しかし,上記のようなシステムでは,ユーザが保有するコンピュータは,処理が完了するまで店舗端末等との通信接続を保たなければならない。特に,店舗端末等を介して外部のコンピュータと通信を行い処理を完了させる場合には,その処理時間は長くなる。その場合でも,ユーザは処理が終わるまでコンピュータと店舗端末等との通信接続を保持させておかなければならず,長時間,店舗端末等の前で待たなければならなかった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,ユーザが店舗端末等の前で待たなければならない時間を短くすることが可能な,情報処理システム,ユーザ端末,サービスクライアント,情報処理方法,およびコンピュータプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ユーザ端末と,ユーザ端末と通信接続可能なサービスクライアントおよびサービスサーバと,を備える情報処理システムが提供される。
上記情報処理システムにおいて,ユーザ端末は,サービスクライアントと通信を行う第1通信部と;サービスサーバと通信を行う第2通信部と;第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理,および第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理の実行を経て完了する所定の処理について,各単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報を記憶する実行情報記憶部と;単位処理を実行する端末処理実行部と;各単位処理の実行状況に応じて,実行情報記憶部に記憶される実行情報を更新する実行情報更新部と;を備える。
上記サービスクライアントは,ユーザ端末との通信接続が確立された場合にユーザ端末から実行情報を取得し,該実行情報に基づいて,前回実行された所定の処理が完了しているか否かを判断し,完了している場合に新たな所定の処理の開始を許可するクライアント処理開始判断部と;所定の処理に含まれる複数の単位処理のうち,ユーザ端末の第1通信部による通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末との間で実行するクライアント処理実行部と;クライアント処理実行部による処理が終了した場合に,ユーザ端末の識別情報を含む通知情報をサービスサーバに送信する通知送信部と;を備える。
上記サービスサーバは,サービスクライアントから通知情報を受信する通知受信部と;通知情報に含まれる識別情報により識別されるユーザ端末との間で,所定の処理に含まれる複数の単位処理のうち,ユーザ端末の第2通信部による通信を伴う1以上の単位処理を実行するサーバ処理実行部と;を備える。
上記発明によれば,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信を伴う単位処理と,ユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う単位処理との双方を含む所定の処理をユーザ端末が実行する場合に,ユーザ端末は,サービスクライアントとは第1通信部により通信し,サービスサーバとは第2通信部により通信する。つまり,ユーザ端末はサービスクライアントともサービスサーバとも,直接通信を行い,特に,サービスサーバとの通信を伴う単位処理を行う場合でもサービスクライアントを介する必要がない。従って,ユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う処理を実行するために,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信接続を保持させておかなくても済む。その結果,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信接続を保持させておかなければならない時間を短くすることができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,サービスクライアントおよびサービスサーバと通信接続可能なユーザ端末が提供される。上記ユーザ端末は,サービスクライアントとの間での1以上の単位処理,およびサービスサーバとの間での1以上の単位処理の実行を経て完了する所定の処理を行う場合に,サービスクライアントと通信接続し,サービスクライアントとの間での1以上の単位処理を実行した後に,サービスサーバと直接通信接続し,サービスサーバとの間での1以上の単位処理をサービスクライアントを介さずに実行する。
上記発明によれば,ユーザ端末はサービスクライアントともサービスサーバとも,直接通信を行い,特に,サービスサーバとの通信を伴う単位処理を行う場合でもサービスクライアントを介する必要がない。従って,ユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う処理を実行するために,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信接続を保持させておかなくても済む。その結果,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信接続を保持させておかなければならない時間を短くすることができる。なお,ユーザ端末は,サービスクライアントとの間での単位処理を実行した後,直ちにサービスサーバと通信接続してサービスサーバとの間での単位処理を実行してもよいし,サービスクライアントとの間での単位処理を実行した後,所定時間経過後に,サービスサーバとの単位処理を実行してもよい。また,サービスクライアントとの間での単位処理を実行した後,周期的(例えば,毎日午前0時,毎週金曜日の午前0時,など)にサービスサーバとの単位処理を実行してもよい。
一の上記所定の処理の実行において,前記サービスクライアントとの間での1以上の単位処理が実行される際には前記サービスクライアントのみが前記ユーザ端末との間で処理を行い,前記一の所定の処理における前記サービスサーバとの間での1以上の単位処理が実行される際には前記サービスサーバのみが前記ユーザ端末との間で処理を行うようにしてもよい。かかる構成によれば,ユーザ端末とサービスサーバとの間での単位処理が実行される場合には,ユーザ端末の処理の相手であるサービスサーバのみが処理を行う。従来はサービスクライアントがユーザ端末とサービスサーバとの間に介在して両者間の中継処理を行っていたが,上記構成によれば,サービスサーバのみが処理を行い,サービスクライアントは処理を行わない。従って,ユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う処理を実行するために,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信接続を保持させておかなくても済む。なお,一の所定の処理(処理A)の実行に際してサービスサーバがユーザ端末との間で処理を行っている場合であっても,処理A以外の他の所定の処理(処理B,処理Cなど)の実行に伴って,サービスクライアントがユーザ端末との間で処理を行うことはできる。
上記ユーザ端末は,サービスクライアントと通信を行う第1通信部と;サービスサーバと通信を行う第2通信部と;第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理,および第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理の実行を経て完了する所定の処理について,各単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報を記憶する実行情報記憶部と;単位処理を実行する端末処理実行部と;各単位処理の実行状況に応じて,実行情報記憶部に記憶される実行情報を更新する実行情報更新部と;を備えてもよい。
上記構成によれば,各単位処理の実行状況に応じて,単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報が更新される。そのため,所定の処理に含まれる単位処理に,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信を伴う場合と,ユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う場合の双方が含まれていても,ユーザ端末は実行情報を参照することにより,実行が終了した単位処理と未終了の単位処理とを認識することができる。
上記端末処理実行部は,所定の処理に含まれる複数の単位処理のうち,第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理の全てを実行した後に,第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を実行してもよい。
上記端末処理実行部は,第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理の全てを実行した後に,サービスサーバからの第2通信部を介した処理開始要求を受けて,第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う単位処理の実行を開始してもよい。
上記端末処理実行部は,第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理の全てを実行した後に,サービスクライアントから第1通信部を介してサービスサーバの識別情報を含む処理開始依頼要求を受けて,識別情報により特定されるサービスサーバに処理開始要求を送信し,第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う単位処理の実行を開始してもよい。
上記ユーザ端末は,サービスサーバの識別情報を記憶するサーバ情報記憶部をさらに備えてもよく,その場合,上記端末処理実行部は,第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理の全てを実行した後に,識別情報により特定されるサービスサーバに処理開始要求を送信し,第2通信部によるサービスサーバとの通信を伴う単位処理の実行を開始してもよい。かかる構成によれば,サービスクライアントとサービスサーバとが通信接続されていない場合でも,ユーザ端末はサービスサーバとの通信を伴う単位処理を実行できる。
上記ユーザ端末は,実行情報記憶部に記憶される実行情報に基づいて,前回実行された所定の処理が完了しているか否かを判断し,完了している場合に新たな所定の処理の開始を許可する端末処理開始判断部をさらに備えてもよい。かかる構成によれば,新たな所定の処理を行うためには必ず前回の所定の処理を完了させなくてはならない。従って,所定の処理に含まれる一部の単位処理を実行させないというような,ユーザ端末の不正な操作を防止することができる。
上記ユーザ端末は,ICチップを備えてもよく,その場合,上記第1通信部は,ICチップとサービスクライアントとの間での通信を行うようにしてもよい。
上記第1通信部は,非接触式通信を行うようにしてもよい。非接触式とは,物理的な接触の有無は問わないが,電気的に接触していない状態をいう。かかる構成によれば,ユーザは,例えばユーザ端末をサービスクライアントに翳すだけで,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信を伴う単位処理を実行させることができる。
上記実行情報記憶部および実行情報更新部がICチップ内に格納されてもよい。
上記第1通信部によるサービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理は,ICチップにより実行されてもよい。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,コンピュータに,サービスクライアントと通信を行う第1通信処理と;サービスサーバと通信を行う第2通信処理と;第1通信処理を伴う1以上の単位処理,および第2通信処理を伴う1以上の単位処理の実行を経て完了する所定の処理について,各単位処理の実行状況に応じて,各単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報を記憶手段に記録する実行情報記録処理と;単位処理を実行する単位処理実行処理と;を実行させるコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは,コンピュータが備える記憶部に格納され,コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行される。また,コンピュータプログラムが記録された,コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は,例えば,磁気ディスク,光ディスクなどである。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,サービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理,およびサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理の実行を経て完了する所定の処理を行う情報処理方法が提供される。上記情報処理方法は,サービスクライアントとの通信を伴う1以上の単位処理を実行するステップと;サービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を実行するステップと;各単位処理の実行状況に応じて,各単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報を記憶手段に記録するステップと;を含む。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ユーザ端末と通信を行う端末通信部と;サービスサーバと通信を行うサーバ通信部と;ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理,およびユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を経て完了する所定の処理の開始要求を,端末通信部を介してユーザ端末から受けて,ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末との間で実行するクライアント処理実行部と;クライアント処理実行部による処理が終了した場合に,ユーザ端末の識別情報を含む通知情報を,サーバ通信部を介してサービスサーバに送信する通知送信部と;を備えるサービスクライアントが提供される。
上記発明によれば,ユーザ端末とサービスクライアントとの通信を伴う単位処理とユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う単位処理とを含む所定の処理の実行する場合に,サービスクライアントは自己が行う単位処理を終了した場合に,所定の処理の相手であるユーザ端末の識別情報をサービスサーバに送信する。そのため,サービスサーバは,所定の処理の相手であるユーザ端末を,送信された識別情報により特定することができる。従って,サービスサーバは,送信された識別情報により特定されるユーザ端末との間で,サービスクライアントを介さずに単位処理を実行することができる。
上記ユーザ端末が,所定の処理に含まれる各単位処理の実行が完了したか否かを示す実行情報を有している場合,上記サービスクライアントは,ユーザ端末から端末通信部を介して実行情報を取得し,該実行情報に基づいて,前回実行された所定の処理が完了しているか否かを判断し,完了している場合に新たな所定の処理の開始を許可するクライアント処理開始判断部をさらに備えてもよい。
上記端末通信部は,ユーザ端末に備えられるICチップとの間で通信を行うようにしてもよい。
上記端末通信部は,非接触式通信を行うようにしてもよい。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ユーザ端末と通信を行う端末通信部と;サービスサーバの識別情報を記憶するサーバ情報記憶部と;ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理,およびユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を経て完了する所定の処理の開始要求を,端末通信部を介してユーザ端末から受けて,ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末との間で実行するクライアント処理実行部と;クライアント処理実行部による処理が終了した場合に,サービスサーバの識別情報を含む処理開始依頼要求を,端末通信部を介してユーザ端末に送信する依頼要求送信部と;を備えるサービスクライアントが提供される。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,コンピュータに,ユーザ端末と通信を行う端末通信処理と;サービスサーバと通信を行うサーバ通信処理と;ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理,およびユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を経て完了する所定の処理の開始要求を,端末通信処理を通じてユーザ端末から受けて,ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末との間で実行する単位処理実行処理と;1以上の単位処理が終了した場合に,ユーザ端末の識別情報を含む通知情報を,サーバ通信処理を通じてサービスサーバに送信する通知送信処理と;を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理,およびユーザ端末とサービスサーバとの通信を伴う1以上の単位処理を経て完了する所定の処理の開始要求をユーザ端末から受けるステップと;ユーザ端末と自装置との通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末との間で実行するステップと;ユーザ端末の識別情報を含む通知情報をサービスサーバに送信するステップと;を含む情報処理方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば,ユーザが店舗端末等の前で待たなければならない時間を短くすることが可能な,情報処理システム,ユーザ端末,サービスクライアント,情報処理方法,およびコンピュータプログラムを提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下では,本発明にかかる情報処理システムを,ICチップを備えたユーザ端末が,所定の処理を完了させるために,サービスクライアントおよびサービスサーバの双方と直接通信を行うことが可能な情報処理システム100に適用して説明する。本実施形態では,特に,所定の処理を,商品の購入に伴う決済処理に適用して説明する。
近年,ユーザはICカードやICチップを備えた携帯電話等を用いて,店舗に設置されている読み取り装置にそのICカード等を翳すことによって商品を購入することができる。その場合,決済処理は主にICカード等と上記読み取り装置とによって行われている。しかし,例えば決済処理のためにクレジットカード番号等の送受信を行う場合には,送受信する情報を暗号化する必要性が生じる。その場合,暗号化/復号化のための鍵を,読み取り装置に持たせるのではなく,サーバで一元管理する方がセキュリティ上好ましい。鍵がサーバで一元管理される場合,現在では,読み取り装置は,ICカード等と通信をして取得した情報をサーバに送信し,かつ,サーバと通信して取得した情報をICチップに送信するという中継処理を行うことになる。読み取り装置が中継処理を行う場合,ユーザは決済処理の開始から完了までのあいだ,ICカード等と読み取り装置との通信接続を保持させておくべく,ICカード等を読み取り装置に翳し続けるなどしなければならない。
本実施形態にかかる情報処理システム100では,ユーザ端末が決済処理を完了させるためにサービスクライアントおよびサービスサーバの双方と直接通信を行うようにすることで,上記問題を解決している。以下,情報処理システム100について詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず,図1に基づいて,第1実施形態にかかる情報処理システム100の全体構成について説明する。図1に示すように,情報処理システム100は,例えば,ユーザ端末102,サービスクライアント104,サービスサーバ106,通信網108などを備える。
ユーザ端末102は,サービスクライアント104およびサービスサーバ106の双方と通信接続が可能なコンピュータである。本実施形態では,ユーザ端末102はICチップを内蔵しており,サービスクライアント104との間では,主にICチップに格納される情報の送受信を行う。また,ユーザ端末102は,通信網108を介してサービスサーバ106と接続されており,サービスサーバ106との間で情報の送受信を行うことができる。ユーザ端末102としては,携帯電話,携帯型PC(パーソナルコンピュータ),PDA(Personal Digital Assistant)などを例示できる。
サービスクライアント104は,ユーザ端末102およびサービスサーバ106の双方と通信接続が可能なコンピュータである。本実施形態では,サービスクライアント104は,ユーザ端末102に内蔵されるICチップに格納される情報の送受信を行うリーダ114を備える。ユーザ端末102とサービスクライアント104とは,非接触式通信を行う。非接触式とは,物理的な接触の有無は問わないが,電気的に接触していない状態をいう。従って,ユーザはユーザ端末102をサービスクライアント104のリーダ114に翳すことにより,ユーザ端末102とサービスクライアント104との間での通信を行わせることができる。なお,ユーザ端末102とサービスクライアント104とは,接触式の通信,つまり,電気的に接触した状態で通信を行うように構成しても構わない。
また,サービスクライアント104は,通信網108を介してサービスサーバ106と接続されており,サービスサーバ106との間で情報の送受信を行うことができる。サービスクライアント104としては,POSレジやチケットの購入等が可能なキオスク端末などの店舗端末,自動販売機,PCなどを例示できる。
サービスサーバ106は,ユーザ端末102およびサービスクライアント104の双方と通信網108を介して接続されたコンピュータである。
通信網108は,例えば,インターネット,電話回線網,衛星通信網等の公衆回線網や,WAN,LAN,IP−VPN等の専用回線網などで構成されており,有線・無線を問わない。
本実施形態では,ユーザが商品の購入を行う際に,店舗に設置されているサービスクライアント104にユーザ端末102を翳すことにより,サービスクライアント104とユーザ端末102の間で通信接続が行われて決済処理が開始される。決済処理には、ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信を伴う1以上の単位処理と,ユーザ端末102とサービスサーバ106との通信を伴う1以上の単位処理とが含まれる。なお,単位処理については後述する。
本実施形態にかかる情報処理システムでは,上述の通り,ユーザ端末102はサービスクライアント104およびサービスサーバ106の双方と通信接続可能である。また,サービスクライアント104とサービスサーバ106とが通信網108を介して接続されている。そこで,図2に示したように,決済処理のうち,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信を伴う単位処理が終了すると,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信接続が切断される。そして,サービスクライアント104がサービスサーバ106に通知を行い,その後,ユーザ端末102とサービスサーバ106とが直接通信接続されて,ユーザ端末102とサービスサーバ106との通信を伴う単位処理が,サービスクライアント104を介さずに実行され,決済処理が完了する。従って,ユーザは,決済処理の開始から終了までの間,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信接続を保持させるためにユーザ端末102をサービスクライアント104に翳している必要はない。
以上,情報処理システム100の全体構成について説明した。次に,図3に基づいて,ユーザ端末102の機能構成について説明する。
ユーザ端末102は,例えば,第1通信部120,第2通信部122,端末処理実行部124,実行情報更新部126,および実行情報記憶部128などを備える。
第1通信部120は,サービスクライアント104と通信を行う。詳細には,第1通信部120は,サービスクライアント104のリーダ114との間で非接触式の通信を行う。
第2通信部122は,サービスサーバ106と通信を行う。詳細には,第2通信部122は,サービスサーバ106との間で通信網108を介して通信を行う。
端末処理実行部124は,各単位処理を実行する。詳細には,端末処理実行部124は,第1通信部120によるサービスクライアント104との通信を伴う1以上の単位処理と,第2通信部122によるサービスサーバ106との通信を伴う1以上の単位処理を実行する。
単位処理は,本実施形態において所定の処理の一例である決済処理に含まれる複数の処理の各々である。具体的には例えば,ユーザ端末102またはサービスクライアント104のいずれかから処理の開始通知があり,必要に応じて情報を送受信しながらユーザ端末102およびサービスクライアント104が処理を行い,ユーザ端末102またはサービスクライアント104のいずれかから処理の終了通知があるまでを,第1通信部120によるサービスクライアント104との通信を伴う単位処理とする。また,ユーザ端末102またはサービスサーバ106のいずれかから処理の開始通知があり,必要に応じて情報を送受信しながらユーザ端末102およびサービスサーバ106が処理を行い,ユーザ端末102またはサービスサーバ106のいずれかから処理の終了通知があるまでを,第2通信部122によるサービスサーバ106との通信を伴う単位処理とする。
第1通信部120によるサービスクライアント104との通信を伴う単位処理の具体例としては,ユーザ端末102からサービスクライアント104への後述の実行情報の送信処理,ユーザ端末102からサービスクライアント104へのユーザ端末102内のICチップの識別子の送信処理,サービスクライアント104からユーザ端末102への購入金額の送信処理等を挙げることができる。
第2通信部122によるサービスサーバ106との通信を伴う単位処理の具体例としては,ユーザ端末102からサービスサーバ106へのクレジットカード番号やユーザパスワードの送信処理等を挙げることができる。
端末処理実行部124は,各単位処理を実行し,単位処理の実行が完了すると,実行情報更新部126に通知を行う。
実行情報更新部126は,端末処理実行部124からの単位処理完了の通知を受けて,実行情報記憶部128に記憶される実行情報を更新する。実行情報記憶部128に記憶される実行情報について,図4を参照して説明する。
実行情報は,決済処理に含まれる各単位処理について,各々の単位処理が終了しているか否かを示す情報である。詳細には,図4に示すように,単位処理(処理1〜処理5)ごとに,「終了」または「未」のいずれかが,実行情報として格納される。実行情報更新部126は,決済処理の開始時に,各単位処理の実行情報を「未」にし,端末処理実行部124からの通知を受けて,該当する単位処理の実行情報を「終了」に変更する。より具体的には,実行情報は,例えば,終了していない場合には0,終了している場合には1が格納されるフラグとしてもよい。
このように,端末処理実行部124による単位処理完了の通知を受けて実行情報更新部126が各単位処理の実行情報を更新すれば,ユーザ端末102は実行情報記憶部128を参照することにより,決済処理のどの段階まで(どの単位処理まで)終了しているかを知ることができる。また,決済処理に含まれる全ての単位処理が終了しているか否かがわかるため,ユーザ端末102は,前回の決済処理において全ての単位処理が終了していない場合には新たな決済処理を実行しないようにすることができる。従って,決済処理がユーザ端末102とサービスクライアント104とによって開始され,ユーザ端末102とサービスサーバ106との処理によって完了する場合であっても,ユーザ端末102は全ての単位処理が終了しないと新たな決済処理をサービスクライアント104との間で開始できないため,決済処理の一部を実行しないなどの不正を防止することができる。なお,実行情報記憶部128,実行情報更新部126は,不正に操作されることを防止するために,ICチップ内に格納されていてもよい。
以上,ユーザ端末102の機能構成について説明した。次に,図5に基づいて,サービスクライアント104の機能構成について説明する。サービスクライアント104は,例えば,端末通信部132,サーバ通信部134,クライアント処理実行部136,通知送信部138,およびクライアント処理開始判断部140などを備える。
端末通信部132は,ユーザ端末と通信を行う。詳細には,端末通信部132はサービスクライアント104が備えるリーダ114を介して,ユーザ端末102の第1通信部120と非接触式の通信を行う。
サーバ通信部134は,サービスサーバ106と通信を行う。詳細には,サーバ通信部134は,サービスサーバ106との間で通信網108を介して通信を行う。
クライアント処理実行部136は,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信を伴う1以上の単位処理,およびユーザ端末102とサービスサーバ106との通信を伴う1以上の単位処理を経て完了する決済処理の開始要求を,端末通信部132を介してユーザ端末102から受けて,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信を伴う1以上の単位処理をユーザ端末102との間で実行する。
上述の単位処理の例を用いて説明すると,例えば,クライアント処理実行部136は,ユーザ端末102からの決済処理の開始要求を受けて,ユーザ端末102とサービスクライアント104との間で実行する最初の単位処理として,ユーザ端末102に対して実行情報の送信を要求し,ユーザ端末102から送信された実行情報をクライアント処理開始判断部140に提供して前回の決済処理が完了しているか否かに基づいて新たな決済処理の開始可否を判断させ,その判断結果をユーザ端末102に送信する。また,その次の単位処理として,例えばクライアント処理実行部136は,ユーザ端末102に内蔵されるICチップの識別子の送信を要求し,ユーザ端末102から送信された識別子をサービスクライアント104内の記憶手段に一時的に保存する。なお,単位処理の内容と実行順序等は,サービスクライアント104の記憶手段に記憶されていてもよいし,ユーザ端末102の記憶手段に記憶されていてもよい。
クライアント処理実行部136は,上述のように各単位処理を実行し,クライアント処理実行部136が実行するべき単位処理,つまり,決済処理に含まれる複数の単位処理のうち,ユーザ端末102とサービスクライアント104との間で実行する単位処理を全て実行すると,その旨を通知送信部138に通知する。
通知送信部138は,クライアント処理実行部136から通知を受けて,サーバ通信部134を介してサービスサーバ106に通知情報を送信する。通知情報には,クライアント処理実行部136が単位処理を実行した相手であるユーザ端末102の識別情報が少なくとも含まれる。識別情報としては,ユーザ端末102の物理アドレス,IPアドレス,メールアドレスなどを例示できる。
通知情報には,ユーザ端末102の識別情報のほかに,サービスサーバ106に実行させたい単位処理の識別情報やその順序などが含まれていてもよい。例えば,決済処理に10個の単位処理が含まれており,その1〜5番目までをサービスクライアント104が実行し,6〜10番目までの単位処理をサービスサーバ106が実行する場合には,通知情報に,サービスサーバ106において6番目の単位処理から実行するべきことを示す情報や,その内容,さらに,6〜10番目までの全ての単位処理の内容と順序が含まれていてもよい。また,サービスサーバ106が複数のアプリケーションを保有している場合には,決済処理を実行するアプリケーションの識別子が含まれていてもよい。
上記のように,サービスクライアント104が,ユーザ端末102との間で実行するべき全ての単位処理を終了した際にサービスサーバ106に通知を行うことによって,サービスサーバ106は,通知情報により指定されたユーザ端末102との間で決済処理の続きを行うことができる。
クライアント処理開始判断部140は,上述のように,クライアント処理実行部136によってユーザ端末102から取得された実行情報に基づいて,新たな決済処理の開始可否を判断する。
以上,サービスクライアント104について説明した。次に,図6に基づいて,サービスサーバ106の機能構成について説明する。サービスサーバ106は,例えば,通信部142,通知受信部144,およびサーバ処理実行部146などを備える。
通信部142は,通信網108を介してユーザ端末102およびサービスクライアント104と通信を行う。
通知受信部144は,サービスクライアント104により送信された通知情報を通信部142を介して取得し,取得した通知情報をサーバ処理実行部146に提供する。詳細には,通知受信部144は,取得した通知情報に含まれるユーザ端末102の識別情報をサーバ処理実行部146に提供する。
サーバ処理実行部146は,通知受信部144からユーザ端末102の識別情報を提供されると,その識別情報により特定されるユーザ端末102に処理開始要求を送信し,ユーザ端末102とサービスサーバ106間の通信を伴う1以上の単位処理を実行する。
以上,サービスサーバ106の機能構成について説明した。次に,図7に基づいて,ユーザ端末102,サービスクライアント104およびサービスサーバ106により実行される決済処理の流れについて説明する。各単位処理は,処理1,処理2,・・処理Nとして示す。
まず,ユーザ端末102がサービスクライアント104に通信接続し,決済処理の開始を要求する(S102)。この処理は,例えば,ユーザがユーザ端末102をサービスクライアント104のリーダ114に翳すことにより行われる。処理の開始要求を受けて,サービスクライアント104は通信接続されたユーザ端末102に実行情報の送信を要求する(S104)。
ユーザ端末102は,実行情報記憶部128に記憶される実行情報を読み出してサービスクライアント104に送信し(S106),サービスクライアント104は,受信した実行情報に基づいて処理開始可否の判断を行う(S108)。詳細には,サービスクライアント104は,受信した実行情報を参照し,単位処理の終了を示す値と未終了を示す値の双方のフラグが混在している場合には,前回の決済処理が完了していないと判断し,新たな決済処理の開始を許可しない。一方,サービスクライアント104は,実行情報を参照し,全てのフラグが単位処理の終了を示す値であるか,または全てのフラグが単位処理の未終了を示す値である場合には,前回の決済処理が完了しているか,またはユーザ端末102が決済処理を未だ実行したことがない等の理由により,ユーザ端末102が決済処理の途中の状態ではないと判断し,新たな決済処理の開始を許可する。
続いて,サービスクライアント104は,S108での判断の結果を通知する(S110)。S108での判断の結果,新たな決済処理の開始を許可しない場合には,サービスクライアント104はエラー等をユーザ端末102に返す。エラーであった場合には,ユーザ端末102は「前回の決済処理が完了していません。決済処理を完了させてください。」等のエラーメッセージをユーザ端末102が備える表示装置に表示してもよい。または,ユーザ端末102は,自動的にサービスサーバ106等に接続して,前回の決済処理の続きを行うようにしてもよい。
S108での判断の結果,新たな決済処理の開始を許可する場合には,サービスクライアント104は処理開始OKの通知をユーザ端末102に送信し,ユーザ端末102は実行情報記憶部128に記憶される実行情報を,全てのフラグを未終了の値に設定する等,新たな決済処理に備えて初期化する(S112)。ユーザ端末102は,実行情報の初期化後,初期化終了の通知をサービスクライアント104に行う。
サービスクライアント104は,S112の通知を受けると,単位処理を実行する。サービスクライアント104は,単位処理の一つである処理1の開始通知をユーザ端末102に送信し,ユーザ端末102とサービスクライアント104間で処理1が実行される(S116)。処理1の実行が終了すると,ユーザ端末102は実行情報を更新し(S118),処理1の終了通知をサービスクライアント104に送信する(S120)。詳細には,S118では,実行情報記憶部128における処理1のフラグが,未終了を示す値から終了を示す値に更新される。
処理1の終了通知を受けて,サービスクライアント104は,次の単位処理である処理2の開始通知をユーザ端末102に送信する(S122)。そして,ユーザ端末102とサービスクライアント104間で処理2が実行され,(S124)。処理2の実行が終了すると,ユーザ端末102は実行情報を更新し(S126),処理2の終了通知をサービスクライアント104に送信する(S128)。本例では,決済処理に含まれる複数の単位処理のうち,処理1と処理2をユーザ端末102とサービスクライアント104との間で実行する処理とし,処理3以降の単位処理をユーザ端末102とサービスサーバ106との間で実行する処理とする。かかる情報はユーザ端末102またはサービスクライアント104の記憶手段に格納されているものとする。
ユーザ端末102は,処理2の終了通知をサービスクライアント104に送信後,処理2の終了をユーザ端末102の表示装置に表示する(S132)。具体的には,例えば,「購入の処理が終了しました。」等のメッセージを表示したり,処理の終了を示す音を出力するなどして,ユーザに,ユーザ端末102をサービスクライアント104から離してもよい旨を通知するようにする。
一方,処理2の終了通知を受けたサービスクライアント104は,通知情報をサービスサーバ106に送信する(S130)。処理2の終了通知をサービスクライアント104が受信した後,ユーザ端末102とサービスクライアント104との通信接続は切断される。通知情報を受信したサービスサーバ106は,通知情報に含まれるユーザ端末の識別情報により特定されるユーザ端末102との間で,単位処理を開始する。つまり,サービスサーバ106は,処理3の開始通知をユーザ端末102に送信し(S134),ユーザ端末102とサービスサーバ106との間で処理3が実行される(S136)。処理3の実行が終了すると,ユーザ端末102は実行情報を更新し(S138),処理3の終了通知をサービスサーバ106に送信する(S140)。サービスサーバ106は,処理3終了の通知を受けると処理4の処理開始通知をユーザ端末102に送信し,処理4が実行される。同様に,決済処理に含まれる全ての単位処理(処理Nまで)が実行され,決済処理が完了する。
なお,S134において,サービスサーバ106は,処理3の開始通知を行うのではなく,ユーザ端末102とサービスサーバ106間で実行されるいずれかの単位処理の開始通知をユーザ端末102に送信してもよく,その場合,ユーザ端末102は,実行情報記憶部128に記憶される実行情報を参照して,次に実行するべき単位処理を特定し,特定した単位処理を実行するようにしてもよい。本例の場合,処理2までのフラグが終了を示す値になっているため,次に実行するべき単位処理は処理3であることをユーザ端末102は実行情報に基づいて特定できる。
以上,決済処理の流れについて説明した。なお,S104からS112までの処理も,ユーザ端末102とサービスクライアント104との間で行われる単位処理の一つとしてもよい。
次に,本実施形態の変形例について説明する。本変形例では,新たな決済処理の実行可否をサービスクライアント104ではなくユーザ端末102が行う点で上記実施形態と異なる。以下,上記実施形態との相違点を中心に本変形例について説明する。
本変形例にかかるユーザ端末202の機能構成を図8に示した。図8に示すように,ユーザ端末202は,上記実施形態にかかるユーザ端末102が備える各機能部に加えて,端末処理開始判断部240を備える。端末処理開始判断部240は,上記実施形態におけるクライアント処理開始判断部140と類似した機能を有し,実行情報記憶部128に記憶される実行情報を参照して新たな決済処理の開始可否を判断する。開始可否の判断は,クライアント処理開始判断部140と同様に,前回の決済処理が完了しているか否かに基づいて行われる。なお,本変形例の場合,サービスクライアント104はクライアント処理開始判断部140を備えていなくてもよい。
本変形例にかかる決済処理の流れを図9に示した。図9では,図7と異なる部分のみを示している。まず,ユーザ端末202がサービスクライアント104と通信接続し,決済処理の開始を要求する(S202)。要求を受けたサービスクライアント104は,単位処理を開始する。つまり処理1の開始通知をユーザ端末202に送信する(S204)。
処理1の開始通知を受けたユーザ端末202は,処理開始の可否を判断する(S206)。具体的には,端末処理開始判断部240が,実行情報記憶部128に記憶される実行情報を参照し,単位処理の終了を示す値と未終了を示す値の双方のフラグが混在している場合には,前回の決済処理が完了していないと判断し,新たな決済処理の開始を許可しない。一方,ユーザ端末202は,実行情報を参照し,全てのフラグが単位処理の終了を示す値であるか,または全てのフラグが単位処理の未終了を示す値である場合には,前回の決済処理が完了しているか,またはユーザ端末202が決済処理を未だ実行したことがない等の理由により,ユーザ端末202が決済処理の途中の状態ではないと判断し,新たな決済処理の開始を許可する。
そして,S206において新たな決済処理の開始を許可する場合には,ユーザ端末202は,新たな決済処理の実行に備えて実行情報を初期化し(S208),続いて,サービスクライアント104との間で処理1を実行する(S210)。処理1の実行が終了すると,ユーザ端末202は実行情報を更新し(S212),処理1終了の通知をサービスクライアント104に送信する(S214)。以上,第1実施形態の変形例について説明した。
上記実施形態によれば,ユーザ端末102は,サービスクライアント104との通信を伴う処理を行う場合にはサービスクライアント104と通信接続して処理を行い,サービスサーバ106との通信を伴う処理を行う場合にはサービスサーバ106と通信接続して処理を行う。つまり,ユーザ端末102は,サービスクライアント104を介してサービスサーバ106との処理を行うのではく,直接サービスサーバ106と通信接続してサービスクライアント104を介さずにサービスサーバ106との処理を行う。従って,ユーザは,サービスクライアント104との処理を行う間のみユーザ端末102をサービスクライアント104に翳すなどしてユーザ端末102とサービスクライアント104との通信接続を保持しておけばよい。ユーザ端末102とサービスサーバ106との処理は,サービスサーバ106からの処理開始要求に従って自動で実行されるので,ユーザは,ユーザ端末102をサービスクライアント104に翳していなくても済むことはもちろん,ユーザ端末102とサービスサーバ106間での処理を実行させることを意識しなくてもよい。
また,実行情報により決済処理に含まれる各単位処理の実行状況を管理し,全ての単位処理が実行されていなければ新たな決済処理を開始できないようにしているため,一部の処理を実行しない等の不正な操作を防止することができる。
(第2実施形態)
次に,本発明の第2実施形態にかかる情報処理システムについて説明する。第2実施形態では,図10に示すように,ユーザ端末302がサービスクライアント304およびサービスサーバ106の双方と通信接続可能である点では第1実施形態と同様であるが,サービスクライアント304とサービスサーバ106が通信網を介して接続されていない点で第1実施形態と異なる。以下,第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図11に,本実施形態にかかるサービスクライアント304の機能構成を示した。サービスクライアント304は,サービスサーバ106との通信を行わないため,サーバ通信部を備えていない。サービスクライアント304は,ユーザ端末302との単位処理の実行を終了すると,ユーザ端末302とサービスサーバ106との間での単位処理を実行させるために,ユーザ端末302に対して,処理開始依頼要求を送信する。そのために,サービスクライアント304は,依頼要求送信部338とサーバ情報記憶部306とを備える。
サーバ情報記憶部306には,サービスサーバ106の識別情報が格納されている。識別情報は,例えば,物理アドレス,IPアドレスなどである。依頼要求送信部338は,クライアント処理実行部136から単位処理の終了の通知を受けると,サーバ情報記憶部306に記憶されているサーバの識別情報を取得し,そのサーバの識別情報を少なくとも含む処理開始依頼要求を端末通信部132を介してユーザ端末302に送信する。処理開始依頼要求には,サーバの識別情報のほかに,ユーザ端末302がサービスサーバ106との間で開始する単位処理の内容や順序等が含まれていてもよい。
本実施形態にかかる情報処理システムでの決済処理の流れを図12に示した。図12には,図7と相違する部分を主に示した。サービスクライアント304が処理2の開始通知をユーザ端末302に送信する(S302)。ユーザ端末302とサービスクライアント304との間で処理2が実行され(S304),処理2の実行が終了するとユーザ端末302は実行情報を更新し(S306),処理2の終了通知をサービスクライアント304に送信し(S308),処理2の終了をユーザ端末302が備える表示装置に表示する(S312)。
処理2の終了通知を受けたサービスクライアント304は,サーバ情報記憶部306に記憶されるサーバの識別情報を読み出して(S310),そのサーバの識別情報を含む処理開始依頼要求をユーザ端末302に送信する(S314)。処理開始依頼要求をユーザ端末302が受信した後,ユーザ端末302とサービスクライアント304との通信接続は切断される。
処理開始依頼要求を受信したユーザ端末302は,処理開始依頼要求に含まれる識別情報により特定されるサービスサーバ106に,処理3の開始要求を送信する(S316)。処理3の開始要求を受信したサービスサーバ106は,処理3の開始通知をユーザ端末302に送信し(S318),ユーザ端末302とサービスサーバ106との間で処理3が実行される(S320)。以後は,第1実施形態と同様に,ユーザ端末302は実行情報の更新(S322),処理3の終了通知の送信(S324)を行い,決済処理を完了させる。
次に,本実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態では,サービスクライアント304がサービスサーバ106の情報を保有していたが,本変形例ではサービスサーバ106の情報をユーザ端末402が保有している点で相違する。以後,上記第2実施形態との相違点を中心に本変形例について説明する。
図13に本変形例にかかるユーザ端末402の機能構成を示した。ユーザ端末402は,サーバ情報記憶部412を備える点で,上述の各ユーザ端末と相違する。サーバ情報記憶部412には,サービスサーバ106の識別情報が記憶されている。本変形例では,決済処理のうち,ユーザ端末402とサービスクライアント404との間で行われる単位処理の終了後,ユーザ端末402が自己が保有するサーバの識別情報に基づいてサービスサーバ106に処理開始要求を送信する点で第2実施形態と相違する。
図14に,本変形例にかかる決済処理の流れを示した。以後,図12と相違する部分のみを説明する。ユーザ端末402が処理2の終了通知をサービスクライアント404に送信し(S408),サービスクライアント404はその通知を受信後,ユーザ端末402との通信接続を切断する(S410)。ユーザ端末402は,処理2の終了を表示装置に表示後(S412),サーバ情報記憶部412に記憶されるサーバの識別情報を読み出し(S414),読み出したサーバの識別情報により特定されるサービスサーバ106に処理3の開始要求を送信する(S416)。
上記第2実施形態およびその変形例にかかる情報処理システムによれば,サービスクライアントとサービスサーバとが通信網を介して接続されていない場合でも,ユーザ端末がサービスサーバに処理開始要求を送信することにより,ユーザ端末はサービスサーバとの間での単位処理を実行することができる。そのため,第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお,上記第1実施形態および第2実施形態にかかる情報処理システムにおいて,ユーザ端末とサービスサーバとの間での各単位処理を実行中に,例えばユーザ端末が電波の届く範囲外に移動するなどしてサービスサーバとの通信接続が切断された場合には,再度通信が接続された際に,自動的に続きの処理を実行するようにしてもよい。図15に処理の流れを示した。
ユーザ端末からの処理3の開始要求の送信(S502)を受けて,サービスサーバが処理3の開始通知をユーザ端末に送信し(S504),ユーザ端末とサービスサーバとの間で処理3が実行される(S506)。処理3の実行中に,ユーザ端末とサービスサーバとの通信接続が切断された場合,ユーザ端末は,サービスサーバとの通信接続が再開された際に,処理3の開始要求を送信する(S508)。ユーザ端末は,実行情報を参照することにより,処理3が未終了であることがわかるため,処理3の開始要求を送信することができる。そして,再度ユーザ端末とサービスサーバ間で処理3が実行される(S510〜S514)。
なお,ユーザ端末は,自動的に続きの処理を開始するのではなく,メッセージ表示するなどしてユーザに続きの処理の実行を促すようにしてもよい。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記実施形態では,ユーザ端末はサービスクライアントとの間で非接触式通信を行うように説明した。しかし,本発明はかかる例には限定されず,例えば,ユーザ端末はサービスクライアントとの間で光通信,赤外線通信などを行ってもよい。