JP5131333B2 - 硬貨識別装置、硬貨識別方法および硬貨識別プログラム - Google Patents

硬貨識別装置、硬貨識別方法および硬貨識別プログラム Download PDF

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本発明は、硬貨の種別を識別する硬貨識別装置、硬貨識別方法および硬貨識別プログラムに関するものである。
従来、投入された硬貨の種別を識別する硬貨識別装置として、コイルなどの磁気センサを用いて硬貨の材質、外径、板厚を求める硬貨識別装置が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。このような硬貨識別装置では、硬貨の材質を検出する材質センサ、硬貨の外径を検出する外径センサおよび硬貨の板厚を求める板厚センサがそれぞれ検出した硬貨の材質、外径および板厚をもとに硬貨の種別を識別している。
特開平08−315209号公報 特開2001−167310号公報
しかしながら、従来の硬貨識別装置は、材質センサ、外径センサおよび板厚センサごとに、各センサから出力された信号を高精度なアナログ回路を用いて増幅する増幅回路、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル(A/D)変換回路、変換されたデジタル信号のうち所定の特徴量を抽出する演算回路を有し、抽出した各特徴量をもとに硬貨の材質、外径、板厚を求め、硬貨の種別を識別していた。このため、従来の硬貨識別装置は、材質センサ、外径センサ、板厚センサに対応する発振回路、増幅演算回路、演算回路をそれぞれ備える必要があり、精度の高い機構部および精度の高いアナログ回路を必要とし硬貨識別装置における直材コストの低減、組立工数の低減、たとえば各特徴ごとに持つ磁気センサ、それに付随するアナログ回路などの部品点数の低減を図ることができないという問題があった。
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、簡易な装置構成を備えるとともに高い精度で硬貨の種別を識別することができる硬貨識別装置、硬貨識別方法および硬貨識別プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる硬貨識別装置は、硬貨通路に沿って配置されたコイルを有し、硬貨通過にともなう前記コイルのインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出手段と、前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理手段と、予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、前記演算処理手段によって出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別手段と、を備え、前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、前記識別手段は、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理手段によって出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理手段によって出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする。
また、この発明にかかる硬貨識別装置は、前記波形に窓関数を積算する積算手段をさらに備え、前記演算処理手段は、前記積算手段によって前記窓関数を積算された前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする。
また、この発明にかかる硬貨識別装置は、前記演算処理手段は、離散フーリエ変換を行い前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする。
また、この発明にかかる硬貨識別装置は、前記演算処理手段は、高速フーリエ変換を用いて離散フーリエ変換を行い前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする。
また、この発明にかかる硬貨識別方法は、硬貨通路に沿って配置されたコイルにおける硬貨通過にともなうインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出ステップと、前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理ステップと、予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに前記演算処理ステップにおいて出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別ステップと、を含み、前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、前記識別ステップは、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理ステップにおいて出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理ステップにおいて出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする。
また、この発明にかかる硬貨識別プログラムは、硬貨通路に沿って配置されたコイルにおける硬貨通過にともなうインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出手順と、前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理手順と、予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに前記演算処理手順において出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別手順と、を含み、前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、前記識別手順は、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理手順において出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理手順において出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする。
本発明によれば、スペクトル分布全体の波形ではなく特徴量を求めて識別を行っているため、機体差や再現性ばらつきの影響を受けにくく、使用頻度の高い種別順に各硬貨の特定スペクトルの周波数と同じ周波数の成分量を閾値と比較するだけで、硬貨の種別を識別可能であるため、検出手段を複数備える必要がなく簡易な装置構成を有する硬貨識別装置、および効率的な硬貨識別を可能にする硬貨識別方法および硬貨識別プログラムを実現できる。
本発明にかかる硬貨識別装置の実施例の概要構成を示すブロック図である。 図1に示す波形検出部の概要構成を示す図である。 図1に示す硬貨識別装置の動作処理を説明するフローチャートである。 図2に示すコイルが出力するアイドル波形を例示した図である。 硬貨通過中のコイルのインダクタンスの時間変化を示す波形を例示する図である。 図1に示す積算部が積算する窓関数を例示する図である。 図5に示す波形にハニング窓を積算して得られた波形を例示した図である。 図5の波形における硬貨と異なる種別の硬貨における波形にハニング窓を積算して得られた波形を示す図である。 図3に示す識別処理の処理手順を示すフローチャートである。 硬貨Aにおけるスペクトル分布を示す図である。 硬貨Bにおけるスペクトル分布を示す図である。 従来技術にかかる硬貨識別装置の概要構成を示すブロック図である。 図3に示す識別処理の処理手順の他の例を示すフローチャートである。 硬貨Aにおけるスペクトル分布およびスペクトル分布に対する包絡線を示す図である。 硬貨Bにおけるスペクトル分布およびスペクトル分布に対する包絡線を示す図である。 1円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 5円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 10円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 50円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 100円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 旧500円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 新500円硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。 1円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 5円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 10円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 50円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 100円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 旧500円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 新500円硬貨に対応する包絡線を示す図である。 実施例を用いたコンピュータシステムの構成を示す構成図である。 図18に示したコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。
以下に、本発明にかかる硬貨識別装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
(実施例)
図1は、本発明にかかる硬貨識別装置の実施例の概要構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施例にかかる硬貨識別装置1は、入力部10、波形検出部20、ADC処理部25、投入検出処理部22、積算部30、演算処理部40、識別部50、制御部60、出力部70および記憶部80を備える。制御部60は、硬貨識別装置1の各構成部位を制御する。
入力部10は、硬貨識別装置1の動作指示および硬貨識別装置1が行う処理の指示情報を制御部60に入力する。入力部10は、たとえば、硬貨識別装置1の電源のONおよびOFFや情報の取得も可能である。また、入力部10は、キーボードやマウスなどのポインティングデバイスなどによって実現してもよい。
波形検出部20は、硬貨通路に沿って配置されたコイルを有し、硬貨通過にともなうコイルのインダクタンスの時間変化を示す波形を検出し、積算部30に出力する。図2は、図1に示す波形検出部20の概要構成を示す図である。図2には、波形検出部20のほか、硬貨識別装置1の要部についても示している。波形検出部20は、図2に示すように、ベルトコンベアなどを介して搬送される硬貨2の通路に沿って配置されたコイル22と、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を検出しデジタル信号に変換可能な程度にまで増幅する増幅部23と、コイル22に接続された発振部24とを備える。発振部24は、インダクタンスの時間変化を示す波形として所定のアイドル波形を出力するようにコイル22に磁場を発振させている。磁場を発振しているコイル22近傍を硬貨2が通過すると、硬貨2の通過にともなってコイル22のインダクタンスが変化する。硬貨2の通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形は、硬貨2の種別ごとにそれぞれ異なっている。波形検出部20は、増幅部23が増幅したコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形をADC処理部25に出力する。
ADC処理部25は、波形検出部20から出力された波形を示すアナログ信号電圧をデジタル信号に変換し、投入検出処理部26に出力する。このため、今後の処理は、ソフトウェアによるデジタル信号処理となる。
投入検出処理部26は、ADC処理部25から出力された波形に対応するデジタル信号を処理し、波形の変化をもとに硬貨2が投入されたか否かを検出する。投入検出処理部26は、デジタル信号に変換された波形の形状が所定の形状から変化したと判断した場合、硬貨2が投入されたものと判断する。
積算部30は、投入検出処理部26が硬貨2が投入されたものと判断した場合、波形検出部20が出力したコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形に窓関数を積算し、積算した波形を演算処理部40における演算対象として出力する。硬貨2の通過開始から通過終了までの間に変化した波形について、所定の窓関数を積算して周波数分析の対象となる波形の切り出しを行う。この窓関数による波形の切り出しによって、切り出す波形の時間軸量端点に生じる高調波成分であって演算処理対象ではない波形成分に起因するトランケーション誤差の発生を防止することができる。この結果、積算部30による窓関数の積算処理によって、演算処理部40における演算処理では、所望するスペクトル以外のスペクトルの発生を抑制した精度の高い周波数分析を行うことができる。積算部30は、窓関数として、たとえば、ハニング窓、方形窓、ハミング窓、ブラッドマン=ハリス窓などを用いる。
演算処理部40は、積算部30によって窓関数を積算された波形の周波数分析を行い、硬貨2の通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形のスペクトル分布を演算する。演算処理部40は、積算部30によって窓関数を積算された波形に対して、離散フーリエ変換(DFT)を行い硬貨2の通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形のスペクトル分布を演算する。演算処理部40は、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを用いてDFTを行い、硬貨2の通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形のスペクトル分布を演算する。演算処理部40は、演算したスペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを対応づけて識別部50に出力する。
識別部50は、予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する。識別部50は、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布における特定スペクトルの成分量と、予め求めた各硬貨のスペクトル分布における特定スペクトルの成分量との比較をもとに、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形に対応する硬貨2の種別を識別する。識別部50は、予め求めた各硬貨のスペクトル分布のうち比較対象である硬貨2のスペクトル分布における特定スペクトルが演算処理部40によって演算されたスペクトル分布にあるか否かを判断する。さらに、識別部50は、この特定スペクトルがあると判断した場合には、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布における特定スペクトルの成分量が所定の閾値以上であるか否かを判断する。識別部50は、特定スペクトルの成分量が所定の閾値以上であると判断した場合、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形に対応する硬貨2は、比較対象を行っていた硬貨と同じ種別の硬貨であると識別する。なお、特定スペクトルの成分量に対する閾値は、硬貨の種別に応じて予め設定されている。
制御部60は、入力部10、波形検出部20、ADC処理部25、投入検出処理部26、積算部30、演算処理部40、識別部50、出力部70および記憶部80の各処理または動作を制御する。制御部60は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
出力部70は、制御部60の制御にしたがって所定の情報を出力する。出力部70は、識別部50が識別した硬貨2の種別を出力する。出力部70は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display : LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、電流が供給される間発光を継続する発光ダイオード(Light emitting diode : LED)を用いて実現され、表示を出力してもよい。また、出力部70は、マイクロフォンおよびスピーカーを用いて実現され、音声を出力してもよい。また、出力部70は、外部通信用インターフェースを用いて実現され、硬貨識別装置の管理を行う図示しない外部の管理装置などに対する情報通信を行ってもよい。
記憶部80は、各構成部位の処理動作に要する各種情報およびプログラムを記憶する。記憶部80は、硬貨の各種別に対応するスペクトル分布を記憶する。これらのスペクトル分布は、予め求められたものであり、硬貨の種別ごとに硬貨2の通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を求め、求めた波形に対して窓関数を積算した後、FFTを用いたDFTをそれぞれ行うことによって予め求められたものである。また、器億部80は、硬貨の種別ごとに、特定スペクトルに対応する閾値を記憶する。
つぎに、硬貨識別装置1の動作処理を説明する。図3は、硬貨識別装置1の動作処理を説明するフローチャートである。図3に示すように、まず、制御部60は、波形検出部20における発振部24を発振させて、コイル22にアイドル波形を出力させる(ステップS102)。図4は、コイル22が出力するアイドル波形を例示した図であり、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す。図4に示すように、硬貨識別装置1は、アイドル波形として正弦波を出力し、演算処理部40におけるDFT時にスペクトルへの高次ノイズの影響を避ける。
投入検出処理部26は、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形に変化があるか否かを判断する(ステップS104)。制御部60は、波形に変化がないと判断した場合には(ステップS104:No)、硬貨2が投入されていないと判断し、ステップS102に進み、アイドル波形の出力を継続する。
一方、投入検出処理部26が波形に変化があると判断した場合には(ステップS104:Yes)、硬貨2が投入されたものと判断するため、積算部30は変化が生じた波形を取得する(ステップS106)。図5は、硬貨通過中のコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を例示する図である。図5に示すように、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形は、硬貨の通過にともなって、図4に示すアイドル波形と明らかに異なる波形となる。積算部30は、硬貨通過中のコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形として、図5に示すような波形を取得する。
積算部30は、投入検出処理部26から出力された波形に対応するデジタル信号に対して、窓関数を積算し、演算処理部40における演算対象として出力する窓関数積算処理を行う(ステップS108)。積算部30は、窓関数を積算することによって周波数分析の対象となる波形の切り出しを行う。ここで、積算部30は、窓関数として、図6に示すハニング窓を用いて窓関数積算処理を行う。このハニング窓の時間ひろがりは、ベルトコンベアなどを介して搬送される硬貨の通過によってコイル22のインダクタンスの変化が開始し終了するまでの期間に応じて設定される。図7は、図5に示す波形にハニング窓を積算して得られた波形を例示した図である。図7に示すように、積算部30は、図6に示すハニング窓を図5に示す波形に積算することによって、図5に示す波形の時間軸量端点である時間Ta,Tbの前後で生じていた高調波を除去することができる。この結果、演算処理部40における演算処理において、切り出した波形の両端の影響を抑え、高調波成分の歪みの発生に起因するトランケーション誤差の発生を防止することができる。なお、図8は、図5の波形における硬貨と異なる種別の硬貨における波形にハニング窓を積算して得られた波形を示す図である。図8の波形は、図7の波形と比較し短い周期を有する点で図7の波形と明らかに異なる。このように、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形は、各硬貨の種別に応じてそれぞれ異なっている。
つぎに、演算処理部40は、積算部30によって窓関数を積算された波形の周波数分析を行い、硬貨通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形のスペクトル分布を演算する演算処理を行う(ステップS110)。演算処理部40は、FFTアルゴリズムを用いてDFTを行うことによって、硬貨通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形のスペクトル分布を演算し、各周波数と各周波数の成分量とを対応づけたスペクトル分布を求め、識別部50に出力する。
識別部50は、予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに演算処理部40によって演算されたスペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別処理を行う(ステップS112)。そして、出力部70は、識別部50における識別結果として、たとえば識別部50によって識別された硬貨の種別を出力する識別結果出力処理を行う(ステップS114)。
つぎに、図3に示す識別処理について説明する。図9は、図3に示す識別処理の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、まず、識別部50に、演算処理部40によるスペクトル分布が入力される(ステップS122)。識別部50は、予め求められ記憶部80に記憶された各硬貨のスペクトル分布を参照する(ステップS124)。この場合、識別部50は、記憶部80に記憶されたスペクトル分布のうち、所定の順序で各スペクトル分布を参照する。たとえば、使用頻度の高い種別順に各硬貨のスペクトル分布を参照してもよい。
識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布と参照したスペクトル分布とを比較し、演算処理部40によるスペクトル分布の中に、参照した硬貨のスペクトル分布における特定スペクトルがあるか否かを判断する(ステップS126)。識別部50は、特定スペクトルがないと判断した場合(ステップS126:No)、演算処理部40によるスペクトル分布に対応する硬貨は、参照したスペクトル分布に対応する種別の硬貨ではないと判断する。そして、識別部50は、記憶部80に記憶された各硬貨のスペクトル分布の中から次に参照対象となる種別の硬貨におけるスペクトル分布を参照する(ステップS128)。
一方、識別部50は、特定スペクトルがあると判断した場合(ステップS126:Yes)、演算処理部40によるスペクトル分布における特定スペクトルの成分量が閾値以上か否かを判断する(ステップS130)。
識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布における特定スペクトルの成分量が閾値以上でないと判断した場合(ステップS130:No)、演算処理部40によるスペクトル分布に対応する硬貨は、参照したスペクトル分布に対応する種別の硬貨ではないと判断し、記憶部80に記憶された各硬貨のスペクトル分布の中から次に参照対象となる種別の硬貨におけるスペクトル分布を参照する(ステップS128)。一方、識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布における特定スペクトルの成分量が閾値以上であると判断した場合(ステップS130:Yes)、このスペクトル分布を有する硬貨は、参照したスペクトル分布に対応する種別の硬貨であると識別し(ステップS132)、識別結果として硬貨の種別を出力する。
図10は、硬貨Aにおけるスペクトル分布を示す図である。また、図11は、硬貨Aと異なる種別の硬貨Bにおけるスペクトル分布を示す図である。図10および図11に示すように、硬貨の種別に応じて各周波数における成分量が異なる。
まず、識別部50が、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布に対応する硬貨が、図10に示す硬貨Aの種別と同じ種別であるか否かを判断する場合について説明する。硬貨Aにおいては、たとえば周波数S3を特定スペクトルとして設定する。このため、識別部50は、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布の中に特定スペクトルS3があるか否かを判断する(ステップS126)。
識別部50は、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布の中に特定スペクトルS3がないと判断した場合には(ステップS126:No)、硬貨Aと同じ種別でないと識別し、次に参照対象となる硬貨のスペクトル分布を参照する。
一方、識別部50は、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布の中に特定スペクトルS3があると判断した場合(ステップS126:Yes)、この特定スペクトルS3の成分量が所定の閾値以内か否かを判断する(ステップS130)。たとえば、図10に示す硬貨Aの場合、特定スペクトルS3については、成分量「4」を閾値Taとして設定する。このため、識別部50は、演算処理部40によって演算されたスペクトル分布における特定スペクトルS3の成分量が閾値Ta以上であるか否かを判断し(ステップS130)、特定スペクトルS3の成分量が閾値Ta以上であると判断した場合には(ステップS130:Yes)、この演算処理部40によって演算されたスペクトル分布に対応する硬貨は、硬貨Aと同じ種別であると識別する(ステップS132)。また、識別部50は、特定スペクトルS3の成分量が閾値Ta以上でないと判断した場合には(ステップS130:No)、硬貨Aと同じ種別でないと識別し、次に参照対象となる硬貨のスペクトル分布を参照する。
また、識別部50は、硬貨Bと同じ種別であるか否かを識別する場合には、たとえば図11に示す周波数S6を特定スペクトルとして設定し、さらに、成分量「5」を閾値Tbとして設定し、特定スペクトルS6の有無に対する判断および閾値に対する判断を行う。
このように、実施例にかかる硬貨識別装置1は、硬貨通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形に対して窓関数積算処理およびDFT/FFT演算処理を行って得られたスペクトル分布と予め求めた各種別の硬貨におけるスペクトル分布とを比較することによって、硬貨の種別を識別している。
ここで、従来技術にかかる硬貨識別装置について説明する。図12は、従来技術にかかる硬貨識別装置の概要構成を示すブロック図である。図12に示すように、従来技術にかかる硬貨識別装置201は、硬貨識別装置1における入力部10、制御部60、出力部70、記憶部80と同様の機能を有する入力部210、制御部260、出力部270、記憶部280を備えるとともに、硬貨の特徴量を検出する検出部として、材質検出部221、外径検出部222および板厚検出部223の複数の検出部を備える。材質検出部221は、材質センサ221aと、材質センサ221aから出力された波形を増幅する増幅部221bと、増幅部221bから出力された波形をデジタル信号に変換するAD変換部221cと、変換されたデジタル信号をもとに硬貨の材質を判定する材質判定部221dを備える。同様に、外径検出部222は、外径センサ222aと増幅部222bとAD変換部222cと変換されたデジタル信号をもとに硬貨の外径を判定する外径判定部222dを備え、板厚検出部223は、板厚センサ223aと増幅部223bとAD変換部223cと変換されたデジタル信号をもとに硬貨の外径を判定する板厚判定部223dを備える。識別部250は、材質判定部221dから出力された硬貨の材質、外径判定部222dから出力された硬貨の外径および板厚判定部223dから出力された硬貨の板厚をもとに、識別対象である硬貨の種別を識別していた。
従来技術にかかる硬貨識別装置201は、検出部ごとに高精度なアナログ回路を増幅部として用い、AD変換部を介してデジタル信号を取得したうえで変換されたデジタル信号のうち所定の特徴量を抽出する演算回路を備える必要があった。このため、硬貨識別装置201は、複雑な装置構成を要し硬貨識別装置における製造コストの低減を図ることができないという問題があった。
これに対し、本実施例にかかる硬貨識別装置1は、図1に示すように、コイル22を有し硬貨通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する波形検出部20のみを備えた構成であり、従来の硬貨識別装置201と比較し、複数の検出部を備える必要がない。また、従来技術にかかる硬貨識別装置201では、増幅部として高精度で複雑な回路構成を有するアナログ回路を必要としていた。これに対し、本実施例にかかる硬貨識別装置1においては、波形検出部20における増幅部23は、演算処理部40においてAD変換を行うことができる程度まで、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を増幅すれば足り、必ずしも複雑な回路構成を有する必要がない。このため、本実施例にかかる硬貨識別装置1は、波形検出部20として、コイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する回路と波形を増幅する増幅回路を備えれば足りる。したがって、本実施例では、従来技術にかかる硬貨識別装置201と比較し、簡易な装置構成である硬貨識別装置を実現することができ、硬貨識別装置の製造コストの低減を図ることが可能になるという効果を奏する。
また、本実施例にかかる硬貨識別装置1では、積算部30において波形に窓関数を積算して波形の切り出しを行うことによって、切り出す波形の時間軸量端点に生じる高調波成分であって演算処理対象ではない波形成分に起因するトランケーション誤差の発生を防止することができる。この結果、本実施例では、演算処理部40における演算処理において所望するスペクトル以外のスペクトルの発生を抑制した精度の高い周波数分析を行うことができ、高い精度で硬貨の種別を識別することができる。
また、従来技術にかかる硬貨識別装置201においては、硬貨の通過速度によっては硬貨の材質、外径および板厚の判定結果が異なり、硬貨の種別を識別できない場合があるという問題があった。これに対し、本実施例にかかる硬貨識別装置1では、硬貨通過にともなうコイル22のインダクタンスの時間変化を示す波形をもとに周波数分析を行って得られたスペクトル分布をもとに硬貨の種別を識別している。このため、硬貨識別装置1では、硬貨識別に使用する特徴量を周波数領域とすることによって、従来技術にかかる硬貨識別装置201と比較し硬貨の通過速度の影響を受けにくく、硬貨の通過速度にかかわらず硬貨の種別を安定した精度で識別することができる。
また、本実施例にかかる硬貨識別装置1では、窓関数積算処理以降の処理をすべてデジタル化することによって構成が簡易であるとともに柔軟性のある硬貨識別装置を実現することができる。具体的には、演算処理部40は、ADC処理部25によってAD変換された波形に対応するデジタル信号を処理するソフトウェアを追加して、定常的なノイズおよび外部環境からの突発的なノイズを除去する処理を行ってもよい。なお、硬貨識別装置1は、機構振動にともなう常に発生する振動成分については、事前に機構振動における装置固有のスペクトル分布を求め、除去またはマスクすることができる。また、従来の硬貨識別装置においてアナログ回路を用いて処理していた処理内容に対して、同様の処理内容でデジタル信号を処理するソフトウェアを追加してもよい。このように、本実施例にかかる硬貨識別装置1では、硬貨識別装置におけるシステム構築後においてもデジタル信号を処理するソフトウェアを追加することによって、簡易な構成であるとともに柔軟性のある硬貨識別装置を実現することができる。さらに、硬貨識別装置1は、記憶部80に各波形、各スペクトル分布を記憶させておき、記憶された波形やスペクトル分布に対して詳細な真偽判断をしてもよい。
なお、本実施例では、演算処理部40は、周波数分析の高速化のためにFFTアルゴリズムを用いてDFTを行った場合について説明したが、必ずしもFFTを用いてDFT処理を行う必要はなく、ウェーブレット変換、DCT変換、ウォルシュアダマール変換などスペクトル分布を演算処理によって求めることができればよい。
また、本実施例として、識別部50は、スペクトル分布における特定スペクトルの成分量の比較をもとに硬貨の種別を識別した場合について説明したが、これに限らず、スペクトル分布に対する包絡線の一致度をもとに硬貨の種別を識別してもよい。この場合、各硬貨に対応するスペクトル分布とともに、これらのスペクトル分布における包絡線も予め求められ、記憶部80に記憶されている。
図13は、図3に示す識別処理の処理手順の他の例を示すフローチャートである。図13に示すように、まず、識別部50に、演算処理部40によるスペクトル分布が入力される(ステップS142)。識別部50は、入力されたスペクトル分布に対する包絡線を取得する(ステップS143)。つぎに、識別部50は、予め求められ記憶部80に記憶された各硬貨のスペクトル分布に対する包絡線を参照する(ステップS144)。この場合、識別部50は、記憶部80に記憶された包絡線のうち、所定の順序で包絡線を参照する。たとえば、使用頻度の高い種別順に包絡線を参照してもよい。
識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布に対する包絡線と参照した包絡線とを比較し、これらの包絡線の一致度を取得する(ステップS146)。識別部50は、取得した一致度が所定の閾値以内であるか否かを判断する(ステップS148)。この閾値は、各硬貨の種別に応じて予め設定されている。識別部50は、取得した一致度が所定の閾値以内でないと判断した場合(ステップS148:No)、演算処理部40によるスペクトル分布に対する包絡線における硬貨は、参照した包絡線に対応する種別の硬貨ではないと判断し、記憶部80に記憶された各硬貨の包絡線の中から次に参照対象となる種別の硬貨のスペクトル分布に対する包絡線を参照する(ステップS150)。一方、識別部50は、取得した一致度は閾値以内であると判断した場合(ステップS148:Yes)、この包絡線を有する硬貨は、参照した包絡線に対応する種別の硬貨であると識別し(ステップS152)、識別結果として硬貨の種別を出力する。
図14は、硬貨Aにおけるスペクトル分布およびスペクトル分布に対する包絡線を示す図である。また、図15は、硬貨Aと異なる種別の硬貨Bにおけるスペクトル分布およびスペクトル分布に対する包絡線を示す図である。図14および図15に示すように、硬貨の種別に応じて包絡線が異なる。このため、識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布に対する包絡線と、図14に示す硬貨Aに対応する包絡線Ljaとを比較し、これらの包絡線の一致度が所定の閾値以内であると判断した場合には(ステップS148:Yes)、演算処理部40によるスペクトル分布に対応する硬貨は、硬貨Aと同じ種別であると識別する。また、識別部50は、包絡線の一致度が所定の閾値以内でないと判断した場合には(ステップS148:No)、演算処理部40によるスペクトル分布に対応する硬貨は、硬貨Aと同じ種別でないと識別し、次に参照対象となる硬貨Bの包絡線Ljbを参照し、包絡線Ljbとの一致度を求め、演算処理部40によるスペクトル分布に対応する硬貨が硬貨Bと同じ種別であるか否かを判断する。
このように、識別部50は、スペクトル分布の包絡線の一致度をもとに硬貨の種別を識別してもよく、スペクトル分布の特定スペクトルの成分量の比較をもとに硬貨の種別を識別する場合と同様に、簡易な装置構成である硬貨識別装置を実現することができる。なお、硬貨識別装置1は、図9に示す識別処理を行う仕様であった場合であっても、包絡線データを識別対象とする図13に示す識別処理を指示するソフトウェアを追加することによって、システム構築後においても識別処理の内容を変更することができる。言い換えると、硬貨識別装置1は、システム構築後も必要に応じてアナログ回路で追加しなければ実現できない処理をソフトウェアという形で供給することができ、仕様追加が可能である。すなわち、硬貨識別装置1は、ソフトウェアの追加を行うことによって、回路追加を行った場合と同様の効果を奏することが可能である。
つぎに、実際に現在使用されている各硬貨に対応するスペクトル分布および特定スペクトルを示す。図16−1〜図16−7は、現在使用されている各硬貨に対応するスペクトル分布を示す図である。図16−1〜図16−7において、横軸は周波数を示し、縦軸は成分量を示す。図16−1に示す曲線Ls1は、1円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−2に示す曲線Ls5は、5円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−3に示す曲線Ls10は、10円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−4に示す曲線Ls50は、50円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−5に示す曲線Ls100は、100円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−6に示す曲線Ls500は、旧500円硬貨に対応するスペクトル分布であり、図16−7に示す曲線Lsn500は、新500円硬貨に対応するスペクトル分布である。
図16−1に示すように、1円硬貨においては、S1a、S1b,S1c,S1d,S1e,S1fを特定スペクトルとして採用することができる。図16−2に示すように、5円硬貨においては、S5a、S5b,S5c,S5dを特定スペクトルとして採用することができる。図16−3に示すように、10円硬貨においては、S10a、S10b,S10c,S10dを特定スペクトルとして採用することができる。図16−4に示すように、50円硬貨においては、S50a、S50b,S50cが特定スペクトルとして採用することができる。図16−5に示すように、100円硬貨においては、S100a、S100b,S100cを特定スペクトルとして採用することができる。図16−6に示すように、旧500円硬貨においては、S500a、S500b,S500c,S500dを特定スペクトルとして採用することができる。図16−7に示すように、新500円硬貨においては、Sn500a、Sn500b,Sn500cが特定スペクトルとして採用することができる。たとえば、飲料水の自動販売機などで使用頻度の高い10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨においては、識別部50は、10円硬貨については、図16−3に示す特定スペクトルS10c、50円硬貨については、図16−4に示す特定スペクトルS50c、100円硬貨については、図16−5に示す特定スペクトルS100bの有無および成分量をもとに、硬貨の種別を識別すればよい。
また、実際に現在使用されている各硬貨に対応するスペクトル分布に対する包絡線を示す。図17−1〜図17−7は、現在使用されている各硬貨に対応するスペクトル分布に対する包絡線を示す図である。図17−1に示す曲線Le1は、1円硬貨に対応する包絡線であり、図17−2に示す曲線Le5は、5円硬貨に対応する包絡線であり、図17−3に示す曲線Le10は、10円硬貨に対応する包絡線であり、図17−4に示す曲線Le50は、50円硬貨に対応する包絡線であり、図17−5に示す曲線Le100は、100円硬貨に対応する包絡線であり、図17−6に示す曲線Le500は、旧500円硬貨に対応する包絡線であり、図17−7に示す曲線Len500は、新500円硬貨に対応する包絡線である。図17−1〜図17−7に示すように、各包絡線の形状はそれぞれ異なっているため、識別部50は、演算処理部40によるスペクトル分布に対する包絡線がどの包絡線に一致するか否かを判断することによって、硬貨の種別を識別することが可能である。
また、上記実施例で説明した硬貨識別装置1を有する硬貨識別システムは、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。以下、上記実施例で説明した硬貨識別システムにおける処理動作と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
図18は、上述した実施例を用いたコンピュータシステムの構成を示すシステム構成図であり、図19は、このコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。図18に示すように、本実施例にかかるコンピュータシステム100は、本体部101と、本体部101からの指示によって表示画面102aに画像などの情報を表示するためのディスプレイ102と、このコンピュータシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード103と、ディスプレイ102の表示画面102a上の任意の位置を指定するためのマウス104とを備える。
また、このコンピュータシステム100における本体部101は、図19に示すように、CPU121と、RAM122と、ROM123と、ハードディスクドライブ(HDD)124と、CD−ROM109を受け入れるCD−ROMドライブ125と、フレキシブルディスク(FD)108を受け入れるFDドライブ126と、ディスプレイ102、キーボード103並びにマウス104を接続するI/Oインターフェース127と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)106に接続するLANインターフェース128とを備える。
さらに、このコンピュータシステム100には、インターネットなどの公衆回線107に接続するためのモデム105が接続されるとともに、LANインターフェース128およびLAN/WAN106を介して、他のコンピュータシステム(PC)111、サーバ112、プリンタ113などが接続される。
そして、このコンピュータシステム100は、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで硬貨識別システムを実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)108、CD−ROM109、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)124や、RAM122、ROM123などの「固定用の物理媒体」、さらに、モデム105を介して接続される公衆回線107や、他のコンピュータシステム111並びにサーバ112が接続されるLAN/WAN106などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステム100によって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。
すなわち、プログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム100は、このような記録媒体からプログラムを読み出して実行することで硬貨識別装置および硬貨識別システムを実現する。なお、プログラムは、コンピュータシステム100によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム111またはサーバ112がプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
1,201 硬貨識別装置
2 硬貨
10,210 入力部
20 波形検出部
22 コイル
23 増幅部
24 発振部
25 ADC処理部
26 投入検出処理部
30 積算部
40 演算処理部
50,250 識別部
60,260 制御部
70,270 出力部
80,280 記憶部
100 コンピュータシステム
101 本体部
102 ディスプレイ
102a 表示画面
103 キーボード
104 マウス
105 モデム
106 ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)
107 公衆回線
108 フレキシブルディスク(FD)
109 CD−ROM
111 他のコンピュータシステム(PC)
112 サーバ
113 プリンタ
121 CPU
122 RAM
123 ROM
124 ハードディスクドライブ(HDD)
125 CD−ROMドライブ
126 FDドライブ
127 I/Oインターフェース
128 LANインターフェース
221 材質検出部
221a 材質センサ
221b,222b,223b 増幅部
221c,222c,223c AD変換部
221d 材質判定部
222 外径検出部
222a 外径センサ
222d 外径判定部
223 板厚検出部
223a 板厚センサ
223d 板厚判定部

Claims (6)

  1. 硬貨通路に沿って配置されたコイルを有し、硬貨通過にともなう前記コイルのインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出手段と、
    前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理手段と、
    予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、前記演算処理手段によって出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別手段と、
    を備え、
    前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、
    前記識別手段は、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理手段によって出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理手段によって出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする硬貨識別装置。
  2. 前記波形に窓関数を積算する積算手段をさらに備え、
    前記演算処理手段は、前記積算手段によって前記窓関数を積算された前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。
  3. 前記演算処理手段は、離散フーリエ変換を行い前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨識別装置。
  4. 前記演算処理手段は、高速フーリエ変換を用いて離散フーリエ変換を行い前記波形のスペクトル分布を演算することを特徴とする請求項3に記載の硬貨識別装置。
  5. 硬貨通路に沿って配置されたコイルにおける硬貨通過にともなうインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出ステップと、
    前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理ステップと、
    予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに前記演算処理ステップにおいて出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別ステップと、
    を含み、
    前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、
    前記識別ステップは、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理ステップにおいて出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理ステップにおいて出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする硬貨識別方法。
  6. 硬貨通路に沿って配置されたコイルにおける硬貨通過にともなうインダクタンスの時間変化を示す波形を検出する検出手順と、
    前記波形の周波数分析を行い、前記波形のスペクトル分布を演算し、前記スペクトル分布として各周波数と各周波数の成分量とを関連づけて出力する演算処理手順と、
    予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに前記演算処理手順において出力された前記スペクトル分布に対応する硬貨の種別を識別する識別手順と、
    を含み、
    前記予め求めた各硬貨のスペクトル分布をもとに、硬貨の種別ごとに、周波数が互いに異なる特定スペクトルが1つずつ設定され、該設定された特定スペクトルの成分量に基づく閾値が硬貨の種別ごとに設定され、
    前記識別手順は、使用頻度の高い前記硬貨の種別順に前記特定スペクトルと前記演算処理手順において出力されたスペクトル分布とを比較し、前記演算処理手順において出力されたスペクトル分布に、前記設定された閾値以上の成分量で前記硬貨の種別ごとに設定された特定スペクトルのいずれかの周波数と一致する周波数のスペクトルが含まれる場合には、前記波形に対応する硬貨の種別が、前記一致した特定スペクトルに対応する硬貨の種別と同一であると識別することを特徴とする硬貨識別プログラム。
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