JP5127744B2 - オレフィンコポリマーの解析方法、評価方法および製造方法 - Google Patents

オレフィンコポリマーの解析方法、評価方法および製造方法 Download PDF

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本発明は、オレフィンコポリマーの解析方法、評価方法および製造方法に関する。
従来、合成ポリマーの結晶構造・相分離構造などを解析する方法として、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡、偏光顕微鏡などによる観察が行われている。また、原子間力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡により、合成ポリマーの塊の断面を切り出してそこに現れた相分離構造などを観察したり、基板上に合成ポリマーを塗付し形成した薄膜に現れる相分離構造などを直接観察したりすることも行われるようになっている。さらに走査型プローブ顕微鏡の高い分解能を利用して、基板上に固定した合成ポリマーの1分子鎖の形態観察も行われるようになった。
たとえば、非特許文献1には、シリコン基板上にポリスチレン/ポリビニルメチルエーテルブレンドフィルムを形成し、AFM(Atomic Force Microscopy原子間力顕微鏡)により相分離構造の観察を行う方法が開示されている。
ここで、非特許文献1に挙げられているポリマーはポリマーを構成する成分同士が相溶性であるが、そのナノ相分離構造が見られている。
また、非特許文献2には、マイカ基板上にポリメチルメタクリレートを塗布し、AFMにより分子鎖を観察する方法が開示されている。
非特許文献2で観察しているポリマーは極性基を有するセグメントと無極性のセグメントからなるジブロック構造である。親水性基板(マイカ基板)表面の吸着水層中での極性セグメントの広がりを利用し、性質の極端に異なるセグメントを分離することでポリマーの構造を観察している。
さらに、非特許文献3には、ポリプロピレンとエチレンプロピレンコポリマーとの共重合体をマイカ基板上に塗布して、AFMにより分子鎖を観察する方法が開示されている。
現在、様々なコポリマーが合成されるようになっており、たとえば、エチレンとプロピレン、エチレンとオクテンなどのセグメントが連結したオレフィンコポリマーが合成できるようになった。オレフィンコポリマーにおいて、合成されたコポリマーにおける相分離構造や分子鎖内ブロック数などに関する情報は、所望のオレフィンコポリマーを得るために非常に重要である。
たとえば、相分離構造から、相分離構造における結晶性領域、非晶性領域の存在状態に関する情報として、オレフィンコポリマーの結晶性セグメント、非結晶性セグメントの組成比を算出することができ、これが、所望のものであるかどうか確認することができる。
さらには、オレフィンコポリマーのブロック数を解析することで、オレフィンコポリマーが所望のものであるかどうか確認することができる。
従って、オレフィンコポリマーの相分離構造における結晶性領域、非晶性領域の存在状態に関する情報や、ブロック数を得る方法が求められている。
しかしながら、非特許文献1に記載されている方法では、相溶系におけるナノ相分離構造が見られているが、親水的な基板表面上では疎水的なオレフィンコポリマーは濡れ性が悪く均一な連続薄膜を形成することは難しいため、文献と同様の方法で相分離構造を発現させた薄膜を形成することは困難である。
また、非特許文献2のようにセグメント間の親疎水性の違いによる基板上でのモルフォロジー差により、オレフィンコポリマーを、評価することも困難である。
非特許文献3では、オレフィンジブロックコポリマーの分子鎖レベルの観察をしているものの、非特許文献3に開示された方法では、相分離構造を得ることは難しい。さらに、一分子鎖が複数のブロックから形成されるマルチブロック構造の評価は不可能である。
以上のように従来の方法では、オレフィンコポリマーにおける相分離構造に関する情報や分子鎖内ブロック数などに関する情報を得ることが難しく、オレフィンコポリマーにおける相分離構造に関する情報や分子鎖内ブロック数などに関する情報を得ることができる解析方法の開発が望まれている。
本発明は、オレフィンコポリマーの相分離構造や、ブロック数の解析を行う解析方法を提供するものである。
本発明によれば、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーを溶媒に溶解させて溶液を得る工程と、前記溶液をグラファイト基板上に塗布し、乾燥させて、前記結晶性セグメントと、前記非晶性セグメントとを分離させる工程と、原子間力顕微鏡により、前記グラファイト基板上の前記オレフィンコポリマーの観察像を得る工程と、得られた前記観察像に基づいて、前記オレフィンコポリマーの構造解析を行う工程とを含み、構造解析を行う前記工程では、前記観察像から、複数の前記結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが分離した相分離構造の前記結晶性領域または非晶性領域の存在状態に関する情報を把握し、あるいは、前記観察像から、前記オレフィンコポリマーのブロック数を得るオレフィンコポリマーの解析方法が提供される。ここでの観察像とは、凹凸像(高さ像)、位相像、弾性率像、摩擦像、凝着力像、散逸像など原子間力顕微鏡の装置で得られる情報画像をいう。
この発明によれば、基板表面と、オレフィンコポリマーとの相互作用を利用して、オレフィンコポリマーの相分離構造の結晶性領域または非晶性領域の存在状態に関する情報や、ブロック数を取得することができる。
また、本発明によれば、オレフィンコポリマーの評価を行う評価方法であって、前記オレフィンコポリマーを解析する工程と、解析結果から、前記オレフィンコポリマーを評価する工程とを含み、前記オレフィンコポリマーを解析する前記工程は、上述したオレフィンコポリマーの解析方法を使用して解析を行うオレフィンコポリマーの評価方法も提供できる。
さらには、オレフィンコポリマーの製造方法であって、オレフィンコポリマーを製造する工程と、製造されたオレフィンコポリマーの評価を行う工程とを含み、評価を行う前記工程は、前述した評価方法を実施するオレフィンコポリマーの製造方法も提供できる。
本発明によれば、オレフィンコポリマーの相分離構造の結晶性領域または非晶性領域の存在状態に関する情報や、ブロック数を取得することができるオレフィンコポリマーの解析方法、評価方法、製造方法が提供される。
グラファイト基板を模式的に示す図である。 オレフィンコポリマーの高さ像、位相像を示す図である。 図2の結晶性領域の拡大図である。 結晶性領域と、非晶性領域との面積比を示す図(位相像)である。 グラファイト基板および結晶性領域におけるコポリマーの分子鎖を模式的に示す図である。 オレフィンコポリマーの高さ像、位相像を示す図である。 オレフィンコポリマーの高さ像に分子鎖1本の輪郭を加えた図である。 オレフィンコポリマーの分子鎖1本の輪郭と、結晶性セグメントとを示す図である。 比較例1の高さ像、位相像を示す図である。 比較例2の高さ像、位相像を示す図である。 比較例3の高さ像、位相像を示す図である。 実施例1と、比較例3のコポリマーの結晶性領域と非晶性領域の存在状態を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一実施形態)
はじめに、本実施形態のオレフィンコポリマーの解析方法の概要について説明する。
本実施形態のオレフィンコポリマーの解析方法は、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーを溶媒に溶解させて溶液を得る工程(処理S1)と、溶液を基板上に塗布し、乾燥させて、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを分離させる工程(処理S2)と、原子間力顕微鏡により、前記基板上の前記オレフィンコポリマーの観察像を得る工程(処理S3)と、得られた前記観察像に基づいて、前記オレフィンコポリマーの構造解析を行う工程(処理S4)とを含む。
構造解析を行う前記工程(処理S4)では、観察像から、複数の結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが分離した相分離構造の前記結晶性領域または非晶性領域の存在状態に関する情報を把握する。
ここでの観察像とは、凹凸像(高さ像)、位相像、弾性率像、摩擦像、凝着力像、散逸像など原子間力顕微鏡の装置で得られる情報画像をいうが、本実施形態では、高さ像と、位相像とを観察する。
次に、本実施形態のオレフィンコポリマーの解析方法について詳細に説明する。
(溶液を得る工程(処理S1))
はじめに、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーを溶媒に溶解させて溶液を得る。
ここで、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーは、結晶性セグメント、非晶性セグメントの2つの成分からなるものである。このようなオレフィンコポリマーとしては、たとえば、ポリエチレン(結晶性セグメント)と、エチレンオクテンゴム(非晶性セグメント)との共重合体や、エチレン比の異なるエチレンプロピレンゴムからなる共重合体、さらには、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとで構成されるブレンドポリマー等があげられる。このようなオレフィンコポリマーは、本実施形態のオレフィンコポリマーの解析に適しており、精度よく解析を行うことができる。
溶媒としては、オレフィンコポリマーが溶解するものであればよく、たとえば、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン等があげられる。オレフィンコポリマーを溶媒に溶解させる際には、ポリマーの融点以上、使用する溶媒の沸点以下で行うことが好ましい。
溶液中のオレフィンコポリマー濃度は、たとえば、0.1g/l以上、1g/l以下であることが好ましい。0.1g/l以上とすることで、基板上に連続的な膜を形成できるという効果がある。一方で、1g/l以下とすることで、薄膜の相分離構造が表面に出てくる厚みに抑えられるという効果がある。
(溶液を基板上に塗布する工程(処理S2))
処理S1で得た溶液を基板上に塗布する。
ここで、基板としては、疎水性の基板、具体的には、グラファイト基板を使用する。グラファイト基板は、高配向性焼結グラファイト基板(Highly-Oriented Pyrolitic Graphite)である。このグラファイト基板は、図1に示すように、基板表面に炭素原子の六方格子が規則的に並んだ構造となっている(図1中、符号1はグラファイト基板を示す)。
溶液を基板上にスピンキャストなどにより塗布し、前記溶液によるポリマーの薄膜(液膜)を形成する。その後、液膜を乾燥手段により、乾燥させて膜を形成する。その後、膜を冷却する。
乾燥手段としては、たとえば、乾燥炉等を使用する。
オレフィンコポリマーの結晶性セグメントが、グラファイト基板の炭素原子の六方格子に沿って配向吸着する。これにより、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとが分離した状態となる。
本実施形態では、溶液中のオレフィンコポリマー濃度を0.1g/l以上、1g/l以下としているため、複数の前記結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが上下に重なって存在する状態を少なくできるので、結晶性領域と非晶性領域を分離した構造を形成しやすくなる。
液膜を乾燥させる際には、オレフィンコポリマーの結晶性セグメントの融点以上の温度で乾燥を行うことが好ましい。
このようにすることで、結晶性セグメントが溶解し、グラファイト基板へ配向吸着しやすくなる。これにより、複数の前記結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが分離した分離構造を得やすくなる。
なお、乾燥後の膜の厚みは、たとえば、10nm以下である。このように非常に薄い膜とすることで、相分離構造が膜表面に表れるという効果がある。
さらに、必要に応じて、再度、薄膜を熱処理してもよい。熱処理温度はポリマーの融点以上であることが好ましい。これにより、より確実に相分離構造を得ることができる。
(AFM(原子間力顕微鏡)による測定(処理S3))
処理S2で得られた膜をAFMにより測定し、観察像を得る。ここでは、膜(オレフィンコポリマー)の高さ像(凹凸像)、位相像の双方を測定する。
ここで、位相像とは、AMFのカンチレバーの振動波形と、カンチレバーを振動させるためのピエゾ素子等の振動波形との位相差を画像としたものである。
AFMでの測定は、タッピングモードで行う。
これにより、図2に示すような、高さ像、位相像を得ることができる。
図2(A)は、高さ像であり、明るい領域(白い部分)がグラファイト基板からの高さが高い部分である。この明るい領域は、非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域に該当する。
一方、図2(A)において、暗い領域(黒い部分)は、グラファイト基板からの高さが低い部分であり、結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域である。
図2(B)は位相像であり、明るい領域(白い部分)が硬い領域であり、図2(B)の暗い領域(黒い部分)は、柔らかい領域である。ただし、位相像においては、基板の硬さが影響を及ぼしている可能性も考えられる。また、AFMでは、深針と、試料表面との相互作用で発生する探針の変位を電気信号に変えて高さ像を得るため、高さ像においては、高いところが低く表示されてしまう場合もある。高さ像、位相像のうち、いずれか一方のみを観察しても良いが、高さ像、位相像の2つの像を観察し相分離構造を把握することが好ましい。
(オレフィンコポリマーの構造解析を行う工程(処理S4))
本実施形態では、処理S3により、図2に示すような高さ像、位相像から、複数の前記結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが分離した相分離構造を把握することができる。
この相分離構造を解析して、結晶性領域あるいは非晶性領域の存在状態に関する情報を把握する。たとえば、図2(A)の高さ像や、図2(B)の位相像を観察し、結晶性領域の大きさや、結晶性領域間の間隔を把握することができる。
また、図2(A)の高さ像や、図2(B)の位相像を観察し、一定面積あたりの結晶性領域と、非晶性領域との面積比を算出することで、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとの組成比(オレフィンコポリマーにおける結晶性セグメントと、非晶性セグメントとの重量比)を算出することができる。
また、オレフィンコポリマーが、結晶性セグメントからなるポリマーAと、非晶性セグメントからなるポリマーBとのブレンドである場合には、A,Bの組成比(重量比)を把握することが出来る。
以上のようなオレフィンコポリマーの解析方法は、オレフィンコポリマーの評価方法に適用することができる。
たとえば、把握した相分離構造からオレフィンコポリマーがブレンド状態であるのか、ブロック構造であるのかを判定することができる。たとえば、一つの結晶性領域や、一つの非晶性領域が非常に大きいような場合には、ブレンド状態であると判断でき、また、一つの結晶性領域や、一つの非晶性領域が非常に小さく、これらの領域が均質に混在して存在している場合には、ブロック構造であると判断することができる。また、把握した相分離構造からブレンド系における相溶性に関する情報を得ることもできる。
また、把握した相分離構造から、結晶性領域間の間隔を測定し、この結晶性領域間の間隔がシミュレーションと一致するかどうかを判定する。そして、所望のコポリマーであるかどうかを評価することができる。
また、本発明によれば、把握した相分離構造から結晶性セグメントと、非晶性セグメントとの組成比(オレフィンコポリマーにおける結晶性セグメントと、非晶性セグメントとの重量比)を算出し、算出した組成比が所望のものであるかどうか評価することができる。
さらには、本発明によれば、このような評価方法を組み込んだ、オレフィンコポリマーの製造方法も提供することができる。
たとえば、オレフィンコポリマーを製造した後、前述した評価方法で、オレフィンコポリマーを評価する。所望のオレフィンコポリマーが得られていないと判断した場合には、不良品として、オレフィンコポリマーを選別し、前述した評価方法で、所望のオレフィンコポリマーであると判断したオレフィンコポリマーを良品として選別する。これにより、所望のオレフィンコポリマーを得ることができる。
なお、グラファイト基板上でポリ(γ−nアルキル Lグルタミネート)の分子鎖を観察した例や、ポリエチレングリコールと、ポリ(γ−ステアリル Lグルタミネート)との共重合体の分子鎖を観察した例があるが(Macromolecules vol.36,No.6,2003,p1865-1869、Macromolecules vol.40,No.7,2003,p2613-2619)、これらはいずれも単に分子鎖を観察しただけのものである。これらの文献は、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーの相分離構造を観察したものではないし、これらの文献から、グラファイト基板を使用し、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを分離させて、相分離構造を観察することは想定できない。
(第二実施形態)
前記実施形態では、オレフィンコポリマーの相分離構造を取得し、オレフィンコポリマーの解析を行ったが、本実施形態では、ブロック共重合体であるオレフィンコポリマーのブロック数を取得して、オレフィンコポリマーの構造解析を行う。
(溶液を得る工程(処理S1))
まず、前記実施形態と同様の処理S1を実施する。このとき、溶液中のオレフィンコポリマー濃度を、0.01g/l以下、0.0001g/l以上とする。他の点は、前記実施形態と同様である。0.01g/l以下とすることで、詳しくは後述するが、オレフィコポリマーの分子鎖1本が、基板上に配向吸着した形態をとることができる。また、0.0001g/l以上とすることで、基板上に分散する分子鎖の数を適度なものとすることができる。これにより、AFMで観察する際に、基板上の分子鎖が検出しやすくなる。
(溶液を基板上に塗布する工程(処理S2))
次に、前記実施形態と同様に、処理S1で得た溶液を基板上に塗布する工程を実施する。基板は、前記実施形態と同様、グラファイト基板を使用する。
溶液を基板上に塗布し、前記溶液による液膜を形成する。その後、所定時間(たとえば、1時間以上)液膜を保持し、その後、液膜を乾燥手段により、乾燥させ、その後冷却する。ここでは、溶液中のオレフィンコポリマーの濃度を0.01g/l以下としたため、前記実施形態とは異なり、連続膜は形成されず、基板上にオレフィンコポリマーが点在することとなる。
塗布後、直ちに乾燥させず液膜の状態を所定時間保持することで、液膜中でオレフィンコポリマーが動くことができ、オレフィンコポリマーはグラファイト基板に対し配向吸着することとなる。具体的には、オレフィンコポリマーの結晶性セグメントが、グラファイト基板の炭素原子の六方格子に沿って配向吸着する。これにより、結晶性セグメントと、非晶性セグメントとが分離した状態となる。
図5に示すように、オレフィコポリマーの分子鎖(符号2で示す)内のポリエチレンセグメントが、グラファイト表面の炭素原子の六方格子に沿って配向吸着する。その後、液膜を乾燥手段により、乾燥させる。
なお、乾燥温度、乾燥方法等は前記実施形態と同様である。
また、前記実施形態と同様、液膜を乾燥させた後、再度熱処理してもよい。
(AFM(原子間力顕微鏡)による測定(処理S3))
グラファイト基板上のオレフィンコポリマーをAFMにより測定する。オレフィンコポリマーの高さ像、位相像の双方を取得する。
図6(A)には、オレフィンコポリマーの高さ像を示し、図6(B)には、オレフィンコポリマーの位相像を示す。
(オレフィンコポリマーの構造解析を行う工程(処理S4))
図6(B)の位相像の明るい領域は、分子鎖1本の輪郭を示しているため、オレフィンコポリマーの分子鎖1本の輪郭を検出することができる。位相像は、分子鎖のある部分と、ない部分とで明瞭なコントラストを形成することができる。これにより、オレフィンコポリマーの分子鎖1本の輪郭を検出することができる。
図6(A)の黒い点は、結晶性セグメントを示している。
従って、位相像から把握される鎖の輪郭に基づいて、分子鎖1本中の結晶性セグメントの個数を検出すれば、オレフィンコポリマーのブロック数を把握することができる(図7,8は、高さ像に分子鎖1本の輪郭線を挿入した図であり、図8は、図7における分子鎖1本を模式的に示した図である)。
以上のようなオレフィンコポリマーの解析方法は、オレフィンコポリマーの評価方法に適用することができる。
たとえば、得られたブロック数が所定の数値範囲内である場合には、所望のオレフィンコポリマーであると評価し、得られたブロック数が所定の数値範囲外である場合には、所望のオレフィンコポリマーではないと評価できる。
さらに、このような評価方法を組み込んだオレフィンコポリマーの製造方法も提供することができる。
たとえば、オレフィンコポリマーを製造した後、前述した評価方法で、オレフィンコポリマーを評価する。所望のオレフィンコポリマーが得られていないと判断した場合には、不良品として、オレフィンコポリマーを選別し、前述した評価方法で、所望のオレフィンコポリマーであると判断したオレフィンコポリマーを良品として選別する。これにより、オレフィンコポリマーを得ることができる。
ここで、オレフィンコポリマーのブロック数を測定することの有用性について言及する。オレフィンコポリマーのブロック数は、オレフィンコポリマーの特性等に大きく影響を及ぼすため、オレフィンコポリマーのブロック数を把握することは、所望の特性のオレフィンコポリマーを得るために非常に有用である。しかしながら、従来、オレフィンコポリマーのブロック数を把握するための研究がなされているが、オレフィンコポリマーのブロック数自体を把握する方法はない。たとえば、文献(Macromol.Symp2007,257,80-93)には、ブロックインデックスという指標を用い、ブロックインデックスにより、ランダム重合体であるか、ブロック共重合体であるかを把握することが記載されているが、ブロック数自体を測定することに関しては記載もないし、示唆もない。
従って、本実施形態の解析方法は、従来なしえなかったオレフィンコポリマーのブロック数を把握するという新規な方法であり、非常に有用なものであるといえる。
なお、ブロック数は、オレフィンコポリマーが成分Aと成分Bとで構成される場合、成分Aのブロック数+成分Bのブロック数であってもよく、また、(AB)nであってもよい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、相分離構造やブロック数からオレフィンコポリマーを解析したが、これに加えて、オレフィンコポリマーの一次構造を解析してもよい。一次構造としては、オレフィンコポリマーの分枝構造等があげられる。
また、前記各実施形態では、AFMにより、高さ像、位相像を計測したが、これに限らず、弾性率像、摩擦像、凝着力像、散逸像のいずれかを得るものとしてもよい。
第二実施形態では、高さ像、位相像から、ブロック数を算出したが、弾性率像、摩擦像、凝着力像、散逸像など分子の存在を示す観察像(分子鎖1本の観察像)から、結晶性セグメントあるいは非晶性セグメントの個数を数えて、ブロック数を得ることもできる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、エチレン成分を多く含む(エチレン成分77モル%)エチレンプロピレンゴム(以下、高エチレンEPRという)と、エチレン成分が少ない(エチレン成分57モル%)エチレンプロピレンゴム(以下、低エチレンEPRという)とのブレンドについて、相分離構造を観察した。
まず、オレフィンコポリマーブレンドを以下のようにして製造した。
高エチレン共重合体(高エチレンEPR)の製造方法を以下に記載する。容量2リットルの攪拌翼付きオートクレーブ(SUS製)を窒素置換し、23℃でヘプタン900mlを投入した。このオートクレーブを冷却しながら、攪拌翼を回転させつつ、プロピレン5Nl、水素90mlを導入した。続いてこのオートクレーブを70℃まで加熱した後、エチレンを導入して全圧が6KGとなるように加圧した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlのヘキサン溶液1.0mlを窒素を使って圧入した。続いて、あらかじめ別に調整しておいたトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.016mM、〔ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリドを0.0004mMの量で含むトルエン溶液3mlを窒素を用いてオートクレーブに圧入して重合を開始した。その後、オートクレーブの内温を70℃になるように温度調整しながら、かつ圧力を6kgに保つようにエチレンの供給をおこないながら5分間重合をおこなった。5分間の重合後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入することで重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。続いて反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注ぎ、重合体を沈殿させた。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥し、32gのエチレン−プロピレン共重合体を得た。得られたエチレンプロピレンの共重合体のエチレン含有率は、69wt%であった。
次に低エチレン共重合体の製造方法を以下に記載する。容量2リットルの攪拌翼付きオートクレーブ(SUS製)を窒素置換し、23℃でヘプタン900mlを投入した。このオートクレーブを冷却しながら、攪拌翼を回転させつつ、プロピレン13Nl、水素100mlを導入した。続いてこのオートクレーブを70℃まで加熱した後、エチレンを導入して全圧が6KGとなるように加圧した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlのヘキサン溶液1.0mlを窒素を使って圧入した。続いて、あらかじめ別に調整しておいたトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.02mM、〔ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリドを0.0005mMの量で含むトルエン溶液3mlを窒素を用いてオートクレーブに圧入して重合を開始した。その後、オートクレーブの内温を70℃になるように温度調整しながら、かつ圧力を6kgに保つようにエチレンの供給をおこないながら5分間重合をおこなった。5分間の重合後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入することで重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。続いて反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注ぎ、重合体を沈殿させた。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥し、31gのエチレンプロピレン共重合体を得た。得られたエチレンプロピレンの共重合体のエチレン含有率は、47wt%であった。
このようにして製造した高エチレン共重合体と低エチレン共重合体の重量比で50:50の混合物を、ラボプラストミルで190℃で溶融混煉により調整した。
この混合物を高エチレンEPR:低エチレンEPR=0.5wt:0.5wtのブレンドのオレフィンコポリマーとして用いた。
次に、このブレンドのオレフィンコポリマーをトルエンに溶解させ、ポリマー濃度1.0g/Lの溶液を作製した。
その後、この溶液を120℃で加熱したものをグラファイト基板(高配向性焼結グラファイト基板、Veeco社より購入したZYHグレードのHOPG)上に塗布した。塗布方法は、スピンキャストであり、基板の回転数は5000rpmとし、180秒間スピンキャストを行った。
その後、グラファイト基板を150℃、60分熱処理し、グラファイト基板上の液膜を乾燥させて、オレフィンコポリマーの膜を形成した。
乾燥終了後、室温まで直ちに冷却した。
次に、グラファイト基板上の膜をAFMにより観察した。
ここでは、高さ像(凹凸像)と位相像とを観察した。
AFMとしては、Veeco社製NanoScope IIIa マルチモードAFMを使用した。観察モードは、タッピングモードとし、探針としては、単結晶Si探針NCHV-10Vを使用した。
結果を図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示す。図3(A)は、図2(A)の拡大図であり、図3(B)は、図2(B)の拡大図である。
図2(A)は、高さ像であり、明るい領域(白い部分)がグラファイト基板からの高さが高い部分である。この明るい領域は、非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域に該当する。また、図2(A)において、暗い領域(黒い部分)は、グラファイト基板からの高さが低い部分であり、結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域である。
図2(B)は位相像であり、明るい領域(白い部分)が硬い領域であり、図2(B)の暗い領域(黒い部分)は、柔らかい領域である。明るい領域は、結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域である。暗い領域は、非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域に該当する。
図2、図3に基づいて、結晶性領域(非晶性領域)間の距離や、その大きさを計測することで、オレフィンコポリマーのブレンド比がわかる。
図4に示すように、結晶性領域、非晶性領域の面積比を算出することで、高エチレンEPRと、低エチレンEPRとの組成比を算出することができる。ここでは、結晶性領域の面積が49.8%と算出され、高エチレンEPR:低エチレンEPR=0.5wt:0.5wtとほぼ一致していることがわかる。
本実施例では、結晶性領域(非晶性領域)間の距離や、その大きさが大きく、ブレンドであることがわかる。本実施例の方法にしたがうと、合成したコポリマーがブロック教重合体であるのか、ブレンド状態にあるものかを判断することができる。
(実施例2)
はじめに、ポリエチレンと、エチレン−オクテンゴムとのブロック共重合体を用意した。
まず、1Lの連続溶液重合装置を使用して、国際公開公報WO 2005/090427実施例5-19に記載の方法に倣い、触媒[N-(2,6-ジイソプロピルフェニル)アミド(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウム ジメチルおよび触媒 ビス(2,4-ジ(t-ブチル)-6-((2-メチルシクロヘキシルイミノ)メチル)フェノキシ)ジルコニウム ジメチルをジエチル亜鉛存在下に用い、重合温度120℃、エチレン/1-オクテン共重合体の平均滞留時間20分とすることで、45分間で91.9グラムのブロックポリマー(ポリエチレンと、エチレン−オクテンゴムとの共重合体)を得た。重合条件から計算されるハードセグメントとソフトセグメントとの比は、3:7であった。
次に、このポリエチレンと、エチレン−オクテンゴムとのブロック共重合体の超希薄溶液を作製した。
具体的には、ブロック共重合体のポリマーをトルエンに70℃で溶解した。その後、0.01g/lとなるように、溶液を調整した。
次に、この超希薄溶液をグラファイト基板上に塗布し、液膜を形成した。グラファイト基板としては、Veeco社より購入したZYHグレードのHOPG(高配向性焼結グラファイト基板)を使用した。
塗布方法はスピンキャスト法を使用した(回転数5000rpm)。この超希薄溶液を120℃に加熱したものをグラファイト基板上に塗布しスピンキャストをおこなった。
スピンキャストで形成したグラファイト基板上の液膜を3時間保持し、その後、130℃、60分で液膜を乾燥させた。
次に、AFMにより、グラファイト基板上のブロック共重合体の高さ像、位相像を観察した。
AFMとしては、Veeco社製NanoScope IIIa マルチモードAFMを使用した。観察モードは、タッピングモードとし、探針としては、単結晶Si探針NCHV-10Vを使用した。
図6(B)の位相像の明るい領域は、分子鎖1本の存在を示しているため、オレフィンコポリマーの分子鎖1本の輪郭を検出することができる。位相像は、分子鎖のある部分と、分子鎖のない部分とで明瞭なコントラストを形成するため、分子鎖1本の輪郭がわかるのである。
一方、図6(A)の高さ像の黒い点は、結晶性セグメントを示している。図7は、図6(A)、(B)に基づいて、高さ像に分子鎖1本の輪郭線を挿入した図である。
位相像から把握される鎖の輪郭に基づいて、分子鎖1本中の結晶性セグメントの個数を検出すれば、ブロック数を把握することができる。
ここでは、多くの分子鎖において、分子鎖1本あたり、6個のポリエチレンの結晶が確認できた。
以上より、ブロック数は、12であることがわかる。
なお、このAFMによる測定方法が正しいことは、ブロック数があらかじめわかっているブロック共重合体のブロック数を測定した結果から確認されている。
(比較例1)
エチレン成分を多く含む(エチレン成分77モル%)高エチレンEPRについて、AFMにより高さ像、位相像を観察した。
まず、高エチレンEPRを以下のようにして製造した。
高エチレン共重合体の製造方法を以下に記載する。容量2リットルの攪拌翼付きオートクレーブ(SUS製)を窒素置換し、23℃でヘプタン900mlを投入した。このオートクレーブを冷却しながら、攪拌翼を回転させつつ、プロピレン5Nl、水素90mlを導入した。続いてこのオートクレーブを70℃まで加熱した後、エチレンを導入して全圧が6KGとなるように加圧した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlのヘキサン溶液1.0mlを窒素を使って圧入した。続いて、あらかじめ別に調整しておいたトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.016mM、〔ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリドを0.0004mMの量で含むトルエン溶液3mlを窒素を用いてオートクレーブに圧入して重合を開始した。その後、オートクレーブの内温を70℃になるように温度調整しながら、かつ圧力を6kgに保つようにエチレンの供給をおこないながら5分間重合をおこなった。5分間の重合後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入することで重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。続いて反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注ぎ、重合体を沈殿させた。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥し、32gのエチレン−プロピレン共重合体を得た。得られたエチレンプロピレンの共重合体のエチレン含有率は、69wt%であった。
次に、この高エチレンEPRをトルエンに溶解させ、ポリマー濃度1.0g/Lの溶液を作製した。
その後、この溶液をグラファイト基板(高配向性焼結グラファイト基板、Veeco社より購入したZYHグレードのHOPG)上に塗布した。塗布方法は、スピンキャストであり、基板の回転数は5000rpmとし、180秒間行った。
その後、グラファイト基板を150℃、60分熱処理し、グラファイト基板上の液膜を乾燥させて、高エチレンEPRの膜を形成した。
熱処理終了後、室温まで直ちに冷却した。
次に、グラファイト基板上の膜をAFMにより観察した。
ここでは、高さ像(凹凸像)と位相像とを観察した。
AFMとしては、Veeco社製NanoScope IIIa マルチモードAFMを使用した。観察モードは、タッピングモードとし、探針としては、単結晶Si探針NCHV-10Vを使用した。
結果を図9(A)、(B)に示す。図9(A)は、高さ像であり、図9(B)は位相像である。
図9から、高エチレンEPRは、全面にラメラ構造が見られるのみで相分離構造は見られないことがわかる。
(比較例2)
エチレン成分が少ない(エチレン成分57モル%)低エチレンEPRについて、AFMにより高さ像、位相像を観察した。
まず、低エチレンEPRを以下のようにして製造した。
次に低エチレン共重合体の製造方法を以下に記載する。容量2リットルの攪拌翼付きオートクレーブ(SUS製)を窒素置換し、23℃でヘプタン900mlを投入した。このオートクレーブを冷却しながら、攪拌翼を回転させつつ、プロピレン13Nl、水素100mlを導入した。続いてこのオートクレーブを70℃まで加熱した後、エチレンを導入して全圧が6KGとなるように加圧した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlのヘキサン溶液1.0mlを窒素を使って圧入した。続いて、あらかじめ別に調整しておいたトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをB換算で0.02mM、〔ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリドを0.0005mMの量で含むトルエン溶液3mlを窒素を用いてオートクレーブに圧入して重合を開始した。その後、オートクレーブの内温を70℃になるように温度調整しながら、かつ圧力を6kgに保つようにエチレンの供給をおこないながら5分間重合をおこなった。5分間の重合後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入することで重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。続いて反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注ぎ、重合体を沈殿させた。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥し、31gのエチレンプロピレン共重合体を得た。得られたエチレンプロピレンの共重合体のエチレン含有率は、47wt%であった。
次に、この低エチレンEPRをトルエンに溶解させ、ポリマー濃度1.0g/Lの溶液を作製した。
その後、この溶液をグラファイト基板(高配向性焼結グラファイト基板、Veeco社より購入したZYHグレードのHOPG)上に塗布した。塗布方法は、スピンキャストであり、基板の回転数は5000rpmとし、180秒間行った。
その後、グラファイト基板を150℃、60分熱処理し、グラファイト基板上の液膜を乾燥させて、低エチレンEPRの膜を形成した。
熱処理終了後、室温まで直ちに冷却した。
次に、グラファイト基板上の膜をAFMにより観察した。
ここでは、高さ像(凹凸像)と位相像とを観察した。
AFMとしては、Veeco社製NanoScope IIIa マルチモードAFMを使用した。観察モードは、タッピングモードとし、探針としては、単結晶Si探針NCHV-10Vを使用した。
結果を図10(A)、(B)に示す。図10(A)は、高さ像であり、図10(B)は位相像である。
図10から、低エチレンEPRは、非晶性領域のみからなることがわかる。
(比較例3)
実施例1と同様のオレフィンコポリマーを使用し、基板をグラファイト基板ではなく、マイカ基板(日新EM社より購入した雲母板)とした。他の点は、実施例1と同様である。
図11(A)にAFMによる高さ像、図11(B)にAFMによる位相像を示す。
図11からは、相分離構造を確認することができなかった。
図12(A)に示すように、実施例1では、グラファイト基板と、オレフィンコポリマーとの相互作用により、結晶性セグメントがグラファイト基板に対し配向吸着し、相分離構造を形成する。
これに対し、比較例3では、基板として親水的な表面を有するマイカ基板を使用しているため、図12(B)に示すように、オレフィンコポリマーが配向吸着せず、相分離構造を形成することができなかったと考えられる。
なお、図12中、高C2−EPRは、エチレン成分を多く含むEPRであり、低C2−EPRは、エチレン成分が少ないEPRである。
1…グラファイト基板
2…オレフィコポリマーの分子鎖


Claims (7)

  1. 結晶性セグメントと、非晶性セグメントとを有するオレフィンコポリマーを溶媒に溶解させて溶液を得る工程と、
    前記溶液をグラファイト基板上に塗布し、乾燥させて、前記結晶性セグメントと、前記非晶性セグメントとを分離させる工程と、
    原子間力顕微鏡により、前記グラファイト基板上の前記オレフィンコポリマーの観察像を得る工程と、
    得られた前記観察像に基づいて、前記オレフィンコポリマーの構造解析を行う工程とを含み、
    構造解析を行う前記工程では、
    前記観察像から、複数の前記結晶性セグメントが集まってなる結晶性領域と、複数の前記非晶性セグメントが集まってなる非晶性領域とが分離した相分離構造の前記結晶性領域または非晶性領域の存在状態に関する情報を得、あるいは、前記観察像から、前記オレフィンコポリマーのブロック数を得るオレフィンコポリマーの解析方法。
  2. 請求項1に記載のオレフィンコポリマーの解析方法において、
    前記オレフィンコポリマーは、ブロック共重合体であり、
    前記観察像として、分子鎖1本の観察像を取得し、
    構造解析を行う前記工程では、
    前記グラファイト基板上の分子鎖1本の観察像から、分子鎖1本中の前記結晶性セグメントの個数あるいは前記非晶性セグメントの個数を検出して、前記ブロック数を得るオレフィンコポリマーの解析方法。
  3. 請求項1に記載のオレフィンコポリマーの解析方法において、
    構造解析を行う前記工程では、
    前記結晶性領域あるいは非晶性領域の存在状態に関する情報として、前記相分離構造における結晶性領域と、非晶性領域との面積比を算出することにより、前記結晶性セグメントと、前記非晶性セグメントとの組成比を得るオレフィンコポリマーの解析方法。
  4. 請求項2に記載のオレフィンコポリマーの解析方法において、
    前記溶液を基板上に塗布し、乾燥させて、前記結晶性セグメントと、前記非晶性セグメントとを分離させる前記工程では、
    前記基板上に前記溶液を塗布することにより、液膜を形成し、この液膜を所定時間維持した状態で、放置し、その後、乾燥手段を用いて乾燥するオレフィンコポリマーの解析方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のオレフィンコポリマーの解析方法において、
    前記オレフィンコポリマーは、前記結晶性セグメントとして、ポリエチレンを含有するオレフィンコポリマーの解析方法。
  6. オレフィンコポリマーの評価を行う評価方法であって、
    前記オレフィンコポリマーを解析する工程と、
    解析結果から、前記オレフィンコポリマーを評価する工程とを含み、
    前記オレフィンコポリマーを解析する前記工程は、請求項1乃至5のいずれかに記載のオレフィンコポリマーの解析方法を使用して解析を行うオレフィンコポリマーの評価方法。
  7. オレフィンコポリマーの製造方法であって、
    オレフィンコポリマーを製造する工程と、
    製造されたオレフィンコポリマーの評価を行う工程とを含み、
    評価を行う前記工程は、請求項6に記載の評価方法を実施するオレフィンコポリマーの製造方法。
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