JP5120942B2 - 反応速度差を利用する燃料油の酸化脱硫方法及びそのための装置 - Google Patents

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本願発明は、燃料油中の硫黄化合物を酸素又はオゾンと反応させて酸化した後、吸着剤によって反応生成物を燃料油から除去する脱硫方法に関するものである。
燃料中の硫黄は、SOxなどとして放出され環境や健康に重大な影響を及ぼすことから、含有量の規制が強化されており、硫黄分が10μgS/g以下のガソリンや軽油が既に販売されている。硫黄分の低減化はこれに留まらず、最近では、燃料電池用水素製造触媒の長寿命化を図るため、燃料中の硫黄分を0.1μgS/g以下に脱硫することが求められている。
脱硫方法として最も広く実用化されているのは水素化脱硫であるが(非特許文献1、2)、高温、高圧、高価な触媒、水素を必要とすることが問題であり、これを改善するため他の脱硫方法が研究されている。主な方法としては、酸化脱硫、吸着、アルキル化による高沸点化(特許文献1)、抽出などがある(非特許文献3、4)。
このうち酸化脱硫は、常温、常圧で反応が進むこと、水素化脱硫で除去が困難な4位又は6位にメチル基のついたアルキルジベンゾチオフェン類の除去が比較的容易なことから注目されている。酸化脱硫の方法としては、化学試薬を用いる方法、光反応を利用する方法、微生物を利用する方法が研究されている。一般に、酸化脱硫では、化学試薬や光反応を利用して硫黄化合物を酸化した後、水或いは極性有機溶媒へ抽出するか、活性炭やモレキュラーシーブなどの吸着剤に吸着させて除去することが行われている。また、酸化脱硫を水素化脱硫と競合する技術ではなく相補的な技術として捉え、水素化脱硫で一定程度精製したものを更に酸化脱硫で超深度脱硫を行う方法も考えられていれる。
化学試薬を用いる方法には、オゾンを用いる方法(特許文献2、3)、過酸化物(特許文献4)や過酸化水素(特許文献5)を用いる方法があるが、過酸化物や過酸化水素を用いる方法では安全面と反応後の分離除去に要するコストの面で問題がある。
微生物を利用する方法は省エネの観点から望ましいが、脱硫の程度が低く、現時点で超深度脱硫を行うことは技術的に困難である。
一方、光反応を利用する方法は、空気中の酸素を用いて硫黄化合物を酸化できるため、有望な方法と期待される。これまで、軽油やガソリンの脱硫方法として高圧水銀ランプから発せられる280nmより長波長の光を利用した酸化とその後の溶媒抽出を併用する方法(非特許文献5)が報告されている。また、400nmより長波長の光によって励起される光増感剤を利用した光酸化とその後の溶媒抽出を併用する方法も報告されている(特許文献6、7、非特許文献6、7、8)。さらに300nm〜400nmの光を利用して酸化剤を燃料油中で発生させて酸化する方法(非特許文献9)やTiOなどの光触媒に290nmより長波長の光を照射して光酸化する方法(非特許文献10、11)が報告されている。
しかし、光酸化は燃料油中に含まれる芳香族炭化水素によってクエンチングされることが多く、ヘキサンやテトラデカンのような飽和炭化水素溶媒中では成功しても、実際の燃料油中では効率が低下するのが一般的であった。この欠点を解決する方法としては、光酸化と抽出の順番を逆転して、硫黄化合物を極性溶媒に抽出した後、光酸化を行う方法も提案されている(非特許文献7、12)。しかしながら、これまで知られている光酸化脱硫方法ではほとんどの場合、高圧水銀ランプやXe−Hgランプから発せられる280nmより長波長の光を利用しているため酸化反応の効率が低く、高出力のランプを必要とし、エネルギーコストが高くついていた。さらに、これまでの光酸化方法では、難反応性の硫黄化合物であるベンゾチオフェンやジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルベンゾチオフェンやアルキルジベンゾチオフェンをスルフォキシドやスルフォンにまで酸化することが行われてきたため、多大なエネルギーを必要とした(特許文献6、7、非特許文献5〜12)。なお、光化学の基礎研究において、脂肪族のジスルフィドやスルフィド、チオール化合物の光解裂や光酸化メカニズムの解明が行われており、これらの基礎研究においては280nmより短波長の光が用いられているが(非特許文献13、14)、脱硫への応用は想定されていない。また、TiO光触媒を用いる脱硫方法の対照実験として、低圧水銀ランプの254nmの光を用いる光酸化法が報告されているが(非特許文献11)、テトラデカン中のジベンゾチオフェンをスルフォンに酸化するための検討が行われているだけで、他の硫黄化合物や、実際の燃料油に対して検討されたものではない。また、特許文献8では、軽質油中のスルフィドやチオール化合物を365nm(高圧水銀ランプ)や254nm(低圧水銀ランプ)の光を照射して酸化する方法が記述されているが、反応速度差に関する考察はまったくなされていない。また、実施例としても365nmの例が示されているだけで、本特許で有用性が示された254nmを用いる例は示されていない。
一方、吸着脱硫に関しても多数の研究がなされている(非特許文献15)。
一般に、吸着は吸着メカニズムに応じて2つに分類される。すなわち、物理吸着と化学反応を伴う吸着である。物理吸着は、吸着剤の表面に硫黄化合物が物理的に吸着するもので、ゼオライトやゼオライトの金属イオンを他の金属で置換したゼオライト(非特許文献16、17)、活性炭に金属イオンを担持させたもの(非特許文献18)、シリカゲル(非特許文献19)、モレキュラーシーブ13X(非特許文献19)、活性アルミナ(非特許文献20)、活性炭や活性炭素繊維(非特許文献21)などが使用されている。化学反応を伴う吸着脱硫としては、IRVAD、S−Zorbプロセスが知られているが、反応温度として各々240℃(IRVAD)や340〜410℃(S−Zorb)が報告されており、エネルギー効率的には常温での物理吸着が望ましい。これらの方法では、通常、燃料油に含まれる硫黄化合物を酸化することなく、直接、吸着して除去することが行われているが、酸化脱硫後の硫黄酸化物を吸着分離する方法としても、ベンゾチオフェン−1,1−ジオキシドをシリカゲル又は活性炭埋蔵シリカゲル、もしくはモレキュラーシーブで吸着除去する試みがなされている(非特許文献19)。
特表2001−508829号公報 特開昭62−290793号公報 特開2005−15533号公報 特開平11−140462号公報 特開2001−107059号公報 特開2000−96068号公報 特開2001−151748号公報 特開昭50−33202号公報 S. Brunet, D. Mey, G. Perot, C. Bouchy, F. Diehl: Appl. Catal. A: Gen. 278, 143-172 (2005). I. Mochida, K-H. Choi: J. Jpn. Petrol. Inst., 47, 145-163 (2004). I. V. Babich, J. A. Moulijn: Fuel, 82, 607-631 (2003). E. Ito, J. A. Rob van Veen: Catal. Today, 116, 446-460 (2006). T. Hirai, K. Ogawa, I. Komasawa, Ind. Eng. Chem. Res., 35, 586-589 (1996). T. Hirai, Y. Shiraishi, K. Ogawa, I. Komasawa, Ind. Eng. Chem. Res., 36, 530-533 (1997). Y. Shiraishi, Y. Taki, T. Hirai, I. Komasawa, Ind. Eng. Chem. Res., 38, 4538-4544 (1999). K. Yazu, Y. Yamamoto, T. Furuya, K. Miki, K. Ukegawa, Energy Fuels, 15, 1535-1536 (2001). A. Paybarah, R. L. Bone, W. H. Corcoran, Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev., 21, 426-431 (1982). S. Matsuzawa, J. Tanaka, S. Sato, T. Ibusuki, J. Photochem. Photobiol. A, 149, 183-189 (2003). J. Robertson, T. J. Bandosz, J. Colloid Interface Sci., 299, 125-135 (2006). Y. Shiraishi, T. Hirai, I. Komasawa, Ind. Eng. Chem. Res., 37, 203-211 (1998). E. Robert-Banchereau, S. Lacombe, J. Ollivier, Tetrahedron, 53, 2087-2102 (1997). C. W. Bookwalter, D. L. Zoller, P. L. Ross, M. V. Johnston, J. Am. Soc. Mass Spectrom., 6, 872-876 (1995). C. Song: Catal. Today, 86, 211-263 (2003). R. T. Yang, A. J. Hernandez-Maldonado, F. H. Yang, Science, 301, 79-81 (2003). S. Velu, X. Ma, C. Song, Ind. Eng. Chem. Res., 42, 5293-5304 (2003). Y. Wang, R. T. Yang, Langmuir, 23, 3825-3831 (2007). S. Sato, K. Yazu, A. Matsumura, J. Jpn. Petrol. Inst., 49, 210-213 (2006). O. Etemadi, T. F. Yen, Energy Fuels, 21,1622-1627 (2007). Y. Sano, K-H. Choi, Y. Korai, I. Mochida, Appl. Catal. B, 49, 219-225 (2004).
本発明は、空気中の酸素を酸化剤として使用するという光酸化脱硫又はオゾン酸化脱硫の利点を生かしつつ、光酸化又はオゾン生成に必要な電力エネルギーを大幅に節減することが可能な、省エネルギー型酸化脱硫方法を提供しようとするものである。
本発明は、燃料電池用燃料の有力な候補として考えられている灯油中に存在する硫黄化合物のうち、特定の硫黄化合物が、従来用いられてきたランプに比べ極めて低出力のランプから発せられる、280nmより短波長の光によって、空気中の酸素と容易に反応するという発見を契機としている。
これまでの光酸化脱硫方法では、非特許文献11及び特許文献8に記述された方法を除いて、高圧水銀ランプやXe−Hgランプから発せられる280nmより長波長の光を利用していたため酸化反応の効率が低く、高出力のランプを必要とし、エネルギーコストが高くついていた。さらに重要なことは、これまでの光酸化脱硫方法ではいずれの場合も、難反応性硫黄化合物であるチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンなどを、スルフォキシドやスルフォン、或いは硫酸イオンにまで、強力に酸化することを行っていたため、多大なエネルギーを必要とした。
一方、本発明では、1)燃料中の硫黄化合物には上記の難反応性硫黄化合物の他に易反応性硫黄化合物が存在し、且つ、易反応性硫黄化合物の光酸化反応速度は、難反応性硫黄化合物に比べて少なくとも10倍以上、多くの場合100倍以上速いこと、2)易反応性硫黄化合物の光酸化反応生成物は反応前の硫黄化合物に比べて吸着剤に吸着されやすくなること、3)難反応性硫黄化合物は反応しなくても、公知の吸着剤によって比較的吸着されやすいこと、従って、4)易反応性硫黄化合物のみが酸化される穏やかな反応条件下又は短い反応時間内に光酸化反応を終了し、当該反応生成物と難反応性硫黄化合物を各々吸着除去すれば、光照射に必要な電力エネルギーを大幅に低減できることを見出した。
このうち、特に1)に関しては、水素化脱硫のように強力な反応を行った後では、燃料油中に存在する硫黄化合物は、大部分上記の難反応性硫黄化合物であるというのがこれまでの認識であった。また、仮に上記の難反応性硫黄化合物に比べて反応性の高い硫黄化合物が存在するのではと推測することがあったとしても、その反応速度が、上記の難反応性硫黄化合物に比べて10倍以上、多くの場合100倍以上速いということは想定外のことであり、これまで明らかにされていなかった。ましてや、この知見に基づいて4)に記す「エネルギー効率に優れた脱硫方法」は思いもつかないことであった。
2)に関しては、チオフェン類の酸化物は極性が大きくなり吸着剤に吸着されやすくなることは既知であり、従って、もし易反応性硫黄化合物が存在すればその酸化生成物が吸着剤に吸着されやすくなるという類推は可能である。しかし、実際には本発明を考案する過程で易反応性硫黄化合物の存在が初めて明らかにされたのであり、それ以前に上記の類推を基に4)に記す「エネルギー効率に優れた脱硫方法」を考案することは考えられないことであった。
このようにして考案された本発明は、これまで報告されてきた光酸化脱硫法と比べて、大幅な省エネルギーが可能である。例えば、非特許文献5では軽油100ml中のジベンゾチオフェンを硫酸イオンに酸化するのに、出力300Wの高圧水銀ランプの光を30時間照射しているが、その効率が22%しかないこと、また、非特許文献7ではガソリン3ml中のチオフェン、ベンゾチオフェンをスルフォキシドやスルフォン、又は硫酸イオンに酸化するのに、出力300Wの高圧水銀ランプの光を24時間照射しているが、その効率が70%しかないことが報告されている。その他、非特許文献11では、254nmの光を用いているが、テトラデカン15ml中のジベンゾチオフェンをスルフォンに酸化するのに、出力8Wの低圧水銀ランプの光を8時間照射しても、その効率が73%しかないことが報告されている。
一方、本発明では灯油10g中の易反応性硫黄化合物を吸着可能な形に酸化するのに、出力5Wの低圧水銀ランプの光を0.5時間照射するだけで、その効率が100%に達することを見出した。また、この穏やかな反応条件下又は短い反応時間内に光反応を終えることは、燃料油の有用成分である炭化水素の酸化や光分解を殆ど引き起こさないとう利点をもたらすことも見出した。さらに、この光酸化反応の比較実験として各種酸化剤による反応速度を検討したところ、オゾンによる酸化も、光酸化反応より速度は劣るが、同様に有用なことを見出した。なお、オゾン酸化に関しては、特許文献3において、「過剰量のオゾンを供給すると炭化水素までが酸化され、過酸化物の生成量が多くなるため、硫黄化合物の量に対して、重量比で150倍を超えないように制御すること」が記述されているが、硫黄化合物間の反応速度差に関する考察及び反応速度差に基づく脱硫方法の考案はなされておらず、本特許とは概念がまったく異なっている。
すなわち、本発明は、以上の知見を得て完成することができたものであり、具体的には以下のとおりのものである。
[1] 燃料油から硫黄化合物を除去する脱硫方法であって、
分子状酸素の存在下、280nmより短波長の光を燃料油に一定時間照射して光酸化反応を起こさせた後の燃料油中の各硫黄化合物の濃度の減少率を光酸化反応速度として、
燃料油中に存在する難反応性硫黄化合物である、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンのいずれかに比べて10倍以上の光酸化反応速度をもつ易反応性硫黄化合物がほぼ100%反応する時間、前記光を照射することによって、該易反応性硫黄化合物を酸素と反応させ、その後、該反応により生成した反応生成物と、燃料油中に残存する前記易反応性硫黄化合物以外の硫黄化合物を、吸着剤に吸着させることを特徴とする脱硫方法。
]前記易反応性硫黄化合物が、前記難反応性化合物に比べて100倍以上の酸化反応速度をもつことを特徴とする[1]脱硫方法。
]前記280nmより短波長の光の光源として、低圧水銀ランプを用いることを特徴とする[1]又は[2]の脱硫方法。
]前記吸着剤が、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、フロリジル、活性炭、活性炭素繊維、及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1つである[1]〜[]のいずれかの脱硫方法。
]前記燃料油が、天然ガス液体、ナフサ、ガソリン、LPG、灯油、軽油、ジェット燃料、重油、シェールオイル、オイルサンド油、石炭液化油、GTL、廃プラスチック油、バイオフューエル、及びこれらを脱硫して得られた精製物から選ばれる少なくとも1つである[1]〜[]のいずれかの脱硫方法。
]光反応管内蔵型光反応器と、該光反応管内蔵型光反応器の後段に設置された、吸着剤を保持したカラムからなる吸着除去器とを有する[1]〜[5]のいずれかの脱硫方法に用いる脱硫装置であって、前記光反応管内蔵型光反応器が、280nmより短波長の光を照射するランプと、該ランプ内を貫通するように設置され、前記燃料油を導入且つ排出できる光反応管とからなり、該光反応管内の燃料油に前記ランプの光を照射可能にしたものであるとともに、前記光反応管内に酸素透過性の交換用光反応管を挿脱可能に装着し、上記光反応管と上記交換用光反応管の間に酸素又は酸素を含む混合ガスを、送風機により、或いは前記ランプの熱による対流を利用して、流通させるようにしたものであることを特徴とする脱硫装置。
]前記ランプの外側の表面に反射材を施したことを特徴とする[]の脱硫装置。
]二重管型光反応器と、該二重管型光反応器の後段に設置された、吸着剤を保持したカラムからなる吸着除去器とを有する[1]〜[5]のいずれかの脱硫方法に用いる脱硫装置であって、該二重管型反応器が、燃料油を導入且つ排出できる二重管型光反応管と、該二重管型光反応管中心部を貫通するように設置された280nmより短波長の光を照射するランプとからなり、前記二重管型光反応管内の燃料油に前記ランプの光を照射可能とするようにしたものであるとともに、前記二重管型光反応管内に酸素透過性の管を挿脱可能に装着し、該酸素透過性の管を介して、酸素又は酸素を含む混合ガスを、送風機により、又は該ランプの熱による対流を利用して、流通させるようにしたものであることを特徴とする脱硫装置。
]前記二重管型光反応管の外側の管の外表面又は内表面に反射材を施したことを特徴とする[]の脱硫装置。
本発明の脱硫方法及びその装置は、燃料油の超深度脱硫を可能とするものであり、以下のような効果が得られる。
(1)従来の光酸化(又はオゾン酸化)脱硫方法では、燃料油中に存在する硫黄化合物のうち、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンなどの難反応性硫黄化合物をスルフォキシドやスルフォン或いは硫酸イオンにまで酸化することが行われてきたため、多大な電気エネルギーを必要としたが、本発明では、上記の難反応性硫黄化合物が殆ど反応しない穏やかな反応条件下又は短い反応時間内に、易反応性硫黄化合物を酸素(又はオゾン)と反応させた後、当該反応生成物と難反応性硫黄化合物を吸着剤によって燃料油から除去するため、光照射(又はオゾン生成)に必要な電力エネルギーを大幅に低下できる。
(2)280nmより短波長の光によって酸化反応が効率的に進むため、ランプ出力が低くてもよい。このため、電力エネルギー大幅に低下できる。また、反応時間も短くてよい。
(3)空気中の酸素を酸化剤として利用できるため、危険・有害な試薬はまったく必要としない。
(4)光酸化(又はオゾン酸化)反応及び吸着除去とも、常温、常圧で進行させることができるため、脱硫装置の維持管理が容易であり、装置部材の消耗が少ない。低圧水銀ランプの寿命は16000時間を越えており、交換頻度が少なくてすむ。
(5)吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、活性アルミナなどの市販汎用品を使用できるため、実用性が高い。
(6)従来の光酸化脱硫法は、芳香族炭化水素によるクエンチング現象のため、ヘキサンやテトラデカンのような飽和炭化水素溶媒では有効であっても、実際の燃料油中では効率が低下するのが一般的であったが、本発明は、芳香族炭化水素を多量に含む実際の燃料油に対しても有効である。
(7)光酸化(又はオゾン酸化)反応器及び吸着除去器とも小型化、カートリッジ化することが可能であり、オンサイト型、車載型として使用することができる。
(8)穏やかな反応条件下又は短い反応時間内に光反応を終了するため、燃料油の有用成分である炭化水素の酸化を殆ど引き起こさない。
(9)水素化脱硫の後処理工程に組み込むことにより、水素化脱硫の余熱を利用して、高速で光酸化(又はオゾン酸化)反応及び吸着除去を行うことができる。また、水素化脱硫の還元条件と、本発明の光酸化(又はオゾン酸化)条件を併用することによって、広範な種類の硫黄化合物を効率的に脱硫できる。
(10)燃料電池システムにおける水蒸気改質装置の前段に使用するための脱硫装置を提供できる。
本発明の脱硫方法は、分子状酸素存在下、燃料油に280nmより短波長の光を照射しながら、この中に存在する硫黄化合物のうち、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンなどの難反応性硫黄化合物が殆ど反応しない穏やかな反応条件下又は短い反応時間内に、易反応性硫黄化合物を酸素と反応させた後、当該反応生成物と難反応性硫黄化合物を吸着剤によって燃料油から除去することを特徴とする。
以下、本発明の脱硫方法の各構成要素について説明する。
本発明において「燃料油」とは、天然ガス液体、ナフサ、ガソリン、LPG、灯油、軽油、ジェット燃料、重油、シェールオイル、オイルサンド油、石炭液化油、GTL、廃プラスチック油、バイオフューエル、及び、これらを既存の脱硫方法、例えば水素化脱硫などによって精製したもの、及びその混合物を指す。
本発明における「難反応性硫黄化合物」とは、主に、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンを指すが、これらに限定するものではなく、本発明で記載する光酸化又はオゾン酸化反応条件において、例えば、ベンゼン環を3個以上含むベンゾチオフェン類、又はそれがアルキル化されたベンゼン環を3個以上含むアルキルベンゾチオフェン類のように、上記の化合物と同程度もしくはそれ以下の反応速度しか示さないものをいう。これらのうちには上記の化合物が自然環境下又は精製過程で窒素、酸素、水素等と反応してこれらの元素を分子内に含有したものも含まれる。
一方、本発明における「易反応性硫黄化合物」とは、チオール類、スルフィド類、ジスルフィド類の他、本発明で記載する光酸化(又はオゾン酸化)反応条件における反応速度が、上記の難反応性硫黄化合物に比べて10倍以上、好ましくは100倍以上大きいものをいう。なお、「難反応性硫黄化合物」と「易反応性硫黄化合物」の反応速度は、この後に記載する実施例1〜3に示す実験から簡便に求めることができる。
本発明の脱硫方法の反応器としては、バッチ式の反応器(図1)、流通式(カラム式)反応器(図15、16)があげられるが、これらに限定されるものではなく、公知のものであれば特段の制限なく用いることができる。これらの反応器における反応速度は、容器の容積、形状、反応温度、光照射量、酸素供給量等のパラメーターによって決定されるため、本発明でいうところの「難反応性硫黄化合物が殆ど反応しない穏やかな反応条件下又は短い反応時間内」の中の、「反応条件」及び「反応時間」は反応器に応じて異なるが、使用する反応器において、光照射量、酸素供給量、反応温度、反応時間等のパラメーターを低値から高値に増加させながら反応をモニターし、上記の「易反応性硫黄化合物」がほぼ100%反応する条件に設定すると、最も消費エネルギーを少なくすることができる。例えば、容器の容積、形状、反応温度、光照射量、酸素供給量が一定であれば、反応時間を増加させて、「易反応性硫黄化合物」がほぼ100%反応する最短時間に設定すると、一義的に決定することができる。
また、本発明で用いる「280nmより短波長の光を照射」するランプとしては、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプがあるが、これらに限定されるものではなく、公知のものであれば特段の制限なく用いることができる。また、高圧水銀ランプのように主な発光スペクトルは280nmより長波長側に存在するが、280nmより短波長側にも発光スペクトルの一部が存在するものも用いることができる。また、集光した太陽光を直接、又は光ファイバーにて伝送して、太陽光に僅かに含まれる280nmより短波長の光を利用することもできる。
また、本発明で用いる「吸着剤」としては、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、活性アルミナがあげられるが、これらに限定されるものではなく、公知のものであれば特段の制限なく用いることができる。また、使用する吸着剤は1種類に限定するものではなく、複数の吸着剤を用いることができる。例えば、「易反応性硫黄化合物」の反応生成物は極性が大きいものが多いため、特にモレキュラーシーブや活性アルミナなどに吸着力されやすく、一方、「難反応性硫黄化合物」のジベンゾチオフェン、ベンゼン環を3個以上含むジベンゾチオフェン類、及びこれらがアルキル化されたアルキルジベンゾチオフェン、ベンゼン環を3個以上含むアルキルジベンゾチオフェン類などは疎水性が大きいため、特に活性炭などに吸着されやすい。両方の吸着剤を併用することにより、「易反応性硫黄化合物」の反応生成物と「難反応性硫黄化合物」の両方を効率的に除去することが可能である。なお、モレキュラーシーブは「易反応性硫黄化合物」の反応生成物に比べれば効率は低いが「難反応性硫黄化合物」を吸着することもでき、一方、活性炭も「難反応性硫黄化合物」に比べれば効率は低いが「易反応性硫黄化合物」の反応生成物を吸着することができるため、吸着剤の量を増やす、又は吸着剤の粒径を小さくすれば、単独でも、「易反応性硫黄化合物」の反応生成物と「難反応性硫黄化合物」の両方を除去することは可能である。
本発明において、複数の吸着剤を用いる場合、その順序は特に限定されるものではなく、適宜その順序を変更することが可能であり、また、同時に、すなわち、混合して用いてもよい。
また、本発明においては、吸着剤を、燃料油に混合した状態で、前述の光照射を行うか、或いは、オゾンと反応させてもよい。
本発明の脱硫方法に用いるのに適した装置は、光反応器と、該光反応器の後段に設置された、吸着剤を保持したカラムからなる吸着除去器とを有するものであって、該反応器としては、光反応管内蔵型光反応器、或いは二重管型光反応器が好ましい。
本発明の脱硫装置における反応管内蔵型光反応器は、ランプとして、波長280nmより短波長の光を照射するランプを用いること、及び、特許第3268447号公報に示された「光反応管内蔵型光反応装置」の交換用光反応管として、光透過性に加えて酸素透過性にも優れた材料からなる管を使用することが必須要件である。この材料としては、多孔質シリカガラス、テフロン(登録商標)AFチューブ(DuPont社:登録商標)などがあげられるが、これに限定されるものではなく、公知のものであれば特段の制限なく用いることができる。
交換用光反応管の内側では光酸化反応により酸素が消費されるため酸素分圧が低下する。従って、交換用光反応管の外側に酸素又は酸素を含む混合ガス(空気など)を流しておけば、外側から内側に向かって、内外の酸素分圧の差に応じて、酸素が供給されることとなる。交換用光反応管の外側に酸素又は酸素を含む混合ガスを流す方法としては、高圧の酸素ボンベから供給する方法、送風機で空気を送る方法がある。また、空気の取り入れ口を下部に、排出口を上部に設けておき、ランプから発せられる熱による空気の対流を利用して空気を流通させる方法もある。この方法はランプのほかに部品が不要であり、省エネルギーの観点からも優れている。
前記ランプの外側の表面に施す反射材としては、アルミニウムなどが上げられるが、これに限定されるものではなく280nmより短波長の光の反射率がよいものであれば用いることができる。施す方法としては、箔で被覆する、鍍金、蒸着等の公知の方法を用いることができる。
本発明の装置における光反応管内蔵型光反応器は、前記ランプから発せられた光が交換用光反応管に集光されるため光の利用効率が高く、且つ、酸化反応に必要な酸素ガスをバブリングすることなく供給できるため、流通式の脱硫装置として、オンサイト脱硫や車載型脱硫装置に適した構造となっている。なお、光反応器の後段に設置される吸着剤カラムは公知のものであれば、特段の制限なく用いることができる。
本発明の脱硫装置における二重管型光反応器は、光反応管が外管と内管の二重構造からなり、燃料油を導入且つ排出できる二重管型光反応管と、該二重管型光反応管中心部を貫通するように設置された280nmより短波長の光を照射するランプと、該二重管型反応管内部に酸素透過性管を有するものである。
該内管の材質としては、石英ガラスがあげられるが、これに限定されず280nmより短波長の光の透過率がよいものであれば用いることができる。また、該外管の材質は石英ガラスのほか、ステンレス鋼、アルミニウムなど光を透過させないものも使用可能である。光を透過させない材料を用いた場合は、280nmより短波長の光の反射率が高い材質であることが望ましい。また、外管に石英ガラスを用いた場合は、外管の外表面又は内表面を箔で被覆する、鍍金、蒸着するなどして、光の反射効率を上げることが反応速度を上げるうえで有効である。
二重管型光反応管内に装着する酸素透過性管としては、多孔質シリカガラス、テフロン(登録商標)AFチューブ(DuPont社:登録商標)などがあげられるが、これに限定されるものではなく、耐油性、耐光性に優れたものであれば、公知のものを特段の制限なく用いることができる。この酸素透過性管を用いる方法は、酸素又は酸素を含む混合ガスをバブリングする方法に比べて、燃料油の管軸方向の乱れが少ないため燃料油がプラグフローとなり、反応器に導入された燃料油の反応器内での滞在時間を一定にするという特徴がある。
また、これらの光反応器においては、燃料油の層の厚さ(光路長)を薄くすることが、光反応効率を上げるうえで重要である。すなわち、燃料油自体が280nmより短波長の光を吸収するため、反射材がない場合は、照射される光量はランプ表面からの距離に応じて指数関数的に減衰する。このため層が厚いとランプ表面から遠くにある液体には僅かしか光が照射されない。従って、燃料油の全領域に渡って十分な光量を確保するためには、層の厚さを薄くすることに配慮すべきである。なお、適切な厚さはランプ出力、光反応管内での滞留時間、易反応性硫黄化合物の反応速度などによって異なる。また、二重管型光反応管の内管又は外管に攪拌板を設置して、管の直径方向の混合をよくすることで、燃料油の全領域で均一な反応速度を得ることが可能となる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、本発明を適用できる燃料油を灯油に限定するものではないが、灯油を中心に説明する。
(実施例1)
低圧水銀ランプを用いる灯油中硫黄化合物の光酸化反応
図1に示すように、パイレックス(登録商標)ガラス製の試験管に10gの灯油を入れ、ここに出力5Wの低圧水銀ランプ(オゾンレスタイプ、ランプ本体のガラスは200nmより短波長の光を透過させない石英を使用)を浸け、酸素ガスを流量5ml/minでバブリングしながら反応させた。反応溶液の温度は約25℃である。一定時間反応させた後、灯油の一部(約0.2ml)を採取し、ガスクロマトグラフ/誘導結合プラズマ質量分析法(以下ではGC/ICP−MS法と略す)で、灯油に含まれる硫黄化合物を定量した。このときのGCの分離条件を表1に示す。また、本分析法では硫黄化合物のほか、炭素化合物も測定し、光酸化反応中に主成分である炭化水素類の変化も観察した。その結果、炭化水素組成には変化がないことが確認された(実施例9を参照)。
本実施例で得られた硫黄のクロマトグラムを図2に示す。ここで、(A)は光酸化前の灯油であり、各ピークは分子構造の異なる硫黄化合物に対応している。aと記されたピークは化学構造は不明であるが、易反応性硫黄化合物の一種である。一方、fと記されたピークは4,6−ジメチルジベンゾチオフェンであり、難反応性硫黄化合物の一種である。(B)は30分間反応後の灯油であり、(A)でaと記された化合物、及びGCの保持時間1200秒〜1800秒(下記の表1に示す条件での保持時間)の間に出現する多数の硫黄化合物(これらも易反応性硫黄化合物の一種)のピークはほぼ消滅し、変わって、b、c及びeと記された反応生成物のピークが出現していることが認められる。このときfと記された4,6−ジメチルジベンゾチオフェンは殆ど反応していないことが分かる。(C)は5時間反応後の灯油であり、(B)でb、c及びeと記された反応生成物がさらに反応して、これらのピークが小さくなる一方、dと記された別の反応生成物へと変化していることが分かる。このときfのピークもわずかではあるが小さくなっており、わずかに反応していることが分かる。なお、本実施例では、酸素ガスをバブリングしたが、酸素ガスの代わりに空気をバブリングしても等しい酸化反応速度が得られた。さらに、酸素又は空気をバブリングすることなく、燃料油を空気にさらした状態で自然に空気中から燃料油に溶け込む酸素の量だけでも、ほぼ等しい反応速度が得られることが確認された。
Figure 0005120942
(実施例2)
低圧水銀ランプから発せられる光の波長の影響、及び酸素の有無の影響の検討
硫黄化合物の光酸化反応に対する、波長の影響を検討するため、2種類の低圧水銀ランプとガラス管、吸収液の組み合わせによって4種類の波長領域の光を発生させた。すなわち、i)ランプが合成石英製で185nm、254nm他、図3(A)及び図3(B)の再上段に示すような、多数の発光線を出すもの(浜松ホトニクス製L937−02)、ii)ランプが200nmより短波長の光を吸収する石英ガラス製で、上記i)の185nm以外の光を発するもの(浜松ホトニクス製L937−04)、iii)約280nmより短波長の光を吸収するパイレックス(登録商標)ガラス製チューブに上記ii)のランプを納めたもの、iv)上記のパイレックス(登録商標)ガラス製チューブに約400nmより短波長の光を吸収する5%NaNO水溶液を入れ、ここに上記ii)のランプを入れたものを使用した。なお、図3(A)は、低圧水銀ランプの主な発光線を示す図であり、図3(B)は、浜松ホトニクスの低圧水銀ランプL937−02及びL937−04の製品カタログより抜粋したものであり、上から順に、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプの主な発光スペクトルを示す図である。
これら4種類の波長領域の光を照射しつつ光酸化を行ったときの、反応経過を図4に示す。図中、●、△、□及び◇は、それぞれ図2における、a、b、d及びfを示している。
図4の(A)は上記i)のランプを、(B)はii)のランプを用いた場合であり、ほぼ同じ反応速度が得られていることから、185nmの光が特段重要な働きをしていないことが分かる。一方、(C)は上記のiii)のランプを用いた場合であり、約280nmより短波長の光をカットすると反応速度が急激に小さくなることが分かる。さらに、(D)はiv)のランプを用いた場合であり、約400nmより短波長の光をカットすると反応が殆ど進まないことが分かる。なお、(A)〜(D)の条件における、185nmと254nmの波長における光エネルギーの量を表2に示す。
Figure 0005120942
一方、(E)はランプi)を用いるが、灯油に含まれる溶存酸素を窒素ガスでパージし、かつ光照射中もグローブボックスで窒素雰囲気の下に反応させた場合であり、この場合も殆ど反応が進行していないことから、酸素が重要な働きをしていることが分かる。また、(F)はランプi)の光を直接灯油に照射せず、酸素ガスに照射してオゾンを発生させ、これを灯油にバブリングして反応させた場合である。この場合、反応は進行するが(A)及び(B)に比べて反応速度がかなり遅いことが分かる。このことは、(A)においては、灯油中に溶存した酸素が185nmの光によりオゾンとなり反応するというメカニズムも想定されるが、そのメカニズムに基づく反応の寄与は非常に小さいことの傍証となる。なお、オゾンによる酸化速度は、光酸化に比べると小さいが、(実施例10)の化学試薬による酸化と比較すると十分大きく、かつ反応生成物も光酸化の場合と同じである。さらに、オゾンの濃度は、本実施例で発生させたものより高くすることは比較的容易であるため、反応速度の向上も可能である。従って、オゾン酸化も光酸化と同様の効果が期待できる。
(実施例3)
難反応性硫黄化合物の光酸化反応速度の検討
トルエンとイソオクタンを1:4の割合で混合した混合溶媒、又は灯油中に、ベンゾチオフェン(BT)、2−メチルベンゾチオフェン(2−MBT)、3,5−ジメチルベンゾチオフェン(3,5−DMBT)、ジベンゾチオフェン(DBT)、及びジフェニルスルフィド(DPhS)を添加して、実施例2の(B)の条件[ランプii)を使用して、酸素をバブリング]で反応させた。上記化合物のうち、最初の4種類の硫黄化合物は、難反応性硫黄化合物に分類されるものである。一方、DPhSは、本実験結果から、易反応性硫黄化合物に分類されるものであるということが分かった。図5に灯油中での反応経過を示す。図中、□はBT、■は2−MBT、○は3,5−DMBT、▲はDPhS、●はDBTを示している。なお、混合溶媒中でも反応速度は灯油中とほとんど同じであった。
図からDPhSは約2.5時間でほぼ100%反応したことが分かる。一方、4種類の難反応性硫黄化合物は20時間経過しても、反応が僅かしか進行していないことが分かる。これらの化合物の反応生成物を調べたところ、DPhSの一部は、スルフォキシドを経てスルフォンになっていたが、BTからはベンゾチオフェン−1,1−ジオキシド、DBTからはスルフォキシド及びスルフォンが殆ど生成しておらず、灯油中でのBTやDBT及びそのアルキル体の濃度減少には酸化反応よりもむしろ光分解反応が寄与していることが示唆された。また、図4と図5の結果と比べると、灯油中に実際に存在している易反応性硫黄化合物は約30分でほぼ100%反応していることから、DPhSよりもさらに光酸化反応を受けやすいことが分かる。このように、灯油中には本発明の光酸化反応に対して、難反応性硫黄化合物と易反応性硫黄化合物が存在し、後者の反応速度は前者に比べ、最低でも10倍以上、多くは100倍以上の反応速度差が認められた。このことは、難反応性硫黄化合物をすべて酸化することなく、易反応性硫黄化合物のみを酸化し、これを別法で容易に除去することができれば、大幅に電力エネルギーを節約できることを示している。なお、(実施例1)の図2(A)でaと記された化合物を含むGCの保持時間1200秒〜1800秒の間に出現する多数の硫黄化合物は、従来はアルキルベンゾチオフェン類と考えられてきたが、本実験により両者の反応速度はまったく異なっており、これらは別の化合物であることが初めて確認された。この発見により易反応性硫黄化合物のみを酸化し、これを別法で除去して大幅に電力エネルギーを節約するという発想につながった。また、これらの易反応性硫黄化合物は、本実験に使用した灯油に特異的なものではなく、図6に示すように、製造元の異なる各社の灯油に共通して見られるものであった。
(実施例4)
光酸化反応速度に及ぼす温度の影響
灯油中に、チオフェン(T)、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)、テトラヒドロチオフェン(tetraHT)、ジエチルジスルフィド(DEtDS)、1−オクタンチオール(1−OcSH)、ジフェニルスルフィド(DPhS)を添加して、実施例2の(B)の条件[ランプii)を使用して、酸素をバブリング]で反応させた。上記化合物のうち、最初の3種類の硫黄化合物は、難反応性硫黄化合物に分類されるものである。一方、tetraHT以降の4種類の硫黄化合物は本実験結果から、易反応性硫黄化合物に分類されるものであるということが分かった。灯油の温度を70℃に加熱して、一定時間反応させた後、灯油の一部(約0.2ml)を採取し、GC/ICP−MS法で硫黄化合物を定量した。
図7の左側には、上記7種類の硫黄化合物の反応経過を示し、また、図7の右側には、灯油に元々含まれていた易反応性硫黄化合物a及びその反応生成物b、d、並びに難反応性硫黄化合物fの反応経過を示す。
反応温度だけが異なる図5の結果と比べると、DPhSが100%反応するのに要する時間は、25℃では約2.5時間、70℃では約0.5時間であった。同様に、図4(B)の結果と比べると、易反応性硫黄化合物aが100%反応するのに要する時間は、25℃では30分以内、70℃では10分以内であった。また、反応生成物bが100%反応するのに要する時間は、25℃では約10時間、70℃では約1時間であった。これらのことから、反応温度を25℃から70℃に上げると、反応速度が5〜10倍大きくなることが分かる。このことは、水素化脱硫のように反応溶液が高温となるような脱硫プロセスの後工程として本光酸化反応を組み込めば、反応溶液の余熱を利用した高速光酸化が可能なことを意味している。
(実施例5)
ガソリン中硫黄化合物の光酸化反応の検討
市販のガソリンを実施例2の(B)の条件[ランプii)を使用して、酸素をバブリング]で反応させた。光酸化反応前後の硫黄のクロマトグラムの一部を図8に示す。該図から、チオフェン等の難反応性硫黄化合物は殆ど反応していないが、一部のピーク高さが減少しており、易反応性硫黄化合物が存在していることが分かる。
(実施例6)
光酸化反応後の灯油中硫黄化合物の吸着特性のスクリーニング
光酸化反応処理後の燃料油中の硫黄化合物を除去する方法としては、溶媒抽出法が多数報告されているが、溶媒抽出法は硫黄化合物の最終処分プロセス、燃料として有用な炭化水素成分の回収プロセス等に労力と時間を要するため、本発明では吸着剤による吸着除去法を検討した。
まず最適な吸着剤を選定するため、スクリーニング試験を行った。これには20gの灯油(光酸化処理後)に吸着剤2gを加えて、一定時間反応させた後、灯油中に残存する硫黄化合物をGC/ICP−MS法で測定した。その結果を図9に示す。
図9から、易反応性硫黄化合物の反応生成物であるb〜eと記された化合物はすべてモレキュラーシーブ(3種類の中では特に、ポアサイズが1.0nmのモレキュラーシーブ1.0が優れている)、フロリジル、活性アルミナによって効果的に吸着されることが分かる。一方、(実施例2)で得られた反応経過の観察結果からは、a及びその前後に見られるピークの化合物が反応してbやcの化合物となり、これらがさらに反応してdになることが分かっている。従って、エネルギーを節約する観点からは、aがほぼ100%反応してbやcとなった時点で光酸化を終了し、吸着除去に移るのが最も適切であると考えられる。すなわち、より長い時間をかけてbやcの化合物をdの化合物にまで酸化する必要はない。一方、難反応性硫黄化合物であるfと記された4,6−ジメチルヂジベンゾチオフェン(4.6−DMDBT)やgと記されたトリメチルジベンゾチオフェンは、活性炭によって効果的に吸着されることが分かる。したがって、吸着剤を適切に選択すれば、両者の硫黄化合物を効果的に吸着除去することが可能となる。もちろん、吸着剤の種類はここに示したものに限らず、公知のものであれば同様のスクリーニング試験を行って特性を調べ、使用することができる。また、モレキュラーシーブのように、易反応性硫黄化合物の反応生成物に比べれば効率は低いが、難反応性硫黄化合物を吸着できるもの、或いは活性炭のように、難反応性硫黄化合物に比べれば効率は低いが、易反応性硫黄化合物の反応生成物を吸着できるものは、吸着剤の量を増やす、又は吸着剤の粒径を小さくすることによって、単独でも、易反応性硫黄化合物の反応生成物と難反応性硫黄化合物の両方を除去することが可能である。吸着剤からの硫黄化合物及び炭化水素の回収を考慮した場合、吸着剤の種類は1種類であることが有利な場合もあるため、その選択は、脱硫システム全体から選択されるべきものである。
なお、図9と同様の条件で、光酸化反応前の灯油を直接、吸着剤で処理したときに得られるクロマトグラムを図10に示す。これから、光酸化反応前の灯油中に存在する易反応性硫黄化合物は、その反応生成物に比べると吸着除去されづらいことが分かり、一旦、光酸化した後、吸着除去する方法が有用であることが理解できる。
(実施例7)
光酸化反応後の灯油中硫黄化合物の吸着率に対する活性炭及びモレキュラーシーブ量の影響の検討
吸着剤の量が多いほど吸着率は向上することは当然であるが、吸着剤のコストを抑えるためには、できるだけ少ない量が望ましい。そのため、吸着率に対する、吸着剤/灯油(光酸化後)の比の影響を調べた結果を図11に示す。ここで(A)は吸着剤として活性炭を、(B)はモレキュラーシーブ1.0を用いた場合である。上記の比が約0.1で十分な吸着率が得られることが分かる。
(実施例8)
光酸化反応後の灯油中硫黄化合物の吸着率に対する活性炭及びモレキュラーシーブ吸着時間の影響の検討
吸着時間が長いほど吸着率は向上することは当然であるが、生産性を上げるためには吸着時間はできるだけ短いほうが望ましい。そのため、吸着率に対する、吸着時間の影響を調べた。結果を図12に示す。ここで(A)は吸着剤として活性炭を、(B)はモレキュラーシーブ1.0を用いた場合である。吸着時間が約15時間で十分な吸着率が得られることが分かる。吸着時間を短くするためには、吸着剤の粒径を小さくする、吸着温度を上げる、超音波をかける、カラム方式を採用するなどといった公知の方法を採用することができる。
(実施例9)
光酸化/吸着除去法による灯油の超深度脱硫
光酸化反応と吸着処理を併用して、灯油を脱硫したときに得られるクロマトグラムを図13に示す。ここで(A)は光酸化前の灯油であり、(B)は光酸化後の灯油、(C)は光酸化後、活性炭による吸着を行った後の灯油、(D)は光酸化、活性炭吸着後さらにモレキュラーシーブ1.0による吸着を行った灯油である。このとき得られた灯油の性状と組成を表3に示す。
Figure 0005120942
これらの処理によって、硫黄分は7μgS/gから0.1μgS/gへと低下した。(D)では4,6−DMDBTの極小さなピークが見られるが、活性炭処理にもう少し時間をかければ、容易に0.05μgS/g以下に低減することが可能である。また、これらの処理によって2環の芳香族炭化水素も0.4%から0.1%に低減していることが分かる。多環芳香族化合物は除去することが好ましいため、本発明の脱硫法は、この観点からも利点がある。一方、2環の芳香族炭化水素以外の、主成分の炭化水素組成は殆ど変化がないことが、表3の結果及び図13の炭素のクロマトグラムから分かる。なお、これら一連の脱硫操作において、活性炭とモレキュラーシーブ1.0による吸着処理の順序は逆転することも可能である。
(実施例10)
化学試薬による酸化方法との比較
すでに(実施例2)において、本発明の光酸化反応速度がオゾンによる酸化反応速度に比べて大きいことを示したが、他の酸化剤に比べてどのような特徴があるかを検討した。
酸化剤としては、KMnO、CuO、V、ZrW、CeO、WO、MnO、Hを検討した。この試験では灯油1gに酸化剤0.1gを添加し、ボルテックスミキサーで緩やかに振とうしながら22時間反応させた。その結果、KMnO、CuO、V、MnO、Hはまったく或いは殆ど反応しなかった。反応が見られたZrW、CeO、WOのクロマトグラムを図14に示す。いずれの酸化剤でもaで記された化合物が22時間後も残存しており、本発明の光酸化及びオゾン酸化に比べれば反応速度がはるかに小さいことが分かる。また、これらの酸化試薬ではb又はcで記される化合物のピークが見られず、直接dで記される化合物のピークが出現することも、本発明の光酸化及びオゾン酸化とはメカニズムが異なっていることが示唆された。
(実施例11)
光反応管内蔵型光酸化反応器と吸着除去器を用いる流通式脱硫装置
装置の概略図を図15に示す。ランプとしては各種のランプが使用できるが、ここでは低圧水銀ランプを用いた実施例を説明する。低圧水銀ランプは出力6Wのものを使用した。材質は石英ガラスを使用し、外表面をアルミ箔で覆い、光を中心部の光反応管に集光するとともに、有害な紫外線が外部に漏れないようにした。光反応管は石英ガラス製で長さ190mm、内径3mmである。また、酸素透過性交換用光反応管はテフロン(登録商標)AFチューブ(DuPont社:登録商標)の長さ250mm、内径1.0mmのものを使用した。吸着剤Aとして活性炭(粒径約2mm)を15g詰めたカラムと、吸着剤Bとしてモレキュラーシーブ1.0(粒径約2mmを15g詰めたカラムを連結した。コネクターはテフロン(登録商標)製で容易に光酸化反応器、吸着除去器を装脱着可能とした。光酸化反応器を垂直に配置し、上部の燃料油溜めから一定流量で落下させた。流量は流量調整用バルブにて制御した。ランプの熱は光反応管と酸素透過性交換用光反応管との間にある空気に伝わるため、自然対流が起こり、下部から上部に向かって空気が流れる。もちろん、送風機で空気を流してもよい。なお、ここに記したランプ、光反応管等の寸法、材質はこれらに限定されるものではない。
(実施例12)
二重管型光反応管内に酸素透過性管を装着した光酸化反応器
装置の概略図を図16に示す。ランプとしては各種のランプが使用できるが、ここでは低圧水銀ランプを用いた実施例を説明する。低圧水銀ランプは出力40Wのものを使用した。材質は石英ガラスで、長さが300mm、管外径18mmである。光反応管外管は長さ250mm、内径40mm、光反応管内管は長さ250mm、内径20mmの石英ガラスを使用した。反射材としてアルミ箔を使用し、光反応管外管の表面を覆った。酸素透過性管はテフロン(登録商標)AFチューブ(DuPont社:登録商標)の長さ320mm、内径1.0mmのものを使用した。チューブホルダーはステンレス鋼製とした。低圧水銀ランプの熱は、上部のチューブホルダーに伝わりこの内部の空気を加熱するため、自然対流で空気は下部のチューブホルダーから上部のチューブホルダーに向かって流れる。もちろん、送風機で空気を流してもよい。なお、ここに記したランプ、光反応管等の寸法、材質はこれらに限定されるものではない。
本発明は、ガソリンや軽油などの自動車燃料、工場で使用される重油やナフサ、家庭で使用される灯油の脱硫方法としての利用、特に、本発明は、硫黄分を0.1μgS/g以下に脱硫することができるため、燃料電池用燃料として利用拡大が見込まれる燃料油の超深度脱硫法としての利用が可能となる。さらに、本発明では、エネルギー効率に優れた脱硫方法となり得るばかりでなく、光酸化(又はオゾン酸化)及び吸着除去が常温、常圧で行えるため、装置がコンパクトでメンテナンスも容易であり、家庭でのオンサイト設置型や自動車への搭載型への応用が可能である。さらに、本発明は、硫黄濃度が高い精製前の天然ガス液体、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、ジェット燃料、重油、シェールオイル、オイルサンド油、石炭液化油などに限られず、これらを他の脱硫方法、特に水素化脱硫などによって精製した後の超深度脱硫方法として用いると時に効果的である。
バッチ式光酸化反応器の概念図。 図1の反応器で灯油を光酸化反応したときに得られる硫黄のクロマトグラムであり、(A)は光酸化前の灯油、(B)は0.55時間反応後の灯油、(C)は5時間反応後の灯油を示す。 低圧水銀ランプの主な発光線を示す図。 低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプの主な発光スペクトル。 光酸化反応経過に対する波長及び酸素の影響を示す図。 主な硫黄化合物標準試薬の灯油中での光反応速度を示す図。 製造元の異なる各社の灯油とそれを光酸化した灯油の硫黄のクロマトグラム。 70℃における硫黄化合物の灯油中での光反応速度を示す図。 ガソリンを光酸化反応させる前後の硫黄のクロマトグラム。 (B)〜(H)は、光酸化反応後の灯油を、各種吸着剤で処理したときに得られるクロマトグラムであり、(A)は吸着処理前のものである。 (B)〜(H)は、光酸化反応前の灯油を、各種吸着剤で処理したときに得られるクロマトグラム。であり、(A)は吸着処理前のものである。 光酸化反応後の灯油中硫黄化合物の吸着率に対する吸着剤/灯油の比の影響を示すものであり、(A)は活性炭、(B)はモレキュラーシーブ1.0。 光酸化反応後の灯油中硫黄化合物の吸着率に対する吸着時間の影響を示すものであり、(A)は活性炭、(B)はモレキュラーシーブ1.0。 光酸化反応と吸着処理によって得られる灯油のクロマトグラムであり、(A)は光酸化前の灯油、(B)は光酸化後の灯油、(C)は光酸化/活性炭吸着後の灯油、(D)は光酸化/活性炭吸着/モレキュラーシーブ1.0吸着後の灯油。 酸化剤(ZrW、CeO、WO)により化学酸化を行った灯油のクロマトグラム。 光反応管内蔵型光酸化反応器と吸着除去器を用いる流通式脱硫装置の概念図。 二重管型光反応管内に酸素透過性管を装着した光酸化反応器の概念図。

Claims (9)

  1. 燃料油から硫黄化合物を除去する脱硫方法であって、
    分子状酸素の存在下、280nmより短波長の光を燃料油に一定時間照射して光酸化反応を起こさせた後の燃料油中の各硫黄化合物の濃度の減少率を光酸化反応速度として、
    燃料油中に存在する難反応性硫黄化合物である、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びこれらがアルキル化されたアルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンのいずれかに比べて10倍以上の光酸化反応速度をもつ易反応性硫黄化合物がほぼ100%反応する時間、前記光を照射することによって、該易反応性硫黄化合物と酸素と反応させ、その後、該反応により生成した反応生成物と、燃料油中に残存する前記易反応性硫黄化合物以外の硫黄化合物を、吸着剤に吸着させることを特徴とする脱硫方法。
  2. 前記易反応性硫黄化合物が、前記難反応性化合物に比べて100倍以上の酸化反応速度をもつことを特徴とする請求項1に記載の脱硫方法。
  3. 前記280nmより短波長の光の光源として、低圧水銀ランプを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱硫方法。
  4. 前記吸着剤が、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、フロリジル、活性炭、活性炭素繊維、及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  5. 前記燃料油が、天然ガス液体、ナフサ、ガソリン、LPG、灯油、軽油、ジェット燃料、重油、シェールオイル、オイルサンド油、石炭液化油、GTL、廃プラスチック油、バイオフューエル、及びこれらを脱硫して得られた精製物から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  6. 光反応管内蔵型光反応器と、該光反応管内蔵型光反応器の後段に設置された、吸着剤を保持したカラムからなる吸着除去器とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された脱硫方法に用いる脱硫装置であって、前記光反応管内蔵型光反応器が、280nmより短波長の光を照射するランプと、該ランプ内を貫通するように設置され、前記燃料油を導入且つ排出できる光反応管とからなり、該光反応管内の燃料油に前記ランプの光を照射可能にしたものであるとともに、前記光反応管内に酸素透過性の交換用光反応管を挿脱可能に装着し、上記光反応管と上記交換用光反応管の間に酸素又は酸素を含む混合ガスを、送風機により、或いは前記ランプの熱による対流を利用して、流通させるようにしたものであることを特徴とする脱硫装置。
  7. 前記ランプの外側の表面に反射材を施したことを特徴とする請求項に記載の脱硫装置。
  8. 二重管型光反応器と、該二重管型光反応器の後段に設置された、吸着剤を保持したカラムからなる吸着除去器とを有する請求項請求項1〜5のいずれか1項に記載された脱硫方法に用いる脱硫装置であって、該二重管型反応器が、燃料油を導入且つ排出できる二重管型光反応管と、該二重管型光反応管中心部を貫通するように設置された280nmより短波長の光を照射するランプとからなり、前記二重管型光反応管内の燃料油に前記ランプの光を照射可能とするようにしたものであるとともに、前記二重管型光反応管内に酸素透過性の管を挿脱可能に装着し、該酸素透過性の管を介して、酸素又は酸素を含む混合ガスを、送風機により、又は該ランプの熱による対流を利用して、流通させるようにしたものであることを特徴とする脱硫装置。
  9. 前記二重管型光反応管の外側の管の外表面又は内表面に反射材を施したことを特徴とする、請求項に記載の脱硫装置。
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