JP5140151B2 - 重複セルを発見する方法 - Google Patents

Description

本発明は一般に無線アクセスネットワークに関し、特に例えばハンドオーバ処理を容易にすることに使用する重複セルの発見方法に関する。

セルラ通信システムは複数の無線基地局（ＲＢＳ）、即ち端的には互いに距離を保ち、地理的エリアにおいて無線通信を提供する、複数のセルを形成する基地局（ＢＳ）を含む。移動電話機（即ちユーザ装置−ＵＥ）のような移動通信ユニットは無線チャネルを介して、ユーザ装置が現在位置するセルの基地局と通信する。ユーザ装置は移動するので、ユーザ装置と基地局（サービス提供基地局）間の距離は増すことがあり、従って信号は通信を維持するには弱くなりすぎる。ネットワークからのサポートがなければ、ユーザ装置または基地局のいずれかが受信する信号レベルが弱小化するため、接続は終了することになろう。

通信を維持するために、ハンドオーバと呼ぶ処理を実装する。この処理では、ユーザ装置へのサービス提供（即ち、無線通信チャネルの提供）をあるセルから別のセル（セルは同一基地局によりまたは別の基地局により形成することができる）へハンドオーバする。接続の継続性を維持するために、ハンドオーバ処理を重複セル間で実行する。２つのセルを重複すると分類するためには、２つのセルは要求条件の集合を満たさねばならず、その最も基本的なものはそれぞれのサービスエリアが重複しなければならないことである。

ハンドオーバを達成するためには、汎用移動通信システム（ＵＭＴＳ）における各セルは重複セルリストを持ち、このリストはシステム内およびシステム間双方のハンドオーバ処理を可能にする。それ故、特定リストの重複セルは同一または異なる周波数で動作する同一ネットワークに属しうるか、または別の事業者が所有する異なる移動ネットワークに属しうるか、またはＧＳＭネットワークのような異なるシステムの一部でさえありうる。

既知の解決策では、重複セルリストはネットワーク計画処理の産物である。これらのリストは無線ネットワークコントローラ（ＲＮＣ）において静的に構成するが、無線ネットワークコントローラは無線基地局（ＲＢＳ）の大きな集合（通常数百）を制御するエンティティである。複数のＲＮＣおよび複数のＲＢＳは汎用地上無線アクセスネットワーク（ＵＴＲＡＮ）のエンティティである。想定されるのは、移動通信ネットワークのさらなる開発と共に、複数のＲＮＣを除去し、その機能を分割し、ＵＴＲＡＮの複数のＲＢＳおよびその他のエンティティに分散しうることである。これらのリストの構成が静的で、一元化された計画処理の結果であり続けることになるならば、そのような手法は予期しない出来事または障害の場合に素早く反応し、重複セルリストを速く再構成するネットワークの能力を制約することになろう。注意しなければならないのは、たとえサービス範囲の問題が生じなくとも、重複セルリストの再構成処理は障害後に必要であることである。複数のＲＢＳがそのそれぞれの重複セルリストを再構成し、能率的ハンドオーバをサポートし、呼の切断を避けることを、障害の結果として表れる新規ネットワークトポロジは必要とする。

重複セルを発見する方法は存在し、その幾つかをその不利な点と共に以下で考察する。

アドホックネットワークのトポロジ発見に基づく既知の方法、例えば、２０００年８月１１日の移動およびアドホックネットワーキング並びにコンピューティング、２０００、ＭｏｂｉＨＯＣ２０００、第１回アニュアルワークショップ、ページ１４５−１４６におけるＲ．クッドゥハリー（Ｒ．Ｃｈｐｕｄｈｕｒｙ）他著「移動エージェントを使用するアドホック無線ネットワークにおけるトポロジー発見の分散機構（“Ａ ｄｉｓｔｒｉｂｕｔｅｄ ｍｅｃｈａｎｉｓｍ ｆｏｒ ｔｏｐｏｌｏｇｙ ｄｉｓｃｏｖｅｒｙ ｉｎ ａｄ ｈｏｃ ｗｉｒｅｌｅｓｓ ｎｅｔｗｏｒｋｓ ｕｓｉｎｇ ｍｏｂｉｌｅ ａｇｅｎｔｓ”）」において開示される移動エージェントをベースにした解決策、またはＴ．クラウセン（Ｅｄ．）（Ｔ．Ｃｌａｕｓｅｎ（Ｅｄ．））他著「最適化リンク状態ルーティングプロトコル（ｏｌｓｒ）（“Ｏｐｔｉｍｉｚｅｄ ｌｉｎｋ ｓｔａｔｅ ｒｏｕｔｉｎｇ ｐｒｏｔｏｃｏｌ（ｏｌｓｒ）”）、ＲＦＣ３６２６、ネットワーク作業グループ、２００３年１０月、において開示されるプロアクティブ・ルーティング・プロトコルに含まれるトポロジ発見処理がある。これらの方法が想定するのは、トポロジにおいて２つの隣接するノードが互いの範囲にある２つのノードであることである。とはいえＵＭＴＳのようなセルラネットワークの隣接基地局は互いの範囲内にないことがある。

ＵＭＴＳネットワークには重複するセルを発見する他の方法が存在する。現在の技術では、ＲＮＣは端末に周波数内符号探索の実行を依頼することができる。この方法では、端末はセル間のサービス範囲の重複を発見することはできるが、この手順は端末として同一周波数で動作するセルに限られる。結果として、このような手順は別の周波数で動作するＵＭＴＳセルも、システム間セル（例えば、ＧＳＭセル）も発見することができない。

従って、重複セルの発見方法の改善、特に分散環境において実装することができ、特にセル障害の状況においてハンドオーバの高い品質を保証すべく十分速い方法は有利であろう。従って、本発明は好ましくは上述の１つまたは複数の不利な点を一つずつ、または任意の組み合わせで軽減、緩和または除去することを追求する。

本発明の第１の態様によれば、複数の基地局を含む通信ネットワークにおける重複セルを発見する方法を提供する。個別基地局が実行するステップは個別基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を決定するステップおよび個別基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを他の基地局に送信するステップを含む。本方法はまた他の基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局から受信するステップを含む。個別基地局は前記他の基地局から受信する他の基地局の端末の集合と個別基地局自体の端末の集合との共通部分を計算し、対応する共通部分が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類する。好ましくは、共通部分の計算は前記基地局と関連する各セルについて実行する。

好ましくは、基地局から前記他の基地局に送信するメッセージは基地局の範囲にある端末の集合の表現を含み、端末の集合をブルームフィルタに符号化することがさらに好ましい。

メッセージの送信が引き起こすトラフィックを削減するために、基地局は管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける基地局の隣接基地局にメッセージを送信する。本方法は基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報と前記他の基地局から受信する端末の集合に関する情報との集約をさらに含む。管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける基地局の隣接基地局に、この集約情報を次いで送信する。

好ましくは、本方法は基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を表現するブルームフィルタと前記他の基地局から受信するブルームフィルタとの集約を含む。管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける基地局の隣接基地局に、この集約情報を次いで送信する。

基地局は基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を定期的に決定し、端末の集合に関するタイムスタンプ付き情報を地域要約テーブルに格納する。地域要約テーブルに格納する端末を表現するブルームフィルタを関連セルの範囲に現在ある端末を表現するブルームフィルタと比較する。新規ブルームフィルタ（即ち、関連セルの範囲に現在ある端末を表現する）が地域要約テーブルに格納するブルームフィルタと相違すれば、本方法は管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける基地局の隣接基地局に新規ブルームフィルタを送信するステップを含む。基地局はまた新規の、タイムスタンプ付きブルームフィルタを地域要約テーブルの情報に上書きする。

あるいは管理オーバレイのスパニングツリーに沿う隣接基地局へのメッセージの送信に代わり、前記メッセージを全ての他の基地局に送信する。

本発明の第２の態様によれば、基地局自体のセルと重複する他の基地局のセルを発見するようにする通信ネットワークの基地局を提供する。基地局は基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を決定し、基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを他の基地局に送信するようにする。基地局はまた前記他の基地局からメッセージを受信するようにし、本メッセージは他の基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を含む。最後に、基地局は前記他の基地局から受信する他の基地局の端末の集合と基地局自体の端末の集合との共通部分を計算し、対応する共通部分が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類するようにする。

本発明の第３の態様によれば、複数の基地局を含む通信ネットワークを提供し、個別基地局は個別基地局自体のセルと重複する他の基地局のセルを発見するようにする。基地局は基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を決定し、個別基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを他の基地局に送信するようにする。基地局はまた他の基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局から受信するようにする。最後に、基地局は前記他の基地局から受信する他の基地局の端末の集合と基地局自体の端末の集合との共通部分を計算し、前記対応する共通部分が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類するようにする。

本発明のさらなる特徴は従属請求項において請求する通りである。

性能に関して、本発明はノード障害および回復のような外部の出来事に対する短い反応時間の便益をもたらす。さらに、本方法のトラフィックおよび計算オーバヘッドはネットワークの規模およびネットワークの端末数の双方に比例する。本発明のその他の便益は自動構成を含み、これは運用経費（ＯＰＥＸの削減、堅牢性の強化およびスケーラビリティの増大（非集中化による）につながる。本解決策はまた他の既知の解決策に比し、外部の出来事に対する比較的速い反応の便益をもたらし、本解決策はまた無線アクセス技術に対して中立であり、ＧＳＭまたはＵＭＴＳのような現在の無線ネットワーク並びに将来世代のネットワークにおける本解決策の実装を許容する。

図面を伴う以下の詳細な説明から、本発明はより完全に理解および認識されよう。

図１は本発明の一実施形態における無線通信ネットワークを図示する図である。 図２は本発明の一実施形態において使用するブルームフィルタの概念を図示する。 図３は本発明の一実施形態におけるブルームフィルタの伝送および集約を図示する図である。 図４は本発明の一実施形態の通信ネットワークにおける重複セルの発見方法を表す擬似符号を図示する。 図５は本発明の一実施形態の通信ネットワークにおける重複セルの発見方法を表す擬似符号を図示する。 図６は本発明の一実施形態の通信ネットワークにおける重複セルの発見方法を図示する図である。 図７は本発明の一実施形態の通信ネットワークにおける重複セルの発見方法を図示する図である。 図８は本発明の一実施形態の通信ネットワークにおける重複セルの発見方法を図示する図である。 図９は本発明の一実施形態におけるネットワークの３つのグラフを図示する図である。

端末が基地局のセルの範囲内にあると本発明において記述する場合、このことは、基地局によりサービスを受けていることよりも、一層広く理解されなければならない。既知のＵＭＴＳ解決策の特定のケースでは、所与の端末に接続するＲＢＳ（無線基地局）のみが端末の記録を保持する（即ち、この基地局がサービス提供基地局である）。範囲内にその端末を伴う全てのその他のＲＢＳでは、その特定の端末の信号を受信するが、復号および記録をしない。それ故、本発明の実装は複数のＲＢＳにおいて動作する処理への一定の変化を意味する。本発明のコンテキストでは、サービス提供基地局の概念を保存するが、基地局はサービス提供基地局でない基地局の無線範囲内の端末からの信号もまた復号する。

図１を参照して、本発明の一実施形態の無線通信ネットワーク１００を提示する。図は、それぞれが３つの１２０度のセル１３０乃至セル１３４を持つ複数の基地局１０２乃至基地局１２２を示す。図はまたネットワーク１００の幾つかのセルの無線サービス範囲内に分散する端末１２４乃至端末１２８を示す。簡明さのため、図は、本発明の理解に不可欠でないものを除いた要素および線により非常に概略的方法で本発明を提示する。

本発明の一実施形態では、ネットワークの各基地局１０２乃至基地局１２２は基地局の関連セルの範囲に現在ある端末を知る（端末をＵＭＴＳのコンテキストではユーザ装置（ＵＥ）とも呼ぶ）。

個別基地局１０２の動作を図６乃至図８を参照して説明することにする。個別基地局１０２は個別基地局の関連セルの範囲にある端末１２４、端末１２６の集合を定期的に決定する、６０２、１０２、７０６。基地局は１つまたは複数の関連セルを持つことができる。図１に図示するように、基地局１０２乃至基地局１２２のそれぞれは３つのセル１３０乃至セル１３４を持ち、それぞれは地理的エリアの１２０度のセクションをサービス範囲とする、とはいえサービス角度範囲の他の配置も可能である。

基地局１０２は基地局の範囲の端末の集合に関する情報を伴うメッセージを他の基地局に送りつける（６０４）。最も一般的な状況では、メッセージは基地局の範囲の端末１２４、端末１２６のリストを含む。基地局はまた他の基地局１０４乃至基地局１２２から類似の情報を受信する（６０６、８０２）。一度基地局１０２がこの情報を受け取ると、基地局は他の基地局から受信する他の基地局の端末の集合と基地局自体の端末の集合との共通部分を計算する（６０８、８０６）。好ましい実施形態では、一定の所定レベルを超える別の基地局の端末の集合と基地局の端末の集合との共通部分を基地局１０２が見つけると何時でも、２つの対応するセル間にサービス範囲の重複があると結論する。あるいは、さらに少し厳しい基準を適用することができ、重複があると結論するためには、見つけた共通部分は前記所定レベルを超えなければならない。

図１に図示する実施形態では、基地局１０２はその無線範囲内に端末１２４および端末１２６を持ち、基地局１０４はその無線範囲内に端末１２４および端末１２８を持つ（即ちさらに正確には、セル１５０およびセル１６０内にそれぞれ。）これら２つの集合の共通部分は端末１２４である。

実際にこの解決策を実装するためには、基地局は基地局がサービス提供基地局である端末からだけでなく、また基地局の無線範囲内にある他の端末からの信号を見なければ（復号しなければ）ならない。

本発明の好ましい実施形態では、基地局１０２乃至基地局１２２は基地局の範囲の端末のリストよりむしろ、基地局の範囲の端末の集合の表現を含むメッセージを送信する。端末の集合をブルームフィルタに符号化するのもまた好ましい。

ブルームフィルタ
ブルームフィルタは集合をビットアレイで表すメモリの能率的な方法であり、要素が集合のメンバであることの是非を試験する目的を持つ。より正確には、ブルームフィルタはサイズｍ（即ち、ｍ×１のマットリックス）のビットアレイであり、ｋの異なるハッシュ関数を含む。アレイの全ビットの初期値を０に設定する。ハッシュ関数のそれぞれの結果はアレイのビットの１つの値の１への変化であり、これが意味するのはこれらの関数のそれぞれがｍのアレイ位置の１つにキーの値を対応づけることである。フィルタに要素を加えるために、要素のキー（例えば、要素のＩＤ）をｋのハッシュ関数のそれぞれによりハッシュし、各ハッシュ関数は１に設定するアレイ位置を作成する。別の要素をフィルタに加えるために、以前の要素を加えるステップの過程で修正するアレイを使用する。

図２ａ）を参照して、ブルームフィルタの演算例を図示する。この例で、２０のバイナリー位置を持つアレイ２０２を図示する。最初に、全ての位置は値「０」を持つ。この実施形態のブルームフィルタは３つのハッシュ関数ｈ₁、ｈ₂、ｈ₃を持つ。この実施形態ではユーザ装置のＩＤ２０４である要素のキーに関するハッシュ関数ｈ₁の演算はアレイの位置番号１の値を「１」に設定することになる。同じＵＥＩＤに関するハッシュ関数ｈ₂の演算はアレイの位置番号７の値を「１」に設定することになり、ハッシュ関数ｈ₃の場合、アレイの位置番号１１の値を「１」に設定する。図２ｂ）は第２の要素２０６の集合への追加を図示する。ハッシュ関数ｈ₁、ｈ₂、ｈ₃はアレイにおいて「１」を生成する。とはいえ起こりうるのは、２つ以上の要素を集合に加えるために、ハッシュ関数ｈ₂が「１」を生成した、この例で図示するのと同じアレイの位置、位置番号７に、ハッシュ関数が「１」を再度生成することである。これは誤った実在性となることがあり、これを後に簡単に考察する。

要素がブルームフィルタにより表現する集合のメンバであるかを試験するために、ブルームフィルタのキーをｋのハッシュ関数のそれぞれによりハッシュし、ｋのアレイ位置を取得する。これらの位置のいずれかがビット値「０」を持てば、要素は集合には存在しない。全てが値「１」を持てば、要素は集合に一定の確率により存在する。誤った実在性と呼ぶ、要素が集合に存在しないかもしれない理由は他の要素の挿入過程において、同じビットを「１」に設定したかもしれないからである。

要するに、一方の誤った実在性の確率と他方のフィルタサイズおよびハッシュ関数の数の関係は、所与のビットアレイに要約する要素数が多ければ、それだけ誤った実在性の確率が大きいというようなものである。さらに所与の要素数について、得られるブルームフィルタが誤った実在性に対し妥当に低い確率を示すように、アレイサイズとハッシュ関数の数の対を決定することができる。

ブルームフィルタの興味のある特性は、２つの集合の結合ブルームフィルタを各集合のブルームフィルタ間のブーリアン和として計算することができることである。同様に、２つの集合の共通部分ブルームフィルタは各集合のブルームフィルタ間のブーリアン積である。

２つの集合間の決定論的共通部分を計算する基本的手法では、ｍおよびｎが両集合のサイズであり、通信ネットワークの実施形態では２つのセルの範囲内の２つの端末の集合である、Ｏ（ｍ×ｎ）の演算を要する。しかしながら好ましい実施形態では、第２のこれらの集合をブルームフィルタとして（図３のブルームフィルタ３１０乃至ブルームフィルタ３１６のように）表現し、これら２つの集合間の確率論的共通部分の計算はＯ（ｋ×ｍ）の演算を要する。この共通部分の計算を実行するために、ｋがハッシュ関数の数であるブルームフィルタに対するメンバシップについて第１の集合のｍの要素のそれぞれを試験することが必要である。

トラフィックオーバヘッドの削減
好ましい実施形態では、ブルームフィルタ１４０、ブルームフィルタ３１０乃至ブルームフィルタ３１６に符号化する端末の集合を管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける基地局の隣接基地局に基地局１０２、基地局３０２乃至基地局３０８により送信する。オーバレイネットワークはバーチャルネットワークであり、ある共通の目的の遂行に互いにアクセスできることに同意した１つまた複数のネットワークのノードのサブ集合である。管理オーバレイは管理業務を遂行するために構築するオーバレイネットワークである。基地局１０２はブルームフィルタ１４０を基地局１１０に送信するが、それはこの基地局が管理オーバレイにおける隣接基地局であるからである。図１の破線は要約（即ち、セルの無線範囲内の端末の集合を表現するブルームフィルタ）のフローの方向を図示する。このフローは管理オーバレイに沿い移動する。注意しなければならないのは、管理オーバレイにおける隣接基地局は地理的に隣接基地局でなくとも良いことであり、これを図９に図示する。

メッセージの交換に関係するトラフィックを削減するために、基地局は基地局自体の端末の集合に関する情報と前記他の基地局から受信する（８０２）、端末の集合に関する情報との集約を実行する（７１４）。この集約情報を次いで管理オーバレイのスパニングツリーに沿い基地局の隣接基地局に送信する（７１６）。

要約を送信し、それを地域要約テーブルに格納する集約処理を図３を参照して説明する。基地局（ノード）３０２、基地局（ノード）３０４および基地局（ノード）３０８は管理オーバレイにより基地局３０６と接続する。ネットワークの基地局のそれぞれがそれ自体の要約（ブルームフィルタ）を管理オーバレイにおける基地局（ノード）の隣接基地局に送信するので、基地局３０２はそのブルームフィルタ３１０を基地局３０６に送信する。同様に、基地局３０４はそのブルームフィルタ３１２を基地局３０６に送信し、基地局３０８はそのブルームフィルタ３１６を基地局３０６に送信する。基地局３０６は受信する要約３１０、要約３１２、要約３１６をそれ自体の要約３１４と集約し（７１４）、それを地域要約テーブル３１８に格納する。基地局３０６は２つの他の隣接基地局からのブルームフィルタとそれ自体のブルームフィルタ３１４の結合を表すブルームフィルタを基地局の隣接基地局３０２、隣接基地局３０４および隣接基地局３０８のそれぞれに送信する。図３に図示する例では、基地局３０６はブルームフィルタ３１０、ブルームフィルタ３１２およびブルームフィルタ３１４の結合を基地局３０８に送信する。以前に記述したように、ブルームフィルタの興味ある特性は、２つの集合の結合ブルームフィルタを各集合のブルームフィルタ間のブーリアン和として計算することができることである。また重要であるのは、得られる結合ブルームフィルタは結合前のブルームフィルタのいずれかが認識した入力をなお認識するであろうことである。同様に、基地局３０６はブルームフィルタ３１２、ブルームフィルタ３１４およびブルームフィルタ３１６の結合を基地局３０２に向けて送信し、基地局３０４に向けてブルームフィルタ３１０、ブルームフィルタ３１４およびブルームフィルタ３１６の結合を送信する。

種々のノード（基地局）からのメッセージを集約する７１４ことにより、基地局間で交換するメッセージ数を削減する。さらにブルームフィルタの結合を使用する集約を実行する７１４ことにより、これらのメッセージサイズを一定に保つ。各ノードがその端末の集合を独立に同報通報する方式に比し、両方策は共にトラフィックのオーバヘッドを削減する。

共通部分の計算
一度基地局１０２がその関連するセルの無線範囲内の端末の集合を表すブルームフィルタおよび他の基地局から受信する対応するブルームフィルタを得ると、基地局１０２は端末の集合の共通部分を計算する（６０８、８０６）。

本発明の実施形態の説明では、ブルームフィルタ１４０、ブルームフィルタ３１０乃至ブルームフィルタ３１６を使用してユーザ装置の集合を表すが、想定されるのは、この発明の代替実施形態では集合のその他の表現をブルームフィルタの代わりに使用することができることである。さらに別の代替実施形態では、集合の端末リストをノード間で送信し、共通部分を計算し、重複セルを特定するために使用することができる。

機能的には、本方法の目的は接続マトリックスにより表すグラフを構築することである。

上式で、Ｕ_i（ｔ）は時間ｔにおけるセルｉ内部のＵＥ（複数）の集合であり、Ｈは共通部分Ｕ_i（ｔ）∩Ｕ_j（ｔ）の最小端末数であり、従って２つのセルｉおよびセルｊを重複すると呼ぶ。閾値Ｈは振動を回避するヒステリシスとして役立ち、その最適値は実験的に決定しなければならない。

方法を駆動する原則は脱集中化であり、重複するセルのトポロジおよび確率論的表現並びに端末の集合の集約の迅速な更新を達成し、計算およびトラフィックのオーバヘッドを削減する。

本方法を実行する各ノード１０２乃至ノード１２２はスパニングツリーに沿い２つの方法で情報を配布する。まず好ましい実施形態では、ノードは定期的にその端末の集合の要約を管理オーバレイにおけるノードの隣接ノードに送信する（６０４）。これらの隣接ノードは次いでこの情報をその隣接ノードの要約と共に集約し（７１４）、得られる要約を同様に送信する（７１６）。要約は好ましい実施形態では基地局１０２のセル１５０の範囲にある端末１２４、端末１２６の集合を表すブルームフィルタ１４０、ブルームフィルタ３１０乃至ブルームフィルタ３１６である。ブルームフィルタを作成するアルゴリズムをこれらの要約の作成並びに集約（７１４）処理に使用する。

図３を参照して、ノード（基地局）３０６はその隣接ノードから受信する要約に関する情報を地域要約テーブル３１８に保持し、関連するセルの範囲に現在ある端末を表現するブルームフィルタを地域要約テーブル３１８に格納するブルームフィルタと比較する（７１０）。新規ブルームフィルタが地域要約テーブル３１８に格納するブルームフィルタと相違すれば（７１０）、基地局３０６は管理オーバレイのスパニングツリーに沿い基地局の隣接基地局に新規ブルームフィルタを送信する（７１６）。さらに、基地局３０６は新規ブルームフィルタにより地域要約テーブルの情報に上書きする（７１２）。新たに加えたブルームフィルタにタイムスタンプする。これが意味するのは、基地局３０６は新規ブルームフィルタが変化した場合にのみ新規ブルームフィルタを配布することであり、これはトラフィックを削減する方法である。

個々の基地局がその隣接基地局から受信した要約に応じて、個々の基地局は隣接基地局からの要約とその端末の共通部分を計算する（６０８、８０６）。次いで、個々の基地局は前記隣接基地局に共通部分を返送し（８１６）、前記隣接基地局は次いでそれ自体の要約テーブルを使用してその情報を前記個々の基地局と重複していることがあり得る基地局に向けてルーティングする。

これら２つの処理は共に重複するセルを有する他の基地局を基地局が検出するように考案する。ソフトな状態概念を使用すると、全ての基地局の状態は終了するが、これは重複が消滅する場合を本方法が扱うことを可能にする。

好ましい実施形態では、本方法は伝送サービスを提供する管理オーバレイにおいて動作する。このオーバレイはスパニングツリーのトポロジを持つ。全基地局を相互に接続する既存ＩＰベースの管理ネットワークの上にこのようなツリーを構築するのに利用できる多くのプロトコルが存在するが、それらはこの発明の一部ではなく、本明細書では考察しないことにする。

図４および図５に図示する擬似符号および図６乃至図８に図示するフローチャートを参照して、個々の基地局に実装する本方法の実施形態を以下で考察する。
［要約テーブル］
これは要約を送信したノードのＩＤにより指標付けするＵＥ（即ち端末）の集合を要約する、受信するブルームフィルタのテーブルである。ノードｊにおける要約テーブル３１８を擬似符号でＳ_jと表す。
［前回制御サイクルの要約テーブル］
このテーブルは管理オーバレイにおける各隣接基地局から送信する前回の要約を保持し、前回の要約に何も変化しなかった場合に要約の集約を回避する。ノードｊにおける前回の制御サイクルの要約テーブルを擬似符号でＳ’_jと表す。
［重複セルテーブル］
これは地域セル（例えば、図１のセル１５０およびセル１６０）と現在重複するセルの集合である。挿入する場合、集合の各要素にタイムスタンプする。ノードｊのこの集合を擬似符号でＯ_jと表す。
［範囲にあるユーザ装置の集合］
これは所与の時間における所与のノード内のＵＥの集合である。擬似符号で、セルｊおよび時間ｔについてＵｊ（ｔ）と表す。
［管理オーバレイにおける隣接基地局の集合］
これはＵＭＴＳの隣接セルの概念と必ずしも関係しない管理オーバレイにおける隣接基地局の集合である。擬似符号で、ノードｊについてＫ_jと表す。

メッセージタイプ
［要約メッセージ］
このメッセージはＵＥの集合の要約を通信するのに使用する要素集合ｓｕｍ（ｎｏｄｅ＿ｉｄ、ｂｌｏｏｍ＿ｆｉｌｔｅｒ、ｔｉｍｅ＿ｓｔａｍｐ）である。
［ＵＥリストメッセージ］
このメッセージはＵＥの明確な集合を通信するのに使用する要素集合ｕｅ（ｆｏｒｗａｒｄｉｎｇ＿ｎｏｄｅ、ｓｏｕｒｃｅ、ｓｅｔ＿ｏｆ＿ＵＥ＿ｉｄｓ）である。
［重複メッセージ］
これは確認した重複関係を通信する対ｏｖｅｒｌａｐ（ｎｏｄｅ＿ｉｄ、ｂｏｏｌｅａｎ）である。
［擬似コード］
図４および図５は重複セルの発見法（ＤＯＣ（ｄｉｓｃｏｖｅｒｉｎｇ ｏｆ ｏｖｅｒｌａｐｐｉｎｇ ｃｅｌｌｓ）ｍｅｔｈｏｄ）の一実施形態の擬似コードを示す。擬似コードを２つの処理で構成し、２つの処理はネットワークの各ノード（無線基地局）において非同期で、独立に動作する。ＤＯＣ処理１は方法の地域制御サイクルを記述し、このサイクルを各ノードで定期的に実行する。

図４のＤＯＣ処理１はτ秒毎に実行されるループである。まず、範囲にある端末１２４、端末１２６の集合を決定し（７０６）、ブルームフィルタに符号化し、要約テーブルに挿入する（ライン６乃至ライン１０）。ライン１１乃至ライン１７は集約７１４および転送処理を記述する。スパニングツリーの各隣接基地局ｋについて、ノードは前回の制御サイクル以来変化した要約テーブルにおけるこれらの記入を集約し（７１４）、変化が生じていれば集約をｋに送信する（ライン２１乃至ライン２２）。次に、要約テーブルの状態を蓄積する（ライン１８）。最後に、ノードは最近リフレッシュした重複セルの集合からこれらの記入を除去する（ライン１９乃至ライン２１）。

図５のＤＯＣ処理２は、ノードがノードのＦＩＦＯ入力待ち行列から受信するブルームフィルタ（要約）を含むメッセージのノードの処理を記述する。ブルームフィルタ（要約メッセージ）を含むメッセージを受信すると、ノードはノードの端末の集合と受信した要約間の共通部分を計算する（６０８、８０６）。共通部分が十分大きければ（６１０、８１０）、その場合要約を送信した隣接ノードに共通部分集合を返信する（ライン３乃至ライン１１）、（８１６）。共通部分集合（ＵＥ−リストメッセージ）を有するメッセージを受信すると、ノードは受信した共通部分集合とノードの要約テーブルの要約のそれぞれとの間の確率論的共通部分を計算する。ＵＥリストは共通部分自体であるが、この演算ではＵＥリストを要約テーブルのブルームフィルタと再度交わらせ、ＵＥリストをさらに小さな部分に分解し、各部を正しい宛先に向けてルーティングする。各場合について得られる共通部分集合が十分大きければ（８１０）、ノードはこの共通部分集合を対応する隣接ノードに送信する（ライン１３乃至ライン２０）、（８１６）。また好ましい実施形態では、ノードは受信した共通部分集合とノードの端末の集合間の決定論的共通部分を計算する。これを行うのは、誤った実在性の影響を削減し、本方法の精度を改善するためである。この共通部分が十分大きければ、ブルームフィルタ（要約）を含む受信したメッセージの作成元に重複メッセージを返送する。さらに、ノードはブルームフィルタ（要約）を含むメッセージの作成元をノードの重複セルの集合に追加する（ライン２１乃至ライン２３）。重複メッセージを受信すると、ノードは重複メッセージの作成元をノードの重複セルの集合に追加する（ライン２５）。

このアルゴリズムの制御パラメータは制御間隔τ、ブルームフィルタのパラメータｋおよびｍ、２つのセルが重複していると考える共通部分閾値Ｈ並びにノードの状態変数の終了後の生存時間（ｔｔｌ）である。アルゴリズムの実装では地域要約が古すぎる場合、地域要約を再度計算する。同様に、古すぎる重複もまた消去する。重複がなお存在すれば、重複を処理の過程で更新し、重複が存在しなければ（例えば、セルの衝突）、重複は発見されないだろうし、重複セルリストは更新することになろう。

以上で説明した本方法は、セル間のサービス範囲の重複を検出し、連続的に探知する新しい確率論的方法である。そうすることにより、本方法は重複セルの分散グラフを維持する。隣接セルとして構成するために、２つのセルは少なくとも重複していなければならない。それ故自動隣接セル構成法を開発するために、このグラフは極めて重要である。ブルームフィルタおよび集約技術を使用して、この方法は低いトラフィック並びに計算オーバヘッドを示し、ネットワークサイズおよび端末数に関して比例しうる。

本発明は、アクセスネットワークのデバイスにおいて典型的に利用できる端末に関する情報を使用する。それ故本発明の展開は管理プレーンに限定することができ、制御プレーンまたはネットワークデバイスおよびユーザ装置の無線能力への変更を必要としない。以上の仮定と要求条件を与えれば、本方法はＵＭＴＳ、ＧＳＭネットワーク並びに隣接セルの非中央化構成を実装する将来世代ネットワークにおいても動作するであろう。

Claims (15)

1. 複数の基地局（１０２乃至１２２）を含む通信ネットワーク（１００）における重複セルを発見する方法であって、個別基地局（１０２）が実行するステップが、
   前記個別基地局の関連セルの範囲にある端末の集合を決定するステップ（６０２）と、
   前記個別基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末の集合に関する情報を伴うメッセージを他の基地局に送信するステップ（６０４）と、
   前記他の基地局の関連セルの範囲にある端末の集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局から受信するステップ（６０６）と、
   前記他の基地局から受信する前記他の基地局の端末の集合と前記個別基地局自体の端末の集合との共通部分を計算するステップ（６０８）と、
   前記対応する共通部分の端末数が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類するステップ（６１０乃至６１４）と
   を含むことを特徴とする方法。
2. 前記基地局から前記他の基地局に送信する前記メッセージが前記基地局の範囲にある前記端末の集合の表現（１４０）を含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記端末の集合をブルームフィルタ（１４０、３１０）に符号化することを特徴とする請求項２に記載の方法。
4. 前記基地局（１０２）が管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局に前記メッセージを送信することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の方法。
5. 前記他の基地局から受信する端末の集合に関する情報を前記基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末の集合に関する情報と集約するステップ（７１４）と、
   管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局（１１０）にこの集約情報を送信するステップ（７１６）とを含むことを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 前記他の基地局から受信するブルームフィルタを前記基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末の集合を表現する前記ブルームフィルタと集約するステップ（７１４）と、
   管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局にこの集約情報を送信するステップ（７１６）を含むことを特徴とする請求項４に記載の方法。
7. 前記基地局（１０２）が前記基地局の関連セルの範囲にある前記端末の集合を定期的（７０２）に決定し（７０６）、タイムスタンプ付きの前記端末の集合に関する前記情報を地域要約テーブルに格納することを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれか１項に記載の方法。
8. 前記関連セルの範囲に現在ある端末を表現する新規ブルームフィルタを前記地域要約テーブルに格納する前記ブルームフィルタと比較するステップ（７０８）と、
   前記新規ブルームフィルタが前記地域要約テーブルに格納する前記ブルームフィルタと相違すれば（７１０）、
   管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局に前記新規ブルームフィルタを送信するステップ（７１６）と、
   前記新規の、タイムスタンプ付きブルームフィルタにより前記地域要約テーブルの前記情報に上書きするステップ（７１２）と
   を含むことを特徴とする請求項７に記載の方法。
9. 基地局自体のセルと重複する他の基地局（１０４乃至１２２）のセルを発見する通信ネットワーク（１００）の基地局（１０２）であって、前記発見処理において個別基地局（１０２）が、
   前記個別基地局の関連セルの範囲にある端末（１２４、１２６）集合を決定し（６０２）、
   前記個別基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末（１２４、１２６）集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局に送信し（６０４）、
   前記他の基地局の関連セルの範囲にある端末（１２４、１２８）集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局（１０４）から受信し（６０６）、
   前記他の基地局から受信する前記他の基地局の端末の集合と前記個別基地局自体の端末の集合との共通部分（１２４）を計算し（６０８）、
   前記対応する共通部分の端末数が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類する（６１０乃至６１４）
   ことを特徴とする基地局（１０２）。
10. 前記個別基地局（１０２）から前記他の基地局に送信する前記メッセージが前記個別基地局の範囲にある前記端末の集合の表現（１４０）を含むことを特徴とする請求項９に記載の基地局（１０２）。
11. 前記端末の集合をブルームフィルタ（１４０、３１０）に符号化することを特徴とする請求項１０に記載の基地局（１０２）。
12. 前記基地局が管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局（１１０）に前記メッセージを送信する（６０４、７１６）ことを特徴とする請求項９乃至請求項１１のいずれか１項に記載の基地局（１０２）。
13. 前記他の基地局から受信する端末の集合に関する情報を前記基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末の集合に関する情報と集約し（７１４）、管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局（１１０）にこの集約情報を送信する（７１６）ことを特徴とする請求項１２に記載の基地局（１０２）。
14. 前記他の基地局から受信するブルームフィルタを前記基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末の集合を表現する前記ブルームフィルタと集約し（７１４）、管理オーバレイのスパニングツリーに沿い前記管理オーバレイにおける前記基地局の隣接基地局（１１０）にこの集約情報を送信する（７１６）ことを特徴とする請求項１２に記載の基地局（１０２、３０６）。
15. 複数の基地局（１０２乃至１２２）を含む通信ネットワーク（１００）であって、個別基地局が前記個別基地局自体のセルと重複する他の基地局のセルを発見するようにし、前記発見処理において、前記基地局が、
    前記基地局の関連セルの範囲にある端末（１２４、１２６）集合を決定（６０２）し、
    前記基地局の関連セルの前記範囲にある前記端末（１２４、１２６）集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局に送信し（６０４）、
    前記他の基地局の関連セルの範囲にある端末（１２４、１２８）集合に関する情報を伴うメッセージを前記他の基地局（１０４）から受信（６０６）し、
    前記他の基地局から受信する前記他の基地局の端末の集合と前記基地局自体の端末集合との共通部分（１２４）を計算（６０８）し、
    前記対応する共通部分の端末数が所定レベルに等しいか、または所定レベルを超えれば、セルを重複していると分類する（６１０乃至６１４）ことを特徴とするネットワーク（１００）。