかる電圧値が異なっていることから、電源ラインの上流側に設けられる上記主制御基板710に対しては比較的大きな、例えば「+34V」、「+18V」、「+9V」といった複数種類の電源ラインが上記主ドロワコネクタ2000を介して供給される構造となっている。したがって、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続されてしまうようなことがあると、当該主ドロワコネクタ2000における上記ターミナル2001aとコンタクト2001bとの接点に大電流(後述する突入電流)が流れることによってそれらが溶着しかねず、上記主制御基板710、及びこの主制御基板710よりも下流側の電気部品などの電源供給にかかる信頼性が著しく低下してしまう。
この点、この実施の形態では、図87の活線故障防止回路を示す回路図に示されるように、主制御基板710以下の各種の電気部品をこのような突入電流から保護する活線故障防止回路2100を当該主制御基板710内に設けるようにしている。すなわち、主制御基板710では、いずれも図示を割愛するが、上記CPU711の作動電圧である「5V」を生成する定電圧化回路や、電源ラインにおける電圧降下の監視を通じて停電か否かの判断を行う停電監視回路などの内部回路に対し、この活線故障防止回路2100を介して電源の供給を行うことで、上記CPU711を含めた内部回路を上述の突入電流から保護するようにしている。また、主制御基板710よりも下流側の電気部品に対しては、この活線故障防止回路2100を介して当該主制御基板710からの電源の供給を行うようにしている。
以下、このような活線故障防止回路2100について、図87を参照して説明する。上述の通り、この実施の形態にかかる主制御基板710にあって、3種類の直流電源「+34V」、「+18V」、「+9V」はまず、同図87に示されるように、上記活線故障防止回路2100に入力される。これに対し、上記活線故障防止回路2100では、「+34V」用の活線故障防止回路2100a、及び「+18V」用の活線故障防止回路2100b、及び「+9V」用の活線故障防止回路2100cを備えて構成されている。ただしこのうち、「+18V」用の活線故障防止回路2100bにあって、直流電源「+18V」として入力される電圧はまず、抵抗R100及び電解コンデンサC100からなるCRフィルタによりそのリップル成分(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。そして、こうして平滑化された「+18V」の電圧が、「+34V」用の活線故障防止回路2100a、及び「+18V」用の活線故障防止回路2100b、及び「+9V」用の活線故障防止回路2100c内にそれぞれ設けられた後述のリレースイッチ回路RL1〜RL3におけるオン/オフ制御に供されるようになっている。
以下、これら3種類の活線故障防止回路2100の別にそれらの構成を説明する。
<「+34V」用の活線故障防止回路>
「+34V」用の活線故障防止回路2100aは、リレースイッチ回路RL1(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH1(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC101、コンデンサC102を備えて構成されている。リレースイッチ回路RL1は、コイル、鉄片、スイッチ等を内蔵しており、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(オンし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された「+18V」が電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがオンする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH1と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板720からの+34Vが電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC101と電気的に接続されている。この電解コンデンサC101により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC102により、ノイズが除去される。
ここで、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99(遊技演出ユニット4やそれに付随する各種の制御基板など)を収納するときには、上記主制御基板710内の電解コンデンサC101はすでに放電された状態となっている。このような構成によれば、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続されたとしても、上述の突入電流は上記サーミスタTH1で軽減されるとともに上記電解コンデンサC101で充電される。これにより、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aの+34V電圧供給ラインと、上記枠側主ドロワコネクタ2000bの+34V電圧供給ラインとの上記突入電流による溶着が抑制されるようになり、上記主制御基板710、及びこの主制御基板710よりも下流側の電気部品などの電源供給にかかる信頼性が好適に維持されるようになる。
しかも、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと上記枠側主ドロワコネクタ2000bとが適正に接続されている状態では、上記リレースイッチ回路RL1におけるスイッチがオンされて上記サーミスタTH1を回避するように電流が通る回路構造とされていることから、+34V電圧供給ラインの上記突入電流による溶着を抑制しつつも、通常使用時の電力消費量を好適に抑制することができるようになる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH1の特性は、初期抵抗値5オーム(Ω)、最大容量電流4A、残留抵抗値0.35Ωであり、サーミスタTH1に電流が流れると、サーミスタTH1の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレースイッチ回路RL1が動作しない場合であっても、サーミスタTH1に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH1自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH1の損傷を防止することができる。
ちなみに、突入電流からの保護抵抗として、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がある。一方、突入電流からの保護抵抗として、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH1を用いた場合には、サーミスタTH1に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH1自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH1の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH1の発熱に対して主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレースイッチ回路RL1の特性は、オン電圧13.5V、オフ電圧0.9Vであり、リレースイッチ回路RL1に内蔵するスイッチのオン/オフ時間は、上述した、抵抗R100と、コンデンサC100と、の時定数から予め設定されており、リレースイッチ回路RL1のスイッチがオンする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH1に比べて抵抗値が極めて小さいリレースイッチ回路RL1のスイッチに流れるようになる。
<「+18V」用の活線故障防止回路>
「+18V」用の活線故障防止回路2100bは、リレースイッチ回路RL2(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH2(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC103、コンデンサC104を備えて構成されている。リレースイッチ回路RL2は、リレースイッチ回路RL1と同一の構成であり、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(オンし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された「+18V」が電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがオンする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH2と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板720からの「+18V」が電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC103と電気的に接続されている。この電解コンデンサC103により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC104により、ノイズが除去される。
ここで、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99(遊技演出ユニット4やそれに付随する各種の制御基板など)を収納するときには、上記主制御基板710内の電解コンデンサC103はすでに放電された状態となっている。このような構成によれば、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続されたとしても、上述の突入電流は上記サーミスタTH2で軽減されるとともに上記電解コンデンサC103で充電される。これにより、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aの+18V電圧供給ラインと、上記枠側主ドロワコネクタ2000bの+18V電圧供給ラインとの上記突入電流による溶着が抑制されるようになり、上記主制御基板710、及びこの主制御基板710よりも下流側の電気部品などの電源供給にかかる信頼性が好適に維持されるようになる。
しかも、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと上記枠側主ドロワコネクタ2000bとが適正に接続されている状態では、上記リレースイッチ回路RL2におけるスイッチがオンされて上記サーミスタTH2を回避するように電流が通る回路構造とされていることから、+18V電圧供給ラインの上記突入電流による溶着を抑制しつつも、通常使用時の電力消費量を好適に抑制することができるようになる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH2の特性は、上述したサーミスタTH1の特性と同一であり、サーミスタTH2に電流が流れると、サーミスタTH2の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレースイッチ回路RL2が動作しない場合であっても、サーミスタTH2に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH2自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH2の損傷を防止することができる。
ちなみに、突入電流からの保護抵抗として、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がある。一方、突入電流からの保護抵抗として、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH2を用いた場合には、サーミスタTH2に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH2自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH2の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH2の発熱に対して主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレースイッチ回路RL2の特性は、上述したリレースイッチ回路RL1の特性と同一であり、リレースイッチ回路RL2のスイッチがオンする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH2に比べて抵抗値が極めて小さいリレースイッチ回路RL2のスイッチに流れるようになる。
<「+9V」用の活線故障防止回路>
「+9V」用の活線故障防止回路2100cは、リレースイッチ回路RL3(本実施形態では、富士通高見澤製:JV−18S−KT)、サーミスタTH3(本実施形態では、石塚電子製:5D2−11LC)、電解コンデンサC1、コンデンサC2を備えて構成されている。リレースイッチ回路RL3は、リレースイッチ回路RL1,RL2と同一の構成であり、コイル側入力ピン間に電圧を印加してコイルに電流を流すと、鉄片が可動してスイッチが入り(ONし)、スイッチ側入力ピン間の回路を接続するようになっている。コイル側入力ピンとしての1番ピンはグランドと接地されており、コイル側入力ピンとしての4番ピンは、上述した平滑化された「+18V」が電気的に接続されている。これによりコイルに電流が流れてスイッチがONする。スイッチ側入力ピンとしての2番ピン及び3番ピンは、サーミスタTH3と電気的に並列接続されており、この並列接続された一方は、払出制御基板720からの「+9V」が電気的に接続されており、その他方は、グランドと接地された電解コンデンサC1と電気的に接続されている。この電解コンデンサC1により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC2により、ノイズが除去される。
ここで、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99(遊技演出ユニット4やそれに付随する各種の制御基板など)を収納するときには、上記主制御基板710内の電解コンデンサC1はすでに放電された状態となっている。このような構成によれば、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続されたとしても、上述の突入電流は上記サーミスタTH3で軽減されるとともに上記電解コンデンサC1で充電される。これにより、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aの+9V電圧供給ラインと、上記枠側主ドロワコネクタ2000bの+9V電圧供給ラインとの上記突入電流による溶着が抑制されるようになり、上記主制御基板710、及びこの主制御基板710よりも下流側の電気部品などの電源供給にかかる信頼性が好適に維持されるようになる。
しかも、上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと上記枠側主ドロワコネクタ2000bとが適正に接続されている状態では、上記リレースイッチ回路RL2におけるスイッチがオンされて上記サーミスタTH2を回避するように電流が通る回路構造とされていることから、+9V電圧供給ラインの上記突入電流による溶着を抑制しつつも、通常使用時の電力消費量を好適に抑制することができるようになる。なお、本実施形態におけるサーミスタTH3の特性は、上述したサーミスタTH1,TH2の特性と同一であり、サーミスタTH3に電流が流れると、サーミスタTH3の発熱にともないその抵抗値が変化する。これにより、例えばリレースイッチ回路RL3が動作しない場合であっても、サーミスタTH3に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH3自身の発熱が抑制されるため、サーミスタTH3の損傷を防止することができる。
ちなみに、突入電流からの保護抵抗として、例えばセメント抵抗のように、抵抗値が変化しない固定抵抗を用いた場合には、発熱に耐えうるようなハイパワーの大型タイプのものを用いる必要がある。このため、固定抵抗の近傍には、熱の影響を受けて誤動作する電子部品を配置することが困難であり、主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がある。一方、突入電流からの保護抵抗として、温度によって抵抗値が変化するサーミスタTH2を用いた場合には、サーミスタTH3に突入電流が流れると、その抵抗値が下がってサーミスタTH3自身の発熱が抑制される。このため、サーミスタTH3の近傍には、電子部品を配置することができ、サーミスタTH3の発熱に対して主制御基板710の基板サイズを大きくする必要がない。なお、本実施形態におけるリレースイッチ回路RL3の特性は、上述したリレースイッチ回路RL1,RL2の特性と同一であり、リレースイッチ回路RL3のスイッチがオンする頃には、突入電流がすでに下がった状態となっており、サーミスタTH3に比べて抵抗値が極めて小さいリレースイッチ回路RL3のスイッチに流れるようになる。
なお、上記実施の形態では、上記本体枠3の遊技演出ユニット設置凹部30に上記遊技演出制御ユニット99が収納されるだけで、ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが電気的に接続されて、上記主制御基板710以下の電気部品に電源が供給される構造が採用された背景の下で、主制御基板710に活線故障防止回路2100を備えるようにした。すなわちこの場合、電源スイッチが入れられたままの状態で上記ユニット側主ドロワコネクタ2000aと枠側主ドロワコネクタ2000bとが誤って接続される直下の電源ライン上に上記活線故障防止回路2100が設けられることから、上記主制御基板710以下の電気部品の電源供給にかかる信頼度を適切に確保することができるようになる。ただし、上記突入電流からの保護といった意味では、上記実施の形態の場合よりも劣るものの、主制御基板710よりも上流側に設けられる基板(払出制御基板720)や、主制御基板710よりも下流側に設けられる基板の電源ライン上に活線故障防止回路2100を備えるようにすることもできる。
また、上記実施の形態では、突入電流からの保護用抵抗としてサーミスタTH1,TH2,TH3を用いたが、適宜の抵抗を用いてもよい。すなわちこの場合、電解コンデンサC1,C101,C103は、抵抗とリレーRL1,RL2,RL3と電気的に直列接続されているが、突入電流が流れるときには抵抗を介して電解コンデンサC1,C101,C103に流れる。このため、突入電流を抵抗で熱に変換することで電解コンデンサC1,C101,C103に流れ込む突入電流を低減することができる。一方、突入電流が流れたのちには、リレーRL1,RL2,RL3で抵抗を介さずに電解コンデンサC1,C101,C103に電流を流す。これにより、抵抗の破壊を防止することができる。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主基板700で実行される種々の制御処理について、図88〜図111を参照して説明する。
[メインシステム処理について]
まず、図88に基づいて説明する。図88は、主基板の主制御基板に搭載されるCPUが実行するメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
図88に示すように、パチンコ機1へ電源が供給されると、CPU711(図84参照)は、電源投入時処理を実行する(ステップS10)。この電源投入時処理では、まず、RAM713(図84参照)に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判別する。即ち、この実施の形態のRAM713(データメモリ)は、電力の常時供給によって各種の制御データがバックアップされるバックアップ領域を有している。そして、パチンコ機1は、電力供給の停止に際しては、上記RAM713の処理領域に記憶されている各種の制御データを上記バックアップ領域に一時退避させる処理を行うとともに、電源復帰時にこの一時退避されたデータを当該RAM713の処理領域に読み出すことで、電源遮断時から継続性のある遊技を実行可能としている。
したがって、この電源投入時処理(ステップS10)では、バックアップデータ(バックアップ領域内のデータ)が正常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータに従って電力供給の停止時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であれば、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。そしてその後、RAM713の処理領域には、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。また、製品化されてから最初の電源投入時も、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる。
なお、電源投入時処理において書き込まれた現在の遊技状態は、周辺制御基板810にコマンド送信され、これに基づいて演出表示装置115の表示が制御される。このように、停電時における現在の遊技状態を主制御基板710のRAM713に記憶し、現在の遊技状態を復電後に周辺制御基板810に送信することで、停電した場合であっても、内部的な遊技状態と演出表示装置115に表示される遊技状態とを一致させることができる(周辺制御基板810では停電時の遊技状態が記憶されない)。ところで、本実施形態の遊技機では、演出表示装置115の装飾図柄1153および特別図柄対応図柄の変動を特別図柄の変動に同調させるために、特別図柄の変動を開始するタイミングで、後述する変動パターンについての情報をコマンド送信している。そして、当該コマンドを送信した直後に、現在の遊技情報についてのコマンドを、その都度、主制御基板710から周辺制御基板810に送信している。これにより、周辺制御基板810でも、現在の遊技状態を常に把握できるようになっている。
ただし、この電源投入時処理(ステップS10)では、RAM713に記憶されているバックアップデータの消去を指示するRAM消去スイッチがオンであるか否かの判断も行われる。即ち、このRAM消去スイッチがオンであったときも、RAM713に記憶されているバックアップデータは消去される。また併せて、RAM713の処理領域には、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。
また、電源投入時処理(ステップS10)では、このような初期化処理を実行したときに主制御基板710(図84参照)が起動したことを示す電源投入コマンドを、周辺制御基板810(図85参照)に送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板710が起動したことを周辺制御基板810に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM713にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理(ステップS10)が終了すると、CPU711は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU711は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判断する(ステップS20)。なお、この実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板395によって生成される。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に電源を供給している。そして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板710に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS20で主制御基板710に搭載されるCPU511により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS40)。
この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(本実施形態では24V)が復旧(以下「復電」と称する)した場合に、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM713のバックアップ領域にデータを一時退避させる処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS20で停電予告信号が検知されていない場合(ステップS20におけるNO)、即ち、外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる乱数を更新する非当落乱数更新処理を行う(ステップS30)。なお、非当落乱数更新処理にて更新される乱数については後述する。
[電源断発生処理について]
図89は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理(ステップS40)は、メインシステム処理において、停電予告信号が検出された時に(ステップS20におけるYES)実行される処理である。CPU711は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS42)。そして、RAM713の処理領域におけるチェックサムを算出し、この算出結果と各種の遊技データをRAM713のバックアップ領域に記憶する(ステップS44)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM713の内容が適正に保持されているか否かをチェックするために使用される。
次いで、CPU711は、RAM713の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS46)。以上の処理を終えると、CPU711は、RAM713へのアクセスを禁止し(ステップS48)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。ところで、この処理では、ごく短時間の停電等(以下「瞬停」と称する)により電源電圧が不安定になって電源断発生時処理が開始されてしまうと、実際には電源電圧は停止されないため、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU711には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入ると、更新が行われなくなる。その結果、瞬停によって電源断発生時処理に入り、図89の無限ループに入った場合でも所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU711が起動することになる。
なお、RAM713のバックアップ領域に代えて、書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えるようにしてもよい。この場合、データをバックアップさせるために常時の電力供給を必要としない、といったメリットがある。
若しくは、上記RAM713の全領域を、電力の常時供給によってデータがバックアップされるバックアップ領域としてもよい。この場合、電源遮断時において、RAM713の特定領域に記憶されているデータをその他の領域に退避させる必要がなくなる。また、電源復帰時にも、退避データを処理領域に読み出す必要がなくなるため、これらの処理に要する負荷が軽減されるようになる。
[タイマ割込処理について]
図90は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、メインシステム処理の実行中に主基板700の主制御基板710に搭載されるCPU711により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU711は、レジスタの待機処理を実行した後(ステップS50)、ステップS60からステップS270の処理を実行する。
ステップS60のセンサ監視処理では、上述した各種のセンサ(ゲートセンサ760、第1始動口センサ780、第2始動口センサ782、開閉装置カウントセンサ776等)の検出信号を監視する処理を実行する。
ステップS70の当落乱数更新処理では、遊技で用いられる乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施形態では、当落乱数更新処理にて更新される乱数と、上述した非当落乱数更新処理にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、当落乱数更新処理にて更新される乱数を非当落乱数更新処理でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS80の払出制御処理では、センサ監視処理(ステップS60)にて検出された信号に基づいて払出制御基板720に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。
ステップS90の普通図柄・普通電動役物制御処理では、センサ監視処理処理(ステップS60)にてゲートセンサ760から検出された信号に基づいて普通図柄表示器82に関わる制御処理を実行するとともに、一対の可動片606の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS100の特別図柄・特別電動役物制御処理では、特別図柄の変動開始から当たり遊技の開始までの一連の処理を実行するとともに、特別電動役物としての開閉装置500の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS260の出力データ設定処理では、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)等において定まる情報に基づいて、主制御基板710から周辺制御基板810に送信するコマンドを生成する処理を実行する。
ステップS270のコマンド送信処理では、出力データ設定処理(ステップS260)において設定されたコマンドを周辺制御基板810に送信する処理が行われる。ステップS60からステップS270の処理を実行すると、レジスタ復帰処理(ステップS280)を実行して、タイマ割込処理を終了する。
ここで、上述した非当落乱数更新処理(ステップS30)および当落乱数更新処理(ステップS70)においてCPU711により更新される各種乱数について説明する。
本実施形態において、遊技にて用いられる各種乱数として、当否判定用乱数、図柄乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン用乱数および普通図柄当否判定用乱数等がある。
当否判定用乱数は、大当たり遊技を発生させるか否かの判定に用いられる当否判定用乱数である。図柄乱数は、大当たり遊技を発生させると判定されたときに、大当たりの種別(特別大当たり、長開放通常大当たりおよび短開放通常大当たり)の判定に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、当否判定にて大当たりに当選せずに(即ちハズレ)、リーチ演出などの高期待演出を行うか否かの判定に用いられる乱数である。変動パターン用乱数は、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86に表示する特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数である。普通図柄当否判定用乱数は、一対の可動片606を開放状態に制御するか否かの判定に用いられる乱数である。
なお、演出表示装置115にて表示制御される装飾図柄の変動パターンは、変動パターン用乱数により決定しても良く、周辺基板800の周辺制御基板810に搭載されるCPU811または表示装置制御基板816に搭載されるCPU832(いずれも図85参照)により決定するようにしてもよい。また、変動パターン用乱数は必須ではなく、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動パターンを決定するようにしても良い。
これらの乱数のうち、当落乱数更新処理では、大当たり遊技の発生に関わる当否判定用乱数、図柄乱数、および、遊技球を受け入れやすい開放状態に一対の可動片606を制御するか否かに関わる普通図柄当否判定用乱数の更新を行う。ここで、大当たり遊技の発生および一対の可動片606を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は一定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当たり遊技を発生させると判定される確率、一対の可動片606を開放状態に制御すると判定される確率)を一定にする(即ち狙い打ち等により確率に偏りが発生することを防止する)ことができ、遊技者が不利な状態となることを防止できる。
一方、非当落乱数更新処理では、当たり遊技の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定用乱数、並びに、変動パターン用乱数の更新を行う。なお、主制御基板710で更新される乱数は、上記したものに限られず、非当落乱数更新処理では、当否判定用乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる当否判定用乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
なお、本実施例においては、当否判定用乱数を取得するための手段として、第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902および第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912の2つの手段を設けているが、これを一つのみ設けた構成としてもよい。
[特別図柄・特別電動役物制御処理について]
次に、図91に基づいて特別図柄・特別電動役物制御処理について説明する。図91は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。
この特別図柄・特別電動役物制御処理では、まず、第1・第2始動口入賞処理(ステップS110)を行う。具体的には後述するが、第1始動口602または第2始動口604に遊技球が受け入れられたか否か判別し、これに基づいて一連の処理を行う。第1・第2始動口入賞処理(ステップS110)を行うと、次に、処理フラグを確認し(ステップS120〜ステップS230)、処理フラグに対応する処理を行う。
第1・第2始動口入賞処理(ステップS110)を終えると、先ず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS120)、処理フラグが0であれば(ステップS120におけるYES)変動開始処理(ステップS130)を実行する。変動開始処理(ステップS130)では、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが、大当たり遊技を開始させるか否かの判断を行い、処理フラグを「1」に更新する。一方、ステップS120において処理フラグが0でなければ(ステップS120におけるNO)ステップS140に進む。
ステップS140に進むと、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS140)。処理フラグが1であれば(ステップS140におけるYES)、変動パターン設定処理(ステップS150)を実行する。この変動パターン設定処理では、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示される特別図柄および演出表示装置115に表示される装飾図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンに対応して設定される変動時間(第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86のいずれかにおいて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新する。一方、ステップS140において処理フラグが1でなければ(ステップS140におけるNO)、ステップS170に進む。
ステップS170に進むと、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS170)。処理フラグが2であれば(ステップS170におけるYES)、変動中処理(ステップS180)を実行する。この変動中処理では、変動パターン設定処理(ステップS150)で設定された変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことに基づいて第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86における特別図柄の変動表示を停止させる。このとき、変動開始処理(ステップS130)にて大当たりとする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当たりとする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。一方、ステップS170において処理フラグが2でなければ(ステップS170におけるNO)、ステップS190に進む。
ステップS190に進むと、処理フラグが3であるかどうか判断する(ステップS190)。処理フラグが3であれば(ステップS190におけるYES)、大当たり遊技開始処理(ステップS200)を実行する。この大当たり遊技開始処理では、大当たり種別を判断し、その大当たり種別に応じて開閉装置500の開閉動作を制御するためのラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数をセットし、処理フラグを「4」に更新する。一方、ステップS190において処理フラグが3でなければ(ステップS190におけるNO)、ステップS230に進む。
ステップS230に進むと、処理フラグが4であるかどうか判断する(ステップS230)。処理フラグが4であれば(ステップS230におけるYES)、特別電動役物大当たり制御処理(ステップS240)を実行する。この特別電動役物大当たり制御処理では、大当たり遊技開始処理(ステップS200)においてセットしたラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数に基づいて開閉装置500の開閉動作を制御し、大当たり遊技が終了する場合には、確変機能および時短機能を作動させるか否か判断させるとともに処理フラグを「0」に更新する処理を行う。
ステップS130からステップS240の各種処理のいずれかを実行すると特別図柄・特別電動役物制御処理を終了する。
[第1・第2始動口入賞処理について]
次に、第1・第2始動口入賞処理について、図92に基づいて説明する。図92は、第1・第2始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
第1・第2始動口入賞処理では、CPU711は、先ず、第2始動口604に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1101)。具体的には、第2始動口センサ782による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第2始動口センサ782による遊技球の検知があれば、第2始動口604に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1101におけるYES)。第2始動口センサ782による遊技球の検知がなければ、第2始動口604に遊技球が入賞していない(ステップS1101におけるNO)と判断する。
ステップS1102において第2始動口604に遊技球が入賞したと判断したときには、各種データ(第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得する。そして、第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1102)。
ステップS1101において第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限の4未満であると判断すると(ステップS1102におけるYES)、CPU711は、第2保留記憶処理を行い(ステップS1103)、その後、ステップS1104に進む。第2保留記憶処理は、第2始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶すると共に、第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値に1を加算する処理である。なお、当否判定用乱数記憶領域5131は、当否判定用乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域および特別図柄種別記憶領域を有しており、第2始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、それぞれの記憶領域に記憶される。
CPU711が、ステップS1101において第2始動口604に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1101におけるNO)、および、ステップS1102において第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1102におけるNO)は、いずれもステップS1104に進む。
ステップS1104では、CPU711は、第1始動口602に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1104)。具体的には、第1始動口センサ780による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第1始動口センサ780によって遊技球が検知された場合には第1始動口602に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1104におけるYES)。第1始動口センサ780による遊技球の検知がなければ、第1始動口602に遊技球が入賞していない(ステップS1104におけるNO)と判断する。
ステップS1104において第1始動口602に遊技球が入賞したと判断したときには、各種乱数(第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって取得された当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を取得し、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1105)。
ステップS1104において第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限の4未満であると判別すると(ステップS1105におけるYES)、CPU711は、第1保留記憶処理を行い(ステップS1106)、第1・第2始動口入賞処理を終了する。第1保留記憶処理は、第1始動口602に遊技球が入賞したことによって取得した各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)を当否判定用乱数記憶領域5131に記憶すると共に、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値に1を加算する処理である。なお、第2始動口604に遊技球が入賞したことによって取得した各種データと同様に、第1始動口602に遊技球が入賞したことによって取得した各種データは、当否判定用乱数記憶領域5131におけるそれぞれの記憶領域に記憶される。
CPU711が、ステップS1104において第1始動口602に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1104におけるNO)、および、ステップS1105において第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1105におけるNO)は、いずれも第1・第2始動口入賞処理を終了する。
なお、ステップS1102において、第2始動口604に遊技球が入賞したときに第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1101で取得した各種データを破棄する。同様に、ステップS1105において、第1始動口602に遊技球が入賞したときに第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値であるとき、ステップS1104で取得した各種データを破棄する。
なお、第2始動口604に遊技球が入賞したと判断したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1101で行う必要はなく、ステップS1101〜ステップS1103の間で行えばよい。例えば、ステップS1101で各種データを取得せずに、ステップS1102で第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値が上限値未満であることを判定した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1103の第2保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
同様に、第1始動口602に遊技球が入賞したと判定したとき、各種データ(当否判定用乱数、図柄乱数、特別図柄種別)の取得は、必ずしもステップS1104で行う必要はなく、ステップS1104〜ステップS1106の間で行えばよい。例えば、ステップS1104で各種データを取得せずに、ステップS1105で第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値が上限値未満であることを判別した後に各種データを取得してもよいし、ステップS1106の第1保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、第2始動口604への入賞処理(ステップS1101〜ステップS1103)を実行したのちに、第1始動口602への入賞処理(ステップS1104〜1106)を実行している。ただし、これに代えて、第1始動口602への入賞処理を実行したのちに、第2始動口604への入賞処理を実行する態様であっても良い。
また、本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理および第2特別図柄抽選手段910による抽選処理のいずれが行われた場合であっても大当たりへの当選確率は同じであるが、これに限られない。例えば、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理が行われた場合の大当たり当選確率と、が異なるようにしても良い。
さらに、本実施形態では、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理にて大当たりのうちで特別大当たりに当選する割合と、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理にて大当たりのうちで特別大当たりに当選する割合とに差異はないが、これに限られない。例えば、第1特別図柄抽選手段900による抽選処理では、大当たりのうちで特別大当たりに当選する確率が相対的に高く設定される一方で、第2特別図柄抽選手段910による抽選処理では、大当たりのうちで特別大当たりに当選する確率が相対的に低く設定されるような場合が相当する。
[変動開始処理について]
次に、変動開始処理について図93に基づいて説明する。図93は、変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS130)では、CPU711は、先ず、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている乱数の数(始動記憶数)が0であるか否かを判断する(ステップS1301)。当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている始動記憶数が0であることは、第1特別図柄保留カウンタ903および第2特別図柄保留カウンタ913のいずれのカウンタ値も0であることを意味する。
始動記憶数が0でなければ(ステップS1301におけるNO)、当否判定用乱数記憶領域5131のシフト処理を行う(ステップS1302)。このシフト処理は、各始動口602,604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数の当否判定が行われる順序をシフトする処理である。即ち、原則として、特別図柄の当否判定は各始動口602,604に遊技球が入賞した順に行われるため、変動開始に伴って当該順序がシフトする。各始動口602,604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数のうち最も早く取得された乱数は、処理領域5132に移される。ただし、本実施形態では、第2始動口604への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数は、第1始動口602への遊技球の入賞に基づいて取得された乱数よりも後に取得されたとしても、第1始動口602への入賞に基づく乱数によりも優先的に処理領域5132に移される。なお、ステップS1301において始動記憶数が0であれば(ステップS1301におけるYES)、変動開始処理を終了する。
ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、CPU711は、処理領域5132に記憶されている種別(第1特別図柄であるか第2特別図柄であるか)を判別する(ステップS1303)。ここで、当該種別が第2特別図柄種別であれば(ステップS1303におけるYES)、第2特別図柄フラグをON状態にする(ステップS1303)と共に、第2特別図柄保留カウンタ913のカウンタ値を1減算して(ステップS1305)、ステップS1308に進む。一方、当該種別が第1特別図柄種別であれば(ステップS1303におけるNO)、第1特別図柄フラグをON状態にする(ステップS1306)と共に、第1特別図柄保留カウンタ903のカウンタ値を1減算して(ステップS1307)、ステップS1308に進む。
ステップS1308では、確変機能が作動している遊技状態(すなわち、特別遊技状態)であるか否かを判断する(ステップS1308)。ここで、確変機能が作動している遊技状態であれば(ステップS1308におけるYES)、第1確変特図判定テーブル908または第2確変特図判定テーブル909が選択される(ステップS1309)。具体的には、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1確変特図判定テーブル908が選択され、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2確変特図判定テーブル909が選択される。
一方、ステップS1308において確変機能が未作動であれば(ステップS1308におけるNO)、第1通常特図判定テーブル906または第2通常特図判定テーブル907が選択される(ステップS1310)。具体的には、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1通常特図判定テーブル906が選択され、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2通常特図判定テーブル907が選択される。
そして、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)。
なお、ステップS1311における大当たり判定は、第1特別図柄フラグがON状態であれば第1特別図柄当否判定手段904によって行われ、第2特別図柄フラグがON状態であれば第2特別図柄当否判定手段914によって行われる。
ステップS1311における当否判定にて大当たりであると判定されると(ステップS1311におけるYES)、取得した図柄乱数に基づいて大当たりの種別を判定する(ステップS1312)。その後、大当たりの種別に応じたフラグをON状態にする(ステップS1313)。具体的には、特別大当たりであれば特別大当たりフラグをON状態にし、長開放通常大当たりであれば長開放通常大当たりフラグをON状態にし、短開放通常大当たりであれば短開放通常大当たりフラグをON状態にする。その後、処理フラグを「1」に更新し(ステップS1316)、変動開始処理を終了する。
一方、ステップS1311における当否判定にて大当たりでないと判定すると(ステップS1311におけるNO)、ステップS1316に進み、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。
なお、本実施形態では、ステップS1302においてシフト処理を行ったのち、ステップS1309またはステップS1310において選択された判定テーブルと、処理領域5132に記憶されている当否判定用乱数と、に基づいて当否判定が行われる(ステップS1311)が、これに限られない。例えば、判定テーブルと、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数のうち最も早く記憶された乱数と、に基づいて当否判定を行い、その後、シフト処理を行っても良い。このとき、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶されている当否判定用乱数を参照できるのは、変動開始時のみである。
[変動パターン設定処理について]
次に、変動パターン設定処理について図94に基づいて説明する。図94は、変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。
変動パターン設定処理は、当否判定結果に応じて変動パターンを設定する処理である。この処理では、先ず、第1特別図柄フラグがONであるか否か判断する(ステップS1510)。即ち、今回の変動が第1始動口センサ780により遊技球が検出されたことに基づいて抽出された当否判定乱数に基づくものであるか否か判断する。第1特別図柄フラグがONであると判断すると(ステップS1510におけるYES)、第1特別図柄についての大当たりフラグがONであるか否かを判断する(ステップS1520)。即ち、今回の第1特別図柄の変動によって大当たりを導出するか否かを、ステップS1313において大当たりの種別に応じたフラグ(大当りフラグ)がON状態となっているか否かによって判断する。ここで、第1特別図柄の大当たりフラグがONであると(ステップS1520におけるYES)、第1特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1530)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1580)。一方、第1特別図柄の大当たりフラグがONでなければ(ステップS1520におけるNO)、第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1540)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1580)。
ステップS1510において第1特別図柄フラグがONでなければ(ステップS1510におけるNO)、第2特別図柄フラグがONであることになるから、今回の変動が第2始動口センサ782により遊技球が検出されたことに基づいて抽出された当否判定乱数に基づくものであると判断する。そして、第2特別図柄についての大当たりフラグがONであるか否かを判断する(ステップS1550)。即ち、今回の第2特別図柄の変動によって大当たりを導出するか否かを判断する。ここで、第2特別図柄の大当たりフラグがONであると(ステップS1550におけるYES)、第2特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1560)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1580)。一方、第1特別図柄の大当たりフラグがONでなければ(ステップS1550におけるNO)、第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1570)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1580)。
ステップS1580の変動パターン決定処理では、各変動パターンテーブル設定処理(ステップS1530,1540,1560,1570)にて設定された変動パターンテーブルに基づいて変動パターンが決定される。次いで、ステップS1580において変動パターンが決定されると、当該決定された変動パターンを選択値としてセットし(ステップS1590)、当該変動パターンに対応する変動時間値をタイマにセットする(ステップS1600)。その後、処理フラグを「2」に更新(ステップS1610)し、変動パターン設定処理を終了する。
なお、この変動パターン設定処理において設定された変動パターンに基づいて、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86としての複数のLEDの点灯パターンによって表示される。
[第1特別図柄の変動パターンテーブル設定処理の詳細について]
図95〜図101に基づいて、第1特別図柄の変動パターンテーブル設定処理の詳細について説明する。図95は、第1特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図96及び図97は、第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図98は、通常遊技状態における第1特別図柄のハズレ変動パターンを示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)を示す図である。図99は、通常遊技状態における第1特別図柄の当たり変動パターンを示す第1特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT1A)を示す図である。図100は、第1特別図柄の変動パターンに関する変動タイプを決定するための第1特別図柄・変動タイプ設定テーブルを示す図である。図101は、特定遊技状態における第1特別図柄の変動パターンを示す第1特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ1)を示す図である。
まず、図95を参照して、第1特別図柄の抽選結果が大当たり(特別大当たりまたは通常大当たり)であるときの当該第1特別図柄の変動パターンテーブル設定処理について説明する。
図95に示すように、第1特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理では、先ず、時短機能が未作動であるか否か、即ち、特定遊技状態が実行されているか否かを判断する(ステップS15301)。時短機能が未作動であると判断すると(ステップS15301におけるYES)、第1特別図柄についての大当たりの種別が特別大当たりであるか否かを判断する(ステップS15303)。具体的には、ステップS15303では、ステップS1313で設定された大当たりフラグが特別大当たりフラグであるか否かを判断する。そして、特別大当たりであると判断すると(ステップS15303におけるYES)、第1特別図柄・通常時特別大当たりテーブルを選択する(ステップS15305)。
具体的には、図99に示す第1特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT1A)のうちで、特別大当たりに当選した場合に選択され得る第1特別図柄・通常時特別大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて、テーブルT1AA〜T1AGのいずれかが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15305で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
一方、ステップS15303において大当たりの種別が特別大当たりでないと判断すると(ステップS15303におけるNO)、当該大当たりの種別は通常大当たり(詳細には、短開放通常大当たり)であるから、第1特別図柄・通常時通常大当たりテーブルを選択する(ステップS15307)。
具体的には、図99に示す第1特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT1A)のうちで、通常大当たりに当選した場合に選択され得る第1特別図柄・通常時通常大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・通常時通常大当たりテーブルが1つのみ(テーブルT1AH)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT1AHが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15307で選択されたテーブルから変動番号「95」の変動パターン「所定目変動」のみが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に拘らず、当該変動パターンの変動タイプ10Hのみが決定される(図100参照)。
ところで、ステップS15301における時短機能が未作動でないと判断すると(ステップS15301におけるNO)、時短機能が作動する特定遊技状態であることになる。この場合も、第1特別図柄についての大当たりの種別が特別大当たりであるか否かを判断し(ステップS15309)、特別大当たりであると判断すると(ステップS15309におけるYES)、第1特別図柄・特定時特別大当たりテーブルを選択する(ステップS15311)。
具体的には、図101に示す第1特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ1)のうちで、特別大当たりに当選した場合に選択され得る第1特別図柄・特定時特別大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・特定時特別大当たりテーブルが1つのみ(テーブルJ1A)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ1Aが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15311で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
一方、ステップS15309において大当たりの種別が特別大当たりでないと判断すると(ステップS15309におけるNO)、当該大当たりの種別は通常大当たり(詳細には、短開放通常大当たり)であるから、第1特別図柄・特定時通常大当たりテーブルを選択する(ステップS15313)。
具体的には、図101に示す第1特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ1)のうちで、通常大当たりに当選した場合に選択され得る第1特別図柄・特定時通常大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・特定時通常大当たりテーブルが1つのみ(テーブルJ1AH)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ1AHが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15313で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
次に、図96及び図97を参照して、第1特別図柄の抽選結果が大当たりでないとき(すなわち、ハズレであるとき)の当該第1特別図柄の変動パターンテーブル設定処理について説明する。
図96及び図97に示すように、第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理では、先ず、時短機能が未作動であるか否か、即ち、特定遊技状態が実行されているか否かを判断する(ステップS15401)。時短機能が未作動であると判断すると(ステップS15401におけるYES)、第1特別図柄の保留球が0であるか否かを判断する(ステップS15403)。具体的には、変動開始直後の第1特別図柄の始動記憶数(即ち、第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値)が0であるか否かを判断する。第1特別図柄の保留球が0であると判断すると(ステップS15403におけるYES)、高期待演出(所謂、リーチ変動)を実行するか否かを判断する(ステップS15405)。なお、この高期待演出を行うべきか否かの判断(高期待演出抽選)の詳細については、詳細を後述する。
そして、ステップS15405において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15405におけるYES)、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15407)。
具体的には、図98に示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)のうちで、高期待演出を実行する場合に選択され得る第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(テーブルT1R)のうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて、テーブルT1RA〜T1RDのいずれかが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15407で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
一方、ステップS15405において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15405におけるNO)、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルAを選択する(ステップS15409)。
具体的には、図98に示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT1H)から第1特別図柄の保留球「0」に対応するテーブルAのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルAが1つのみ(テーブルT1H0)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT1H0が選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15409で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
また、ステップS15403において第1特別図柄の保留球が0でないと判断すると(ステップS15403におけるNO)、当該第1特別図柄の保留球が1であるか否かを判断する(ステップS15411)。第1特別図柄の保留球が1であると判断すると(ステップS15411におけるYES)、高期待演出を実行するか否かを判断する(ステップS15413)。そして、ステップS15413において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15413におけるYES)、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15415)。このステップS15415は、先述のステップS15407と同じ処理である。
一方、ステップS15413において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15413におけるNO)、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルBを選択する(ステップS15417)。
具体的には、図98に示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT1H)から第1特別図柄の保留球「1」に対応するテーブルBのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルBが1つのみ(テーブルT1H1)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT1H1が選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15417で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
また、ステップS15411において第1特別図柄の保留球が1でないと判断すると(ステップS15411におけるNO)、当該第1特別図柄の保留球が2であるか否かを判断する(ステップS15419)。第1特別図柄の保留球が2であると判断すると(ステップS15419におけるYES)、高期待演出を実行するか否かを判断する(ステップS15421)。そして、ステップS15421において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15421におけるYES)、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15423)。このステップS15423は、先述のステップS15407と同じ処理である。
一方、ステップS15421において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15421におけるNO)、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルCを選択する(ステップS15425)。
具体的には、図98に示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT1H)から第1特別図柄の保留球「2」に対応するテーブルCのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルCが1つのみ(テーブルT1H2)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT1H2が選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15425で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
また、ステップS15419において第1特別図柄の保留球が2でないと判断すると(ステップS15419におけるNO)、当該第1特別図柄の保留球が3であると判断する。そして、高期待演出を実行するか否かを判断する(ステップS15427)。そして、ステップS15427において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15427におけるYES)、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15429)。このステップS15429は、先述のステップS15407と同じ処理である。
一方、ステップS15427において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15427におけるNO)、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルDを選択する(ステップS15431)。
具体的には、図98に示す第1特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT1HおよびT1R)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT1H)から第1特別図柄の保留球「3」に対応するテーブルDのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルDが1つのみ(テーブルT1H3)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT1H3が選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15431で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(10H〜13H)が決定される(図100参照)。
ところで、ステップS15401において時短機能が未作動でないと判断すると(ステップS15401におけるNO)、時短機能が作動する特定遊技状態であることになる。この場合も、高期待演出を実行するか否かを判断し(ステップS15433)、高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15433におけるYES)、第1特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15435)。
具体的には、図101に示す第1特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ1)のうちで、高期待演出を実行する場合に選択され得る第1特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルが1つのみ(テーブルJ1R)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ1Rが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15435で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
一方、ステップS15433において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15433におけるNO)、第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15437)。
具体的には、図101に示す第1特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ1)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルが1つのみ(テーブルJ1H)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ1Hが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15437で選択されたテーブルから変動番号「7D」の変動パターン「開放延長中・通常変動」のみが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
[第2特別図柄の変動パターンテーブル設定処理の詳細について]
図102〜図108に基づいて、第2特別図柄の変動パターンテーブル設定処理の詳細について説明する。図102は、第2特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図103及び図104は、第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図105は、通常遊技状態における第2特別図柄のハズレ変動パターンを示す第2特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT2HおよびT2R)を示す図である。図106は、通常遊技状態における第2特別図柄の当たり変動パターンを示す第2特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT2A)を示す図である。図107は、第2特別図柄の変動パターンに関する変動タイプを決定するための第2特別図柄・変動タイプ設定テーブルを示す図である。図108は、特定遊技状態における第2特別図柄の変動パターンを示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)を示す図である。
まず、図102を参照して、第2特別図柄の抽選結果が大当たり(特別大当たりまたは通常大当たり)であるときの当該第2特別図柄の変動パターンテーブル設定処理について説明する。
図102に示すように、第2特別図柄当たり変動パターンテーブル設定処理では、先ず、時短機能が未作動であるか否か、即ち、特定遊技状態が実行されているか否かを判断する(ステップS15601)。時短機能が未作動であると判断すると(ステップS15601におけるYES)、第2特別図柄についての大当たりの種別が特別大当たりであるか否かを判断する(ステップS15603)。具体的には、ステップS15603では、ステップS1313で設定された大当たりフラグが特別大当たりフラグであるか否かを判断する。そして、特別大当たりであると判断すると(ステップS15603におけるYES)、第2特別図柄・通常時特別大当たりテーブルを選択する(ステップS15605)。
具体的には、図106に示す第2特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT2A)のうちで、特別大当たりに当選した場合に選択され得る第2特別図柄・通常時特別大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて、テーブルT2AA〜T2AGのいずれかが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15605で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(40H〜43H)が決定される(図107参照)。
一方、ステップS15603において大当たりの種別が特別大当たりでないと判断すると(ステップS15603におけるNO)、当該大当たりの種別は通常大当たり(詳細には、長開放通常大当たり)であるから、第2特別図柄・通常時通常大当たりテーブルを選択する(ステップS15607)。
具体的には、図106に示す第2特別図柄・通常時当たりテーブル(テーブルT2A)のうちで、通常大当たりに当選した場合に選択され得る第2特別図柄・通常時通常大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・通常時通常大当たりテーブルが1つのみ(テーブルT2AT)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT2ATが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15607で選択されたテーブルから変動番号「9A」の変動パターン「チャンス目大当たり」のみが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に拘らず、当該変動パターンの変動タイプ40Hのみが決定される(図107参照)。
ところで、ステップS15601における時短機能が未作動でないと判断すると(ステップS15601におけるNO)、時短機能が作動する特定遊技状態であることになる。この場合も、第2特別図柄についての大当たりの種別が特別大当たりであるか否かを判断し(ステップS15609)、特別大当たりであると判断すると(ステップS15609におけるYES)、第2特別図柄・特定時特別大当たりテーブルを選択する(ステップS15611)。
具体的には、図108に示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)のうちで、特別大当たりに当選した場合に選択され得る第2特別図柄・特定時特別大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・特定時特別大当たりテーブルが1つのみ(テーブルJ2A)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ2Aが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15611で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
一方、ステップS15609において大当たりの種別が特別大当たりでないと判断すると(ステップS15609におけるNO)、当該大当たりの種別は通常大当たり(詳細には、長開放通常大当たり)であるから、第2特別図柄・特定時通常大当たりテーブルを選択する(ステップS15613)。
具体的には、図108に示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)のうちで、通常大当たりに当選した場合に選択され得る第2特別図柄・特定時通常大当たりテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・特定時通常大当たりテーブルが1つのみ(テーブルJ2AT)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ2ATが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15613で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
次に、図103及び図104を参照して、第2特別図柄の抽選結果が大当たりでないとき(すなわち、ハズレであるとき)の当該第2特別図柄の変動パターンテーブル設定処理について説明する。
図103及び図104に示すように、第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理では、先ず、時短機能が未作動であるか否か、即ち、特定遊技状態が実行されているか否かを判断する(ステップS15701)。時短機能が未作動であると判断すると(ステップS15701におけるYES)、高期待演出を実行するか否かを判断する(ステップS15703)。そして、高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15703におけるYES)、第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15705)。
具体的には、図105に示す第2特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT2HおよびT2R)のうちで、高期待演出を実行する場合に選択され得る第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(テーブルT2R)のうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて、テーブルT2RA〜T2RCのいずれかが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15705で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(40H〜43H)が決定される(図107参照)。
一方、ステップS15703において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15703におけるNO)、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15707)。
具体的には、図105に示す第2特別図柄・通常時ハズレテーブル(テーブルT2HおよびT2R)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT2H)のうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルが1つのみ(テーブルT2H)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルT2Hが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15707で選択されたテーブルから変動番号「01」の変動パターン「通常変動」のみが決定される。さらに、変動タイプ用乱数の乱数値に基づいて、当該変動パターンの変動タイプ(40H〜43H)が決定される(図107参照)。
ところで、ステップS15701において時短機能が未作動でないと判断すると(ステップS15701におけるNO)、時短機能が作動する特定遊技状態であることになる。そして、第2特別図柄の保留球が0であるか否かを判断する(ステップS15709)。具体的には、変動開始直後の第2特別図柄の始動記憶数(即ち、第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値)が0であるか否かを判断する。第2特別図柄の保留球が0であると判断すると(ステップS15709におけるYES)、高期待演出を実行するか否かを判断する(ステップS15711)。
そして、ステップS15711において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15711におけるYES)、第2特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15713)。
具体的には、図108に示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)のうちで、高期待演出を実行する場合に選択され得る第2特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルが1つのみ(テーブルJ2R)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ2Rが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に基づいて、ステップS15713で選択されたテーブルから変動パターンが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
一方、ステップS15711において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15711におけるNO)、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルAを選択する(ステップS15715)。
具体的には、図108に示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブル(テーブルJ2H)から第2特別図柄の保留球「0」に対応するテーブルAのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルAが1つのみ(テーブルJ2HA)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ2HAが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15715で選択されたテーブルから変動番号「96」の変動パターン「開放延長中・はずれ(保留なし)」のみが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
また、ステップS15709において第2特別図柄の保留球が0でないと判断すると(ステップS15709におけるNO)、当該第2特別図柄の保留球が1〜3のいずれかであることになる。この場合も、高期待演出を実行するか否かを判断し(ステップS15717)、ステップS15717において高期待演出を実行すると判断すると(ステップS15717におけるYES)、第2特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルを選択する(ステップS15719)。このステップS15719は、先述のステップS15713と同じ処理である。
一方、ステップS15717において高期待演出を実行しないと判断すると(ステップS15717におけるNO)、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルBを選択する(ステップS15721)。
具体的には、図108に示す第2特別図柄・特定時テーブル(テーブルJ2)のうちで、高期待演出を実行しない場合に選択され得る第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブル(テーブルJ2H)から第2特別図柄の保留球「1」〜「3」に対応するテーブルBのうちの一つを、変動パターン用乱数1の乱数値に基づいて選択する。本実施形態では、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルBが1つのみ(テーブルJ2HB)であるから、変動パターン用乱数1の乱数値に拘らずテーブルJ2HBが選択される。この場合、先述の変動パターン決定処理(ステップS1580)では、変動パターン用乱数2の乱数値に拘らず、ステップS15721で選択されたテーブルから変動番号「7E」の変動パターン「開放延長中・短縮変動」のみが決定される。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は各変動パターンの変動時間と一致する。
[変動中処理について]
次に、図109に基づいて、変動中処理について説明する。図109は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。変動中処理では、先ず、特別図柄が変動中であるか否かを判断する(ステップS1801)。ここで、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86のいずれかが変動中であれば変動中であると判断される。特別図柄が変動中でなければ(ステップS1801におけるNO)、そのまま、変動中処理を終了する。
ステップS1801において特別図柄が変動中であると判断すると(ステップS1801におけるYES)、ステップS1802に進み、変動時間が終了しているか否かを判断する。具体的には、変動パターン設定処理においてタイマにセットした変動時間が経過したか否かを判断する。ここで、変動時間が経過していなければ、変動時間が経過するまで待機する(ステップS1802におけるNO)。変動時間が経過すると(ステップS1802におけるYES)、特別図柄の変動を停止する(ステップS1803)。即ち、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86のうち変動中の表示器において、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910の抽選結果を導出表示する。
特別図柄の変動を停止すると(ステップS1803)、複数の大当たり種別のうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1804)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、いずれかの大当たり遊技を開始するか否を判断する。いずれかの大当たりフラグがON状態であると(ステップS1804におけるYES)、処理フラグを「3」に更新し(ステップS1805)、変動中処理を終了する。いずれの大当たりフラグもON状態でなければ(ステップS1804におけるNO)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS1808)、変動中処理を終了する。
[大当たり遊技開始処理について]
次に、図110に基づいて、大当たり遊技開始処理について説明する。図110は、大当たり遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。この大当たり遊技開始処理では、先ず、確変機能が作動中であるか否かを判断する(ステップS2001)。上述のとおり、大当たり遊技が実行されているときは確変機能が作動しないため、確変機能が作動している場合には、確変機能の作動を停止して(ステップS2002)、ステップS2003に進む。一方、ステップS2001において確変機能が作動していないと判断すると(ステップS2001におけるNO)、ステップS2002をスキップしてステップS2003に進む。
ステップS2003では、時短機能が作動中であるか否かを判断する。上述のとおり、大当たり遊技が実行されているときは時短機能が作動しないため、時短機能が作動している場合には、時短機能の作動を停止して(ステップS2004)、ステップS2005に進む。一方、ステップS2003において時短機能が作動していないと判断すると(ステップS2003におけるNO)、ステップS2004をスキップしてステップS2005に進む。
ステップS2005では、長開放大当たり遊技を伴う大当たりであるか否かを判断する。具体的には、特別大当たりフラグおよび長開放通常大当たりフラグのうちいずれかのフラグがON状態であれば長開放大当たり遊技を伴う大当たりであると判断し(ステップS2005におけるYES)、長開放大当たり遊技時におけるラウンド回数(例えば15ラウンド)、1ラウンド当たりの開閉装置500の最大開放時間(例えば30sec)および最大入賞数(例えば9球)をセットする(ステップS2006)。そして、その後、ステップS2008に進んで処理フラグを「4」に更新し、大当たり遊技開始処理を終了する。
一方、ステップS2005において、短開放通常大当たりフラグがON状態であれば長開放大当たり遊技を伴う大当たりではなく短開放大当たり遊技を伴う大当たりであると判断し(ステップS2005におけるNO)、短開放大当たり遊技時におけるラウンド回数(例えば2ラウンド)、1ラウンド当たりの開閉装置500の最大開放時間(例えば0.6sec)および最大入賞数(例えば3球)をセットし、ステップS2008に進む。
[特別電動役物大当たり制御処理]
次に、図111に基づいて、特別電動役物大当たり制御処理について説明する。図111は、特別電動役物大当たり制御処理の一例を示すフローチャートである。特別電動役物大当たり制御処理においては、先ず、開閉装置500が開放中であるか否かを判断する(ステップS2401)。開閉装置500が開放中であれば(ステップS2401におけるYES)、予めセットされた開閉装置500の最大開放時間が経過したか否かを判断する(ステップS2402)。具体的には、ステップS2006またはステップS2007においてセットされた最大開放時間が経過したか否かを判断する。開閉装置500の最大開放時間が経過したと判断すると(ステップS2402におけるYES)、開閉装置500を閉鎖して(ステップS2404)、ステップS2405に進む。
ステップS2402において開閉装置500の開放時間が経過していなければ(ステップS2402におけるNO)、予めセットされた最大入賞数の遊技球が開閉装置500に受け入れられたか否かを判断する(ステップS2403)。具体的には、開閉装置カウントセンサ776によるカウント値が、ステップS2006またはステップS2007においてセットされた最大入賞数に達したか否かを判断する。開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられたと判断すると(ステップS2403におけるYES)、ステップS2404に進み、開閉装置500を閉鎖する。一方、開閉装置500に最大入賞数の遊技球が受け入れられていなければ、ステップS2402に戻る。
ステップS2405では、予めセットされたラウンド数に達したか否かを判断する(ステップS2405)。具体的には、ステップS2006またはステップS2007においてセットされたラウンド数に達したか否かを判断する。ここで、予めセットされたラウンド数に達していれば(ステップS2405におけるYES)ステップS2407に進み、大当たりフラグをOFFにする。一方、予めセットされたラウンド数に達していなければ(ステップS2405におけるNO)、開閉装置500の開放処理を行い(ステップS2406)、ステップS2402に戻る。
なお、ステップS2401において、開閉装置500が開放中でないと判断されると(ステップS2401におけるNO)、ステップS2405に進む。
ステップS2407において大当たりフラグをOFFにしたのち、確変機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2408)、確変機能を作動すべきであれば確変機能の作動処理を行う(ステップS2409)。具体的には、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが、特別大当たりフラグであれば、確変機能を作動する。即ち、これまで行われていた大当たり遊技が、特別大当たりに基づく長開放大当たり遊技であれば、確変機能を作動する。
次いで、時短機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2410)、時短機能を作動すべきであれば時短機能の作動処理を行う(ステップS2411)。このとき、後述するステップS2414の時短機能作動回数設定は行なわないため、次回の大当たり(次回の条件装置の作動)まで時短機能が継続して作動されることになる。その後、処理フラグを「0」に更新し(ステップS2415)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。一方、ステップS2410において時短機能を作動させないと判断された場合(ステップS2410におけるNO)にも、ステップS2415に進んで処理フラグを「0」に更新し、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
なお、本実施形態では、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが、特別大当たりフラグであれば、確変機能に併せて時短機能が作動される(ステップS2410におけるYES)。なお、特別遊技状態では、次回の大当たりに当選するまで(次回の条件装置が作動するまで)、確変機能および時短機能が継続して作動する。これにより、特別遊技状態では、遊技者は持ち球を減らすことなく、大当たりの当選確率が高い遊技状態のもとで次回の大当たりを容易に引き当てることができる。
一方、ステップS2408において確変機能を作動すべきでないとを判断された場合には(ステップS2410におけるNO)、次いで時短機能を作動すべきか否かを判断し(ステップS2412)、時短機能を作動すべきであれば時短機能の作動処理を行う(ステップS2413)。このとき、時短機能の作動回数を、大当たり(詳細には、通常大当たり)の種別に応じて設定する(ステップS2414)。本実施形態では、遊技状態に応じて、長開放通常大当たりであれば時短機能の作動回数として「50回」を設定し、短開放通常大当たりであれば時短機能の作動回数として「100回」を設定するが、詳細は後述する。その後、処理フラグを「0」に更新し(ステップS2415)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。一方、ステップS2412において時短機能を作動させないと判断された場合(ステップS2412におけるNO)にも、ステップS2415に進んで処理フラグを「0」に更新し、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
具体的には、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが、長開放通常大当たりフラグであれば、確変機能を作動せずに時短機能のみを作動する。即ち、これまで行われていた大当たり遊技が、長開放通常大当たりに基づく長開放大当たり遊技であれば、確変機能を作動する。また、ステップS2407においてOFFにされた大当たりフラグが、短開放通常大当たりフラグであっても、確変機能を作動せずに時短機能のみを作動することがある。
ここで、本実施形態では、時短機能を作動すべきか否かについて、当該大当たりが当選した際の遊技状態が影響を及ぼすことがある。具体的には、特別大当たりまたは長開放通常大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合、当該大当たり当選時の遊技状態に関係なく、ステップS2410またはステップS2412において時短機能を作動すべきと判断される。一方、通常遊技状態であるときに短開放通常大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合、ステップS2412において時短機能を作動しない旨が判断されるが、特別遊技状態または時短遊技状態であるときに短開放通常大当たりに当選して大当たり遊技が実行された場合、ステップS2412において時短機能を作動すべきと判断される。
このような構成では、例えば特別遊技状態にあるときに、通常大当たり(長開放通常大当たりまたは短開放通常大当たり)に当選してしまったとしても、該当選に応じた大当たり遊技が行われた後、所定の期間内は時短遊技状態とすることで、遊技者が当該所定の期間中に持ち球を減らすことなく遊技を楽しめ、且つ、再び大当たりに当選する期待感(所謂「引き戻し」に対する期待感)を維持することで、興趣の低下を抑制できる。
さらに、本実施形態では、長開放通常大当たりを契機とした時短遊技状態と、短開放通常大当たりを契機とした時短遊技状態とでは、時短機能の付与態様(遊技者に付与される利益)が異なる。具体的には、長開放通常大当たりに当選した場合は、長開放大当たり遊技が終了したのちに特別図柄の変動回数が「50回」に至ると、所定条件が成立して時短機能が停止する(すなわち、通常遊技状態に移行する)。一方、特別遊技状態および時短遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合は、短開放大当たり遊技が終了したのちに特別図柄の変動回数が「100回」に至ると、所定条件が成立して時短機能が停止する(すなわち、通常遊技状態に移行する)。つまり、大当たりの種類によって、ステップS2414において設定される時短回数が異なるように制御される。
これは、特別遊技状態において短開放通常大当たりに当選すると、遊技者はほとんど賞球を得ることなく特別遊技状態が終了してしまうことになり、遊技者は非常に落胆することになり、興趣が著しく低下してしまうことになる。そのため、特別遊技状態(あるいは時短遊技状態)において短開放通常大当たりに当選した場合には、長開放通常大当たりに基づいて付与される時短回数(ここでは、50回)よりも多くの時短回数(ここでは、100回)を付与している。このように、特別遊技状態(あるいは時短遊技状態)において短開放通常大当たりに当選した遊技者に、より有利な時短機能の特典を付与することで、特別遊技状態が終了しまうことに起因する落胆を抑制することができる。さらに、より長期間に亘って維持される時短遊技状態を付与することで、当該時短遊技状態中に再び大当たりを引き戻す期待感を向上させて、興趣の低下を抑制できる。
とくに、本実施形態では、短開放通常大当たりは第1始動口602への入賞に基づく抽選(第1特別図柄抽選手段900による抽選)によってのみ当選しうる。そして、時短機能が作動する遊技状態(特別遊技状態および時短遊技状態)では、一対の可動片606の開閉動作により第2始動口604に遊技球が入賞しやすく、かつ、第1特別図柄よりも第2特別図柄のほうが優先的に変動表示される。さらに、時短機能が作動する遊技状態(特別遊技状態および時短遊技状態)では、第2始動口604への入賞に基づく抽選保留(第2特別図柄の保留球)が少ないほど、高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合の当該第2特別図柄の変動時間が長くなり、常に第2始動口604への入賞に基づく抽選保留が蓄積される状態が維持されやすくなっている。
その結果、時短機能が作動する遊技状態(特別遊技状態および時短遊技状態)では、第1始動口602への入賞に基づく抽選保留(第1特別図柄の保留球)は、第2始動口604への入賞に基づく抽選保留(第1特別図柄の保留球)と比べて極めて消化されがたい(すなわち、第1特別図柄の抽選結果が導出されにくい)。そのため、本パチンコ機1では、特別遊技状態における短開放通常大当たりは、極めて当選し難いイレギュラーな大当たりに位置づけられている。このような構成によって、短開放通常大当たりに当選して特別遊技状態から転落するという遊技者の不利な状態を極力回避することを可能としている。
しかしながら、かかる構成においても、極めて稀ながら特別遊技状態中に短開放通常大当たりに当選することが考えうる。そこで、特別遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合には、遊技者により有利な時短機能の特典を付与することで、特別遊技状態からの転落という不利益を補償することができ、興趣の低下を確実に防止することができる。
[遊技内容について]
次に、各遊技状態における遊技内容について、図112〜図114を参照して説明する。図112は、通常遊技状態において演出表示装置に表示される画像を示す図である。図113は、特別遊技状態において演出表示装置に表示される画像を示す図である。図114は、時短遊技状態において演出表示装置に表示される画像を示す図である。本実施形態のパチンコ機1では、通常遊技状態、特別遊技状態および時短遊技状態のいずれかに設定されることは上述した通りである。
各始動口602,604のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910により特別図柄の抽選が行われる。当該抽選結果は、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86に表示されると共に、演出表示装置115において装飾図柄1153の停止図柄の組み合わせにより表示される。
図112〜図114に示すように、演出表示装置115には、その中央領域に装飾図柄1153が表示されるとともに、第1特別図柄対応図柄1000と、第2特別図柄対応図柄1002と、保留表示領域1150とを有している。装飾図柄1153は三つの図柄列からなり、遊技者から見て左側に表示される左図柄列1153a、遊技者から見て真ん中に表示される中図柄列1153b、および、遊技者から見て右側に表示される右図柄列1153cの3列の図柄列で構成されている。本実施形態では、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cには、1〜8の複数図柄が順に配列されて表示される。これら複数の図柄のうち、以下、赤で表示される図柄を特定図柄、青で表示される図柄を非特定図柄と称する。
また、保留表示領域1150は、演出表示装置115における左縁領域に配置されて、第1特別図柄保留カウンタ903および第2特別図柄保留カウンタ913における保留数に関わる情報を表示する。なお、保留表示領域1150における表示態様については、詳細は後述する。
そして、第1特別図柄抽選手段900または第2特別図柄抽選手段910による抽選処理(以下、単に「特別図柄抽選処理」と称する)にて特別大当たりに当選すると、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cが縦方向にスクロール変動し、その後、例えばゾロ目(三つの図柄列1153a〜1153cが同じ図柄となること)で停止表示される。
なお、特別図柄抽選処理の結果は、装飾図柄1153のみでなく、演出表示装置115に表示される画像の左上にも特別図柄対応図柄1000,1002として表示される。ここで、第1特別図柄抽選手段900による抽選結果は第1特別図柄対応図柄1000として表示され、第2特別図柄抽選手段910による抽選結果は第2特別図柄対応図柄1002として表示される。
本実施形態のパチンコ機1では、標準の遊技状態として、図112に示す通常遊技状態に制御される。そして、上記特別図柄抽選処理の結果が特別大当たりであるとき、装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)は、例えば特定図柄のゾロ目または後述のチャンス目で停止表示され、その後、特別大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行される。当該長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、特別図柄抽選処理にて大当たりに当選するまで、図113に示すように時短機能および確率機能が作動する特別遊技状態となる。
一方、上記特別図柄抽選処理の結果が長開放通常大当たりであるとき、装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)は、非特定図柄のゾロ目または後述のチャンス目で停止表示され(特定図柄のゾロ目で停止表示されることはない)、その後、長開放通常大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行される。当該長開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、図114に示すように時短機能が所定の終了条件が成立するまで作動する時短遊技状態となる。
なお、先述のチャンス目とは、装飾図柄1153がゾロ目となる以外の大当たりへの当選を示す図柄態様である。本実施形態のチャンス目は、左図柄列1153aが「3」、中図柄列1153bが「5」、右図柄列1153cが「7」となる並びで、装飾図柄1153が停止表示されることをいう。詳細には、このチャンス目は、通常遊技状態における第2特別図柄抽選手段910による抽選結果が、特別大当たりまたは長開放通常大当たりであるときに、演出表示装置115において表示され得る。
そして、このチャンス目によって大当たりが導出された時点では、遊技者は特別大当たりまたは長開放通常大当たりのいずれの大当たりに当選したのかを把握することはできない。ただし、演出表示装置115に表示された装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)がチャンス目であったとしても、特別大当たりに当選していれば、大当たり遊技中または大当たり遊技が終了したのちに特別大当たりであったことが報知される。従って、遊技者は、特別遊技状態に突入するのではないかといった期待感を抱きながら大当たり遊技を実行することとなるので、単調となりがちな大当たり遊技中における興趣の低下が抑制される。
なお、図112に示す通常遊技状態において、上記特別図柄抽選処理の結果が短開放通常大当たりであるとき、装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)は、ゾロ目あるいはチャンス目とはならない並びである所定のハズレ目で停止表示され、その後、短開放通常大当たりに基づく短開放大当たり遊技が実行される。当該短開放大当たり遊技が終了したのちの遊技状態は、当該短開放通常大当たりに当選したときの遊技状態が特定遊技状態(特別遊技状態および時短遊技状態のいずれか)であれば、図114に示すように時短機能が所定の終了条件が成立するまで作動する時短遊技状態となるが、詳細は後述する。
[保留表示領域における表示態様について]
ここで、保留表示領域1150における表示態様について、図115〜図117を参照して説明する。図115は、(a)が保留表示領域において第1特別図柄の保留が蓄積される態様を説明するための図であり、(b)が保留表示領域において第2特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための図である。図116は、(a)が保留表示領域において第1特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための他の図であり、(b)が保留表示領域において第2特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための他の図である。図117は、保留表示領域において第1特別図柄及び第2特別図柄の始動記憶が消化される態様を説明するための図である。
図112〜図114に示すように、保留表示領域1150は、上下方向に一列に配列された複数の保留記憶表示部を有している。詳細には、図115〜図117に示すように、保留表示領域1150における下方から上方に向けて、第1の保留記憶表示部1150a、第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c、第4の保留記憶表示部1150d、第5の保留記憶表示部1150e、第6の保留記憶表示部1150f、第7の保留記憶表示部1150gおよび第8の保留記憶表示部1150h、の計8つの保留記憶表示部から構成される。
なお、保留表示領域1150における各保留記憶表示部1150a〜1150hは、それぞれ第1特別図柄抽選手段900による抽選の保留または第2特別図柄抽選手段910による抽選の保留を一つずつ表示可能な領域である。そして、保留表示領域1150は、第1特別図柄保留カウンタ903による保留数および第2特別図柄保留カウンタ913による保留数を視覚的に容易に把握できる態様で表示するものである。よって、保留表示領域1150を参照することで、遊技者は現在の特別図柄の総保留数(総始動記憶数)を確認することができる。
なお、以下では、第1特別図柄保留カウンタ903により保留された乱数(第1特別図柄抽選手段900による抽選処理)を、第1特別図柄の始動記憶と称することがある。また、第2特別図柄保留カウンタ913により保留された乱数(第2特別図柄抽選手段910による抽選処理)を、第2特別図柄の始動記憶と称することがある。
本実施の形態では、第1特別図柄保留カウンタ903による保留の上限値(第1所定数)および第2特別図柄保留カウンタ913による保留の上限値(第2所定数)が同じである。具体的に言えば、第1所定数および第2所定数はともに保留消化前を基準として「4つ」(保留消化後を基準として「3つ」)である。そのため、保留表示領域1150も、両特別図柄保留カウンタ903,913を合わせた最大保留可能数(ここでは、8つ)を表示可能とするために、8つの保留記憶表示部1150a〜1150hを有している。
また、各保留記憶表示部1150a〜1150hは、この順で上下方向に規則的に並んでおり、装飾図柄1153が表示される領域(共通図柄表示領域)における抽選結果の導出は、この並び順序に従って導出される。すなわち、先頭の保留(第1の保留記憶表示部1150aに対応する保留)から順に末尾の保留(例えば、第8の保留記憶表示部1150h)まで、各保留記憶表示部に対応する抽選の保留がその保留順に導出されることになる。これにより、遊技者は共通図柄表示領域において抽選結果が導出される順序を明確に把握することができる。
各保留記憶表示部1150a〜1150hは、第1特別図柄保留カウンタ903によって保留されていることを示す表示態様である第1特図保留画像1151、第2特別図柄保留カウンタ913によって保留されていることを示す表示態様である第2特図保留画像1152、第1特別図柄保留カウンタ903および第2特別図柄保留カウンタ913のいずれにも保留されていないことを示す非表示態様、のうちいずれかの表示態様で表示される。
保留表示領域1150における表示態様について説明すると、例えば図112〜図114においては、第1の保留記憶表示部1150aおよび第2の保留記憶表示部1150bには第2特図保留画像1152がそれぞれ表示されており、第3の保留記憶表示部1150c〜第5の保留記憶表示部1150eには第1特図保留画像1151がそれぞれ表示されている。これにより、図112〜図114における特別図柄の総保留数(総始動記憶数)は、第1特別図柄の始動記憶が3つおよび第2特別図柄の始動記憶が2つの計5つであることが視覚的に把握可能となっている。なお、その他の保留記憶表示部1150f〜1150hは非表示態様となっており、当該表示部には背景画像がそのまま表示される。
本実施形態では、第2特図保留画像1152として、ドングリを模した画像が表示される。一方、第1特図保留画像1151として、第2特図保留画像1152を示すドングリが四角形状の氷塊の中に閉じこまれた態様を示す画像が表示される。このように、第1特別図柄保留カウンタ903によって保留されていることを意味する表示態様と、第2特別図柄保留カウンタ913によって保留されていることを意味する表示態様と、をそれぞれ異ならせて両者を明確に区別できるようにしている。
さらに、後述するように、第2特別図柄の始動記憶が第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に消化される。言い換えれば、第1特別図柄の始動記憶は、第2特別図柄の始動記憶よりも消化されがたい。そのため、第1特図保留画像1151に示すドングリの画像が、第2特図保留画像1152に示すドングリの画像が氷結されたイメージを呈することで、遊技者に対して視覚的に第1特別図柄の始動記憶が第2特別図柄の始動記憶よりも消化されづらいことを把握可能としている。
次に、各特別図柄の始動記憶の蓄積態様を、図115および図116を参照して説明する。なお、図115および図116において、始動記憶の保留表示が追加される箇所が太線で囲う表示がなされている。
まず、図115(a)に示すように、第1特別図柄保留カウンタ903によって保留されている保留数および第2特別図柄保留カウンタ913によって保留されている保留数のいずれもがゼロのとき、保留表示領域1150(保留記憶表示部1150a〜1150h)は全て非表示態様となる。
かかる状態において、第1始動口602に遊技球が入賞して第1特別図柄保留カウンタ903によって保留されると(具体的には、コマンド受信手段950が「第1始動口602に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板710から受信すると)、保留表示領域1150の最も下端に位置する第1の保留記憶表示部1150aが、非表示態様から第1特図保留画像1151に表示制御される。これにより、第1特別図柄保留カウンタ903における保留数が「1」であることが認識できる。
さらに、第1始動口602に遊技球が引き続き入賞して第1特別図柄保留カウンタ903によって順に保留されると、保留表示領域1150における第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c、第4の保留記憶表示部1150dが、順次、非表示態様から第1特図保留画像1151に表示制御される。
このように、第1特別図柄の始動記憶は、保留表示領域1150において順次末尾(図では上方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第1特別図柄保留カウンタ903による保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1150において第1特別図柄の始動記憶数に応じた第1特図保留画像1151が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
一方、図115(b)に示すように、先述のように保留表示領域1150(保留記憶表示部1150a〜1150h)は全て非表示態様となった状態において、第2始動口604に遊技球が入賞して第2特別図柄保留カウンタ913によって保留されると(具体的には、コマンド受信手段950が「第2始動口604に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板710から受信すると)、保留表示領域1150の最も下端に位置する第1の保留記憶表示部1150aが、非表示態様から第2特図保留画像1152に表示制御される。これにより、第2特別図柄保留カウンタ903における保留数が「1」であることが認識できる。
さらに、第2始動口604に遊技球が入賞して第2特別図柄保留カウンタ913によって保留されると、保留表示領域1150における第1の保留記憶表示部1150aに示される第2特図保留画像1152が第2の保留記憶表示部1150bに(すなわち、後方に)シフト表示される。そして、第1の保留記憶表示部1150aには、第2の保留記憶表示部1150bにシフト表示された第2特図保留画像1152に代えて、新たな第2特図保留画像1152が追加されるように表示される。
ここで、「後方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が次の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1150aに表示された第2特図保留画像1152が第2の保留記憶表示部1150bに移動するようにして、当該第2の保留記憶表示部1150bにおいて第2特図保留画像1152が表示される。
さらに、第2特別図柄の始動記憶が「2」の状態で第2始動口604に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1150aおよび第2の保留記憶表示部1150bに各々表示される第2特図保留画像1152が、第2の保留記憶表示部1150bおよび第3の保留記憶表示部1150cにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに新たな第2特図保留画像1152が追加されるように表示される。同様に、第2特別図柄の保留球が「3」の状態で第2始動口604に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1150a、第2の保留記憶表示部1150b及び第3の保留記憶表示部1150cに各々表示される第2特図保留画像1152が、第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c及び第4の保留記憶表示部1150dにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに新たな第2特図保留画像1152が追加されるように表示される。
このように、第2特別図柄の始動記憶は、保留表示領域1150において順次先頭(図では下方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第2特別図柄保留カウンタ913による保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1150において第2特別図柄の始動記憶数に応じた第2特図保留画像1152が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
ところで、保留表示領域1150において第2特別図柄の始動記憶が保留されている場合、第1特別図柄の始動記憶の保留態様は次のようになる。例えば、図116(a)に示すように、第2特別図柄の始動記憶が「4個」保留された状態(第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第2特図保留画像1152が表示されている状態)で、第1始動口602に遊技球が入賞したものとする。このとき、非表示状態となっている次の保留記憶表示部(ここでは、第5の保留記憶表示部1150d)から順に、第1特別図柄の始動記憶(第1特図保留画像1151)が蓄積表示される。この場合も、先述と同様に、第1始動口602に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1150における末尾(図では上方)に順次追加される態様で、第5の保留記憶表示部1150e〜第8の保留記憶表示部1150hの順に第1特図保留画像1151が蓄積表示される。
また、保留表示領域1150において第1特別図柄の始動記憶が保留されている場合、第2特別図柄の始動記憶の保留態様は次のようになる。例えば、図116(b)に示すように、第1特別図柄の始動記憶が「4個」保留された状態(第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第1特図保留画像1151が表示されている状態)で、第2始動口604に遊技球が入賞したものとする。このとき、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(ここでは、第1の保留記憶表示部1150a)に、第2特別図柄の始動記憶(第2特図保留画像1152)が順次追加表示される。この場合も、先述と同様に、第2始動口604に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1150における先頭(図では下方)に順次追加される態様で第2特図保留画像1152が蓄積表示されるのに伴って、他の保留記憶表示部では前の保留記憶表示部の表示態様が順次後方にシフト表示される。具体的には、図116(b)に示す状態で第2特別図柄の始動記憶が「4個」保留されると、第1の保留記憶表示部1150a〜第7の保留記憶表示部1150hの各表示態様が、第2の保留記憶表示部1150b〜第8の保留記憶表示部1150hにそれぞれ後方にシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに第2特図保留画像1152が新たに追加される。
このように本実施形態では、保留表示領域1150において、第1特別図柄の始動記憶は保留表示領域1150の末尾(図では上方)に順次追加される一方、第2特別図柄の始動記憶は保留表示領域1150の先頭(図では下方)から順次追加される。そのため、保留表示領域1150に第1特図保留画像1151および第2特図保留画像1152が表示されている状態では、常に第2特図保留画像1152が第1特図保留画像1151よりも前の保留記憶表示部に表示される。
ところで、本実施形態では、次に説明するように、第2特別図柄の始動記憶のほうが第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に抽選結果が導出される(いわゆる消化される)。そのため、上記のような保留表示領域1150の表示制御によって、第1特別図柄の始動記憶および第2特別図柄の始動記憶の両方が存在する場合には、第2特別図柄の始動記憶のほうが第1特別図柄の始動記憶よりも先に消化されることを、遊技者が明確に把握できるようにしている。
次に、各特別図柄の始動記憶の消化態様を、図117を参照して説明する。なお、図117において、始動記憶の保留表示が削除(消化)される箇所が太線で囲う表示がなされている。すなわち、図117から明らかなように、本実施形態では、保留表示領域1150の先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様に対応する始動記憶が削除(消化)される。
図117に示すように、例えば、第1特別図柄の始動記憶が「4つ」及び第2特別図柄の始動記憶が「4つ」存在する状態では、保留表示領域1150において第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第2特図保留画像1152が表示されるとともに、第5の保留記憶表示部1150e〜第4の保留記憶表示部1150hに第1特図保留画像1151が表示される。かかる状態で、先頭の特別図柄の始動記憶(ここでは、第2特別図柄の始動記憶)に基づいて抽選結果の導出が開始されると、第1の保留記憶表示部1150aの第2特図保留画像1152が削除される。これに伴い、他の保留記憶表示部(第2の保留記憶表示部1150b〜第8の保留記憶表示部1150h)の表示態様が、前の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a〜第7の保留記憶表示部1150g)にそれぞれシフト表示される。なお、各保留記憶表示部の表示態様が前方にシフト表示されるのに伴って、末尾の保留記憶表示部(第8の保留記憶表示部1150h)の表示態様は、非表示態様となる。
ここで、「前方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が前の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1150aの第2特図保留画像1152が削除されるのに伴って、第5の保留記憶表示部1150e〜第8の保留記憶表示部1150hに表示された第1特図保留画像1151が、第4の保留記憶表示部1150d〜第7の保留記憶表示部1150gに各々移動するようにして、当該第4の保留記憶表示部1150d〜第7の保留記憶表示部1150gにおいて第1特図保留画像1151が表示され、第8の保留記憶表示部1150hは非表示態様となる。また、第2の保留記憶表示部1150b〜第4の保留記憶表示部1150dに表示された第2特図保留画像1152が、第1の保留記憶表示部1150a〜第3の保留記憶表示部1150cに各々移動するようにして、当該第1の保留記憶表示部1150a〜第3の保留記憶表示部1150cにおいて第2特図保留画像1152が表示される。
以下、同様にして、保留表示領域1150においては、特別図柄の始動記憶の消化に応じて、先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様の削除と、他の保留記憶表示部における表示態様の前方へのシフト表示とが行われる。これにより、特別図柄の始動記憶の消化に応じて保留数(始動記憶数)が減少したことや、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの始動記憶に基づく図柄変動が行なわれたかを、遊技者は視覚的に把握することができる。
ところで、本実施形態では、保留表示領域1150においては常に第2特図保留画像1152が第1特図保留画像1151よりも前の保留記憶表示部に表示されることからも明らかなように、第1特別図柄保留カウンタ903による保留が第2特別図柄保留カウンタ913による保留よりも先に行なわれたとしても、第2特別図柄の始動記憶が第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に消化される。言い換えれば、第2特別図柄保留カウンタ913による保留が存在する限り、第1特別図柄保留カウンタ903による保留が解除されることない。そのため、第2特別図柄の始動記憶が全て消化されるまで、第1特別図柄の始動記憶が消化されることがなく、第2特別図柄の始動記憶のみが消化され続ける。
なお、第2始動口604に入賞すると、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)に第2特図保留画像1152が追加表示される。一方、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様に相当する特別図柄の始動記憶が消化される。そのため、遊技者からみれば、複数の第2特別図柄の始動記憶が存在する場合には、第2特別図柄保留カウンタ913により保留された最新の始動記憶が一番先に消化されるように見える。しかしながら、保留表示領域1150に表示される第2特図保留画像1152の保留順序は、必ずしも第2特別図柄の始動記憶の導出順序と一致せず、あくまで第2特別図柄保留カウンタ913による保留順序で(すなわち、先に保留された始動記憶から順に)消化される。
[通常遊技状態について]
次に、通常遊技状態の詳細について、図112を参照して説明する。図112に示すように、通常遊技状態では、演出表示装置115に表示される背景画像として、氷河期の大地をイメージした画像が表示される。また、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cにおいて、1〜8の複数図柄が全て赤で表示される特定図柄となる。すなわち、通常遊技状態では、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示される場合は、全て特別大当たりに当選したことが導出されることを意味する。
ところで、本実施形態では大当たりの種類として、確変機能の作動を伴う大当たり(特別大当たり)と確変機能の作動を伴わない大当たり(長開放通常大当たりおよび短開放通常大当たり)が存在する。それにも拘らず、本通常遊技状態では、遊技者からすると確変機能の作動を伴う大当たりのみに当選する(すなわち、大当たりに当選するとほぼ100%確率変動に突入する)ように把握される。このように、本パチンコ機1の通常遊技状態では、確変機能が作動する大当たりと確変機能が作動しない大当たりとを有するにも拘らず、全ての大当たりが確変突入の契機となるように把握される。この通常遊技状態について、以下説明する。
まず、通常遊技状態では、時短機能が未作動となるため、一対の可動片606の動作態様が先述の平時態様となり、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が抑制される。そのため、通常遊技状態では、第1始動口602のみに遊技球が入賞しがちとなり、おおむね第1特別図柄の始動記憶のみが蓄積および導出される遊技態様となる。なお、先述のように、本パチンコ機1では第2特別図柄の始動記憶は第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出されるため、可動片606の開閉動作によって第2始動口604への遊技球が入賞すると、当該入賞に基づく第2特別図柄の始動記憶が第1特別図柄の始動記憶よりも先んじて即座に導出されることになる。
ところで、通常遊技状態では、第1特別図柄の始動記憶の蓄積及び導出が繰り返される遊技態様となることから、高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合は、第1特別図柄についてはその始動記憶数(保留数)が多いほど図柄変動時間が短くなるように制御される。一方、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が低いため、第2特別図柄はその始動記憶数(保留数)に拘らず図柄変動時間が略一定となる。これにより、ROM712に記憶されるデータ記憶量の削減を図ることができ、CPU711の制御負荷が徒に大きくなることを抑制できる。なお、特別図柄の変動時間については、詳細は後述する。
そして、第1特別図柄の始動記憶に基づいて特別大当たりに当選した場合には、先述のように、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて特別大当たりに当選したことが導出されるとともに、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示される。そして、当該特別大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が特別遊技状態に制御される(つまり、確変突入する)。
一方、第1特別図柄の始動記憶に基づいて通常大当たりに当選した場合には、先述したように当該通常大当たりは短開放通常大当たりに該当する。この場合は、各図柄列1153a〜1153cが所定のハズレ目で停止表示されるのみであり、また、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示されることもない。そして、遊技者により把握されづらい態様で開閉装置500を開閉動作させる短開放大当たり遊技が実行される。この短開放大当たり遊技では、遊技者に対して多量の賞球が払いだされることもない。
このように、第1特別図柄の始動記憶に基づいて通常大当たり(短開放通常大当たり)に当選しても、遊技者は当該通常大当たりに当選した旨を明確には把握することができないか、あるいは、全く気付かないこととなる。つまり、この短開放通常大当たりは、遊技者からは「大当たりの一態様」として把握されないように実行されることを意味する。
ところで、通常遊技状態では、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が抑制されるものの、普通図柄抽選手段920による抽選に当選することにより稀ながら一対の可動片606が開状態となって第2始動口604に入賞しうる場合がある。このとき、タイミングよく第2始動口604に遊技球が入賞すると、通常遊技状態でありながらも第2特別図柄が始動記憶され、当該第2特別図柄の始動記憶に基づいて当選することもある。このように、通常遊技状態でありながらも稀に当選した結果、当該当選が特別大当たりへの当選である場合は、先述の第1特別図柄の始動記憶に基づく特別大当たりと同様にして、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて特別大当たりに当選したことが導出されるとともに、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示される。そして、当該特別大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が特別遊技状態に制御される(つまり、確変突入する)。
一方、通常遊技状態でありながらも稀に当選した結果、当該当選が通常大当たりへの当選である場合は、先述したように、長開放通常大当たりが行われる。この場合は、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目ではなくチャンス目で停止表示され、また、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示される。そして、当該通常大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が時短遊技状態に制御される。なお、通常遊技状態での長開放通常大当たり(イレギュラーな長開放通常大当たり)への当選態様については、詳細は後述する。
以上説明したように、本実施形態に係る通常遊技状態では、おおむね第1特別図柄の始動記憶が繰り返し保留及び導出される遊技態様であることに基づいて、第1特別図柄(あるいは稀に第2特別図柄)で特別大当たりに当選した場合にのみ、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示される。また、第1特別図柄で通常大当たりに当選した場合には、遊技者が当該大当たりに当選したことを明確に把握できない態様で図柄表示制御および大当たり遊技制御がなされる。そのため、遊技者からすると通常遊技状態では確変機能の作動を伴う大当たりのみに当選する(すなわち、大当たりに当選するとほぼ100%確率変動に突入する)ように把握される。
ところで、従来の遊技機では、通常遊技状態で確率変動を伴わない大当たりに当選すると、いわゆる大当たりの連荘を期待できないために遊技者が落胆してしまい、興趣が低下する問題があった。しかしながら、本パチンコ機1によれば、通常遊技状態においてゾロ目で導出される大当たりが全て確率変動を伴なう特別大当たりであるため、遊技者は通常遊技状態で大当たりに当選すると確率変動による大当たりの連荘を期待でき、興趣を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第2特別図柄の始動記憶に基づいて確率変動を伴わない通常大当たりに当選する可能性がある。しかしながら、先述のように、時短機能が作動しない通常遊技状態では、第2始動口604への遊技球の入賞が困難であることから第2特別図柄の通常大当たり(長開放通常大当たり)に当選することは稀である。また、当該長開放通常大当たりに当選した旨が、各図柄列1153a〜1153cのゾロ目ではなくチャンス目で導出される。つまり、遊技者からすれば、通常遊技状態における長開放通常大当たりは極めて稀なイレギュラー当たりとして把握される。そのため、通常遊技状態での大当たりは基本的に全て確変大当たり(特別大当たり)であるという構成に大きな影響を与えるものではなく、逆にこのような希少な当たりに当選することで遊技者を「アッ!」と驚かすことができる。
[特別遊技状態について]
次に、特別遊技状態の詳細について、図113を参照して説明する。図113に示すように、特別遊技状態では、演出表示装置115に表示される背景画像として、噴火活動中の火山群をイメージした画像が表示されるともに、特別遊技状態であることを明示する表記(画面右上における「MAGMA ZONE」)が表示される。また、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cにおいて、1〜8の複数図柄のうちで奇数図柄が赤で表示される特定図柄となる一方、偶数図柄が青で表示される非特定図柄となる。すなわち、特別遊技状態では、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示される場合は、特別大当たりまたは通常大当たりのいずれかに当選したことが導出されることを意味する。なお、この特別遊技状態では、確変機能および時短機能の両方が作動する。
ところで、本実施形態では大当たりの種類として、多量の賞球の払い出しを伴う大当たり(特別大当たりおよび長開放通常大当たり)と多量の賞球の払い出しを伴わない大当たり(短開放通常大当たり)が存在する。それにも拘らず、本特別遊技状態では、遊技者からすると多量の賞球の払い出しを伴う大当たりのみに当選する(すなわち、大当たりに当選すると必ず多量の賞球を獲得することができる)ように把握される。このように、本パチンコ機1の特別遊技状態では、多量の賞球の払い出しを伴う大当たりと多量の賞球の払い出しを伴わない大当たりとを有するにも拘らず、全ての大当たりが多量の賞球の獲得契機となるように把握される。この特別遊技状態について、以下説明する。
まず、特別遊技状態では、時短機能が作動するため、一対の可動片606の動作態様が先述の促進態様となり、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が向上される。そのため、特別遊技状態では、第1始動口602よりも第2始動口604に遊技球が入賞しやすくなり、おおむね第2特別図柄の始動記憶が蓄積および導出される遊技態様となる。なお、先述のように、本パチンコ機1では第2特別図柄の始動記憶は第1特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出される。そのため、特別遊技状態では、第2始動口604への遊技球の入賞が促進されることと相まって、第1特別図柄の始動記憶が導出され難くなる。言い換えれば、第2特別図柄の始動記憶がなくならずに第2始動口604に遊技球が入賞し続ける限り、第1特別図柄の始動記憶が導出されることなく、第2特別図柄の始動記憶が導出され続ける。
ところで、特別遊技状態では、おおむね第2特別図柄の始動記憶の蓄積及び導出が繰り返される遊技態様となることから、高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合は、第2特別図柄についてはその始動記憶数(保留数)が多いほど図柄変動時間が短くなるように制御される。一方、第1始動口602への遊技球の入賞頻度は第2始動口604への遊技球の入賞頻度よりも低くなるため、第1特別図柄はその始動記憶数(保留数)に拘らず図柄変動時間が略一定となる。なお、特別図柄の変動時間については、詳細は後述する。
そして、第2特別図柄の始動記憶に基づいて特別大当たりに当選した場合には、先述のように、各図柄列1153a〜1153cが特定図柄または非特定図柄のゾロ目で停止表示されて大当たりに当選したことが導出される。ここで、特定図柄のゾロ目で停止表示された場合は、特別大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示される。そして、当該大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が特別遊技状態に制御される(つまり、確変機能が継続して作動する)。
なお、非特定図柄のゾロ目で停止表示された場合は、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示されるが、この時点では遊技者は特別大当たりに当選したのか長開放通常大当たりに当選したのかを判別できない。この場合は、大当たり遊技中または大当たり遊技が終了したのちに特別大当たりであったことが報知される(いわゆる、昇格演出)。従って、遊技者は、特別遊技状態が継続するのではないかといった期待感を抱きながら大当たり遊技を実行することとなるので、単調となりがちな大当たり遊技中における興趣の低下が抑制される。
一方、第2特別図柄の始動記憶に基づいて通常大当たりに当選した場合には、先述したように当該通常大当たりは長開放通常大当たりに該当する。そして、各図柄列1153a〜1153cが非特定図柄のゾロ目で停止表示されて大当たりに当選したことが導出される。この場合、遊技者は特別大当たりに当選したのか長開放通常大当たりに当選したのかを判別できないが、長開放通常大当たりの場合は先述の昇格演出がなされることなく、長開放大当たり遊技が実行されて多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が時短遊技状態に制御される。
このように、第2特別図柄の始動記憶に基づいて大当たり(特別大当たりまたは長開放通常大当たり)に当選すると、常に遊技者に対して多量の賞球としての遊技球が払いだされる長開放大当たり遊技が実行される。つまり、第2特別図柄で大当たりに当選すれば、必ずしも確変機能が作動する特典が付与されるとは限らないものの、少なくとも遊技者は多量の賞球を獲得することが必ず保障される。
ところで、特別遊技状態では、第2始動口604への遊技球の入賞頻度が促進されるものの、第2特別図柄の始動記憶が存在しない状態(言い換えれば、第2特別図柄の始動記憶が全て消化された状態)になると、第1特別図柄の始動記憶に基づく抽選結果が導出されることになる。そして、この第1特別図柄の始動記憶に基づいて特別大当たりに当選することもある。この場合は、先述の第2特別図柄の始動記憶に基づく特別大当たりと同様にして、大当たり制御が実行される。すなわち、各図柄列1153a〜1153cが特定図柄または非特定図柄のゾロ目で停止表示されて大当たりに当選したことが導出されたのちに、長開放大当たり遊技が実行されて多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が特別遊技状態に制御される(つまり、確変継続する)。
一方、稀ながら第1特別図柄の始動記憶に基づいて通常大当たりに当選する場合もある。そして、先述したように、第1特別図柄の通常大当たりは短開放通常大当たりに該当する。この場合は、各図柄列1153a〜1153cが所定のハズレ目(例えば、リーチハズレ)で停止表示されるのみであり、また、大当たりに当選した旨を示す演出画像が演出表示装置115に表示されることもない。そして、遊技者により把握されづらい態様で開閉装置500を開閉動作させる短開放大当たり遊技が実行される。この短開放大当たり遊技では、遊技者に対して多量の賞球が払いだされることもない。なお、特別遊技状態での短開放通常大当たり(イレギュラーな短開放通常大当たり)への当選態様については、詳細は後述する。
ところで、特別遊技状態において短開放通常大当たりに当選すると、通常遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合とは異なり、確変機能が作動状態から未作動状態に移行される(すなわち、遊技状態が特別遊技状態から通常遊技状態に移行する)ことになる。つまり、極めて稀なケースながら、賞球を全く獲得することなくまたは賞球を獲得したとしても微量の賞球を得るだけで、特別遊技状態が終了することになり、遊技者の落胆は非常に大きいものとなる。
そこで、特別遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合には、通常遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合とは異なり、短開放大当たり遊技が実行されたのちの遊技状態が時短遊技状態に制御されるようにした。しかも、かかる場合に付与される時短機能の特典(例えば、時短回数100回)は、長開放通常大当たりに当選した場合に付与される時短機能の特典(例えば、時短回数50回)よりも、遊技者が有利なものとした。これにより、特別遊技状態において短開放通常大当たりに当選した場合の遊技者の不利益を補償するとともに、より多くの時短機能の特典を付与することによって、持ち玉を減らすことなく再び大当たりに当選する(すなわち、大当たりを引き戻す)可能性を高くして、興趣の低下を抑制している。
以上説明したように、本実施形態に係る特別遊技状態では、おおむね第2特別図柄の始動記憶が繰り返し保留及び導出される遊技態様であることに基づいて、第2特別図柄で大当たりに当選すると必ず遊技者に多量の賞球が払いだされる長開放大当たり遊技が実行される。また、稀に第1特別図柄で特別大当たりに当選した場合にも、同様に長開放大当たり遊技が実行される。そのため、遊技者からすると特別遊技状態では、多量の賞球の払い出しを伴う大当たりのみに当選する(すなわち、大当たりに当選すると必ず多量の賞球を獲得できる)ように把握される。
ところで、従来の遊技機では、特別遊技状態で多量の賞球の払い出しを伴わない通常大当たりに当選すると、単に賞球を獲得できないだけでなく確変機能の作動が停止する不利益が発生してしまう。そのため、せっかく確変大当たりに当選して特別遊技状態に移行したにもかかわらず、多量の賞球の払い出しを伴わない通常大当たりに当選してしまうと、ほとんど賞球を獲得することなく特別遊技状態が終了してしまい、遊技者の落胆は非常に大きい。特に、近年では、多量の賞球の払い出しを伴わない確変大当たり(いわゆる、突然確変)に当選して確変遊技状態(本実施形態の特別遊技状態は一般的にこのように称される)に移行する遊技機もあるが、この場合に多量の賞球の払い出しを伴わない通常大当たりに当選してしまうと、これら一連の遊技において多量の賞球を全く獲得することなく確変遊技状態が終了してしまい、遊技者の落胆は甚大である。
しかしながら、本パチンコ機1によれば、特別遊技状態において大当たりに当選するとほぼ確実に長開放大当たり遊技が実行されるため、遊技者は特別遊技状態で多量の賞球を獲得することができ、特別遊技状態への期待感を向上させて興趣の低下を抑制することができる。
ここで、先述のように、本実施形態に係る通常遊技状態では、特別遊技状態への移行契機となる大当たりのほとんどが多量の賞球の払出を伴う特別大当たりとなるような構成となっている。さらに、特別遊技状態では、多量の賞球の払い出しを伴う大当たり(特別大当たりまたは長開放通所大当たり)のみに当選し得るような構成となっている。すなわち、通常遊技状態において特別大当たりに当選したときから起算して、当該特別大当たりに基づく特別遊技状態が終了するまでに、少なくとも2回は多量の賞球の払い出しを伴う長開放大当たり遊技が実行されることになる(言い換えれば、2回分の多量の賞球の払い出しが保障される)。
このように、通常遊技状態での特別大当たり(いわゆる、初当たり)に対してほぼ2回以上の大当たりの連荘が期待できることに加えて、当該特別大当たりを契機として2回分の長開放大当たり遊技(所謂、2回分の出玉)を確保できる。このことから、従来の遊技機と比べて特別大当たりへの当選に伴なって遊技者に付与される特典が大きく、興趣が一層向上可能な遊技機を実現できる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の始動記憶に基づいて多量の賞球の払出を伴わない通常大当たりに当選する可能性がある。しかしながら、先述のように、時短機能が作動する特別遊技状態では、第1特別図柄の通常大当たり(短開放通常大当たり)に当選することは稀である。また、仮に短開放通常大当たりに当選した場合には、先述のように、より大きな時短機能の特典を遊技者に付与することによって、賞球を獲得することなく特別遊技状態が終了してしまう遊技者の不利益を補償して、遊技者の落胆と興趣の低下を最低限度に抑制することができる。
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、上述した図柄乱数の乱数幅に対する特別大当たりの乱数の数と通常大当たりの乱数の数に基づけば、「特別大当たりに当選する確率(確率変動に突入する確率)」は、概ね3分の2である。この確変突入率(確変継続率)は、特別遊技状態およひ通常遊技状態のいずれであっても同じである。よって、本実施形態のパチンコ機1では、概ね3分の2という高い確変突入率(確変継続率)によって大当たりの連荘が期待できる構成となっており、遊技者の興趣が一層高められるようになっている。
そして、このような大当たりの連荘が期待できる一方で、通常遊技状態での大当たり確率(初当たり確率)は約320分の1となっており、従来の遊技機と比べても比較的当選しやすい確率となっている。そのため、上記のように大当たりを契機としてほぼ賞球の獲得が保障される構成と相まって、大当たりに当選せず且つ賞球を獲得できない状態(いわゆるハマリ状態)に陥り難い構成となっている。これより、遊技者は大当たりの連荘も期待するのみならず、ハマリ状態に陥り難いので安心して遊技を楽しむことができる。
[時短遊技状態について]
次に、時短遊技状態の詳細について、図114を参照して説明する。図114に示すように、時短遊技状態では、演出表示装置115に表示される背景画像として、特別遊技状態と同様の火山群が休眠中であることをイメージした画像が表示されるともに、時短遊技状態であることを明示する表記(画面右上における「FREEZE ZONE」)が表示される。さらに、時短遊技状態であることを明示する表記の近傍に、残り時短回数(図では「50」)が表示される。
また、特別遊技状態と同様に、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cにおいて、1〜8の複数図柄のうちで奇数図柄が赤で表示される特定図柄となる一方、偶数図柄が青で表示される非特定図柄となる。すなわち、特別遊技状態では、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示される場合は、特別大当たりまたは通常大当たりのいずれかに当選したことが導出されることを意味する。
本実施形態の時短遊技状態では、確変機能が未作動となる点を除いて、その他の遊技制御は特別遊技状態と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、時短機能が作動する時短遊技状態および特別遊技状態を、時短機能が未作動となる通常遊技状態と区別するために「特定遊技状態」と称することがある。
なお、この時短遊技状態は、第2特別図柄の通常大当たり(すなわち、長開放通常大当たり)と、特定遊技状態における第1特別図柄の通常大当たり(すなわち、短開放通常大当たり)と、を契機として実行される。
より詳細には、第2特別図柄の通常大当たり(すなわち、長開放通常大当たり)に当選した場合、当該通常大当たりに基づく長開放大当たり遊技が実行されたのちに、時短遊技状態に制御される。ここでは、長開放通常大当たりを契機として実行される時短遊技状態は、特別図柄の変動回数が「50回」に至るまで時短機能が作動する。特別図柄の変動回数が「50回」に至ったのちは時短機能が終了して、図112に示す通常遊技状態に移行する。
また、第1特別図柄の通常大当たり(すなわち、短開放通常大当たり)に当選した場合、当該通常大当たりに基づく短開放大当たり遊技が実行されたのちに、時短遊技状態に制御される。ここでは、短開放通常大当たりを契機として実行される時短遊技状態は、特別図柄の変動回数が「100回」に至るまで時短機能が作動する。特別図柄の変動回数が「100回」に至ったのちは時短機能が終了して、図112に示す通常遊技状態に移行する。
[高期待演出抽選について]
ここで、先述の変動パターン設定処理(図94参照)において、抽選結果がハズレである場合に実行される各変動パターンテーブル設定処理(図96及び97、図103及び図104)における高期待演出抽選について、その詳細を説明する。
高期待演出(リーチ変動)を行うべきか否かの判断は、高期待演出抽選に当選していれば高期待演出を行うと判断され、高期待演出抽選に落選していれば高期待演出を行わないと判断される。高期待演出抽選は、各始動口602,604への入賞に際して上述のリーチ判定用乱数を取得し、当否判定用乱数がハズレである場合に、図柄の変動が開始されるに際して、当該取得したリーチ判定用乱数の当落を判定することによって行われる。
詳細には、0から240までのリーチ判定用乱数のなかから一つを取得し、当該取得したリーチ判定用乱数が予め定められたリーチ判定値に該当する場合には、高期待演出抽選に当選したと判断する。ここで、高期待演出抽選に当選する確率は、時短機能や確変機能の作動の有無や、第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれの変動であるかや、各特別図柄保留カウンタ903,913によるカウンタ値(所謂保留数)によっても高期待演出抽選に当選する確率が異なる。
より具体的には、第1特別図柄についての高期待演出抽選は、次のように実行される。まず、時短機能および確変機能が作動しない通常遊技状態では、例えばリーチ判定値が0〜14であるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の15となる。また、時短機能のみが作動する時短遊技状態では、例えばリーチ判定値が0〜6であるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の7となる。また、時短機能および確変機能が作動する特別遊技状態では、例えばリーチ判定値が0〜4であるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の5となる。
一方、第2特別図柄についての高期待演出抽選は、次のように実行される。まず、時短機能および確変機能が作動しない通常遊技状態では、例えばリーチ判定値が0のみであるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の1となる。また、時短機能のみが作動する時短遊技状態では、例えばリーチ判定値が0〜6であるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の7となる。また、時短機能および確変機能が作動する特別遊技状態では、例えばリーチ判定値が0および1であるものとされ、高期待演出抽選に当選する確率が241分の2となる。
このように、第1特別図柄に基づく図柄変動と第2特別図柄に基づく図柄変動とによって、高期待演出抽選に当選する確率を異ならせることで、各特別図柄に基づく抽選結果の導出態様に差異をもたせることができ、抽選結果の導出に伴う演出に多様性をもたせることができる。
詳細には、通常遊技状態では、時短機能が作動しないので第2始動口604に遊技球が入賞し難いため、第1始動口602ヘの入賞がなければ第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの保留球も存在しない状態が発生しやすい。そこで、第1特別図柄については、高期待演出抽選に当選しやすくすることで(241分の15)、当該第1特別図柄の変動時間を長くするようにした。これにより、高期待演出(リーチ変動)が行なわれている期間に各始動口602,604に遊技球が入賞して各特別図柄の保留球が発生することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。
一方、時短機能が作動しない通常遊技状態では、第2始動口604に遊技球が入賞困難であることから、第2特別図柄に基づく図柄変動が行なわれるのは稀である。そのため、第2特別図柄については、高期待演出抽選に当選する確率を極めて低くすることで(241分の1)、高期待演出が行なわれ難いようにしている。ところで、本実施形態では、高期待演出抽選に当選する確率に拘らず、第1特別図柄および第2特別図柄が大当たりに当選する確率は等しい。そのため、通常遊技状態において、第2特別図柄について高期待演出が行なわれると、第1特別図柄について高期待演出が行なわれるときよりも大当たりに当選している可能性が極めて高いことを意味する。このように、通常遊技状態では、第2特別図柄について高期待演出は大当たりが導出される期待度が極めて高い演出(所謂アツイ演出)となり、第1特別図柄について高期待演出との差別化を図ることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、特定遊技状態(時短遊技状態および特別遊技状態)では、時短機能が作動するので第2始動口604に遊技球が入賞しやすくため、第1始動口602ヘの入賞がなくても第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの保留球も存在しない状態が発生しにくい。そこで、特定遊技状態では、通常遊技状態における第1特別図柄の図柄変動よりも高期待演出抽選に当選し難くして(例えば、時短遊技状態では241分の7)、各特別図柄の変動時間を短くするようにした。これにより、各特別図柄の始動記憶の導出が促進されるため、各始動口602,604に入賞したにも拘らず保留されない遊技球(いわゆる無効球)の発生を抑制することができる。
さらに、特別遊技状態では、確変機能が作動して大当たりに当選しやすいため、高期待演出を多く発生させると却って遊技者の興趣を削いでしまうおそれがある。そのため、特別遊技状態では、時短遊技状態よりもさらに高期待演出抽選に当選し難くすることで、大当たり以外の抽選結果を速やかに導出することができ、遊技者がより早い段階で大当たりへの当選を獲得することができる。また、先述と同様にして特別遊技状態でも、第2特別図柄の高期待演出抽選に当選する確率(241分の2)が、第1特別図柄の高期待演出抽選に当選する確率(241分の5)よりも低くなるようにして、各特別図柄について高期待演出の差別化を図っている。
[特別図柄の変動時間について]
ところで、第1特別図柄および第2特別図柄は、いずれも、時短機能が作動しているか否かによって変動時間が異なる。また、時短機能が作動していない場合には、高期待演出が行われない場合における第1特別図柄の変動時間は第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(所謂第1保留数)に応じて異なる一方、高期待演出が行われない場合における第2特別図柄の変動時間は第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(所謂第2保留数)にかかわらず一定である。同様に、時短機能が作動している場合には、高期待演出が行われない場合における第2特別図柄の変動時間は第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(所謂第2保留数)に応じて異なる一方、高期待演出が行われない場合における第1特別図柄の変動時間は第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(所謂第1保留数)にかかわらず一定である。
具体的には、時短機能が作動しない通常遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第1特別図柄および第2特別図柄の変動時間は、次のように決定される。
まず、第1特別図柄の変動時間は、先述の第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図96参照)において、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルA〜Dのいずれかが第1特別図柄の保留球数に応じて選択され、当該第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。
具体的には、第1特別図柄の保留球数、すなわち、変動開始時における第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が0であれば、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルAが選択される(ステップS15409)。ここで、図98に示すように、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルA(テーブルT1H0)によれば、変動パターン用乱数2に基づいて概ね(詳細には、500分の426で)変動番号「01」の変動パターン「通常変動」が選択される。この変動番号「01」の変動パターン「通常変動」は、図100に示すように、変動タイプ用乱数に基づいて概ね(詳細には、500分の478で)変動タイプ「10H」が選択される。この変動タイプ「10H」は変動時間の追加を伴わないため、変動番号「01」の変動パターン「通常変動」に基づく第1特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(12800ms)である。
また、第1特別図柄の保留球数が1であれば、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルBが選択される(ステップS15417)。ここで、図98に示すように、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルB(テーブルT1H1)によれば、変動パターン用乱数2に基づいて概ね(詳細には、500分の456で)変動番号「01」の変動パターン「通常変動」が選択される。さらに、図100に示すように、変動タイプ用乱数に基づいて概ね(詳細には、500分の478で)変動タイプ「10H」が選択される。そのため、変動番号「01」の変動パターン「通常変動」に基づく第1特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(12800ms)である。
また、第1特別図柄の保留球数が2であれば、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルCが選択される(ステップS15425)。ここで、図98に示すように、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルC(テーブルT1H2)によれば、変動パターン用乱数2に基づいて概ね(詳細には、500分の492で)変動番号「02」の変動パターン「短縮変動1」が選択される。この変動番号「02」の変動パターン「短縮変動1」は、図100に示すように、変動タイプ用乱数に基づいて必ず変動タイプ「10H」が選択される。そのため、変動番号「02」の変動パターン「短縮変動1」に基づく第1特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(6200ms)である。
また、第1特別図柄の保留球数が3であれば、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルDが選択される(ステップS15431)。ここで、図98に示すように、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルD(テーブルT1H3)によれば、変動パターン用乱数2に基づいて概ね(詳細には、500分の498で)変動番号「03」の変動パターン「短縮変動2」が選択される。この変動番号「03」の変動パターン「短縮変動2」は、図100に示すように、変動タイプ用乱数に基づいて必ず変動タイプ「10H」が選択される。そのため、変動番号「03」の変動パターン「短縮変動2」に基づく第1特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(2100ms)である。
これにより、時短機能が作動しない通常遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第1特別図柄の変動時間は、保留球数が3であれば約2100msec、保留球数が2であれば約6200msec、保留球数が0または1であれば約12800msecである。
一方、第2特別図柄の変動時間は、先述の第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図103参照)において、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルが第2特別図柄の保留球数に拘らず選択され、当該第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。
具体的には、第2特別図柄の保留球数、すなわち、変動開始時における第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が0〜3のいずれであっても、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブルが選択される(ステップS15707)。ここで、図105に示すように、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(テーブルT2H)によれば、変動パターン用乱数2に拘らず必ず変動番号「01」の変動パターン「通常変動」が選択される。この変動番号「01」の変動パターン「通常変動」は、図107に示すように、変動タイプ用乱数に基づいて概ね(詳細には、500分の478で)変動タイプ「40H」が選択される。この変動タイプ「40H」は変動時間の追加を伴わないため、変動番号「01」の変動パターン「通常変動」に基づく第2特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(12800ms)である。
これにより、時短機能が作動しない通常遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第2特別図柄の変動時間は、保留球数に関係なく略一定(約12800msec)である。
以上のことから、通常遊技状態では主として第1特別図柄の始動記憶の保留及び導出が繰り返し行なわれる遊技態様となるところ、第1特別図柄の始動記憶の保留数が多い場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が迅速に導出される。そのため、第1始動口602に入賞したにも拘らず保留されない始動記憶(いわゆる、無効球)の発生を抑制することができる。逆に、第1特別図柄の始動記憶の保留数が少ない場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が比較的長い変動時間で導出されるので、先述のように高期待演出抽選に当選しやすいことと相まって、各特別図柄の始動記憶が存在しない状態が発生することが抑制される。
そして、通常遊技状態では第2始動口604に遊技球が入賞し難い態様となるところ、先述のように高期待演出抽選に当選しにくい一方で、第2特別図柄の始動記憶は比較的長時間の変動時間で導出される。これにより、第2特別図柄の図柄変動が行なわれている期間に各始動口602,604に遊技球が入賞することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。特に時短機能が作動しない通常遊技状態では、第2特別図柄の始動記憶は希少であることから、その変動時間を長くすることで導出が抑制することができ、第2特別図柄の始動記憶が存在している状態をできるだけ長く維持することができる。
また、時短機能が作動する特定遊技状態(特別遊技状態及び時短遊技状態)において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第1特別図柄および第2特別図柄の変動時間は、次のように決定される。
まず、第1特別図柄の変動時間は、先述の第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図97参照)において、第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルが第1特別図柄の保留球数に拘らず選択され、当該第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。
具体的には、第1特別図柄の保留球数が0〜3のいずれであっても、第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルが選択される(ステップS15437)。ここで、図101に示すように、第1特別図柄・特定時低期待ハズレテーブル(テーブルJ1H)によれば、変動パターン用乱数2に拘らず必ず変動番号「7D」の変動パターン「開放延長中・通常変動」が選択される。そして、先述のように時短機能が作動する特定遊技状態では、変動タイプ用乱数に拘らず変動タイプ「10H」に決定される。そのため、変動番号「7D」の変動パターン「開放延長中・通常変動」に基づく第1特別図柄の変動時間は、ほぼベース時間どおり(6000ms)である。
これにより、時短機能が作動する特定遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第1特別図柄の変動時間は、保留球数に関係なく略一定(約6000msec)である。
一方、第2特別図柄の変動時間は、先述の第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図104参照)において、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルAまたはBが第2特別図柄の保留球数に応じて選択され、当該第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。
具体的には、第2特別図柄の保留球数が0であれば、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルAが選択される(ステップS15715)。ここで、図108に示すように、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルA(テーブルJ2HA)によれば、変動パターン用乱数2に拘らず必ず変動番号「96」の変動パターン「開放延長中・はずれ(保留なし)」が選択される。そして、先述のように時短機能が作動する特定遊技状態では、変動タイプ用乱数に拘らず変動タイプ「40H」に決定される。そのため、変動番号「96」の変動パターン「開放延長中・はずれ(保留なし)」に基づく第2特別図柄の変動時間は、は、ほぼベース時間どおり(12200ms)である。
また、第2特別図柄の保留球数が1〜3であれば、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルBが選択される(ステップS15721)。ここで、図108に示すように、第2特別図柄・特定時低期待ハズレテーブルB(テーブルJ2HB)によれば、変動パターン用乱数2に拘らず必ず変動番号「7E」の変動パターン「開放延長中・短縮変動」が選択される。そして、先述のように時短機能が作動する特定遊技状態では、変動タイプ用乱数に拘らず変動タイプ「40H」に決定される。そのため、変動番号「7E」の変動パターン「開放延長中・短縮変動」に基づく第2特別図柄の変動時間は、は、ほぼベース時間どおり(1800ms)である。
これにより、時短機能が作動する特定遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第2特別図柄の変動時間は、保留球数が1〜3であれば約1800msec、保留球数が0であれば約12200msecである。
以上のことから、特定遊技状態では主として第2特別図柄の始動記憶の保留及び導出が繰り返し行なわれる遊技態様となるところ、第2特別図柄の始動記憶の保留数が多い場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が迅速に導出される。そのため、第2始動口604に入賞したにも拘らず保留されない始動記憶(いわゆる、無効球)の発生を抑制することができる。逆に、第2特別図柄の始動記憶の保留数が少ない場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が比較的長い変動時間で導出されるので、先述のように高期待演出抽選に当選し難い一方で、各特別図柄の始動記憶が存在しない状態が発生するのが抑制される。
そして、特定遊技状態では第1始動口602よりも第2始動口604に遊技球が入賞しやすい態様となるところ、第1特別図柄については先述のように高期待演出抽選に当選しやすいことと相まって、当該第1特別図柄の始動記憶は比較的長時間の変動時間で導出される。これにより、第1特別図柄の図柄変動が行なわれている期間に各始動口602,604に遊技球が入賞することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。特に時短機能が作動する特定遊技状態では、第1特別図柄の始動記憶は比較的希少であることから、その変動時間を長くすることで導出が抑制することができ、第1特別図柄の始動記憶が存在している状態をできるだけ長く維持することができる。
なお、高期待演出が行われる場合における第1特別図柄および第2特別図柄の変動時間は、各特別図柄の保留球数に影響されることなく、当該高期待演出の態様(種類)によって変動時間が決定される。すなわち、第1特別図柄の変動時間は、先述の第1特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図96及び図97参照)で第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルまたは第1特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルが選択され、当該高期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。また、第2特別図柄の変動時間は、先述の第2特別図柄ハズレ変動パターンテーブル設定処理(図103及び図104参照)で第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブルまたは第2特別図柄・特定時高期待ハズレテーブルが選択され、当該高期待ハズレテーブルから選択された変動パターン(および、当該変動パターンの変動タイプ)に基づいて決定される。
また、装飾図柄1153および特別図柄対応図柄1000,1002の変動は特別図柄の変動時間と対応しており、装飾図柄1153の変動時間および特別図柄対応図柄1000,1002の変動時間と、特別図柄の変動時間と、はほぼ同じ時間である。
ところで、時短機能が作動する特定遊技状態(特に、特別遊技状態)では、第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値が0(すなわち、第2特別図柄の始動保留が存在しない状態)であるときは、第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値が1〜3(すなわち、第2特別図柄の始動保留が存在する状態)であるときよりも、第2特別図柄の変動時間が長い(上記の例では、保留球がある場合は約1800msであるのに対し、保留球がない場合は約12200ms)。かかる制御は、さらに以下の作用・効果を奏するものである。
すなわち、先述のように特定遊技状態では、第2特別図柄の大当たり(特別大当たりまたは長開放通常大当たり)に当選すると必ず長開放大当たり遊技が実行されて多量の賞球が払い出される。一方で、第1特別図柄の短開放通常大当たりに当選すると、多量の賞球が払い出されないことに加えて、特に特別遊技状態のときは当該特別遊技状態が終了してしまうことになる。そのため、特に特別遊技状態では、第2特別図柄の始動記憶が無くなってしまうことを回避して、常に第2特別図柄の始動記憶に基づいて図柄変動及び抽選結果の導出が行なわれる状態が望ましい。
そこで、上記のように、第2特別図柄の始動保留が存在しない状態では、第2特別図柄の変動時間が長くなるようにすることで、当該第2特別図柄の変動中に第2始動口604に遊技球が入賞しやすくすることができる。これにより、第2特別図柄の始動記憶が無くなってしまうことを回避して、常に第2特別図柄の始動記憶に基づいて図柄変動及び抽選結果の導出が行なわれる状態とすることができる。そして、特に特別遊技状態において、第1特別図柄の短開放通常大当たりに当選して特別遊技状態が終了してしまう不利益を極力回避することができる。
[変動パターンに基づく演出表示態様の詳細について]
特別図柄の抽選結果(抽選の保留)に基づく演出表示態様は、先述の各変動パターン設定処理(図94,図95〜図97,図102〜図104参照)にて決定された変動パターン(具体的には、選択された変動パターンテーブルに基づいて決定された変動パターン)に基づいて実行される。
詳細には、第1特別図柄の抽選結果は、先述の各変動パターン設定処理にて変動パターンが決定されたのちに、当該変動パターンに基づいて決定された変動時間だけ第1特別図柄表示器84にて図柄変動がなされるとともに、当該変動パターンに基づく演出表示態様が演出表示装置115などで実行されることによって導出される。同様に、第2特別図柄の抽選結果は、先述の各変動パターン設定処理にて変動パターンが決定されたのちに、当該変動パターンに基づいて決定された変動時間だけ第2特別図柄表示器86にて図柄変動がなされるとともに、当該変動パターンに基づく演出表示態様が演出表示装置115などで実行されることによって導出される。
ところで、図94,図95〜図97,図102〜図104に示される各変動パターン設定処理と、図98〜図101および図105〜図108に示される各変動パターンテーブルとから明らかなように、第1始動口602への入賞に基づく抽選(第1特別図柄の始動記憶)に基づく変動であるか、あるいは、第2始動口604への入賞に基づく抽選(第2特別図柄の始動記憶)に基づく変動であるか、によって選択されうる変動パターンが異なる。そのため、遊技状態が同一であっても、特別図柄の種別によって異なる変動パターンが選択されることになる。
また、内部的な確変機能の作動の有無に関係なく、外部的な時短機能の作動の有無に依存して、各変動パターンテーブルから各テーブル(各変動パターン)が選択される。つまり、内部的な確変機能が作動していても、外部的な時短作動の有無によって選択されうる変動パターンが異なる。そのため、時短機能が作動する特定遊技状態(時短遊技状態および特別遊技状態)であれば、確変機能が作動しない時短遊技状態と確変機能が作動する特別遊技状態とは同じ変動パターンが選択されることになる。
さらに、特別図柄の種別や時短機能の作動の有無のみならず、当選種別(特別大当たりまたは通常大当たりのいずれか)、変動パターン用乱数および特別図柄の保留球数(始動記憶数)などにも依存して、各変動パターンテーブルから各テーブル(各変動パターン)が選択される。なお、本実施形態では、選択対象として複数の変動パターンテーブルが有る場合に一のテーブルを任意に選択するための乱数(変動パターン用乱数1)と、選択された変動パターンテーブルに選択対象として複数の変動パターンが有る場合に一の変動パターンを任意に洗濯するための乱数(変動パターン用乱数2)と、の2つの変動パターン用乱数を用いる。また、遊技状態によっては、さらに選択された変動パターンについての変動タイプを変動タイプ乱数に基づいて選択する。
ところで、本実施形態では、特別図柄の変動時間(変動パターンに基づく演出時間)と、特別大当たりへの期待度が密接な関係を有している。すなわち、特別図柄の変動時間(変動パターンに基づく演出時間)が長い変動パターンほど、抽選結果として特別大当たりが導出される期待度が高い。これは、各変動パターンテーブルにおいて、原則として、特別図柄の変動時間(変動パターンに基づく演出時間)が長い変動パターンほど、抽選結果が特別大当たりであるときに選択されやすい一方、抽選結果がハズレであるときは選択されにくいためである。言い換えれば、各変動パターンテーブルにおいて、原則として、特別図柄の変動時間(変動パターンに基づく演出時間)が短い変動パターンほど、抽選結果が特別大当たりであるときに選択されにくい一方、抽選結果がハズレであるときは選択されやすいためである。
以下では、図98〜図101および図105〜図108に示される各変動パターンテーブルに定義された変動パターンの名称および変動番号などを適宜参照して、各変動パターンおよび演出表示態様の詳細を具体的に説明する。
[通常遊技状態における低期待ハズレ変動]
まず、通常遊技状態において抽選結果が「ハズレ」であって、且つ、高期待演出抽選にハズレたときに実行される低期待ハズレ変動について、図98、図100、図105および図107を参照して説明する。この「低期待ハズレ変動」とは、例えばリーチ発生などの高期待演出を伴わずに抽選結果としてハズレを導出する態様である。
図112に示すように、通常遊技状態時における演出表示装置115において、変動開始前には装飾図柄1153が停止表示される。そして、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示に伴って装飾図柄1153の変動が開始されると、左図柄列1153a、中図柄列1153bおよび右図柄列1153cでは各図柄が縦方向(より詳しくは、遊技者から見て上から下に向かう方向)にスクロールする態様で変動が行なわれる。そして、左図柄列1153a、右図柄列1153c、中図柄列1153bの順で停止する。なお、当該変動が第1特別図柄に対応するものであれば、第1特別図柄対応図柄1000においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。一方、当該変動が第2特別図柄に対応するものであれば、第2特別図柄対応図柄1002においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。
そして、左図柄列1153a、中図柄列1153bおよび右図柄列1153cの各停止図柄が全く関連性のない異なる図柄で停止して「ハズレ」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「低期待ハズレ変動」である。この「低期待ハズレ変動」が、変動番号01の「通常変動」、変動番号02の「短縮変動1」、変動番号03の「短縮変動2」および変動番号04の「背景移行変動」に相当する。
変動番号01の「通常変動」は、低期待ハズレ変動を実行する最も標準的な変動パターンであり、そのベース変動時間は12800msである。この変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄の始動記憶数(第1特別図柄保留カウンタ903によるカウンタ値)が、保留消化後を基準として0個または1個であるときに選択実行されうる。
変動番号02の「短縮変動1」は、変動番号01の「通常変動」よりもベース変動時間が短い低期待ハズレ変動(いわゆる、短縮変動)を実行する変動パターンであり、そのベース変動時間は6200msである。この変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄の始動記憶数が保留消化後を基準として2個であるときに選択実行されうる。
変動番号03の「短縮変動2」は、変動番号02の「短縮変動2」よりも更にベース変動時間が短い低期待ハズレ変動(いわゆる、短縮変動)を実行する変動パターンであり、そのベース変動時間は2100msである。この変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄の始動記憶数が保留消化後を基準として3個であるときに選択実行されうる。
変動番号04の「背景移行変動」は、変動番号02の「短縮変動1」とほぼ同様のベース変動時間(6000ms)を有するものであって、この「背景移行変動」を契機として演出表示装置115の背景画像を変化させる変動パターンである。例えば、通常遊技状態時の背景画像として、図112に示す背景画像を含めて予め複数の背景画像が、画像ROM849に記憶されている。そして、この「背景移行変動」が実行されると、演出表示装置115に表示されている背景画像を除く一の背景画像が演出抽選手段960(図86)によりランダムに選択されて、当該選択された背景画像が演出制御手段962(図86)によって演出表示装置115に表示制御される。この変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄の始動記憶数が保留消化後を基準として0個または1個であるときに選択実行されうる。
一方、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合は、第2特別図柄の始動記憶数(第2特別図柄保留カウンタ913によるカウンタ値)に拘らず、変動パターンとして変動番号01の「通常変動」のみが選択実行されることになる。
このように、上記の変動番号01,02,03,04の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(T1H)から変動パターン用乱数1に拘らず始動記憶数(保留数)に基づいてテーブルT1H0〜テーブルT1H3のいずれかが選択されると、当該テーブルから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。一方、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合は、第2特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(T2H)から変動パターン用乱数1および始動記憶数(保留数)に拘らずテーブルT2Hが選択され、当該テーブルT2Hから変動パターン用乱数2に拘らず変動番号04の変動パターンのみが選択される。
なお、本実施形態では、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(T1H)のうちでテーブルT1H0〜テーブルT1H3の選択された場合は、後述する通常リーチ変動やキャラクタ演出を伴う変動パターン(変動番号05,06,07,08,09,0A,0B,9Cが稀に選択実行されることもある。よって、上記テーブルによれば、高期待演出抽選に外れたときであっても、稀ながらリーチ演出やキャラクタ演出などが発生することもある。
ところで、時短機能が作動しない通常遊技状態において、変動番号1〜4以外の変動パターンが選択実行されているときは、原則として、左図柄列1153aの停止図柄と右図柄列1153cの停止図柄とが同じとなり、演出表示装置115にはリーチを導出(リーチ報知)する画面が表示される。そして、当該リーチが成立した状態では、装飾図柄1153のうちで中図柄列1153bのみが変動するとともに、各特別図柄対応図柄1000,1002においても図柄変動が継続して実行される。そして、以下に説明するように、各種変動パターンに基づくリーチ演出がそれぞれ実行される。
[通常遊技状態における通常リーチ変動]
次に、通常遊技状態が実行されているときの通常リーチを伴う演出表示態様である「通常リーチ変動」について説明する。この「通常リーチ変動」は、装飾図柄1153のみを用いたリーチ演出(通常リーチ)を行ったのちに抽選結果として当たりまたはハズレを導出する態様である。
この「通常リーチ変動」では、先述のように、演出表示装置115においてリーチ報知がなされたのちに中図柄列1153bのみ図柄変動が継続される。そして、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「ハズレ」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「通常リーチハズレ変動」である。この「通常リーチハズレ変動」が、変動番号05の「CL・ノーマルリーチ3」、変動番号06の「CL・ノーマルリーチ5」、変動番号07の「CL・ノーマルリーチ6」、変動番号08の「CL・ノーマルリーチ7」、変動番号09の「CL・ノーマルリーチ9」、変動番号0Aの「CL・ノーマルリーチ10」、変動番号0Bの「CL・ノーマルリーチ11」、変動番号0Cの「CL・ノーマルリーチ13」に相当する。
なお、各変動パターンに基づく変動時間によって、リーチ後に中図柄列1153bが変動する時間(言い換えれば、リーチ後に中図柄列1153bがコマ送りされる数)が異なる。そのため、各変動パターン名「CL・ノーマルリーチN」に表記される数字「N」は、リーチ後に中図柄列1153bがNコマ分だけコマ送りされることを示している。具体的には、変動番号05の「CL・ノーマルリーチ3」が選択実行される場合、演出制御手段962(図86)は当該変動パターンの変動時間(ここでは、15900ms)に基づいて、リーチ後に中図柄列1153bを3コマ分だけ移動させたのちに停止表示させる。
また、変動パターン名に表記された「CL」は、ライン共通であることを意味する。つまり、本実施形態ではリーチ態様として、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cが一列のみ同一図柄となるシングルリーチと、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cが一列のみ同一図柄となるダブルリーチと、が存在する。そして、高期待演出を行なう場合に何れのリーチ態様とすべきは、各変動パターンごとに予め設定されている。しかしながら、「CL」(ライン共通)の変動パターンの場合は、いずれのリーチ態様を実行するかは予め定められておらず、周辺制御基板810において決定される。
より具体的には、「CL」(ライン共通)の変動パターンに基づいて高期待演出が実行される場合は、演出抽選手段960(図86参照)によってシングルリーチおよびダブルリーチのいずれかをランダムに選択決定し、当該決定されたリーチ態様を演出制御手段962(図86参照)が実行する。そのため、通常はシングルリーチよりもダブルリーチの方が大当たりへの期待度が高いところ、本実施形態の「CL」(ライン共通)の変動パターン(つまり、ノーマルリーチ)では、いずれのリーチ態様であっても大当たりへの期待度が同じである。
変動番号05の「CL・ノーマルリーチ3」は、通常リーチハズレ変動を実行する変動パターンのうちで最も変動時間が短く、そのベース変動時間は15900msである。そして、先述のようにライン共通であって、リーチ後に中図柄列1153bが3コマ分だけコマ送りされる。そして、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cに示されるリーチ図柄のライン上で、中図柄列1153bが当該コマ送りののちにリーチ図柄とは異なる図柄で停止して「ハズレ」が導出される。
同様にして、変動番号06の「CL・ノーマルリーチ5」は、ベース変動時間が17800mで、中図柄列1153bが5コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号07の「CL・ノーマルリーチ6」は、ベース変動時間が18800msで、中図柄列1153bが6コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号08の「CL・ノーマルリーチ7」は、ベース変動時間が19700msで、中図柄列1153bが7コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号09の「CL・ノーマルリーチ9」は、ベース変動時間が21700msで、中図柄列1153bが9コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号0Aの「CL・ノーマルリーチ10」は、ベース変動時間が22600msで、中図柄列1153bが10コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号0Bの「CL・ノーマルリーチ11」は、ベース変動時間が23600msで、中図柄列1153bが11コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号0Cの「CL・ノーマルリーチ13」は、ベース変動時間が25500msで、中図柄列1153bが11コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。
なお、上記の変動番号05,06,07,08,09,0A,0B,0Cの各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「通常リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T1R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1RAが選択されると、当該テーブルT1RAから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。一方、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「通常リーチハズレ変動」によって導出することはないため、第2特別図柄については上記の変動パターンが選択されることがない。
一方、演出表示装置115においてリーチ報知がなされたのちに中図柄列1153bのみ図柄変動が継続され、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cと同じ図柄で停止表示されて「当たり」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「通常リーチ当たり変動」である。この「通常リーチ当たり変動」が、変動番号0Dの「CL・ノーマルリーチ4」、変動番号0Eの「CL・ノーマルリーチ5」、変動番号0Fの「CL・ノーマルリーチ6」、変動番号10の「CL・ノーマルリーチ7」、変動番号11の「CL・ノーマルリーチ8」、変動番号12の「CL・ノーマルリーチ9」、変動番号13の「CL・ノーマルリーチ10」、変動番号14の「CL・ノーマルリーチ11」、変動番号15の「CL・ノーマルリーチ12」、変動番号16の「CL・ノーマルリーチ13」、変動番号17の「CL・ノーマルリーチ14」に相当する。
変動番号0Dの「CL・ノーマルリーチ4」は、通常リーチ当たり変動を実行する変動パターンのうちで最も変動時間が短く、そのベース変動時間は18800msである。そして、先述のようにライン共通であって、リーチ後に中図柄列1153bが4コマ分だけコマ送りされる。そして、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cに示されるリーチ図柄のライン上で、中図柄列1153bが当該コマ送りののちにリーチ図柄と同一図柄で停止して、装飾図柄1153のゾロ目による「当たり」が導出される。
同様にして、変動番号0Eの「CL・ノーマルリーチ5」は、ベース変動時間が19900msで、中図柄列1153bが5コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号0Fの「CL・ノーマルリーチ6」は、ベース変動時間が20800msで、中図柄列1153bが6コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号10の「CL・ノーマルリーチ7」は、ベース変動時間が21700msで、中図柄列1153bが7コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号11の「CL・ノーマルリーチ8」は、ベース変動時間が22700msで、中図柄列1153bが8コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号12の「CL・ノーマルリーチ9」は、ベース変動時間が23800msで、中図柄列1153bが9コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号13の「CL・ノーマルリーチ10」は、ベース変動時間が24600msで、中図柄列1153bが10コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号14の「CL・ノーマルリーチ11」は、ベース変動時間が31000msで、中図柄列1153bが11コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号15の「CL・ノーマルリーチ12」は、ベース変動時間が26600msで、中図柄列1153bが12コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号16の「CL・ノーマルリーチ13」は、ベース変動時間が27700msで、中図柄列1153bが13コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。変動番号17の「CL・ノーマルリーチ14」は、ベース変動時間が33900msで、中図柄列1153bが14コマ分だけコマ送りされる変動パターンである。
ただし、本実施形態では、「通常リーチ当たり変動」を実行する各変動パターンによっては、装飾図柄1153のゾロ目による当たり導出態様が、変動番号0Dの「CL・ノーマルリーチ4」のものとは異なっている。
具体的には、変動番号0Fの「CL・ノーマルリーチ6」および変動番号12の「CL・ノーマルリーチ9」では、中図柄列1153bのうちでリーチ図柄と同一の図柄が、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cに示されるリーチ図柄と同一ラインとなる位置から更に一コマ進んで一旦仮停止する。そののちに、当該同一ラインとなる位置に一コマ戻るような態様で、装飾図柄1153のゾロ目による「当たり」が導出される(いわゆる「戻り当たり」)。
また、変動番号14の「CL・ノーマルリーチ11」および変動番号17の「CL・ノーマルリーチ14」では、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cに示されるリーチ図柄のライン上で、中図柄列1153bが所定数のコマ送りののちにリーチ図柄とは異なる図柄で一旦仮停止する(すなわち、「ハズレ」を導出したかのように擬制する)。そののちに、当該仮停止した中図柄列1153bが変動を再開して、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cに示されるリーチ図柄のライン上で、中図柄列1153bが当該コマ送りののちにリーチ図柄と同一図柄で停止して、装飾図柄1153のゾロ目による「当たり」が導出される(いわゆる「再変動当たり」)。
なお、上記の変動番号0D,0E,0F,10,11,12,13,14,15,16,17の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「通常リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1AAが選択されると、当該テーブルT1AAから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「通常リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2AAが選択されると、当該テーブルT2AAから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
ところで、本実施形態の「通常リーチ変動」は、次のような従来にない特長を有する変動パターンである。すなわち、従来の「通常リーチ変動」は、大当たりの期待度が低いリーチであることから変動時間が短時間且つ一定であるものがほとんどであった。そのため、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cが同一図柄で揃うリーチ発生後に中図柄列1153bのコマ送りされる数も一定であった。このことから、リーチ発生時に中図柄列1153bに表示される図柄を見れば、リーチ発生後のコマ送り数から当該図柄変動が「当たり」であるか「ハズレ」であるかを遊技者が予測可能であった。特に、従来の「通常リーチ変動」ではほとんどが「ハズレ」であることから、当該図柄変動が終了する前に遊技者が「ハズレ」であることを予測できてしまうと、当該図柄変動の存在意義が没却するのみならず遊技の興趣が低下する問題があった。
そこで、本実施形態では、「通常リーチ変動」としてベース変動時間が異なる複数の変動パターンを設けた。これにより、各変動パターンによって、リーチ後の中図柄列1153bのコマ送り数が異なることになり、リーチ発生時に遊技者が当該図柄変動によって「ハズレ」または「当たり」のいずれが導出されるかを予測し難くでき、当該図柄変動が終了するまで遊技者の関心を維持することができる。
また、「通常リーチ変動」としての複数の変動パターンは、ベース変動時間が長い変動パターンほど特別大当たりが導出される期待度が高くなっている。特に、中図柄列1153bのコマ送り数が最も多い変動パターン(変動番号17の「CL・ノーマルリーチ14」)には「ハズレ」に対応するものがないため、必ず抽選結果として特別大当たりが導出される(つまり、特別大当たりが確定する)。このように、従来の「通常リーチ変動」は大当たりへの期待度が低いところ、本実施形態によれば「通常リーチ変動」でも十分に大当たりに当選しうる構成となっており、「通常リーチ変動」でも興趣が低下することがない。特に、遊技者は「通常リーチ変動」が実行されると、中図柄列1153bのコマ送り数がより多くなるように、演出時間がより長くなるのを期待しつつ注視するため、リーチ演出に対する関心を一層ひきつけることができる。
さらに、中図柄列1153bのコマ送り数が「4」となる変動パターン(変動番号0Dの「CL・ノーマルリーチ4」)、中図柄列1153bのコマ送り数が「8」となる変動パターン(変動番号11の「CL・ノーマルリーチ8」)、中図柄列1153bのコマ送り数が「12」となる変動パターン(変動番号15の「CL・ノーマルリーチ12」)は、それぞれ「ハズレ」に対応するものがない。つまり、中図柄列1153bのコマ送り数が「4」,「8」,「12」で停止する変動パターンは、必ず抽選結果として特別大当たりが導出される(つまり、特別大当たりが確定する)。
一方、リーチ発生後に中図柄列1153bのコマ送り数が「4」まで至ると、通常リーチ変動から後述する昇格リーチ変動の「Sリーチ」に発展することがある。また、リーチ発生後に中図柄列1153bのコマ送り数が「8」まで至ると、通常リーチ変動から後述する昇格リーチ変動の「Dリーチ」に発展することがある。また、リーチ発生後に中図柄列1153bのコマ送り数が「8」まで至ると、通常リーチ変動から後述する昇格リーチ変動の「Mリーチ」に発展することがある。
すなわち、リーチ発生後の中図柄列1153bのコマ送り数が「4」,「8」,「12」の場合は、ハズレが導出されることがなく、特別大当たりに当選するか昇格リーチに発展するかの何れかである。つまり、リーチ発生後の中図柄列1153bのコマ送り数が「4」,「8」,「12」の場合は、遊技者にとって大当たりの期待度が非常に高いといえる。
このように、本実施形態では、「通常リーチ変動」におけるリーチ発生後の中図柄列1153bのコマ送り数に意味を持たせている。そのため、従来の「通常リーチ変動」では遊技者は当該コマ送り数に関心を抱くことはなかったものの、本実施形態の「通常リーチ変動」では、遊技者に対してリーチ発生後の中図柄列1153bのコマ送り数に強い関心を持たせることができる。これにより、遊技者の「通常リーチ変動」に対する興趣を向上させることができるとともに、リーチ発生後の中図柄列1153bのコマ送り数に注目するという新たなリーチ演出の楽しみ方を提案することができる。
[通常遊技状態における通常ロングリーチ変動]
ところで、通常遊技状態における「通常リーチ変動」は、先述の「通常リーチハズレ変動」よりも変動時間が長い「通常ロングリーチハズレ変動」と、先述の「通常リーチ当たり変動」よりも変動時間が長い「通常ロングリーチ当たり変動」と、を有している。これらの「通常ロングリーチ変動」は、先述の「通常リーチ変動」(すなわち、通常ロングリーチハズレ変動および通常ロングリーチ当たり変動)と同様に、装飾図柄1153のみを用いたリーチ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたはハズレを導出する態様である。
ただし、「通常ロングリーチ変動」は、「通常リーチ変動」とは異なる特殊な背景演出が表示される。例えば、この特殊な背景演出として、図柄変動中は吹雪を模した画像が表示され、当該吹雪によって変動開始前の背景画像が隠蔽されるように表示制御される等である。
また、「通常ロングリーチ変動」は、「通常リーチ変動」のようなCL(ライン共通)ではなく、リーチ態様(すなわち、シングルリーチまたはダブルリーチ)が変動パターンごとに定義されている。本実施形態では、各変動パターン名において、「SL」がシングルリーチを示し、「DL」がダブルリーチを示している。
そして、通常遊技状態における「通常ロングリーチハズレ変動」が、変動番号18の「SL・ロングリーチ」および変動番号1Cの「DL・ロングリーチ」に相当する。変動番号18の「SL・ロングリーチ」は、ベース変動時間が33100mで、シングルラインのリーチ態様となる変動パターンである。変動番号1Cの「DL・ロングリーチ」は、ベース変動時間が33100mで、ダブルラインのリーチ態様となる変動パターンである。
なお、上記の変動番号18または1Cの各変動パターンは、第1特別図柄に対応した装飾図柄1153について「通常ロングリーチハズレ変動」を行う場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T1R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1RBが選択されると、当該テーブルT1RBから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄に対応した装飾図柄1153について「通常ロングリーチハズレ変動」を行う場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T2R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2RAが選択されると、当該テーブルT2RAから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
一方、通常遊技状態における「通常ロングリーチ当たり変動」が、変動番号1Aの「SL・ロングリーチ」および変動番号1Fの「DL・ロングリーチ」に相当する。変動番号1Aの「SL・ロングリーチ」は、ベース変動時間が36000mで、シングルラインのリーチ態様となる変動パターンである。変動番号1Fの「DL・ロングリーチ」は、ベース変動時間が36200mで、ダブルラインのリーチ態様となる変動パターンである。
なお、上記の変動番号1Aまたは1Fの各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「通常ロングリーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1ABが選択されると、当該テーブルT1ABから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「通常ロングリーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2ABが選択されると、当該テーブルT2ABから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
[通常遊技状態における昇格リーチ変動]
次に、通常遊技状態が実行されているときの昇格リーチを伴う演出表示態様である「昇格リーチ変動」について説明する。「昇格リーチ変動」は、装飾図柄1153を用いたリーチ演出(すなわち、先述の通常リーチ)を経由して、特定のキャラクタ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたはハズレを導出するリーチ演出に発展する態様である。また、「昇格リーチ変動」は、先述の「通常リーチ変動」と比較して大当たりへの期待度が高いことから、いわゆるスーパーリーチに相当する。
この「昇格リーチ変動」では、先述の通常リーチと同様に、演出表示装置115においてリーチ報知がなされたのちに中図柄列1153bのみ図柄変動が継続されるとともに、本パチンコ1に特有のキャラクタを用いたリーチ演出が実行される。そして、当該キャラクタを用いたリーチ演出ののちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「ハズレ」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「昇格リーチハズレ変動」である。また、当該キャラクタを用いたリーチ演出ののちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cと同じ図柄で停止表示されて「当たり」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「昇格リーチ当たり変動」である。
本実施形態では、先述のキャラクタとして、ナマケモノを模したキャラクタ(本実施形態では「S」と表記)、サーベルタイガーを模したキャラクタ(本実施形態では「D」と表記)、マンモスを模したキャラクタ(本実施形態では「M」と表記)の3種類のキャラクタを用いた昇格リーチが実行される。そして、「S」の用いたリーチ演出(Sリーチ)、「D」を用いたリーチ演出(Dリーチ)、「M」を用いたリーチ演出(Mリーチ)の順に、大当たりへの期待度が高くなるように設定されている(すなわち、図柄変動時間およびリーチ演出が時間が長い)。
そして、通常遊技状態における「昇格リーチハズレ変動」が、変動番号22の「SL・Sリーチショート」、変動番号25の「SL・Sリーチロング」、変動番号29の「SL・Sリーチショート発展」、変動番号37の「SL・Dリーチ」、変動番号3Aの「DL・Dリーチ」、変動番号3Eの「SL・Mリーチ」、変動番号42の「DL・Mリーチ」に相当する。
変動番号22の「SL・Sリーチショート」は、昇格リーチハズレ変動を実行する変動パターンのうちで最も変動時間が短く、そのベース変動時間は36500msである。そして、リーチ態様がシングルラインであって、キャラクタ「S」を用いたリーチ演出(Sリーチ)が実行される。変動番号25の「SL・Sリーチロング」は、ベース変動時間が37500ms且つリーチ態様がシングルラインであって、キャラクタ「S」を用いるものの変動番号22の「SL・Sリーチショート」とは内容が異なるキャラクタ演出であって且つ演出時間も長いリーチ演出が実行される。変動番号29の「SL・Sリーチショート発展」は、ベース変動時間が57300ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号22の「SL・Sリーチショート」と同一内容のキャラクタ演出を実行したのちに、さらに当該キャラクタ演出に連続するキャラクタ演出を継続して行なうリーチ演出が実行される。
変動番号37の「SL・Dリーチ」および変動番号3Aの「DL・Dリーチ」は、ともにキャラクタ「D」を用いたリーチ演出(Dリーチ)が実行される。ただし、変動番号37の「SL・Dリーチ」は、ベース変動時間が44700msで、リーチ態様がシングルラインである。変動番号3Aの「DL・Dリーチ」は、ベース変動時間が48400msで、リーチ態様がダブルラインである。
変動番号3Eの「SL・Mリーチ」および変動番号42の「DL・Mリーチ」は、ともにキャラクタ「M」を用いたリーチ演出(Mリーチ)が実行される。ただし、変動番号3Eの「SL・Mリーチ」は、ベース変動時間が55600msで、リーチ態様がシングルラインである。変動番号42の「DL・Mリーチ」は、ベース変動時間が55600msで、リーチ態様がダブルラインである。
なお、上記の変動番号22,25,29,37,3A,3E,42の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「昇格リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T1R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1RCが選択されると、当該テーブルT1RCから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「昇格リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T2R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2RBが選択されると、当該テーブルT2RBから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
一方、通常遊技状態における「昇格リーチ当たり変動」が、変動番号23の「SL・Sリーチショート」、変動番号27の「SL・Sリーチロング」、変動番号2Aの「SL・Sリーチショート発展」、変動番号38の「SL・Dリーチ」、変動番号3Bの「DL・Dリーチ」、変動番号3Fの「SL・Mリーチ」、変動番号43の「DL・Mリーチ」に相当する。
変動番号23の「SL・Sリーチショート」は、昇格リーチ当たり変動を実行する変動パターンのうちで最も変動時間が短く、そのベース変動時間は38500msである。そして、リーチ態様がシングルラインであって、変動番号22と同様のリーチ演出が実行される。変動番号27の「SL・Sリーチロング」は、ベース変動時間が46700ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号25と同様のリーチ演出が実行される。変動番号2Aの「SL・Sリーチショート発展」は、ベース変動時間が60300ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号29と同様のリーチ演出が実行される。変動番号38の「SL・Dリーチ」は、ベース変動時間が46700ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号37と同様のリーチ演出が実行される。変動番号3Bの「DL・Dリーチ」は、ベース変動時間が47400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号3Aと同様のリーチ演出が実行される。変動番号3Fの「SL・Mリーチ」は、ベース変動時間が56300ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号3Eと同様のリーチ演出が実行される。変動番号43の「DL・Mリーチ」は、ベース変動時間が48700ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号42と同様のリーチ演出が実行される。
なお、上記の変動番号23,27,2A,38,3B,3F,43の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「昇格リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1ACまたはテーブルT1ADが選択されると、当該テーブルT1ACまたはテーブルT1ADから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「昇格リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2ACまたはテーブルT2ADが選択されると、当該テーブルT2ACまたはテーブルT2ADから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
[通常遊技状態における特別リーチ変動]
次に、通常遊技状態が実行されているときの特別リーチを伴う演出表示態様である「特別リーチ変動」について説明する。「特別リーチ変動」は、「昇格リーチ変動」と同様に、特定のキャラクタ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたはハズレを導出する態様であるが、「昇格リーチ変動」と比較して更に大当たりへの期待度が高いスーパーリーチである。すなわち、本実施形態に係るパチンコ機1において、遊技者に最も有利な演出表示態様である。
この「特別リーチ変動」では、先述の通常リーチと同様に、演出表示装置115においてリーチ報知がなされたのちに中図柄列1153bのみ図柄変動が継続されるとともに(ただし、後述の氷河割れSCは除く)、原則として先述の昇格リーチを経由して、本パチンコ1に特有のキャラクタを用いたリーチ演出(特別リーチ)に発展する。そして、当該キャラクタを用いたリーチ演出ののちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「ハズレ」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「特別リーチハズレ変動」である。また、当該キャラクタを用いたリーチ演出ののちに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cと同じ図柄で停止表示されて「当たり」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「特別リーチ当たり変動」である。
本実施形態では、「特別リーチ変動」に伴うリーチ演出として、「ACリーチ」、「全回転リーチ」、「氷河割れSC」の3態様を有している。「ACリーチ」は、先述の3種類のキャラクタ「S」,「D」,「M」を全て用いた特別なリーチ演出である。「全回転リーチ」は、装飾図柄1153が全てゾロ目に揃った状態のまま図柄変動を行なう大当たり確定の特別なリーチ演出である。「氷河割れSC」は、発光装飾体1720を駆動させる役物演出を行なう特別なリーチ演出である。
特に、「氷河割れSC」は、装飾図柄1153の変動中に実行されると、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cが同一図柄に停止することなく(すなわち、リーチ報知がなされることなく)、装飾図柄1153の全図柄列が変動した状態で昇格リーチまたは特別リーチに発展する。つまり、「氷河割れSC」が実行されると、装飾図柄1153によるリーチ演出(通常リーチ)がなされることとなく、いわゆるスーパーリーチに直接発展するリーチ態様となる。
そして、通常遊技状態における「特別リーチハズレ変動」が、変動番号4Aの「SL・ACリーチ(D経由)」、変動番号4Dの「DL・ACリーチ(D経由)」、変動番号51の「SL・ACリーチ(M経由)」、変動番号54の「DL・ACリーチ(M経由)」、変動番号65の「氷河割れSC・DL・Dリーチ」、変動番号69の「氷河割れSC・DL・Mリーチ」、変動番号70の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(D経由)」、変動番号74の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(M経由)」、変動番号78の「氷河割れSC・SL・CHリーチ」に相当する。
変動番号4A,4D,51,54は、いずれも先述の全キャラクタを用いたリーチ演出(ACリーチ)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号4Aの「SL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が70700ms且つリーチ態様がシングルラインであって、先述のDリーチを実行したのちに当該Dリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号4Dの「DL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が80400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号4Aと同様にDリーチを実行したのちに当該Dリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号51の「SL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が81600ms且つリーチ態様がシングルラインであって、先述のMリーチを実行したのちに当該Mリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号54の「DL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が87600ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号51と同様にMリーチを実行したのちに当該Mリーチに引き続いてACリーチを実行する。つまり、これらの変動パターンは、先述の昇格リーチ(S、D,Mリーチ)からACリーチに発展する演出表示態様を実行させるものである。
変動番号65,69,70,74,78は、いずれも先述の発光装飾体1720を用いたリーチ演出(氷河割れSC)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号65の「氷河割れSC・DL・Dリーチ」は、ベース変動時間が40400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、氷河割れSCを実行したのちにDリーチを実行する。変動番号69の「氷河割れSC・DL・Mリーチ」は、ベース変動時間が43700ms且つリーチ態様がダブルラインであって、氷河割れSCを実行したのちにMリーチを実行する。変動番号70の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が72400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、氷河割れSCを実行したのちにDリーチを実行し、さらにDリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号74の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が75700ms且つリーチ態様がダブルラインであって、氷河割れSCを実行したのちにMリーチを実行し、さらにMリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号78の「氷河割れSC・SL・CHリーチ」は、ベース変動時間が51400ms且つリーチ態様がシングルラインであって、氷河割れSCを実行したのちにキャラクタCHを用いたリーチ演出(CHリーチ)を実行する。つまり、これらの変動パターンは、氷河割れSCという期待度の高い演出を契機として、通常リーチを経由することなく、先述の昇格リーチ(S、D,Mリーチ)、ACリーチあるいはCHリーチなどの各種スーパーリーチに直接発展する演出表示態様を実行させるものである。
なお、上記の変動番号4A,4D,51,54,65,69,70,74,78の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「特別リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T1R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1RDが選択されると、当該テーブルT1RDから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「特別リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時高期待ハズレテーブル(T2R)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2RCが選択されると、当該テーブルT2RCから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
また、通常遊技状態における「特別リーチ当たり変動」が、変動番号47の「SL・ACリーチ(S経由)」、変動番号4Bの「SL・ACリーチ(D経由)」、変動番号4Eの「DL・ACリーチ(D経由)」、変動番号52の「SL・ACリーチ(M経由)」、変動番号55の「DL・ACリーチ(M経由)」、変動番号58の「分岐1・全回転リーチ」、変動番号59の「分岐2・全回転リーチ」、変動番号5Aの「分岐3・全回転リーチ」、変動番号66の「氷河割れSC・DL・Dリーチ」、変動番号6Aの「氷河割れSC・DL・Mリーチ」、変動番号71の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(D経由)」、変動番号75の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(M経由)」、変動番号79の「氷河割れSC・SL・CHリーチ」、変動番号7Bの「氷河割れSC・全回転リーチ」、変動番号7Cの「氷河割れSC・全回転リーチ(連続経由)」に相当する。
変動番号47,4B,4E,52,55は、いずれも先述の全キャラクタを用いたリーチ演出(ACリーチ)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号47の「SL・ACリーチ(S経由)」は、ベース変動時間が70500ms且つリーチ態様がシングルラインであって、先述のSリーチを実行したのちに当該Sリーチに引き続いてACリーチを実行する。変動番号4Bの「SL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が72700ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号4Aと同様のリーチ演出が実行される。変動番号4Eの「DL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が76400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号4Dと同様のリーチ演出が実行される。変動番号52の「SL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が83600ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号51と同様のリーチ演出が実行される。変動番号55の「DL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が83600ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号54と同様のリーチ演出が実行される。
変動番号58,59,5Aは、いずれも先述の装飾図柄1153が全てゾロ目に揃った状態のまま図柄変動を行なうリーチ演出(全回転リーチ)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号58の「分岐1・全回転リーチ」、は、ベース変動時間が59200msであって、先述のSリーチを実行したのちに当該Sリーチに引き続いて全回転リーチを実行する。変動番号59の「分岐2・全回転リーチ」、は、ベース変動時間が63100msであって、先述のDリーチを実行したのちに当該Dリーチに引き続いて全回転リーチを実行する。変動番号5Aの「分岐3・全回転リーチ」、は、ベース変動時間が67000msであって、先述のMリーチを実行したのちに当該Mリーチに引き続いて全回転リーチを実行する。つまり、これらの変動パターンは、先述の昇格リーチ(S、D,Mリーチ)から全回転リーチに発展する演出表示態様を実行させるものである。
変動番号66,6A,71,75,79,7B,7Cは、いずれも先述の発光装飾体1720を用いたリーチ演出(氷河割れSC)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号66の「氷河割れSC・DL・Dリーチ」は、ベース変動時間が39400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号65と同様のリーチ演出が実行される。変動番号6Aの「氷河割れSC・DL・Mリーチ」は、ベース変動時間が36800ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号69と同様のリーチ演出が実行される。変動番号71の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が68400ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号70と同様のリーチ演出が実行される。変動番号75の「氷河割れSC・DL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が71700ms且つリーチ態様がダブルラインであって、変動番号74と同様のリーチ演出が実行される。変動番号79の「氷河割れSC・SL・CHリーチ」は、ベース変動時間が52400ms且つリーチ態様がシングルラインであって、変動番号78と同様のリーチ演出が実行される。変動番号7Bの「氷河割れSC・全回転リーチ」は、ベース変動時間が55100msであって、氷河割れSCを実行したのちに全回転リーチを実行する。変動番号7Bの「氷河割れSC・全回転リーチ」は、ベース変動時間が55100msであって、氷河割れSCを実行したのちに全回転リーチを実行する。変動番号7Cの「氷河割れSC・全回転リーチ(連続経由)」は、ベース変動時間が62000msであって、後述する連続変動を経て氷河割れSCを実行したのちに全回転リーチを実行する。
なお、上記の変動番号47,4B,4E,52,55,58,59,5A,66,6A,71,75,79,7B,7Cの各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「特別リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT1AE〜テーブルT1AGが選択されると、当該テーブルT1AE〜テーブルT1AGから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「特別リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2AE〜テーブルT2AGが選択されると、当該テーブルT2AE〜テーブルT2AGから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
より詳細には、テーブルT1AEあるいはテーブルT2AEが選択されると、ACリーチを伴う変動パターン(変動番号47,4B,4E,52,55)が選択されうる。また、テーブルT1AFあるいはテーブルT2AFが選択されると、全回転リーチを伴う変動パターン(変動番号58,59,5A)が選択されうる。また、テーブルT1AGあるいはテーブルT2AGが選択されると、氷河割れSCを伴う変動パターン(変動番号66,6A,71,75,79,7B,7C)が選択されうる。
[通常遊技状態における特殊リーチ変動]
次に、通常遊技状態が実行されているときの特殊リーチを伴う演出表示態様である「特殊リーチ変動」について説明する。「特殊リーチ変動」は、装飾図柄1153の各図柄列をゾロ目以外の態様で停止表示させて当りを導出する演出表示態様である。
この「特別リーチ変動」では、先述の低期待ハズレ変動と同様に、演出表示装置115においてリーチ演出がなされることなく、装飾図柄1153の各図柄列がゾロ目とならない態様で停止表示される。ただし、この装飾図柄1153の停止態様が、あらかじめ定められたゾロ目以外の当たり態様(所定目またはチャンス目)であって、この所定目またはチャンス目によって「当たり」が導出される演出表示態様が、通常遊技状態における「特殊リーチ変動」である。なお、この「特殊リーチ変動」では、抽選結果としてのハズレが導出されることはない。
そして、通常遊技状態における「特殊リーチ変動」が、変動番号95の「所定目変動」、変動番号9Aの「チャンス目大当たり」、変動番号9Bの「チャンス目経由大当たり」に相当する。
変動番号95の「所定目変動」は、変動時間が12800msであり、装飾図柄1153が変動したのちに各図柄列がゾロ目およびチャンス目とならない態様(所定目)で停止表示される。本実施形態の「所定目」は、左図柄列1153aと右図柄列1153cが同一図柄であって、且つ、中図柄列1153bが当該同一図柄からみて次の図柄で停止表示されるリーチハズレの態様をいう。具体的には、左図柄列1153aと右図柄列1153cが「7」で停止表示されてリーチ報知されたのちに、中図柄列1153bが「8」で停止表示される等である。なお、装飾図柄の組み合わせが変動番号95の所定目で表示されるのは、第1特別図柄の抽選結果が当たりの場合である。しかしながら、抽選結果が当たりであることを遊技者に積極的に示唆しないよう、装飾図柄の組み合わせをリーチハズレで表示すると共に、その他の演出表示装置115における表示、電飾または音響等も、抽選結果がハズレであるときと同様の態様とする。しかも、通常遊技状態に制御されているときに短開放通常大当たりに当選したとしても、その後、時短遊技状態に移行することなく通常遊技状態が継続する。つまり、外見上ハズレ時と異なるのは、開閉装置500が作動するか否かだけである。ただし、この開閉装置500の作動も、前述のとおり極めて短い時間開放するだけなので、短開放通常大当たりに当選したことを、遊技者が気付かないことが殆どである。
なお、上記の変動番号95の変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての通常大当たりは原則として「所定目変動」によって導出されるから、当該変動パターンが必ず選択される(ただし、変動番号9Cの変動パターンが選択される場合を除く)。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルT1AHが選択されて、当該テーブルT1RHから変動パターン用乱数2に拘らず当該変動パターンが選択される。一方、第2特別図柄の抽選結果としての通常大当たりを「所定目変動」によって導出することはないため、第2特別図柄については上記の変動パターンが選択されることがない。
変動番号9Aの「チャンス目大当たり」は、変動時間が20000msであり、装飾図柄1153が変動したのちに各図柄列がチャンス目で停止表示される。本実施形態の「チャンス目」は、左図柄列1153aが「3」、右図柄列1153cが「7」で停止表示されたのちに、中図柄列1153bが「5」で停止表示される態様をいう。また、変動番号9Bの「チャンス目経由大当たり」は、変動時間が21500msであり、装飾図柄1153が変動したのちに各図柄列がチャンス目で仮停止し、そののちに装飾図柄1153が再変動して各図柄列がゾロ目で停止表示される。
なお、上記の変動番号9Aの変動パターンは、第2特別図柄の抽選結果としての通常大当たりは「チャンス目」によって導出されるから、当該変動パターンが必ず選択される。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルT2ATが選択されて、当該テーブルT2ATから変動パターン用乱数2に拘らず当該変動パターンが選択される。さらに、上記の変動番号9A,9Bの変動パターンは、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「チャンス目経由大当たり」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・通常時当たりテーブル(T2A)から変動パターン用乱数1に基づいてテーブルT2AHが選択されて、当該テーブルT2AHから変動パターン用乱数2に基づいて当該変動パターンが選択されうる。一方、第1特別図柄の抽選結果としての通常大当たりまたは特別大当たりを「チャンス目」または「チャンス目経由大当たり」によって導出することはないため、第1特別図柄については上記の変動番号9A,9Bの変動パターンが選択されることがない。
ところで、時短機能が作動しない通常遊技状態では、第2始動口604に遊技球が入賞するのは困難であり、さらに第2特別図柄の抽選結果として「通常大当たり」に当選することは極めて稀である。つまり、本実施形態では、通常遊技状態時における第2特別図柄の抽選結果として「通常大当たり」は、極めてイレギュラーな大当たりとして位置づけられる。そのため、当該大当たりの導出に用いられる変動パターン(変動番号9Aの「チャンス目大当たり」)が選択されると、演出表示装置115では当該変動パターンに基づいて極めて特殊なリーチ演出が実行される。
以下、通常遊技状態時において第2特別図柄で通常大当たりに当選した場合に、演出表示装置115で実行される演出表示態様について、図118を参照して具体的に説明する。図118は、通常遊技状態時において第2特別図柄で通常大当たりに当選した場合の、演出表示装置での表示態様を示す画面フローである。
まず、第2特別図柄の抽選結果としての通常大当たり(すなわち、長開放通常大当たり)に当選し、変動番号9Aの変動パターンが選択されると、図118(a)に示すように演出表示装置115では、当該変動パターンに基づいて第2特別図柄(第2特別図柄表示器86および第2特別図柄対応図柄1002)および装飾図柄1153の変動が開始される。そして、図118(b)に示すように、当該変動パターンに基づく変動時間が経過すると、演出表示装置115では、左図柄列1153aが「3」、右図柄列1153cが「7」で順に停止表示されたのちに、中図柄列1153bが「5」で停止表示される(すなわち、装飾図柄1153が「チャンス目」の態様で停止表示される)。なお、変動番号9Aの変動パターンは、変動タイプ用乱数に拘らず変動タイプは40Hで一定であるから(図107参照)、変動時間はベース変動時間(20000ms)と同一である。
演出表示装置115に「チャンス目」が表示されると、図118(c)に示すように、
さらに長開放大当たり遊技が行なわれる大当たりに当選した旨を示す画面(ここでは、「BIG BONUS」)が表示され、遊技者が多量の賞球を獲得可能な長開放大当たり遊技が実行される。そして、当該長開放大当たり遊技が終了した後は、図118(d)に示すように、演出表示装置115に時短遊技状態に移行することを示す画面(ここでは「FREEZE ZONE」)が表示される。そして、図118(e)に示すように、時短機能が作動する時短遊技状態に移行し、特別図柄の変動回数が所定回(ここでは、50回)に至るまで、この時短遊技状態が継続することになる。
ところで、本実施形態では、先述のように、通常遊技状態においては基本的に確変機能を伴う特別大当たりのみに当選するような構成となっているため、装飾図柄1153はすべて特定図柄で表示される。一方で、確変機能を伴わない長開放通常大当たりに当選した場合には、装飾図柄1153に示される特定図柄のゾロ目で大当たりを導出することができないこととなる。
そのため、通常遊技状態時において第2特別図柄で通常大当たりに当選すると、装飾図柄1153のゾロ目ではなくチャンス目で当該大当たりを導出するようにした。これにより、遊技者に対しては、通常遊技状態では確変機能を伴なう大当たり(特別大当たり)にのみ当選するような印象を与えつつ、イレギュラーな長開放通常大当たりに当選した場合であっても、このような遊技者の印象を損なうことなく大当たりを導出することが可能である。
[特定遊技状態における低期待ハズレ変動]
次に、特定遊技状態において抽選結果が「ハズレ」であって、且つ、高期待演出抽選に外れたときに実行される低期待ハズレ変動について、図101および図108を参照して説明する。この「低期待ハズレ変動」とは、例えばリーチ発生などの高期待演出を伴わずに抽選結果としてハズレを導出する態様である。
図113および図114に示すように、特定遊技状態(時短遊技状態および特別遊技状態)時における演出表示装置115において、通常遊技状態と同様に、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示に伴って装飾図柄1153の変動が開始されると、左図柄列1153a、中図柄列1153bおよび右図柄列1153cでは各図柄が縦方向(より詳しくは、遊技者から見て上から下に向かう方向)にスクロールする態様で変動が行なわれたのちに停止する。なお、当該変動が第1特別図柄に対応するものであれば、第1特別図柄対応図柄1000においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。一方、当該変動が第2特別図柄に対応するものであれば、第2特別図柄対応図柄1002においても図柄変動の後に、装飾図柄1153と同様に停止表示される。
そして、左図柄列1153a、中図柄列1153bおよび右図柄列1153cの各停止図柄が全く関連性のない異なる図柄で停止して「ハズレ」が導出される演出表示態様が、特定遊技状態における「低期待ハズレ変動」である。この「低期待ハズレ変動」が、変動番号7Dの「開放延長中・通常変動」、変動番号7Eの「開放延長中・短縮変動」、変動番号96の「開放延長中・はずれ(保留なし)」に相当する。
変動番号7Dの「開放延長中・通常変動」は、低期待ハズレ変動を実行する最も標準的な変動パターンであり、そのベース変動時間は6000msである。この変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第1特別図柄の始動記憶数に拘らず選択実行される。
変動番号7Eの「開放延長中・短縮変動」は、変動番号7Dの「開放延長中・通常変動」よりもベース変動時間が短い低期待ハズレ変動(いわゆる、短縮変動)を実行する変動パターンであり、そのベース変動時間は1800msである。この変動パターンは、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第2特別図柄の始動記憶数が保留消化後を基準として1〜3個であるときに選択実行される。なお、この変動パターンは変動時間が極めて短いため、各図柄列1153a〜1153cは、短期間の図柄変動ののちにほぼ同時に停止する。
変動番号96の「開放延長中・はずれ(保留なし)」は、変動番号7Eの「開放延長中・短縮変動」よりもベース変動時間が長い低期待ハズレ変動を実行する変動パターンであり、そのベース変動時間は12200msである。この変動パターンは、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第2特別図柄の始動記憶数が保留消化後を基準として0個であるときに選択実行される。なお、この変動パターンは、変動番号7Eの「開放延長中・短縮変動」とは異なり、左図柄列1153a、右図柄列1153c、中図柄列1153bの順で停止する。
このように、上記の変動番号7E,96の各変動パターンは、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合に、第2特別図柄・特定時テーブル(J2)から変動パターン用乱数1および始動記憶数(保留数)に基づいてテーブルJ2HAまたはテーブルJ2HBが選択され、当該テーブルから変動パターン用乱数2に拘らず選択されうる。一方、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「低期待ハズレ変動」によって導出する場合は、第1特別図柄・特定時テーブル(J1)から変動パターン用乱数1および始動記憶数(保留数)に拘らずテーブルJ1Hが選択され、当該テーブルJ1Hから変動パターン用乱数2に拘らず変動番号7Dの変動パターンのみが選択される。
ところで、時短機能が作動する特定遊技状態において、変動番号7D,7E,96以外の変動パターンが選択実行されているときは、原則として、左図柄列1153aの停止図柄と右図柄列1153cの停止図柄とが同じとなり、演出表示装置115にはリーチを導出(リーチ報知)する画面が表示される。そして、当該リーチが成立した状態では、装飾図柄1153のうちで中図柄列1153bのみが変動するとともに、各特別図柄対応図柄1000,1002においても図柄変動が継続して実行される。そして、以下に説明するように、各種変動パターンに基づくリーチ演出がそれぞれ実行される。
[特定遊技状態における特定リーチ変動]
次に、特定遊技状態が実行されているときの特定リーチを伴う演出表示態様である「特定リーチ変動」について説明する。「特定リーチ変動」は、装飾図柄1153を用いたリーチ演出(すなわち、先述の通常リーチ)を経由せずに、特定遊技状態に固有のキャラクタ演出を行ったのちに抽選結果として当たりまたはハズレを導出するリーチ演出に発展する態様である。つまり、特定遊技状態においては、装飾図柄1153のみを用いたリーチ演出(先述の通常リーチ変動)は存在せず、リーチが発生する場合には必ずキャラクタを用いた特定遊技状態に固有のリーチ演出(特定リーチ)が実行される。
この「特定リーチ変動」では、装飾図柄1153によって直接的にリーチ報知がなされることなく、本パチンコ1に特有のキャラクタを用いた特定遊技状態に固有のリーチ演出(特定リーチ)に発展する。逆に言えば、この特定リーチが開始されることがリーチ報知を意味しており、演出表示装置115では当該特定リーチの実行中は装飾図柄1153の各図柄列が縮小表示されるとともに、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cが同一図柄で停止して中図柄列1153bのみが変動する態様が表示される。
本実施形態では、「特定リーチ変動」に伴うリーチ演出として、主として「大地Sリーチ」、「大地Dリーチ」、「大地Mリーチ」の3態様を有している。「大地Sリーチ」は、先述のキャラクタ「S」が固有の目的達成のために奮闘するリーチ演出である。「大地Dリーチ」は、先述のキャラクタ「D」が固有の目的達成のために奮闘するリーチ演出である。「大地Mリーチ」は、先述のキャラクタ「M」が固有の目的達成のために奮闘するリーチ演出である。
そして、各キャラクタが固有の目的を達成できなかったことが表示されるとともに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cとは異なる図柄で停止表示されて「ハズレ」が導出される演出表示態様が、特定遊技状態における「特定リーチハズレ変動」である。また、各キャラクタが固有の目的を達成できたことが表示されるとともに、中図柄列1153bが左図柄列1153aおよび右図柄列1153cと同じ図柄で停止表示されて「当たり」が導出される演出表示態様が、特定遊技状態における「特定リーチ当たり変動」である。
そして、特定遊技状態における「特定リーチハズレ変動」が、変動番号7Fの「開放延長中・大地Sリーチ」、変動番号84の「開放延長中・大地Dリーチ」、変動番号88の「開放延長中・大地Mリーチ」に相当する。
変動番号7F,84,88は、いずれも先述のキャラクタを用いたもリーチ演出(特定リーチ)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号7Fの「開放延長中・大地Sリーチ」は、ベース変動時間が37600msであって、先述の「大地Sリーチ」が実行される。変動番号84の「開放延長中・大地Dリーチ」は、ベース変動時間が40800msであって、先述の「大地Dリーチ」が実行される。変動番号88の「開放延長中・大地Mリーチ」は、ベース変動時間が49400msであって、先述の「大地Mリーチ」が実行される。
なお、上記の変動番号7F,84,88の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「特定リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第1特別図柄・特定時テーブル(J1)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ1Rが選択されると、当該テーブルJ1Rから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としてのハズレを「特定リーチハズレ変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・特定時テーブル(J2)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ2Rが選択されると、当該テーブルJ2Rから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。
また、特定遊技状態における「特定リーチ当たり変動」が、変動番号81,82,83の「開放延長中・大地Sリーチ」、変動番号85,86,87の「開放延長中・大地Dリーチ」、変動番号89,8A,8Bの「開放延長中・大地Sリーチ」、変動番号8Cの「開放延長中・SL・Sリーチショート」、変動番号8Dの「開放延長中・SL・Sリーチロング」、変動番号8Eの「開放延長中・SL・Sリーチショート発展」、変動番号8Fの「開放延長中・SL・Dリーチ」、変動番号90の「開放延長中・SL・Mリーチ」、変動番号91の「開放延長中・SL・ACリーチ(S経由)」、変動番号92の「開放延長中・SL・ACリーチ(D経由)」、変動番号93の「開放延長中・SL・ACリーチ(M経由)」、変動番号94の「開放延長中・全回転リーチ」に相当する。
変動番号81,82,83,85,86,87,89,8A,8Bは、いずれも先述のキャラクタを用いたリーチ演出(特定リーチ)が実行される変動パターンである。ただし、変動番号81,82,83の「開放延長中・大地Sリーチ」は、ベース変動時間がそれぞれ74300ms、46600ms、50800msであって、先述の「大地Sリーチ」が実行される。変動番号85,86,87の「開放延長中・大地Dリーチ」は、ベース変動時間がそれぞれ69600ms、42000ms、47100msであって、先述の「大地Dリーチ」が実行される。変動番号89,8A,8Bの「開放延長中・大地Sリーチ」は、ベース変動時間がそれぞれ78800ms、51100ms、55500msであって、先述の「大地Mリーチ」が実行される。
ただし、本実施形態では、「特定リーチハズレ変動」を実行する各変動パターンによっては、各キャラクタの演出態様や装飾図柄1153による当たり導出態様が異なっている。
例えば、変動番号81,85,89の変動パターンでは、先述のように各キャラクタが固有の目的を達成するかたちで大当たりが導出されるとともに、装飾図柄1153が非特定図柄のゾロ目で停止表示される。そして、長開放大当たり遊技の開始前または実行中に、当該大当たり遊技後に特別遊技状態に移行するか否か(すなわち、特別大当たりに当選しているか)を導出する昇格演出(再抽選とも称する。)が実行される。特別図柄の抽選結果が「特別大当たり」であれば、昇格演出において大当たり遊技後に特別遊技状態に移行することを示唆する一方、特別図柄の抽選結果が「通常大当たり」であれば、昇格演出において大当たり遊技後に特別遊技状態に移行しない(言い換えれば、時短遊技状態に移行する)ことを示唆する。
一方、変動番号82,86,8Aの変動パターンでは、先述のように各キャラクタが固有の目的を達成するかたちで大当たりが導出されるとともに、装飾図柄1153が特定図柄のゾロ目で停止表示される。そして、この大当たりの導出時に、大当たり遊技後に特別遊技状態に移行することを示唆する。つまり、この変動パターンでは、この大当たりの導出時点で、遊技者からすれば確率変動を伴う大当たり(特別大当たり)に当選したことが確定する。
また、変動番号83,87,8Bの変動パターンでは、各キャラクタが固有の目的達成に失敗した演出がなされるものの、さらに当該キャラクタが再起して目的達成に成功する逆転演出によって大当たりが導出されるとともに、装飾図柄1153が特定図柄のゾロ目で停止表示される。そして、この大当たりの導出時に、大当たり遊技後に特別遊技状態に移行することを示唆する。つまり、この変動パターンでも、この大当たりの導出時点で、遊技者からすれば確率変動を伴う大当たり(特別大当たり)に当選したことが確定する。
変動番号8C,8D,8E,8F,90,91,92,93,94は、いずれも先述した通常遊技状態における昇格リーチまたは特別リーチと同じリーチ演出が実行される変動パターンである。ただし、変動番号8Cの「開放延長中・SL・Sリーチショート」は、ベース変動時間が32900msであって、変動番号22,23と同様のリーチ演出が実行される。変動番号8Dの「開放延長中・SL・Sリーチロング」は、ベース変動時間が41000msであって、変動番号25,27と同様のリーチ演出が実行される。変動番号8Eの「開放延長中・SL・Sリーチショート発展」は、ベース変動時間が54600msであって、変動番号29,2Aと同様のリーチ演出が実行される。変動番号8Fの「開放延長中・SL・Dリーチ」は、ベース変動時間が37200msであって、変動番号37,38と同様のリーチ演出が実行される。変動番号90の「開放延長中・SL・Mリーチ」は、ベース変動時間が42900msであって、変動番号3E,3Fと同様のリーチ演出が実行される。変動番号91の「開放延長中・SL・ACリーチ(S経由)」は、ベース変動時間が64900msであって、変動番号47と同様のリーチ演出が実行される。変動番号92の「開放延長中・SL・ACリーチ(D経由)」は、ベース変動時間が63100msであって、変動番号4A,4Bと同様のリーチ演出が実行される。変動番号93の「開放延長中・SL・ACリーチ(M経由)」は、ベース変動時間が70200msであって、変動番号51,52と同様のリーチ演出が実行される。変動番号94の「開放延長中・全回転リーチ」は、ベース変動時間が53600msであって、変動番号58,59,5Aと同様のリーチ演出が実行されるが、昇格リーチを経由することなく直接全回転リーチに発展する。
本実施形態では、上記の変動番号8C,8D,8E,8F,90,91,92,93,94の変動パターンが選択実行された場合には、先述の昇格リーチおよび特別リーチと同様にキャラクタ演出によって大当たりが導出されるとともに、装飾図柄1153が特定図柄のゾロ目で停止表示される。また、特定遊技状態では、通常遊技状態における昇格リーチまたは特別リーチが実行された場合に、抽選結果として「ハズレ」が導出されることがない。ところで、通常遊技状態においては、昇格リーチは比較的大当たりへの期待度が低いリーチ態様であり、また特別リーチであっても「ハズレ」が導出されることがあった。一方、特定遊技状態において昇格リーチまたは特別リーチが実行されると、確変機能を伴う大当たり(特別大当たり)が必ず確定するため、特定遊技状態におけるこれらのリーチ態様は遊技者にとって極めて有利となっている。
なお、上記の変動番号81,82,83,85,86,87,89,8A,8B,8C,8D,8E,8F,90,91,92,93,94の各変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「特定リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択される。すなわち、第1特別図柄・特定時テーブル(J1)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ1Aが選択され、当該テーブルJ1Aから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択されうる。また、第2特別図柄の抽選結果としての特別大当たりを「特定リーチ当たり変動」によって導出する場合に選択されうる。すなわち、第2特別図柄・特定時テーブル(J2)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ2Aが選択され、当該テーブルJ2Aから変動パターン用乱数2に基づいて何れかの変動パターンが選択される。なお、第2特別図柄の抽選結果としての通常大当たりは必ず「特定リーチ当たり変動」によって導出されるから、第2特別図柄・特定時テーブル(J2)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ2ATが選択され、当該テーブルJ2ATから変動パターン用乱数2に基づいて変動番号81,85,89の変動パターンの何れかが選択される。
[特定遊技状態における特殊リーチ変動]
次に、特定遊技状態が実行されているときの特殊リーチを伴う演出表示態様である「特殊リーチ変動」について説明する。「特殊リーチ変動」は、装飾図柄1153の各図柄列をゾロ目以外の態様で停止表示させて当りを導出する演出表示態様である。特定遊技状態における「特殊リーチ変動」は、基本的には通常遊技状態における「特殊リーチ変動」と同様に、装飾図柄1153の停止態様がゾロ目以外の所定目となることで「当たり」が導出される演出表示態様である。
そして、特定遊技状態における「特殊リーチ変動」が、変動番号97の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Sリーチ」、変動番号98の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Dリーチ」、変動番号99の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Mリーチ」に相当する。
変動番号97の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Sリーチ」は、ベース変動時間が45600msであって、変動番号7Fと同様のリーチ演出が実行される。変動番号98の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Dリーチ」は、ベース変動時間が40800msであって、変動番号84と同様のリーチ演出が実行される。変動番号99の「開放延長中・非確変2R当たり・大地Mリーチ」は、ベース変動時間が49400msであって、変動番号88と同様のリーチ演出が実行される。
なお、上記の変動番号97,98,99の変動パターンは、第1特別図柄の抽選結果としての通常大当たりは所定目によって導出されるから、当該変動パターンが必ず選択される。すなわち、第1特別図柄・特定時テーブル(J1)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルJ1AHが選択されて、当該テーブルJ1AHから変動パターン用乱数2に拘らず当該変動パターンが選択される。一方、第2特別図柄の抽選結果としての通常大当たりを「所定目」によって導出することはないため、第2特別図柄については上記の変動番号97,98,99の変動パターンが選択されることがない。
ところで、時短機能が作動する特定遊技状態では、第1始動口602よりも第2始動口604に遊技球が入賞し易く、且つ第1特別図柄よりも第2特別図柄のほうが優先的に変動されるため、第1特別図柄で「大当たり」に当選する前に第2特別図柄で「通常大当たり」に当選することは極めて稀である。つまり、本実施形態では、特定遊技状態時における第1特別図柄の抽選結果として「通常大当たり」は、極めてイレギュラーな大当たりとして位置づけられる。そのため、当該大当たりの導出に用いられる変動パターン(変動番号97,98,99の「開放延長中・非確変2R当たり・大地リーチ」)が選択されると、演出表示装置115では当該変動パターンに基づいて極めて特殊なリーチ演出が実行される。
以下、特定遊技状態時において第1特別図柄で通常大当たりに当選した場合に、演出表示装置115で実行される演出表示態様について、図119を参照して具体的に説明する。図119は、特定遊技状態時において第1特別図柄で通常大当たりに当選した場合の、演出表示装置での表示態様を示す画面フローである。
まず、第1特別図柄の抽選結果としての通常大当たり(すなわち、短開放通常大当たり)に当選し、変動番号97,98,99のうちで何れかの変動パターンが選択されると、図119(a)に示すように演出表示装置115では、当該変動パターンに基づいて第1特別図柄(第1特別図柄表示器84および第1特別図柄対応図柄1000)および装飾図柄1153の変動が開始されるとともに、先述の大地系リーチが実行される。そして、当該変動パターンに基づく変動時間が経過すると、演出表示装置115では大地系リーチがキャラクタによる目的達成失敗というかたちで終了するとともに、図119(b)に示すように、装飾図柄1153が所定目で停止表示される。一例として、図119(b)は、左図柄列1153aと右図柄列1153cが「6」で停止表示されてリーチ報知されたのちに、中図柄列1153bが「7」で停止表示される所定目を示している。なお、特定遊技状態では変動タイプが設定されないため、図柄変動時間は変動番号97,98,99の各変動パターンに基づく変動時間と同一である。
なお、変動番号97,98,99の変動パターンは、大地系リーチが実行されて抽選結果として「ハズレ」が導出される点で、変動番号7F,84,88の変動パターンと同一のリーチ演出となっている。しかしながら、変動番号7F,84,88の変動パターンが実行された場合は、抽選結果として単なるハズレが導出されて特別遊技状態が継続する一方で、変動番号97,98,99の変動パターンが実行された場合は、短開放通常大当たりへの当選によって特別遊技状態が終了する。そのため、変動番号97,98,99の変動パターンに基づくリーチ演出では、変動番号7F,84,88の変動パターンに基づくリーチ演出とは異なり、特別遊技状態が終了してしまう不利益を間接的または直接的に導出することが望ましい(例えば、「危険!」あるいは「DANGER」などの警告表示を行うなど)。
そして、演出表示装置115に「所定目」が表示されると、大当たりに当選した旨を示す画面が表示されることなく、遊技者が多量の賞球を獲得困難な短開放大当たり遊技が実行される。そして、当該短開放大当たり遊技が終了した後は、図119(c)に示すように、演出表示装置115に時短遊技状態に移行することを示す画面(ここでは「FREEZE ZONE」)が表示される。そして、図119(d)に示すように、時短機能が作動する時短遊技状態に移行し、特別図柄の変動回数が所定回(ここでは、100回)に至るまで、この時短遊技状態が継続することになる。
ところで、本実施形態では、先述のように、特定遊技状態においては基本的に長開放大当たり遊技を伴う大当たり(特別大当たりまたは長開放通常大当たり)のみに当選するような構成となっているが、第1特別図柄で通常大当たり(すなわち、短開放通常大当たり)に当選した場合には短開放大当たり遊技が実行されることになり、遊技者が多量の賞球を獲得することなく特別遊技状態が終了することになる。一般に、装飾図柄1153のゾロ目で大当たりが導出されると遊技者は多量の賞球を獲得できると認識するため、短開放通常大当たりに当選した場合には、装飾図柄1153のゾロ目で大当たりを導出することができないこととなる。
そのため、特定遊技状態時において第1特別図柄で通常大当たりに当選すると、装飾図柄1153のゾロ目ではなく所定目で当該大当たりを導出するようにした。これにより、遊技者に対しては、特定遊技状態では多量の賞球を獲得可能な大当たり(特別大当たりまたは長開放通常大当たり)にのみ当選するような印象を与えつつ、イレギュラーな短開放通常大当たりに当選した場合であっても、このような遊技者の印象を損なうことなく大当たりを導出することが可能である。
[キャラクタ飼育モード移行変動]
次に、通常遊技状態において遊技者が所定のキャラクタを飼育することが可能となる「キャラクタ飼育モード」に移行する契機となる演出表示態様である「キャラクタ飼育モード移行変動」について説明する。この「キャラクタ飼育モード移行変動」は、装飾図柄1153の各図柄列がハズレ目で停止表示されるとともに、「キャラクタ飼育モード」に移行したことが告知される演出表示態様である。
そして、「キャラクタ飼育モード移行変動」が、変動番号9Cの「CHチャンス突入演出」に相当する。この変動番号9Cの「CHチャンス突入演出」は、ベース変動時間が19600msであり、変動タイプは変動タイプ乱数に拘らず10Hである。なお、この変動パターンが通常大当たりに基づいて選択された場合には、「キャラクタ飼育モード移行変動」ののちに短開放大当たり遊技が実行される。
なお、上記の変動番号9Cの「CHチャンス突入演出」は、通常遊技状態において第1特別図柄の抽選結果としてのハズレを「キャラクタ飼育モード移行変動」によって導出する場合に選択される。すなわち、第1特別図柄・通常時低期待ハズレテーブル(T1H)から変動パターン用乱数1に拘らず始動記憶数(保留数)に基づいてテーブルT1H0〜テーブルT1H3のいずれかが選択されると、当該テーブルから変動パターン用乱数2に基づいて選択されうる。また、通常遊技状態において第1特別図柄の抽選結果としての通常大当たりを「キャラクタ飼育モード移行変動」によって導出する場合にも選択される。すなわち、第1特別図柄・通常時当たりテーブル(T1A)から変動パターン用乱数1に拘らずテーブルT1AHが選択されると、当該テーブルから変動パターン用乱数2に基づいて選択されうる。
つまり、この「キャラクタ飼育モード移行変動」は、通常遊技状態において第1特別図柄の抽選結果が「ハズレ」または「通常大当たり」であるときに、変動番号9Cの変動パターンに基づいて実行されうる。そして、「キャラクタ飼育モード移行変動」が実行された後は、通常遊技状態において「キャラクタ飼育モード」が実行される。この「キャラクタ飼育モード」が、演出表示装置115に表示されるキャラクタを擬似的に飼育することができる。例えば、遊技者は操作ボタン327を任意に押下して、キャラクタを愛撫したり、叩いたり、エサを与えたりすることができる。なお、この「キャラクタ飼育モード」は、特別図柄が所定数だけ変動した場合や(例えば、30回)、スーパーリーチが実行された場合などに終了する。
このように、「キャラクタ飼育モード移行変動」を契機として「キャラクタ飼育モード」に移行させることで、比較的単調な遊技が繰り返される通常遊技状態に変化をもたらして、遊技者が飽きにくくすることができる。そして、「キャラクタ飼育モード」では、遊技者がキャラクタを擬似的に飼育することで、通常遊技状態に対する興趣が向上するともに、パチンコ機1に対する愛着を増幅させることができる。
[変動タイプについて]
次に、各変動パターンごとに設定される変動タイプについて、図100および図107を参照して説明する。先述したように、各変動パターンの変動タイプは、通常遊技状態において変動タイプ用乱数に基づいて変動タイプテーブル(図100および図107)を参照して選択決定される。そして、各特別図柄および装飾図柄1153の変動時間や、演出表示装置115における演出態様は、これらの変動タイプによっても異なっている。
図100に示すように、第1特別図柄の変動パターンに付与される変動タイプには、10H,11H,12H,13Hがあり、各変動パターンごとに変動タイプ用乱数に基づいて何れかの変動タイプが付与される。また、図107に示すように、第2特別図柄の変動パターンに付与される変動タイプには、40H,41H,42H,43Hがあり、各変動パターンごとに変動タイプ用乱数に基づいて何れかの変動タイプが付与される。
変動タイプ10Hおよび40Hは、以下に示す変動タイプに対する基準となる変動タイプであり、変動パターンの変動時間がベース変動時間であることを示す。この変動タイプ10Hおよび40Hが付与された変動パターンに対しては、図柄変動時間の追加はなされないため、当該変動パターンに基づく変動時間はベース変動時間と一致する。また、当該変動パターンに基づく演出実行時に、変動タイプに基づく追加的な演出(以下、タイプ付加演出とよぶ。)は実行されない。
変動タイプ11Hおよび41Hは、変動パターンに基づく演出時にタイプ付加演出として「スベリ」を実行するととともに、当該「スベリ」演出を実行するための付加時間が3800msであることを示す。この変動タイプ11Hおよび41Hが付与された変動パターンに対しては、ベース変動時間に対して付加時間として3800msが追加されるため、当該変動パターンに基づく変動時間はベース変動時間と付加時間との和と一致する。そして、当該変動パターンに基づく演出実行時には、この付加時間(3800ms)を利用して「スベリ」演出が実行される。「スベリ」演出では、装飾図柄1153の右図柄列1153cが左図柄列1153aとは異なる図柄で仮停止したのちに、当該右図柄列1153cが再変動を行なって左図柄列1153aと同一図柄で停止(すなわち、リーチ発生)する演出態様である。
変動タイプ12Hおよび42Hは、変動パターンに基づく演出時にタイプ付加演出として「連続変動2回」を実行するととともに、当該「連続変動2回」演出を実行するための付加時間が7400msであることを示す。この変動タイプ12Hおよび42Hが付与された変動パターンに対しては、ベース変動時間に対して付加時間として7400msが追加されるため、当該変動パターンに基づく変動時間はベース変動時間と付加時間との和と一致する。そして、当該変動パターンに基づく演出実行時には、この付加時間(7400ms)を利用して「連続変動2回」演出が実行される。「連続変動2回」演出では、装飾図柄1153の各図柄列が「ハズレ目」で仮停止したのちに、当該各図柄列が再変動を行なって左図柄列1153aと右図柄列1153cとが同一図柄で停止(すなわち、リーチ発生)する演出態様である。
変動タイプ13Hおよび43Hは、変動パターンに基づく演出時にタイプ付加演出として「連続変動3回」を実行するととともに、当該「連続変動3回」演出を実行するための付加時間が14200msであることを示す。この変動タイプ13Hおよび43Hが付与された変動パターンに対しては、ベース変動時間に対して付加時間として14200msが追加されるため、当該変動パターンに基づく変動時間はベース変動時間と付加時間との和と一致する。そして、当該変動パターンに基づく演出実行時には、この付加時間(14200ms)を利用して「連続変動3回」演出が実行される。「連続変動3回」演出では、装飾図柄1153の各図柄列が「ハズレ目」で仮停止したのちに、当該各図柄列が再変動を行なって再び「ハズレ目」で仮停止し、さらに当該各図柄列が再変動を行なって左図柄列1153aと右図柄列1153cとが同一図柄で停止(すなわち、リーチ発生)する演出態様である。
なお、本実施形態の「スベリ」演出では、右図柄列1153cが仮停止すると、先述のキャラクタ「S」、「D」、「M」が出現して、当該キャラクタの動作に応じて右図柄列1153cの再変動が開始される演出が行なわれる。そして、キャラクタ「S」、「D」、「M」の順で、当該変動パターンによって大当たりが導出される期待度が高い。言い換えれば、大当たりの期待度が高い変動パターンほど、「スベリ」演出が実行される際に使用されるキャラクタが「M」、「D」、「S」の順で選択されるように制御される。
また、本実施形態の「連続変動」演出では、装飾図柄1153の各図柄列が「ハズレ目」で仮停止すると、発光装飾体1720が駆動するとともにスピーカーから所定の効果音が出力されたのちに、装飾図柄1153の各図柄列の再変動が開始される。これにより、装飾図柄1153の変動が、通常の図柄変動ではなく「連続変動」演出による再変動であることを、遊技者は確実に把握することができる。
ところで、先述したように、特別図柄の変動時間(変動パターンに基づく演出表示態様の実行時間)と特別大当たりに当選している期待度とは密接に関係しており、変動時間(演出時間)が長いほど特別大当たりへの期待度が大きい。これに関連して、変動パターンに付与される変動タイプも、付加時間が長い変動タイプほど特別大当たりへの期待度が大きい。言い換えれば、特別大当たりへの期待度が高い変動パターンに対しては、より付加時間が長い変動タイプが付与されやすい。
具体的には、図100および図107に示すように、特別大当たりに当選しない「低期待ハズレ変動」や「特殊リーチ変動」には、原則として変動タイプ10Hまたは40Hのみが付与される。また、特別大当たりに当選している期待度が低い「通常リーチ変動」には、変動タイプ10H,11Hまたは40H,41Hが付与される。また、特別大当たりに当選している期待度が高い「通常ロングリーチ変動」、「昇格リーチ変動」および「特別リーチ変動」には、変動タイプ10H〜13Hまたは40H〜43Hが付与される。
このように、本実施形態では、特別大当たりに当選している期待度が高い変動パターンほど、より付加時間の長い変動タイプを付与することで、当該変動パターンに基づく演出時間がさらに長くなるとともに、当該変動パターンに基づくリーチ演出以外の付加演出も実行される。そのため、より特別大当たりに当選している期待度が高い変動パターンおよび変動タイプに基づくリーチ演出が実行されると、遊技者が抱く期待感が一層高まり興趣を格段に向上させることができる。
上述した本実施形態の遊技機は、以下の技術思想に具現化できる。なお、以下の各技術思想は単独で、若しくは、適宜組み合わされて備えられている。また、以下の各技術思想は、本実施形態を技術思想として表現しているため、本実施形態に記載の用語を上位概念化された用語で表現している。この上位概念化された用語については後述する。
[技術思想1]
変動開始条件の成立により、図柄記憶手段に記憶される装飾図柄にて構成される複数の図柄列の変動表示が行われる図柄表示手段を備え、
当該複数の図柄列が停止したときの停止図柄が当たりを示す組み合わせとなったときに当たり遊技が実行される遊技機であって、
遊技領域を流下する遊技球を受け入れうる第1受入口、および、当該第1受入口の下方に配置される第2受入口と、
前記第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて第1始動情報を抽出する第1始動情報抽出手段、および、前記第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて第2始動情報を抽出する第2始動情報抽出手段と、
前記第1始動情報抽出手段によって抽出された第1始動情報を第1の上限値まで記憶する第1始動情報記憶手段、および、前記第2始動情報抽出手段によって抽出された第2始動情報を第2の上限値まで記憶する第2始動情報記憶手段と、
前記変動開始条件が成立したときに、前記第1始動情報記憶手段によって記憶される第1始動情報についての当落を記憶された順に判定し、または、前記第2始動情報記憶手段によって記憶される第2始動情報についての当落を記憶された順に判定する当落判定手段と、
前記複数の図柄列を変動させて、当該複数の図柄列が停止したときの停止図柄の組み合わせによって前記当落判定手段による判定結果が表示されるように制御する図柄表示制御手段と、
前記停止図柄が当たりを示す組み合わせとなったときに、遊技球の入賞が許容されうる可変入賞口と、
少なくとも前記可変入賞口への遊技球の入賞に応じて所定量の賞球を遊技者に付与する賞球付与手段と、
前記停止図柄が当たりを示す組み合わせで表示されたとき、前記可変入賞口への遊技球の入賞を許容する当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、
前記当たり遊技実行手段による当たり遊技の終了後の遊技状態を、前記当落判定手段によって当たりと判定される確率が相対的に高い特別遊技状態、又は、前記当落判定手段によって当たりと判定される確率が相対的に低い通常遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段とを備え、
前記図柄記憶手段には、前記遊技状態制御手段にて遊技状態が前記特別遊技状態に制御されることを遊技者が連想しうる態様の図柄である特定図柄、及び、前記遊技状態制御手段にて遊技状態が前記通常遊技状態に制御されることを遊技者が連想しうる態様の図柄である非特定図柄が記憶され、
前記遊技状態制御手段は、前記当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも前記特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を前記特別遊技状態に制御し、
前記当たり遊技実行手段は、
前記当落判定手段による前記第1始動情報についての当落の判定結果が当たりであるとき、
前記停止図柄が前記所定の組み合わせで表示された場合に、多量の遊技球を賞として遊技者に付与すべく前記可変入賞口への遊技球の入賞が容易化される大賞当たり遊技を実行すると共に、
前記停止図柄が前記所定の組み合わせ以外の組み合わせで表示されたときは、前記当落判定手段による当落の判定結果が当たりであるにもかかわらず、遊技球が辛うじて入賞しうる態様で前記可変入賞口が作動する小賞当たり遊技を実行可能に構成されており、
前記図柄表示制御手段は、
前記複数の図柄列を、少なくとも前記特定図柄で構成しうる図柄列構成手段を有し、
前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記通常遊技状態に制御されているときには、前記図柄列構成手段にて前記複数の図柄列を前記特定図柄のみで構成し、前記停止図柄の所定の組み合わせを、常に、前記特定図柄による所定の組み合わせで表示すること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、第1受入口(第1始動口602)に遊技球が受け入れられると第1始動情報が抽出され、第2受入口(第2始動口604)に遊技球が受け入れられると第2始動情報が抽出される。より具体的には、第1受入口に遊技球が受け入れられると、第1検出スイッチ(第1始動口センサ780)により第1受入口への遊技球の受け入れが検出され、当該第1検出スイッチによる受入検出に基づいて第1始動情報が抽出される。同様に、第2受入口に遊技球が受け入れられると、第2検出スイッチ(第2始動口センサ782)により第2受入口への遊技球の受け入れが検出され、当該第2検出スイッチによる受入検出に基づいて第2始動情報が抽出される。第1始動情報が抽出されると、第1始動情報記憶手段に記憶されている第1始動情報の数が第1の上限値未満であることを条件に、第1始動情報記憶手段に記憶される。また、第2始動情報が抽出されると、第2始動情報記憶手段に記憶されている第2始動情報の数が第2の上限値未満であることを条件に、第2始動情報記憶手段に記憶される。ところで、第1受入口に遊技球が受け入れられたときに、第1始動情報記憶手段に記憶されている第1始動情報が第1の上限値に至っていれば、抽出された第1始動情報が第1始動情報記憶手段に記憶されることなく破棄される。同様に、第2受入口に遊技球が受け入れられたときに、第2始動情報記憶手段に記憶されている第2始動情報が第2の上限値に至っていれば、抽出された第2始動情報が第2始動情報記憶手段に記憶されることなく破棄される。なお、各始動情報記憶手段に記憶されている各始動情報が各上限値であるとき、抽出された各始動情報を破棄することに代えて、各受入口に遊技球が受け入れられたとしても各始動情報を抽出しないようにしても良い。そして、当落判定手段は、変動開始条件が成立したときに、第1始動情報記憶手段によって記憶される第1始動情報についての当落を記憶された順に判定し、または、第2始動情報記憶手段によって記憶される第2始動情報についての当落を記憶された順に判定する。ここで、始動情報とは、受入口に遊技球が受け入れられた際に抽出される情報である。始動情報は、例えば、当たりかハズレかの判定に用いられる当落判定乱数、複数の図柄列の停止図柄の組み合わせを決定するための停止図柄乱数等で構成される。
第1始動情報または第2始動情報についての当落判定が行われると、図柄表示手段において複数の図柄列の変動表示が行われ、当該複数の図柄列の停止図柄の組み合わせによって当該当落判定の結果が示唆される。ここで、図柄列を構成する装飾図柄は、図柄記憶手段に記憶されている。なお、図柄表示手段は、本実施形態の演出表示装置115にて構成されるが、液晶表示器、ドットマトリクス表示器、7セグメント表示器、ELパネルから構成される表示器、プラズマ表示器またはCRT表示器等で構成してもよい。
複数の図柄列の停止図柄の組み合わせが当たりを示す組み合わせであれば、当たり遊技が実行される。なお、当たり遊技は、複数の図柄列の停止図柄の組み合わせが当たりを示す組み合わせであったことに応じて実行されるのではなく、当落判定手段による判定において当たりに当選したことに応じて実行される。また、当たり遊技の種別として、大賞当たり遊技と小賞当たり遊技とがある。大賞当たり遊技とは、多量の遊技球が入賞しうる態様で可変入賞口が作動する当たり遊技である。可変入賞口に入賞すると所定量の遊技球が賞として付与されるので、大賞当たり遊技が実行されると、賞としての多量の遊技球が遊技者に付与されうることとなる。また、小賞当たり遊技とは、当落判定手段による当落の判定結果が当たりであるにもかかわらず、1球または2球の遊技球が辛うじて入賞しうる(1球の遊技球も入賞しないこともある)態様で可変入賞口が作動する当たり遊技である。この小賞当たり遊技は、多量の遊技球を賞として遊技者に付与することを目的とする遊技ではなく、また、可変入賞口の作動は一瞬にして行われるため、可変入賞口が作動したことを遊技者が把握できないことが多い。
また、当たり遊技の終了後の遊技状態は、遊技状態制御手段により、特別遊技状態、又は、通常遊技状態に制御される。ここで、特別遊技状態とは、当落判定手段によって当たりであると判定される確率が相対的に高い遊技状態であり、一般的に確変遊技状態と称される。一方、通常遊技状態とは、当落判定手段によって当たりであると判定される確率が相対的に低い遊技状態である。特別遊技状態において当落判定手段によって当たりであると判定される確率は、通常遊技状態において当落判定手段によって当たりであると判定される確率よりも2倍以上高い方が好ましいが、一般的には5〜10倍の間で設定される。なお、「当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態に制御される」とは、当たり遊技が実行される前の遊技状態が通常遊技状態であれば、当たり遊技を契機として特別遊技状態に変更される一方、当たり遊技が実行される前の遊技状態が特別遊技状態であれば、当たり遊技が実行されたのちにも特別遊技状態が継続される、ということである。また、「当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態に制御される」とは、当たり遊技が実行される前の遊技状態が通常遊技状態であれば、当たり遊技が実行されたのちにも通常遊技状態が継続される一方、当たり遊技が実行される前の遊技状態が特別遊技状態であれば、当たり遊技を契機として通常遊技状態に変更される、ということである。ところで、ここでいう「通常遊技状態」は、本実施形態でいうところの、通常遊技状態としてもよいし、通常遊技状態に加え、時短遊技状態を含むものとしてもよい。
ここで特に、遊技状態制御手段は、当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を特別遊技状態に制御する。ここで所定の組み合わせとしては、ゾロ目が例示される。特定図柄は、遊技状態制御手段にて遊技状態が特別遊技状態に制御されることを遊技者が連想しうる態様の図柄である。非特定図柄は、遊技状態制御手段にて遊技状態が通常遊技状態に制御されることを遊技者が連想しうる態様の図柄である。「遊技者が連想しうる態様」とは、これまでの遊技経験に基づいて、次の遊技状態が特別遊技状態となるのか通常遊技状態となるのか、を概ね確信可能な態様である。具体的には、特定図柄としては、奇数図柄や確変当たりをイメージさせる色(例えば赤色)の図柄等が例示される。また、非特定図柄としては、偶数図柄や確変でない通常当たりをイメージさせる色(例えば青色)の図柄等が例示される。なお、「少なくとも特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき」とあるため、例えば非特定図柄による所定の組み合わせが表示された場合であっても、必ずしも通常遊技状態に制御する必要はなく、当たり遊技が終了したのち特別遊技状態に制御してもよい。このときは例えば、当たり遊技の実行中に、特別遊技状態に制御されることを報知する演出(昇格演出)を行ってもよい。なお、当たり遊技終了後の遊技状態は、複数の図柄列の停止図柄の組み合わせとして特定図柄による所定の組み合わせが表示されたか否かに応じて制御されるのではなく、当落判定手段による判定において当たりに当選したときに、当該当たりの種別に応じて制御される。
上記技術思想では、当落判定手段による第1始動情報についての当落の判定結果が当たりであるとき、停止図柄が所定の組み合わせ(例えばゾロ目)で表示された場合に、大賞当たり遊技が実行される。一方、停止図柄が所定の組み合わせ以外の組み合わせ(例えばゾロ目以外の組み合わせ)で表示された場合に、小賞当たり遊技が実行される。なお、「小賞当たり遊技を実行可能」とあるのは、停止図柄が所定の組み合わせ以外の組み合わせで表示されたときであっても、場合によって、大賞当たり遊技を実行してもよいためである。この場合、突然の当たりを演出することができ、遊技者に驚きを与えると共に遊技者を歓喜させることができる。そして、図柄表示制御手段によって、通常遊技状態においては、図柄列構成手段を介し複数の図柄列が特定図柄のみで構成され、停止図柄の所定の組み合わせが、常に、特定図柄による所定の組み合わせで表示される。これにより、第1始動情報について当落の判定結果が当たりであるとき、停止図柄の所定の組み合わせは、必ず、特定図柄で構成されることとなる。したがって、所定の組み合わせで当たった場合には、全て特別遊技状態へ移行することになり、遊技者は、安心感を持って遊技を行うことができ、遊技の興趣の低下を抑制することができる。一方、小賞当たり遊技の場合、所定の組み合わせ以外の組み合わせで表示されるため、その組み合わせによっては、遊技者に対して一見ハズレを想起させることができる。また、上述したように小賞当たり遊技は、遊技者に把握されないことが多い。したがって、遊技者を落胆させてしまうことも少なくなり、遊技者の損失感を軽減することができる。これにより、遊技の興趣の低下を抑制することができる。
[技術思想2]
技術思想1に記載の遊技機において、
前記遊技状態制御手段は、前記当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも前記非特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を前記通常遊技状態に制御するようになっており、
前記図柄表示制御手段は、前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記特別遊技状態に制御されているときには、前記図柄列構成手段にて前記複数の図柄列を前記特定図柄及び前記非特定図柄の両方で構成し、前記停止図柄の所定の組み合わせを、前記特定図柄による所定の組み合わせ又は前記非特定図柄による所定の組み合わせで表示すること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、遊技状態制御手段が、当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも非特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を通常遊技状態に制御する。ここで所定の組み合わせとしては、ゾロ目が例示される。この非特定図柄については、既に述べたとおりである。そして、図柄表示制御手段によって、特別遊技状態においては、図柄列構成手段を介し複数の図柄列が特定図柄及び非特定図柄の両方で構成され、停止図柄の所定の組み合わせが特定図柄による所定の組み合わせ又は非特定図柄による所定の組み合わせとされる。これにより、所定の組み合わせで当たった場合、特定図柄の組み合わせであれば特別遊技状態への移行が示唆され、一方、非特定図柄の組み合わせであれば通常遊技状態への移行が示唆される。したがって、特別遊技状態においては、一般的に特別遊技状態の継続を望む遊技者を、停止図柄の組み合わせが特定図柄で構成されるか非特定図柄で構成されるかにより、ドキドキ、ワクワクさせることができる。
[技術思想3]
技術思想1又は2に記載の遊技機において、
前記当たり遊技実行手段は、前記当落判定手段による前記第2始動情報についての当落の判定結果が当たりであるときは、常に、前記大賞当たり遊技を実行すること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、当落判定手段による第2始動情報についての当落の判定結果が当たりであるときは、常に、大賞当たり遊技が実行される。特に、特別遊技状態において、小賞当たり遊技が実行され、その後、遊技状態が通常遊技状態に制御されると、遊技者の不利益は大きなものとなり、興趣を低下させてしまうことが懸念される。この点、特別遊技状態において第2始動情報についての当落が判定された場合、当たりとなれば必ず、大賞当たり遊技が実行される。したがって、仮に非特定図柄による組み合わせで当たりとなった場合、その後は通常遊技状態に制御されることになるものの、遊技者は多量の遊技球を獲得可能となり、遊技者の不利益を減少させ、興趣の低下を抑制することができる。
[技術思想4]
技術思想3に記載の遊技機において、
さらに、前記第2受入口への遊技球の受け入れを促進可能に構成され、前記特別遊技状態に制御されているときは当該第2受入口への遊技球の受け入れを前記第1受入口への受け入れよりも容易にすると共に、前記通常遊技状態に制御されているときは当該第2受入口への遊技球の受け入れを前記第1受入口への受け入れよりも困難にしうる可動部材を備えていること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、可動部材によって、第2受入口への遊技球の受け入れが促進される。かかる構成により、特別遊技状態に制御されているときは、第2受入口への遊技球の受け入れが、第1受入口への受け入れよりも容易にされる。また、通常遊技状態に制御されているときは、可動部材によって第2受入口への遊技球の受け入れが促進されず、結果的に、第2受入口への受け入れが第1受入口への受け入れよりも困難とされる。つまり、第1受入口への遊技球の受け入れ易さと第2受入口への遊技球の受け入れ易さとを比較すると、特別遊技状態に制御されているときは、第2受入口の方が相対的に遊技球を受け入れ易くなっている。また、通常遊技状態に制御されているときは、第1受入口の方が相対的に遊技球を受け入れ易くなっている。なお、可動部材は、一般的には、所謂「電動チューリップ(電チュー)」と称されるものが採用されるが、これに限られるものではない。
このようにすれば、特別遊技状態においては、第2受入口のほうが相対的に遊技球を受け入れ易くなるため、第2始動情報についての当落が判定され易くなる。上述したように、第2始動情報についての当落が判定された場合、当たりとなれば必ず、大賞当たり遊技が実行される。したがって、遊技者は多量の遊技球を獲得可能となる。これにより、遊技者にとっての不利益を減少させ、興趣の低下を抑制することができる。また、通常遊技状態においては、第1受入口のほうが相対的に遊技球を受け入れ易くなるため、第1始動情報についての当落が判定され易くなる。上述したように、第1始動情報についての当落が判定された場合、大賞当たり遊技が実行されると必ず、当たり遊技終了後に特別遊技状態へ移行することになる。したがって、遊技者は、安心感を持って遊技を行うことができ、興趣の低下を抑制することができる。一方、小賞当たり遊技の場合、所定の組み合わせ以外の組み合わせで表示されるため、その停止図柄の組み合わせによっては、遊技者に対して一見ハズレを想起させることができる。したがって、遊技者を落胆させてしまうことも少なくなり、遊技者の損失感を軽減することができる。
[技術思想5]
技術思想4に記載の遊技機において、
前記図柄表示制御手段は、前記遊技状態制御手段にて遊技状態が前記通常遊技状態に制御されている場合、前記第2始動情報に基づく図柄列の変動時間として、前記第1始動情報に基づく図柄列の変動時間よりも長い変動時間を採用しうること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、遊技状態制御手段にて遊技状態が通常遊技状態に制御されている場合、第2始動情報に基づく図柄列の変動時間として、第1始動情報に基づく図柄列の変動時間よりも長い変動時間が採用されることがありうる。第2始動情報に基づく図柄列の変動時間が長くなれば、当該変動の間に、第1受入口へ遊技球が受け入れられる可能性が高くなる。また、上記技術思想によれば、可動部材によって、通常遊技状態においては、第2受入口への遊技球の受け入れは困難とされる。つまり、第2始動情報についての当落が判定される機会は少なくなるのである。結果として、通常遊技状態において第1始動情報についての当落が判定されれば、所定の組み合わせで当たった場合には、全て特別遊技状態へ移行することになり、遊技者は、安心感を持って遊技を行うことができ、興趣の低下を抑制することができる。
[技術思想6]
技術思想1〜5のいずれかに記載の遊技機において、
前記所定の組み合わせは、当たりであることを遊技者が比較的容易に認識可能な組み合わせであること
を特徴とする遊技機。
例えば、この技術思想に示すように、所定の組み合わせは、当たりであることを遊技者が比較的容易に認識可能な組み合わせとするとよい。具体的には、上述したようなゾロ目とすることが例示される。確かに、所定の組み合わせとして、各図柄列の停止図柄がそれぞれ「1」、「2」、「3」というような、予め定められるチャンス目を用いることも考えられる。しかし、この場合、遊技者に当たりをイメージさせることが困難となるおそれがある。思うに、パチンコに限られず、数字が揃うということが経験上、何らかの特典が付与されるという感覚を呼び起こす。そこで、本実施形態においても、所定の組み合わせとして、ゾロ目を採用する。これにより、当たりとなった場合には必ず、特別遊技状態へ移行するという感覚を、遊技者に抱かせることができる。
[技術思想7]
技術思想6に記載の遊技機において、
前記所定の組み合わせは、前記停止図柄が全て同じ図柄となる組み合わせであること
を特徴とする遊技機。
この技術思想によれば、所定の組み合わせとしてゾロ目を採用しているため、当たりとなった場合には必ず、特別遊技状態へ移行するという感覚を、遊技者に抱かせることができる。
[技術思想8]
技術思想1〜7のいずれかに記載の遊技機において、
前記図柄表示制御手段は、前記当落判定手段によって前記小賞当たりに当選したと判定されたとき、前記当落判定手段による当落の判定の結果がハズレであると判定されたときに表示される態様と極似する態様を、前記図柄表示手段に表示すること
を特徴とする遊技機。
この技術思想によれば、小賞当たりに当選したとしても、図柄表示手段(演出表示装置115)には、当落判定の結果がハズレであると判定されたときに表示される態様と極似する態様が表示される。「極似する態様」とは、図柄表示手段に表示された態様を見た遊技者が、一見ハズレであると認識しうる程度に、ハズレを示唆する態様と似た態様を意味する。これにより、通常遊技状態に制御されているときに小賞当たりに当選したとしても、遊技者は、小賞当たりに当選したことを認識することなく遊技を続行する可能性が高くなる。つまり、通常遊技状態に制御されているとき、遊技者は、当たり遊技の種別として大賞当たりのみであると認識して遊技を行う可能性が高くなる。その結果、当たりとなった場合には必ず、特別遊技状態へ移行するという感覚を、遊技者に対し確実に抱かせることができる。
[技術思想9]
技術思想8に記載の遊技機において、
前記図柄表示制御手段は、前記当落判定手段による当落の判定の結果がハズレであると判定されたときに表示される態様と極似する態様として、前記停止図柄のうち少なくとも一つの図柄が他の停止図柄と異なる態様とすること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、当落判定手段による当落の判定の結果がハズレであると判定されたときに表示される態様と極似する態様として、停止図柄のうち少なくとも一つの図柄が他の停止図柄と異なる態様とする。例えば、複数の図柄列が左図柄、中図柄および右図柄の三つの図柄列から構成され、且つ、変動中の図柄列が停止する際に左図柄、右図柄、中図柄の順に停止するとき、左図柄と右図柄が同じ図柄で停止すると所謂リーチ状態となる。そして、中図柄のみを所定時間変動表示したのちに、左図柄および右図柄と異なる図柄で停止するような態様が考えられる。このとき、通常、遊技者はハズレであると認識する。これにより、通常遊技状態に制御されているときに小賞当たりに当選したとしても、遊技者は、小賞当たりに当選したことを認識することなく遊技を続行する可能性が高くなる。つまり、通常遊技状態に制御されているとき、遊技者は、当たり遊技の種別として大賞当たりのみであると認識して遊技を行う可能性が高くなる。その結果、当たりとなった場合には必ず、特別遊技状態へ移行するという感覚を、遊技者に対し確実に抱かせることができる。
[技術思想10]
技術思想1〜9のいずれかに記載の遊技機において、
前記当落判定手段は、前記第1始動情報についての当落の判定を、当該第1始動情報が前記第2始動情報よりも先に記憶されたか否かにかかわらず、常に前記第2始動情報記憶手段によって前記第2始動情報が記憶されていない場合にのみ行うこと
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、第1始動情報記憶手段によって第1始動情報が記憶され且つ第2始動情報記憶手段によって第2始動情報が記憶されているとき、当該第1始動情報が当該第2始動情報よりも先に記憶されたか否かにかかわらず、当落判定手段は、常に第2始動情報についての当落を判定する。つまり、第2始動情報についての当落判定が第1始動情報についての当落判定よりも優先して行われる。したがって、第1始動情報についての当落の判定が行われるのは、第2始動情報記憶手段によって第2始動情報が記憶されていない場合のみである。ただし、第1始動情報についての当落判定を行うに際しては第1始動情報記憶手段に記憶された順に当落判定を行い、第2始動情報についての当落判定を行うに際しては第2始動情報記憶手段に記憶された順に当落判定を行う。
上述したように、特別遊技状態において、小賞当たり遊技が実行され、その後、遊技状態が通常遊技状態に制御されると、遊技者の不利益は大きなものとなり、興趣を低下させてしまうことが懸念される。この点、本技術思想では、第2始動情報についての当落判定が第1始動情報についての当落判定よりも優先して行われる。結果として、第2始動情報についての当落が判定されれば、常に、大賞当たり遊技が実行され、遊技者は多量の遊技球を獲得可能となる。これにより、遊技者にとっての不利益を減少させ、興趣の低下を抑制することができる。
[技術思想11]
技術思想1〜10のいずれかに記載の遊技機において、
前記遊技状態制御手段は、
前記当落判定手段によって当たりと判定される確率が相対的に低く、かつ、前記可動部材によって前記第2受入口への遊技球の受け入れが促進される時短遊技状態に遊技状態を制御可能となっており、
前記当たり遊技実行手段による当たり遊技の終了後、前記時短遊技状態を経て前記通常遊技状態へ遊技状態を制御可能であること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、遊技状態が、時短遊技状態に制御されうる。時短遊技状態は、当落判定手段によって当たりと判定される確率が相対的に低く、かつ、可動部材によって第2受入口への遊技球の受け入れが促進される遊技状態である。そして、当たり遊技実行手段による当たり遊技の終了後、時短遊技状態を経て通常遊技状態へ遊技状態が制御可能となっている。なお、ここでは、本実施形態の時短遊技状態が「時短遊技状態」に相当し、本実施形態の通常遊技状態が「通常遊技状態」に相当することとなる。このように時短遊技状態に制御することで、第2受入口への遊技球の受け入れが促進されるため、たとえ当落判定手段によって当たりと判定される確率が相対的に低い状態となっても、遊技者が遊技を継続する可能性が高くなる。
[技術思想12]
技術思想11に記載の遊技機において、
前記遊技状態制御手段は、前記当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも前記非特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を前記時短遊技状態に制御し、その後、前記通常遊技状態に制御するようになっており、
前記図柄表示制御手段は、前記遊技状態制御手段によって遊技状態が前記時短遊技状態に制御されているときには、前記図柄列構成手段にて前記各図柄列を前記特定図柄及び前記非特定図柄の両方で構成し、前記停止図柄の所定の組み合わせを、前記特定図柄による所定の組み合わせ又は前記非特定図柄による所定の組み合わせで表示すること
を特徴とする遊技機。
この技術思想では、遊技状態制御手段が、当たりを示す組み合わせのうち、少なくとも非特定図柄による所定の組み合わせが表示されたとき、当たり遊技終了後の遊技状態を時短遊技状態に制御し、その後、通常遊技状態に制御する。例えば、時短遊技状態は、当落判定手段による当落判定が所定回数(例えば50回)行われるまで継続するという具合である。ここで所定の組み合わせとしては、ゾロ目が例示される。そして、図柄表示制御手段によって、時短遊技状態においては、図柄列構成手段を介し各図柄列が特定図柄及び非特定図柄の両方で構成され、停止図柄の所定の組み合わせが特定図柄による所定の組み合わせ又は非特定図柄による所定の組み合わせとされる。これにより、所定の組み合わせで当たった場合、特定図柄の組み合わせであれば特別遊技状態への移行が示唆され、一方、非特定図柄の組み合わせであれば通常遊技状態への移行が示唆される。したがって、特別遊技状態においては、一般的に特別遊技状態の継続を望む遊技者を、停止図柄の組み合わせが特定図柄で構成されるか非特定図柄で構成されるかにより、ドキドキ、ワクワクさせることができる。
なお、上記各技術思想に記載の用語は、本実施形態に記載の以下の用語に相当する。上記各技術思想に記載の「複数の図柄列」は、本実施形態の「装飾図柄1153(三つの図柄列)」に相当する。上記各技術思想に記載の「図柄表示手段」は、本実施形態の「演出表示装置115」に相当する。上記各技術思想に記載の「第1受入口」は、本実施形態の「第1始動口602」に相当する。上記各技術思想に記載の「第1始動情報抽出手段」は、本実施形態の「第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902」に相当する。また、上記各技術思想に記載の「第1始動情報」は、前述の第1特別図柄当否判定用乱数取得手段902によって抽出(取得)された「当否判定用乱数」に相当し、実施形態中「第1始動記憶」と称される場合もある。上記各技術思想に記載の「第1始動情報記憶手段」は、本実施形態の「当否判定用乱数記憶領域5131」および「第1特別図柄保留カウンタ903」に相当する。具体的には、取得した当否判定用乱数は、取得された順に「当否判定用乱数記憶領域5131」に記憶され、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶された当否判定用乱数の数は、「第1特別図柄保留カウンタ903」によって計数される。上記各技術思想に記載の「当落判定手段」は、本実施形態の「第1特別図柄抽選手段900」および「第2特別図柄抽選手段910」に相当する。上記各技術思想に記載の「図柄表示制御手段」及び「図柄列構成手段」は、本実施形態の「表示装置制御基板816」に相当する。上記各技術思想に記載の「可変入賞口」は、本実施形態の「開閉装置500」に相当する。上記各技術思想に記載の「賞球付与手段」は、本実施形態の「払出制御基板720」に相当する。上記各技術思想に記載の「当たり遊技実行手段」は、本実施形態の「大当たり遊技実行手段715」に相当する。上記各技術思想に記載の「所定の組み合わせ」は、本実施形態のゾロ目に相当する。上記各技術思想に記載の「所定の組み合わせ以外の組み合わせ」は、本実施形態の「所定目」に相当する。上記各技術思想に記載の「遊技状態制御手段」は、本実施形態の「遊技状態制御手段934」に相当する。上記各技術思想に記載の「第2受入口」は、本実施形態の「第2始動口604」に相当する。上記各技術思想に記載の「第2始動情報抽出手段」は、本実施形態の「第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912」に相当する。また、上記各技術思想に記載の「第2始動情報」は、前述の第2特別図柄当否判定用乱数取得手段912によって抽出(取得)された「当否判定用乱数」に相当し、実施形態中「第2始動記憶」と称される場合もある。上記各技術思想に記載の「第2始動情報記憶手段」は、本実施形態の「当否判定用乱数記憶領域5131」および「第2特別図柄保留カウンタ913」に相当する。具体的には、取得した当否判定用乱数は、取得された順に「当否判定用乱数記憶領域5131」に記憶され、当否判定用乱数記憶領域5131に記憶された当否判定用乱数の数は、「第2特別図柄保留カウンタ913」によって計数される。上記各技術思想に記載の「可動部材」は、本実施形態の「一対の可動片606」に相当する。上記各技術思想に記載の「大賞当たり遊技」は、本実施形態の「長開放大当たり遊技」に相当する。上記各技術思想に記載の「小賞当たり遊技」は、本実施形態の「短開放大当たり遊技」に相当する。上記各技術思想に記載の「第1の上限値」および「第2の上限値」は、それぞれ、本実施形態の「第1所定数」および「第2所定数」に相当する。上記各技術思想に記載の「特別大賞当たり」は、本実施形態の「特別大当たり」に相当する。
もちろん、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。