JP5142107B2 - マルチホップ無線通信ネットワーク、モバイルノード、および通信方法 - Google Patents
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Description
図1は、マルチホップ無線通信における隠れ端末問題を説明するための図である。マルチホップ無線通信では、各無線装置がデータを送受信することでデータの転送を実現する。そのため、同一転送経路において同じ占有周波数帯幅の無線チャネルを用いて送受信を行う場合に電波干渉が発生する。
図1は、データの送受信を行うモバイルノード(以下、MN)1からMN5へデータの送信を行う場合を示している。図1において、MN1が送信元MN(以下、S−Node)であり、MN5が送信先MN(以下、D−Node)である。図1の例では、AODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vecter)やDSR(Dynamic Source Routeing)に代表されるような、マルチホップ無線通信で使用されるルーティングプロトコルによって、予めMN1からMN5までの転送経路が形成されているものとする。また、MN1からMN5までの経路において、各MNは、同じ無線チャネルを使用して通信を行う。なお、図1において、(a1)から(a3)は、それぞれ時間的な経過を示している。
(a1)において、MN1は、無線チャネルCH1(以下、CH1)を使用してMN2へデータを送信する。ここで、CH1は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11bに規定される無線LAN(Local Area Network)の無線チャネルを例として用いる。
次に、(a2)において、MN2は、MN1と同様にCH1を使用してMN3へデータを送信する。この時、MN1は、MN2の通信をキャリアセンスによって検知するため、データの送信を行わない。
さらに、(a3)において、MN3は、CH1を使用してMN4へデータを送信する。この時、MN1は、位置的な要因によって、MN3の送信電波を検知できない場合がある。そのため、MN1は、送信データがある場合、CH1が空いていると判断して、CH1を使用してMN2へデータの送信を開始してしまう。この結果、MN2は、MN3及びMN1の双方から、CH1を使用した送信電波を受信することになる。そのため、MN2は、MN1からの送信データを正常に受信をすることができない。このような原因により、隠れ端末問題が発生する。
図2は、マルチチャネル方式における廻り込み干渉問題を説明するための図である。図2は、図1とほぼ同様の条件であるが、各MNが複数の無線チャネルを使用して通信を行うことが異なる。なお、図2において、(b1)から(b3)は、それぞれ時間的な経過を示している。
(b1)において、MN1は、CH1を用いてMN2へデータを送信する。
次に、(b2)において、MN2は、CH6を用いてMN3へデータの送信を行う。この時、MN1は、MN2がCH6を使用しているため、CH1は空いていると判断する。そのため、MN1は、送信データが存在する場合、CH1を使用して通信を開始する。MN2は、CH6データを送信すると同時に、CH1でデータを受信することとなる。
さらに、(b3)において、MN3は、CH11を使用してMN4へデータ送信を行う。MN2は、CH6を使用しているため、CH6は空いていると判断し、送信データが存在する場合は通信を開始する。同様に、MN1は、CH1を使用しているため、CH1は空いていると判断し、送信データが存在する場合は通信を開始する。
このように、マルチチャネル方式は、各MNで複数の異なる無線チャネルを使用して通信を行うため、隠れ端末問題を回避することができる。しかし、マルチチャネル方式では、異なる無線チャネルを使用しての同時送受信が可能となるゆえに、廻り込み干渉問題が存在する。
(b2)において、CH1とCH6は、異なる無線チャネルであり電波干渉は発生しないように思える。しかし、実際には、各無線チャネルの占有帯域幅外へのスプリアス発射の影響により、電波干渉が発生する。つまり、MN2は、自身のCH6を使用した送信が、CH1の占有帯域幅への不要な電波発射を含むため、MN1からのCH1による受信電波を同時に受信する際に、電波干渉を受けることとなる。
同様に(b3)において、MN3は、CH11を使用してMN4へデータ送信を行う。MN3は、この時に、同時にMN2からCH6によるデータ受信を行うため、同様の理由により電波干渉を受ける。このような原因により、廻り込み干渉問題が発生する。
図3は、TDMAマルチチャネル方式を説明するための図である。図3は、図2とほぼ同様の条件であるが、同一経路内の各MNが、それぞれ割り当てられたタイムスロットでデータ送信を行う点が異なる。TDMAマルチチャネル方式は、同一経路内の各MNに時分割にデータ送信タイミングを割り当てる。各MNは、各MNに割り当てられたタイムスロット(以下、TS)においてデータ送信を行う。また、同一経路内の隣接するMNは、異なるタイムスロットで送信する。例えば、図3において、MN1、3、5は、奇数TS(TS=2T+1)でデータ送信を行い、MN2、4は、偶数TS(TS=2T)でデータ送信を行う。また、各MNは、マルチチャネル方式により、各TSにおいて異なる無線チャネルを用いて通信を行う。
図3を用いて説明を行うと、まず、図3のTS1において、MN1は、CH1を使用してMN2へデータ送信を行う。次に、TS2において、MN2は、CH6を使用してMN3へデータ送信を行う。TS3において、MN3は、CH11を使用してMN4へデータ送信を行う。また、同じTS3において、MN1は、CH1を使用してMN2へ次のデータ送信を行う。さらに、TS4において、MN4は、CH14を使用してMN5へデータ送信を行う。また同時にTS4において、MN2は、CH6を使用してMN3へデータ送信を行う。このように、TDMAマルチチャネル方式では、同一経路内の隣接するMNが、異なるTSにおいてデータ送信する。そのため、隣接する各MNは、同時に送受信をすることがないため廻り込み干渉問題を解決することができる。また、各MNは、同じTSにおいて異なる無線チャネルを用いてデータ送信を行うことにより、隠れ端末問題を解決することができる。
しかし、TDMAマルチチャネル方式を用いたマルチホップ無線通信ネットワークにも課題が存在する。TDMAマルチチャネル方式では、TDMAにより送信タイミングが明確に時分割されている。そのため各TSの時間長(以下、フレーム長)が、厳格に割り当てられており、当該フレーム長において送信可能なシンボル数が制限される。このことは、特に、リンク毎のデータ伝送速度を向上させるために適応変調を用いるような場合に、各MN間の無線通信品質(以下、SNR:Signal to Noise Ratio)のばらつきに起因するデータ伝送容量の違いとなって現れる。マルチホップ無線通信は、複数のMNによってデータが転送される。各MN間は、MN間の距離やフェージング等の影響によりSNRが異なる。適応変調を行う無線通信では、SNRに応じて変調方式が変化するのでデータ伝送容量が異なる。そのため、SNRの良好な区間と良好でない区間とでは、同じフレーム長において送信可能なデータ伝送容量が異なる。
例えば、IEEE802.11aやIEEE802.11gでは、一次変調おいて、BPSK(Binary Phase Shift Keying)から64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)までの変調方式を用い、各サブキャリアにおけるSNRに応じて適応変調を行っている。図4は、MN間におけるSNRに対応する変調方式の例を示す図である。図4の例を参照すると、各MNは、各サブキャリアのSNRが、SNR=6.8dBを超えるとBPSK、SNR=9.8dBを超えるとQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、SNR=16.5dBを越えると16QAM、SNR=22.5dBを超えると64QAMを使用して変調を行う。このように、適応変調を行う場合、各MN間のSNRによって変調方式がことなり、送信可能なデータ伝送容量が異なる。
一方、(b)は、MN1とMN2との間が、低SNRである場合を示している。(b)においては、グラフに示すとおり、MN1とMN2との距離的要因やフェージングの影響を受けて、SNRがあまり良好でない。そのため、表に示すとおり、各サブキャリアの変調方式は、QPSKや16QAMを用いて変調を行う。そのため、サブキャリア1番から6番までを1OFDMシンボルへ変調して送信すると、1OFDMシンボルあたり16bitのデータしか送信できないことになる。
はじめに、本実施形態におけるネットワーク構成について説明を行う。図6は、本実施形態におけるネットワーク構成を示す図である。本実施形態におけるマルチホップ無線通信ネットワークは、複数のモバイルノード(以下、MN)から構成される。各MNは、本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークにおいて通信を行うために、後述する端末構成と機能をそれぞれ有している。図6に示すMN1からMN5までのMNは、送信データの送信元ノード(以下、S−Node)であるMN1から、送信先ノード(以下、D−Node)であるMN5までの、マルチホップ無線通信における転送経路である。転送経路に存在する各MNは、転送経路において自MNに対する転送元MN(以下、前ホップ)から転送されたS−Nodeからの送信データを受信して、自MNに対する転送先MN(以下、次ホップ)へ送信データを転送する。各MNは、例えば、AODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vecter)やDSR(Dynamic Source Routein)に代表されるような従来のルーティングプロトコルを用いて、マルチホップ無線通信ネットワークに存在する複数のMNの内から自律的に転送経路を形成する。AODVやDSRは、マルチホップ無線通信ネットワークにおける、リアクティブ(オンデマンド)型のルーティングプロトコルである。リアクティブ型のルーティングプロトコルは、S−Nodeにおいて通信要求が発生すると転送経路を形成する。リアクティブ型ルーティングプロトコルにおいて、S−Nodeは、送信データが発生すると、RREQと呼ばれるリクエストメッセージを他のMNにフラッディングする。その後、RREQを受信した各MNが、RREQのフラッディングを繰り返すことでD−NodeがRREQを受信する。D−Nodeは、RREQを受信すると、RREQに対する応答であるRREPをS−Nodeへ送信する。このようにして、S−NodeとD−Nodeとの間に転送経路が形成される。図6に示すMN1からMN5による転送経路は、マルチホップ無線通信ネットワークにおいて、多数形成される転送経路のうちの一つを例示したものである。
まず、本実施形態における同一転送経路内の各MNは、隣接するMNとのデータ送信タイミングを時間的にずらすTDMA方式を用いる。
次に、本実施形態のS−Nodeは、同一転送経路内の各MN間の1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に基づいて決定する固定パケット長の送信パケットを用いてデータ送信を行う。
次に、本実施形態における同一転送経路内の各MNは、使用周波数帯域において、送信元MNからのホップ数に基づいてアンカーサブキャリアを設定し、アンカーサブキャリアからデータの転送に使用するサブキャリアを選択する。
次に、同一転送経路内の各MNは、ダイナミックサブキャリア制御により、通信に使用するサブキャリアを調整することで、転送経路内の伝送容量を改善する。
以下、これらの各特徴について説明を行う。
まず、本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークにおいて、同一転送経路内の各MNは、TDMA方式を用いる。TDMA方式において、同一転送経路に存在する各MNは、隣接するMNと異なるタイムスロット(以下、TS)を用いてデータ送信を行う。図6では、各MNが、2つのTSに分かれてデータ送信を行っている。MN1、MN3、及びMN5は、TS=2Tで送信を行い、MN2、及びMN4はTS=2T+1で送信を行う。なお、各MNがデータ送信を行うTSは、逆のタイミングでも構わない。各MNがデータ送信を行うタイムスロットは、転送経路の送信元MNからのホップ数に基づいて決定される。例えば、送信元MNからのホップ数が偶数のMNは、TS=2Tを送信するべきTSとして設定し、送信元MNからのホップ数が奇数のMNは、TS=2T+1を送信するべきTS設定する。このように各MNがTSを設定することで、各MNは隣接するMNとの送信タイミングをずらすことができる。また、各TSにおける時間長(以下、フレーム長)は、一定である。つまり、同一転送経路内の隣接するMNは、一定時間毎に交互に送信を行う。本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークは、このように隣接するMNでTSをずらしてデータ送信を行う。
次に、本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークにおいて、同一転送経路内の各MNは、同一転送経路内で決定された、固定ビット数からなるパケット長(以下、固定パケット長)による送信パケットを用いてデータ送信を行う。
図6を参照すると、各MN間は、位置的環境やフェージングの影響を受けて、電波伝播特性が異なる。例えば、MN2とMN1との間は、電波伝播特性が悪く、MN2における無線通信品質(以下、SNR:Signal to Noise Ratio)が良好でない。そのため、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数は、16bitである。一方、MN3とMN4との間は、電波伝播特性が良く、MN4におけるSNRが良好である。そのため、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数は、36bitである。なお、通常は、1フレーム長で複数のOFDMシンボルが送信されるため、実際には、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に1フレーム長で送信されるOFDMシンボル数を乗算して得られるビット数が1フレーム長で送信される。このように、各MN間の電波伝播特性によるSNRの違いにより各MN間の伝送容量が異なるため、低SNRの区間がボトルネックとなる。
本実施形態では、同一転送経路内の各MNは、TDMA方式を用い、各TSにおけるフレーム長は固定である。各MNは、最もSNRが悪い区間における1OFDMシンボルでの送信可能ビット数(以下、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数)を基準として、1フレーム長での送信可能ビット数からなる固定パケット長を用いてデータ送信を行う。
図6を参照すると、MN1からMN5の区間において、MN1とMN2との間が最も低SNRである。そのため、この転送経路では、MN1とMN2との間の1OFDMシンボルでの送信可能ビット数(16bit)が、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数となり、16bitを基準として固定パケット長を決定する。前述のとおり、通常、1フレーム長で複数のOFDMシンボルを送信するため、この場合、各MNは、16bitに1フレーム長で送信されるOFDMシンボル数を乗算したビット数からなるパケット長を、同一転送経路内における固定パケット長として決定する。このように、固定パケット長は、最もSNRの悪い区間における1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数に基づき、1フレーム長で送信するOFDMシンボル数によって変化する。
なお、1フレーム長で送信可能なOFDMシンボル数は、通信システムによって依存する事項であり限定はしない。このように構成することによって、SNRが良好でない区間において、データ転送待ちを防ぐことができる。
また、図6において、各MNは、6つのサブキャリアを用いて変調を行っているが、これは説明の簡易のためである。各MNの使用周波数帯域におけるサブキャリアの数はこれには限定しない。例えば、2次変調にOFDMを用いる、IEEE802.11aやIEEE802.11gでは、1つの無線チャネル(使用帯域幅:20MHz)のサブキャリア数が「56」であり、IEEE802.16d−2004(WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access)では、1つの無線チャネル(使用帯域幅:1.75〜10MHz)のサブキャリア数が「256」である。このように、各MNは、より多くのサブキャリアを使用する場合がある。
次に、本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークにおいて、同一転送経路内の各MNは、使用周波数帯域において、送信元からのHOP数に基づいてアンカーサブキャリアを設定して、アンカーサブキャリアから通信に必要なサブキャリア数を決定する。
本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークは、TDMA方式を用いる。この場合、各MNにおいて複数の無線チャネルを用いるマルチチャネル通信を行うことで、隠れ端末問題を回避できることは前述した。本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークは、同一転送経路内の各MNが、使用周波数帯域においてアンカーサブキャリアを設定することによって隠れ端末問題を回避する。アンカーサブキャリアは、使用周波数帯域において、固定パケット長の送信データの送信に使用するサブキャリア(最低必要サブキャリア)を選択するための基準となるサブキャリアである。つまり、各MNは、アンカーサブキャリアを基準として、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能送信ビット数を累積する。
図7は、本実施形態におけるアンカーサブキャリアの設定方法を示す図である。各MNは、転送経路におけるS−NodeからのMN数(以下、ホップ数)に基づいて、アンカーサブキャリアを決定する。図7に示すとおり、転送経路に存在する各MNの内、S−Nodeからのホップ数が「4n+1(nは0以上の整数)」、「4n+2」であるMNは、使用周波数帯域において最も中心周波数の低いサブキャリアをアンカーサブキャリア(以下、アンカーサブキャリアLow)とする。一方、転送経路に存在する各MNの内、S−Nodeからのホップ数が「4n+3」、「4n+4」であるMNは、使用周波数帯域において最も中心周波数の高いサブキャリアをアンカーサブキャリア(以下、アンカーサブキャリアHigh)とする。このように、各MNは、同一転送経路内において、S−Nodeからのホップ数に応じて、アンカーサブキャリアLowと、アンカーサブキャリアHighを設定する。
MN「4n+1」とMN「4n+2」は、隣接するMNである。そのため、MN「4n+1」とMN「4n+2」は、異なるTSにおいてデータ送信を行う。例えば、MN「4n+1」は、TS=2Tにおいて送信を行い、一方の、MN「4n+2」は、TS=2T+1において送信を行う。そのため、MN「4n+1」とMN「4n+2」は、送信タイミングが重なることがない。よって、MN「4n+1」とMN「4n+2」は、共にアンカーサブキャリアLowとしても、お互いに干渉を与える事はない。このことは、MN「4n+3」とMN「4n+4」についても同じことが言える。
また、MN「4n+1」とMN「4n+3」は、2ホップ先のMN(以下、次次ホップ)である。そのため、MN「4n+1」とMN「4n+3」は、同じTSにおいて送信を行う。例えば、MN「4n+1」もMN「4n+3」も、TS=2Tにおいて送信を行う。しかし、MN「4n+1」は、アンカーサブキャリアLowが設定されており、一方の、MN「4n+3」は、アンカーサブキャリアHighが設定されている。そのため、MN「4n+1」とMN「4n+3」とは、アンカーサブキャリアから選択する最低必要サブキャリアを重複しないように決めれば、同じTSにおいてデータ送信を行っても、お互いに干渉を与えることはない。このことは、MN「4n+2」とMN「4n+4」についても同じことが言える。
つまり、MN「4n+1」からMN「4n+4」を一つの周期としてアンカーサブキャリアから最低必要サブキャリアの割り当て行い、互いの最低必要サブキャリアの重複を避ければ、各MN間における干渉を抑えることが可能となる。なお、MN「4n+1」とMN「4n+2」にアンカーサブキャリアHighを設定し、MN「4n+3」とMN「4n+4」にアンカーサブキャリアLowを設定したとしても同じことである。また、MN「4n+1」とMN「4n+4」にアンカーサブキャリアLowを設定し、MN「4n+2」とMN「4n+3」にアンカーサブキャリアHighを設定する、あるいは、MN「4n+1」とMN「4n+4」にアンカーサブキャリアHighを設定し、MN「4n+2」とMN「4n+3」にアンカーサブキャリアLowを設定したとしても、同様であることが理解できる。
図8は、前述したMN1からMN5の転送経路にアンカーサブキャリアを割り当てた場合を示している。MN1とMN2は、アンカーサブキャリアLowが設定され、MN3とMN4は、アンカーサブキャリアHighが設定されている。図示はしないが、各MNがアンカーサブキャリアをこのように設定する場合、MN5は、アンカーサブキャリアLowを設定することは、前述したとおりである。
各MNは、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を、アンカーサブキャリアから各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積して算出する。アンカーサブキャリアLowを設定したMNは、使用周波数帯域において、中心周波数の最も低いサブキャリア(アンカーサブキャリアを含む)から順に、最低必要サブキャリアを選択し、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を累積する。一方、アンカーサブキャリアHighを設定したMNは、使用周波数帯域において、中心周波数の最も高いサブキャリア(アンカーサブキャリアを含む)から順に、最低必要サブキャリアを選択し、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を累積する。
本実施形態において、各MNは各サブキャリアをSNRに基づいて適応変調を行う。各サブキャリアは、フェージング等の影響によりSNRが異なり、変調方式も同様に異なってくる。同一転送経路内の各MN間において、最もSNRの良好でない区間は、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数が最小となる。本実施形態では、同一転送経路内の1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を基準として固定パケット長が決定される。
図8を参照すると、MN1は、アンカーサブキャリアLow(サブキャリア番号1)を設定している。そのため、MN1は、中心周波数の低いサブキャリアから順に、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積する。説明の簡易のために、図8では、使用周波数帯域におけるサブキャリア数は「6」とする。なお、前述のとおり、サブキャリア数が、より多数となる場合がある。
MN1が、サブキャリア番号1からサブキャリア番号3までの送信可能ビット数を累積すると、MN1は、1OFDMシンボルでの送信可能なビット数が8bitとなる。ここで、MN1が、送信可能ビット数をサブキャリア番号3までの累積とするのは、同じTSでデータ送信を行う次次ホップであるMN3の使用するサブキャリアと重複するからである。本実施形態では、無線チャネルを複数使用するマルチチャネル通信を行う変わりに、アンカーサブキャリアを設定し、使用周波数帯域内で最低必要サブキャリア数を調整することによって干渉を防ぐ。そのため、各MNは、次次ホップと使用するサブキャリアを重複しないように最低必要サブキャリアを選択する。
MN3は、アンカーサブキャリアHighを設定している。そのため、MN3は、中心周波数の高いサブキャリアから順に、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積する。MN1とMN3が、最も単純にサブキャリアを重複させないとすると、6つのサブキャリアを3つずつ使用することになる。このように、各MNでは、次次ホップと最低必要サブキャリアを重複することないように選択する。各MNは、アンカーサブキャリアから最低必要サブキャリアのうちで最もアンカーサブキャリアから離れた最低必要サブキャリア(以下、累積基準サブキャリア)までの、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積する。つまり、当該MNと次次ホップとでは、累積基準サブキャリアが重複することはない。
図8を参照すると、MN3は、累積基準サブキャリアがサブキャリア番号4であり、サブキャリア番号6からサブキャリア番号4までの送信可能ビット数を累積する。なお、MN1は、累積基準サブキャリアがサブキャリア番号3である。MN3とMN4との間はSNRが良好であり、MN3は、1OFDMシンボルでの送信可能なビット数が、18bitとなる。また、図示はしないが、MN5は、アンカーサブキャリアLowを設定しており、サブキャリア番号3が累積基準サブキャリアとなることは容易に理解できる。
MN2とMN4も同様にして、アンカーサブキャリアから累積基準サブキャリアまで送信可能ビット数を累積する。MN2は、アンカーサブキャリアLowを設定している。また、MN2は、累積基準サブキャリアをサブキャリア番号3と設定している。MN2が、サブキャリア番号1からサブキャリア番号3までの送信可能ビット数を累積すると、1OFDMシンボルでの送信可能なビット数は、12bitとなる。また、MN4は、アンカーサブキャリアHighを設定している。MN4は、累積基準サブキャリア番号をサブキャリ番号4と設定している。MN4は、サブキャリア番号6からサブキャリア番号4までの送信可能ビット数を累積すると、1OFDMシンボルでの送信可能なビット数は、12bitとなる。
このようにして、各MNは、S−Nodeからのホップ数に基づいて、送信を行うTSとアンカーサブキャリアを設定し、SNRに基づいて適用変調を行ってサブキャリア毎の変調方式を決定し、アンカーサブキャリアから累積基準サブキャリアまでの各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積する。また、各MNと次次ホップとは、累積基準サブキャリアが重複することが無いように最低必要サブキャリアを選択する。これによって、同じTSにおいて送信を行うMN間の電波干渉を防ぐ。
次に、各MNは、使用周波数帯域において使用するサブキャリアの数を、同一転送経路における次次ホップのMNと調整することにより、1フレーム長における送信可能ビット数を増加させる。図9は、各MNの行う使用サブキャリアの調整処理を示す図である。図8で説明を行ったとおり、各MNは、使用周波数帯域におけるサブキャリア毎のSNRに基づいて各サブキャリアの適応変調を行う。さらに、各MNは、各MNのS−Nodeからのホップ数に基づいてアンカーサブキャリアを設定して、アンカーサブキャリアから通信に使用する最低必要サブキャリアを選択して、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出する。
図8の転送経路においては、MN1とMN2との間における、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数が最小である。そのため、当該転送経路において、固定パケット長は、MN1とMN2との間における1OFDMシンボルでの送信可能ビット数と、1フレーム長において送信可能なOFDMシンボルとに基づいて決定される。MN1とMN2との間における、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数は、8bitである。そのため、当該転送経路における固定パケット長は、8bitの整数倍(1フレーム長で送信可能なOFDMシンボル数倍)として決定される。
しかし、同一転送経路内で、MN1と同じTSで送信を行う2ホップ先のMN(以下、次次ホップ)であるMN3は、MN3とMN4の区間が高SNRであるため、MN1とMN2との間における1OFDMシンボルでの送信可能ビット数(8bit)は、2つのサブキャリアを使用すれば送信することが可能である。
本実施形態では、この点に着目して、当該MNと同じTSで送信を行う次次ホップと、使用サブキャリアの調整を行うことで、最もSNRの悪い区間の1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を増加させて、データ転送効率を改善する。
図9を参照すると、MN1は、サブキャリア番号1からサブキャリア番号4までを使用し、一方のMN3は、サブキャリア番号5からサブキャリア番号6を使用するように調整を行う。つまり、MN1は、最低必要サブキャリアを1サブキャリア増加させ、MN3は、最低必要サブキャリアを1減少させる。このようにすることで、MN1とMN2の間は、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数が12bitとなる。そのため、当該転送経路における固定パケット長は、12bitの整数倍(1フレーム長で送信可能なOFDMシンボル数倍)として決定することができる。よって、当該転送経路において使用する固定パケット長のビット数を増加させることができる。
次に、本実施形態において、各MNは、ルーティングプロトコルを用いて、S−NodeからD−Nodeまでの転送経路を形成する際に、上述の処理を行う。前述したように、マルチホップ無線通信ネットワークでは、RREQとRREPを使用して転送経路を決定する。本実施形態は、RREQとRREPを拡張することで上述の処理を可能とする。図10は、RREQおよびRREPを拡張した場合のフレーム構成の一例を示している。拡張がなされているのは、RREPにおいて、最低必要サブキャリア番号23、最小送信ビット数24、及びタイミング情報25が追加されていることである。以下に、転送経路形成時の各MNにおける処理を説明する。
送信データの発生したS−Nodeは、D−Node宛てのRREQを送信する。マルチホップ無線通信ネットワークに存在する各MNは、RREQをフラッディングすることで、D−NodeへRREQを転送する。なお、RREQのフラッディングによる転送経路の構成については、従来技術であるので詳細な説明は省略する。
各MNは、RREQ受信時に、使用周波数帯域における各サブキャリア毎のSNRを取得する。さらに、各MNは、RREQのフラッディング時に、S−Nodeからのホップ数を取得する。各MNは、S−Nodeからのホップ数に基づいてTDMA方式における送信TSを決定する。また、各MNは、S−Nodeからのホップ数に基づいてアンカーサブキャリアを設定する。
各MNは、RREQ受信時に取得した使用周波数帯域における各サブキャリアのSNRに基づいて、各サブキャリアの適応変調を行い変調方式を決定する。
各MNは、決定した変調方式に基づく各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を、アンカーサブキャリアから累積基準サブキャリアまで累積して、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出する。なお、累積基準サブキャリアは、最低必要サブキャリアのうち、アンカ−サブキャリアから最も離れた最低必要サブキャリアであり、同一転送経路における、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数に基づいて選択された当該MNの最低必要サブキャリアと、次次ホップの最低必要サブキャリアに基づいて決定される。
D−Nodeは、S−NodeからのRREQを受信すると、RREPパケットを生成してS−Nodeへ転送経路を通知する。各MNは、RREPをS−Nodeへ転送する。各MNは、RREPの転送時に当該MNにおける、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、最低必要サブキャリア数とを含めて転送を行う。
ここで、D−Nodeは、RREPを生成するMNであるため、RREPから1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を取得することができない。そのため、D−Nodeは、初期値として、使用周波数帯域における全てのサブキャリア(サブキャリア番号で1〜N)を、RREQ受信時のSNRに基づいて適応変調を行って変調方式を決定し、全てのサブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積することで、1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を決定する。D−Nodeは、このようにして決定した1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数の初期値として、RREPに含めて送信する。
なお、RREPに含めるこれらの情報は、転送経路内の2ホップ前のMN(以下、前前ホップ)と1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数の調整を行うため、前前ホップまで転送される。このようにすることで、転送経路内の前ホップと前前ホップは、RREPから1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を送信するために使用する最低必要サブキャリアとを取得することができる。
同一転送経路内の各MNは、RREPをS−Nodeへ転送する。各MNは、RREPを受信すると、RREPに含まれる1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、最低必要サブキャリアを取得する。各MNは、当該MNにおいて1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を送信するための最低必要サブキャリアを選択する。各MNは、RREQ受信時に取得したSNRに基づいて、各サブキャリア毎の変調方式を決定している。各MNは、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を累積して、RREPから取得した次ホップまでの1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を送信できるサブキャリア数を算出する。
この際、各MNは、前述のとおり、同一転送経路内の次次ホップの最低必要サブキャリアと、使用するサブキャリアを重複しないように選択する必要がある。当該MNと次次ホップとは、アンカーサブキャリアの設定が異なっており、最低必要サブキャリアを重複しないように選択することによって、無線干渉を回避することができるからである。
そのため、各MNは、選択した最低必要サブキャリアが、同一転送経路内の次次ホップにおける最低必要サブキャリアと重複しているかを判定する。各MNは、当該MNにおける1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を送信するための最低必要サブキャリア数と、RREPに含まれた次次ホップの最低必要サブキャリア数との合計が、使用周波数帯域における前サブキャリア数以下であるか否かを算出する。各MNは、これによって、当該MNの最低必要サブキャリアと、次次ホップの最低必要サブキャリアとに重複があるかを判定する。
あるいは、当該MNと次次ホップとの累積基準サブキャリアのサブキャリア番号を使用して、最低必要サブキャリアに重複があるかを判定しても良い。当該MNと次次ホップとは、異なるアンカーサブキャリアを設定しているため、各MNは、累積基準サブキャリアのサブキャリア番号によって、最低必要サブキャリアの重複を判定することも可能である。
当該MNにおける最低必要サブキャリアが、次次ホップのMNの最低必要サブキャリアと重複がない場合、当該MNは、決定した最低必要サブキャリアのサブキャリア番号と、最小送信可能ビット数を変更しない。この状態において、当該MNと次次ホップとの、それぞれが、最低必要サブキャリアを用いて1OFDMシンボルで送信可能なビット数は、最小送信可能ビット数以上であり、かつ、当該MNと次次ホップのMNとが使用する最低必要サブキャリア数は、使用周波数帯域における全サブキャリア数(N)以下である。
そのために、各MNは、当該MNにおける最低必要サブキャリアによる1OFDMでの送信可能ビット数と、次次ホップにおける最低必要サブキャリアによる1OFDMでの送信可能ビット数とを比較して、ビット数が大きい側のMNからサブキャリア数を1サブキャリアずつ減少させていく。各MNは、サブキャリアを減少させるときは、当該MNに設定されたアンカーサブキャリアから最も離れたサブキャリアから減少させていく。当該MN、あるいは次次ホップMNの最低必要サブキャリアを1サブキャリアずつ繰り返して減少させることで、最低必要サブキャリアの重複が解消されていく。なお、最低必要サブキャリアを減少させる度に、当該MN、あるいは次次ホップでの最低必要サブキャリによる1OFDMでの送信可能ビット数が変化する。このため、重複が解消されるまで、当該MNと次次ホップとのうちで、最低必要サブキャリアによる1OFDMでの送信可能ビット数が大きい側のMNにおける最低必要サブキャリアを減少させる。
また、最低必要サブキャリアが減っていくことで、1OFDMでの送信可能ビット数も減少していくことになる。当該MNは、当該MNにおける最低必要サブキャリアと次次ホップにおける最低必要サブキャリアとの合計が、使用周波数帯域における全サブキャリア数以下になった時点の、当該MNと、次次ホップの最低必要サブキャリア数による1OFDMシンボルでの送信可能ビット数のうち少ないビット数を、転送経路内の1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数として更新する。
各MNは、このような処理を繰り返すことで、当該MNと、次次ホップとの最低必要サブキャリアの重複を解消し、また、転送経路内における1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を更新する。
各MNは、当該MNにおいて決定された1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、当該MNにおける最低必要サブキャリアの数と、当該MNにおける各サブキャリアでの送信可能ビット数をアンカーサブキャリアから各サブキャリア毎に累積した値とを、RREPに含めて、同一転送経路の前ホップへ転送を行う。この後、各MNは、前述の5〜6の処理を繰り返しながらRREPをS−Nodeまで転送する。S−Nodeが、RREPを受信すると、当該転送経路における1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数が確定する。S−Nodeは、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数に基づいて、TSの1フレームでの送信可能ビット数を求める。TSの1フレームでは、複数のOFDMシンボルを送信するため、1フレームでの送信可能ビット数は、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数に1フレームで送信するOFDMシンボル数を乗算した結果となる。S−Nodeは、1フレームでの送信可能ビット数からなる固定パケット長決定し、固定パケット長からなる送信パケットを用いて通信を行う。
なお、各MNは、前述の5〜6の処理動作を、次次ホップと比較して行うため、RREPに含まれる、当該MNにおける最低必要サブキャリアの数と、当該MNにおける各サブキャリアでの送信可能ビット数をアンカーサブキャリアから各サブキャリア毎に累積した値とは、同一経路における当該MNの前前ホップまで転送される。そのため、当該MNの前前ホップは、前述の5の処理を行うことが可能となる。
次に、上述した機能を実現するためのMNの構成を説明する。図11は、本実施形態において、マルチホップ無線通信ネットワークを構成するMNの機能ブロック図を示している。本実施形態におけるMNは、送受信部100と、復調部110と、データ処理部120と、受信電力検出部130と、変調方式決定部140と、サブキャリア調整部150と、タイミング生成部160と、変調部170とを備える。
データ処理部120は、受信フレームがRREQである場合、RREQに含まれるS−Nodeからのホップ数を取得して、サブキャリア調整部150とタイミング生成部160へ出力する。また、データ処理部120は、受信フレームがRREPである場合、RREPに含まれる、最低必要サブキャリアの数と、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、次次ホップのMNにおけるアンカーサブキャリアから累積した各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数と、タイミング情報を取得して、サブキャリア調整部150へ出力する。
次に、本実施形態において、マルチホップ無線通信ネットワークを構成するMNの動作方法について説明を行う。図12は、本実施形態において、マルチホップ無線通信ネットワークを構成するMNの動作フローを示している。
各MNは、他MNからRREQを受信する時に、使用周波数帯域における各サブキャリアのSNRを取得する。送受信部100は、他MNの送信波を受信して、受信信号を復調部110へ出力する。復調部110は、送受信部100から受信信号を入力して復調を行い、サブキャリアを検出する。復調部110は、各サブキャリアの受信信号を、受信電力検出部130と、データ処理部120へ出力する。受信電力検出部130は、復調部110から各サブキャリアの受信信号を入力する。復調部110は、各サブキャリアのSNRを検出して変調方式決定部140へ出力する。また、データ処理部120は、復調部110から受信信号を入力して、RREQの受信パケットへデータ復調を行う。
各MNは、S−Nodeからのホップ数に基づいて、データを送信するTSを決定する。データ処理部120は、RREQから、S−Nodeからのホップ数とタイミング情報とを取得する。データ処理部120は、S−Nodeからのホップ数とタイミング情報をタイミング生成部160へ出力する。タイミング生成部160は、データ処理部120から、S−Nodeからのホップ数を取得して、同一転送経路内でデータ送信を行うTSを決定する。また、タイミング生成部160は、データ処理部120からタイミング情報を取得して、同一転送経路内の他MNとのデータ送信タイミングの同期を取る。
各MNは、S−Nodeからのホップ数に基づいて、アンカーサブキャリアを設定する。データ処理部120は、S−Nodeからのホップ数を、RREQから取得して、サブキャリア調整部150へ出力する。サブキャリア調整部150は、データ処理部120から入力するS−Nodeからのホップ数に基づいて、アンカーサブキャリアを決定する。
変調方式決定部140は、受信電力検出部130から取得した各サブキャリアのSNRに基づいて、各サブキャリアの適応変調を行い変調方式を決定する。変調方式決定部140は、サブキャリア調整部150へ、各サブキャリアの適応変調結果を出力する。
なお、本ステップまでの処理は、RREQ受信時に行われる。この後、RREQの転送が行われる。データ処理部120は、上位レイヤと連携して、RREQの転送処理を行う。変調部170は、データ処理部120から出力されるRREQの送信データの変調を行って、送受信部100へ出力する。送受信部100は、変調部170からの送信信号を送信する。
本ステップからの処理は、RREPを受信時に行われる。各MNは、RREPから、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を取得する。データ処理部120は、送受信部100と復調部110を介して、RREPを受信する。サブキャリア調整部150は、データ処理部120から、RREPに含まれる1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を取得する。なお、D−Nodeは、RREPから1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を取得することができないため、前述のとおり、SNRに基づいて使用周波数帯域における各サブキャリアの適応変調を行い、これを累積することによって1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を算出する。
サブキャリア調整部150は、変調方式決定部140から各サブキャリアの適応変調結果を入力する。サブキャリア調整部150は、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数に基づいて、RREPに含まれる1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を送信するための、最低必要サブキャリアを選択する。
サブキャリア調整部150は、データ処理部120から取得した次次ホップのMNにおける最低必要サブキャリアと、自MNにおける最低必要サブキャリアが重複しているかを判定する。最低必要サブキャリアが重複している場合は、ステップS170へ進む。一方、最低必要サブキャリアが重複していない場合は、ステップS180へ進む。
最低必要サブキャリアが重複している場合、サブキャリア調整部150は、データ処理部120から取得した、次次ホップのMNにおける最低必要サブキャリアのサブキャリアの数と、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数とに基づいて、次次ホップのMNと使用サブキャリアの調整を行って、最低必要サブキャリアの重複を解消する。また、サブキャリア調整部150は、最低必要サブキャリアの重複解消に伴って、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を更新する。
最低必要サブキャリアが重複していない場合、サブキャリア調整部150は、最低必要サブキャリアと1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数を確定する。
サブキャリア調整部150は、最低必要サブキャリアと、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、各サブキャリアの1シンボルでの送信可能ビット数を、データ処理部120へ出力する。データ処理部120は、最低必要サブキャリアと、1OFDMシンボルでの最小送信可能ビット数と、各サブキャリアの送信可能ビット数を、RREPに含めて、変調部170および送受信100を介して、同一転送経路の前ホップのMNへ転送する。
次に、分散システムにおける同期手法について説明を行う。本実施形態のマルチホップ無線通信ネットワークは、TDMA方式を使用している。図6を用いて説明を行ったとおり、分散システムであるマルチホップ無線通信ネットワークにおいて、TDMA方式を実現するためには、複数のMNが同期を取って同時送信タイミングにおけるデータ送信を実現する必要がある。図6を参照すると、MN1、3、5は、TS=2Tに送信タイミングを割り当てられており、同時にデータ送信を行う。また、MN2、4はTS=2T+1に送信タイミングを割り当てられており、同時にデータ送信を行う。
このような同時データ送信を実現するため、本実施形態における、各MNは、擬似乱数符号(PN符号)出力によって乱数生成を行う。擬似乱数符号出力は、シフトレジスタによって生成される。シフトレジスタは、その生成多項式から乱数を生成しているため、シフトレジスタへ設定される初期値によって生成される乱数が異なる。そこで、本実施形態では、同一転送経路内でシフトレジスタへ設定する初期値を同一の値(乱数の種)を用いる。また、各MNは、同一の初期値を設定したシフトレジスタを用いて生成する乱数系列を、現在時刻によって切り出し位置を決定する。これによって、各MNは、シフトレジスタへの同一の初期値によって、同一の擬似乱数系列を生成することとなり、また、現在時刻によって共通の切り出し位置を定めることで、複数のMNで同じ値の擬似乱数復号出力を得ることができる。さらに、各MNは、切り出した擬似乱数符号出力と当該出力の最大値との比率によって確率を算出する。各MNは、この確率に基づいて、送信タイミングを決定する。
2 サブキャリア
3 サブキャリア
4 サブキャリア
5 サブキャリア
6 サブキャリア
100 送受信部
110 復調部
120 データ処理部
130 受信電力検出部
140 変調方式決定部
150 サブキャリア調整部
160 タイミング生成部
170 変調部
Claims (21)
- データを転送する転送経路を自律的に形成する複数のモバイルノードを備え、
前記複数のモバイルノードの各々は、使用周波数帯域における複数のサブキャリアのうちから前記データの転送に使用する最低必要サブキャリアを選択し、前記転送経路における転送元モバイルノードとの間の無線通信品質に基づいた前記最低必要サブキャリア毎の送信可能ビット数を累積して1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出し、
前記各モバイルノードのうち、前記データの送信元モバイルノードは、前記転送経路において最も伝送容量の低いモバイルノード間における前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に基づいて前記データを送信するべき固定パケット長を決定して、
前記各モバイルノードは、前記転送経路における送信元モバイルノードからのホップ数に基づいて、隣接するモバイルノードとは送信タイミングの異なる前記データを送信するべきタイムスロットを決定して、前記タイムスロットにおいて前記固定パケット長からなる前記データの転送を行い、
前記最低必要サブキャリアを選択する時に、当該モバイルノードの前記最低必要サブキャリアと、前記転送経路における当該モバイルノードから2ホップ先の次次ホップモバイルノードの前記最低必要サブキャリアとが重複する場合、前記重複が解消されるまで前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数が多い側のモバイルノードから前記選択サブキャリアを1つずつ減少させて、当該モバイルノードの前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項1に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、前記タイムスロットを、前記転送経路における送信元モバイルノードからのホップ数が、偶数であるモバイルノードと、奇数であるモバイルノードとが、それぞれ交互に前記データの転送を行うように設定する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項2に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、前記最低必要サブキャリアを、前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数に基づいて設定されるアンカーサブキャリアを基準として選択し、
前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数が2n+1(nは0以上の整数)、及び2n+2のモバイルノードは、前記アンカーサブキャリアを、前記各サブキャリアのうちで最も中心周波数の高いサブキャリアに設定して、前記最低必要サブキャリアを前記アンカーサブキャリアに隣接するサブキャリアから前記中心周波数が高い順に選択し、
前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数が2n+3、及び2n+4のモバイルノードは、前記アンカーサブキャリアを、最も中心周波数が低いサブキャリアに設定して、前記最低必要サブキャリアを前記アンカーサブキャリアに隣接するサブキャリアから前記中心周波数が低い順に選択する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項3に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記送信元モバイルノードは、前記固定パケット長を、前記転送経路において最も伝送容量の低いモバイルノード間における1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に、前記タイムスロットの1フレーム長において送信するOFDMシンボルの数を乗算して算出する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項4に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、前記転送経路を形成する時の経路形成要求であるRREQを受信するときに前記無線通信品質を取得する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項5に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、前記転送経路を形成する時の経路形成要求であるRREQから、前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数を取得する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項6に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、当該モバイルノードが算出した1OFDMシンボルでの送信可能ビット数と、当該モバイルノードが選択した前記最低必要サブキャリアの数と、前記アンカーサブキャリアから前記最低必要サブキャリア毎までの送信可能ビット数の累積値とを、前記転送経路を形成する時の経路形成応答であるRREPに含めて転送する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項7に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、当該モバイルノードが選択した前記最低必要サブキャリアの数と、前記アンカーサブキャリアから前記最低必要サブキャリア毎までの送信可能ビット数の累積値とを、前記転送経路内における当該モバイルノードから2ホップ前の前前ホップまで、前記RREPに含めて転送を行う
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項8に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、
前記転送経路によって一意に定める乱数生成の設定値を共有し、前記乱数生成の設定値によってPN符号出力を生成して、前記PN符号出力から現在時刻に基づく乱数を切り出し、前記乱数に基づいて共通の確率を算出して、前記共通の確率によって前記タイムスロットの同期をとる
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項9に記載のマルチホップ無線通信ネットワークであって、
前記各モバイルノードは、
前記RREPから前記乱数生成の設定値を取得する
マルチホップ無線通信ネットワーク。 - 請求項1から請求項10までのいずれかに記載のマルチホップ無線通信ネットワークにおいて使用されるモバイルノード。
- データを転送する転送経路を自律的に形成するステップと、
使用周波数帯域における複数のサブキャリアのうちから前記データの転送に使用する最低必要サブキャリアを選択するステップと、
前記転送経路における転送元モバイルノードとの間の無線通信品質に基づいた前記最低必要サブキャリア毎の送信可能ビット数を累積して1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出するステップと、
前記転送経路において最も伝送容量の低いモバイルノード間における前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に基づいて前記データを送信するべき固定パケット長を決定するステップと、
前記転送経路における送信元モバイルノードからのホップ数に基づいて、隣接するモバイルノードとは送信タイミングの異なる前記データを送信するべきタイムスロットを決定するステップと、
前記タイムスロットにおいて前記固定パケット長からなる前記データの転送を行うステップと、
前記最低必要サブキャリアを選択する時に、当該モバイルノードの前記最低必要サブキャリアと、前記転送経路における当該モバイルノードから2ホップ先の次次ホップモバイルノードの前記最低必要サブキャリアとが重複する場合、前記重複が解消されるまで前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数が多い側のモバイルノードから前記選択サブキャリアを1つずつ減少させて、当該モバイルノードの前記1OFDMシンボルでの送信可能ビット数を算出するステップ
を備えるマルチホップ無線通信方法。 - 請求項12に記載のマルチホップ無線通信方法であって、前記タイムスロットを決定するステップは、
前記タイムスロットを、前記転送経路における送信元モバイルノードからのホップ数が、偶数であるモバイルノードと、奇数であるモバイルノードとが、それぞれ交互に前記データの転送を行うように設定するステップ
を含むマルチホップ無線通信方法。 - 請求項13に記載のマルチホップ無線通信方法であって、前記最低必要サブキャリアを選択するステップは、
前記最低必要サブキャリアを、前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数に基づいて設定されるアンカーサブキャリアを基準として選択するステップと、
前記アンカーサブキャリアを、前記各サブキャリアのうちで最も中心周波数の高いサブキャリアに設定して、前記最低必要サブキャリアを前記アンカーサブキャリアに隣接するサブキャリアから前記中心周波数が高い順に選択するステップと、
前記アンカーサブキャリアを、最も中心周波数が低いサブキャリアに設定して、前記最低必要サブキャリアを前記アンカーサブキャリアに隣接するサブキャリアから前記中心周波数が低い順に選択するステップと
を含むマルチホップ無線通信方法。 - 請求項14に記載のマルチホップ無線通信方法であって、前記固定パケット長を決定するステップは、
前記固定パケット長を、前記転送経路において最も伝送容量の低いモバイルノード間における1OFDMシンボルでの送信可能ビット数に、前記タイムスロットの1フレーム長において送信するOFDMシンボルの数を乗算して算出するステップ
を含むマルチホップ無線通信方法。 - 請求項15に記載のマルチホップ無線通信方法であって、
前記転送経路を形成する時の経路形成要求であるRREQを受信するときに前記無線通信品質を取得するステップ
をさらに備えるマルチホップ無線通信方法。 - 請求項16に記載のマルチホップ無線通信方法であって、
前記転送経路を形成する時の経路形成要求であるRREQから、前記送信元モバイルノードからの前記ホップ数を取得するステップ
をさらに備えるマルチホップ無線通信方法。 - 請求項17に記載のマルチホップ無線通信方法であって、
当該モバイルノードが算出した1OFDMシンボルでの送信可能ビット数と、当該モバイルノードが選択した前記最低必要サブキャリアの数と、前記アンカーサブキャリアから前記最低必要サブキャリア毎までの送信可能ビット数の累積値とを、前記転送経路を形成する時の経路形成応答であるRREPに含めて転送するステップ
をさらに備えるマルチホップ無線通信方法。 - 請求項18に記載のマルチホップ無線通信方法であって、RREPに含めて転送するステップは、
当該モバイルノードが選択した前記最低必要サブキャリアの数と、前記アンカーサブキャリアから前記最低必要サブキャリア毎までの送信可能ビット数の累積値とを、前記転送経路内における当該モバイルノードから2ホップ前の前前ホップまで、前記RREPに含めて転送を行うステップ
を含むマルチホップ無線通信方法。 - 請求項19に記載のマルチホップ無線通信方法であって、
前記転送経路によって一意に定める乱数生成の設定値を共有するステップと、
前記乱数生成の設定値によってPN符号出力を生成するステップと、
前記PN符号出力から現在時刻に基づく乱数を切り出すステップと、
前記乱数に基づいて共通の確率を算出するステップと、
前記共通の確率によって前記タイムスロットの同期をとるステップと
をさらに備えるマルチホップ無線通信方法。 - 請求項20に記載のマルチホップ無線通信方法であって、乱数生成の設定値を共有するステップは、
前記RREPから前記乱数生成の設定値を取得するステップ
を含むマルチホップ無線通信方法。
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